説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】現像に供されない現像剤を現像スリーブ上から確実に剥ぎ取り、画像形成の高速化に対応した良好な画像を得られる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置は、感光体ドラム11に対向した現像領域Dに磁性現像剤を供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体25を内蔵するとともに軸回りに回転自在な現像スリーブ26と、この現像スリーブ26上の現像剤の量を規制する規制部材28と、現像剤を撹拌して現像スリーブ26に供給する撹拌部材24と、現像領域Dの現像スリーブ26回転方向下流側で現像スリーブ26と対面するシールド部22eと、撹拌部材24を配設される現像剤収容部22aと、シールド部22eと現像剤収容部22aとが軸方向に沿って接続される先端部22dとを有する現像容器22と、現像スリーブ26に対して所定の空間を有して、現像容器22の先端部22dに固設される磁石51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体等からなる像担持体上に形成した潜像を、現像装置により現像してトナー像として可視化することを行っている。このような現像装置の一つとして、小型で低コストな磁性現像装置が実用化されている。この現像装置は、現像剤担持体たる現像スリーブの内部に複数の磁極を有する磁石を設け、更に現像スリーブ上の磁性現像剤の量を規制する規制部材を設けて、規制部材と現像スリーブ間で磁性現像剤を帯電させ、現像スリーブ上に磁性現像剤を担持させている。
【0003】
近年、低コストな磁性現像装置においても、出力スピードの高速化が必要になり、現像スリーブの回転速度が大きくなっている。現像スリーブの回転速度を大きくすると、現像スリーブ上でトナーが強く帯電し、現像スリーブ上に強固に付着することになる。このチャージアップしたトナーによって、その後新たに供給されるトナーは現像スリーブと接触することを妨げられ、十分な電荷を持つことができない。その結果、濃度低下やゴースト現象等の異常画像が発生する。また、チャージアップしたトナーによって、規制部材と現像スリーブ間でトナーが詰まりやすくなり、凝集トナーが発生する。この凝集トナーによって、グレー画像上に縦白筋の異常画像が発生する。
【0004】
そこで、トナーのチャージアップによって現像スリーブ上に強固に付着したトナーを現像スリーブから引き剥がすために、特許文献1では、現像スリーブ内に、周方向に複数の磁極を有する磁石を固定支持し、現像剤の量を規制する規制部材よりも現像スリーブの回転方向上流側には、磁石からなる磁界発生部材が固定磁石体の磁極間部に対向する位置に設けられている。この磁界発生部材によって、当該位置において磁性現像剤の磁気ブラシを形成するようになっている。この構成において、現像スリーブ上の磁性トナーが像担持体に供給され、像担持体上の静電潜像が現像され、像担持体上にトナー像が形成される。さらに、現像部において消費されずに現像スリーブ上に残存した磁性トナーは、当該位置の磁気ブラシによって、現像スリーブ上から剥ぎ取られ、現像スリーブの回転により現像スリーブの下部より現像容器内に回収される。
【0005】
しかしながら、上述した先行技術では、現像スリーブと、現像スリーブに隣接して配設される撹拌部材との間のスペースが限られており、例えば、磁界発生部材を現像容器の側壁に取り付けることになり、磁界発生部材の位置精度を確保するのが難しく、また、現像剤の圧力を受けて、磁界発生部材に位置ズレが生じ、磁界発生部材と現像スリーブとの間隔が安定しないことになる。現像スリーブ内の固定磁石体に対して、磁界発生部材の位置が定まらないと、現像スリーブ上から磁性トナーを剥ぎ取りにくくなるという不都合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−34267号公報(段落[0028]、[0033]〜[0035]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、現像に供されない現像剤を現像スリーブ上から確実に剥ぎ取り、画像形成の高速化に対応した良好な画像を得られる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体に対向した現像領域に磁性現像剤を供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体を内蔵するとともに軸回りに回転自在な現像剤担持体と、前記現像剤担持体上の現像剤の量を規制する規制部材と、現像剤を撹拌して前記現像剤担持体に供給する撹拌部材と、現像領域の現像剤担持体回転方向下流側で前記現像剤担持体と所定の空間を有して対面するシールド部と、前記撹拌部材が回転自在に配設される現像剤収容部と、前記シールド部と前記現像剤収容部とが軸方向に沿って接続される接続部とを有する現像容器と、前記現像剤担持体と所定の空間を有して、前記接続部に固設される磁性部材とを備えることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、撹拌部材で撹拌された現像剤が、現像剤担持体内の固定磁石体により、現像剤担持体に供給され、規制部材と現像剤担持体間で、現像剤が帯電され、現像剤担持体上に薄層として付着する。現像剤担持体上の現像剤が現像領域に供給されると、像担持体上の静電潜像が現像され、像担持体上にトナー像が形成される。現像領域において現像に供されない、現像剤担持体上に残存した現像剤は、シールド部に形成される空間を通ると、固定磁石体と磁性部材との磁界で形成される磁気ブラシによって、現像剤担持体上から剥ぎ取られる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記磁性部材は、磁石からなり、前記固定磁石体の磁極間部に近接して配設されることを特徴としている。この構成によれば、固定磁石体の磁極間部では現像剤の現像剤担持体上への付着力が弱くなり、固定磁石体と磁性部材との磁界で形成される磁気ブラシによって、残存した現像剤は現像剤担持体上から剥ぎ取られる。更に、固定磁石体の磁極間部では磁力が弱く、磁性部材の磁石の磁力によって、剥ぎ取られた現像剤は現像剤収容部に回収される。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、前記磁性部材の前記現像剤担持体に対向する磁極は、前記固定磁石体の現像剤担持体回転方向上流側の磁極と異極であることを特徴としている。この構成によれば、磁性部材と固定磁石体との異極間における磁気ブラシがシールド部の空間に形成され、この磁気ブラシによって、現像剤が現像剤担持体上から剥ぎ取られ、また、現像容器内の現像剤が装置外に漏れるのを抑える。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、前記シールド部を形成され前記現像剤担持体を配設される現像剤供給部を有し、前記接続部は前記現像剤供給部と前記現像剤収容部とを仕切る仕切り部に形成され、前記磁性部材は前記仕切り部の先端部に固設されることを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に記載の発明では、前記仕切り部は、前記シールド部と前記前記現像剤収容部とを貫通させる開口部を有することを特徴としている。この構成によれば、固定磁石体と磁性部材との磁界で形成される磁気ブラシによって、現像剤が現像剤担持体上から剥ぎ取られ、磁性部材で形成される開口部内の磁力によって、剥ぎ取られた現像剤は開口部を通って現像剤収容部に回収される。
【0014】
また、請求項6に記載の発明では、上記の構成の現像装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、撹拌部材で撹拌された現像剤が、現像剤担持体内の固定磁石体により、現像剤担持体に供給され、規制部材と現像剤担持体間で、現像剤が帯電され、現像剤担持体上に薄層として付着する。現像剤担持体上の現像剤が現像領域に供給されると、像担持体上の静電潜像が現像され、像担持体上にトナー像が形成される。現像領域において現像に供されない、現像剤担持体上に残存した現像剤は、シールド部に形成される空間を通ると、固定磁石体と磁性部材との磁界で形成される磁気ブラシによって、現像剤担持体上から剥ぎ取られる。上記の磁性部材は、現像剤担持体と所定の空間を有して現像容器の接続部に固設されるので、固定磁石体と磁性部材との間で安定して磁界が形成され、残存した現像剤を現像剤担持体上から確実に剥ぎ取ることができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、固定磁石体の磁極間部では現像剤の現像剤担持体上への付着力が弱くなり、固定磁石体と磁性部材との磁界で形成される磁気ブラシによって、残存した現像剤は現像剤担持体上から確実に剥ぎ取られる。更に、固定磁石体の磁極間部では磁力が弱く、磁性部材の磁石の磁力によって、剥ぎ取られた現像剤を現像剤収容部に回収することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、磁性部材と固定磁石体との異極間における磁気ブラシがシールド部の空間に形成され、この磁気ブラシによって、現像剤が現像剤担持体上から剥ぎ取られ、また、現像容器内の現像剤が装置外に漏れるのを抑えることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、磁性部材を接着剤等で仕切り部の先端部に取り付けると、磁性部材は強固に固定支持され、磁性部材と現像剤担持体との所定の間隔が保持されるので、固定磁石体と磁性部材との間で安定して磁界が形成され、残存した現像剤を現像剤担持体上から確実に剥ぎ取ることができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明によれば、固定磁石体と磁性部材との磁界で形成される磁気ブラシによって、現像剤が現像剤担持体上から剥ぎ取られ、更に、磁性部材で形成される開口部内の磁力によって、剥ぎ取られた現像剤を開口部から現像剤収容部に回収することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明によれば、現像に供されないトナーを現像剤担持体上から確実に剥ぎ取り、画像形成の高速化に対応した良好な画像を得られる現像装置を備える画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置における現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】は、本発明の第1実施形態に係る現像装置の要部構成を示す断面図である。
【図4】は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の要部構成を示す断面図である。
【図5】は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の要部構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、その下部に配設された給紙部2と、この給紙部2の側方に配設された用紙搬送部3と、この用紙搬送部3の上方に配設された画像形成部4と、この画像形成部4よりも排出側に配設された定着部5と、画像形成部4及び定着部5の上方に配設された画像読取部6とを備えている。
【0024】
給紙部2は、用紙9を収容する複数の給紙カセット7を備えており、給紙ローラ8の回転動作により、複数の給紙カセット7のうち選択された給紙カセット7から用紙9を1枚ずつ確実に用紙搬送部3に送り出す。
【0025】
用紙搬送部3に送られた用紙9は、用紙供給経路10を経由して画像形成部4に向けて搬送される。この画像形成部4は、電子写真プロセスによって、用紙9にトナー像を形成するものであり、所定の方向(図1の矢印方向)に回転可能に軸支された感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲にその回転方向に沿って、帯電部12、現像装置14、転写部15、クリーニング部16、及び除電部17を備えている。
【0026】
帯電部12は、高電圧を印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体ドラム11表面に所定電位を与えると、感光体ドラム11表面が一様に帯電させられる。そして、画像読取部6によって読み取られた原稿の画像データに基づく光が、露光部13により感光体ドラム11に照射されると、感光体ドラム11の表面電位が選択的に減衰され、感光体ドラム11表面に静電潜像が形成される。次いで、現像装置14が感光体ドラム11表面の静電潜像を現像し、感光体ドラム11表面にトナー像が形成される。このトナー像が転写部15によって感光体ドラム11と転写部15との間に供給された用紙9に転写される。
【0027】
トナー像が転写された用紙9は、画像形成部4の用紙搬送方向の下流側に配置された定着部5に向けて搬送される。定着部5では、加熱部材18及び加圧ローラ19によって、用紙9が加熱加圧され、用紙9上にトナー像が溶融定着される。次いで、定着された用紙9は、排出ローラ対20によって排出トレイ21上に排出される。転写部15による転写後、感光体ドラム11表面に残留しているトナーは、クリーニング部16により除去され、また感光体ドラム11表面の残留電荷は、除電部17により除去される。そして、感光体ドラム11は帯電部12によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0028】
次に、現像装置について図2に基づいて説明する。図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置1に用いられる現像装置の概略構成を示す断面図である。
【0029】
図2に示すように、現像装置14は、一成分磁性現像剤を収容する現像容器22と、この現像剤(以下、「トナー」と記すことがある)を撹拌および搬送する撹拌部材23、24と、現像剤担持体である現像スリーブ26、及び規制部材28とを備えている。そしてトナータンク31は現像装置14にトナーを供給する。
【0030】
撹拌部材23、24は、現像容器22内の底部に回転可能に配設され、トナーを撹拌、循環させて、現像スリーブ26に搬送する。
【0031】
現像スリーブ26は、円筒状をなして、撹拌部材24に隣接する位置で現像容器22に回転自在に支持され、現像スリーブ26に向けて磁界を発生する固定磁石体25を内蔵している。また、現像スリーブ26は、現像容器22の開口から露出し、像担持体である感光体ドラム11に一定の間隔を有して対向している。この対向する領域には、現像スリーブ26に担持されているトナーを感光体ドラム11に向けて供給するための現像領域Dが形成されている。更に、現像スリーブ26には、現像スリーブ26上のトナーを感光体ドラム11供給するために、直流に交流を重畳した現像バイアス29が印加される。
【0032】
規制部材28は、現像スリーブ26表面に担持されるトナーを所定の層厚に規制するものであり、ブレード状をなし現像スリーブ26の略上方で現像スリーブ26表面と所定間隔を設けて、現像容器22に取り付けられる。
【0033】
現像スリーブ26内の固定磁石体25の磁力により、撹拌部材24から搬送されたトナーが現像スリーブ26表面に担持される。担持されたトナーは、規制部材28により一定の層厚に規制され、現像スリーブ26の図2矢印方向の回転により、現像流域Dに向けて搬送される。この現像領域Dにおいて、現像スリーブ26と感光体ドラム11との間に、現像バイアス29が印加されることにより、現像スリーブ26上のトナーは感光体ドラム11に供給され、感光体ドラム11上の静電潜像は現像され、トナー像となる。
【0034】
現像装置14の詳しい構成を図3に基づいて説明する。図3は現像装置の要部構成を示す断面図である。
【0035】
現像容器22は、トナーを収容する現像剤収容部22aと、トナーを感光体ドラム11に供給する現像剤供給部22bと、現像剤収容部22aと現像剤供給部22bを仕切る仕切り部22cを有し、樹脂で形成される。
【0036】
現像剤収容部22aには、撹拌部材23、24が隔壁22hを挟んで配設されている。撹拌部材23、24は、支軸に回転自在に支持され、軸方向にスパイラル状に形成される羽根を備える。撹拌部材23、24が回転すると、トナーが撹拌され、撹拌されたトナーが隔壁22hに設けた穴を介して、現像剤収容部22a内を循環し、トナー相互の摩擦によってトナーが帯電する。そして、撹拌部材24によって、トナーが現像スリーブ26に搬送される。
【0037】
現像剤供給部22bには現像スリーブ26が回転自在に配設される。現像スリーブ26はアルミニウム等の非磁性材料で円筒状に形成される。現像スリーブ26の回転方向(図2の矢印方向)に沿って、現像スリーブ26の周りには、その上方に配設される規制部材28と、感光体ドラム11と対向する現像領域Dと、その下方に形成されるシールド空間T、及び磁性部材である磁石51が設けられる。尚、シールド空間Tと磁石51は後で詳しく説明する。
【0038】
仕切り部22cは、現像スリーブ26外周と空間を有して、現像スリーブ26と同心の円弧状であるシールド部22eと、現像剤収容部22aの撹拌部材24外周と空間を有して、撹拌部材24外周と同心の円弧状部位とが現像スリーブ26の軸方向に沿って接続される接続部に形成される。この仕切り部22cの先端部22dは、磁石51を取り付け可能なように、平坦に形成されている。上記のシールド部22eと現像スリーブ26外周との間に、トナーを現像スリーブ26から剥ぎ取り、また現像容器22内のトナーの漏れを防ぐシールド空間Tが形成される。
【0039】
現像スリーブ26内には、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体25が固定支持される。固定磁石体25は、S極とN極が周方向に交互に配列され、現像スリーブ26表面に向けて磁界を発生させる。固定磁石体25は、円筒の磁石の周囲に複数の磁極を配置してもいいし、複数の磁石で構成してもよい。
【0040】
固定磁石体25の撹拌部材24に対向する位置には、磁極N1が配置され、磁極N1の磁力によって撹拌部材24から搬送されるトナーが現像スリーブ26表面に付着する。また、規制部材28に対向する位置には、磁極S1が配置され、規制部材28と現像スリーブ間のトナーの摩擦帯電とともに磁極S1の磁力によって、現像スリーブ26表面にトナーが付着する。付着したトナーは規制部材28によって層厚を規制される。現像領域Dに対向する位置には磁極N2が配置される。
【0041】
更に、現像容器22のシールド部22eに対向する位置には磁極S2が配置される。磁極S2の磁力によって現像スリーブ26表面にトナーによる磁気ブラシが形成され、現像容器22内のトナーが、装置外に漏れ出るのを防ぐ。この磁気ブラシの高さに応して、シールド部22eまでのシールド空間Tの幅が設定される。現像スリーブ26の外径が20mmで、その線速が150mm/sであり、磁極S2の磁束密度が80mTであるなら、シールド空間Tの幅は0.5mm〜4mmが望ましく、2mmが一層望ましい。このように設定すると、現像容器22内のトナーが、シールド空間Tから装置外に漏れ出ることがない。この場合、固定磁極のN1極は80mT、S1極は100mT、N2極は90mTが望ましい。
【0042】
磁石51は、現像領域Dで感光体ドラム11に供給されなかった残存トナーを現像スリーブ26から剥ぎ取り、剥ぎ取ったトナーを現像剤収容部22aに回収するものであり、2極磁石が用いられる。磁石の替わりに鉄等の磁性材料でもよい。磁石51は、断面台形状をして、現像スリーブ26の軸方向(図3の紙面方向)に延び、その下面部が仕切り部22cの先端部22d(現像容器22)に接着剤で固着される。磁石51が仕切り部22cに取り付けられると、磁石51のS極は現像剤収容部22a側を向き、磁石51のN極は、シールド空間Tと略同じ幅を有して現像スリーブ26表面に対向する。
【0043】
また、磁石51のN極は、固定磁石体25の磁極N1と磁極S2の間に対応する位置で対向し、且つ磁極S2の現像スリーブ26の回転方向下流側に配置されることになる。磁極N1と磁極S2間では、磁力が弱く、磁石51のN極と固定磁石体25の磁極S2では強い磁力が発生することにより、シールド空間Tに形成される磁気ブラシは、磁石51のN極と固定磁石体25の磁極S2間でチェーン状に繋がる。このチェーン状の磁気ブラシによって、現像容器22内の圧力が大きくなっても、容器内のトナーがシールド空間Tから装置外に吹き出すことが防がれ、また、現像スリーブ26上に固着した残存トナーは、現像スリーブ26上から剥ぎ取られる。更に、磁石51のN極とS極によって形成される磁力によって、剥ぎ取られたトナーは現像剤収容部22aに回収される。
【0044】
前述のように、現像スリーブ26の外径が20mmで、その線速が150mm/sであり、磁極S2の磁束密度が80mT、磁極N1の磁束密度が80mTであるなら、磁石51のN極は、現像スリーブ26から0.5mm〜4mm離間させて配置し、特に2mm離間させるのが望ましい。この時の磁石51の磁束密度は、50〜150mTであって、望ましくは100mTであり、磁石51のN極は、固定磁石体25の磁極間の磁束密度10mTに対応する位置に配置するのが望ましい。
【0045】
上記第1実施形態によれば、現像装置14は、感光体ドラム11に対向した現像領域Dに磁性現像剤を供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体25を内蔵するとともに軸回りに回転自在な現像スリーブ26と、この現像スリーブ26上の現像剤の量を規制する規制部材28と、現像剤を撹拌して撹拌した現像剤を現像スリーブ26に供給する撹拌部材24とを備える。更に、現像装置14は、現像領域Dの現像スリーブ26回転方向下流側で現像スリーブ26と所定の空間を有して対面するシールド部22eと、撹拌部材24を回転自在に配設される現像剤収容部22aと、シールド部22eと現像剤収容部22aとが軸方向に沿って接続される先端部22d(接続部)とを有する現像容器22と、現像スリーブ26に対して所定の空間を有して、現像容器22の先端部22dに固設される磁石51(磁性部材)とを備える。
【0046】
この構成によると、撹拌部材24で撹拌された現像剤が、固定磁石体25により、現像スリーブ26に供給され、規制部材28と現像スリーブ26間で、現像剤が帯電され、現像スリーブ26上に薄層として付着する。現像スリーブ26上の現像剤が現像領域Dに供給されると、感光体ドラム11上の静電潜像が現像され、感光体ドラム11上にトナー像が形成される。現像領域Dにおいて現像に供されない、現像スリーブ26上に残存した現像剤は、シールド部22eに形成される空間を通ると、固定磁石体25と磁石51との磁界で形成される磁気ブラシによって、現像スリーブ26上から剥ぎ取られる。上記の磁石51は、現像スリーブ26と所定の空間を有して現像容器22の先端部22dに固設されるので、固定磁石体25と磁石51との間で安定して磁界が形成され、残存した現像剤を現像スリーブ26上から確実に剥ぎ取ることができる。
【0047】
また、上記第1実施形態によれば、磁石51は固定磁石体25の磁極間部に近接して配設される。これによって、固定磁石体25の磁極間部では現像剤の現像スリーブ26上への付着力が弱くなり、固定磁石体25と磁石51との磁界で形成される磁気ブラシによって、残存した現像剤は現像スリーブ26上から確実に剥ぎ取られる。更に、固定磁石体25の磁極間部では磁力が弱く、磁石51の磁力によって、剥ぎ取られた現像剤を現像剤収容部22aに回収することができる。
【0048】
また、上記第1実施形態によれば、磁石51の現像スリーブ26に対向する磁極は、固定磁石体25の現像スリーブ26回転方向上流側の磁極と異極である。これによって、磁石51と固定磁石体25との異極間における磁気ブラシがシールド部22eの空間に形成され、この磁気ブラシによって、現像剤が現像スリーブ26上から剥ぎ取られ、また、現像容器22内の現像剤が装置外に漏れるのを抑えることができる。
【0049】
また、上記第1実施形態によれば、シールド部22eを形成され現像スリーブ26を配設される現像剤供給部22bと、この現像剤供給部22bと現像剤収容部22aとを仕切る仕切り部22cとを有し、磁石51は仕切り部22cの先端部22dに固設される。これによって、磁石51を接着剤等で仕切り部22cの先端部22dに取り付けると、磁石51は強固に固定支持され、磁石51と現像スリーブ26との所定の間隔が保持されるので、固定磁石体25と磁石51との間で安定して磁界が形成され、残存した現像剤を現像スリーブ26上から確実に剥ぎ取ることができる。
【0050】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る現像装置の要部構成を示す断面図であり、図5は現像装置の要部構成を示す側面図である。第1実施形態と異なる、仕切り部に設けた開口部について主に説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0051】
現像容器222は、トナーを収容し、撹拌部材224を回転自在に配設される現像剤収容部222aと、トナーを感光体ドラム211に供給し、現像スリーブ226を回転自在に配設される現像剤供給部222bと有し、樹脂で形成される。現像剤供給部222bには、現像領域Dの現像スリーブ226回転方向下流側にシールド部222eが形成される。シールド部222eは、現像スリーブ226外周に所定の距離を有して対面し、現像スリーブ226とともにシールド空間Tを形成する。
【0052】
また、現像容器222には、現像剤収容部222aと現像剤供給部222bを仕切る仕切り部222cを有する。この仕切り部222cは、現像スリーブ226外周と空間を有する同心の円弧状のシールド部222eと、撹拌部材224の外周と空間を有する同心の円弧状部位とが現像スリーブ226の軸方向に沿って接続される接続部に形成される。この仕切り部222cには、シールド部222eと現像剤収容部222aとを貫通させる開口部222fと、平坦に形成され、磁石251を取り付ける先端部222dが形成される。図5に示すように、開口部222fは、軸方向に複数個形成され、先端部222d側が開放されている。尚、先端部222dは軸方向に連続して延びて、開口部222fは先端部222d側を開放していない開口でもよい。
【0053】
磁石251は、断面台形状をして軸方向に延び、仕切り部222cの先端部222dに接着剤で固着される。図4に示すように、磁石251は2極磁石が用いられ、そのS極は現像剤収容部222a側を向き、そのN極は、シールド空間Tと略同じ幅を有して現像スリーブ226表面に対向する。
【0054】
また、磁石251のN極は、固定磁石体225の磁極N1と磁極S2の間に対応する位置で対向し、且つ磁極S2の現像スリーブ226回転方向下流側に配置されることになる。磁極N1と磁極S2間では、磁力が弱く、磁石251のN極と固定磁石体225の磁極S2では強い磁力が発生することにより、シールド空間Tに形成される磁気ブラシは、磁石251のN極と固定磁石体225の磁極S2間でチェーン状に繋がる。このチェーン状の磁気ブラシによって、現像容器222内の圧力が大きくなっても、容器内のトナーがシールド空間Tから装置外に吹き出すことが防がれ、また、現像スリーブ226上に固着した残存トナーは、現像スリーブ226上から剥ぎ取られる。更に、磁石251のN極とS極によって形成される開口部222f内の磁力によって、剥ぎ取られたトナーは開口部222f内を通って現像剤収容部222aに回収される。
【0055】
上記第2実施形態によれば、シールド部222eを形成され現像スリーブ226を配設される現像剤供給部222bと、この現像剤供給部222bと現像剤収容部222aとを仕切る仕切り部222cとを有し、磁石251は仕切り部222cの先端部222dに固設され、仕切り部222cは、シールド部222eと現像剤収容部222aとを貫通させる開口部222fを有する。
【0056】
この構成によると、現像領域Dで現像に供されずに残存する現像剤は現像スリーブ226に付着している。固定磁石体225と磁石251との磁界で形成される磁気ブラシによって、残存する現像剤が現像スリーブ226上から剥ぎ取られ、更に、磁石251で形成される開口部222f内の磁力によって、剥ぎ取られた現像剤を開口部222fから現像剤収容部222aに回収することができる。
【0057】
尚、上記第1及び第2実施形態では、磁性部材である磁石は、現像剤供給部の円弧状のシールド部と、現像剤収容部の円弧状部位とが交わる仕切り部に配設される構成を示したが、本発明はこれに限らず、磁石は、現像剤供給部の円弧状のシールド部と、現像剤収容部の下部に形成される平面部とが軸方向に沿って接続される接続部に配設される構成にしてもよい。この場合も上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0058】
また上記第1及び第2実施形態では、磁性部材を現像容器に接着剤で固着させる構成を示したが、本発明はこれに限らず、現像剤供給部と現像剤収容部とが接続される接続部に軸方向に延びる溝を設け、この溝に磁性部材を嵌め込む構成でもよい。更に、現像容器を樹脂成形するとき、接続部に磁性部材を埋め込むように一体成形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
11、211 感光体ドラム(像担持体)
14、114 現像装置
22、222 現像容器
22a、222a 現像剤収容部
22b、222b 現像剤供給部
22c、222c 仕切り部
22d、222d 先端部(接続部)
22e、222e シールド部
23、24、224 撹拌部材
25、225 固定磁石体
26、226 現像スリーブ(現像剤担持体)
28、228 規制部材
29 現像バイアス
51、251 磁石(磁性部材)
222f 開口部
D 現像領域
T シールド空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向した現像領域に磁性現像剤を供給し、周方向に複数の磁極を有する固定磁石体を内蔵するとともに軸回りに回転自在な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上の現像剤の量を規制する規制部材と、
現像剤を撹拌して前記現像剤担持体に供給する撹拌部材と、
現像領域の現像剤担持体回転方向下流側で前記現像剤担持体と所定の空間を有して対面するシールド部と、前記撹拌部材が回転自在に配設される現像剤収容部と、前記シールド部と前記現像剤収容部とが軸方向に沿って接続される接続部とを有する現像容器と、
前記現像剤担持体と所定の空間を有して、前記接続部に固設される磁性部材とを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記磁性部材は、磁石からなり、前記固定磁石体の磁極間部に近接して配設されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁性部材の前記現像剤担持体に対向する磁極は、前記固定磁石体の現像剤担持体回転方向上流側の磁極と異極であることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記シールド部を形成され前記現像剤担持体を配設される現像剤供給部を有し、前記接続部は前記現像剤供給部と前記現像剤収容部とを仕切る仕切り部に形成され、前記磁性部材は前記仕切り部の先端部に固設されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記仕切り部は、前記シールド部と前記前記現像剤収容部とを貫通させる開口部を有することを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の現像装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−256600(P2010−256600A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106217(P2009−106217)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】