特に機械的に作動せしめられる液体ポンプに使用するための流体用弁
本発明は、流体特に液体用の弁(32)であって、ハウジング(3,4)、このハウジング(3,4)内に支持される弾性弁膜(33)及びこの中に保持される弁体(34)、室(42,43,44)へ通じる流体用入口(26,37,38,39)、及びこの室(42,43,44)から出る出口(45)を有し、弁(32)の流体通路を閉じるため、弁体(34)が弾性素子(33)と接触可能であるものに関する。
このような弁において本発明によれば、弾性素子が弾性弁膜(33)であり、ストッパ(36,55)が、流体の圧力上昇の際弁膜の湾曲運動を限定するのに役立ち、その際ストッパが弾性素子(33)を弁体の方へ動かして、弁の流体通路を閉じる。
このような弁において本発明によれば、弾性素子が弾性弁膜(33)であり、ストッパ(36,55)が、流体の圧力上昇の際弁膜の湾曲運動を限定するのに役立ち、その際ストッパが弾性素子(33)を弁体の方へ動かして、弁の流体通路を閉じる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体特に液体用の弁であって、ハウジング、このハウジング内に支持される弾性弁膜及びこの中に保持される弁体、室へ通じる流体用入口、及びこの室から出る出口を有し、弁の流体通路を閉じるため、弁体が弾性素子と接触可能であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
弁は、なるべく機械的に作動せしめられる液体ポンプにおいて、特に医学的及び栄養生理学的液体や生物学及び実験室分野における液体のために設けられているような液体ポンプにおいて使用される。ガス特に実験室における実験の範囲内で供給されねばならないようなガスのために弁を使用することも考えられる。弁の主な使用分野は液体の供給の分野にある。
【0003】
液体の供給に関連して異なる形式の液体ポンプが使用される。非電気的に作動せしめられるポンプなるべく機械的に作動せしめられるポンプは、使用時間中に異なる圧力を発生するという欠点を持っている。これは、初期圧力が一般に最終圧力より高いことを意味している。流量制御は毛細管ホース又はガラス毛細管を介して行なわれる。毛細管によるこれらの解決策は、使用時間中に70%までの流量変動を生じる。これは耐容性の問題を持つ患者例えばアレルギー体質の人にとっては重大な問題である。なぜならば、大きすぎる計量割合は、死亡に至るまでの副作用及び不調和を生じるからである。
【0004】
液体のために使用される最初にあげた種類の弁は、欧州特許出願公開第1321156号明細書から公知である。そこではハウジングが室、この室に流れ接続されている液体用入口通路、及び室に流れ接続されている出口通路を持っている。室内には、室を通る液体の流れを制御する剛体の弁体が設けられている。弁体は、ハウジング内で取り巻く縁の範囲で締付けられる弁膜に結合され、それにより弁体が弁膜の運動に応じて動かされる。入口通路に対して同心的に、ハウジングが環状の弾性素子を持っている。入口通路を閉鎖するため、弁体は弾性素子の方へ可動である。この弁及び出口通路に付属する流量限定器の寸法設定のため、ハウジングから流出する際液体が受ける抵抗は、弁へ流入する液体が受ける抵抗より大きい。ハウジングへ液体が流入する際、液体で満たされる室内に静圧が生じて、弁体及び弁膜に作用する。弁体の間隔突起が弾性素子へ圧力なしに当接すると、弾性素子を貫通する液体通路が閉鎖されず、液体は入口通路から室内へ、またそこから出口通路へ流れることができる。弾性素子の弾性のため、これに作用する力によって、室内に存在する液体の圧力変化の際、弁膜が室内部から少し離れるように湾曲せしめられ、弁体がこの方向に動かされ、弁体の間隔突起が弾性素子へ押込まれる。これにより密封面の間の間隙が減少する。弁を通る体積流はそれにより少なくなる。充分大きい力では弁体が間隙を閉じるので、入口通路にある液体はもはや室内へ進入できない。これにより室内の圧力が低下する。圧力低下の際、撓んだ弁膜の戻し力により、弁体が弾性素子から離され、それにより密封面の間に間隙が再び形成される。従ってこの弁は、圧力低減器のように、生じる入力圧力に応じて動作する。この弁によっては、圧力を充分一定に制御することは不充分にしか可能でない。
【0005】
米国特許第5,616,127号明細書には、薬用液体を患者へ供給する装置が記載されている。この装置は液状薬剤の流量を制御する弁を持っている。この弁は、円錐状弁座を持つケースと、これに対して移動可能で同様に円錐状弁座を持つ弁体を持っている。弁体は、ベローのような弾性中間部材を介して弁ケースに結合されている。ベローにより包囲される空間は、出口通路を備えて室を形成している。入口通路は弁ケースを通って導かれている。室内の圧力が上昇すると、ベローが広がり、それにより弁体が弁ケースの通過断面を減少し、最大圧力では弁ケースの入口通路が弁体により閉鎖される。弁に圧力がないと、ベローの戻し力のため、弁体がケースの別の弁座の方へ向かされ、この状態においても弁の流通を遮断する。
【0006】
米国特許第4,852,605号明細書から公知の弁では、弁ケースが、円錐として形成される弁体と共同作用する弁座を持っている。この円錐は、弁膜内に支持されている支持体に保持されている。ケースの入口通路に高まる圧力が印加されると、円錐が弁座から離れる。圧力の高さに応じて、入口通路からの液体用の大きいか又は小さい出口断面が生じる。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4436540号明細書には、圧力を受けて液状薬剤を連続的に放出する注入装置が記載されている。そこではピストンが平衡状態にある。薬剤放出装置を介して大きすぎる体積流が流れると、これによりピストンが移動し、ピストンの移動行程に応じて薬剤用入口通路の大きいか又は小さい絞りが行われる。
【0008】
米国特許第3,511,472号明細書から、弁ケースの弁座を閉鎖する弾性弁膜を持つ弁が記載されている。弁の流通断面は、弁体を保持する調節可能なねじにより連続的に制御される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、液体流の充分な一定保持従って狭い公差範囲内での液体流の一定保持が保証されるように、最初にあげた種類の弁を発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最初にあげた種類の弁においてこの課題は、弾性素子が弾性弁膜であり、ストッパが、流体の圧力上昇の際弁膜の湾曲運動を限定するのに役立ち、その際ストッパが弾性素子を弁体の方へ動かして、弁の流体通路を閉じることによって解決される。
【0011】
本発明による弁において、弁に生じる入力圧力がどんな大きさであるかに関係なく、液体流を実質的に一定に制御できる、という特別な利点がある。これは次のことにより可能である。即ち出口に生じる圧力が、適当な大きさに形成される作用面を介して、弁膜をその初期状態から湾曲させ、その結果弁膜がストッパの方へ動かされ、これにより変形して弁体の閉鎖をひき起こすからである。入口範囲における圧力より当然低いけれども比較的高い出口範囲の圧力が、流量限定器によって保証される。
【0012】
構造的に有利に形成される弁の実施形態では、入口が弁膜及び弁体を通って室へ導かれている。特に互いに接続される通路が重要である。
【0013】
弁膜及び弁体は特に別個の部材である。弁体は特に弁芯として構成されている。これは、この部材が弁の中心範囲に設けられ、特に弁膜内に保持されていることを表している。弁体はなるべく剛体の部材である。弁体は弁膜内に保持されて、弁体の運動方向において弁膜に対して動かされず、弁膜に対して横方向にも動かされず、特に回されないようにしている。これによりあらゆる作動状態において、入口通路が弁膜及び弁体と一直線をなし、更に特に弁体が弁膜により閉鎖される範囲において弁膜に対する弁体の所定の位置が保証されるようにすることができる。弁膜が、取り巻く縁の範囲をハウジングの2つの部分の間に保持され、特に締付けて保持されていると、好都合である。この場合弁膜の縁範囲から始まって、そのつど生じる流体圧力の影響で弁膜を充分湾曲させることが可能である。弁膜が断面を不整形に形成され、弁膜の中心範囲が弁体の受入れ部として役立つのがよい。この中心範囲は特に鉢状に構成されている。
【0014】
弁膜の特別な構成が好都合なように考慮されている。それに応じて弁閉鎖素子が弁膜の構成部分である。ストッパが閉鎖素子を弁体の方へ動かして、弁の流体出口を閉じる。
【0015】
弁の出口は種々のやり方で構成することができる。出口を室からハウジングへ導き、そこから通路を経てハウジングと接続される出口導管へ導くことが考えられる。変更された構成では、入口通路を弁膜に通して導くことに応じて、弁膜を通して導かれる出口を設けることもできる。
【0016】
弁膜が半径方向入口通路を持ち、弁体がこの入口通路に続く半径方向入口通路を持ち、後者の入口通路が、弁膜により閉鎖可能な弁体の軸線方向入口通路に通じていると、弁が弁膜及び弁体の範囲で構造的に特に簡単に構成される。弁体と弁膜との間に、室から出る出口通路が形成されていると好都合である。
【0017】
本発明の特別な実施形態によれば、ストッパが、調節可能なストッパとして構成され特にハウジングへねじ込まれる調節ねじとして構成されている。ねじが弁膜の調節行程を大きくするほど、弁の二次圧力はそれだけ大きくなる。
【0018】
本発明による弁によって、最大圧力に対して流体の流量の制御が行われる。この場合弁膜はなるべく制御すべき圧力に合わせて設計されている。これは、弾性弁膜により制御を行うことができることを意味する。本発明の展開によれば、弁膜を弁の開放位置へ戻すばねが設けられている。このばねは弁膜の戻し運動を援助する。
【0019】
ばねが、なるべくハウジング及び弁膜に支持される圧縮ばねとして構成され、特に弁膜がハウジング側ストッパの方へ戻し可能である。このストッパは弁膜の戻り運動を限定する。
【0020】
弁の出口が流量限定器を持っているのがよい。従って流量限定器は弁の構成部分を形成する。
【0021】
本発明のそれ以外の特徴は従属請求項、図の説明及び図自体に示されており、すべての個別の特徴及び個別の特徴のすべての組合せが本発明にとって重要であることを注記しておく。
【0022】
図には本発明が弁を備えかつ機械的に作動せしめられる液体ポンプについて説明されるが、本発明はこれには限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示されて機械的に作動せしめられる液体ポンプ1は、特に医学的又は栄養生理学的液体の投与特に液状薬剤の投与に用いられる。
【0024】
ポンプ1は、複数部分即ち中間部3、これと共同作用する上部4及び下部5、上部と共同作用する上殻6、及び下部5と共同作用する下殻7により形成されるハウジング2を持っている。
【0025】
中間部3は、その上側に、中間部3の自由縁の方へ開いた半円形断面の凹所8を備え、上部4は対応する縁範囲でその下側に同じ半円形凹所9を備えている。中間部3に上部4が結合されると、両方の凹所8及び9が中核11の円錐状に広がる端部範囲10を受入れる円形断面を形成する。中核11は、その端部範囲10を除いて一定の外径を持っている。中核11のこの円筒状部分は符号12で示されている。中核11をその縦中心軸線に沿って通路13(図2参照)が貫通し、この通路13から半径方向に中核11を通って延びる複数の通路14が、円筒状部分12の範囲で分岐している(図6)。中核11の外周の範囲において、半径方向通路14が中核11の環状溝15に通じている。
【0026】
中核11と共同作用する弾性素子は、シリコーンから成る気球16として構成されている。この気球は射出成形法で製造されている。気球は、中核11の端部範囲10に応じて、円錐状に広がって開口17aを有する端部範囲17と、中核11の部分12の外側形状に一致する部分18とを持ち、この部分18は、端部範囲17とは反対側にあって気球に規定されて閉じている端部範囲19へ通じている。
【0027】
中核11及び気球16の寸法は、図2からわかるように、中核11上にはめられる気球が中核11に完全に当接し、従って気球の端部範囲17が中核の端部範囲10に接触し、気球16の部分18が中核11の部分12に接触し、最後に気球16の端部範囲19が中核11の自由端面に当接するように、設定されている。中核11に関して気球16の寸法は、気球16が比較的僅かな初応力で従って応力を除かれた状態で中核11に当接するように、選ばれている。
【0028】
気球16の端部範囲17を中核11の端部範囲10に取付けるため、気球16の端部範囲17の外側にはめられる締付け環20が設けられている。こうして得られる形成物が締付け環20を中間部3の凹所8へ挿入され、続いて上部4が中間部3と結合され、それにより締付け環20従って中核11及び気球16が、中間部3及び上部4の凹所8及び9内に固定的に保持される。凹所8及び9は、締付け環20の確実な保持を保証するため、中間部3及び上部4のそれぞれの自由縁から離れる方向に広がる締付け環20用円錐状受入れ部を持っている。
【0029】
中間部3、上部4及び下部5はポンプ1の別の機能素子の受入れに役立つ。
【0030】
上部4にはルエルロック(LuerLock)弁21が接続されて、上部4にある開口22を貫通し、以下図2の関連する説明からわかるように、ルエルロック弁ケース23とルエル弁芯24を持っている。通路25を介してルエルロック弁21が、上部4と中間部3との間に形成されて中核11を貫通する通路13と接続されている通路26に接続されている。
【0031】
ルエルロック弁21及び通路25,26を通って、ポンプが液体を充填される。図2に示す充填されない状態から始まって、液体の増大する供給と共に、締付け環20により締付けられていない範囲において気球16が伸び、完全な充填の際図3に示す最終形状をとる。液体の占める空間は、そこに符号27で示されている。図2,3及び6〜12からわかるように、気球16は、液体を充填する際中核11に当接する初期状態から始まって、その形状を中核の縦方向及びその横方向即ち第1の横方向及びこれに対して直角な第2の横方向に変化する。
【0032】
上部4及び下部5は、断面をほぼ腎臓状に形成されるフード29の受入れに役立つ係止突起28を備えている。このフード29は、図9からわかるように、高さ方向より著しく大きい幅方向に延びている。幅対高さ比は例えば2:1である。フード29の長さ対高さ比は、例えば図2からわかるように約2.5:1である。フード29はなるべく分離不可能にハウジング2にクリップ止めされている。気球16が液体を完全に充填されると、この気球はフード29の内部空間のできるだけ多くを占める。
【0033】
このため中核11に当接する気球16について図11からわかるように、気球16は、中核11の縦軸線に対して直角な第1の伸び方向Xにおいて比較的厚い壁部分30を持ち、中核11の縦軸線に対して直角でかつ第1の伸び方向Xに対して直角な第2の伸び方向Yにおいて比較的薄い壁部分31を持っている。その結果気球16は、その空間27へ液体を入れる際、優先的に伸び方向Xに伸びようとし、それにより図9に示すように伸びた長円形の断面形状が生じる。全体としてポンプ1は、体に好都合に保持される扁平な機能部分として現われ、気球16は、液体を充填された状態で、ポンプ1の外側輪郭に合わされた同様に扁平な形状をとる。
【0034】
通路26及び13は、ルエルロック弁21から気球16への液体の供給に役立つだけでなく、気球16の内部から患者への液体の放出にも役立つ。即ち通路26は、通路25の入口個所を越えて、中間部3及び上部4に支持されて気球16から放出される液体の体積流を限定する弁32の所へ延長されている。この弁32は、縁側を中間部3と上部4との間に保持される弾性弁膜33、この弁膜と共同作用する弁体34、弁膜33及び上部4に支持される圧縮ばね35、及び上部4の雌ねじ内に支持されて弁膜33と作用結合可能な調節ねじ36により形成されている。
【0035】
図13の詳細図からわかるように、通路26は半径方向に伸びる弁膜33の通路37へ通じ、そこから弁体34の軸線方向通路39へ通じる弁体34の半径方向通路38へ通じている。この軸線方向通路39は、弁膜33の厚くされた部分40に面する端部の範囲で開くように構成されている。弁閉鎖素子の機能を持つ部分40の通路39とは反対の側には、調節ねじ36として構成されるストッパが設けられている。基本的にこのストッパは固定的であってもよい。弁膜33の突起41の間で、弁体34が弁膜33に対して軸線方向に移動しないように保持され、更に弁膜に対して回らないように保持されている。
【0036】
弁32は、高すぎる圧力がかかると、体積流を遮断するのに役立つ。この弁には2つの分離した室42及び43が形成され、弁体34を貫通して通路39に対して平行に設けられる通路44を介してこれらの室42,43が互いに接続されている。流れ方向において入口従って通路26の方にある室42は遮断室として役立つ。室43は流れ方向において出口45の方にある。弁32を通って放出される液体を濾過するため、フィルタ46が設けられて、中間部3と下部5との間に締付けられている。室43及び出口45から出て液体は、出口45と流れ接続される通路47(図5)へ達し、そこから中間部3と下部5との間に保持されるルエルロック接続部48へ達する。このルエルロック接続部48に、患者へ至るホース50を備えたルエルロックコネクタ49が接続可能である。
【0037】
図5からわかるように、通路47へガラス毛細管53が挿入されている。この毛細管53は流量限定器であって、ポンプから通路を通って出る体積流を限定することができる。なぜならば、流量限定器は入口にある通路47より小さい断面を持っているからである。異なる流量限定器の選択により、入口にかかる圧力が特定の値を下回らない限り、種々の一定な流量の設定が可能である。基本的に入口流通断面が出口の流通断面より大きいように考慮されている。もちろんガラス毛細管とは異なるように流量限定器を構成することができる。弁の後でポンプの出口に、例えば流量を限定する蛇行チップを設けることも考えられる。
【0038】
気球16の空間27を弁32に接続する通路の上述した直径及び弁32の後に設けられて流量限定器53を持つ通路の直径のため、流量限定器53を持つ通路47がハウジング2からの液体の流出に及ぼす抵抗は、弁32へ流入する際液体に及ぼされる抵抗より大きい。
【0039】
初期状態で弁膜33は図13に示す位置にあり、この位置で弁膜33は、圧縮ばね35の作用を必要とすることなく、中間部3に充分当接している。弁膜33の部分40に対する弁体34の位置のため、部分40と弁体34の環状突起54との間に僅かな間隙が存在する。この突起54は通路39を包囲している。従って液体は中核11の通路13及びそれに続くハウジング側通路26を経て弁膜33の通路37へ流れ、そこから弁体34の通路38及び39へ流れる。弁体34の通路39から液体は、突起54と弁膜33の部分40との間に形成される間隙を通って、そこにある室42へ流入し、室42から通路44を経て室43へ流れ、フィルタ46を通過し、出口45を経て流量限定器53を持つ通路47へ達する。流量限定器53のためポンプから大きい体積流が流出することなしに、入口従って通路39にも一層高い流体圧力が現れると、それにより中間部3と上部4との間の縁範囲に締付けられている弁膜33が、中心範囲でストッパ機能を持つ調節ねじ36の方へ、圧縮ばね35の力に抗して変形する。弁膜33の部分40がこの部分40に近い方にある調節ねじ36の突起55へ達すると、それにより、部分40がそこで調節ねじ36に接触し、弁膜33は更に上方へ上殻の方へ動くことができないので、部分40は弁体34の突起54へ押付けられ、それにより通路39を通る流れを遮断する。流量限定器53を通って液体が流出する際、室43の圧力が低下するので、弁膜33はその固有弾性のため再び図13に示すその初期位置の方へ再び戻り、それにより部分40は調節ねじ36と接触しなくなり、突起54と部分40との間の流通間隙が再び開かれる。気球16内に存在する圧力に関して、この状態が、図13に示す初期位置へ弁膜33の到達する際初めて、又はそれより早く従って弁膜33のまだ撓んでいる場合に、起こることができる。調節ねじ36が弁膜33の調節行程を大きく可能にするほど、弁内の二次圧力がそれだけ大きくなる。基本的に圧縮ばね35を設けることは必要でない。それは、ポンプ1により一層高い圧力を制御せねばならず、従って弁膜33の弾性戻り特性がこの弁膜を図13の初期位置へ移行させるのに十分でない場合に、有利である。
【0040】
従って弁32より、液体の体積流が気球16内の圧力に関係して限定され、流量限定器53を介して液体体積流が充分一定に保たれる。弾性素子から放出される液体体積流を充分一定に保持する装置、又は弾性素子から放出される液体体積流を限定する装置のみが設けられているように、液体ポンプを変更することもできるであろう。
【0041】
機械的に作動せしめられる液体ポンプを使用する前に、液体がルエルロック弁21を通して供給され、それにより液体が気球16内へ達し、気球の充填状態が、透明なフード29を通して、フードの横方向に設けられている標識51により読み取られ、この標識が気球の充填に応じてこの気球の横方向伸びの基準となる。ポンプ1の充填とホース50を介して患者へのポンプの接続後、広げられる気球16の弾性初応力の作用で、液体が弁32を経てポンプから放出され、しかも気球が残りなく空にされて中核11に当接するまで放出される。
【0042】
上述した液体ポンプの特に簡単な構成により、このポンプは多様な使用可能性を与える。使用者は、どこでも直ちに長い始動時間なしにポンプを使用することができる。液体ポンプは使用者により持ち運び可能であり、病院外のすべての普通の生活領域及び病院内で静的にも使用可能である。ポンプは殺菌して使用可能であり、最小の取扱い費用を保証する。ポンプは、少数の部品の簡単な構造のため安価に製造可能である。これは、ポンプを特に財政上弱体な移動市場で使用できるための前提条件である。ポンプの少ない重量は事故、緊急医療、病院及び大災害の分野における使用を可能にする。ポンプの機能素子は個々に又は全部交換可能である。ポンプは、例えば1時間当たり2.5mlの流量のため25mlの収容能力従って10時間の作動時間を持つ気球において、短いか又は長い供給時間に適している。異なる容積例えば10ml,50ml,100ml又は150mlを持つ別の気球を使用することもできる。作動時間は著しく長く例えば24時間であってもよい。1時間当たり1000ml以上の流量も考えられるけれども、1時間当たり0.5〜10mlの流量が好ましい使用範囲とみなされる。
【0043】
実施例によれば、薬液用貯蔵容器及び圧力溜めとして射出成形により製造される気球が説明される。気球は、扁平なハウジング空間を満たしかつ圧力ピークを回避するため、所定の断面及び伸び輪郭を持っている。気球は、戻し力を高めるため、1つ又は複数部分から成る中核を介して半径方向及び/又は軸線方向に初応力をかけられている。気球は、一端で中核を介して締付け環により固定的にはまり合いで気密に閉鎖される。気球は、充填又は排出中に軸線方向及び半径方向に自由に可動であり、その際弾性変形可能でフード内を摩擦なしに動くことができる。
【0044】
ポンプ1は更にボーラス溜めを備えることができる。図1にはこのようなボーラス溜めが符号52で示されている。必要な場合ポンプを改造することができる。
【0045】
図14は、前述した機械的に作動せしめられる液体ポンプの作用原理を、物理量を記載して示している。鎖線でポンプの輪郭を示している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】 本発明により機械的に作動せしめられる液体ポンプの分解図を示す。
【図2】 図1に示すポンプの垂直縦断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図3】 図2による断面図を気球が液体を充填された状態で示す。
【図4】 図1に示すポンプの垂直断面図をポンプの縦中心軸線から離れた所でポンプの弁の範囲において示す。
【図5】 図1に示すポンプをその弁の範囲で横断した断面図で示す。
【図6】 図1に示すポンプの水平縦断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図7】 図6による断面図を気球が液体を満たされた状態で示す。
【図8】 ポンプを中核の支持範囲で横断した断面図を示す。
【図9】 中核の支持されない部分及び液体を満たされた気球の範囲で横断したポンプの断面図を示す。
【図10】 中核、気球及び気球と中核を結合する締付け環の拡大断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図11】 中心の縦軸線に対して直角に中核及び気球を横断した断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図12】 気球の断面形状が変わっている図11の断面図を示す。
【図13】 図4に示す弁の拡大断面図を示す。
【図14】 機械的に作動せしめられる液体ポンプの作用原理を物理量と共に示す図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体特に液体用の弁であって、ハウジング、このハウジング内に支持される弾性弁膜及びこの中に保持される弁体、室へ通じる流体用入口、及びこの室から出る出口を有し、弁の流体通路を閉じるため、弁体が弾性素子と接触可能であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
弁は、なるべく機械的に作動せしめられる液体ポンプにおいて、特に医学的及び栄養生理学的液体や生物学及び実験室分野における液体のために設けられているような液体ポンプにおいて使用される。ガス特に実験室における実験の範囲内で供給されねばならないようなガスのために弁を使用することも考えられる。弁の主な使用分野は液体の供給の分野にある。
【0003】
液体の供給に関連して異なる形式の液体ポンプが使用される。非電気的に作動せしめられるポンプなるべく機械的に作動せしめられるポンプは、使用時間中に異なる圧力を発生するという欠点を持っている。これは、初期圧力が一般に最終圧力より高いことを意味している。流量制御は毛細管ホース又はガラス毛細管を介して行なわれる。毛細管によるこれらの解決策は、使用時間中に70%までの流量変動を生じる。これは耐容性の問題を持つ患者例えばアレルギー体質の人にとっては重大な問題である。なぜならば、大きすぎる計量割合は、死亡に至るまでの副作用及び不調和を生じるからである。
【0004】
液体のために使用される最初にあげた種類の弁は、欧州特許出願公開第1321156号明細書から公知である。そこではハウジングが室、この室に流れ接続されている液体用入口通路、及び室に流れ接続されている出口通路を持っている。室内には、室を通る液体の流れを制御する剛体の弁体が設けられている。弁体は、ハウジング内で取り巻く縁の範囲で締付けられる弁膜に結合され、それにより弁体が弁膜の運動に応じて動かされる。入口通路に対して同心的に、ハウジングが環状の弾性素子を持っている。入口通路を閉鎖するため、弁体は弾性素子の方へ可動である。この弁及び出口通路に付属する流量限定器の寸法設定のため、ハウジングから流出する際液体が受ける抵抗は、弁へ流入する液体が受ける抵抗より大きい。ハウジングへ液体が流入する際、液体で満たされる室内に静圧が生じて、弁体及び弁膜に作用する。弁体の間隔突起が弾性素子へ圧力なしに当接すると、弾性素子を貫通する液体通路が閉鎖されず、液体は入口通路から室内へ、またそこから出口通路へ流れることができる。弾性素子の弾性のため、これに作用する力によって、室内に存在する液体の圧力変化の際、弁膜が室内部から少し離れるように湾曲せしめられ、弁体がこの方向に動かされ、弁体の間隔突起が弾性素子へ押込まれる。これにより密封面の間の間隙が減少する。弁を通る体積流はそれにより少なくなる。充分大きい力では弁体が間隙を閉じるので、入口通路にある液体はもはや室内へ進入できない。これにより室内の圧力が低下する。圧力低下の際、撓んだ弁膜の戻し力により、弁体が弾性素子から離され、それにより密封面の間に間隙が再び形成される。従ってこの弁は、圧力低減器のように、生じる入力圧力に応じて動作する。この弁によっては、圧力を充分一定に制御することは不充分にしか可能でない。
【0005】
米国特許第5,616,127号明細書には、薬用液体を患者へ供給する装置が記載されている。この装置は液状薬剤の流量を制御する弁を持っている。この弁は、円錐状弁座を持つケースと、これに対して移動可能で同様に円錐状弁座を持つ弁体を持っている。弁体は、ベローのような弾性中間部材を介して弁ケースに結合されている。ベローにより包囲される空間は、出口通路を備えて室を形成している。入口通路は弁ケースを通って導かれている。室内の圧力が上昇すると、ベローが広がり、それにより弁体が弁ケースの通過断面を減少し、最大圧力では弁ケースの入口通路が弁体により閉鎖される。弁に圧力がないと、ベローの戻し力のため、弁体がケースの別の弁座の方へ向かされ、この状態においても弁の流通を遮断する。
【0006】
米国特許第4,852,605号明細書から公知の弁では、弁ケースが、円錐として形成される弁体と共同作用する弁座を持っている。この円錐は、弁膜内に支持されている支持体に保持されている。ケースの入口通路に高まる圧力が印加されると、円錐が弁座から離れる。圧力の高さに応じて、入口通路からの液体用の大きいか又は小さい出口断面が生じる。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4436540号明細書には、圧力を受けて液状薬剤を連続的に放出する注入装置が記載されている。そこではピストンが平衡状態にある。薬剤放出装置を介して大きすぎる体積流が流れると、これによりピストンが移動し、ピストンの移動行程に応じて薬剤用入口通路の大きいか又は小さい絞りが行われる。
【0008】
米国特許第3,511,472号明細書から、弁ケースの弁座を閉鎖する弾性弁膜を持つ弁が記載されている。弁の流通断面は、弁体を保持する調節可能なねじにより連続的に制御される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、液体流の充分な一定保持従って狭い公差範囲内での液体流の一定保持が保証されるように、最初にあげた種類の弁を発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最初にあげた種類の弁においてこの課題は、弾性素子が弾性弁膜であり、ストッパが、流体の圧力上昇の際弁膜の湾曲運動を限定するのに役立ち、その際ストッパが弾性素子を弁体の方へ動かして、弁の流体通路を閉じることによって解決される。
【0011】
本発明による弁において、弁に生じる入力圧力がどんな大きさであるかに関係なく、液体流を実質的に一定に制御できる、という特別な利点がある。これは次のことにより可能である。即ち出口に生じる圧力が、適当な大きさに形成される作用面を介して、弁膜をその初期状態から湾曲させ、その結果弁膜がストッパの方へ動かされ、これにより変形して弁体の閉鎖をひき起こすからである。入口範囲における圧力より当然低いけれども比較的高い出口範囲の圧力が、流量限定器によって保証される。
【0012】
構造的に有利に形成される弁の実施形態では、入口が弁膜及び弁体を通って室へ導かれている。特に互いに接続される通路が重要である。
【0013】
弁膜及び弁体は特に別個の部材である。弁体は特に弁芯として構成されている。これは、この部材が弁の中心範囲に設けられ、特に弁膜内に保持されていることを表している。弁体はなるべく剛体の部材である。弁体は弁膜内に保持されて、弁体の運動方向において弁膜に対して動かされず、弁膜に対して横方向にも動かされず、特に回されないようにしている。これによりあらゆる作動状態において、入口通路が弁膜及び弁体と一直線をなし、更に特に弁体が弁膜により閉鎖される範囲において弁膜に対する弁体の所定の位置が保証されるようにすることができる。弁膜が、取り巻く縁の範囲をハウジングの2つの部分の間に保持され、特に締付けて保持されていると、好都合である。この場合弁膜の縁範囲から始まって、そのつど生じる流体圧力の影響で弁膜を充分湾曲させることが可能である。弁膜が断面を不整形に形成され、弁膜の中心範囲が弁体の受入れ部として役立つのがよい。この中心範囲は特に鉢状に構成されている。
【0014】
弁膜の特別な構成が好都合なように考慮されている。それに応じて弁閉鎖素子が弁膜の構成部分である。ストッパが閉鎖素子を弁体の方へ動かして、弁の流体出口を閉じる。
【0015】
弁の出口は種々のやり方で構成することができる。出口を室からハウジングへ導き、そこから通路を経てハウジングと接続される出口導管へ導くことが考えられる。変更された構成では、入口通路を弁膜に通して導くことに応じて、弁膜を通して導かれる出口を設けることもできる。
【0016】
弁膜が半径方向入口通路を持ち、弁体がこの入口通路に続く半径方向入口通路を持ち、後者の入口通路が、弁膜により閉鎖可能な弁体の軸線方向入口通路に通じていると、弁が弁膜及び弁体の範囲で構造的に特に簡単に構成される。弁体と弁膜との間に、室から出る出口通路が形成されていると好都合である。
【0017】
本発明の特別な実施形態によれば、ストッパが、調節可能なストッパとして構成され特にハウジングへねじ込まれる調節ねじとして構成されている。ねじが弁膜の調節行程を大きくするほど、弁の二次圧力はそれだけ大きくなる。
【0018】
本発明による弁によって、最大圧力に対して流体の流量の制御が行われる。この場合弁膜はなるべく制御すべき圧力に合わせて設計されている。これは、弾性弁膜により制御を行うことができることを意味する。本発明の展開によれば、弁膜を弁の開放位置へ戻すばねが設けられている。このばねは弁膜の戻し運動を援助する。
【0019】
ばねが、なるべくハウジング及び弁膜に支持される圧縮ばねとして構成され、特に弁膜がハウジング側ストッパの方へ戻し可能である。このストッパは弁膜の戻り運動を限定する。
【0020】
弁の出口が流量限定器を持っているのがよい。従って流量限定器は弁の構成部分を形成する。
【0021】
本発明のそれ以外の特徴は従属請求項、図の説明及び図自体に示されており、すべての個別の特徴及び個別の特徴のすべての組合せが本発明にとって重要であることを注記しておく。
【0022】
図には本発明が弁を備えかつ機械的に作動せしめられる液体ポンプについて説明されるが、本発明はこれには限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示されて機械的に作動せしめられる液体ポンプ1は、特に医学的又は栄養生理学的液体の投与特に液状薬剤の投与に用いられる。
【0024】
ポンプ1は、複数部分即ち中間部3、これと共同作用する上部4及び下部5、上部と共同作用する上殻6、及び下部5と共同作用する下殻7により形成されるハウジング2を持っている。
【0025】
中間部3は、その上側に、中間部3の自由縁の方へ開いた半円形断面の凹所8を備え、上部4は対応する縁範囲でその下側に同じ半円形凹所9を備えている。中間部3に上部4が結合されると、両方の凹所8及び9が中核11の円錐状に広がる端部範囲10を受入れる円形断面を形成する。中核11は、その端部範囲10を除いて一定の外径を持っている。中核11のこの円筒状部分は符号12で示されている。中核11をその縦中心軸線に沿って通路13(図2参照)が貫通し、この通路13から半径方向に中核11を通って延びる複数の通路14が、円筒状部分12の範囲で分岐している(図6)。中核11の外周の範囲において、半径方向通路14が中核11の環状溝15に通じている。
【0026】
中核11と共同作用する弾性素子は、シリコーンから成る気球16として構成されている。この気球は射出成形法で製造されている。気球は、中核11の端部範囲10に応じて、円錐状に広がって開口17aを有する端部範囲17と、中核11の部分12の外側形状に一致する部分18とを持ち、この部分18は、端部範囲17とは反対側にあって気球に規定されて閉じている端部範囲19へ通じている。
【0027】
中核11及び気球16の寸法は、図2からわかるように、中核11上にはめられる気球が中核11に完全に当接し、従って気球の端部範囲17が中核の端部範囲10に接触し、気球16の部分18が中核11の部分12に接触し、最後に気球16の端部範囲19が中核11の自由端面に当接するように、設定されている。中核11に関して気球16の寸法は、気球16が比較的僅かな初応力で従って応力を除かれた状態で中核11に当接するように、選ばれている。
【0028】
気球16の端部範囲17を中核11の端部範囲10に取付けるため、気球16の端部範囲17の外側にはめられる締付け環20が設けられている。こうして得られる形成物が締付け環20を中間部3の凹所8へ挿入され、続いて上部4が中間部3と結合され、それにより締付け環20従って中核11及び気球16が、中間部3及び上部4の凹所8及び9内に固定的に保持される。凹所8及び9は、締付け環20の確実な保持を保証するため、中間部3及び上部4のそれぞれの自由縁から離れる方向に広がる締付け環20用円錐状受入れ部を持っている。
【0029】
中間部3、上部4及び下部5はポンプ1の別の機能素子の受入れに役立つ。
【0030】
上部4にはルエルロック(LuerLock)弁21が接続されて、上部4にある開口22を貫通し、以下図2の関連する説明からわかるように、ルエルロック弁ケース23とルエル弁芯24を持っている。通路25を介してルエルロック弁21が、上部4と中間部3との間に形成されて中核11を貫通する通路13と接続されている通路26に接続されている。
【0031】
ルエルロック弁21及び通路25,26を通って、ポンプが液体を充填される。図2に示す充填されない状態から始まって、液体の増大する供給と共に、締付け環20により締付けられていない範囲において気球16が伸び、完全な充填の際図3に示す最終形状をとる。液体の占める空間は、そこに符号27で示されている。図2,3及び6〜12からわかるように、気球16は、液体を充填する際中核11に当接する初期状態から始まって、その形状を中核の縦方向及びその横方向即ち第1の横方向及びこれに対して直角な第2の横方向に変化する。
【0032】
上部4及び下部5は、断面をほぼ腎臓状に形成されるフード29の受入れに役立つ係止突起28を備えている。このフード29は、図9からわかるように、高さ方向より著しく大きい幅方向に延びている。幅対高さ比は例えば2:1である。フード29の長さ対高さ比は、例えば図2からわかるように約2.5:1である。フード29はなるべく分離不可能にハウジング2にクリップ止めされている。気球16が液体を完全に充填されると、この気球はフード29の内部空間のできるだけ多くを占める。
【0033】
このため中核11に当接する気球16について図11からわかるように、気球16は、中核11の縦軸線に対して直角な第1の伸び方向Xにおいて比較的厚い壁部分30を持ち、中核11の縦軸線に対して直角でかつ第1の伸び方向Xに対して直角な第2の伸び方向Yにおいて比較的薄い壁部分31を持っている。その結果気球16は、その空間27へ液体を入れる際、優先的に伸び方向Xに伸びようとし、それにより図9に示すように伸びた長円形の断面形状が生じる。全体としてポンプ1は、体に好都合に保持される扁平な機能部分として現われ、気球16は、液体を充填された状態で、ポンプ1の外側輪郭に合わされた同様に扁平な形状をとる。
【0034】
通路26及び13は、ルエルロック弁21から気球16への液体の供給に役立つだけでなく、気球16の内部から患者への液体の放出にも役立つ。即ち通路26は、通路25の入口個所を越えて、中間部3及び上部4に支持されて気球16から放出される液体の体積流を限定する弁32の所へ延長されている。この弁32は、縁側を中間部3と上部4との間に保持される弾性弁膜33、この弁膜と共同作用する弁体34、弁膜33及び上部4に支持される圧縮ばね35、及び上部4の雌ねじ内に支持されて弁膜33と作用結合可能な調節ねじ36により形成されている。
【0035】
図13の詳細図からわかるように、通路26は半径方向に伸びる弁膜33の通路37へ通じ、そこから弁体34の軸線方向通路39へ通じる弁体34の半径方向通路38へ通じている。この軸線方向通路39は、弁膜33の厚くされた部分40に面する端部の範囲で開くように構成されている。弁閉鎖素子の機能を持つ部分40の通路39とは反対の側には、調節ねじ36として構成されるストッパが設けられている。基本的にこのストッパは固定的であってもよい。弁膜33の突起41の間で、弁体34が弁膜33に対して軸線方向に移動しないように保持され、更に弁膜に対して回らないように保持されている。
【0036】
弁32は、高すぎる圧力がかかると、体積流を遮断するのに役立つ。この弁には2つの分離した室42及び43が形成され、弁体34を貫通して通路39に対して平行に設けられる通路44を介してこれらの室42,43が互いに接続されている。流れ方向において入口従って通路26の方にある室42は遮断室として役立つ。室43は流れ方向において出口45の方にある。弁32を通って放出される液体を濾過するため、フィルタ46が設けられて、中間部3と下部5との間に締付けられている。室43及び出口45から出て液体は、出口45と流れ接続される通路47(図5)へ達し、そこから中間部3と下部5との間に保持されるルエルロック接続部48へ達する。このルエルロック接続部48に、患者へ至るホース50を備えたルエルロックコネクタ49が接続可能である。
【0037】
図5からわかるように、通路47へガラス毛細管53が挿入されている。この毛細管53は流量限定器であって、ポンプから通路を通って出る体積流を限定することができる。なぜならば、流量限定器は入口にある通路47より小さい断面を持っているからである。異なる流量限定器の選択により、入口にかかる圧力が特定の値を下回らない限り、種々の一定な流量の設定が可能である。基本的に入口流通断面が出口の流通断面より大きいように考慮されている。もちろんガラス毛細管とは異なるように流量限定器を構成することができる。弁の後でポンプの出口に、例えば流量を限定する蛇行チップを設けることも考えられる。
【0038】
気球16の空間27を弁32に接続する通路の上述した直径及び弁32の後に設けられて流量限定器53を持つ通路の直径のため、流量限定器53を持つ通路47がハウジング2からの液体の流出に及ぼす抵抗は、弁32へ流入する際液体に及ぼされる抵抗より大きい。
【0039】
初期状態で弁膜33は図13に示す位置にあり、この位置で弁膜33は、圧縮ばね35の作用を必要とすることなく、中間部3に充分当接している。弁膜33の部分40に対する弁体34の位置のため、部分40と弁体34の環状突起54との間に僅かな間隙が存在する。この突起54は通路39を包囲している。従って液体は中核11の通路13及びそれに続くハウジング側通路26を経て弁膜33の通路37へ流れ、そこから弁体34の通路38及び39へ流れる。弁体34の通路39から液体は、突起54と弁膜33の部分40との間に形成される間隙を通って、そこにある室42へ流入し、室42から通路44を経て室43へ流れ、フィルタ46を通過し、出口45を経て流量限定器53を持つ通路47へ達する。流量限定器53のためポンプから大きい体積流が流出することなしに、入口従って通路39にも一層高い流体圧力が現れると、それにより中間部3と上部4との間の縁範囲に締付けられている弁膜33が、中心範囲でストッパ機能を持つ調節ねじ36の方へ、圧縮ばね35の力に抗して変形する。弁膜33の部分40がこの部分40に近い方にある調節ねじ36の突起55へ達すると、それにより、部分40がそこで調節ねじ36に接触し、弁膜33は更に上方へ上殻の方へ動くことができないので、部分40は弁体34の突起54へ押付けられ、それにより通路39を通る流れを遮断する。流量限定器53を通って液体が流出する際、室43の圧力が低下するので、弁膜33はその固有弾性のため再び図13に示すその初期位置の方へ再び戻り、それにより部分40は調節ねじ36と接触しなくなり、突起54と部分40との間の流通間隙が再び開かれる。気球16内に存在する圧力に関して、この状態が、図13に示す初期位置へ弁膜33の到達する際初めて、又はそれより早く従って弁膜33のまだ撓んでいる場合に、起こることができる。調節ねじ36が弁膜33の調節行程を大きく可能にするほど、弁内の二次圧力がそれだけ大きくなる。基本的に圧縮ばね35を設けることは必要でない。それは、ポンプ1により一層高い圧力を制御せねばならず、従って弁膜33の弾性戻り特性がこの弁膜を図13の初期位置へ移行させるのに十分でない場合に、有利である。
【0040】
従って弁32より、液体の体積流が気球16内の圧力に関係して限定され、流量限定器53を介して液体体積流が充分一定に保たれる。弾性素子から放出される液体体積流を充分一定に保持する装置、又は弾性素子から放出される液体体積流を限定する装置のみが設けられているように、液体ポンプを変更することもできるであろう。
【0041】
機械的に作動せしめられる液体ポンプを使用する前に、液体がルエルロック弁21を通して供給され、それにより液体が気球16内へ達し、気球の充填状態が、透明なフード29を通して、フードの横方向に設けられている標識51により読み取られ、この標識が気球の充填に応じてこの気球の横方向伸びの基準となる。ポンプ1の充填とホース50を介して患者へのポンプの接続後、広げられる気球16の弾性初応力の作用で、液体が弁32を経てポンプから放出され、しかも気球が残りなく空にされて中核11に当接するまで放出される。
【0042】
上述した液体ポンプの特に簡単な構成により、このポンプは多様な使用可能性を与える。使用者は、どこでも直ちに長い始動時間なしにポンプを使用することができる。液体ポンプは使用者により持ち運び可能であり、病院外のすべての普通の生活領域及び病院内で静的にも使用可能である。ポンプは殺菌して使用可能であり、最小の取扱い費用を保証する。ポンプは、少数の部品の簡単な構造のため安価に製造可能である。これは、ポンプを特に財政上弱体な移動市場で使用できるための前提条件である。ポンプの少ない重量は事故、緊急医療、病院及び大災害の分野における使用を可能にする。ポンプの機能素子は個々に又は全部交換可能である。ポンプは、例えば1時間当たり2.5mlの流量のため25mlの収容能力従って10時間の作動時間を持つ気球において、短いか又は長い供給時間に適している。異なる容積例えば10ml,50ml,100ml又は150mlを持つ別の気球を使用することもできる。作動時間は著しく長く例えば24時間であってもよい。1時間当たり1000ml以上の流量も考えられるけれども、1時間当たり0.5〜10mlの流量が好ましい使用範囲とみなされる。
【0043】
実施例によれば、薬液用貯蔵容器及び圧力溜めとして射出成形により製造される気球が説明される。気球は、扁平なハウジング空間を満たしかつ圧力ピークを回避するため、所定の断面及び伸び輪郭を持っている。気球は、戻し力を高めるため、1つ又は複数部分から成る中核を介して半径方向及び/又は軸線方向に初応力をかけられている。気球は、一端で中核を介して締付け環により固定的にはまり合いで気密に閉鎖される。気球は、充填又は排出中に軸線方向及び半径方向に自由に可動であり、その際弾性変形可能でフード内を摩擦なしに動くことができる。
【0044】
ポンプ1は更にボーラス溜めを備えることができる。図1にはこのようなボーラス溜めが符号52で示されている。必要な場合ポンプを改造することができる。
【0045】
図14は、前述した機械的に作動せしめられる液体ポンプの作用原理を、物理量を記載して示している。鎖線でポンプの輪郭を示している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】 本発明により機械的に作動せしめられる液体ポンプの分解図を示す。
【図2】 図1に示すポンプの垂直縦断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図3】 図2による断面図を気球が液体を充填された状態で示す。
【図4】 図1に示すポンプの垂直断面図をポンプの縦中心軸線から離れた所でポンプの弁の範囲において示す。
【図5】 図1に示すポンプをその弁の範囲で横断した断面図で示す。
【図6】 図1に示すポンプの水平縦断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図7】 図6による断面図を気球が液体を満たされた状態で示す。
【図8】 ポンプを中核の支持範囲で横断した断面図を示す。
【図9】 中核の支持されない部分及び液体を満たされた気球の範囲で横断したポンプの断面図を示す。
【図10】 中核、気球及び気球と中核を結合する締付け環の拡大断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図11】 中心の縦軸線に対して直角に中核及び気球を横断した断面図を気球が中核に当接した状態で示す。
【図12】 気球の断面形状が変わっている図11の断面図を示す。
【図13】 図4に示す弁の拡大断面図を示す。
【図14】 機械的に作動せしめられる液体ポンプの作用原理を物理量と共に示す図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体特に液体用の弁(32)であって、ハウジング(3,4)、このハウジング(3,4)内に支持される弾性弁膜(33)及びこの中に保持される弁体(34)、室(42,43,44)へ通じる流体用入口(26,37,38,39)、及びこの室(42,43,44)から出る出口(45)を有し、弁(32)の流体通路を閉じるため、弁体(34)が弾性素子(33)と接触可能であるものにおいて、
弾性素子(33)が弾性弁膜(33)であり、
ストッパ(36,55)が、流体の圧力上昇の際弁膜(33)の湾曲運動を限定するのに役立ち、その際ストッパ(36,55)が弾性素子(33)を弁体(34)の方へ動かして、弁(32)の流体通路(26,37,38,39,42,43,44,45)を閉じることを特徴とする、弁。
【請求項2】
入口(26,37,38,39)が弁膜(33)及び弁体(34)を通って室(42,43,44)へ導かれていることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
弁膜(33)及び弁体(34)が別個の部材であり、特に弁体(34)が剛体部材として構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の弁。
【請求項4】
弁膜(33)が、取り巻く縁の範囲をハウジング(3,4)の2つの部分(3,4)の間に保持され、特に締付けて保持されていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の弁。
【請求項5】
弁膜(33)が断面を不整形に形成され、弁膜(33)の中心範囲が弁芯として構成される弁体(34)の受入れ部として役立つことを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の弁。
【請求項6】
弁膜(33)の構成部分である閉鎖素子(40)が設けられ、ストッパ(36,55)が閉鎖素子(40)を弁体(34)の方へ動かして、弁(32)の流体入口(26,37,38,39)を閉じることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の弁。
【請求項7】
室(42,43,44)の出口が弁膜(33)を通って導かれていることを特徴とする、請求項1〜6の1つに記載の弁。
【請求項8】
弁膜(33)が半径方向入口通路(37)を持ち、弁体(34)がこの入口通路(37)に続く半径方向入口通路(38)を持ち、後者の入口通路(38)が、弁膜(33)により閉鎖可能な弁体(34)の軸線方向入口通路(39)に通じていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の弁。
【請求項9】
室(42,43,44)の部分範囲が、弁体(34)と弁膜(33)との間に設けられる通路(44)として構成されていることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載の弁。
【請求項10】
ストッパ(36,55)が、調節可能なストッパ(36,55)特にハウジング(ハウジング部分4)へねじ込まれる調節ねじ(36)として構成されていることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の弁。
【請求項11】
弁膜(33)を弁(32)の開放位置へ戻すばね(35)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜10の1つに記載の弁。
【請求項12】
ばね(35)が、ハウジング(ハウジング部分4)及び弁膜(33)に支持される圧縮ばねとして構成され、特に弁膜(33)がハウジング側ストッパ(ハウジング部分3)の方へ戻し可能であることを特徴とする、請求項11に記載の弁。
【請求項13】
弁(32)の出口(45,47)が流量限定器(53)を持っていることを特徴とする、請求項1〜12の1つに記載の弁。
【請求項1】
流体特に液体用の弁(32)であって、ハウジング(3,4)、このハウジング(3,4)内に支持される弾性弁膜(33)及びこの中に保持される弁体(34)、室(42,43,44)へ通じる流体用入口(26,37,38,39)、及びこの室(42,43,44)から出る出口(45)を有し、弁(32)の流体通路を閉じるため、弁体(34)が弾性素子(33)と接触可能であるものにおいて、
弾性素子(33)が弾性弁膜(33)であり、
ストッパ(36,55)が、流体の圧力上昇の際弁膜(33)の湾曲運動を限定するのに役立ち、その際ストッパ(36,55)が弾性素子(33)を弁体(34)の方へ動かして、弁(32)の流体通路(26,37,38,39,42,43,44,45)を閉じることを特徴とする、弁。
【請求項2】
入口(26,37,38,39)が弁膜(33)及び弁体(34)を通って室(42,43,44)へ導かれていることを特徴とする、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
弁膜(33)及び弁体(34)が別個の部材であり、特に弁体(34)が剛体部材として構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の弁。
【請求項4】
弁膜(33)が、取り巻く縁の範囲をハウジング(3,4)の2つの部分(3,4)の間に保持され、特に締付けて保持されていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の弁。
【請求項5】
弁膜(33)が断面を不整形に形成され、弁膜(33)の中心範囲が弁芯として構成される弁体(34)の受入れ部として役立つことを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の弁。
【請求項6】
弁膜(33)の構成部分である閉鎖素子(40)が設けられ、ストッパ(36,55)が閉鎖素子(40)を弁体(34)の方へ動かして、弁(32)の流体入口(26,37,38,39)を閉じることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の弁。
【請求項7】
室(42,43,44)の出口が弁膜(33)を通って導かれていることを特徴とする、請求項1〜6の1つに記載の弁。
【請求項8】
弁膜(33)が半径方向入口通路(37)を持ち、弁体(34)がこの入口通路(37)に続く半径方向入口通路(38)を持ち、後者の入口通路(38)が、弁膜(33)により閉鎖可能な弁体(34)の軸線方向入口通路(39)に通じていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の弁。
【請求項9】
室(42,43,44)の部分範囲が、弁体(34)と弁膜(33)との間に設けられる通路(44)として構成されていることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載の弁。
【請求項10】
ストッパ(36,55)が、調節可能なストッパ(36,55)特にハウジング(ハウジング部分4)へねじ込まれる調節ねじ(36)として構成されていることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の弁。
【請求項11】
弁膜(33)を弁(32)の開放位置へ戻すばね(35)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜10の1つに記載の弁。
【請求項12】
ばね(35)が、ハウジング(ハウジング部分4)及び弁膜(33)に支持される圧縮ばねとして構成され、特に弁膜(33)がハウジング側ストッパ(ハウジング部分3)の方へ戻し可能であることを特徴とする、請求項11に記載の弁。
【請求項13】
弁(32)の出口(45,47)が流量限定器(53)を持っていることを特徴とする、請求項1〜12の1つに記載の弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−503417(P2009−503417A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526393(P2008−526393)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007192
【国際公開番号】WO2007/009808
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508044690)ローヴエメド・アクチンゲゼルシヤフト − メデイカル 4 ライフ (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007192
【国際公開番号】WO2007/009808
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508044690)ローヴエメド・アクチンゲゼルシヤフト − メデイカル 4 ライフ (3)
【Fターム(参考)】
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