説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】 現像剤の搬送速度を低下させずにトナーに対して帯電量を容易に付与でき、現像剤の溢れを抑制でき、高画質画像を形成することができる装置を提供すること。
【解決手段】 内部に固定配置した磁界発生手段を有し、トナーとキャリアとを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の回転軸方向に隣接して設けた第1撹拌部材と、前記第1撹拌部材による現像剤搬送方向と同方向に現像剤を搬送すべく、当該第1撹拌部材の回転軸方向に隣接して設けた第2撹拌部材と、前記第2撹拌部材と逆方向に現像剤を搬送すべく第2撹拌部材に隣接して設けた第3撹拌部材とを含み、第2撹拌部材と第3撹拌部材とによる現像剤の合計搬送量が、第3撹拌部材による現像剤搬送方向において、上流側では第1撹拌部材による搬送量よりも高く、下流側では第1撹拌部材とほぼ同量の搬送量となるように設定した現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成される静電荷潜像(以下、単に、潜像という)をトナー像として顕像化する現像装置、及び、当該現像装置を具備した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体表面を帯電手段により一様に帯電し、原稿、または、画像データに基づいて露光手段を作動させて前記像担持体上に潜像を形成し、次いで、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を現像領域に導き、接触、または、非接触現像により前記潜像をトナー像となした後、当該トナー像を転写手段により、例えば、用紙からなる転写材上に転写し、定着手段により加熱加圧することによって前記転写材に定着させる電子写真方式を利用した画像形成装置はよく知られている。
【0003】
また、そのような画像形成装置において使用される現像装置として、可回転の円筒状部材からなる現像剤担持体と、当該現像剤担持体に内蔵した位置固定の磁石、及び、二成分現像剤を撹拌して現像処理に必要な帯電量を付与するための撹拌部材とを主要素とし、現像処理時、前記磁石の作用によって吸着した撹拌済みの二成分現像剤を前記現像剤担持体の周面で担持させるとともに、当該現像剤担持体の回転によって現像剤を順次、現像領域に搬送させ、現像処理後の現像剤を、前記内蔵磁石の磁極配置により形成される反発磁界を以て、自動的に前記現像剤担持体から除去しうる構成の現像装置も公知である。
【0004】
そして、このような二成分現像剤を用いる現像方法においては、画像形成により消費されたトナー量に見合った量の新規なトナーを適宜に現像装置内に補給し、現像剤中のトナー濃度を一定レベルに維持する制御が行われている。
【0005】
また、上述のような画像形成装置においては、画像の高画質化が求められており、このような要請に対して、例えば、トナー及びキャリアの小粒径化が図られている。
【0006】
而して、粒子径が小さいトナー及び粒子径が小さいキャリアを主体とする二成分現像剤は、高画質化を達成するためには有用であるが、反面、現像剤それ自体の流動性が低下するので、現像剤を十分に撹拌することが困難となる。
【0007】
その結果、新たに補給されたトナーが所定の帯電量を有する状態とならないまま現像領域に供給されると、かぶりを発生して画質を低下せしめたり、又、トナー飛散が発生しやすくなる、という問題がある。
【0008】
このような不具合は、特に、例えば印字率が高いカラー画像を連続して出力する場合に、顕著に生ずる。
【0009】
一方、近年において、上述のような画像形成装置の多くは、環境保全あるいは省資源化の観点から、トナーリサイクル手段を備え、トナーをリサイクルして使用する構成を有するのが一般的であるが、一旦現像に供された後に像担持体上から回収されたトナー(リサイクルトナー)は、帯電特性が未使用のトナーに対して劣るので、トナーの帯電量不足による、かぶりやトナー飛散等の不具合を招来する、という問題がある。
【0010】
現像剤の撹拌効率を向上させる技術は従来から多くの提案がなされており、例えば、撹拌部材或いは現像剤搬送部材に補助撹拌部材として機能する部材を設けることによって高い現像剤撹拌能力を有する構成のものとしたりすることが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0011】
また、現像担持体と、その一側方に設けた第1、第2撹拌搬送スクリューを有し、前記現像剤担持体に近接して配置した第1撹拌搬送スクリューによる現像剤搬送速度に比して第2撹拌搬送スクリューによる現像剤搬送速度を速くする構成により、現像剤の撹拌性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平07−013420号公報
【特許文献2】特開平09−166918号公報
【特許文献3】特開2001−154471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の特許文献1、2に開示された現像装置は、現像剤の撹拌効率を向上せしめることができる反面、現像装置内の現像剤の循環搬送速度が低下してしまうので、例えば、高速のプロセス速度を有する画像形成装置に使用する現像装置としては、まだ改良の余地があるように思える。
【0013】
換言すれば、現像剤の循環搬送速度が低下すると、現像担持体に供給される現像剤の、現像剤担持体の回転軸方向におけるトナー濃度が不均一となり、特に、印字率が高い画像を連続して出力する場合に画像濃度ムラが生じやすく、高画質の画像を形成することが困難となる。
【0014】
このように、補給された新トナーが短時間で十分な帯電量を得られるように、現像剤の撹拌能力を高めてかぶりやトナー飛散の発生を防止しようとすると、現像剤の搬送能力の低下を引き起こして画像濃度ムラが発生しやすくなるという問題があり、このような相反する2つの問題を同時に解決することが困難である、というのが実状である。
【0015】
また、特許文献3に開示された現像装置は、構成が容易であり、有用な技術であるが、現像剤搬送速度が速い第2撹拌搬送スクリューから現像剤搬送速度が遅い第1撹拌搬送スクリューに現像剤を受け渡しする際に、連通口(受け渡し部)付近で現像剤が滞留してしまい、現像剤溢れが発生するという問題がある。
【0016】
本発明は上述の如き問題点に鑑みてなされたもので、主たる目的は、構成が簡単でありながら、現像剤の搬送速度を低下させることなく、トナーに対して所定の帯電量を容易に付与でき、現像剤の溢れの発生も抑制でき、高画質画像を形成することができる、現像装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、下記の構成によって達成することができる。
(請求項1)
内部に固定配置した磁界発生手段を有し、トナーとキャリアとを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の回転軸方向に隣接して設けられ、前記現像剤を所定の回転軸方向に搬送しながら撹拌する第1撹拌部材と、
前記第1撹拌部材の回転軸方向に隣接して設けられ、第1撹拌部材よりも低い現像剤搬送能力をもって、当該第1撹拌部材による現像剤搬送方向と同方向に現像剤を搬送しながら撹拌する第2撹拌部材と、
前記第2撹拌部材に対向して設けられ、前記第1撹拌部材よりも高い現像剤搬送能力をもって、前記第1撹拌部材による現像剤搬送方向と逆方向に現像剤を搬送しながら撹拌する第3撹拌部材と、
前記現像剤担持体、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材および前記第3撹拌部材を可回転に軸支し、収納するとともに、前記第1撹拌部材と前記第2撹拌部材との間に仕切壁を有するハウジングと、
前記ハウジングの上部に設けたカバーとを有する現像剤循環方式の現像装置であって、
前記第2撹拌部材と前記第3撹拌部材とによる回転軸方向の現像剤搬送量の合計が、当該第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって少なくなるように設定するとともに、
前記第1撹拌部材による回転軸方向の現像剤搬送量を、前記第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて下流側における前記第2撹拌部材および前記第3撹拌部材による現像剤搬送量の合計とほぼ同じに設定し、更に、
前記第2撹拌部材と前記第3撹拌部材とを、両者の対向近接点でみて、周面が上方から下方に向けて移動するようになすとともに、
前記第2撹拌部材と前記第3撹拌部材とを側面から見たとき、両者の略中間部を含み、かつ、前記第3撹拌部材による現像剤の搬送方向に見て上流側の位置に対応した前記カバー上の領域に、トナー供給用のトナー供給口を設けた、
ことを特徴とする現像装置。
(請求項2)
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した螺旋状のリブで構成するとともに、当該螺旋状のリブのピッチを、前記第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって小さく設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
(請求項3)
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した、切り欠きを有する螺旋状のリブで構成するとともに、
前記切り欠きの深さまたは幅を、前記第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって深くまたは広く設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
(請求項4)
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した螺旋状のリブと、当該螺旋状のリブを横断するように回転軸方向に延びる板状のリブとで構成するとともに、
前記板状のリブの幅を、前記第3撹拌部材の現像剤搬送方向に見て、上流側から下流側に向かって広く設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【0018】
(請求項5)
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した螺旋状のリブと、当該螺旋状のリブ間に設けた棒状または板状のリブとで構成するとともに、
前記棒状または板状のリブの高さまたは幅を、前記第3撹拌部材の現像剤搬送方向に見て、上流側から下流側に向かって高くまたは広く設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
(請求項6)
前記第2撹拌部材を、回転軸の周りであって当該回転軸に対して第1の方向に傾斜して設けた複数の板状部材と、第2の方向に傾斜して設けた複数の板状部材とで構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の現像装置。
【0019】
(請求項7)
前記現像剤担持体と前記第1撹拌部材とは、両者の対向近接点において、周面が互いに逆方向に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の現像装置。
(請求項8)
前記磁界発生手段は、同極性の隣接する反発磁極を有し、
前記現像剤担持体と前記第1撹拌部材との対向近接点は、略、前記反発磁極間であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の現像装置。
(請求項9)
トナーの体積平均粒径をDt[μm]、キャリアの体積平均粒径をDc[μm]としたとき、
Dt=3〜5
Dc=5・Dt〜10・Dt
のトナーとキャリアとを含む現像剤を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の現像装置。
【0020】
(請求項10)
像担持体と、前記像担持体上に静電荷潜像を形成する静電荷潜像形成手段と、前記静電荷潜像を現像してトナー像とする現像手段とを有する画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の現像装置を用いるとともに、
像担持体の移動速度をV[mm/sec]、像担持体上に形成するトナー像の単位面積当たりの最大付着量をM[mg/cm2]、像担持体の移動方向に直交する方向のトナー像の最大幅をL[mm]、第1撹拌部材による現像剤担持体の回転軸方向における現像剤移動量をWo[g/sec]、第1撹拌部材の回転数をR[rpm]としたとき、
Wo≧M・V・L/1000
R≦600
とすることを特徴とする画像形成装置。
(請求項11)
像担持体と、前記像担持体上に静電荷潜像を形成する静電荷潜像形成手段と、前記静電荷潜像を現像してトナー像とする現像手段と、前記像担持体上のトナー像を転写材または中間転写体に転写する転写手段と、転写後の像担持体表面をクリーニングするクリーニング手段と、クリーニング手段により前記像担持体の表面から除去されたトナーを前記現像手段に供給してリサイクルするトナーリサイクル手段とを有する画像形成装置において、
前記現像手段として請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の現像装置を用いるとともに、
当該現像装置のカバー上であって、前記第2撹拌部材と第3撹拌部材との間に対応し、かつ、両撹拌部材による現像剤搬送方向に見て上流側に対応した位置に、リサイクルトナー供給用のリサイクルトナー供給口を設けたことを特徴とする画像形成装置。
(請求項12)
前記リサイクルトナー供給口は、両撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、トナー供給口よりも上流側にあることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の現像装置によれば、例えば、第3撹拌部材による現像剤搬送量を、第1撹拌部材よりも高く設定するとともに、その回転軸方向において、上流側から下流側に向かって少なくなるように設定し、また、前記第1撹拌部材による回転軸方向の現像剤搬送量を、回転軸方向のほぼ全域において、前記第2撹拌部材と第3撹拌部材による現像剤搬送方向下流側(実質は、第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて下流側)における現像剤搬送量の合計量とほぼ同じに設定することによって、現像剤の搬送速度の低下を来すことなく帯電が可能であり、また、循環のための現像剤受け渡し部における現像剤滞留も生じないので、溢れ現象を惹起することはない。
【0022】
更に、第1撹拌部材側において現像剤の嵩を高く設定できるので、第1撹拌部材から現像剤担持体への現像剤供給が円滑にでき、例えば第1撹拌部材がスクリュー構成である場合でも、スクリューピッチムラ等の現像剤くみ上げ(供給)に伴う画像不良を抑制することができる。
【0023】
また、搬送方向は互いに逆方向であるが、第2撹拌部材および第3撹拌部材による現像剤搬送量は、第3撹拌部材の搬送方向を基準として、上流側において現像剤搬送量が多く(搬送速度が速いことを意味する)、換言すれば、現像剤の嵩が下流側に比して少ないので、そこの領域を利用して第3撹拌部材との間に補給されるトナーの現像剤に対する沈み込みを迅速に行うことができ、補給トナーに対する帯電付与を容易にする。
【0024】
換言すれば、補給トナーの現像剤中への均一分散が迅速にできるので、循環搬送を介して、トナー帯電を容易に行うことができる。
【0025】
そして、現像剤中のトナーが所期の帯電量を有する状態にまで帯電された状態で現像剤担持体に供給できるので、トナーの帯電不良によるかぶりやトナー飛散の発生を抑制でき、カラー画像であっても高画質を維持できる。
【0026】
また、本発明の画像形成装置によれば、上述の如き現像装置を備えるとともに、特定の動作条件を満足する状態で現像処理が行われることにより、現像剤の十分な混合・撹拌が行われて、トナーが所期の帯電量を有する状態に帯電された現像剤が回転軸方向に対して均一な濃度で現像剤担持体に供給され、当該現像剤で像担持体上の潜像が現像される。
【0027】
従って、例えば、印字率の高い画像を連続して出力することにより大量のトナー消費及びトナー補給が繰り返し行われた現像剤が用いられる場合や、未使用のトナーに比して帯電性能が劣るリサイクルトナーを含む現像剤が用いられる場合であっても、トナー飛散、かぶり、画像濃度ムラ等の発生を極力抑制でき、高画質の画像を安定して作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係わる実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明に係わる画像形成装置の第1の実施の形態を示す概略図、図2は、本発明に係わる現像装置の第1の実施の形態を示す平面図、図3は、図2におけるA−A断面図、図4は図2におけるB−B断面図を示す。
【0030】
なお、説明に当たっては、デジタルカラー複写機からなる画像形成装置を示す図1の説明をした後に、図2乃至図4に示す現像装置の説明を行うこととする。
【0031】
第1の実施の形態における画像形成装置は、装置本体上部に自動原稿送り装置1を有するとともに、内部に画像読み取り部2、画像形成部3、ベルトユニット4のためのベルト設置部、給紙部5、定着装置T、反転排紙・再給紙部6、および、反転搬送手段であるADU7を有している。
【0032】
前記自動原稿送り装置1は、原稿を1枚ずつ送り出して画像読み取り位置へと搬送し、画像読み取りが終わった原稿を所定の場所に排出する装置である。
【0033】
前記自動原稿送り装置1は、原稿を載置する原稿載置台101、載置された原稿を分離する原稿分離手段103、分離された原稿を搬送する原稿搬送部105、搬送された原稿を排紙する原稿排紙手段107、排紙された原稿を載置する原稿排紙台109、および、原稿の両面の画像を読み取る両面コピーモードにおいて、当該原稿の表裏面を反転させるべく使用されるローラ対からなる原稿反転手段111を有している。
【0034】
処理プロセスがらみで述べるに、前記原稿載置台101上に載置された複数枚の原稿(不図示)は、原稿分離手段103によって1枚づつ分離され、前記原稿搬送部105を介して画像読み取り位置に向けて搬送される。
【0035】
前記原稿読み取り位置は、前記原稿搬送部105の下方部に設けられており、そこで、画像読み取り装置2を構成するスリット201を介して、原稿の画像が読み取られ、読み取られた原稿は原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
【0036】
なお、両面コピーモードにおいては、片面が読み取られて搬送されてくる原稿は前記原稿反転手段111により二点鎖線の矢印で示す方向に搬送され、進行方向における後端を咬んでいる状態で当該原稿反転手段111の駆動が停止され、直後の原稿反転手段111の逆方向回転により前記原稿搬送部105を介して再度、画像読み取り位置に導かれて読み取り装置2で読み取られ、しかる後、前記原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
【0037】
上記の工程は、原稿載置台101上に載置された原稿の枚数分繰り返される。
【0038】
前記画像読み取り装置2は、前記スリット201、原稿を照射するためのランプ213と原稿からの反射光を反射させる第1ミラー215とを一体化してなる第1ミラーユニット205、第1ミラー215からの光を反射させる第2ミラー217と第3ミラー219とを略V字状に一体化してなる第2ミラーユニット207と、当該第3ミラー219からの反射光を撮像素子上に結像させる結像レンズ209、および、結像レンズ209によって結像された光像を光電変換して画像情報を得るライン状の撮像素子(以下、CCDという)211を有している。
【0039】
前記画像情報は、適宜の画像処理を施された後、一旦、図示しないメモリに蓄積されるようになっている。
【0040】
前記自動原稿送り装置1によって送られている原稿を、画像読み取り装置2で読み取る態様においては、第1ミラーユニット205及び第2ミラーユニット207は、図示の如き位置に固定されている。
【0041】
前記画像読み取り装置2によって読み取られた各色毎の画像信号はメモリより順次取り出され、静電荷潜像形成手段である各露光光学系にそれぞれ電気信号として入力される。
【0042】
前記画像形成部3は色分解画像に応じたトナー像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の4組の画像形成手段(以下、画像形成ユニットという)30を含む。
【0043】
それぞれの画像形成ユニット30は、例えば、有機光導電体を含有させたポリカーボネイトなどの樹脂よりなる感光層をドラム状の金属基体上に設けてなる像担持体(以下、感光体ドラムという)310、スコロトロン形式からなる帯電器320、画像書き込み手段である露光光学系330、前記露光光学系を介して前記感光体ドラム上に形成される静電荷潜像を顕像化する現像装置8、顕像化されたトナー像を前記感光体ドラム上から転写材上に転写せしめる転写手段340、転写後の感光体ドラム310の表面をクリーニングするブレード(クリーニング手段)を含むクリーニング装置350を主要構成要素とする。
【0044】
前記現像装置8は、磁性キャリア(以下、単にキャリアという)と非磁性トナー(以下、単にトナーという)とを含む二成分現像剤を内蔵し、また、位置固定であって周方向に複数の磁極を配列せしめた磁石を内蔵する可回転、かつ、非磁性の円筒形状からなる現像剤担持体(現像スリーブ)等を有しているが、詳細な構成については後述する。
【0045】
なお、前記露光光学系330はレーザ光学系で構成される露光ユニットであり、また、前記転写手段340は後述する回転ベルト401を介して前記感光体ドラム310の周面一部に対向している。
【0046】
上述した4組の前記画像形成ユニットの機械的構成は基本的に同じであるので、参照符号は1組みのユニットについてのみ付し、他は省略することとする。
【0047】
それぞれの画像形成ユニット30は、ベルト設置部において縦方向に長く配設された、ベルトユニット4を構成するループ状の回転ベルト(以下、中間転写ベルトという)401の一平面(張設面)Aに沿って、上から、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の順に配列されている。
【0048】
前記中間転写ベルト401と、当該中間転写ベルトを回転可能に懸架する支持ローラ405、406、407、および、バックアップローラ410等がベルトユニット4を構成し、また、前記バックアップローラ410は、中間転写ベルト401を挟んで当該バックアップローラと押圧しながら回転するように対向配置した転写ローラ510とで二次転写手段を構成している。
【0049】
上記の画像形成ユニット30とベルトユニット4の構成とによる画像形成は次のようになされる。
【0050】
画像形成プロセスの開始に伴って、反時計方向に回転する感光体ドラム310の表面は帯電器320により所定の極性に帯電される。
【0051】
次いで、露光光学系330による第1の色信号、即ち、イエロー(Y)の画像信号に対応する露光が施され、当該(Y)の画像に対応する潜像が前記感光体ドラム310上に形成される。
【0052】
前記潜像は現像装置8の現像剤による接触または非接触現像処理により反転現像されて(Y)のトナー像に変換された後、転写手段340の作用によって中間転写ベルト401上に転写される。
【0053】
第1の色信号による画像形成開始から所定の時間後に順次開始される他の色信号による画像形成は上記と同様のプロセスにより、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の各画像形成ユニットによって行われ、それぞれのトナー像が前記(Y)のトナー像のある画像領域と重畳するように順次転写され、前記中間転写ベルト401上に重ね合わせのカラートナー像が形成される。
【0054】
一方、転写処理終了後の前記感光体ドラム310の表面はクリーニング装置350で清掃され、新たな画像形成のための準備が整えられる。
【0055】
なお、前記感光体ドラム310、あるいは、中間転写ベルト401に対する個々の画像形成プロセスの開始タイミングは、前記中間転写ベルト401の一方の側、本実施の形態においては外側であって、前記中間転写ベルトの回転方向に見て、前記転写ローラ510のある位置から1組目(イエロー)の画像形成ユニットが設けてある位置までの区間に付設したレジストセンサ413が、当該中間転写ベルト401に設けた、例えば、塗料を用いて形成した基準マークを検知した時を起点として計時を行い、所定時間経過毎に、順次、(Y)、(M)、(C)、(BK)プロセスを開始させるように構成してある。
【0056】
前記レジストセンサ413による検知信号を取り込み、計時を監視するとともに、個々のプロセス等に関する制御はコンピュータを含む制御部(制御手段)Sで行う。
【0057】
次に、中間転写ベルト上に形成されたカラートナー像が転写材である用紙Pに転写され、装置外に排紙されるまでの工程に絡めて、装置のその他の構成につき簡単に述べる。
【0058】
前記中間転写ベルト401上における画像形成に対応した適宜のタイミングで、用紙Pが給紙部5の送り出し部501(511、521)に位置する給紙ローラ503(513、523)によって給紙され、レジストローラ551に向けて搬送される。
【0059】
しかる後、前記用紙Pは、前記レジストローラ551の回転再開によって前記中間転写ベルト401上のカラートナー像領域と重畳するように再給紙され、二次転写部において前記バックアップローラ410と前記転写ローラ510とにより前記中間転写ベルトとともに押圧挟持されながらニップ部から送り出され、この間に、前記中間転写ベルト401上に担持(形成)されたカラートナー像が前記用紙P上に転写される。
【0060】
なお、転写に際しては、前記転写ローラ510と前記バックアップローラ410との間に適宜の転写バイアス電圧を印加するように構成される。
【0061】
トナー像が転写された前記用紙Pは、例えば、不図示の分離爪の作用を受けながら前記中間転写ベルト401から分離され、定着装置Tに向けて搬送される。
【0062】
前記定着装置Tは定着ヒータを内蔵する定着ローラT1と、当該定着ローラと圧接しながら回転する圧着ローラT2とを有し、画像を形成しているカラートナーは、両ローラによる加熱・加圧により溶融され、用紙P上に定着される。
【0063】
定着装置Tによる定着処理終了後の用紙Pは、その下流に設けてある排紙ローラ603により搬送され、装置本体外に設けてある排紙トレイ上に排出される。
【0064】
一方、二次転写終了後の前記中間転写ベルト401の表面はブレードからなるクリーニング手段415によってクリーニングされ、新たなトナー像を担持する準備がなされる。
【0065】
なお、現像処理により現像剤中のトナーが消費されるが、これは、現像装置8の適宜の場所にトナー濃度検知センサを設けておき、当該センサからの情報に基づいて前記現像装置内にトナーを供給するようになっており、公知技術で対応できる。
【0066】
また、図において、通路切替部材601の実線位置は定着処理後に用紙Pの上下面を反転させて排出する場合に保持される位置であり、破線位置は、上述の如く、定着装置から送り出された用紙をそのまま排出する際に保持される位置である。
【0067】
例えば、用紙Pの反転排出においては、前記定着装置Tから送り出された用紙Pは前記通路切替部材601の右側の辺に沿って下方に案内され、ローラ対602によって進行方向における後端が挟持された状態とされた後の当該ローラ対602の逆回転により上昇され、前記切替部材601の左側の辺を通って前記排紙ローラ603に達し、かつ、当該排紙ローラで排出されるように規制される。
【0068】
更に、前記ADU7を用いる両面コピーモードの場合の用紙Pの挙動は、反転排出の場合と同様に、片面に画像が形成された定着処理後の用紙Pを前記切替部材601の右側の辺に沿って下方に導き、進行方向における用紙Pの後端をローラ対605により挟持した状態で搬送停止せしめた後、当該ローラ対605を逆回転せしめ、ガイド板Gに沿って上昇させ、複数のローラ対701、703、705を有するADU7に導く事で用紙Pの反転を達成する。
【0069】
用紙Pの第2面に対する画像形成プロセスは前述と同じであり、前記定着装置Tから送り出された後の排出については前述した何れかを選択することになる。
【0070】
次に、トナー像形成手段(現像手段)である現像装置の構成について、図2乃至図4を用いて詳細に説明する。
【0071】
なお、現像装置の具体的な説明に関わり、本明細書においては、図2における左右方向を「前後方向」、図2における上下方向を「軸方向」または「回転軸方向」または「長手方向」といい、更に、図3及び図4における上下方向を「上下方向」と表現する。
【0072】
現像装置8は、現像剤担持体(現像スリーブ)800と、前記現像剤担持体800の長手方向に隣接した(手前側)位置に可回転に配設した第1撹拌部材803と、前記第1撹拌部材803の長手方向に隣接した(現像剤担持体に対して前記第1撹拌部材よりも後ろ側)位置に、仕切壁808を挟んで、可回転に配設した第2撹拌部材805と、前記第2撹拌部材の長手方向に隣接した(前記現像剤担持体に対して、前記第2撹拌部材よりも後方)位置に設けた可回転の第3撹拌部材807と、これらの部材を互いに軸方向にみて平行状態を保って軸支持するハウジング810と、前記ハウジングの上部を覆う開閉可能なカバー812とを有する。
【0073】
また、前記第1撹拌部材803、第2撹拌部材805および第3撹拌部材807はほぼ同じ回転軸方向長さを有しており、その長さは前記現像剤担持体800の回転軸方向長さよりも長く構成してある。
【0074】
そして、全撹拌部材の一方の端部位置を前記現像剤担持体の端部位置とほぼ同じ面内に位置づけることによって、他方の側において、ハウジング810共々、前記現像剤担持体800の端部よりも突出するように構成してある。
【0075】
換言すれば、図2の矢示の如くに、第1撹拌部材803による現像剤の搬送方向における下流側に延設し突出させてある。参照符号802は突出領域を示す。
【0076】
また、前記現像剤担持体800は、アルミニウムあるいはステンレスの如く非磁性金属材料からなる円筒状部材であり、その中に磁石(不図示)を位置固定で内蔵している。
【0077】
前記仕切壁808はハウジング810の底部から立ち上げて形成してあり、前記第1撹拌部材803と第2撹拌部材805との間に位置し、その両端の部分は欠落していて現像剤循環用の通路(現像剤受け渡し部ともいう)820、821を形成している。
【0078】
また、図3に示すように、前記現像剤担持体800と第1撹拌部材803とは、ハウジング810内に形成された現像剤の収納撹拌部(以下、第1収納撹拌部という)815に収納されており、また、第2撹拌部材805と第3撹拌部材807とは、前記第1収納撹拌部815に隣接して形成された他の収納撹拌部(以下、第2収納撹拌部という)816に収容されている。
【0079】
前記第1収納撹拌部815及び第2収納撹拌部816には磁性キャリアと非磁性トナーとを含む適宜の量の二成分現像剤が収納される。
【0080】
前記撹拌部材等の回転部材は画像形成装置本体側に設けられる駆動系から動力を貰い、歯車等を介して矢印方向に回転するように構成してあるが、動力伝達機構は公知の技術が使用できる。
【0081】
本実施の形態においては、既出の感光体ドラム310に対向して配置される現像剤担持体800は反時計方向(感光体ドラムとは、両者の近接点でみて反対方向)、第1撹拌部材803は反時計方向、第2撹拌部材805は時計方向、そして、第3撹拌部材807は反時計方向に回転する構成にある。
【0082】
前記第1撹拌部材803は、現像剤担持体800に対して現像剤を供給する機能を有し、現像剤担持体の回転軸方向においてトナー濃度ムラを生ぜしめることがない現像剤搬送能力(現像剤搬送速度、現像剤搬送量と同義)を有している。
【0083】
また、前記第1撹拌部材803は、現像領域通過後の前記現像剤担持体800から反発磁界(後記)の作用で自動的に除去される現像剤を回収する機能を有する。
【0084】
上述の如き第1撹拌部材803は、例えば、図5に模式的に示すように、軸(回転軸)Jの外周面の全周にわたって、軸方向に所定の向き、所定のピッチpを以て形成した、螺旋状のリブ(スクリュー)からなる回転部材として構成することができる。
【0085】
なお、現像剤を循環させるために、第1、第2撹拌部材の現像剤搬送方向下流側の端部部分(前記通路820、821に対応した部分)は、所定の長さ及び幅を持った羽根部材を回転軸から突出させて形成した十字のパドル形状としてあるが、この構成は公知であり、また、その構造が発明に直接関係するものではないので図では省略してある。なお、回転軸の周方向における羽根部材の数等は適宜決定できる。
【0086】
図中、Zで示すのは、現像剤担持体800上に磁気的に吸着され担持される現像剤層の厚さを規制するための層厚規制ブレードである。
【0087】
図2において撹拌部材の中に示す太い矢印は、第1撹拌部材803、第2撹拌部材805および第3撹拌部材807が前記の方向に回転したときの現像剤の搬送方向を示し、その矢印の長さは、現像剤搬送能力(現像剤搬送速度、現像剤搬送量等)を示す。
【0088】
現像剤の搬送方向と搬送能力について述べるに、第1撹拌部材803の回転は、現像剤を第1の方向(図において、上側から下側に向かう回転軸方向)に所定の搬送能力をもって搬送しながら撹拌し、前記第2撹拌部材805の回転は、前記第1撹拌部材803よりも低い現像剤搬送能力をもって、当該第1撹拌部材803による現像剤搬送方向と同方向に現像剤を搬送しながら撹拌する構成にある。
【0089】
また、第3撹拌部材807の回転は、前記第1撹拌部材803および前記第2撹拌部材805による現像剤搬送方向に対して逆方向(図において下側から上側に向かう回転軸方向)に現像剤を搬送する構成を有するとともに、第1撹拌部材の搬送能力よりも高い現像剤搬送能力(実質的には、第1撹拌部材と第2撹拌部材との合計の現像剤搬送能力と同等以上の現像剤搬送能力)を回転軸方向に有している。
【0090】
更に、前記第3撹拌部材807の現像剤搬送能力は、回転軸方向において変化するように設定してある。
【0091】
具体的には、上流側において大きい(高い)搬送能力を有し、下流に行くに従って搬送能力が低く(小さく)なるように構成されている。
【0092】
そして、第3撹拌部材の下流端における現像剤搬送量(第2撹拌部材を介して第1撹拌部材に受け渡される現像剤量)は、前記第1撹拌部材803の現像剤搬送量と略同じになる構成を有する。
【0093】
換言すれば、第2収納撹拌部816においては、前記第2撹拌部材と前記第3撹拌部材とによる回転軸方向の現像剤搬送量の合計が、当該第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって少なくなるように設定されており、第2収納撹拌部816から第1収納撹拌部815に対して供給搬送される現像剤量は、第1撹拌部材の搬送量と略同じである。
【0094】
なお、搬送量を回転軸方向に変化させることについては、例えば、第3撹拌部材807を螺旋状のリブを基本構成として作製した場合、現像剤搬送方向に見て下流側に行くに従って螺旋状のリブのピッチ(スクリューピッチ)pを小さくすることで現像剤搬送能力を減じることができる。
【0095】
このように構成することにより、現像剤受け渡し部820、821の付近において現像剤が滞留し、溢れ出してしまう現象を抑制することができ、また、トナーに対する帯電付与が容易にできる。
【0096】
更に、画像ムラが生じないように設定される前記第1撹拌部材803による現像剤搬送速度を低下させずに上述のような効果を得ることができる。
【0097】
なお、前記第3撹拌部材807の回転軸方向における構成としては、現像剤搬送量を連続的に減少せしめる構成としてもよく、また、回転軸方向に区分したその範囲を単位として段階的に搬送力を減少せしめる構成としてもよい。
【0098】
更に、結果として第2収納撹拌部816における現像剤の搬送量が上述の如く設定できる構成であれば、前記第2撹拌部材の構成も適宜に変えることができる。
【0099】
各撹拌部材の搬送能力は、後述する画像形成装置の動作条件を満足するように設定される。
【0100】
以上のような構成を有する現像装置によれば、第1撹拌部材803の回転により、第1収納撹拌部815内の現像剤は回転軸Jの周方向に撹拌されながら矢示の軸方向に搬送され、また、通路821を介して第2収納撹拌部816に送り込まれる。
【0101】
第2収納撹拌部816内に送り込まれた現像剤は、第2撹拌部材805作用を受けながらも、搬送能力の高い前記第3撹拌部材807によって前記第1撹拌部材803による搬送方向とは逆の方向に搬送され、その搬送量は、上流側から下流側に向かうに従って徐々に少なくされ、下流端において、第1撹拌部材803の搬送速度(搬送量)とほぼ同じにされ、受け渡し部を介して再度第1撹拌部材803で搬送されるという動作を繰り返し、仕切壁808を囲んだ態様で循環搬送される。
【0102】
なお、上記循環搬送中の混合・撹拌作用により、所定の帯電量を得るに至ったトナーを含む現像剤は、混合ムラのない状態で前記第1撹拌部材803により搬送されながら現像剤担持体800の周面上に供給されて現像処理に付され、結果、画像ムラのない高品質な画像が得られる。
【0103】
一方、現像剤担持体800上の現像剤は、現像領域を通過した後、反発磁界の作用により、自動的に現像剤担持体上から除去され、前記第1撹拌部材の作用を受けて上述の循環搬送に組み込まれる。
【0104】
この際、前記第1撹拌部材803と現像剤担持体800とは最近接点において周面が互いに逆方向に移動するように回転しており、除去されたトナーはすぐに現像剤担持体800に供給されることなく、前記第1撹拌部材803の撹拌搬送作用を受けて前述の循環流路に取り込まれ、当該循環搬送路を搬送される間に再び所期の帯電量を得て現像処理に使用されることになる。
【0105】
換言すれば、前記現像剤担持体800と第1撹拌部材803との回転方向を上述の如くなす事により、第1撹拌部材803により現像剤担持体800に供給される現像剤と第1撹拌部材803に回収される現像剤との入れ替えを確実に行うことができ、従って、前記現像剤担持体800の軸方向における現像剤のトナー濃度も均一に保つことができるので、画像濃度ムラの発生を低減できる。
【0106】
なお、現像処理後の現像剤はトナー濃度検知センサによってトナー濃度を検出され、その検出値に基づいて、未使用のトナー(以下、新トナーという)がトナー補給機構(不図示)からトナー供給口813を介して供給される。
【0107】
前記トナー供給口813は、前記第2撹拌部材805と前記第3撹拌部材807とが対向するほぼ中間位置(図4の側断面図で示すように、第2撹拌部材805と第3撹拌部材807とが互いに対向する部分の中間を指す)であって、第3撹拌部材による現像剤の搬送方向にみて上流側の適宜の位置に対応する前記カバー812上に設けてある。
【0108】
前記トナー補給機構は、例えば、装置本体側であって、前記トナー供給口813の上方に位置するように備えられる。
【0109】
トナー供給口813の位置を、前述の如き上流側の位置としたのは、有効な混合撹拌時間を得るべく意図したものである。
【0110】
供給されたトナーは、前記第2撹拌部材805と第3撹拌部材807との回転によって効率的に現像剤と撹拌される。
【0111】
即ち、第2撹拌部材805と第3撹拌部材807とは、両者の対向近接点でみて、周面が上方から下方に向けて互いに順方向に移動するように回転される態様(例えば、スクリューからなる撹拌部材の周面の一点に着目したとき、当該一点が、前記近接点に対して上方から近接点に到達し、下方に抜け出るように軸中心で回転する態様の意)であり、しかも、前記第1撹拌部材側におけるよりも現像剤の嵩(高さ)が低い領域であるので、供給トナーを現像剤中に迅速に沈み込ませることができ、現像剤中にトナーを迅速に均一分散させることができる。
【0112】
図6は、特に、現像剤担持体と第1撹拌部材との位置関係を説明するための模式図である。
【0113】
図中、801は現像剤担持体800に対して位置固定で内蔵されている円筒形の磁石で、現像剤の進行方向に見て5箇所に、S1、N1、S2、N2、S3の磁極を有する。
【0114】
磁極S1は第1撹拌部材803により供給される現像剤を前記現像剤担持体800の周面上に吸引する。
【0115】
吸引された現像剤は磁極N1、S2、N2、S3により現像剤担持体上に保持されて搬送され、磁極N2の領域において図示せぬ感光体ドラム上の潜像を顕像化する。
【0116】
しかる後、現像剤担持体の回転を介して磁極S3の近傍まで搬送された現像剤は、当該磁極S3と前記磁極S1により形成される反発磁界の作用により現像剤担持体800上から自動的に落下除去され、第1撹拌部材803の回転で現像剤担持体800近傍から遠ざけられるとともに、前記受け渡し部821に向けられる。
【0117】
本実施の形態において、S1、S3の磁極間角度α(実質的に現像剤担持体の中心と各磁極S1、S3とを結んでできる現像剤担持体表面上における角度)は110度である。
【0118】
また、反発磁極S1、S3間における磁気吸引力が1gf以下になる領域を有する。
【0119】
前記磁極間角度は70度以上が好ましく、より好ましくは90度以上である。
【0120】
これにより、磁気吸引力が1gf以下、好ましくは0gfになる領域を20度(実質的に、現像剤担持体中心と1gf以下を示す磁極S1およびS3側の位置を結んでできる現像剤担持体表面上における角度)以上確保することができる。
【0121】
磁極間角度が70度未満であると、磁気吸引力が1gf以下、好ましくは0gfになる領域を十分に確保することができず、反発磁界による現像剤担持体800からの現像剤の除去が不完全となり、現像に供された後の現像剤が再び現像領域に搬送されて画像濃度ムラが発生する場合がある。
【0122】
上記の如く磁石内蔵の現像剤担持体800に対して、第1撹拌部材803は磁気吸引力が1gf以下である領域内に対向配置される。
【0123】
具体的には、磁気吸引力が1gf以下である現像剤担持体表面上の領域内であって、当該現像剤担持体表面に対して第1撹拌部材の周面一部が最近接位置を採るように対向配設してある。
【0124】
本実施の形態においては、螺旋状のスクリューを主部とする、外径24mmの回転部材を第1撹拌部材として用いるとともに、その最近接距離を4mmとした。
【0125】
現像剤担持体800と第1撹拌部材803の周面との最近接距離は6mm以下が好ましく、5mm以下であることがより好ましい。
【0126】
最近接距離が6mmを超えると、第1撹拌部材と現像剤担持体との間での現像剤の供給・回収が十分に行われない場合が生じ、ムラのある画像を形成する危惧がある。
【0127】
また、両者間の最近接距離は零mmを含むものではなく、精度等の観点から2mm以上が適当であり、現像剤の供給・回収機能の観点からは3mmの距離があっても十分に目的を達成することができる。
【0128】
なお、現像剤を構成する要素であるトナーとしては、体積平均粒径が3〜5μmであることが好ましく、斯様な小粒径トナーは、高解像性と優れた細線再現性を有するトナー画像を形成することができ、また、ソリッド部(ベタ画像部)やハーフトーン部においては画像濃度ムラのない安定したトナー画像を形成することができる。
【0129】
前記小粒径のトナーは、例えば、重合法により生産することができる。
【0130】
また、キャリアとしては、トナーの体積平均粒径をDt[μm]とするとき、5×Dt〜10×Dt[μm]であることが好ましい。
【0131】
体積平均粒径がトナーの体積平均粒径の5〜10倍の大きさを有するキャリアを使用することにより、小粒径トナーを用いた場合でもキャリア表面の帯電付与性能を向上させることができ、これにより、かぶりやトナー飛散の発生を抑制でき、均一な画像濃度を有するとともに、きめの細かい高画質の画像を得ることができる。
【0132】
また、前述した画像形成装置においては、現像装置8による現像処理が、下記の条件(イ)及び条件(ロ)を満足する動作設定条件に調整された状態において行われる。
【0133】
条件(イ); Wo ≧ M×V×L/1000
条件(ロ); R ≦ 600
上記条件(イ)及び条件(ロ)において、Vは像担持体の周速度[mm/sec]、Mは像担持体上に形成するトナー像の単位面積当たりの最大付着量[mg/cm2]、Lは像担持体の移動方向に直交する方向(軸方向)のトナー像の最大幅[mm]、Woは第1撹拌部材による現像剤担持体の回転軸方向における現像剤移動量[g/sec]、Rは第1撹拌部材の回転数[rpm]を、それぞれ示す。
【0134】
第1撹拌部材803による回転軸方向における現像剤移動量(現像剤搬送量)Woが過小である場合には、第1撹拌部材803の現像剤搬送方向下流側の現像剤供給領域において現像剤中のトナー濃度が低下し、十分な量のトナーを現像領域に供給することが困難となり、画像濃度ムラが発生しやすくなる。
【0135】
また、第1撹拌部材803の回転数が過大である場合には、当該第1撹拌部材803の軸部等で発生する熱により現像剤が劣化しやすくなり、高画質な画像を長期間にわたって形成することが困難となる。
【0136】
換言すれば、前記した特定の条件(イ)及び条件(ロ)を満足する状態で現像プロセスが行われることにより、現像剤を軸方向においてトナー濃度ムラのない状態で現像領域に供給することができるので、画像濃度ムラのない均一な画像濃度を有する画像を得ることができる。
【0137】
また、第1撹拌部材の回転数を600rpm以下に設定することにより、第1撹拌部材を高速回転させた場合に発生する熱によって現像剤が劣化することを防止することができる。
【0138】
以上のように、上記構成の画像形成装置によれば、トナーとキャリアとが十分に混合・撹拌されて、十分なトナーの帯電立ち上がり特性が得られ、しかも、現像剤が軸方向に対して均一なトナー濃度で現像領域に供給される。
【0139】
従って、例えば、印字率が高い画像を連続して出力することにより大量のトナー消費とトナー補給が繰り返し行われた現像剤を用いる場合や、1分間当たりの画像形成枚数(プリント枚数)が50枚以上となるような高速のプロセス速度で画像形成が行われる場合であっても、かぶりやトナー飛散が生ずることがなく、しかも、画像濃度ムラのない高画質画像を形成することができる。
【0140】
次に、既出以外の構成を有する撹拌部材の他の形態について説明する。
【0141】
図7乃至図9に示す撹拌部材は、前記図5に示す撹拌部材を基本的構成とするが、更に現像剤撹拌能力を高めたものであり、また、軸方向に対するトナー濃度ムラの発生を防止するために必要とされる十分な現像剤搬送能力を有している。
【0142】
図7に示す撹拌部材は、回転軸Jの外周面全周にわたり、かつ、軸方向に所定の大きさのピッチpで形成した螺旋状のリブ850と、前記回転軸Jの外周上であって径方向の外方に延びるように設けた棒状または板状のリブ(垂直羽根、垂直リブ)855とを備えている。
【0143】
前記板状のリブ855は螺旋状のリブ850のピッチP間毎に一つずつ設けられ、かつ、回転軸方向に一列状(直線状)に設けられている。
【0144】
但し、前記リブ855は、図を側面からみたとき、回転軸J上において位相をズラして軸方向に設けることもできる。
【0145】
なお、本発明に係わる第2撹拌部材または第3撹拌部材として用いる場合であって、回転軸方向における現像剤の搬送量を変化せしめる必要がある場合には、前記棒状、または板状のリブの高さ(径方向の長さh)、または幅(軸方向長さW)を回転軸方向において変えることになる。
【0146】
例えば、撹拌部材自身の回転による現像剤の搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって搬送量を少なくする場合には、上流側から下流側にいくに従って、前記棒状または板状のリブの高さ(h)を高く、または幅(W)を広くなるように構成する。
【0147】
或いは、上記とは逆に、撹拌部材自身の回転による現像剤の搬送方向にみて、上流側から下流側に向かうに従って搬送量を大きくする場合には、棒状または板状のリブの高さ、または幅を、上流側から下流側に向かって低く、または小さく(狭く)なるように設定することになる。
【0148】
図8に示す撹拌部材は、回転軸Jの外周面全面にわたり、かつ、軸方向に所定の大きさのピッチpで形成した螺旋状のリブ850を備え、当該螺旋状のリブの外周縁部には、軸方向に貫通して延びる切欠部857が形成してある。
【0149】
例えば、図を側面からみたとき、前記切欠部857の列は、回転軸Jの周方向に180度位相をズラした2列の構成を有する。図中、Uは切欠部の周方向における長さ(幅の意)を示し、tは切欠部の径方向の長さを示す。
【0150】
なお、本発明に係わる第2撹拌部材または第3撹拌部材として用いる場合であって、回転軸方向における現像剤の搬送量を変化せしめる必要がある場合には、前記切り欠きの周方向の長さ(幅)U、または径方向の長さ(深さ)tを、回転軸方向において変えることになる。
【0151】
例えば、撹拌部材自身の回転による現像剤の搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって搬送量を少なくする場合には、上流側から下流側にいくに従って、前記切り欠きの長さ(幅;U)、または径方向の長さ(深さ;t)を、上流側から下流側に向かって広く、または深くなるように構成する。
【0152】
上記と、搬送方向にみた搬送量を逆にする場合には、図7を用いて述べたと同様に、回転軸方向における前記構成を逆にすればよい。
【0153】
図9に示す撹拌部材は、回転軸Jの外周面全面にわたり、かつ、軸方向に所定のピッチpで形成した螺旋状のリブ850と、当該螺旋状のリブの外周縁部を介して前記回転軸J方向に切れ目なく直線状に延びる板状のリブ858とを備えている。
【0154】
また、この例においては、軸対象である2カ所(図における上縁部と下縁部)に板状のリブを設けてある。
【0155】
なお、本発明に係わる第2撹拌部材または第3撹拌部材として用いる場合であって、回転軸方向における現像剤の搬送量を変化せしめる必要がある場合、例えば、それぞれの撹拌部材による現像剤搬送方向に見て、上流側から下流側に向かって現像剤搬送量を変化させる(搬送量を少なくする)場合には、前記板状のリブの径方向の幅(t)を、当該撹拌部材の現像剤搬送方向に見て、上流側から下流側に向かって広くなるように設定する。
【0156】
また、前記とは逆の搬送量が望まれる場合には、図7、図8において説明したと同様に、回転軸方向における構成を逆の構成にすればよい。
【0157】
これら図7乃至図9に示す構成の撹拌部材が、例えば、第2撹拌部材または第3撹拌部材として備えられた現像装置によれば、基本的には、十分な大きさの現像剤の搬送速度が得られて、現像剤担持体に供給される現像剤の軸方向に対するトナー濃度ムラの発生を防止することができる上に、十分なトナーの帯電立ち上がり特性を確実に得ることができるので、帯電不良によるトナー飛散、かぶり等の問題も軽減、抑制できる。
【0158】
図10に示す撹拌部材は、回転軸Jに垂直な平面に対して第1の方向に傾斜して設けた複数の半楕円形状からなる板状部材を以て構成した第1の撹拌部と、第2の方向に傾斜して設けた複数の半楕円形状からなる板状部材を以て構成した第2の撹拌部とを主要素とし、互いに異なる方向に傾斜する2枚の板状部材が対となって、適宜のピッチpで回転軸方向に設けられている構成を有する。
【0159】
図11に示す撹拌部材は、回転軸Jに垂直な平面に対して第1の方向に傾斜して設けた複数の半楕円形状からなる板状部材を以て構成した第1の撹拌部と、第2の方向に傾斜して設けた複数の半楕円形状からなる板状部材を以て構成した第2の撹拌部とを有するとともに、第1の撹拌部および第2の撹拌部を構成する板状部材の外周縁上であって、周方向において等間隔な4カ所の位置に、回転軸方向に切れ目なく延びる板状のリブを設けた構成を有する。
【0160】
軸方向に延びる板状のリブを有する撹拌部材は、例えば第3撹拌部材として好適に使用でき、このような構成の第3撹拌部材を備えた現像装置によれば、前述したような作用、効果が一層確実に得られ、トナーの帯電不良によるトナー飛散やかぶりの更なる軽減を期待でき、また、現像剤担時体に供給される現像剤の軸方向に対するトナー濃度の不均一性による画像濃度ムラの発生も同様に低減できる。
【0161】
従って、このような現像装置を備えた画像形成装置によれば、十分な撹拌の下、所期の帯電量のトナーを含み、かつ、均一なトナー濃度を有する現像剤が現像剤担持体の軸方向に供給され、当該現像剤により感光体ドラム上の潜像が現像されるので、トナー飛散、かぶり、画像濃度ムラ等の問題発生を抑制でき、より高画質な画像の作製を可能とする。
【0162】
以上において、本発明に係わる画像形成装置の実施の形態については、複数の現像装置を備えたカラー画像の作製ができる画像形成装置として説明したが、現像装置の有する作用、効果は、モノクロ画像形成用の画像形成装置に適用した場合も享受できる。
【0163】
次に、第2の実施の形態に係わる画像形成装置について説明する。
【0164】
図12に示す画像形成装置は、転写後の感光体ドラム上から除去したトナーを回収し、最終的に現像装置に戻して再利用するトナーリサイクル手段(トナーリサイクル装置)を有する。
【0165】
また、図12の画像形成装置はモノクロのデジタル複写機からなり、複写機としての基本的な構成、例えば、自動原稿送り装置、画像読み取り部、画像形成部、給紙部、定着装置等を備えてはいるが、これらについては第1の実施の形態に係わる図面及び説明から理解願えるものであり、また,現像装置8も基本的に第1の実施の形態と同じ構成であるので、図では主要部を模式的に示すに止めてある。
【0166】
また、図において、既出の部材(手段)と同じ部材(手段)については同一の参照符号を付してある。
【0167】
図中、310は像担持体である感光体ドラム、320は帯電器、330はレーザ光源を含む露光光学系(書き込み手段)、8は現像装置、350はクリーニング装置、Pは用紙を示す。
【0168】
前記感光体ドラムの回転方向にみて、前記現像装置8と前記クリーニング装置350との間には転写極と分離極とが設けてある。
【0169】
前記クリーニング装置350は、前記感光体ドラム310の表面に対してカウンタ方向に接触するブレード352からなるクリーニング手段を容器351内の上方位置に有するとともに、前記ブレード352により除去されるトナー(以下、リサイクルトナーともいう)を前記感光体ドラムの軸方向であって所定方向(図において手前側)に搬送するスクリューからなる可回転の回収部材353を前記容器351内の下方位置に有している。
【0170】
参照符号9はトナーリサイクル手段で、前記回収部材353により搬送・回収されたリサイクルトナーを受け取り、かつ、前記現像装置8に向けて搬送する、スクリューからなる可回転の搬送手段901(便宜上、二点鎖線で示す)を有する。
【0171】
前記回収部材353及び搬送手段901の基本的形状は図5に示す形状と同じである。
【0172】
前記搬送手段901は円筒状の外枠903(便宜上、二点鎖線で示す)に内蔵されており、また、当該外枠903の先端部には、リサイクルトナーを前記現像装置8内に供給するための開口905が設けられ、当該開口は、現像装置8のカバー812上に設けたリサイクルトナー供給口825とトナー漏れがないように整合されている。
【0173】
前記リサイクルトナー供給口825は、前述した第2撹拌部材805と前記第3撹拌部材807とが対向するほぼ中間位置であって、第2撹拌部材805或いは第3撹拌部材による現像剤の搬送方向にみてトナー供給口813よりも上流側の適宜の位置に対応する前記カバー812上に設けてある。
【0174】
前記現像装置8の長手方向における前記トナー供給口813とリサイクルトナー供給口825との位置関係は、基本的に図2に示すと同じ現像装置の模式図である図13に示される。
【0175】
両者の間隔は特に制限されるものではないが、トナー供給口よりも5〜30mm程度の上流位置に前記リサイクルトナー供給口825を設けることが実用上好ましい。
【0176】
リサイクルトナーは、現像剤におけるリサイクルトナーの新トナーに対する比率(リサイクルトナー比率)が50質量%以下である状態が維持されるように、その供給量が調整されて供給される。
【0177】
斯様な構成の現像装置により、新トナーに比較して流動性が悪く、また、帯電性が低い傾向にあるリサイクルトナーを現像剤中に迅速に沈み込ませることができ、また、混合撹拌時間を長くすることができるので、リサイクルトナーについても所望の帯電を得ることができ、トナーの帯電不良によるかぶりやトナー飛散の発生を抑制しうるとともに、画像形成における画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0178】
具体的には、現像剤が第2撹拌部材805により軸方向に搬送される過程において、現像剤の搬送速度を低下させることなく、第2収納撹拌部816において十分な混合撹拌時間が確保され、トナーが所期の帯電を有する状態にまで帯電された現像剤を、第1撹拌部材803により軸方向に対して均一なトナー濃度で現像剤担持体800に供給できる。
【0179】
また、リサイクルトナーが、第2撹拌部材805による現像剤搬送方向にみてトナー供給口813よりも上流側に設けたリサイクルトナー供給口825から導入されるので、帯電性の低いリサイクルトナーを先に現像剤中に分散した後に、新トナーを分散することができるとともに、リサイクルトナーに対する混合撹拌時間を長く確保できる。
【0180】
従って、上記構成の現像装置を備えた画像形成装置においては、印字率が高い画像を連続して出力することにより、大量のトナー消費とリサイクルトナーを含むトナー補給が繰り返し行われた現像剤を用いる場合であって、1分間当たりの画像形成枚数が50枚以上となるような高速のプロセス速度で画像形成が行われる場合でも、かぶりやトナー飛散の発生を抑えることができ、また、画像濃度ムラがなく、均一な濃度を有する高画質画像を形成することができる。
【0181】
次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
【0182】
[回転部材の作製]
下記の如くに、第1撹拌部材、第2撹拌部材および第3撹拌部材として用いられる回転部材を作製した。
(回転部材A)
図5に示されるように、左巻きの螺旋状のリブ(スクリュー)を軸部材の外周面に形成するとともに、この螺旋状のリブによる現像剤の搬送方向下流側の長さ30mmにわたる軸部材外周面上に、4つの平板状羽根部材を径方向外方に延びるように設けてパドル形状となし、更に、この回転部材の両端部に、外形寸法が24mmの円板状のフランジ部材を設けた構成とした回転部材。
【0183】
この回転部材Aの諸元は下記の通りである。
【0184】
最大外径(d):24mm、軸部を除く回転軸方向長さ:440mm、軸部材の外径:6mm、螺旋状のリブのピッチ(p):30mm、螺旋状のリブの厚み:1mm
(回転部材D)
回転部材Aにおいて、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、そのピッチ(p)を40mmとした他は回転部材Aと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材D改)
回転部材を基に、螺旋状のリブのピッチ(p)を現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって小さく構成した回転部材(上流側45mm→下流側40mm)。
(回転部材E)
図8に示されるように、左巻きの螺旋状のリブ(スクリュー)を軸部材の外周面に形成するとともに、螺旋状のリブの外周縁部に切欠部を設け、かつ、この螺旋状のリブによる現像剤の搬送方向下流側の長さ30mmにわたる軸部材外周面上に、4つの平板状羽根部材を径方向外方に延びるように設けてパドル形状となすとともに、この回転部材の両端部に外形寸法が24mmの円板状のフランジ部材を設けた構成とした回転部材。
【0185】
この回転部材Eの諸元は下記の通りである。
【0186】
最大外径(d):24mm、軸部を除く回転軸方向長さ:440mm、軸部材の外径:6mm、螺旋状のリブのピッチ(p):30mm、螺旋状のリブの厚み:1mm、切欠部の径方向長さ(t):5mm、切欠部の周方向長さ(U):2mm、切欠箇所:1ピッチ当たり4カ所(等間隔)
(回転部材F)
回転部材Eにおいて、螺旋状のリブのピッチ(p)を20mmとした他は回転部材Eと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材Y改)
回転部材Eを基に、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、切欠部の径方向長さ(t)を現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって大きく構成した回転部材(上流側5mm→下流側8mm)。
(回転部材Y改2)
回転部材Eを基に、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、切欠部の周方向長さ(U、幅と同義)を現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって大きく構成した回転部材(攪拌部を三等分し、上流側から、2mm、4mm、6mm)。
(回転部材G)
図7に示されるように、左巻きの螺旋状のリブ(スクリュー)を軸部材の外周面に形成するとともに、径方向外方に延びる複数の板状のリブ(垂直羽根)を軸の長手方向に設け、かつ、前記螺旋状のリブによる現像剤の搬送方向下流側の長さ30mmにわたる軸部材外周面上に、4つの平板状羽根部材を径方向外方に延びるように設けてパドル形状となすとともに、この回転部材の両端部に外形寸法が24mmの円板状のフランジ部材を設けた構成とした回転部材。
【0187】
この回転部材Gの諸元は下記の通りである。
【0188】
最大外径(d):24mm、軸部を除く回転軸方向長さ:440mm、軸部材の外径:6mm、螺旋状のリブのピッチ(p):30mm、螺旋状のリブの厚み:1mm、板状のリブの配置:1ピッチ当たりに1つ(スクリューピッチ間の中央位置)、板状のリブの軸方向における長さ(W):3mm、板状のリブの径方向の長さ(h):8mm、板状のリブの厚み:1mm
(回転部材I)
回転部材Gにおいて、板状のリブ(垂直羽根)の軸方向長さ(W)を12mmとするとともに、螺旋状のリブの1ピッチ(p)当たり4箇所に板状のリブを設けた他は回転部材Gと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材J)
回転部材Gにおいて、板状のリブ(垂直羽根)の軸方向長さ(W)を20mmとするとともに、螺旋状のリブの1ピッチ(p)当たり4箇所に板状のリブを設けた他は回転部材Gと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材Z改)
回転部材Gにおいて、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、板状のリブの径方向長さ(h)を現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって大きく構成した回転部材(撹拌部を四等分し、上流側から8mm、10mm、12mm、14mm)。
(回転部材Z改2)
回転部材Gにおいて、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、板状のリブの軸方向長さ(W)を現像剤搬送方向上流側から下流側に向かって大きく構成した回転部材(撹拌部を四等分し、上流側から3mm、4mm、5mm、6mm)。
(回転部材K)
図9に示されるように、左巻きの螺旋状のリブ(スクリュー)を軸部材の外周面に形成するとともに、当該螺旋状のリブの外周縁上に、軸方向に切れ目なく延びる板状のリブを設け、かつ、前記螺旋状のリブによる現像剤の搬送方向下流側の長さ30mmにわたる軸部材外周面上に、4つの平板状羽根部材を径方向外方に延びるように設けてパドル形状となすとともに、この回転部材の両端部に外形寸法が24mmの円板状のフランジ部材を設けた構成とした回転部材。
【0189】
この回転部材Kの諸元は下記の通りである。
【0190】
最大外径(d):24mm、軸部を除く回転軸方向長さ:440mm、軸部材の外径:6mm、螺旋状のリブのピッチ(p):30mm、螺旋状のリブの厚み:1mm、板状のリブの径方向の長さ(t):3mm、板状のリブの厚み:1mm、板状のリブの取り付け箇所:軸対象の2カ所
(回転部材L)
回転部材Kにおいて、板状のリブの径方向長さ(t)を5mmとしたことの他は回転部材Kと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材M)
回転部材Kにおいて、4つの板状のリブを螺旋状のリブの外周縁上に等間隔に設けたことの他は回転部材Kと同じ構成を有する回転部材。
(回転部材N)
回転部材Kにおいて、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、螺旋状のリブのピッチ(p)を20mmとした他は回転部材Kと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材N改)
回転部材を基に、板状のリブの径方向長さ(t)を上流側から下流側にいくに従って大きく構成した回転部材(上流側3mm→下流側5mm)。
(回転部材O)
回転部材Kにおいて、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、板状のリブの径方向長さ(t)を5mmとした他は回転部材Kと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材P)
回転部材Kにおいて、螺旋状のリブを右巻きにするとともに、板状のリブの取り付け箇所を、周方向において等間隔の4箇所とした他は回転部材Kと同様の構成を有する回転部材。
(回転部材AA)
回転部材N改において、4つの板状のリブを螺旋状のリブの外周縁上に等間隔に設けたことの他は回転部材N改と同じ構成を有する回転部材。
(回転部材W)
図10に示されるように、軸部材に垂直な平面に対して互いに異なる方向に傾斜して設けた複数の半楕円形状からなる板状部材を以て構成した第1の撹拌部と第2の撹拌部とを有するとともに、この回転部材の両端部に外形寸法が24mmの円板状のフランジ部材を設けた構成とした回転部材。
【0191】
この回転部材Wの諸元は下記の通りである。
【0192】
最大外径(d):24mm、軸部を除く回転軸方向長さ:440mm、軸部材の外径:6mm、板状部材の厚み:1mm、第1の撹拌部を構成する板状部材の軸に対する取り付け角度(α1):+45°、第2の撹拌部を構成する板状部材の軸に対する取り付け角度(α2):−45°、板状部材の配置ピッチ:25mm
(回転部材X)
図11に示されるように、軸部材に垂直な平面に対して互いに異なる方向に傾斜して設けた複数の半楕円形状からなる板状部材を以て構成した第1の撹拌部と第2の撹拌部とを有するとともに、第1の撹拌部および第2の撹拌部を構成する板状部材の外周縁上であって、周方向において等間隔な4カ所の位置に、軸方向に切れ目なく延びる板状のリブを設け、かつ、この回転部材の両端部に外形寸法が24mmの円板状のフランジ部材を設けた構成とした回転部材。
【0193】
この回転部材Xの諸元は下記の通りである。
【0194】
最大外径(d):24mm、軸部を除く回転軸方向長さ:440mm、軸部材の外径:6mm、板状部材の厚み:1mm、第1の撹拌部を構成する板状部材の軸に対する取り付け角度(α1):+45°、第2の撹拌部を構成する板状部材の軸に対する取り付け角度(α2):−45°、板状部材のピッチ(p):25mm、板状のリブの径方向長さ(t):3mm、板状のリブの厚み:1mm
<実験例1>
[現像装置の作成]
図2乃至図4に示される構成に従って、第1撹拌部材、第2撹拌部材及び第3撹拌部材が下記表1に示す回転部材で構成された本発明に係わる現像装置1〜14を作製した。
【0195】
また、第1撹拌部材、第2撹拌部材及び第3撹拌部材が下記表1に示す回転部材で構成され、かつ、第3撹拌部材を有しない比較用の現像装置15〜24を作製した。
【0196】
なお、現像剤担持体(現像スリーブ)は外径が30mm、軸方向長さが330mm(磁気ブラシ形成幅320mm)である。
【0197】
また、すべての現像装置におけるトナー供給口の形成位置は、第2撹拌部材と第3撹拌材とが互いに対向する部分(長手方向に直交する断面でみたとき、両部材の真ん中)の上方位置であって、第3撹拌部材による現像剤搬送方向における上流側の端縁から15mm下流の位置である。
【0198】
比較用の現像装置15〜24に関して言うなら、トナー供給口の形成位置は、第2撹拌部材の後方側(現像剤担持体から見て遠い側)の上方位置であって、第2撹拌部材による現像剤の搬送方向の上流側端縁から15mm下流の位置である。
【0199】
現像剤としては、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー及びブラックトナーの各々に係わる現像剤のいずれのものもトナー濃度が7質量%である二成分現像剤を用いた。
【0200】
現像剤の充填量は、現像装置1〜14が1200g、15〜24が800gである。
【0201】
上記トナーは、いずれのものも体積平均粒径が4.5±0.15μm、粒径分布の標準偏差(a)と平均粒径(b)により示されるCV値[a/b×100%]が18±2%である各色の重合トナーに、大粒径シリカ0.8質量%、小粒径シリカ0.2質量%、大粒径チタニア0.2質量%、小粒径チタニア0.4質量%、ステアリン酸カルシウム0.05質量%を外添処理したものを用いた。
【0202】
上記キャリアは、各々のトナーに係わるいずれの現像剤のものにおいても、体積平均粒径が25μm、飽和磁化60emu/gのフェライト粒子の表面に、アクリル系樹脂をフェライト粒子に対する被覆量が3質量%となる状態でコーティングしたものを用いた。
【0203】
本発明に係わる現像装置1〜14及び比較用の現像装置15〜24の各々を適宜の駆動機に装着するとともに、第1撹拌部材、第2撹拌部材、第3撹拌部材の回転量を下記表1の如くに設定し、現像剤移動量を測定した。
【0204】
結果は下記表1に示される。
【0205】
なお、現像剤移動量の測定は、現像剤搬送方向における第1撹拌部材の下流側のハウジング底面に設けた現像剤排出口から単位時間当たりに排出される現像剤の質量を測定することで行った。
【0206】
なお、表中の「第2/第3対向部分における移動方向」は、第2撹拌部材と第3撹拌部材との近接対向位置でみたときの両撹拌部材の周面移動方向を示す。
【0207】
更に、例えば、現像装置18〜24における撹拌部材の回転数として2種類表示してあるが、400rpmはカラー画像形成における回転数、650rpmはモノクロ画像形成において使用した回転数であり、それぞれ、後述する表2、表3に関係する。
【0208】
【表1】

【0209】
[画像形成装置]
図1に示される構成に従って、前記現像装置1〜24のそれぞれが搭載されたカラー画像形成用の画像形成装置を製造し、画像出力テストを下記の画像形成条件で行った。
【0210】
画像形成条件は、各色トナー像に係わる画像形成ユニットのいずれについても同じに設定した。
<画像形成条件>
・プロセス速度(V):220mm/sec(1分間当たりの画像形成枚数が50枚) ・現像剤担持体(現像スリーブ)の回転数:210から280rpmの範囲内で調整して、感光体ドラム上の単位面積当たりのトナー付着量(M)が0.4mg/cm2となる状態とした。
【0211】
・感光体ドラムと現像スリーブとの最近接距離:0.3mm
・現像バイアス:交流バイアス(AC)成分と直流バイアス(DC)成分を重畳したバイアス
・交流バイアス成分:Vac=1kVpp、fac=5kHz、波形=正弦波
・直流バイアス成分:感光体ドラムにおける最大露光部の表面電位VLの検知結果に応じて、Vdc=VL−500Vとなる状態に制御した。
【0212】
・現像スリーブによる現像剤搬送量:25±2mg/cm2
・現像スリーブの軸方向における磁気ブラシの形成幅:320mm
・トナー補給制御:第1撹拌部材による現像剤搬送方向からみて下流側の端縁から80mm上流側の位置にトナー濃度センサ(透磁率センサ)を設け、その検知結果に応じてトナー補給モータを駆動制御した。
【0213】
・トナー補給速度:最大30g/min
・感光体表面電位:最大露光部電位(VL):−50V〜−100V
帯電電位(VH):現像バイアスにおける直流バイアス成分の設定値に応じてVH=Vdc−150Vとなる状態に制御した。
【0214】
画像出力テストは、下記(1)〜(6)の画像出力を4回繰り返し(トータルとして、A4×2000枚)、文字/ラインパターンのかぶり発生の有無、文字散り発生の有無、ソリッドパターンの濃度ムラ発生の有無、機内汚れ発生の有無の評価を、下記の評価基準に基づいて行った。結果を下記の表2に示す.
(1)シアン(C)単色の文字/ライン+中間調(10段)パターン(印字率30%)を連続して50枚出力。
(2)シアン(C)単色のソリッドパターン(印字率80%)を連続150枚出力。
(3)シアン(C)単色の文字/ラインパターン(印字率7%)を連続して50枚出力。(4)青(マゼンタ(M)+シアン(C))単色の文字/ライン+中間調(10段)パターン(M、Cとも印字率30%)を連続して50枚出力。
(5)青単色のソリッドパターン(M、Cとも印字率80%)を連続して150枚出力。(6)青(マゼンタ(M)+シアン(C))単色の文字/ラインパターン(M、Cとも印字率7%)を連続して50枚出力。
【0215】
<評価基準>
(イ)画像のかぶり:
画像のかぶりは、未使用の用紙の反射濃度を0としたときの、文字/ラインパターン白地部の相対反射濃度を測定し、相対反射濃度が0.004以下である場合を「○」、相対反射濃度が0.004を超え、0.006以下である場合を「△」、相対反射濃度が0.006を超える場合を「×」として評価した。
(ロ)文字散り:
文字散りは、4ポイントの「鐘」という文字を拡大して観察したときの文字輪郭のシャープさ及び文字の滲み度合いの状態を評価した。
【0216】
そして、「鐘」の文字の空間部がすっきりと抜けていて文字の輪郭が明瞭であり、また、文字周辺部のトナー散りも極めて少ない場合を「○」、「鐘」の文字の空間部がやや潰れている(トナー散りでやや埋まっている)けれども、文字周辺部のトナー散りが少ない場合を「△」、「鐘」の文字の空間部が潰れており(トナー散りで埋まっている)、しかも、文字周辺部のトナー散りが多く、文字の輪郭が滲んでいる場合を「×」とした。
(ハ)画像濃度ムラ:
画像濃度ムラは、シアン単色のソリッドパターンまたは青単色のソリッドパターンのページ内における任意の9カ所における色差(L*a*b*空間での距離)で評価した。
【0217】
シアン単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が3以下であり、かつ、青単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が7以下である場合を「○」、シアン単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が3を超え、5以下であり、かつ、青単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が7以下である場合、または、シアン単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が3以下であり、かつ、青単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が7を超え、9以下である場合を「△」、シアン単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が3を超え、かつ、青単色のソリッドパターンについての9カ所の色差が9を超える場合を「×」とした。
(ニ)機内汚れ:
機内汚れは、画像出力終了後に現像装置を取り外し、現像装置装着部近傍の汚れの状態を目視観察して評価した。
【0218】
そして、機内汚れが認められない場合、または、現像装置装着部のみに極軽微な汚れがみられる場合を「○」、現像装置装着部近傍(例えば、両端部等)に僅かなよごれが認められる場合を「△」、現像装置装着部の汚れが周辺部(例えば、帯電器等)にまで拡大している場合を「×」とした。
【0219】
なお、表2における現像装置番号は、表1における現像装置番号と対応している。
【0220】
【表2】

【0221】
<実験例2>
[現像装置の作製]
実験例1で用いた前記現像装置1〜24の各々において、第3撹拌部材による現像剤の搬送方向におけるトナー供給口よりも8mm上流側の位置にリサイクルトナー供給口を形成した現像装置(対応をわかりやすくするために、全表中の現像装置番号は統一してある)1〜24を作製した。
【0222】
図12に示される構成において、前記現像装置の各々が搭載された、トナーリサイクル手段を有するモノクロ画像形成用の画像形成装置を製造した。
【0223】
トナーリサイクル手段は、リサイクルトナーを現像装置に搬送するための搬送手段が、単位時間当たりのトナー搬送量が最大で30g/minであるものにより構成される。
【0224】
そして、画像形成装置のプロセス速度を320mm/sec(1分間当たりの画像形成枚数が65枚)に設定するとともに、現像装置1〜14については第1撹拌部材、第2撹拌部材及び第3撹拌部材の各々の回転速度を400rpmに設定し、第3撹拌部材を有さない現像装置15〜17における第1、第2撹拌部材については回転速度400rpm、現像装置18〜24については回転速度650rpmとした。
【0225】
実験例1の黒(BK)トナー像にかかわる画像形成ユニットと同様の画像形成条件下で、下記(7)〜(9)の画像出力を8回繰り返して行う(トータルとして、A4×2000枚)画像出力テストにより、文字/ラインパターンのかぶり発生の有無、文字散り発生の有無、及び、機内汚れ発生の有無の評価を前述した評価基準に基づいて行うとともに、ソリッドパターンの画像濃度ムラ発生の有無の評価を下記評価基準に基づいて行った。
【0226】
結果を下記表3に示す。
(7)黒(BK)単色の文字/ライン+中間調(10段)パターン(印字率30%)を連続して50枚出力。
(8)黒(BK)単色のソリッドパターン(印字率80%)を連続して150枚出力。
(9)黒(BK)単色の文字/ラインパターン(印字率7%)を連続して50枚出力。
<評価基準>
画像濃度ムラは、黒(BK)ソリッドパターンのページ内における任意の9カ所の相対反射濃度を測定し、全箇所の相対反射濃度が1.3以上であり、かつ、最大値と最小値との差が0.1以下である場合を「○」、相対反射濃度の最小値が1.2以上1.3未満であり、かつ、最大値と最小値との差が0.1以下である場合を「△」、相対反射濃度の最小値が1.2未満、または、最大値と最小値との差が0.15を超える場合を「×」とした。
【0227】
【表3】

【0228】
以上の結果から明らかなように、本発明に係わる画像形成装置によれば、大量のトナー消費とリサイクルトナーを含むトナー補給が繰り返し行われた現像剤が用いられる場合でもあっても、現像剤の十分な帯電立ち上がり特性を得ることができる。
【0229】
また、画像かぶり、文字散り、画像濃度ムラ、等の画像欠陥の発生を抑制でき、また、トナー飛散による機内汚れの発生を低下せしめ、高画質画像を形成することができる。
【0230】
これに対して比較用の画像形成装置においては、画像かぶり、文字散り、画像濃度ムラ、機内汚れの少なくとも一つ以上の問題が発生しており、高画質画像の形成を確実に得ることが困難である。
【0231】
特に、トナーリサイクル手段を備えた画像形成装置において、回転部材の回転速度を上述の如くに高くして十分な現像剤の移動速度を得、これにより、軸方向に対する画像濃度ムラの発生を抑制する構成とした場合、撹拌トルクが大幅に増加したことにより画像出力テストを中止せざるをえず、出力画像を得ることができなかった。この原因を調査した結果、軸部に現像剤が融着し始めていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0232】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の第1の実施の形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係わる現像装置の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図を示す。
【図5】撹拌部材の第1例を示す模式図である。
【図6】特に、現像剤担持体と第1撹拌部材との位置関係を説明するための模式図である。
【図7】撹拌部材の他の例を示す模式図である。
【図8】撹拌部材の他の例を示す模式図である。
【図9】撹拌部材の他の例を示す模式図である。
【図10】撹拌部材の他の例を示す模式図である。
【図11】撹拌部材の他の例を示す模式図である。
【図12】画像形成装置の第2の実施の形態を示す概略図である。
【図13】トナー供給口とリサイクルトナー供給口との位置関係を説明するための現像装置の模式図である
【符号の説明】
【0233】
1 自動原稿送り装置
2 画像読み取り部
3 画像形成部
4 ベルトユニット
5 給紙部
6 反転排紙・再給紙部
8 現像装置
800 現像剤担持体
803 第1撹拌部材
805 第2撹拌部材
807 第3撹拌部材
809 現像剤供給回収手段
810 ハウジング
812 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に固定配置した磁界発生手段を有し、トナーとキャリアとを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の回転軸方向に隣接して設けられ、前記現像剤を所定の回転軸方向に搬送しながら撹拌する第1撹拌部材と、
前記第1撹拌部材の回転軸方向に隣接して設けられ、第1撹拌部材よりも低い現像剤搬送能力をもって、当該第1撹拌部材による現像剤搬送方向と同方向に現像剤を搬送しながら撹拌する第2撹拌部材と、
前記第2撹拌部材に対向して設けられ、前記第1撹拌部材よりも高い現像剤搬送能力をもって、前記第1撹拌部材による現像剤搬送方向と逆方向に現像剤を搬送しながら撹拌する第3撹拌部材と、
前記現像剤担持体、前記第1撹拌部材、前記第2撹拌部材および前記第3撹拌部材を可回転に軸支し、収納するとともに、前記第1撹拌部材と前記第2撹拌部材との間に仕切壁を有するハウジングと、
前記ハウジングの上部に設けたカバーとを有する現像剤循環方式の現像装置であって、
前記第2撹拌部材と前記第3撹拌部材とによる回転軸方向の現像剤搬送量の合計が、当該第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって少なくなるように設定するとともに、
前記第1撹拌部材による回転軸方向の現像剤搬送量を、前記第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて下流側における前記第2撹拌部材および前記第3撹拌部材による現像剤搬送量の合計とほぼ同じに設定し、更に、
前記第2撹拌部材と前記第3撹拌部材とを、両者の対向近接点でみて、周面が上方から下方に向けて移動するようになすとともに、
前記第2撹拌部材と前記第3撹拌部材とを側面から見たとき、両者の略中間部を含み、かつ、前記第3撹拌部材による現像剤の搬送方向に見て上流側の位置に対応した前記カバー上の領域に、トナー供給用のトナー供給口を設けた、
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した螺旋状のリブで構成するとともに、当該螺旋状のリブのピッチを、前記第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって小さく設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した、切り欠きを有する螺旋状のリブで構成するとともに、
前記切り欠きの深さまたは幅を、前記第3撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、上流側から下流側に向かって深くまたは広く設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した螺旋状のリブと、当該螺旋状のリブを横断するように回転軸方向に延びる板状のリブとで構成するとともに、
前記板状のリブの幅を、前記第3撹拌部材の現像剤搬送方向に見て、上流側から下流側に向かって広く設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2撹拌部材または前記第3撹拌部材を、回転軸の周りに形成した螺旋状のリブと、当該螺旋状のリブ間に設けた棒状または板状のリブとで構成するとともに、
前記棒状または板状のリブの高さまたは幅を、前記第3撹拌部材の現像剤搬送方向に見て、上流側から下流側に向かって高くまたは広く設定したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第2撹拌部材を、回転軸の周りであって当該回転軸に対して第1の方向に傾斜して設けた複数の板状部材と、第2の方向に傾斜して設けた複数の板状部材とで構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤担持体と前記第1撹拌部材とは、両者の対向近接点において、周面が互いに逆方向に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記磁界発生手段は、同極性の隣接する反発磁極を有し、
前記現像剤担持体と前記第1撹拌部材との対向近接点は、略、前記反発磁極間であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項9】
トナーの体積平均粒径をDt[μm]、キャリアの体積平均粒径をDc[μm]としたとき、
Dt=3〜5
Dc=5・Dt〜10・Dt
のトナーとキャリアとを含む現像剤を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項10】
像担持体と、前記像担持体上に静電荷潜像を形成する静電荷潜像形成手段と、前記静電荷潜像を現像してトナー像とする現像手段とを有する画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の現像装置を用いるとともに、
像担持体の移動速度をV[mm/sec]、像担持体上に形成するトナー像の単位面積当たりの最大付着量をM[mg/cm2]、像担持体の移動方向に直交する方向のトナー像の最大幅をL[mm]、第1撹拌部材による現像剤担持体の回転軸方向における現像剤移動量をWo[g/sec]、第1撹拌部材の回転数をR[rpm]としたとき、
Wo≧M・V・L/1000
R≦600
とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
像担持体と、前記像担持体上に静電荷潜像を形成する静電荷潜像形成手段と、前記静電荷潜像を現像してトナー像とする現像手段と、前記像担持体上のトナー像を転写材または中間転写体に転写する転写手段と、転写後の像担持体表面をクリーニングするクリーニング手段と、クリーニング手段により前記像担持体の表面から除去されたトナーを前記現像手段に供給してリサイクルするトナーリサイクル手段とを有する画像形成装置において、
前記現像手段として請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の現像装置を用いるとともに、
当該現像装置のカバー上であって、前記第2撹拌部材と第3撹拌部材との間に対応し、かつ、両撹拌部材による現像剤搬送方向に見て上流側に対応した位置に、リサイクルトナー供給用のリサイクルトナー供給口を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記リサイクルトナー供給口は、両撹拌部材による現像剤搬送方向にみて、トナー供給口よりも上流側にあることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−47456(P2006−47456A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225294(P2004−225294)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】