説明

球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法

【課題】繊維強化複合材料を素材にして球状ジャーナルを受容して支持する球面ベアリングを含む球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1グリッパ240には球状ジャーナル120の一側縁を受容する溝242が形成され、第1グリッパ240はプランジャー220の第2ガイド孔226に沿って移動することができるように嵌合する。第2グリッパ250には、球状ジャーナル120の他側縁を受容する溝252が形成され、第2グリッパ250はモールド210の第1ガイド孔216に沿って移動することができるように嵌合する。球状ジャーナル120が第1グリッパ240と第2グリッパ250に嵌合した状態でモールド210のキャビティに安置され、繊維強化複合材料が充填された後、モールド210とプランジャー220の型閉めによって繊維強化複合材料が球状ジャーナル120を受容する球面ベアリングに成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法に関し、より具体的には球状ジャーナルを受容して支持する球面ベアリングが、繊維強化複合材料を素材にして製造する球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
球面ベアリングは球状ジャーナル(spherical journal)を支持する機械的要素として、非常に多様な機械と装置に使用されている。球面ベアリング組立体は、球面ベアリングと球状ジャーナルの組合せにより構成され、二つの機械的要素が多自由度に動くことができるように連結するボールジョイントの形態で使用することもある。
【0003】
例えば、特許文献1には、非回転部材のハウジング、ガラス繊維複合材料のソケット、金属またはガラス繊維複合材料のボール、複合材料のベアリングスリーブ、回転軸で構成されている球面ベアリング組立体が開示されている。しかし、この文献に開示されている技術は、ハウジングにソケットを結合させるための溝を精密に加工しなければならない問題がある。また、部品の点数が多いため生産性が低く、遊隙が生じる虞れがあるなどの問題がある。
【0004】
また、特許文献2には内面に自己潤滑物質が備えられているエポキシ樹脂複合材料の外輪と、外面に自己潤滑特性の物質がコーティングされているガラス繊維エポキシ複合材料のボールが結合された複合材料の球面ベアリングが開示されている。ボールを直径方向に切断して2つに分けた後、1つずつ外輪に装着する。しかし、この文献に開示されている技術は、ボールを貫通して結合される軸の公差によってベアリングの遊隙が変わり、公差が精密に調節されない場合、潤滑されていない状態で軸とボールとの間にすべりが発生する問題がある。なお、ガラス繊維複合材料は、衝撃吸収能力と強度に優れるが、炭素繊維複合材料と比べるとき熱変形が大きく、ガラス繊維の潤滑性能が劣るため、表面の自己潤滑層が摩滅された場合、摩擦係数が大きく増加する問題がある。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,762,424号公報
【特許文献2】米国特許第6,209,206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題などを解決するためになされた発明であって、本発明の第1の目的は、球状のジャーナルを受容して支持する球面ベアリングを、繊維強化複合材料を素材にして定型加工または樹脂移送成形法によって製造することにより、製造工程が簡単で、生産性の高い球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法を提供する。
【0007】
本発明の第2の目的は、球面ベアリングと球状ジャーナルとの間のベアリング間隙を均一かつ正確に保持することのできる球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明の第3の目的は、自己潤滑特性を有する自己潤滑層を簡単に形成することのできる球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法を提供する。
【0009】
本発明の第4の目的は、繊維強化複合材料を素材に使用して球状のジャーナルを受容して支持するように球面ベアリングを定型加工または樹脂移送成形法により製造し、この球面ベアリングに構造物を一体的に構成することのできる球面ベアリング組立体の製造装置及びその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明に係る球面ベアリング組立体の製造装置は、球面を有する球状ジャーナルと、この球状ジャーナルを受容して支持するベアリング面を有する球面ベアリングとからなり、前記球面ベアリングは繊維強化複合材料によってなる球面ベアリング組立体の製造装置において、前記球状ジャーナルと前記繊維強化複合材料とを受容して前記繊維強化複合材料を前記球面ベアリングに成形するためのキャビティ、前記繊維強化複合材料を保持するように前記キャビティの内面に突設された第1押圧面及び、前記第1押圧面の中央に形成されていて、前記キャビティと連通する第1ガイド孔を有するモールドと、前記モールドのキャビティに受容されている前記繊維強化複合材料が前記球面ベアリングに成形されるように押圧する第2押圧面を有し、前記第2押圧面の中央に第2ガイド孔が形成されているプランジャーと、前記球状ジャーナルの一側縁を受容する溝が形成され、前記第2ガイド孔に沿って移動するように嵌め込まれる第1グリッパと、前記球状ジャーナルの他側縁を受容する溝が形成され、前記第1ガイド孔に沿って移動するように嵌め込まれる第2グリッパとによって構成され、前記球状ジャーナルは前記第1グリッパと第2グリッパに嵌合された状態で前記モールドのキャビティに安置され、前記球状ジャーナルと前記キャビティとの間に前記繊維強化複合材料を充填した後、前記モールドと前記プランジャーとの型閉めにより前記繊維強化複合材料が前記球状ジャーナルを受容する球面ベアリングに成形されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る球面ベアリング組立体の製造方法は、球状ジャーナルの球面が露出されるように前記球状ジャーナルの両側の縁を第1及び第2グリッパのそれぞれの溝に受容する予備組立体を準備する段階と、前記球状ジャーナルの球面及び前記第1及び第2グリッパのそれぞれの外面に、複数の補強繊維と、この補強繊維などにマトリックスが含浸されている繊維強化複合材料とを付着する段階と、前記繊維強化複合材料が付着している前記予備組立体をモールドのキャビティに安置させる段階と、前記マトリックスが流動性を有するように加熱する段階と、前記モールドに前記繊維強化複合材料を押圧するためにプランジャーを型閉めして前記繊維強化複合材料を前記球状ジャーナルの球面と球面対偶をなすベアリング面を有する球面ベアリングに成形する段階と、前記モールド及び前記プランジャーを型開けして前記モールドのキャビティから前記予備組立体及び前記球面ベアリングを取り出す段階と、前記球状ジャーナルの両側から前記第1及び第2グリッパを分離する段階とを含めてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法によれば、繊維強化複合材料を素材にして定型加工または樹脂移送成形法によって、球状ジャーナルを受容して支持する球面ベアリングを製造するので、製造工程が簡単になり生産性を向上させることができ、球面ベアリングと球状ジャーナルとの間のベアリングクリアランスを均一かつ正確に保持することができる。また、自己潤滑特性を有する自己潤滑層を簡易に形成することができ、球面ベアリングに構造物を単一工程によって一体的に構成することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施例に係る球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法について詳細に説明する。
【0014】
ただし、本発明の好ましい実施例によって記述した実施形態は、本発明を限定するものではなく、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範疇及び思想の範囲内で多様に変形して実施することができることは云うまでもない。
【実施例1】
【0015】
まず、図1は、本発明の第1実施例に係る球面ベアリング組立体100の平断面図である。本第1実施例における球面ベアリング組立体100は球面ベアリング110と球状ジャーナル120とから構成される。球面ベアリング110の内面には円弧状のベアリング面112が形成される。球状ジャーナル120は金属で構成することができる。また、球状ジャーナル120は球面ベアリング110の内側に受容されるとともに、球状ジャーナル120の外面は球面ベアリング110のベアリング面112に球面対偶をなすように球面122が形成される。球状ジャーナル120の中央には軸やロッドなどの機械的要素が嵌合する軸孔124が形成される。
【0016】
図4を参照すれば、球面ベアリング110は繊維強化複合材料130によって作成され、繊維強化複合材料130は、多数のプリプレグ(prepreg)132を多層積層して形成される。プリプレグ132は多数の補強繊維134と、この補強繊維134が固定されるように、補強繊維134に含浸されてBステージ(半硬化)に硬化されているマトリックスで作製する。多数の補強繊維134は炭素繊維、ガラス繊維、ケブラー繊維(米国デュポン社の商品名)などによって作製することができ、マトリックス136は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂で作製することができる。プリプレグ132は補強繊維134を配列し、補強繊維134にマトリックス136を含浸させた後、マトリックス136をBステージに硬化させることによって層(laminate)またはシート(sheet)状の形態で作製することができる。
【0017】
さらに、図1を参照すれば、球面ベアリング110のベアリング面112には自己潤滑特性を有する自己潤滑剤層140が形成され、自己潤滑剤層140は自己潤滑粒子142または自己潤滑フィルムで形成することができる。自己潤滑粒子142は低摩擦係数を有するナノメートルまたはミクロンサイズのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性ポリマー、酸化モリブデン(MoS2)、カーボンブラックなどによって多様に作製することができる。また、自己潤滑フィルムは、PTFE、PEEKなどの熱可塑性ポリマーで作製することもできる。自体潤滑剤層140は球面ベアリング110のベアリング面112と球状ジャーナル120の球面122との間の摩擦係数を減少させる機能を果す。球状ジャーナル120の表面には金属皮膜150が電気メッキ、プラズマ溶射法によってコーティングされ、金属皮膜150はクロム(Cr)によって形成することができる。また、金属皮膜150のコーティングによって球状ジャーナル120の表面粗度と離型性が向上される。
【0018】
次の図2〜図7には、本発明の前記第1実施例に係る球面ベアリング組立体の製造装置が段階的に示されている。図2を参照すれば、第1実施例における製造装置200は、モールド210とプランジャー220を備える。モールド210の中央にキャビティ212が形成され、キャビティ212の内面から中央に向けて第1押圧面214が突設されている。第1押圧面214の中央にはキャビティ212に連通する第1ガイド孔216が形成されている。第1ガイド孔216の内面には第1段付き部218が突設されている。プランジャー220はモールド210のキャビティ212内に嵌合されるスリーブ222を有する。スリーブ222の下段には第2押圧面224が形成され、その中央には第2ガイド孔226が形成される。また、第2ガイド孔226の内面には第2段付き部228が突設される。スリーブ222の上段にはモールド210の上面で支持されるようにフランジ230が形成される。
【0019】
第1実施例における製造装置200は、第1グリッパ240、第2グリッパ250、及び締結機構260によって構成される。第1グリッパ240と第2グリッパ250は同様の形態で形成される。第1及び第2グリッパ240、250は、それぞれの一面に球状ジャーナル120の両側の縁が受容される溝242、252が形成される。また、第1グリッパ240の他面には第2段付き部228に係止できるように第3段付き部244が形成され、第2グリッパ250の他面にも第1段付き部218に係止できるように第4段付き部254が形成されている。第1グリッパ240の中央には第1貫通孔246が形成され、第2グリッパ250の中央には第1貫通孔246と同心状に整列される第2貫通孔256が形成されている。第1及び第2グリッパ240、250は、第1及び第2貫通孔246、256を通してボルト262と、ナット264とからなる締結機構260によって締結される。このとき、第1及び第2グリッパ240、250のそれぞれの第1及び第2貫通孔246、256は、ボルト262の頭部とナット264とを埋め込むことができるように座ぐり加工によって形成されている。
【0020】
第1及び第2グリッパ240、250は、モールド210の第1ガイド孔216とプランジャー220の第2ガイド孔226の中に摺動可能に嵌合される。上述のように第1グリッパ240、第2グリッパ250、及び締結機構260によってクランピングされた球状ジャーナル120の予備組立体270(図3参照)は、モールド210のキャビティ212に受容される。また、キャビティ212の内面と第1及び第2グリッパ240、250の外面との間に形成された間隙にプランジャー220のスリーブ222が嵌め込まれる。
【0021】
以下は、このような構成を有する第1実施例における製造装置によって球面ベアリング組立体が製造される方法を図8に示すステップに基づいて説明する。
【0022】
図1〜図3を参照すれば、図8のステップS100のように球状ジャーナル120の球面122は、例えばクロムの金属皮膜150をコーティングすることになる(S100)。しかし、金属皮膜150を形成するコーティング工程は必須ではないので省略することもできる。次いで、球状ジャーナル120の球面122が露出されるように締結機構260によって球状ジャーナル120の両側端に第1及び第2グリッパ240、250をクランピングして締結することにより、予備組立体270を準備する(S102)。
【0023】
図3に示すように、第1グリッパ240の溝242に球状ジャーナル120の一側縁を受容し、第2グリッパ250の溝252に球状ジャーナル120の他側縁を受容する。第1グリッパ240の第1貫通孔246、球状ジャーナル120の軸孔124と第2グリッパ250の第2貫通孔256を貫通するようにボルト262が挿入された後、第2グリッパ250の第2貫通孔256に位置するボルト262の雄ねじにナット264を締結する。球状ジャーナル120の両側端が第1及び第2グリッパ240、250の溝242、252に受容されると、球状ジャーナル120の外周縁は第1及び第2グリッパ240、250によってカバーされる。したがって球面ベアリング組立体100において球面ベアリング110のベアリング面112に対して球面対偶をなす球状ジャーナル120の球面122の表面積を簡単に調節することができる。
【0024】
次いで、第1グリッパ240、第2グリッパ250が締結機構260により締結された球状ジャーナル120の予備組立体270を準備した後、球状ジャーナル120の球面122に自己潤滑剤層140を形成するために自己潤滑粒子142または自己潤滑フィルムを提供する(S104)。ここで、球状ジャーナル120の球面122にPTFE、PEEKなどの熱可塑性ポリマー、酸化モリブデン、カーボンブラックなどの自己潤滑粒子142をコーティングするかまたは、自己潤滑粒子142と結合剤とを混合した混合物を接合させて形成することができる。また、自己潤滑フィルムは、球状ジャーナル120の球面122に熱可塑性ポリマーを鎔融してコーティングするかフィルム自体を付着させて形成することができる。一方、自己潤滑剤層140の形成は必要の要否によって省略することもできる。
【0025】
次は、図4と図5を参照してS106、S108のステップを説明する。球状ジャーナル120の球面122と第1及び第2グリッパ240、250の外面に繊維強化複合材料130を付着させる(S106)。次いで、繊維強化複合材料130が付着された予備組立体270をモールド210のキャビティ212に安置する(S108)。前記の段階で予備組立体270をモールド210のキャビティ212に嵌め込めて安置することにより、繊維強化複合材料130の下段はモールド210の第1押圧面214に支持されるとともに、繊維強化複合材料130の上段はモールド210の上面と殆ど一致した状態で配置されることになる。また、第1グリッパ240はモールド210の上部に突設されるようになる。一方、繊維強化複合材料130が付着されていない予備組立体270をモールド210のキャビティ212に安置した後、球状ジャーナル120の球面122とモールド210のキャビティ212との間隙に繊維強化複合材料130を充填することもできる。
【0026】
次いで、前記のステップで予備組立体270をモールド210のキャビティ212に安置させた後、ヒーターなどの加熱装置によってモールド210を加熱する。これによって、繊維強化複合材料130のマトリックス136には流動性が与えられることになる(S110)。加熱装置による加熱によってモールド210はマトリックス136が流動性を有する温度まで上昇させる。モールド210の温度が上昇することによって、流動性を有するマトリックス136は補強繊維134の界面に充填されるとともに、また、モールド210の冷却にしたがってマトリックス136は硬化する。このようにして、マトリックス136には補強繊維134、自己潤滑粒子142、または自己潤滑フィルムが堅固に架橋結合される。
【0027】
図6を参照しながらS112のステップを説明する。モールド210と第1グリッパ240との間のキャビティ212に安置させた繊維強化複合材料130をプランジャー220によって押圧して目的の球面ベアリング110を成形する(S112)。ここで、ステップS112をより詳細に説明する。モールド210の内面と第1グリッパ240の外面との間にプランジャー220のスリーブ222を嵌め合せ、プランジャー220を下降させる。このとき、プランジャー220はプレスのラム(ram)に装着して作動させることができる。プランジャー220のスリーブ222が下降すると、第2押圧面224が繊維強化複合材料130を押圧するようになる。同時に、プランジャー220の第2ガイド孔226に第1グリッパ240が嵌合されて案内され、プランジャー220の第2段付き部228に第1グリッパ240の第3段付き部244が係止される。
【0028】
また、プランジャー220の第2段付き部228に第1グリッパ240の第3段付き部244が係止された状態でプランジャー220が引続き下降すると、プランジャー220と共に予備組立体270がキャビティ212の中に押圧される。第2グリッパ250はモールド210の第1ガイド孔216に沿って案内されながら予備組立体270の進入を受容する。モールド210の第1段付き部218に第2グリッパ250の第4段付き部254が係止されると共に、モールド210の上面にプランジャー220のフランジ230が当接することによって、プランジャー220を支持しながら型閉めが完了する。このモールド210とプランジャー220との型閉めによって熱と圧力が与えられて軟化されている補強繊維134を押圧密着させることによって、目的の球面ベアリング110が(成形)製造される。
【0029】
次いで、図7は、モールド210とプランジャー220とを型開け(mold open)した後、モールド210のキャビティ212から球面ベアリング110が成形された予備組立体270を取り出す段階を示している(S114)。最後に、本発明の第1実施例における球面ベアリング組立体100と第1及び第2グリッパ240、250を分離する(S116)。これにより、図1に図示している本発明による第1実施例における球面ベアリング組立体100の成形体が完成される。
【0030】
一方、繊維強化複合材料130の熱膨張係数は金属製の球状ジャーナル120より低い。したがって球面ベアリング110が硬化された後、常温において球面ベアリング110のベアリング面112に形成される自己潤滑剤層140は、その離型性によって金属製の球状ジャーナル120から剥離され、球面ベアリング110と球状ジャーナル120との間には一定サイズのベアリングクリアランスが正確に保持される。このように繊維強化複合材料130は熱間押圧成形法によって追加的な加工を要することのない定型加工によって、球面ベアリング110と球状ジャーナル120とが結合されている球面ベアリング組立体100を簡単、かつ正確に製造することができる。
【0031】
図10には本発明の第2実施例に係る製造装置によって製造した球面ベアリング組立体300が図示されている。図10を参照すれば、第2実施例における球面ベアリング組立体300は、球面ベアリング310と球状ジャーナル320とから構成されている。前記球面ベアリング組立体300の球面ベアリング310、ベアリング面312、繊維強化複合材料330、プリプレグ332(図9参照)、補強繊維334、マトリックス336、自己潤滑剤層340、金属皮膜350は、第1実施例の球面ベアリング組立体100の球面ベアリング110、ベアリング面112、繊維強化複合材料130、プリプレグ132、補強繊維134、マトリックス136、自己潤滑剤層140、金属皮膜150と同様の構成であるため、その構造及び作用に対する詳細な説明を省略する。なお、球状ジャーナル320の外面は球面ベアリング310のベアリング面312と球面対偶をなす球面322のように形成されるとともに、球状ジャーナル320の両側端には第1軸部324と第2軸部326が一体型に形成されている。
【実施例2】
【0032】
図10と図11は本発明の第2実施例に係る製造装置400によって球面ベアリング組立体300を製造する過程を示す平断面図である。本発明の第2実施例における製造装置400は、モールド410、プランジャー420、第1グリッパ440と第2グリッパ450とから構成される。第2実施例における製造装置400のモールド410、キャビティ412、第1押圧面414、第1ガイド孔416、第1段付き部418、プランジャー420、スリーブ422、第2押圧面424、第2ガイド孔426、第2段付き部428、フランジ430は、第1実施例の製造装置200のモールド210、キャビティ212、第1押圧面214、第1ガイド孔216、第1段付き部218、プランジャー220、スリーブ222、第2押圧面224、第2ガイド孔226、第2段付き部228、フランジ230と同様の構成であるため、その構造及び作用に対する詳細な説明を省略する。
【0033】
なお、第1グリッパ440と第2グリッパ450は同様に構成する。第1及び第2グリッパ440、450のそれぞれの一面には球状ジャーナル320の両側縁を受容する溝442、452が形成され、他面には第1及び第2段付き部418、428に係止できるように第3及び第4段付き部444、454が形成される。第1グリッパ440の中央には球状ジャーナル320の第1軸部324が嵌合される第1貫通孔446が形成され、第2グリッパ450の中央には球状ジャーナル320の第2軸部326が嵌合される第2貫通孔456が形成される。
【0034】
このような構成を有する本発明の第2実施例の製造装置400(図11)によって製造される球面ベアリング組立体300の製造方法を以下に説明する。先ず第1グリッパ440の第1貫通孔446に球状ジャーナル320の第1軸部324を嵌入させながら、球状ジャーナル320の一側縁が溝442に受容されるようにする。また、第2グリッパ450の第2貫通孔456に球状ジャーナル320の第2軸部326を嵌合させながら、球状ジャーナル320の他側縁が溝452に受容されるようにする。このように、球状ジャーナル320の両側に嵌合される第1及び第2グリッパ440、450の間には球状ジャーナル320の球面322が露出されるようになる。
【0035】
次に、球状ジャーナル320、第1及び第2グリッパ440、450とが嵌合された予備組立体470が用意された後、球状ジャーナル320の球面322に自己潤滑剤層340を形成するために自己潤滑粒子342または自己潤滑フィルムが使用される。次に、球状ジャーナル320の球面322と第1及び第2グリッパ440、450の外面に繊維強化複合材料330を付着させ、モールド410のキャビティ412に繊維強化複合材料330が付着された予備組立体470を安置する。次は、モールド410を加熱して繊維強化複合材料330のマトリックス336に流動性を与える。モールド410とプランジャー420とを型閉めして繊維強化複合材料330を押圧すると、図10に図示した第2実施例の球面ベアリング組立体300が完成される。
【実施例3】
【0036】
図12は、本発明の第3実施例に係る製造装置600(図14参照)によって製造した球面ベアリング組立体500の平断面図である。本第3実施例における球面ベアリング組立体500の構成は、前記の第1実施例の球面ベアリング組立体100の構成と基本的に同様であるため、本第3実施例の球面ベアリング組立体500の構成要素に対しては第1実施例の球面ベアリング組立体100の構成要素等と同一な符号を付与するとともに、これに対する詳細な説明は省略する。ただ、第3実施例の球面ベアリング組立体500の繊維強化複合材料530は補強繊維フリーフォーム(preform)532とマトリックス534とから形成される。
【0037】
図13と図14には、本発明の第3実施例に係る製造装置600によって球面ベアリング組立体が製造される工程が図示されている。図13と図14を参照すれば、第3実施例の製造装置600の構成は第1実施例の製造装置200(図6参照)の構成と基本的に同様であるため、本実施例の製造装置600の構成要素に対しては前記の第1実施例の製造装置200の構成要素と同一の符号を付与するとともに、これに対する詳細な説明は省略する。ただ、モールド210の第1押圧面214に環状のランナー602が形成され、その外面にはランナー602に連通するゲート604が形成されている。
【0038】
前記のように構成された第3実施例の製造装置600により球面ベアリング組立体500を製造する第3実施例の製造方法を図15の工程順に基づいて説明する。
【0039】
図12、13の符号を参照しながら、まず球状ジャーナル120の球面122に金属皮膜150をコーティングする(S200)。次に、球状ジャーナル120の球面122が露出するように締結機構260によって球状ジャーナル120の両側端に第1及び第2グリッパ240、250を締結して予備組立体270を準備する(S202)。次は、球状ジャーナル120、第1グリッパ240、第2グリッパ250と締結機構260とが結合された予備組立体270を準備した後、球状ジャーナル120の球面122に自己潤滑剤層140を形成するために自己潤滑粒子142または自己潤滑フィルムを提供する(S204)。
【0040】
次は図14を参照する。モールド210のキャビティ212に予備組立体270を安置する(S206)。モールド210のキャビティ212と予備組立体270との間に補強繊維フリーフォーム532を充填する(S208)。補強繊維フリーフォーム532を充填した後、モールド210とプランジャー220を型閉めして補強繊維フリーフォーム532を押圧する(S210)。モールド210に形成されている連通ゲート604を通じて流動性を有するマトリックス534を補強繊維フリーフォーム532に供給する(S212)。前記モールド210のゲート604を通じて注入した流動性を有するマトリックス534はランナー602を通じて補強繊維フリーフォーム532に均一に供給されるとともに、補強繊維フリーフォーム532の補強繊維の界面に充填されることによって、マトリックス534によって補強繊維と自己潤滑剤層140とが堅固に架橋結合する。
【0041】
次は、モールド210とプランジャー220とを型開けした後、モールド210のキャビティ212から球面ベアリング510が成形された予備組立体270を取り出す段階になる(S214)。最後に、本発明の第3実施例における球面ベアリング組立体500と第1及び第2グリッパ240、250を分離すること(S216)により、第3実施例の球面ベアリング組立体500の成形体が完成される。
【0042】
このようにモールド210とプランジャー220によって補強繊維フリーフォーム532を押圧し、補強繊維フリーフォーム532に流動性を有するマトリックス534を供給して繊維強化複合材料130の球面ベアリング110を樹脂移送成形法によって成形することにより、本第3実施例における球面ベアリング組立体500を簡単かつ正確に製造することができる。一方、本第3実施例の製造装置600におけるランナー602とゲート604は前記第2実施例の製造装置400にも同様に適用して第2実施例の球面ベアリング組立体300を製造することもできる。
【実施例4】
【0043】
図16は、本発明の第4実施例に係る製造装置800によって製造した球面ベアリング組立体700の平断面図である。本第4実施例における球面ベアリング組立体700の構成は、前記第1実施例の球面ベアリング組立体100の構成と基本的に同様であるため、本実施例における球面ベアリング組立体700の構成要素に対しては第1実施例の球面ベアリング組立体100の構成要素等と同一の符号を付与し、これに対する詳細な説明は省略する。
【0044】
ただ、第4実施例に係る製造装置800によって製造した球面ベアリング組立体700には球面ベアリング110の外面に接合される構造物760を備える。構造物760は球面ベアリング組立体700を設置するための各種の装置、機械などに装着することができる。構造物760は球面ベアリング組立体700を結合させるする結合孔762を有する。この構造物760はコンロッド、ハウジング、プレートなど多様な形態で構成することができる。
【0045】
球面ベアリング110の外面に接合させる構造物760の結合孔762の内面には、複数の溝764が形成されるとともに、球面ベアリング110の外面には溝764に係合する複数の突起114が形成される。なお、構造物760の前記溝764は凹凸状または荒い粗面によって代替することができる。また、構造物760の前記荒い粗面はサンドブラスト、荒削り加工などによって形成することができる。
【0046】
図17と図18は、本発明の第4実施例に係る球面ベアリング組立体700と製造装置800の平断面図である。この第4実施例の製造装置800の構成は第1実施例の製造装置200の構成と基本的に同様であるため、同製造装置800の構成要素に対しては第1実施例の構成要素等と同一の符号を付与し、これに対する詳細な説明は省略する。ただ、図17に示すモールド210は上下に分離することのできる上部モールド210aと下部モールド210bとから構成されるとともに、上部モールド210aの中央にキャビティ212が形成されている。
【0047】
前記モールド210の上部モールド210aと下部モールド210bとが分離された状態で下部モールド210bを準備した後、下部モールドの上面中心と構造物760の結合孔762とが一致するように整列した状態で、構造物760を下部モールド210bの上面に装着する。同時に、上部モールド210aのキャビティ212と前記結合孔762との中心が一致するように整列した状態で上部モールド210aを構造物760の上面に装着する。
【0048】
前記のように、構造物760の結合孔762と上部モールド210aのキャビティ212との中心が一致するように整列した状態で下部モールド210b、構造物760と上部モールド210aを順次に積層して準備する。次いで、モールド210のキャビティ212内に繊維強化複合材料130が付着した予備組立体270を安置した後、モールド210とプランジャー220との型閉めにより繊維強化複合材料130を押圧して球面ベアリング110を成形することになるが、球面ベアリング110を成形する時の押圧される繊維強化複合材料130は構造物760の溝764に充填されるとともに、構造物760の溝764に充填された繊維強化複合材料130は硬化することによって突起114を形成する。構造物760の溝764に形成された球面ベアリング110の突起114は堅固に噛み合い結合して球面ベアリング110と構造物760との分離を防止する。
【0049】
このように第4実施例に係る製造装置800によって球面ベアリング組立体700の球面ベアリング110と球状ジャーナル120を定型加工によって製造すると共に、球面ベアリング110を構造物760と一体に結合することができるので、球面ベアリング組立体700の生産性を大きく向上させることができる。なお、本実施例の製造装置800による球面ベアリング組立体700の製造方法は、前記の第2実施例の球面ベアリング組立体300と第3実施例の球面ベアリング組立体500の製造方法にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る球面ベアリング組立体の製造装置及びその製造方法によれば、繊維強化複合材料を素材にして定型加工または樹脂移送成形法によって、球状ジャーナルを受容して支持する球面ベアリングを製造するので、製造工程が簡易になり生産性を向上させることができ、球面ベアリングと球状ジャーナルとの間のベアリングクリアランスを均一かつ正確に保持することができる。また、自己潤滑特性を有する自己潤滑層を簡単に形成することができ、球面ベアリングに構造物を単一工程によって一体に構成することができる効果がある。従って、本発明の産業的利用性はきわめて高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施例に係る球面ベアリング組立体を示す平断面図
【図2】本発明の第1実施例に係る球面ベアリング組立体の製造装置を分解して示す断面図
【図3】前記図2の製造装置において第1及び第2グリッパと締結機構とによって球状ジャーナルをクランピングした予備組立体を示す断面図
【図4】前記図3の製造装置において繊維強化複合材料が付着した予備組立体の構成を示す断面図
【図5】前記図4の製造装置において予備組立体が結合されているモールドとプランジャーの構成を示す断面図
【図6】前記図5の製造装置においてモールドとプランジャーとの型閉めにより繊維強化複合材料を押圧成形する過程を説明する断面図
【図7】前記図6の製造装置においてモールドとプランジャーとを型開けして、本発明の第1実施例に係る球面ベアリング組立体を取り出した状態を示す断面図
【図8】本発明の第1実施例に係る球面ベアリング組立体の製造装置を利用して球面ベアリング組立体を製造する工程を示すフローチャート
【図9】本発明の第2実施例に係る製造装置によって製造した球面ベアリング組立体を示す断面図
【図10】前記図9の球面ベアリング組立体の製造過程において繊維強化複合材料が付着された予備組立体を製造する過程を示す断面図
【図11】前記図10の予備組立体においてモールドとプランジャーとの型閉めにより繊維強化複合材料を押圧成形する過程を示す断面図
【図12】本発明の第3実施例に係る製造装置によって製造した球面ベアリング組立体を示す断面図
【図13】前記図12の球面ベアリング組立体において繊維強化複合材料の補強繊維フリーフォームが付着された予備組立体を製造する過程を示す断面図
【図14】前記図13の予備組立体においてモールドとプランジャーとの型閉めにより繊維強化複合材料の補強繊維フリーフォームを押圧成形する過程を示す断面図
【図15】本発明の第3実施例に係る球面ベアリング組立体の製造装置によって球面ベアリング組立体を製造する工程を示すフローチャート
【図16】本発明の第4実施例に係る製造装置によって製造した球面ベアリング組立体を示す断面図
【図17】前記図16の製造装置においてモールドとプランジャーとの型閉めにより繊維強化複合材料を押圧成形する過程を示す断面図
【図18】前記図17の製造装置においてモールドとプランジャーとを型開けして球面ベアリング組立体を取り出した状態の構成を示す分解断面図
【符号の説明】
【0052】
100…第1実施例の球面ベアリング組立体
110、310…球面ベアリング
120、320…球状ジャーナル
130、330、530…繊維強化複合材料
140、340…自己潤滑剤層
150、350…金属皮膜
200…第1実施例における製造装置
210、410…モールド
212、412…キャビティ
220、420…プランジャー
240、440…第1グリッパ
250、450…第2グリッパ
260…締結機構
270、470…予備組立体
300…第2実施例における球面ベアリング組立体
324…第1軸部
326…第2軸部
400…第2実施例における製造装置
500…第3実施例における球面ベアリング組立体
600…第3実施例における製造装置
602…ランナー
604…ゲート
700…第4実施例における球面ベアリング組立体
760…構造物
764…溝
800…第4実施例における製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球面を有する球状ジャーナルと、この球状ジャーナルを受容して支持するベアリング面を有する球面ベアリングとからなり、前記球面ベアリングは繊維強化複合材料によってなる球面ベアリング組立体の製造装置において、
前記球状ジャーナルと前記繊維強化複合材料とを受容して前記繊維強化複合材料を前記球面ベアリングに成形するためのキャビティ、前記繊維強化複合材料を支持するように前記キャビティの内面に突設される第1押圧面、及び前記第1押圧面の中央に形成されていて、前記キャビティと連通する第1ガイド孔を有するモールドと、
前記モールドのキャビティに受容されている前記繊維強化複合材料が前記球面ベアリングに成形されるように押圧する第2押圧面を有し、前記第2押圧面の中央に第2ガイド孔が形成されているプランジャーと、
前記球状ジャーナルの一側縁を受容する溝が形成され、前記第2ガイド孔に沿って移動するように嵌合される第1グリッパと、
前記球状ジャーナルの他側縁を受容する溝が形成され、前記第1ガイド孔に沿って移動するように嵌合される第2グリッパとを包含し、
前記球状ジャーナルは前記第1グリッパと第2グリッパに嵌合された状態で前記モールドのキャビティに安置され、前記球状ジャーナルと前記キャビティとの間に前記繊維強化複合材料を充填した後、前記モールドと前記プランジャーとの型閉めにより前記繊維強化複合材料が前記球状ジャーナルを受容する前記球面ベアリングに成形されることを特徴とする球面ベアリング組立体の製造装置。
【請求項2】
前記第1ガイド孔の内面に第1段付き部が形成されるとともに、前記第2ガイド孔の内面に第2段付き部が形成され、前記第1グリッパには前記第2段付き部に係止することができるように第3段付き部が形成され、前記第2グリッパには前記第1段付き部に係止することができるように第4段付き部がさらに形成されることを特徴とする請求項1に記載の球面ベアリング組立体の製造装置。
【請求項3】
前記球状ジャーナル、前記第1グリッパ及び前記第2グリッパをクランピングすることができるように、前記第1グリッパ、前記球状ジャーナル及び前記第2グリッパを貫通するボルトと、前記ボルトに締結するナットとをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の球面ベアリング組立体の製造装置。
【請求項4】
前記繊維強化複合材料は、補強繊維フリーフォームと、この補強繊維フリーフォームに架橋結合するマトリックスとからなり、前記モールドの第1押圧面には環状のランナーが形成され、前記モールドの外面に前記ランナーと連通するゲートが形成され、前記ゲートと前記ランナーとを通じて前記マトリックスが流動性を呈する状態で供給されて前記補強繊維フリーフォームに含浸するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の球面ベアリング組立体の製造装置。
【請求項5】
前記球状ジャーナルの両側端に第1及び第2軸部がそれぞれ形成され、前記第1及び第2グリッパのそれぞれの中央には前記第1及び第2軸部が嵌合するように貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の球面ベアリング組立体の製造装置。
【請求項6】
前記モールドは上下に分離される上部モールドと下部モールドとから構成され、前記上部モールドと前記下部モールドとの間には前記球面ベアリングを一体に結合させる構造物が装着されるように構成することを特徴とする請求項1に記載の球面ベアリング組立体の製造装置。
【請求項7】
前記構造物は、前記球面ベアリングを受容する結合孔を有し、前記結合孔の内面には前記繊維強化複合材料が充填されるように複数の溝が形成されることを特徴とする請求項6に記載の球面ベアリング組立体の製造装置。
【請求項8】
球状ジャーナルの球面が露出されるように前記球状ジャーナルの両側の縁を第1及び第2グリッパのそれぞれの溝に受容する予備組立体を準備する段階と、
前記球状ジャーナルの球面及び前記第1及び第2グリッパのそれぞれの外面に、複数の補強繊維と、この補強繊維などにマトリックスが含浸されている繊維強化複合材料とを付着する段階と、
前記繊維強化複合材料が付着している前記予備組立体をモールドのキャビティに安置する段階と、
前記マトリックスが流動性を有するように加熱する段階と、
前記モールドに前記繊維強化複合材料を押圧するためにプランジャーを型閉めして前記繊維強化複合材料を前記球状ジャーナルの球面と球面対偶をなすベアリング面を有する球面ベアリングに成形する段階と、
前記モールド及び前記プランジャーを型開けして前記モールドのキャビティから前記予備組立体及び前記球面ベアリングを取り出す段階と、
前記球状ジャーナルの両側から前記第1及び第2グリッパを分離する段階とを含めてなることを特徴とする球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項9】
前記予備組立体を準備する段階の前に、前記球状ジャーナルの球面に金属皮膜をコーティングする段階をさらに含めることを特徴とする請求項8に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項10】
前記金属皮膜の表面に自己潤滑剤層を形成する段階をさらに含めることを特徴とする請求項9に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項11】
前記予備組立体を準備する段階は、前記球状ジャーナル、前記第1グリッパと前記第2グリッパをクランピングすることができるように前記第1グリッパ、前記球状ジャーナルと前記第2グリッパにボルトを貫通させた後、前記ボルトにナットを締結する段階を含めることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項12】
前記予備組立体を準備する段階において、前記球状ジャーナルの両側端に第1及び第2軸部をそれぞれ形成し、前記第1グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第1軸部を嵌合し、前記第2グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第2軸部を嵌合させる段階を含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項13】
球状ジャーナルの球面が露出されるように前記球状ジャーナルの両側の縁を第1及び第2グリッパのそれぞれの溝に受容する予備組立体を準備する段階と、
前記予備組立体をモールドのキャビティに安置する段階と、
前記予備組立体と前記キャビティの内面との間に補強繊維フリーフォームを充填する段階と、
前記モールドに前記補強繊維フリーフォームを押圧するためにプランジャーを型閉めする段階と、
前記モールドと前記プランジャーとの型閉めにより押圧された前記補強繊維フリーフォームにマトリックスを含浸して前記球状ジャーナルの球面と球面対偶をなすベアリング面を有する球面ベアリングに成形する段階と、
前記モールドと前記プランジャーとを型開けして前記モールドのキャビティから前記予備組立体と前記球面ベアリングを取り出す段階と、
前記球状ジャーナルの両側から前記第1及び第2グリッパを分離する段階とを含めてなることを特徴とする球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項14】
前記予備組立体を準備する段階の前に、前記球状ジャーナルの球面に金属皮膜をコーティングする段階をさらに含めることを特徴とする請求項13に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項15】
前記金属皮膜の表面に自己潤滑剤層を形成する段階をさらに含めることを特徴とする請求項14に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項16】
前記予備組立体を準備する段階は、前記球状ジャーナル、前記第1グリッパと前記第2グリッパをクランピングすることができるように前記第1グリッパ、前記球状ジャーナルと前記第2グリッパにボルトを貫通させた後、前記ボルトにナットを締結する段階を含めることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項17】
前記予備組立体を準備する段階において、前記球状ジャーナルの両側端に第1及び第2軸部をそれぞれ形成し、前記第1グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第1軸部を嵌合し、前記第2グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第2軸部を嵌合させる段階を含むことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項18】
球状ジャーナルの球面が露出されるように前記球状ジャーナルの両側の縁を第1及び第2グリッパのそれぞれの溝に受容する予備組立体を準備する段階と、
前記球状ジャーナルの球面と前記第1及び第2グリッパのそれぞれの外面に複数の補強繊維とこの補強繊維などにマトリックスが含浸されている繊維強化複合材料を付着する段階と、
前記繊維強化複合材料が付着している前記予備組立体の第2グリッパが嵌合する第1ガイド孔を有する下部モールドを準備する段階と、
前記下部モールドの上面に前記繊維強化複合材料が付着している前記予備組立体が受容される結合孔を有する構造物を装着する段階と、
前記構造物の上面に前記繊維強化複合材料が付着している前記予備組立体が受容されるキャビティと、前記予備組立体の第1グリッパが嵌合する第2ガイド孔を有する上部モールドを装着する段階と、
前記繊維強化複合材料が付着している前記予備組立体を前記上部モールドのキャビティと前記構造物の結合孔とを通じて前記下部モールドの下部キャビティに安置する段階と、
前記マトリックスが流動性を有するように加熱する段階と、
前記繊維強化複合材料を前記上部モールドに押圧するためにプランジャーを型閉めして前記繊維強化複合材料を前記球状ジャーナルの球面と球面対偶をなすベアリング面を有し、前記構造物の結合孔に受容される球面ベアリングに成形する段階と、
前記上部モールド、前記下部モールド、及び前記プランジャーを型開けして前記下部モールドのキャビティから前記予備組立体、前記球面ベアリングと前記構造物を取り出す段階と、
前記球状ジャーナルの両側から前記第1及び第2グリッパを分離する段階とを含めることを特徴とする球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項19】
前記予備組立体を準備する段階の前に、前記球状ジャーナルの球面に金属皮膜をコーティングする段階をさらに含めることを特徴とする請求項18に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項20】
前記金属皮膜の表面に自己潤滑剤層を形成する段階をさらに含めることを特徴とする請求項19に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項21】
前記予備組立体を準備する段階は、前記球状ジャーナル、前記第1グリッパと前記第2グリッパをクランピングすることができるように前記第1グリッパ、前記球状ジャーナルと前記第2グリッパにボルトを貫通させた後、前記ボルトにナットを締結する段階を含めることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項22】
前記予備組立体を準備する段階において、前記球状ジャーナルの両側端に第1及び第2軸部をそれぞれ形成し、前記第1グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第1軸部を嵌合し、前記第2グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第2軸部を嵌合させる段階を含めることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項23】
球状ジャーナルの球面が露出されるように前記球状ジャーナルの両側の縁を第1及び第2グリッパのそれぞれの溝に受容する予備組立体を準備する段階と、
前記予備組立体の第2グリッパが嵌合する第1ガイド孔を有する下部モールドを準備する段階と、
前記下部モールドの上面に前記予備組立体が受容される結合孔を有する構造物を装着する段階と、
前記構造物の上面に前記予備組立体が受容されるキャビティと前記予備組立体の第1グリッパが嵌合する第2ガイド孔を有する上部モールドを装着する段階と、
前記予備組立体を前記上部モールドのキャビティと前記構造物の結合孔とを通じて前記下部モールドの下部キャビティに安置する段階と、
前記予備組立体、前記キャビティ、前記結合孔、及び前記下部キャビティの間に補強繊維フリーフォームを充填する段階と、
前記補強繊維フリーフォームを前記上部モールドに押圧するためにプランジャーを型閉めする段階と、
前記上部モールドと前記プランジャーとの型閉めにより押圧された前記補強繊維フリーフォームにマトリックスを含浸して前記球状ジャーナルの球面と球面対偶をなすベアリング面を有する球面ベアリングに成形する段階と、
前記上部モールド、前記下部モールド、及び前記プランジャーを型開けして前記下部のキャビティから前記予備組立体、前記球面ベアリング、及び前記構造物を取り出す段階と、
前記球状ジャーナルの両側から前記第1及び第2グリッパを分離する段階とを含むことを特徴とする球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項24】
前記予備組立体を準備する段階の前に、前記球状ジャーナルの球面に金属皮膜をコーティングする段階をさらに含めることを特徴とする請求項23に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項25】
前記金属皮膜の表面に自己潤滑剤層を形成する段階をさらに含めることを特徴とする請求項24に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項26】
前記予備組立体を準備する段階は、前記球状ジャーナル、前記第1グリッパと前記第2グリッパをクランピングすることができるように前記第1グリッパ、前記球状ジャーナルと前記第2グリッパにボルトを貫通させた後、前記ボルトにナットを締結する段階を含めることを特徴とする請求項23乃至25のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。
【請求項27】
前記予備組立体を準備する段階において、前記球状ジャーナルの両側端に第1及び第2軸部をそれぞれ形成し、前記第1グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第1軸部を嵌合し、前記第2グリッパの中央に貫通孔を形成して前記第2軸部を嵌合させる段階を含めることを特徴とする請求項23乃至25のいずれか1項に記載の球面ベアリング組立体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−116043(P2008−116043A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272935(P2007−272935)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【Fターム(参考)】