説明

現像装置とこれを用いる画像形成装置

【課題】現像装置における現像剤にかかるストレスを緩和して、現像剤の磨耗を抑制でき、安定した画質の画像が得られる現像装置とこれを用いる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像槽111と、現像ローラ114と、現像ローラ114による現像剤の供給量を規制するドクターブレード116とを備え、現像ローラ114は、現像スリーブ119と、複数の磁極を有するマグネットローラ120とを備える現像装置2において、マグネットローラ120は、現像剤の汲み上げ位置に電磁石を用いて構成される第1磁極120aと、第1磁極120aの現像スリーブ119の回転方向下流側に隣接して設けられ、画像形成時における第1磁極120aの極性と異なる極性を有する第2磁極120bとを備え、第1磁極120aを、非画像形成時における極性が第2磁極120bの極性と同じとすることを特徴とするものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置とこれを用いる画像形成装置に係り、特に、電子写真方式によりトナーを用いて画像形成を行う静電複写機、レーザープリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に採用されてトナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤を用いた現像装置とこれを用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置が知られている。電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラム(トナー像担持体)の表面に静電潜像を形成し、現像装置によって感光体ドラムに対してトナーを供給して前記静電潜像を現像し、現像によって感光体ドラムに形成されたトナー像を用紙等のシートに転写して、定着装置によってシートにトナー像を定着させるようになっている。
【0003】
近年、フルカラー化や高画質化に対応した画像形成装置では、トナーの帯電安定性に優れる2成分現像剤(以下、単に「現像剤」と称する。)がよく使用されている。
【0004】
この現像剤は、トナーとキャリアとからなり、それらを現像装置内で撹拌することによりトナーとキャリアとが摩擦し、この摩擦によって適正に帯電したトナーが得られる。
【0005】
現像装置において、帯電したトナーは、現像剤担持部材、例えば、現像ローラの表面に供給される。この現像ローラに供給されたトナーは、静電的吸引力によって感光体ドラムに形成された静電潜像に移動する。これにより、感光体ドラム上に静電潜像に基づいたトナー像が形成される。
【0006】
さらに、最近では、画像形成装置の高画質化や省エネルギー化が要求されており、30〜50μmの小粒径キャリアや5〜7μmの軟化温度の低い小粒径トナーが使用されるようになってきている。このような現像剤は、熱やストレスによって凝集しやすいといった問題がある。
【0007】
そこで、上記問題に対して、現像装置における現像剤にかかるストレスを緩和させる方法として、例えば、現像ローラ内に設けられる現像剤を汲み上げる汲み上げ磁極と対向する位置に、汲み上げ磁極とは逆極性となる磁極を形成する電磁石を配置し、非画像形成時において、電磁石の電流量を低減することによって、現像剤にかかるストレスを低減するようにしたものが提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−243113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の方法では、電磁石に現像剤が吸着されるため、現像剤が流動しにくいという問題があった。また、電磁石と汲み上げ磁極との間で形成される磁力線によって、現像ローラで搬送される現像剤が発熱し、現像剤の流動性が極端に低下する現象が発生するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、現像装置における現像剤にかかるストレスを緩和して、現像剤の磨耗を抑制でき、安定した画質の画像が得られる現像装置とこれを用いる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明に係る現像装置とこれを用いる画像形成装置は、次の通りである。
【0012】
本発明は、トナーとキャリアとを含む現像剤を収容する現像槽と、前記現像槽内の現像剤を汲み上げてその現像剤に含まれるトナーを感光体ドラムへ供給する現像ローラと、前記現像ローラにより搬送される現像剤の供給量を規制する規制部材とを備え、前記現像ローラは、前記現像槽に対して回転自在に設けられる円筒状の現像スリーブと、前記現像槽に対して非回転に設けられる複数の磁極を有するマグネットローラとを備える現像装置において、前記マグネットローラの構成として、前記現像剤の汲み上げ位置に電磁石を用いて構成される第1磁極と、前記第1磁極の現像スリーブ回転方向下流側に隣接して設けられ、画像形成時における前記第1磁極の極性と異なる極性を有する第2磁極とを備え、前記第1磁極を、非画像形成時における磁束密度を画像形成時における磁束密度より小さく、または、非画像形成時における極性を前記第2磁極の極性と同じとすることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、前記第1磁極を電磁石に加えて永久磁石を用いて構成し、前記永久磁石の極性を画像形成時における前記第2磁極の極性と異なるものとすることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記第1磁極を前記永久磁石の両側を前記電磁石で挟むように構成する、いわゆるサンドイッチ構造で構成することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラム表面を帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラム表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備えて、電子写真方式によりトナーを用いて画像を形成する画像形成装置において、前記現像装置として、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の現像装置を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トナーとキャリアとを含む現像剤を収容する現像槽と、前記現像槽内の現像剤を汲み上げてその現像剤に含まれるトナーを感光体ドラムへ供給する現像ローラと、前記現像ローラにより搬送される現像剤の供給量を規制する規制部材とを備え、前記現像ローラは、前記現像槽に対して回転自在に設けられる円筒状の現像スリーブと、前記現像槽に対して非回転に設けられる複数の磁極を有するマグネットローラとを備える現像装置において、前記マグネットローラの構成として、前記現像剤の汲み上げ位置に電磁石を用いて構成される第1磁極と、前記第1磁極の現像スリーブ回転方向下流側に隣接して設けられ、画像形成時における前記第1磁極の極性と異なる極性を有する第2磁極とを備え、前記第1磁極を、非画像形成時における磁束密度を画像形成時における磁束密度より小さく、または、非画像形成時における極性を前記第2磁極の極性と同じとすることで、反発磁界(第1磁極と第2磁極の間で磁力線が現像ローラから逃げる状態)が生まれ、現像剤が現像ローラから剥離することにより、規制部材に搬送される現像剤を減少することができる。その結果、現像剤が規制部材で規制される際に受けるストレスを緩和でき、現像剤の磨耗を抑制できるので、安定した画質の画像を得ることができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記第1磁極を電磁石に加えて永久磁石を用いて構成し、前記永久磁石の極性を画像形成時における前記第2磁極の極性と異なるものとすることで、画像形成時において、前記永久磁石の磁力を補助的に使用することができるため、前記電磁石の電力消費量を低減できる。
【0018】
また、本発明によれば、前記第1磁極を前記永久磁石の両側を前記電磁石で挟むように構成する、いわゆるサンドイッチ構造で構成することで、非画像形成時において、前記電磁石が永久磁石と異なる磁界を発生させることにより、前記永久磁石から第2磁極へ向かう磁力線を効果的に遮断できる。
【0019】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラム表面を帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラム表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備えて、電子写真方式によりトナーを用いて画像を形成する画像形成装置において、前記現像装置として、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の現像装置を用いることで、前記現像装置を構成する現像ローラにより搬送される現像剤が受けるストレスを緩和して、現像剤の磨耗を抑制できるので、長期に渡って安定した画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る現像装置が用いられた画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図2】前記画像形成装置を構成するトナー補給装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2のC−C断面矢視図である。
【図4】前記画像形成装置を構成する現像装置の構成を示す断面図である。
【図5】図4のA−A断面矢視図である。
【図6】図4のB−B断面矢視図である。
【図7】前記現像装置における現像ローラを構成する電磁石(第1磁極)の通電時(通常の画像形成時)の状態を示す説明図である。
【図8】前記電磁石(第1磁極)の非通電時(非画像形成時)の状態を示す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の第1実施形態に係る現像装置が用いられた画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【0022】
第1実施形態は、図1に示すように、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム3と、感光体ドラム3表面を帯電させる帯電器(帯電装置)5と、感光体ドラム3表面に静電潜像を形成する露光ユニット(露光装置)1と、感光体ドラム3表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置2と、現像装置2にトナーを補給するトナー補給装置22と、感光体ドラム3表面のトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルトユニット(転写装置)8と、トナー像を記録媒体に定着させる定着ユニット(定着装置)12とを備え、電子写真方式によりトナーを用いて画像を形成する画像形成装置100において、現像装置2として、本発明に係る現像装置の構成を採用したものである。
【0023】
この画像形成装置100は、外部から伝達される画像データに応じて所定のシート(記録用紙,記録媒体)に多色または単色の画像を形成するものである。なお、画像形成装置100の上方にスキャナ等を備えてもよい。
【0024】
まず、画像形成装置100の全体構成について説明する。
画像形成装置100は、図1に示すように、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の色成分毎の画像データが取り扱われ、黒画像、シアン画像、マゼンタ画像、イエロー画像が形成され、各々の色成分の画像を重畳することによってカラー画像が形成されるようになっている。
【0025】
したがって、画像形成装置100においては、図1に示すように、各色成分の画像が形成されるように、現像装置2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,4d)がそれぞれ4個ずつ設けられている。言い換えると、現像装置2と感光体ドラム3と帯電器5とクリーナユニット4とを1つずつ含む画像形成ステーション(画像形成部)が4つ設けられることになる。
【0026】
なお、上記a〜dの符号は、aが黒画像形成用の部材、bがシアン画像形成用の部材、cがマゼンタ画像形成用の部材、dがイエロー画像形成用の部材であることを示したものである。また、画像形成装置100には、露光ユニット1、定着ユニット12、シート搬送路S、給紙トレイ10及び排紙トレイ15が備えられている。
【0027】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。
帯電器5としては、図1に示す接触ローラ型の帯電器の他、接触ブラシ型の帯電器、或いは非接触チャージャー型の帯電器などが使用されることもある。
【0028】
露光ユニット1は、図1に示すように、レーザ照射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。但し、レーザスキャニングユニット以外に、発光素子をアレイ状に並べたEL(エレクトロルミネッセンス)やLED書込みヘッドを露光ユニット1とすることもできる。露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0029】
現像装置2は、感光体ドラム3に形成された静電潜像をK,C,M,Yのいずれかのトナーにより顕像化する(現像する)ものである。現像装置2(2a,2b,2c,2d)の上部には、トナー移送機構102(102a,102b,102c,102d)、トナー補給装置22(22a,22b,22c,22d)、現像槽(現像剤収容部)111(111a,111b,111c,111d)を備えている。
【0030】
トナー補給装置22は、現像槽111よりも上方に配され、未使用トナー(粉体状のトナー)を貯蔵している。トナー補給装置22から現像槽111へトナー移送機構102を介してトナーが供給されるようになっている。
【0031】
クリーナユニット4は、現像及び画像転写工程後に感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。
【0032】
感光体ドラム3の上方には中間転写ベルトユニット8が配置されている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73、及び中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0033】
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73は、中間転写ベルト7を張架し、図1の矢印B方向に中間転写ベルト7を回転駆動させるものである。
【0034】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構73における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。中間転写ローラ6には感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスが印加されている。
【0035】
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。中間転写ベルト7上には、感光体ドラム3に形成された各色成分のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト7は、厚さが例えば100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0036】
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0037】
中間転写ローラ6は、直径が例えば8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のもの(中間転写ローラ6)を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0038】
上述のように各感光体ドラム3上の静電潜像は各色成分に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト7上に重ねて合わされ積層される。このように、積層されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって、搬送されてきた用紙と中間転写ベルト7との接触位置(転写部)に移動し、この位置に配置されている転写ローラ11によって用紙上に転写される。この場合、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナー像を用紙に転写させるための電圧が印加される。この電圧は、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
【0039】
上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方は金属等の硬質材料から形成され、他方は弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)から形成される。
【0040】
中間転写ベルト7と感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、及び中間転写ベルト7から用紙へのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。
【0041】
中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触するクリーニングブレード(クリーニング部材)が備えられている。中間転写ベルト7におけるクリーニングブレードに接触している部分は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72にて支持されている。
【0042】
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシート(例えば記録用紙)を蓄積しておくためのものであり、画像形成部及び露光ユニット1の下側に設けられている。一方、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのものである。
【0043】
また、画像形成装置100には、給紙トレイ10のシート及び手差しトレイ20のシートを転写部や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に案内するためのシート搬送路Sが設けられている。なお、転写部は中間転写ベルト駆動ローラ71と転写ローラ11との間に位置する。
【0044】
さらに、シート搬送路Sには、ピックアップローラ16(16a,16b)、レジストローラ14、転写部、定着ユニット12、搬送ローラ25(25a〜25h)等が配置されている。
【0045】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16aは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。ピックアップローラ16bは、手差しトレイ20の近傍に備えられ、手差しトレイ20からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持し、中間転写ベルト7上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写部に搬送するものである。
【0046】
定着ユニット12は、ヒートローラ81及び加圧ローラ82等を備え、これらヒートローラ81及び加圧ローラ82はシートを挟んで回転する。ヒートローラ81は、所定の定着温度となるように制御部(図示せず)によって制御される。この制御部は温度検出器(図示せず)からの検出信号に基づいてヒートローラ81の温度を制御する。
【0047】
ヒートローラ81は、加圧ローラ82とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写されている各色トナー像を溶融、混合、圧接させ、シートに対して熱定着させる。なお、多色トナー像(各色トナー像)が定着されたシートは、複数の搬送ローラ25によってシート搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態(多色トナー像を下側に向けた状態)にて、排紙トレイ15上に排出される。
【0048】
次に、シート搬送路Sによるシート搬送動作について説明する。
画像形成装置100には、図1に示すように、上述したように予めシートを収納する給紙トレイ10、及び少数枚の印字を行う場合等に使用される手差しトレイ20が配置されている。これら両トレイには各々ピックアップローラ16(16a,16b)が配置され、これらピックアップローラ16によってシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給するようになっている。
【0049】
片面印字の場合は、給紙トレイ10から搬送されるシートは、シート搬送路S中の搬送ローラ25aによってレジストローラ14まで搬送され、レジストローラ14によりシートの先端と中間転写ベルト7上の積層されたトナー像の先端とが整合するタイミングで転写部(転写ローラ11と中間転写ベルト7との接触位置)に搬送される。転写部ではシート上にトナー像が転写され、このトナー像は定着ユニット12にてシート上に定着される。その後、シートは、搬送ローラ25bを経て排紙ローラ25cから排紙トレイ15上に排出される。
【0050】
また、手差しトレイ20から搬送されるシートは、複数の搬送ローラ25(25f,25e,25d)によってレジストローラ14まで搬送される。それ以降のシート搬送動作は、上述した給紙トレイ10から供給されるシートと同様の経過を経て排紙トレイ15に排出される。
【0051】
一方、両面印字の場合は、上記のようにして片面印字が終了し定着ユニット12を通過したシートは、後端が排紙ローラ25cにてチャックされる。次に、シートは、排紙ローラ25cが逆回転することによって搬送ローラ25g,25hに導かれ、再びレジストローラ14を経て裏面印字が行われた後に、排紙トレイ15に排出される。
【0052】
次に、第1実施形態のトナー補給装置22の構成について具体的に説明する。
図2は第1実施形態に係る画像形成装置を構成するトナー補給装置の概略構成を示す断面図、図3は図2のC−C断面矢視図である。
【0053】
トナー補給装置22は、図2に示すように、トナー収容容器121、トナー攪拌部材125、トナー排出部材122およびトナー排出口123を含む。トナー補給装置22は、現像槽111の上側に配され、未使用トナー(粉体状のトナー)を貯蔵している。トナー補給装置22内のトナーは、トナー排出部材(排出スクリュー)122を回転させることによって、トナー排出口123からトナー移送機構102を介して現像槽111へ供給されるようになっている。
【0054】
トナー収容容器121は、内部空間を有するほぼ半円筒状の容器部材であり、トナー攪拌部材125、トナー排出部材122を回転自在に支持し、トナーを収容する。トナー排出口123は、トナー排出部材122の下部、軸方向中央部よりに設けられる略長方形の開口部であり、トナー移送機構102を臨む位置に配置される。
【0055】
トナー攪拌部材125は、回転軸125aを中心に回転することにより、トナー収容容器121内に収容されるトナーを攪拌しながら、トナー収容容器121内のトナーを汲み上げてトナー排出部材122へ搬送する板状の部材で、先端にトナー汲み上げ部材125bを備える。トナー汲み上げ部材125bは、可撓性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)シートからなり、トナー攪拌部材125の両端に取付けられる。
【0056】
トナー排出部材122は、トナー収容容器121内のトナーをトナー排出口123から現像槽111に供給するもので、図3に示すように、トナー搬送羽根122aとトナー排出部材回転軸122bとを含むスクリューオーガで構成されている。トナー排出部材122は、トナー排出部材駆動モータ134によって回転駆動されるようになっている。スクリューオーガの向きは、トナー排出部材122の軸方向両端からトナー排出口123側に向けて、トナーが搬送されるように設定されている。
【0057】
トナー排出部材122とトナー攪拌部材125との間には、トナー排出部材隔壁124が設けられる。これによって、トナー攪拌部材125によって汲み上げられたトナーがトナー排出部材122の周辺に適量のトナーを保持できる。
【0058】
トナー攪拌部材125は、図2に示すように、矢印Z方向に回転してトナーを撹拌し、トナー排出部材122の方へ汲み上げる。このとき、トナー汲み上げ部材125bは、その可撓性によってトナー収容容器121の内壁に沿って摺動して変形しつつ回転し、トナーをトナー排出部材122側に供給する。そして、トナー排出部材122が回転することにより、供給されたトナーをトナー排出口123へと導くようになっている。
【0059】
次に、第1実施形態の特徴的な現像装置2について図面を参照して説明する。
図4は第1実施形態に係る画像形成装置を構成する現像装置の構成を示す断面図、図5は図4のA−A断面矢視図、図6は図4のB−B断面矢視図である。
【0060】
第1実施形態の現像装置2は、図4に示すように、現像槽111内に、感光体ドラム3と対向するように配置された現像ローラ114を有し、現像ローラ114によって感光体ドラム3の表面にトナーを供給して、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を顕像化する(現像する)装置である。
【0061】
現像装置2は、現像ローラ114の他に、現像槽111、現像槽カバー115、トナー補給口115a、ドクターブレード116、第1搬送部材112、第2搬送部材113、仕切り板(仕切り壁)117、透磁率センサ118を備えている。
【0062】
現像槽111は、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤(以下、単に「現像剤」と称する。)を収容する槽である。また、現像槽111には、現像ローラ114、第1搬送部材112、第2搬送部材113等が配設されている。なお、第1実施形態のキャリアは、磁性を有する磁性キャリアである。
【0063】
また、現像槽111の上側には、図4に示すように、取り外し可能な現像槽カバー115が設けられている。さらに、現像槽カバー115には、現像槽111内に未使用のトナーを補給するためのトナー補給口115aが形成されている。
【0064】
そして、図1に示すように、トナー補給装置22に収容されているトナーは、トナー移送機構102及びトナー補給口115aを介して現像槽111内に移送され、これにより現像槽111にトナーが補給されるようになっている。
【0065】
現像槽111には、図4,図5に示すように、第1搬送部材112と第2搬送部材113との間に仕切り板117が配設されている。仕切り板117は、第1搬送部材112及び第2搬送部材113の各軸方向(各回転軸方向)に平行に延設されている。現像槽111の内部は、仕切り板117によって、第1搬送部材112が配されている第1搬送路Pと、第2搬送部材113が配されている第2搬送路Qとに区画される。
【0066】
仕切り板117は、第1搬送部材112及び第2搬送部材113の各軸方向の両端部において、現像槽111の内側の壁面から離間して配置されている。これにより、現像槽111には、第1搬送部材112及び第2搬送部材113の各軸方向の両端部付近において、第1搬送路Pと第2搬送路Qとを連通する連通路が形成されている。以下では、図5に示すように、矢印X方向側に形成されている連通路を第1連通路a、矢印Y方向側に形成されている連通路を第2連通路bと称する。
【0067】
第1搬送部材112及び第2搬送部材113は、互いの周面同士が仕切り板117を介して対向するように且つ互いの軸同士が平行になるように並列され、互いに逆方向に回転するように設定されている。そして、第1搬送部材112は、図5に示すように、矢印X方向に現像剤を搬送し、第2搬送部材113は、矢印X方向とは逆の矢印Y方向に現像剤を搬送するように設定されている。
【0068】
第1搬送部材112は、図5に示すように、螺旋状の第1搬送羽根112aと第1回転軸112bからなるスクリューオーガにより構成されている。第2搬送部材113は、図5に示すように、螺旋状の第2搬送羽根113aと第2回転軸113bからなるスクリューオーガにより構成されている。第1搬送部材112及び第2搬送部材113は、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動することにより現像剤を撹拌すると共に搬送するようになっている。
【0069】
現像ローラ114は、図4に示すように、感光体ドラム3に対向して配置され、感光体ドラム3に対して間隙を有して離隔するように設けられる。現像ローラ114で搬送される現像剤は最近接部分で感光体ドラム3と接触する。この接触領域が現像ニップ部Nであり、現像ニップ部Nでは、現像ローラ114に接続される図示しない電源から現像ローラ114に対して現像バイアス電圧が印加され、現像ローラ114表面の現像剤から感光体ドラム3表面の静電潜像へトナーが供給される。
【0070】
ここで、第1実施形態の特徴的な現像ローラ114の構成について詳細に説明する。
現像ローラ114は、図4に示すように、主に現像スリーブ119とマグネットローラ120とからなり、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動して、現像槽111内の現像剤を現像スリーブ119の表面に汲み上げて担持し、その表面に担持されている現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム3に供給するものである。
【0071】
現像スリーブ119は、現像ローラ114の外周部を構成するアルミ製の円筒状部材で、マグネットローラ120の外側を一方向(図4においては時計回り)に回転することによって、マグネットローラ120の磁力を頼りに現像剤を保持しながら搬送する。
【0072】
マグネットローラ120は、5つの磁極(第1磁極120a〜第5磁極120e)を備え、現像槽111に対して非回転に固定されている。
【0073】
第1磁極120aは、現像槽111内で攪拌・搬送される現像剤と対向する位置、具体的には第2搬送部材113に対向する位置に設けられ、第2搬送部材113により攪拌・搬送される現像剤を汲み上げるための汲み上げ用磁極である。この第1磁極120aは電磁石で構成され、通電時にS極となるように構成されている。
【0074】
通常の画像形成動作中においては、第1磁極120aの現像スリーブ119側の極性がS極となる向きに、図示しない電源から電流が流れるようになっており、形成された磁力線により現像槽111内の現像剤を現像ローラ114側に汲み上げる。
【0075】
第2磁極120bは、第1磁極120aの現像スリーブ119の回転方向(図4において時計回り)下流側の隣に設けられている。この第2磁極120bは永久磁石で構成され、N極とされている。
【0076】
第2磁極120bの現像スリーブ119側の磁極を、第1磁極120aの現像スリーブ119側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはN極)とすることにより、現像スリーブ119上において第2磁極120bと第1磁極120aとの間で磁力線を形成して、第1磁極120aで汲み上げた現像剤が現像スリーブ119上から落下しないようにしている。
【0077】
第3磁極120cは、第2磁極120bの現像スリーブ119の回転方向下流側の隣に設けられている。この第3磁極120cは永久磁石で構成され、S極とされている。第1実施形態では、第3磁極120cは、感光体ドラム3に対向して配設される主磁極として作用する。
【0078】
第3磁極120cの現像スリーブ119側の磁極を、第2磁極120bの現像スリーブ119側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはS極)とすることにより、現像スリーブ119上において第3磁極120cと第2磁極120bとの間で磁力線を形成して、第2磁極120bで保持されている現像剤が現像スリーブ119上から落下しないようにしている。
【0079】
第4磁極120dは、第3磁極120cの現像スリーブ119の回転方向下流側の隣に設けられている。この第4磁極120dは永久磁石で構成され、N極とされている。
【0080】
第4磁極120dの現像スリーブ119側の磁極を、第3磁極120cの現像スリーブ119側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはN極)とすることにより、現像スリーブ119上において第4磁極120dと第3磁極120cとの間で磁力線を形成して、第3磁極120cで保持されている現像剤が現像スリーブ119上から落下しないようにしている。
【0081】
第5磁極120eは、第4磁極120dの現像スリーブ119の回転方向下流側の隣に設けられている。この第5磁極120eは永久磁石で構成され、S極とされている。
【0082】
第5磁極120eの現像スリーブ119側の磁極を、第4磁極120dの現像スリーブ119側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはS極)とすることにより、現像スリーブ119上において第5磁極120eと第4磁極120dとの間で磁力線を形成して、第4磁極120dで保持されている現像剤が現像スリーブ119上から落下しないようにしている。
【0083】
一方、第1磁極120aの現像スリーブ119側の磁極と第5磁極120eの現像スリーブ119側の磁極とが同じ(本実施形態においてはS極)となることから、現像スリーブ119上において第4磁極120dと第3磁極120cとの間で磁力線が形成されない(反発磁界が形成される)ので、第3磁極120cで保持されていた現像剤が現像スリーブ119上から落下するようにしている。
【0084】
以上のような構成により、第1実施形態においては、現像ローラ114は、通常の画像形成動作中は、第1磁極120aの現像スリーブ119側の極性が、第2磁極120bの極性(N極)と異なる極性(S極)となる向きに電流を流して現像剤を汲み上げているのに対して、非画像形成動作中は、現像槽111内の現像剤を汲み上げないように、第1磁極120aへの通電を停止することによって現像剤の搬送量を少なくするようにしている。
【0085】
現像剤の搬送量(汲み上げ量)を少なくする方法としては、上記以外にも、第1磁極120aの磁束密度が、非画像形成時において画像形成時より小さくなるように通電する方法や、あるいは、第1磁極120aと第2磁極120b間で反発磁界を形成させるために、第1磁極120aの極性が第2磁極120bの極性(N極)と同じ極性になるように第1磁極120aに通電することによって、現像スリーブ119で搬送される現像剤の搬送量を低減するようにしても良い。
【0086】
尚、第1実施形態において、非画像形成動作中とは、現像ローラ114、第1搬送部材112および第2搬送部材113などが回転しているが、感光体ドラム3に静電潜像が形成されていない状態を言う。
【0087】
現像ローラ114の表面に近接する位置には、ドクターブレード116が配されている。ドクターブレード116は、図4に示すよう、現像ローラ114の軸線方向に平行に延びる板状部材であり、現像ローラ114の鉛直方向下方において、その短手方向の一端が現像スリーブ119表面に対して所定の間隙(ドクターギャップ)を形成するように、現像槽111側に固定されている。
【0088】
第1実施形態では、ドクターブレード116の中心と現像ローラ114の回転軸を通る直線は、第1磁極120aの中心を通る直線と第2磁極120bの中心を通る直線とのほぼ中間に位置するように配置されている。また、ドクターブレード116の材料としては、ステンレス鋼が使用できるが、アルミニウムや合成樹脂なども使用できる。
【0089】
透磁率センサ118は、第2搬送部材113の鉛直方向下方の現像槽111底面に装着され、センサ面が現像槽111の内部に露出するように設けられる。透磁率センサ118は図示しないトナー濃度制御手段に電気的に接続される。トナー濃度制御手段は、透磁率センサ118が検知するトナー濃度測定値に応じて、トナー排出部材122を回転駆動させ、トナー排出口123を介して現像槽111内部にトナーを供給するように制御する。
【0090】
透磁率センサ118によるトナー濃度測定値がトナー濃度設定値よりも低いと判定すると、トナー排出部材122を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、トナー排出部材122を回転駆動させる。透磁率センサ118には一般的な透磁率センサを使用でき、たとえば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどが挙げられる。これらの中でも、透磁率検知センサが好ましい。
【0091】
透磁率検知センサには図示しない電源が接続される。電源は、透磁率検知センサを駆動させるための駆動電圧およびトナー濃度の検知結果を制御手段に出力するための制御電圧を透磁率検知センサに印加する。電源による透磁率検知センサへの電圧の印加は、制御手段によって制御される。透磁率検知センサは、制御電圧の印加を受けてトナー濃度の検知結果を出力電圧値として出力する型式のセンサであり、基本的に出力電圧の中央値近傍の感度がよいため、その付近の出力電圧が得られるような制御電圧を印加して用いられる。このような型式の透磁率検知センサは市販されており、たとえば、TS−L、TS−A、TS−K(いずれも商品名、TDK(株)社製)などが挙げられる。
【0092】
ここで、現像装置2の現像槽111における現像剤の搬送について説明する。
図1に示すように、トナー補給装置22に収容されているトナーは、トナー移送機構102及びトナー補給口115aを介して現像槽111内に移送され、これにより現像槽111にトナーが補給される。
【0093】
トナー補給口115aは、図5,図6に示すように、第1搬送路P内の領域であり且つ第2連通路bよりも矢印X方向側の位置に形成されている。つまり、第1搬送路Pにおいて、第2連通路bの下流側にトナーが補給されることになる。
【0094】
現像槽111において、第1搬送部材112及び第2搬送部材113は、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動し、現像剤を搬送する。具体的には、第1搬送路Pにおいて、現像剤は、第1搬送部材112によって撹拌されながら矢印X方向へ搬送され、第1連通路aに到達する。第1連通路aに到達した現像剤は、第1連通路aを通過して第2搬送路Qへ搬送される。
【0095】
一方、第2搬送路Qにおいて、現像剤は、第2搬送部材113によって、撹拌されながら矢印Y方向へ搬送され、第2連通路bに到達する。そして、第2連通路bに到達した現像剤は、第2連通路bを通過して第1搬送路Pへ搬送される。
つまり、第1搬送部材112と第2搬送部材113とは、互いに逆方向に現像剤を撹拌しながら搬送している。
【0096】
このようにして、現像剤は、現像槽111において、第1搬送路Pと第1連通路aと第2搬送路Qと第2連通路bとを、第1搬送路P→第1連通路a→第2搬送路Q→第2連通路b、という順序にて循環移動していることになる。そして、現像剤は、第2搬送路Qにて搬送されている間に、現像ローラ114の回転にてその表面に担持されて汲み上げられ、汲み上げられた現像剤中のトナーが感光体ドラム3へと移動して、順次消費されていく。
【0097】
このように消費されるトナーを補うべく、未使用のトナーがトナー補給口115aから第1搬送路Pへ補給される。補給されたトナーは第1搬送路Pにおいて従前より存在する現像剤と混合撹拌される。
【0098】
次に、第1実施形態の現像装置2による現像剤搬送時の作用について図面を参照して説明する。
図7は第1実施形態に係る現像装置における現像ローラを構成する電磁石(第1磁極)の通電時(通常の画像形成時)の状態を示す説明図、図8は前記電磁石(第1磁極)の非通電時(非画像形成時)の状態を示す説明図である。
【0099】
現像装置2において、画像形成を行う時は、図7に示すように、現像ローラ114の第1磁極120aに電流が流れ、磁界が形成されると、現像槽111内の第2搬送路Qの現像剤が第1磁極120aに汲み上げられ、現像スリーブ119表面に付着する。
現像スリーブ119表面の現像剤は、現像スリーブ119の回転に伴って感光体ドラム3に向かい搬送される。
【0100】
現像スリーブ119上においては、第2磁極120bと第1磁極120aとの間で磁力線が形成されるため、第1磁極120aで汲み上げた現像剤が現像スリーブ119上から落下しないように、確実に搬送することができる。
【0101】
一方、画像形成を行わない時は、図8に示すように、第1磁極120aへの電流が遮断されると、磁界が形成されなくなるため、現像槽111内の第2搬送路Qの現像剤は、第1磁極120aによって汲み上げられることなく第2搬送部材113周辺に留まる。このため、現像剤がドクターブレード116により受けるストレスを無くすことができる。
【0102】
以上のように構成したので、第1実施形態によれば、画像形成装置100の現像装置2において、現像ローラ114を構成するマグネットローラ120の構成として、現像剤の汲み上げ位置に電磁石を用いて構成される第1磁極120aと、第1磁極120aの現像スリーブ119の回転方向下流側に隣接して設けられ、画像形成時における第1磁極120aの極性と異なる極性(N極)を有する第2磁極120bとを備えることで、画像形成時は、第2磁極120bと第1磁極120aとの間で磁力線が形成されるため、第1磁極120aで汲み上げた現像剤が現像スリーブ119上から落下しないように、確実に搬送することができる。
【0103】
一方、非画像形成時には、第1磁極120aを非通電状態にすることで、磁界が形成されなくなるため、現像剤が現像ローラ114により汲み上げられなくなる。これにより、ドクターブレード116に搬送される現像剤を減少させることができる。その結果、現像剤がドクターブレード116で規制される際に受けるストレスを無くすことができる。
【0104】
従って、第1実施形態の画像形成装置100によれば、現像装置2により現像剤の磨耗を抑制できるので、画像濃度ムラを抑え、安定した画質の画像を得ることができる。
【0105】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
図9は第2実施形態に係る現像装置の構成を示す断面図である。
【0106】
第2実施形態に係る現像装置202は、第1実施形態の電磁石を用いた第1磁極120aの構成に換えて、電磁石と永久磁石とを用いて第1磁極を構成したものである。
従って、第2実施形態に係る現像装置202の構成は、電磁石と永久磁石とを用いて第1磁極を構成する点を除き、第1実施形態に係る現像装置2の構成と同様な構成を備えるものであるため、第2実施形態において第1実施形態と同様な構成及び機能を有するものは、同一の符号を付することで説明を省略する。
【0107】
第2実施形態に係る現像装置202は、図9に示すように、現像ローラ214、現像槽111、現像槽カバー115、トナー供給口115a、ドクターブレード116、第1搬送部材112、第2搬送部材113、仕切り板(仕切り壁)117、透磁率センサ118を備えている。
【0108】
現像ローラ214は、主に現像スリーブ219とマグネットローラ220とからなり、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動して、現像槽111内の現像剤を現像スリーブ219の表面に汲み上げて担持し、その表面に担持されている現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム3に供給するものである。
【0109】
現像スリーブ219は、現像ローラ214の外周部を構成するアルミ製の円筒状部材で、マグネットローラ220の外側を一方向(図9においては時計回り)に回転することによって、マグネットローラ220の磁力を頼りに現像剤を保持しながら搬送する。
【0110】
マグネットローラ220は、5つの磁極(第1磁極220a〜第5磁極220e)を備え、現像槽111にたして非回転に固定されている。
【0111】
第1磁極220aは、第2搬送部材113に対向する位置に設けられ、第2搬送部材113により攪拌・搬送される現像剤を汲み上げるための汲み上げ用磁極である。この第1磁極220aは電磁石220aaと永久磁石220abとからなり、永久磁石220abを電磁石220aaで挟み込んだサンドイッチ状に構成されている。
【0112】
永久磁石220abは、現像スリーブ219側の極性がS極となる向きに配置され、通常の画像形成動作中においては、電磁石220aaに電流が流れなくても、現像槽111内の現像剤を汲み上げることができるようになっている。
【0113】
第2磁極220bは、第1磁極220aの現像スリーブ219の回転方向(図9において時計回り)下流側の隣に設けられている。この第2磁極220bは永久磁石で構成され、N極とされている。
【0114】
第2磁極220bの現像スリーブ219側の磁極を、第1磁極220aの現像スリーブ219側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはN極)とすることにより、現像スリーブ219上において第2磁極220bと第1磁極220aとの間で磁力線を形成して、第1磁極220aで汲み上げた現像剤が現像スリーブ219上から落下しないようにしている。
【0115】
第3磁極220cは、第2磁極220bの現像スリーブ219の回転方向下流側の隣に設けられている。この第3磁極220cは永久磁石で構成され、S極とされている。第2実施形態では、第3磁極220cは、感光体ドラム3に対向して配設される主磁極として作用する。
【0116】
第3磁極220cの現像スリーブ219側の磁極を、第2磁極220bの現像スリーブ219側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはS極)とすることにより、現像スリーブ219上において第3磁極220cと第2磁極220bとの間で磁力線を形成して、第2磁極220bで保持されている現像剤が現像スリーブ219上から落下しないようにしている。
【0117】
第4磁極220dは、第3磁極220cの現像スリーブ219の回転方向下流側の隣に設けられている。この第4磁極220dは永久磁石で構成され、N極とされている。
【0118】
第4磁極220dの現像スリーブ219側の磁極を、第3磁極220cの現像スリーブ219側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはN極)とすることにより、現像スリーブ219上において第4磁極220dと第3磁極220cとの間で磁力線を形成して、第3磁極220cで保持されている現像剤が現像スリーブ219上から落下しないようにしている。
【0119】
第5磁極220eは、第4磁極220dの現像スリーブ219の回転方向下流側の隣に設けられている。この第5磁極220eは永久磁石で構成され、S極とされている。
【0120】
第5磁極220eの現像スリーブ219側の磁極を、第4磁極220dの現像スリーブ219側の磁極とは逆極性(本実施形態においてはS極)とすることにより、現像スリーブ219上において第5磁極220eと第4磁極220dとの間で磁力線を形成して、第4磁極220dで保持されている現像剤が現像スリーブ219上から落下しないようにしている。
【0121】
一方、第1磁極220aの現像スリーブ219側の磁極と第5磁極220eの現像スリーブ219側の磁極とが同じ(本実施形態においてはS極)となることから、現像スリーブ219上において第4磁極220dと第3磁極220cとの間で磁力線が形成されない(反発磁界が形成される)ので、第3磁極220cで保持されていた現像剤が現像スリーブ219上から落下するようにしている。
【0122】
以上のような構成により、第2実施形態においては、現像ローラ214は、通常の画像形成動作中は、電磁石220aaへの通電を停止することによって、永久磁石220abの磁力で現像剤を汲み上げているのに対して、非画像形成動作中は、現像剤を汲み上げないように、永久磁石220abの磁力をキャンセルする向きに、電磁石220aaに通電している。
【0123】
すなわち、現像スリーブ219側の電磁石220aaの極性が、永久磁石220abの極性(S極)と異なる極性(N極)となる向きに、かつ、第1磁極220aに近接する現像スリーブ219表面の法線方向の磁束密度がゼロとなるように通電することによって、現像剤の汲み上げ量を少なくするようにしている。
【0124】
現像剤の搬送量(汲み上げ量)を少なくする方法としては、上記以外にも、第1磁極220aに近接する現像スリーブ219表面の法線方向の磁束密度がゼロとならないまでも、画像形成時より小さくなるように通電する方法や、あるいは、第1磁極220aと第2磁極220b間で反発磁界を形成させるために、第1磁極220aの極性が第2磁極220bの極性(N極)と同じ極性になるように第1磁極220aに通電することによって、現像スリーブ219で搬送される現像剤の搬送量を少なくするようにしても良い。
【0125】
以上のように構成したので、第2実施形態によれば、現像装置202において、現像ローラ214を構成するマグネットローラ220の構成として、現像剤の汲み上げ位置に電磁石220aaと永久磁石220abとを用いて構成される第1磁極220aと、第1磁極220aの現像スリーブ219の回転方向下流側に隣接して設けられ、画像形成時における第1磁極220aの極性と異なる極性(N極)を有する第2磁極とを備えることで、画像形成時は、電磁石220aaへの通電を停止することによって永久磁石220abにより第2磁極220bと第1磁極220aとの間で磁力線が形成されるため、第1磁極220aで汲み上げた現像剤が現像スリーブ119上から落下しないように、確実に搬送することができる。
【0126】
一方、非画像形成時には、第1磁極220aの電磁石220aaに、永久磁石220abの磁力をキャンセルする向きに磁力が発生するように通電することで、磁界が形成されなくなるため、現像剤が現像ローラ214により汲み上げられなくなる。これにより、第1実施形態と同様に、ドクターブレード116に搬送される現像剤を減少させることができる。その結果、現像剤がドクターブレード116で規制される際に受けるストレスを無くすことができる。
【0127】
尚、上述した実施形態では、本発明に係る現像装置2,202を図1に示すような画像形成装置100に適用した例について説明したが、現像槽111内で撹拌された現像剤を現像ローラ114により担持するようにした現像装置を用いる画像形成装置であれば、上述したような構成の画像形成装置や複写機に限定されるものではなく、その他の画像形成装置等に展開が可能である。
【0128】
以上のように、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1 露光ユニット(露光装置)
2,202 現像装置
3 感光体ドラム
5 帯電器(帯電装置)
8 中間転写ベルトユニット(転写装置)
12 定着ユニット(定着装置)
100 画像形成装置
111 現像槽
112 第1搬送部材
113 第2搬送部材
114,214 現像ローラ
116 ドクターブレード
119,219 現像スリーブ
120,220 マグネットローラ
120a,220a 第1磁極
120b,220b 第2磁極
120c,220c 第3磁極
120d,220d 第4磁極
120e,220e 第5磁極
220aa 電磁石
220ab 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを含む現像剤を収容する現像槽と、前記現像槽内の現像剤と対向する位置で現像剤を汲み上げてトナーを感光体ドラムへ供給する現像ローラと、前記現像ローラにより搬送される現像剤の供給量を規制する規制部材とを備え、前記現像ローラは、前記現像槽に対して回転自在に設けられる円筒状の現像スリーブと、前記現像槽に対して非回転に設けられる複数の磁極を有するマグネットローラとを備える現像装置において、
前記マグネットローラは、前記現像剤の汲み上げ位置に電磁石を用いて構成される第1磁極と、前記第1磁極の現像スリーブ回転方向下流側に隣接して設けられ、画像形成時における前記第1磁極の極性と異なる極性を有する第2磁極とを備え、
前記第1磁極は、非画像形成時における磁束密度が画像形成時における磁束密度より小さく、または、非画像形成時における極性が前記第2磁極の極性と同じとなることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第1磁極は、電磁石に加えて永久磁石を用いて構成され、
前記永久磁石の極性は、画像形成時における前記第2磁極の極性と異なることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1磁極は、前記永久磁石の両側が前記電磁石で挟まれて構成されることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラム表面を帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラム表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備えて、電子写真方式によりトナーを用いて画像を形成する画像形成装置において、
前記現像装置として、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−33934(P2011−33934A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181672(P2009−181672)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】