説明

熱可塑性合成樹脂材料の再利用処理装置

【課題】熱可塑性合成樹脂材料の再利用処理を行なう装置を提供する。
【解決手段】合成樹脂材料を微砕化するための微砕化装置および押出し機5を備えた装置とする。該微砕化装置は供給開口部および切断シャフトを有するシリンダー1を備え、該押出し機はスクリュー・コンベヤ管6の中にある押出し機のスクリュー・コンベヤ7を備えている。微砕化装置のシリンダーは連結開口部4を介して押出し機のスクリュー・コンベヤ管と連結されている。合成樹脂材料が連結開口部の中に蓄積するのを防ぐために、連結開口部は切断シャフトの回転軸2の中にあって押出し機のスクリュー・コンベヤの回転軸8に対し直角をなした面10に関し切断シャフトの回転方向11へ見て非対称的に配置されている。このようにして連結開口部の角際部分12のは壁の厚さを非常に薄くつくることができ、これによってこの問題は最低限度に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成樹脂材料を微砕化するための微砕化装置および押出し機を用いて熱可塑性合成樹脂の再利用処理を行なうための装置であり、この際微砕化装置は供給開口部および切断機のシャフトを有するシリンダーを備え、また押出し機はスクリュー・コンベヤ管の中に押出し機のスクリュー・コンベヤを備え、微砕化装置のシリンダーは連結開口部を介して押出し機のスクリュー・コンベヤと連結さている装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は特許文献1から公知である。この公知の装置は、一方では微砕化装置と押出し機の間にある直接的な非常に短い連結部によって連続的に合成樹脂材料を確実に供給することができ、他方では微砕化装置の微砕化エネルギーが直接押出し工程に導入されるために熱的な作業効率が非常に良好であるという利点をもっている。
【0003】
個々の場合において、微砕化装置と押出し機のスクリュー・コンベヤ管の間の連結開口部の領域に材料が蓄積することができるが、これは特に融点および/または軟化点が低い合成樹脂材料の場合に起こり、これらの材料は前の微砕化工程により少なくとも表面が熔融するかまたは軟化していることもあり、それが連結開口部の中に沈積して次第に微砕化してゆくから、このような問題が起こった際その弊害を除去し得る冒頭に述べたような種類の装置を提供することが本発明の基礎をなす課題である。
【0004】
【特許文献1】オーストリア特許第407 234 B号明細書。
【発明の開示】
【0005】
特許請求の範囲1記載の特徴をもつ装置によってこの問題は解決される。
【0006】
合成樹脂材料の沈積に対しては、微砕化装置のシリンダーの壁の厚さ、ないしは連結開口部の領域における押出し機のスクリュー・コンベヤ管の壁の厚さが重大な意味をもっていることが見出された。他方、構造的な根拠からすれば、連結開口部の中に材料が連続的に蓄積するのを確実に回避できる寸法に壁の厚さを簡単に減少させることは不可能である。連結開口部を非対称的に配置することによりこの問題は最低限度に抑制される。何故なら、切断シャフトの回転軸の中にあり且つ押出し機のスクリュー・コンベヤの回転軸に対して直角をなしている面の領域で連結開口部の縁の所における壁の厚さは極めて薄くつくることができるからである。
【0007】
本発明の好適な一実施態様においては、シリンダーの内壁の母線とスクリュー・コンベヤ管の内壁の母線とが連結開口部の領域において互いに接している。また他の実施態様においては、連結開口部の領域においてシリンダーの内壁の母線およびスクリュー・コンベヤ管の内壁の母線は互いに僅かに、即ち数mm程度内側において交叉している(ueberschneiden)。さらに他の実施態様においては、連結開口部の領域においてシリンダーの内壁の母線およびスクリュー・コンベヤ管の内壁の母線は互いに僅かに、即ち数mm程度の距離だけ離れている。これらの好適な本発明の実施態様によれば、連結開口部の縁の所で壁の厚さをさらに薄くすることができる。何故なら微砕化装置のシリンダーおよびスクリュー・コンベヤ管は非常に近接して存在し、従って連結開口部は非常に短いからである。
【0008】
本発明においては、切断シャフトの回転方向へ見て後方にある連結開口部の角際(かどぎわ)部分(Kante)は、この角際部分に対して連結開口部の反対側の縁にある角際
部分よりも該面の近くに存在していることが好適である。微砕化装置のシリンダーの内壁およびスクリュー・コンベヤ管の内壁が互いにどれだけ離れているかに応じて、切断シャフトの回転方向に見て該面に近く存在する角際部分が丸められているか尖っているようにすることができる。しかし当然のことながら大きな間隔の場合、鋭い或いは丸められた角際部分はそれに応じて連結開口部の縁を加工することによってつくることができる。この鋭いまたは丸められているが薄くなった角際部分は材料の蓄積を非常に良好に防止することができる。
【0009】
連結開口部の直径ないし形、並びにその偏心率に依存して、押出し機のスクリュー・コンベヤの回転軸に対する連結開口部の縁の所におけるシリンダーの内壁の切線面の角度は一定の角度をとる。この場合本発明の範囲内において、連結開口部の縁の所におけるシリンダーの内壁の切線面が押出し機のスクリュー・コンベヤの回転軸に対して40°以下、好ましくは30°以下、さらに好ましくは20°以下である場合が好適である。この場合連結開口部の縁におけるシリンダーの内壁の切線面が押出し機のスクリュー・コンベヤの回転軸に対して10〜15°の角度をなす場合が特に好適である。切線面の角度がこの好適な範囲内にある場合、材料の蓄積を大幅に避け得る連結開口部の角際部分が殆ど自動的に得られる。切断シャフトの回転方向に向かって見て面から遠い方にあり、従って前述の角際部分に向かい合っている連結開口部の縁は、押出し機のスクリュー・コンベヤの回転軸に対して90°より、好ましくは80°より小さい角度をなしていることが好適である。これによって合成樹脂材料が十分な量で確実に押出し機へ供給され、従って常に十分な合成樹脂材料が装入される連結開口部の形が得られる。
【0010】
本発明の装置の他の特徴および利点は、添付図面に関連して本発明の好適な実施態様を示した下記の説明から得られる。
【0011】
本発明による一つの装置は、特許文献1からそれ自身は公知のような微砕化装置を備えているが,これについては図の中にはシリンダー1だけが描かれている。例えば特許文献1から公知の形をした切断シャフトはシャフトの軸2によって象徴的に示されている。微砕化されるべき合成樹脂材料に対する図面には描かれていない供給開口部によってシリンダー1の中に供給が行なわれる。シリンダー1は連結開口部4が備えられた内壁3を有し,この開口部は押出し機5に対する,もっと正確に云えば押出し機5のスクリュー・コンベヤ管6に対する連結部をなしている.押出し機5は、また公知の押出し機のスクリュー・コンベヤ7を備え、これは回転軸8の周りで回転し、モーターによって駆動される。
【0012】
シリンダー1の内壁3およびスクリュー・コンベヤ管6の内壁9は、回転軸2および押出し機のスクリュー・コンベヤの回転軸7が互いに重なり合って配置され直角をなして交叉し、他方においては内壁3の最も下にある母線と内壁9の最も上にある母線が相接するように、連結部材4の領域において互いに配置されている。この方法で連結開口部4の上方に配置されている切断シャフトないしその延長部分に配置された供給用のスクリュー16、並びに連結開口部4の下方に配置された押出し機のスクリュー・コンベヤ7を互いに非常に近接されて配置することができる。このことは押出し機5の中に合成樹脂材料を供給するためには重要なことである。該供給用のスクリュー16の構成は例えば特許文献1から公知方法で行なうことができる。勿論本発明においてシャフトの軸2と回転軸3とが直角に交叉することは全く前提されていず、この角度は90°と異なっていることができる。
【0013】
連結開口部4は、切断シャフトの回転軸2の中にあって押出し用のスクリュー・コンベヤ7の回転角8に対して直角をなしている面10に対し(回転軸2および回転軸8が直角に交叉していず、回転角8が図1の面の中にない場合は、図面の中においてこの面10はシャフトの軸8の投影に対して直角をなしている)、この面が好ましくは切断シャフトの
回転方向11に関しこの方向11とは逆方向に延びているように非対称的に配置されている。これによって、回転方向11の方へ見て後方にある連結開口部4の縁に比較的薄い角際部分12がつくられる。図示の実施態様において角際部分12は丸められている。しかし角際部分12は対応する加工を行なって尖らせるかまたはほぼ尖らせることができる。この薄い、丸められたまたは尖った角際部分12により、連結開口部4の中のこの角際部分12の領域において合成樹脂材料が蓄積し、これが切断シャフトまたはスクリュー・コンベヤの方向に高圧を生じ、また部分的に可塑化するかないしは表面が熔融しこの角際部分12に圧し付けられることが回避される。
【0014】
連結開口部4の幾何学的形状、内壁3の直径、および面10からの角際部分12の距離に依存して、角際部分12の領域において連結開口部4の縁の所でのシリンダー1の内壁3の切線面13は、押出し機のシャフト7の回転軸8に対し一定の角度をなしている。本発明の範囲内においては、この角度が40°より小さい場合が好適である。何故ならば、それによって合成樹脂の蓄積が避けられるような角際部分の形が生じるからである。しかしこの角度が30°より、好ましくは20°より小さく、さらに好ましくは10〜15°の間にある場合がさらに好適である。即ちこの角度αが小さいほど、角際部分12は尖った形になり、角際部分12の所に合成樹脂材料が蓄積するのを早いうちに避けることができる。勿論角度αがこれよりも小さいこともできるが、その場合状況によっては角際部分12の所で強度の問題が生じる可能性がある。
【0015】
角際部分12に相対して存在する各縁の所で、連結開口部4には曲線状の壁14が備えられ、その切線面15はスクリュー・コンベヤ7の回転軸8に対し角度βをなすように配置されている。本発明の範囲内においてこの角度βは90°以下、好ましくは70〜30°の範囲にあることが好適である。この角度がこのような値の場合、壁14は合成樹脂材料を極めて確実に押出し機5へ供給する。
【0016】
連結開口部4はほぼ楕円形をしており、その長軸が微砕化装置のシャフトの回転方向11に向いていることが好適である。しかし連結開口部4はまた他の形をしていることができ、例えば円形または近似的な円形をしているか、或いはほぼ楕円形であってその長軸が横向きになっているか、または回転軸2に対し90°とは異なった角度をもっていることができる。
【0017】
本発明の好適実施態様は総括すると下記のように記述することができる:熱可塑性の合成樹脂材料を微砕化する装置は合成樹脂材料を微砕化するための微砕化装置および押出し機5を備えている。該微砕化装置は供給開口部および切断シャフトをもったシリンダー1を備え、押出し機5はスクリュー・コンベヤ管6の中に押出し機のスクリュー・コンベヤ7を備えている。微砕化装置のシリンダー1は連結開口部4の上方において押出し機5のスクリュー・コンベヤ管6と連結されている。合成樹脂材料が連結開口部4の中に蓄積するのを避けるために、切断シャフトの回転軸2の中にあり押出し機のスクリュー・コンベヤ7の回転軸8に対して直角をなした面10に対し切断シャフトの回転方向11の方に見て非対称的に配置されている。これによって連結開口部4の角際部分12の所の壁の厚さを非常に薄くつくることができ、上記問題は最低限度に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】微砕化装置と押出し機との間にあり押出し機のシャフトの軸の中に存在する連結開口部の領域の本発明の装置の断面図。
【図2】微砕化装置のシャフトの面内における該領域の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料を微砕化するための微砕化装置および押出し機(5)を有する熱可塑性合成樹脂材料の再利用処理装置であり、該微砕化装置は供給開口部および切断シャフトを有するシリンダー(1)を備え、該押出し機(5)はスクリュー・コンベヤ管(6)の中に押出し機のスクリュー・コンベヤ(7)を備え、微砕化装置のシリンダー(1)は連結開口部(4)を介して押出し機(5)のスクリュー・コンベヤ管(6)と連結されている合成樹脂材料の再利用処理装置において、連結開口部(4)は、切断シャフトの回転軸(2)の中にあって押出し機のスクリュー・コンベヤ(7)の回転軸(8)に対し直角をなした面(10)に関し、切断シャフトの回転方向(11)へ見て非対称的に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
連結開口部(4)の領域においてシリンダー(1)の内壁(3)および押出し機のスクリュー・コンベヤ(6)の内壁(9)の母線は互いに接していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
連結開口部(4)の領域においてシリンダー(1)の内壁(3)および押出し機のスクリュー・コンベヤ(6)の内壁(9)の母線は互いに僅かに内側に交叉していることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
連結開口部(4)の領域においてシリンダー(1)の内壁(3)および押出し機のスクリュー・コンベヤ(6)の内壁(9)の母線は互いに僅かな距離だけ離れていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
切断シャフトの回転方向(11)へ見て後方にある連結開口部(4)の角際部分(12)は、この角際部分(12)に対して相対する側にある連結開口部(4)の縁の角際部分よりも面(10)の近くに存在していることを特徴とする請求項1〜4の一つに記載された装置。
【請求項6】
切断シャフトの回転方向(11)へ見て面(10)の近くにある連結開口部(4)の角際部分(12)は、丸められているかまたは尖っていることを特徴とする請求項1〜4の一つに記載された装置。
【請求項7】
連結開口部(4)の縁(12)の所にあるシリンダー(1)の内壁(3)の切線面(13)は、押出し機のスクリュー・コンベヤ(7)の回転軸(8)に対し40°より、好ましくは30°より、さらに好ましくは20°より小さい角度(α)をなしていることを特徴とする請求項5または6の一つに記載された装置。
【請求項8】
連結開口部(4)の縁(12)の所にあるシリンダー(1)の内壁(3)の切線面(13)は、押出し機のスクリュー・コンベヤ(7)の回転軸(8)に対し10〜15°の範囲の角度(α)をなしていることを特徴とする請求項5〜7の一つに記載された装置。
【請求項9】
切断シャフトの回転方向(11)に対して反対方向に見て面(10)に対して遠い方に存在する連結開口部(4)の縁は壁(14)をつくり、この壁は押出し機のスクリュー・コンベヤ(7)の回転軸(8)に対し90°以下、好ましくは80°より小さい角度(β)をなしていることを特徴とする請求項1〜8の一つに記載された装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−168617(P2008−168617A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280798(P2007−280798)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(507357117)ネクスト・ジエネレーシヨン・リサイクリングマシネン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】