物理的及び/又は生物学的不純物の除去のための濾過器
本発明は、織物繊維を含む、濾過媒体から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器に関する。この濾過器は、少なくとも一対(L)のナノ繊維層を含み、その内、前記濾過媒体の通過方向における第一ナノ繊維層は、前記除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)であり、第二ナノ繊維層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)で表され、前記濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズは、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズよりも小さく且つこの濾過ナノ繊維層(3)により除去される1種又は複数の生物学的不純物の成分のサイズよりも小さい。この次に、本発明は、生物学的不純物に対する保護のための空気濾過器及び浄水器及びフェイススクリーンに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物繊維を含む、濾過媒体から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器に関する。
【0002】
次に、本発明は、濾過される空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、織物繊維を含む空気濾過器に関する。
【0003】
本発明は、又、吸い込み及び吐き出し空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、内側織物層及び外側織物層を含むフェイススクリーンに関する。
【0004】
本発明は、又、濾過される水から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、種々のサイズの粒子の砂濾過器を含む浄水器に関する。
【背景技術】
【0005】
我々が呼吸する周囲の空気中には、工業生産又は生態学的災害によるものだけではなく、多数のバクテリア又はウイルス疾患の発症源として人体にとって有害な、相対的に高濃度の粉塵、有害化学品及び又広範囲の微生物が存在している。
【0006】
現在、吸い込み空気の浄化のための広範囲の多数の種々のタイプのスクリーン、吸入マスク、防毒マスク濾過器及び類似装置が知られていて、これらの手段の既知の解決方法の大部分は、第一に、吸い込んだ空気から粉塵粒子を除去することに集中している。これらの原理は、本質的に、多かれ少なかれ複雑な迷路(例えば、繊維の)の創造にあり、粉塵粒子又は類似の微粒子が捕捉されることの最も高い実現可能性が存在する。
【0007】
有害な化学品、攻撃的ガス及び例えば又不快臭を除去するために、上述の手段には、種々の形態の活性炭で創られた又はこれらを含む1つ若しくは複数の層が加えられている。これらの手段の有効性を拡大又は増加することを理由として、活性炭の層は、通常、活性炭の粒子のコーティングを形成する又はそれらの間の空間を充填しているその他の化学物質で仕上げられている。
【0008】
例えば、米国特許第5714126号からは、活性炭の1つの層及び活性炭の粒子が、スルフェート、モリブデンの層又は類似物質の層で被覆されていることで第一の層とは異なる活性炭の第二の層を含む、吸入マスクの濾過システムが公知である。
【0009】
しかし、その様に設計された手段の欠点は、これらの比較的複雑な構造にも拘らず、これらは、殆ど、通過する空気中に存在している微生物には作用せず、微生物は、その後、使用者の気道中に容易に侵入し、恐らくこれらは前記手段の構造中で、これらが穏やかに存在し、そしてこれらが、最初の微生物が持ち込まれてから比較的長い時間の後でも、感染又は汚染の源となり得る場所で捕捉される点である。
【0010】
幾つかの公知の解決方法によれば、恐らく微生物が生存している吸い込み空気の濾過手段による不本意な微生物の伝達を防ぐために、抗菌性物質を備えた新たな層が創り出されるか、又は濾過手段の今ある層の幾つかがその様な物質で補足される。言及された抗菌性物質は、多少とも信頼できる方法で、入ってくる微生物を一掃し又は少なくとも著しく弱体化させる。
【0011】
イオン形態又は金属形態の両方において銀は、ほぼ無制限の作用範囲を伴う最も有効な抗菌効果を有する物質に属することから、濾過手段の幾つかの解決方法は、銀、できればそれは化合物の銀の粒子又は繊維を導入する。
【0012】
例えば、WO2005002675は鼻マスクを記載していて、その構成部分が小さな孔を持つ「ポケット」であり、そこに銀又はトルマリン粒子の繊維が配置され、これらが、これらの存在で不本意な微生物を結合し、破壊してこのマスクに抗菌性を与える。
【0013】
銀を含む、微生物の除去のための手段に関するこの解決方法及び殆どのその他の解決方法の欠点は、第一に、これらの手段の相対的に複雑な製造であり、大抵が、別にマスク本体及び別に抗菌性物質、例えば、銀繊維又は粒子を製造する必要性を含み、その後でなければ最終製品の組立てができないことである。
【0014】
同じ様な状態が、建物又は乗り物両方の空気調節回路での空気浄化の分野に存在する。同時に、織物製品、例えば、ソックス又はタオルでの微生物及びその他の生物学的不純物の繁殖を防止するために銀の抗菌効果を利用する、銀を含む織物繊維を使用する公知の用途が存在する。
【0015】
又、生物学的不純物からの水の浄化での銀の使用も公知であるが、この方法は比較的コストが掛かり、複雑である。従って、殆どの場合、生物学的不純物からの水の浄化では塩素化が使用される。
【0016】
物質のコロイド状態の研究から、固体物質の化学的、多分、触媒的作用は、活性物質の比表面積と共に増加することが広く知られている。キャリヤ中の活性物質の粒径が減少すると、キャリヤ中で少ない量の活性物質によって又はキャリヤ中で低い濃度の活性物質によって必要な効果速度を達成することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、当該技術分野の現状の欠点を除去し又は少なくとも最小化し、同時に、活性物質の粒径を減少させるための可能性に関する知識を利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の原理
本発明の目的は、少なくとも一対のナノ繊維層を含み、その内、濾過媒体の通過方向における第一ナノ繊維層が、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層であり、第二ナノ繊維層が、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層で表され、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズが、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙のサイズよりも小さく且つこの濾過ナノ繊維層により除去される1種又は複数の生物学的不純物の成分のサイズよりも小さい濾過器により達成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明による、少なくとも一対のナノ繊維層を含む濾過器の利点は、本質的に、濾過ナノ繊維層により捕捉される生物学的不純物が、活性ナノ繊維層のナノ繊維中に含まれる、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な低分子物質との接触により死滅又は少なくとも弱体化される点に在る。除去される生物学的不純物は、濾過ナノ繊維層で捕捉された後は、活性ナノ繊維層のナノ繊維の一部であるそれぞれの活性物質が不純物に作用する活性ナノ繊維層中に保持される。
【0020】
濾過器の有効性を広げるために、濾過器が、少なくとも二対のナノ繊維層を含み、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とし、濾過媒体の通過方向における個々の一対のナノ繊維層が、濾過媒体の通過のための小さなサイズの間隙を有し、それぞれの後の一対のナノ繊維層が、前の一対のナノ繊維層よりも小さい生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とするのが有利である。
【0021】
その有効性の維持の上で濾過器のナノ繊維層の数の減少は、請求項3により達成される。前の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層は、その後に続く一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層を創り出し、それは、その後に続く一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層で捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する少なくとも1つの低分子物質を含むナノ繊維で形成される。
【0022】
濾過器の有利な実施形態では、濾過媒体の通過方向にある第一の一対のナノ繊維層は、バクテリアの捕捉及び一掃を目的とし、濾過媒体の通過方向にある第二の一対のナノ繊維層は、ウイルスの捕捉及び一掃を目的とする。この分け方は、捕捉される生物学的不純物の粒子の異なるサイズにより、そして同時に、捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する適当な低分子物質の選択にとってある程度有利である。
【0023】
上述の解決方法では、第一の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層がナノ繊維で形成され、その間に、この濾過ナノ繊維層により捕捉されるべき最も小さいバクテリアのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、第一の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層が、それぞれの濾過ナノ繊維層で捕捉されるバクテリアに対して有効に作用する少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含むナノ繊維で形成され、同時に、第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層がナノ繊維で形成され、その間の、濾過媒体の通過のための間隙が、この濾過ナノ繊維層で捕捉されるべきウイルスのサイズよりも小さく、第二の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層が、第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層で捕捉されるウイルスに対して有効に作用する少なくとも1つの殺ウイルス性物質を含むナノ繊維で形成されるのが有利である。生物学的不純物の捕捉及び一掃される粒子のサイズによる一対のナノ繊維層の分割は、又、次々に配置される一対のナノ繊維層に、これらのサイズにより選択される一定のバクテリアについて目標を定めた作用を可能にする。
【0024】
第一の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は300〜700nmであり、バクテリアのサイズが350〜1000nmで変化するので、除去される生物学的不純物を創り出すバクテリアの捕捉を可能にする。
【0025】
第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は50〜200nmである。この配置は、その特徴的サイズが10〜150nmで変化するウイルスの大部分の捕捉を可能にする。当該技術分野の現状の観点から、50nmより下のサイズのウイルスの捕捉は、10nmより下のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙を有する濾過ナノ繊維層の清澄化の難しさから問題があると思われる。それにもかかわらず、この解決方法は、数十ナノメートルの桁の値で層中のナノ繊維の最大厚さを有するナノメートルの単位で製造されるナノ繊維の厚さの達成により排除されない。
【0026】
全ての上述の実施形態でのナノ繊維層の表面重量は、有利には、0.1〜0.3g/m2の範囲で変化し、それぞれの一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層は、濾過媒体の通過方向でその前に配置されている、それぞれの一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層よりも小さい表面重量を有する。この配置は、濾過媒体に対するナノ繊維層の十分な透過性を確実にする。
【0027】
濾過ナノ繊維層のポリマーナノ繊維は、ポリマー溶液の静電紡糸により製造され、活性ナノ繊維層のポリマーナノ繊維は、それぞれの低分子物質の粒子又は紡糸後に、それぞれの低分子物質の粒子が、幾つかの公知の方法により創り出される物質を含むポリマー溶液の静電紡糸により製造される。本発明による濾過器のナノ繊維層のためのナノ繊維のこの製造方法は、この方法では、ナノ繊維の繊度並びにそれらの中に堆積した低分子物質の粒子の含有量及びサイズが広い範囲まで影響を与えることができるので最も有利であると思われる。
【0028】
本発明による濾過器の活性ナノ繊維層に適用される低分子物質は、相当する層で一掃されるべきバクテリア、ウイルス又はその他の微生物により選択される。除去される生物学的不純物に対して適用される主として使用される低分子物質は、金属形態の銀、銀の化合物、第4級アンモニウム塩及びPVPヨードの群からの低分子物質である。
【0029】
ナノ繊維の直径は50〜700nmの範囲で変化し、ナノ繊維層の十分な透過性の保持のためには、各連続するナノ繊維層における、濾過媒体の通過の方向における個々のナノ繊維層におけるナノ繊維の直径は、ナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズの減少と一緒に減少する。これと同時に、又、有利には、相当するナノ繊維層の表面重量も減少する。
【0030】
使用される低分子物質の粒子は、前に既に言及した様に、ポリマーナノ繊維中に堆積され、固定され、同時に、活性ナノ繊維層のナノ繊維中の低分子物質又は低分子物質類の粒子の特徴的サイズが5〜100nmの範囲にあり、粒子のサイズが、又、ナノ繊維の直径に一致するのが有利である。
【0031】
上述の濾過器は、物理的不純物だけではなく、特に生物学的不純物もその外に除去する必要のある気体及び液体の濾過のために指示され、従って、濾過される最も頻繁な媒体は空気又は水である。
【0032】
本発明による空気濾過器の原理は、空気濾過器が少なくとも一対のナノ繊維層を含み、その内、濾過される空気の通過方向における第一層が、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して有効な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層であり、第二層が、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層であり、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズが、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さい点に在る。
【0033】
本発明は、又、外側及び内側織物層を含む、吸い込み又は吐き出し空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するためのフェイススクリーン(face screen)に関し、本発明の原理は、外側織物層及び内側織物層との間に、300nmまでのナノ繊維間の間隙を有する濾過ナノ繊維層を含む一対のナノ繊維層が配置され、フェイススクリーンの指示により、濾過ナノ繊維層の前の空気通過の方向に、少なくとも1つの殺菌性低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される点に在る。このフェイススクリーンは、物理的不純物を捕捉することができ、バクテリアで形成される生物学的不純物を捕捉及び一掃することができる。同時に、それは、周囲の生物学的不純物の前の生物学的に汚染された環境に住む人間の保護のために又は生物学的不純物の吐き出しの予防のため、例えば、隣人の吐き出す生物学的不純物の前の患者の保護のために配置されてもよい。
【0034】
周囲の生物学的不純物の前の人間の保護のためのフェイススクリーンの濾過ナノ繊維層は、内側織物層の前で、吸い込みの方向で配置され、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層と外側織物層との間には、活性ナノ繊維層のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される。
【0035】
生物学的不純物の吐き出しの保護のための外科用フェイススクリーンの濾過ナノ繊維層は、外側織物層の前で、吐き出しの方向で配置され、ポリマーナノ繊維で創り出されるこの濾過ナノ繊維層と内側織物層との間には、活性ナノ繊維層のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される。
【0036】
生物学的不純物の吸い込み及び吐き出しの保護のためのフェイススクリーンは、これらの濾過ナノ繊維層が互いに向い合っている二対のナノ繊維層を含む。
【0037】
同時に、両方の一対のナノ繊維層は普通の濾過ナノ繊維層を有する場合に有利である。
【0038】
バクテリアに対する保護のためのフェイススクリーンの有利な実施形態では、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、空気の通過のための間隙は300〜700nmであり、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙はそれよりも大きい。
【0039】
バクテリア及びウイルスに対する保護のためのフェイススクリーンは、殺菌性の一対のナノ繊維層の後に、空気の通過方向で配置される殺ウイルス性の一対のナノ繊維層を含み、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層は50〜200nmの、ナノ繊維間の空気の通過のための間隙を有し、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層の前に、空気通過の方向で、殺ウイルス性物質の粒子を含むナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される。
【0040】
同時に、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙が、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙よりも大きく、同時に、殺菌性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙よりも小さいのが有利である。
【0041】
本発明による浄水器の原理は、砂濾過器の後に、少なくとも一対のナノ繊維層が配置され、その内、濾過される水の通過方向における第一ナノ繊維層が、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層であり、第二ナノ繊維層が、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層であり、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズが、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さい点に在る。
【0042】
本発明の実施形態の実施例は、同封の図面で概略的に例示される。
【0043】
実施例
織物繊維を含む、濾過媒体から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器は、図1による実施形態の実施例では、一対(L)のナノ繊維層を含み、その内、濾過媒体の通過方向における第一ナノ繊維層は、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して有効な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で創り出される活性ナノ繊維層(2)である。一対(L)のナノ繊維層により濾過媒体の通過方向における第二ナノ繊維層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)であり、濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズは、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズよりも小さく且つこの濾過ナノ繊維層(3)により除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さい。
【0044】
図2は、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的として定められている二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む、物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器の実施形態の実施例を示す。第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)はナノ繊維で形成され、その間に、このナノ繊維層(31)で捕捉されるべき最も小さいバクテリアのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)は、それぞれの濾過ナノ繊維層(31)で捕捉されるバクテリアに対して有効に作用する少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含むナノ繊維から創り出される。第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)はナノ繊維で形成され、その間に、この濾過ナノ繊維層(32)で捕捉されるべきウイルスのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)で捕捉されるウイルスに対して有効に作用する少なくとも1つの殺ウイルス性物質を含むナノ繊維で形成される。第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)及び活性ナノ繊維層(22)は、又、第一の一対(L1)のナノ繊維層で捕捉及び一掃されるバクテリアよりも小さい寸法のバクテリアの捕捉及び一掃のために役立ってもよい。
【0045】
従って、二対(L1、L2)のナノ繊維層が使用される場合は、濾過媒体の通過方向に次々に続くナノ繊維層(21、31、22、32)の個々のナノ繊維間の間隙のサイズは徐々に減少して行く。ナノ繊維間の最大間隙は、従って、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)にある。ナノ繊維間の更に小さな間隙は、最大の選択される微生物、通常バクテリアである微生物の捕捉に役立つ、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)にある。ナノ繊維間のなお更に小さい間隙は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)にあり、ナノ繊維間の最も小さい間隙は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)にある。例示されていない場合では、活性ナノ繊維層(2i)及び濾過ナノ繊維層(3i)を含む、その他の一対(Li)のナノ繊維層が使用される。
【0046】
バクテリアの大きさは、350〜1000nmの範囲で変化する。従って、最も小さいバクテリアでも捕捉するためには、300nmまでの寸法を有するそれぞれの濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙が創り出されれば十分である。ウイルスの特徴的大きさは、10〜200nmで変化する。現在のポリマー溶液の静電紡糸の現行方法によれば、50nm以上のナノ繊維間の間隙を有するナノ繊維織物が製造できるので、ウイルスの示された範囲から50nmを超えるウイルスは、濾過ナノ繊維層で捕捉できる。これらの大きさの全体の範囲のウイルスを捕捉することができるためには、10nmより小さいナノ繊維、これは例えば、6〜9nmを意味するナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙を有する濾過ナノ繊維層を製造することが必要である。濾過媒体に対してその様な濾過ナノ繊維層の透過性を保持するためには、ナノ繊維の寸法は、数単位又は数十ナノメートルであり、ナノ繊維の最適厚さとしては、10〜30nmの範囲にあるべきと思われる。その様な濾過ナノ繊維層は、ポリマー溶液の静電紡糸の方法により製造することができる。
【0047】
図3は、二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃のために指示されている、物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器の実施形態の実施例を示す。第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)は、同時に、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)を表し、それは、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層で捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する少なくとも1つの低分子物質を含むナノ繊維で形成される。相当する濾過ナノ繊維層(31、32)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は、濾過ナノ繊維層(31、32)で捕捉されるべき1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズにより創り出され、相当する濾過ナノ繊維層(31、32)で捕捉されるべき1種又は複数の生物学的不純物の組成物により、それぞれの活性ナノ繊維層(21、22)のナノ繊維中に含まれる有効な低分子物質が選択される。
【0048】
バクテリアの捕捉及び一掃のために指示される、単独の一対(L)又は第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(3)又は(31)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は、捕捉されるべきバクテリアのサイズによって300〜700nmである。
【0049】
ウイルスの捕捉及び一掃のために指示される、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は、捕捉されるべきウイルスのサイズによって50〜200nmである。
【0050】
ナノ繊維層の表面重量は、0.1〜0.3g/m2で変化し、相当する一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(3、31、32)は、その前に配置される、濾過媒体の通過方向の、相当する一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)よりも小さい表面重量を有する。
【0051】
濾過ナノ繊維層(3、31、32)のポリマーナノ繊維は、ポリマー溶液の静電紡糸により製造され、活性ナノ繊維層(2、21、22)のポリマーナノ繊維は、対応する低分子物質の粒子又は紡糸後に、ナノ繊維中の相当する低分子物質の粒子が幾つかの公知の方法により生成される物質を含むポリマー溶液の静電紡糸により製造される。
【0052】
バクテリアに対して活性な低分子物質は、金属形態の銀、銀の化合物、例えば銀の塩及び第4級アンモニウム塩の群からの低分子物質である。ウイルスに対して活性な低分子物質は、例えばPVPヨードであり、ウイルスに対して活性なその他の公知の低分子物質であってもよい。
【0053】
ナノ繊維の寸法は、50〜700nmの範囲で変化し、それぞれの連続したナノ繊維層における、濾過媒体の通過方向にある個々のナノ繊維層のナノ繊維の寸法は、ナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズの減少と共に減少する。一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)のナノ繊維中の低分子物質又は低分子物質類の粒子の特徴的寸法は、5〜100nmの範囲で変化する。低分子物質の粒子は、ナノ繊維のポリマー中に堆積し、ナノ繊維の表面まで到達する。
【0054】
本発明による濾過器は、特に、空気及び水の濾過のために指示される。
【0055】
空気濾過器、例えば、空気調節回路で空気を浄化するための空気濾過器は、種々の厚さの織物繊維で創り出される幾つかの濾過層(1a、1c)を含み、空気通過方向で、個々の層において、繊維の寸法は徐々に減少し、特に、織物層中の繊維間の間隙のサイズは徐々に減少する。同時に、この試みは、濾過器の最大空気透過性を維持するためであり、空気流に対するその抵抗性をなお一層増加することではない。織物層は、多くの場合、活性炭(1b)の少なくとも1つの濾過層と組み合わされる。濾過層(1a、1b、1c)の後の空気通過方向には、1つ又は複数の一対のナノ繊維層が配置され、図4による実施形態の実施例では、図2による実施形態の実施例におけるのと同じ方法で配置される、二対(L1、L2)のナノ繊維層が例示される。織物濾過層(1c)の後の空気流の方向には、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)が配置され、その後には、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)が配置される。第一の一対(L1)のナノ繊維層の後ろには、第二の一対(L2)のナノ繊維層が配置され、その活性ナノ繊維層(22)は、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)に隣接している。最後のナノ繊維層は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過層(32)であり、その後に、空気流の方向に、被覆、搬送又は支持織物層(4)が配置される。第一の一対(L1)のナノ繊維層は、バクテリアの捕捉及び一掃のための役目を果し、第二の一対(L2)のナノ繊維層は、ウイルスの捕捉及び一掃のための役目を果す。
【0056】
濾過器の個々の層は、濾過器の整合性の増加のために幾つかの公知の方法で互いに結合され、さもなければ固定されてよい。
【0057】
空気が濾過器を通過することにより、機械的不純物、特に、粉塵粒子は織物濾過層(1a、1c)で捕捉され、化学物質、例えば、臭気又は有害化学物質は、活性炭の濾過層(1b)で捕捉される。粗い及び微細粉塵粒子が濾過された後、空気は、そのナノ繊維が、金属銀又は第4級アンモニウム塩の有利さを伴う、少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含み、それぞれの活性ナノ繊維層(21)の後に配置されている第一の一対(L1)のナノ繊維の濾過ナノ繊維層(31)で捕捉されるバクテリアを死滅させ又は弱体化する、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)を通過する。ウイルスを捕捉し且つ一掃することのできる第二の一対(L2)を空気が通過することにより、これらのウイルスは、それぞれの濾過ナノ繊維層(32)で捕捉され、相当する活性ナノ繊維層(22)により死滅又は弱体化される。
【0058】
図6〜8は、使用者による吸い込み又は吐き出し空気の浄化のためのフェイススクリーンを概略的に例示する。このスクリーンは、内側織物層(41)で形成され、この内側織物層は、この層が使用者の皮膚に直接接着する際に皮膚に最少の影響を有する材料から、例えば、溶融ブロー方法により製造される。フェイススクリーンは、望ましくない動作に対してスクリーンを緊締して、顔へスクリーンを留めるための公知の例示されない手段及びスクリーンの密着性の保持又はその増加等のための公知の例示されない手段を備える。内側織物層(41)は、又、不織布織物の製造のその他の公知の方法により製造されてもよく、織布又はニット織物の使用でさえそのためには排除されない。
【0059】
内側織物層(41)上には、その寸法が50〜700ナノメートルの範囲に在る、ポリマー溶液の静電紡糸により製造されるポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)が堆積される。この層の仕事は、粉塵の最も小さな粒子及び生物学的不純物を捕捉することであることから、個々のナノ繊維間の、空気の通過のための間隙のサイズは、捕捉されるべき最も小さい生物学的又は物理的不純物よりも小さい。従って、バクテリアの捕捉のための間隙のサイズは300nmまで変化し、これは、バクテリアの特徴的大きさが、350〜1000nmの間隔内で変化するので、濾過層が全てのバクテリアを捕捉することができることを意味する。間隔のサイズ及び繊維の寸法は、一定比率までは紡糸に掛けられるポリマー溶液の種類及び組成により、静電紡糸装置の電極及び更に技術的な活性部品の設計及び配置により影響されることがある。
【0060】
濾過ナノ繊維層(3)の前の空気の吸い込み方向には、有利にはポリビニルアルコール、ポリウレタン又はポリアミドであるポリマー溶液の静電紡糸により製造されるポリマーナノ繊維で創り出される活性ナノ繊維層(2)が配置される。活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維は、50〜750ナノメートルの直径を有し、これらは、バクテリアに対して有効な低分子物質の粒子を含み、この粒子は、記載された実施形態の実施例では、金属形態の銀、銀の化合物、例えば、銀の塩又は第4級アンモニウム塩である。この活性ナノ繊維層(2)は、次いでその後、活性ナノ繊維層(2)を通過する吸い込まれた空気中に含まれ、濾過ナノ繊維層(3)で捕捉される広範囲のバクテリアを比較的うまく死滅又は明確に弱体化する。
【0061】
活性ナノ繊維層(2)の前の空気の吸い込みの流れの方向には、外側織物層(11)が配置され、この外側織物層は不織布織物の有利さで、任意の公知の織物で形成されている。この層は、第一に、粉塵の粗い粒子の濾過の役目を果し、従って、目詰まり又は損傷に対して一対(L)のナノ繊維層の保護に対して一定範囲までの役目を果す。図6aにおける空気の吸い込み方向は、実線の矢印で例示される。
【0062】
フェイススクリーンは、吐き出し空気の方向が点線で示される図6bで示される様に、吐き出しによる生物学的不純物の拡散に対する保護、例えば、周囲の人間により吐き出される生物学的不純物に対して患者を保護するために使用することができる。
【0063】
生物学的不純物の吐き出しを防止するための外科用フェイススクリーンの濾過ナノ繊維層(3)は、外側織物層(11)の前の吐き出しの方向に配置され、この濾過ナノ繊維層(3)と内側織物層(4)との間に活性ナノ繊維層(2)が配置され、そのナノ繊維は少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を含む。
【0064】
吸い込み及び吐き出しの両方の生物学的不純物の捕捉及び一掃のためのフェイススクリーンは図6cで例示され、それは、上述の両方のフェイススクリーンの組合せであり、これらの濾過ナノ繊維層(31、32)が互いに向い合う二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む。
【0065】
吸い込み及び吐き出しの両方の生物学的不純物の捕捉及び一掃のためのフェイススクリーンのその他の実施例は図6dで例示され、それは、上述の両方のフェイススクリーンの組合せであり、1つの通常の濾過ナノ繊維層(312)を有する二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む。
【0066】
その方向が実線の矢印のマークで示される吸い込まれた空気は、外側織物層(11)、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)及び濾過ナノ繊維層(31)を通過する。捕捉され且つ一掃されるべき生物学的不純物は、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)で捕捉され、これらは、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)で死滅又は弱体化される。
【0067】
その方向が点線の矢印で示される吐き出された空気は、内側織物層(41)を通過し、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)及び濾過ナノ繊維層(32)を通過する。捕捉され且つ一掃されるべき生物学的不純物は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)で捕捉され、これらは、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)で死滅又は弱体化される。
【0068】
吐き出された空気は、更に、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)及び活性ナノ繊維層(21)を通過し、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)で捕捉された幾らかの吸い込まれた生物学的不純物を放出してもよい。生物学的不純物の放出のその様な場合では、この生物学的不純物は、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)の作用により既に死滅又は弱体化され、放出後にそれはなおこの活性ナノ繊維層(22)を通過し、この層の活性低分子物質がそれに作用し続け、外部環境へのその放出前に、これらはそれを更に弱体化する。
【0069】
同様の処理は、第二の一対(L2)のナノ繊維層のナノ繊維層(32)で捕捉される先の吐き出しの生物学的不純物の放出の場合に第一の一対(L1)のナノ繊維層を通過した後の空気の更なる吸い込みでも生起し、従って、空気の吸い込みにおいても、逆感染が防止される。
【0070】
図7によるフェイススクリーンは、吸い込み空気の浄化のために設計されていて、次々に配置される二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)は、同時に、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層である。濾過の可能性及び効果は上述の図3による濾過器に一致する。このフェイススクリーンは、全体の範囲のバクテリア及び一部のウイルスの捕捉及び一掃のために指示される。
【0071】
図8によるフェイススクリーンは、吸い込み空気の浄化のために指示され、図2による実施形態で示され且つ言及された様に、次々に配置される二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む。又、スクリーンのこの実施形態は、バクテリア及びウイルスの捕捉及び一掃の両方の役目を果してもよい。
【0072】
図7及び8による実施形態で説明されたフェイススクリーンは、吐き出し空気の浄化のためのスクリーンに変更されてもよく、或いは又、両側スクリーンに変更されてもよい。
【0073】
本発明による濾過器は、又、浄水器で適用されてもよい。浄水器の実施形態の実施例は、図5で概略的に示され、濾過される水の方向に、最も粗い粒子の層から非常に小さい粒径を有する砂の層までを一列に並べた幾つかの砂の層(P)を含む。例示の実施形態で砂濾過層(P)の後の濾過器を通過する水流の方向には分配層(5)が配置され、その後に、織物濾過層(1)が堆積され、その後に、金属銀又は銀塩の有利さで、少なくとも1つの有効な低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維の活性ナノ繊維層(2)が存在する。この織物濾過層(1)は、同時に、砂の層(P)からの損害を受けないために活性ナノ繊維層(2)の保護機能を果す。活性ナノ繊維層(2)の後の濾過器を通過する水流の方向には濾過ナノ繊維層(3)が配置され、その後に、搬送又は支持織物層(4)が配置される。浄水器の機能は、原理において、詳細に上で説明された空気濾過器と同じである。
【0074】
説明した一対(L、L1、L2、Li)のナノ繊維層の濾過器の全ての実施形態では、バクテリアの捕捉及び一掃を目的とするナノ繊維層は、0.1〜0.3g/m2の表面重量を有し、ウイルスの捕捉及び一掃を目的とするナノ繊維層は、0.1g/m2未満の表面重量を有する。既に上で言及した通り、濾過ナノ繊維層は、それらの前の濾過媒体の通過方向に配置された活性ナノ繊維層よりも小さい表面重量を有する。一対(L、L1、L2、Li)のナノ繊維層のナノ繊維層は、別々に又は同時に、例えば、紡糸装置の2つの部分を一度に通過させて製造されてもよく、その場合、1番目の部分では、例えば、相当する一対の活性ナノ繊維層が製造され、2番目の部分では、相当する一対の濾過ナノ繊維層が製造される。又、1つの紡糸装置で、種々の実施形態に更に多くの一対のナノ繊維層を製造することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明による濾過器は、空気中に存在する生物学的不純物に対して人間又は動物の健康の保護のため及び水中に存在する生物学的不純物から水を浄化するために適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】濾過媒体のマークで示される流動方向を伴う、一対のナノ繊維層を含む濾過器を示す図である。
【図2】二対のナノ繊維層を含む濾過器を示す図である。
【図3】通常のものである1つのナノ繊維層を有する二対のナノ繊維層を含む濾過器を示す図である。
【図4】空気流動のマークで示される方向を伴う空気濾過器の断面を示す図である。
【図5】浄水器の単純化した断面を示す図である。
【図6a】吸い込み中の空気流動のマークで示される方向を伴う、一対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図6b】吐き出し中の空気流動のマークで示される方向を伴う、一対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図6c】生物学的不純物の吸い込み及び吐き出しの防止のための二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図6d】1つの通常の濾過ナノ繊維層を伴う、二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図7】通常のものである1つのナノ繊維層を伴う、二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図8】二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 濾過層
1a 織物濾過層
1b 活性炭の濾過層
1c 織物濾過層
11 外側織物層
2 活性ナノ繊維層
21 第一の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層
22 第二の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層
3 濾過ナノ繊維層
31 第一の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層
32 第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層
312 両方の一対のナノ繊維層に共通の濾過ナノ繊維層
4 搬送織物層
L 一対のナノ繊維層
L1 第一の一対のナノ繊維層
L2 第二の一対のナノ繊維層
P 砂濾過器
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物繊維を含む、濾過媒体から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器に関する。
【0002】
次に、本発明は、濾過される空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、織物繊維を含む空気濾過器に関する。
【0003】
本発明は、又、吸い込み及び吐き出し空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、内側織物層及び外側織物層を含むフェイススクリーンに関する。
【0004】
本発明は、又、濾過される水から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、種々のサイズの粒子の砂濾過器を含む浄水器に関する。
【背景技術】
【0005】
我々が呼吸する周囲の空気中には、工業生産又は生態学的災害によるものだけではなく、多数のバクテリア又はウイルス疾患の発症源として人体にとって有害な、相対的に高濃度の粉塵、有害化学品及び又広範囲の微生物が存在している。
【0006】
現在、吸い込み空気の浄化のための広範囲の多数の種々のタイプのスクリーン、吸入マスク、防毒マスク濾過器及び類似装置が知られていて、これらの手段の既知の解決方法の大部分は、第一に、吸い込んだ空気から粉塵粒子を除去することに集中している。これらの原理は、本質的に、多かれ少なかれ複雑な迷路(例えば、繊維の)の創造にあり、粉塵粒子又は類似の微粒子が捕捉されることの最も高い実現可能性が存在する。
【0007】
有害な化学品、攻撃的ガス及び例えば又不快臭を除去するために、上述の手段には、種々の形態の活性炭で創られた又はこれらを含む1つ若しくは複数の層が加えられている。これらの手段の有効性を拡大又は増加することを理由として、活性炭の層は、通常、活性炭の粒子のコーティングを形成する又はそれらの間の空間を充填しているその他の化学物質で仕上げられている。
【0008】
例えば、米国特許第5714126号からは、活性炭の1つの層及び活性炭の粒子が、スルフェート、モリブデンの層又は類似物質の層で被覆されていることで第一の層とは異なる活性炭の第二の層を含む、吸入マスクの濾過システムが公知である。
【0009】
しかし、その様に設計された手段の欠点は、これらの比較的複雑な構造にも拘らず、これらは、殆ど、通過する空気中に存在している微生物には作用せず、微生物は、その後、使用者の気道中に容易に侵入し、恐らくこれらは前記手段の構造中で、これらが穏やかに存在し、そしてこれらが、最初の微生物が持ち込まれてから比較的長い時間の後でも、感染又は汚染の源となり得る場所で捕捉される点である。
【0010】
幾つかの公知の解決方法によれば、恐らく微生物が生存している吸い込み空気の濾過手段による不本意な微生物の伝達を防ぐために、抗菌性物質を備えた新たな層が創り出されるか、又は濾過手段の今ある層の幾つかがその様な物質で補足される。言及された抗菌性物質は、多少とも信頼できる方法で、入ってくる微生物を一掃し又は少なくとも著しく弱体化させる。
【0011】
イオン形態又は金属形態の両方において銀は、ほぼ無制限の作用範囲を伴う最も有効な抗菌効果を有する物質に属することから、濾過手段の幾つかの解決方法は、銀、できればそれは化合物の銀の粒子又は繊維を導入する。
【0012】
例えば、WO2005002675は鼻マスクを記載していて、その構成部分が小さな孔を持つ「ポケット」であり、そこに銀又はトルマリン粒子の繊維が配置され、これらが、これらの存在で不本意な微生物を結合し、破壊してこのマスクに抗菌性を与える。
【0013】
銀を含む、微生物の除去のための手段に関するこの解決方法及び殆どのその他の解決方法の欠点は、第一に、これらの手段の相対的に複雑な製造であり、大抵が、別にマスク本体及び別に抗菌性物質、例えば、銀繊維又は粒子を製造する必要性を含み、その後でなければ最終製品の組立てができないことである。
【0014】
同じ様な状態が、建物又は乗り物両方の空気調節回路での空気浄化の分野に存在する。同時に、織物製品、例えば、ソックス又はタオルでの微生物及びその他の生物学的不純物の繁殖を防止するために銀の抗菌効果を利用する、銀を含む織物繊維を使用する公知の用途が存在する。
【0015】
又、生物学的不純物からの水の浄化での銀の使用も公知であるが、この方法は比較的コストが掛かり、複雑である。従って、殆どの場合、生物学的不純物からの水の浄化では塩素化が使用される。
【0016】
物質のコロイド状態の研究から、固体物質の化学的、多分、触媒的作用は、活性物質の比表面積と共に増加することが広く知られている。キャリヤ中の活性物質の粒径が減少すると、キャリヤ中で少ない量の活性物質によって又はキャリヤ中で低い濃度の活性物質によって必要な効果速度を達成することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、当該技術分野の現状の欠点を除去し又は少なくとも最小化し、同時に、活性物質の粒径を減少させるための可能性に関する知識を利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の原理
本発明の目的は、少なくとも一対のナノ繊維層を含み、その内、濾過媒体の通過方向における第一ナノ繊維層が、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層であり、第二ナノ繊維層が、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層で表され、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズが、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙のサイズよりも小さく且つこの濾過ナノ繊維層により除去される1種又は複数の生物学的不純物の成分のサイズよりも小さい濾過器により達成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明による、少なくとも一対のナノ繊維層を含む濾過器の利点は、本質的に、濾過ナノ繊維層により捕捉される生物学的不純物が、活性ナノ繊維層のナノ繊維中に含まれる、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な低分子物質との接触により死滅又は少なくとも弱体化される点に在る。除去される生物学的不純物は、濾過ナノ繊維層で捕捉された後は、活性ナノ繊維層のナノ繊維の一部であるそれぞれの活性物質が不純物に作用する活性ナノ繊維層中に保持される。
【0020】
濾過器の有効性を広げるために、濾過器が、少なくとも二対のナノ繊維層を含み、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とし、濾過媒体の通過方向における個々の一対のナノ繊維層が、濾過媒体の通過のための小さなサイズの間隙を有し、それぞれの後の一対のナノ繊維層が、前の一対のナノ繊維層よりも小さい生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とするのが有利である。
【0021】
その有効性の維持の上で濾過器のナノ繊維層の数の減少は、請求項3により達成される。前の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層は、その後に続く一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層を創り出し、それは、その後に続く一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層で捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する少なくとも1つの低分子物質を含むナノ繊維で形成される。
【0022】
濾過器の有利な実施形態では、濾過媒体の通過方向にある第一の一対のナノ繊維層は、バクテリアの捕捉及び一掃を目的とし、濾過媒体の通過方向にある第二の一対のナノ繊維層は、ウイルスの捕捉及び一掃を目的とする。この分け方は、捕捉される生物学的不純物の粒子の異なるサイズにより、そして同時に、捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する適当な低分子物質の選択にとってある程度有利である。
【0023】
上述の解決方法では、第一の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層がナノ繊維で形成され、その間に、この濾過ナノ繊維層により捕捉されるべき最も小さいバクテリアのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、第一の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層が、それぞれの濾過ナノ繊維層で捕捉されるバクテリアに対して有効に作用する少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含むナノ繊維で形成され、同時に、第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層がナノ繊維で形成され、その間の、濾過媒体の通過のための間隙が、この濾過ナノ繊維層で捕捉されるべきウイルスのサイズよりも小さく、第二の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層が、第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層で捕捉されるウイルスに対して有効に作用する少なくとも1つの殺ウイルス性物質を含むナノ繊維で形成されるのが有利である。生物学的不純物の捕捉及び一掃される粒子のサイズによる一対のナノ繊維層の分割は、又、次々に配置される一対のナノ繊維層に、これらのサイズにより選択される一定のバクテリアについて目標を定めた作用を可能にする。
【0024】
第一の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は300〜700nmであり、バクテリアのサイズが350〜1000nmで変化するので、除去される生物学的不純物を創り出すバクテリアの捕捉を可能にする。
【0025】
第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は50〜200nmである。この配置は、その特徴的サイズが10〜150nmで変化するウイルスの大部分の捕捉を可能にする。当該技術分野の現状の観点から、50nmより下のサイズのウイルスの捕捉は、10nmより下のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙を有する濾過ナノ繊維層の清澄化の難しさから問題があると思われる。それにもかかわらず、この解決方法は、数十ナノメートルの桁の値で層中のナノ繊維の最大厚さを有するナノメートルの単位で製造されるナノ繊維の厚さの達成により排除されない。
【0026】
全ての上述の実施形態でのナノ繊維層の表面重量は、有利には、0.1〜0.3g/m2の範囲で変化し、それぞれの一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層は、濾過媒体の通過方向でその前に配置されている、それぞれの一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層よりも小さい表面重量を有する。この配置は、濾過媒体に対するナノ繊維層の十分な透過性を確実にする。
【0027】
濾過ナノ繊維層のポリマーナノ繊維は、ポリマー溶液の静電紡糸により製造され、活性ナノ繊維層のポリマーナノ繊維は、それぞれの低分子物質の粒子又は紡糸後に、それぞれの低分子物質の粒子が、幾つかの公知の方法により創り出される物質を含むポリマー溶液の静電紡糸により製造される。本発明による濾過器のナノ繊維層のためのナノ繊維のこの製造方法は、この方法では、ナノ繊維の繊度並びにそれらの中に堆積した低分子物質の粒子の含有量及びサイズが広い範囲まで影響を与えることができるので最も有利であると思われる。
【0028】
本発明による濾過器の活性ナノ繊維層に適用される低分子物質は、相当する層で一掃されるべきバクテリア、ウイルス又はその他の微生物により選択される。除去される生物学的不純物に対して適用される主として使用される低分子物質は、金属形態の銀、銀の化合物、第4級アンモニウム塩及びPVPヨードの群からの低分子物質である。
【0029】
ナノ繊維の直径は50〜700nmの範囲で変化し、ナノ繊維層の十分な透過性の保持のためには、各連続するナノ繊維層における、濾過媒体の通過の方向における個々のナノ繊維層におけるナノ繊維の直径は、ナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズの減少と一緒に減少する。これと同時に、又、有利には、相当するナノ繊維層の表面重量も減少する。
【0030】
使用される低分子物質の粒子は、前に既に言及した様に、ポリマーナノ繊維中に堆積され、固定され、同時に、活性ナノ繊維層のナノ繊維中の低分子物質又は低分子物質類の粒子の特徴的サイズが5〜100nmの範囲にあり、粒子のサイズが、又、ナノ繊維の直径に一致するのが有利である。
【0031】
上述の濾過器は、物理的不純物だけではなく、特に生物学的不純物もその外に除去する必要のある気体及び液体の濾過のために指示され、従って、濾過される最も頻繁な媒体は空気又は水である。
【0032】
本発明による空気濾過器の原理は、空気濾過器が少なくとも一対のナノ繊維層を含み、その内、濾過される空気の通過方向における第一層が、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して有効な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層であり、第二層が、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層であり、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズが、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さい点に在る。
【0033】
本発明は、又、外側及び内側織物層を含む、吸い込み又は吐き出し空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するためのフェイススクリーン(face screen)に関し、本発明の原理は、外側織物層及び内側織物層との間に、300nmまでのナノ繊維間の間隙を有する濾過ナノ繊維層を含む一対のナノ繊維層が配置され、フェイススクリーンの指示により、濾過ナノ繊維層の前の空気通過の方向に、少なくとも1つの殺菌性低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される点に在る。このフェイススクリーンは、物理的不純物を捕捉することができ、バクテリアで形成される生物学的不純物を捕捉及び一掃することができる。同時に、それは、周囲の生物学的不純物の前の生物学的に汚染された環境に住む人間の保護のために又は生物学的不純物の吐き出しの予防のため、例えば、隣人の吐き出す生物学的不純物の前の患者の保護のために配置されてもよい。
【0034】
周囲の生物学的不純物の前の人間の保護のためのフェイススクリーンの濾過ナノ繊維層は、内側織物層の前で、吸い込みの方向で配置され、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層と外側織物層との間には、活性ナノ繊維層のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される。
【0035】
生物学的不純物の吐き出しの保護のための外科用フェイススクリーンの濾過ナノ繊維層は、外側織物層の前で、吐き出しの方向で配置され、ポリマーナノ繊維で創り出されるこの濾過ナノ繊維層と内側織物層との間には、活性ナノ繊維層のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される。
【0036】
生物学的不純物の吸い込み及び吐き出しの保護のためのフェイススクリーンは、これらの濾過ナノ繊維層が互いに向い合っている二対のナノ繊維層を含む。
【0037】
同時に、両方の一対のナノ繊維層は普通の濾過ナノ繊維層を有する場合に有利である。
【0038】
バクテリアに対する保護のためのフェイススクリーンの有利な実施形態では、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、空気の通過のための間隙は300〜700nmであり、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙はそれよりも大きい。
【0039】
バクテリア及びウイルスに対する保護のためのフェイススクリーンは、殺菌性の一対のナノ繊維層の後に、空気の通過方向で配置される殺ウイルス性の一対のナノ繊維層を含み、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層は50〜200nmの、ナノ繊維間の空気の通過のための間隙を有し、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層の前に、空気通過の方向で、殺ウイルス性物質の粒子を含むナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層が配置される。
【0040】
同時に、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙が、殺ウイルス性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙よりも大きく、同時に、殺菌性の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙よりも小さいのが有利である。
【0041】
本発明による浄水器の原理は、砂濾過器の後に、少なくとも一対のナノ繊維層が配置され、その内、濾過される水の通過方向における第一ナノ繊維層が、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層であり、第二ナノ繊維層が、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層であり、濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズが、活性ナノ繊維層のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さい点に在る。
【0042】
本発明の実施形態の実施例は、同封の図面で概略的に例示される。
【0043】
実施例
織物繊維を含む、濾過媒体から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器は、図1による実施形態の実施例では、一対(L)のナノ繊維層を含み、その内、濾過媒体の通過方向における第一ナノ繊維層は、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して有効な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で創り出される活性ナノ繊維層(2)である。一対(L)のナノ繊維層により濾過媒体の通過方向における第二ナノ繊維層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)であり、濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズは、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズよりも小さく且つこの濾過ナノ繊維層(3)により除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さい。
【0044】
図2は、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的として定められている二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む、物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器の実施形態の実施例を示す。第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)はナノ繊維で形成され、その間に、このナノ繊維層(31)で捕捉されるべき最も小さいバクテリアのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)は、それぞれの濾過ナノ繊維層(31)で捕捉されるバクテリアに対して有効に作用する少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含むナノ繊維から創り出される。第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)はナノ繊維で形成され、その間に、この濾過ナノ繊維層(32)で捕捉されるべきウイルスのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)で捕捉されるウイルスに対して有効に作用する少なくとも1つの殺ウイルス性物質を含むナノ繊維で形成される。第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)及び活性ナノ繊維層(22)は、又、第一の一対(L1)のナノ繊維層で捕捉及び一掃されるバクテリアよりも小さい寸法のバクテリアの捕捉及び一掃のために役立ってもよい。
【0045】
従って、二対(L1、L2)のナノ繊維層が使用される場合は、濾過媒体の通過方向に次々に続くナノ繊維層(21、31、22、32)の個々のナノ繊維間の間隙のサイズは徐々に減少して行く。ナノ繊維間の最大間隙は、従って、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)にある。ナノ繊維間の更に小さな間隙は、最大の選択される微生物、通常バクテリアである微生物の捕捉に役立つ、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)にある。ナノ繊維間のなお更に小さい間隙は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)にあり、ナノ繊維間の最も小さい間隙は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)にある。例示されていない場合では、活性ナノ繊維層(2i)及び濾過ナノ繊維層(3i)を含む、その他の一対(Li)のナノ繊維層が使用される。
【0046】
バクテリアの大きさは、350〜1000nmの範囲で変化する。従って、最も小さいバクテリアでも捕捉するためには、300nmまでの寸法を有するそれぞれの濾過ナノ繊維層のナノ繊維間の間隙が創り出されれば十分である。ウイルスの特徴的大きさは、10〜200nmで変化する。現在のポリマー溶液の静電紡糸の現行方法によれば、50nm以上のナノ繊維間の間隙を有するナノ繊維織物が製造できるので、ウイルスの示された範囲から50nmを超えるウイルスは、濾過ナノ繊維層で捕捉できる。これらの大きさの全体の範囲のウイルスを捕捉することができるためには、10nmより小さいナノ繊維、これは例えば、6〜9nmを意味するナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙を有する濾過ナノ繊維層を製造することが必要である。濾過媒体に対してその様な濾過ナノ繊維層の透過性を保持するためには、ナノ繊維の寸法は、数単位又は数十ナノメートルであり、ナノ繊維の最適厚さとしては、10〜30nmの範囲にあるべきと思われる。その様な濾過ナノ繊維層は、ポリマー溶液の静電紡糸の方法により製造することができる。
【0047】
図3は、二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃のために指示されている、物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器の実施形態の実施例を示す。第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)は、同時に、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)を表し、それは、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層で捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する少なくとも1つの低分子物質を含むナノ繊維で形成される。相当する濾過ナノ繊維層(31、32)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は、濾過ナノ繊維層(31、32)で捕捉されるべき1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズにより創り出され、相当する濾過ナノ繊維層(31、32)で捕捉されるべき1種又は複数の生物学的不純物の組成物により、それぞれの活性ナノ繊維層(21、22)のナノ繊維中に含まれる有効な低分子物質が選択される。
【0048】
バクテリアの捕捉及び一掃のために指示される、単独の一対(L)又は第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(3)又は(31)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は、捕捉されるべきバクテリアのサイズによって300〜700nmである。
【0049】
ウイルスの捕捉及び一掃のために指示される、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙は、捕捉されるべきウイルスのサイズによって50〜200nmである。
【0050】
ナノ繊維層の表面重量は、0.1〜0.3g/m2で変化し、相当する一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(3、31、32)は、その前に配置される、濾過媒体の通過方向の、相当する一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)よりも小さい表面重量を有する。
【0051】
濾過ナノ繊維層(3、31、32)のポリマーナノ繊維は、ポリマー溶液の静電紡糸により製造され、活性ナノ繊維層(2、21、22)のポリマーナノ繊維は、対応する低分子物質の粒子又は紡糸後に、ナノ繊維中の相当する低分子物質の粒子が幾つかの公知の方法により生成される物質を含むポリマー溶液の静電紡糸により製造される。
【0052】
バクテリアに対して活性な低分子物質は、金属形態の銀、銀の化合物、例えば銀の塩及び第4級アンモニウム塩の群からの低分子物質である。ウイルスに対して活性な低分子物質は、例えばPVPヨードであり、ウイルスに対して活性なその他の公知の低分子物質であってもよい。
【0053】
ナノ繊維の寸法は、50〜700nmの範囲で変化し、それぞれの連続したナノ繊維層における、濾過媒体の通過方向にある個々のナノ繊維層のナノ繊維の寸法は、ナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズの減少と共に減少する。一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)のナノ繊維中の低分子物質又は低分子物質類の粒子の特徴的寸法は、5〜100nmの範囲で変化する。低分子物質の粒子は、ナノ繊維のポリマー中に堆積し、ナノ繊維の表面まで到達する。
【0054】
本発明による濾過器は、特に、空気及び水の濾過のために指示される。
【0055】
空気濾過器、例えば、空気調節回路で空気を浄化するための空気濾過器は、種々の厚さの織物繊維で創り出される幾つかの濾過層(1a、1c)を含み、空気通過方向で、個々の層において、繊維の寸法は徐々に減少し、特に、織物層中の繊維間の間隙のサイズは徐々に減少する。同時に、この試みは、濾過器の最大空気透過性を維持するためであり、空気流に対するその抵抗性をなお一層増加することではない。織物層は、多くの場合、活性炭(1b)の少なくとも1つの濾過層と組み合わされる。濾過層(1a、1b、1c)の後の空気通過方向には、1つ又は複数の一対のナノ繊維層が配置され、図4による実施形態の実施例では、図2による実施形態の実施例におけるのと同じ方法で配置される、二対(L1、L2)のナノ繊維層が例示される。織物濾過層(1c)の後の空気流の方向には、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)が配置され、その後には、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)が配置される。第一の一対(L1)のナノ繊維層の後ろには、第二の一対(L2)のナノ繊維層が配置され、その活性ナノ繊維層(22)は、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)に隣接している。最後のナノ繊維層は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過層(32)であり、その後に、空気流の方向に、被覆、搬送又は支持織物層(4)が配置される。第一の一対(L1)のナノ繊維層は、バクテリアの捕捉及び一掃のための役目を果し、第二の一対(L2)のナノ繊維層は、ウイルスの捕捉及び一掃のための役目を果す。
【0056】
濾過器の個々の層は、濾過器の整合性の増加のために幾つかの公知の方法で互いに結合され、さもなければ固定されてよい。
【0057】
空気が濾過器を通過することにより、機械的不純物、特に、粉塵粒子は織物濾過層(1a、1c)で捕捉され、化学物質、例えば、臭気又は有害化学物質は、活性炭の濾過層(1b)で捕捉される。粗い及び微細粉塵粒子が濾過された後、空気は、そのナノ繊維が、金属銀又は第4級アンモニウム塩の有利さを伴う、少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含み、それぞれの活性ナノ繊維層(21)の後に配置されている第一の一対(L1)のナノ繊維の濾過ナノ繊維層(31)で捕捉されるバクテリアを死滅させ又は弱体化する、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)を通過する。ウイルスを捕捉し且つ一掃することのできる第二の一対(L2)を空気が通過することにより、これらのウイルスは、それぞれの濾過ナノ繊維層(32)で捕捉され、相当する活性ナノ繊維層(22)により死滅又は弱体化される。
【0058】
図6〜8は、使用者による吸い込み又は吐き出し空気の浄化のためのフェイススクリーンを概略的に例示する。このスクリーンは、内側織物層(41)で形成され、この内側織物層は、この層が使用者の皮膚に直接接着する際に皮膚に最少の影響を有する材料から、例えば、溶融ブロー方法により製造される。フェイススクリーンは、望ましくない動作に対してスクリーンを緊締して、顔へスクリーンを留めるための公知の例示されない手段及びスクリーンの密着性の保持又はその増加等のための公知の例示されない手段を備える。内側織物層(41)は、又、不織布織物の製造のその他の公知の方法により製造されてもよく、織布又はニット織物の使用でさえそのためには排除されない。
【0059】
内側織物層(41)上には、その寸法が50〜700ナノメートルの範囲に在る、ポリマー溶液の静電紡糸により製造されるポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)が堆積される。この層の仕事は、粉塵の最も小さな粒子及び生物学的不純物を捕捉することであることから、個々のナノ繊維間の、空気の通過のための間隙のサイズは、捕捉されるべき最も小さい生物学的又は物理的不純物よりも小さい。従って、バクテリアの捕捉のための間隙のサイズは300nmまで変化し、これは、バクテリアの特徴的大きさが、350〜1000nmの間隔内で変化するので、濾過層が全てのバクテリアを捕捉することができることを意味する。間隔のサイズ及び繊維の寸法は、一定比率までは紡糸に掛けられるポリマー溶液の種類及び組成により、静電紡糸装置の電極及び更に技術的な活性部品の設計及び配置により影響されることがある。
【0060】
濾過ナノ繊維層(3)の前の空気の吸い込み方向には、有利にはポリビニルアルコール、ポリウレタン又はポリアミドであるポリマー溶液の静電紡糸により製造されるポリマーナノ繊維で創り出される活性ナノ繊維層(2)が配置される。活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維は、50〜750ナノメートルの直径を有し、これらは、バクテリアに対して有効な低分子物質の粒子を含み、この粒子は、記載された実施形態の実施例では、金属形態の銀、銀の化合物、例えば、銀の塩又は第4級アンモニウム塩である。この活性ナノ繊維層(2)は、次いでその後、活性ナノ繊維層(2)を通過する吸い込まれた空気中に含まれ、濾過ナノ繊維層(3)で捕捉される広範囲のバクテリアを比較的うまく死滅又は明確に弱体化する。
【0061】
活性ナノ繊維層(2)の前の空気の吸い込みの流れの方向には、外側織物層(11)が配置され、この外側織物層は不織布織物の有利さで、任意の公知の織物で形成されている。この層は、第一に、粉塵の粗い粒子の濾過の役目を果し、従って、目詰まり又は損傷に対して一対(L)のナノ繊維層の保護に対して一定範囲までの役目を果す。図6aにおける空気の吸い込み方向は、実線の矢印で例示される。
【0062】
フェイススクリーンは、吐き出し空気の方向が点線で示される図6bで示される様に、吐き出しによる生物学的不純物の拡散に対する保護、例えば、周囲の人間により吐き出される生物学的不純物に対して患者を保護するために使用することができる。
【0063】
生物学的不純物の吐き出しを防止するための外科用フェイススクリーンの濾過ナノ繊維層(3)は、外側織物層(11)の前の吐き出しの方向に配置され、この濾過ナノ繊維層(3)と内側織物層(4)との間に活性ナノ繊維層(2)が配置され、そのナノ繊維は少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を含む。
【0064】
吸い込み及び吐き出しの両方の生物学的不純物の捕捉及び一掃のためのフェイススクリーンは図6cで例示され、それは、上述の両方のフェイススクリーンの組合せであり、これらの濾過ナノ繊維層(31、32)が互いに向い合う二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む。
【0065】
吸い込み及び吐き出しの両方の生物学的不純物の捕捉及び一掃のためのフェイススクリーンのその他の実施例は図6dで例示され、それは、上述の両方のフェイススクリーンの組合せであり、1つの通常の濾過ナノ繊維層(312)を有する二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む。
【0066】
その方向が実線の矢印のマークで示される吸い込まれた空気は、外側織物層(11)、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)及び濾過ナノ繊維層(31)を通過する。捕捉され且つ一掃されるべき生物学的不純物は、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)で捕捉され、これらは、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(21)で死滅又は弱体化される。
【0067】
その方向が点線の矢印で示される吐き出された空気は、内側織物層(41)を通過し、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)及び濾過ナノ繊維層(32)を通過する。捕捉され且つ一掃されるべき生物学的不純物は、第二の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)で捕捉され、これらは、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)で死滅又は弱体化される。
【0068】
吐き出された空気は、更に、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)及び活性ナノ繊維層(21)を通過し、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)で捕捉された幾らかの吸い込まれた生物学的不純物を放出してもよい。生物学的不純物の放出のその様な場合では、この生物学的不純物は、第一の一対(L1)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)の作用により既に死滅又は弱体化され、放出後にそれはなおこの活性ナノ繊維層(22)を通過し、この層の活性低分子物質がそれに作用し続け、外部環境へのその放出前に、これらはそれを更に弱体化する。
【0069】
同様の処理は、第二の一対(L2)のナノ繊維層のナノ繊維層(32)で捕捉される先の吐き出しの生物学的不純物の放出の場合に第一の一対(L1)のナノ繊維層を通過した後の空気の更なる吸い込みでも生起し、従って、空気の吸い込みにおいても、逆感染が防止される。
【0070】
図7によるフェイススクリーンは、吸い込み空気の浄化のために設計されていて、次々に配置される二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、第一の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)は、同時に、第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層である。濾過の可能性及び効果は上述の図3による濾過器に一致する。このフェイススクリーンは、全体の範囲のバクテリア及び一部のウイルスの捕捉及び一掃のために指示される。
【0071】
図8によるフェイススクリーンは、吸い込み空気の浄化のために指示され、図2による実施形態で示され且つ言及された様に、次々に配置される二対(L1、L2)のナノ繊維層を含む。又、スクリーンのこの実施形態は、バクテリア及びウイルスの捕捉及び一掃の両方の役目を果してもよい。
【0072】
図7及び8による実施形態で説明されたフェイススクリーンは、吐き出し空気の浄化のためのスクリーンに変更されてもよく、或いは又、両側スクリーンに変更されてもよい。
【0073】
本発明による濾過器は、又、浄水器で適用されてもよい。浄水器の実施形態の実施例は、図5で概略的に示され、濾過される水の方向に、最も粗い粒子の層から非常に小さい粒径を有する砂の層までを一列に並べた幾つかの砂の層(P)を含む。例示の実施形態で砂濾過層(P)の後の濾過器を通過する水流の方向には分配層(5)が配置され、その後に、織物濾過層(1)が堆積され、その後に、金属銀又は銀塩の有利さで、少なくとも1つの有効な低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維の活性ナノ繊維層(2)が存在する。この織物濾過層(1)は、同時に、砂の層(P)からの損害を受けないために活性ナノ繊維層(2)の保護機能を果す。活性ナノ繊維層(2)の後の濾過器を通過する水流の方向には濾過ナノ繊維層(3)が配置され、その後に、搬送又は支持織物層(4)が配置される。浄水器の機能は、原理において、詳細に上で説明された空気濾過器と同じである。
【0074】
説明した一対(L、L1、L2、Li)のナノ繊維層の濾過器の全ての実施形態では、バクテリアの捕捉及び一掃を目的とするナノ繊維層は、0.1〜0.3g/m2の表面重量を有し、ウイルスの捕捉及び一掃を目的とするナノ繊維層は、0.1g/m2未満の表面重量を有する。既に上で言及した通り、濾過ナノ繊維層は、それらの前の濾過媒体の通過方向に配置された活性ナノ繊維層よりも小さい表面重量を有する。一対(L、L1、L2、Li)のナノ繊維層のナノ繊維層は、別々に又は同時に、例えば、紡糸装置の2つの部分を一度に通過させて製造されてもよく、その場合、1番目の部分では、例えば、相当する一対の活性ナノ繊維層が製造され、2番目の部分では、相当する一対の濾過ナノ繊維層が製造される。又、1つの紡糸装置で、種々の実施形態に更に多くの一対のナノ繊維層を製造することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明による濾過器は、空気中に存在する生物学的不純物に対して人間又は動物の健康の保護のため及び水中に存在する生物学的不純物から水を浄化するために適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】濾過媒体のマークで示される流動方向を伴う、一対のナノ繊維層を含む濾過器を示す図である。
【図2】二対のナノ繊維層を含む濾過器を示す図である。
【図3】通常のものである1つのナノ繊維層を有する二対のナノ繊維層を含む濾過器を示す図である。
【図4】空気流動のマークで示される方向を伴う空気濾過器の断面を示す図である。
【図5】浄水器の単純化した断面を示す図である。
【図6a】吸い込み中の空気流動のマークで示される方向を伴う、一対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図6b】吐き出し中の空気流動のマークで示される方向を伴う、一対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図6c】生物学的不純物の吸い込み及び吐き出しの防止のための二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図6d】1つの通常の濾過ナノ繊維層を伴う、二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図7】通常のものである1つのナノ繊維層を伴う、二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【図8】二対のナノ繊維層を含むフェイススクリーンの単純化した部分的断面を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 濾過層
1a 織物濾過層
1b 活性炭の濾過層
1c 織物濾過層
11 外側織物層
2 活性ナノ繊維層
21 第一の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層
22 第二の一対のナノ繊維層の活性ナノ繊維層
3 濾過ナノ繊維層
31 第一の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層
32 第二の一対のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層
312 両方の一対のナノ繊維層に共通の濾過ナノ繊維層
4 搬送織物層
L 一対のナノ繊維層
L1 第一の一対のナノ繊維層
L2 第二の一対のナノ繊維層
P 砂濾過器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物繊維を含む、濾過媒体から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器であって、少なくとも一対(L)のナノ繊維層を含み、その内、該濾過媒体の通過方向における第一ナノ繊維層は、該除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)であり、第二ナノ繊維層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)で表され、該濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズは、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズよりも小さく且つこの濾過ナノ繊維層(3)により除去される1種又は複数の生物学的不純物の成分のサイズよりも小さいことを特徴とする、上記濾過器。
【請求項2】
少なくとも二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とし、前記濾過媒体の通過方向における前記個々の一対(L1、L2)のナノ繊維層が、濾過媒体の通過に対して小さなサイズの間隙を有し、それぞれの後の一対(L2)のナノ繊維層が、前の一対(L1)のナノ繊維層よりも小さい生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とすることを特徴とする、請求項1に記載の濾過器。
【請求項3】
前記の前の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)が、その後に続く一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)を創り出し、それが、前記その後に続く一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)で捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する少なくとも1つの低分子物質を含むナノ繊維で形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の濾過器。
【請求項4】
濾過媒体の通過方向における前記第一の一対(L1)のナノ繊維層が、バクテリアの捕捉及び一掃を目的とし、濾過媒体の通過方向における前記第二の一対(L2)のナノ繊維層が、ウイルスの捕捉及び一掃を目的とすることを特徴とする、請求項2又は3に記載の濾過器。
【請求項5】
前記第一の一対(L1)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維(31)層がナノ繊維で形成され、このナノ繊維間に、この濾過ナノ繊維層(31)により捕捉されるべき最も小さいバクテリアのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、前記第一の一対(L1)のナノ繊維層の前記活性ナノ繊維層(21)が、それぞれの濾過ナノ繊維層(31)により捕捉されるバクテリアに対して有効に作用する少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含むナノ繊維で形成され、同時に、前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)がナノ繊維で形成され、このナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙が、この濾過ナノ繊維層(32)により捕捉されるべきウイルスのサイズよりも小さく、前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)が、前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)により捕捉されるウイルスに対して有効に作用する少なくとも1つの殺ウイルス性物質を含むナノ繊維で形成されることを特徴とする、請求項4に記載の濾過器。
【請求項6】
前記第一の一対(L1)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(31)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙が300〜700nmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項7】
前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙が50〜200nmであることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項8】
ナノ繊維層の表面重量が0.1〜0.3g/m2の間隔で変化し、ナノ繊維層のそれぞれの一対(L、L1、L2)の前記濾過ナノ繊維層(3、31、32)が、それが配置される前の、濾過媒体の通過方向における前記それぞれの一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)よりも小さい表面重量を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項9】
前記濾過ナノ繊維層(3、31、32)のポリマーナノ繊維が、ポリマー溶液の静電紡糸により製造され、活性ナノ繊維層(2、21、22)のポリマーナノ繊維が、それぞれの低分子物質の粒子又は紡糸後に、それぞれの低分子物質の粒子が、幾つかの公知の方法により創り出される物質を含むポリマー溶液の静電紡糸により製造されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項10】
除去される生物学的不純物に対して活性な前記低分子物質が、金属形態の銀、銀の化合物、第4級アンモニウム塩及びPVPヨードの群からの低分子物質であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項11】
ナノ繊維の直径が50〜700nmの範囲で変化し、各連続するナノ繊維層における、濾過媒体の通過方向における個々のナノ繊維層におけるナノ繊維の直径が、前記ナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズの減少と一緒に減少することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項12】
一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)のナノ繊維中の低分子物質又は低分子物質類の粒子の特徴的サイズが5〜100nmの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項13】
濾過媒体が空気であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項14】
濾過媒体が水であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項15】
濾過される空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための織物繊維を含む空気濾過器であって、少なくとも一対のナノ繊維層を含み、その内、濾過される空気の通過方向における第一ナノ繊維層は、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して有効な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)であり、第二層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)であり、濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズは、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さいことを特徴とする空気濾過器。
【請求項16】
外側及び内側織物層を含む、吸い込み又は吐き出し空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するためのフェイススクリーンであって、外側織物層(11)及び内側織物層(41)との間に、300nmまでのナノ繊維間の間隙を有する濾過ナノ繊維層(3)を含む一対のナノ繊維層が配置され、該フェイススクリーンの指示により、空気通過の方向で、該濾過ナノ繊維層の前に、少なくとも1つの殺菌性低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)が配置されることを特徴とする、上記フェイススクリーン。
【請求項17】
前記濾過ナノ繊維層(3)が、吸い込みの方向で、前記内側織物層(41)の前に配置され、ポリマーナノ繊維で形成される前記濾過ナノ繊維層(3)及び外側織物層(11)との間に、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)が配置されることを特徴とする、請求項16に記載のフェイススクリーン。
【請求項18】
前記濾過ナノ繊維層(3)が、吐き出しの方向で、前記外側織物層(11)の前に配置され、ポリマーナノ繊維で創り出されるこの濾過ナノ繊維層(3)及び内側織物層(41)との間に、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)が配置されることを特徴とする、生物学的不純物の吐き出しの防止のための、請求項16に記載のフェイススクリーン。
【請求項19】
二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、これらの濾過ナノ繊維層(31、32)が互いに向い合っていることを特徴とする、生物学的不純物の吸い込み及び吐き出しの防止のための、請求項16に記載のフェイススクリーン。
【請求項20】
両方の一対(L1、L2)のナノ繊維層が、通常の濾過ナノ繊維層(312)を有することを特徴とする、請求項19に記載のフェイススクリーン。
【請求項21】
前記濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、空気の通過のための間隙が300〜700nmであり、活性ナノ繊維層(3)の前記ナノ繊維間の前記間隙が更に大きいことを特徴とする、請求項16から20までのいずれか一項に記載のフェイススクリーン。
【請求項22】
殺菌性の一対(L1)のナノ繊維層の後に、空気の通過方向に配置された殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層を含み、殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)が、50〜200nmのナノ繊維間の、空気の通過のための間隙を有し、空気通過の方向で、殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)の前に、殺ウイルス性物質の粒子を含むナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(22)が配置されることを特徴とする、請求項16又は17に記載のフェイススクリーン。
【請求項23】
殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)のナノ繊維間の間隙が、殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)のナノ繊維間の間隙よりも大きく、同時に、殺菌性の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)のナノ繊維間の間隙よりも小さいことを特徴とする、請求項21に記載のフェイススクリーン。
【請求項24】
濾過される水から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、種々のサイズの粒子の砂濾過器を含む浄水器であって、該砂濾過器(P)の後に、少なくとも一対(L)のナノ繊維層が配置され、その内、濾過される水の通過方向における第一ナノ繊維層は、該除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)であり、第二ナノ繊維層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)であり、該濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズは、前記活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さいことを特徴とする、上記浄水器。
【請求項1】
織物繊維を含む、濾過媒体から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための濾過器であって、少なくとも一対(L)のナノ繊維層を含み、その内、該濾過媒体の通過方向における第一ナノ繊維層は、該除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)であり、第二ナノ繊維層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)で表され、該濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズは、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズよりも小さく且つこの濾過ナノ繊維層(3)により除去される1種又は複数の生物学的不純物の成分のサイズよりも小さいことを特徴とする、上記濾過器。
【請求項2】
少なくとも二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、その内それぞれが、異なる1種又は複数の生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とし、前記濾過媒体の通過方向における前記個々の一対(L1、L2)のナノ繊維層が、濾過媒体の通過に対して小さなサイズの間隙を有し、それぞれの後の一対(L2)のナノ繊維層が、前の一対(L1)のナノ繊維層よりも小さい生物学的不純物の捕捉及び一掃を目的とすることを特徴とする、請求項1に記載の濾過器。
【請求項3】
前記の前の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)が、その後に続く一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)を創り出し、それが、前記その後に続く一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)で捕捉される生物学的不純物に対して有効に作用する少なくとも1つの低分子物質を含むナノ繊維で形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の濾過器。
【請求項4】
濾過媒体の通過方向における前記第一の一対(L1)のナノ繊維層が、バクテリアの捕捉及び一掃を目的とし、濾過媒体の通過方向における前記第二の一対(L2)のナノ繊維層が、ウイルスの捕捉及び一掃を目的とすることを特徴とする、請求項2又は3に記載の濾過器。
【請求項5】
前記第一の一対(L1)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維(31)層がナノ繊維で形成され、このナノ繊維間に、この濾過ナノ繊維層(31)により捕捉されるべき最も小さいバクテリアのサイズよりも小さい、濾過媒体の通過のための間隙が存在し、前記第一の一対(L1)のナノ繊維層の前記活性ナノ繊維層(21)が、それぞれの濾過ナノ繊維層(31)により捕捉されるバクテリアに対して有効に作用する少なくとも1つの殺菌性低分子物質を含むナノ繊維で形成され、同時に、前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)がナノ繊維で形成され、このナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙が、この濾過ナノ繊維層(32)により捕捉されるべきウイルスのサイズよりも小さく、前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)が、前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)により捕捉されるウイルスに対して有効に作用する少なくとも1つの殺ウイルス性物質を含むナノ繊維で形成されることを特徴とする、請求項4に記載の濾過器。
【請求項6】
前記第一の一対(L1)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(31)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙が300〜700nmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項7】
前記第二の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)のナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙が50〜200nmであることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項8】
ナノ繊維層の表面重量が0.1〜0.3g/m2の間隔で変化し、ナノ繊維層のそれぞれの一対(L、L1、L2)の前記濾過ナノ繊維層(3、31、32)が、それが配置される前の、濾過媒体の通過方向における前記それぞれの一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)よりも小さい表面重量を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項9】
前記濾過ナノ繊維層(3、31、32)のポリマーナノ繊維が、ポリマー溶液の静電紡糸により製造され、活性ナノ繊維層(2、21、22)のポリマーナノ繊維が、それぞれの低分子物質の粒子又は紡糸後に、それぞれの低分子物質の粒子が、幾つかの公知の方法により創り出される物質を含むポリマー溶液の静電紡糸により製造されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項10】
除去される生物学的不純物に対して活性な前記低分子物質が、金属形態の銀、銀の化合物、第4級アンモニウム塩及びPVPヨードの群からの低分子物質であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項11】
ナノ繊維の直径が50〜700nmの範囲で変化し、各連続するナノ繊維層における、濾過媒体の通過方向における個々のナノ繊維層におけるナノ繊維の直径が、前記ナノ繊維間の、濾過媒体の通過のための間隙のサイズの減少と一緒に減少することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項12】
一対(L、L1、L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(2、21、22)のナノ繊維中の低分子物質又は低分子物質類の粒子の特徴的サイズが5〜100nmの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項13】
濾過媒体が空気であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項14】
濾過媒体が水であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の濾過器。
【請求項15】
濾過される空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための織物繊維を含む空気濾過器であって、少なくとも一対のナノ繊維層を含み、その内、濾過される空気の通過方向における第一ナノ繊維層は、除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して有効な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)であり、第二層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)であり、濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズは、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過される空気の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さいことを特徴とする空気濾過器。
【請求項16】
外側及び内側織物層を含む、吸い込み又は吐き出し空気から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するためのフェイススクリーンであって、外側織物層(11)及び内側織物層(41)との間に、300nmまでのナノ繊維間の間隙を有する濾過ナノ繊維層(3)を含む一対のナノ繊維層が配置され、該フェイススクリーンの指示により、空気通過の方向で、該濾過ナノ繊維層の前に、少なくとも1つの殺菌性低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)が配置されることを特徴とする、上記フェイススクリーン。
【請求項17】
前記濾過ナノ繊維層(3)が、吸い込みの方向で、前記内側織物層(41)の前に配置され、ポリマーナノ繊維で形成される前記濾過ナノ繊維層(3)及び外側織物層(11)との間に、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)が配置されることを特徴とする、請求項16に記載のフェイススクリーン。
【請求項18】
前記濾過ナノ繊維層(3)が、吐き出しの方向で、前記外側織物層(11)の前に配置され、ポリマーナノ繊維で創り出されるこの濾過ナノ繊維層(3)及び内側織物層(41)との間に、活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維中に含まれる、少なくとも1つの低分子殺菌性物質の粒子を伴うポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)が配置されることを特徴とする、生物学的不純物の吐き出しの防止のための、請求項16に記載のフェイススクリーン。
【請求項19】
二対(L1、L2)のナノ繊維層を含み、これらの濾過ナノ繊維層(31、32)が互いに向い合っていることを特徴とする、生物学的不純物の吸い込み及び吐き出しの防止のための、請求項16に記載のフェイススクリーン。
【請求項20】
両方の一対(L1、L2)のナノ繊維層が、通常の濾過ナノ繊維層(312)を有することを特徴とする、請求項19に記載のフェイススクリーン。
【請求項21】
前記濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、空気の通過のための間隙が300〜700nmであり、活性ナノ繊維層(3)の前記ナノ繊維間の前記間隙が更に大きいことを特徴とする、請求項16から20までのいずれか一項に記載のフェイススクリーン。
【請求項22】
殺菌性の一対(L1)のナノ繊維層の後に、空気の通過方向に配置された殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層を含み、殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)が、50〜200nmのナノ繊維間の、空気の通過のための間隙を有し、空気通過の方向で、殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の前記濾過ナノ繊維層(32)の前に、殺ウイルス性物質の粒子を含むナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(22)が配置されることを特徴とする、請求項16又は17に記載のフェイススクリーン。
【請求項23】
殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の活性ナノ繊維層(22)のナノ繊維間の間隙が、殺ウイルス性の一対(L2)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(32)のナノ繊維間の間隙よりも大きく、同時に、殺菌性の一対(L1)のナノ繊維層の濾過ナノ繊維層(31)のナノ繊維間の間隙よりも小さいことを特徴とする、請求項21に記載のフェイススクリーン。
【請求項24】
濾過される水から物理的及び/又は生物学的不純物を除去するための、種々のサイズの粒子の砂濾過器を含む浄水器であって、該砂濾過器(P)の後に、少なくとも一対(L)のナノ繊維層が配置され、その内、濾過される水の通過方向における第一ナノ繊維層は、該除去される1種又は複数の生物学的不純物に対して活性な少なくとも1つの低分子物質の粒子を含むポリマーナノ繊維で形成される活性ナノ繊維層(2)であり、第二ナノ繊維層は、ポリマーナノ繊維で形成される濾過ナノ繊維層(3)であり、該濾過ナノ繊維層(3)のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズは、前記活性ナノ繊維層(2)のナノ繊維間の、濾過される水の通過のための間隙のサイズよりも小さく、同時に、除去される1種又は複数の生物学的不純物の粒子のサイズよりも小さいことを特徴とする、上記浄水器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2009−514667(P2009−514667A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539218(P2008−539218)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/CZ2006/000077
【国際公開番号】WO2007/054040
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(507336444)エルマルコ、エス.アール.オー (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/CZ2006/000077
【国際公開番号】WO2007/054040
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(507336444)エルマルコ、エス.アール.オー (17)
【Fターム(参考)】
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