説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】像担持体上に形成される画像の濃度が変動することを抑制できる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の電極を有するトナー担持体と、トナー担持体表面にトナーを供給するトナー供給手段と、複数の電極にパルス電圧を印加しトナーをホッピングさせる電界を発生させるホッピング電界発生手段と、を有する現像装置において、ホッピング電界発生手段は、パルス電圧発生回路と、パルス電圧発生回路にパルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて第2の電源の出力レベルを変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるホッピング現像方式を採用した画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、周方向に所定のピッチで配設された複数のホッピング電極を具備する筒状のトナー担持体を有している。複数のホッピング電極のうち、偶数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相の繰り返しパルス電圧を印加する一方で、奇数番目の配列位置にあるものに対しては、互いに同じA相とは異なるB相の繰り返しパルス電圧を印加する。これにより、互いに隣り合う2つのホッピング電極の間に交番電界を形成して、前記交番電界によってトナーに対して働く静電気力によりトナーを電極間でホッピングさせる。そして、ホッピングさせたトナーを、像担持体上の潜像に付着させることで現像を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明者らが、上述したようなホッピング現像方式を採用した画像形成装置を用いて種々の実験を行った際に、ホッピング電極に印加するパルス電圧の波高値を変化させると、パルス電圧の波高値の大きさによって像担持体上に形成される画像の濃度に変動が生じた。
【0004】
ここで、上述したようにパルス電圧の波高値を変化させるのは、例えば、画像形成動作時の環境が変化した場合などがある。
高湿度環境であると、トナーの液架橋力が大きくなってトナーとトナー担持体表面との間で作用する付着力が大きくなったり、トナーの帯電効率が下がるためトナーの帯電量が低下しトナーに対して働く前記交番電界による静電気力が小さくなったりする。そのため、トナー担持体上でトナーがホッピングし難くなり、像担持体上の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなる。
一方、低湿度環境であると、トナーの液架橋力が小さくなってトナーとトナー担持体表面との間で作用する付着力が小さくなったり、トナーの帯電効率が上がるためトナーの帯電量が上昇しトナーに対して働く前記交番電界による静電気力が大きくなったりする。そのため、トナー担持体上でトナーが勢い良く高くホッピングし過ぎて、像担持体上の静電潜像が形成されていない非画像部にトナーが付着し画像に地汚れが生ずる虞がある。
【0005】
また、特許文献1に記載の現像装置のようにホッピングによって電極間を往復移動するトナーをトナー担持体の表面移動によって現像領域に搬送するのではなく、トナー担持体の表面上のトナーをホッピングによって一定方向に移動させて現像領域まで搬送する現像装置も知られている。例えば、A相、B相、C相という3つの電極がその順序で繰り返し配設されたトナー担持体を用いる現像装置では、トナー担持体の表面上でトナーをA相電極上からB相電極上へ、B相電極上からC相電極上へ、C相電極上からA相電極上へというように順次ホッピングさせていくことで、トナーを現像領域に向けて搬送する。このような現像装置でも、上述したような問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、像担持体上に形成される画像の濃度が変動することを抑制できる現像装置、並びに、その現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、マイナス極性に帯電したトナーを用いる場合、上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、上記制御手段は上記ホッピング電界発生手段に対して上記制御を行う際に、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて前記第2の電源の出力レベルを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記第1の電源は上記バイアスの出力レベル可変に構成されており、前記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させてパルス電圧の波高値を制御することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、複数の電極を有するトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、プラス極性に帯電したトナーを用いる場合、上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のプラス直流電源である第2の電源とからなり、上記制御手段は上記ホッピング電界発生手段に対して上記制御を行う際に、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて前記第2の電源の出力レベルを変化させることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の現像装置において、上記第1の電源は上記バイアスの出力レベル可変に構成されており、前記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させてパルス電圧の波高値を制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の現像装置において、上記パルス電圧発生回路は、上記第1の電源の端子間に第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子及び電流規制抵抗を直列で接続し、また、それとは並列で前記第1の電源の端子間に第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子及び電流規制抵抗を直列で接続し、上記トナー担持体に設けられた上記複数の電極の内の一方の電極群を前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極群を前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に接続したブリッジ構成とし、正相のパルス電圧を印加する場合は前記第1のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子とをONにし、逆相のパルス電圧を印加する場合は前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子とをONにする構成であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、請求項1、2、3、4または5の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記像担持体上の画像の画像濃度を検出する画像濃度検出手段を有しており、前記現像手段として、請求項1、2、3、4または5の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項6のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記プロセスカートリッジを複数備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて第2の電源の出力レベルを変化させる。これにより、前記パルス電圧の波高値を変化させた場合などに像担持体上の画像の濃度が変動したとしても、前記画像濃度信号に応じて後述するように像担持体上の潜像電位に対する現像バイアスの強弱の制御が行なわれ、像担持体上の画像の濃度を一定に保つことが可能となる。よって、像担持体上に形成される画像の濃度が変動することを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、像担持体上に形成される画像の濃度が変動することを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図2】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図3】実施形態に係る複写機における感光体と現像装置とを示す概略構成図。
【図4】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図5】A相用電極及びB相用電極にそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示すグラフ。
【図6】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図。(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図7】内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフ。
【図8】マイナス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図9】図1で示したクラウドパルス発生回路を用いた場合の波形図。
【図10】プラス帯電トナー使用時のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【図11】各電源からクラウドパルスとバイアス用の電圧が供給されたクラウドパルス発生回路の回路図。
【図12】実施形態の複写機で行われる制御の一例を示したフローチャート。
【図13】クラウドパルスのLow側ピーク値(−650[V])一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp]、500[Vpp]、600[Vpp]に変化させた場合の波形図。
【図14】(a)クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(b)クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(c)クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。
【図15】図14(a)、図14(b)、図14(c)それぞれに対応した現像Gap内のY方向位置の電界強度を示したグラフ。
【図16】クラウドパルスの波高値の平均値(−400[V])を一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp](クラウドパルス−200[V]〜−600[V])、500[Vpp](−150[V]〜−650[V])、600[Vpp](−100[V]〜−700[V])に変化させた場合の波形図。
【図17】図16に示した各波形に対応した現像Gap内Y方向位置の電界強度を示したグラフ。
【図18】(a)クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(b)クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。(c)クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラと感光体の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図。
【図19】比較例のクラウドパルス発生回路の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機について適用した実施形態について説明する。
図2は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、像担持体としてのドラム状の感光体49は、図中時計回り方向に回転駆動される。操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を装置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、画像処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体49を走査する。この走査に先立って、感光体49は帯電装置50によって一様に帯電され、レーザー光による走査により感光体49の表面に静電潜像が形成される。
【0012】
感光体49の表面に形成された静電潜像には現像装置1の現像処理によってトナーが付着し、これによりトナー像が形成される。このトナー像は、感光体49の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体49上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体49上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
【0013】
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体49表面から分離され、その後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧や加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
【0014】
上述の転写位置を通過した感光体49表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体49表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体49表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
【0015】
また、現像装置1と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45とを、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして一体でユニット化している。これにより、現像装置1などのメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0016】
図3は、実施形態に係る複写機における感光体49と現像装置1とを示す概略構成図である。同図において、ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中右側方には、現像剤担持体であるトナー担持ローラ101を有する現像装置1が配設されている。
【0017】
現像装置1は、トナー担持ローラ101の他、トナー供給ローラ18やトナー摩擦ブレード22を有している。表面がスポンジからなるトナー供給ローラ18は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、現像装置1内に収容されているトナーをローラ表面に担持する。同図では、トナー供給ローラ18の回転方向として、トナー担持ローラ101との対向部で表面をトナー担持ローラ101とは逆方向に移動させる方向に設定した例を示した。これとは逆に、前記対向部で表面をトナー担持ローラ101と同じ方向に移動させる方向に設定してもよい。
【0018】
トナー供給ローラ18の金属からなる回転軸部材には、供給バイアス電源24によって供給バイアスが印加される。一方、トナー担持ローラ101には、後述するA相用電極やB相電極が複数形成されており、それら電極にはパルス電圧印加手段30によって繰り返しのパルス電圧が印加される。これらパルス電圧の平均値は、前述した供給バイアスよりも、トナーの帯電極性とは逆極性側に大きな値になっている。これにより、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との間には、トナーを前者から後者に静電移動させる電界が形成される。
【0019】
トナー供給ローラ18の表面に担持されたトナーは、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ101との当接部において、トナー供給ローラ18からトナー担持ローラ101に供給される。このときの供給量については、供給バイアスの大きさによって調整することが可能である。なお、供給バイアスは、直流電圧であっても、交流電圧であっても、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスであってもよい。
【0020】
トナー担持ローラ101の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の図中反時計回り方向の回転に伴って周回移動する。トナー担持ローラ101の表面において、トナー供給ローラ18との当接部を通過してから、感光体49に対向する現像領域に進入する前の箇所には、片持ち支持されるトナー摩擦ブレード22の自由端側が当接している。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ101の回転に伴って全体的に図中反時計回り方向に移動するトナーは、トナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との間に進入すると、トナー担持ローラ101の表面やトナー摩擦ブレード22の表面に擦り付けられる。これにより、摩擦帯電が促される。その後、トナー担持ローラ101の回転に伴ってトナー担持ローラ101とトナー摩擦ブレード22との当接部を抜けると、再びトナー担持ローラ101の表面上でトナーがホッピングしながら、現像領域へと搬送される。
【0021】
トナー担持ローラ101は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ101と感光体49とが対向している位置が、本複写機における現像領域となっている。トナー担持ローラ101の表面上でホッピングしながら現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ101と感光体49上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ101の回転によってさらに搬送されて、繰り返し利用される。
【0022】
なお、トナー摩擦ブレード22をトナー担持ローラ101の代わりにトナー供給ローラ18に当接させて、トナー供給ローラ18の表面上でトナー摩擦ブレード22によるトナー摩擦帯電を促すようにしてもよい。
【0023】
次に、トナー担持ローラ101の一例について図4を参照して説明する。なお、図4(a)はトナー担持ローラ101を展開した状態で示す模式的平面図であり、図4(b)はトナー担持ローラ101の模式的断面図である。
【0024】
この例は、トナー担持体表面に複数の電極を設け、1本おきの2組を共通にした2相用電極を備え、180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、隣接電極同士で吸引と反発を繰り返す2相電界を形成するトナー担持体の例である。
【0025】
このトナー担持ローラ101は、絶縁性基板101Aの表面上に複数の電極111としてA相用電極111Aと、B相用電極111Bとを設け、その上に表面保護層101Bを設けたものである。櫛歯状のA相用電極111A,B相用電極111Bは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設け、両サイドには共通のバスライン111Aa,111Baで外部の図示しない2相パルス出力回路にそれぞれ接続されている。
【0026】
A相用電極111A、B相用電極111Bに印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V]〜600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。この2相電界の場合は、隣接するA相用電極111AとB相用電極111Bとの間で生じる電界の電界方向の切り替わりに応じてトナーの反発飛翔と吸引飛翔とを繰り返し、トナーは相互の電極間を往復移動する。
【0027】
次に、A相用電極111A及びB相用電極111Bに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ101上のA相用電極111A及びB相用電極111Bには、パルス電圧印加手段30からA相用電圧及びB相電圧が印加される。パルス電圧印加手段30が印加するA相用電圧及びB相電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極がA相用電極111A及びB相用電極111Bの2相構成であり、各電極111A,111Bには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0028】
図5は、A相用電極111A及びB相用電極111Bにそれぞれ印加するA相用電圧とB相用電圧の一例を示すグラフである。本複写機において、各電圧は矩形波であり、A相用電極111AとB相用電極111Bにそれぞれ印加されるA相用電圧とB相用電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、A相用電極111AとB相用電極111Bとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるクラウド用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。
【0029】
このように、トナー担持ローラ表面のトナーを飛翔させてクラウド化する手段が、トナー担持ローラ表面にトナーの搬送方向と直交する方向に長く延びて所定の間隔で配設された複数の電極を有し、各電極に印加する電圧は隣接電極相互の間でトナーを吸引する方向と反発する方向とを交互に繰り返す関係の電圧を印加し、トナー担持ローラ101が回転移動することでトナーの搬送とクラウド化を行う構成とすることで、トナー担持ローラ表面のトナーの搬送に関して、トナーの帯電品質に左右されない安定なトナーの搬送が可能となり、装置全体としても信頼性の高い複写機を実現できる。
【0030】
次に、本実施形態に係る現像装置に用いられるトナー担持ローラ2の他の例について図6を用いて説明する。なお、図6(a)はトナー担持ローラ2を展開した状態で示す模式的平面図、図6(b)はトナー担持ローラ2の模式的断面図である。
【0031】
この例は、トナー担持ローラ表面に複数の電極を設け、表層側の各電極を共通とし、絶縁層を介して下層に設けた導体基材電極との間に180[°]位相の異なる2相パルス(図5参照)を印加して、表層側電極と下層導体基材電極相互の電界で吸引と反発とを繰り返すトナー担持ローラの例である。
【0032】
本実施形態のトナー担持ローラ2は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する最内周電極部材又は内周側電極部材としての内側電極3aと、最外周側に位置していて内側電極3aへ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される最外周電極部材としての外側電極4aとを備えている。また、内側電極3aと外側電極4aとの間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4aの外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、本複写機のトナー担持ローラ2は、内周側から順に、内側電極3a、絶縁層5、外側電極4a、表層6の4層構造となっている。
【0033】
内側電極3aは、トナー担持ローラ2の基体としても機能しており、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、内側電極3aの構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0034】
内側電極3aの外周面側は絶縁層5に覆われている。本複写機において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3a上に均一な膜厚で形成することができる。
【0035】
絶縁層5の上には外側電極4aが形成される。本複写機において、この外側電極4aは、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。外側電極4aの形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0036】
外側電極4a及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0037】
本実施形態では、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aの部分との間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0038】
次に、内側電極3a及び外側電極4aに印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ2上の内側電極3a及び外側電極4aには、パルス電圧印加手段30から内側電圧及び外側電圧が印加される。本実施形態では、外側電極4aは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設けられており、その両サイドには後述する被給電部が設けられており外部の図示しないパルス電圧印加手段30にそれぞれ接続されている。パルス電圧印加手段30が印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。また、本複写機では、クラウド用電極を形成するための電極が内側電極3a及び外側電極4aの2相構成であり、内側電極3aと外側電極4aとには互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0039】
図7は、内側電極3a及び外側電極4aにそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本複写機において、各電圧は矩形波であり、内側電極3aと外側電極4aにそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧とは、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、内側電極3aと外側電極4aとの間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表層6の外側に形成されるクラウド用電界によって表層6上をトナーがホッピングする。
【0040】
内側電極3a,外側電極4aに印加するパルス電圧は、周波数が0.3[kHz]〜2[kHz]、DC電圧をバイアスに含むパルス電圧であるが、その波高値は300[V]〜600[V]等、電極幅、電極間隔に応じたパルス電圧を印加する。そして、内側電極3aと外側電極4aとの間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3aの外側電極4aとは対向していない部分(外側電極4aの間に位置する内側電極3aの部分)と外側電極4aとの間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3aに絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4aに対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。また、トナー担持ローラ2全体は、トナーを搬送する方向に回転移動するものである。
【0041】
図1は、パルス電圧印加手段30の構成を示す。電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。電源32は、マイナスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。また、パルス電圧印加手段は、A相パルスを発生するA相パルス発生回路33と、B相パルスを発生するB相パルス発生回路34と、からなる2相パルス出力回路37を有している。
【0042】
例えば、電源31の出力が500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は電源32のマイナスHigh側に接続されている。電源32は、マイナス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してマイナス電位であるから、ここでは例えば−650[V]とすると、電源31のLow側は−650[V]の電位となる。従って、電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値−650[V]〜−150[V]のクラウドパルスを発生することになる(図8参照)。
【0043】
ここで、電源32を出力レベル可変のDC電源とし、感光体49上に現像したテストパタンの画像濃度を画像濃度検知センサー65で検知して、その濃度基準レベルに対する判定を画像濃度制御回路66で行ない、画像濃度が低い場合は画像濃度制御回路66によって電源32のDC出力レベルをマイナス側に高くして潜像電位に対する現像バイアスを強くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。また、画像濃度が基準より高い場合は画像濃度制御回路66によって電源32のDC出力レベルをマイナス側よりに低くして潜像電位に対する現像バイアスを弱くする制御を行ない、画像濃度を一定にする制御を行う。
【0044】
図9は、プラス帯電トナーを使用する場合のパルス電圧印加手段30の構成を示す。電源31は、クラウドパルス出力用で、電源回路の一次、二次が分離型、つまり2次側はGNDに対してフローティングとなっている。電源32は、プラスDCバイアス用で1次、2次とも共通GNDに接続されている構成である。
【0045】
ここで、例えば電源31の出力が500[V]とすると、High側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の上側、Low側がA相パルス発生回路33及びB相パルス発生回路34の下側に接続、同時にLow側は電源32のマイナスHigh側に接続されている。電源32は、プラス帯電トナーを利用する場合の現像バイアスは潜像電位に対してプラス電位であるから、ここでは例えば150[V]とすると、電源31のLow側は150[V]の電位となる。従って、電源31の電圧500[V]が供給された各パルス発生回路で生成されるパルス波形は、波高値650[V]〜150[V]のクラウドパルスを発生することになる。
【0046】
次に、図10は図1における電源31を出力レベル可変のDC電源の構成とし、クラウドパルスの波高値を制御する例を示したものである。電源31の出力を可変して、そのレベルに応じたクラウドパルス出力が可能であるが、電源32の出力が固定であればクラウドパルスの低電位側は固定のままは高値のみを可変できる。例えば、環境湿度が高い条件ではトナー搬送手段表面でのトナーの付着力が大きくなり、トナーのクラウド量低下によって現像効率が悪くなる。これを電源32の出力レベルの可変による現像バイアスのみによって制御すると、現像バイアスと感光体の地肌電位との差が小さくなり地肌汚れが発生したり、地肌汚れの余裕度が低下したりする。したがって、湿度センサー40の検知結果に基づいて環境湿度が高い場合には、クラウドパルス制御回路67によって電源31の出力レベルを上げてクラウドパルスの波高値を高くし、トナーのクラウド量低下を補正する制御を行うことで、トナー劣化やトナー帯電量変動などに対する画像濃度制御が容易となり、高画質、高信頼性の現像が可能となる。
【0047】
図11は、パルス電圧印加手段30の具体的な回路例を示す。このパルス電圧印加手段30では、A相パルス発生回路33に対してDC出力の電源31端子の間にシリーズに接続した2個のスイッチング素子としてMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect−Transistor)からなるスイッチング素子Q1,Q2および電流規制抵抗R1,R2を設け、B相パルス発生回路34に対して同様に接続した2個のスイッチング素子であるMOSFETからなるスイッチング素子Q3,Q4および電流規制抵抗R3,R4を設け、トナー担持ローラ101の一方の電極群を2個のスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間、ここでは電流規制抵抗R1と電流規制抵抗R2との間に接続し、他方の電極群を残り2個のスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間、ここでは電流規制抵抗R3と電流規制抵抗R4との間に接続した、電極負荷(電極負荷容量)36を有するブリッジ構成とし、正相(本実施形態ではA相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、逆相(本実施形態ではB相パルス)のクラウドパルスを印加する場合はスイッチング素子Q2とスイッチングQ3とをONする構成である。これによって、トナー担持ローラ表面のトナーは2つの電極群の間で飛翔を繰り返してクラウド状態となる。
【0048】
なお、本実施形態では、MOSFETを駆動するためのドライブ回路は15[V]の低圧パルスを生成した後、スイッチング素子Q1のゲート信号はC1,D1,R5からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのHigh側は電源31のHighレベルにクランプされる。具体的には、電源31が500[V]、電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q1のゲート信号は−150[V]〜−135[V]のパルスとなり、Low期間にスイッチング素子Q1はONすることになる。
【0049】
また、スイッチング素子Q2のゲート信号はコンデンサーC2,ダイオードD2,電流規制抵抗R6からなるクランプ回路35によって15[V]パルスのLow側は電源31のLowレベルにクランプされる。具体的には、電源31が500[V]、電源32が−650[V]の場合は、スイッチング素子Q2のゲート信号は−650[V]〜−635[V]のパルスとなり、High期間にスイッチング素子Q2はONすることになる。
【0050】
同様に、逆相であるB相パルス側も180[°]位相が遅れたタイミングで、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とが動作する。
【0051】
ここで、環境湿度が高くなると、トナーの液架橋力が大きくなってトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が大きくなったり、トナーの帯電効率が下がるためトナーの帯電量が低下しトナーに対して働く前記電界による静電気力が小さくなったりする。また、トナーが劣化して外添剤の埋没や離脱によりトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が大きくなる。そのため、トナー担持ローラ上でトナーがホッピングし難くなり、感光体表面の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなる。よって、これらの付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上で良好にホッピングさせるだけの電界をつくり出すために、クラウドパルスの波高値を大きくする制御を行う。
【0052】
図12は、本実施形態の複写機で行われる制御の一例を示したフローチャートである。
例えば、現像装置1内に設けられた湿度センサー40(図3を参照)により湿度を検知し(S1)、その検知した湿度が予め設定された標準時の湿度範囲よりも高いと検知された場合(S2でYes)には複写機本体または現像装置1に設けられCPUやメモリーなどからなる制御部で高湿度環境であると判断し(S3)、その制御部からの制御信号によって電源31から出力電圧のパルス波高値を標準時の500[V]から600[V]へと大きくする(S4)。また、このときの電源32のDCバイアス電圧は標準時と同じ−650[V]とすると、パルス発生回路から電極に出力される出力パルスの波高値は−650[V]〜−50[V]、平均電位は−350[V]となる。このように、標準時よりも湿度が高くなった際に、クラウドパルスの波高値を大きくする制御を行ない、トナー担持ローラ101の隣接電極間に発生させる電界の強度を強くすることで、その分、トナーに対して働く前記電界による静電気力が大きくなる。よって、前記付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上でホッピングさせるだけの電界がつくり出され、トナー担持ローラ101上でトナーがホッピングし易くなり、感光体表面の潜像部に付着するトナーが少なくなって画像濃度が低くなることを抑制することができる。
【0053】
一方、環境湿度が低くなると、トナーの液架橋力が小さくなってトナーとトナー担持ローラ表面との間で作用する付着力が小さくなったり、トナーの帯電効率が上がるためトナーの帯電量が上昇しトナーに対して働く前記電界による静電気力が大きくなったりする。そのため、トナー担持体上でトナーが勢い良く高くホッピングし過ぎて、トナー担持ローラ101の上空に形成されるトナーのクラウド高さが高くなり過ぎ、地汚れ余裕度が小さくなる。つまり、感光体表面上の静電潜像が形成されていない非画像部(地肌領域)にトナーが付着して画像に地汚れが生ずる虞がある。よって、トナーのクラウド高さが高くなり過ぎないようにクラウドパルスの波高値を低くする制御を行う。
【0054】
例えば、現像装置1内に設けられた湿度センサー40により環境湿度が予め設定された標準時の湿度範囲よりも低いと検知された場合(S5でYes)、前記制御部で低湿度環境であると判断し(S6)、その制御部からの制御信号によって電源31から出力される電圧のパルス波高値を標準時の500[V]から400[V]へと小さくする(S7)。また、このときの電源32のDCバイアス電圧は標準時と同じ−650[V]とすると、パルス発生回路から電極に出力される出力パルスの波高値は−650[V]〜−250[V]、平均電位は−450[V]となる。このように、標準時よりも湿度が低くなった際に、クラウドパルスの波高値を小さくする制御を行ない、トナー担持ローラ101の隣接電極間に発生させる電界の強度を弱くすることで、その分、トナーに対して働く前記電界による静電気力が小さくなる。よって、トナー担持ローラ表面からトナーが高くホッピングし過ぎて、トナーのクラウド高さが高くなり過ぎ、感光体表面上の静電潜像が形成されていない非画像部(地肌領域)にトナーが付着して画像に地汚れが生ずることを抑制することができる。
【0055】
また、現像装置1内に設けられた湿度センサー40により環境湿度が、予め設定された標準時の湿度範囲よりも高くなく(S2でNo)、且つ、標準時の湿度範囲よりも低くない(S5でNo)場合には、前記制御部により標準湿度環境であると判断し、一連の制御を終了する。
【0056】
図13は、クラウドパルスのLow側ピーク値(−650[V])一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp]、500[Vpp]、600[Vpp]に変化させた場合の波形図である。
【0057】
図14(a)は、クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラ101と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図14(b)は、クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラ101と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図14(c)は、クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合のトナー担持ローラ101と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。
【0058】
ここで、トナー担持ローラ101のクラウド電極には、幅100[μm]、間隔100[μm]でA相用(正相用)、B相用(逆相用)が交互に配置されている。トナー担持ローラ101に対向して配置した感光体表面の画像情報に応じて露光された潜像部の潜像幅は、0.2[mm]幅であり、感光体表面のその他は地肌部である。地肌部の帯電電位は−600[V]であり、潜像部の帯電電位は−70[V]である。トナー担持ローラ101の表面と感光体49の表面との間隔である現像Gapは0.3[mm]である。なお、図14に示された電気力線は、トナー担持ローラ101のクラウド電極表面から上方20[μm]位置を横切る電気力線をプロットしたものであり、トナー担持ローラ101のクラウド電極表面から上方20[μm]の位置を横切らないその他の電気力線は省略している。
【0059】
図15は、図14(a)、図14(b)、図14(c)それぞれに対応した現像Gap内のY方向位置の電界強度を示したものであり、電位差が最も大きい、潜像の中央部とクラウドパルスの低電位が印加された電極中央部とを結ぶY方向位置の電界強度を示している。
【0060】
クラウドパルスのLow側ピーク値(−650[V])一定でクラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp]、500[Vpp]、600[Vpp]に変化させた場合は、図15からわかるように、クラウド電極面近傍(トナー担持ローラ電極面近傍)はクラウドパルスのピーク値が大きい方が小さい方よりも電界強度は強いが、感光体表面近傍の電界強度は逆にクラウドパルスピーク値が大きい方が小さい方よりも電界強度が弱いため、現像結果としてほぼ一定の画像濃度となる。よって、クラウドパルスのピーク値を変化しても画像濃度を一定とするためには、トナーの飛翔特性に寄与が大きい、クラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)を制御すると有効であることがわかる。
【0061】
図16は、クラウドパルスの波高値の平均値(−400[V])を一定で、クラウドパルスのピーク間電圧の値を400[Vpp](クラウドパルス−200[V]〜−600[V])、500[Vpp](−150[V]〜−650[V])、600[Vpp](−100[V]〜−700[V])に変化させた場合の波形図である。
【0062】
図17は図16に示した各波形に対応した現像Gap内Y方向位置の電界強度を示したものである。クラウドパルスの波高値の平均値を一定にした場合は、図17からわかるように、クラウド電極面近傍(トナー担持ローラ電極面近傍)はクラウドパルスピーク値が大きい方が電界強度は強いが、感光体表面近傍の電界強度は変動がなく、現像結果としてクラウドパルスのピーク値が大きい方が小さい方よりも画像濃度は高くなる。
【0063】
図18(a)は、クラウドパルスのピーク間電圧400[Vpp]、クラウドパルス−250[V]〜−650[V]の場合の図6に示したトナー担持ローラ2と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図18(b)は、クラウドパルスのピーク間電圧500[Vpp]、クラウドパルス−150[V]〜−650[V]の場合の図6に示したトナー担持ローラ2と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。図18(c)は、クラウドパルスのピーク間電圧600[Vpp]、クラウドパルス−50[V]〜−650[V]の場合の図6に示したトナー担持ローラ2と感光体49の間の電界強度に応じて形成される電気力線をシミュレーション結果からプロットした図である。
【0064】
この例では、下電極はアルミ等の素管であり全面ベタの導体。その表層に厚さ10[μm]〜20[μm]の絶縁層(このシミュレーションでは16[μm])、その表面に上電極として幅100[μm]、間隔300[μm]、最表面に15[μm]の絶縁コート層を設けた構成。各絶縁層の比誘電率はいずれもεr=3である。
【0065】
ここで、クラウドパルスが、図18(a)では−250[V]〜−650[V]、図18(b)では−150[V]〜−650[V]、図18(c)では−50[V]〜−650[V]と振れた場合でも、図4に示すトナー担持ローラ101を用いたときの図15の結果と同様であり、クラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)の電位を一定に制御することで画像濃度はほぼ一定となる。
【0066】
環境湿度が標準時よりも高くなった際には、上述したような架橋力などによる付着力に打ち勝ってトナーをトナー担持ローラ表面上で良好にホッピングさせるだけの電界をつくり出すために、クラウドパルスの波高値を高くする制御を行なう。例えば、電源32のDCバイアス電圧が−650[V]の状態で、電源31から生成されるパルス波高値を標準時の500[V]から600[V]へと大きくした場合には、パルス発生回路から出力される出力パルスの波高値が−650[V]〜−50[V]であるが、電源32のDCバイアス電圧は一定であるからクラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)の電位は−650[V]一定で画像濃度は安定する。
【0067】
一方、環境湿度が標準時よりも低くなった際には、トナー付着力が低下し、トナーのクラウド高さが高くなった場合は地汚れ余裕度が小さくなるため、クラウドパルスの波高値を低くする制御を行なう。例えば、電源32のDCバイアス電圧が−650[V]の状態で、電源31から生成されるパルス波高値を標準時の500[V]から400[V]へと小さくした場合には、パルス発生回路から出力される出力パルスの波高値が−650[V]〜−250[V]となるが、電源32のDCバイアス電圧は一定であるからクラウド電極に印加されるトナーを反発させる電圧(クラウドパルスのLow側ピーク値の電圧)の電位は−650[V]一定で画像濃度は安定する。
【0068】
図19は、比較例のパルス電圧印加手段の構成の一例を示す。
トナー担持ローラのクラウド電極に印加する信号はクラウドパルスとDCバイアスを含む信号を出力する必要があり、図示しないD/Aコンバータにより低電圧のDC含むパルス信号を生成し、それを300〜600[V]に増幅するフィードバック回路構成を含むDCアンプ回路を、正相パルス用DCアンプ回路51と逆相パルス用DCアンプ回路52と2組設けて、電極負荷53の両端に印加していた。この場合、回路コストのアップ、温度変化などによるアンプ回路の直流ドリフトが問題であった。また、温度経時による増幅率の変動は、パルス波高値、DCバイアス電圧両方ともに変動となり、クラウド特性、画像濃度の品質低下に影響するものであった。その他、トランスによって高圧パルスを生成し、同時にDCバイアスを加える回路構成もあるが、回路部品の大型化、コスト、電力ロス等において問題であった。これに対し、図1や図11などに示すような構成を有する本実施形態のパルス電圧印加手段30の構成を採用することで、DCアンプ回路ではなくスイッチング回路を設けるのでDCアンプ回路を設ける場合よりも、部品点数が少なく、出力レベルも安定しているため、小型化や低コスト化を図りつつ、高信頼性を得ることができる。また、現像バイアス調整(パルス電圧の平均値の調整)のためのDC成分調整は、スイッチング回路単独では不可能であり、本実施形態のパルス電圧印加手段30のような構成にすることで容易に可能となる。これらのことから本実施形態のパルス電圧印加手段30を用いることによって、前述したような種々の問題を抑制することができる。
【0069】
以上、本実施形態によれば、複数の電極を有するトナー担持体であるトナー担持ローラと、トナー担持ローラの表面にトナーを供給するトナー供給手段であるトナー供給ローラと、前記複数の電極にパルス電圧を印加することによって、トナー担持ローラの表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持ローラの表面上に発生させるホッピング電界発生手段であるクラウド電圧印加手段と、を有し、トナー担持ローラの表面に担持されているトナーを像担持体である感光体と対向する現像領域へ搬送して感光体上の潜像にトナーを付着させることによって前記潜像を現像する現像装置において、マイナス極性に帯電したトナーを用いる場合、クラウド電圧印加手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路であるクラウドパルス発生回路と、クラウドパルス発生回路にパルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源である電源31と、電源31の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源である電源32とからなり、上記制御手段はクラウド電圧印加手段に対して上記制御を行う際に、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された感光体上の画像に係る画像濃度信号に応じて電源32の出力レベルを変化させる。これにより、上述したように画像濃度を一定に保つことができる。
また、本実施形態によれば、複数の電極を有するトナー担持体であるトナー担持ローラと、トナー担持ローラの表面にトナーを供給するトナー供給手段であるトナー供給ローラと、前記複数の電極にパルス電圧を印加することによって、トナー担持ローラの表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持ローラの表面上に発生させるホッピング電界発生手段であるクラウド電圧印加手段と、を有し、トナー担持ローラの表面に担持されているトナーを像担持体である感光体と対向する現像領域へ搬送して感光体上の潜像にトナーを付着させることによって前記潜像を現像する現像装置において、プラス極性に帯電したトナーを用いる場合、クラウド電圧印加手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路であるクラウドパルス発生回路と、クラウドパルス発生回路にパルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源である電源31と、電源31の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のプラス直流電源である第2の電源である電源32とからなり、上記制御手段はクラウド電圧印加手段に対して上記制御を行う際に、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された感光体上の画像に係る画像濃度信号に応じて電源32の出力レベルを変化させる。これにより、上述したように画像濃度を一定に保つことができる。
また、本実施形態によれば、電源31は前記バイアスの出力レベル可変に構成されており、電源31の前記バイアスの出力レベルを変化させてクラウドパルスの波高値を制御することで、クラウドパルスの波高値とDCバイアス値を簡単な回路構成によって別々に調整ができる。
また、本実施形態によれば、上記クラウドパルス発生回路は、電源31の端子間に2個のスイッチング素子Q1,Q2及び電流規制抵抗を直列で接続し、また、それとは並列で電源31の端子間に2個のスイッチング素子Q3,Q4及び電流規制抵抗を直列で接続し、トナー担持ローラに設けられた上記複数の電極の内の一方の電極群をスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間に接続し、他方の電極群をスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間に接続したブリッジ構成とし、正相のパルス電圧を印加する場合はスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4とをONにし、逆相のパルス電圧を印加する場合はスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q3とをONにする構成であることで、トナー担持ローラ表面のトナーを2つの電極群の間で繰り返し飛翔させてクラウド状態にすることができる。
また、本実施形態によれば、現像手段と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、本発明の現像装置1を用いることで、上述したような種々の効果が得られるので望ましい。
また、本実施形態によれば、感光体49上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより前記潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、前記記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像手段として、本発明の現像装置を用いることで、上述したような種々の効果が得られることで、その結果、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、現像手段と、少なくとも感光体49、帯電装置50、及び、クリーニング装置45のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、本発明の現像装置1を有するプロセスカートリッジを用いることで、上述したような種々の効果が得られるので望ましい。また、カラー画像形成装置に前記プロセスカートリッジを複数備えるのが好適である。
【符号の説明】
【0070】
1 現像装置
2 トナー担持ローラ
3a 内側電極
4a 外側電極
5 絶縁層
6 表層
11 ケーシング
18 トナー供給ローラ
22 トナー摩擦ブレード
24 供給バイアス電源
30 パルス電圧印加手段
31 電源
32 電源
33 A相パルス発生回路
34 B相パルス発生回路
35 クランプ回路
37 2相パルス出力回路
40 湿度センサー
44 除電ランプ
45 クリーニング装置
49 感光体
50 帯電装置
51 アンプ回路
52 アンプ回路
53 電極負荷
60 転写チャージャー
61 分離チャージャー
65 画像濃度検知センサー
66 画像濃度制御回路
67 クラウドパルス制御回路
70 給紙部
70a 給紙コロ
71 給紙部
71a 給紙コロ
75 搬送ベルト
76 定着装置
76a 定着ローラ
76b 加圧ローラ
77 排紙トレイ
80 ミラー
90 コンタクトガラス
91 原稿照明光源
92 ミラー
93 走査光学系
94 ミラー
95 ミラー
96 走査光学系
97 レンズ
98 素子
99 ポリゴンミラー
101 トナー担持ローラ
101A 絶縁性基板
101B 表面保護層
111A A相用電極
111B B相用電極
111Aa バスライン
111Ba バスライン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2007−133387号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
マイナス極性に帯電したトナーを用いる場合、
上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のマイナス直流電源である第2の電源とからなり、
上記制御手段は上記ホッピング電界発生手段に対して上記制御を行う際に、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて前記第2の電源の出力レベルを変化させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記第1の電源は上記バイアスの出力レベル可変に構成されており、前記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させてパルス電圧の波高値を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
複数の電極を有するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極にパルス電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
プラス極性に帯電したトナーを用いる場合、
上記ホッピング電界発生手段は、パルス電圧を発生するためのパルス電圧発生回路と、該パルス電圧発生回路に前記パルス電圧の波高値を規定するバイアスを供給するための電気的なグランドからフローティングされた直流電源である第1の電源と、該第1の電源の低電位側とグランドとの間に設けられた出力レベル可変のプラス直流電源である第2の電源とからなり、
上記制御手段は上記ホッピング電界発生手段に対して上記制御を行う際に、画像形成装置に設けられた画像濃度検出手段から出力された像担持体上の画像に係る画像濃度信号に応じて前記第2の電源の出力レベルを変化させることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項3の現像装置において、
上記第1の電源は上記バイアスの出力レベル可変に構成されており、前記第1の電源の前記バイアスの出力レベルを変化させてパルス電圧の波高値を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の現像装置において、
上記パルス電圧発生回路は、上記第1の電源の端子間に第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子及び電流規制抵抗を直列で接続し、また、それとは並列で前記第1の電源の端子間に第3のスイッチング素子、第4のスイッチング素子及び電流規制抵抗を直列で接続し、上記トナー担持体に設けられた上記複数の電極の内の一方の電極群を前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子との間に接続し、他方の電極群を前記第3のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に接続したブリッジ構成とし、正相のパルス電圧を印加する場合は前記第1のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子とをONにし、逆相のパルス電圧を印加する場合は前記第2のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子とをONにする構成であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記現像手段として、請求項1、2、3、4または5の現像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像担持体上に形成された潜像に対して現像手段により現像剤を供給することにより該潜像を現像して得られる画像を、最終的に記録材上に転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記像担持体上の画像の画像濃度を検出する画像濃度検出手段を有しており、
前記現像手段として、請求項1、2、3、4または5の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
現像手段と、少なくとも像担持体、帯電手段、及び、クリーニング手段のいずれかとを一体で設け、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジとして、請求項6のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジを複数備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−118288(P2011−118288A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277640(P2009−277640)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】