説明

現像装置およびこれを備える画像形成装置

【課題】
二成分現像方式の現像装置を備えた画像形成装置において、トナーの流動性が大きく変動した場合にもトナー濃度を正確に検知し、トナー濃度を精度良く制御して、異常画像のない良好な画像を常に得ることを課題とする。
【解決手段】
本発明は、攪拌部材下方に配設された二成分現像剤のトナー濃度を検知する濃度検知手段だけでは、現像剤の劣化が起因して、現像剤の流動性が低下したり、或いは低濃度原稿を連続して耐刷されて、現像剤の流動性が大幅に低下したりする場合であっても、層厚規制部材により規制された余剰現像剤を前記層厚規制部材から離隔する位置へ還流させる還流板を配設するとともに、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する濃度検知手段をも配設することにより、流動性の低下を事前に察知することができ、より精度の高いトナー濃度制御を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像装置及びこれを用いる画像形成装置に関し、特に、二成分現像剤を使用する現像装置及びこれを用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、静電潜像を像担持体である感光体ドラム表面に形成し、現像剤により感光体ドラム表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム表面にトナー像を形成し、トナー像を感光体ドラムから転写材であるシート(記録用紙)等に転写し、トナー像が転写された転写材を加熱及び加圧して、トナー像を転写材上に定着させている。また、感光体ドラム表面には残留トナーや残留電荷が残るので、残留トナーをクリーニング装置により、残留電荷を除電装置により除去している。
【0003】
感光体ドラム上の静電潜像を現像する一般的な現像方式としては、現像剤がトナーと磁性キャリアから構成される二成分現像剤を用いる二成分現像方式と、現像剤がトナーのみから構成される一成分現像剤を用いる一成分現像方式がある。
【0004】
二成分現像方式は、トナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤を現像剤担持体である現像ローラに内包した磁石の磁力を利用して現像ローラのスリーブ上に担持し、スリーブを回転移動させることにより上記感光体ドラムと対向する現像領域へと搬送し、トナーのみが潜像へ移行すなわち現像され、現像後には現像剤を現像槽内へと回収するようにしている。そのため、現像を安定させるためには、トナー補給機構から、消費されるトナーを補給し、現像剤中に含まれるトナーの割合、つまりトナー濃度が一定になるように制御する濃度検知手段であるトナー濃度検知センサが必要である。
【0005】
そして前記トナー濃度検知センサには、キャリアとトナーの透磁率が異なる点に着目して一般に透磁率検知センサを用い、精度よく濃度検知を可能にするために、例えば特開平2ー93568(特許文献1)において、攪拌部材及び攪拌部材近傍の現像剤により検知センサ表面を摺擦かつ攪拌混合しながら該センサより現像濃度に対応した振動波形成分を出力し、該波形成分と基準濃度レベルを比較しながら前記トナー補給機構の駆動制御を行うことが提案されている。
【0006】
しかしながら、より精度の高い濃度制御を行うには、複数の濃度検知手段が配設されている必要があり、例えば、特開2006−293016(特許文献2)記載のように、現像剤に与えるストレスを低減し、現像剤の寿命を長くする目的で、攪拌部材各々に濃度制御手段を配設することが開示されているが、一方の攪拌部材を必要に応じて休止できるように独立して駆動させることになっているため、それに付随した駆動装置が別途必要となり、大掛かりとなってしまう。
【0007】
他に、特開2007−140291(特許文献3)記載のように、攪拌搬送方向の上流側と下流側、各々に濃度制御手段を配設したものもあるが、攪拌部材長手方向を現像ローラの長さを超える長さとしていることから、現像装置の長手方向の長さが長くなってしまい、現像装置が大型化してしまう。
【0008】
また、これ以外に、現像装置を大型化もしくは新たな別の駆動源を配設しないものとして、つまり、現像装置及び画像形成装置のレイアウト上の制約を超えないよう工夫して配設したものとして、特開平11−95537(特許文献4)、特開2008−129131(特許文献5)記載のものが開示されているが、どちらも、攪拌部材の近傍に複数の濃度制御手段が配設されているだけである。
【0009】
特許文献2から5は、攪拌部材近傍に複数の濃度検知手段を配設することによって、単独の濃度検知手段を配設する場合よりは、トナーの帯電量や嵩が変動した場合のトナー濃度を正確に検知する精度が向上し、画像濃度が安定し、かつ地汚れやトナー飛散などの異常画像のない良好な画像を得ることが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2ー93568号公報
【特許文献2】特開2006−293016号公報
【特許文献3】特開2007−140291号公報
【特許文献4】特開平11−95537号公報
【特許文献5】特開2008−129131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、攪拌部材近傍に複数の濃度検知手段を配設するだけでは層厚規制部材により規制された余剰現像剤が滞留する層厚規制部材近傍の攪拌の弱い部分までは、正確なトナー濃度制御が及ばないため、耐刷とともにキャリア表面にトナーが融着したり、キャリア表面のコート剤が部分的に剥がれるなどによる現像剤の劣化に起因して現像剤の流動性が低下した。
【0012】
また、低濃度原稿を連続して耐刷すると、殆どトナーが消費されないために、トナーの外添剤がトナー樹脂表面に埋没したり、キャリア表面に帯電したままトナーが入れ替わらずに、現像剤の流動性が大きく低下して、正確なトナー濃度制御することは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を収容する現像槽と、二成分現像剤を感光体ドラムへ供給する現像ローラと、感光体ドラムへ供給する二成分現像剤の供給量を規制する規制部材と、現像槽内の現像剤を攪拌する複数の攪拌部材と、攪拌部材下方に配設された二成分現像剤のトナー濃度を検知する第1トナー濃度検知センサと、層厚規制部材により規制された余剰現像剤を前記層厚規制部材から離隔する位置へ還流させる還流板と、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2トナー濃度検知センサと、現像槽内へトナーを供給するトナー補給ローラとを備え、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2トナー濃度検知センサにて、流動性の大幅な低下を事前に察知することができ、より精度の高いトナー濃度検知を可能とすることを特徴とするものである。
【0014】
更に、本発明は、攪拌部材下方に配設された二成分現像剤のトナー濃度を検知する第1濃度検知センサ並びに、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2濃度検知センサとが、現像剤の透磁率変化に基づいて前記現像剤の濃度を検出するものであることが好ましい。
【0015】
更に、本発明は、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2濃度検知センサの検知面と還流板上面とが同一平面上にあることが好ましい。
【0016】
更に、本発明は、前記現像ローラの周速度が、314(mm/sec)〜1382(mm/sec)であることが好ましい。
【0017】
更に、本発明は、前記キャリアの平均粒径D50が30μm以上90μm以下であることが好ましい。
【0018】
更に、本発明によれば、前記の現像装置を含む画像形成装置とすることで、画像形成装置は、帯電性および現像剤搬送性が向上し、現像後に出力される画像の品質向上を実現することができる。
【0019】
また更に、本発明の画像形成装置は、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2濃度検知センサによる濃度検知出力結果に応じて、感光体ドラム上にトナーを強制的に現像させることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、攪拌部材下方に配設された二成分現像剤のトナー濃度を検知する第1トナー濃度検知センサ以外に、層厚規制部材により規制された余剰現像剤を前記層厚規制部材から離隔する位置へ還流させる還流板並びに還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2濃度検知センサをも配設したので、攪拌の弱い部分も現像剤が滞留することがなくなる上に、還流板上の現像剤が流動しなくなり正確なトナー濃度制御が困難になってきても、直ちに検知できるので、より精度の高い正確なトナー濃度検知が可能となる。
【0021】
また、攪拌部材下方に配設された二成分現像剤のトナー濃度を検知する第1濃度検知センサ並びに、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2濃度検知センサとを、現像剤の透磁率変化に基づいて前記現像剤の濃度を検出する透磁率センサを用いることによって、現像剤トナー濃度を感度高く検出することができる。
【0022】
また、本発明によれば、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2濃度検知センサの検知面と還流板上面とを同一平面上とすることで、還流板上の現像剤の流れを阻害したり、検知面上に現像剤が堆積することないため、現像剤トナー濃度を感度高く検出することができる。
【0023】
また、本発明によれば、現像ローラの周速度を、314(mm/sec)〜1382(mm/sec)の範囲内とすることで、現像装置内の現像剤を安定して搬送することができるため、現像装置内のトナー濃度を精度よく検知することができる。
【0024】
また、本発明によれば、キャリアの平均粒径D50を30μm以上90μm以下の範囲の微小キャリアとすることで、出力画像の品質向上を実現することができる。
【0025】
また、本発明によれば、本発明の現像装置を含むことによって、画像形成装置は、帯電性および現像剤搬送性が向上し、現像後に出力される画像の品質向上を長期にわたって実現することができる。
【0026】
また、本発明によれば、前記第2濃度検知センサによる濃度検知出力結果に応じて、感光体ドラム上にトナーを強制的に現像させることで、トナーの外添剤がトナー樹脂表面に埋没したトナーや、キャリア表面に帯電したまま入れ替わっていなかったトナーも、現像されて消費されるため、現像剤の流動性が回復することとなり、より精度の高い正確なトナー濃度検知が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る現像装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る現像装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本実施形態に係る現像装置に取り付けられるトナー濃度検知センサの出力特性を示す図である。
【図4】本発明に係る現像装置が搭載された画像形成装置のトナー補給動作制御に関する電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明に係る現像装置が搭載された画像形成装置の構成を示す説明図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム(静電潜像担持体)15と、感光体ドラム15表面を帯電させる帯電装置16と、感光体ドラム15表面に静電潜像を形成する露光装置17と、感光体ドラム15表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置1と、感光体ドラム15表面のトナー像を記録媒体に転写する転写装置18と、転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置20と、クリーニング装置19と、給紙トレイ23と、スキャナ部24と、排紙トレイ25とを備え、現像装置1として、本発明に係る現像装置の構成を採用したものである。
【0030】
電子写真方式によりトナーを用いて画像を形成する画像形成装置100は、例えば、ネットワーク上の各端末装置から送信される画像データ等に基づいて、所定の用紙に対して単色の画像を形成する。
【0031】
感光体ドラム15は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持され、その表面に静電潜像ひいてはトナー像が形成される感光膜を有するローラ状部材である。感光体ドラム15には、例えば、図示しない導電性基体と、導電性基体表面に形成される図示しない感光膜とを含むローラ状部材を使用できる。導電性基体には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性基体を使用でき、その中でも円筒状導電性基体が好ましい。感光膜としては、有機感光膜、無機感光膜などが挙げられる。
【0032】
有機感光膜としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層(単層体)などが挙げられる。無機感光膜としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む膜が挙げられる。導電性基体と感光膜との間には、下地膜を介在させてもよく、感光膜の表面には主に感光膜を保護するための表面膜(保護膜)を設けてもよい。
【0033】
帯電装置16は、図示しない電源が接続され、帯電装置16に電圧を印加する。帯電装置16は電源から電圧の印加を受けて、感光体ドラム15表面を所定の極性及び電位に帯電させる。本実施形態では、チャージャー型帯電器を用いるが、これに限定されず、帯電ブラシ型帯電器、ローラ状帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置、磁気ブラシなどの帯電器などを使用できる。
【0034】
露光装置17は、スキャナ部24(図5に示す符号105の読取部)において読み取られる原稿の画像情報、または外部機器からの画像情報が入力され、画像情報に応じた信号光を帯電状態にある感光体ドラム15表面に照射する。これによって、感光体ドラム15表面に、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0035】
露光装置17には、光源を含むレーザスキャニング装置が用いられる。レーザスキャニング装置は、例えば、光源、ポリゴンミラー、fθレンズ、反射ミラーなどを組合せた装置である。光源としては、例えば、半導体レーザ、LEDアレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などを使用できる。
【0036】
転写装置18は、感光体ドラム15に圧接するように設けられるローラ状部材であって、図示しない支持部材によって回転自在に支持され、且つ、図示しない駆動手段によって回転可能に設けられている。転写装置18には、例えば、直径8〜10mmの金属製芯金と、金属製芯金の表面に形成される導電性弾性層とを含むローラ状部材が用いられる。
【0037】
金属製芯金を形成する金属としては、ステンレス鋼、アルミニウムなどを使用できる。導電性弾性層としては、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどのゴム材料にカーボンブラックなどの導電材を配合したゴム材料を使用できる。
【0038】
転写装置18と感光体ドラム15との圧接部(以下、「転写ニップ部」と称する。)18nに、感光体ドラム15の回転によってトナー像が搬送されるのに同期して、給紙トレイ23から図示しないピックアップローラ及びレジストローラを介して記録媒体が1枚ずつ供給されるようになっている。記録媒体が転写装置18の転写ニップ部18nを通過することによって、感光体ドラム15表面のトナー像が記録媒体に転写される。
転写装置18には図示しない電源が接続され、トナー像を記録媒体に転写する際に、トナー像を構成するトナーの帯電極性とは逆極性の電圧を転写装置18に印加する。これによって、トナー像が記録媒体に円滑に転写される。このようにして、転写装置18により、感光体ドラム15表面のトナー像が記録媒体に転写される。
【0039】
クリーニング装置19は、図示しないクリーニングブレードと、図示しないトナー貯留槽とを備えている。クリーニングブレードは、感光体ドラム15の長手方向に平行に延び設けられ、かつ、その短手方向の一端が感光体ドラム15表面に当接するように設けられる板状部材である。そして、クリーニングブレードは、記録媒体にトナー像を転写した後に感光体ドラム15表面に残留するトナー、紙粉などを感光体ドラム15表面から取り除く。トナー貯留槽は、内部空間を有する容器状部材であり、クリーニングブレードによって除去されるトナーを一時的に貯留する。このようにして、クリーニング装置19によって、トナー像を転写した後の感光体ドラム15表面が清浄化される。
【0040】
定着装置20は、定着ローラ21と、加圧ローラ22とを備えている。定着ローラ21は、ローラ状部材であって、図示しない支持部材によって回転自在に支持され、かつ、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転可能に設けられている。
【0041】
定着ローラ21は、その内部に図示しない加熱部材を有し、転写装置18の転写ニップ部18nを通って搬送される記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱し、溶融させて記録媒体に定着させる。定着ローラ21としては、例えば、芯金と、弾性層とを含むローラ状部材を使用する。芯金は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属によって形成される。弾性層は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性材料で形成される。加熱部材は図示しない電源から電圧印加を受けて発熱する。加熱部材にはハロゲンランプ、赤外線ランプなどを使用できる。
【0042】
加圧ローラ22は、ローラ状部材であって、回転自在に支持され、且つ、図示しない加圧部材によって定着ローラ21に対して圧接するように設けられている。加圧ローラ22は、定着ローラ21の回転に従動回転する。定着ローラ21と加圧ローラ22との圧接部が定着ニップ部20nである。
【0043】
加圧ローラ22は、定着ローラ21によるトナー像の記録媒体への加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを記録媒体に対して押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を促進する。加圧ローラ22には、定着ローラ21と同じ構成のローラ状部材を使用できる。加圧ローラ22の内部にも加熱部材を設けてもよい。加熱部材には定着ローラ21内部の加熱部材と同様のものを使用できる。
【0044】
定着装置20により、トナー像が転写された記録媒体を定着ニップ部20nに通過させ、トナー像を構成するトナーを溶融させるとともに記録媒体に押圧することによって、トナー像を記録媒体に定着させて画像を印刷する。
【0045】
画像が印刷された記録媒体は、図示しない搬送手段によって、図1中で画像形成装置100の鉛直方向側面に設けられる排紙トレイ25に排出され、積載される。なお、給紙トレイ23には、記録媒体が収容されている。
【0046】
スキャナ部24には図示しない原稿セットトレイ、自動原稿搬送装置(RADF、Reversing Automatic Document Feeder)などが設けられるとともに、図示しない原稿読み取り装置が設けられる。
【0047】
自動原稿搬送装置は、原稿セットトレイに載置される原稿を原稿読み取り装置の原稿載置台に搬送する。原稿読み取り装置は、原稿載置台と、原稿走査装置と、反射部材と、光電変換素子(Charge Coupled Device:以下、「CCD」と称する。)ラインセンサなどを備え、原稿載置台に載置される原稿の画像情報を複数ライン毎、例えば、10ライン毎に読み取る。
【0048】
原稿載置台は、画像情報を読み取る原稿を載置するためのガラス製板状部材である。
原稿走査装置は、図示しない光源と第1の反射ミラーとを備え、原稿載置台の鉛直方向下面に沿って平行に一定速度Vで往復移動し、原稿載置台に載置される原稿の画像形成面に光を照射する。この光の照射によって反射光像が得られる。
【0049】
光源は、原稿載置台に載置される原稿に照射する光の光源である。第1の反射ミラーは、反射光像を図示しない反射部材に向けて反射する。
【0050】
反射部材は、図示しない第2の反射ミラーと第3の反射ミラーと光学レンズとを備え、原稿走査装置で得られる反射光像をCCDラインセンサ上で結像させる。この反射部材は、原稿走査装置の往復移動に追随してV/2の速度で往復移動する。
【0051】
第2,第3の反射ミラーは、反射光像が光学レンズに向うように反射光像を反射させる。光学レンズは、反射光像をCCDラインセンサ上に結像させる。
【0052】
CCDラインセンサは、光学レンズによって結像される反射光像を電気信号に光電変換する図示しないCCD回路を備え、画像情報である電気信号を制御手段の中の画像処理部に出力する。画像処理部は、原稿読み取り装置またはパーソナルコンピュータなどの外部装置から入力される画像情報を電気信号に変換し、露光装置17に出力する。
【0053】
次に、本実施形態に係る特徴的な現像装置1の構成について図面を参照して詳細に説明する。図2は本実施形態に係る現像装置の構成を示す説明図である。
【0054】
現像装置1は、現像槽2と、現像ローラ3と、第1撹拌部材4と、第2撹拌部材5と、搬送部材6と、層厚規制部材7と、規制部材支持体8と、還流板9と、第1トナー濃度検知センサ12と、第2トナー濃度検知センサ13と、トナー補給ローラ14とを含む。
【0055】
現像槽2の内部には、現像ローラ3、第1攪拌部材4、第2攪拌部材5、搬送部材6、 層厚規制部材7、還流板9などを収容する。現像剤はトナーと磁性体粉であるキャリアとを含む二成分現像剤である。また、現像槽2には、現像装置1を電子写真方式の画像形成装置に装着する場合に、該画像形成装置が備える感光体を臨む側面に開口2aが形成される。また、現像槽2の鉛直方向上面には、トナー補給口2bが形成される。
【0056】
現像槽2の鉛直方向上方には図示しないトナーカートリッジおよびトナーホッパが設けられる。より詳しくは、鉛直方向上方から下方に向けて、トナーカートリッジ、トナーホッパおよび現像槽2の順番で設けられる。トナーカートリッジは、その内部空間にトナーを収容し、現像装置1が装着される図示しない画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられる。また、トナーカートリッジは、画像形成装置に設けられる図示しない駆動手段によって、軸線回りに回転駆動する。トナーカートリッジの長手方向側面には長手方向に延びる細長い開口が形成され、トナーカートリッジの回転に伴って前記細長い開口からトナーが落下してトナーホッパに供給される。
【0057】
トナーホッパは、例えば、その鉛直方向底面に形成される開口であるトナー供給口が、現像槽2の鉛直方向上面に形成される開口であるトナー補給口2bと鉛直方向に連通するように設けられる。トナーホッパ内において、トナー供給口の鉛直方向上方には、トナー補給ローラ14が設けられる。トナー補給ローラ14はトナーホッパによって回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転駆動する。トナー補給ローラ14の回転駆動は、トナー濃度センサ12及び13による現像槽2内のトナー濃度の検知結果に応じて、画像形成装置に設けられる図示しない制御手段により制御される。トナー補給ローラ14の回転駆動によって、トナー供給口およびトナー補給口2bを介して、現像槽2内にトナーが補給される。
【0058】
トナー補給ローラ14は、芯金のまわりに円筒状の例えば発泡ウレタンなどの多孔性弾性部材が設けられたものであり、トナーホッパ内でトナー補給ローラ14の多孔性弾性部材に保持されるトナーが、トナー補給口2bとトナー補給ローラ14との摺擦でトナー補給ローラ14から脱落し、現像槽2内へ補給される。
【0059】
現像ローラ3は少なくとも一部が現像槽2に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動するローラ状部材である。また、現像ローラ3は、現像槽2の開口2aを介して感光体ドラム15に対向する。
【0060】
本実施形態において、現像ローラ3は、感光体ドラム15に対して間隙を有して離隔するように設けられ、その現像ローラ3と感光体ドラム15とが対向する最近接部が現像ニップ部3nである。
【0061】
現像ニップ部3nにおいて、現像ローラ3表面の図示しない現像剤層から感光体ドラム15表面にトナーが供給される。現像ニップ部3nでは、現像ローラ3に接続される図示しない電源から現像ローラ3に対して現像バイアス電圧が印加され、現像ローラ3表面の現像剤層から感光体ドラム15表面へのトナーの移行が円滑に進行する。
【0062】
現像ローラ3は、マグネットローラ10とスリーブ11とを含む。マグネットローラ10は、その長手方向の両端部が現像槽2の現像槽壁によって支持され、現像ローラ3の周方向位置に断面形状が長方形の複数の棒磁石である磁極が互いに離隔して現像ローラ3の半径方向に放射状に配置される多極着磁型マグネットローラである。
【0063】
スリーブ11は、マグネットローラ10に外嵌され、現像槽2および図示しない支持部材によって回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転可能に設けられる円筒状部材である。また、スリーブ11は、非磁性素材であれば良く、特に限定されるものではないが、アルミニウム、アルミニウム合金、またはJIS−G4305に規定されるステンレス鋼であるSUS304などが好適に用いられる。更に、現像剤の担持及び搬送を良好に行うため、スリーブ11の表面には適度な凹凸が形成されることが好ましく、例えば、表面粗さRz(JIS B0601:10点平均粗さ)が、5(μm)以上10(μm)以下になるようにブラスト処理されている。本実施の形態では、スリーブ11は反時計回りに回転し、感光体ドラム15は時計回りに回転する。
【0064】
第1攪拌部材4及び第2攪拌部材5は、いずれも、現像槽2によって回転自在に支持されかつ図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。
【0065】
本実施の形態では、第1攪拌部材4は反時計回り、第2攪拌部材5は時計回りに回転する。第1攪拌部材4は、現像ローラ3を介して感光体ドラム15に対向しかつ現像ローラ3よりも鉛直方向下方になる位置に設けられる。第2攪拌部材5は、第1攪拌部材4を介して現像ローラ3に対向しかつ現像ローラ3よりも鉛直方向下方になる位置に設けられる。第1攪拌部材4及び第2攪拌部材5は、現像槽2内に貯留される現像剤を攪拌してトナーに均一な電荷を付与するとともに、帯電状態にある現像剤を汲み上げて現像ローラ3の周囲に供給する。
【0066】
搬送部材6は、現像槽2によって回転自在に支持されかつ図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。搬送部材6は、第2攪拌部材5を介して第1攪拌部材4に対向し、かつトナー補給口2bの鉛直方向下方に設けられる。搬送部材6は、トナー補給口2bを介して現像槽2内に補給されるトナーを、第2攪拌部材5の周囲に搬送する。
【0067】
層厚規制部材7は現像ローラ3の軸線方向に平行に延びる板状部材であり、現像ローラ3の鉛直方向上方において、その短手方向の一端が現像槽2と規制部材支持体8とによって支持され、かつ他端が現像ローラ3表面に対して間隙を有して離隔するように設けられる。
【0068】
層厚規制部材7は、例えば、SUS304、SUS316などのステンレス鋼、或いは、アルミニウムなどの弾性を有する非磁性金属、合成樹脂などによって形成される。本実施の形態では、層厚規制部材7には薄板状のステンレス鋼を使用する。
【0069】
規制部材支持体8は、現像槽2とともに層厚規制部材7を支持する。具体的には、層厚規制部材7の短手方向の一端およびその近傍部分を、規制部材支持体8と現像槽2とによって挟持するようにして支持する。規制部材支持体8は、例えば、合成樹脂、金属などの材料によって形成される。本実施の形態では、合成樹脂から形成される。層厚規制部材7は、現像ローラ3表面に担持される現像剤層から余分な現像剤(余剰現像剤)を取り除き、現像剤層の層厚を一定に規制することによって、現像剤の搬送量を調整する。また、層厚規制部材7は、短手方向の他端と現像剤層との摺擦によって、現像剤層に含まれる帯電が不充分な現像剤に電荷を付与し、現像剤層に含まれる現像剤を充分に帯電させる。
【0070】
還流板9は、現像槽2内において、現像ローラ3の回転方向における層厚規制部材7よりも上流側であって、第1攪拌部材4及び第2攪拌部材5の鉛直方向上方に設けられる板状部材である。還流板9は、短手方向の一端9b1が現像ローラ3表面に対向し、間隙を有して離隔し、他端9b2が現像ローラ3から離反する方向に延びる。
【0071】
本実施の形態では、還流板9の鉛直方向上面は、還流板9の短手方向における現像ローラ3側の端部9b1およびその近傍部分では水平方向に対して平行になり、それ以外の部分では現像ローラ3から離反するにつれて鉛直方向下方に下降するように設けられる。
【0072】
本実施形態では、還流板9は、その鉛直方向下部において還流板9の長手方向に貫通するように形成され貫通口に挿通される支持部材9aによって支持される。
【0073】
還流板9を設けることによって、層厚規制部材7近傍の攪拌の弱い部分も現像剤が滞留することがなくなるため、現像槽2内における現像剤の円滑な流れが発生し、トナーの不均一な帯電、トナーのブロッキングなどの発生が防止される。
【0074】
詳しく説明すると、層厚規制部材7によって現像ローラ3表面から取り除かれる現像剤は一時的に現像ローラ3上方の空間に滞留するが、量が多くなると還流板9の鉛直方向上面を現像ローラ3から離反する方向に流過し始める。現像剤は還流板9の上面に沿って流過し、還流板9の短手方向における現像ローラ3側とは反対側の端部9b2から第2攪拌部材5に向けて落下する。落下した現像剤は第1攪拌部材4及び第2攪拌部材5によって他の現像剤および新しく供給されるトナーと均一に混合され、現像ローラ3に向けて搬送される。このようにして、現像槽2内における現像剤の円滑な流れが発生するのである。
【0075】
なお、第1攪拌部材4、第2攪拌部材5、搬送部材6、層厚規制部材7、還流板9の寸法は、現像ローラ3の寸法に応じて、適切な範囲から適宜決定される。
第1トナー濃度検知センサ12は、例えば、第2攪拌部材5の鉛直方向下方の現像槽2底面に装着され、第1トナー濃度検知センサ12センサ検出面12aが現像槽2の内部に露出するように設けられる。
【0076】
また、第2トナー濃度検知センサ13は、還流板9の鉛直方向上方の上面に装着される。
【0077】
第1トナー濃度検知センサ12及び第2トナー濃度検知センサ13は図示しない制御手段に電気的に接続される。制御手段は、第1トナー濃度検知センサ12及び第2トナー濃度検知センサ13による検知結果に応じて、トナーカートリッジを回転駆動させ、トナーホッパを介して現像槽2内部にトナーを補給するように制御する。すなわち、第1トナー濃度検知センサ12及び第2トナー濃度検知センサ13による検知結果がトナー濃度設定値よりも低いと判定すると、トナーカートリッジを回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、トナーカートリッジを回転駆動させる。第1トナー濃度検知センサ12及び第2トナー濃度検知センサ13には一般的なトナー濃度検知センサを使用でき、例えば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどが挙げられる。これらの中でも、透磁率検知センサが好ましい。
【0078】
トナー濃度検知センサには図示しない電源が接続される。電源は、トナー濃度検知センサを駆動させるための駆動電圧およびトナー濃度の検知結果を制御手段に出力するための制御電圧をトナー濃度検知センサに印加する。電源による透磁率検知センサへの電圧の印加は、制御手段によって制御される。透磁率検知センサは、制御電圧の印加を受けてトナー濃度の検知結果を出力電圧値として出力する型式のセンサであり、基本的に出力電圧の中央値近傍の感度がよいため、その付近の出力電圧が得られるような制御電圧を印加して用いられる。このような型式のトナー濃度検知センサとしては、例えば、TS−L、TS−A、TS−K(いずれも商品名、TDK(株)製)などが挙げられる。
【0079】
制御手段は、現像装置1専用のものを設けてもよく、また現像装置1が装着される画像形成装置に設けられる制御手段を兼用してもよい。
【0080】
また、第2トナー濃度検知センサ13は、第2攪拌部材4の鉛直方向下方の現像槽2底面に装着された第1トナー濃度検知センサ12だけでは正確な濃度制御を達成させうることが困難だったことを解消するために増設されたものである。
【0081】
つまり、耐刷とともにキャリア表面にトナーが融着したり、キャリア表面のコート剤が部分的に剥がれるなどによる現像剤の劣化に起因して、現像剤の流動性が低下したり、また、この上、低濃度原稿を連続して耐刷されると、殆どトナーが消費されないために、トナーの外添剤がトナー樹脂表面に埋没したり、キャリア表面に帯電したままトナーが入れ替わらずに、現像剤の流動性が大幅に低下してしまう。還流板の配設により、層厚規制部材近傍の滞留した現像剤を還流板9の鉛直方向上面を現像ローラ3から離反する方向に流過させているとはいえ、その流過現像剤量が大幅に減少してしまい、ついには流れなくなってしまっては、第1トナー濃度検知センサ12からの検知出力が出力されなくなってしまい、正確な濃度検知ができなくなるが、還流板上にも、第2トナー濃度検知センサ13を還流板9上にも配設すれば、還流板上の流動性の大幅な低下をいち早く検知でき、より精度の高い濃度検知が可能となることからである。
【0082】
更に、第2トナー濃度検知センサ13のセンサ検出面13aが還流板9の天面と同一平面上となるよう設けられるのが好ましい。
【0083】
センサ上(同一平面上)とするのは、第2トナー濃度検知センサ13のセンサ検出面13aが還流板9の天面よりも突出していると、還流板上によほど充分な現像剤の流れがない限り、還流板上の現像剤の流れを阻害するだけであり、逆に、還流板9の天面から凹んだ位置に配設すると、わずかな現像剤が還流板上を流れるだけで、濃度検知可能となるものの、現像剤が劣化して流動性が低下してくると、凹んだ位置に現像剤が堆積してしまい、濃度検知に支障をきたしてしまうからである。
【0084】
ただ、耐刷とともにキャリア表面にトナーが融着したり、キャリア表面のコート剤が部分的に剥がれるなどによる現像剤の劣化に起因して現像剤の流動性が徐々に低下していく場合には、この第2トナー濃度検知センサ13にて、随時、濃度検知可能であるが、低濃度原稿を連続して耐刷されて、殆どトナーが消費されないためにトナーの外添剤がトナー樹脂表面に埋没したり、キャリア表面に帯電したままトナーが入れ替わらずに現像剤の流動性が大幅に低下したりする場合には、還流板上を流れるはずの現像剤が一気に流動しなくなり、単に、第1トナー濃度検知センサ12及び第2トナー濃度検知センサ13だけで精度の高い正確な濃度検知することはできなくなる場合がある。
【0085】
このような場合、第2トナー濃度検知センサ13の濃度検知出力そのものが出力されなくなるので、その際、印字を止めて、感光体ドラム15上にトナーを強制的に現像させることで、トナーを消費させてやれば、現像槽2内の現像剤中のトナーがトナーホッパから補給された劣化していないトナーと入れ替わるため、現像槽2内の現像剤の流動性が回復することになる。
【0086】
以下に、トナー濃度制御に関する動作制御について、さらに詳しく説明する。
【0087】
図3はトナー濃度検知センサの出力特性を示す図であり、図4はトナー補給動作制御に関する電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【0088】
通常、二成分現像剤のトナーには非磁性材料が用いられ、キャリアには、鉄粉、フェライトなどの磁性材料が用いられる。透磁率は、現像剤中の磁性材料の磁性を検出するものであり、現像剤中の磁性材料と非磁性材料との混合比すなわち磁性材料の相対濃度が変化すると、その検出出力が変化する。したがって、現像剤の透磁率を検出することによって、現像剤中の磁性材料であるキャリアの濃度、逆に現像剤中の非磁性材料であるトナーの濃度を測定することができる。
【0089】
図3は、トナー濃度検知センサにおける現像剤中のトナー濃度(T/D:Tはトナー、Dは現像剤)と、センサの透磁率検出出力電圧との関係を例示し、図3中のライン50がトナー濃度検知センサの出力特性を示す。二成分現像剤の種類に応じて適正使用トナー濃度Tsを定め、トナー濃度検知センサの出力特性におけるトナー濃度Tsに対応する基準電圧Vsを求め、この適正使用トナー濃度Tsと基準電圧Vsとを、現像装置1に備えられる制御部51の記憶部52にあらかじめストアしておくことができる。トナー濃度検知センサが、基準電圧Vsよりも低い検出値を出力するとき、現像剤中の磁性材料すなわちキャリアの濃度が低い、即ち、非磁性材料であるトナーの濃度が高いので、制御部はトナー補給の動作指示を出力しない。逆に、トナー濃度検知センサが、基準電圧Vsよりも高い検出値を出力するとき、現像剤中のキャリアの濃度が高い、即ち、トナーの濃度が低いので、制御部51はトナーホッパに対してトナー補給の動作指示を出力し、トナーホッパからトナー補給ローラ14を介して、現像槽2内にトナー補給される。
【0090】
現像槽2内では、上記のように動作するトナー濃度検知センサが2個、つまり、第1トナー濃度検知センサ12にて現像槽2内の現像剤のトナー濃度と、第2トナー濃度検知センサ13にて還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度とを測定することができるように設けられる。
現像槽2内のトナー濃度は、現像剤の劣化に起因して現像剤の流動性が大幅に低下していない限り、場所によらず、均一であるため、第1トナー濃度検知センサ12と第2トナー濃度検知センサ13の検出値は同一である。
【0091】
しかし、現像剤の劣化が起因して現像剤の流動性が大幅に低下してくると、第2トナー濃度検知センサ13の濃度検知出力そのものが出力されなくなり、0(V)となるので、その際、印字を止めて、感光体ドラム15上にトナーを強制的に現像させる。このように、トナーを消費させてやれば、現像槽2内の現像剤中のトナーがトナーホッパから補給された劣化していないトナーと入れ替わるため、現像槽2内の現像剤の流動性が回復することとなり、第2トナー濃度検知センサ13の濃度検知出力が出力されることになる。
【0092】
次に、本実施形態に係る画像形成装置100の電気的構成についてブロック図を参照して詳細に説明する。図5は本実施形態に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0093】
画像形成装置100は、図5に示すように、例えば、スキャナ部24とプリンタ本体100Aと周辺機器100Bとを備えた複合機であり、原稿画像を読み取る読取部105、読み取った原稿画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成する画像処理部106、生成された画像データをトナーを用いて顕像化して、記録媒体(転写紙)に画像を形成する画像形成部107、画像形成部107で顕像化された記録媒体に加熱定着して固定する定着部(図示せず)、後処理装置であるフィニッシャーやソーターなどの周辺機器100Bを制御する周辺機器制御部108を備えている。
【0094】
プリンタ本体100Aには、制御部101、記憶部102、入力部103、表示部104、画像処理部106、画像形成部107、演算部109等が設けられている。
【0095】
記憶部102には、画像形成装置100の上面に配置される入力部(例えば、操作パネル)103を介する印刷指令、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しない各種センサなどからの検知結果、外部機器からUSB(登録商標)/LANを介して入力される画像情報、画像形成装置100内部の各装置の動作を制御するための各種設定値及びデータテーブル、及び各種制御を実行するためのプログラムなどが入力可能となっている。
【0096】
また、記憶部102として、この分野で常用されるメモリ等が使用可能であり、例えば、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)、Blu−ray(登録商標)ディスクなどが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ、画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、例えば、コンピュータ、デジタルカメラなどが挙げられる。
【0097】
演算部109は、記憶部102に記憶される各種データ(印刷指令、検知結果、画像情報など)及び各種制御を実施するためのプログラムを取り出し、各種検知及び/または判定を行う。
【0098】
制御部101は、演算部109における各種判定結果、演算結果などに応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部101及び演算部109は、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。
【0099】
このように構成される制御手段は、記憶部102、演算部109及び制御部101とともに主電源を含む。主電源は、制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
【0100】
次に、本実施形態の画像形成装置100に使用する現像剤について説明する。
【0101】
画像形成装置100の現像装置1で使用する現像剤は、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤である。
【0102】
トナーは、例えば、結着樹脂と、着色剤、帯電制御剤(電荷制御剤)、オフセット防止剤としてのワックスなどとを溶融混練した後、冷却により固化させ、粉砕分級する溶融混練粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法などの重合法によって得られる。トナーには、一般的に流動性及び帯電安定性を向上させる目的で、例えば、シリカ、酸化アルミニウムなどの無機粒子が外添剤として添加される。
【0103】
結着樹脂としては、トナーの結着樹脂として常用されるものを使用でき、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0104】
これらの中でも、ポリエステル樹脂が好適に用いられる。ポリエステル樹脂としては、公知のものを使用でき、その中でも、ポリオールと多塩基酸とを縮重合させることによって得られるポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、ポリオールおよび多塩基酸の少なくとも一方に、3価以上の多官能性分を用いて重合させることによって架橋化された、架橋構造を有するものであってもよい。ここで、ポリオールとは、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物のことであり、アルコール性のヒドロキシル基を有するアルコール類およびフェノール性のヒドロキシル基を有するフェノール類のいずれをも含む。また、多塩基酸とは、カルボキシル基を2個以上有する化合物およびその誘導体のことである。
【0105】
ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、公知のものを使用でき、ポリオールのうち、2価のアルコール類すなわちジオール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどが挙げられる。
【0106】
また、ポリオールのうち、2価のフェノール類としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(慣用名:ビスフェノールA)、水添ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールAなどのビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ヒドロキノンなどが挙げられる。
【0107】
また、ポリエステル樹脂の架橋化に関わる3価以上の多官能性分である3価以上のポリオールとしては、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール、トリペンタエリスリトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、ソルビトール、1,4−ソルビタン、ショ糖などのアルコール類、1,2,4−ベンゼントリオールなどのフェノール類などが挙げられる。
【0108】
ポリエステル樹脂の合成に用いられる多塩基酸としても、公知のものを使用でき、多塩基酸のうち、二塩基酸としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびこれらの酸の無水物または低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール)とのエステルなどが挙げられる。
【0109】
また、ポリエステル樹脂の架橋化に関わる3価以上の多官能性分である3価以上の多塩基酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、およびこれらの酸の無水物または低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール)とのエステルなどが挙げられる。
【0110】
着色剤としては、トナーの着色剤として常用される染料および顔料を使用でき、例えば、ニグロシン染料、カーマイン染料、各種の塩基性染料、酸性染料、油性染料、アントラキノン染料、ベンジジン系黄色有機顔料、キナントリン系有機顔料、ローダミン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが好ましい。本発明の二成分現像剤は、トナーに含まれる着色剤の色を適宜選択することによって、白黒画像およびカラー画像のいずれの現像にも使用することができる。着色剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
【0111】
帯電制御剤としては、トナーの電荷制御剤として常用されるものを使用でき、ニグロシン染料、金属アゾ化合物、サリチル酸金属塩、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。電荷制御剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。帯電制御剤の使用量は、特に制限されず、結着樹脂の種類、着色剤の種類および含有量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができる。
【0112】
オフセット防止剤としては、トナーの離型剤として常用されるものを使用でき、その中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、アミドワックスなどの合成系ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックスなどの動植物系ワックスなどのワックス類が好ましい。
【0113】
オフセット防止剤は、トナー中に分散され、定着部材によるトナーの加熱時にトナー表面に溶出(ブリード)してトナーに離型性を発現させ、ホットオフセット現象を防止するオフセット防止剤として働く。オフセット防止剤の使用量は、特に制限されず、結着樹脂の種類、着色剤の種類および含有量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができる。
【0114】
外添剤は、トナー粒子の表面に付着させてもよいし、その一部がトナー粒子に埋め込まれるようにしてもよい。外添剤としては、公知のものを使用でき、例えば、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末などが挙げられる。外添剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。外添剤の使用量は、特に制限されず、結着樹脂の種類、着色剤の種類および含有量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができる。
【0115】
キャリアとしては、コア材(コア材粒子)と呼ばれる磁性を有する粒子と、コア材を被覆する合成樹脂を含むコート材とから構成されるコートキャリアを用いる。コア材を被覆するコート材は、キャリアの体積抵抗率を高くしてトナーへの摩擦帯電付与性能を向上させ、キャリアに対するトナーの付着状態を決定する。また、キャリアの表面状態を好適にし、トナーとキャリアとの摩擦によって外添剤がトナーに埋込まれるトナー劣化を防止することができる。
【0116】
コア材としては、例えば、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライト、銅−亜鉛系フェライト及びそれらの混合物をあげることができる。
【0117】
また、キャリアのコア材は、焼結法またはアトマイズ法などの製造方法によって製造が可能である。また、必要に応じて磁性体粒径分布の分布範囲が狭くなるようにして造粒したり、焼結温度、昇温速度及び加熱保持時間などをコントロールしたりすることによって所定の磁気特性を持つ磁性体コア粒子(コア材)を製造することができる。
【0118】
キャリアは、上記のコア材の表面にコート樹脂を被覆し、コート樹脂層を形成することによって得られる。例えば、コート樹脂中に添加量が異なるようにして導電性微粉末を分散させることによって体積抵抗率の異なるコート樹脂が得られる。
【0119】
導電性微粉末としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属の粉体、これらの金属の合金もしくは混合物の粉体またはこれらの金属の鱗片状金属粉体もしくは金属短繊維、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズなどの導電性金属酸化物、高分子電解質などの高分子導電剤、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト粉体またはこれらの導電性物質で表面を被覆した導電性粉体などが挙げられる。
【0120】
高分子電解質などの高分子導電剤としては、例えば、ポリアミド、ポリアミン、ポリアルキレンオキシド、ポリエステル、ポリアルキレンサルファイド、ポリフォスファゼン及びそれらの誘導体、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。
【0121】
コート樹脂に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても使用することができ、絶縁性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート及びスチレン−アクリル酸共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートなどの芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、具体的には例えば無水マレイン酸−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0122】
上述した樹脂を、単独でまたは二種以上混合して使用することができる。また、耐久性を向上させる目的で、熱可塑性樹脂に硬化剤などを混合し硬化させて使用することもできる。
【0123】
キャリアのコート樹脂層を形成する方法としては、コア材を被覆する際に、コア材同士が接着しないようにコート樹脂が迅速に被覆され、かつコア材を常に流動せしめるような方法で被覆と乾燥とを同時に進行させる処理方法を用いることが好ましい。
【0124】
被覆キャリアを製造する方法としては、流動床被覆装置を用い、キャリアコア粒子を浮遊流動させながら、酢酸エチル、トルエン、キシレンなどの溶剤にコート樹脂を均一に分散させたコート樹脂溶液をスプレーし、コア材粒子表面に被覆膜を形成させる方法が好ましい。
【0125】
具体的には、(a)コア材からなる流動層を筒状の管体内を上昇する気体流によって形成し、(b)さらに被覆層樹脂溶液を流動層の移動方向に対して垂直方向から供給し、(c)かつコート樹脂溶液を磁性体コア材粒子にスプレーによって塗布する。コート樹脂を溶解する溶剤の選択、処理温度、処理時間などの条件を充分に制御し、上述の(a)〜(c)の方法を用いることによって、効率よく優れた特性を有するコート樹脂被覆キャリアを製造することができる。
【0126】
また、コート樹脂被覆に使用するコート樹脂溶液は、体積抵抗率の高いものから低いものへと連続的に変化するようにスプレーノズルに供給されることが好ましい。このようなコート樹脂溶液供給装置における体積抵抗率が高いものから低いものへと連続的に変化するような供給は、例えば次のような効果を実現することができる。
【0127】
キャリアがこのようなコート樹脂を備えることによって耐久性が向上し、長期使用においても感光体ドラム15に安定してトナーを供給することができるので、高画質の画像の確保が可能となる。
【0128】
なお、コア材表面に形成したコート樹脂層を安定させるために、焼き付けを行うのが好ましい。焼き付けに使用する装置としては、外部加熱方式でも内部加熱方式でもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉などが挙げられる。
【0129】
コート樹脂で被覆されたコートキャリアは、平均粒径D50が30〜90μmであることが好ましい。このような微小キャリアを用いることで、出力画像の品質向上を実現することができる。
【0130】
前記キャリアの平均粒径D50が30μmより小さい場合は、流動性が悪くなり撹拌性が低下する。一方、前記キャリアの平均粒径が90μmより大きい場合は、高精細な画像が得られなくなる。
【0131】
本発明の二成分現像剤は、上記のようにして得られるキャリアおよびトナーを混合機で混合させることによって二成分現像剤を製造する。混合機としては公知のものを使用でき、例えば、V型混合機、W型混合機が挙げられる。
【0132】
次に、本実施形態の画像形成装置100における現像装置1による画像形成について、実施例を参照して詳細に説明する。
【0133】
表1及び表2は、実写試験の初期、50K枚後及び100K枚後の画像への影響を、画像濃度及び画像かぶりの測定並びに画像カスレ有無の目視判定を行ったものであり、画像形成装置にシャープ株式会社製複写機MX−M1100を用いて、本発明に係る現像装置1の構成を備えた画像形成装置100の現像槽2内の二成分現像剤のキャリアの粒径を変化させ、画像面積率1%のA4原稿を用い、普通紙(ネコサ紙)を横連続通紙して、実写試験を行ったものである。
【0134】
なお、前記画像面積率は、スキャナ部24で読み取った原稿の画像データから算出される。
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
表1は、第1トナー濃度検知センサ12及び第2トナー濃度検知センサ13が配設されている場合の試験結果である。表2は、表1に対する比較例であり、第1トナー濃度検知センサ12は配設されているものの、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2トナー濃度検知センサ13が配設されていない場合の試験結果である。
【0138】
なお、画像評価を行うにあたり、以下の条件で行った。現像剤は、トナー濃度を6(重量%)としたトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を使用した。トナーは、体積平均粒径6.5μmのポリエステル系トナーを用いた。キャリアは、樹脂コートフェライト系キャリアを用いた。
【0139】
現像条件は、画像形成装置の設定を、感光体ドラム15と現像ローラ3との間隙を0.4mm、現像ローラ3の外径をΦ30とした。層厚規制部材7は、厚みを1.5mmとし、層厚規制部材7と現像ローラ3との間隙を0.7mmとした。
【0140】
感光体ドラム15は、プロセス速度を540(mm/sec)とし、現像ローラ3は、スリーブ11の周速度を1080(mm/sec)とした。
【0141】
以下に種々の評価及び測定方法を記載する。
まず、画像濃度に関しては、
「×」は、1.20未満とし、
「△」は、1.20以上、1.29未満とし、
「○」は、1.30以上とした。
測定には、分光測色濃度計(エックスライト社製、エックスライト938)を用いた。
画像かぶりに関しては、
「×」は、1.6以上とし、
「△」は、1.1以上、1.6未満とし、
「○」は、1.0以下とした。
測定は、A4サイズの白紙を予め白度計(ハンター白度計、日本電色工業社製)にて白度を測定しその値を第1測定値、耐刷後のコピーサンプルを前述の白度計にて測定しこの値を第2測定値とし、第2測定値の値を第1測定値から差し引いた値から得られる。
画像カスレに関しては、
「×」は、画像カスレが目視で少しでも見られるとし、
「○」は、画像カスレが目視では見られないとした。
キャリア平均粒径D50の測定方法に関しては、
光学顕微鏡によりランダムに300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもってキャリア平均粒径D50として測定した。
【0142】
表1、表2の評価結果から明らかなように、画像面積率1%と低い画像面積率のA4原稿で連続耐刷されると、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2トナー濃度検知センサ13が配設されていない表2の場合のほうが、どのキャリア粒径に対しても、現像剤の大幅な流動性低下を検知できず、正確なトナー濃度検知ができていないために、画像濃度の低下が大きく発生してしまっている。
【0143】
一方、表1で示すように、還流板上に第2トナー濃度検知センサ13が配設されている場合、現像剤の大幅な流動性低下を即座に検知できるため、正確な濃度検知ができている。
【0144】
また、キャリア平均粒径D50に関しては、30μmより小さいと、流動性が悪くなりすぎ、撹拌性が大幅に低下するため、画像濃度が低下するだけでなく、画像かぶりも発生してしまっている。逆に、90μmより大きいと、流動性が大幅に向上するため、画像濃度の低下や画像かぶりは発生しないものの、帯電性能が低下し、画像カスレが発生してしまっており、高精細な画像が得られなくなってしまっている。
【0145】
次に、表3は、表1で得られた画像濃度の判定が「○」になるまで、印字を止めて、感光体ドラム15上にベタ画像を連続して現像させた場合の試験結果である。
【0146】
つまり、例えば50K枚後なら、表1で50K枚印字し評価結果を得た直後に、画像濃度の判定が「△」であった項目が「○」になるまで印字を止めて、感光体ドラム15上にベタ画像を連続して現像させた後に、印字を再開した場合の試験結果である。
【0147】
【表3】

【0148】
表3の評価結果から明らかなように、低濃度原稿を連続して耐刷することによりトナーがキャリア表面に帯電したまま入れ替わっていなかった場合であっても、感光体ドラム15上にベタ画像を連続して現像させ、トナーを消費させることで、現像剤中のトナーが新しく補給された劣化していないトナーと入れ替わり、流動性が向上する。そのため、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2トナー濃度検知センサ13の出力結果に出力が見られるように回復し、正確に濃度検知できる状態となり、画像濃度の低下や画像かぶりの発生が長期に亙って解消できることとなった。
【0149】
最後に、表4及び表5は、表1及び表2で示すキャリアの平均粒径を40μmにし、現像ローラの周速度を変化させた場合の試験結果である。
【0150】
【表4】

【0151】
【表5】

【0152】
表4は、第1トナー濃度検知センサ12及び第2トナー濃度検知センサ13が配設されている場合の試験結果である。表5は、表4に対する比較例であり、第1トナー濃度検知センサ12は配設されているものの、還流板上センサ二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2トナー濃度検知センサ13が配設されていない場合の試験結果である。
【0153】
表4、5の結果から明らかなように、現像ローラの周速度が314(mm/sec)以上で100K耐刷後の画像濃度に改善が見られる。また、1382(mm/sec)以下であれば、50K、100K耐刷後の画像かぶりに改善が見られる。
【0154】
表4の評価結果から明らかなように、現像ローラの周速度が1382(mm/sec)を超えると、現像槽2内でのキャリア同士の摩擦によるストレスや攪拌部材その他現像槽2内周壁との衝突による過度のストレスのため、キャリアのコート材の剥離が一気に促進され、トナーを充分に帯電させられなくなり、帯電不良による画像かぶりが発生してしまっている。また、それ以外に、高速回転し過ぎるために、トナー飛散も生じ、現像槽2内の正確な濃度制御に支障をきたすこととなっている。
【0155】
逆に、現像ローラの周速度が314(mm/sec)未満であると、表5の評価結果から明らかなように、画像濃度の低下や画像かぶりの発生が長期に亙って解消できている。
【0156】
以上、上述した実施形態では、本発明に係る現像装置1を図1に示すような画像形成装置100に適用した例について説明したが、二成分現像剤を使用する現像装置を用いる画像形成装置であれば、上述したような構成の画像形成装置や複写機に限定されるものではなく、その他の画像形成装置等に展開が可能である。
【0157】
例えば、現像装置を4色分(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)、または6色分(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ)を配置することにより、フルカラーの画像形成装置にも適用することが可能である。
【0158】
以上のように、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態ならば本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
1 現像装置
2 現像槽
2a 開口
2b トナー補給口
3 現像ローラ
3n 現像ニップ部
4 第1攪拌部材
5 第2撹拌部材
6 搬送部材
7 層厚規制部材
8 規制部材支持体
9 還流板
9a 支持部材
10 マグネットローラ
11 スリーブ
12 第1トナー濃度検知センサ
12a センサ検出面
13 第2トナー濃度検知センサ
13a センサ検出面
14 トナー補給ローラ
15 感光体ドラム
16 帯電装置
17 露光装置
18 転写装置
18n 転写ニップ部
19 クリーニング装置
20 定着装置
20n 定着ニップ部
21 定着ローラ
22 加圧ローラ
23 給紙トレイ
24 スキャナ部
25 排紙トレイ
50 ライン
51 制御部
52 記憶部
100 画像形成装置
100A プリンタ本体
100B 周辺機器
101 制御部
102 記憶部
103 入力部
104 表示部
105 読取部
106 画像処理部
107 画像形成部
108 周辺機器制御部
109 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットローラを含み、表面にトナーとキャリアを含む二成分現像剤を担持して回転し、感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給して現像する現像ローラと、現像ローラ表面の現像剤の担持量を規制する層厚規制部材と、現像ローラに現像剤を供給する撹拌部材と、攪拌部材下方に配設された二成分現像剤のトナー濃度を検知する第1濃度検知手段と、層厚規制部材により規制された余剰現像剤を前記層厚規制部材から離隔する位置へ還流させる還流板と、還流板上を流れる二成分現像剤のトナー濃度を検知する第2濃度検知手段を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第1濃度検知手段並びに、前記第2濃度検知手段が、現像剤の透磁率変化に基づいて前記現像剤の濃度を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2濃度検知手段の検知面と前記還流板上面とが同一平面上にあることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像ローラの周速度が、314(mm/sec)〜1382(mm/sec)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記キャリアは、平均粒径D50が30μm以上90μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像装置が、請求項1から5のいずれか一項に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記第2濃度検知手段による濃度検知結果に出力が見られなくなった時点で、印字を止めて、前記感光体ドラム上にトナーを強制的に現像させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−81153(P2011−81153A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232917(P2009−232917)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】