説明

燃焼生成物中のNOxを還元する触媒の組み合わせ方法及び装置

通過するガス流中のNOxを還元する際に用いるガス流の触媒処理方法及び装置であって、この装置は、銀を含有するアルミナからなり第1の温度領域でのガス流の触媒処理に適した第1の触媒と、銅を含有するゼオライトからなり第1の触媒より下流側に配置された第2の触媒と、により構成されている。ここで、第2の触媒は、第1の温度領域に比べて低温な第2の温度領域でのガス流の触媒処理に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、炉、発電所などの運転にて要求される燃焼プロセスで生じる排気ガス流から汚染ガスを除去する方法及び装置に関し、特に、燃焼プロセスで生じる排気ガスから窒素酸化物(NOx)を除去する際に用いる触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
永年にわたり、燃焼装置にて生じる排気ガスから汚染ガスを除去する方法や装置を発展させるための継続的な努力がなされてきた。また近年では、燃焼装置から大気中へ排出される汚染ガスの排出量を削減することを目指し、世界中の多くの国々で環境規則が定められている。ここでの主な懸案事項は、ガソリンエンジンなどの内燃機関(特にディーゼルエンジン)で駆動する自動車に起因した窒素酸化物(NOx)の生成である。この他、工場に設置された炉、商用及び家庭用の暖房機器、発電所設備などの燃焼装置もまた、懸案事項になっている。
【0003】
この種の装置の燃焼プロセスでは、燃焼室内(例えば内燃機関のシリンダ内など)にて、通常、高温高圧の条件下で、空気中の窒素が酸素と反応し、窒素酸化物(NOx)が生成される。これは通常、一酸化窒素と二酸化窒素とのうちのいずれか一方もしくは両方を含んでおり、一般的にNOx排出物と称される。このNOx排出物はスモッグや酸性雨の原因となる主要な大気汚染物質である。そこで世界の主要工業国では、NOx排出物の削減のための規則が制定されている。
【0004】
この結果、燃焼装置からの排気ガス流を介して大気中に放出される窒素酸化物またはNOxの排出量を大幅に削減する方法や装置を発展させるための多大な努力が、永年にわたり継続してなされている。カリフォルニア州では、大気汚染の主な発生源が自動車の排気ガスであるとの認識から、1966モデル年度(automobile model year)に、カリフォルニアで販売される車両に排気ガス浄化装置の使用を義務づける規則が制定された。これと同様の規則が1968モデル年度までに全米で制定された。
【0005】
燃焼プロセスにおいて、燃料と空気とが「理想的な混合」であることに対して、熱力学では「ストイキオメトリック」という用語を用いる。これは、空気量が、全ての燃料を燃焼するのにちょうど十分で、過剰酸素が残らない状態をいう。内燃機関は、様々な理由により、ストイキオメトリックで運転されず、通常はリーンで運転される。リーン状態では、ストイキオメトリック状態に比べて、燃料に対して酸素が過剰になる。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンとは共に、一般的に、リーンバーンエンジン(希薄混合気燃焼エンジン)として運転されるが、このような運転状態は、ディーゼルエンジンの運転時に多く見られ、エンジンの排気ガス中のNOxの好ましくない量の排出につながる。また時として、内燃機関はリッチで運転されることがある。リッチ状態では、酸素に対して燃料が過剰になる。また、ガソリンに対して、ストイキオメトリック混合比(理論混合比)は14.6:1である。これらの運転状態においても、空気からの若干の窒素が酸素と反応し、NOxを生成する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リーンバーンエンジンからの排気ガス流には、酸素が多く含まれている。このため、「三元触媒」のような従来の排気触媒を用いては、排気ガス流からNOxを効率的に除去することができない。この結果として、NOxトラップまたはNOx吸蔵/還元装置が、現在のリーンバーンエンジンからのNOx除去を促進するために開発された。しかしながら、これらの装置には、排気ガス流にてリッチとリーンとを繰り返す精密なエンジン制御が要求される。リーン状態の間は、触媒がNOxを吸蔵する。リッチ状態の間は、触媒がNOxをNに還元する。また、HC−SCR装置は、内燃機関の排気ガス流からのNOxを還元する際に用いられるレトロフィットとして開発された。しかし、この装置は使用範囲が非常に限られている。
【0007】
従って、従来技術において、燃焼装置(例えば、内燃機関)の排気ガス流からNOxを除去する方法及び装置の改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ガス流からのNOx化合物の除去、または少なくとも大幅な還元を行うためのガス流の触媒処理方法及び装置に関する。本発明の触媒処理装置は、内燃機関にて生じた排気ガス中のNOx化合物を還元し、または除去するための効果的な手段を提供する。
特に、本発明の触媒処理装置は、例えば、排気ガス中に比較的高い割合で酸素分が含まれているディーゼルエンジンなどのリーンバーンエンジンからの排気ガスを、効率よく処理する。本発明では、相乗効果を生むため、比較的高温でNOx転化活性を示す第1の触媒と、これより低温で少なくとも同様の活性を示す第2の触媒と、の組み合わせを用いている。本発明は、運転時の幅広い温度領域に対応しているという特徴があり、これにより排気ガス流の処理能力が高められている。より詳しくは、本発明は、第1の触媒にて適切な中間の窒素化合物を生成し、第2の触媒にてその化合物を還元する場合に、これら触媒を単純にまとめた場合に比べて、より高い相乗効果が得られるような触媒の組み合わせを用いている。
【0009】
本発明の触媒処理装置は、通常、最適な第1の温度にて作用するように適応させた第1の触媒と、第1の温度に比べて低い最適な第2の温度にて作用するように適応させた第2の触媒と、を備える。ここで、排気ガスがガス流の形で第1の触媒から第2の触媒へ流れるようにするため、第1の触媒を第2の触媒の上流側に配置する。尚、第1及び第2の触媒は、互いに隣接するように配置することが可能であり、また、互いに間隔を開けて配置することも可能である。
【0010】
本発明の実施形態において、炭化水素選択還元(HC−SCR)により触媒処理装置のNOx除去活性を更に高めるため、通常は炭化水素化合物である還元剤を、ガス流に導入する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、第1の触媒は金属を含有するアルミナ材料により構成されており、第2の触媒は金属を含有するゼオライト材料により構成されている。運転中に、排気ガスは触媒処理装置を通過し、第1及び第2の触媒により順に処理される。これら第1及び第2の触媒は、相まって、NOx化合物を除去し、または少なくとも大幅に還元するように作用すると共に、簡素かつ費用効率の高い方法で、NOx化合物を環境適合性のある副生成物に転化する。
【0012】
本発明の実施形態では、通過するガス流に含まれるNOxを還元するガス流の触媒処理装置であって、ガス流の触媒処理に適した第1の最適温度領域を有する第1の触媒と、第1の触媒の下流側に配置された第2の触媒と、を備え、第2の触媒は、第1の触媒通過後のガス流の触媒処理に適し、第1の最適温度領域に比べて低温な第2の最適温度領域を有する。
【0013】
また、本発明の実施形態では、通過するガス流に含まれるNOxを還元するガス流の触媒処理装置であって、金属を含有するアルミナを含んで構成され、ガス流の触媒処理に適した第1の最適温度領域を有する第1の触媒と、金属を含有するゼオライトを含んで構成され第1の触媒の下流側に配置された第2の触媒と、を備え、第2の触媒は、第1の触媒通過後のガス流の触媒処理に適し、第1の最適温度領域に比べて低温な第2の最適温度領域を有する。
【0014】
また、本発明の実施形態では、ガス流に含まれるNOxを還元するガス流の触媒処理方法であって、ガス流の触媒処理に適した第1の最適温度領域を有する第1の触媒へガス流を送り、この第1の触媒通過後のガス流の触媒処理に適し、第1の最適温度領域に比べて低温な第2の最適温度領域を有する第2の触媒へ第1の触媒からガス流を送る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の様々な実施形態について、以下、図面を参照しつつ、詳細に説明する。尚、図面において、同一又は類似の要素には、同一の符号を付した。
【0016】
本発明は、ガス流からNOx化合物を除去し、または少なくとも大幅に還元するガス流の触媒処理方法及び装置を対象とする。本発明の触媒処理装置及び方法は、内燃機関にて生じた排気ガス中のNOx化合物を還元し、または除去するための効果的な手段を提供する。本発明の触媒処理装置及び方法は、排気ガス中のNOx化合物から環境適合性のある生成物への触媒転化を促進することを目的としている。本発明の触媒処理装置では、代表的には炭化水素である還元剤がある場合に、極めて小さな収容(packaging)スペースであっても、第1及び第2の触媒の組み合わせを用いることにより、相乗効果を生んでいる。ここに開示される触媒処理装置は、リーンNOx排気ガス後処理システムに用いるのに最適であると考えられる。
【0017】
本発明は、中間反応種をテーラリング(tailoring)し、アンモニア、アミン類、ニトリル類及び他の有機窒素種を生成することによって、異なる触媒の組み合わせによる相乗効果を促進することを目的としている。本発明は、同じ収容容積や空間速度を維持しつつも、より高いNOx還元性能を発揮することができる。
【0018】
図1は、本発明における触媒処理装置の構成を示しており、この触媒処理装置10は、「リーンバーン」エンジン12(図ではディーゼルエンジン)に連結している。ここで使用しているように、「リーンバーンエンジン」は酸素リッチな(酸素を豊富に含む)排気を生じるエンジンとして定義される。ここで、酸素リッチな排気は、還元性化合物(例えばCO、水素及び炭化水素)の総モル比よりも酸素のモル比が高い排気として定義される。この排気は、酸化性環境を有している。かかるエンジンシステムとしては、ディーゼルエンジンシステム、火花点火式の天然ガスまたは代替燃料エンジンシステム、液体または気体燃料タービンエンジン及び様々なリーンバーンガソリンエンジンシステムが例示される。通常、図1に示すディーゼルエンジンシステムでは、負荷条件及びディーゼルエンジンの運転モードにより、4%〜16%の酸素含有率の排気を生じる。
【0019】
酸素リッチな排気13は、エンジン12から排出されて、触媒処理装置10へ送られる。この排気は、還元剤が噴霧状の炭化水素または炭化水素18の混合物の形で添加補助されることが好ましい。例示した実施形態において、これら炭化水素の源の一つは、ディーゼルエンジン12の主要供給源として用いられるタンク2中のディーゼル燃料15とすることが可能である。この炭化水素還元剤には、エンジンサイクル中の燃焼行程後、排気に残る残留炭化水素を用いることもでき、あるいは、補助の炭化水素を、ポスト噴射行程として、好ましくは、4行程ディーゼルエンジンの膨張行程または排気行程にて、導入することも可能である。更には、図示したように、エンジンコントロールモジュール(ECM)19により制御される補助インジェクタ17を用いて、排気装置にエンジンシリンダの下流位置で補助の炭化水素を導入することも可能である。主要ディーゼル燃料以外に炭化水素を用いることも周知である。
【0020】
エンジンの排気は、触媒ユニット14を含んで構成される触媒処理装置10へ送られる。触媒ユニット14内には、金属を含有した触媒の組み合わせが配置されている。この触媒は、本明細書に開示されカスタマイズされた物理化学特性であって、高いNOx除去性能と、その他の利点であるリーンNOx触媒性能特性との両方をもたらす物理化学特性を有する。金属を含有する触媒の組み合わせの構成及びその触媒反応については、その詳細を後述する。
【0021】
図2を示すように、触媒処理装置10は、リーンバーンエンジン12の下流側で排気管16に沿って配置された触媒ユニット14を含んで構成される。エンジン12にて生じたガス流である排気13(矢印にて示す)は、排気管16に沿って図2の矢印で示す方向に向かう。本発明の実施形態において、触媒処理装置10は、触媒ユニット14と、一端側の入口ポート26と、他端側の出口ポート28とにより囲まれた収容容積部30を定める気密ハウジング24を含んで構成されている。ここで、収容容積部30は、入口ポート26と出口ポート28との間で、各々に流体連通している。入口ポート26はエンジンからの排気13を受け入れ、出口ポート28は浄化したガス流21を放出する。
【0022】
触媒処理装置10の触媒ユニット14は、排気13のガス流の触媒処理に適した第1の最適処理温度領域を有する第1の触媒20と、第1の触媒20の下流側に配置された第2の触媒と、を含んで構成される。ここで、第2の触媒22は、第1の触媒20通過後のガス流の触媒処理に適し、第1の温度領域に比べて低い、第2の最適処理温度領域を有する。特に、第1の触媒20は、NOxと炭化水素とにより窒素を含有する中間生成物(例えばアミン類、アンモニア、有機窒素種及び酸素化物)を生成する反応を促進するように構成されている。これら中間生成種は、活性化したNOx種と共に気相へと脱着する。また、第2の触媒22は、これら中間生成物の反応が促進され、Nへの還元がさらに促進されるように構成されている。発明者は、第1の触媒にて、NOxの一部が直接Nに転化するのみならず、残りのNOxもまた、中間生成物を生成し、第2の触媒にてさらにNに転化すると考える。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、第1の触媒20は、触媒活性のある、金属を含有するアルミナ(Al2O3)(好ましくは、金属を含有するγ−アルミナ材料)からなり、第2の触媒22は、触媒活性のある、金属を含有するゼオライト材料(好ましくは金属を含有するZSM-5材料)からなる。第1の触媒20及び第2の触媒22は、通常、粉末型、ペレット型、粒子型、ウォッシュコート状またはフォーム状のモノリス型(例えばハニカム構造)などの構造(流動床型を含む)の触媒床にアレンジされる。
【0024】
第1の触媒20に用いられる金属は、好ましくは、銀、インジウム、ガリウム、錫、コバルト及びこれら混合物であり、より好ましくは、銀である。第1の触媒20の金属充填量は、第1の触媒の総重量に対して、好ましくは約1〜約15重量%であり、より好ましくは約2〜約5重量%である。排気13中の還元剤を用いる場合、金属充填量は、少なくとも2%であることが望ましい。本発明の好ましい実施形態では、第1の触媒20は、銀を含有するアルミナ触媒(Ag/アルミナ)からなる。
【0025】
ゾル−ゲル法により形成されたアルミナは、酸素リッチな排気のリーンNOx触媒処理に用いるのに独特な特性を有する物質を生成することが知られている。アルミナ成分を形成する様々な方法が調査された。一実施形態では、γ−アルミナは、錯化剤に補助されるゾル−ゲル法により作成した。その他の実施形態では、錯化剤を用いないゾル−ゲル法により作成したγ−アルミナ担体材料を用いた。
【0026】
第1の触媒20のアルミナ成分は、アルコール(例えば2−プロパノール)を使った洗浄ステップと組み合わせて錯化剤を使用するゾル−ゲル法により合成されるのが好ましい。このゾル−ゲル法は、得られた生成物が基礎pH、優れた水熱安定性、及びアルミナ成分上の金属の充填容量及び均一性を最大化するアルミナ成分上の金属ばらつきの最適化により特徴づけられ、これにより、従来の作成方法に比べて、NOx還元性がより高くなるという点で、有利である。ゾル−ゲル法の具体的な詳細は、後述する実施例2にて説明する。ゾル−ゲル法によるアルミナの合成についての更なる詳細については、米国特許第6,703,343号及び第6,706,660号に記載されている。これらで教示されていることは、これらと矛盾しない範囲で本発明に適用可能である。
【0027】
アルミナ材料の金属ドーピングまたは導入は、好ましくは、2つある方法のうちの1つで行うことができる。第1の方法では、目的とする金属ドープ剤を水に溶解させ、上述のゾル−ゲル手順中ゲル化を止めるために用いる。
【0028】
第2の方法では、か焼したゾル−ゲルγ−アルミナを初期湿潤含浸(incipient wetness impregnation)方法により金属でドープする。好ましい初期湿潤含浸方法では、か焼した粉末ゾル−ゲル作成γ−アルミナを適正な金属の溶液と接触させる。金属の溶液は、γ−アルミナ試料の総細孔容積と等しい、またはこれより多い量で存在している。作成したγ−アルミナの細孔容積は、アルミナの約0.5〜約2.0cc/gであるのが好ましい。
【0029】
初期湿潤方法によりインジウムまたは酸化インジウムドープγ−アルミナを形成するために、適正量のIn(NO3)3(またはInCl3)を水溶液に溶解させ、ゾル−ゲルγ−アルミナと接触させた。インジウムまたは酸化インジウムドープγ−アルミナ触媒を600℃で約5時間か焼した。
【0030】
錫または酸化錫ドープγ−アルミナを、水の代わりにエタノール溶液中のSnCl3を用いて同じ方法で作成した。錫または酸化錫ドープγ−アルミナ触媒を600℃で約5時間、そして800℃で約2時間か焼した。
【0031】
評価する第3の有望な金属促進剤はガリウムまたは酸化ガリウムである。ゾル−ゲル法におけるγ−アルミナの作成中に酸化アルミニウムゲルに添加されたGa(NO3)3−H2Oの水溶液にγ−アルミナを晒すことにより、ガリウムまたは酸化ガリウムドープγ−アルミナを作成した。ガリウムまたは酸化ガリウムドープγ−アルミナ触媒を600℃で約5時間か焼し、ガリウム酸化物充填アルミナを形成した。
【0032】
第2の触媒22の金属は、好ましくは、銅、鉄、コバルト、銀及びこれらの混合物から選択されることが望ましく、より好ましくは、銅から選択されることが望ましい。第2の触媒22の金属充填量は、第2の触媒の総重量に対して、好ましくは約2〜約15重量%であり、より好ましくは約3〜約11.5重量%である。本発明の実施形態では、第2の触媒22は、銅を含有するゼオライト触媒(Cu/ゼオライト)からなる。ゼオライト成分は、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-35、MCM-22、MCM-49、ベータ、MCM-56、ITQ-13及びMCM-68(これらに限定されるものではない)を含む適当なゼオライトから選択することができる。好ましいゼオライトは、ZSM-5である。ZSM-5成分の金属ドーピングまたは導入については、後述する実施例1にて説明する。
【0033】
触媒ユニット14の第1の触媒20及び第2の触媒22は、第2の触媒22の上流側に第1の触媒20を配置して、ハウジング24の収容容積部30内に収められている。第1の触媒と、第2の触媒とは、それらの体積比が約1:2〜約2:1の間に含まれており、好ましくは、体積比が約1:1でありことが望ましい。本実施形態において、第1の触媒20と、第2の触媒22とは、互いに隣接して配置されている。あるいは、第1の触媒20と、第2の触媒22とは、互いに若干の間隔Lをあけて配置される。一般的に、滞留時間が減少するほど、性能は向上する。組み合わされた第1の触媒20と第2の触媒22とは、触媒処理装置10の入口ポート26から入り、出口ポート28から浄化された形で排出される排気13のガス流中のNOxを転化し、還元するように機能する。
【0034】
上述のように、NOxからNへの転化に伴う触媒反応を促進するために、触媒ユニット14の上流側で還元剤を排気13中に噴射することができる。この還元剤を、エンジン12の燃料タンク15より取り出し、燃料インジェクタまたは他の適切な手段により排気13中に噴射することができる。ディーゼルエンジンに適した還元剤の他の例は、ドデカン、エタノール、プロパン、ディーゼル燃料(軽油)、灯油、ディーゼル・レンジ・パラフィン、ディーゼル・レンジ・非芳香族流、などである。ガソリンエンジンに適した還元剤の他の例は、ガソリン、プロパン、エタノール、オクタン、などである。
【0035】
(実施例1)
銅を含有するZSM-5ゼオライト触媒の試料は、68グラムの硝酸銅(II)水和物と、1000mlの脱イオン水とを含む溶液を作成することにより、生成した。この溶液を作成した後、溶液を撹拌しつつ、200グラムのZSM-5ゼオライト結晶を加えた。この混合物を約1.5時間撹拌した後、35.7グラムのNH4OHを加えて、pHが7.25になるように調節した。この混合物の撹拌を、約1時間にわたり続けた。ゼオライト混合物をろ過し、1000mlの脱イオン水により洗浄した。このろ液を約85℃で一晩中乾燥した。この後、交換ゼオライトを、550℃までは2℃/分の温度勾配で温度を上げ、約2時間維持することにより空気か焼した後、室温まで冷却した。銅分析では、銅充填量が約11.5重量%であることを示した。
【0036】
尚、銅充填量が3重量%である試料は、硝酸銅(II)水和物の量を変更し、上記手順を用いることにより、作成した。
【0037】
(実施例2)
γ−アルミナ担体は、錯化剤に補助されるゾル−ゲル法により作成した。500gのアルミニウムイソプロポキシド(AIP)(98%+、アルドリッチケミカル社製)を、ビーカー内の600mlの2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)(99%、アルドリッチケミカル社製)に溶解した。この混合物をメカニカルポリエチレンスターラーで激しく撹拌した。混合物が均一になったら、ビーカーを約120℃の恒温槽に入れ、連続して約1時間撹拌した。AIPの全てがMPDに溶解すると、鮮明な黄緑色の溶液が得られた。AIPがMPDと反応し、120℃の反応条件にて蒸気状の2−プロパノールを生成し、溶液がゲル化を開始した。4時間後、ゲル化が完了すると、400mlの水を加えてゲル化を止めて、白色沈殿物(水酸化アルミニウム)を得た。この白色固体生成物を水に再分散させ、90℃の温度で撹拌を続けながら一晩エージング(aging)させた。
【0038】
一晩のエージング後、600mlの2−プロパノールを加えて水を沈殿物の孔から除去した。2−プロパノールまたはメタノールが好ましいが、表面張力が30mN/mに等しいまたはこれより少ない有機溶媒であればいずれも有用である。溶媒は水の表面張力、すなわち、約72mN/mより大幅に低い表面張力を有している必要があるだけである。得られたスラリーを真空ろ過して、90℃のオーブンで48時間乾燥させた。
【0039】
か焼は、5L/分で空気を流して、温度制御管状炉において行った。一般的なか焼スケジュールは次の通りである。100℃から700℃へ約1℃/分の温度勾配で温度を上げ、所定時間700℃に維持し、加熱を止め、温度が100℃に下がるまで、アルミナに空気を連続して流した。か焼中、選択した量の水(例えば、2%〜6%以上)を加えて粉末を部分焼結した。
【0040】
このゾル−ゲル手順を制御して、エージング前表面積が約200m/gを超え、エージング前細孔容積が約1.0〜約2.0cc/gで、エージング前平均孔径が約4〜約20nmのγ−アルミナを得ることができる。得られたアルミナ生成物は、表面積が約200〜約230m/gであった。
【0041】
(実施例3)
銀を含有するγ-アルミナ触媒の試料のうちのいくつかは、初期湿潤含浸の技術により作成した。水溶性の硝酸銀溶液または硫酸銀水溶液を、実施例2のγーアルミナ生成物に液滴し、混合した。硝酸溶液の容積は、γ−アルミナ生成物の細孔容積と大幅に適合するように計算される。この計算では、γ−アルミナの単位グラムあたりで約1.4mlであった。したがって、0.322グラムの硝酸銀を14mlの水に溶解し、10.0グラムのアルミナと混合した。この後、この試料をへらにより手動で混合し、90〜110℃で一晩中乾燥した。そして、600℃で約5時間、空気中でか焼する。他の作成方法では、0.2966グラムの硫酸銀は、溶解度が低いため、42mlの水に溶解した。この場合、14mlごとに分けて3段階で加え、各段階の間で乾燥及びか焼を行った。触媒の銀充填量は、触媒の総重量に対して2重量%であった。
【0042】
(実施例4)
2つの触媒は、実施例2に記載されているゾル−ゲル手順を用いて、500gのアルミニウムイソプロポキシド(AIP)を、600mlの2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)に溶解することにより、作成した。しかしながら、本実施例では、作成の一部において、4.025gのAg(NO3)または3.7075gのAg2(SO4)を600mlのプロパノールに溶解し、実施例2のプロパノール洗浄の段階にて、スラリーを加えた。スラリーを約1時間混合し、得られた生成物を真空ろ過して触媒を生成した。
【0043】
(実施例5)
触媒評価実験を、電気炉にて加熱される石英反応管(quartz reactor)で行った。混合ガスが、石英反応管内に支持された触媒を通過するようにした。混合ガスは、1000ppmのNO(一酸化窒素)、還元剤としての1000ppmのプロピレン、及び9%の酸素、残部ヘリウムを含んでいた。ガスの総流量は約1500ml/分であり、触媒容積は、ガス空間速度(GHSV)30,000に対応する約3.0mlであった。触媒温度は150℃から550℃まで上昇させ、その後、150℃まで下降させて戻した。温度が下降すると、データを記録した。第1の評価では、1.5mlのAg/アルミナ触媒を、1.5mlのCu/ZSM-5触媒の上流側に配置した。第2及び第3の評価では、触媒を各別に評価した。銅充填量は、銅を含有する触媒の総重量に対して約11.5重量%であった。アルミナ触媒は、2重量%の銀を含んでいた。
【0044】
図3に示すように、これらの評価結果は、触媒を組み合わせた場合の性能と、触媒を各別にした場合の性能とを比較している。この図は、曲線30で示す触媒の組み合わせが、曲線32及び34で示す各別の触媒それぞれに比べて、広いNOx除去活性温度領域を有することを示している。
【0045】
(実施例6)
触媒床を通過する混合ガスが7%の水分を含んでいる点以外は、実施例5にて示した手順に一致させて、触媒評価実験を、電気炉にて加熱される石英反応管で行った。また、更なる評価実験として、銅を含有する触媒の総重量に対して銅充填量が約3重量%(wt%)と約11.5重量%(wt%)とにそれぞれなっている場合の影響の比較を行った。
【0046】
図4に示すように、評価結果は、触媒を組み合わせた場合の性能と、触媒を各別にした場合の性能とを比較している。この図は、曲線36で示す触媒の組み合わせが、曲線38及び40で示す各別の触媒それぞれに比べて、広いNOx除去活性温度領域を維持していることを示している。
【0047】
また、図5に示すように、曲線44で示した銅を含有する触媒の総重量に対して銅充填量が約11.5重量%(wt%)のものに比べて、曲線42で示した銅充填量が約3重量%(wt%)のものの方が、温度領域の高温側端での触媒活性が高くなっていることがわかる。
【0048】
(実施例7)
Ag/アルミナ触媒とCu/ZSM-5触媒とを、直径1”(インチ)(約2.5cm)で長さ3”(約7.6cm)のモノリス上にウォッシュコートし、還元剤としてドデカン(ディーゼル・レンジの分子)を用いて評価した。この評価実験を、電気炉にて加熱される石英反応管で行った。混合ガスが、石英反応管内に支持された触媒床を通過するようにした。混合ガスは、500ppmのNO(一酸化窒素)、還元剤としての3000ppmのドデカン、50ppmのプロペン、500ppmのCO、8%の二酸化炭素、7%の水分及び9%の酸素、残部ヘリウムを含んでいた。ガス空間速度(GHSV)を約35,000に調節した。触媒温度は150℃から550℃まで上昇させ、その後、150℃まで下降させて戻した。温度が下降すると、データを記録した。第1の評価では、Ag/アルミナ触媒を、Cu/ZSM-5触媒の上流側に配置した。第2及び第3の評価では、触媒を各別に評価した。
【0049】
図6に示すように、これらの評価結果は、触媒を組み合わせた場合の性能と、触媒を各別にした場合の性能とを比較している。驚くべきことに、曲線46で示した触媒を組み合わせた場合の性能は、曲線48及び50で示した各別の触媒それぞれを追加した性能に比べて、高いことを示している。
【0050】
(実施例8)
エンジン排気によるエージングをシミュレーションするために、様々な結晶サイズ及びシリカ/アルミナ比のZSM-5粉末のセットを、水蒸気10%濃度の蒸気に、約16時間、600℃でさらした。この後、粉末をペレット状にして、試験をし、またはNOx転化の評価をした。また、触媒の別のセットを、上述と同じ粉末により作成した。ここで、別のセットの触媒は、蒸気にさらす前に予め鉄を含有している。鉄を含有する触媒の別のセットを、撹拌しながら40グラムの脱イオン水に5.4グラムの硝酸鉄(III)九水和物を加えることにより、作成した。この溶液を30グラムのZSM-5に液滴し、混合した。この後、この粉末を約85℃で一晩中乾燥した。鉄を含有するZSM-5触媒を、約400℃で約3時間、空気か焼した。この触媒は、2.5重量%の鉄を含んでいた。
【0051】
これら触媒を、電気炉にて加熱される石英反応管を用いて評価した。1000ppmのNO(一酸化窒素)、1000ppmのプロピレン、9%の酸素及び残部ヘリウムを含む混合ガスが、石英反応管内に支持された触媒床を通過するようにした。ガスの総流量は約1500ml/分であり、触媒容積は、ガス空間速度(GHSV)30,000に対応する約3.0mlであった。触媒温度は150℃から550℃まで上昇させ、その後、150℃まで下降させて戻した。温度が下降すると、データを記録した。この結果は、以下表1にまとめられている。
【0052】
【表1】

【0053】
この表のデータは、通常、中間の結晶サイズ(0.5-2.0μm)及び中間のSiO2/Al2O3(50)にて最適な触媒性能が得られることを示している。ここで、金属を含有するゼオライト(ZSM-5)の金属は鉄であったが、出願人は銅を含む他の関連した金属を用いても同様の結果になるものと予想する。
【0054】
(実施例9)
Ag/アルミナと、これより下流側に配置されたCu/ZSM-5とからなる触媒の組み合わせと、Cu/ZSM-5を混ぜたAg/アルミナからなる触媒との評価試験を行った。触媒は、電気炉にて加熱される石英反応管を用いて評価した。1000ppmのNO(一酸化窒素)、1000ppmのプロピレン、2000ppmの水素、9%の酸素及び残部ヘリウムを含む混合ガスが、石英反応管内に支持された触媒床を通過するようにした。ガスの総流量は約1500ml/分であり、触媒容積は、ガス空間速度(GHSV)30,000に対応する約3.0mlであった。触媒温度は150℃から550℃まで上昇させ、その後、150℃まで下降させて戻した。温度が下降すると、データを記録した。この結果を、図7に示す。
【0055】
この結果は、曲線54で示したCu/ZSM-5とその上流側のAg/アルミナとを有する段階的な触媒に比べて、曲線52で示した混合触媒の転化効率が低いことを示している。NOxからNへの転化率のピーク値は、段階的な触媒では約63%であった一方、混合触媒では約43%であった。
【0056】
(実施例10)
触媒床を通過する混合ガスが7%の水分を含んでいる点以外は実施例5で示した手順と同様に、触媒評価実験を、電気炉にて加熱される石英反応管で行った。Ag/アルミナと、銅充填量が3重量%の下流側Cu/ZSM-5との触媒組み合わせ、及び、Ag/アルミナと、白金充填量が1重量%の下流側Pt/アルミナとの触媒組み合わせを用いて、NOx除去活性を、475℃で測定した。この評価結果を図8に示す。Ag/アルミナと、下流側Cu/ZSM-5との触媒組み合わせは、符号56で示したように、NOxからNへの転化率が80%を示した。一方、Ag/アルミナと、下流側Pt/アルミナとの触媒組み合わせは、符号58で示したように、NOxからNへの転化率が4%を示した。
【0057】
出願人は、Ag/アルミナ触媒におけるNOxと炭化水素との最初の反応では、中間生成種(例えば、アンモニア、アミン類、有機窒素種及び酸素化物)の形成に結びつくと考えている。これら中間生成種は、活性化したNOx種と共に気相へと脱着する。更に、均一ガス反応により、N形成に至る。上記の種は、Cu/ZSM-5にて反応し、更にNへと還元される。しかしながら、上記の種は、Pt/アルミナにて反応し、NOxへ酸化するので、NOx転化率が大幅に低下してしまう。
【0058】
本発明の様々な実施形態を図示及び記載したが、これらに限定するものではない。また、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載した趣旨及び範囲内において、当業者により様々な変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】ガス流中のNOx化合物を除去し、または少なくとも大幅に還元するガス流の触媒処理装置の適用を示す構成図であり、本発明の実施形態でのディーゼルエンジンに適用させている。
【図2】本発明の実施形態における、ガス流中のNOx化合物を除去し、または少なくとも大幅に還元するガス流の触媒処理装置の縦断面図である。
【図3】本発明にて、水分がない場合に、Ag/アルミナとCu/ZSM-5との組み合わせの転化性能と、これら触媒の各々の転化性能と、の比較を示す図である。
【図4】本発明にて、水分がある場合に、Ag/アルミナとCu/ZSM-5との組み合わせの転化性能と、これら触媒の各々の転化性能と、の比較を示す図である。
【図5】本発明にて、Ag/アルミナと、互いに異なる銅充填量のCu/ZSM-5と、を組み合わせた場合の転化性能の比較を示す図である。
【図6】本発明にて、ドデカン(還元剤)がある場合に、Ag/アルミナとCu/ZSM-5との組み合わせの転化性能と、これら触媒の各々の転化性能と、の比較を示す図である。
【図7】本発明にて、物理的な配置を異ならせて、Ag/アルミナと、Cu/ZSM-5と、を組み合わせた場合の転化性能の比較を示す図である。
【図8】本発明にて、Ag/アルミナとCu/ZSM-5とを組み合わせた場合の転化性能と、Ag/アルミナとPt/アルミナとを組み合わせた場合の転化性能と、の比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過するガス流中のNOxを還元するためのガス流の触媒処理装置であって、
ガス流の触媒処理に適した第1の最適処理温度領域を有する第1の触媒と、
この第1の触媒より下流側に配置された第2の触媒と、
を備え、
この第2の触媒は、前記第1の触媒通過後のガス流の触媒処理に適し、前記第1の最適処理温度領域に比べて低温な第2の最適処理温度領域を有することを特徴とするガス流の触媒処理装置。
【請求項2】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、互いに当接して配置されることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項3】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、互いに間隔を開けて配置されることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項4】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、これらの体積比が約1:2から約2:1までの範囲に含まれることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項5】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、これらの体積比が約1:1であることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項6】
前記ガス流は、更に還元剤を含むことを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項7】
前記還元剤は、炭化水素化合物であること特徴とする請求項6記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項8】
前記第1の触媒は、金属を含有するアルミナであることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項9】
前記アルミナは、ゾル−ゲル合成法により作成されることを特徴する請求項8記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項10】
前記金属は、銀、インジウム、ガリウム、錫、コバルト及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項8記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項11】
前記金属は、前記第1の触媒の総重量に対して、約1重量パーセントから約15重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項8記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項12】
前記金属は、前記第1の触媒の総重量に対して、約2重量パーセントから約5重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項8記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項13】
前記第1の触媒は、銀を含有するアルミナであることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項14】
前記第2の触媒は、金属を含有するゼオライトであることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項15】
前記金属は、銅、鉄、コバルト、銀及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項14記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項16】
前記ゼオライトは、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-35、MCM-22、MCM-49、MCM-56、ベータ、ITQ-13、MCM-68からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項14記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項17】
前記金属は、前記第2の触媒の総重量に対して、約2重量パーセントから約15重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項14記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項18】
前記金属は、前記第2の触媒の総重量に対して、約3重量パーセントから約11.5重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項14記載の触媒処理装置。
【請求項19】
前記第2の触媒は、銅を含有するゼオライトをあることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項20】
前記第1及び第2の触媒は、粉末型、ペレット型、モノリス型、流動床型及びこれらの組み合わせから選択されたものであることを特徴とする請求項1記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項21】
通過するガス流に含まれるNOxを還元するガス流の触媒処理装置であって、
金属を含有するアルミナを含んで構成され、ガス流の触媒処理に適した第1の最適処理温度領域を有する第1の触媒と、
金属を含有するゼオライトを含んで構成され、前記第1の触媒の下流側に配置された第2の触媒と、
を備え、
この第2の触媒は、前記第1の触媒通過後のガス流の触媒処理に適し、前記第1の最適処理温度領域に比べて低温な第2の最適処理温度領域を有することを特徴とするガス流の触媒処理装置。
【請求項22】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、互いに当接して配置されることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項23】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、互いに間隔を開けて配置されることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項24】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、これらの体積比が約1:2から約2:1までの範囲に含まれることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項25】
前記第1の触媒と、前記第2の触媒とは、これらの体積比が約1:1であることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項26】
前記ガス流は、更に還元剤を含むことを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項27】
前記還元剤は、炭化水素化合物であること特徴とする請求項26記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項28】
前記金属は、銀、インジウム、ガリウム、錫、コバルト及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項29】
前記金属は、前記第1の触媒の総重量に対して、約1重量パーセントから約15重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項30】
前記金属は、前記第1の触媒の総重量に対して、約2重量パーセントから約5重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項31】
前記アルミナは、ゾル−ゲル合成法により作成されることを特徴する請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項32】
前記第1の触媒は、銀を含有するアルミナであることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項33】
前記金属は、銅、鉄、コバルト、銀及びこれらの混合物からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項34】
前記ゼオライトは、ZSM-5、MCM-22、MCM-49、MCM-56、ベータ、ITQ-13、MCM-68、ZSM-35及びZSM-11からなる群より選択されたものであることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項35】
前記金属は、前記第2の触媒の総重量に対して、約2重量パーセントから約15重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項36】
前記金属は、前記第2の触媒の総重量に対して、約3重量パーセントから約11.5重量パーセントまでの範囲に含まれることを特徴とする請求項21記載の触媒処理装置。
【請求項37】
前記第2の触媒は、銅を含有するゼオライトをあることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項38】
前記第1及び第2の触媒は、粉末型、ペレット型、モノリス型、流動層型及びこれらの組み合わせから選択されたものであることを特徴とする請求項21記載のガス流の触媒処理装置。
【請求項39】
通過するガス流に含まれるNOxを還元するガス流の触媒処理装置の製造方法であって、
第1の温度領域でのガス流の触媒処理に適合させた第1の触媒を配置するステップと、
前記第1の触媒より下流側に、前記第1の温度領域に比べて低温な第2の温度領域でのガス流の触媒処理に適合させた第2の触媒を配置するステップと、
を有することを特徴とするガス流の触媒処理装置の製造方法。
【請求項40】
更に、前記第1の触媒と、前記第2の触媒と、の間隔を開けるステップを有することを特徴とする請求項39記載のガス流の触媒処理装置の製造方法。
【請求項41】
通過するガス流に含まれるNOxを還元するガス流の触媒処理方法であって、
ガス流の触媒処理に適した第1の最適処理温度領域を有する第1の触媒へガス流を送るステップと、
前記第1の触媒通過後のガス流の触媒処理に適し、前記第1の最適処理温度領域に比べて低温な第2の最適処理温度領域を有する第2の触媒へ、前記第1の触媒からガス流を送るステップと、
を有することを特徴とするガス流の触媒処理方法。
【請求項42】
前記第1の触媒へガス流を送る前に、更に、ガス流中のNOxの還元を促進するのに効果的な量の還元剤をガス流中に噴射するステップを有することを特徴とする請求項41記載のガス流の触媒処理方法。
【請求項43】
更に、前記第1の触媒と、前記第2の触媒と、の間隔を開けるステップを有することを特徴とする請求項41記載のガス流の触媒処理方法。
【請求項44】
更に、前記第1の触媒と、前記第2の触媒と、の間隔を開けるステップを有することを特徴とする請求項42記載のガス流の触媒処理方法。
【請求項45】
通過するガス流に含まれるNOxを還元するガス流の触媒処理装置であって、
窒素含有化合物及び活性化したNOxの形の中間生成物を生成するための、NOxと炭化水素化合物との反応を促進するのに適した第1の触媒と、
この第1の触媒の下流側に配置され、前記第1の触媒通過後に、前記中間生成物からNへの反応を促進するのに適した第2の触媒と、
を備えることを特徴とするガス流の触媒処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−543559(P2008−543559A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518128(P2008−518128)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/005464
【国際公開番号】WO2007/001500
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】