説明

特に圧電式のマイクロジェネレータを有しているエネルギ自立型のマイクロシステムのためのトリガ回路及び整流器

本発明は、十分に大きい電圧レベルを検出するため、また、十分な出力を供給するためのトリガ回路に関する。更に本発明は、従来の解決手段に比べて、同じ出力電圧で効果的により多くの出力を供給する整流器に関する。トリガ回路及び整流回路は、特に圧電式のマイクロジェネレータを有するエネルギ自立型のマイクロシステムにおいて使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される交流電圧を先ず整流することができる、電力を負荷に供給するための電子装置に関する。供給される電力の電力源として例えば、直列に接続されているキャパシタンスを用いて交流電圧を供給するマイクロジェネレータが考えられる。
【0002】
エネルギ自立型のマイクロシステムは通常の場合、一つ又は複数のマイクロジェネレータ、一つの整流器、一つのエネルギ蓄積素子、並びに、一つ又は複数のセンサを有している。通常の場合、マイクロシステムはAC−AC変換器、RFブロック及び複数の付加的な回路も有している、マイクロジェネレータはマイクロワット又はミリワットの範囲の電力を供給する。蓄積素子としてキャパシタンス、スーパーキャパシタンス又は蓄電池を使用することができる。
【0003】
エネルギ自立型のシステムは構成要素として、電荷ポンプ及び発振器を有することができ、それらはAC−AC変換器の機能を一つのチップ上に有している。受動的な整流器はエネルギ蓄積素子、例えばキャパシタンスを充電する。この回路ブロックは、いわゆる始動フェーズ(同様にスタートアップフェーズとも称することができる)の間に必要とされる。もっとも、この回路ブロックは不利な電圧降下を惹起し、また効率が悪い。従って、受動的な整流器はシステム全体にとってネックである。
【0004】
システムの別の部分、特にシステムの能動的な部分をアクティブにできるようにするためには、電圧レベル及び蓄積キャパシタンスに蓄積されたエネルギが十分に大きいものであるか否かを検出するためにトリガ回路が必要とされる。監視される電圧レベルは以下の二つの判定基準を満たしていなければならない:第1の判定基準:発振器及び電荷ポンプは、予定されている電圧範囲において動作しなければならない;第2の判定基準:電荷ポンプの始動フェーズを実現するために、キャパシタンスには十分なエネルギが蓄積されていなければならない。
【0005】
トリガ回路に対する要求は、一方ではトリガ回路が古典的なスタートアップ回路であり、このことは給電電圧の検出に該当し、他方ではトリガ回路がオンオフ回路として動作すべきであることである。従来の回路ブロック、例えば古典的な比較器は、例えば電圧レベルが低い場合には動作することができないので、CMOS給電レベルを遙かに下回るマイクロジェネレータの電圧にとって従来の解決手段は実現不可能であった。トリガ回路に対しては、電力消費量が低いことが更に要求される。その電力消費量はシステムの電力消費量に比べて低いことが望ましい。また、スイッチング速度、即ち、システムの残りの部分をアクティブにするためにトリガ回路が必要とする時間に対しても要求が課されている。この時間は、この動作に必要とされるエネルギと直接的に関係しているとみなすことができる。移行期間が過度に長く続くと、システムの始動フェーズを支援するためにはエネルギが場合によっては十分でなくなる。即ち、スイッチング時間は可能な限り短いことが望ましい。最後に、トリガ回路に関する電圧閾値を調整できることが所望される。種々のマイクロジェネレータ及びシステムコンセプトは種々の電圧レベルを提供する。トリガ回路は、そのアーキテクチャによって相応の電圧レベルを規定できる可能性を有していることが望ましい。
【0006】
マイクロワットの範囲においては、現在のところ、アーキテクチャが異なる同等の簡単なシステムが実現されているに過ぎない。相違点はマイクロジェネレータの種類、その電圧振幅、整流器及びAC−AC変換器の種類である。多くのシステムは、入力端における電圧振幅が大きいことに起因して、スタートアップ回路を必要としていない。それらのシステムは通常の場合、メゾスコピックな範囲にあり、ミリワットの範囲の電力を供給する。別のシステムはAC−AC変換器のためにオフチップコンポーネント、特にコイルを使用しており、受動的なダイオードをスタートアップ過程のために使用しており、また、入力端における電圧振幅に対して相応の要求を課している(文献[1]を参照されたい)。従来使用されている受動的な整流器は、一方では一つ又は複数のMOSFETダイオードを基礎としているが、これは相応の電圧降下を有しており、また効率が悪い。他方では、プロセスの修正又はフローティングゲートトランジスタのプログラミングを基礎としている、技術的に煩雑でコストの掛かる解決手段が提案されている。プロセスの修正は、CMOS技術においては標準的なものではない、低閾値/0閾値トランジスタの使用を基礎としていることが考えられる。フローティングゲートトランジスタのプログラミングは付加的なステップ、従って付加的なコストを必要とする(文献[2]を参照されたい)。
【0007】
本発明の課題は、十分に大きい電圧レベルを検出し、且つ、十分な出力を供給するトリガ回路を提供することであり、トリガ回路は更にオンオフ回路として動作し、また電力消費量が少なく、且つ短いスイッチング時間を有しており、更には回路電圧閾値を可変に調整できるべきである。更には、従来の解決手段に比べて同じ出力電圧で効果的により多くの出力を供給し、従って、始動フェーズ中の整流効率を改善する整流器を供給することができる。特に、トリガ回路及び整流器は特に、圧電式のマイクロジェネレータを有しているエネルギ自立型のマイクロシステムにおいて使用できることが望ましい。
【0008】
この課題は独立請求項に記載されている装置によって解決される。
【0009】
本発明の第1の態様は、電流源を形成する第1のタイプの第1の電界効果トランジスタのソースドレイン区間が、電流源を形成する第2のタイプの第2の電界効果トランジスタのソースドレイン区間及び第3の電圧に直列に接続されており、第1の電界効果トランジスタの第1の端子及び第2の電界効果トランジスタの第1の端子が、スイッチを形成する第2のタイプの第3の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続されており、また、第3の電界効果トランジスタのソースドレイン区間には入力電圧及び出力電圧が印加されていることを特徴としている。本発明は、入力電圧が閾値を下回っていると、アクティブな領域にある一方の電界効果トランジスタが他方の電界効果トランジスタよりも大きい電流を供給し、また、入力電圧が閾値を上回っていると、アクティブな領域にある他方の電界効果トランジスタが一方の電界効果トランジスタよりも大きい電流を供給するように、第1の電界効果トランジスタの動作点及び第2の電界効果トランジスタの動作点がそれぞれ調整されている。電界効果トランジスタのドレインソース電圧が飽和ドレインソース電圧よりも大きい場合には、電界効果トランジスタはアクティブ領域にある。
【0010】
ソースドレイン区間を電界効果トランジスタのチャネルと称することもできる。
【0011】
本発明は、システムのエネルギ効率が良い確実な始動を行なう機能を有している新規な構造を提供する。第1の態様は、課題の項において述べた要求を満たすトリガ回路に関する。本発明の第2の態様は、受動的な整流の慣例のアプローチを上回る解決手段に関する。それと共に本発明は、システムを確実に機能させるためのクリティカルなエネルギ出力を最小にする、エネルギ発生器と負荷との間のインタフェース回路にも関する。
【0012】
トリガ回路乃至スタートアップ回路の基本的な着想は、電圧閾値を上回ったことを検出するために、比較器のような特性を実現することにある。その種のシステムの電圧閾値は、比較器の設計が困難な低電圧領域にあるので、回路の主機能は相互に競合する二つの電界効果トランジスタによって達成される。スタートアップ回路の残りの部分は電圧閾値の調整、迅速な移行フェーズ及び僅かな電力消費を実現する。
【0013】
本発明により、確実な始動フェーズ又はスタートアップ特性が実現される。システムを始動させることができるクリティカルな入力電力は低減されている。システムを動作させるためには比較的低い入力電圧しか必要とされない。電力消費量は低減されている。電圧閾値を調整することができる。主なシステム特性がスタートアップ回路によって影響を及ぼされることはない。
【0014】
別の有利な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
【0015】
有利な実施の形態によれば、第1の電界効果トランジスタの動作点は、第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスを入力電圧と第3の電圧との間において電気的に直列に接続することができ、且つ、第1のキャパシタンスと第2のキャパシタンスとの間の電気的な接続部には第1の電界効果トランジスタのゲートと、電流シンクを形成する第1のタイプの第4の電界効果トランジスタの第1の端子とを電気的に接続できることによって調整することができる。第4の電界効果トランジスタのゲートを第4の電界効果トランジスタの第2の端子及び第3の電圧に電気的に接続することができる。第2の電界効果トランジスタの動作点は、第3のキャパシタンスが第2の電界効果トランジスタのゲートと第3の電圧との間において電気的に接続されており、且つ、第2の電界効果トランジスタのゲートには、電流シンクを形成する第1のタイプの第7の電界効果トランジスタの第1の端子を電気的に接続できることによって調整することができる。第7の電界効果トランジスタのゲートは第7の電界効果トランジスタの第2の端子及び第3の電圧に電気的に接続することができる。
【0016】
別の有利な実施の形態によれば、スイッチを形成する第1のタイプの第5の電界効果トランジスタのゲートには出力電圧を印加することができ、第5の電界効果トランジスタの第2の端子には第3の電圧を印加することができ、また、第5の電界効果トランジスタの第1の端子を第3の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができる。
【0017】
別の有利な実施の形態によれば、スイッチを形成する第1のタイプの第6の電界効果トランジスタのゲートには出力電圧を印加することができ、第6の電界効果トランジスタの第2の端子には第3の電圧を印加することができ、また、第6の電界効果トランジスタの第1の端子を第1の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができる。
【0018】
別の有利な実施の形態によれば、スイッチを形成する第2のタイプの第8の電界効果トランジスタのゲートには第3の電圧を印加することができ、第8の電界効果トランジスタの第2の端子には出力電圧を印加することができ、また、第8の電界効果トランジスタの第1の端子を第2の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができる。
【0019】
別の有利な実施の形態によれば、第1の電界効果トランジスタの動作点は、第1の電界効果トランジスタの第2の端子を、第1のタイプの第12の電界効果トランジスタの第1の端子に電気的に接続することができ、第1の電界効果トランジスタのバルク端子を第12の電界効果トランジスタのバルク端子を介して第3の電圧に電気的に接続することができ、且つ、第1の電界効果トランジスタのゲートに入力電圧を印加できることによって調整することができる。第12の電界効果トランジスタの第2の端子には第3の電圧を印加することができ、且つ、第12の電界効果トランジスタのゲートは第1のインバータに電気的に接続されている。第2の電界効果トランジスタの動作点は、第2の電界効果トランジスタのゲートに第3の電圧を印加できることによって調整することができる。
【0020】
別の有利な実施の形態によれば、第1の電界効果トランジスタの第1の端子及び第2の電界効果トランジスタの第1の端子と第3の電界効果トランジスタのゲートとの間には、第2のインバータを電気的に接続することができる。
【0021】
別の有利な実施の形態によれば、第1のインバータは第1のタイプの第13の電界効果トランジスタを有することができる。第13の電界効果トランジスタの第2の端子には第3の電圧を印加することができ、第13の電界効果トランジスタの第1の端子を第2のタイプの第14の電界効果トランジスタの第1の端子及び第12の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができ、第13の電界効果トランジスタのゲートを第14の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができ、また、第13の電界効果トランジスタのゲートに出力電圧を印加することができる。入力電圧を第14の電界効果トランジスタの第2の端子に印加することができる。
【0022】
別の有利な実施の形態によれば、第2のインバータは第1のタイプの第15の電界効果トランジスタを有することができる。第15の電界効果トランジスタの第2の端子には第3の電圧を印加することができ、第15の電界効果トランジスタの第1の端子を第2のタイプの第16の電界効果トランジスタの第1の端子及び第3の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができ、第15の電界効果トランジスタのゲートを第16の電界効果トランジスタのゲート並びに第1の電界効果トランジスタの第1の端子及び第2の電界効果トランジスタの第1の端子に電気的に接続することができる。入力電圧を第16の電界効果トランジスタの第2の端子に印加することができる。
【0023】
別の有利な実施の形態によれば、入力電圧と第3の電圧との間に第4のキャパシタンスを電気的に接続することができる。
【0024】
別の有利な実施の形態によれば、ダイオードを形成する第1のタイプの第9の電界効果トランジスタのソースドレイン区間を、入力電圧と第4の電圧との間に電気的に接続することができる。第9の電界効果トランジスタのゲートは第9の電界効果トランジスタの第1の端子に電気的に接続することができる。
【0025】
別の有利な実施の形態によれば、スイッチを形成する第2のタイプの第10の電界効果トランジスタのソースドレイン区間を、第9の電界効果トランジスタのソースドレイン区間に電気的に並列に接続することができる。
【0026】
別の有利な実施の形態によれば、比較器を形成する第1の演算増幅器においては、第4の電圧を負の入力端に印加することができ、且つ、入力電圧を正の入力端に印加することができ、出力端を第10の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができる。
【0027】
別の有利な実施の形態によれば、スイッチを形成する第1のタイプの第11の電界効果トランジスタのソースドレイン区間には、第4の電圧及び第3の電圧を印加することができる。
【0028】
別の有利な実施の形態によれば、比較器を形成する第2の演算増幅器においては、第4の電圧を負の入力端に印加することができ、且つ、第3の電圧を正の入力端に印加することができ、出力端を第11の電界効果トランジスタのゲートに電気的に接続することができる。
【0029】
別の有利な実施の形態によれば、第1の演算増幅器及び第2の演算増幅器には給電電圧としてそれぞれ入力電圧を印加することができる。
【0030】
別の有利な実施の形態によれば、マイクロジェネレータが第3の電圧に関して第4の電圧を供給することができ、且つ、出力電圧を給電すべき負荷に印加することができる。
【0031】
別の有利な実施の形態によれば、第3の電圧はグランド電圧で良い。グランド電圧とは、接地又は0電位を意味している。
【0032】
別の有利な実施の形態によれば、第1の端子は電界効果トランジスタのドレインで良く、また第2の端子は電界効果トランジスタのソースで良い。
【0033】
別の有利な実施の形態によれば、第1のタイプは電界効果トランジスタのn型で良く、また第2のタイプは電界効果トランジスタのp型で良い。
【0034】
別の有利な実施の形態によれば、電界効果トランジスタは金属酸化膜半導体電界効果トランジスタで良い。
【0035】
別の有利な実施の形態によれば、本発明による装置は以下の二つの状態を有することができる:閾値を下回る入力電圧を有している第3、第5、第6及び第8の電界効果トランジスタのソースドレイン区間を阻止する状態であって、この状態では、第2の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流は第1の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流よりも大きい;又は、
閾値を上回る入力電圧を有している第3、第5、第6及び第8の電界効果トランジスタのソースドレイン区間を導通させる状態であって、この状態では、第1の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流は、第2の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流よりも大きい。
【0036】
別の有利な実施の形態によれば、代替的な本発明による装置は以下の二つの状態を有することができる:閾値を下回る入力電圧を有している第3の電界効果トランジスタのソースドレイン区間を阻止する状態であって、この状態では、第1の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流は第2の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流よりも大きい;又は、
閾値を上回る入力電圧を有している第3の電界効果トランジスタのソースドレイン区間を導通させる状態であって、この状態では、第2の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流は、第1の電界効果トランジスタのチャネルを流れる電流よりも大きい。
【0037】
別の有利な実施の形態によれば、第1の電界効果トランジスタの縦横比及び第2の電界効果トランジスタの縦横比によって閾値を調整することができる。
【0038】
別の有利な実施の形態によれば、第2のキャパシタンスに対する第1のキャパシタンスの比率、及び/又は、第3のキャパシタンスによって閾値を調整することができる。
【0039】
別の有利な実施の形態によれば、本発明による装置を以下のようにスイッチングさせることができる:第1の演算増幅器は第4の電圧の大きさを入力電圧の大きさと比較し、第4の電圧が入力電圧よりも高い場合には第10の電界効果トランジスタを導通させる。
【0040】
別の有利な実施の形態によれば、第2の演算増幅器は第4の電圧の大きさを第3の電圧の大きさと比較し、第4の電圧が入力電圧よりも低い場合には第11の電界効果トランジスタを導通させる。
【0041】
以下では図面を参照しながら、別の有利な実施の形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による回路の第1の実施例を示す。
【図2】図1による第1の電界効果トランジスタ及び第2の電界効果トランジスタの特性曲線を示す。
【図3】整流器回路の実施例を示す。
【図4】エネルギ自立型のシステムの入力段のブロック回路図を示す。
【図5】エネルギ自立型のシステムのブロック回路図を示す。
【図6】本発明による回路の第2の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明による装置、特にトリガ回路1の第1の実施例を示す。参照番号1はトリガ回路1を表す。このトリガ回路1は図5においても同様にブロック1として表されている。電流源を形成する第1のタイプの第1の電界効果トランジスタM1のソースドレイン区間は、入力電圧Vinと第3の電圧との間において、電流源を形成する第2のタイプの第2の電界効果トランジスタM2のソースドレイン区間に電気的に直列に接続されている。第1の電界効果トランジスタM1の第1の端子及び第2の電界効果トランジスタM2の第1の端子は、スイッチを形成する第2のタイプの第3の電界効果トランジスタM3のゲートに電気的に接続されており、且つ、第3の電界効果トランジスタM3のソースドレイン区間には入力電圧Vin及び出力電圧Voutが印加されている。第1の電界効果トランジスタM1の動作点及び第2の電界効果トランジスタM2の動作点はそれぞれ、入力電圧Vinが閾値を下回っていると、アクティブ領域にある一方の電界効果トランジスタM2;M1が他方の電界効果トランジスタM1;M2よりも大きい電流を供給し、また、入力電圧Vinが閾値を上回っていると、アクティブ領域にある他方の電界効果トランジスタM1;M2が一方の電界効果トランジスタM2;M1よりも大きい電流を供給するように調整されている。電界効果トランジスタは、そのドレインソース電圧が飽和ドレインソース電圧よりも大きい場合にアクティブ領域にある。第1の電界効果トランジスタM1の動作点は、第1のキャパシタンスC1及び第2のキャパシタンスC2が入力電圧Vinと第3の電圧との間において電気的に直列に接続されており、且つ、第1のキャパシタンスC1と第2のキャパシタンスC2との間の電気的な接続部には第1の電界効果トランジスタM1のゲートと、電流シンクを形成する第1のタイプの第4の電界効果トランジスタM4の第1の端子とが電気的に接続されていることによって調整されている。第4の電界効果トランジスタM4のゲートは第4の電界効果トランジスタM4の第2の端子に電気的に接続されており、且つ、第4の電界効果トランジスタM4のゲートには第3の電圧が印加されている。第2の電界効果トランジスタM2の動作点は、第3のキャパシタンスC3が第2の電界効果トランジスタM2のゲートと第3の電圧との間において電気的に接続されており、且つ、第2の電界効果トランジスタM2のゲートには、電流シンクを形成する第1のタイプの第7の電界効果トランジスタM7の第1の端子が電気的に接続されていることによって調整されている。第7の電界効果トランジスタM7のゲートは第7の電界効果トランジスタM7の第2の端子に電気的に接続されており、且つ、第7の電界効果トランジスタM7のゲートには第3の電圧が印加されている。スイッチを形成する第1のタイプの第5の電界効果トランジスタM5のゲートには出力電圧Voutが印加されており、第5の電界効果トランジスタM5の第2の端子には第3の電圧が印加されており、且つ、第5の電界効果トランジスタM5の第1の端子は第3の電界効果トランジスタM3のゲートに電気的に接続されている。スイッチを形成する第1のタイプの第6の電界効果トランジスタM6のゲートには出力電圧Voutが印加されており、第6の電界効果トランジスタM6の第2の端子には第3の電圧が印加されており、且つ、第6の電界効果トランジスタM6の第1の端子は第1の電界効果トランジスタM1のゲートに電気的に接続されている。スイッチを形成する第2のタイプの第8の電界効果トランジスタM8のゲートには第3の電圧が印加されており、第8の電界効果トランジスタM8の第2の端子には出力電圧Voutが印加されており、且つ、第8の電界効果トランジスタM8の第1の端子は第2の電界効果トランジスタM2のゲートに電気的に接続されている。
【0044】
図1は、トリガ回路に関する本発明の基本思想の実現形態を表す。トランジスタM1及びM2は電圧Vを調整し、従って、スイッチの機能を有しているトランジスタM3を制御する。キャパシタンスC1及びC2はトランジスタM4と共に、トランジスタM1の動作点を調整するために使用される。キャパシタンスC3及び別のトランジスタM7はトランジスタM2の動作点を調整するため、もしくはトランジスタM2にバイアスをかけるために使用される。トランジスタM6,M8及びキャパシタンスC3は、出力電圧Voutが十分に高いときにはトランジスタM1及びM2を阻止する。この場合、トランジスタM5はトランジスタM3にバイアスをかける。
【0045】
トランジスタM1及びM2は回路の核を表している。それら二つのトランジスタM1,M2は相互に競合して並行に動作している。即ち、電圧Vは二つの特性曲線の判定基準を満たしていなければならない。一般的に、それら二つのトランジスタが図1に示されているように接続されており、且つ、それら二つのトランジスタに同一の電流が流れる場合には、以下の特性が生じる:比較的大きい寸法設計及び/又はゲートソース電圧Vgsの比較的大きい値によって、潜在的により大きい電流を供給することができるトランジスタは、比較的小さいドレインソース電圧Vdsによって自身の電流を低減することができなければならない。この思想は、第2のトランジスタM2が第1のフェーズにおいては「より強い」トランジスタであり(これは特に、入力電圧Vinが電圧閾値よりも依然として低い場合に当てはまる)、第1のトランジスタM1が第2のフェーズにおいては「より強い」トランジスタであるということである。相応に寸法設計が行われている場合、入力電圧Vinが所望の電圧閾値に達した瞬間に、どちらのトランジスタが「より強い」トランジスタであるかが決定されて移行が行なわれる。この瞬間に電圧Vは降下し、トランジスタM3が導通される。
【0046】
図2は、第1のトランジスタM1及び第2のトランジスタM2の電流と入力電圧Vinの関係を示しているが、これは特に、ドレインソース電圧Vdsが入力電圧Vinに等しい場合のものを示している。ここでは入力電圧Vinが給電電圧の役割を果たす。垂直方向に短い線が付されている特性曲線は第1の電界効果トランジスタM1に対応するものであり、他方の特性曲線は第2の電界効果トランジスタM2に対応するものである。特性曲線の形状が異なることによって、それらの特性曲線を二つの点において交差させることができる。第1の交点は入力電圧Vinの領域2から領域3への移行部に位置しており、また第2の交点は第1の交点の右側において領域3内に位置している。二つの特性曲線の差異は、寸法設計が異なること、異なるバイアスが掛けられていること、又は、動作点の調整に由来している。第1の電界効果トランジスタM1はより大きく寸法設計されているが、入力電圧Vinの一部しか受け取らず、しかも、第1のキャパシタンスC1及び第2のキャパシタンスC2の電圧分配器を介して受け取る。第2の電界効果トランジスタM2は、入力電圧Vinの値が比較的小さい場合にはバルク電流が優勢になるように寸法設計されている。このことは図2の領域1において見て取れる。入力電圧Vinがそれよりも高い値を有するようになると、サブ閾値電流が支配的になる。このことは図2の領域2において見て取れる。最終的には、入力電圧Vinが第2の電界効果トランジスタM2のカットオフ電圧よりも大きくなり、第2の電界効果トランジスタM2は飽和する。このことは図2の領域3において見て取れる。第1の電界効果トランジスタM1はより大きく寸法設計されており、少なくとも、その縦横比は第2の電界効果トランジスタM2の縦横比よりも大きく寸法設計されている。これによって、第1の電界効果トランジスタM1の特性曲線は概ね線形となる。即ち、サブ閾値が優勢になる。このグラフは半対数グラフである。トランジスタの縦横比によって電圧閾値、即ち、右側の交点を調整することができる。これによって特性曲線のレベルが変更する。電圧閾値を調整する別の可能性は、第1のキャパシタンスC1と第2のキャパシタンスC2の電圧分配器の特性の設定にある。入力電圧Vinが十分に大きく、且つ、第3の電界効果トランジスタM3が導通している場合には、第6の電界効果トランジスタM6及び第8の電界効果トランジスタM8が第1の電界効果トランジスタM1及び第2の電界効果トランジスタM2を遮断する。続いて、第5の電界効果トランジスタM5は第3の電界効果トランジスタM3にバイアスをかける。従って、三つの電界効果トランジスタM1,M2及びM3の内、第3の電界効果トランジスタM3のみが、導通している唯一のトランジスタとなり、これによって最終的な損失は低くなる。
【0047】
図3は、本発明による整流回路の実施例を示す。この種の整流回路を本発明によるトリガ回路の前段に伝記的に接続することができる。本発明の別の態様、しかもシステムの始動中の整流に関して、新規の回路は整流の二つの原理を組み合わせる。しかも、ダイオードのように機能する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタはアクティブな整流器に並列に接続されており、このアクティブな整流器は整流回路のその時点において使用可能な一つの出力電圧の供給部として使用される。この出力電圧は始動フェーズ中に0から出発して上昇するので、このアクティブな整流器は電圧レベルが十分なレベルになった瞬間以降に機能し始める。開始時に、アクティブな整流器は完全な効率性で動作はしないが、その代わりに付加的な出力を供給することができる。このようにして、前段に接続されている整流回路は、出力電圧が同じ場合でも、古典的な純粋に受動的な解決手段に比べて遙かに高い出力を供給することができる。これによって、始動フェーズ又はスタートアップフェーズ中の整流器の効率が改善されている。
【0048】
参照番号3は受動的な整流器を表す。この受動的な整流器は図5においてはブロック3としても表されている。参照番号9は能動的な整流器を表す。この能動的な整流器は図5においてはブロック9としても表されている。参照番号7はマイクロジェネレータを表す。このマイクロジェネレータも同様に、図5においてはブロック7として表されている。
【0049】
図3によれば、ダイオードとして前段に接続されている第9の電界効果トランジスタM9が、受動的な整流器3として能動的な整流回路9に電気的に並列に接続されている。能動的な整流回路の構成素子は、第1の演算増幅器OP1によってスイッチング可能である第10の電界効果トランジスタM10と、第2の演算増幅器OP2によってスイッチング可能である第11の電界効果トランジスタM11である。バッファキャパシタンスC4は第10の電界効果トランジスタM10の出力側と第3の電圧との間に電気的に接続されている。能動的な整流の原理は、図3に示されているように、容量性の出力を備えたマイクロジェネレータに適用される。図3における左側の破線で示されたブロック内には、その種のマイクロジェネレータが示されている。マイクロジェネレータの容量性の出力側はキャパシタンスCgとして表されている。ここでは、電圧源Ug(t)と、それに直列に接続されている出力キャパシタンスCgを備えている、圧電式のマイクロジェネレータの簡略化されたモデルが使用される。電圧源は種々の波形の電圧を供給することができ、しかもマイクロジェネレータの設計に応じて種々の波形の電圧を供給することができる。キャパシタンスCgの値は同様に設計に依存している。キャパシタンスCgはnFの数十倍のオーダにある。バッファキャパシタンスC4はキャパシタンスCgよりも遙かに大きい値を有している。このことは直流電流源としてのキャパシタンスC4の近似を証明している。二つのスイッチM10及びM11は内部抵抗Rを有しており、またMOSFET電界効果トランジスタとして実施されている。第10の電界効果トランジスタM10は第1のスイッチS1として動作し、第11の電界効果トランジスタM11は第2のスイッチS2として動作する。能動的な整流の背景となる基本的な着想は、キャパシタンスが接続されている各回路において使用される着想に類似している。即ち、適切な時間経過が要求される電荷の流れを提供する、キャパシタンス及びスイッチを用いた電荷の移動である。ここでは、組み込まれたマイクロジェネレータキャパシタンスCgが従来のキャパシタンスの実現形態の代わりに使用されるが、原理自体は同一のものである。固定的なシステムにおいては、能動的な整流器が四つのフェーズで動作する。第4の電圧VxがキャパシタンスC4における電圧よりも大きい場合には、スイッチS1は演算増幅器OP1によって制御され、且つ、アクティブである。第4の電圧Vxが0よりも小さい場合には、スイッチS2は演算増幅器OP2によって制御され、且つアクティブである。整流器の動作の四つのフェーズを以下のように表すことができる。
【0050】
フェーズ1:フェーズ1においてはスイッチS1及びスイッチS2が開かれている。ジェネレータ電圧は0Vから出発して上昇する。キャパシタンスCgにかかる電圧は0Vに維持されるので、第4の電圧Vxは直接的にジェネレータ電圧Ugに従う。このフェーズの間は、二つのスイッチS1及びS2はアクティブではないので、ノードVxには電流が流れており、キャパシタンスCgを充電又は放電するための経路は存在しない。
【0051】
フェーズ2:スイッチS1は閉じられており、スイッチS2は開かれている。このフェーズは、第4の電圧Vxが、キャパシタンスC4における入力電圧Vinである電圧の値に達したときに開始される。演算増幅器OP1の信号によってスイッチS1がアクティブにされる。第4の電圧Vxが入力電圧Vinに等しいこのフェーズの間に、キャパシタンスCgにおける電圧は上昇するので、電流i(t)は回路を流れる。この電流はキャパシタンスC4に電荷を運ぶので、従って出力が供給される。このフェーズにおいてのみ、バッファキャパシタンスC4は電荷を受け取る。
【0052】
フェーズ3:スイッチS1及びスイッチS2は開かれている。このフェーズは、回路を流れる電流が0に降下し、電流の方向が変化したときに開始される。この時点においてスイッチS1はデアクティブにされるので、ノードVxには再び電流が流れる。電流経路は存在しないので、キャパシタンスCgは充電されたままであり、その電圧は一定に維持され、またノードVxは電圧源Ug(t)に従うが、時点t2における0VではないキャパシタンスCgにおける電圧の値によって惹起されているオフセットを有している。
【0053】
フェーズ4:スイッチS1は開かれており、スイッチS2は閉じられている。第4の電圧Vxは0Vに降下し、負の電圧となると、スイッチS2はアクティブになりフェーズ4が開始される。第4の電圧Vxが強制的にグランドに接続され、キャパシタンスCgにおける電圧は降下し、電流i(t)が流れ、キャパシタンスCgは放電される。この瞬間に電圧Ugは再び上昇し、電流i(t)は向きを変え、この変化が検出され、従ってスイッチS2がデアクティブにされる。この瞬間から4フェーズサイクルが再び開始される。
【0054】
最後の第4のフェーズは必要である。何故ならば、この第4のフェーズが無ければキャパシタンスCgは充電されたままになるからである。それによって、電圧Ugと第4の電圧Vxとの間にオフセットが生じ、その結果、第4の電圧でのピーク電圧はキャパシタンスC4における電圧のみになる虞があり、これはスイッチS1を閉じて、電流を流すためには十分でない虞がある。回路が開かれている動作状態では、ジェネレータは全ての時間にわたり動作する。フェーズ4ではキャパシタンスCgが放電され、しかも、マイクロジェネレータの電極が効果的に短絡されるので、キャパシタンスCgをフェーズ2において新たに充電することができ、これによって出力側へと電荷を運ぶことができる。出力側へと伝送される電荷量は、キャパシタンスCgにおける最大電圧によって決定される。
【0055】
図4は、エネルギ自立型のマイクロシステムの入力段の実施例を示す。確実な始動は、スタートアップ回路とも称することができるトリガ回路1によって実現されている。このトリガ回路1は図1又は図6による装置に対応している。スタートアップ回路はコンデンサCPufferにおける電圧を監視し、その電圧がシステムに対して設定されている電圧閾値よりも高い場合には、スタートアップ回路1は、図4においてCLast及びRLastとして表されている、システムの残りの部分をアクティブにする。この瞬間以降は、スタートアップ回路1が無視できる程度の電力しか消費しないので、受動的な整流器3が供給する全体の電力はさらに負荷に伝達される。図3においては、第9の電界効果トランジスタM9が受動的な整流器3を表している。図4は、エネルギ自立型のシステムの入力段のブロック回路図を示す。電圧源Vg、及び、この電圧源Vgと受動的な整流器3との間のインピーダンスブロックはマイクロジェネレータを表している。
【0056】
図5は、エネルギ自立型のシステムのブロック回路図を示す。受動的な整流器3とスタートアップ回路1との間のエネルギ蓄積ブロック5はコンデンサ又は蓄電池を表している。本発明の一つの態様では、図5に示されているようなエネルギ自立型のマイクロシステムの始動が処理される。マイクロジェネレータ7は電力管理回路Iを制御する。マイクロジェネレータ7は、受動的な整流器3と、能動的な整流器9と、それに属する制御回路11とを用いて整流される信号を供給する。整流された信号はエネルギ蓄積ブロック5に供給され、このエネルギ蓄積ブロック5はトリガ回路1ないしスタートアップ回路1を制御する。トリガ回路1は電荷ポンプ13及び発振器15に電力を供給する。電荷ポンプ13は同様に制御回路11を制御する。制御回路11を用いて能動的な整流器9が制御される。電力管理回路Iによって第2の電荷ポンプ17、マイクロコントローラ19、センサ21及び高周波回路RF23を制御することができる。本発明によれば、図1又は図6によるトリガ回路はトリガ回路1に相当する。このトリガ回路1の前段には、図3と同様に、受動的な整流器3及び能動的な整流器9が組み合わされたものが接続されている。図3によるキャパシタンスC4は図5によるエネルギ蓄積ブロック5であっても良い。図3においては、マイクロジェネレータ7が同様に破線で示されたブロックとして表されている。
【0057】
図6は本発明によるトリガ回路1又はスタートアップ回路又は始動フェーズ回路の第2の実施例を示す。電流源を形成する第1のタイプの第1の電界効果トランジスタM1のソースドレイン区間は、入力電圧Vinと第3の電圧との間において、電流源を形成する第2のタイプの第2の電界効果トランジスタM2のソースドレイン区間に電気的に直列に接続されている。第1の電界効果トランジスタM1の第1の端子及び第2の電界効果トランジスタM2の第1の端子は、スイッチを形成する第2のタイプの第3の電界効果トランジスタM3のゲートに電気的に接続されており、且つ、第3の電界効果トランジスタM3のソースドレイン区間には入力電圧Vin及び出力電圧Voutが印加されている。入力電圧Vinが閾値を下回ると、アクティブ領域にある一方の電界効果トランジスタM2;M1が他方の電界効果トランジスタM1;M2よりも大きい電流を供給するように、また、入力電圧Vinが閾値を上回ると、飽和ドレインソース電圧よりも大きいドレインソース電圧を有している電界効果トランジスタがアクティブ領域にあるように、第1の電界効果トランジスタM1の動作点及び第2の電界効果トランジスタM2の動作点はそれぞれ調整されている。第1の電界効果トランジスタM1の動作点は、第1の電界効果トランジスタM1の第2の端子が、スイッチを形成する第1のタイプの第12の電界効果トランジスタM12の第1の端子に電気的に接続されており、第1の電界効果トランジスタM1のバルク端子には第12の電界効果トランジスタM12のバルク端子を介して第3の電圧が印加されており、且つ、第1の電界効果トランジスタM1のゲートには入力電圧Vinが印加されることによって調整されている。第12の電界効果トランジスタM12の第2の端子には第3の電圧が印加されており、第12の電界効果トランジスタM12のゲートは第1のインバータINV1に電気的に接続されている。第2の電界効果トランジスタM2の動作点は、第2の電界効果トランジスタM2のゲートに第3の電圧が印加されることによって調整されている。第1の電界効果トランジスタM1の第1の端子及び第2の電界効果トランジスタM2の第1の端子と第3の電界効果トランジスタM3のゲートとの間には、第2のインバータが電気的に接続されている。第1のインバータINV1は第1のタイプの第13の電界効果トランジスタM13を有している。第13の電界効果トランジスタM13の第2の端子には第3の電圧が印加されており、第13の電界効果トランジスタM13の第1の端子は第2のタイプの第14の電界効果トランジスタM14の第1の端子及び第12の電界効果トランジスタM12のゲートに電気的に接続されており、第13の電界効果トランジスタM13のゲートは第14の電界効果トランジスタM14のゲートに電気的に接続されており、また、第13の電界効果トランジスタM13のゲートには出力電圧Voutが印加されている。入力電圧Vinは第14の電界効果トランジスタM14の第2の端子に印加されている。第2のインバータINV2は第1のタイプの第15の電界効果トランジスタM15を有している。第15の電界効果トランジスタM15の第2の端子には第3の電圧が印加されており、第15の電界効果トランジスタM15の第1の端子は第2のタイプの第16の電界効果トランジスタM16の第1の端子及び第3の電界効果トランジスタM3のゲートに電気的に接続されており、第15の電界効果トランジスタM15のゲートは第16の電界効果トランジスタM16のゲートに電気的に接続されており、且つ、第1の電界効果トランジスタM1の第1の端子及び第2の電界効果トランジスタM2の第1の端子に電気的に接続されている。入力電圧Vinは第16の電界効果トランジスタM16の第2の端子に印加されている。
【0058】
図6によるトリガ回路の動作を以下のように説明することができる。入力電圧Vinが0Vから出発して上昇することによって、第12の電界効果トランジスタM12のゲートにおける電圧は入力電圧Vinに従う。何故ならば、第3の電界効果トランジスタM3がアクティブではなく、また出力電圧Voutが0Vだからである。第1の電界効果トランジスタM1及び第2の電界効果トランジスタM2の第1の端子(ここではドレイン)における電圧Vは同様に入力電圧Vinに従う。入力電圧VinがNMOS閾値電圧Vthnの値に達すると、第12の電界効果トランジスタM12がスイッチオンされ、第1の電界効果トランジスタM1のソースには第3の電圧(ここではグラウンド電圧)が印加される。第2の電界効果トランジスタM2は、サブ閾値領域(Vthp>Vthn)において動作し、且つ、第1の電界効果トランジスタM1は三極管モードで動作する。これによって電圧Vが第3の電圧に引き上げられる。入力電圧Vinの値がVthpの値に達すると、第2の電界効果トランジスタM2は飽和モードになる。Vinがある程度の値になると第2の電界効果トランジスタM2が第1の電界効果トランジスタM1よりも「強い」ので、電圧Vが引き上げられ、また三極管モードが生じ、これに対して第1の電界効果トランジスタM1は飽和モードになる。この時点において、第2のインバータINV2は第3の電界効果トランジスタM3をスイッチオンする。この第3の電界効果トランジスタM3は入力側と出力側との間の直列スイッチとして動作する。出力電圧Voutが高い値に達すると、第12の電界効果トランジスタM12のゲート電圧がこの第12の電界効果トランジスタM12をスイッチオフし、これによって、第2の電界効果トランジスタM2、第1の電界効果トランジスタM1及び第12の電界効果トランジスタM12に垂直に直接的な電流が流れることは阻止される。更に、第12の電界効果トランジスタM12のゲート電圧は、入力電圧Vinが低下したときにヒステリシス特性を提供する付加的な機能を有している。第1の電界効果トランジスタM1及び第2の電界効果トランジスタM2の正確な寸法設計は要求される回路電圧を達成するために極めて重要なものであり、これによって、変化に起因する帯域幅が許容される。この回路は定常動作時には無視できる程度の電力しか消費しないので、スイッチング過程の間に数nWしか消費しない。
【0059】
参考文献
[1] S. Xu, K. D. T. Ngo, T. Nishida, G. Chung, A. Sharma - Low Frequency Pulsed Resonant Converter for Energy Harvesting, IEEE Transactions on Power Electronics, Vol. 22, Nr. 1, January 2007, Page 63-67
[2] C. Peters, F. Henrici, M. Ortmanns, Y. Manoli: Highbandwidth floating gate CMOS rectifiers with reduced voltage drop, IEEE International Symposium on Circuits and Systems, 18-21, 2598-2601

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流源を形成する第1のタイプの第1の電界効果トランジスタ(M1)のソースドレイン区間が、入力電圧(Vin)と第3の電圧との間において、電流源を形成する第2のタイプの第2の電界効果トランジスタ(M2)のソースドレイン区間に電気的に直列に接続されており、
前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の第1の端子及び前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の第1の端子は、スイッチを形成する第2のタイプの第3の電界効果トランジスタ(M3)のゲートに電気的に接続されており、且つ、前記第3の電界効果トランジスタ(M3)のソースドレイン区間には入力電圧(Vin)及び出力電圧(Vout)が印加されており、
前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の動作点及び前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の動作点はそれぞれ、前記入力電圧(Vin)が閾値を下回っているときは、アクティブ領域にある一方の電界効果トランジスタ(M2;M1)が他方の電界効果トランジスタ(M1;M2)よりも大きい電流を供給し、前記入力電圧(Vin)が閾値を上回っているときは、アクティブ領域にある他方の電界効果トランジスタ(M1;M2)が一方の電界効果トランジスタ(M2;M1)よりも大きい電流を供給するように調整されており、
電界効果トランジスタはドレインソース電圧が飽和ドレインソース電圧よりも大きい場合にアクティブ領域にあることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の前記動作点は、第1のキャパシタンス(C1)及び第2のキャパシタンス(C2)が前記入力電圧(Vin)と前記第3の電圧との間において電気的に直列に接続されており、且つ、前記第1のキャパシタンス(C1)と前記第2のキャパシタンス(C2)との間の電気的な接続部には前記第1の電界効果トランジスタ(M1)のゲートと、電流シンクを形成する第1のタイプの第4の電界効果トランジスタ(M4)の第1の端子とが電気的に接続されていることによって調整されており、前記第4の電界効果トランジスタ(M4)のゲートは前記第4の電界効果トランジスタ(M4)の第2の端子に電気的に接続されており、且つ、前記第4の電界効果トランジスタ(M4)のゲートには前記第3の電圧が印加されており、
前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の前記動作点は、第3のキャパシタンス(C3)が前記第2の電界効果トランジスタ(M2)のゲートと前記第3の電圧との間において電気的に接続されており、且つ、前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の前記ゲートには、電流シンクを形成する第1のタイプの第7の電界効果トランジスタ(M7)の第1の端子が電気的に接続されていることによって調整されており、前記第7の電界効果トランジスタ(M7)のゲートは前記第7の電界効果トランジスタ(M7)の第2の端子に電気的に接続されており、且つ、前記第7の電界効果トランジスタ(M7)のゲートには前記第3の電圧が印加されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
スイッチを形成する第1のタイプの第5の電界効果トランジスタ(M5)のゲートには出力電圧(Vout)が印加されており、前記第5の電界効果トランジスタ(M5)の第2の端子には前記第3の電圧が印加されており、且つ、前記第5の電界効果トランジスタ(M5)の第1の端子は前記第3の電界効果トランジスタ(M3)のゲートに電気的に接続されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
スイッチを形成する第1のタイプの第6の電界効果トランジスタ(M6)のゲートには出力電圧(Vout)が印加されており、前記第6の電界効果トランジスタ(M6)の第2の端子には第3の電圧が印加されており、且つ、前記第6の電界効果トランジスタ(M6)の第1の端子は前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の前記ゲートに電気的に接続されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
スイッチを形成する第2のタイプの第8の電界効果トランジスタ(M8)のゲートには第3の電圧が印加されており、前記第8の電界効果トランジスタ(M8)の第2の端子には出力電圧(Vout)が印加されており、且つ、前記第8の電界効果トランジスタ(M8)の第1の端子は前記第2の電界効果トランジスタ(M2)のゲートに電気的に接続されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の前記動作点は、前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の第2の端子が、スイッチを形成する第1のタイプの第12の電界効果トランジスタ(M12)の第1の端子に電気的に接続されており、前記第1の電界効果トランジスタ(M1)のバルク端子には前記第12の電界効果トランジスタ(M12)のバルク端子を介して前記第3の電圧が印加されており、且つ、前記第1の電界効果トランジスタ(M1)のゲートには入力電圧(Vin)が印加されていることによって調整されており、前記第12の電界効果トランジスタ(M12)の第2の端子には前記第3の電圧が印加されており、前記第12の電界効果トランジスタ(M12)のゲートは第1のインバータ(INV1)に電気的に接続されており、
前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の前記動作点は、前記第2の電界効果トランジスタ(M2)のゲートに前記第3の電圧が印加されていることによって調整されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の第1の端子及び前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の第1の端子と前記第3の電界効果トランジスタ(M3)のゲートとの間には、第2のインバータが電気的に接続されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のインバータ(INV1)は第1のタイプの第13の電界効果トランジスタ(M13)を有しており、前記第13の電界効果トランジスタ(M13)の第2の端子には前記第3の電圧が印加されており、前記第13の電界効果トランジスタ(M13)の第1の端子は第2のタイプの第14の電界効果トランジスタ(M14)の第1の端子及び前記第12の電界効果トランジスタ(M12)のゲートに接続されており、前記第13の電界効果トランジスタ(M13)のゲートは前記第14の電界効果トランジスタ(M14)のゲートに接続されており、前記第13の電界効果トランジスタ(M13)のゲートには前記出力電圧(Vout)が印加されており、前記入力電圧(Vin)は前記第14の電界効果トランジスタ(M14)の第2の端子に印加されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のインバータ(INV2)は第1のタイプの第15の電界効果トランジスタ(M15)を有しており、前記第15の電界効果トランジスタ(M15)の第2の端子には第3の電圧が印加されており、前記第15の電界効果トランジスタ(M15)の第1の端子は第2のタイプの第16の電界効果トランジスタ(M16)の第1の端子及び前記第3の電界効果トランジスタ(M3)の前記ゲートに電気的に接続されており、前記第15の電界効果トランジスタ(M15)のゲートは前記第16の電界効果トランジスタ(M16)のゲートに電気的に接続されており、且つ、前記第1の電界効果トランジスタ(M1)の第1の端子及び前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の第1の端子に電気的に接続されており、前記入力電圧(Vin)は前記第16の電界効果トランジスタ(M16)の第2の端子に印加されている、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記入力電圧(Vin)と前記第3の電圧との間には第4のキャパシタンス(C4)が電気的に接続されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
ダイオードを形成する第1のタイプの第9の電界効果トランジスタ(M9)のソースドレイン区間が、前記入力電圧(Vin)と第4の電圧(Vx)との間に電気的に接続されており、前記第9の電界効果トランジスタ(M9)のゲートは前記第9の電界効果トランジスタ(M9)の第1の端子に電気的に接続されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
スイッチを形成する第2のタイプの第10の電界効果トランジスタ(M10)のソースドレイン区間が、前記第9の電界効果トランジスタ(M9)の前記ソースドレイン区間に電気的に並列に接続されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
電子的な比較器を形成する第1の演算増幅器(OP1)においては、前記第4の電圧(Vx)が負の入力端に印加されており、且つ、前記入力電圧が正の入力端に印加されており、出力端が前記第10の電界効果トランジスタ(M10)のゲートに電気的に接続されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
スイッチを形成する第1のタイプの第11の電界効果トランジスタ(M11)のソースドレイン区間には、前記第4の電圧(Vx)及び前記第3の電圧が印加されている、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
電子的な比較器を形成する第2の演算増幅器(OP2)においては、前記第4の電圧(Vx)が負の入力端に印加されており、且つ、前記第3の電圧が正の入力端に印加されており、出力端が前記第11の電界効果トランジスタ(M11)のゲートに電気的に接続されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の演算増幅器(OP1)及び前記第2の演算増幅器(OP2)には、給電電圧として、それぞれ前記入力電圧(Vin)が印加されている、請求項13又は15に記載の装置。
【請求項17】
マイクロジェネレータが前記第3の電圧に関して前記第4の電圧(Vx)を供給し、且つ、前記出力電圧(Vout)を給電すべき負荷に印加している、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記第3の電圧はグランド電圧(V0)である、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の端子は電界効果トランジスタのドレインであり、且つ、前記第2の端子は電界効果トランジスタのソースである、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1のタイプは電界効果トランジスタのn型であり、且つ、前記第2のタイプは電界効果トランジスタのp型である、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記電界効果トランジスタは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタである、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記閾値を下回る前記入力電圧(Vin)を有している前記第3の電界効果トランジスタ(M3)の前記ソースドレイン区間、前記第5の電界効果トランジスタ(M5)の前記ソースドレイン区間、前記第6の電界効果トランジスタ(M6)の前記ソースドレイン区間及び前記第8の電界効果トランジスタ(M8)の前記ソースドレイン区間を阻止するステップであって、前記第2の電界効果トランジスタ(M2)のチャネルを流れる電流は前記第1の電界効果トランジスタ(M1)のチャネルを流れる電流よりも大きいステップ、又は、
前記閾値を上回る前記入力電圧(Vin)を有している前記第3の電界効果トランジスタの前記ソースドレイン区間(M3)、前記第5の電界効果トランジスタ(M5)の前記ソースドレイン区間、前記第6の電界効果トランジスタ(M6)の前記ソースドレイン区間及び前記第8の電界効果トランジスタ(M8)の前記ソースドレイン区間を導通させるステップであって、前記第1の電界効果トランジスタ(M1)のチャネルを流れる電流は、前記第2の電界効果トランジスタ(M2)のチャネルを流れる電流よりも大きいステップによって、請求項5に記載の装置をスイッチングする方法。
【請求項23】
前記閾値を下回る前記入力電圧(Vin)を有している前記第3の電界効果トランジスタ(M3)の前記ソースドレイン区間を阻止するステップであって、前記第1の電界効果トランジスタ(M1)のチャネルを流れる電流は前記第2の電界効果トランジスタ(M2)のチャネルを流れる電流よりも大きいステップ、又は、
前記閾値を上回る前記入力電圧(Vin)を有している前記第3の電界効果トランジスタ(M3)の前記ソースドレイン区間を導通させるステップであって、前記第2の電界効果トランジスタ(M2)のチャネルを流れる電流は、前記第1の電界効果トランジスタ(M1)のチャネルを流れる電流よりも大きいステップによって請求項9に記載の装置をスイッチングする方法。
【請求項24】
前記閾値を前記第1の電界効果トランジスタ(M1)及び前記第2の電界効果トランジスタ(M2)の縦横比によって調整する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記閾値を、前記第2のキャパシタンス(C2)に対する前記第1のキャパシタンス(C1)の比率、及び、前記第3のキャパシタンス(C3)によって調整する、請求項22又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の演算増幅器(OP1)は前記第4の電圧(Vx)の大きさを前記入力電圧(Vin)の大きさと比較し、前記第4の電圧(VX)が前記入力電圧(Vin)よりも高い場合には前記第10の電界効果トランジスタ(M10)を導通させる、請求項13に記載の装置をスイッチングする方法。
【請求項27】
前記第2の演算増幅器(OP2)は前記第4の電圧(Vx)の大きさを前記第3の電圧の大きさと比較し、前記第4の電圧(Vx)が前記第3の電圧よりも低い場合には前記第11の電界効果トランジスタ(M11)を導通させる、請求項15に記載の装置をスイッチングする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−501442(P2013−501442A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523259(P2012−523259)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059636
【国際公開番号】WO2011/015415
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】