説明

熱可塑性樹脂組成物および複合成形品

【課題】耐薬品性、成形品外観に優れる上に、表層材として、基材樹脂、特にPS樹脂やその廃樹脂に対する密着性に優れ、加工性(例えば、耐チッピング性)、耐久性(例えば、耐ヒートサイクル性)にも優れた複合成形品を提供し得る熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を表層材とする複合成形品を提供する。
【解決手段】芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分を(共)重合させてなるビニル系(共)重合体(I)100質量部と、シアン化ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体とを共重合させてなる共重合体であって、該共重合体のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量が0.1〜15質量%であるビニル系共重合体(II)1〜100質量部とを含む熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂組成物および複合成形品に係り、特に表層材に要求される耐薬品性や成形品外観に優れる上に、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)等に対する密着性に優れ、PS樹脂等の基材樹脂と共押出または二色成形してなる複合成形品の表層材用樹脂組成物として好適な熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を表層材として、基材樹脂と共押出または二色成形してなる複合成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の材料を共押出するか、或いは複数の成形シートないし成形板を接着してなる積層構造の複合建材用途には、一般に、塩化ビニル樹脂や塩化ビニル樹脂にフィラーを充填した材料が基材樹脂として使用されており、その表層材としては、塩化ビニル樹脂と同種の樹脂や、異種の樹脂であっても塩化ビニル樹脂と密着性の高い樹脂、例えば、ABS樹脂やアクリル樹脂が用いられてきた。
【0003】
一方で、近年、建材用途において、塩化ビニル樹脂代替材料として、押出条件などが比較的塩化ビニル樹脂に近いABS系樹脂やPS樹脂などのスチレン系熱可塑性樹脂が用いられる場合もある。特に、PS樹脂は、優れた加工性、発泡成形性、および外観を有し、しかも低コストであるため、工業的に利用されてきている。
【0004】
しかし、PS樹脂は耐侯性や耐薬品性に劣るため、表層材(意匠面)には、適さないという欠点がある。
【0005】
一方、ABS系樹脂は、優れた加工性と外観を有し、耐侯性や耐薬品性にも優れている反面、PS樹脂に比べるとコストは高く、製品全体にABS系樹脂を使うことは製品コストの上昇を生じる欠点がある。
【0006】
このような状況から、基材樹脂(非意匠面側)として、発泡成形性などに優れ、安価なPS樹脂材料を使用し、表層材(意匠面側)として高機能性のABS系樹脂を用いた複合材が提供されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、通常の共押出成形によるABS系樹脂/PS樹脂の複合成形品では、
(1) 生産途中の切削加工などで製品が欠ける(以下、「チッピング」という)場合が
ある。
(2) 製造工程において、基材層と表層との密着性が不十分であることにより、層間剥
離を生じ易い。
(3) (1),(2)は、不良品の発生につながり、製造歩留りの低下、資源やエネルギー
の無駄の原因となる。
(4) 製品の使用中にも、基材層と表層との層間剥離が生じ、製品の耐久性を大きく損
なう原因となる。
(5) 成形した製品の搬送中などに、表層に傷がつき、製品価値が下がることがある。
といった問題があった。
【0007】
さらに、近年の環境に対する配慮から、廃樹脂などを基材樹脂に混ぜたり(例えば、特許文献2)、そのまま基材樹脂として使用する試みがなされており、この場合には、上述のような問題がより一層顕著になる傾向がある。
【0008】
このような状況から、表層材に要求される耐薬品性や成形品外観に優れる上に、基材樹脂、特にPS樹脂或いはその廃樹脂との密着性と加工性に優れ、実用性の高い複合成形品を提供し得る熱可塑性樹脂組成物が求められている。
【特許文献1】特開昭63−115739号公報
【特許文献2】特開2000−303743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来技術における課題を解決し、耐薬品性、成形品外観に優れる上に、表層材として、基材樹脂、特にPS樹脂やその廃樹脂に対する密着性に優れ、加工性(例えば、耐チッピング性)、耐久性(例えば、耐ヒートサイクル性)にも優れた複合成形品を提供し得る熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を表層材とする複合成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1)の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分を(共)重合させてなるビニル系(共)重合体(I)100質量部と、シアン化ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体とを共重合させてなる共重合体であって、該共重合体のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量が0.1〜15質量%であるビニル系共重合体(II)1〜100質量部とを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1において、ビニル系(共)重合体(I)が、ゴム質重合体の非存在下に前記単量体成分を(共)重合させてなる(共)重合体(B)を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項3の熱可塑性樹脂組成物は、請求項2において、(共)重合体(B)に含まれる単量体成分が、スチレン、スチレンとアクリロニトリル、α−メチルスチレンとアクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレンとメチルメタクリレート、或いはメチルメタクリレートとメチルアクリレートであることを特徴とする。
【0013】
請求項4の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1ないし3のいずれか1項において、ビニル系(共)重合体(I)が、ゴム質重合体の存在下に前記単量体成分を(共)重合させてなるグラフト(共)重合体(A)を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項5の熱可塑性樹脂組成物は、請求項4において、該グラフト(共)重合体(A)のゴム質重合体の含有量が、5〜70質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0015】
請求項6の熱可塑性樹脂組成物は、請求項4または5において、グラフト(共)重合体(A)に含まれる単量体成分が、スチレン、スチレンとアクリロニトリル、α−メチルスチレンとアクリロニトリル、メチルメタクリレート、或いはスチレンとメチルメタクリレートであることを特徴とする。
【0016】
請求項7の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1ないし6のいずれか1項において、ビニル系共重合体(II)が、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルと、スチレン、α−メチルスチレンおよびメチルメタクリレートよりなる群から選ばれる1種または2種以上との共重合体であることを特徴とする。
【0017】
請求項8の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1ないし7のいずれか1項において、ビニル系共重合体(II)がゴム質重合体を含み、熱可塑性樹脂組成物中のビニル系共重合体(II)の含有量が、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して5〜70質量部であることを特徴とする。
【0018】
請求項9の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1ないし7のいずれか1項において、ビニル系共重合体(II)が、ゴム質重合体を含まず、熱可塑性樹脂組成物中のビニル系共重合体(II)の含有量が、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して3〜70質量部であることを特徴とする。
【0019】
請求項10の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1ないし9のいずれか1項において、ビニル系(共)重合体(I)の100質量部に対して、さらにスチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)を1〜30質量部含むことを特徴とする。
【0020】
請求項11の熱可塑性樹脂組成物は、請求項1ないし10のいずれか1項において、他の樹脂との共押出または二色成形に用いられることを特徴とする。
【0021】
請求項12の熱可塑性樹脂組成物は、請求項11において、他の樹脂がPS樹脂、HIPS樹脂、廃PS樹脂および廃HIPS樹脂よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明(請求項13)の複合成形品は、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を表層材として、他の樹脂を基材樹脂として、共押出または二色成形してなることを特徴とする。
【0023】
請求項14の複合成形品は、請求項13において、基材樹脂がPS樹脂、HIPS樹脂、廃PS樹脂および廃HIPS樹脂よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形品外観、耐薬品性、切削加工性にも優れ、PS樹脂や廃PS樹脂等に対する密着性(融着性)にも優れる。このため、これらの樹脂を基材樹脂とする複合成形品の表層材として好適に用いることができる。
【0025】
このような熱可塑性樹脂組成物を表層材とする本発明の複合成形品は、複合建材用途として、エクステリア、インテリア等各種部材に好適に使用することができる他、一部の装飾用などに用いることもでき、幅広い用途に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の熱可塑性樹脂組成物および複合成形品の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(共)重合」とは「重合および/または共重合体」を意味し、従って「(共)重合体」は「重合体と共重合体の一方または双方」を意味する。
【0027】
また、共重合体のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量およびその質量平均分子量の測定方法は次の通りである。
【0028】
<アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量>
まず、共重合体をアセトン中に投入して一晩放置したものを30分間超音波洗浄器にかけて溶離させた後、遠心分離機を用いて30,000rpmで1時間遠心分離を行い、可溶分と不溶分とを分離する。その後、可溶分を濃縮してメタノールで再度沈殿させて可溶分を得る。
【0029】
得られた可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量を測定する分析機器としては特に制限はないが、熱分解ガスクロマトグラフィーを用いることができる。なお、場合により複数の分析機器を組み合わせて分析することも可能である。
【0030】
<質量平均分子量の測定>
上述の如く、アセトン可溶分を分離後乾燥したものをテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す。)に溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって標準ポリスチレン換算における分子量によって測定する。
【0031】
また、ゴム質重合体の平均粒子径は、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
【0032】
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定のビニル系(共)重合体(I)とビニル系共重合体(II)とを所定の割合で含み、さらに好ましくは所定量のスチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)を含むものである。
【0033】
<ビニル系(共)重合体(I)>
本発明において使用するビニル系(共)重合体(I)とは、ゴム質重合体の存在下または非存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体成分を(共)重合させてなるものである。
【0034】
ここで、ゴム質重合体の存在下に得られる共重合体をグラフト共重合体(A)と称し、ゴム質重合体の非存在下に得られる(共)重合体を(共)重合体(B)と称す。
【0035】
(グラフト共重合体(A))
グラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル(共)重合体、アクリル酸エステルとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のようなアクリル酸エステル系共重合体、エチレン−プロピレンまたはブテン(好ましくはプロピレン)−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン系(共)重合体等が挙げられる。
【0036】
ここで、ポリブタジエンとしてはシス、トランスなどの構造のものなどを総称し、ポリブタジエンとこれと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系共重合体としては、SBR(スチレン−ブタジエン共重合ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)などが挙げられる。
また、アクリル酸エステル(共)重合体のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルペンチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートなどが挙げられる。
また、エチレン−プロピレンまたはブテン−非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−エチル−1,11−トリデカジエン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
ポリオルガノシロキサン系(共)重合体としては、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0037】
ゴム質重合体としては、これらのうちの1種を単独で、或いは2種以上のブレンドや、複合ゴムとして用いることができる。
さらに、ゴム質重合体の構造がコア/シェル構造をとっても良い。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルをシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
【0038】
ゴム質重合体の平均粒子径は、0.08μm〜2μm、特に0.12μm〜0.5μmであることが好ましい。
【0039】
グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体の好ましい含有量は、5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜40質量%である。ゴム質重合体の含有量が5質量%未満では耐衝撃性が得られ難い傾向にあり、また、70質量%を超えると押出成形性が悪化する傾向にある。
【0040】
グラフト共重合体(A)に用いられるビニル系単量体のうち、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。
【0041】
また、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
【0042】
さらに、これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα−またはβ−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイミド系単量体ともいう);グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物;などが挙げられる。
【0043】
以上の芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体は、1種を単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0044】
グラフト共重合体(A)に用いられる上記ビニル系単量体の組み合わせとしては、特に、スチレン、スチレン/アクリロニトリル、α−メチルスチレン/アクリロニトリル、メチルメタクリレート、或いはスチレン/メチルメタクリレート、が好ましい。
【0045】
なお、グラフト共重合体(A)中の上記ビニル系単量体成分の含有量は、95〜30質量%、好ましくは90〜40質量%、さらに好ましくは85〜50質量%、特に好ましくは85〜75質量%である。ビニル系単量体の含有量が95質量%を超えると耐衝撃性が得られ難い傾向にあり、また、30質量部未満では押出成形性が悪化する傾向にある。
【0046】
グラフト共重合体(A)は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、或いはこれらを組み合わせた重合法によって得ることができる。
【0047】
((共)重合体(B))
(共)重合体(B)に用いられる芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、前記のグラフト共重合体(A)で例示した単量体を、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
(共)重合体(B)に用いられるビニル系単量体の組み合わせとしては、特に、スチレン、スチレン/アクリロニトリル、α−メチルスチレン/アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン/メチルメタクリレート、或いはメチルメタクリレート/メチルアクリレートが好ましい。
【0049】
本発明のビニル系(共)重合体(I)は、上記のグラフト共重合体(A)と(共)重合体(B)とをブレンドしたものでも良い。また、各々について組成やゴム質重合体の粒子径など異なる(共)重合体を複数混合したものであっても良い。
【0050】
また、ビニル系(共)重合体(I)は、後述の表層材としての用途において、ゴム質重合体を含むことは必ずしも必要とはしないが、耐衝撃性や押出成形性の点からゴム質重合体を含むものが好ましい。
【0051】
ビニル系(共)重合体(I)中のゴム質重合体の含有量は、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜40質量%である。ゴム質重合体の含有量が70質量%を超えると押出成形性が損なわれるため好ましくない。
【0052】
なお、ビニル系(共)重合体(I)は、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量が20〜50質量%で、その質量平均分子量が100,000〜300,000であることが好ましい。ビニル系(共)重合体(I)のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量が20質量%未満では耐薬品性が劣る傾向にあり、50質量%を超えると成形性、熱安定性、基材樹脂との密着性に劣る傾向にある。また、アセトン可溶分の質量平均分子量が100,000未満では耐衝撃性、チッピング性に劣る傾向にあり、300,000を超えると押出成形性が低下する傾向にあるためである。アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物や質量平均分子量は、構成するグラフト共重合体(A)と(共)重合体(B)のそれぞれの分析値から算出することができる。
【0053】
<ビニル系共重合体(II)>
ビニル系共重合体(II)は、シアン化ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体との共重合体であって、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量が0.1〜15質量%の共重合体である。
【0054】
ビニル系共重合体(II)に使用されるシアン化ビニル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良いが、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0055】
一方、シアン化ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、ビニル系(共)重合体(I)を構成するビニル系単量体として例示した芳香族ビニル化合物や共重合可能な他のビニル系単量体が挙げられるが、特に、スチレン、α−メチルスチレン、メチルメタクリレートが好ましく、とりわけスチレンが好適である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0056】
ビニル系共重合体(II)のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量は0.1〜15質量部、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜9質量%の範囲である。この割合が0.1質量%未満では、ビニル系(共)重合体(I)との混合において分散不良などになりやすく、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形品表面外観や耐薬品性および密着性が低下する傾向にあり、15質量%を超えると、複合成形品とした場合の基材樹脂との密着強度、耐チッピング性が低下する傾向にある。
【0057】
また、ビニル系共重合体(II)のアセトン可溶分の質量平均分子量は、好ましくは20,000〜500,000であり、より好ましくは30,000〜400,000、さらに好ましくは50,000〜200,000である。この質量平均分子量が20,000未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性や基材樹脂との密着強度が低下する傾向にあり、500,000を超えると、成形品表面外観や複合成形品とした場合の基材樹脂との密着強度が低下する傾向にある。
【0058】
本発明で用いるビニル系共重合体(II)は、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量が0.1〜15質量%の共重合体であれば良く、その他の成分に特に制限はない。ビニル系共重合体(II)は、必要に応じてゴム質重合体を含有していても良い。
【0059】
ビニル系共重合体(II)がゴム質重合体を含有する場合、ビニル系共重合体(II)に用いられるゴム質重合体としては、先のグラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体として例示したものが挙げられ、これらのうちの1種を単独で、或いは2種以上の複合ゴムとして用いることができる。
【0060】
また、用いるゴム質重合体の平均粒子径は、0.08μm〜2μm、特に0.12μm〜0.5μmであることが好ましい。
【0061】
ビニル系共重合体(II)がゴム質重合体を含有する場合、ビニル系共重合体(II)のゴム質重合体の含有量は、80質量%以下、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは35〜55質量%である。ゴム質重合体の含有量が10質量%未満ではチッピング性が低下する傾向にあり、また、80質量%を超えると基材樹脂との密着性が劣る傾向にある。
【0062】
本発明の熱可塑性樹脂組成物のビニル系共重合体(II)の配合量は、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して、1〜100質量部である。この割合が100質量部を超えると、ビニル系(共)重合体(I)が本来有している押出成形性が悪化するため好ましくなく、一方、1質量部未満では、基材樹脂に対する密着強度の発現が劣る傾向や環境の影響を受けやすく耐久性が低下する傾向にある。
【0063】
ビニル系共重合体(II)がゴム質重合体を含有する場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物のゴム質重合体を含有するビニル系共重合体(II)の配合量は、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して、好ましくは5〜70質量部、さらに好ましくは10〜60質量部、特に好ましくは10〜40質量部であり、このようなビニル系共重合体(II)の配合量で、密着性向上などの効果が発揮される。
また、ビニル系共重合体(II)がゴム質重合体を含有しない場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物のゴム質重合体を含有しないビニル系共重合体(II)の配合量は、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して、好ましくは3〜70質量部、さらに好ましくは5〜50質量部、特に好ましくは6〜30質量部であり、このようなビニル系共重合体(II)の配合量で密着性向上などの効果が発揮される。
なお、ゴム質重合体を含有するビニル系共重合体(II)とゴム質重合体を含有しないビニル系共重合体(II)とを併用する場合、或いは、ゴム質重合体含有量の異なるビニル系共重合体(II)を併用する場合、全体のビニル系共重合体(II)に含まれるゴム質重合体の割合がビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して、0.1〜80質量部、特に0.35〜55質量部となるようにするのが好ましい。
【0064】
ビニル系共重合体(II)は、上述の如く、ゴム質重合体を含有しても良いが、ゴム質重合体を含有しない方が、ビニル系共重合体(II)の配合量を少なくした上で密着性を発現できるため、ビニル系共重合体(I)の持つ表皮材としての性能、例えば、耐薬品性、耐チッピング性、さらに、耐傷付き性の特性をより一層有効に発揮する上、耐候性などにも優れる点で好ましい。
【0065】
このようなビニル系共重合体(II)は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、或いはこれらを組み合わせた重合法によって得ることができる。
【0066】
<スチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)>
本発明で用いるスチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)とは好ましくは、A−B型ブロック共重合体のAセグメントがスチレンからなり、Bセグメントがメチルメタクリレートからなり、かつA−B型ブロック共重合体のAセグメントとBセグメントとの割合が質量比で好ましくは10/90〜99/1、より好ましくは80/20〜95/5であるスチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体である。
【0067】
本発明の熱可塑性樹脂組成物がスチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)を含む場合、その配合量は、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは5〜25質量部である。この割合が30質量部を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が損なわれるため好ましくない。一方、1質量部未満では、スチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)を配合することによる基材樹脂との密着強度の更なる向上効果が発現され難い傾向にある。
【0068】
<その他の成分>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維、ガラス繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤、難燃剤、臭素系難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、リン系難燃剤、フッ素樹脂などのドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコ−ンオイル、カップリング剤などの1種または2種以上が挙げられる。
【0069】
また、その他の樹脂としては、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂、塩化ビニル樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、PS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂(PMMA樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、ASグラフトポリエチレン、ASグラフトポリプロピレン等のポリエチレンワックス、ポリブタジエンの水素添加物、少なくとも1個のスチレン重合体ブロックと少なくとも1個のブタジエン重合体ブロックからなる共重合体の水素添加物などが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合しても良い。
【0070】
<製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するに当たり、上述の各成分の配合・溶融押出方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えばブラベンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機やバンバリーミキサー、一軸押出機、二軸押出機などの押出機等を使用した混練処理を用いることができる。これらのうち二軸のベント付き押出機による製造が望ましい。
【0071】
<用途>
このようにして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、後述の本発明の複合成形品の表層材として好適に用いられるが、この熱可塑性樹脂組成物の単独の押出成形や射出成形にも好適に用いることができる。
【0072】
[複合成形品]
本発明の複合成形品は、上述の本発明の熱可塑性樹脂組成物を表層材として、基材樹脂と共押出または二色成形してなるものである。
【0073】
<基材樹脂>
本発明の複合成形品において、基材樹脂としては、PS樹脂、HIPS樹脂、廃PS樹脂、廃HIPS樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0074】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物と基材樹脂との密着性に影響しない程度で、基材樹脂中に各種の添加剤やその他の樹脂(その廃材なども含む)を配合することができる。このような各種の添加剤やその他の樹脂としては、本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合できるとして例示したものを用いることができる。
【0075】
なお、廃材の再利用により、基材樹脂やその他の配合できる樹脂として例示した樹脂については、市場からの回収品や各種加工工程から排出される樹脂を用いても良い。また、本発明の複合成形品を成形する際の初期段階の成形品や製品の切れ端などといった製品として使われないものを、基材樹脂として回収して使用することができる。
【0076】
また、基材樹脂の成形形態として、発泡、中空の有無等は特に制限はない。
【0077】
また、基材樹脂を発泡成形する際に使用できる発泡剤の種類についても特に制限は無いが、アゾ系化合物、ニトロソ系化合物、ヒドラジン系誘導体、および重炭酸塩系から選ばれる1種または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。また、発泡剤を混合する場合の展着剤としては、食物油、流動パラフィン、脂肪酸などが使用できる。
【0078】
<複合成形品の成形方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物を表層材として、基材樹脂と共押出または二色成形してなる本発明の複合成形品を製造する方法において、共押出成形とは、押出成形、シート押出成形、異形押出成形などの各種押出成形法を用いて、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる表層材と基材樹脂とを密着させて成形する方法である。
【0079】
共押出成形は、一般的に公知の装置を使用して実施することができる。使用する成形装置には特に制限はないが、押出機、ダイ、サイジングダイ、冷却槽、引き取り機、および巻取り機または切断機からなる一連の装置を用いることができる。この他にも一般的に押出成形で使用される装置を付与することができる。
【0080】
また、発泡成形に使用される押出成形機も特に制限しないが、一般的に押出成形で使用される単軸もしくは二軸の押出機が使用でき、そのスクリュ直径(D)は10mmφ以上、スクリュネジ長さ/スクリュ直径(L/D)は16以上であることが好ましい。また、スクリュデザインも特に制限はないが、一般的に押出成形で使用されるスクリュデザインが使用でき、フルフライトタイプが好ましい。押出成形機により発泡成形体を成形するにあたっては、適切な条件で成形されることが重要であり、その成形条件は押出成形機の性能と成形体形状により異なるが、一般的に押出発泡成形で熱可塑性樹脂を成形する条件範囲が使用でき、樹脂温度は140〜220℃、特に150〜200℃であることが好ましい。
【0081】
なお、予め基材樹脂を成形しておき、これに本発明の熱可塑性樹脂組成物を押出成形しながら密着させることも可能である。
【0082】
また、二色成形においては、金型内または金型外で予め成形した基材樹脂の成形体が配置された金型内に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を常法に従って、射出成形すれば良い。
【0083】
このような成形に当っては、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、着色剤を含有する熱可塑性樹脂からなる着色ペレット等の模様材を混合することにより、木目模様や石目模様などを付与することも可能である。
【0084】
[用途]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その優れた性質を利用して、OA・家電分野、車両・船舶分野、家具・建材分野などの住宅関連分野、サニタリー分野、玩具・スポーツ用品分野、そのほか雑貨などの幅広い分野に使用することができる。特に、複合成形品として、エクステリア、インテリア部材或いはその一部の装飾用とした用途に用いることができる。
【0085】
具体的な用途例としては、建材用途として、敷居、鴨居、額縁、浴室ドア枠、浴室出窓枠、窓枠、家具、浴室、床材、幅木、框、ウッドデッキ、フェンス、外壁、屋根材、壁材等の住宅・住設関連部品。また、サニタリー関連部品としては、便座、タンクカバー、衣装ケース、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等などが挙げられる。
【0086】
その他、複合成形品の形状としては、異型形状からシート状、パイプ状、角状、およびチューブ状などが可能であるため、パソコンケースなどの各種ケース、パラボラアンテナ、VTR部品、テレビ部品、液晶テレビ部品、スピーカー部品、オーデイオ機器、ファクシミリ部品、複写機部品、パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フロッピーディスクドライブ等のハウジング、スイッチ類のケース部材、照明部品、バンパー、フェンダー等の車両用外装部材など、目的に応じて幅広い用途に用いることができる。
【実施例】
【0087】
以下に、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
【0088】
また、共重合体のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量、アセトン可溶分の質量平均分子量、およびゴム質重合体の平均粒子径の測定方法は次の通りである。
【0089】
<アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量>
前述の方法で得られた共重合体中のアセトン可溶分について、熱分解装置(日本分析工業製)、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製)を用い、熱分解ガスクロマトグラフィーにより、590℃にてアセトン可溶分を分解して測定した。
【0090】
<アセトン可溶分の質量平均分子量>
前述の方法で得られた共重合体中のアセトン可溶分について、東ソー(株)製:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、溶媒;THF)を用いた標準PS(ポリスチレン)換算法にて測定した。
【0091】
<ゴム質重合体の平均粒子径>
日機装(株)製:Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法により求めた。
【0092】
[合成例1〜12]
<ビニル系(共)重合体(I)の製造>
合成例1:グラフト共重合体(A−1)の製造
〔配合〕
ポリブタジエンラテックス 50部(固形分として)
スチレン(ST) 35部
アクリロニトリル(AN) 15部
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.2部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
【0093】
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(平均粒子径0.28μm、固形分34%)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たグラフト共重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(A−1)を得た。
【0094】
得られたグラフト共重合体(A−1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は、28.2%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は137,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は49.8%であった。
【0095】
合成例2:グラフト共重合体(A−2)の製造
ポリブタジエンラテックス20部とn−ブチルアクリレート80部からなる複合ゴム(平均粒子径0.32μm)ラテックス50部(固形分)を、合成例1のポリブタジエンラテックスの代わりに用いたこと以外は、合成例1と同様にしてグラフト共重合体(A−2)の乾燥粉末を得た。
【0096】
得られたグラフト共重合体(A−2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は27.2%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は142,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は48.4%であった。
【0097】
合成例3:共重合体(B−1)の製造
窒素置換した反応器に、水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、AN30部、およびST70部からなるモノマー混合物を使用し、STの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。さらに、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、共重合体(B−1)を得た。
【0098】
得られた共重合体(B−1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は30.3質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は167,000であった。
【0099】
合成例4:共重合体(B−2)の製造
モノマー混合物として、さらにメタクリル酸メチル98部およびアクリル酸メチル2部からなるモノマー混合物を加えたこと以外は合成例3と同様にして重合を行って、共重合体(B−2)を得た。
【0100】
得られた共重合体(B−2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は0%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は136,000であった。
【0101】
<ビニル系共重合体(II)の製造>
合成例5:共重合体(II−1)の製造
〔配合〕
ポリブタジエンラテックス 40部(固形分として)
アクリロニトリル(AN) 8部
スチレン(ST) 52部
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.3部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
【0102】
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(平均粒子径0.28μm、固形分34%)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得た共重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥して共重合体(II−1)を得た。
【0103】
得られた共重合体(II−1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は13.1%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は167,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は40.8%であった。
【0104】
合成例6:共重合体(II−2)の製造
アクリロニトリルを5部、スチレンを55部にしたこと以外は、合成例5と同様な方法にて共重合体(II−2)を得た。
【0105】
得られた共重合体(II−2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は6.4%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は134,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は41.2%であった。
【0106】
合成例7:共重合体(II−3)の製造
合成例6のポリブタジエンラテックスの代わりに、ポリブチルアクリレートゴム(平均粒子径0.32μm)ラテックス40部(固形分)を用いたこと以外は、合成例6と同様にして共重合体(II−3)を得た。
【0107】
得られた共重合体(II−3)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は5.6%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は142,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は40.4%であった。
【0108】
合成例8:共重合体(II−4)の製造
合成例6のポリブタジエンラテックスの代わりに、エチレンープロピレンーゴム(平均粒子径0.45μm)ラテックス40部(固形分)を用いたこと以外は、合成例6と同様にして共重合体(II−4)を得た。
【0109】
得られた共重合体(II−4)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は5.8%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は139,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は40.1%であった。
【0110】
合成例9:共重合体(II−5)の製造
アクリロニトリルを1.2部、スチレンを58.8部にしたこと以外は、合成例5と同様な方法にて共重合体(II−5)を得た。
【0111】
得られた共重合体(II−5)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は2.0%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は171,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は41.0%であった。
【0112】
合成例10:共重合体(II−6)の製造
窒素置換した反応器に、AN5部、およびST95部からなるモノマー混合物を使用し、ANおよびSTの一部を逐次添加したこと以外は、合成例3と同様な方法にて共重合体(II−6)を得た。
【0113】
得られた共重合体(II−6)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は5.1質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は179,000であった。
【0114】
合成例11:共重合体(II−7)の製造
合成例10において、AN2部、およびST98部からなるモノマー混合物を用いたこと以外は同様な方法で共重合体(II−7)を得た。
【0115】
得られた共重合体(II−7)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は2.1質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は187,000であった。
【0116】
<ビニル系共重合体(II’)の合成>
合成例12:共重合体(II’−8)の製造
合成例10において、AN20部、およびST80部からなるモノマー混合物を使用し、STの一部を逐次添加しながら昇温加熱して反応を行ったこと以外は、同様な方法で共重合体(II−8)を得た。
【0117】
得られた共重合体(II’−8)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は19.4質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は168,000であった。
【0118】
[市販樹脂]
<スチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)>
スチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III−1):
日本油脂(株)製 「モディパー MS10B」
A−B型ブロック共重合体
Aセグメント:スチレン
Bセグメント:メチルメタクリレート
Aセグメント:Bセグメント=90/10(質量比)
【0119】
<その他の樹脂(IV)>
PS樹脂(IV−1):東洋スチレン(株)製「G210B」PS樹脂
【0120】
[実施例1〜21、比較例1〜5]
<熱可塑性樹脂組成物の製造および評価>
表1および表2に示す成分の配合割合で、滑剤として、花王(株)社製「エチレンビスステリン酸アマイド」1.0部、日本油脂(株)社製「ステアリン酸カルシウム」0.2部と共に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30α」)にて200〜240℃で溶融混合し、ペレット化することにより熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
【0121】
得られた熱可塑性樹脂組成物について、以下の方法でシート外観、耐薬品性および鉛筆硬度の評価を行い、結果を表1および表2に示した。
【0122】
(シート外観)
熱可塑性樹脂組成物を用いて1mm厚みのシート(幅20cm×長さ60cm)を押出成形し、シートの外観を目視判定した。
平滑な表面を有し外観良好であるものを○、表面に凹凸やブツ状が発生しているものを×とした。
また、シートを軽く折り曲げた際に、異常がないものを○、剥離などの異常が発生するものを×とした。
【0123】
(耐薬品性)
熱可塑性樹脂組成物を用いて、射出成形にて作製した短冊状試験片(150×10×2mm)をベンディングフォーム法試験治具に固定後、試験片に薬液として花王社製の洗剤マジックリン(商品名)を塗布し、23℃の環境下で48時間放置後、クレーズおよびクラックの発生の有無を確認し、試験治具の曲率から限界歪み[%]を求め、0.8%以上を合格とした。
【0124】
(鉛筆硬度)
シート外観で使用した樹脂シートを用いて、鉛筆硬度をJIS K−5400に準じて測定した。判定結果がB以上であれば移送時などで傷が付かないとされ好ましい。
【0125】
<複合成形品の製造および評価>
上記で得られた熱可塑性樹脂組成物を表層材として用い、基材樹脂として、PS樹脂(IV−1)100部に対して、展着剤(流動パラフィン)0.1部、発泡剤(炭酸水素ナトリウム)0.5部を配合したものを用い、基材樹脂の発泡倍率約2倍で、共押出成形を行って複合成形品を得た。
【0126】
共押出成形には、中央機械(株)製の40mm押出機および(株)池貝製の25mm移動押出機にアダプター、多層プロファイルダイを装備し、サイジング設備、引取機、切断の丸鋸を設置した共押出装置を使用し、樹脂温度170〜200℃で共押出成形を行った。
【0127】
得られた複合成形品について、以下の方法で成形品外観、密着性、耐チッピング性、耐ヒートサイクル性、耐候性の評価を行い、結果を表1および表2に示した。
【0128】
(成形品外観)
複合成形品の表層外観を目視判定をした。平滑な表面を有し、外観良好であるものを○、表面に凹凸やブツ状があり外観不良であるものを×とした。
【0129】
(密着性)
複合成形品の表層側(熱可塑性樹脂組成物層)に、2cm角の切込みを入れ、表層材と基材(PS樹脂)との界面の密着程度の差で判定した。
判定基準は、成形後に剥離しているもの(密着していないもの)を××、界面に爪を入れ簡単に剥離するものを×、界面にカッターナイフの刃を入れて剥離するものを△、剥離しないものを○、界面にカッターナイフの刃を入れることが出来ないほど密着しているものを◎とし、×の場合、密着強度が十分でなく、○〜◎の場合、密着強度が十分あり、合格とした。
【0130】
(耐チッピング性)
複合成形品を、押出し方向に対して垂直に電動丸鋸にて切断し、切断面の表層材に欠けや剥がれが発生しないものを○、欠けまたは剥がれのどちらかが発生するものを△、欠けと剥がれが両方発生するものを×とした。
【0131】
(ヒートサイクル性)
複合成形品を、下記のヒートサイクル条件に供した後、それぞれ、表層材と基材とのふくれ、変形、剥がれについて観察し、下記の基準で評価した。
条件−1:湿度40%の恒温槽を使用し、−30℃×1時間→23℃×30分→70℃
×1時間→23℃×30分を1サイクルとして、10サイクル
条件−2:湿度80%の恒温槽を使用し、−30℃×1時間→23℃×30分→70℃
×1時間→23℃×30分を1サイクルとして、10サイクル
○:ふくれ、変形、剥がれが全く発生せず。
△:ふくれ、変形、剥がれのいずれかが僅かに発生。
×:ふくれ、変形、剥がれのいずれかが激しく発生。
【0132】
(耐候性)
複合成形品をサンシャインウェザオメータ(雨あり、温度63℃)にて、1000時間照射し、変色(ΔE)を評価した。判定結果で、ΔE10以下であれば、屋内用途の使用が可能であり、さらに、ΔE5以下であれば、屋外の使用についても対応できる。なお、複合成形品の評価で密着性の得られない試験片は耐候性試験の評価に値せず試験しなかった。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
[考察]
表1から本発明の請求項の要件を満たす実施例1〜21の熱可塑性樹脂組成物は、シート外観、耐薬品性、表面硬度の特性バランスに優れている。また、それを用いた複合成形品の成形品外観、表層材と基材樹脂との密着性、耐チッピング性、耐ヒートサイクル性、耐候性についても優れている。
【0136】
これに対して、比較例1、2の熱可塑性樹脂組成物は、シート外観、耐薬品性共に低い。また、成形品外観、表層材と基材樹脂との密着性、耐チッピング性、耐ヒートサイクル性も低く、実用性は非常に低い。また、比較例3の熱可塑性樹脂組成物(ビニル系(共)重合体単独のもの)は、シート外観、耐薬品性共に優れるものの、耐チッピング性や耐ヒートサイクル性は劣るため、実用性に欠ける。また、比較例4は、共重合体(II−8)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は19.4質量%と請求範囲を超えるため、シート外観、耐薬品性共に優れるものの、密着性や耐ヒートサイクル性は劣るため、実用性に欠ける。さらに、比較例5は、PS樹脂をそのまま配合したもので、シート外観、耐薬品性、密着性や耐ヒートサイクル性の全てに劣るため、実用性に欠ける。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、基材樹脂に対する密着強度、耐薬品性、切削加工性、成形品外観に優れ、複合建材の表層材として好適に用いることができる。また、本発明の複合成形品は、特に、複合建材用途として、エクステリア、インテリア部材として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分を(共)重合させてなるビニル系(共)重合体(I)100質量部と、
シアン化ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体とを共重合させてなる共重合体であって、該共重合体のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量が0.1〜15質量%であるビニル系共重合体(II)1〜100質量部とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1において、ビニル系(共)重合体(I)が、ゴム質重合体の非存在下に前記単量体成分を(共)重合させてなる(共)重合体(B)を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2において、(共)重合体(B)に含まれる単量体成分が、スチレン、スチレンとアクリロニトリル、α−メチルスチレンとアクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレンとメチルメタクリレート、或いはメチルメタクリレートとメチルアクリレートであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、ビニル系(共)重合体(I)が、ゴム質重合体の存在下に前記単量体成分を(共)重合させてなるグラフト(共)重合体(A)を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4において、該グラフト(共)重合体(A)のゴム質重合体の含有量が、5〜70質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項4または5において、グラフト(共)重合体(A)に含まれる単量体成分が、スチレン、スチレンとアクリロニトリル、α−メチルスチレンとアクリロニトリル、メチルメタクリレート、或いはスチレンとメチルメタクリレートであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、ビニル系共重合体(II)が、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルと、スチレン、α−メチルスチレンおよびメチルメタクリレートよりなる群から選ばれる1種または2種以上との共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、ビニル系共重合体(II)がゴム質重合体を含み、熱可塑性樹脂組成物中のビニル系共重合体(II)の含有量が、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して5〜70質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項において、ビニル系共重合体(II)がゴム質重合体を含まず、熱可塑性樹脂組成物中のビニル系共重合体(II)の含有量が、ビニル系(共)重合体(I)100質量部に対して3〜70質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項において、ビニル系(共)重合体(I)の100質量部に対して、さらにスチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体(III)を1〜30質量部含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項において、他の樹脂との共押出または二色成形に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項11において、他の樹脂がPS樹脂、HIPS樹脂、廃PS樹脂および廃HIPS樹脂よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を表層材として、他の樹脂を基材樹脂として、共押出または二色成形してなることを特徴とする複合成形品。
【請求項14】
請求項13において、基材樹脂がPS樹脂、HIPS樹脂、廃PS樹脂および廃HIPS樹脂よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする複合成形品。

【公開番号】特開2007−332356(P2007−332356A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123582(P2007−123582)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】