説明

生ゴミ真空乾燥機の真空装置

【課題】生ゴミ真空乾燥機の補給水及び脱臭剤などを節約する方法の提供。
【解決手段】冷却タンク、気液分離器、真空ポンプ及び逆止弁を真空装置で構成する。即ち、(イ)乾燥槽を気液分離器へ連結し、気液分離器より冷却タンク及び逆止弁へ連結し、逆止弁から真空ポンプを経て冷却タンクへ連結する。(ロ)冷却タンクの上部に泡沫水タンクを、下部に油タンクを合体して設ける。(ハ)泡沫水タンクの上部に排水入口を、下部に排水出口を設けて気液分離器と連結する。泡沫水タンクの上部のフタに排気口を設け、フタの下部に気液分離器を設け、気液分離器の下部に泡沫板を設ける。(ニ)油タンクの上部に油気入口を、中部に油出口を設け、真空ポンプと連結する。油タンクの下部に排水出口を設ける。油タンクの上部に油気分離機を設け、油気分離機の上部に油水仕切板を設け、油水仕切板に泡沫水タンクから油タンクへ連通し、かつ排水を遮断する手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ真空乾燥機の真空装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品リサイクル法の目標は、再生利用のための堆肥・飼料処理方法が行われた。しかし、堆肥・飼料処理方法は難しく販売効果がないので、最近の傾向としては、水分蒸発のための生ゴミ乾燥処理機のみが簡単になってきている。
生ゴミ乾燥処理機の方法としては、加熱乾燥機、真空乾燥機などが実施されている。
生ゴミ加熱乾燥機の生ゴミ温度および機械温度はかなり高くなるので危険になる。生ゴミ温度を100℃以上、機械温度が130℃以上で高温にしたところ、生ゴミが発火し爆発が発生している(安全工学協会調べ)。
生ゴミ真空乾燥機の場合は、真空ポンプを取りつけて乾燥機内の圧力を下げ、真空(減圧)状態にし、生ゴミを加熱する。減圧すると水の沸点が下がり、生ゴミの温度が低くなり、低い温度で生ゴミを乾燥することができる。
したがって、生ゴミ真空乾燥機の方が安全であるが、ランニング・コストが高価になるので問題になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1の従来の生ゴミ真空乾燥機を示すように、乾燥機の機械コストよりも真空装置の方が高価になっている。また、ランニング・コストは、主体的な乾燥機の加熱コストが高いのは当然であるが、副次的な真空装置の給水コスト、脱臭剤コストも高価になっているのが問題になっている。
したがって、副次的な真空装置をもっと節約する方法が必要になってきている。すなわち、臭気のある水蒸気を排気するには、真空装置と脱臭器を工夫し、補給水および脱臭剤(吸着剤)などを節約する方法を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
解決するための手段として、冷却タンク、気液分離器、真空ポンプおよび逆止弁を真空装置で構成し、補給水および脱臭剤(吸着剤)を廃止する。
すなやち;
生ゴミ真空乾燥機の乾燥槽(1)を気液分離器(2)へ連結し、気液分離器A(2)より冷却タンク(3)および逆止弁(4)へ別に連結する。
逆止弁(4)から真空ポンプ(5)を経て冷却タンク(3)へ気体を連結する。
冷却タンク(3)の上部に泡沫水タンク(6)を、下部に油タンク(7)を合体して設ける。
泡沫水タンク(6)の側面上部に排水入口(8)を、側面下部に排水出口A(9)を設け、気液分離器A(2)から排水入口(8)へ水を連結し、排水出口A(9)より外気へ水を排出する。
泡沫水タンク(6)の上部にフタ(10)を設け、フタ(10)に排気口(11)を設け、排気口(11)より外気へ排気する。
フタ(10)の下部に気液濾過器(12)を設け、気液濾過器(12)の下部に泡沫板(13)を設ける。
油タンク(7)の側面上部に油気入口(14)を、側面下部に油出口(15)を設け、真空ポンプ(5)から油気入口(14)へ油と気体と水を連結する。
油出口(15)から真空ポンプ(5)へ油を連結し、油タンク(7)の下部に排水出口B(16)を設け、排水出口B(16)より外気へ水を排出する。
油タンク(7)の内上部に油気濾過器(17)を設け、油気濾過器(17)の上部に油水仕切板(18)を設ける。
油水仕切板(18)に泡沫水タンク(6)から油タンク(7)へ気体を連通し、かつ水を遮断する手段を設けるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
従来の真空装置に対して、凝縮器、冷却塔、水ポンプおよび脱臭器は廃止することができるので、本発明の真空装置の機械(イニシアル)コストは約30%低減化することができる。
また、従来の真空装置に対して、凝縮器、冷却塔、水ポンプの廃止によって補給水コストはゼロになり、脱臭器の廃止によって脱臭剤はゼロになるので、本発明の真空装置のランニングコストは約40%低減化することができる。
したがって、価格低減化の効果が非常に大きい。また、機械装置および部品などの廃止によって、設置面積をコンパクトにすることができるので、設置面積コストの効果が非常に大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、従来の生ゴミ真空乾燥機および真空装置(46)の概要図を示す。
従来の生ゴミ真空乾燥機の処理工程は、投入工程、乾燥工程、気液分離工程、排出工程の4つの工程によって構成される。
投入工程では、投入口(20)を開いて生ゴミを乾燥槽(1)内へ投入し、生ゴミの処理量と乾燥時間を設定し、投入口(20)を閉じる。
乾燥工程では、ボイラー(21)は重油(または灯油)バーナーによって加熱蒸気を供給し、乾燥槽(1)の中に生ゴミを加熱する。
乾燥槽(1)へ真空ポンプ(5)を連結し、真空ポンプ(5)により乾燥槽(1)内は600[mmHg]に減圧され、生ゴミの温度は60[℃]で維持され、生ゴミから水分の蒸発が始まる。ボイラー(21)より供給された加熱蒸気は、生ゴミを加熱した後で排水となり循環される。
乾燥工程にて発生した廃蒸気は、乾燥槽(1)よりエアクリナー(22)によって夾雑物や排水を溜めて清掃し、凝縮器(コンデンサー)(23)へ流出する。
排出工程では、乾燥された乾燥ゴミは排出口(44)より排出される。
気液分離工程では、真空装置(46)の概要図を示している。
廃蒸気は凝縮器(コンデンサー)(23)から気液分離器(従来)(24)へ流れるが、その工程で冷却され廃気体と凝縮水に気液分離される。
冷却工程は、冷却塔(クーリングタワー)(25)へ補給水(45)を加えて冷却し、水ポンプ(26)によって 凝縮器(23)へ冷却水を供給する。凝縮水は気液分離器(24)に貯留され定量的に排出される。
廃気体は真空ポンプ(5)によって吸気され、 気液分離器(24)から、逆止弁(4)、真空ポンプ(5)、油気濾過器(17)、脱臭器(27)を経て脱臭され大気へ開放される。逆止弁(4)は乾燥槽(1)の減圧を維持させる手段である。
真空ポンプ(5)は減圧させるための潤滑油が必要であり、真空ポンプ(5)の中で廃気体と潤滑油が混合になって油気体になり、油気濾過器(17)によって廃気体と潤滑油に気液分離される。潤滑油は、真空ポンプ(5)と油気濾過器(17)と潤滑油タンク(28)の間に循環する。
【0007】
図2は、本発明の生ゴミ真空乾燥機および真空装置(47)の概要図を示す。
本発明の生ゴミ真空乾燥機の処理工程は、従来の処理工程と同様なので、気液分離工程のみについて真空装置(47)の概要図を示す。
廃蒸気は気液分離器(2)によって放熱冷却され、廃気体と凝縮水に気液分離され、二つの流れになる。
一つ目の流れは凝縮水であり、凝縮水は気液分離器(2)の下部によって一定の量が貯留され、自動的に排出され、冷却タンク(3)の側面上部の排水入口(8)へ連結されて流入される。
二つ目の流れは廃気体であり、廃気体は気液分離器(2)から逆止弁(4)、真空ポンプ(5)を経て冷却タンク(3)の側面上部に油気入口(14)へ連結されて流入される。冷却タンク(3)の側面下部の油出口(15)は真空ポンプ(5)へ連結し、潤滑油を循環する。
二つの流れは、再び冷却タンク(3)に合流される。
冷却タンク(3)からの排出は、フタ(10)の排気口(11)より外気へ排気され、冷却タンク(3)の側面下部に排水出口A(9)より、下部の排水出口B(16)より外気へ排水される。
一つ目の疑縮水の目的は、1つは補給水を廃止してランニングコストを低下するための目的である。2つは臭気の廃気体を泡沫水によって洗浄して脱臭し、脱臭器および脱臭剤を不要にするための目的である。二つ目の廃気体の目的は、真空ポンプ(5)の中に凝縮水を入れないようにする目的である。
真空ポンプ(5)によって水蒸気を排気する場合、温度が下がると水蒸気は水になり、水と潤滑油が混合して油水混合体(エマルジョン)になり、真空ポンプ(5)の気密効率が悪くなり真空度が下がってくる。したがって、真空ポンプに水と油を分離することが必要になる。
潤滑油の温度は通常40℃以上になるので、廃蒸気が40℃以下であれば水に液化されることはない。生ゴミの廃蒸気は60〜70℃程度になるので、エアクリナー(22)から気液分離器(2)までの放熱によって10〜20℃程度の低下により凝縮水を分離することができる。さらに気液分離器(2)から真空ポンプ(5)までの放熱によって液化された水が潤滑油と混合することになるが、凝縮水の量は少ない。凝縮水の油水混合体(エマルジョン)はしだいに温度が下がるので冷却タンク(3)の下部に水は溜まってくる。
したがって、水蒸気を冷却するために、従来の凝縮器、冷却塔、水ポンプおよび気液分離器を使用する必要はない。
【0008】
図3は、本発明の例として、気液分離器の概要図を示す。
気液分離器(2)は、サイクロン(29)の下部に開閉弁A(30),ドレーンタンク(31)、水位計A(32)および開閉弁B(33)を設けている。
廃蒸気はサイクロン(29)によって廃気体と凝縮水に気液分離され、廃気体はサイクロン(29)の上部より逆止弁(4)へ連通している。
凝縮水はドレーンタンク(31)へ貯留されており、通常は、開閉弁A(30)は開、開閉弁B(33)は閉になっており、ドレーンタンク(31)内は常に減圧されている。
凝縮水が一定の量で貯留され満量になり、水位計A(32)が始動すると、開閉弁A(30)は閉、開閉弁B(33)は開になり、排水入口(8)へ自動的に流出される。
【0009】
図4は、本発明の例として、冷却タンクの概要図および構造を示す。
冷却タンク(3)の上部に泡沫水タンク(6)を、下部に油タンク(7)を合体して設ける。泡沫水タンク(6)の側面上部に排水入口(8)を、側面下部に排水出口A(9)を設け、気液分離器(2)から排水入口(8)へ凝縮水を連結し、排水出口A(9)より外気へ凝縮水を排出する。泡沫水タンク(6)の上部にフタ(10)を設け、フタ(10)に排気口(11)を設け、排気口(11)より外気へ排気する。
フタ(10)の下部に気液分離器(2)を設け、気液分離器(2)の下部に連通管B(34)、連通管A(35)および泡沫板(13)を設ける。泡沫板(13)は数枚のフランジ板に多くの細孔を設けている。
連通管B(34)の内部に連通管A(35)を挿入して隙間(36)を設け、連通管A(35)の下部に油気濾過器(17)を設ける。気液分離器(2)および油気濾過器(17)は網状筒の濾過器である。
油タンク(7)の上部に油水仕切板(18)を設け、油水仕切板(18)に油気濾過器(17)および連通管A(35)を挿入して、Oリング(37)で密封する。油水仕切板(18)の下部に油気濾過器(17)は突出しており、油気濾過器(17)の下方で、油気入口(14)の下部に整流板A(38)を設け、油出口(15)の下部に整流板B(39)を設けている。
油タンク(7)の側面上部に油気入口(14)を、側面下部に油出口(15)を設け、真空ポンプ(5)から油気入口(14)へ連結し、油出口(15)から真空ポンプ(5)へ連結する。油タンク(7)の下部に排水出口B(16)を設け、排水出口B(16)より外気へ排水を排出する。排水出口A(9)に開閉弁C(40)および水位計B(41)を設け、排水出口B(16)に開閉弁F(42)および水位計C(43)を設ける。
【0010】
冷却タンクの使用方法を説明する。
気液分離器(2)の開閉弁B(33)が開になり、凝縮水が排水入口(8)へ自動的に流出される。泡沫水タンク(6)と連通管A(35)と油水仕切板(18)が密封された器に構成されるので、凝縮水は泡沫水タンク(6)の中に貯留される。通常は開閉弁C(40)は閉になり、凝縮水が一定の量で貯留され満量になる。満量になると水位計B(41)が始動し、開閉弁C(40)は開になり、排水出口A(9)へ自動的に流出される。
真空ポンプ(5)の始動によって吸気によって逆止弁(4)を開になり、気液分離器(2)のサイクロン(29)より、廃気体は逆止弁(4)から真空ポンプ(5)へ到達される。気液分離器(2)から真空ポンプ(5)までの放熱によって廃気体と液化された凝縮水と潤滑油が混合され、油気入口(14)へ連通して油タンク(7)へ流出する。
廃気体と潤滑油と凝縮水の混合体は、油気濾過器(17)を通過して濾過され、再び廃気体と潤滑油と水が分離される。
濾過された潤滑油と凝縮水は 整流板A(38)によって整流されて油タンク(7)へ貯留される。凝縮水の油水混合体(エマルジョン)はしだいに温度が下がるので、整流板B(39)によって撹乱しないように、冷却タンク(3)の下部に、凝縮水は溜まってくる。
通常は開閉弁F(42)は閉になり、凝縮水が満量になると水位計C(43)が始動し、開閉弁F(42)は開になり、排水出口B(16)へ自動的に流出される
凝縮水の上に貯留された潤滑油は真空ポンプ(5)の吸気によって、油出口(15)から真空ポンプ(5)へ潤滑される。
油気濾過器(17)を通過した廃気体は、連通管A(35)から連通管B(34)を経て泡沫板(13)を通過する。この隙間(36)の間に廃気体と凝縮水が混合され、泡沫板(13)の細孔によって泡沫状に撹乱され、廃気体の臭気は凝縮水に溶解され洗浄され脱臭される。
脱臭された廃気体はまだ蒸気が残るので、気液濾過器(12)を通過して濾過し、廃気体は脱水され清浄な気体として、フタ(10)の排気口(11)より外気へ排気される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の生ゴミ真空乾燥機および真空装置の概要図を示す。
【図2】本発明の生ゴミ真空乾燥機および真空装置の概要図を示す。
【図3】本発明の例として、気液分離器の概要図を示す。
【図4】本発明の例として、冷却タンクの概要図および構造を示す。
【符号の説明】
【0012】
1. 乾燥槽 2. 気液分離器
3. 冷却タンク 4. 逆止弁
5. 真空ポンプ 6. 泡沫水タンク
7. 油タンク 8. 排水入口
9 排水出口A 10. フタ
11. 排気口 12. 気液濾過器
13. 泡沫板 14. 油気入口
15. 油出口 16. 排水出口B
17. 油気濾過器 18. 油水仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミ真空乾燥機の乾燥槽(1)を気液分離器(2)へ連結し、気液分離器A(2)より冷却タンク(3)および逆止弁(4)へ別に連結し、逆止弁(4)から真空ポンプ(5)を経て冷却タンク(3)へ気体を連結し、
冷却タンク(3)の上部に泡沫水タンク(6)を、下部に油タンク(7)を合体して設け、泡沫水タンク(6)の側面上部に排水入口(8)を、側面下部に排水出口A(9)を設け、気液分離器A(2)から排水入口(8)へ水を連結し、排水出口A(9)より外気へ水を排出し、
泡沫水タンク(6)の上部にフタ(10)を設け、フタ(10)に排気口(11)を設け、排気口(11)より外気へ排気し、フタ(10)の下部に気液濾過器(12)を設け、気液濾過器(12)の下部に泡沫板(13)を設け、
油タンク(7)の側面上部に油気入口(14)を、側面下部に油出口(15)を設け、真空ポンプ(5)から油気入口(14)へ油と気体と水を連結し、
油出口(15)から真空ポンプ(5)へ油を連結し、油タンク(7)の下部に排水出口B(16)を設け、排水出口B(16)より外気へ水を排出し、
油タンク(7)の内上部に油気濾過器(17)を設け、油気濾過器(17)の上部に油水仕切板(18)を設け、
油水仕切板(18)に泡沫水タンク(6)から油タンク(7)へ気体を連通し、かつ水を遮断する手段を設けるように構成したことを特徴とする生ゴミ真空乾燥機の真空装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−190536(P2007−190536A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37171(P2006−37171)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(398046688)
【Fターム(参考)】