説明

球状体搭載装置および球状体搭載方法

【課題】球状体の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを正確に補正する。
【解決手段】搭載対象体の目標搭載位置に対向する第1吸気口22aが底面22に形成されて半田ボール300を吸着する吸着ヘッド11を有する吸着部2と、目標搭載位置に半田ボール300を搭載させる搭載部と、搭載対象体に搭載された半田ボール300の搭載位置を測定する第1測定処理および搭載対象体の標識の位置を測定する第2測定処理を実行して各測定処理の結果に基づいて半田ボール300の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを補正するための補正値を特定する処理部とを備え、吸着ヘッド11は、標識に対向する第2吸気口22bが底面22に形成され、処理部は、第2吸気口22bに吸着されて搭載対象体に搭載された半田ボール300の搭載位置を第1測定処理において測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載対象体の目標搭載位置に球状体を搭載すると共に球状体の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを補正するための補正値を特定する球状体搭載装置および球状体搭載方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2011−40704号公報において出願人が開示した球状体搭載装置が知られている。この球状体搭載装置では、供給部によって供給された半田ボール(球状体)を吸着ヘッドが吸着し、次いで、その吸着ヘッドを搭載対象体としての基板の配置位置に搬送し、基板の各端子(目標搭載位置)に対して各半田ボールをそれぞれ近接させる。続いて、吸着ヘッドによる吸着を解除する。これにより、基板の各端子に半田ボールがそれぞれ搭載される。
【0003】
この場合、吸着ヘッドを搬送するヘッド搬送機構の機械精度や基板の寸法精度に起因して各端子に半田ボールが正しく搭載されないこと、つまり半田ボールの搭載位置と端子の位置とが位置ずれすることがある。このため、出願人は、製品となる基板に対する半田ボールの搭載処理(本番の搭載処理)に先立ち、次のような補正値特定方法で位置ずれを補正するための補正値を特定し、搭載処理の実行時に特定した補正値で位置ずれを補正する機能を備えた球状体搭載装置を既に開発している。
【0004】
この球状体搭載装置では、補正値を特定する際に、主としてヘッド搬送機構の機械精度に起因する第1の位置ずれ量と、主として基板の寸法精度に起因する第2の位置ずれ量を算出する。この場合、第1の位置ずれ量を算出する際には、製品となる基板と同様の形状に形成された位置ずれ量算出用の板体を基板支持用のステージに固定し、その板体に吸着ヘッドによって吸着した各半田ボールを搭載する。次いで、搭載した各半田ボールのうちの複数(例えば、2つ)の半田ボールの搭載位置を、ステージの上方に配設されたカメラによる撮像結果に基づいて測定する。具体的には、カメラに撮像を実行させつつステージを移動させて撮像対象の半田ボールの中心とカメラの中心とを一致させ、そのときの基準位置からのステージの移動距離に基づいて半田ボールの搭載位置を測定する。続いて、測定した搭載位置と目標搭載位置としての端子の設計上の位置との間の距離を第1の位置ずれ量として算出する。
【0005】
次いで、第2の位置ずれ量を算出する。この場合、製品となる基板をステージに固定し、続いて、基板に設けられている位置合わせ用のマーク(フィデューシャルマーク)の位置をカメラによる撮像結果に基づいて特定する。この場合においても、上記した半田ボールの搭載位置の測定と同様にして、基準位置からのステージの移動距離に基づいてマークの位置を測定する。次いで、測定したマークの位置と目標搭載位置としてのマークの設計上の位置との間の距離を第2の位置ずれ量として算出する。続いて、第1の位置ずれ量および第2の位置ずれ量を補正値として特定して、製品となる基板に対する搭載処理(本番の搭載処理)の実行時に特定した補正値で補正を行う。具体的には、例えば、第1の位置ずれ量に相当する補正値の分だけヘッド搬送機構による搬送距離を増減させ、第2の位置ずれ量に相当する補正値の分だけステージの位置を移動させる。これにより、各端子に対する半田ボールの搭載精度を向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−40704号公報(第6−11頁、第7−10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した従来の球状体搭載装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、従来の球状体搭載装置では、測定した半田ボールの搭載位置と端子の設計上の位置との間の距離(第1の位置ずれ量)を算出すると共に、測定したマークの位置とマークの設計上の位置との間の距離(第2の位置ずれ量)を算出して補正値を特定している。一方、この種のマークは、端子が配設されていない部位(例えば、基板の隅部)に形成されている。つまり、第1の位置ずれ量の算出に用いる半田ボールの搭載位置と、第2の位置ずれ量の算出に用いるマークの位置とが離れている。このように両位置が離れていることに起因して、補正値がやや不正確となるおそれがある。具体的には、上記したように、第1の位置ずれ量および第2の位置ずれ量を算出する際には、ステージを移動させて撮像対象の半田ボールの中心とカメラの中心とを一致させそのときの基準位置からのステージの移動距離に基づいて半田ボールの搭載位置およびマークの位置を測定する。ここで、ステージを移動させる際にもその機械精度に起因して位置ずれが生じることがあるため、このステージの移動に伴う位置ずれ量(第3の位置ずれ量)が、上記した第1の位置ずれ量および第2の位置ずれ量にそれぞれ含まれていることがある。このような移動に伴う位置ずれ量は、一般的に、移動距離によって異なる。したがって、従来の球状体搭載装置では、第1の位置ずれ量の算出に用いる半田ボールの搭載位置と、第2の位置ずれ量の算出に用いるマークの位置とが離れているため、第1の位置ずれ量および第2の位置ずれ量にそれぞれ含まれる第3の位置ずれ量が互いに異なることとなる。この場合、第1の位置ずれ量および第2の位置ずれ量にそれぞれ含まれる各第3の位置ずれ量が同じときには、各第3の位置ずれ量が相殺される。しかしながら、上記のように、第3の位置ずれ量が互いに異なるときには、その差分値が補正値の誤差となり、これに起因して、半田ボールの搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを正確に補正するのが困難となるおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、球状体の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを正確に補正し得る球状体搭載装置および球状体搭載方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体搭載装置は、搭載対象体に吸着面を近接させた近接状態において当該搭載対象体の目標搭載位置に対向する第1吸気口が当該吸着面に形成されて当該第1吸気口に球状体を吸着する吸着ヘッドを有する吸着部と、前記球状体を吸着している前記吸着ヘッドを前記搭載対象体の配置位置に移動させて前記目標搭載位置に前記球状体を搭載させる搭載処理を実行する搭載部と、前記搭載対象体に搭載された前記球状体の搭載位置を測定する第1測定処理および前記搭載対象体における位置合わせ用の標識の位置を測定する第2測定処理を実行して当該各測定処理の結果に基づいて当該球状体の搭載位置と前記目標搭載位置との位置ずれを補正するための補正値を特定する処理部とを備えた球状体搭載装置であって、前記吸着ヘッドは、前記近接状態において前記標識に対向する第2吸気口が前記吸着面に形成されて当該第2吸気口に前記球状体を吸着可能に構成され、前記処理部は、前記第2吸気口に吸着されて前記搭載処理の実行によって前記搭載対象体に搭載された前記球状体の搭載位置を前記第1測定処理において測定する。
【0010】
また、請求項2記載の球状体搭載装置は、請求項1記載の球状体搭載装置において、前記吸着部は、前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方で前記球状体を吸着する第1吸着処理と、前記第1吸気口のみで前記球状体を吸着する第2吸着処理とを切り替えて実行可能に構成されている。
【0011】
また、請求項3記載の球状体搭載装置は、請求項2記載の球状体搭載装置において、前記吸着部は、前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方から吸気を行う前記第1吸着処理としての第1吸気処理と、前記第1吸気口のみから吸気を行う前記第2吸着処理としての第2吸気処理とを切り替えて実行可能に構成されている。
【0012】
また、請求項4記載の球状体搭載装置は、請求項2記載の球状体搭載装置において、前記球状体を挿通させて前記第1吸気口による前記球状体の吸着を許容する第1挿通孔が形成されると共に当該球状体を挿通させて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を許容する第2挿通孔が形成された第1プレートと、前記第1挿通孔のみが形成されて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を規制する第2プレートとを備え、前記吸着部は、前記第1プレートを用いて前記第1吸着処理を実行し、前記第2プレートを用いて前記第2吸着処理を実行する。
【0013】
また、請求項5記載の球状体搭載方法は、搭載対象体に吸着面を近接させた近接状態において当該搭載対象体の目標搭載位置に対向する第1吸気口が当該吸着面に形成されて当該第1吸気口に球状体を吸着する吸着ヘッドに当該球状体を吸着させ、その前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置に移動させて前記目標搭載位置に前記球状体を搭載させる搭載処理を実行し、前記搭載対象体に搭載された前記球状体の搭載位置を測定する第1測定処理および前記搭載対象体における位置合わせ用の標識の位置を測定する第2測定処理を実行して当該各測定処理の結果に基づいて当該球状体の搭載位置と前記目標搭載位置との位置ずれを補正するための補正値を特定する球状体搭載方法であって、前記近接状態において前記標識に対向する第2吸気口が前記吸着面に形成されて当該第2吸気口に前記球状体を吸着可能な前記吸着ヘッドを用いて搭載処理を実行し、前記第2吸気口に吸着されて前記搭載処理の実行によって前記搭載対象体に搭載した前記球状体の搭載位置を前記第1測定処理において測定する。
【0014】
また、請求項6記載の球状体搭載方法は、請求項5記載の球状体搭載方法において、前記第1測定処理の実行時において前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方で前記球状体を吸着する第1吸着処理を実行し、前記第1測定処理を実行することなく前記球状体の搭載を行うときには、前記第1吸気口のみで前記球状体を吸着する第2吸着処理を実行する。
【0015】
また、請求項7記載の球状体搭載方法は、請求項6記載の球状体搭載方法において、前記第1吸着処理として、前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方から吸気を行う第1吸気処理を実行し、前記第2吸着処理として前記第1吸気口のみから吸気を行う第2吸気処理を実行する。
【0016】
また、請求項8記載の球状体搭載方法は、請求項6記載の球状体搭載方法において、前記球状体を挿通させて前記第1吸気口による前記球状体の吸着を許容する第1挿通孔が形成されると共に当該球状体を挿通させて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を許容する第2挿通孔が形成された第1プレートを用いて前記第1吸着処理を実行し、前記第1挿通孔のみが形成されて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を規制する第2プレートを用いて前記第2吸着処理を実行する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の球状体搭載装置、および請求項5記載の球状体搭載方法では、搭載対象体に設けられている標識に対応する第2吸気口が吸着面に形成されてその第2吸気口に球状体を吸着可能な吸着ヘッドを用いて搭載処理を実行することにより、標識の配置位置に対応する位置に球状体を搭載することができるため、第1測定処理の対象とする球状体の搭載位置と第2測定処理の対象とする標識の位置とを同じ(または、ほぼ同じ)位置とすることができる。したがって、この球状体搭載装置および球状体搭載方法によれば、例えば、第1測定処理および第2測定処理の際に搭載対象体を搬送する(移動させる)基板搬送部の機械特性に起因する位置ずれが生じる場合においても、補正値に含まれるこの位置ずれ量が相殺される結果、球状体の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを正確に補正することができる。
【0018】
また、請求項2記載の球状体搭載装置、および請求項6記載の球状体搭載方法によれば、第1測定処理の実行時において第1吸気口および第2吸気口の双方で球状体を吸着する第1吸着処理を実行し、第1測定処理を実行することなく球状体の搭載を行うとき(本番の搭載処理)において第1吸気口のみで球状体を吸着する第2吸着処理を実行することにより、標識の上に搭載された不要な球状体を搭載処理の実行後に除去する工程を不要とすることができるため、処理効率を十分に向上させることができる。
【0019】
また、請求項3記載の球状体搭載装置、および請求項7記載の球状体搭載方法によれば、第1吸気口および第2吸気口の双方から吸気を行う第1吸気処理を第1吸着処理として実行し、第1吸気口のみからの吸気を行う第2吸気処理を第2吸着処理として実行することにより、第1吸気口からの吸気と第2吸気口からの吸気とを個別に切り替えて行うだけの簡易な構成および方法で第1吸着処理および第2吸着処理を容易に切り替えて実行することができるため処理効率をさらに向上させることができる。
【0020】
また、請求項4記載の球状体搭載装置、および請求項8記載の球状体搭載方法によれば、第1プレートを用いて第1吸着処理を実行し、第2プレートを用いて第2吸着処理を実行することにより、第1吸気口からの吸気と第2吸気口からの吸気とを切り替える機構および工程を不要とすることができるため、球状体搭載装置の構成および球状体搭載方法における工程を十分に簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】半田ボール搭載装置1の平面図である。
【図3】基板400の平面図である。
【図4】吸着ヘッド11、供給部12およびプレート13の断面図である。
【図5】吸着ヘッド11に半田ボール300が吸着された状態を示す断面図である。
【図6】吸着ヘッド11を底面22側から見た平面図である。
【図7】吸着部2の動作を説明する説明図である。
【図8】補正値特定処理を説明する第1の説明図である。
【図9】補正値特定処理を説明する第2の説明図である。
【図10】半田ボール搭載装置1と従来の構成との相違点を説明する第1の説明図である。
【図11】半田ボール搭載装置1と従来の構成との相違点を説明する第2の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置101の平面図である。
【図13】プレート113の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、球状体搭載装置および球状体搭載方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、基板400(搭載対象体の一例:図3参照)の端子401(目標搭載位置の一例)や、オフセットボード410(搭載対象体の他の一例:図2,8参照)における後述する端子対応位置Pt(目標搭載位置の他の一例)および後述するマーク対応位置Pma,Pmb(目標搭載位置の他の一例)に対して、直径L1(図5参照)が80μm程度の微細な半田ボール300(球状体の一例:同図参照)を搭載する搭載処理を実行可能に構成されている。なお、半田ボール搭載装置1によって基板400の各端子401にそれぞれ搭載された半田ボール300は、加熱溶融されて、半球状の溶融体となった状態で各端子401に固着されてボールグリッドアレイ(BGA)を構成する。
【0024】
この場合、図3に示すように、基板400には、位置合わせなどに用いられる2つのフィデューシャルマーク(位置合わせ用の標識の一例:以下「マークMa,Mb」ともいい、マークMa,Mbを区別しないときには「マークM」ともいう)が設けられている。この基板400では、各マークMが、互いに対抗する2つの隅部であって、各端子401が設けられている領域の外側に設けられている。また、オフセットボード410は、形状および厚みが基板400と同じで、かつ端子401およびマークMが設けられていない板状体であって、後述する補正値特定処理を実行する際に用いられる。
【0025】
一方、半田ボール搭載装置1は、図1に示すように、吸着部2、搭載部3、基板搬送部4、撮像部5および制御部6を備えて構成されている。
【0026】
吸着部2は、図1に示すように、吸着ヘッド11、供給部12、プレート13および吸気機構14を備えて構成されて半田ボール300を吸着する(後述する第1吸着処理および第2吸着処理を実行する)。
【0027】
吸着ヘッド11は、一例として、図4に示すように、内部空間21を有する中空の箱型に構成されている。また、図4〜図6に示すように、吸着ヘッド11の底面(吸着面)22には、半田ボール300を吸着するための複数の第1吸気口22aが形成されている。この場合、各第1吸気口22aは、直径L2(図5参照)が例えば40μm程度に規定され、図6に示すように、基板400における各端子401の配列パターン(図3参照)と同じ配列パターンで底面22に形成されている。つまり、各第1吸気口22aによって吸着された各半田ボール300は、搭載処理の実行によって基板400における各端子401の配置位置に搭載される。また、オフセットボード410に対して搭載処理を実行したときには、各第1吸気口22aによって吸着された各半田ボール300が、図8に示すように、各端子401の配置位置に対応するオフセットボード410上の端子対応位置Ptに搭載される。
【0028】
また、図6に示すように、吸着ヘッド11の底面22には、その直径が第1吸気口22aの直径L2と同じ40μm程度に規定された2つの第2吸気口22bが形成されている。この場合、各第2吸気口22bは、基板400におけるマークMa,Mbの配置位置(図3参照)に対応する位置に形成されている。これらの2つの第2吸気口22bは、オフセットボード410に対して搭載処理を実行する際に、図8に示すように、マークMa,Mbの配置位置にそれぞれ対応するオフセットボード410上のマーク対応位置Pma,Pmb(以下、区別しないときには「マーク対応位置Pm」ともいう)に搭載する半田ボール300を吸着するために用いられる。また、図4に示すように、各第2吸気口22bには、吸気管24がそれぞれ接続されている。
【0029】
また、図4に示すように、吸着ヘッド11の天面23には、内部空間21の空気を吸気するための吸気孔23aが形成されている。この吸着ヘッド11では、内部空間21の空気が吸気孔23aを介して吸気機構14によって吸気されて内部空間21が負圧状態となり、それに伴って第1吸気口22aからの吸気が行われることにより、第1吸気口22aに半田ボール300を吸着する(図7参照)。また、この吸着ヘッド11では、吸気機構14による吸気に伴い、その吸気機構14に吸気管24を介して接続されている第2吸気口22bからの吸気が行われることにより、第2吸気口22bに半田ボール300を吸着する。
【0030】
供給部12は、図4に示すように、収容容器31、保持部32および吸引部33を備えて、吸着ヘッド11に半田ボール300を供給可能に構成されている。収容容器31は、半田ボール300を収容する。保持部32は、吸気機構14に接続されており、収容容器31に収容されている半田ボール300を先端部(同図における下端部)で吸着して保持する。また、保持部32は、基端部(同図における上端部)を中心として回動可能に構成されている。吸引部33は、吸気機構14に接続されており、吸着ヘッド11に供給される半田ボール300のうちの余剰分を吸引して除去する。また、供給部12は、図外の駆動部を備えており、制御部6の制御に従い、収容容器31、保持部32および吸引部33(以下、この3つの構成要素をまとめて「供給部本体100」ともいう)を移動させる処理、並びに保持部32を回動させる処理を行う。
【0031】
プレート13は、図4に示すように、板状に構成され、吸着ヘッド11の底面22に近接(または接触)している状態(図5に示す状態)において吸着ヘッド11の第1吸気口22aおよび第2吸気口22bに対向する位置に、半田ボール300が通過可能な(直径L4(同図参照)が95μm程度の)挿通孔13aが形成されている。このプレート13は、供給部12によって供給された半田ボール300を挿通孔13aに挿通させて吸着ヘッド11の第1吸気口22aおよび第2吸気口22bに吸着させると共に、吸着ヘッド11による余剰な半田ボール300の吸着を規制する機能を有している。この場合、同図に示すように、プレート13の厚みL3は、第1吸気口22aおよび第2吸気口22bに吸着された半田ボール300の端部が下面からやや突出する75μm程度に規定されている。
【0032】
吸気機構14は、吸気管24(図4参照)を介して吸着ヘッド11の吸気孔23aに接続されて、吸着ヘッド11における内部空間21の空気を吸引する。また、吸気機構14は、吸気管24を介して吸着ヘッド11の第2吸気口22bに接続されて、第2吸気口22bからの吸気を行う。また、吸気機構14は、供給部12の保持部32および吸引部33に図外の吸気管を介して接続され、保持部32の先端部および吸引部33の先端部からの吸気を行う。この場合、吸気機構14は、複数の電磁バルブを備えており、内部空間21の空気の吸引、第2吸気口22b、保持部32および吸引部33からの吸気を個別に行うことが可能に構成されている。
【0033】
搭載部3は、図2に示すように、移動機構3aを備えて構成されている。移動機構3aは、同図に示す矢印Xの方向(以下、「X方向」ともいう)、同図に示す矢印Yの方向(以下、「Y方向」ともいう)、および上下方向(X方向およびY方向に直交する)に吸着部2の吸着ヘッド11を移動可能に構成されている。この搭載部3は、制御部6の制御に従い、吸着ヘッド11を吸着地点P3(吸着ヘッド11に半田ボール300を吸着させる位置であって、吸着部2におけるプレート13の配設位置:図2参照)に移動させる。また、搭載部3は、制御部6の制御に従い、半田ボール300を吸着している吸着ヘッド11を搭載地点P2(基板400に半田ボール300を搭載する位置:同図参照)に移動させて端子401に半田ボール300を搭載させる。
【0034】
基板搬送部4は、図2に示すように、ステージ4aおよび移動機構4bを備えて構成されている。ステージ4aは、搭載対象体としての基板400およびオフセットボード410をその載置面(上面)に載置可能に構成されると共に、載置された基板400およびオフセットボード410を例えば吸着することによって固定(保持)可能に構成されている。また、ステージ4aは、載置面に直交する軸を中心として回動する方向(以下、「θ方向」ともいう)に基板400を移動(X−Y平面上での回動)させることが可能に構成されている。
【0035】
移動機構4bは、制御部6の制御に従い、図2に示す供給地点P1(基板400やオフセットボード410をステージ4aに供給(載置)する位置)と搭載地点P2との間で、同図に示す矢印Xの方向(X方向)にステージ4aを移動させる。
【0036】
撮像部5は、図2に示すように、カメラ5aおよび移動機構5bを備えて構成されている。カメラ5aは、搭載地点P2の上方に配置されて、制御部6の制御に従い、基板400のマークMや基板400およびオフセットボード410に搭載された半田ボール300を撮像する。移動機構5bは、制御部6の制御に従い、同図に示す矢印Yの方向(Y方向)にカメラ5aを移動させる。
【0037】
制御部6は、吸着部2、搭載部3、基板搬送部4および撮像部5を制御する。また、制御部6は、処理部として機能して、搭載対象体としての基板400およびオフセットボード410に搭載された半田ボール300の搭載位置を測定する第1測定処理、および基板400に設けられているマークMの位置を測定する第2測定処理を実行する。また、制御部6は、各測定処理の結果(測定値)に基づき、半田ボール300の搭載位置と目標搭載位置としての端子401の位置との位置ずれを補正するための補正値(後述する第1補正値R1および第2補正値R2)を特定する。
【0038】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて、半田ボール300を基板400の各端子401に搭載する球状体搭載方法について、図面を参照して説明する。
【0039】
製品となる基板400に対する半田ボール300の搭載処理(本番の搭載処理)に先立ち、位置ずれを補正するための補正値を特定する補正値特定処理を実行する。この補正値特定処理では、まず、搭載部3の機械精度(各構成要素の加工精度)などに起因する第1の位置ずれ量G1(図8参照)を算出しその第1の位置ずれを補正するための第1補正値R1を特定する。具体的には、図2に示すように、基板搬送部4のステージ4aの載置面にオフセットボード410を載置して保持させ、次いで、図外の操作部を操作して、半田ボール搭載装置1に対して補正値特定処理の開始を指示する。
【0040】
これに応じて、制御部6が、搭載処理を実行する。この搭載処理では、制御部6は、基板搬送部4の移動機構4bを制御して、ステージ4aを供給地点P1から搭載地点P2に移動させる。続いて、制御部6は、搭載部3の移動機構3aを制御して、吸着部2の吸着ヘッド11を吸着地点P3(プレート13の配設位置)に搬送させ、図5に示すように、底面22とプレート13とを接触(近接)させる。
【0041】
次いで、制御部6は、吸着部2に第1吸着処理を実行させる。この第1吸着処理では、制御部6は、吸着部2の吸気機構14(吸気機構14の電磁バルブ)を制御して、吸着ヘッド11の内部空間21の空気の吸引を開始させる。この際に、吸着ヘッド11の内部空間21が負圧状態となって第1吸気口22aからの吸気が開始される。また、制御部6は、吸気機構14を制御して第2吸気口22bからの吸気を開始させる。なお、第1吸気口22aおよび第2吸気口22bの双方から吸気を行う処理が第1吸気処理に相当する。
【0042】
また、制御部6は、吸気機構14を制御して、供給部12における保持部32の先端部、および供給部12における吸引部33の先端部からの吸気を開始させる。続いて、保持部32の先端部(図4における下端部)からの吸気に伴い、収容容器31に収容されている半田ボール300が保持部32の先端部に吸着されて保持される。次いで、制御部6は、供給部12における図外の駆動部を制御して、保持部32の基端部側(図7における下側)を中心として保持部32を回動させる。続いて、制御部6は、保持部32の先端部がプレート13に対向した時点で、供給部12の駆動部を制御して、保持部32の回動を停止させる。
【0043】
次いで、制御部6は、供給部12の駆動部を制御して、プレート13に向けて供給部本体100を移動させ、続いて、図7に示すように、保持部32の先端部をプレート13に近接させた状態を維持しつつ供給部本体100をプレート13に沿って同図に示す矢印の向きに移動させる。この際に、先端部に保持されている半田ボール300が、吸着ヘッド11における第1吸気口22aおよび第2吸気口22bからの吸気に伴う吸引力によって引き寄せられて吸着ヘッド11に供給され、供給された半田ボール300がプレート13の各挿通孔13aを通って吸着ヘッド11の各第1吸気口22aおよび第2吸気口22bに1つずつ吸着される。
【0044】
次いで、制御部6は、供給部12の駆動部を制御して、供給部本体100をプレート13に沿ってさらに移動させる。この際に、吸引部33が、プレート13に付着している余剰な半田ボール300を吸引して除去する。以上で、第1吸着処理が終了する。
【0045】
続いて、制御部6は、搭載部3の移動機構3aを制御して、吸着ヘッド11を搭載地点P2の上方に搬送させた後に、吸着ヘッド11を下向きに移動させて、吸着ヘッド11によって吸着されている半田ボール300を、搭載地点P2に搬送されているオフセットボード410の表面に近接(接触)させる。
【0046】
次いで、制御部6は、吸気機構14を制御して、吸着ヘッド11の内部空間21からの空気の吸引(第1吸気口22aからの吸気)、および第2吸気口22bからの吸気を停止させる。この際に、吸着ヘッド11の第1吸気口22aおよび第2吸気口22bによる吸着が解除されて、図8に示すように、半田ボール300がオフセットボード410の表面に搭載される。この場合、第1吸気口22aに吸着されている各半田ボール300が、オフセットボード410の表面における上記した各端子対応位置Ptにそれぞれ搭載され、第2吸気口22bに吸着されている各半田ボール300がオフセットボード410における上記した各マーク対応位置Pma,Pmbにそれぞれ搭載される。以上で搭載処理が終了する。続いて、制御部6は、搭載部3の移動機構3aを制御して、吸着ヘッド11を上方に向けて移動させた後に、初期位置に移動させる。
【0047】
次いで、制御部6は、第1測定処理を実行する。この第1測定処理では、制御部6は、撮像部5のカメラ5aに対して撮像を開始させる。続いて、制御部6は、カメラ5aによる撮像画像に基づき、基板搬送部4の移動機構4bを制御してステージ4aをX方向に移動させると共に、撮像部5の移動機構5bを制御してカメラ5aをY方向に移動させて、図8に示すように、2つのマーク対応位置Pma,Pmbの一方(例えば、同図における右上のマーク対応位置Pma)に搭載されている半田ボール300(以下、この半田ボール300を「半田ボール300a」ともいう)の中心とカメラ5aの中心とを一致(位置合わせ)させる。次いで、制御部6は、搭載地点P2からのカメラ5aの移動距離、および搭載地点P2からのステージ4aの移動距離に基づいて半田ボール300aの搭載位置を測定する。続いて、制御部6は、同様の処理を行って2つのマーク対応位置Pma,Pmbの他方(同図における左下のマーク対応位置Pmb)に搭載されている半田ボール300(以下、この半田ボール300を「半田ボール300b」ともいう)の搭載位置を測定する。
【0048】
次いで、制御部6は、図8に示すように、目標搭載位置としての設計上(理論上)のマーク対応位置Pma(同図に破線で示す位置)と測定(算出)した半田ボール300aの搭載位置との差分値、および目標搭載位置としての設計上のマーク対応位置Pmb(同図に破線で示す位置)と測定(算出)した半田ボール300bの搭載位置との差分値、つまり半田ボール300の搭載位置と目標搭載位置との第1の位置ずれ量G1を算出し、その第1の位置ずれ量G1を第1補正値R1として特定する。この第1の位置ずれは、主として搭載部3における移動機構3aの機械精度に起因して生じる。したがって、移動機構3aを制御して吸着ヘッド11を移動させる際に指定する移動距離を第1補正値R1のX方向成分およびY方向成分の値(または、Y方向成分の値)だけ増減させ、第1補正値R1におけるθ方向成分の値(または、X方向成分およびθ方向成分の値)だけ、基板搬送部4のステージ4aを回動させることで、この第1の位置ずれを補正することができる。
【0049】
続いて、製品となる基板400の寸法精度などに起因する第2の位置ずれ量G2(図9参照)を算出して、その第2の位置ずれを補正するための第2補正値R2を特定する。具体的には、基板搬送部4のステージ4aを供給地点P1に移動させ、オフセットボード410をステージ4aから取り外した後に、製品となる基板400をステージ4aの載置面に載置して保持させ、操作部を操作して、処理の開始を指示する。これに応じて、制御部6が、基板搬送部4の移動機構4bを制御して、ステージ4aを供給地点P1から搭載地点P2に移動させる。
【0050】
次いで、制御部6は、第2測定処理を実行する。この第2測定処理では、制御部6は、撮像部5のカメラ5aに対して撮像を開始させ、その撮像画像に基づき、基板搬送部4の移動機構4bおよび撮像部5の移動機構5bを制御して、ステージ4aおよびカメラ5aを移動させ、2つのマークMa,Mbの一方(例えば、図9における右上のマークMa)の中心とカメラ5aの中心とを一致させる。続いて、制御部6は、搭載地点P2からのカメラ5aの移動距離、および搭載地点P2からのステージ4aの移動距離に基づき、マークMaの位置を測定する。次いで、制御部6は、同様の処理を行って2つのマークMa,Mbの他方(同図における左下のマークMb)の位置を測定する。
【0051】
続いて、制御部6は、図9に示すように、測定したマークMaの位置(同図に実線で示す位置)と設計上(理論上)のマークMaの位置(同図に破線で示す位置)との差分値、および測定したマークMbの位置(同図に実線で示す位置)と設計上のマークMbの位置(同図に破線で示す位置)との差分値、つまり、マークMの実際の位置と設計上の位置との第2の位置ずれ量G2を算出し、その第2の位置ずれ量G2を第2補正値R2として特定する。この場合、この第2の位置ずれは、主として基板400の寸法精度などに起因する。したがって、移動機構3aを制御して吸着ヘッド11を移動させる際に指定する移動距離を第2補正値R2のY方向成分の値(または、X方向成分およびY方向成分の値)だけ増減させ、第2補正値R2におけるX方向成分およびθ方向成分の値(または、θ方向成分の値)だけ基板搬送部4のステージ4aを移動させることで、この第2の位置ずれを補正することができる。以上により、補正値特定処理が終了する。
【0052】
次いで、制御部6は、基板400に対する搭載処理(本番の搭載処理)を実行する。この本番の搭載処理では、制御部6は、補正値特定処理の実行によって特定した第1補正値R1および第2補正値R2におけるθ方向成分の値だけ基板搬送部4のステージ4aをθ方向に移動(回動)させる。また、制御部6は、例えば、第2補正値R2におけるX方向成分の値だけステージ4aをX方向に移動させる。
【0053】
続いて、制御部6は、吸着ヘッド11を吸着地点P3に搬送させた後に、吸着部2に第2吸着処理を実行させる。この第2吸着処理では、制御部6は、吸着部2の吸気機構14を制御して、第2吸気口22bからの吸気を行わせることなく、吸着ヘッド11の内部空間21の空気の吸引、つまり第1吸気口22aからの吸気のみを行わせる(この処理が第2吸気処理に相当する)。このため、この第2吸着処理では、第1吸気口22aにのみ半田ボール300が吸着される。
【0054】
次いで、制御部6は、搭載部3の移動機構3aを制御して吸着ヘッド11を移動させ、吸着ヘッド11によって吸着されている半田ボール300を基板400の表面に近接(接触)させる。この場合、制御部6は、吸着ヘッド11を移動させる移動距離を指定する際に、移動させる移動距離を第1補正値R1のX方向成分およびY方向成分の値だけ増減させると共に、第2補正値R2のY方向成分の値だけ増減させる。
【0055】
続いて、制御部6は、吸気機構14を制御して、吸着ヘッド11の内部空間21からの空気の吸引(第1吸気口22aからの吸気)を停止させる。この際に、吸着ヘッド11の第1吸気口22aによる吸着が解除されて、半田ボール300が基板400に搭載される。この場合、上記した第2吸着処理では、第2吸気口22bに半田ボール300が吸着されず、第1吸気口22aにのみ半田ボール300が吸着されているため、マークMには半田ボール300が搭載されず、各端子401にのみ半田ボール300がそれぞれ搭載される。次いで、制御部6は、搭載部3の移動機構3aを制御して、吸着ヘッド11を初期位置に移動させる。以上で基板400に対する搭載処理(本番の搭載処理)が終了する。
【0056】
ここで、第1測定処理の対象とする(第1の位置ずれ量G1の算出に用いる)半田ボール300の搭載位置と、第2測定処理の対象とする(第2の位置ずれ量G2の算出に用いる)マークMの位置とが離れている従来の構成では、次に説明するように、補正値が不正確となって半田ボール300の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを正確に補正するのが困難となることがある。なお、以下において、半田ボール搭載装置1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付して説明する。また、位置ずれ量を実際のずれ量よりも誇張して説明する。
【0057】
例えば、図10に示すように、基板400の中心Ps1からX方向に沿って右側に90mm離間した位置にマークMaの設計上の位置(同図に破線で示すマークMaの位置)が規定されているが、実際には、中心Ps1からX方向に沿って右側に100mm離間した位置にマークMが設けられている(つまり、実際の第2の位置ずれ量G2が10mmの)基板400に半田ボール300を搭載する場合を想定する。また、同図に示すように、オフセットボード410の中心Ps2からX方向に沿って右側に40mm離間した位置に設計上の位置(同図に破線で示す半田ボール300cの位置)が規定されているが、実際には、中心Ps2からX方向に沿って右側に50mm離間した位置に搭載されている(つまり、実際の第1の位置ずれ量G1が10mmの)半田ボール300c(同図に破線で示す半田ボール300c)を第1の位置ずれ量G1の算出に用いる場合を想定する。さらに、例えば、基板搬送部4の機械精度に起因して、ステージ4aを移動させたときの実際の移動距離よりも測定される移動距離の方が長くなるような位置ずれが生じ、かつステージ4aの移動距離が長いほど(移動距離に比例して)その位置ずれ量(以下、「第3の位置ずれ量」ともいう)が大きくなるとする。
【0058】
この場合において、上記した第1測定処理を実行して半田ボール300cの搭載位置を測定する際には、半田ボール300cの中心とカメラ5aの中心とを一致させるときのステージ4aの移動距離が、第3の位置ずれ量が加わることによって実際の移動距離よりも長い距離として測定されることとなる。これに起因して、半田ボール300cの搭載位置が、実際には中心Ps2からX方向に沿って右側に50mm離間した位置であるにも拘わらず、例えば、中心Ps2からX方向に沿って右側に51mm離間した位置として測定されたとすると、実際の第1の位置ずれ量G1が10mm(50mm−40mm)であるにも拘わらず、11mm(51mm−40mm)が第1の位置ずれ量G1として算出され、この11mmが第1補正値R1として特定される。つまり、実際の第1の位置ずれ量G1よりも、第3の位置ずれ量に相当する1mmだけ長い値が第1補正値R1として特定される。このため、制御部6は、図11に示すように、本番の搭載処理の実行時に吸着ヘッド11を移動させる移動距離を指定する際に、第1の位置ずれを補正すべく、移動距離を11mmだけ増加させて吸着ヘッド11を左側に11mmだけ多く(同図に示す位置Paに)移動させる。この結果、本番の搭載処理の実行時には、吸着ヘッド11が正しい第1補正値R1で補正した場合と比較して、左側に1mmだけ多く移動させられることとなる。
【0059】
また、上記した第2測定処理を実行してマークMの位置を測定する際にも、マークMの中心とカメラ5aの中心とを一致させるときのステージ4aの移動距離が、第3の位置ずれ量が加わることによって実際の移動距離よりも長い距離として測定されることとなる。ここで、上記したように、この例では、ステージ4aの移動距離に比例して第3の位置ずれ量が大きくなる。この場合、半田ボール300cの搭載位置が中心Ps2から50mmであるのに対して、マークMの位置が中心Ps1から100mmであるため、第2測定処理におけるステージ4aの移動距離が第1測定処理におけるステージ4aの移動距離の2倍程度となる。このため、第2測定処理における第3の位置ずれ量が第1測定処理における第3の位置ずれ量の2倍程度となる。これに起因して、マークMaの位置が、実際には中心Ps1からX方向に沿って右側に100mm離間した位置であるにも拘わらず、例えば、中心Ps1からX方向に沿って右側に102mm離間した位置として測定されたとすると、実際の第2の位置ずれ量G2が10mm(100mm−90mm)であるにも拘わらず、12mm(102mm−90mm)が第2の位置ずれ量G2として算出され、この12mmが第2補正値R2として特定される。つまり、実際の第2の位置ずれ量G2よりも、第3の位置ずれ量に相当する2mmだけ長い値が第2補正値R2として特定される。このため、制御部6は、図11に示すように、第2の位置ずれを補正すべく、本番の搭載処理の実行時にステージ4aを12mmだけ左側の位置Pbに移動させる。この結果、本番の搭載処理の実行時には、基板400が正しい第2補正値R2で補正した場合と比較して、左側に2mmだけ多く移動させられることとなる。
【0060】
この例では、上記したように、吸着ヘッド11が、正しい第1補正値R1で補正した場合と比較して左側に1mmだけ多く(図11に示す位置Paに)移動させられ、基板400が、正しい第2補正値R2で補正した場合と比較して左側に2mmだけ多く(同図に示す位置Pbに)移動させられるため、補正後の基板400の位置が補正後の吸着ヘッド11の位置に対して1mmだけ相対的に左側に位置ずれすることとなる。この結果、この例では、半田ボール300の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれが正確に補正されないこととなる。
【0061】
これに対して、第2吸気口22bを有する吸着ヘッド11を備えたこの半田ボール搭載装置1では、マーク対応位置Pmに半田ボール300を搭載することができるため、このマーク対応位置Pmに搭載した半田ボール300を第1測定処理の対象とすることで、半田ボール300の搭載位置と第2測定処理の対象とするマークMの位置とが同じ(または、ほぼ同じ)位置となる。したがって、この半田ボール搭載装置1では、第1測定処理においてステージ4aを移動させる移動距離と第2測定処理においてステージ4a移動させる移動距離とが同じ距離(または、同程度の距離)となる。このため、基板搬送部4の機械特性に起因してステージ4aを移動させる際の移動距離が長いほど第3の位置ずれ量が大きくなる場合においても、第1補正値R1に含まれる第3の位置ずれ量と、第2補正値R2に含まれる第3の位置ずれ量とが同じ(または、ほぼ同じ)長さとなって第3の位置ずれ量が相殺される。したがって、この半田ボール搭載装置1では、従来の構成と比較して、半田ボール300の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを正確に補正することが可能となっている。
【0062】
このように、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法では、基板400に設けられているマークMに対応する第2吸気口22bが底面22に形成されてその第2吸気口22bに半田ボール300を吸着可能な吸着ヘッド11を用いて搭載処理を実行することにより、マークMの配置位置に対応する位置に半田ボール300を搭載することができるため、第1測定処理の対象とする半田ボール300の搭載位置と第2測定処理の対象とするマークMの位置とを同じ(または、ほぼ同じ)位置とすることができる。したがって、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、例えば、基板400を保持して搬送する基板搬送部4の機械特性に起因する位置ずれが生じる場合においても、補正値に含まれるこの位置ずれ量が相殺される結果、半田ボール300の搭載位置と目標搭載位置との位置ずれを正確に補正することができる。
【0063】
また、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、第1測定処理の実行時において第1吸気口22aおよび第2吸気口22bの双方で半田ボール300を吸着する第1吸着処理を実行し、本番の搭載処理において第1吸気口22aのみで半田ボール300を吸着する第2吸着処理を実行することにより、マークMの上に搭載された不要な半田ボール300を搭載処理の実行後に除去する工程を不要とすることができるため、処理効率を十分に向上させることができる。
【0064】
また、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、第1吸気口22aおよび第2吸気口22bの双方から吸気を行う第1吸気処理を第1吸着処理として実行し、第1吸気口22aのみからの吸気を行う第2吸気処理を第2吸着処理として実行することにより、第1吸気口22aからの吸気と第2吸気口22bからの吸気とを個別に切り替えて行うだけの簡易な構成および方法で第1吸着処理および第2吸着処理を容易に切り替えて実行することができるため処理効率をさらに向上させることができる。
【0065】
なお、球状体搭載装置および球状体搭載方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、第1吸気口22aからの吸気と第2吸気口22bからの吸気とを切り替えることによって第1吸着処理および第2吸着処理を実行する構成および方法について上記したが、この構成および方法に代えて、図12に示す半田ボール搭載装置101およびこの半田ボール搭載装置101を用いる球状体搭載方法を採用することもできる。なお、以下の説明において、上記した半田ボール搭載装置1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0066】
この半田ボール搭載装置101は、図12に示すように、上記したプレート13に加えて、プレート113を備えて吸着部102が構成されている。この場合、この半田ボール搭載装置101では、プレート13が、第1プレートに相当し、プレート113が第2プレートに相当する。また、この半田ボール搭載装置101では、プレート13に形成されている各挿通孔13aの中で、吸着ヘッド11の第1吸気口22aに対向する挿通孔13aが、第1吸気口22aによる半田ボール300の吸着を許容する第1の挿通孔として機能し、吸着ヘッド11の第2吸気口22bに対向する挿通孔13aが、第2吸気口22bによる半田ボール300の吸着を許容する第2の挿通孔として機能する。また、プレート113に形成されている各挿通孔113a(図13参照)は、上記した第1の挿通孔として機能する。つまり、プレート13は、第1吸気口22aおよび第2吸気口22bの双方による半田ボール300の吸着を許容し、プレート113は、第1吸気口22aによる半田ボール300の吸着だけを許容する。
【0067】
この半田ボール搭載装置101を用いた球状体搭載方法では、プレート13を用いて第1吸着処理を実行し、プレート113を用いて第2吸着処理を実行する。この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、第1吸気口22aからの吸気と第2吸気口22bからの吸気とを切り替える機構および工程を不要とすることができるため、半田ボール搭載装置1の構成および球状体搭載方法における工程を簡略化することができる。具体的には、各第2吸気口22bと吸気機構14とを接続する吸気管24や、各第2吸気口22bからの吸気の開始および停止を行うための電磁バルブを不要とすることができる。また、第1吸着処理および第2吸着処理において、吸気孔23aに接続した電磁バルブを制御して吸着ヘッド11の内部空間21からの空気の吸引の開始および停止を行う工程を行うだけでよい。
【0068】
また、上記の半田ボール搭載装置1では、基板搬送部4のステージ4aがX方向にのみ移動可能に構成されているが、X方向およびY方向の双方にステージ4aを移動可能に構成した基板搬送部を採用することもできる。この場合、この構成を採用したときには、カメラ5aが移動しない構成を採用することができる。
【0069】
また、マークMが設けられていないオフセットボード410を用いる構成および方法について上記したが、マークMを設けたオフセットボードを用いて第1の位置ずれ量G1を算出する構成および方法を採用することもできる。この構成および方法では、第1測定処理を実行して半田ボール300の搭載位置を測定すると共に、第1測定処理と同様の手順でマークMの位置を測定し、測定した各位置に基づいて第1の位置ずれ量G1を算出することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1,101 半田ボール搭載装置
2,102 吸着部
3 搭載部
6 制御部
11 吸着ヘッド
13,113 プレート
13a,113a 挿通孔
14 吸気機構
22 底面
22a 第1吸気口
22b 第2吸気口
300 半田ボール
400 基板
401 端子
Ma,Mb マーク
Pma,Pmb マーク対応位置
Pt 端子対応位置
R1 第1補正値
R2 第2補正値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載対象体に吸着面を近接させた近接状態において当該搭載対象体の目標搭載位置に対向する第1吸気口が当該吸着面に形成されて当該第1吸気口に球状体を吸着する吸着ヘッドを有する吸着部と、前記球状体を吸着している前記吸着ヘッドを前記搭載対象体の配置位置に移動させて前記目標搭載位置に前記球状体を搭載させる搭載処理を実行する搭載部と、前記搭載対象体に搭載された前記球状体の搭載位置を測定する第1測定処理および前記搭載対象体における位置合わせ用の標識の位置を測定する第2測定処理を実行して当該各測定処理の結果に基づいて当該球状体の搭載位置と前記目標搭載位置との位置ずれを補正するための補正値を特定する処理部とを備えた球状体搭載装置であって、
前記吸着ヘッドは、前記近接状態において前記標識に対向する第2吸気口が前記吸着面に形成されて当該第2吸気口に前記球状体を吸着可能に構成され、
前記処理部は、前記第2吸気口に吸着されて前記搭載処理の実行によって前記搭載対象体に搭載された前記球状体の搭載位置を前記第1測定処理において測定する球状体搭載装置。
【請求項2】
前記吸着部は、前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方で前記球状体を吸着する第1吸着処理と、前記第1吸気口のみで前記球状体を吸着する第2吸着処理とを切り替えて実行可能に構成されている請求項1記載の球状体搭載装置。
【請求項3】
前記吸着部は、前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方から吸気を行う前記第1吸着処理としての第1吸気処理と、前記第1吸気口のみから吸気を行う前記第2吸着処理としての第2吸気処理とを切り替えて実行可能に構成されている請求項2記載の球状体搭載装置。
【請求項4】
前記球状体を挿通させて前記第1吸気口による前記球状体の吸着を許容する第1挿通孔が形成されると共に当該球状体を挿通させて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を許容する第2挿通孔が形成された第1プレートと、前記第1挿通孔のみが形成されて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を規制する第2プレートとを備え、
前記吸着部は、前記第1プレートを用いて前記第1吸着処理を実行し、前記第2プレートを用いて前記第2吸着処理を実行する請求項2記載の球状体搭載装置。
【請求項5】
搭載対象体に吸着面を近接させた近接状態において当該搭載対象体の目標搭載位置に対向する第1吸気口が当該吸着面に形成されて当該第1吸気口に球状体を吸着する吸着ヘッドに当該球状体を吸着させ、その前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置に移動させて前記目標搭載位置に前記球状体を搭載させる搭載処理を実行し、前記搭載対象体に搭載された前記球状体の搭載位置を測定する第1測定処理および前記搭載対象体における位置合わせ用の標識の位置を測定する第2測定処理を実行して当該各測定処理の結果に基づいて当該球状体の搭載位置と前記目標搭載位置との位置ずれを補正するための補正値を特定する球状体搭載方法であって、
前記近接状態において前記標識に対向する第2吸気口が前記吸着面に形成されて当該第2吸気口に前記球状体を吸着可能な前記吸着ヘッドを用いて搭載処理を実行し、
前記第2吸気口に吸着されて前記搭載処理の実行によって前記搭載対象体に搭載した前記球状体の搭載位置を前記第1測定処理において測定する球状体搭載方法。
【請求項6】
前記第1測定処理の実行時において前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方で前記球状体を吸着する第1吸着処理を実行し、前記第1測定処理を実行することなく前記球状体の搭載を行うときには、前記第1吸気口のみで前記球状体を吸着する第2吸着処理を実行する請求項5記載の球状体搭載方法。
【請求項7】
前記第1吸着処理として、前記第1吸気口および前記第2吸気口の双方から吸気を行う第1吸気処理を実行し、前記第2吸着処理として前記第1吸気口のみから吸気を行う第2吸気処理を実行する請求項6記載の球状体搭載方法。
【請求項8】
前記球状体を挿通させて前記第1吸気口による前記球状体の吸着を許容する第1挿通孔が形成されると共に当該球状体を挿通させて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を許容する第2挿通孔が形成された第1プレートを用いて前記第1吸着処理を実行し、
前記第1挿通孔のみが形成されて前記第2吸気口による前記球状体の吸着を規制する第2プレートを用いて前記第2吸着処理を実行する請求項6記載の球状体搭載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−89709(P2013−89709A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227637(P2011−227637)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】