説明

牡蛎殻移送設備

【課題】移送中に牡蛎処理場やその周囲を汚さず、大きなスペースを必要としない牡蛎殻移送設備を提供する。
【解決手段】牡蛎殻Kが投入されるホッパー11に回転自在に設けた回転翼12と固定片13とで、牡蛎殻Kを打ち割る打割機10と、打割機10の直下に設けられ、上端開口部23aを有する円筒壁23に上流壁24と下流壁25を設けた収納体21の内部に回転中心軸26を前後方向に設け、回転中心軸26に断面放射状に複数の回転歯27を設けて、回転歯27と収納体21との間に複数の凹所22を形成し、上流壁24の下部に、エアー吹込口24aを形成すると共に、下流壁25の下部に送出口25aを形成した送込機20と、エアー吹込口24aにエアーを送り込むブロアー30と、前記送出口25aからエアーによって送り出される牡蛎殻Kを、牡蛎殻エアー分離減圧タンク2を介して前記搬送車1まで案内するホース40と、で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牡蛎から身を取り出す牡蛎処理場で、身を取り出した後の牡蛎殻をダンプカーまで移送する牡蛎殻移送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牡蛎処理場において牡蛎から身を取り出した後の牡蛎殻は、そこからダンプカーなどの搬送車まで、ベルトコンベヤによって移送している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、牡蛎処理場から搬送車までベルトコンベヤを設置し、そのベルトコンベヤによって移送すると、移送中の牡蛎殻がベルトコンベヤから落下し、牡蛎処理場やその周囲を汚してしまう。また、ベルトコンベヤを設置するためには大きなスペースを必要とするので、その分、牡蛎処理場やその周囲が狭くなるといった問題がある。
【0004】
本発明は、こうした問題に鑑み創案されたもので、移送中に牡蛎処理場やその周囲を汚すことなく、また、大きなスペースを必要としない牡蛎殻移送設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図1乃至図5を参照して説明する。請求項1に記載の牡蛎殻移送設備は、牡蛎から身を取り出した後の牡蛎殻Kを、搬送車1まで移送する設備であって、牡蛎殻Kが投入されるホッパー11の底部に回転自在に設けた回転翼12と固定片13とで、前記牡蛎殻Kを打ち割る打割機10と、前記打割機10の直下に設けられ、上端開口部23aを有する円筒壁23に上流壁24と下流壁25を設けた収納体21の内部に回転中心軸26を前後方向に設け、当該回転中心軸26に断面放射状に複数の回転歯27を設けて、当該回転歯27と前記収納体21との間に複数の凹所22を形成し、前記上流壁24の下部に、エアー吹込口24aを形成すると共に、前記下流壁25の下部に送出口25aを形成した送込機20と、前記エアー吹込口24aにエアーを送り込むブロアー30と、前記送出口25aからエアーによって送り出される牡蛎殻Kを、牡蛎殻エアー分離減圧タンク2を介して前記搬送車1まで案内するホース40と、からなるものである。
【0006】
請求項2に記載の牡蛎殻移送設備は、牡蛎から身を取り出した後の牡蛎殻Kを、搬送車1まで移送する設備であって、牡蛎殻Kが投入されるホッパー11の底部に回転自在に設けた回転翼12と固定片13とで、前記牡蛎殻Kを打ち割る打割機10と、前記打割機10の直下に設けられ、上端開口部23aを有する円筒壁23に上流壁24と下流壁25を設けた収納体21の内部に回転中心軸26を前後方向に設け、当該回転中心軸26に断面放射状に複数の回転歯27を設けて、当該回転歯27と前記収納体21との間に複数の凹所22を形成し、前記上流壁24の下部に、エアー吹込口24aを形成すると共に、前記下流壁25の下部に送出口25aを形成した送込機20と、前記エアー吹込口24aにエアーを送り込むブロアー30と、前記送出口25aからエアーによって送り出される牡蛎殻Kを、牡蛎殻エアー分離減圧タンク2を介して前記搬送車1まで案内するホース40と、からなるものである。また、前記回転歯27を、上流から下流に向かって、回転方向と逆の方向に捻れた捻れ歯27bにしてある。
【0007】
請求項3に記載の牡蛎殻移送設備は、請求項1または2に記載の発明において、打割機10の回転翼12を、前後方向に回転自在に設けられた回転水平軸14に交差する姿勢で略等間隔に複数並列設して、回転歯27と同一垂直面に沿って回転させ、固定片13を、前後水平方向に略等間隔で複数並列設し、前記各回転翼12を、隣接する二つの固定片13の間で回転させてなる。なお、ここで言う「同一垂直面」とは、文字どおりの同一垂直面のみでなく、当該同一垂直面と平行な垂直面を意味する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の牡蛎殻移送設備は、身を取り出した後の牡蛎殻Kをホッパー11に投入するのみで、周囲を汚すことなく、搬送車1まで移送することができる。
【0009】
すなわち、牡蛎殻Kを打割機10のホッパー11に投入すると、その牡蛎殻Kは回転する回転翼12と固定片13に挟まれて打ち割られて、送込機20の上端開口部23aから、収納体21の上部に位置する凹所22に落下する。そして、この牡蛎殻Kは、回転中心軸26と回転歯27が回転して、当該凹部が収納体21の下部に位置した時点で、ブロワーから送られてくるエアーによって下流側に流され、送出口25aを出た後、ホース40を通過して減圧タンク2の落下口3を介して搬送車1まで移送される。この間、牡蛎殻Kは、周囲が閉鎖された構造の送込機20およびホース40を通過するので、移送中に落下せず、よって周囲を汚さない。また、減圧タンク2中の大部分のエアーは、排気パイプ4を介して排出されると共に、エアーの一部は落下口3を経て牡蛎殻Kと共に放出される。
【0010】
また、この牡蛎殻移送設備は、ホース40を使用しているので、従来のベルトコンベアと比較して場所を取らず、従って、大きな設置スペースを必要としない。
【0011】
なお、ブロワーから送られてくるエアーは、収納体21の下部に位置する凹所22のみに送られ、上方に位置する凹所22には、回転歯27によってエアーの侵入が阻止される。従って、エアーの圧力は効果的に下部に位置する凹所22に作用し、牡蛎殻Kを円滑に搬送車1まで移送することができる。同時に、エアーが、収納体21の上端開口部23aから吹き出して、打ち割られた牡蛎殻Kを周囲に飛散させることもない。
【0012】
なお、牡蛎殻Kは、回転翼12と固定片13によって2つ割り位に大型に打ち割られた後に移送されるので、各牡蛎殻Kの重量が軽くなり、よって容易に搬送車1まで運ばれる。
【0013】
請求項2に記載の牡蛎殻移送設備は、請求項1に記載の発明と同様に、牡蛎殻Kを、周囲を汚すことなく搬送車1まで移送することができると共に、設置スペースも小さくて済む。
【0014】
また、回転歯27を、上流から下流に向かって、回転方向と逆の方向に捻れた捻れ歯27bとしたので、牡蛎殻Kをより効果的に搬送車1まで搬送することができる。すなわち、回転歯27を捻れ歯27bとすることにより、当該回転歯27が回転することによって上流から下流に向けて下降する傾斜面Sを形成するので、牡蛎殻Kはこの傾斜面Sを滑るようにして移動することができるからである。
【0015】
請求項3に記載の牡蛎殻移送設備は、打割機10の回転翼12を、前後方向に回転自在に設けられた回転水平軸14に交差する姿勢で略等間隔に複数並列設して、回転歯27と同一垂直面に沿って回転させるので、回転翼12と固定片13とで打ち割った牡蛎殻Kが、収納体21の凹所22に確実に落下して、周囲を汚すことがない。
【0016】
すなわち、回転翼12と固定片13によって打ち割られた牡蛎殻Kは、その回転翼12の回転方向へ飛散するが、この方向は回転歯27の回転方向と同一垂直面に沿っているので、当該牡蛎殻Kは収納壁の上流壁24や下流壁25の方向に飛散することなく、凹所22の中に正確に落下する。また、この凹所22を飛び越えても、隣接する凹所22に落下する。
【0017】
ちなみに、回転翼12を、回転歯27の回転方向と直交する垂直面に沿って回転させると、打ち割られた牡蛎殻Kは収納体21の上流壁24や下流壁25の方向に飛散し、当該上流壁24や下流壁25を飛び越えて周囲を汚す可能性がある。本発明は、こうした事態を未然に防止することができる。
【0018】
また、複数の回転翼12と複数の固定片13とで牡蛎殻Kを打ち割るので、作業効率に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る牡蛎殻移送設備の実施形態を、図1乃至図4に示す。これは、牡蛎から身を取り出した後の牡蛎殻Kを、ダンプカーなどの搬送車1まで移送する設備であって、打割機10、送込機20、ブロアー30およびホース40、サイクロン式の牡蛎殻エアー分離減圧タンク2とで構成される。
【0020】
打割機10は、牡蛎殻Kが投入されるホッパー11の底部に、左右方向に水平に、かつ、回転自在に設けた回転水平軸14に固定したt略棒状の複数の回転翼12と、その回転翼12との間に所定の隙間Gを空けて取り付けた複数の固定片13を備える。なお、回転水平軸14は、モーター(図示せず)によって回転させる。
【0021】
送込機20は、打割機10の直下に設けられ、上端開口部23aを有する円筒壁23に上流壁24と下流壁25を設けた収納体21の内部に、回転中心軸26を前後方向に水平に設けている。また、当該回転中心軸26に、断面放射状に複数の回転歯27を等間隔に設けて、当該回転歯27と収納体21との間に複数の凹所22を形成している。さらに、上流壁24の下部に、エアー吹込口24aを形成すると共に、下流壁25の下部に送出口25aを形成している。なお、本実施形態における回転歯27は、その上流から下流まで直線状の直線歯27aとしている。
【0022】
ブロアー30は、収納体21のエアー吹込口24aにエアーAを送り込むものであり、収納体21の前側に設けている。そして、ホース40は、前端部が送出口25aに連結され、後端部が搬送車1まで達する長さを有する。このホース40は、内径120mm程度で、柔軟性に富む樹脂製である。
【0023】
この牡蛎殻移送設備は次のように作用する。まず、身を取り出した後の牡蛎殻Kを、打割機10のホッパー11に投入する。投入された牡蛎殻Kは、モーターによって回転する回転翼12と、固定片13との間の隙間Sに挟まれるようにして2つ割り位の大型に打ち割られた後、その自重により送込機20の上位に位置する凹所22に落下する。凹所22に落下した牡蛎殻Kは、回転中心軸26および回転歯27が回転するに伴い、凹所22と共に送込機20の下部に移動する。
【0024】
ここで、この凹所22には、ブロアー30からのエアーがエアー吹込口24aを介して供給されるため、当該エアーの圧力によって下流に移動し、送出口25aから排出される。排出された牡蛎殻Kは、ホース40を通過してそのまま搬送車1まで移送される。この牡蛎殻Kは、打割機10によって打ち割られており、エアーAの圧力によって容易に減圧タンク2を介して搬送車1まで移送される。
【0025】
なお、送込機20の下部に位置する凹所22にエアーが供給されている間、当該エアーは、回転歯27および収納体21によって遮断された状態にあるので、送込機20の上部に位置する凹所22には侵入しない。従って、上部の凹所22に透過された牡蛎殻Kを周囲に飛散させることがない。また、当該エアーは、下部の凹所22のみに供給されるので、エアーの圧力を効果的に牡蛎殻Kに作用させることができ、当該牡蛎殻Kを効率的に送り出すことができる。
【0026】
本実施形態における牡蛎殻移送設備は、牡蛎殻Kを閉鎖構造の送込機20およびホース40並びに減圧タンク2を介して搬送車1まで移送するので、周囲に飛散させ、汚すことがない。また、ホース40は、ベルトコンベアーと比較して小型であるため設置スペースを小さくすることができる。また、柔軟性のあるホース40を使用することにより、自在に曲折させることができるので、牡蛎処理場のスペースをさらに有効利用することができる。
【0027】
なお、図5に示すように、送込機20の回転歯27は、直線状の直線歯27aの他に、上流から下流に向けて、当該回転歯27の回転方向とは逆方向に捻れた捻れ歯27bとすることができる。例えば、回転歯27が反時計回り方向に回転するものであれば、時計回り方向に捻れたものとすることができる。これによって、回転歯27(捻れ歯27b)が反時計回り方向に回転することによって、上流から下流に向けて下降する傾斜面Sを形成するので、牡蛎殻Kはこの傾斜面Sを滑るように通過して送出口25aからホース40および搬送車1まで一気に移送される。
【0028】
また、本実施形態では、打割機10の回転翼12を、前後方向に回転自在に設けられた回転水平軸14に交差する姿勢で等間隔に複数並列設して、回転歯27と同一垂直面に沿って回転させている。これによって、打ち割った牡蛎殻Kを、周囲に飛散させることなく、凹所22に確実に落下させている。また、固定片13を、前後水平方向に略等間隔で複数並列設し、各回転翼12を、隣接する二つの固定片13の間で回転させている。これによって、一度に多くの牡蛎殻Kを打ち割ることができるので、作業効率を向上させることができる。
【0029】
なお、本発明に係る牡蛎殻移送設備は、それぞれの凹所22に牡蛎殻Kを投入するようにしても良いが、例えば、一つ置きの凹所22に投入することによって、牡蛎殻Kとエアーを交互に送り出すことができる。これにより、ホース40の中を、牡蛎殻Kの塊が間隔をあけながら送られるので、より円滑に搬送車1まで移送される。これは、例えば、ホッパー11から凹所22に送られる牡蛎殻Kの量との比較で、凹所22の回転を速くすることによって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る牡蛎殻移送設備の実施形態を示す全体側面構成図である。
【図2】図1に示す牡蛎殻移送設備のX−X線断面図である。
【図3】図1に示す牡蛎殻移送設備のY−Y線平面図である。
【図4】図1に示す牡蛎殻移送設備のZ−Z線断面図である。
【図5】本発明に係る牡蛎殻移送設備の他の実施形態における送込機を示す側面構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1 搬送車
2 減圧タンク
3 落下口
4 排気パイプ
10 打割機
11 ホッパー
12 回転翼
13 固定片
14 水平回転軸
20 送込機
21 収納体
22 凹所
23 円筒壁
23a 上端開口部
24 上流壁
24a エアー吹込口
25 下流壁
25a 送出口
26 回転中心軸
27 回転歯
27a 直線歯
27b 捻れ歯
30 ブロアー
40 ホース
A エアー
G 隙間
K 牡蛎殻
S 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牡蛎から身を取り出した後の牡蛎殻(K)を,搬送車(1)まで移送する設備であって、牡蛎殻が投入されるホッパー(11)の底部に回転自在に設けた回転翼(12)と固定片(13)とで,前記牡蛎殻を打ち割る打割機(10)と、前記打割機の直下に設けられ,上端開口部(22)を有する円筒壁(23)に上流壁(24)と下流壁(25)を設けた収納体(21)の内部に回転中心軸(26)を前後方向に設け,該回転中心軸に断面放射状に複数の回転歯(27)を設けて,該回転歯と前記収納体との間に複数の凹所(28)を形成し,前記上流壁の下部に,エアー吹込口(24a)を形成すると共に,前記下流壁の下部に送出口(25a)を形成した送込機(20)と、前記エアー吹込口にエアーを送り込むブロアー(30)と、前記送出口からエアーによって送り出される牡蛎殻を牡蛎殻エアー分離減圧タンク(2)を介して前記搬送車まで案内するホース(40)と、からなる牡蛎殻移送設備。
【請求項2】
牡蛎から身を取り出した後の牡蛎殻(K)を,搬送車(1)まで移送する設備であって、牡蛎殻が投入されるホッパー(11)の底部に回転自在に設けた回転翼(12)と固定片(13)とで,前記牡蛎殻を打ち割る打割機(10)と、前記打割機の直下に設けられ,上端開口部(22)を有する円筒壁(23)に上流壁(24)と下流壁(25)を設けた収納体(21)の内部に回転中心軸(26)を前後方向に設け,該回転中心軸に断面放射状に複数の回転歯(27)を設けて,該回転歯と前記収納体との間に複数の凹所(22)を形成し,前記上流壁の下部に,エアー吹込口(24a)を形成すると共に,前記下流壁の下部に送出口(25a)を形成した送込機(20)と、前記エアー吹込口にエアーを送り込むブロアー(30)と、前記送出口からエアーによって送り出される牡蛎殻を牡蛎殻エアー分離減圧タンク(2)を介して前記搬送車まで案内するホース(40)と、からなり、前記回転歯を,上流から下流に向かって,回転方向と逆の方向に捻れた捻れ歯(27b)としてなる牡蛎殻移送設備。
【請求項3】
打割機(10)の回転翼(12)を,前後方向に回転自在に設けられた回転水平軸(14)に交差する姿勢で略等間隔に複数並列設して,回転歯(27)と同一垂直面に沿って回転させ、固定片(13)を,前後水平方向に略等間隔で複数並列設し、前記各回転翼を,隣接する二つの固定片の間で回転させてなる請求項1または2に記載の牡蛎殻移送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−225101(P2006−225101A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40388(P2005−40388)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(505060668)有限会社傳平製作所 (2)
【Fターム(参考)】