説明

物品検査装置

【課題】容易に短時間で被検査物の検査条件を設定および調整することができる物品検査装置を提供すること。
【解決手段】被検査物Wを検査する検査部3と、被検査物Wの属性を特定する属性情報と、被検査物Wの検査に用いる検査部3の検査条件を、属性情報と検査条件とを対応付けて記憶する記憶部7と、記憶部7が記憶する属性情報の中から検査部3に検査させる被検査物Wの属性情報を選択する選択操作を行う表示操作部4と、記憶部7に記憶された検査条件の中から、表示操作部4で選択された属性情報に一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を仮検査条件として抽出し、抽出された仮検査条件を用いて検査部3に被検査物Wを検査させ、その検査結果に基づいて仮検査条件を更新し、更新された仮検査条件を本検査条件として用いて検査部3に被検査物Wを検査させる制御部8と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生肉、魚、加工食品等の食品や、医薬などの被検査物中に混入した異物の有無の検査、または、被検査物の重量が規定範囲であるか否かの検査を行う物品検査装置に関し、特に、被検査物を検査する検査条件を複数個記憶して被検査物の種類等に応じた検査条件を用いて検査を行う物品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品や薬品等の製造ラインに設けられ、その重量、形状、異物の混入の有無といった品質を検査する物品検査装置は、検査対象とする被検査物の特性等に応じて各種検査条件(検査パラメータ)を設定および調整し、検査結果の信頼性を維持および向上できるようになっている。
【0003】
従来、この種の物品検査装置としては、被検査物の良否判定のための検査条件を50〜200といった品種数分記憶して被検査物に応じて切り替えて使用するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、この種の物品検査装置としては、被検査物の特性等に応じた最適な検査条件を設定および調整するために、被検査物を試験的に複数回検査するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−256954号公報
【特許文献2】特開2005−345435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、新規の被検査物の検査条件を設定するためには、特許文献1に記載された技術では、検査条件を適切に設定するためには被検査物および検査に関する知識や経験が必要であるという問題があり、特許文献2に記載された技術では、被検査物を試験的に複数回検査するため多くの時間と労力を費やす必要があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、容易に短時間で被検査物の検査条件を設定および調整することができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る物品検査装置は、被検査物を検査する検査手段と、前記被検査物の属性を特定する属性情報と、前記被検査物の検査に用いる前記検査手段の検査条件を、前記属性情報と前記検査条件とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段が記憶する属性情報の中から前記検査手段に検査させる被検査物の属性情報を選択する選択操作を行う選択操作手段と、前記記憶手段に記憶された検査条件の中から、前記選択操作手段で選択された属性情報に一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を仮検査条件として抽出する仮検査条件抽出手段と、前記抽出された仮検査条件を用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる仮検査手段と、前記仮検査手段の検査結果に基づいて前記仮検査条件を更新する仮検査条件更新手段と、前記更新された仮検査条件を本検査条件として用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる本検査手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、検査手段に検査させる被検査物を検査するときは、この被検査物と属性情報が一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を抽出し、抽出した検査条件を元にして本検査条件を設定するので、仮検査条件を用いて検査手段に被検査物を検査させる回数を少なくしたり、高い精度の本検査条件を設定することができる。このため、容易に短時間で被検査物の検査条件を設定および調整することができる。
【0010】
本発明に係る物品検査装置は、前記記憶手段が記憶する属性情報が、前記被検査物の分類概念の異なる複数の階層における種類を含み、前記選択操作手段が、選択操作により選択された種類の下位の階層における種類を選択肢として提示し、更なる選択操作を行う選択画面を表示することを特徴とする。
【0011】
この構成により、選択操作手段で選択操作をするときに、属性情報としての種類が下位の階層に絞り込まれるため、属性情報の選択操作を容易に且つ短時間で行うことができる。
【0012】
本発明に係る物品検査装置は、前記選択操作手段が、前記属性情報の内容を二者択一により選択操作する選択画面を表示することを特徴とする。
【0013】
この構成により、選択画面において属性情報の内容を二者択一により選択操作することができるので、被検査物の性質や検査条件の設定に関する知識がなくても、選択操作手段での属性情報の選択操作を容易に且つ短時間で行うことができる。
【0014】
本発明に係る物品検査装置は、前記記憶手段が、外部装置から前記属性情報および前記検査条件を取得して記憶することを特徴とする。
【0015】
この構成により、記憶手段が選択操作手段における選択操作に必要な属性情報や検査条件を記憶していない場合でも、外部装置から属性情報および検査条件を取得することで、常に選択操作手段で選択操作ができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、容易に短時間で被検査物の検査条件を設定および調整することができる物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る異物検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る異物検出装置の検査部が金属検出部として構成された例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る異物検出装置の検査部がX線検出部として構成された例を示すブロック図である。
【図4】記憶部が記憶するグループ分類テーブルを示す図である。
【図5】(a)、(b)は、記憶部が記憶する検査設定テーブルを示す図である。
【図6】記憶部が記憶する特徴テーブルを示す図である。
【図7】表示操作部が表示する選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
まず構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、物品検査装置1は、搬送部2と、検査部3と、表示操作部4と、判定部5と、制御回路6とを備えている。
【0021】
この物品検査装置1は、例えば生肉、魚、加工食品、医薬などの被検査物が搬送される図示しない製造ラインに組み込まれ、被検査物W中に混入した異物を検出するものである。
【0022】
搬送部2は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬などの様々な品種の中から予め表示操作部4で設定される品種の被検査物Wを順次搬送するもので、例えば装置本体に対して水平に配置されたベルトコンベアにより構成される。搬送部2は、図示しない駆動モータにより駆動され、予め設定された所定の搬送速度で、搬入された被検査物Wを図1の矢印方向に搬送するようになっている。
【0023】
検査部3は、被検査物Wに含まれる異物の種類やサイズに応じた検出信号を出力するようになっており、図2に示す構成の金属検出部3B、または図3に示す構成のX線検出部3Aから構成される。
【0024】
図2に示す金属検出部3Bは、信号発生器31、送信コイル32、2つの受信コイル33a、33bを有する磁界変化検出部33、検波部34を備えている。
【0025】
信号発生器31は、所定周波数の信号を出力する。送信コイル32は、信号発生器31からの信号を受けて被検査物W(またはテストピースP)に所定周波数の交番磁界を発生するようになっている。
【0026】
2つの受信コイル33a、33bは、送信コイル32が発生する交番磁界を等量ずつ受ける位置で被検査物Wの搬送方向に沿って配置され、互いに差動接続される。磁界変化検出部33は、交番磁界中を通過する物体による磁界の変化に対応した信号を発生するようになっている。
【0027】
検波部34は、磁界変化検出部33の出力信号を信号発生器31が発生する信号と同一周波数の信号によって同期検波するようになっている。
【0028】
このような構成による金属検出部3Bでは、被検査物Wが交番磁界中に存在していないときには、2つの受信コイル33a、33bに生起される信号の振幅が等しく位相が反転している平衡状態となるため、信号の振幅はゼロとなり、検波部34の出力もゼロになる(検波出力)。これに対し、被検査物Wが交番磁界中に存在している場合には、被検査物W自身およびその被検査物Wに混入している金属(またはテストピースP)の影響により、2つの受信コイル33a、33bに生起される両信号の平衡状態がくずれ、被検査物Wの移動に伴い、振幅および位相が変化する信号が検波部34から出力される(検波出力)。
【0029】
なお、図2に示した金属検出部3Bは、搬送部2を挟んで一方側に送信コイル32を配置し、他方側に2つの受信コイル33a、33bを送信コイル32に対向させるように配置したいわゆる対向型配置の構成を有しているが、送信コイル32と受信コイル33a、33bとが同軸上に配置された同軸型配置の構成を有していてもよい。また、金属検出部3Bは、被検査物Wに含まれる金属を磁石等の磁化器で着磁し、磁化された金属の残留磁気を磁気センサで検出するような構成としてもよい。
【0030】
一方、図3に示すX線検出部3Aは、X線発生器21とX線検出器22とを備えている。
【0031】
X線発生器21は、金属性の箱体内部に設けられる円筒形のX線管を絶縁油に浸漬したものから構成されており、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射してX線を生成している。X線管は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向と直交するように配置されている。X線管により生成されたX線は、下方のX線検出器22に向けて、長手方向に沿ったスリットを介して、略円錐形状のX線を略三角形状のスクリーン状にして曝射するようになっている。
【0032】
X線検出器22は、被検査物Wに対してX線が曝射されたときに、被検査物Wを透過してくるX線を検出し、この検出したX線の透過量に応じた電気信号を出力している。X線検出器22には、例えば搬送部2を構成するベルトコンベア上を搬送される被検査物Wの搬送方向と直交する方向にライン状に配列された複数のフォトダイオードと、フォトダイオード上に設けられたシンチレータとを備えたアレイ状のラインセンサが用いられている。
【0033】
このような構成によるX線検出部3Aでは、被検査物Wに対してX線発生器21からX線が曝射されたときに、被検査物Wを透過してくるX線をX線検出器22のシンチレータで受けて光に変換する。さらにシンチレータで変換された光は、その下部に配置されるX線検出器22のフォトダイオードによって受光される。そして、各フォトダイオードは、受光した光を電気信号に変換して出力する(検出出力)ようになっている。
【0034】
また、検査部3は、金属検出部3BやX線検出部3Aとして構成する他に、被検査物Wの重量を測定する図示しない荷重センサ、差動トランス機構や歪ゲージ機構などのはかり機構として構成してもよい。
【0035】
表示操作部4は、設定や指示のために操作する複数のキーやスイッチ等を有しており、搬送部2によって搬送させる被検査物Wの品種の設定操作や、被検査物Wの異物検出や動作確認に関する各種設定操作や指示操作を行うようになっている。また、表示操作部4では、記憶部7が記憶する被検査物Wの属性情報の中から検査部3に検査させる被検査物Wの属性情報を選択する選択操作を行うようになっている。
【0036】
また、表示操作部4は、例えば液晶表示器等を有しており、被検査物Wの品種の設定操作が行われるときの設定値、動作モードの切り替えに関する設定値、指示操作が行われるときの指示値、各種判定結果等、種々の表示を行うようになっている。また、表示操作部4は、被検査物Wの属性情報を選択する選択操作を行う際の選択画面が表示されるようになっている。
【0037】
判定部5は、検査部3からの検出出力(検出信号)に基づいて、被検査物Wの中に異物が含まれているか否か等の良否判定を行うとともに、判定結果を表示操作部4に表示させるようになっている。
【0038】
制御回路6は、物品検査装置1の全体の制御を行うものであり、記憶部7および制御部8を備えている。
【0039】
記憶部7は、被検査物Wの属性を特定する属性情報と、被検査物Wの検査に用いる検査部3の検査条件を、属性情報と検査条件とを対応付けて記憶するようになっている。記憶部7は、外部装置30からこれらの属性情報および検査条件を取得して記憶するようになっていてもよい。例えば、記憶部7は、自らが記憶する属性情報および検査条件では、表示操作部4で属性情報の選択操作ができないような場合、または所定時間の経過ごとに、外部装置30から属性情報および検査条件を取得して記憶情報をアップデートするようにすればよい。
【0040】
記憶部7には、図4に示すグループ分類テーブル、図5(a)、図5(b)に示す検査設定テーブル、図6に示す特徴テーブルが記憶されている。
【0041】
図4のグループ分類テーブルは、複数の被検査物Wの属性情報のうちの「種類」を、分類概念の異なる複数の階層に分けて定める。図4において、例えば、製品名が"鶏肉"で製品IDが"1"の被検査物Wの属性情報のうちの「種類」は、第1階層で"食品"、第2階層で"肉類"、第3階層で"鶏肉類"となっている。ここで、第1階層は最も上位の分類概念であり、第2階層は第1階層より下位の分類概念であり、第3階層は第2階層より下位の分類概念である。第4階層、第5階層についても同様である。
【0042】
図5(a)、図5(b)の検査設定テーブルは、図5(a)の検査設定テーブルAと図5(b)の検査設定テーブルBとに分離されている。図5(a)の検査設定テーブルAは、被検査物Wの厚み等の状態を示す属性情報としての「特徴」の項目を有しており、図5(b)の検査設定テーブルBは、被検査物Wの検査条件としての「検査設定」の項目を有している。検査設定テーブルAと検査設定テーブルBの双方は、「検査ID」の項目を有しており、この検査IDによって検査設定テーブルAの「特徴」と検査設定テーブルBの「検査設定」とが対応付けられている。このように、検査IDによって対応付けた「特徴」と「検査設定」とを、検査設定テーブルAと検査設定テーブルBとに分離して記憶させることにより、異なる製品に対して同一の検査設定を行う場合、異なる製品毎に同一の検査設定を記憶する必要が無くなるため、そのテーブル領域を節約することができるようになっている。
【0043】
図5(a)の検査設定テーブルAの「特徴」の項目には、A、B、C、・・・のアルファベット毎に、被検査物Wの厚み、奥行き、高さ、等の状態や、被検査物Wに軟骨やクリップが含まれているが等の状態が定められている。なお、「特徴」の項目のアルファベットは、図6の特徴テーブルの「ID」の項目のアルファベットに対応する。また、図5(a)の検査設定テーブルAは、検査名称と製品IDの項目を有している。
【0044】
図5(b)の検査設定テーブルBの「検査設定」の項目には、検出アルゴリズムとして何番のアルゴリズムを採用するか、クリップマスク機能を有効または無効の何れとするか、骨検出機能を有効または無効の何れとするか、X線出力をどの出力にするか、等の検査条件が定められている。
【0045】
また、図5(a)、図5(b)の各検査設定テーブルの「製品ID」の項目の番号は、図4のグループ分類テーブルの「製品ID」の項目の番号に対応する。このように、図4のグループ分類テーブルの情報と、図5(a)、図5(b)の各検査設定テーブルの情報は、双方のテーブルの「製品ID」により対応付けられている。
【0046】
また、図6の特徴テーブルには、図5の検査設定テーブルの「特徴」の項目の内容と、表示操作部4で被検査物Wの属性情報を選択操作するときに表示する質問内容が定められている。
【0047】
制御部8は、記憶部7に記憶された検査条件の中から、表示操作部4で選択された属性情報に一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を仮検査条件として抽出するようになっている。また、制御部8は、抽出された仮検査条件を用いて検査部3に被検査物Wを検査させるようになっている。また、制御部8は、仮検査条件による検査結果に基づいて仮検査条件を更新するようになっている。更に、制御部8は、更新された仮検査条件を本検査条件として用いて検査部3に被検査物Wを検査させるようになっている。
【0048】
次に、物品検査装置1の動作について説明する。以下、新たな被検査物Wの検査条件を物品検査装置1に設定するときの設定動作について説明する。
【0049】
まず、表示操作部4で、記憶部7が記憶する被検査物Wの属性情報の中から検査部3に検査させる被検査物Wの属性情報を選択する選択操作が行われる。具体的には、表示操作部4には、図7に示す態様で選択画面4aが表示され、利用者からの選択操作を受け付ける。図7の選択画面4aでは、属性情報の第1階層の種類が選択されると、選択された種類の下位の分類概念の第2階層の種類が表示され、利用者からの更なる選択操作を受け付ける。さらに、表示操作部4には、図6の特徴テーブルの「質問」の項目の内容が表示され、利用者からの二者択一または数値入力による選択操作を受け付ける。
【0050】
ついで、制御部8は、記憶部7に記憶された検査条件の中から、表示操作部4で選択された属性情報に一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を仮検査条件として抽出する。例えば、表示操作部4で選択された属性情報が、図4のグループ分類テーブルにおける製品名"鶏肉"で製品ID"1"の属性情報、および、図5(a)の検査設定テーブルにおける検査名称"鶏肉"で検査ID"1"の属性情報に一致する場合、この属性情報に対応付けられた検査ID"1"の検査条件(図5(b)では検査設定と記す)を抽出する。
【0051】
ついで、制御部8は、抽出された仮検査条件を用いて検査部3に被検査物Wを検査させる。ついで、制御部8は、仮検査条件による検査結果に基づいて仮検査条件を更新する。ついで、制御部8は、更新された仮検査条件を本検査条件として用いて検査部3に被検査物Wを検査させる。これにより、仮検査条件として抽出された検査ID"1"の検査条件は、この検査条件で実際に被検査物Wを検査した結果に基づいて更新されて検査対象とする被検査物Wに最適なものとなる。
【0052】
ここで、仮検査条件による検査結果に基づいて検査条件を更新して本検査条件を求める手法について説明する。
【0053】
まず、制御部8は、仮検査条件を用いて1回目の搬送により第1群の条件の測定判定処理を行い、順次、第(N−1)群までの条件の測定判定処理を行い、次いで第N回目の搬送により第N群の条件の測定判定処理を行い、全ての周波数についての測定判定処理が完了したか否かを判断し、全ての周波数についての測定判定処理が完了してなければ周波数を変えて、再び第1群の条件から第N群の条件まで測定判定処理を繰り返し、全ての周波数について測定判定処理を行い、全ての周波数についての測定判定処理が完了したら最適と判定された条件の組合せに仮検査条件を変更してこれを本検査条件とする。
【0054】
以上のように、本実施の形態に係る物品検査装置1は、被検査物Wを検査する検査部3と、被検査物Wの属性を特定する属性情報と、被検査物Wの検査に用いる検査部3の検査条件を、属性情報と検査条件とを対応付けて記憶する記憶部7と、記憶部7が記憶する属性情報の中から検査部3に検査させる被検査物Wの属性情報を選択する選択操作を行う表示操作部4と、記憶部7に記憶された検査条件の中から、表示操作部4で選択された属性情報に一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を仮検査条件として抽出し、抽出された仮検査条件を用いて検査部3に被検査物Wを検査させ、その検査結果に基づいて仮検査条件を更新し、更新された仮検査条件を本検査条件として用いて検査部3に被検査物Wを検査させる制御部8と、を備えたことを特徴とする。
【0055】
この構成により、検査部3に検査させる被検査物Wを検査するときは、この被検査物Wと属性情報が一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を抽出し、抽出した検査条件を元にして本検査条件を設定するので、仮検査条件を用いて検査部3に被検査物Wを検査させる回数を少なくしたり、高い精度の本検査条件を設定することができる。このため、容易に短時間で被検査物Wの検査条件を設定および調整することができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る物品検査装置1は、記憶部7が記憶する属性情報が、被検査物Wの分類概念の異なる複数の階層における種類を含み、表示操作部4が、選択操作により選択された種類の下位の階層における種類を選択肢として提示し、更なる選択操作を行う選択画面4aを表示することを特徴とする。
【0057】
この構成により、表示操作部4で選択操作をするときに、属性情報としての種類が下位の階層に絞りこまれるため、表示操作部4による属性情報の選択操作を容易に且つ短時間で行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る物品検査装置1は、表示操作部4が、属性情報の内容を二者択一により選択操作する選択画面4aを表示することを特徴とする。
【0059】
この構成により、選択画面4aにおいて属性情報の内容を二者択一により選択操作することができるので、被検査物Wの性質や検査条件の設定に関する知識がなくても、表示操作部4による属性情報の選択操作を容易に且つ短時間で行うことができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る物品検査装置1は、記憶部7が、外部装置30から属性情報および検査条件を取得して記憶することを特徴とする。
【0061】
この構成により、記憶部7が表示操作部4における選択操作に必要な属性情報や検査条件を記憶していない場合でも、外部装置30から属性情報および検査条件を取得することで、常に表示操作部4で選択操作ができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係る物品検査装置は、容易に短時間で被検査物の検査条件を設定および調整することができるという効果を有し、生肉、魚、加工食品、医薬などの被検査物中に混入した異物を検出する物品検査装置として有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 物品検査装置
2 搬送部
3 検査部(検査手段)
3A X線検出部
3B 金属検出部
4 表示操作部(選択操作手段)
4a 選択画面
5 判定部
6 制御回路
7 記憶部(記憶手段)
8 制御部(仮検査条件抽出手段、仮検査手段、仮検査条件更新手段、本検査手段)
21 X線発生器
22 X線検出器
30 外部装置
31 信号発生器
32 送信コイル
33a、33b 受信コイル
34 検波部
W 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物(W)を検査する検査手段(3)と、
前記被検査物の属性を特定する属性情報と、前記被検査物の検査に用いる前記検査手段の検査条件を、前記属性情報と前記検査条件とを対応付けて記憶する記憶手段(7)と、
前記記憶手段が記憶する属性情報の中から前記検査手段に検査させる被検査物の属性情報を選択する選択操作を行う選択操作手段(4)と、
前記記憶手段に記憶された検査条件の中から、前記選択操作手段で選択された属性情報に一致または類似する属性情報に対応付けられた検査条件を仮検査条件として抽出する仮検査条件抽出手段(8)と、
前記抽出された仮検査条件を用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる仮検査手段(8)と、
前記仮検査手段の検査結果に基づいて前記仮検査条件を更新する仮検査条件更新手段(8)と、
前記更新された仮検査条件を本検査条件として用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる本検査手段(8)と、を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記記憶手段が記憶する属性情報が、前記被検査物の分類概念の異なる複数の階層における種類を含み、
前記選択操作手段が、選択操作により選択された種類の下位の階層における種類を選択肢として提示し、更なる選択操作を行う選択画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記選択操作手段が、前記属性情報の内容を二者択一により選択操作する選択画面を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記記憶手段が、外部装置(30)から前記属性情報および前記検査条件を取得して記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−196777(P2011−196777A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62713(P2010−62713)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】