説明

熱処理装置

【課題】昇華物が導出ダクト内で堆積することを抑制することができる熱処理装置を提供する。
【解決手段】熱処理装置1Aは、熱処理部21内に被処理物Wが収容された状態で、熱処理部21内の空気を循環させながら加熱することにより被処理物Wを熱処理するとともに、外気を加熱して熱処理部21内に送り込みつつ熱処理部21内の空気を導出ダクト5内に流出させることにより熱処理部21内を換気するものである。前記導出ダクト5には、被処理物Wを熱処理する際に当該被処理物から発生する昇華物を分解可能な触媒6が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を熱処理する熱処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱処理装置としては、熱処理部内に被処理物が収容された状態で、前記熱処理部内の空気を循環させながら加熱することにより前記被処理物を熱処理するものが知られている。
【0003】
このような熱処理装置は、例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造工程におけるフォトレジストや有機物薄膜のプリベーク、ポストベーク工程に用いられることがある。これらの工程では、ガラス基板等からなる被処理物が熱処理される際に、フォトレジスト等に含まれる揮発性成分が気化して多量の昇華物が発生し、この昇華物が再結晶化して熱処理装置周辺に飛散したり周辺に付着したりする等の問題があった。
【0004】
この問題の対策として、例えば特許文献1には、外気を加熱して前記熱処理部内に送り込みつつ前記熱処理部内の空気を導出ダクト内に流出させることにより前記熱処理部内を換気することが記載されている。このように換気することにより、昇華物の再結晶化および周辺への付着を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−141868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のように換気した場合には、熱処理部から流出した空気が導出ダクト内を流れる際に冷却されて、昇華物が導出ダクト内で堆積するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、昇華物が導出ダクト内で堆積することを抑制することができる熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
参考例に係る発明は、熱処理部内に被処理物が収容された状態で、前記熱処理部内の空気を循環させながら加熱することにより前記被処理物を熱処理するとともに、外気を加熱して前記熱処理部内に送り込みつつ前記熱処理部内の空気を導出ダクト内に流出させることにより前記熱処理部内を換気する熱処理装置において、前記導出ダクトには、前記被処理物を熱処理する際に当該被処理物から発生する昇華物を分解可能な触媒が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
参考例に係る発明は、前記参考例として記載の熱処理装置において、外気を吸い込むための吸気ダクトをさらに備え、前記導出ダクトは、前記熱処理部から流出した空気を直接外部に排出するための排気ダクトと、この排気ダクトから分岐して前記吸気ダクトにつながり、前記熱処理部から流出した空気を前記吸気ダクトを介して再度熱処理部内に送り込むための還流ダクトとを有しており、前記触媒は、前記排気ダクトにおける還流ダクトが分岐する位置よりも上流側の部分または還流ダクトに設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
参考例に係る発明は、前記参考例として記載の熱処理装置において、前記触媒は、前記排気ダクトにおける還流ダクトが分岐する位置よりも上流側の部分に設けられており、前記吸気ダクト内を流れる外気と前記排気ダクトにおける還流ダクトが分岐する位置よりも下流側の部分を流れる空気とで熱交換を行わせる熱交換器をさらに備えることを特徴とするものである。
【0011】
参考例に係る発明は、前記参考例として記載の熱処理装置において、外気を吸い込むための吸気ダクトと、この吸気ダクト内を流れる外気と前記導出ダクトにおける触媒が設けられた位置よりも下流側の部分を流れる空気とで熱交換を行わせる熱交換器とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0012】
請求項1に係る発明は、内部に被処理物が収容される熱処理部と、この熱処理部に接続される導出ダクトと、前記被処理物を熱処理するために外気を加熱して前記熱処理部内に送り込む空調部とを備え、前記空調部は、外気を前記熱処理部内に送り込むことにより前記熱処理部内の空気を当該空調部に戻すことなく前記導出ダクト内に流出させるものであり、前記導出ダクトは、前記熱処理部から流出した空気を全て外部に排出するように構成されており、この導出ダクトには、前記被処理物を熱処理する際に当該被処理物から発生する昇華物を分解可能な触媒が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
参考例に係る発明によれば、熱処理部内の空気が導出ダクト内を流れる際に触媒に接触して、当該空気中に含まれる被処理物から発生した昇華物が触媒によって分解されるようになるため、昇華物が導出ダクト内で堆積することを抑制することができる。
【0014】
参考例に係る発明によれば、熱処理部から流出した空気が触媒に接触した後に還流ダクトおよび吸気ダクトを介して再度熱処理部内に送り込まれるようになっているので、熱処理部から流出した空気が再利用されるようになる。これにより、吸気ダクトに吸い込まれる外気の吸気量および排気ダクトから外部に排出される排気量を共に小さく抑えることができ、省エネを図ることができる。
【0015】
参考例に係る発明によれば、熱交換器によって熱処理部から流出した空気の熱を利用して外気を加熱することができるため、省エネを図ることができる。しかも、熱交換器によって外気と熱交換が行われる空気は触媒に接触した後のその空気中に含まれる昇華物が既に分解されたものであるので、熱交換によって前記空気が冷却されても、熱交換器内で昇華物が堆積することを抑制することができる。また、還流ダクトおよび吸気ダクトによって熱処理部から流出した空気が再利用され省エネを図ることができ、吸気量が小さく抑えられるようになっているので、熱交換器による熱交換が効果的に行われるようになる。
【0016】
参考例に係る発明によれば、熱交換器によって熱処理部から流出した空気の熱を利用して外気を加熱することができるため、省エネを図ることができる。しかも、熱交換器によって外気と熱交換が行われる空気は触媒に接触した後のその空気中に含まれる昇華物が既に分解されたものであるので、熱交換によって前記空気が冷却されても、熱交換器内で昇華物が堆積することを抑制することができる。
【0017】
また、請求項1に係る発明のように、空調部によって外気を熱処理部内に送り込むことにより熱処理部内の空気を空調部に戻すことなく導出ダクト内に流出させる構成としてもよい。すなわち、この構成では、熱処理部内の空気を循環させずに全て導出ダクト内に流出させている。このような構成においても、導出ダクトに触媒を設けることで、昇華物が導出ダクト内で堆積することを抑制することができる。しかも、熱処理部から導出ダクト内に流出した空気は、導出ダクトによって全て外部に排出されるようになっているので、触媒に接触した後の空気が再び熱処理部内に送り込まれることがない。このため、たとえ触媒が劣化したとしても、熱処理部内の昇華物濃度が上昇することがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】参考例に係る熱処理装置の概略構成図である。
【図2】第2の参考例に係る熱処理装置の概略構成図である。
【図3】第3の参考例に係る熱処理装置の概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る熱処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、参考例に係る熱処理装置1Aの概略構成図である。この熱処理装置1Aは、FPDの製造工程に用いられるものであり、クリーンルーム内に設置されるいわゆるクリーンオーブンと呼ばれるものである。
【0021】
前記熱処理装置1Aは、断熱壁で空間が囲繞された断熱室20を有する装置本体2を備えている。前記断熱室20は、内部が仕切り壁24によって仕切られていて、仕切り壁24よりも左側の部分が熱処理部21、右側の部分が空調部23となっている。仕切り壁24には開口が形成され、この開口内にフィルタ31が配設されていて、フィルタ31を通じた通気が可能となっている。また、図示は省略するが、装置本体2には、熱処理部21の内部と空調部23の内部とを連通する連通路が設けられている。
【0022】
前記熱処理部21の内部には、ガラス基板等からなる複数の被処理物(以下、単にワークという)Wを上下に並んだ状態で保持可能なワーク保持部22が設けられており、このワーク保持部22にワークWが保持されることにより、当該ワークWが熱処理部21内に収容されるようになる。
【0023】
前記空調部23には、加熱器32および送風機33が設けられている。加熱器32は、空調部23内の空気を加熱するものであり、送風機33は、空調部23内の空気をフィルタ31を通じて熱処理部21内に送り込むものである。そして、送風機33によって熱処理部21内に空気が送り込まれると、熱処理部21内の空気は、図略の連通路を通じて空調部23内に戻される。そして、空調部23内に戻された空気は、再度加熱器32によって加熱される。すなわち、熱処理部21内の空気は、循環しながら加熱されるようになっており、これにより熱処理部21内に収容されたワークWが熱処理されるようになる。
【0024】
さらに、前記空調部23には、吸気ダクト4が接続され、前記熱処理部21には、導出ダクト5が接続されている。そして、吸気ダクト4から吸い込まれた外気が空調部23およびフィルタ31を介して熱処理部21内に送り込まれるとともに、熱処理部21内の空気が導出ダクト5内に流出することにより、熱処理部21内が換気されるようになっている。
【0025】
前記導出ダクト5は、一端が熱処理部21に接続されるとともに他端が外部に開放される排気ダクト51と、この排気ダクト51から分岐して前記吸気ダクト4につながる還流ダクト52とを有している。排気ダクト51は、前記熱処理部21から流出した空気を直接外部に排出するためのものであり、還流ダクト52は、前記熱処理部21から流出した空気を前記吸気ダクト4を介して再度熱処理部21内に送り込むためのものである。
【0026】
前記還流ダクト52の途中には、ブロア7が設けられている一方、前記排気ダクト51における還流ダクト52が分岐する位置よりも上流側の部分には、触媒6が設けられている。なお、触媒6は、図1中に二点線で示すように還流ダクト52のブロア7の上流側の部分に設けられていてもよい。
【0027】
前記触媒6は、前記ワークWを熱処理する際に当該ワークWから発生する昇華物の酸化分解反応を促進するためのものである。本参考例では、活性金属が白金(Pt)やパラジウム(Pd)等の貴金属や、これらの貴金属の合金のようなものが採用される。これらの触媒6は、約150〜200℃程度の温度雰囲気下から触媒活性を示す。触媒6を通過する空気の温度は、熱処理温度やダクトの引き回し方によって変わるので、触媒活性に十分な温度にて触媒6を通過しない場合には、触媒6の前にヒーター10を取り付け、触媒活性温度まで空気の温度を上昇させればよい。また、ワークWから発生する昇華物に触媒毒といわれる物質(Si、P、S等を含む有機化合物)が入っている場合には、触媒6が被毒することがある。このような場合は、触媒6の前に前処理材(アルミナ、セラミック等)を配設すればよい。
【0028】
なお、前記吸気ダクト4および導出ダクト5には、適所に風量調整用のダンパー8が設けられている。
【0029】
そして、前述した熱処理が行われるとともに、ブロア7が駆動されると、熱処理部21内の空気が排気ダクト51の一端から吸引されて排気ダクト51内に流れ込む。排気ダクト51内に流れ込んだ空気は、触媒6に接触してその空気中に含まれるワークWから発生した昇華物が分解され、その後にその一部は排気ダクト51の途中から還流ダクト52内に流れ込んでブロア7に吸引され、残りは排気ダクト51の他端から外部に排出される。また、熱処理部21内の空気が排気ダクト51内に流出すると、それに伴って吸気ダクト4から外気が吸い込まれて空調部23内に送り込まれ、ここで加熱器32によって加熱された後に、フィルタ31を通じて熱処理部21内に送り込まれる。すなわち、加熱器32は、外気を加熱する機能と前述したように熱処理部21内の空気を循環させながら加熱する機能の2つの機能を有している。
【0030】
なお、ブロア7から排出される空気は、還流ダクト52から吸気ダクト4に供給されて、再度熱処理部21内に送り込まれるようになる。
【0031】
このように参考例に係る熱処理装置1Aでは、熱処理部21内の空気が導出ダクト5内を流れる際に触媒6に接触して、当該空気中に含まれるワークWから発生した昇華物が触媒6によって分解されるようになるため、昇華物が導出ダクト5における触媒6が設けられた位置から下流側の部分に堆積することを抑制することができる。また、触媒6は、ブロア7よりも上流側に設けられているので、ブロア7内に昇華物が堆積することも抑制することができる。
【0032】
さらに、熱処理部21から流出した空気が触媒6に接触した後に還流ダクト52および吸気ダクト4を介して再度熱処理部21内に送り込まれるようになっているので、熱処理部21から流出した空気が再利用されるようになる。これにより、吸気ダクト4に吸い込まれる外気の吸気量および排気ダクト51から外部に排出される排気量を共に小さく抑えることができ、省エネを図ることができる。
【0033】
次に、図2を参照して、第2の参考例に係る熱処理装置1Bを説明する。なお、以下に示す第2〜第3の参考例及び本発明の実施形態では、前記参考例に係る熱処理装置1Aと同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0034】
第2の参考例に係る熱処理装置1Bでは、導出ダクト5は、排気ダクト51から還流ダクト52が分岐しておらず1本の排気ダクト51のみで構成されている。すなわち、第2の参考例では、排気ダクト51によって、熱処理部21から流出した空気が全て熱処理装置1Bの外部に排出されるようになっている。また、排気ダクト51の下流端近傍には、ブロア7が設けられており、このブロア7の上流側には、触媒6が設けられている。
【0035】
さらに、第2の参考例に係る熱処理装置1Bでは、排気ダクト51のブロア7が設けられた位置と触媒6が設けられた位置との間に介在するとともに、吸気ダクト4の途中に介在する熱交換器9が設けられている。そして、この熱交換器9によって、吸気ダクト4内を流れる外気と導出ダクト51における触媒6が設けられた位置よりも下流側の部分を流れる空気とで熱交換が行われるようになる。
【0036】
このように熱交換器9が設けられていれば、熱交換器9によって熱処理部21から流出した空気の熱を利用して外気を加熱することができるため、省エネを図ることができる。しかも、熱交換器9によって外気と熱交換が行われる空気は触媒6に接触した後のその空気中に含まれる昇華物が既に分解されたものであるので、熱交換によって前記空気が冷却されても、熱交換器9内で昇華物が堆積することを抑制することができる。
【0037】
ここで、前記参考例では、還流ダクト52が設けられていて、触媒6に接触した後の空気が再び熱処理部21内に送り込まれるようになっているために、触媒6が何らかの理由で劣化した場合には、昇華物を含む空気が再び熱処理部21内に送り込まれることによって熱処理部21内の昇華物濃度が上昇するおそれがある。これに対し第2の参考例では、熱処理部21から流出した空気は、排気ダクト51によって全て熱処理装置1Bの外部に排出されるようになっているので、触媒6に接触した後の空気が再び熱処理部21内に送り込まれることがない。このため、たとえ触媒6が劣化したとしても、熱処理部21内の昇華物濃度が上昇することがない。しかも、常にフレッシュな外気が吸気ダクト4を通じて断熱室20に導入されるようになる。
【0038】
さらに、前記参考例では、還流ダクト52内の風向きを一方向にするためにブロア7が必ず必要になるが、第2の参考例では、構成によってはブロア7を省略することも可能になる。
【0039】
次に、図3を参照して、第3の参考例に係る熱処理装置1Cを説明する。第3の参考例に係る熱処理装置1Cは、前記参考例に係る熱処理装置1Aの構成と第2の参考例に係る熱処理装置1Bの構成とを組み合わせたものであり、熱処理部21から流出した空気の再利用および熱処理部21から流出した空気の熱を利用した外気の加熱の両方の効果を得ることができるようになっている。
【0040】
すなわち、第3の参考例では、触媒6は、排気ダクト51における還流ダクト52が分岐する位置よりも上流側の部分に設けられており、ブロア7は、排気ダクト51の還流ダクト52が分岐する位置よりも下流側に設けられている。さらには、熱交換器9は、排気ダクト51における還流ダクト52が分岐する位置とブロア7が設けられた位置との間に介在するとともに、吸気ダクト4の途中に介在している。
【0041】
このようにすれば、前記参考例および第2の参考例の効果を得るだけでなく、還流ダクト52および吸気ダクト4によって熱処理部21から流出した空気が再利用されるようになっていて、吸気量が小さく抑えられるようになっているので、熱交換器9による熱交換が効果的に行われるようになる。
【0042】
なお、本参考例では、排気ダクト51における還流ダクト52が分岐する位置よりも上流側の部分に触媒6が設けられているが、触媒6は、還流ダクト52および排気ダクト51における還流ダクト52が分岐する位置よりも下流側であって熱交換器9の上流側の部分にそれぞれ設けられていてもよい。
【0043】
次に、図4を参照して、本発明の実施形態に係る熱処理装置1Dを説明する。本実施形態に係る熱処理装置1Dでは、仕切り壁24によって断熱室20が上下に仕切られていて、空調部23に側方から吸気ダクト4が接続され、熱処理部21に吸気ダクト4と同じ側の側方から導出ダクト5が接続されている。また、本実施形態では、前記参考例のような図略の連通路が設けられておらず、仕切り壁24が吸気ダクト4側寄りに設けられていて、仕切り壁24と断熱室20の内壁面との間に通風口25が形成されており、この通風口25のみによって空調部23の内部と熱処理部21の内部とが連通している。
【0044】
導出ダクト5は、第2の参考例と同様に、排気ダクト51のみで構成されていて、熱処理部21から流出した空気が全て熱処理装置1Dの外部に排出されるようになっている。なお、排気ダクト51には、ブロア7は設けられておらず、触媒6およびヒーター10のみが設けられている。
【0045】
このような構成の熱処理装置1Dでは、空調部23に設けられた送風機33を稼動させると、吸気ダクト4から外気が吸い込まれて空調部23内に送り込まれ、ここで加熱器32によって加熱される。その後、加熱された外気は、送風機33により通風口25を通って熱処理部21内に送り込まれる。これにより、図略のワークが熱処理されるとともに、熱処理部21内の空気が排気ダクト51内に流出する。すなわち、本実施形態では、図中の矢印aで示すように、熱処理部21内の空気を循環させずに全て排気ダクト51内に流出させている。このように、本実施形態の空調部23は、外気を熱処理部21内に送り込むことにより、熱処理部21内の空気を当該空調部23に戻すことなく排気ダクト51内に流出させる機能を有する。そして、熱処理部21内の空気が全て排気ダクト51内に流出するようになっているので、熱処理部21内で発生した昇華物を含む空気が空調部23に流入することがない。
【0046】
このような構成においても、排気ダクト51に触媒6を設けることで、昇華物が排気ダクト51内で堆積することを抑制することができる。
【0047】
なお、排気ダクト51のみで構成された導出ダクト5の効果は、第2の参考例と同様である。
【符号の説明】
【0048】
1A〜1D 熱処理装置
21 熱処理部
23 空調部
4 吸気ダクト
5 導出ダクト
51 排気ダクト
52 還流ダクト
6 触媒
9 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被処理物が収容される熱処理部と、この熱処理部に接続される導出ダクトと、前記被処理物を熱処理するために外気を加熱して前記熱処理部内に送り込む空調部とを備え、
前記空調部は、外気を前記熱処理部内に送り込むことにより前記熱処理部内の空気を当該空調部に戻すことなく前記導出ダクト内に流出させるものであり、
前記導出ダクトは、前記熱処理部から流出した空気を全て外部に排出するように構成されており、この導出ダクトには、前記被処理物を熱処理する際に当該被処理物から発生する昇華物を分解可能な触媒が設けられていることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
内部を仕切る仕切り壁が設けられた断熱室を備え、この断熱室において前記仕切り壁によって仕切られた一方が前記熱処理部で、他方が前記空調部であり、
前記断熱室の内壁面と前記仕切り壁との間に通風口が形成され、
前記空調部内の外気が、前記通風口を通して、前記空調部に戻ることなく前記熱処理部に送られる請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記空調部にヒーターが設けられるとともに、前記導出ダクトにおける前記触媒の上流側にヒーターが設けられ、前記触媒には各ヒーターで加熱された空気が接触する請求項1又は2に記載の熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−243879(P2009−243879A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177904(P2009−177904)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【分割の表示】特願2007−125730(P2007−125730)の分割
【原出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】