説明

現像装置および画像形成装置

【課題】現像剤担持体への現像剤汲み上げを画像形成に対応した状態で制御することにより不用意に現像剤が摺擦されて劣化してしまうのを防止できる構成を備えた現像装置を提供する。
【解決手段】トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を潜像担持体に対して供給する現像剤担持体31と、該現像剤担持体31に二成分系現像剤を供給する現像剤供給部材32と、現像剤担持体31からの二成分系現像剤を回収する現像剤回収部材33と、該現像剤回収部材33から回収された二成分系現像剤を収容可能であって前記現像剤供給部材32に向け二成分系現像剤を供給可能な収容部40とを備え、前記現像剤担持体31は、潜像担持体1上に形成される画像の幅に応じて、該画像の幅に対応する二成分系現像剤の汲み上げ幅を制御されることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、二成分系現像剤の供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像を現像装置により可視像処理し、可視像をシートなどに転写することにより記録出力を得ることができる。
【0003】
現像に用いられる現像剤には磁性あるいは非磁性トナーのみの一成分系現像剤の他にトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤がある。
二成分系現像剤は、トナーとこれを担持するキャリアとで構成され、攪拌混合時に生起される摩擦帯電作用によりトナーを帯電させて感光体上の静電潜像に対して静電吸着できる状態とされる。
【0004】
現像装置には、磁力により周面に現像剤を穂立ちさせて感光体上の静電潜像に向け現像剤を供給する現像スリーブと、現像スリーブに対して撹拌混合した現像剤を供給する撹拌スリーブとを備えた構成が知られており、感光体上の静電潜像の可視像処理にトナーが消費された現像剤が現像装置に回収されるようになっている。
【0005】
一方、現像装置内には、感光体に対して現像剤を供給するための現像剤供給部材として現像スリーブが設けられており、現像スリーブに対しては、現像槽の長手方向に軸方向を設定された一対のスクリュー部材で構成された給部材と現像剤回収部材とが対峙して設けられている。
【0006】
各スクリュー部材による搬送過程において攪拌混合されて摩擦帯電を施された現像剤が現像スリーブに汲み上げられるが、現像スリーブ上に汲み上げられた現像剤は、現像スリーブに対向して配置されているドクターブレードにより所定厚さの層厚に規定されて感光体に向け搬送される。
現像スリーブに担持されている現像剤は、ドクターブレードを通過する際には、接触するブレードとの間および剤同士の摺擦により摩擦帯電される。
【0007】
このように、ドクターブレードとの間で摺擦される現像剤には、摺擦の際に生じる剪断力によりストレスが発生する。このため、トナーの外添剤がトナー内に埋没したりキャリアのコート層剥がれなどが生じることが原因して現像剤の劣化を招く虞がある。
【0008】
ドクターブレードへの現像剤の通過を必要最小限にとどめて上述した現像剤へのストレスの発生を抑えるには、現像スリーブに対する現像剤の汲み上げ量を制御することが考えられる。
現像剤の汲み上げ制御に関する構成としては、非現像時に現像スリーブの回転停止および汲み上げ用磁石が非汲み上げ位置に移動するようにして現像剤の汲み上げを行わないようにした構成がある(例えば、特許文献1)。
また、これとは別に、現像剤規制部材、いわゆるドクターブレードと現像スリーブとの間の距離を現像時よりも広くして現像時における現像スリーブの回転方向上流側に存在する現像剤の量を増加させるようにした構成もある(例えば、特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記各特許文献に開示されている構成は、いずれも現像スリーブの軸方向全域を対象とした汲み上げ制御が前提となっている。
一方、画像形成の形式には、上述した現像スリーブの軸方向全域、いわゆる、全面に亘って形成される画像を対象とするだけではなく、軸方向片側に印字部分が集中している画像を対象とする場合や軸方向の一部のみを用いる小サイズ用紙への画像を対象とする場合がある。
現像スリーブの軸方向全域に亘って担持されている現像剤の一部を使用する画像形成時には、使用されなかった部分に担持されている現像剤が回収されて再度汲み上げられる際にドクターブレードを通過することになる。これにより、使用されなかった現像剤は、摺擦される機会が増加してしまい、劣化を早めてしまう虞がある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の現像装置における問題に鑑み、現像剤担持体への現像剤汲み上げを画像形成に対応した状態で制御することにより不用意に現像剤が摺擦されて劣化してしまうのを防止できる構成を備えた現像装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、次の構成よりなる。
(1)トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を潜像担持体に対して供給する現像剤担持体と、該現像剤担持体に二成分系現像剤を供給する現像剤供給部材と、現像剤担持体からの二成分系現像剤を回収する現像剤回収部材と、該現像剤回収部材から回収された二成分系現像剤を収容可能であって前記現像剤供給部材に向け二成分系現像剤を供給可能な収容部とを備え、
前記現像剤担持体は、前記潜像担持体上に形成される画像の幅に応じて、該画像の幅に対応する二成分系現像剤の汲み上げ幅を制御されることを特徴とする現像装置。
【0012】
(2)前記現像剤担持体への二成分系現像剤の汲み上げ量は、前記現像剤担持体とこれに対向して配置されている層厚規制部材との間の対向間隙により設定されることを特徴とする(1)記載の現像装置。
【0013】
(3)前記現像剤担持体への二成分系現像剤の汲み上げ量は、前記現像剤担持体に対する現像剤供給開口の面積によって設定されることを特徴とする(1)記載の現像装置。
【0014】
(4)前記二成分系現像剤の汲み上げ幅は、前記現像剤供給部材に対する二成分系現像剤の供給量を制御することにより設定されることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の現像装置。
【0015】
(5)前記現像剤供給部材への現像剤供給部には、前記収容部から該現像剤供給部材の配置位置までの搬送路に接続されているロータリーフィーダとエアポンプとが設けられ、前記現像剤の供給量は前記ロータリーフィーダの回転制御により設定されることを特徴とする(4)記載の現像装置。
【0016】
(6)前記現像剤供給部材への現像剤供給部には、前記収容部から該現像剤供給部材の配置位置までの搬送路に接続されているロータリーフィーダとエアポンプとが設けられ、前記現像剤の供給量は前記エアポンプのエア流量により設定されることを特徴とする(4)記載の現像装置。
【0017】
(7)前記現像剤供給部材は、軸方向に現像剤を搬送可能なスクリュー部材が用いられ、該軸方向中央を境にしてスクリューのリード方向が逆方向に設定され、前記現像剤が軸方向中央から供給される構成であることを特徴とする(4)乃至(6)のうちの一つに記載の現像装置。
【0018】
(8)前記現像剤供給部材に用いられるスクリュー部材は、軸方向中央を境にして軸方向中央から端部に向け現像剤を搬送できる回転方向が設定されていることを特徴とする(7)記載の現像装置。
【0019】
(9)前記現像剤供給部材に対する現像剤供給位置は、前記軸方向中央から両端部に向けて変更可能であることを特徴とする(7)または(8)記載の現像装置。
【0020】
(10)前記現像剤供給部材に対する現像剤の供給量は、画像位置間に相当する紙間に設定されることを特徴とする(4)乃至(8)のうちの一つに記載の現像装置。
【0021】
(11)(1)乃至(10)のうちの一つに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、現像剤担持体において潜像担持体の作像部のみを対象とした現像剤の汲み上げを行うようになっているので、現像剤担持体における現像剤担持領域全域に亘って現像剤を汲み上げる必要のない場合には不用意に現像剤が摺擦機会を増加されてしまうようなことがない。これにより、摺擦による現像剤のストレスの発生を抑制して現像剤の劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明実施例による現像装置が用いられる画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した現像装置を含む現像剤供給機構全体の構成を説明するための図である。
【図3】図2に示した現像剤供給機構に用いられる収容部とロータリーフィーダおよびエアポンプの配置構成を説明するための図である。
【図4】現像装置内部の構成を説明するための模式図である。
【図5】本発明による現像装置の第1実施例による作用を説明するための模式図である。
【図6】本発明により現像装置の第1実施例における供給量制御時期を説明するための模式図である。
【図7】本発明による現像装置の第2実施例を説明するための模式図である。
【図8】図7に示した構成による作用に一態様を説明するための模式図である。
【図9】本発明による現像装置の第3実施例を説明するための模式図である。
【図10】本発明による現像装置の第4実施例を説明するための模式図である。
【図11】従来の現像装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による現像装置を用いる画像形成装置を示している。同図に示す画像形成装置は、タンデム方式によるフルカラープリンタであるが、本発明は、これに限らず、複写機やファクシミリ装置などにも適用することができる。
【0025】
図1に示す画像形成装置は、装置本体100内で中間転写ユニット10に設けられている未定着像担持体としての中間転写ベルト10Aの下面に対向して、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0026】
これらの作像部6Y、6M、6C、6Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外は同一構造である。なお、以下の説明では、各作像部で共通する数字の符号のみを挙げて説明し、トナーの色を示すアルファベットの符号は省く。
各作像部6は、潜像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電手段2、現像装置3、クリーニング手段4等で構成されている。
感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
【0027】
感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図中、時計回り方向に回転駆動され、帯電手段2の位置で表面が一様に帯電される(帯電工程)。
感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成され(露光工程)、現像装置3と対向する位置に達すると、そこから供給される現像剤に含まれるトナーにより可視像処理されて現像工程が実行される。
現像工程において可視像処理されたトナー像を担持する感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト10A及び1次転写バイアスローラ5との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト10A上に転写される(1次転写工程)。
【0028】
転写を終えて感光体1の表面は、クリーニング手段4との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。クリーニング後、感光体ドラム1の表面は図示しない除電ローラにより電位を初期化される。このような工程を経過することで、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0029】
上述した作像プロセスは、モノクロ画像のみの単一画像形成時およびフルカラー画像形成時にそれぞれ行われるが、フルカラー画像形成時には、図1に示した4つの作像部6Y、6M、6C、6Kにおいて各工程がそれぞれ行われる。
すなわち、作像部の下方に配設された不図示の露光部(光書き込み装置)から、画像情報に基づいたレーザ光が、各作像部6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト10A上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト10A上にカラー画像が形成される。
【0030】
4つの1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kは、それぞれ、中間転写ベルト10Aを感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。
1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
中間転写ベルト10Aは、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ5Y、5M、5C、5Kの1次転写ニップを順次通過する。
こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト10A上に重ねて1次転写される。
【0031】
各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト10Aは、2次転写手段としての2次転写ローラ7との対向位置に達する。中間転写ベルト10A上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体としての転写紙P上に一括転写される。
【0032】
装置本体100の下部に配設された給紙部8には、転写紙Pが複数枚重ねて収納されており、給紙コロ9により1枚ずつ分離されて給紙される。給紙された転写紙Pはレジストローラ対10で一旦停止され、斜めずれを修正された後レジストローラ対10により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて搬送される。そして、前記のように、2次転写ニップにおいて転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0033】
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着部11へ搬送され、ここで、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を定着される。
定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対12により、装置本体100の上面に形成された排紙部100Aへ出力画像として排出され、スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。なお、図1において符号13は、中間転写ベルト10Aのクリーニング装置を示している。
【0034】
図2は、現像装置を含むトナーの供給機構全体の構成を示す図である。
図2において現像装置は、後で詳しく説明するが、感光体ドラムに対してキャリアとトナーとを混合した二成分系現像剤により現像工程を実行する現像部と、現像部から回収した現像剤を再度現像部の現像剤供給部に向け移送する循環部と備えている。
【0035】
図2において現像装置3は、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像剤を収容可能な現像槽30と、現像槽30から離れた位置で現像槽30から回収された現像剤および消費されたトナーに見合う新規トナーを撹拌混合する現像剤収容部40と、現像剤収容部40に向け新規トナーを補給するトナー供給部60と、現像剤収容部40から排出される撹拌混合後の現像剤を移送するためのロータリーフィーダ50と、現像剤を空気圧で現像槽30に向け移送するための現像剤循環駆動源に相当するエアポンプ51とを主要部として備えている。図2では、現像槽30がカートリッジ状に構成されている。
【0036】
現像槽30と現像剤収容部40とは、現像槽30内から接続されている現像剤回収流路41およびロータリーフィーダ50と現像槽30の上部に接続された現像剤供給流路42とで接続されて現像剤の循環路を構成し、循環路に設けられている部材を含めた循環部が構成されている。
【0037】
現像槽30に接続されている現像剤供給流路42は、図3において説明する現像装置内に装備されている搬送スクリューが用いられる現像剤供給部材32の軸方向一端に対峙するように接続されている。また、現像剤回収流路41は、現像槽30に設けられている今ひとつの搬送スクリューが用いられる現像剤回収部材33の軸方向で現像剤供給流路42が接続されている側に対応させて接続されている。
現像剤収容部40は、上部が円筒状であって、下部が下向き円錐状のサイロのような外観を呈しており、内部には、図4において詳述する攪拌部材が設けられている。
【0038】
現像剤収容部40の上部には、攪拌部材の駆動部をなす駆動モータ40Aおよび減速ギヤ群(図2では、ギヤ群を纏めて符号40Bで示している)が設けられている。
現像剤収容部40において攪拌混合された現像剤は、供給量を調整できるパドルを内部に備えて駆動モータ50Aにより回転駆動されるロータリーフィーダ50に給送され、この位置で供給量を調整される現像剤がエアポンプ51により生成されるエアにより現像槽30に向け搬送される。
【0039】
トナー供給部60は、新規トナーを収容しているトナータンク61と、このトナータンク61と現像剤収容部40との間に接続されている補給トナー搬送路62と補給トナー搬送路62内にて補給されたトナーをエア搬送するためのエアポンプ63とを備え、現像剤収容部40内でのトナー濃度の低下が検知されると新規トナーを現像剤収容部40内に供給するようになっている。
【0040】
図3は、図2において示した収容部40およびロータリーフィーダ50,そしてエアポンプ51を含む現像剤の攪拌および搬送機構を示す断面図である。
図3において、現像剤収容部40は、上部が円筒状で縦断面が下向き錐状をなす漏斗状の形状とされた容器43が用いられており、最下部に位置して最も小径の排出口400がロータリーフィーダ50に連通している。
現像剤収容部40の内部空間には、攪拌部材としてモータ40Aから垂下している回転軸44に一体化されているスクリュー44Aと、回転軸44により駆動される減速ギヤ群40Bの出力ギヤと連動可能な端板45の周方向に沿って複数は位置されて一体化されることにより回転可能な攪拌羽根45Aとが設けられている。
【0041】
モータ40Aからの回転は、回転軸44に連動するスクリュー44Aに伝達されると共に、回転軸44に連動可能な減速ギヤ群RGを介して端板45に伝達されることでスクリュー44Aとは異なる周速で回転するようになっている。
図3に示す構成では、スクリュー44Aが、現像剤を流下方向と逆方向に移動させるリード方向を設定され、攪拌羽根45Aが、流下する現像剤を横切って移動することで流下を抑制する方向に回転する。
【0042】
容器43の最下部に位置する排出口400に接続されているロータリーフィーダ50は、モータ50A(図2参照)の回転量に応じて現像剤の排出量を制御するために設けられており、モータ50Aの回転軸に固定されて放射状に延長された複数の羽根50B1を有するロータリーバルブ部材50Bを備えている。
【0043】
図4は、現像装置3に用いられている現像槽30の内部構造を示している。
図4において現像槽30の内部には、感光体ドラム1に対向して現像剤を担持する現像スリーブ31と、現像スリーブ31の近傍で上下に配置されて相反する方向のリード方向が設定されている搬送スクリューが用いられる現像剤供給部材32および現像剤回収部材33と、現像スリーブ31表面での現像剤担持量を規定する層厚規定部材であるドクターブレード34とが設けられている。
【0044】
現像剤供給部材32および現像剤回収部材33は、スクリューのリード方向が相反する方向に設定されると共に同じ方向に回転するようになっている。
この回転方向の設定により、図4において矢印Fで示すように、現像剤が現像剤供給部材32からドクターブレード34を経て感光体ドラム1に達し、感光体ドラム1に残った現像剤が現像剤回収部材33が配置されている空間内に移動することで双方の部材間で現像剤が混入しないようになっている。
【0045】
この構成においては、感光体ドラム1から回収された現像剤が現像スリーブ31に再度汲み上げられることはなく、前述した収容部40に回収されて攪拌された後、再度現像剤供給部材32側に供給されるので、画像形成対象となる用紙1ページ内での画像濃度のバラツキなどが発生しないようになっている。
【0046】
現像剤は、現像剤供給部32側において、図中手前から奥側に搬送され、この一部が、現像スリーブ31において磁力で吸い上げられて吸着されるとドクターブレード34で均一な厚さに均されてから、感光体ドラム1に接することで感光体ドラム1上の静電潜像をトナーで現像してトナー像が形成される。
【0047】
以上のような構成を対象として本発明の特徴について説明すると次の通りである。
本発明の特徴は、画像形成幅に体操した領域を対象として現像剤の汲み上げ幅を設定することを特徴としている、つまり、画像の形成幅に順じた現像剤担持体である現像スリーブ31の軸方向領域のみを対象として現像剤を供給するようになっている。
【0048】
現像スリーブ31での現像剤の汲み上げ幅は、現像部への現像剤供給量により決定される。特に、現像スリーブ31への現像剤の供給と回収とを別のスクリュー部材を用いて行うことにより、現像部への現像剤供給量が現像スリーブ31の軸方向全域を対象として汲み上げられる量(=現像スリーブ31の着磁幅×単位面積当たりの汲み上げ量×現像スリーブ31の線速)よりも少なくなると、現像剤供給部材32の軸方向で現像剤の移動方向下流側において現像剤が枯渇してしまい、現像スリーブ31への供給ができなくなり、結果として現像剤の汲み上げが不十分となる。
【0049】
本発明では、これを原理として、現像剤の汲み上げ幅を制御するようになっている。つまり、現像剤の供給量を制御することで、現像剤供給部材での現像剤の移動方向での供給量を変更することにより、現像スリーブ31への現像剤汲み上げ量を変化させて画像幅に対応する領域のみに現像剤を供給できるようにしている。
【0050】
ここで、現像剤の汲み上げ量に関し、図11に示す従来の構成を対象とした場合との違いを説明する。
従来の構成では、本発明における収容部40を備えていない点で構成上、相違している。従来の構成においては、スクリュー部材の回転数を下げることにより、所定時間内において、図11(B)に示すように、現像材供給部材Aの軸方向全域に亘って現像剤が移動している状態から、図11(C)に示すように、軸方向の一部の領域までしか移動しない状態が得られる。
【0051】
しかし、スクリュー部材の回転数を下げると、スクリュー部材により軸方向に押し動かされる現像剤のバランスが図11(B)に示した場合と違って崩れてしまい、現像剤が溢れたり、回収された現像剤が盛り上がりにより現像スリーブ側に汲み上げられてしまう虞がある。
【0052】
例えば、図11(B)、(C)に示すように、スクリュー部材の回転数を半分に下げると、供給側のスクリュー部材(便宜上、符号H1で示す)側での現像剤の移動方向上流側において、そして回収側のスクリュー部材(便宜上、符号H2で示す)側での現像剤移動方向下流側では現像剤が盛り上がりが大きくなって溢れ、現像部外に零れ落ちることになる。
【0053】
一方、汲み上げ幅を既存の層厚規定部材であるドクターブレードを移動させて現像スリーブとの対向間隙を変化させることも考えられるが、現像装置内を循環する現像剤の量が一定であることから、ドクターブレードにより現像スリーブから掻き落とされた現像剤が現像剤供給側のスクリュー部材側に戻されることになるので、スクリュー部材側の現像剤量が増加し、スクリュー部材の羽根により押し動かされると現像剤が凝縮された状態、いわゆる、圧密状態で攪拌されることになる。これにより現像剤へのストレス増加を来す結果となる。このことは、ドクターブレードによる摺擦を低減して現像剤へのストレス増加を低減して現像剤の劣化を防ぐことにはならない結果となる。
【0054】
このように、従来の構成においては、現像装置内での現像剤の供給制御を行うことが前提となっているために、現像装置内の部材を用いて汲み上げ幅を制御することは困難であるといえる。
これに対し本発明では、現像部への現像剤供給量を現像部とは別に設けられている収容攪拌部において現像剤の嵩を上下させることで吸収しているので現像部での材の嵩を安定されることができ、上述した問題の発生はない。
【0055】
以下に本発明の第1実施例について説明する。
本発明では、前述した原理に基づき、現像剤の供給を制御するに際して、循環部に装備されているロータリーフィーダ50とエアポンプ51とが用いられ、ロータリーフィーダ50の回転数制御により供給量を調整する場合には、エアポンプ51でのエアの流量は一定としてロータリーフィーダ50の回転数を下げる。
【0056】
ロータリーフィーダ50の回転数が通常の半分に低下すると、現像部への現像剤の供給量の半減し、現像スリーブの軸方向での現像剤の汲み上げ幅も、軸方向に沿った現像剤の移動方向下流側での現像剤の枯渇により半分になる。
ロータリーフィーダ50は、回転数と供給量との関係が比例関係にあるので供給量の制御が容易である。
【0057】
一方、エアポンプでの流量により現像剤の供給量を制御する場合には、エアポンプ51の出力制御によりエア、つまりエアの流量を制御することになる。
エアで供給量の調整を行うと、ロータリーフィーダ50の回転数で調整した場合に比べ現像部へのエアの流入が少ないので現像部の内圧上昇が少ない。供給量が少ない場合にドクタギャップからの現像剤やトナーの飛散が少ない効果もある。
さらに、エアの流量とロータリーフィーダの回転数の両方を調整すれば搬送経路42内での現像剤の量とエア流量の割合を常に一定に保つことができるので、最もエネルギー効率のよい条件で搬送が行えるという効果が得られる。
【0058】
供給量を設定された現像剤は、現像剤供給部材32から現像剤担持体31に移動し、ドクターブレード34により層厚を規定されることで汲み上げ量が設定され、画像幅に対応した領域への汲み上げ幅で担持される。
【0059】
以上のような構成による作用について、図5を用いて説明すると次の通りである。
図5において(A)は、現像スリーブ31の軸方向における全域に画像がある場合であり、(B)は画像幅が半分である場合や現像スリーブ31の軸方向で半分の幅を持つ用紙への印刷を行う場合を示している。
現像スリーブ31の全面に画像がある場合には、図5(A)に示すように、図中、左側の供給口から供給された現像剤が現像剤供給部材32の軸方向で供給口と反対側の端部まで搬送され、現像スリーブ31の全幅領域で均一に汲み上げが可能な量を担持している。
【0060】
一方、現像スリーブ31の片側半分のみに画像がある場合、あるいは、現像スリーブの軸方向半分の幅を持つ用紙に印刷を行う場合には、現像剤の供給量を半分に制御する。
図5(B)に示すように、現像剤の供給量が半分とされることにより、現像剤供給部材での現像剤の搬送量が半減することになるので、図中、左側の供給口から供給された現像剤は、現像剤供給部材の軸方向中央部よりも右側で枯渇し、結果的に、左側半分の領域において現像スリーブ31に汲み上げられることになる。
【0061】
以上のように供給量の制御により現像剤の汲み上げ状態を画像形成状態に応じて設定することができるので、非画像形成領域への現像剤の汲み上げが行われない分、現像剤がドクターブレードにより摺擦されるのを低減することができ、現像剤の劣化を抑制することができる。
【0062】
現像剤の供給量制御に関しては、ロータリーフィーダ50のモータ50Aおよびエアポンプ51の駆動源に対する駆動制御を行う制御部が用いられる。
制御部では、用紙幅や感光体ドラム1に形成される画像幅を画像情報や操作パネルからの用紙選択情報等により判別し、判別結果に基づき、現像剤の汲み上げ幅を割り出し、その汲み上げ幅に対応するように現像剤の供給量を設定すべく、モータ50Aあるいはエアポンプ51の駆動状態を調整する。
【0063】
制御部では、汲み上げ幅を設定するための供給量制御の時期として、図6に示すように、画像位置間に対応する用紙間で行う。つまり、同じ画像を連続して印刷する場合には、画像形成開始時点で画像形成幅に対応した汲み上げ幅を設定するように供給量が設定され、現段階で継続されている画像形成処理が所定枚数に達するまでのジョブ終了までの間、設定された供給量で現像剤を循環させる。
【0064】
一方、異なる画像を形成する場合には、画像が切り替わる時の紙間を利用して設定された供給量になるようにロータリーフィーダ50あるいはエアポンプの駆動形態を調整する。このように、用紙の紙間を利用して供給量の調整を行うことで、画像形成タイミングへの影響はほとんどない状態を得ることができる。
【0065】
次に本発明の第2実施例について説明する。
本実施例の特徴は、現像剤供給部材31での現像剤の搬送方向を区分したことにある。
図7において、現像スリーブ31に対峙する現像剤供給部材32は、軸方向中央を境にしてスクリューのリード方向が相反する方向に設定されており、さらに詳しくは、軸方向中央から軸方向端部に向けて現像剤を搬送できるリード方向に設定されている。
現像剤の供給口は現像剤供給部材32における軸方向中央に設定されている(図中、矢印で示す位置)。
本実施例は、以上のような構成であるから、現像剤供給部材32の回転により軸方向中央から供給された現像剤は、軸方向中央から軸端に向け移動することができる、これにより、全面での画像形成に際しては、図7に示すように、画像形成幅に対応する汲み上げ幅が得られるように供給量を設定されることで全面に亘って現像剤が行き渡ることになる。
【0066】
一方、現像剤供給部材32の軸方向中央を基準として、現像スリーブ31の軸方向での幅よりも小さいサイズの用紙を対象として画像形成する場合には、その画像形成幅に対応する汲み上げ幅が得られる供給量が設定された現像剤が軸方向中央から軸単に向け移動するが、図8に示すように、供給量の設定により軸端側では現像剤が枯渇することにより画像形成幅に対応する領域にも現像剤が汲み上げられることなる。
以上のような実施例によれば、現像剤供給部材32のスクリューの構成を変えるだけで、現像剤担持体の軸方向中央部付近のみあるいは軸方向中央を基準とした小サイズの用紙に対応した汲み上げ状態が得られることになる。
【0067】
次に本発明の第3実施例について説明する。
本実施例は、現像剤担持体の軸方向において片側のみの画像形成幅である場合にも対処できる点に特徴がある。
つまり、現像剤供給部材32に対する供給口の位置が軸方向で変位できるように設けられている。
【0068】
供給口の変位量としては、図9において矢印で示すように、現像剤供給部材32の軸方向中央を基準として、いずれかのスクリュー部材に有する羽根の一つ(1ピッチ分)に対向できる量とされている。
これにより、供給口の位置を設定することにより、これに対向しているスクリュー部材に現像剤が導入されることになり、現像スリーブ31の軸方向中央を境に左右いずれか片側への現像剤の搬送が可能となる。この場合、軸方向中央を基準として供給口から現像剤を導入できることは勿論である。
【0069】
次の本発明の第4実施例について説明する。
本実施例の特徴は、現像剤供給部材として、供給量を変更できるパイプを用いた点にある。
【0070】
図10において、現像剤担持体に代えて軸方向に沿って複数の供給孔32A’が形成された供給用パイプ32’が現像剤供給流路42に接続されている。
供給用パイプ32’の供給孔32A’は、現像スリーブ31の上周面に対向して配置されており、現像スリーブ31に供給された現像剤が現像スリーブ31に担持されてドクターブレード34により層厚を規定されて感光体ドラムに汲み上げられる。
【0071】
供給パイプ32’内の現像剤は、エアポンプ51による気流搬送が行われる。
エアポンプ51のエア流量の制御により供給歩AI婦32’内を移動する現像剤の供給量が制御されることに杏里、例えば、エア流量を低減させると供給用パイプ32’内の現像剤の供給量が減少して供給用パイプ32’の供給側と反対側で現像剤が枯渇することになるので汲み上げ幅が小さくなる。
【0072】
図10に示す実施例では、汲み上げ量をドクターブレード34により行う例が示されているが、供給孔32A’野開口面積を調整して供給される現像剤の量を汲み上げ量と等しくなるように設定すればドクターブレード34を不要にできる。
現像剤供給流路42内の現像剤搬送に用いられるエアの流速は、1〜2m/s程度あり、この流速は、スクリュー部材を用いた場合の剤搬送速度よりも高速であるので、供給量変更後、汲み上げ幅が安定するまでの時間を早くすることができる。このため、汲み上げ幅の変更を迅速に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
3 現像装置
30 現像部
31 現像スリーブ
32 現像剤供給部材
33 現像剤回収部材
34 ドクターブレード
40 現像剤収容部
41 現像剤回収搬流路
42 現像剤供給流路
50 ロータリーフィード
51 エアポンプ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開昭61−190364号公報
【特許文献2】特許第4105506号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を潜像担持体に対して供給する現像剤担持体と、該現像剤担持体に二成分系現像剤を供給する現像剤供給部材と、現像剤担持体からの二成分系現像剤を回収する現像剤回収部材と、該現像剤回収部材から回収された二成分系現像剤を収容可能であって前記現像剤供給部材に向け二成分系現像剤を供給可能な収容部とを備え、
前記現像剤担持体は、前記潜像担持体上に形成される画像の幅に応じて、該画像の幅に対応する二成分系現像剤の汲み上げ幅を制御されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体への二成分系現像剤の汲み上げ量は、前記現像剤担持体とこれに対向して配置されている層厚規制部材との間の対向間隙により設定されることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体への二成分系現像剤の汲み上げ量は、前記現像剤担持体に対する現像剤供給開口の面積によって設定されることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項4】
前記二成分系現像剤の汲み上げ幅は、前記現像剤供給部材に対する二成分系現像剤の供給量を制御することにより設定されることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤供給部材への現像剤供給部には、前記収容部から該現像剤供給部材の配置位置までの搬送路に接続されているロータリーフィーダとエアポンプとが設けられ、前記現像剤の供給量は前記ロータリーフィーダの回転制御により設定されることを特徴とする請求項4記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤供給部材への現像剤供給部には、前記収容部から該現像剤供給部材の配置位置までの搬送路に接続されているロータリーフィーダとエアポンプとが設けられ、前記現像剤の供給量は前記エアポンプのエア流量により設定されることを特徴とする請求項4記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤供給部材は、軸方向に現像剤を搬送可能なスクリュー部材が用いられ、該軸方向中央を境にしてスクリューのリード方向が逆方向に設定され、前記現像剤が軸方向中央から供給される構成であることを特徴とする請求項4乃至6のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤供給部材に用いられるスクリュー部材は、軸方向中央を境にして軸方向中央から端部に向け現像剤を搬送できる回転方向が設定されていることを特徴とする請求項7記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤供給部材に対する現像剤供給位置は、前記軸方向中央から両端部に向けて変更可能であることを特徴とする請求項7または8記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像剤供給部材に対する現像剤の供給量は、画像位置間に相当する紙間に設定されることを特徴とする請求項4乃至8のうちの一つに記載の現像装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちの一つに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−191696(P2011−191696A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59933(P2010−59933)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】