説明

物品搬送装置

【課題】物品搬送にかかる時間の短縮化を図れる昇降式の物品搬送装置の提供。
【解決手段】移載装置12には、上下方向に幅を有する範囲を検出範囲として、その検出範囲内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出可能な物体検出センサ22が設けられ、制御手段は、ビーム8に対応して設定された設定停止位置に移載装置12を昇降させたときの物品検出センサ22の検出情報に基づいて、ビーム8に物品Bが存在するか否かの在荷情報及び上下方向におけるビーム8までのビーム距離情報を検出する情報検出作動を行い、その情報検出作動における在荷情報及びビーム距離情報に基づいて、ビーム8との間で物品Bを移載すべく、昇降駆動手段及び移載装置12の夫々の作動を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収納棚の支柱に設けられた物品載置用のビームを移載対象として、物品を移載する移載装置と、前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、前記移載装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段と、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられている昇降式の物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような昇降式の物品搬送装置は、昇降駆動手段を作動させて、適正移載位置に移載装置を移動させ、適正移載位置に移載装置を位置させた状態で移載装置を作動させることにより、ビームに対して物品の移載を行うものである。適正移載位置は、ビームとの間で適正に移載を行うための位置である。適正移載位置は、移載装置の昇降方向においてビームの位置を基準に定められている。
【0003】
物品載置用のビームは、載置される物品の荷重による撓みや経年変化等によって、設置当初に対してその存在高さが変化する。このビームの存在高さの変化に伴って適正移載位置が上下方向に変化する。したがって、適正に移載を行う為には、移載装置の昇降方向に変化する適正移載位置に対して移載装置を位置させる必要がある。
【0004】
そこで、従来の物品搬送装置では、測定光を一点から投光してビームにて反射する光を受光することによりビームを検出する単光軸式の光センサを移載装置に設け、制御手段が、移載装置の昇降方向において適正移載位置よりも手前の停止準備位置に移載装置を移動させた後、昇降速度を低速(例えばクリープ速度)として光センサによる検出を行いながら移載装置を昇降させることにより、上下方向におけるビームまでのビーム距離情報を取得して、そのビーム距離情報に基づいて適正移載位置に移載装置を昇降させるように、昇降駆動手段の作動を制御するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
この従来の物品搬送装置では、光センサにて実際のビームを検出するので、ビームの存在高さが変化した場合でも、そのビームに対する適正移載位置に移載装置を移動させることができ、適正に移載を行うことができる。
【0005】
また、このような物品搬送装置では、既に物品が載置されているビームに対して誤って物品を移載してしまう二重格納を防止したり、ビームから物品を取り出すときにビームに取り出すべき物品が載置しているかを確認することが必要である。そこで、従来の物品搬送装置では、ビームに物品が存在するか否かを検出する物品存否検出センサを移載装置に設けている。そして、制御手段が、適正移載位置に移載装置を位置させた状態で移載装置を作動させるときに、物品存否検出センサの検出情報に基づいてビームに存在するか否かの在荷情報を取得する。制御手段が、在荷情報に基づいてビームに既に物品が載置されていると判別すると、物品を卸す動作を中止する等して二重格納を防止する。また、制御手段が、在荷情報に基づいて、ビームに取り出すべき物品が載置しているかを確認できれば、ビームから物品を取り出す動作を行うようにしている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−199010号公報
【特許文献2】特開2006−264968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の物品搬送装置では、単光軸式の光センサにてビームを検出するので、その光センサにてビームを検出するに当り、移載装置の昇降速度を低速(例えばクリープ速度)とすることが求められる。そこで、適正移載位置よりも手前に停止準備位置を設定し、停止準備位置にて移載装置の昇降速度を低速として適正移載位置に移載装置を昇降させている。その為に、停止準備位置から適正移載位置まで移載装置を低速にて昇降させなければならず、低速にて移載装置を昇降させる距離が長くなる。したがって、適正移載位置に移載装置を移動させるまでに時間がかかる。
また、従来の物品搬送装置では、ビームを検出する為の光センサとビームに物品が存在するか否かを検出する為の物品存否検出センサとを各別に設けることになるので、光センサを用いてビーム距離情報を取得するための動作を行うだけでなく、物品存否検出センサを用いて在荷情報を取得するための動作を行わなければならない。したがって、ビーム距離情報と在荷情報との両情報を取得する為に時間がかかる。
以上のように、従来の物品搬送装置では、適正移載位置に移載装置を移動させるまでに時間がかかり、ビーム距離情報と在荷情報との両情報を取得する為に時間がかかるので、物品搬送にかかる時間が長くなる虞がある。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、物品搬送にかかる時間の短縮化を図ることができる昇降式の物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る昇降式の物品搬送装置の第1特徴構成は、物品収納棚の支柱に設けられた物品載置用のビームを移載対象として、物品を移載する移載装置と、前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、前記移載装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段と、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられている昇降式の物品搬送装置において、
前記移載装置には、上下方向に幅を有する範囲を検出範囲として、その検出範囲内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出可能な物体検出センサが設けられ、前記制御手段は、前記ビームに対応して設定された設定停止位置に前記移載装置を昇降させたときの前記物品検出センサの検出情報に基づいて、前記ビームに物品が存在するか否かの在荷情報及び上下方向における前記ビームまでのビーム距離情報を検出する情報検出作動を行い、その情報検出作動における前記在荷情報及び前記ビーム距離情報に基づいて、前記ビームとの間で物品を移載すべく、前記昇降駆動手段及び前記移載装置の夫々の作動を制御するように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、物体検出センサが、検出範囲内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出可能であるので、制御手段が、情報検出作動を行うことにより、ビームに物品が存在するか否かの在荷情報及び上下方向におけるビームまでのビーム距離情報の両情報を得ることができる。したがって、情報検出作動を行うだけで在荷情報及びビーム距離情報の両情報を取得できるので、ビーム距離情報と在荷情報との両情報を取得する為の時間を短くできる。
制御手段は、情報検出作動を行うことにより取得したビーム距離情報に基づいて、設定停止位置から適正移載位置までの残り距離を検出することができる。制御手段は、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、適正移載位置までの残り距離だけ移載装置を昇降させるように昇降駆動手段の作動を制御することにより、適正移載位置に移載装置を昇降させることができる。設定停止位置から適正移載位置までの昇降においては、適正移載位置までの残り距離を把握しているので、制御手段は、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、移載装置の昇降速度を極力高速としながら、適正移載位置に移載装置を昇降させることができる。したがって、低速にて移載装置を昇降させる距離を極力短くできる。
以上のことから、ビーム距離情報と在荷情報との両情報を取得する為の時間を短くでき、しかも、低速にて移載装置を昇降させる距離を極力短くできるので、物品搬送にかかる時間の短縮化を図ることができる物品搬送装置を提供できるに至った。
【0011】
本発明に係る昇降式の物品搬送装置の第2特徴構成は、前記制御手段は、前記ビームに物品を卸すときには、前記情報検出作動における前記在荷情報に基づいて前記ビームに物品が存在しないと判別すると、前記ビーム距離情報に基づいて前記ビームに対する適正移載位置に前記移載装置を昇降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、前記ビームに物品を卸すべく、前記移載装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0012】
すなわち、ビームに物品を卸すときには、制御手段が、情報検出作動を行うことにより取得した在荷情報に基づいて、ビームに既に物品が載置されているか否かを検出することができる。制御手段は、情報検出作動における在荷情報に基づいてビームに物品が存在しないと判別すると、ビームに物品が載置されていないとして、ビーム距離情報に基づいてビームに対する適正移載位置に移載装置を昇降させるべく、昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、ビームに物品を卸すべく、移載装置の作動を制御する。したがって、ビームに物品が存在しないときに、そのビームに物品を卸すことができるので、既に物品が載置されているビームに対して誤って物品を移載してしまう二重格納の発生を防止できる。
【0013】
本発明に係る昇降式の物品搬送装置の第3特徴構成は、前記制御手段は、前記ビームから物品を取り出すときには、前記情報検出作動における前記在荷情報に基づいて前記ビームに物品が存在すると判別すると、前記ビーム距離情報に基づいて前記ビームに対する適正移載位置に前記移載装置を昇降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、前記ビームから物品を取り出すべく、前記移載装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、ビームから物品を取り出すときには、制御手段が、情報検出作動を行うことにより取得した在荷情報に基づいて、取り出すべき物品がビームに載置されているか否かを検出することができる。制御手段は、情報検出作動における在荷情報に基づいてビームに物品が存在すると判別すると、取り出すべき物品がビームに載置されているとして、ビーム距離情報に基づいてビームに対する適正移載位置に移載装置を昇降させるべく、昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、ビームから物品を取り出すべく、移載装置の作動を制御する。したがって、ビームに取り出すべき物品が載置されていないにもかかわらず、ビークから物品を取り出す動作を継続してしまうことを防止しながら、ビームから物品を取り出すことができる。
【0015】
本発明に係る昇降式の物品搬送装置の第4特徴構成は、前記物体検出センサは、最大測定範囲内に設定された複数の境界点を結ぶ境界線により区画される範囲を検出範囲とするように、検出範囲を変更設定自在に構成されている点にある。
【0016】
すなわち、物体検出センサは、検出範囲が変更設定自在であるので、ビームの状況や物品の状況に応じて、検出範囲内にビームと物品の両方が入るように検出範囲を変更設定することができる。したがって、物体検出センサが、ビームに物品が存在するか否か及び上下方向におけるビームまでの距離を的確に検出することができるので、在荷情報及びビーム距離情報を精度よく取得することができ、物品の移載を的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る物品搬送装置を自動倉庫に適応した実施形態について図面に基づいて説明する。
この自動倉庫は、図1に示すように、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した一対の物品収納棚1と、それらの物品収納棚1どうしの間に形成した作業通路2を自動走行するスタッカークレーン3とが設けられている。スタッカークレーン3が、本発明に係る昇降式の物品搬送装置に相当する。
【0018】
作業通路2には、下方側に物品収納棚1の長手方向に沿って走行レール4が設置され、上方側にもガイドレール10が物品収納棚1の長手方向に沿って設置されている。
作業通路2の一端側には、入出庫指令をスタッカークレーン3に入力する地上側コントローラ5が設けられ、走行レール4を挟む状態で一対の荷載置台6が設けられている。
【0019】
前記物品収納棚1は、図2に示すように、水平方向に間隔を隔てて立設した複数の支柱7と、水平方向に並ぶ複数の支柱7にわたって設けられた前後一対の物品載置用のビーム8と、複数のブレース9とから構成され、前後一対のビーム8にわたって載置する状態で物品Bを収納するように構成されている。物品Bは、パレットPに載せられた状態でビーム8に載置されている。
スタッカークレーン3は、物品収納棚1に対して、ビーム8を移載対象として、そのビーム8の夫々において、水平方向に間隔を隔てた複数の物品載置位置Tの夫々に物品Bを載置させるように構成されている。
【0020】
スタッカークレーン3は、図1及び図3に示すように、走行レール4に沿って走行自在な走行台車11と、走行台車11に対して昇降自在な昇降台13と、昇降台13に備えられて物品Bを移載する移載装置12とを備えて構成されている。移載装置12は、物品Bを載せたパレットPごと移載するフォーク式の移載装置にて構成されている。
このように、スタッカークレーン3は、走行台車11の走行及び昇降台13の昇降により、水平方向に移動自在で且つ上下方向に移動自在に移載装置12を設けている。スタッカークレーン3は、走行台車11の走行移動、昇降台13の昇降移動、及び、移載装置12の移載作動により、荷載置台6に載置されている物品Bをビーム8に移載させる入庫作業や、ビーム8に載置されている物品Bを荷載置台6に移載させる出庫作業を行うように構成されている。
【0021】
昇降台13は、走行台車11に立設した前後一対の昇降マスト14にて昇降自在に案内支持され、その左右両側に連結した昇降用チェーン15にて吊下げ支持されている。この昇降用チェーン15は、前後一対の昇降マスト14を連結する上部フレームや昇降マスト14等に設けられた図外の案内回転体に巻き掛けられて、走行台車11の一端に装備の巻き取りドラム16に巻き掛けられている。巻き取りドラム16は、昇降用電動モータ17にて正逆に駆動回転されるように構成されている。昇降用電動モータ17が昇降駆動手段に相当する。昇降用電動モータ17が巻き取りドラム16を正逆に駆動回転させることにより、昇降用チェーン15を繰り出す又は巻き取り昇降台13を昇降させるように構成されている。
【0022】
走行台車11には、昇降台12の昇降経路上における昇降台12の昇降位置を検出する昇降用測距計18が設けられている。昇降用測距計18は、昇降台12に設置された昇降用反射板18aに向けて昇降台12の昇降方向である上下方向に沿って測距用のビーム光を投射して、昇降用反射板18aにて反射される光を受光することにより、昇降台12までの距離を検出して昇降台12の昇降位置を検出するように構成されている。この昇降用測距計18が、昇降位置検出手段に相当する。
【0023】
走行台車11には、走行レール4上を走行自在な前後一対の走行車輪19が設けられている。前後一対の走行車輪19の一方の走行車輪が、走行用電動モータ20にて回転駆動される駆動輪19aとして構成され、他方の走行車輪が遊転自在な従動輪19bとして構成されている。
【0024】
走行台車11には、走行レール4上における走行台車11の走行位置を検出する走行用測距計21が設けられている。走行用測距計21は、走行レール4の一端部に設置された走行用反射板21aに向けて走行レール4の長手方向に沿って測距用のビーム光を投射して、走行用反射板21aにて反射される光を受光することにより、走行用反射板21aまでの距離を検出して走行台車11の走行位置を検出するように構成されている。
【0025】
図4に示すように、昇降台13には、上下方向に幅を有する範囲を検出範囲Kとして、その検出範囲K内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出可能な物体検出センサ22が設けられている。
物体検出センサ22は、例えば、投受光部23が、水平軸心周りで設定角度ずつ変更しながら測定光を投光するとともに、測定光を投光するか又は投光しないかを制御することにより、検出範囲K内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出するように構成されている。そして、物体検出センサ22は、投受光部23が反射光を受光するか否か及び測定光を投光してから投受光部23が反射光を受光するまでの時間によって、検出範囲K内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出するように構成されている。
この実施形態では、物体検出センサ22として、投光部と受光部とを一体的に設けた投受光部23を備えるものを例示しているが、投光部と受光部とを各別に備えたものでもよい。
【0026】
図5に示すように、物体検出センサ22は、最大測定範囲C内に設定された複数の境界点Aを結ぶ境界線により区画される範囲を検出範囲Kとするように、検出範囲Kを変更設定自在に構成されている。
説明すると、例えば、最大測定範囲Cは、180度よりも大きな円弧状に構成されている。その最大測定範囲C内に複数の境界点Aを設定することにより、複数の境界点Aを結ぶ境界線により区画される範囲を検出範囲Kとしている。そして、境界点Aを設定する位置を変更することにより、検出範囲Kを変更設定することができる。図5(a)では、最大測定範囲C内に5つの境界点Aを設定して、検出範囲Kを二股状となるように設定している。図5(b)では、最大測定範囲C内に2つの境界点Aを設定して、検出範囲Kを円弧状となるように設定している。また、図5(c)や図5(d)にて示すような形状にも検出範囲Kを設定することができる。
このように、複数の検出範囲Kに変更設定することができるのであるが、複数の検出範囲Kを予め設定しておき、物体検出センサ22は、その予め設定した複数の検出範囲Kの夫々を記憶している。そして、物体検出センサ22は、記憶している予め設定された複数の検出範囲Kから選択された1つの検出範囲Kにて検出範囲K内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出するように構成されている。
【0027】
図6に示すように、地上側コントローラ5からの指令に基づいて、スタッカークレーン3の作動を制御する制御手段としてのクレーン制御装置27が設けられている。地上側コントローラ5は、複数の物品移載位置T及び荷載置台6のうちから移載対象を特定するとともに、その移載対象に物品Bを卸すのか又はその移載対象から物品Bを取り出すのかを定めた指令をクレーン制御装置27に与えるように構成されている。クレーン制御装置27は、移載対象の物品載置位置T又は荷載置台6に対応する設定停止位置に移載装置12を移動させるべく、走行台車11の走行作動及び昇降台13の昇降作動を制御し、且つ、移載装置12を設定停止位置に停止させた状態において物品載置位置T又は荷載置台6から物品Bを取り出す、或いは、物品載置位置T又は荷載置台6に物品Bを卸すべく、移載装置12の移載作動を制御するように構成されている。
【0028】
設定停止位置は、物品収納棚1を設置した当初において、物品Bの移載を適正に行えるように設定されている。各ビーム8の各物品載置位置Tの夫々における設定停止位置は、上下方向おいてビーム8の下端部の位置を基準とし且つ水平方向において物品載置位置Tの中心位置を基準として定められている。荷載置台6の設定停止位置は、上下方向において載置台8の載置面の位置を基準とし且つ水平方向において載置台8の中心位置を基準として定められている。
クレーン制御装置27は、各ビーム8における各物品載置位置T及び荷載置台6の夫々に対応して定められた複数の設定停止位置の全てを記憶している。
【0029】
クレーン制御装置27は、走行用測距計21の検出情報に基づいて、水平方向において設定停止位置に移載装置12を移動させるべく、走行台車11の走行作動を制御する走行制御部27a、昇降用測距計18の検出情報に基づいて、上下方向において設定停止位置に移載装置12を移動させるべく、昇降台13の昇降作動を制御する昇降制御部27b、ビーム8における物品載置位置T又は荷載置台6から物品Bを取り出す、或いは、ビーム8における物品載置位置T又は荷載置台6に物品Bを卸すべく、移載装置12の移載作動を制御する移載制御部27cから構成されている。
クレーン制御装置27は、走行制御部27aによる走行台車11の走行作動の制御と昇降制御部27bによる昇降台13の昇降作動の制御とを各別に行うように構成されている。
【0030】
前記走行制御部27aは、走行台車11の走行速度を制御しながら走行台車11を設定停止位置に向けて走行させるように走行用電動モータ20を作動させて移載装置12を水平方向に移動させ、走行用測距計21の検出情報に基づいて移載装置12が水平方向において設定停止位置に到達すると走行用電動モータ20を作動停止させて、水平方向において設定停止位置に移載装置12を移動させるように構成されている。
【0031】
前記昇降制御部27bは、昇降台13の昇降速度を制御しながら昇降台13を設定停止位置に向けて昇降させるように昇降用電動モータ17を作動させて移載装置12を上下方向に移動させ、昇降用測距計18の検出情報に基づいて移載装置12が上下方向において設定停止位置に到達すると昇降用電動モータ17を作動停止させて、上下方向において設定停止位置に移載装置12を移載させるように構成されている。ちなみに、ビーム8の物品載置位置T又は荷載置台6から物品Bを取り出すときには、昇降制御部27bが、記憶している設定停止位置よりも設定距離だけ下方側を取り出し用の設定停止位置と設定して、その取り出し用の設定停止位置に移載装置12を昇降させるようにしている。逆に、ビーム8の物品載置位置T又は荷載置台6に物品Bを卸すときには、昇降制御部27bが、記憶している設定停止位置よりも設定距離だけ上方側を卸し用の設定停止位置と設定することもできる。
【0032】
ビーム8の物品載置位置T又は荷載置台6から物品Bを取り出すときには、移載制御部27cが、フォーク式の移載装置12を突出作動させた後、昇降制御部27bにて設定距離だけ昇降台13を上昇させることにより、ビーム8における物品載置位置T又は荷載置台6に載置された物品Bを移載装置12に載置支持させる。その後、移載制御部27cは、フォーク式の物品移載装置12を引退作動させる。
ちなみに、ビーム8の物品載置位置T又は荷載置台6に物品Bを卸すときには、フォーク式の物品移載装置12を突出作動させた後において、昇降制御部27bにて設定距離だけ昇降台13を下降させる動作だけが異なり、その他の動作については、ビーム8における物品載置位置T又は荷載置台6から物品Bを取り出すときと同様の動作である。
【0033】
物品載置用のビーム8は、載置される物品Bの荷重により撓むので、そのビーム8の物品載置位置Tが上下方向に変化する。したがって、物品Bの移載を適正に行える適正移載位置が記憶している設定停止位置から上下方向にずれている場合がある。また、経年変化等によってもビーム8が上下方向に変化することがあるので、適正移載位置が記憶している設定停止位置から上下方向にずれている場合がある。
また、既に物品Bが載置されているビーム8に対して誤って物品Bを移載してしまう二重格納を防止したり、ビーム8から物品Bを取り出すときにビーム8に取り出すべき物品Bが載置しているかを確認することが必要である。
【0034】
そこで、ビーム8の物品載置位置Tに物品Bを卸すとき、又は、ビーム8の物品載置位置Tから物品Bを取り出すときには、クレーン制御装置27が、ビーム8の物品載置位置Tに対応して設定された設定停止位置に移載装置12を移動させたときの物品検出センサ22の検出情報に基づいて、ビーム8に物品Bが存在するか否かの在荷情報及び上下方向におけるビーム8までのビーム距離情報を検出する情報検出作動を行い、その情報検出作動における在荷情報及びビーム距離情報に基づいて、ビーム8との間で物品を移載すべく、昇降用電動モータ17及び移載装置12の夫々の作動を制御するように構成されている。
【0035】
図7に示すように、ビーム8の物品載置位置Tに物品Bを卸すときには、クレーン制御装置27が、走行制御部27aによる走行用電動モータ20の作動の制御及び昇降制御部27bによる昇降用電動モータ17の作動の制御により、物品載置位置Tに対応する設定停止位置に移載装置12を移動させる。クレーン制御装置27は、設定停止位置に移載装置12を停止させると、情報検出作動を行うことにより、物品載置位置Tに物品Bが存在するか否かの在荷情報及び上下方向におけるビーム8の下端部までのビーム距離情報を取得する。クレーン制御装置27は、在荷情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに物品Bが存在しないと判別すると、ビーム距離情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに対する適正移載位置に移載装置12を昇降させるべく、昇降制御部27bによる昇降用電動モータ17の作動の制御を行う。図7では、物品載置位置Tに物品Bが存在していないとして、物品Bを点線にて示している。
【0036】
クレーン制御装置27は、在荷情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに物品Bが存在しないと判別すると、適正移載位置に移載装置12を昇降させて、ビーム8の物品移載位置Tに物品Bを卸す動作を行うように構成されている。つまり、上下方向において現在の設定停止位置が適正移載位置からずれていると、クレーン制御装置27は、ビーム距離情報に基づいて、現在の設定停止位置から適正移載位置までの残り距離N1を求める。クレーン制御装置27の昇降制御部27bは、昇降用測距計18の検出情報に基づいて、適正移載位置までの残り距離N1だけ移載装置12を昇降させるように昇降用電動モータ17の作動を制御することにより、適正移載位置に移載装置12を昇降させる。クレーン制御装置27の移載制御部27cは、適正移載位置に移載装置12を昇降させると、移載装置12の移載作動を制御して、ビーム8の物品移載位置Tに物品Bを卸す。
【0037】
また、クレーン制御装置27は、在荷情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに物品Bが存在すると判別すると、物品載置位置Tに既に物品Bが載置されているとして、ビーム8の物品移載位置Tに物品Bを卸す動作を行えば二重格納になるので、ビーム8の物品載置位置Tに物品Bを卸す動作を中止して異常を報知する等の異常処理を行うように構成されている。
このようにして、二重格納を防止しながら、設定停止位置が適正移載位置からずれていても、ビーム8の物品載置位置Tに物品Bを卸す作業を的確に行うことができる。
【0038】
図8に示すように、ビーム8の物品載置位置Tから物品Bを取り出すときには、クレーン制御装置27が、走行制御部27aによる走行用電動モータ20の作動の制御及び昇降制御部27bによる昇降用電動モータ17の作動の制御により、設定停止位置よりも設定距離だけ下方側の取り出し用の設定停止位置に移載装置12を移動させる。クレーン制御装置27は、取り出し用の設定停止位置に移載装置12を停止させると、情報検出作動を行うことにより、物品載置位置Tに物品Bが存在するか否かの在荷情報、及び、上下方向におけるビーム8の下端部までのビーム距離情報を取得する。クレーン制御装置27は、在荷情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに物品Bが存在すると判別すると、ビーム距離情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに対する適正移載位置に移載装置12を昇降させるべく、昇降制御部27bによる昇降用電動モータ17の作動の制御を行う。
【0039】
クレーン制御装置27は、在荷情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに物品Bが存在すると判別すると、適正移載位置に移載装置12を昇降させて、ビーム8の物品移載位置Tから物品Bを取り出す動作を行うように構成されている。つまり、取り出し用の設定停止位置が適正移載位置からずれていると、クレーン制御装置27は、ビーム距離情報に基づいて、取り出し用の設定停止位置から適正移載位置までの残り距離N2を検出する。クレーン制御装置27の昇降制御部27bは、昇降用測距計18の検出情報に基づいて、適正移載位置までの残り距離N2だけ移載装置12を昇降させるように昇降用電動モータ17の作動を制御することにより、適正移載位置に移載装置12を昇降させる。クレーン制御部27の移載制御部27cは、適正移載位置に移載装置12を昇降させると、移載装置12の移載作動を制御して、ビーム8の物品移載位置Tから物品Bを取り出す。
【0040】
また、クレーン制御装置27は、在荷情報に基づいてビーム8の物品載置位置Tに物品Bが存在しないと判別すると、ビーム8の物品載置位置Tに取り出すべき物品Bが存在しないとして、ビーム8の物品載置位置Tから物品Bを取り出す動作を中止して異常を報知する等の異常処理を行うように構成されている。
このようにして、ビーム8の物品載置位置Tに取り出すべき物品Bが存在することを確認しながら、取り出し用の設定停止位置が適正移載位置からずれていても、適正移載位置に移載装置12を移動させて、ビーム8の物品載置位置Tから物品Bを取り出す作業を的確に行うことができる。
【0041】
以下、情報検出作動を行うときの物体検出センサ22の検出範囲について説明する。
物体検出センサ22は、予め設定された複数の検出範囲Kの夫々を記憶しているので、クレーン制御装置27が、移載対象となる物品載置位置Tにおけるビーム8の状況や物品Bの状況に応じて、予め設定された複数の検出範囲Kのうちから1つの検出範囲Kを選択し、その選択した検出範囲Kとなるように物体検出センサ22の作動を制御して、情報検出作動を行うように構成されている。
【0042】
例えば、図9に示すように、物品収納棚1では、ビーム8が配設されている高さによって、ビーム8の上下幅が異なる場合がある。図9(a)は上下幅が小さいビーム8を示しており、図9(b)は上下幅大きいビーム8を示している。このように、上下幅が異なるビーム8では、上下方向において、ビーム8の位置及び物品Bの位置が異なることになる。
そこで、図9(a)に示すように、移載対象の物品載置位置Tにおけるビーム8の上下幅が大きいものであると、クレーン制御装置27が、移載対象の物品載置位置Tにおけるビーム8の上下幅が大きいものであると、予め設定された複数の検出範囲Kのうちから、図5(a)で示した二股状の検出範囲Kを選択し、その選択した検出範囲Kとなるように物体検出センサ22の作動を制御して、情報検出作動を行うようにしている。また、図9(b)に示すように、移載対象の物品載置位置Tにおけるビーム8の上下幅が小さいものであると、クレーン制御装置27が、予め設定された複数の検出範囲Kのうちから、図5(b)で示した円弧状の検出範囲Kを選択し、その選択した検出範囲Kとなるように物体検出センサ22の作動を制御して、情報検出作動を行うようにしている。
【0043】
このようにして、クレーン制御装置27は、ビーム8の状況や物品Bの状況に応じて物体検出センサ22の検出範囲Kを変更設定することにより、物体検出センサ22にてビーム8の物品載置位置Tに物品Bが存在するか否か及び上下方向におけるビーム8の下端部までの距離を的確に検出している。したがって、クレーン制御装置27は、在荷情報及びビーム距離情報を正確に取得することができる。
【0044】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、昇降位置検出手段を昇降用測距計18に構成しているが、例えば、昇降台13の昇降経路の基準位置からの昇降距離を検出するロータリエンコーダにて構成することもできる。また、走行用測距計21に代えて、走行台車11の走行距離を検出するロータリエンコーダにて構成することもできる。
【0045】
(2)上記実施形態では、地上側コントローラ5からの指令に基づいて、スタッカークレーン3の運転を制御するクレーン制御装置27をスタッカークレーン3に装備しているが、例えば、クレーン制御装置27をスタッカークレーン3に装備せずに、地上側コントローラ5、昇降用電動モータ17におけるインバータ、走行用電動モータ20におけるインバータ、及び、物品移載装置12の間で通信ネットワークを構成し、地上側コントローラ5が、昇降用電動モータ17におけるインバータ、走行用電動モータ20におけるインバータ、及び、物品移載装置12に対して、作動開始及び作動停止などの各種情報を通信ネットワークを介して指令することにより、スタッカークレーン3の運転を制御することもできる。
【0046】
(3)上記実施形態では、本発明に係る昇降式の物品搬送装置としてスタッカークレーンを例示したが、その他の昇降式の物品搬送装置を適応することもでき、スタッカークレーンに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】自動倉庫の斜視図
【図2】物品収納棚の要部を示す斜視図
【図3】スタッカークレーンの側面図
【図4】ビーム検出センサを示す側面図
【図5】ビーム検出センサの検出範囲を示す側面図
【図6】自動倉庫の制御ブロック図
【図7】ビームに物品を卸すときの動作を示す図
【図8】ビームから物品を取り出すときの動作を示す図
【図9】情報検出作動におけるビーム検出センサの検出範囲を示す図
【符号の説明】
【0048】
1 物品収納棚
4 支柱
8 物品載置用のビーム
12 移載装置
17 昇降駆動手段
18 昇降位置検出手段
22 物体検出センサ
27 制御手段
B 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納棚の支柱に設けられた物品載置用のビームを移載対象として、物品を移載する移載装置と、
前記移載装置を昇降駆動する昇降駆動手段と、
前記移載装置の昇降位置を検出する昇降位置検出手段と、
前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて前記昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、前記移載装置の作動を制御する制御手段とが設けられている昇降式の物品搬送装置であって、
前記移載装置には、上下方向に幅を有する範囲を検出範囲として、その検出範囲内に検出対象物体が存在するか否か及び上下方向における検出対象物体までの距離を検出可能な物体検出センサが設けられ、
前記制御手段は、前記ビームに対応して設定された設定停止位置に前記移載装置を昇降させたときの前記物品検出センサの検出情報に基づいて、前記ビームに物品が存在するか否かの在荷情報及び上下方向における前記ビームまでのビーム距離情報を検出する情報検出作動を行い、その情報検出作動における前記在荷情報及び前記ビーム距離情報に基づいて、前記ビームとの間で物品を移載すべく、前記昇降駆動手段及び前記移載装置の夫々の作動を制御するように構成されている昇降式の物品搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ビームに物品を卸すときには、前記情報検出作動における前記在荷情報に基づいて前記ビームに物品が存在しないと判別すると、前記ビーム距離情報に基づいて前記ビームに対する適正移載位置に前記移載装置を昇降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、前記ビームに物品を卸すべく、前記移載装置の作動を制御するように構成されている請求項1に記載の昇降式の物品搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ビームから物品を取り出すときには、前記情報検出作動における前記在荷情報に基づいて前記ビームに物品が存在すると判別すると、前記ビーム距離情報に基づいて前記ビームに対する適正移載位置に前記移載装置を昇降させるべく、前記昇降駆動手段の作動を制御し、且つ、前記ビームから物品を取り出すべく、前記移載装置の作動を制御するように構成されている請求項1又は2に記載の昇降式の物品搬送装置。
【請求項4】
前記物体検出センサは、最大測定範囲内に設定された複数の境界点を結ぶ境界線により区画される範囲を検出範囲とするように、検出範囲を変更設定自在に構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の昇降式の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−247558(P2008−247558A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91644(P2007−91644)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】