説明

燃料電池搭載型電気自動車

【課題】ガス漏れ防止による安全性の向上と、単電池の積層枚数の増加による出力アップとを図る。
【解決手段】車両前部のモータールーム内に、単電池を車両の上下方向に複数積層して構成されたスタック10A、10Bを複数備えた燃料電池10と、各スタックに対して燃料ガス・酸化ガス・冷媒を給排する給排マニホールド20と、左右の前輪間に配置される駆動モータ40と、を備えた燃料電池搭載型電気自動車において、前記スタックの並び方向を車両前後方向に向けて燃料電池が駆動モータの上側に配置されると共に、給排マニホールド20が、燃料電池の最下部左右端で且つ駆動モータの上側左右端に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部のモータールーム(エンジンコンパートメント)内に駆動モータと共に燃料電池が搭載された燃料電池搭載型電気自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、車両前部のモータールーム内に、上下方向に単電池を積層して構成したスタックを配置することで、単電池の積層枚数を増やせるようにして、燃料電池の出力アップを図った技術が知られている。また、特許文献2に記載のように、流体給排手段を複数のスタック間に挟持して、流体給排配管を極力省略できるようにした技術が知られている。
【特許文献1】特開2003−173790号公報
【特許文献2】特開2004−6383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、燃料電池スタックに対して各流体を給排するときに、スタックの上側と下側に流体給排管を接続しているために、流体給排のためのスペースが大きく必要であり、それが障害となり、単電池の積層枚数を大幅に増やすことができないという問題があった。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術においては、スタックとスタックの全端面間に流体給排手段をシール手段を介して挟持しているので、シール面積の増大によるシール不良からガス漏れの懸念があることや、モータールームに単電池を上下方向に積層して搭載する場合に、燃料電池の下方に配置される駆動モータとのスペースの取り合いにより、結果的に積層枚数の増大が図れないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、ガス漏れ防止による安全性の向上と、単電池の積層枚数の増加による出力アップとを図ることのできる燃料電池搭載型電気自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両前部のモータールーム内に、単電池を車両の上下方向に複数積層して構成されたスタックを複数備えた燃料電池と、前記各スタックに対して燃料ガス・酸化ガス・冷媒を給排する流体給排手段と、左右の前輪ホイール間に配置される駆動モータと、を備えた燃料電池搭載型電気自動車において、前記スタックの並び方向を車両前後方向に向けて燃料電池が駆動モータの上側に配置されると共に、流体給排手段が、燃料電池の最下部左右端で且つ駆動モータの上側左右端に配置されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、車両前部のモータールーム内に、単電池を車両の上下方向に複数積層して構成されたスタックを複数備えた燃料電池と、左右の前輪間に配置される駆動モータと、を備えた燃料電池搭載型電気自動車において、前記燃料電池と前記駆動モータを、車両前後方向においてオフセットして配置させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流体給排手段を、燃料電池の最下部左右端で且つ駆動モータの上側左右端に配置しているので、つまり、駆動モータの上側左右端の空きスペース(駆動モータは軸方向中央が大径で、端部に行くに従い小径となり、ドライブシャフト上側に前記空きスペースができる)に左右に離間させて流体給排手段を配置しているので、燃料電池の下面全部あるいは一部を単電池の積層スペースとして利用することができ、単電池の積層枚数を増やすことができる。従って、単電池の積層枚数の増加によって、燃料電池の出力増加を図ることが可能になる。
【0009】
また、燃料電池の最下部、つまり、スタックの単電池積層方向の最下部に流体給排手段を設置しているため、スタック内部の生成水を、重力によって速やかに流体給排手段内に排出することができ、スタック内部のフラッディング(水によってガス拡散層が機能せず、反応がし難くなる現象をいう)による発電不良を防止できる。
【0010】
さらに、スタックの単電池積層方向の下部両端に流体給排手段を設置しているため、従来のようにスタックの端面全体に流体給排手段を接続する場合と比較して、流体給排手段とスタックとの間のシール範囲を小さくすることができ、それにより、シール性能の向上が図れて、燃料ガス漏れの可能性を低減でき、安全性の向上が図れる。
【0011】
また、左右に離間して流体給排手段を配置することにより、流体給排手段の小型化ができるので、燃料電池システム全体の小型化、軽量化に貢献できる。
【0012】
また、本発明によれば、燃料電池と駆動モータを、車両前後方向においてオフセットして配置させたので、燃料電池の発電電力を増加させたい場合に、下部に駆動モータが配置されていないため、単電池の積層枚数を増やして最大電圧を増加させることや、燃料電池下部に配置される分配マニホールド形状を簡素化できるスペースを確保することによって、燃料電池の発電電力増加が可能になる。また、振動部品である駆動モータやドライブシャフトとのクリアランス確保が容易であるため、これら部品の干渉防止によって燃料電池の破損の可能性を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
「第1の実施の形態」
図1は第1の実施の形態の燃料電池搭載型電気自動車の概略構成を示す側面図、図2は燃料電池を配置した部分を後方斜め上から見た斜視図、図3は燃料電池を配置した部分を車両後方から見た正面図、図4は燃料電池を配置した部分を上から見た平面図、図5は燃料電池と流体給排手段としてのマニホールドとの組み合わせ部分を示す分解斜視図、図6はマニホールドの詳細構造を示す構成図である。
【0015】
図1に示すように、この車両(燃料電池搭載型電気自動車)1は、車両前後方向中央部に車室2、車両前部のモータルーム(エンジンコンパートメント、前部機械室またはフロントボックスとも呼ぶ)3、車両後部にトランクルーム4を備えるもので、モータールーム2の下部に左右一対の前輪5、車室2の後部に左右一対の後輪6を備えている。図中矢印FRは車両1の進行方向である前方を示す。
【0016】
モータールーム2内には燃料電池10が搭載されており、本車両1は、この燃料電池10で発電した電力によって、左右の前輪5の間に配した駆動モータ40を作動させ、駆動モータ40で前輪5を回転させて走行する。
【0017】
この燃料電池10は、固体高分子電解質型燃料電池であり、イオン交換膜からなる電解質膜と、電解質膜の一方の面に配置された燃料極と、電解質膜のもう一方の面に配置された空気極と、から構成された膜−電極アセンブリの前記燃料極及び空気極に、それぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスを供給するための流路となるセパレータを設置して単電池を形成し、この単電池を複数積層することによって燃料電池スタック10A、10Bを形成し、これら燃料電池スタック10A、10Bを複数組み合わせてユニット化したものである。
【0018】
図2に示すように、車両1へは、燃料電池スタック10A、10Bを車両前後方向に2個並べて組み合わせ、一体構造の燃料電池10として、駆動モータ40の上側に位置させて搭載している。各スタック10A、10Bにおける単電池の積層方向は、車両の上下方向であり、各単電池は上から見ると、車幅方向に長く車両前後方向に短い細長い長方形状をなしている。そして、長方形状の各単電池では、各流体(燃料ガス、酸化ガス、冷却水)が車幅方向の一端側から他端側に向かって流れるように構成されている。
【0019】
また、燃料電池スタック10A、10Bの下部左右端(車幅方向両端)には、各スタック10A、10Bに対し燃料ガス、酸化ガス、冷却水(冷媒)を分配・合流(供給側は分配、排出側は合流)するための流体給排手段としての給排マニホールド20が設置されている。
【0020】
図5に示すように、各スタック10A、10Bには、各単電池(図示略)に対して燃料ガス、酸化ガス、冷却水を給排するために、スタック10A、10B内を貫通する貫通マニホールド101、102、103が形成されている。一般に、各単電池には、単電池内部へ燃料ガス、酸化ガス、冷却水を配流するための孔が設けられており、単電池が複数積層されることによって、それらの孔が連なって貫通マニホールド101、102、103が構成されている。
【0021】
本燃料電池10の各スタック10A、10Bの貫通マニホールド101、102、103は、各スタック10A、10Bの車幅方向の両端に形成されており、車両進行方向の前側に配された燃料電池スタック10Aでは、前側から順番に、冷却水用の貫通マニホールド103、酸化ガス用の貫通マニホールド102、燃料ガス用の貫通マニホールド101が配列されている。また、車両進行方向の後側に配された燃料電池スタック10Aでは、後側から順番に、冷却水用の貫通マニホールド103、酸化ガス用の貫通マニホールド102、燃料ガス用の貫通マニホールド101が配列されている。
【0022】
つまり、前側のスタック10Aと後側のスタック10Bでは、貫通マニホールド101、102、103の配列の順番が逆になっており、一番外側(前後端)に冷却水(冷媒)用の貫通マニホールド103が位置し、一番内側に燃料ガス用の貫通マニホールド101が位置し、中間位置に酸化ガス用の貫通マニホールド102が位置している。
【0023】
そして、各流体(燃料ガス、酸化ガス、冷却水)は、燃料電池10に付設した給排マニホールド20から各スタック10A、10B内部の貫通マニホールド101、102、103を通って、スタック10A、10Bを構成する各単電池へ分配供給され、各単電池において発電反応に寄与する。また発電反応に寄与した後の各流体(燃料ガス、酸化ガス、冷却水)は、各スタック10A、10B内部の貫通マニホールド101、102、103から流体給排手段である給排マニホールド20に流れ、ここで合流して配管を通して外部に排出される。
【0024】
ここで、各スタック10A、10Bには、左右各一対の燃料ガス用、酸化ガス用、冷却水用の貫通マニホールド101、102、103があり、各一対のうちの一方が供給側、他方が排出側として機能するようにそれぞれ設定されている。給排マニホールド20による分配・合流の関係で、左右対をなす各流体用(燃料ガス用、酸化ガス用、冷却水用)の貫通マニホールド101、102、103の供給・排出の機能は、前後に並んだ両スタック10A、10Bで揃えてある。
【0025】
つまり、例えば、前側のスタック10Aにおいて、燃料ガス用の左右一対の貫通マニホールド101のうち、左側の貫通マニホールド101を供給側、右側の貫通マニホールド101を排出側とした場合、後側のスタック10Aにおいても、同様に左側の貫通マニホールド101を供給側、右側の貫通マニホールド101を排出側として揃えてある。他の貫通マニホールド102、103についても同様である。
【0026】
但し、左側と右側の貫通マニホールド101、102、103の機能(供給・排出)の分担は、各流体毎に任意に決めればよく、例えば、燃料ガスと酸化ガスの流れ方向が逆になるように機能を分担させてあるのが好ましい。
【0027】
燃料ガスと酸化ガスの供給に伴い、スタック10A、10Bを構成する各単電池において、燃料極側では、水素が水素イオンと電子になる反応(H2 →2H+ +2e-)が起こり、空気極側では、酸素と電解質膜を透過してくる水素イオンと外部回路を回ってきた電子とによって水を生成する反応(2H+ +2e-+(1/2)O2 →H2 O)が起こる。このような反応が起こる単電池を複数積層して構成した燃料電池スタック10A、10Bは、複数個(本例では1個)が直列に接続されることで、数百ボルトの発電力を発生する燃料電池10として車両1に搭載されている。
【0028】
続いて燃料電池10をエネルギー源とする車両の動力システムについて説明する。
【0029】
図1、図2に示すように、この車両1の動力システムは、燃料ガスと酸化ガスとの反応により発電を行う燃料電池10及びこの燃料電池10の発電時に作動する補機類を有するパワープラント(特に符号を付さず)と、燃料ガスを貯蔵する燃料貯蔵タンク65と、燃料電池10で発電された電力を制御し各部品への電力供給を調整する電力制御装置(図示略)と、電力制御装置で調整された電力で駆動する前輪5用の駆動モータ40及び/又は後輪駆動モータ(図示略)と、車両運転状況や燃料電池10の運転状況を監視して補機類やその他の機器に制御信号を送るシステムコントローラ(図示略)と、必要に応じて電力を蓄える蓄電装置(図示略)と、各種補機類の動作に必要な低電圧および高電圧電線(図示略)と、を備える。また、車両床下には、強電系部品(電力制御装置)60が装備されている。
【0030】
ここで、前記補機類には、燃料ガス供給装置(水素系部品)31、酸化ガス供給装置(空気系部品)32、温度調節装置(ラジエータ50等)、などが含まれる。
【0031】
酸化ガス供給装置32は、酸化ガス(主に空気)の圧力・温度・流量などを調整して燃料電池10へ酸化ガスを供給するものであり、例えば、酸化ガスの圧力および流量を調整するマスフロメータや、酸化ガス中の異物を除去する集塵装置、酸化ガスを加圧する空気圧縮装置、酸化ガスの湿度を調整する加湿装置や燃料電池内を通過後の酸化ガスを希釈する希釈装置などを備える。
【0032】
燃料ガス供給装置31は、燃料ガス(主に水素であるが、メタノールなどの改質ガス、あるいはその他の改質ガスであってもよい)の圧力・温度・流量などを調節して燃料電池10へ燃料ガスを供給するものであり、例えば、燃料ガスの圧力・温度・流量を調整するマスフロメータや燃料ガス供給ポンプなどを備える。
【0033】
温度調節装置は、燃料電池10を適正運転温度に調整するものである。例えば、温度調節装置は、冷却水を供給する冷却水循環ポンプ、燃料電池10の発熱を熱交換媒体(例えば冷却水)を介して排熱する熱交換サイクルや、低温時などに電気的発熱や燃焼熱などにより燃料電池を温めるヒータ、などを備える。図示例では、温度調節装置の一つとして、ラジエータ50を備えている。
【0034】
車両運転時には、アクセル開度などに基づいて、燃料電池10に対し燃料ガス供給装置31および酸化ガス供給装置32から反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)が供給される。燃料電池10内部で発電された電力は、図示しない電力遮断装置を通過し、電力制御装置にて概ね各部品に必要な電力に調整された後、前輪駆動モータ40に供給される。この駆動モータ40のトルクがドライブシャフト41に伝えられて、燃料電池搭載車両1の推進力となる。
【0035】
図示せぬシステムコントローラは、車両運転状況や燃料電池10の運転状況を監視して補機類やその他の機器に制御信号を送り、適正な運転状態に各機器を制御する。
【0036】
図2、図3に示すように、本実施の形態においては、単電池を車両上下方向に複数積層した2個の燃料電池スタック10A、10Bが燃料電池10の筐体(図示略)に収容配置され、その積層方向の最下面且つ左右端に、流体給排手段としての給排マニホールド20が設置されている。この給排マニホールド20の設置位置は、図3に示すように、前輪駆動モータ40の上部左右端、すなわち、車体フレームの左右のサイドメンバ7の内側にあり、前輪駆動モータ40と接続するドライブシャフト41の上方の空きスペースである。
【0037】
この空きスペースは非常に小さいため、大きなスペースを必要とする燃料電池システムの補機類を搭載するには適さないが、小さい部品である流体給排手段の設置スペースとしては最適である。本位置に流体給排手段である給排マニホールド20を配置することによって、給排マニホールド20の下端の位置を、駆動モータ40の上端よりも下側に設定することができる。このため、従来のようにスタックの下面全体に流体給排手段を配置していた場合には、駆動モータの上端より上側の位置に流体給排手段を配置しなくてはならず、それゆえに流体給排手段の上側に位置する燃料電池の高さを大きくできず、結果的にスタックの単電池積層枚数を増やすことができなかったが、本実施の形態のように、流体給排手段である給排マニホールド20を上記の位置に配置することにより、各スタック10A、10Bにおける単電池の積層枚数を、給排マニホールド20の高さを考慮せずに、自由に増やすことができる。従って、単電池の積層枚数を増やすことにより、燃料電池10の出力増加が可能となる。
【0038】
通常、流体給排手段の厚み(高さ)は数10mm程度であり、例えば、従来の流体給排手段の高さを50mmとし、単電池厚さを2mmとした場合、流体給排手段の高さ分の枚数増加が可能となることから、積層枚数を最大で25枚増やすことができ、出力にして10%程度の増加が期待できる。
【0039】
また、図4に示すように、駆動モータ40の上部両端(左右端)に流体給排手段である給排マニホールド20を配置しているために、燃料電池スタック10A、10Bを構成する単電池は、その長方形形状の長辺方向の長さ(車幅方向の寸法)を、車体フレームのサイドメンバ7に達する程度にまで拡張することができている。従って、燃料ガスと酸化ガスが反応するエリアも十分に大きくすることができ、各単電池での発電電流を大きくすることができる。
【0040】
また、燃料電池スタック10A、10Bの最下部に流体給排手段である給排マニホールド20を設置しているので、燃料電池10の化学反応によってできる生成水を、重力によって速やかにスタック10A、10Bから給排マニホールド20に排出することができる。
【0041】
また、駆動モータ40の大径部に邪魔されずに、給排マニホールド20の高さを大きく設定できるので、より多くの生成水を給排マニホールド20内部に蓄えることができ、スタック10A、10Bからの生成水の排水性を優れたものとすることができ、フラッディングなどによる燃料電池の発電不良の可能性を低減できる。
【0042】
また、燃料電池スタック10A、10Bと給排マニホールド20との間のシール範囲も、非常に小さくできるため、接続面全体のシール性を向上でき、特にシール部からの燃料ガス漏れなどを低減できる。
【0043】
また、流体給排手段である給排マニホールド20を小型化しているので、燃料電池システム全体としての小型化、軽量化、さらには他部品のスペースを拡大できることによって補機類の性能向上も期待できる。
【0044】
次に図5、図6を用いて、流体給排手段である給排マニホールド20と燃料電池スタック10A、10Bの構造について更に詳しく説明する。
【0045】
燃料電池10は、単電池を積層した2つの燃料電池スタック10A、10Bと、両スタック10A、10Bに共通に配された下側のエンドプレート11と、上側のエンドプレート12と、これらを収容配置させる筐体(図示略)とから構成されており、車両前後方向に2つのスタック10A、10Bを並べて車両に搭載されている。各スタック10A、10Bの車幅方向の両端(左右端)の内部には、前述したように、積層された各単電池に形成した孔によって、燃料ガス用、酸化ガス用、冷却水用の各貫通マニホールド101、102、103が形成されており、下側のエンドプレート11にも、各貫通マニホールド101、102、103と連通する貫通孔111、112、113が、上から見て各貫通マニホールド101、102、103と重なる位置に形成されている。
【0046】
上で述べたように、燃料電池10の車幅方向の両端下部には、直方体ブロック状の給排マニホールド20がそれぞれ配設されており、これらの給排マニホールド20は、ガスケット13を介して燃料電池10の下面(エンドプレート11の下面)に結合されている。
【0047】
給排マニホールド20の上端面には、燃料電池10の各スタック10A、10Bの貫通マニホールド101、102、103と連通するポート(流体接続口)201、202、203が形成されており、ガスケット13にも、給排マニホールド20の上端面のポート201、202、203に対応した貫通孔131、132、133が形成されている。
【0048】
これらのポート201、202、203のうち、中央(もっとも内側)の1つのポート201は燃料ガス用のポートであり、2つのスタック10A、10Bの燃料ガス用の両貫通マニホールド101、101に共に連通するように長孔として形成されている。また、その隣りの2つのポート202は、酸化ガス用のポートであり、2つのスタック10A、10Bの酸化ガス用の各貫通マニホールド102、102にそれぞれ連通するように形成されている。また、更にその隣り(もっとも外側、つまり車両前後方向の両端)に位置するポート203は、冷却水用のポートであり、2つのスタック10A、10Bの冷却水用の各貫通マニホールド103、103にそれぞれ連通するように形成されている。
【0049】
この場合、流体給排手段である給排マニホールド20から各スタック10A、10Bへ流体を流通させる各ポート(流体接続口)201、202、203と、各単電池に対して各流体を給排するためにスタック10A、10B内に貫通形成された貫通マニホールド101、102、103とは、車両上方から見たときに重なる位置に配置されている。この結果、給排マニホールド20とスタック10A、10Bの接続範囲を、貫通マニホールド101、102、103をシールできる範囲にまで小さくすることができる。つまり、給排マニホールド20と燃料電池10のシール範囲を最小にできる。それにより、従来のようにスタック面全体をシールする場合に較べて、シール不良などによる燃料ガス漏れの可能性を低減できる。
【0050】
これらの給排マニホールド20の上端面に開口した燃料ガス用の1つのポート201、酸化ガス用の2つのポート202、冷却水用の2つのポート203は、図6に示すように、それぞれ給排マニホールド20の内部に形成された内部通路211、212、213を通して、給排マニホールド20の上端面以外の外表面に形成された燃料ガス用の接続口221、酸化ガス用の接続口222、冷却水用の接続口223にそれぞれ連通されている。
【0051】
各連通関係を、図6中の符号A、B、Cの矢印で示す。燃料ガスAは、接続口221から入り、内部通路211を通ってポート201から出て行く。あるいは、その逆である。酸化ガスBは、接続口222から入り、内部通路212を通ってポート202から出て行く。あるいは、その逆である。冷却水Cは、接続口223から入り、内部通路213を通ってポート203から出て行く。あるいは、その逆である。
【0052】
これらのうち、燃料ガス用の接続口221は、左右に配設された各給排マニホールド20の内側面に形成されており、燃料ガス配管21が車幅方向の内側から、これら各給排マニホールド20の燃料ガス用の接続口(燃料ガス流路)221に接続されている。ここでは、2本の燃料ガス配管21のうちの一方が供給側であり、他方が排出側である。燃料ガス配管21は、燃料ガス供給装置31を介して、車両に搭載された燃料貯蔵タンク65に接続されている。
【0053】
また、酸化ガス用の接続口222は、左右に配設された各給排マニホールド20の外側面に形成されており、酸化ガス配管(図示略)が車幅方向の外側から、これら各給排マニホールド20の酸化ガス用の接続口(燃料ガス流路)222に接続されている。この場合も、2本の酸化ガス配管のうちの一方が供給側であり、他方が排出側である。酸化ガス配管は、酸化ガス供給装置32に接続されている。
【0054】
また、冷却水用の接続口223は、左右に配設された各給排マニホールド20の下面または車両進行方向を向いた前側面に形成されており、冷却水配管55がこれら各給排マニホールド20の冷却水用の接続口223に接続されている。この場合も、2本の冷却水配管のうちの一方が供給側であり、他方が排出側である。冷却水配管55は、温度調節装置であるラジエータ50に接続されている。
【0055】
このように配管接続されることにより、スタック10A、10B下部の左右端いずれかの給排マニホールド20から各スタック10A、10Bへ配流された燃料ガス、酸化ガス、冷却水が、貫通マニホールド101、102、103を通過して各単電池へ分配され、単電池表面での反応によって電気エネルギーを発生する。そして、各スタック10A、10Bにおいて電気エネルギーの発生に寄与した後の燃料ガス、酸化ガス、冷却水が、反対側の給排マニホールド20でそれぞれ合流させられて、配管を通して回収されるようになっている。
【0056】
なお、左右の給排マニホールド20は、同一の形状をなしており、部品種類の削減や組付性の向上に寄与している。
【0057】
また、燃料電池10の筐体(図示略)と給排マニホールド20の接続は、弾性部材を介さずに直接ボルト等でガスケット13を挟んで締結するのがよい。その場合の組付け方向は、給排マニホールド20側からでも燃料電池10のケース側からでも構わない。このように接続することによって、燃料電池10と給排マニホールド20を接続するための配管やホース等を削減できるので、部品数の低減と軽量化が可能になる。さらに車両衝突などによって、外部から物体が進入してくる場合においても、配管の破損やホースの破損などの可能性がなくなるため、特に燃料ガスが漏れる可能性を低減することができる。
【0058】
また、燃料電池10の筐体(ケース)と給排マニホールド20を一つの剛性体とみなすことができるようになるので、車両衝突時などにおいて、給排マニホールド20と燃料電池10間のシール部のずれなどによって燃料ガスが漏れる可能性を大幅に低減することができ、システムの安全性が向上する。
【0059】
図7は、燃料電池10の筐体の車両への取付構造例を示している。この図示例では、燃料電池10の筐体と給排マニホールド20が直接接続されてなる一剛性体が、直接車体のサイドメンバ7へ、マウントブラケット71を介して取り付けられている。マウントブラケット71は、燃料電池10の筐体に予め取り付けられており、このマウントブラケット71をサイドメンバ7上にボルト72で締結することで、燃料電池10及び給排マニホールド20が車体フレームにより支持されている。このとき、燃料電池10の筐体は、駆動モータ40の両端に給排マニホールド20を配置する関係で、長手方向寸法(車幅方向寸法)がサイドメンバ7の近くまで延びているので、サイドメンバ7への取り付けにあたって周辺部品のスペースを奪ってしまうようなことがない。
【0060】
このように左右のサイドメンバ7の間に架け渡した形で燃料電池10の筐体が固定されていることにより、燃料電池10の筐体が、車体フレームのクロスメンバと同等の役割を果たすことになる。従って、特に側面衝突などの場合において、外部からの物体や車体サイドメンバ7の進入によって、燃料電池10や給排マニホールド20が損傷を受けることを極力防止することができて、燃料ガス漏れの可能性を低減できる。
【0061】
また、本発明においては、燃料ガス配管21と燃料ガス貯蔵タンク65以外の燃料ガス供給手段の配置は、モータールーム2内のどの位置に対して行っても構わないが、後方の燃料ガス貯蔵タンク65や燃料ガス配管21との接続性を考慮すると、燃料電池10の後方やフロア下に配置することが望ましい。
【0062】
「第2の実施の形態」
図8は、本発明の第2の実施の形態における燃料電池10及び給排マニホールド20の取付例を示している。
【0063】
この第2の実施の形態では、燃料電池10の筐体と直接接続された給排マニホールド20が、マウントブラケット75を介して車体のサイドメンバ7に直接固定されている。この点が、燃料電池10の筐体を直接サイドメンバ7に固定した第1の実施の形態と異なる点である。このように、給排マニホールド20をサイドメンバ7に固定することにより、その上側の燃料電池10を支持することができる。この場合はマウントブラケット75を介して給排マニホールド20をサイドメンバ7に固定しているが、マウントブラケット75を介さずに、直接給排マニホールド20をサイドメンバ7に固定してもよい。この実施の形態は、取付構造以外は第1の実施の形態と全く同じ構成を備えるので、第1実施の形態と同様の効果を奏する。
【0064】
「第3の実施の形態」
図9は、本発明の第3の実施の形態における給排マニホールド20Bの構成を示している。
【0065】
この実施の形態の給排マニホールド20Bは、2部材からなる半割構造体として構成されている。図中250が半割による合わせ面である。このように給排マニホールド20Bを、2部材の張り合わせとした場合、図6の例と違って、各内部流路212B、213Bの直角曲げを廃止することができる。このため、各流体をスタック10A、10Bへ供給する場合に、各流体の圧力損失を低減することができ、燃料電池の発電性能の向上に寄与することができる。
【0066】
なお、給排マニホールド20、20Bの材質としては、金属よりも樹脂、特に強度確保の点から強化プラスチックを採用するのが望ましい。また、材質として金属を採用する場合は、絶縁抵抗を確保したい冷却水流路(内部流路213、213B)のみを非導電性材料でコーティングするのがよい。金属で給排マニホールド20を構成した場合、図9の例のように、給排マニホールド20を車体サイドメンバ7に固定した際に、強度を確保することが容易になる。
【0067】
以上のように、上記各実施の形態によれば、流体給排手段(給排マニホールド20)を、燃料電池10の最下部左右端で且つ駆動モータ40の上側左右端に配置しているので、つまり、駆動モータ40の上側左右端の空きスペース(駆動モータ40は軸方向の中央が大径で、端部に行くに従い小径となり、小径部分の上側に前記空きスペースができる)に左右に離間させて流体給排手段(給排マニホールド20)を配置しているので、燃料電池10の下面全部あるいは一部を単電池の積層スペースとして利用することができ、単電池の積層枚数を増やすことができる。従って、単電池の積層枚数の増加によって、燃料電池の出力増加を図ることが可能になる。
【0068】
また、燃料電池10の最下部、つまり、スタック10A、10Bの単電池積層方向の最下部に流体給排手段(給排マニホールド20)を設置しているため、スタック10A、10B内部の生成水を、重力によって速やかに流体給排手段(給排マニホールド20)内に排出することができ、スタック10A、10B内部のフラッディング(水によってガス拡散層が機能せず、反応がし難くなる現象をいう)による発電不良を防止できる。
【0069】
さらに、スタック10A、10Bの単電池積層方向の下部両端に流体給排手段(給排マニホールド20)を設置しているため、従来のようにスタックの端面全体に流体給排手段を接続する場合と比較して、流体給排手段(給排マニホールド20)とスタック10A、10Bとの間のシール範囲を小さくすることができ、それにより、シール性能の向上が図れて、燃料ガス漏れの可能性を低減をできる。
【0070】
また、左右に離間して流体給排手段(給排マニホールド20)を配置することにより、流体給排手段(給排マニホールド20)の小型化ができるので、燃料電池システム全体の小型化、軽量化に貢献できる。
【0071】
また、上記の各実施の形態によれば、流体給排手段(給排マニホールド20)から各スタック10A、10Bへの各流体接続口(ポート201、202、203)と、各単電池に対して各流体を給排するために各スタック10A、10B内を貫通する貫通マニホールド101、102、103とが、車両1の上方から見たときに、重なる位置に配置されているので、各流体給排手段(給排マニホールド20)の断面積を、単電池の貫通マニホールド101、102、103をシールする範囲にまで小さくすることができる。従って、流体給排手段(給排マニホールド20)と燃料電池10のシール範囲を最小にできることから、シール不良などによる燃料ガス漏れの可能性を低減できる。また、流体給排手段(給排マニホールド20)を最小にできるので、燃料電池システム全体をより小型化、軽量化することができる。また、スタック10A、10Bから排出される各流体を最短距離で流体給排手段(給排マニホールド20)へ導くことができるので、スタック10A、10B内部の生成水を、重力によって速やかに流体給排手段(給排マニホールド20)内に排出することができ、フラッディングによる発電不良を防止できる。
【0072】
また、上記の各実施の形態によれば、流体給排手段(給排マニホールド20)内に構成された燃料ガス、酸化ガス、冷媒の流路(ポート201、202、203)のうち、最も外側の流体流路を冷媒流路(冷却水用のポート203)としているので、数百ボルトの高電圧を発生するスタック10A、10B内部を冷却水が循環する場合においても、流体給排手段(給排マニホールド20)内で十分な絶縁距離を確保することによって、外部と絶縁することができ、システム全体の安全性を確保できる。
【0073】
すなわち、燃料電池10は高電圧を発生するため、内部を通過する冷却水が劣化した場合には、冷却水を介した高電圧の伝達を防止する必要がある。そこで、上記各実施の形態では、スタック10A、10Bの出口側からの冷却水の流れる流路(ポート203)を、流体給排手段(給排マニホールド20)内において最も外側に配置している。これにより、流体給排手段(給排マニホールド20)内で絶縁抵抗を確保でき、仮に流体給排手段(給排マニホールド20)前後の温度調節装置に触れた場合においても、高電圧接触の危険を回避できる。
【0074】
また、車両前端に配置されるラジエータ50と冷媒流路(冷却水用のポート203)との間の距離を短くすることも可能となり、ラジエータ50から流体給排手段(冷却水用のポート203)への冷媒配管(冷却水配管55)やホースの短縮による軽量化が可能になる。つまり、図2に示すように、燃料電池10内を通過した冷却水は、車両前方のラジエータ50を通過して燃料電池内部で吸収した熱を放出する必要があるが、このとき冷却水流路(ポート203)を最も外側に配置することで、ラジエータ50と流体吸排手段の間の配管・ホース類の組み付け性を向上させ、かつラジエータ50と流体給排手段(給排マニホールド20)の冷却水流路(ポート203)を接続する冷却水配管やホース類の距離をもっとも短くできる。従って、燃料電池システムの軽量化と生産性向上が見込めるのである。
【0075】
なお、本発明において、冷却水配管以外の温度調節手段の配置は、モータールーム2内での位置でも構わないが、前方のラジエータ50や冷却水配管との接続性を考慮すると、前輪駆動モータ40の前に配置することが望ましい。
【0076】
また、上記各実施の形態によれば、流体給排手段(給排マニホールド20)内に構成された燃料ガス、酸化ガス、冷媒の流路(ポート201、202、203)のうち、最も内側の流体流路(ポート201)を燃料ガス流路としているので、車両の前面衝突時などに、外部から物体が進入してきた場合においても、燃料ガス流路(ポート201)と進入物との距離をできるだけ大きく確保することができ、流体給排手段(給排マニホールド20)の破損による燃料ガス漏れを極力防止することができて、システムの安全性の向上が図れる。
【0077】
つまり、車両衝突などで燃料ガス流路が破損すると、そのときに発生する火花などと重なった場合に火炎が生じることも考えられるが、燃料ガス流路(ポート201)を最も内側に配置することで、前面衝突や後面衝突などの場合に、外部からの進入物が流体給排手段(給排マニホールド20)に干渉した場合においても、燃料ガス流路(ポート201)まで進入物が進入して、流体給排手段(給排マニホールド20)内から燃料ガスが漏れる可能性を大幅に低減でき、システムの安全性が向上できる。
【0078】
また、上記各実施の形態によれば、燃料ガス貯蔵タンク65から燃料ガス流路(燃料ガス用の接続口221)へ接続する燃料ガス配管21を、車幅方向の内側から流体給排手段(給排マニホールド20)の内側縁の接続口221に接続しているので、車両の側面衝突などで、外部から物体が進入してきた場合でも、進入物と燃料ガス配管21との距離をできるだけ大きく確保することができ、それにより、燃料ガス配管21の破損による燃料ガス漏れを極力防止することができて、システムの安全性の向上が図れる。
【0079】
つまり、燃料ガス配管21は、他の流体である酸化ガスや冷却水の配管に較べて細いため、流体給排手段(給排マニホールド20)と駆動モータ40上部との間の狭いスペースを通して、流体給排手段(給排マニホールド20)へ接続することができる。このため、車両の側面衝突の場合において、外部からの進入物があった場合においても、燃料ガス配管21の破損によって燃料ガスが漏れる可能性を大幅に低減することができて、システムの安全性の向上に寄与できる。
【0080】
また、上記各実施の形態によれば、燃料電池10の下部に配される流体給排手段(給排マニホールド20)と、燃料電池10が搭載される筐体とを直接締結しているので、燃料電池10の筐体と流体給排手段(給排マニホールド20)を一つの剛体とみなすことができ、車両衝突時などにおいて、流体給排手段(給排マニホールド20)と燃料電池10の筐体間のシール部のずれなどによる燃料漏れを防止することができて、システムの安全性の向上が図れる。このように直結することによって、スタック10A、10Bからの各流体を最短距離で流体給排手段(給排マニホールド20)へ導くことができるので、スタック10A、10B内部の生成水を重力によって速やかに流体給排手段(給排マニホールド20)内に排出することができ、フラッディングによる燃料電池10の発電不良を防止できる。また、より一層流体給排手段(給排マニホールド20)を最小にできるので、システム全体をより小型化、軽量化できる。
【0081】
また、上記各実施の形態によれば、燃料電池10の筐体または流体給排手段(給排マニホールド20)を車体フレームのサイドメンバ7上に固定しているので、流体給排手段(給排マニホールド20)および燃料電池10の筐体を車体サイドメンバ7に一剛体として連結することができ、特に側面衝突などの場合においても、車体サイドメンバ7の進入によって燃料電池10や流体給排手段(給排マニホールド20)の破損などによるガス漏れ等を極力防止できる。
【0082】
また、上記各実施の形態によれば、燃料電池10の下部に設置される流体給排手段(給排マニホールド20)を左右同一形状のものとしているので、部品種類削減によるコスト低減ができる。また、組付け時間の短縮も図れる。
【0083】
なお、上記実施の形態では、燃料電池10を構成するスタック10A、10Bが2個である場合を例示したが、スタックの個数を3個以上としてもよい。
【0084】
「第4の実施の形態」
図10は第4の実施の形態の燃料電池搭載型電気自動車の概略構成を示す側面図、図11は燃料電池を配置した部分を後方斜め上から見た斜視図、図12は燃料電池を配置した部分を車両側面から見た側面図、図13は燃料電池と駆動モータの配置関係を示す側面図、図14は燃料電池を配置した部分を車両前方から見た正面図である。
【0085】
第4の実施の形態では、第1〜3の実施の形態と相違する部分についてのみ説明するものとし、同一構成部分についてはその説明は省略するものとする。
【0086】
本車両1では、図10から図12に示すように、車両前部のモータールーム3内に、単電池を車両の上下方向に複数積層して構成されたスタック10A,10Bを複数備えた燃料電池10と、左右の前輪5間に配置される駆動モータ40とを少なくとも備え、燃料電池10と駆動モータ40を、車両前後方向においてオフセットして配置させ、具体的には、燃料電池10を駆動モータ40に対して車両前側に所定距離を置いて配置させている。
【0087】
このように、本車両1において、燃料電池10を車両前方のモータルーム3に配置する場合に、車両前後方向において燃料電池10を駆動モータ40に対してオフセットして配置すれば、車両1の動力性能要求拡大などによって燃料電池10の発電電力を増加させる必要がある場合に、燃料電池10の下方に駆動モータ40がないので、単電池積層枚数を増やすことによって、容易に燃料電池10の発電電力増加が可能になり、車両動力性能を満足させることが可能となる。
【0088】
また、この燃料電池10と駆動モータ40とをオフセットさせる位置関係は、燃料電池10が駆動モータ40の前側となるように配置することで、駆動モータ40の後方に配置されている図示しないステアリングやスタビライザなどの車体部品を回避して、より多くの単電池積層枚数を増やすことができ、燃料電池10の発電電力増加が可能になる。
【0089】
また、本車両1では、燃料電池10を駆動モータ40の前方にオフセットして配置させることで、車両後方の燃料貯蔵タンク65への配管や強電系部品(電力制御装置)60、図示しない蓄電装置等への電線類等を回避できるので、単電池電極面積を車幅方向に最も拡大した状態で、車両上下方向に単電池積層枚数を増やせる配置となる。このため、本車両1によれば、単電池積層枚数を増やすことによる電圧増加はもちろんのこと、単電池電極面積を拡大することによる電流増加によっても、燃料電池10の発電電力増加が可能になる。
【0090】
通常、燃料電池10の発電電力を制御し、各部品へ分配する電力制御装置は性能保証できる電流、電圧範囲が限られているため、上記のように電流、電圧の両方によって燃料電池10の発電電力増加を達成できることは、他部品への性能要求を減らすことにもつながり非常に効果的である。また、燃料電池10の配置位置は、車両前方ではあるものの、車両衝突時などに外部からの部品や前方のラジエータ50が侵入してきた場合でも、干渉しないように十分なスペースを確保した位置としている。
【0091】
また、本車両1では、図13に示すように、燃料電池10の下面高さ(この燃料電池下面高さ位置を線Aとする)を、駆動モータ40の上部高さ(この駆動モータ上部高さ位置を線Bとする)とほぼ同等以上の高さにする。この例では、燃料電池10の下面高さを、駆動モータ40の上部高さとほぼ同じ位置としている。なお、燃料電池10の下面高さは、駆動モータ40の上部高さ以上にすることが望ましい。
【0092】
このような配置にすることで、本車両1では、例えば前面衝突などによって燃料電池10が車両後方にずれた場合などにおいても、ほぼ剛体とみなせる駆動モータ40と燃料電池10との干渉が回避でき、当該燃料電池10の破損による燃料ガス漏れの可能性を低減することができる。
【0093】
また、このような配置とした場合においても、燃料電池10と駆動モータ40をオフセットして配置していることで、従来のように燃料電池10と駆動モータ40をオフセットして配置していなかった場合には、車両走行中の振動によって駆動モータ40と燃料電池10が干渉することを回避するために確保しなければならなかったスペースを単電池積層スペースとして利用することができるので、単電池積層枚数を増やすことができ、燃料電池10の発電電力を増加させることが可能となる。通常、駆動モータ40の振動代として数十mmを確保しているので、例えば振動代30mmとした場合には、単電池厚さが2mmとすると1つのスタック10A,10Bに対して15枚の積層枚数を増やすることができる。スタック10A,10Bが2個の場合、燃料電池全体での出力が約10%増加に相当することになる。
【0094】
また、燃料電池下部と駆動モータ上部の高さ関係を前記したような設定とすることで、通常の補機類配置には利用することが困難であった駆動モータ40の両端且つドライブシャフト41の上部にある狭小スペースを燃料電池10と周辺補機類を接続する配管スペースとして効果的に利用することが可能となる。このため、本車両1では、モータルーム3という限られたスペースの中で配管類を非常にコンパクト且つ効果的に配置することで、その他の大容積が必要な補機類、例えば冷却水ポンプや空気圧縮装置などの配置スペースを確保することが可能になる。
【0095】
また、本車両1では、図14に示すように、各スタック10A,10Bへ燃料ガス、酸化ガス、冷媒(冷却水)を給排する給排マニホールド(流体給排手段)20を、燃料電池10の下面且つ車幅方向の両端に配置している。このような位置に給排マニホールド20を配置することで、前述した駆動モータ40の両端且つドライブシャフト41の上部の狭小スペースを通して燃料電池10と各補機類を接続する配管類の長さを最短にすることができる。その結果、本車両1によれば、配管類の重量低減が可能になる。
【0096】
また、燃料電池10の下方に駆動モータ40が無いので、給排マニホールド20の形状を車両上下方向に長くなる形状にして設置することができる。これにより、給排マニホールド20からスタック10A,10B内の各単電池までの流体流路を可能な限り湾曲しないようにできるので、特に給排マニホールド20の近傍に存在する単電池への流体配流性が改善でき、酸化ガス、燃料ガス、冷却水の分配時の配流バラツキを低減できる。
【0097】
通常、このような配流バラツキを補うためには、流量を増加させる必要があり、このことが補機類の消費電力増加、つまりは駆動モータへ入力する電力低下、即ち燃料電池利用効率低下につながるが、上記のような形状、配置の給排マニホールド20にすることで、給排マニホールド20から燃料電池10へ必要な流量を可能な限り少なくすることができ、補機類の部品容積低減や燃料電池効率の向上につながる。
【0098】
また、酸化ガスは、通常多量の窒素を含んでいるため、特に配流バラツキが大きくなる傾向にある。そのため、給排マニホールド20においては、酸化ガス流路を一番外側にすることが、スタック10A,10Bまでの距離を長くすることにつながるので、配流バラツキ改善にとって効果的である。第1の実施の形態の図6では、一番外側を冷却水流路としたが、ここでは、酸化ガス流路とする。
【0099】
また、本車両1によれば、燃料電池10での反応によって生成する水分を最短距離で重力により燃料電池内部から給排マニホールド20に排出できるので、単電池内部の流路の水つまりを最小限にでき、フラッディングによる発電不良を回避することで燃料電池発電性能を維持することができる。
【0100】
また、本車両1では、図14に示すように、燃料電池10の発電に際して必要な補機類のうち気液分離装置80と加湿装置81を、燃料電池10の下側に設けている。この配置位置は、燃料電池10からの排出水を利用する補機類にとって、途中の給排マニホールド20などへの水溜りを防止できる位置である。これによって、本車両1では、上記補機類の性能を上げることができる。
【0101】
また、燃料電池10の内部から給排マニホールド20、さらに気液分離装置80や加湿装置81へと重力によって水が流れる非常に効率のよい部品配置が可能になるので、特に寒冷地や外気温が非常に低くなることが予想される季節においては、燃料電池内部に溜まった水が凍ってしまい、燃料電池10の起動時間が延びるといったような可能性を低減できる。
【0102】
また、特に加湿装置81においては、排出水を利用してスタック10A,10Bへ導入される酸化ガスを加湿する役割であるので、多くの水を効率よく回収し、供給酸化ガスへ水分を渡すことは、発電能力増加につながる。さらに、このように駆動モータ40の前方に、気液分離装置80や加湿装置81など非金属材質で形成可能な部品を配置することで、仮に前面衝突などでこれら部品が車両後方へ移動し、駆動モータ40と衝突することがあっても、剛体である駆動モータ40の破損の可能性を大幅に低減できる。
【0103】
また、本車両1では、図11及び図12に示すように、燃料電池10の後側に、前記補機類のうち酸化ガス圧縮装置82と、この酸化ガス圧縮装置82へ酸化ガスを供給する酸化ガス吸入配管83と、空気供給部品84と、温度調節装置85とを配置している。
【0104】
このように、燃料電池10の後側に酸化ガス圧縮装置82と酸化ガス吸入配管83を配置すれば、燃料電池10で発電した熱によって加温された冷却水の熱をラジエータ50で放熱した後の暖かい空気が酸化ガス吸入配管83に最も当たり難い配置とすることができ、吸入酸化ガス温度上昇を防止することによって、酸化ガス圧縮装置82の効率低下、つまり酸化ガス圧縮装置82の消費電力増加を抑えるので、燃料電池10の効率向上によって駆動モータ40により多くの電力を供給でき、車両1の動力性能要求増加に対応することができる。このような酸化ガス圧縮装置82と酸化ガス吸入配管83の配置は、酸化ガス圧縮装置82が容積式である場合に、非常に効果的である。
【0105】
また、酸化ガス圧縮装置82は、非常に振動する部品であるため、例えば駆動モータ40の上方でこの駆動モータ40をリジッド固定することで、通常は、酸化ガス圧縮装置82に必要な振動防止部材を廃止することができるので、部品数削減、コスト削減が見込める。さらに、その固定位置を駆動モータ40の中心に対して、やや車両後方に配置することが、仮に前面衝突で燃料電池10が大幅に後方へ侵入してきた場合にでも出来る限り干渉の可能性を低減できることにつながるので望ましい。
【0106】
以上、本実施の形態では、単電池を車両上下方向に複数個積層して構成されるスタック10A,10Bを複数個備えて構成される燃料電池10を車両前方のモータルーム3に配置する場合に、燃料電池10を駆動モータ40の前方にオフセットして配置することによって、単電池積層枚数増加による燃料電池10の電圧増、単電池電極面積拡大による燃料電池10の電流増によって、車両性能要求が拡大して駆動モータ40への入力電力が増加する場合であっても、十分な発電電力が確保できることを可能にした。
【0107】
また、本実施の形態では、燃料電池10の下方に流体分配手段(給排マニホールド20)、気液分離装置80、加湿装置81を配置することで、燃料電池10内部の反応で生成される水をその内部から効果的に排出し、燃料電池発電性能を確保できることを可能にした。
【0108】
また、本実施の形態では、燃料電池10の後方に酸化ガス圧縮装置82と酸化ガス吸入配管83を配置することで、ラジエータ50からの暖かい風によって、吸入酸化ガスが高温になることを防ぎ、酸化ガス圧縮装置82の効率向上を達成して、駆動モータ40への入力する電力効率向上を可能にした。
【0109】
「その他の実施の形態」
なお、上述した各実施の形態では、燃料電池10を構成するスタック10A,10Bを2個としているが、その個数は3個以上であっても、発明の効果は変わらない。また、上記に述べた以外の部品配置の一例も併せて示しているが、これ以外の配置であっても構わない。但し、温度調節装置85は、車両前方のラジエータ50へと配管を接続する必要があること、また燃料電池10の内部や途中の配管類に空気が溜まらない構造にすることが重要であるため、図示するように燃料電池10の後部上方のスペースに配置することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施の形態の燃料電池搭載型電気自動車の概略構成を示す側面図である。
【図2】第1の実施の形態の電気自動車において、燃料電池を配置した部分を後方斜め上から見た斜視図である。
【図3】第1の実施の形態の電気自動車において、燃料電池を配置した部分を車両後方から見た正面図である。
【図4】第1の実施の形態の電気自動車において、燃料電池を配置した部分を上から見た平面図である。
【図5】第1の実施の形態の電気自動車において、燃料電池と流体給排手段としての給排マニホールドとの組み合わせ部分を示す分解斜視図である。
【図6】第1の実施の形態の排マニホールドの詳細構造を示す構成図であり、(a)は一方の側面側から見た斜視図、(b)は他方の側面側から見た斜視図、(c)は(a)のVIc−VIc矢視断面図、(d)は(b)のVId−VId矢視断面図、(e)は(a)のVIe−VIe矢視断面図、(f)は(a)のVIf−VIf矢視断面図、(g)は(a)のVIg−VIg矢視断面図である。
【図7】第1の実施の形態の電気自動車における燃料電池及び給排マニホールドの取付構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の電気自動車における燃料電池及び給排マニホールドの取付構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の電気自動車における給排マニホールドの詳細構造を示す構成図であり、(a)は一方の側面側から見た斜視図、(b)は他方の側面側から見た斜視図、(c)は(a)のIXc−IXc矢視断面図、(d)は(b)のIXd−IXd矢視断面図、(e)は(a)のIXe−IXe矢視断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態の燃料電池搭載型電気自動車の概略構成を示す側面図である。
【図11】第4の実施の形態の電気自動車において、燃料電池を配置した部分を後方斜め上から見た斜視図である。
【図12】第4の実施の形態の電気自動車において、燃料電池を配置した部分を車両側面から見た側面図である。
【図13】第4の実施の形態の電気自動車において、燃料電池と駆動モータの配置関係を示す側面図である。
【図14】第4の実施の形態の電気自動車において、燃料電池を配置した部分を車両前方から見た正面図である。
【符号の説明】
【0111】
1 車両(燃料電池搭載型電気自動車)
3 モータルーム(エンジンコンパートメント)
5 前輪
7 サイドメンバ
10 燃料電池
10A,10B 燃料電池スタック
20 給排マニホールド(流体給排手段)
21 燃料ガス配管
40 駆動モータ
65 燃料ガス貯蔵タンク(燃料ガス貯蔵手段)
80 気液分離装置
81 加湿装置
82 酸化ガス圧縮装置
83 酸化ガス吸入配管
101 燃料ガス用の貫通マニホールド
102 酸化ガス用の貫通マニホールド
103 冷却水(冷媒)用の貫通マニホールド
201 燃料ガス用のポート(流体接続口、流体流路、燃料ガス流路)
202 酸化ガス用のポート(流体接続口、流体流路)
203 冷却水(冷媒)用のポート(流体接続口、流体流路、冷媒流路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部のモータールーム内に、
単電池を車両の上下方向に複数積層して構成されたスタックを複数備えた燃料電池と、
前記各スタックに対して燃料ガス・酸化ガス・冷媒を給排する流体給排手段と、
左右の前輪間に配置される駆動モータと、
を備えた燃料電池搭載型電気自動車において、
前記スタックの並び方向を車両前後方向に向けて前記燃料電池が前記駆動モータの上側に配置されると共に、
前記流体給排手段が、前記燃料電池の最下部左右端で且つ前記駆動モータの上側左右端に配置されている
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記流体給排手段から前記各スタックへの各流体接続口と、前記各単電池に対して各流体を給排するために前記スタック内に貫通形成された貫通マニホールドとが、車両上方から見たときに重なる位置に配置されている
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記流体給排手段内に構成された流体流路のうち、最も外側に位置する流体流路が冷媒流路である
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記流体給排手段内に構成された流体流路のうち、最も内側に位置する流体流路が燃料ガス流路である
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
車両に搭載された燃料ガス貯蔵手段と前記流体給排手段内の流体流路のうちの燃料ガス流路とを接続する燃料ガス配管が、車幅方向の内側から前記各流体給排手段の燃料ガス流路に接続されている
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一つに記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記流体給排手段が、前記燃料電池の筐体に直接接続されている
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一つに記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記燃料電池の筐体が、車体フレームを構成する左右のサイドメンバに固定されている
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一つに記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記左右の流体給排手段が、同一形状のものとされている
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項9】
車両前部のモータールーム内に、
単電池を車両の上下方向に複数積層して構成されたスタックを複数備えた燃料電池と、
左右の前輪間に配置される駆動モータと、
を備えた燃料電池搭載型電気自動車において、
前記燃料電池と前記駆動モータを、車両前後方向においてオフセットして配置させた
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項10】
請求項9に記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記燃料電池を前記駆動モータの前側に配置した
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記燃料電池の下面高さを、前記駆動モータの上部とほぼ同等以上の高さとした
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項12】
請求項9〜請求項11の何れか一つに記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記各スタックに対して燃料ガス・酸化ガス・冷媒を給排する流体給排手段を設け、
前記流体給排手段を、前記燃料電池の下面且つ車幅方向の両端に配置した
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項13】
請求項9〜請求項12の何れか一つに記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記燃料電池の発電に際して必要な補機類を複数備え、
前記燃料電池の下側に、前記補機類のうち気液分離装置と加湿装置を設けた
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。
【請求項14】
請求項13に記載の燃料電池搭載型電気自動車であって、
前記燃料電池の後側に、前記補機類のうち酸化ガス圧縮装置及びこの酸化ガス圧縮装置へ酸化ガスを供給する酸化ガス吸入配管を配置した
ことを特徴とする燃料電池搭載型電気自動車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−145309(P2007−145309A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101608(P2006−101608)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】