説明

熱交換器および温水装置

【課題】ヘッダの接続が容易であるとともに、高い熱交換効率を得ることが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】複数の伝熱管Pの螺旋状管体部5が略同心の重ね巻き状に配されてケース7内に収容され、加熱用媒体が螺旋状管体部5の複数のループ部50どうしの隙間59を螺旋状管体部5の軸長方向に対して交差する方向に進行するように構成されている熱交換器Bであって、複数の螺旋状管体部5として、複数のループ部50の軸長方向の配列ピッチp1,p2が互いに相違する第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bが設けられており、これら第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bは、軸長方向一端部50’どうし、および他端部50”どうしの軸長方向高さが略同一に揃えられている一方、軸長方向中間部の複数のループ部50どうしの軸長方向高さは不揃いとされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスなどの加熱用媒体からいわゆる螺旋式の伝熱管を用いて熱回収を行ない、水などの所望の流体を加熱するのに用いられる熱交換器、およびこれを備えた温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、温水装置に用いられる熱交換器の一例として、特許文献1に記載されたものを先に提案している。同文献に記載された熱交換器は、いわゆる螺旋式の伝熱管を複数用いたものであり、複数の伝熱管の螺旋状管体部を略同心の重ね巻き状に配列させてケース内に収容している。このケース内には燃焼ガスが導入され、このケース内に導入された燃焼ガスは、複数の螺旋状管体部の複数のループ部どうしの隙間を順次通過するように構成されている。この燃焼ガスの通過の際に、螺旋状管体部によって熱回収がなされ、螺旋状管体部内を流れる水が効率良く加熱される。
【0003】
特許文献1の図22には、前記したような熱交換器において、熱交換効率をより高めるための一手段が記載されている。同図に記載された手段においては、複数の螺旋状管体部の互いに隣り合うものどうしを上下方向に位置ずれさせており、このことによりそれらのループ部を千鳥配列としている。このような手段によれば、複数のループ部が上下方向に位置ずれすることなく縦横に整然と並んで設けられている場合と比較すると、各ループ部に対して燃焼ガスがより作用し易くなり、熱回収量を多くすることが可能である。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、前記従来技術においては、複数の螺旋状管体部のそれぞれの巻きピッチ(軸長方向におけるループ部の配列ピッチ)が同一に揃えられており、複数のループ部を千鳥配列に設定するための手段として、隣り合う螺旋状管体部の全体を上下方向に位置ずれさせている。したがって、複数の螺旋状管体部の上端部および下端部のそれぞれの高さも不揃いとなっている。ところが、このような構成とされていたのでは、螺旋状管体部の上端部および下端部のそれぞれに対して湯水の流出入を行なわせるためのヘッダを接続する場合に、その接続を容易に行なうことができず、ヘッダの接続構造が複雑化する。その結果、前記従来技術においては、その分だけ製造コストが高価となる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−317035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、ヘッダの接続が容易であり、かつ高い熱交換効率を得ることが可能な熱交換器、およびこれを備えた温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、複数のループ部が軸長方向に隙間を隔てて並んだ複数の螺旋状管体部を有し、かつこれら複数の螺旋状管体部が略同心の重ね巻き状に配されている複数の伝熱管と、前記複数の螺旋状管体部の軸長方向両端部に接続されている一対のヘッダと、前記複数の螺旋状管体部を収容しており、かつ加熱用媒体を内部に流入させてから前記複数のループ部どうしの隙間を前記軸長方向に対して交差する方向に進行させた後に外部に排出させるための加熱用媒体の流入口および流出口が形成されているケースと、を備えている、熱交換器であって、前記複数の螺旋状管体部として、前記複数のループ部の前記軸長方向における配列ピッチが互いに相違する第1および第2の螺旋状管体部が設けられており、これら第1および第2の螺旋状管体部は、軸長方向一端部どうし、および他端部どうしの軸長方向高さが略同一に揃えられている一方、軸長方向中間部の複数のループ部どうしの軸長方向高さは不揃いとされていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、第1および第2の螺旋状管体部の軸長方向中間部のループ部どうしは、軸長方向高さが不揃いであり、千鳥配列またはこれに類する配列となっている。このため、これらの部分を加熱用媒体が流通する際の熱回収量を多くし、熱交換効率を高めることができる。また、本発明においては、前記したようなループ部の千鳥配列またはこれに類する配列を実現するための手段として、第1および第2の螺旋状管体部のそれぞれのループ部の配列ピッチを相違させる手段を採用しており、それらの軸長方向一端部どうし、および他端部どうしの軸長方向高さは略同一に揃えられている。このため、これらの端部の高さが不揃いとされている場合と比較して、螺旋状管体部に対してヘッダを容易に接続することができることとなる。したがって、製造コストの低減化も図ることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1および第2の螺旋状管体部のそれぞれのループ部の軸長方向における配列ピッチをp1,p2とし、ループ部の段数をN1,N2とした場合に、p1×(N1−1)=p2×(N2−1)の関係が成立するように構成されている。
【0012】
このような構成によれば、第1および第2の螺旋状管体部の軸長方向一端部どうし、および他端部どうしを略同一高さに揃えつつ、それらの軸長方向中間部のループ部どうしの高さを相違させることが適切に実現される。また、第1および第2の螺旋状管体部のそれぞれは、巻きピッチ(ループ部の配列ピッチ)が一定の螺旋状に形成すればよく、ループ部の配列が不等間隔の螺旋状に形成する必要はない。したがって、第1および第2の螺旋状管体部については、従来の螺旋状管体を製作する場合と同様な手法を用いて比較的簡易に製作することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1および第2の螺旋状管体部は、交互に繰り返して並んだ構成とされている。
【0014】
このような構成によれば、第1および第2の螺旋状管体部が繰り返して並んだ部分においては、それらの軸長方向中間部の互いに隣り合うループ部どうしは全て軸長方向に位置ずれした構成となる。したがって、熱交換効率を高めるのにより好適となる。また、ループ部の配列ピッチが相違する螺旋状管体部として、第1および第2の螺旋状管体部の2種類の螺旋状管体部を用いるだけでよいために、それらの製造も容易となる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1および第2の螺旋状管体部とは複数のループ部の軸長方向における配列ピッチが相違する第3の螺旋状管体部をさらに備えており、この第3の螺旋状管体部の軸長方向両端部は、前記第1および第2の螺旋状管体部の軸長方向両端部と軸長方向高さが略同一に揃えられている。
【0016】
このような構成によれば、ループ部の配列ピッチが相違する螺旋状管体部の数が多くなるために、熱交換効率をより高めることが可能となる。
【0017】
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、本発明の第1の側面により提供される熱交換器と、この熱交換器の前記ケース内に前記加熱用媒体としての燃焼ガスを供給する燃焼器と、を備えていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される熱交換器について述べたのと同様な効果が得られる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1〜図5は、本発明が適用された温水装置の具体例としての給湯装置、およびこれに関連する構成の一例を示している。図1によく表われているように、本実施形態の給湯装置Aは、燃焼器3、1次熱交換器1、および2次熱交換器Bを備えている。2次熱交換器Bは、本発明が適用された熱交換器の一例に相当する。
【0022】
燃焼器3は、正燃式のガスバーナであり、缶体30内に配され、かつ燃料ガスが外部から配管32を介して供給されるように構成されている。缶体30内には、下方のファン31から燃焼用空気が上向きに送風される。1次熱交換器1は、燃焼器3によって発生された燃焼ガスから顕熱を回収するためのものであり、複数のフィン12を有する伝熱管11の主要部が缶体10内に配された構造を有している。
【0023】
2次熱交換器Bは、1次熱交換器1によって顕熱が回収された燃焼ガスからさらに潜熱を回収するためのものであり、1次熱交換器1の上方に配され、かつ缶体10に対して補助缶体19を介して接続されている。この2次熱交換器Bは、内部に燃焼ガスが導入されるケース7、複数の伝熱管P、および入水用および出湯用の一対のヘッダ6A,6Bを備えている。複数の伝熱管Pのそれぞれは、螺旋状管体部5と、この螺旋状管体部5の下端および上端に繋がった延設管体部51,52とを有しており、螺旋状管体部5は、ケース7内に収容されている。本実施形態において、螺旋状管体部5の軸長方向(図5(b)の螺旋状管体部5の中心軸Cが延びる方向)は、ケース7の上下高さ方向(鉛直方向)である。
【0024】
ケース7は、中空の略直方体状であり、その後壁部70aおよび前壁部70bには、燃焼ガス用の流入口71、および流出口72が設けられている。1次熱交換器1を通過してその上方に進行した燃焼ガスは、図3に示すように、補助缶体19内を通過して流入口71からケース7内に進入して複数の螺旋状管体部5に作用し、これらによって熱回収がなされた後に、流出口72からケース7の外部に排出される。この流出口72は、たとえば図2に示すような正面視略矩形状である。流入口71も同様である。
【0025】
螺旋状管体部5によって燃焼ガスから潜熱回収がなされると、それらの表面にドレイン(凝縮水)が発生し、下方に滴下する。これに対し、ケース7は底壁部70dを有しており、この底壁部70dの前端部寄りの位置には、ドレイン用の排出口73が設けられている。好ましくは、底壁部70dは、ドレインを排出口73に円滑に導くように前下がり状に傾斜している。ドレインが螺旋状管体部5の表面から底壁部70d上に滴下すると、その後このドレインは排出口73に流れ込み、ケース7の外部に排出される。
【0026】
各螺旋状管体部5は、図5によく表われているように、平面視略長円状の複数のループ部50が一連に繋がって複数の隙間59を介して上下高さ方向(軸長方向)に積層した構成を有している。なお、各ループ部50のうち、ケース7の左右幅方向に延びる直状管体部50a,50bは、水平状であるのに対し、それらの端部に繋がった半円弧状の両端部50c,50dは、上下に傾斜している。このように、ループ部50の両端部50c,50dのみを傾斜させれば、ループ部50の全長域を傾斜状に形成する場合と比較すると、螺旋状管体部5の全体の高さを低く抑えることができる利点が得られる。むろん、本発明においては、これとは異なり、螺旋状管体部5のループ部50の全長域が傾斜した構成とすることもできる。複数の螺旋状管体部5は、それぞれのループ部50の大きさが相違するように形成され、これらは略同心の重ね巻き状に配されている。
【0027】
図3によく表われているように、複数の螺旋状管体部5としては、ループ部50の配列ピッチがp1の第1の螺旋状管体部5Aと、配列ピッチがp2とされた第2の螺旋状管体部5Bとがある。第1の螺旋状管体部5Aは、内周から1番目、3番目、および5番目の奇数列に位置しており、第2の螺旋状管体部5Bは、2番目、および4番目の偶数列に位置している。本実施形態においては、第1の螺旋状管体部5A,5Bのそれぞれの段数をN1,N2とした場合(図面では、N1は6、N2は5である)、次の式1を満たすように構成されている。
p1×(N1−1)=p2×(N2−1) ・・・式1
【0028】
前記した式1の左辺および右辺は、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bのそれぞれの下端のループ部50’の中心から上端のループ部50”の中心までの寸法に相当する。したがって、前記式1を満たす場合、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bの上下方向の高さは同一となる。本実施形態においては、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bの下端のループ部50’どうし、および上端のループ部50”どうしは、同一高さに揃えられている。ただし、ループ部50’,50”を除き、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bの高さ方向中間部の他のループ部50どうしは、それらの高さにズレを生じた配列となっている。本実施形態において、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bは、同一口径のパイプを用いて構成されている。
【0029】
図5に示すように、複数の螺旋状管体部5の下端および上端に連設されている延設管体部51,52は、ケース7の一側壁70eを貫通してケース7の外部に引き出されており、これらの端部に入水用および出湯用のヘッダ6A,6Bが接続されている。延設管体部51には、曲管部51aが設けられているが、これは螺旋状管体部5内から水抜きを行なう場合の水抜き性を良くするためである。図1によく表われているように、ヘッダ6Bの出湯口60Bは、適当な配管81を介して伝熱管11の入水口11aに接続されている。ヘッダ6Aの入水口60Aには、給水管(図示略)が接続されている。入水口60Aに供給された水は、複数の螺旋状管体部5および伝熱管11を順次通過して加熱され、その後出湯口11bから所望の給湯先に供給される。
【0030】
次に、2次熱交換器B、およびこれを備えた給湯装置Aの作用について説明する。
【0031】
図1において、まず、燃焼器3が駆動して燃焼ガスが発生すると、この燃焼ガスからは1次熱交換器1によって顕熱が回収された後に、2次熱交換器Bの各螺旋状管体部5によって潜熱が回収される。このような作用により、各螺旋状管体部5および伝熱管11に供給されてそれらの内部を流通する水が加熱され、湯水が適切に生成される。図3を参照して説明したように、2次熱交換器Bは、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bが水平方向に交互に並び、かつそれらのループ部50の上下方向の配列ピッチp1,p2が相違していることにより、それらのループ部50に高低差を生じている。このため、たとえば第1の螺旋状管体部5Aのループ部50の隙間59の隣には、第2の螺旋状管体部5Bのループ部50が位置し、また第2の螺旋状管体部5Bのループ部50の隙間59の隣には、第1の螺旋状管体部5Aのループ部50が位置する構成となっている。したがって、流入口71からケース7に流入した燃焼ガスがその前方の流出口72に向けて水平方向に進行する際に、複数のループ部50のそれぞれに対して燃焼ガスが効率良く作用することとなる。その結果、2次熱交換器Bによる熱回収量を多くすることができ、2次熱交換器Bの小型化を図りつつ熱交換効率を高めるのに好ましいものとなる。
【0032】
一方、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bの下端のループ部50’どうし、および上端のループ部50”どうしの高さは揃えられているために、それらに繋がった複数の延設管体部51,52もそれぞれ同一高さに揃うこととなる。このため、本実施形態とは異なり、それらの高さが不揃いにされている場合と比較すると、一対のヘッダ6A,6Bを取り付ける作業が容易となり、製造コストを抑制することができる。また、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bは、ループ部50の配列ピッチは互いに相違するものの、ループ部50の配列はともに等間隔とされているために、現材料パイプに曲げ加工を施して第1および第2の螺旋状管体部A,5Bを製作する際の製作作業も容易となる。本実施形態とは異なり、ループ部50の配列を不等間隔としつつ、螺旋状管体部5の全体の高さが所定の値となるように製作する場合には、その製作が難しいものとなるが、本実施形態によれば、そのような不具合もない。
【0033】
図6は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0034】
図6に示す実施形態においては、複数の螺旋状管体部5として、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bに加えて、第3の螺旋状管体部5Cをさらに備えており、これらは一定の順序で並んでいる。第1ないし第3の螺旋状管体部5A〜5Cのそれぞれのループ部50の軸長方向(上下方向)の配列ピッチをp1〜p3とし、段数をN1〜N3(ただし、図面においては、N1=7、N2=8、N3=9)とすると、次の式2を満足するように構成されている。
p1×(N1−1)=p2×(N2−1)=p3×(N3−1) ・・・式2
【0035】
本実施形態においても、全ての螺旋状管体部5の下端のループ部50’どうし、および上端のループ部50”どうしの高さを同一に揃えて、これらの部分にヘッダ6A,6Bを直接または間接的に容易に接続することが可能である。一方、第1および第2の螺旋状管体部5A,5Bに加えて、第3の螺旋状管体部5Cが設けられているために、その分だけ複数のループ部50に高低差を生じさせる場合のバリエーションに種々の工夫を凝らすことが可能となり、各ループ部50に対して燃焼ガスを効率良く作用させることが可能である。本実施形態から理解されるように、本発明においては、ループ部の配列ピッチが相違する螺旋状管体部として、3種類の螺旋状管体部を用いた構成とすることができる。もちろん、それ以上に多種の螺旋状管体部を用いた構成とすることも可能である。たとえば、複数の螺旋状管体部のそれぞれのループ部の配列ピッチが全て相違するように構成することも可能である。
【0036】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。本発明に係る熱交換器、および温水装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0037】
伝熱管の螺旋状管体部のループ形状は、略長円状に限定されず、それ以外のたとえば略長矩形状、略正矩形状、あるいは円形状などの種々の形状にすることができる。また、伝熱管は、螺旋状管体部の軸長方向が略鉛直方向となる姿勢に限らず、たとえば水平方向となるように横倒しされた姿勢に設けることも可能である。複数の伝熱管は、必ずしも同一口径のパイプ材を用いて形成されていなくてもよく、それらの口径を相違させた構成とすることもできる。伝熱管に供給される被加熱流体としては、水以外の不凍液やその他の流体を適用することが可能であり、加熱用媒体としても、燃焼ガス以外の媒体を適用することができる。ケースは、伝熱管を収容し、かつ内部に燃焼ガスなどの加熱用媒体が流入されて、この加熱用媒体が複数のループ部どうしの隙間を螺旋状管体部の軸長方向に対して交差する方向(軸長方向に対して直交する方向に限定されない)に進行させるように構成されていればよく、やはりその具体的な形状なども限定されない。従来技術として説明した特許文献1に記載の熱交換器は、螺旋状管体部によって囲まれている空間部に燃焼ガスが供給され、かつこの燃焼ガスがその後に前記空間部から螺旋状管体部のループ部どうしの隙間を通過するように構成されているが、本発明においてもこれと同様な経路で加熱用媒体を流通させる構成とすることができる。
【0038】
上述した実施形態では、顕熱回収用の1次熱交換器1については、本発明を適用していないが、本発明に係る熱交換器は、顕熱回収用、潜熱回収用の種別を問わない。本発明に係る熱交換器を、顕熱回収に用いることもできる。本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明が適用された給湯装置の一例を示す概略正面断面図である。
【図2】図1に示す給湯装置の要部正面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1に示す給湯装置の2次熱交換器の側面図である。
【図5】(a)は、図1に示す給湯装置の2次熱交換器の平面断面図であり、(b)は、その正面断面図である。
【図6】本発明が適用された熱交換器の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
A 給湯装置(温水装置)
B 2次熱交換器(熱交換器)
P 伝熱管
3 燃焼器
5 螺旋状管体部
5A〜5C 第1ないし第3の螺旋状管体部
7 ケース
6A,6B ヘッダ
50 ループ部
59 隙間(ループ部どうしの)
71 流入口
72 流出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のループ部が軸長方向に隙間を隔てて並んだ複数の螺旋状管体部を有し、かつこれら複数の螺旋状管体部が略同心の重ね巻き状に配されている複数の伝熱管と、
前記複数の螺旋状管体部の軸長方向両端部に接続されている一対のヘッダと、
前記複数の螺旋状管体部を収容しており、かつ加熱用媒体を内部に流入させてから前記複数のループ部どうしの隙間を前記軸長方向に対して交差する方向に進行させた後に外部に排出させるための加熱用媒体の流入口および流出口が形成されているケースと、
を備えている、熱交換器であって、
前記複数の螺旋状管体部として、前記複数のループ部の前記軸長方向における配列ピッチが互いに相違する第1および第2の螺旋状管体部が設けられており、
これら第1および第2の螺旋状管体部は、軸長方向一端部どうし、および他端部どうしの軸長方向高さが略同一に揃えられている一方、軸長方向中間部の複数のループ部どうしの軸長方向高さは不揃いとされていることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
前記第1および第2の螺旋状管体部のそれぞれのループ部の軸長方向における配列ピッチをp1,p2とし、ループ部の段数をN1,N2とした場合に、
p1×(N1−1)=p2×(N2−1)
の関係が成立するように構成されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1および第2の螺旋状管体部は、交互に繰り返して並んだ構成とされている、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1および第2の螺旋状管体部とは複数のループ部の軸長方向における配列ピッチが相違する第3の螺旋状管体部をさらに備えており、
この第3の螺旋状管体部の軸長方向両端部は、前記第1および第2の螺旋状管体部の軸長方向両端部と軸長方向高さが略同一に揃えられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器と、この熱交換器の前記ケース内に前記加熱用媒体としての燃焼ガスを供給する燃焼器と、を備えていることを特徴とする、温水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−292059(P2008−292059A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137740(P2007−137740)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】