説明

爪および皮膚を処置するための組成物

少なくとも1種の活性剤(テルビナフィンを除く)、少なくとも1種の揮発性溶媒、少なくとも1種の膜形成成分および少なくとも1種のリン脂質を含む爪および皮膚の障害を処置するための新規な局所用組成物、これらの調製方法ならびに爪および皮膚の障害の処置方法。組成物の適用および揮発性溶媒の蒸発に続き、組成物は、活性剤(複数可)を含有するウエブ様構造を有する膜を生じる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
爪真菌感染症は広範囲に蔓延しており、治癒が困難な障害であり、さらにある種の他の皮膚の障害も同様である。数種の全身的および局所的な処置が商業的に利用可能であるが、新しい治療方法を見出すための継続的な努力によって明らかなように、完全に満足するものはない。皮膚糸状菌のトリコフィトン・ルブルム(trychphyton rubrum)によって主に引き起こされ、爪真菌症として知られている爪真菌感染症は、処置が特に難しく、またある種の処置が有効であると証明されているが、重大な副作用があり、また感染症は再発性である。
【0002】
爪真菌感染症のための最も優れた薬物は、テルビナフィンおよびシクロピロクスである。現在使用中、または開発中の他の抗真菌薬は、グリセオフルビン、ポサコナゾール、アモロルフィン、イトラコナゾール、エコナゾールおよびブテナフィンを含む。
【0003】
爪真菌症(爪白癬)の処置のための非常に有効な薬物であるテルビナフィン(Lamisil(登録商標))は、肝臓毒性のような公知の副作用があるにもかかわらず、主に全身的に投与される。また、テルビナフィンは1%Lamisil(登録商標)のOTCの局所クリーム剤としても市販されているが、クリーム剤用途の適応症は異なる。
【0004】
全身的な効果が低下させる見込みのある局所的な処置が切望されているのは、重大な副作用が主な理由であり、また副作用が最小限の有効な局所的な薬物を開発するための試みがなされてきた。
【0005】
FDAのwww.ClinicalTrials.govのサイトには、爪真菌症に対して主に局所的な処置となるテルビナフィンの爪ラッカー剤を含めたテルビナフィンを用いた15の臨床研究を列挙している。より高い濃度のテルビナフィンおよび(ポサコナゾールおよび5%のアモロルフィンの爪ラッカー剤のような)代替の活性剤が、爪真菌感染症のための可能な処置として検討されており、これは、爪真菌感染症に対する安全で有効な局所的な処置に対する医療的要求が依然として満たされていないという事実を証明している。このサイトには、シクロピロクスに関してわずか4つの臨床研究が列挙されているに過ぎず、これらの中には爪真菌症または他の爪感染症に対するものは皆無であり、このことはシクロピロクスが好ましい処置とは考えられていない一方、テルビナフィンは好ましい処置と考えられていることを示している。
【0006】
限定的な抗真菌活性を有する他の抗真菌薬であるシクロピロクスは、局所的に投与されるのみである。市販製品であるPenlac(登録商標)爪ラッカーは、ラッカー層を形成するように、爪および爪の下の皮膚に1日1回、および繰り返して適用される8%のシクロピロクス局所用溶液である。他の市販の爪ラッカーは、ロセリル(Loceryl)またはクラナイル(Curanail)として、英国においてOTCとして市販されている5%のアモロルフィンである。
【0007】
Penlac(登録商標)を爪に適用すると、組成物の液体成分の蒸発後に、乾燥膜を形成する。Penlac(登録商標)の組成物は、以下の成分を含む。1グラムのPENLAC(登録商標)NAIL LACQUER(シクロピロクス)の局所用溶液8%は、酢酸エチル(NF(フランス規格))からなる溶液基剤中に80mgのシクロピロクス、イソプロピルアルコール(USP(米国薬局方))およびイソプロピルアルコール中のポリ[メチルビニルエーテル/マレイン酸]のブチルモノエステルを含有する。酢酸エチルおよびイソプロピルアルコールは、適用後に蒸発する溶媒である。
【0008】
Penlac(登録商標)のような局所用ラッカーの活性は、溶媒蒸発後に爪上に形成する膜の組成物に大きく依存する。Penlac(登録商標)の場合において、膜は溶媒蒸発後に、コポリマーであるポリ[メチルビニルエーテル/マレイン酸]のブチルモノエステル(Gantrez(登録商標)ES−435)中のシクロピロクスによって形成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】www.ClinicalTrials.gov
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の抗真菌性組成物は、爪真菌感染症に対して薬効不良から薬効限界を示し、また爪真菌感染症の処置において、薬効の改善された抗真菌性組成物に対する満たされていない要求が明らかに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、満たされていない医療的要求に首尾よく対処する、活性剤(複数可)、リン脂質および膜形成成分を主要要素として有する構造化した膜をもたらす、革新的な薬物送達システムを提供する。本発明の組成物は、テルビナフィンおよびこの塩を含まず、好ましくは、少なくとも1種の活性剤、少なくとも1種の揮発性溶媒、少なくとも1種の膜形成成分、少なくとも1種のリン脂質、および任意に薬学的に許容される成分を含む液状組成物である。本発明の組成物は、ラッカー剤の形態である溶液剤として、表面処置される爪または皮膚に好ましくは適用される。本発明の組成物が適用された後、揮発物が迅速に乾燥すると、処置された表面上に膜をもたらし、この膜は活性剤(複数可)、リン脂質(複数可)、他の薬学的に許容される成分を含有するウエブ様構造を示すが、残留溶媒を含んでよい。これらの構造化された配列により、処置された爪または皮膚への活性剤の送達が持続および改善する。発明者らは、何らかの具体的な理論によって制約されることを望まないが、送達の改善はウエブ様構造のリザーバー効果によると発明者らは考えている。
【0012】
形成された膜は皮膚表面または爪表面に粘着して表面に存在し、またおそらく活性剤のリザーバーとして作用するウエブ構造中に主に組み込まれた薬物を含有する。本発明の組成物は、処置された爪表面または皮膚表面上に持続性の密着性膜の迅速な形成をもたらすように、濃度が十分高い揮発性溶媒(複数可)を含有する。膜における構造は、該組成物中にリン脂質および膜形成成分が存在しているために形成される。リン脂質が存在しない場合、このようなウエブ様構造は観察されない。組成物中の揮発性溶媒が存在すると、安定な持続性膜の迅速な形成が可能になる。
【0013】
溶媒蒸発後に、ウエブに似た構造を含有する薄い持続性の膜が処置された表面上に形成される。
【0014】
本発明の組成物から得られた膜の顕微鏡観察研究は、膜中に独特な構造が形成および維持されることを示している。蛍光顕微鏡観察(図1)は、膜全体に分散されたウエブ様の配列構造を示している。
【発明の効果】
【0015】
このシステムは、組織への薬物送達および薬物保持の改善および持続を可能にし、これはリザーバー効果ならびにリン脂質の存在および効果によるものと考えられる。
【0016】
該組成物は、完全寛解まで1日あたり1回から多回適用されてよく、また繰り返されてもよい。本発明の組成物の有効性によって、優れた結果を伴って処置期間の短縮を可能にする。
【0017】
本発明のこれら、および他の態様は本発明の説明から明らかとなり、これは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、製剤番号Iから得られた膜の蛍光顕微鏡写真画像を示す図である−Olympus Fluoview 1XLO Confocal Laser Scanning Microscope。使用プローブ−フルオレセインDHPE(N−(フルオレセイン−5−チオカルバモイル)−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム塩)Invitrogen(商標)。プローブを組み込んだウエブ構造は、顕微鏡写真において明らかである。
【図2】図2は、製剤番号IIから得られた膜の蛍光顕微鏡写真画像を示す図である−Olympus Fluoview 1XLO Confocal Laser Scanning Microscope。使用プローブ−フルオレセインDHPE(N−(フルオレセイン−5−チオカルバモイル)−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム塩)Invitrogen(商標)。
【図3】図3は、製剤番号Iから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図4】図4は、製剤番号IIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。製剤はポリマーを含有するが、リン脂質を含有しない。
【図5】図5は、製剤番号IIIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図6】図6は、製剤番号XIVから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図7】図7は、製剤番号XVから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図8】図8は、製剤番号XVIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図9】図9は、製剤番号XVIIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図10】図10は、製剤番号XVIIIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図11】図11は、製剤番号XIXから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図12】図12は、製剤番号XXから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図13】図13は、製剤番号XXIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図14】図14は、製剤番号XXIIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図15】図15は、製剤番号XXIIIから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【図16】図16は、製剤番号XXIVから得られた膜の光学顕微鏡写真画像を示す図である−C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な記述)
本発明は、局所適用のための組成物であって、組成物中の揮発物が蒸発した後に、構造化した持続性の密着性膜をもたらし、前記膜が薬物リザーバーとして働くウエブ様構造を含有する、組成物を提供する。
【0020】
本発明はまた、適用後に構造化してウエブした膜を形成するように、爪または皮膚上に適用され得る液状組成物をも提供する。
【0021】
本発明はさらに、医療用途、化粧用途または動物用途向けの、爪または皮膚上に適用され得る液状組成物を提供する。
【0022】
発明者らは驚くべきことに、リン脂質、膜形成成分および高濃度の揮発性溶媒を含む組成物が新規な、またこれまで知られていないウエブ様構造を示す膜をもたらすことを見出した。組成物が1種又は複数の活性剤を含む場合、これらの活性剤は、活性剤(複数可)のリザーバーのように作用するウエブの一部となる。
【0023】
本発明の一実施形態において、活性剤、リン脂質、少なくとも1種の揮発性溶媒、任意に水および/またはグリコール、ならびに少なくとも1種の膜形成成分を含む組成物であって、処置される爪または皮膚に適用されてその後に揮発物が迅速に蒸発すると、ウエブ様構造を示す密着性膜が形成される、組成物が提供される。
【0024】
膜形成成分、リン脂質、他の成分、残存溶媒(複数可)および活性剤は、新規なウエブした構造の一部である。
【0025】
本発明の組成物は、溶液剤、ローション剤、低粘性ゲル剤、スプレー剤、ラッカー剤、フォーム剤、乳剤、パッチ剤、薬物リザーバー剤、懸濁剤またはクリーム剤の形態をとる、好ましくは液体である。
【0026】
本発明の組成物は、治療有効量の薬物(テルビナフィンおよびこの塩を除く)または薬剤(例えば、抗真菌剤)および薬学的/美容的に許容される不活性成分を含む。
【0027】
薬剤は、抗菌剤、老化防止剤、抗ウイルス剤、抗かび剤、抗寄生虫剤、抗炎症剤、駆虫薬、抗多毛症剤(anti hirsutism)、抗しわ剤、疼痛管理薬、吸虫駆除剤(anti−worms)、抗白癬剤(anti−ringworms)、抗いぼ剤、抗酵母剤、勃起機能不全薬、血管拡張剤、血管収縮剤、ビタミン剤、着色剤、膿痂疹処置剤、アルビノ処置薬、免疫制御剤、乾癬薬、メラニン、顔料、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、抗がん剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗ヒスタミン剤(anti histamines)、ステロイド、レチノイド、脂漏症処置薬、ざ瘡薬、アトピー性皮膚炎薬、酒さ薬、白斑薬、毛孔性角化症薬処置剤、脱毛症薬処置剤、皮膚炎薬、湿疹薬、多汗症薬、皮膚変色薬、過活動膀胱症候群薬、抗リウマチ性疼痛薬ワクチン、抗原、日焼け防止剤および他の薬物またはこれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0028】
例示的な薬剤は、例えば、5−フルオロウラシル、19−ノルテストステロン、アセタミノフェン、アシクロビル、アリトレチノイン、ポリペプチド、アルプロスタジル、抗ヒスタミン剤、アザタジン、アゼライン酸、バシトラシン、バカプレルミン、ベンゾカイン、ベンゾフェノン、過酸化ベンゾイル、ベタメタソン、ベタメタソンジプロピオネート、ベタメタソンバレレート、ボトクス、ボトクス様化合物、カフェイン、カプサイシン、セラミド、セチリジン、シメチジン、クリンダマイシン、クロベタソールプロピオネート、クロベタソンブチレート、クロトリマゾール、銅ペプチド、コルチソン、コルチコステロイド、クロタミトン、シクリジン、シプロヘプタジン、デキサメタソンNaサルフェート、ジクロフェナク、ジフルコルトロンバレレート、ジヒドロキシアセトン、ジフェンヒドラミン、ドコサノール、ドキセピン、エフロルニチン、エリトロマイシン、エストラジオール、ファモチジン、ファモチジン、脂肪酸、フェキソフェナジン、フルメタソンピバレート、グリチルリチン酸、ハロベタソール、ホルモン、ヒドロコルチソン、ヒドロコルチソン17−ブチレート、ヒドロキシジン、イブプロフェン、イミクイモド、免疫制御剤、イベルメクチン、ケトロラク、コウジ酸、リドカイン、リンダン、ロラチジン、マフェニドアセテート、マソプロコール、メラニン、メラトニン、メチルプレドニソロンアセポネート、メトロニダゾール、ミノキシジル、モメタソンフロエート、ムピロシン、ミコシネート、ナブメトン、ナドロール、ネオマイシン、ニアシナミド、ニコチン、オクチルメトキシシンナメート、オメガ酸、オキシブチニン、ペンシクロビル、ペルメトリン、ペロキシカム、フェノチアジン、ピメクロリムス、ピペラジン、ピペロニルブトキシド、ポドフリオクス(podofliox)、ポドフィルリン、ポリミキシン、プリロカイン、プロピルアミン誘導体、プロスタグランジン、ピレトリン、ランチジン、レチノイン酸、レチノイド、RNA、DNA、サリチル酸、セレニウムスルフィド、スルファジアジン銀、スルファセタミドナトリウム、ステロイド、ステロール、スルファセタミド、硫黄、タクロリムス、テストステロン、テトラサイクリン、チザニジン、トルテロジン、トリアムシノロンアセトニド、バンコマイシン、ビタミン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンD3誘導体、ビタミンE、美白剤、他の薬物およびこれらの塩または誘導体、およびこれらの組合せを含むことができる。
【0029】
爪または皮膚真菌感染症は、例えば、爪真菌症、皮膚真菌症、角質増殖皮膚疾患、脂漏性湿疹、皮膚肥厚および皮膚荒れを含むことができる。
【0030】
抗真菌剤は、シクロピロクス、アモロルフィン、グリセオフルビン、ポサコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール、ブテナフィンまたは規制当局から認可された他の局所抗真菌薬、およびホウ砂、ゲラニオール(3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−オール)、または前記の任意の組合せを含むことができる。
【0031】
さらなる実施形態において、本発明の組成物は、
a.少なくとも1種の薬物/活性剤を0.01−20%、
b.少なくとも1種の膜形成成分を0.2−15重量/重量/%、
c.少なくとも1種のリン脂質を0.2−20重量/重量/%、
d.少なくとも1種の揮発性溶媒を50−85重量/重量/%、
e.水を0−40重量/重量/%、
f.アルカリ(塩基性の)分子を0−10%、
g.グリコール、トレハロース、PCA、NaPCAなどの親水剤を0−30%、
h.以下に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびアンモニアのような薬学的に許容される塩基から選択される塩基を0−10%、
i.必要に応じて、以下に限定されないが、可塑剤、エモリエント剤、日焼け防止剤、顔料、抗酸化剤、安定剤、着香剤などのような薬学的に許容される他の賦形剤を0−5%、
を含む。
【0032】
リン脂質は、例えば大豆レシチン、卵レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、合成リン脂質、PEG化(PEG−ylated)リン脂質、リン酸化脂質、リン酸化ビタミンEおよびこれらの混合物から選択されてよい。
【0033】
本発明の組成物中におけるリン脂質の濃度は、0.2−10%の範囲が好ましい。
【0034】
膜形成成分は、例えば、エチルセルロース、ポリ[メチルビニルエーテル/マレイン酸]コポリマーのエステル、PVP、PVA、PVP/PVAの組合せ、カチオン性セルロースポリマー、キトサン、キトサン誘導体、ポリアクリレート、オイドラギット、他の薬学的に許容されるポリマーまたはこれらの組合せから選択されてよい。
【0035】
本発明の組成物中における膜形成成分は、0.2−15%の範囲とすることができ、好ましくは0.5−5%の範囲とすることができ、より好ましくは0.5−2%の範囲とすることができる。
【0036】
一実施形態において、組成物はセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、PVPなどから選択される親水性の膜形成成分を含む。いくつかの実施形態において、膜形成成分は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの非イオン性の水溶性セルロースエーテルを含み、該セルロースエーテルの例は、Hercules Inc.社(Wilmington、DE)によって米国で販売されているヒドロキシプロピルセルロースであるKlucel(登録商標)、例えば、Klucel(登録商標)HFを含む。
【0037】
揮発性溶媒は、酢酸エチル、C2−C4アルコール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールおよびブタノール(これ以降、「アルコール(単数)」または「アルコール(複数)」とする)およびこれらの組合せから好ましく選択される。
【0038】
本発明の組成物に使用され得るグリコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラグリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびグリコールエステルもしくは(エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのような)グリコールエーテル、または薬学的に許容される他のグリコール(これ以降、「グリコール(単数)」または「グリコール(複数)」という)およびこれらの組合せから好ましく選択される。プロピレングリコールは好ましいグリコールの1つである。グリコール濃度は(例えば、プロピレングリコール濃度)は、約5重量%から約20重量%、例えば約5重量%から約15重量%(例えば約13重量%)が好ましい。
【0039】
組成物中におけるすべての揮発物の総濃度は高いことが望ましく、迅速な乾燥時間および膜形成につながる。
【0040】
組成物中における揮発物の濃度は、例えば、50−95%の範囲とすることができ、好ましくは60−90%であり、より好ましくは65−85%である。
【0041】
別の実施形態において、組成物はリン脂質、エタノールおよび水、膜形成成分、少なくとも1種の活性剤、および任意に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む。
【0042】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物はリン脂質、エタノール、グリコールおよび水、膜形成成分、活性剤、任意に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む。
【0043】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物はリン脂質、エタノール、水、親水性の膜形成ポリマー、少なくとも1種の活性剤、および任意に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような塩基を含む。
【0044】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物はリン脂質、エタノールおよび水、親水性の膜形成ポリマー、活性剤、任意にグリコールおよび任意に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む。
【0045】
本発明の組成物中における活性剤の濃度は、0.01から20%の範囲とすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、本発明は、処置された爪領域および皮膚領域上にリン脂質のウエブ様構造を含む膜をもたらし、こうして処置の有用性を改善する爪および皮膚ラッカーを提供する。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、様々な皮膚障害によって悩まされている皮膚領域および粘膜領域上に、密封性の構造化された膜を形成して、前記皮膚障害の処置を向上させる組成物を提供する。前記処置方法によって処置するために適した皮膚障害は、乾癬、湿疹、ざ瘡、真菌性感染症、アトピー性皮膚炎、免疫システム疾患、抗菌性感染症、ウイルス性感染症、いぼ、膿痂疹、皮膚変色、がん、皮膚炎、炎症、多汗症、脱毛症、爪真菌症、酒さ、疼痛、アレルギーまたは静脈瘤から選択される。
【0048】
処置に適した爪または皮膚真菌感染症は、例えば、爪真菌症、皮膚真菌症、角質増殖皮膚疾患、脂漏性湿疹、ウイルス性感染症、膿痂疹、炎症、いぼ、皮膚肥厚および皮膚荒れを含む。
【0049】
本発明の組成物中における好ましい活性剤は、リドカインまたはリドカインHClである。
【0050】
好ましいリドカインの局所用組成物は、5%のリドカイン、2%のリン脂質、0.5−1.5%のKlucel(登録商標)HF、65%のエタノール96、0−30%の酢酸エチル、0−10%のプロピレングリコールおよび水で100%になるものを含む。
【0051】
別の好ましいリドカインの局所用組成物は、7%のリドカインHCl、3−6%のリン脂質、0.3−1.5%のKlucel(登録商標)HF、60−85%のエタノール、0.3%のビタミンE、0−20%のプロピレングリコールおよび水で100%になるものを含む。
【0052】
好ましいチザニジンHCl局所用組成物は、5%のチザニジンHCl、4%のリン脂質、0.5−1.5%のヒドロキシプロピルエチルセルロース、60−75%のエタノール96、0−13%のイソプロピルアルコール、および水で100%になるものを含む。
【0053】
本発明の組成物中におけるシクロピロクスの濃度は、好ましくは0.1%から20%の範囲であり、より好ましくは1%から15%の範囲である。
【0054】
本発明の組成物中におけるグリセオフルビンの濃度は、好ましくは0.1%から20%の範囲であり、より好ましくは1%から15%の範囲である。
【0055】
本発明の組成物中におけるアモロルフィンの濃度は、好ましくは0.1%から20%の範囲であり、より好ましくは1%から15%の範囲である。
【0056】
本発明の組成物中におけるポサコナゾールの濃度は、好ましくは0.1%から20%の範囲であり、より好ましくは1%から15%の範囲である。
【0057】
本発明の組成物によって処置される爪および皮膚障害は、真菌、酵母およびかびである。
【0058】
本発明の追加的な実施形態において、爪または皮膚の罹患した領域に、溶液剤、ローション剤、ゲル剤、フォーム剤、クリーム剤、スプレー剤またはスプレーラッカー剤として、本発明の組成物が局所投与され、これによって適用後に膜に薬物リザーバーを生じるリン脂質−ポリマー構造を示す膜が、爪又は皮膚の上に形成されることによって、爪および皮膚真菌感染症を処置する方法を提供する。
【0059】
本発明の好ましい実施形態において、組成物は、刷毛、へら、ピペット、アプリケーター、定量スプレーもしくは定量噴霧器(mist)、スポンジまたはパッチを用いて、皮膚または爪の上に均一に適用するための局所用溶液である。
【0060】
組成物中の揮発物は、適用後に好ましくは迅速に蒸発し、適用部位に薬物(複数可)を放出するリン脂質で構造化されたリザーバーを含有し、適用された表面上に存在する薄い密着性膜を爪上に残す。
【0061】
適用は、医師の指示通りに1日1回から多回で行われてよく、また繰り返されてよい。組成物は、爪板全体および周囲の皮膚5mm上に均一に適用されるべきである。可能な場合、爪床に適用されるべきであり、また爪床がない場合、爪板の表面の下に適用されるべきである。翌日、前日の被膜上または清浄された爪板上に、追加の適用が行われる。
【0062】
ヘルスケア専門医による、付着していない感染した爪の除去が、月1回の頻度で必要となる場合がある。前記組成物が有効であれば、優れた結果を伴って処置期間の短縮が可能である。
【0063】
明確にするために、個々の実施形態の文脈において説明されている本発明のある特徴はまた、単一の実施形態において、組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈において説明されている本発明の様々な特徴はまた、個別に提供されてよく、または任意の適切な一部組合せ(subcombination)において提供されてよい。
【0064】
本発明は、これらの特定の実施形態と併せて説明されるが、多くの代替、修正および変形が、当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広範囲に入るこのような代替、修正および変形のすべてを包含すると
意図されている。
【0065】
(実施例)
以下の実施例が本発明をさらに例示するが、当然ながら、その範囲を何ら制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0066】
製剤番号Iおよび比較製剤番号IIの組成物を、以下の表1において詳述する。
【0067】
【表1】

【0068】
リン脂質およびヒドロキシプロピルセルロース(Klucel HF)を含有する製剤番号I(蛍光顕微鏡図1および光学顕微鏡図3)、ならびにリン脂質を含有しなかった製剤番号IIの比較。リン脂質を含有する製剤番号Iのみが、ウエブ様構造を含有する膜を生じた一方、リン脂質を欠いている製剤番号IIは膜を生じなかったことがわかる。
【0069】
製剤番号I−調製方法
密閉容器において、リン脂質をエタノールに溶解した。ステンレススチール製の「自家製の」Pitched Propeller Blade Impeller(直径6cm)を備えたHeidolph RZR−2000 Mechanical Overhead Stirrerを用いて、700RPMにて混合しながら、上記溶液に水を添加した。
【0070】
Pitched Propeller Bladeを備えたHeidolph RZR−2000 Stirrerによって700RPMにて連続混合しながら、上記組成物にヒドロキシプロピルセルロースを素早く分散させた。該組成物を12時間静置した。
【0071】
Pitched Propeller Bladeを備えたHeildolph RZR−2000 Stirrerによって700RPMにて組成物を完全に混合した。
【0072】
爪または皮膚に適用するために得られた溶液は、適用された領域に粘着性の膜を生じる。
【0073】
スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡およびCLSMによって観察した。
【0074】
C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。
【0075】
プローブにフルオレセインDHPE(N−(フルオレセイン−5−チオカルバモイル)−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、トリエチルアンモニウム塩)Invitrogen(商標)を用いたOlympus Fluoview 1XLO Confocal Laser Scanning Microscopeによって、蛍光画像化を行った。
【実施例2】
【0076】
【表2】

【0077】
製剤番号IIIの調製方法
密閉容器において、700RPMにて連続混合しながら、リン脂質、リドカインおよびビタミンEを、エタノール−プロピレングリコール混合物に溶解した。連続混合しながら水を加えた。700RPMにて15分間、連続混合しながら、上記組成物にヒドロキシプロピルセルロースを分散させた。該組成物をおよそ翌日まで静置し、次いで10分間再混合した。澄んだ同型遺伝子の製剤が得られた。
【0078】
スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察される(図5)。
【実施例3】
【0079】
【表3】

【0080】
製剤番号IVおよびNo.Vの調製方法
密閉容器において、700RPMにて連続混合しながら、リン脂質およびビタミンEをエタノール−プロピレングリコール混合物に溶解した。リドカインHClを水に溶解して、連続混合しながら、該水溶液を上記溶媒混合物に添加した。700RPMにて15分間、連続混合しながら、上記組成物にヒドロキシプロピルセルロースを分散させた。該組成物を翌日まで静置し、次いで10分間再混合した。澄んだ均一製剤が得られた。
【実施例4】
【0081】
【表4】

【実施例5】
【0082】
【表5】

【実施例6】
【0083】
【表6】

【実施例7】
【0084】
【表7】

【実施例8】
【0085】
【表8】

【実施例9】
【0086】
【表9】

【実施例10】
【0087】
【表10】

【実施例11】
【0088】
【表11】

【実施例12】
【0089】
【表12】

【実施例13】
【0090】
【表13】

【0091】
製剤番号XIVは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(図6)。
【実施例14】
【0092】
【表14】

【0093】
製剤番号XVは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(図7)。
【実施例15】
【0094】
【表15】

【0095】
製剤番号XVIは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(図8)。
【実施例16】
【0096】
【表16】

【0097】
製剤番号XVIIは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(図9)。
【実施例17】
【0098】
【表17】

【0099】
製剤No XVIIIは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(図10)。
【実施例18】
【0100】
【表18】

【0101】
製剤番号XIXは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(図11)。
【実施例19】
【0102】
【表19】

【0103】
製剤番号XXおよびNo.XXIは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が、製剤XX(図12)および製剤XXI(図13)について観察された。
【実施例20】
【0104】
【表20】

【0105】
製剤番号XXIIは、上記方法に従って調製した。スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(図14)。
【実施例21】
【0106】
【表21】

【0107】
製剤番号XXIIおよびNo.XXIVの調製方法
密閉容器において、Pitched Propeller Bladeを備えたHeidolph RZR−2000撹拌器によって、700RPMにて連続混合しながら、エタノールおよび(存在する場合)プロピレングリコールにリン脂質を溶解した。700RPMにて連続混合しながら、上記組成物にKlucelを素早く分散させた。該組成物を約12時間静置し、次いで完全に混合した。
【0108】
スライドガラス上に上記製剤を1滴適用して広げ、溶媒の蒸発および膜形成ができるように室温において放置した。該スライドを光学顕微鏡によって観察した。C−マウントによってビデオカメラ、TVスクリーンおよびPCに接続した顕微鏡(Axioscope、Zeiss社)を用いて、光学顕微鏡の画像化を評価した。ウエブ様構造を含有する膜が観察された(製剤XXIIIは図15、および製剤XXIVは図16)。
【実施例22】
【0109】
本実施例は、切り取った爪の上に本発明の組成物を適用した後、爪によって保持された薬物量を見積もるためのプロトコールを説明する。
実験プロトコール
1.(健康な成人男性から切り取った)約10mgの爪片を4サンプル秤量する。
2.各爪サンプルを顕微鏡ガラススライド上に置き、各被試験製剤約30mgを爪の上に加える。
3.該スライドにカバーをしないで、室温において約24時間放置する。
4.ピンセットを用いることによって、エッペンドルフに爪サンプルを導入して、50%エタノールを1.5ml用いてボルテックスすることによって、除去というよりも爪を洗浄し、ボルテックスすることによって蒸留水1.5ml中において再洗浄する。
5.ピンセットを用いて爪片を取り出して、ろ紙上に置き、これらが乾燥して見えるまでキムワイプを用いて拭く。
6.ピンセットを用いることによって、各サンプルを0.5mlの安全ロック付きエッペンドルフに入れ、0.5mlのACN:MeOH:水の混合物を加える。
7.抽出するために24時間、振盪する。
8.ピンセットを用いることによって爪を抜き取り、抽出物を5000RPMにて15分間遠心分離にかける。上澄み液400μlを抜き取り、これを0.5mlのエッペンドルフに入れる。
9.Acrodisk GHP0.45μに通して、安全ロック付きエッペンドル中にろ過する。
10.サンプルをHPLCに注入する。
【0110】
本明細書中において引用された刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、あたかも各参考文献が個々および具体的に示されて参照により組み込まれているかのごとく、およびその全体が本明細書中に記載されているかのごとく、同じ程度において、参照により本明細書中に組み込まれる。さらに、本明細書における、いかなる参考文献の引用または特定も、このような参考文献が本発明に関する先行技術としてふさわしいと認められたものとして解釈されるべきではない。
【0111】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」および「an」および「the」という用語および類似の指示語の使用は、本明細書中において特に指摘がない限り、または明確に文脈と矛盾しない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈されるべきである。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「包含する(containing)」という用語は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「を含むが、限定されない」と意味する)として解釈されるべきである。本明細書中の数値範囲の記述は、本明細書中において特に指摘がない限り、その範囲内に該当する各個別の値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすと単に意図され、各個別の値は本明細書中において、個々に列挙されているかのごとく本明細書中に組み込まれる。本明細書中において説明されるすべての方法は、本明細書中に特に指摘がない限り、または明確に文脈と矛盾しない限り、いかなる適切な順序で行うことができる。本明細書中において提供されるあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図しており、本発明の範囲に制限を設けるものではない。本明細書中におけるいかなる言い回しも、本発明の実施に必須なものとして特許請求されていないいかなる要素をも示すものとして解釈されるべきではない。
【0112】
本明細書中において、本発明を実施するために本発明者に公知の最良の形態を含めた本発明の好ましい実施形態が記載される。上記説明を一読すれば、これらの好ましい実施形態の変形が、当業者には明らかとなり得る。本発明者らは、熟練者が必要に応じて、このような変形を用いることを予期しており、また本明細書中において具体的に記載される以外の方法で発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は準拠法によって許されているように、本明細書に添付の特許請求の範囲において列挙されている主題の修正および均等物をすべて含む。さらに、これらすべての可能な変形において、特に指摘がない限り、または明確に文脈と矛盾しない限り、上記の要素の任意の組合せが本発明によって包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の活性剤(テルビナフィンおよびこの塩を除く)を0.01−20%、1種以上のリン脂質を0.2−20%、酢酸エチル、C2−C4アルコールまたはこれらの組合せから選択される揮発性溶媒を50−85%、水を0−40%、グリコールを0−30%、膜形成成分を0.2−15%、および任意に、薬学的に許容される他の成分を0−5%含み、揮発物の蒸発後、処置された爪表面または皮膚表面に、持続性の膜が形成され、前記膜が活性剤(複数可)を含むウエブ様構造を示す、ヒトまたは動物における爪または皮膚の障害を処置するための局所用組成物。
【請求項2】
前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラグリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびグリコールエステルもしくはエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル、または薬学的に許容される他のグリコールおよびこれらの組合せから選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の活性剤が、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗かび剤、抗寄生虫剤、吸虫駆除剤、抗白癬剤、抗いぼ剤、抗酵母剤、血管拡張剤、血管収縮剤、ビタミン剤、膿痂疹処置剤、免疫制御剤、抗乾癬薬、メラニン、顔料、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、抗がん剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド、レチノイド、抗ざ瘡薬、アトピー性皮膚炎薬、酒さ薬、毛孔性角化症薬、皮膚炎薬、抗湿疹薬、抗多汗症薬、皮膚変色薬およびこれらの組合せから選択される、請求項1の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の活性剤が、シクロピロクス、アモロルフィン、グリセオフルビン、ポサコナゾール、イトラコナゾール、エコナゾール、ブテナフィン、ホウ砂、ゲラニオールおよびこれらの組合せから選択される、請求項1の組成物。
【請求項5】
爪真菌感染症または皮膚真菌感染症が、爪真菌症、皮膚真菌症、角質増殖皮膚疾患、脂漏性湿疹、ウイルス性感染症、膿痂疹、炎症、いぼ、皮膚肥厚、皮膚荒れおよびこれらの組合せから選択される、請求項1の組成物。
【請求項6】
爪真菌感染症または皮膚真菌感染症が、カンジダ(candida)、トリコフィトン・ルブルム(trychophyton rubrum)、トリコフィトン・インテルジギタレ(trichophyton interdigitale)、エピデルモフィトン・フロッコスム(epidermophyton floccosum)、トリコフィトン・ビオラセウム(trichophyton violaceum)、ミクロスポルム・ギプセウム(microsporum gypseum)、トリコフィトン・トンスランス(trichophyton tonsurans)、トリコフィトン・ソウダネンセ(trichophyton soudanense)、トリコフィトン・ベルコースム(trichophyton verrucosum)、ネオスキュタリディウム(neoscytalidium)、スコプラリオプシス(scopulariopsis)、アスペルギルルス(aspergillus)またはこれらの組合せから選択される微生物を含めた、皮膚糸状菌、非皮膚糸状かび菌、酵母菌、かびまたは細菌によって引き起こされる、請求項1の組成物。
【請求項7】
リン脂質が、大豆レシチン、卵レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、合成リン脂質、PEG化リン脂質、リン酸化脂質、リン酸化ビタミンEおよびこれらの混合物から選択される、請求項1の組成物。
【請求項8】
任意の薬学的に許容される他の成分が、グリコール、トレハロース、PCA、NaPCA、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミンおよびアンモニアのような薬学的に許容される塩基から選択される塩基、ホウ砂、可塑剤、エモリエント剤、日焼け防止剤、顔料、抗酸化剤、安定剤、着香剤およびこれらの組合せから選択される、請求項1の組成物。
【請求項9】
膜構造が、図1、図3または図5において例示されるとおりである、請求項1の組成物。
【請求項10】
膜形成成分が、セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、PVPおよびこれらの組合せから選択される親水性の膜形成成分から選択される、請求項1の組成物。
【請求項11】
膜形成成分が、エチルセルロース、ポリ[メチルビニルエーテル/マレイン酸]コポリマーのエステル、PVA、PVP/PVAの組合せ、カチオン性セルロースポリマー、キトサン、キトサン誘導体、ポリアクリレート、オイドラギットおよびこれらの組合せから選択される、請求項1の組成物。
【請求項12】
溶液剤、ローション剤、ゲル剤、フォーム剤、パッチ剤、クリーム剤、スプレー剤およびスプレーラッカー剤から選択される、薬学的に許容される投与形態の形態である、請求項1の組成物。
【請求項13】
以下の化合物:
a.シクロピロクス、アモロルフィン、グリセオフルビン、ポサコナゾール、ブテナフィン、イトラコナゾールまたは他の承認済みの抗真菌薬およびこれらの組合せから選択される抗真菌薬を0.01−20%、
b.1種以上のリン脂質を0.2−20重量/重量/%、
c.エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、酢酸エチルおよびこれらの組合せから選択される揮発性溶媒を50−85%、
d.エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラグリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびグリコールエステルもしくはエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル、または薬学的に許容される他のグリコールおよびこれらの組合せから選択されるグリコールを0−30%、
e.セルロース誘導体、ポリ[メチルビニルエーテル/マレイン酸]コポリマーのブチルモノエステル、PVP、PVA、オイドラギット、薬学的に許容される他のポリマーおよびこれらの組合せから選択される膜形成成分を0.2−15%、
f.水を0−40%、
g.水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアホウ砂およびこれらの組合せから選択される塩基の0.5Nから1.0Nの水溶液を0−10%、および
h.可塑剤、エモリエント剤、日焼け防止剤、顔料、抗酸化剤、安定剤、着香剤およびこれらの組合せから選択される薬学的に許容される他の賦形剤を0−5%
含む、請求項1の組成物。
【請求項14】
局所用溶液剤またはスプレー剤の形態の、これによって、前記溶液剤またはスプレー剤が、刷毛または定量噴霧装置を用いて、爪または皮膚表面に適用することが可能となり、これによって乾燥させると膜を形成する、請求項1の組成物。
【請求項15】
治療有効用量の請求項1の組成物を爪または皮膚に適用すること、および組成物を乾燥させて、これによって膜を形成することを含む、処置を必要とするヒトにおける、爪真菌感染症または皮膚真菌感染症を処置する方法。
【請求項16】
罹患した爪または皮膚を請求項1の組成物に接触させ、これによって、爪または皮膚上に密封性の膜を形成することを含む、爪または皮膚の障害を処置する方法。
【請求項17】
分注装置およびこの中に含まれる請求項1から14のいずれか一項の組成物を含む製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−516320(P2012−516320A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546993(P2011−546993)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000171
【国際公開番号】WO2010/086726
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(510114859)イッスム リサーチ デベロプメント カンパニー オブ ザ ヘブライ ユニバーシティ オブ エルサレム リミテッド (3)
【Fターム(参考)】