説明

物品の固定ジグ

【課題】ガラス基板などの脆弱な物品を搬送する場合に、破損させることなく極めて効果的に搬送することができる物品の固定ジグを提供すること。
【解決手段】複数の突起物36、複数の突起物36を囲繞するように外側および内側に形成された一対の側壁35,39、および突起物36を形成した部分に少なくとも1つの貫通孔38を備えたジグ基台30と、
ジグ基台30の上面に密着されたときに一対の側壁35,39との間に区画空間37が画成されるとともに、その上面に板状の物品が載置される柔軟な密着層31と、を備え、ジグ基台30の貫通孔38から区画空間37を吸引した場合に、密着層31が変形される物品の固定ジグ3であって、
区画空間37の形成範囲がジグ基台30の中央部を囲繞する外側にのみ形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の固定ジグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマテレビの分野においては、画面の大型化が急速に促進され、それに使用されるガラス基板の大きさも超大型のものが提供されている。このような超大型のガラス基板の重量は、300kgを越す大重量である。
【0003】
プラズマテレビに用いるガラス基板等は厚さを厚くすることができず、その大型化に反して全体の強度は低下する。このような大型ガラス基板を工場内に搬入したり、各工程間で移載を行う場合には、ガラス基板が自重や搬送における衝撃で破損したり表面に傷や汚れがついてしまわないよう極めて慎重に取扱いをしなければならない。
【0004】
このように脆弱なガラス基板の搬送を補助する手段として、各種のジグ状物が開示されている。例えば、特許文献1には、上方に開口しガラス基板を収容する収容部とアームが側方から挿入される挿入孔とを備えたホルダが開示されている。このようなホルダの場合、ガラス基板をホルダに支持する際と取り出す際にガラス基板を破損させる危険性が残っている。
【0005】
また、特許文献2には、溝状の複数の空気の流路が形成された平板状のベース板と、該ベース板上に配置され、前記空気の流路に対応する位置に形成された複数の貫通穴を有する天板と、該天板上に配置され、前記複数の貫通穴を覆うように配置された多孔質板とを具備する基板搬送用ハンドが開示されている。このようなハンドではガラス基板の主面に直接接触するため表面の傷や汚れが付く虞がある。また、搬送時には空気を吸引し続ける必要があるため、搬送ラインが長いと吸気ラインも長くしなければならないという問題もある。
【0006】
また、特許文献3には、平面形状が矩形の底部、左側縁部、右側縁部、前側縁部、および後側縁部で構成され、トレイ全体が前後方向に直線状、左右方向に湾曲状の形状の大型ガラス基板用搬送トレイが開示されている。しかし、ガラス基板の撓みによって湾曲形状に契合しているだけなので、急激な動きを与えるとガラス基板が湾曲形状を飛び越えてしまうため、トレイの動作スピードは制限される。
【0007】
一方、ICカードや携帯電子機器の分野では、その普及が進み、さらなる半導体部品の薄型化が望まれている。このため、従来は厚さが350μm程度であった半導体チップを、厚さ50〜100μmあるいはそれ以下まで薄くする必要が生じている。さらに、生産性を向上するためウエハの大口径化も検討されている。
【特許文献1】特開平11−59893
【特許文献2】特開平11−180554
【特許文献3】特開2004−149149
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑み、例えば、ガラス基板など脆弱な物品を搬送する場合に、破損させることなく極めて効果的に搬送することができる物品の固定ジグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る物品の固定ジグは、
複数の突起物、前記複数の突起物を囲繞するように外側および内側に形成された一対の側壁、および前記突起物を形成した部分に少なくとも1つの貫通孔を備えたジグ基台と、
前記ジグ基台の上面に密着されたときに前記一対の側壁との間に区画空間が画成されるとともに、その上面に板状の物品が載置される柔軟な密着層と、を備え、
前記ジグ基台の前記貫通孔から前記区画空間を吸引した場合に、前記密着層が変形される物品の固定ジグであって、
前記区画空間の形成範囲が前記ジグ基台の中央部を囲繞する外側にのみ形成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成の物品の固定ジグによれば、搬送される物品に対し、主要部に影響のでない外周部においてのみ密着層と当接するので、例えば、物品がガラス基板である場合に、主要部である回路部分に傷を付けずに、物品を密着して搬送することができる。
【0011】
また、本発明では、前記ジグ基台の内側に形成された側壁より内側に位置する中央部が空孔であることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明は、前記ジグ基台の中央部には内側に形成された側壁より背が低くなるように凹所が形成されていることが好ましい。
【0013】
このような構成であっても搬送される物品に対する接触面積を小さくすることができる。
【0014】
ここで、前記ジグ基台の前記凹所内の底面に、弾性体が敷設されていることが好ましい。
【0015】
このような構成であれば、被搬送物が凹所内に垂れ下がってしまうことがあったとしても、物品の主要部分がジグ基台の底面に直接接触してしまうことはい。
【0016】
また、前記密着層における前記突起物に密着されない内側部分は、粗面化処理がなされていることが好ましい。
【0017】
このような構成であっても被搬送物品の主要部分が直接ジグ基台の底面に接触することが防止される。
【0018】
さらに、前記ジグ基台は、断面形状において、中央部に貫通部分が形成されていても良い。
【0019】
このような構成であっても、部品を所定場所まで効果的に搬送することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る物品の固定ジグによれば、搬送される物品が、固定ジグの強度によって補強され、自重による撓みや捻れによる破損が起こりにくくなり、さらに、外周部においてのみ密着層と当接し固定されるので、例えばディスプレイ用のガラス基板の搬送用に用いた場合であっても、表示部に接触しない構成がとれるため、ガラス基板の主要部分に傷が付いたりすることなく、安全に密着させて搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施例に係る物品の固定ジグ3を示したものである。
【0023】
本実施例に係る物品の固定ジグ3は、ジグ基台30と密着層31とからなる。
【0024】
固定ジグ3に固定される物品としては、例えば、矩形状のガラス基板、円形状のウエハなどの電子部品を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
ジグ基台30の平面視による外形状としては、固定される物品の外形状に略対応した形状が好ましく、例えば、ガラス基板であれば略矩形、ウエハであれば略円形などである。しかしながら、その平面視による外形状は、矩形、円形に限定されず、多角形、楕円形などでも良い。
【0026】
以下の説明において、固定される物品は超大型矩形状のガラス基板1である。そして、ジグ基台30の外形状は、そのガラス基板に対応して、平面視において矩形状である。また、ジグ基台30の内側に形成された側壁より内側に位置する中央部40は上下を貫通する空孔となっており、ガラス基板1の主面に接触しない構造になっている。
【0027】
また、密着層31は、ジグ基台30に対応して、平面視においてその外形が矩形状であり、中央部40部分を有しない額縁形状となっている。
【0028】
ジグ基台30の一方の面には、図2および図3に示したように、複数の突起物36が間隔をおいて上方に突出して形成されている。突起物36の断面形状は特に限定されないが、円柱形または円錐台形が好ましい。この突起物36を有するジグ基台30の外周部および内周部には、突起物36と略同じ高さの側壁35、39が形成されている。また、ジグ基台30におけるこれら一対の側壁35,39および突起物36を有する面上には、図1に示したように、密着層31が積層されている。
【0029】
この密着層31は、その外周側および内周側が側壁35、39の上面に跨るように接着されている。また、突起物36の上面と密着層31の下面は接着されていても良いし、接着されていなくても良い。ジグ基台30と密着層31との間には、図1に示したように、突起物36、側壁35,39および密着層31により区画空間37が形成されている。区画空間37は前記ジグ基台30の中央部40を囲繞する外側にのみ形成されるが、必ずしもジグ基台30の当該部分の全域に形成されなくてもよく、その一部に形成されてもよい。同様に、密着層31も少なくとも区画空間37を密閉できる範囲に形成されていれば、当該部分の全域を覆わない状態であってもよい。
【0030】
一方、ジグ基台30には、外部と区画空間37との間を貫通する貫通孔38がジグ基台30の厚さ方向に設けられている。この貫通孔38はジグ基台30に少なくとも1個設けられていれば良く、複数個設けられていても良い。また、ジグ基台30の厚さ方向の貫通孔38の代わりに、ジグ基台30の水平方向に貫通孔38を設け、側壁35または側壁39のいずれかに開口させても良い。このような貫通孔38の開口部に、着脱自在のバキューム装置Vを接続することにより、区画空間37内が排気され密着層31を凹凸状に変形させることができる。
【0031】
区画空間37内をバキューム装置Vにより吸引すれば、密着層31が凹凸状に変形するので、これにより密着層31の上に密着していたガラス基板1などの物品が密着層31から剥離される。したがって、密着層31の上方から吸着手段を有する搬送アームなどで吸引すれば、剥離されたガラス基板などを上方に吸着し、持ち上げることが可能になる。上下を反転させた状態で、固定ジグ30を吸引して持ち上げてもよい。
【0032】
ジグ基台30の材質は、機械強度に優れたものであれば特に限定されないが、たとえば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂;アルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレスなどの金属材料;ガラスなどの無機材料;ガラス繊維強化エポキシ樹脂などの有機無機複合材料等が挙げられる。ジグ基台30の曲げ弾性率は、1GPa以上であることが好ましい。このような曲げ弾性率を有していれば、ジグ基台の厚さを必要以上に厚くすることなく剛直性を与えることができる。このような材料を用いることにより、例えば、裏面研削がなされたウエハを固定する場合であるとしても、そのウエハを湾曲させずに十分に支持することができる。
【0033】
ジグ基台30の外径は、上位に配置されるガラス基板1の外径と略同一または大きいことが好ましい。ジグ基台30は、ガラス基板1の規格サイズの最大径(例えば幅2414mm、高さ1748mm)に対応できる外径を有している。また、ジグ基台30の幅は、ガラス基板のうちディスプレイ装置のフレームに隠れて表示画面として用いられない寸法と同程度であることが好ましく、5〜30mm程度の幅であれば必要な密着力が確保できるようになる。
【0034】
また、ジグ基台30の厚さは扱う物品の種類やサイズあるいは重量によって異なり、小サイズで軽重量の場合は0.5〜2.0mm程度の厚さ、サイズも重量も大きい場合は2.0mm〜50mm程度の厚さが用いられるジグ基台の厚さが上記範囲にあると、ガラス基板を湾曲させずに十分に支持することができる。
【0035】
このようなジグ基台30は、たとえば、熱可塑性の樹脂材料を金型を用いて加熱成形して、ジグ基台30の突起物36と、側壁35、39とを一体で製造してもよいし、平面板上に突起物36や側壁35、39を形成して製造してもよい。なお、中央部の空孔および貫通孔38は区画空間37を形成する前に予め形成してもよいし、後で形成してもよい。また、ジグ基台30の成型と同時に形成してもよい。
【0036】
ジグ基台30上に配置された密着層31の材質としては、可撓性、柔軟性、耐熱性、弾性、粘着性等に優れた、ウレタン系、アクリル系、フッ素系またはシリコーン系のエラストマーが挙げられる。このエラストマーには、必要に応じて補強性フィラーや疎水性シリカなどの各種添加剤を添加してもよい。
【0037】
本実施例の場合、密着層31はジグ基台30と略同一形状の矩形リング状(額縁状)の平板であることが好ましく、密着層31の外径はジグ基台30の外径と略同一であることが好ましい。密着層31が額縁状であることによりガラス基板1の主面に密着層31が接触せず、ガラス表面に付着物などの汚れが現れることが無くなる。また、ガラス基板1への固定は周縁部のみの密着力で充分確保される。ジグ基台30の内側全面を覆ったとしても、ガラス基板1の剥離の際に区画空間37の容積が大きいため、剥離する際の吸引作業に時間を要することになる。
【0038】
密着層31の厚さは、20〜200μmが好ましい。密着層31の厚さが20μm未満では、吸引の繰り返しに対する機械的な耐久性に乏しくなることがある。一方、密着層31の厚さが200μmを超えると、吸引による剥離に著しく時間がかかることがあり好ましくない。
【0039】
また、密着層31の引張破断強度は5MPa以上であることが好ましく、引張破断伸度は500%以上であることが好ましい。引張破断強度や引張破断伸度が上記範囲にあると、密着層31の変形を何度も繰り返した場合でも、密着層31の破断も弛みも発生せず、元の平坦な状態に復元させることができる。
【0040】
また、密着層31の曲げ弾性率は、10〜100MPaの範囲が好ましい。密着層31の曲げ弾性率が10MPa未満の場合、密着層31は側壁35,39との接点以外の部分が重力でたわんでしまい、ガラス基板1に密着できなくなる場合がある。一方、100MPaを超えると、吸引による変形が起こりにくくなり、ガラス基板を容易に剥離することができなくなる場合がある。
【0041】
さらに、密着層31の密着力は2N/25mm以下であることが望ましい。これを超える値では密着層31と、その上に配置されるガラス基板1との密着が大きくなりすぎてブロッキング状態となり、吸引によるガラス基板1の剥離ができなくなるおそれがある。
【0042】
このような密着層31は、たとえば、カレンダー法、プレス法、コーティング法または印刷法等により、予め上記エラストマーからなるフィルムを作製し、このエラストマーフィルムをジグ基台30の少なくとも側壁35、39の上面に接着することにより形成することができる。上記密着層31を接着する方法としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂あるいはエラストマー樹脂からなる接着剤を介して接着する方法や、密着層31がヒートシール性の場合はヒートシールによって接着する方法が挙げられる。
【0043】
本発明で固定される物品は、例えば、大型プラズマテレビなどで採用される極めて大きな1枚ガラス基板や中型、小型の液晶テレビ用であっても多面取りのガラス基板であり、そのサイズは長辺が2m超、重量が300kg超のものである。
【0044】
そして、このように超大型のガラス基板1と固定ジグ3とを平行に配置、近接させて、密着層31とガラス基板1とを面一に接触させることにより、ガラス基板1を固定ジグ3に対して移動不能に固定することができる。
【0045】
ガラス基板1を、図4の状態にすることにより、取扱いが困難で破損の危険のある大型のガラス基板であっても、この状態で所定場所に安全に搬送することができる。よって、工場内において一つの工程が完了した後、他の工程に移す場合にも破損の虞を無く搬送することができる。さらには、他の工場などに搬送することもできる。また、ガラス基板1の搬送においては、搬送装置をガラス基板1側でなく固定ジグ3側を操作することが可能となるので、精密部品を取り扱う搬送装置でなくても取扱いができるようになる。
【0046】
一方、所定場所に搬送した後において、図4に示した状態から、貫通孔38を介してバキューム装置Vにより区画空間37内を吸引すれば、図5に示したように、区画空間37に対応する密着層31の外枠部分が区画空間37側に変形するので、密着層31とガラス基板1との密着を解除することができる。よって、ガラス基板1のみが次の工程を行うための処理台に載置され、固定ジグ3は離脱して次のガラス基板を搬送する工程に使用される。
【0047】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。
【0048】
例えば、上記実施例では、ジグ基台30は、中央部が完全に貫通した矩形リング状(額縁状)に形成されているが、これに代え、図6に示したように、ジグ基台30の中央部に矩形の底部33を設けることもできる。ジグ基台30に底部33が形成されると固定ジグ3の強度が向上し、ジグ基台30の厚みを薄くすることができる。また、吸着アームを備えた搬送装置の場合、底部33のどの位置でも吸着が可能となるので、搬送操作が簡便と
なる。さらにガラス基板1に対して固定ジグ3側から飛来する異物の付着から保護するという機能も得られる。
【0049】
さらに、図7に示したように、この矩形の底部33に発泡体や弾性体等の保護材41を介装することもできる。このように保護材41を底部33に配置すれば、仮に、図5に示したガラス基板1の中央部が内方に垂れ下がるようなことがあるとしても、その破損を防止することができる。
【0050】
また、図3に示したジグ基台30では、その中央部に矩形の開口を設けており、図6および図7に示したジグ基台30では、中央部の凹所に底部33を設けているが、これに代え、図8に示したように、ジグ基台30の中央部を側壁と等しく平坦面にすることもできる。
【0051】
図8に示したようにジグ基台30の中央部を平坦面にする場合には、ジグ基台30の上位に配置される密着層31の中央部31aを、非粘着処理することが好ましい。このように密着層31の中央部分に、非粘着処理を施せば、ガラス基板1との密着が起こらず、密着によるガラス基板1の主面に対する影響は無視できるようになる。よって、貫通孔38からバキューム装置Vで区画空間37内を吸引した場合に、密着層31の外側部分が内方に変形するとともに、中央部分はガラス基板1との密着性が小さいので、容易に剥離することができる。
【0052】
密着層31の表面に施される非粘着処理の方法としては、たとえば、中央部31aを除く外周を保護して、密着層31の表面を砥石ローラー等により物理的に粗面化する方法、UV処理する方法、非粘着性ゴムを積層する方法、非粘着性塗料をコーティングする方法などが挙げられる。
【0053】
図9は、さらに他の実施例を示したものである。
【0054】
この実施例では、ガラス基板1を固定ジグ3に固定した状態で、複数枚(この例では4枚)積み重ねたものを示している。このように、多段に積層できるように、本実施例では、固定ジグ3のジグ基台30の下側の四隅には、脚部45が設置されている。そして、この脚部45により、ガラス基板1と隣接する固定ジグ3が接触しない程度に離間し、ガラス基板1の上面が保護される。さらに、脚部45を嵌合し得る溝46が固定ジグ3の上面四隅に設けられ、複数枚の固定ジグ3が一体に固定できるようになっている。この固定ジグ3には、脚部に接触しない程度のサイズを有するガラス基板1が適用できる。なお、脚部45や溝46の位置、数、形状は何ら限定されない。このようにすれば、取扱いが便利であり、複数のガラス基板1を運搬する専用のラックが不要となり、作業スペースの削減に寄与できる。
【0055】
また、上記実施例においては表面が平坦なガラス基板を固定される物品として説明したが、これに限らず、表面に凹凸を有する物品でも取り扱うことができる。例えば、図3のように中央部に空孔を有する固定ジグや、図6、図7のように中央部に凹部を有する固定ジグの場合、当該物品において密着層31に当接する外縁のみが平坦であれば、その内側に凹凸が存在しても固定が可能である。
【0056】
このような物品としては、例えば、バンプが形成された半導体ウエハや、デバイスが組み込まれた回路基板が挙げられる。このような物品に凹凸が形成された側の反対面に処理を行う場合、凹凸が形成された面を本発明の固定ジグで固定し、固定ジグ側を平坦な処理台上に載置すれば、処理装置を改造することなく従来通りの操作で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明に係る物品の固定ジグを示した概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示した固定ジグの概略平面図である。
【図3】図3は、図2に示した固定ジグのA−A線方向の概略拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施例に係る物品の固定ジグを示した概略断面図である。
【図5】図5は図4に示した固定ジグで物品を吸引したときの状態を示す概略断面図である。
【図6】図6は、本発明のさらに他の実施例に係る固定ジグの概略断面図である。
【図7】図7は、本発明のさらに他の実施例に係る固定ジグの概略断面図である。
【図8】図8は、本発明のさらに他の実施例に係る固定ジグの概略断面図である。
【図9】図9は、本発明のさらに他の実施例に係る固定ジグを、複数に積層した状態の概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1・・・ガラス基板(物品)
3・・・固定ジグ
30・・・ジグ基台
31・・・密着層
35、39・・・側壁
38・・・貫通孔
40・・・中央部
V・・・バキューム装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の突起物、前記複数の突起物を囲繞するように外側および内側に形成された一対の側壁、および前記突起物を形成した部分に少なくとも1つの貫通孔を備えたジグ基台と、
前記ジグ基台の上面に密着されたときに前記一対の側壁との間に区画空間が画成されるとともに、その上面に板状の物品が載置される柔軟な密着層と、を備え、
前記ジグ基台の前記貫通孔から前記区画空間を吸引した場合に、前記密着層が変形される物品の固定ジグであって、
前記区画空間の形成範囲が前記ジグ基台の中央部を囲繞する外側にのみ形成されていることを特徴とする物品の固定ジグ。
【請求項2】
前記ジグ基台の内側に形成された側壁より内側に位置する中央部が空孔であることを特徴とする請求項1に記載の物品の固定ジグ。
【請求項3】
前記ジグ基台の中央部には内側に形成された側壁より背が低くなるように凹所が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品の固定ジグ。
【請求項4】
前記ジグ基台の前記凹所内の底面に、弾性体が敷設されていることを特徴とする請求項3に記載の物品の固定ジグ。
【請求項5】
前記密着層における前記突起物に密着されない内側の中央部分は、非粘着処理がなされていることを特徴とする請求項1に記載の物品の固定ジグ。
【請求項6】
前記ジグ基台は、断面形状において、中央部に貫通部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品の固定ジグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−305951(P2008−305951A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151448(P2007−151448)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】