説明

生体情報を用いた個人認証システム

【課題】既存の構成装置のみを用いて二次照合を行えるようにして、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現する。
【解決手段】登録用生体情報入力部10を用いて入力された情報から照合用データを得て登録する登録装置2と、認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について登録装置2により予め登録されている照合用データを用いて照合・判定する認証装置3とをそなえ、登録装置2が、登録用生体情報入力部10により採取された登録者の生体情報から生体特徴データを抽出し生体特徴データを一次照合用登録生体特徴データとして登録する第1抽出部11と、登録用生体情報入力部10を用いて入力された情報から一次照合用登録生体特徴データとは異なるデータを抽出しそのデータを二次照合用登録データとして登録する第2抽出部14とをそなえて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば指紋,掌紋,指形,掌形,音声,網膜,虹彩,顔画像,動的署名,血管パターン,キーストローク等の生体情報を用いて個人の認証を行なうシステムおよび方法、並びに、同システム用登録装置,認証装置およびパターン情報入力媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータが広範な社会システムの中に導入されるに伴い、セキュリティに関心が集まっている。従来、コンピュータ室への入室や端末利用の際の本人確認手段として、IDカードやパスワードが用いられてきた。しかし、それらはセキュリティの面で多くの課題が残されている。
パスワードよりも信頼性の高い本人確認手段として、例えば、指紋,掌紋,指形,掌形,音声,網膜,虹彩,顔画像,動的署名,血管パターン,キーストローク等の生体情報(バイオメトリクス情報)を利用した個人認証技術が注目されている。個人固有の生体情報を用いて本人確認をすると、その信頼性は非常に高いものとなる。
【0003】
このような生体情報を用いた個人認証システムにおいては、そのシステムで認証されるべき各個人の生体情報を採取し、その生体情報から特徴データを抽出し登録特徴データとして認証対象の個人毎に予め登録しておく。そして、個人認証を行なうべく生体情報を照合する際には、認証対象者の生体情報を採取し、その生体情報から認証対象特徴データを抽出し、その認証対象者について予め登録されている登録特徴データと前記認証対象特徴データとを比較・照合してこれらの特徴データの一致率を算出する。登録特徴データと認証対象特徴データとの一致率が所定値以上であれば(もしくは所定値を超えれば)、認証対象者は登録者本人であると判断される。
【0004】
次に、本人確認に利用できる生体情報の一つである、指紋を用いた個人認証について簡単に説明する。指紋は、「万人不同」,「終生不変」という二大特徴をもつと言われ、本人確認の有力な手段と考えられている。近年では、指紋を用いた個人認証システムに関して多くの研究開発が行なわれている。
指紋とは、人間の指先における細かな凹凸である。その凸部の連なりを隆線という。隆線は、人によって固有な、様々な紋様を形成している。隆線をたどっていくと、二つに分かれる点(分岐点)や、行き止まりの点(端点)にぶつかる。これらの分岐点や端点の分布は、人により全く異なるため、指紋の特徴点と呼ばれる。このような特徴点の分布状態の照合は、個人を特定するための有力な手段として用いられている。
【0005】
このような指紋を生体情報として用いて個人認証を行なう際、特徴データとしては、上述した特徴点の位置(座標),種類,方向のほか、指紋隆線の交差点座標,指紋中心座標,指紋三角州座標,指紋隆線方向,特徴点間の距離,指紋特徴点間の隆線本数などが抽出される。
指紋を用いて個人認証を行なうシステムにおいては、各個人の指紋特徴データを予め登録しておく。つまり、そのシステムの利用者(個人)は、所定の装置により指紋画像データを入力し、その指紋画像データから特徴データを抽出して登録特徴データとして登録しておく。
【0006】
そして、照合時に指紋スキャナによって認証対象者の指紋画像データが採取入力されると、その指紋画像データから認証対象特徴データを抽出し、その認証対象特徴データを、認証対象者について予め登録されている登録特徴データと照合し、その一致率が所定値以上であれば、その認証対象者が本人であると判断している。
一般に、指紋紋様は、指を特殊な光学系に接触させて得られる像をCCDカメラで撮影したり、静電容量センサで皮膚の隆起部分のみを検出したりして、指紋画像の形で採取されているが、その時々の指の状態によって、かすれた指紋画像や、汗で隆線が癒着した指紋画像など、明瞭に指紋が写っていない画像が得られると、照合時に所定の一致率をクリアすることができず、認証対象者を本人と認識できない場合がある。
【0007】
その他にも、生体情報を用いた個人認証システムでは、予期せぬ要因により、所定の一致率をクリアできなくなることが多々考えられる。その要因としては、例えば、指紋を用いた個人認証の場合、怪我に伴う変形のほか、冬季の指の乾燥や荒れ等が考えられ、顔や虹彩を用いた個人認証の場合、怪我や病気に伴う変形などが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の生体情報による個人認証技術では、どのような要因であれ、所定の一致率をクリアできず個人認証に失敗した場合は、本人ではないとして処理を完了するか、もしくは、救済措置として、パスワード入力等による二次的な個人認証を行なうという手段を用いるかしている。後者の手段を用いる場合には、予め指紋照合用の装置には、テンキー,キーボード等のパスワード入力用のデバイスをそなえておき、そのデバイスから、認証対象者が予め登録しておいたパスワードを入力することになる。
【0009】
生体情報の入力ミスなどで認証に失敗した場合であれば、再度同一の生体情報を入力することで再照合を行ない、正常に認証できる場合もあるが、怪我などの要因により所定の一致率を超えることが不可能となった場合、救済措置をもたないシステムでは、認証対象者が本人であると認証きなくなってしまう。
また、パスワード入力による救済措置を採用した場合、キーボード入力の煩わしさを省くという、生体情報を用いた個人認証の利点を損なうことになってしまほか、テンキーやキーボード等のデバイスをそなえなければならず、システムの複雑化や高コスト化を招くことになるなどの課題もある。
【0010】
さらに、個人認証に失敗した場合には認証失敗時とは異なる生体情報を得て個人認証を行なう(例えば、指紋を用いた個人認証に失敗した場合に顔や虹彩を用いた個人認証を行なう)ことも考えられるが、この方式を実現するためには、複数種類の生体情報入力装置を、登録装置や認証装置のそれぞれにおいてそなえておかなければならない。つまり、最初の照合(一次照合)で使用した生体情報入力装置(例えば指紋スキャナ)以外に、異なる種類の生体情報入力装置(例えば顔や虹彩を画像データとして採取する装置)が必要になり、システムの複雑化や高コスト化を招くことになる。
【0011】
一方、通常、生体情報を用いた個人認証システムにおいては、前述のごとく、利用者は登録特徴データを予め登録しておかなければならない。例えば生体情報として指紋を用いる場合、その登録時に指紋画像データを入力することになる。しかし、冬季の指の乾燥や荒れ等のために指紋の状態が不安定な人や、怪我等により最初から指紋の採取が不可能な人については、登録を行なうことができず、ひいては個人認証を行なうことができない場合があり、このような状況での救済措置も必要になっている。
【0012】
そのために、パスワード入力による救済措置を採用すると、前述のごとく、テンキーやキーボード等のデバイスをそなえなければならずシステムの複雑化や高コスト化を招くことになる。また、登録できなかった生体情報とは異なる種類の生体情報から登録特徴データを抽出して登録する(例えば指紋による登録を行なえない場合に顔や虹彩による登録を行なう)ことも考えられるが、この方式を実現するためには、前述したように、複数種類の生体情報入力装置をそなえなければならず、やはり、システムの複雑化や高コスト化を招くことになる。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、一次照合時に登録時の生体情報(登録特徴データ)と照合時の生体情報(認証対象特徴データ)との一致率が予期せぬ要因により低下して本人認証を行なえなくなった場合や、登録時における所定の生体部位の状況によって生体情報(登録特徴データ)の登録を行なえない場合に、既存の構成装置のみを用いて二次照合を行えるようにして、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現した、生体情報を用いた個人認証システムおよび方法、並びに、同システム用登録装置,認証装置およびパターン情報入力媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の生体情報を用いた個人認証システムは、登録者の生体情報を採取するための登録用生体情報入力部を有し該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から照合用データを得て登録する登録装置と、認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について該登録装置により予め登録されている該照合用データを用いて照合・判定する認証装置とをそなえ、該登録装置が、該登録用生体情報入力部により採取された該登録者の生体情報から生体特徴データを抽出し該生体特徴データを一次照合用登録生体特徴データとして登録する第1抽出部と、該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から前記一次照合用登録生体特徴データとは異なるデータを抽出し該データを二次照合用登録データとして登録する第2抽出部とをそなえて構成されていることを特徴としている。
【0015】
ここで、該登録装置が、該第1抽出部により抽出された該一次照合用登録生体特徴データの状態を判定する状態判定部をそなえ、該状態判定部による判定結果に応じて該第2抽出部による抽出・登録を実行するように構成してもよい。
また、該認証装置を、認証対象者の生体情報を採取するための認証用生体情報入力部と、該認証用生体情報入力部により採取された該認証対象者の生体情報から認証対象生体特徴データを抽出する第3抽出部と、該第3抽出部により抽出された該認証対象生体特徴データと該認証対象者について該登録装置により予め登録されている該一次照合用登録生体特徴データとを照合する一次照合部と、該一次照合部による照合結果に基づいて二次照合の必要性を判定する二次照合移行判定部と、該二次照合移行判定部により該二次照合を行なう必要があると判定された場合にこれに応じ該認証用生体情報入力部を用いて入力された情報から該二次照合用登録データに対応する認証対象データを抽出する第4抽出部と、該第4抽出部により抽出された該認証対象データと該認証対象者について該登録装置により予め登録されている該二次照合用登録データとを照合する二次照合部と、該一次照合部または該二次照合部による照合結果に基づいて該認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部とをそなえて構成してもよい。
【0016】
このような認証装置に、さらに、該二次照合移行判定部により該二次照合を行なう必要があると判定された場合、該認証対象者に対し、該認証用生体情報入力部を用いて、該二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す指示部をそなえてもよいし、該二次照合部による照合を行なうか否かを任意に設定する二次照合移行設定部をそなえてもよいし、登録者毎に、該二次照合部による照合を行なうか否かについての情報を個人情報として予め設定する個人情報設定部をそなえてもよい。
【0017】
そして、該二次照合用登録データを、一次照合時の生体情報と同一種別であるが、該一次照合時に生体情報を採取する部位とは異なる部位について採取された生体情報から抽出された生体特徴データとしてもよい。このとき、該生体情報を指紋画像データとし、該二次照合用登録データを、該一次照合用登録生体特徴データを得た指とは異なる1本以上の指の指紋画像データから抽出された生体特徴データとしてもよい。
【0018】
また、該二次照合用登録データを、一次照合時の生体情報と同一種別であり、同一部位もしくは異なる部位について採取された生体情報から抽出された、該一次照合時の生体特徴データとは異なる種別の生体特徴データとしてもよい。このとき、該生体情報を指紋画像データとし、該二次照合用登録データを、該一次照合用登録生体特徴データを得た指と同一の指もしくは異なる1本以上の指の指紋画像データから抽出された、該一次照合時の生体特徴データとは異なる種別の生体特徴データとしてもよい。
【0019】
さらに、該二次照合用登録データを、該登録用生体情報入力部を用いて該登録者により意図的に入力された生体外特徴データとしてもよい。このとき、生体外特徴データとしては、下記項目(1)〜(6)に記述するようなものを用いることができる。なお、項目(2)〜(6)では、生体情報が所定の生体部位の画像データである。
(1)該登録者により決められたパターンを有する時系列データ。
【0020】
(2)該登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、画像入力面内における該所定の生体部位の入力角度。
(3)該登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、画像入力面内における該所定の生体部位の接触位置。
(4)登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、画像入力面に対する接触軌跡情報。
【0021】
(5)該登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、画像入力面での接触パターン。このとき、接触パターンを、該登録者によって所有・携帯されうるパターン情報入力媒体により形成し、そのパターン情報入力媒体を、該登録用生体情報入力部の画像入力面に接触して該接触パターンを形成する接触部を有するものとして構成してもよく、さらに、該接触パターンとして、時系列的に変化するパターンを該接触部により形成してもよい。
【0022】
(6)該登録用生体情報入力部の画像入力面での複数の異なる接触パターンもしくは複数の異なる接触点の位置のそれぞれに対応した文字データを予め設定しておいた場合に、該登録用生体情報入力部により画像データとして検知された該接触パターンもしくは該接触点の位置に対応する文字データを、該生体外特徴データとする。このとき、その生体外特徴データを、時系列的に連続入力される文字データ列としてもよいし、該登録装置および該認識装置において、該生体情報入力部に着脱自在に設置され、キー操作に応じて該生体情報入力部の画像入力面に接触することにより該接触パターンもしくは該接触点を形成しうるキーボード部と、該キーボード部のキー操作に応じて形成された該接触パターンもしくは該接触点の位置を、対応する文字データに変換して出力するキーボード情報抽出部とをそなえてもよい。
【0023】
一方、本発明の関連技術としての生体情報を用いた個人認証方法は、登録用生体情報入力部により登録者の生体情報を採取し、その生体情報から抽出された生体特徴データを一次照合用生体登録特徴データとして登録するとともに、該登録用生体情報入力部を用い前記一次照合用登録生体特徴データとは異なる二次照合用登録データを入力して登録する登録ステップと、認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について予め登録されている該一次照合用登録生体特徴データまたは該二次照合用登録データを用いて照合・判定する認証ステップとを含むことを特徴としている。
【0024】
このとき、該認証ステップにおいて、認証用生体情報入力部により該認証対象者の生体情報を採取し、その生体情報から抽出された認証対象生体特徴データと該認証対象者について予め登録されている該一次照合用登録生体特徴データとを照合し、その照合結果に基づいて二次照合の必要性を判定し、該二次照合を行なう必要がある場合、該認証対象者に、該認証用生体情報入力部を用いて、該二次照合用登録データに対応する認証対象データを入力させ、その認証対象データと該認証対象者について予め登録されている該二次照合用登録データとを照合し、その照合結果に基づいて該認証対象者が本人であるか否かを判定してもよい。
【0025】
また、本発明の関連技術としての生体情報を用いた個人認証システム用登録装置は、生体情報を用いて個人の認証を行なうシステムにおいて、登録者の生体情報を採取するための登録用生体情報入力部を有し、該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から、照合用データを得て登録するものであって、上述したものと同様の第1抽出部および第2抽出部をそなえて構成されていることを特徴としている。このとき、上述したものと同様の状態判定部をそなえ、この状態判定部による判定結果に応じて該第2抽出部による抽出・登録を実行してもよい。
【0026】
さらに、本発明の関連技術としての生体情報を用いた個人認証システム用認証装置は、生体情報を用いて個人の認証を行なうシステムにおいて、認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について予め登録されている照合用データを用いて照合・判定するものであって、上述したものと同様の認証用生体情報入力部,第3抽出部,一次照合部,二次照合移行判定部,第4抽出部,二次照合部および本人判定部をそなえて構成されていることを特徴としている。このとき、上述したものと同様の指示部をそなえてもよい。
【0027】
またさらに、本発明の関連技術としての生体情報を用いた個人認証システム用パターン情報入力媒体は、生体情報を用いて個人の認証を行なうべく該生体情報を画像データとして採取するための生体情報入力部をそなえたシステムにおいて、該生体情報入力部に装着され、該生体情報の代わりに該生体情報入力部によって検知されるべき所有者固有の接触パターンを、該生体情報入力部の画像入力面に接触して形成する接触部を有し、該所有者によって携帯されるように構成されていることを特徴としている。このとき、該接触パターンとして、該接触部が時系列的に変化するパターンを形成するように構成してもよい。
【0028】
上述した本発明においては、通常の照合時(一次照合時)に参照される生体特徴データを登録する際に、その生体特徴データとは異なる、生体にかかるデータには限らない二次照合用登録データが、登録用生体情報入力部を用いて登録される。このとき、一次照合用登録生体特徴データの登録時にも二次照合用登録データの登録時にも、同一の登録用生体情報入力部が用いられる。そして、このように登録された一次照合用登録生体特徴データまたは二次照合用登録データを用いて、認証対象者の本人確認(個人認証)が行なうことができる。
【0029】
従って、一次照合時に登録時の生体情報(登録特徴データ)と照合時の生体情報(認証対象特徴データ)との一致率が予期せぬ要因により低下して本人認証を行なえなくなった場合に、既存の構成装置のみを用いて、つまり、新たに装置を付加することなく、二次照合用登録データを用いた二次照合を行なうことが可能になり、登録後に何らかの要因により一次照合による認証が不可能になった利用者を救済することができる。
【0030】
また、登録時には、一次照合用登録生体特徴データの状態を判定し、その判定結果に応じて二次照合用登録の抽出・登録を実行することで、その判定により、一次照合にかかる生体の状態が不安定な人や一次照合用登録生体特徴データを最初から採取不可能な人を認識することができ、そのような人について、予め救済措置として二次照合用登録データが登録される。生体の状態が不安定な人は、一次照合用登録生体特徴データを用いて実際の個人認証を行なった場合、認証に失敗する可能性が高い。従って、二次照合用登録データを登録しておくことにより、認証時に、一次照合による認証に失敗しても二次照合用登録データを用いた二次照合を行なうことができ、既存の構成装置のみを用いて、つまり、新たに装置を付加することなく、生体の状態が不安定な利用者や一次照合用登録生体特徴データを採取不可能な利用者を救済することができる。
【0031】
さらに、認証時には、一次照合の結果に基づいて二次照合を行なう必要があるか否かが判定され、二次照合を行なう必要がある場合、認証対象者は、認証用生体情報入力部を用いて、二次照合用登録データに対応する認証対象データを入力する。当然、認証用生体情報入力部は登録用生体情報入力部と同一種別のデバイス(即ち、同一種別の生体情報を採取するデバイス)であり、これらの認証用生体情報入力部と登録用生体情報入力部とを共通化することも可能である。そして、二次照合の結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かが判定される。
【0032】
従って、認証時に、一次照合による認証に失敗しても二次照合用登録データを用いた二次照合が行なわれるので、既存の構成装置のみを用いて、登録後に何らかの要因により一次照合による認証が不可能になった利用者や、生体の状態が不安定な利用者や、一次照合用登録生体特徴データを採取不可能な利用者を救済することができる。
また、認証装置において、二次照合を行なう必要がある場合、指示部が、認証対象者に対し、認証用生体情報入力部を用いて認証対象データを入力するように促すので、認証対象者は、その指示に従って、二次照合用の認証対象データを入力するための操作へ円滑に移行することができる。
【0033】
さらに、認証装置においては、二次照合移行設定部により二次照合を行なうか否かを任意に設定することができるほか、個人情報設定部により二次照合を行なうべき登録者を個々に設定することができるので、一次照合から二次照合へ移行するか否かを、任意にもしくは登録者毎に制御することができる。
そして、二次照合用登録データとして、一次照合時とは異なる部位の生体情報から抽出された生体特徴データ、より具体的には、一次照合時の指とは異なる指の指紋画像データから抽出された生体特徴データを用いることにより、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの生体情報入力部から入力することできる。
【0034】
このとき、一次照合および二次照合が、いずれも、同一種別の生体特徴データを用いて実行されるので、一次照合および二次照合のそれぞれについて抽出アルゴリズムや照合アルゴリズムを準備する必要がなくなる。従って、登録装置において、第1抽出部と第2抽出部とを共通化・一体化することができるほか、認識装置においては、第3抽出部と第4抽出部とを共通化・一体化することができるとともに、一次照合部と二次照合部とを共通化・一体化することもできる。
【0035】
また、二次照合用登録データとして、一次照合時と同一種別の生体情報から抽出された、一次照合時とは異なる種別の生体特徴データ、より具体的には、一次照合時と同一の指もしくは異なる指の指紋画像データから抽出された、一次照合時とは異なる種別の生体特徴データを用いることにより、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの生体情報入力部から入力することができる。
【0036】
さらに、二次照合用登録データとして、登録用生体情報入力部を用いて入力される生体外特徴データを採用することにより、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの生体情報入力部から入力することができる。つまり、生体情報入力部を、一次照合用の生体特徴データを入力するためのデバイス、および、生体外特徴データ(意図的なパターンを有する種々のデータ)を入力するためのデバイスとして兼用することができる。
【0037】
このとき、生体外特徴データが、登録者により決められたパターンを有する時系列データである場合、登録時には、登録者が登録用生体情報入力部に対してタッピング等により時系列データを入力すると、その時系列データが、登録用生体情報入力部によって採取された情報から、第2抽出部によって抽出され二次照合用登録データとして登録される。一方、二次照合時には、認証対象者が認証用生体情報入力部に対してタッピング等により時系列データを入力すると、その時系列データが、認証用生体情報入力部によって採取された情報から、第4抽出部によって二次照合用登録データに対応した認証対象データとして抽出される。
【0038】
生体外特徴データが生体部位の入力角度である場合、登録者は、画像入力面内における生体部位の入力角度(例えば基準方向に対する指の配置角度)について独自のものを予め決めておく。そして、登録時には、登録者が登録用生体情報入力部の画像入力面内において独自の入力角度で生体部位を配置した状態で、その生体部位の画像データが登録用生体情報入力部によって採取され、その画像データから第2抽出部によって入力角度が抽出され二次照合用登録データとして登録される。一方、二次照合時には、認証対象者が認証用生体情報入力部の画像入力画面内において独自の入力角度で生体部位を配置した状態で、その生体部位の画像データが認証用生体情報入力部によって採取され、生体部位の入力角度が、第4抽出部によって、二次照合用登録データに対応した認証対象データとして前記画像データから抽出される。
【0039】
生体外特徴データが生体部位の接触位置である場合、登録者は、画像入力面内における生体部位の接触位置について独自のものを予め決めておく。そして、登録時には、登録者が登録用生体情報入力部の画像入力面内における独自の位置に生体部位を接触させた状態で、その生体部位の画像データが登録用生体情報入力部によって採取され、その画像データから第2抽出部によって接触位置が抽出され二次照合用登録データとして登録される。一方、二次照合時には、認証対象者が認証用生体情報入力部の画像入力画面内において独自の位置で生体部位を接触させた状態で、その生体部位の画像データが認証用生体情報入力部によって採取され、生体部位の接触位置が、第4抽出部によって、二次照合用登録データに対応した認証対象データとして前記画像データから抽出される。
【0040】
生体外特徴データが接触軌跡情報である場合、登録者は、画像入力面に対して記入すべきパターンについて独自のもの(例えばサイン)を予め決めておく。そして、登録時には、登録者が、独自のパターンを、登録用生体情報入力部の画像入力面に指やペン状器具等を接触させながら描いて記入すると、そのパターンが登録用生体情報入力部によって画像データとして採取され、その画像データから第2抽出部によって接触軌跡情報が抽出され二次照合用登録データとして登録される。一方、二次照合時には、認証対象者が、独自のパターンを、認証用生体情報入力部の画像入力面に指やペン状器具等を接触させながら描いて記入すると、そのパターンが認証用生体情報入力部によって画像データとして採取され、接触軌跡情報が、第4抽出部によって、二次照合用登録データに対応した認証対象データとして前記画像データから抽出される。
【0041】
生体外特徴データが、生体情報入力部の画像入力面での接触パターンである場合、登録者は、画像入力面に対する接触パターンについて独自のものを予め決めておく。そして、登録時には、登録者が、独自の接触パターンを登録用生体情報入力部の画像入力面に形成すると、その接触パターンが登録用生体情報入力部によって画像データとして採取され、その画像データから第2抽出部によって接触パターンが抽出され二次照合用登録データとして登録される。一方、二次照合時には、認証対象者が、独自の接触パターンを、認証用生体情報入力部の画像入力面に形成すると、その接触パターンが、認証用生体情報入力部によって画像データとして採取され、第4抽出部によって、二次照合用登録データに対応した認証対象データとして前記画像データから抽出される。
【0042】
このとき、接触パターンを入力するために、利用者によって所有・携帯されるパターン情報入力媒体を用いることにより、利用者(所有者)固有の接触パターンを、常に一定の状態で確実に生体情報入力部の画像入力面に形成することができる。
生体外特徴データが、生体情報入力部により画像データとして検知された接触パターンもしくは接触点の位置に対応する文字データである場合、登録者は、暗証番号やパスワード等と等価な、独自の文字データもしくは文字データ列を予め決めておく。そして、登録時には、登録者が、登録用生体情報入力部の画像入力面において、独自の文字データもしくは文字データ列に対応した接触パターンを形成するか、その文字データもしくは文字データ列に対応した位置に接触点を形成すると、その接触パターンまたは接触点が登録用生体情報入力部によって画像データとして採取され、その画像データから第2抽出部によって文字データもしくは文字データ列が抽出され二次照合用登録データとして登録される。一方、二次照合時には、認証対象者が、認証用生体情報入力部の画像入力面において、独自の文字データもしくは文字データ列に対応した接触パターンを形成するか、その文字データもしくは文字データ列に対応した位置に接触点を形成すると、その接触パターンまたは接触点が認証用生体情報入力部によって画像データとして採取され、文字データもしくは文字データ列が、第4抽出部によって、二次照合用登録データに対応した認証対象データとして前記画像データから抽出される。これにより、生体情報入力部をキーボードやテンキーとして機能させることができる。
【0043】
このとき、利用者が決めた文字データや文字データ列に対応した接触パターンや接触点を画像入力面に形成するために、生体情報入力部に着脱自在に設置されるキーボード部を用い、このキーボード部による入力をキーボード情報抽出部により文字データに変換することで、生体情報入力部をキーボードやテンキーとして機能させることができ、利用者は、キーボード部を用いて生体情報入力部から文字データや文字データ列を容易に入力することができる。ここで、キーボード情報抽出部としての機能は、実際には第2抽出部や第4抽出部によってソフトウェアとして実現されるものであり、ハードウェアとして追加されるべきものは、画像入力面に装着されるキーボード部のみである。
【発明の効果】
【0044】
このように、本発明によれば、以下のような効果ないし利点が得られる。
(1)二次照合用登録データ(個人識別情報)を登録しておくことにより、認証時に、一次照合による認証に失敗しても二次照合用登録データを用いた二次照合を行なわれ、既存の構成装置のみを用いて、つまり、新たに装置を付加することなく、登録後に何らかの要因により一次照合による認証が不可能になった利用者や、生体の状態が不安定な利用者や、一次照合用登録生体特徴データを採取不可能な利用者を救済することが可能になる。従って、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現することができる。
【0045】
(2)二次照合を行なう必要がある場合、認証用生体情報入力部を用いて認証対象データを入力するように認証対象者に対して指示されるので、認証対象者は、その指示に従って、二次照合用の認証対象データを入力するための操作へ円滑かつ確実に移行することができる。
(3)一次照合から二次照合へ移行するか否かを任意もしくは登録者毎に設定可能であるので、システム使用環境に応じて、または、システム管理者や登録者の要望に応じて、二次照合の実行/非実行を制御することができる。
【0046】
(4)一次照合および二次照合が、いずれも、同一種別の生体特徴データを用いて実行されるので、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの生体情報入力部から入力することできるほか、一次照合および二次照合のそれぞれについて抽出アルゴリズムや照合アルゴリズムを準備する必要がなくなる。従って、既存のハードウェアやソフトウェアをそのまま用いながら一次照合および二次照合の両方を実行することができる。
【0047】
(5)二次照合時に、一次照合時と同一種別の生体情報から抽出された、一次照合時とは異なる種別の生体特徴データを用いることにより、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの生体情報入力部から入力することができるので、新たな装置を何ら付加することなく、一次照合および二次照合の両方を実行することができる。
【0048】
(6)二次照合用登録データとして、登録用生体情報入力部を用いて入力される生体外特徴データを採用することにより、生体情報入力部を、一次照合用の生体特徴データを入力するためのデバイス、および、生体外特徴データ(意図的なパターンを有する種々のデータ)を入力するためのデバイスとして兼用することができる。従って、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの生体情報入力部から入力することができ、新たな装置を何ら付加することなく、一次照合および二次照合の両方を実行することができる。
【0049】
(7)パターン情報入力媒体は、所有者によって携帯され、所有者固有の接触パターンを生体情報入力部の画像入力面に常に一定の状態で確実に形成することのできるものであり、生体情報入力部と連携して一般的な印鑑と同様の機能を果たすことになる。従って、その所有者固有の接触パターンを二次照合用登録データとして予め登録しておけば、二次照合に際して、認証対象者は、一般的な印鑑を用紙上に押印する要領でパターン情報入力媒体を画像入力面に対して装着すれば、二次照合用のデータを個人認証システムに入力することができ、この個人認証システム側では既存の構成装置のみを用いて、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現することができる。
【0050】
(8)生体情報入力部を用いて文字データや文字データ列を入力することが可能になり、キーボードやテンキーそのものをそなえることなく、生体情報入力部をキーボードやテンキーとして機能させることができる。従って、暗証番号やパスワード等と等価な文字データや文字データ列を予め登録しておけば、二次照合に際して、認証対象者は、暗証番号やパスワードをキーボードやテンキーから入力する要領で、画像入力面から二次照合用の文字データや文字データ列を個人認証システムに入力することができ、この個人認証システム側では既存の構成装置を用いて、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態としての生体情報を用いた個人認証システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての生体情報を用いた個人認証システム用登録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の登録装置による登録手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態としての生体情報を用いた個人認証システム用認証装置の基本構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態の認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施形態における認証装置の具体的な構成の第1例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】図6に示す認証装置による認証手順の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施形態における認証装置の具体的な構成の第2例を示すブロック図である。
【図10】図9に示す認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】(A)〜(H)は、それぞれ、指紋の紋様種別を説明すべく指紋の具体例を示す図である。
【図12】本実施形態における認証装置の具体的な構成の第3例を示すブロック図である。
【図13】図12に示す認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図14】本実施形態における認証装置の具体的な構成の第4例を示すブロック図である。
【図15】図14に示す認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図16】本実施形態における認証装置の具体的な構成の第5例を示すブロック図である。
【図17】図16に示す認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図18】本実施形態における認証装置の具体的な構成の第6例を示すブロック図である。
【図19】図18に示す認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図20】本実施形態で用いられる電子印鑑(パターン情報入力媒体)の一例の構成を示す縦断面図である。
【図21】(A),(B)はいずれも図20に示す電子印鑑の動作を説明するためのもので、(A)はその電子印鑑の動作状態を示す縦断面図、(B)は指紋入力面上の接触パターンの一例を示す平面図である。
【図22】(A),(B)はいずれも図20に示す電子印鑑の動作を説明するためのもので、(A)はその電子印鑑の動作状態を示す縦断面図、(B)は指紋入力面上の接触パターンの他例を示す平面図である。
【図23】本実施形態で用いられる電子印鑑(パターン情報入力媒体)の他例の構成を示す縦断面図である。
【図24】(A),(B)はいずれも図23に示す電子印鑑の動作を説明するためのもので、(A)はその電子印鑑の動作状態を示す縦断面図、(B)は指紋入力面上の接触パターンの一例を示す平面図である。
【図25】本実施形態における認証装置の具体的な構成の第7例を示すブロック図である。
【図26】図25に示す認証装置による認証手順を説明するためのフローチャートである。
【図27】(A),(B)はいずれも本実施形態で用いられる簡易型キーボードの一例の構成を示すもので、(A)はその縦断面図、(B)はその平面図である。
【図28】(A),(B)はいずれも図27に示す簡易型キーボードの動作を説明するためのもので、(A)はその簡易型キーボードの動作状態を示す縦断面図、(B)は指紋入力面上の入力パターンの一例を示す平面図である。
【図29】(A),(B)はいずれも本実施形態で用いられる簡易型キーボードの他例の構成を示すもので、(A)はその縦断面図、(B)はその平面図である。
【図30】(A),(B)はいずれも図29に示す簡易型キーボードの動作を説明するためのもので、(A)はその簡易型キーボードの動作状態を示す縦断面図、(B)は指紋入力面上の入力パターンの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態としての生体情報を用いた個人認証システムの構成を示すブロック図であり、この図1に示すように、本実施形態の個人認証システム1は、生体情報(例えば、指紋,掌紋,指形,掌形,音声,網膜,虹彩,顔画像,動的署名,血管パターン,キーストローク等)を用いて個人の認証を行なうべく、登録装置2,認証装置3(3A〜3G),通信ネットワーク4,一次照合用データ格納部5(5A)および二次照合用データ格納部6(6A〜6G)をそなえて構成されている。
【0053】
登録装置2は、登録者(利用者)の生体情報を採取するための情報入力部10(図2参照)を有し、この情報入力部10を用いて入力された情報から照合用データを得て、一次照合用データ格納部5(5A)もしくは二次照合用データ格納部6(6A〜6G)に登録するもので、図2を参照しながら後述するごとく構成されている。
認証装置3(3A〜3G)は、認証対象者(利用者)が本人であるか否かを、その認証対象者について登録装置2によって一次照合用データ格納部5(5A)や二次照合用データ格納部6(6A〜6G)に予め登録された照合用データを用いて、照合・判定するもので、図3を参照しながら後述するごとく構成されている。
【0054】
そして、これらの登録装置2および複数の認証装置3(3A〜3G)は、インターネット,イントラネット等の通信ネットワーク4を介して相互に通信可能に接続されており、各認証装置3(3A〜3G)は、通信ネットワーク4を介して登録装置2の配下にあるデータ格納部5(5A)や6(6A〜6G)にアクセスすることにより、これらのデータ格納部5(5A)や6(6A〜6G)に登録された照合用データを参照することができるようになっている。
【0055】
なお、登録装置2は、図1や図2に示すごとく、直接的にデータ格納部5(5A)や6(6A〜6G)に照合用データの登録を行なっているが、通信ネットワーク等を介して接続されるデータ格納部に、照合用データを登録するように構成してもよい。また、認証装置3(3A〜3G)は、図1に示す例では、通信ネットワーク4を介してデータ格納部5(5A)や6(6A〜6G)に接続されているが、図3,図6,図9,図12,図14,図16,図18,図25に示すごとく、データ格納部5(5A)や6(6A〜6G)に直接的に接続されていてもよい。
【0056】
図2は、本実施形態の個人認証システム1における登録装置2の構成を示すブロック図であり、この図2に示すように、登録装置2は、情報入力部10,一次照合用生体特徴データ抽出部11,一次照合部12,一次照合判定部13および二次照合用特徴データ抽出部14をそなえて構成されている。
ここで、情報入力部(登録用生体情報入力部)10は、登録者(利用者)の生体情報を採取するもので、具体的には、既に一般的に用いられる指紋スキャナ等である。この情報入力部10によって採取される生体情報の種別としては、例えば、指紋,掌紋,指形,掌形,網膜,虹彩,顔画像,血管パターンなどの画像データや、動的署名,音声,キーストロークなどの時系列データが挙げられ、これらのうちのいずれか一つが情報入力部10によって採取されるようになっている。
【0057】
また、本実施形態の情報入力部10は、登録者の生体情報を一次照合用のデータとして採取するだけでなく、後述するごとく、一次照合用のデータとは異なる二次照合用のデータを入力するためにも用いられる。さらに、情報入力部10には、後述する指示部10aが付設されている。
一次照合用生体特徴データ抽出部(第1抽出部)11は、情報入力部10により採取された登録者(利用者)の生体情報から生体特徴データを抽出・作成し、その生体特徴データを一次照合用登録生体特徴データとして一次照合用データ格納部5(5A)に登録するものである。
【0058】
一次照合部12および一次照合判定部13は、抽出部11によって抽出された一次照合用登録生体特徴データの状態を判定する状態判定部として機能するものであり、その判定結果に応じて、二次照合用特徴データ抽出部14による抽出・登録を実行するか否かが決定されるようになっている。
情報入力部10における指示部10aは、二次照合用のデータを登録する必要がある場合に、登録者に対し、情報入力部10から二次照合用のデータを入力するように促すものである。この指示部10aとしては、例えば、LED等の発光素子、あるいは、ブザー音等を発生するスピーカ、あるいは、LCD等の表示器が用いられる。
【0059】
ここで、一次照合部12は、登録装置2内において、認証装置3(3A〜3G)の一次照合部22(後述)と同様の機能を果たすもので、個人認証に際して実行されるものと同様の一次照合を行なうものである。
つまり、本実施形態の登録装置2では、登録された一次照合用登録生体特徴データが実際の照合時に本人と認証するのに充分な照合結果を得られるものであるか否かを判定するために、登録者に、再度、同じ生体情報を入力させて、後述するような検査照合を行なっている。その際、前述した指示部10aを、登録者に、再度同じ生体情報を入力するように促すために用いてもよい。
【0060】
このとき、一次照合用生体特徴データ抽出部11は、再入力された生体情報から検査照合用の生体特徴データを、再度、抽出・作成するように動作し、一次照合部12は、抽出部11によって再度得られた生体特徴データと、前回、一次照合用データ格納部5に登録された生体特徴データとを比較・照合する。つまり、一次照合部12は、一次照合用登録登録生体特徴データの検査照合を行なうものである。
【0061】
そして、一次照合判定部13は、一次照合部12からの照合結果を受け、一致率が所定のしきい値p以上であるか否かを判定することにより、一次照合用登録生体特徴データが実際の照合時に本人と認証するのに充分な照合結果を得られるものであるか否か、つまりは、二次照合用特徴データ抽出部14による抽出・登録を実行するか否かを判定するものである。
【0062】
一致率がしきい値p以上である場合には、二次照合用のデータの登録は行なわれないが、一致率がしきい値pよりも小さい場合には、一次照合用登録生体特徴データが実際の照合時に本人と認証するのに充分な照合結果を得られないと判断され、一次照合判定部13は、指示部10aを動作させて、登録者に対し、情報入力部10から二次照合用のデータを入力するように促す。このとき、しきい値pを101%に設定しておけば、必ず二次照合用情報入力処理に移行すること、即ち、全ての登録者について二次照合用情報入力処理を実行することが可能になる。
【0063】
二次照合用特徴データ抽出部(第2抽出部)14は、一次照合判定部13による判定結果(指示部10aの指示動作)に応じて情報入力部10を用いて入力された情報から、一次照合用登録生体特徴データとは異なる、単数または複数のデータを抽出・作成し、そのデータを二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6(6A〜6G)に登録するものである。二次照合用登録データは、登録者についての生体情報から抽出された生体特徴データと、登録者が情報入力部10を用いて意図的に入力した情報から抽出された生体外特徴データとの2種類に大きく分けられる。
【0064】
二次照合用登録データが生体特徴データである場合、その生体特徴データは、一次照合用に採取された生体情報とは異なる生体情報から抽出されるもので、具体的には、下記項目(i),(ii)に記述するようなものである。
(i)一次照合時の生体情報と同一種別であるが、一次照合時に生体情報を採取する部位とは異なる1ヶ所以上の部位について採取された生体情報から抽出した生体特徴データを、二次照合用登録データとする。より具体的には、生体情報が指紋画像データであれば、一次照合用登録生体特徴データを得た指とは異なる1本以上の指の指紋画像データから抽出された生体特徴データを二次照合用登録データとする。
【0065】
(ii)一次照合時の生体情報と同一種別であり、同一部位もしくは異なる部位について採取された生体情報から抽出された、一次照合時の生体特徴データとは異なる種別の生体特徴データを、二次照合用登録データとする。生体情報が指紋画像データであれば、一次照合用登録生体特徴データを得た指と同一の指もしくは異なる1本以上の指の指紋画像データから抽出された、一次照合時の生体特徴データ(例えば特徴点)とは異なる種別の生体特徴データ(例えば指紋紋様)を二次照合用登録データとする。
【0066】
一方、二次照合用登録データを生体外特徴データとする場合、その生体外特徴データは、下記項目(1)〜(6)に記述するようなものである。
(1)登録者により決められたパターンを有する時系列データを、生体外特徴データとする。例えば、情報入力部10が生体情報として指紋画像データを採取する場合、その情報入力部10の画像入力面を、登録者は、予め決めた独自のパターンに従い指でタッピングすることにより、時系列情報(モールス信号等)を入力する。そして、その際に時系列的に採取されることになる画像データから、抽出部14により、所定パターンの時系列データを生体外特徴データとして抽出する。
【0067】
(2)情報入力部10により画像データとして検知される、画像入力面内における所定の生体部位の入力角度を、生体外特徴データとする。例えば、情報入力部10が生体情報として指紋画像データを採取する場合、その情報入力部10の画像入力面に対し、登録者は、予め決めた独自の入力角度で指を接触配置する。そして、その状態で採取された画像データから、抽出部14により、基準方向に対する入力角度を生体外特徴データとして抽出する。
【0068】
(3)情報入力部10により画像データとして検知される、画像入力面内における所定の生体部位の接触位置を、生体外特徴データとする。例えば、情報入力部10が生体情報として指紋画像データを採取する場合、その情報入力部10の画像入力面上において、登録者は、予め決めた独自の位置に指を接触配置する。そして、その状態で採取された画像データから、抽出部14により、指の接触位置を生体外特徴データとして抽出する。
【0069】
(4)情報入力部10により画像データとして検知される、画像入力面に対する接触軌跡情報を、生体外特徴データとする。例えば、情報入力部10が生体情報として指紋画像データを採取する場合、その情報入力部10の画像入力面上において、登録者は、独自のパターンを、指やペン状器具等を接触させながら描いて記入する。そして、その際に採取された画像データから、抽出部14により、接触軌跡情報を生体外特徴データとして抽出する。
【0070】
(5)情報入力部10により画像データとして検知される、画像入力面での接触パターンを、生体外特徴データとする。例えば、情報入力部10が生体情報として指紋画像データを採取する場合、その情報入力部10の画像入力面上において、登録者は、独自の接触パターンを形成する。そして、その状態で採取された画像データから、抽出部14により、接触パターンを生体外特徴データとして抽出する。このとき、図20〜図24を参照しながら後述する電子印鑑(パターン情報入力媒体)を用いて、画像入力面に接触パターンを形成してもよい。このような電子印鑑は利用者(登録者,認証対象者)によって所有・携帯されるもので、この電子印鑑を用いて登録を行なった場合には、当然、実際に二次照合を行なう際には同じ電子印鑑を使用することになる。
【0071】
(6)情報入力部10の画像入力面での複数の異なる接触パターンもしくは複数の異なる接触点の位置のそれぞれに対応した文字データを予め設定しておいた場合に、情報入力部10により画像データとして検知された接触パターンもしくは接触点の位置に対応する文字データを、生体外特徴データとする。例えば、情報入力部10が生体情報として指紋画像データを採取する場合、その情報入力部10の画像入力面上において、登録者は、暗証番号やパスワード等と等価な、独自の文字データもしくは文字データ列に対応した接触パターンを形成するか、その文字データもしくは文字データ列に対応した位置に接触点を形成する。そして、その際に採取された画像データから、抽出部14により、接触パターンまたは接触点に対応した文字データや文字データ列を生体外特徴データとして抽出する。このとき、図27〜図30を参照しながら後述するキーボード部を用いて、画像入力面に対する接触・入力操作を行なってもよい。
【0072】
なお、登録装置2は、実際には、例えばCPU,ROM,RAM,ディスプレイ等をバスラインにより相互に接続して構成されるコンピュータに、指紋スキャナ(指紋ユニット)等の情報入力部10を接続することより実現されるもので、この場合、一次照合用生体特徴データ抽出部11,一次照合部12,一次照合判定部13および二次照合用特徴データ抽出部14としての機能はCPUにより実現される。従って、本実施形態の登録装置2は、既存の登録装置に対してハードウェア構成上の変更を一切加える必要がなく、既存の登録装置をそのまま利用して実現することが可能である。
【0073】
次に、上述のごとく構成された本実施形態の登録装置2による登録手順を、図3に示すフローチャート(ステップS1〜S5)に従って説明する。
まず、登録者(利用者)は、従来と同様にして、情報入力部10から生体情報を入力する。この情報入力部10によって採取された生体情報から、一次照合用生体特徴データ抽出部11によって生体特徴データを抽出・作成し、その生体特徴データを、一次照合用登録生体特徴データとして一次照合用データ格納部5に登録する(ステップS1)。
【0074】
この後、登録者は、同じ情報入力部10から、再度、同じ生体情報を入力し、再入力された生体情報から、一次照合用生体特徴データ抽出部11によって、検査照合用の生体特徴データを抽出・作成し(ステップS2)、一次照合部12において、その検査照合用生体特徴データと、ステップS1で得られた一次照合用登録生体特徴データとを比較・照合する(ステップS3)。
【0075】
そして、一次照合判定部13において、一次照合部12による照合結果つまり一致率が所定のしきい値p以上であるか否かを判定する(ステップS4)。これにより、一次照合用登録生体特徴データが実際の照合時に本人と認証するのに充分な照合結果を得られるものであるか否かが判定される。このとき、一致率がしきい値p以上である場合(ステップS4のYESルート)には、二次照合用のデータの登録を行なうことなく処理を終了する。
【0076】
一方、一致率がしきい値pよりも小さい場合(ステップS4のNOルート)には、一次照合用登録生体特徴データが実際の照合時に本人と認証するのに充分な照合結果を得られないと判断され、指示部10aが動作し、登録者に対して、情報入力部10から二次照合用のデータを入力するように促す。
これに応じた登録者が、一次照合用生体情報を入力したものと同一の情報入力部10から二次照合用情報を入力すると、その二次照合用情報から二次照合用特徴データ抽出部14によって特徴データを抽出・作成し、その特徴データを二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6に登録し(ステップS5)、処理を終了する。
【0077】
このとき、前述したように、ステップS4における判定用のしきい値pを101%に設定しておけば、必ず二次照合用情報入力処理に移行することになり、全ての登録者について二次照合用登録データを登録することができる。
さて、図4は、本実施形態の個人認証システム1における認証装置3の基本構成を示すブロック図であり、この図4に示すように、認証装置3は、情報入力部20,一次照合用生体特徴データ抽出部21,一次照合部22,照合判定部23,二次照合移行判定部24,二次照合用特徴データ抽出部25,二次照合部26,最終本人判定部27,二次照合移行設定部28および個人情報設定部29をそなえて構成されている。
【0078】
ここで、情報入力部(認証用生体情報入力部)20は、認証対象者(利用者)の生体情報を採取するものである。この情報入力部20によって採取される生体情報は、当然、一次照合用データ格納部5に格納されているデータと同種のものであり、情報入力部20は登録用の情報入力部10と同一種別のデバイス(即ち、同一種別の生体情報を採取するデバイス)である。
【0079】
また、情報入力部20も、情報入力部10と同様、認証対象者の生体情報を一次照合用のデータとして採取するだけでなく、後述するごとく、一次照合用のデータとは異なる二次照合用のデータを入力するためにも用いられる。さらに、情報入力部20には、後述する指示部20aが付設されている。
一次照合用生体特徴データ抽出部(第3抽出部)21は、情報入力部20により採取された認証対象者(利用者)の生体情報から認証対象生体特徴データを抽出するものである。
【0080】
一次照合部22は、抽出部21により抽出された認証対象生体特徴データと、認証対象者についてデータ格納部5に予め登録されている一次照合用登録生体特徴データとを比較・照合するものである。
照合判定部(本人判定部)23は、一次照合部22からの照合結果を受けると一次照合によって得られる一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定するほか、後述する二次照合部26からの照合結果を受けると二次照合によって得られる一致率が二次照合合格しきい値m以上であるか否かを判定するものである。
【0081】
二次照合移行判定部24は、照合判定部23により一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合に、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定するとともに、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29による設定状況(二次照合を行なうか否かの定義状況)を参照し、その設定状況および一致率の判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0082】
二次照合移行設定部28は、二次照合部25による照合を行なうか否かを任意に設定・定義するものであり、個人情報設定部29は、利用者(登録者)毎に、二次照合部25による照合を行なうか否かについての情報を個人情報として予め設定・定義するためのもので、その個人情報は、例えば、一次照合用データ格納部5において一次照合用登録生体特徴データとともに格納される。
【0083】
そして、二次照合移行判定部24は、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であると判定し、且つ、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29により二次照合への移行が許可設定になっていることを認識すると、指示部20aを動作させて、認証対象者に対し、情報入力部20から二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。なお、指示部20aとしては、指示部10aと同様、例えば、LED等の発光素子、あるいは、ブザー音等を発生するスピーカ、あるいは、LCD等の表示器が用いられる。
【0084】
二次照合用特徴データ抽出部(第4抽出部)25は、二次照合移行判定部24による判定結果(指示部20aの指示動作)に応じて情報入力部20を用いて入力された情報から、データ格納部6に格納されている二次照合用登録データに対応する認証対象データを抽出するものである。このとき抽出される認証対象データは、当然、登録時に、前述した登録装置2によって二次照合用データ格納部6に登録された二次照合用登録データと同一種別のものである。
【0085】
二次照合部26は、抽出部25により抽出された認証対象データと認証対象者についてデータ格納部6に予め登録されている二次照合用登録データとを比較・照合するものである。
そして、最終本人判定部(本人判定部)27は、前述した照合判定部23と協動して、一次照合部22や二次照合部26による照合結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23により、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合もしくは二次照合の一致率がしきい値m以上であると判定された場合、認証対象者が本人であると判定・認証するものである。当然、照合判定部23により二次照合の一致率がしきい値mよりも小さいと判定された場合や、二次照合移行判定部24により二次照合へ移行する必要がないと判定された場合、最終本人判定部27は、認証対象者が本人であるとの判定・認証は行なわない。
【0086】
なお、複数の二次照合用登録データが登録されている場合(例えば、複数本の指の指紋画像データから抽出された生体特徴データが登録されている場合)、それに応じて、認証対象者は、複数回、生体情報の入力操作を行ない、抽出部25では、これらの生体情報から複数の認証対象データが抽出されることになる。このような場合、最終本人判定部27は、全ての認証対象データについての二次照合結果である一致率がしきい値m以上であれば、認証対処者が本人であると判定・認証する。
【0087】
また、認証装置3は、実際には、例えばCPU,ROM,RAM,ディスプレイ等をバスラインにより相互に接続して構成されるコンピュータに、指紋スキャナ(指紋ユニット)等の情報入力部20を接続することより実現されるもので、この場合、一次照合用生体特徴データ抽出部21,一次照合部22,照合判定部23,二次照合移行判定部24,二次照合用特徴データ抽出部25,二次照合部26および最終本人判定部27としての機能はCPUにより実現される。従って、本実施形態の認証装置3は、既存の登録装置に対してハードウェア構成上の変更を一切加える必要がなく、既存の認証装置をそのまま利用して実現することが可能である。なお、後述する認証装置3A〜3Gも、認証装置3と同様に構成される。
【0088】
さらに、上述した登録装置2および認証装置3の両機能を兼ねそなえた装置を提供することもできる。このような装置は、前述したように、例えばCPU,ROM,RAM,ディスプレイ等から構成されるコンピュータに、指紋スキャナ(指紋ユニット)等の情報入力部を接続することより実現される。この場合、情報入力部10と20を一つの情報入力部により兼用することができるほか、データ抽出部11と21や、データ抽出部14と25や、一次照合部12と22や、照合判定部13と23についても、それぞれ、同一のソフトウェアを用いて実現することができる。
【0089】
次に、上述のごとく構成された本実施形態の認証装置3による認証手順を、図5に示すフローチャート(ステップS11〜S20)に従って説明する。
まず、認証対象者(利用者)は、従来と同様にして、情報入力部20から生体情報を入力する。この情報入力部20によって採取された生体情報から、一次照合用生体特徴データ抽出部21によって生体特徴データを抽出する(ステップS11)。
【0090】
そして、一次照合部22において、抽出部21により抽出された認証対象生体特徴データと、認証対象者についてデータ格納部5に予め登録されている一次照合用登録生体特徴データとを比較・照合する一次照合を行ない(ステップS12)、照合判定部23において、一次照合によって得られる一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0091】
照合判定部23により、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS13のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27によって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS19)、処理を終了する。
これに対し、照合判定部23により、一次照合の一致率がしきい値nよりも小さいと判定された場合(ステップS13のNOルート)、つまり、一次照合では認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られなかった場合、二次照合移行判定部24により、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0092】
そして、二次照合移行判定部24により、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS14のYESルート)、引き続き、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29による設定状況(二次照合を行なうか否かの定義状況)を参照し、その設定状況から二次照合への移行が許可されているか否かを判定する(ステップS15)。
【0093】
二次照合への移行が許可設定になっていることが認識されると(ステップS15のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20から二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
これに応じた認証対象者が、認証対象となる生体情報を入力したものと同一の情報入力部20から二次照合用情報を入力すると、二次照合用特徴データ抽出部25により、その二次照合用情報から、二次照合用登録データに対応する認証対象データを抽出する(ステップS16)。
【0094】
そして、二次照合部26において、抽出部25により抽出された認証対象データと、認証対象者についてデータ格納部6に予め登録されている二次照合用登録データとを比較・照合する二次照合(救済照合)を行ない(ステップS17)、照合判定部23において、二次照合によって得られる一致率が二次照合合格しきい値m以上であるか否かを判定する(ステップS18)。
【0095】
照合判定部23により、二次照合の一致率がしきい値m以上であると判定された場合(ステップS18のYESルート)、二次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27によって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS19)、処理を終了する。
これに対し、照合判定部23により、二次照合の一致率がしきい値mよりも小さいと判定された場合(ステップS18のNOルート)、つまり、二次照合でも認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られなかった場合、最終本人判定部27において「認証せず」(認証対象者が本人であるとの認証を行なわない)と判断し(ステップS20)、処理を終了する。
【0096】
また、二次照合移行判定部24により、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS14のNOルート)や、二次照合への移行が許可設定になっていない場合(ステップS15のNOルート)も、最終本人判定部27において「認証せず」と判断し(ステップS20)、処理を終了する。
従って、本実施形態の個人認証システム1では、一次照合の結果が認証を拒絶するものであっても、一次照合の一致率が所定範囲(本実施形態ではs以上n未満の範囲)内にあり、二次照合への移行が許可されている場合、情報入力部20から二次照合を実行するための情報を入力し、二次照合(救済照合)が行なわれる。このとき、二次照合移行しきい値sを0%に設定し、一次照合失敗時は必ず二次照合を行なうように定義しておくことで、怪我などの要因により一次照合による本人照合が全く不可能になった場合でも、二次照合によって個人認証を行なうことが可能になる。
【0097】
このように、本発明の一実施形態としての個人認証システム1(登録装置2および認証装置3)によれば、通常の照合時(一次照合時)に参照される生体特徴データを登録する際に、その生体特徴データとは異なる、生体にかかるデータには限らない二次照合用登録データ(個人識別情報)が、情報入力部10を用いて登録される。このとき、一次照合用登録生体特徴データの登録時にも二次照合用登録データの登録時にも、同一の情報入力部10が用いられる。
【0098】
そして、二次照合用登録データを登録しておくことにより、認証時に、一次照合による認証に失敗しても二次照合用登録データを用いた二次照合(救済照合)が行なわれ、既存の構成装置のみを用いて、つまり、新たに装置を付加することなく、登録後に何らかの要因により一次照合による認証が不可能になった利用者や、生体の状態が不安定な利用者や、一次照合用登録生体特徴データを採取不可能な利用者を救済することが可能になる。従って、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現することができる。
【0099】
また、登録時には、一次照合部12および一次照合判定部13により一次照合用登録生体特徴データの状態を判定し、その判定結果に応じて二次照合用登録の抽出・登録が実行されるので、この判定により、一次照合にかかる生体の状態が不安定な人や一次照合用登録生体特徴データを最初から採取不可能な人を認識して、そのような人についてのみ、予め救済措置として二次照合用登録データを登録することもできる。
【0100】
さらに、認証装置3において、二次照合を行なう必要がある場合、指示部20aが、認証対象者に対し、情報入力部20を用いて認証対象データを入力するように促すので、認証対象者は、その指示に従って、二次照合用の認証対象データを入力するための操作へ円滑かつ確実に移行することができる。
また、認証装置3においては、二次照合移行設定部28により二次照合を行なうか否かを任意に設定することができるほか、個人情報設定部29により二次照合を行なうべき登録者を個々に設定することができるので、一次照合から二次照合へ移行するか否かを、任意にもしくは登録者毎に設定することが可能である。従って、システム使用環境に応じて、または、システム管理者や登録者の要望に応じて、二次照合の実行/非実行を制御することができる。
【0101】
さて、次に、図6〜図30を参照しながら、本実施形態の個人認証システム1で用いられる認証装置の具体的な構成例について説明する。
なお、以下の例で説明する認証装置3A〜3Gは、いずれも、指紋を生体情報として採取して個人認証を行なうシステムにおいて、指紋による認証失敗時の救済措置(救済照合)を実現するためのものであるが、本発明は、指紋認証に限定されるものではなく、例えば、掌紋,指形,掌形,音声(声紋),網膜,虹彩,顔画像,動的署名,血管パターン,キーストローク等を生体情報として採取してバイオメトリクス認証を行なうシステムにおいても適用され、指紋以外の生体情報を用いる個人認証システムにおいても、予期せぬ要因により個人認証が困難になった場合の救済措置を実現することが可能である。
【0102】
図6〜図8は、本実施形態における認証装置の具体的な構成の第1例を説明するためのもので、図6はその認証装置3Aの構成を示すブロック図、図7はその認証装置3Aによる認証手順を説明するためのフローチャート、図8はその認証装置3Aによる認証手順の変形例を説明するためのフローチャートである。なお、図6において既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0103】
図6に示す認証装置3Aでは、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合失敗時)に、一次照合用登録生体特徴データを抽出した指とは別の1本以上の指から指紋画像データを採取し、その指紋画像データから抽出した生体特徴データ(認証対象データ)を用いて二次照合を行ない、冬期などの手荒れや指先の乾燥で一致率が低下した場合でも全ての指についての照合一致率が二次照合合格しきい値m以上であれば、本人と認証する救済措置を実現している。
【0104】
認証装置3Aを採用するに当たり、個人認証システム1の登録装置2においては、登録者(利用者)の指紋画像データを情報入力部10により採取し、その指紋画像データから一次照合用生体特徴データ抽出部11により生体特徴データを抽出・作成し、その生体特徴データを一次照合用登録生体特徴データとして一次照合用データ格納部5Aに登録しておく。また、一次照合用登録生体特徴データを得た指とは異なる1本以上(本実施形態ではk本)の指の指紋画像データを情報入力部10で採取し、その指紋画像データから二次照合用特徴データ抽出部14により生体特徴データを抽出し、その生体特徴データを二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6Aに登録しておく。なお、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Aへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りである。また、この場合、情報入力部10は、当然、指紋スキャナ(光学式指紋ユニット,静電容量式指紋ユニット)により構成されている。
【0105】
このとき、一次照合用生体特徴データ抽出部11および二次照合用特徴データ抽出部14は、いずれも指紋画像データから同種の生体特徴データを抽出するものであるので、共通化・一体化することができる。
また、一次照合用生体特徴データ抽出部11,二次照合用特徴データ抽出部14や、後述する生体特徴データ抽出部21Aによって抽出される生体特徴データは、例えば、指紋隆線の分岐点(特徴点)座標,端点(特徴点)座標,交差点座標,指紋中心座標,指紋三角州座標,指紋隆線方向,特徴点間の距離,指紋特徴点間の隆線本数などである。
【0106】
さて、認証装置3Aは、図6に示すように、情報入力部20A,生体特徴データ抽出部21A,生体特徴データ照合部22A,照合判定部23A,二次照合移行判定部24Aおよび最終本人判定部27Aをそなえて構成されている。
ここで、情報入力部(認証用生体情報入力部)20Aは、図4に示した情報入力部20に対応するもので、認証対象者(利用者)の生体情報として指紋画像データを採取すべく、例えば光学式指紋ユニットにより構成されている。
【0107】
生体特徴データ抽出部(第3抽出部,第4抽出部)21Aは、図4に示した抽出部21および25と同様の機能を果たすもので、一次照合時または二次照合時に、情報入力部20Aにより採取された認証対象者(利用者)の指紋画像データから、認証対象生体特徴データ(認証対象データ)として、例えば特徴点データを抽出するものである。
生体特徴データ照合部(一次照合部,二次照合部)22Aは、図4に示した照合部22および26と同様の機能を果たすもので、一次照合時には、抽出部21Aにより抽出された認証対象生体特徴データ(ここでは指紋の特徴点データ)と、認証対象者についてデータ格納部5Aに予め登録されている一次照合用登録生体特徴データとを比較・照合する一方、二次照合時には、抽出部21Aにより抽出された認証対象データ(ここでは生体特徴データとしての指紋の特徴点データ)と、認証対象者についてデータ格納部6Aに予め登録されている二次照合用登録データとを比較・照合するものである。
【0108】
照合判定部(本人判定部)23Aは、図4に示した照合判定部23と同様の機能を果たすもので、照合部22Aからの一次照合結果を受けるとその一次照合での一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定する一方、照合部22Aからの二次照合結果を受けるとその二次照合での一致率が二次照合合格しきい値m以上であるか否かを判定するものである。
【0109】
二次照合移行判定部24Aは、図4に示した二次照合移行判定部24に対応するもので、照合判定部23Aにより一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定するとともに、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29による設定状況(二次照合を行なうか否かの定義状況)を参照し、その設定状況および一致率の判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0110】
最終本人判定部(本人判定部)27Aは、図4に示した最終本人判定部27に対応するもので、前述した照合判定部23Aと協動して、生体特徴データ照合部22Aによる照合結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23Aによる判定結果に応じて、図4の最終本人判定部27と同様の機能(本人の判定・認証)を果たすものである。
【0111】
なお、ここでは、一次照合用生体特徴データおよび二次照合用登録データをそれぞれ一次照合用データ格納部5Aおよび二次照合用データ格納部6Aに分割・格納して管理しているが、上述のような認証装置3Aを用いた場合、一次照合用生体特徴データと二次照合用登録データとがいずれも同一種別の生体情報(指紋画像データ)から抽出した同一種別のデータであるため、これらの一次照合用生体特徴データおよび二次照合用登録データを、一つの生体特徴データ格納部に格納して管理してもよい。
【0112】
次に、上述のごとく構成された認証装置3Aによる認証手順を、図7に示すフローチャート(ステップS21〜S32)に従って説明する。
まず、認証対象者(利用者)は、従来と同様にして、情報入力部20Aから第1指の指紋画像データを入力する。この情報入力部20Aによって採取した指紋画像データから、生体特徴データ抽出部21Aによって第1指の生体特徴データを抽出する(ステップS21)。
【0113】
そして、生体特徴データ照合部22Aにおいて、抽出部21Aにより抽出された認証対象生体特徴データと、認証対象者についてデータ格納部5Aに予め登録されている一次照合用登録生体特徴データとを比較・照合する一次照合を行ない(ステップS22)、照合判定部23Aにおいて、一次照合によって得られる一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0114】
照合判定部23Aにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS23のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27Aによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS31)、処理を終了する。
これに対し、照合判定部23Aにより、一次照合の一致率がしきい値nよりも小さいと判定された場合(ステップS23のNOルート)、つまり、一次照合では認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られなかった場合、二次照合移行判定部24Aにより、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0115】
そして、二次照合移行判定部24Aにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS24のYESルート)、引き続き、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29による設定状況(二次照合を行なうか否かの定義状況)を参照し、その設定状況から二次照合への移行が許可されているか否かを判定する(ステップS25)。
【0116】
二次照合への移行が許可設定になっていることが認識されると(ステップS25のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20Aから二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
これに応じた認証対象者は、k本の指の指紋画像データを、順次、情報入力部20Aから二次照合用情報を入力し、認証装置3Aでは、各指紋画像データから、生体特徴データを認証対象データとして抽出し、二次照合(救済照合)を実行する(ステップS26〜S30)。
【0117】
つまり、認証装置3Aでは、初期値を1とした変数iを定義しておき、まず、その変数iが救済照合データ入力回数kよりも大きいか否かを判定し(ステップS26)、変数iがk以下である場合(ステップS26のNOルート)、第i指の指紋画像データを入力する。この情報入力部20Aによって採取した指紋画像データから、生体特徴データ抽出部21Aによって第i指の生体特徴データを抽出する(ステップS27)。
【0118】
そして、生体特徴データ照合部22Aにおいて、抽出部21Aにより抽出された認証対象生体特徴データと、認証対象者についてデータ格納部6Aに予め登録されている第i指についての二次照合用登録データとを比較・照合し(ステップS28)、照合判定部23Aにおいて、二次照合によって得られる一致率が二次照合合格しきい値m以上であるか否かを判定する(ステップS29)。
【0119】
照合判定部23Aにより、二次照合の一致率がしきい値m以上であると判定された場合(ステップS29のYESルート)、変数iを1だけインクリメントしてから(ステップS30)、ステップS26に戻り、第k指について二次照合を完了するまで、ステップS26〜S30の処理を繰り返し実行する。
ここで、二次照合合格しきい値mは、一次照合合格しきい値nよりも小さく設定しておく。そして、k本全ての指についての特徴データの一致率がしきい値m以上となることを、二次照合合格の条件とする。
【0120】
k本全ての指についての特徴データの一致率がしきい値m以上となった場合(ステップS26のYESルート)、最終本人判定部27Aによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS31)、処理を終了する。
これに対し、照合判定部23Aにより、複数本の指による二次照合を順次実行している際に、ある指についての二次照合の一致率がしきい値mよりも小さいと判定された場合(ステップS29のNOルート)、つまり、二次照合の一致率がしきい値mよりも小さい指が1本でもあった場合、その時点で、最終本人判定部27Aにおいて「認証せず」と判断し(ステップS32)、処理を終了する。
【0121】
また、二次照合移行判定部24Aにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS24のNOルート)や、二次照合への移行が許可設定になっていない場合(ステップS25のNOルート)も、最終本人判定部27Aにおいて「認証せず」と判断し(ステップS32)、処理を終了する。
認証装置3Aでは、上述した通り、第1指の特徴点データと予め登録していた特徴点データ(一次照合用登録生体特徴データ)とを比較照合し、一致率が一次照合合格しきい値nを上回っていれば、本人と認証し、処理を完了する。一方、一致率が一次照合合格しきい値nを下回った場合には、一致率が救済認証を行なうか否かのしきい値sを超えているのであれば、救済認証処理に移行する。このとき、救済認証を行なうか否かのしきい値sを0に設定しておくことで、怪我などで一致率が0%となった場合においても、救済認証処理(二次照合処理)に移行することが可能である。
【0122】
救済認証(二次照合)では、予め定義していた任意に変更可能な救済情報入力回数kで指紋生体情報を入力し、予め登録していた特徴点データと照合を行なっている。二次照合合格しきい値mは、前述した通り、一次照合合格しきい値nよりも低めに設定しておき、全ての指紋が二次照合合格しきい値mの範囲内であれば本人であると認証し、一連の認証処理を終了する。
【0123】
なお、図7では、二次照合用の指紋情報を入力される毎に照合して、照合中に二次照合一致率に達していない指が存在した場合、その時点で「認証せず」と判断しているが、これを最終本人判定部27Aで一括して判定し、例えば10本の指のうちの9本の指までが二次照合合格しきい値mに達していれば、本人と認証するような処理とすることも可能である。
【0124】
また、認証装置3Aでは、二次照合という観点での救済認証について説明したが、本例のごとく、二次照合に用いる照合データが一次照合の生体特徴データと同一種別である場合には、一次照合の成功/失敗に関わらず、必ず複数の生体特徴データの照合を行なうように構成することも可能である。
この場合の認証手順(フローチャート)を図8に示す。この図8と図7とを比較して明らかなように、図8に示す認証手順では、図7に示す認証手順では行なっていた一次照合処理(ステップS21〜S23)および二次照合への移行判定処理(ステップS24,S25)を省略しただけである。
【0125】
このような認証装置3A、および、認証装置3Aをそなえた個人認証システム1によれば、二次照合用登録データとして、一次照合時の指とは異なる指の指紋画像データから抽出された特徴点データを用いることにより、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することできる。
また、一次照合および二次照合が、いずれも、同一種別の生体特徴データを用いて実行されるので、一次照合および二次照合のそれぞれについて抽出アルゴリズムや照合アルゴリズムを準備する必要がなくなる。
【0126】
つまり、登録装置2において抽出部11と抽出部14とを共通化・一体化することができるほか、認識装置3Aにおいては、一次照合および二次照合それぞれのために生体特徴データ抽出部(第3抽出部と第4抽出部)や生体特徴データ照合部(一次照合部と二次照合部)をそなえる必要がなくなる。従って、既存のハードウェアやソフトウェアをそのまま用いながら一次照合および二次照合(救済照合)の両方を実行することができる。
【0127】
図9〜図11は、本実施形態における認証装置の具体的な構成の第2例を説明するためのもので、図9はその認証装置3Bの構成を示すブロック図、図10はその認証装置3Bによる認証手順を説明するためのフローチャート、図11(A)〜図11(H)は、それぞれ、指紋の紋様種別を説明すべく指紋の具体例を示す図である。なお、図9において既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0128】
図9に示す認証装置3Bでは、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合失敗時)に、一次照合用登録生体特徴データを抽出した指と同一の指もしくは異なる1本以上の指から指紋画像データを採取し、その指紋画像データから抽出した指紋紋様(認証対象データ)を用いて二次照合(救済認証)を行ない、冬期などの手荒れや指先の乾燥で一致率が低下した場合でも全ての指についての指紋の紋様が、二次照合用データ格納部6Bに格納される二次照合用登録データ(指紋の紋様データ)と一致すれば、本人と認証する救済措置を実現している。
【0129】
認証装置3Bを採用するに当たり、個人認証システム1の登録装置2においては、前述と同様にして、登録者(利用者)の指紋画像データから生体特徴データを抽出し、一次照合用登録生体特徴データとして一次照合用データ格納部5Aに登録しておく。また、一次照合用登録生体特徴データを得た指と同一の指もしくは異なる1本以上の指(本実施形態ではk本の指)の指紋画像データを情報入力部10で採取し、その指紋画像データから二次照合用特徴データ抽出部14により指紋の紋様データを抽出し、その紋様データを二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6Bに登録しておく。なお、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Bへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りである。
【0130】
なお、指紋の紋様としては、例えば図11(A)〜図11(H)に示すようなものがある。図11(A)に示す紋様は右袋型、図11(B)に示す紋様は左袋型、図11(C)に示す紋様は双子型、図11(D)に示す紋様は波型、図11(E)に示す紋様は渦型、図11(F)に示す紋様は左流れ型、図11(G)に示す紋様は右流れ型、図11(H)に示す紋様は桂型である。このような紋様の種別を紋様データとして指毎に抽出し、二次照合用登録データとして用いる。ただし、図11(A)〜図11(H)は、あくまでも紋様種別分けの一例を示すものであり、本実施形態における指紋紋様分類方法を特に定めるものではない。
【0131】
さて、認証装置3Bは、図9に示すように、前述した情報入力部20A,生体特徴データ抽出部21Aおよび生体特徴データ照合部22Aのほか、照合判定部23B,二次照合移行判定部24B,紋様データ抽出部25B,紋様データ照合部26Bおよび最終本人判定部27Bをそなえて構成されている。
ここで、照合判定部(本人判定部)23Bは、図4に示した照合判定部23と同様の機能を果たすもので、照合部22Aからの一次照合結果を受けるとその一次照合での一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定するほか、後述する紋様データ照合部26Bからの二次照合結果に基づいて紋様データの一致判定を行なうものである。
【0132】
二次照合移行判定部24Bは、図4に示した二次照合移行判定部24に対応するもので、照合判定部23Bにより一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0133】
紋様データ抽出部(第4抽出部)25Bは、図4に示した二次照合用特徴データ抽出部25に対応するもので、情報入力部20Aにより採取された認証対象者(利用者)の指紋画像データから、認証対象データとして、指紋の紋様データを認識して抽出するものである。
紋様データ照合部(二次照合部)26Bは、図4に示した二次照合部26に対応するもので、紋様データ抽出部25Bにより抽出された紋様データと、認証対象者についてデータ格納部6Bに予め登録されている紋様データ(二次照合用登録データ)とを比較・照合するものである。
【0134】
最終本人判定部(本人判定部)27Bは、図4に示した最終本人判定部27に対応するもので、前述した照合判定部23Bと協動して、生体特徴データ照合部22Aや紋様データ照合部26Bによる照合結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23Bにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合や、全ての指の紋様データが二次照合用登録データと一致したと判定された場合、認証対象者が本人であると判定・認証するものである。
【0135】
次に、上述のごとく構成された認証装置3Bによる認証手順を、図10に示すフローチャート(ステップS21〜S24およびS41〜S47)に従って説明する。
ステップS21〜S24は、図7に示す認証手順で行なった一次照合処理(ステップS21〜S23)および二次照合への移行判定処理(ステップS24)と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、認証装置3Bでは、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29を省略したので、図7のステップS25に対応する二次照合への移行判定処理は省略している。
【0136】
なお、照合判定部23Bにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS23のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27Bによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS46)、処理を終了する。
また、二次照合移行判定部24Bにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS24のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20Aから二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
【0137】
これに応じた認証対象者は、k本の指の指紋画像データを、順次、情報入力部20Aから二次照合用情報を入力し、認証装置3Bでは、各指紋画像データから、指紋の紋様データを認証対象データとして抽出し、二次照合(救済照合)を実行する(ステップS41〜S45)。
つまり、認証装置3Bでは、初期値を1とした変数iを定義しておき、まず、その変数iが救済照合データ入力回数kよりも大きいか否かを判定し(ステップS41)、変数iがk以下である場合(ステップS41のNOルート)、第i指の指紋画像データを入力する。この情報入力部20Aによって採取した指紋画像データから、紋様データ抽出部25Bによって第i指の紋様データを認識して抽出する(ステップS42)。
【0138】
そして、紋様データ照合部26Bにおいて、紋様データ抽出部25Bにより抽出された紋様データと、認証対象者についてデータ格納部6Bに予め登録されている第i指についての指紋データとを比較・照合し(ステップS43)、照合判定部23Bにより紋様データが一致したか否かを判定する(ステップS44)。
照合判定部23Bにより、二次照合の一致率がしきい値m以上であると判定された場合(ステップS44のYESルート)、変数iを1だけインクリメントしてから(ステップS45)、ステップS41に戻り、第k指についての紋様データ照合を完了するまで、ステップS41〜S45の処理を繰り返し実行する。
【0139】
k本全ての指について紋様データが一致した場合(ステップS41のYESルート)、最終本人判定部27Bによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS46)、処理を終了する。
これに対し、照合判定部23Bにより、複数本の指による紋様データの照合を順次実行している際に、ある指についての紋様データが一致しないと判定された場合(ステップS44のNOルート)、つまり、紋様データが不一致の指が1本でもあった場合、その時点で、最終本人判定部27Bにおいて「認証せず」と判断し(ステップS47)、処理を終了する。
【0140】
また、二次照合移行判定部24Bにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS24のNOルート)も、最終本人判定部27Bにおいて「認証せず」と判断し(ステップS47)、処理を終了する。
認証装置3Bでは、上述した通り、救済認証処理へ移行する場合、予め定義していた任意に変更可能な救済情報入力回数kで指紋生体情報(ここでは指紋の紋様データ)を入力し、予め設定してある指毎の紋様データと照合する。全ての紋様が一致すれば本人であると認証し、一連の認証処理を終了する。
【0141】
また、図10では、二次照合用の指紋情報を入力される毎に紋様データの照合を行ない、照合中に紋様が一致しない指が存在した場合、その時点で「認証せず」と判断しているが、怪我などで紋様を認識できなくなることを想定して、最終本人判定部27Bで一括して判定し、例えば10本の指のうちの9本の指まで紋様データが一致すれば、本人と認証するような処理とすることも可能である。
【0142】
このような認証装置3B、および、認証装置3Bをそなえた個人認証システム1によれば、二次照合用登録データとして、一次照合時と同一の指もしくは異なる指の指紋画像データから抽出された紋様データを用いることにより、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができる。従って、新たな装置を何ら付加することなく、一次照合および二次照合(救済照合)の両方を実行することができる。
【0143】
図12および図13は、本実施形態における認証装置の具体的な構成の第3例を説明するためのもので、図12はその認証装置3Cの構成を示すブロック図、図13はその認証装置3Cによる認証手順を説明するためのフローチャートである。なお、図12において既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0144】
図12に示す認証装置3Cでは、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合失敗時)に、認証対象者が、センサ(情報入力部20Aの指紋入力面/画像入力面)をタッピングすることにより時系列データを生体外特徴データとして入力し、その時系列データが、予め登録されている二次照合用登録データと一致すれば、本人と認証する救済措置を実現している。
【0145】
認証装置3Cを採用するに当たり、個人認証システム1の登録装置2においては、前述した通り、登録者は、情報入力部10の画像入力面を予め決めた独自のパターンに従い指でタッピングすることにより、時系列情報(モールス信号等)を入力する。そして、その際に時系列的に採取されることになる画像データから、抽出部14により、所定パターンの時系列データを生体外特徴データとして抽出し、その時系列データを二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6Cに登録しておく。なお、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Cへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りである。
【0146】
さて、認証装置3Cは、図12に示すように、前述した情報入力部20A,生体特徴データ抽出部21Aおよび生体特徴データ照合部22Aのほか、照合判定部23C,二次照合移行判定部24C,信号データ抽出部25C,信号データ照合部26Cおよび最終本人判定部27Cをそなえて構成されている。
ここで、照合判定部(本人判定部)23Cは、図4に示した照合判定部23と同様の機能を果たすもので、照合部22Aからの一次照合結果を受けるとその一次照合での一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定するほか、後述する信号データ照合部26Cからの二次照合結果に基づいて時系列データ(信号データ)の一致判定を行なうものである。
【0147】
二次照合移行判定部24Cは、図4に示した二次照合移行判定部24に対応するもので、照合判定部23Cにより一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0148】
信号データ抽出部(第4抽出部)25Cは、図4に示した二次照合用特徴データ抽出部25に対応するもので、ここでは、認証対象者(利用者)が情報入力部20Aの画像入力面を予め決めた独自のパターンに従い指でタッピングして入力した時系列情報(時系列的に採取される画像データ)から、認証対象データとして、時系列データ(モールス信号等の信号データ)を認識して抽出するものである。
【0149】
信号データ照合部(二次照合部)26Cは、図4に示した二次照合部26に対応するもので、信号データ抽出部25Cにより抽出された信号データと、認証対象者についてデータ格納部6Cに予め登録されている信号データ(二次照合用登録データ)とを比較・照合するものである。
最終本人判定部(本人判定部)27Cは、図4に示した最終本人判定部27に対応するもので、前述した照合判定部23Cと協動して、生体特徴データ照合部22Aや信号データ照合部26Cによる照合結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23Cにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合や、認証対象者から得られた信号データと二次照合用登録データとが一致したと判定された場合、認証対象者が本人であると判定・認証するものである。
【0150】
次に、上述のごとく構成された認証装置3Cによる認証手順を、図13に示すフローチャート(ステップS21〜S24およびS51〜S55)に従って説明する。
ステップS21〜S24は、図7に示す認証手順で行なった一次照合処理(ステップS21〜S23)および二次照合への移行判定処理(ステップS24)と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、認証装置3Cでは、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29を省略したので、図7のステップS25に対応する二次照合への移行判定処理は省略している。
【0151】
なお、照合判定部23Cにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS23のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27Cによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS54)、処理を終了する。
また、二次照合移行判定部24Cにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS24のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20Aから二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
【0152】
これに応じた認証対象者は、情報入力部20Aの画像入力面を予め決めた独自のパターンに従って指でタッピングすることにより時系列情報を入力し、認証装置3Cでは、信号データ抽出部25Cにより、認証対象者の入力操作に応じて時系列的に採取される画像データから、時系列データ(モールス信号等の信号データ)を認証対象データ(生体外特徴データ)として抽出する(ステップS51)。
【0153】
そして、信号データ照合部26Cにおいて、信号データ抽出部25Cにより抽出された信号データと、認証対象者についてデータ格納部6Cに予め登録されている信号データとを比較・照合し(ステップS52)、照合判定部23Cにより信号データが一致したか否かを判定する(ステップS53)。
照合判定部23Cにより、信号データが一致していると判定された場合(ステップS53のYESルート)、最終本人判定部27Cによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS54)、処理を終了する。
【0154】
これに対し、照合判定部23Cにより、信号データが不一致であると判定された場合(ステップS54のNOルート)、最終本人判定部27Cにおいて「認証せず」と判断し(ステップS55)、処理を終了する。また、二次照合移行判定部24Cにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS24のNOルート)も、最終本人判定部27Cにおいて「認証せず」と判断し(ステップS55)、処理を終了する。
【0155】
認証装置3Cでは、上述した通り、救済認証処理へ移行する場合、一次照合用生体情報入力で使用したものと同一の情報入力部20Aから、タッピングにより時系列情報を信号として入力する。この信号に関しては、システムが独自に解析可能な信号情報を使用してもかまわないが,モールス信号等による既存の信号解析ルーチンを採用することも可能である。入力された信号は、予め登録していた信号情報と比較照合され、一致すれば本人であると認証し、一連の認証処理を終了する。
【0156】
このような認証装置3C、および、認証装置3Cをそなえた個人認証システム1によれば、二次照合時には、情報入力部10や20Aを用いて利用者により意図的に画像の時系列情報を入力し、その時系列情報から抽出された時系列データを二次照合用登録データとして用いることで、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができる。
【0157】
つまり、情報入力部10や20Aを、一次照合用の生体特徴データを入力するためのデバイス、および、生体外特徴データ(意図的な時系列パターンを有するデータ)を入力するためのデバイスとして兼用することができる。
従って、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができ、新たな装置を何ら付加することなく、一次照合および二次照合(救済照合)の両方を実行することができる。
【0158】
図14および図15は、本実施形態における認証装置の具体的な構成の第4例を説明するためのもので、図14はその認証装置3Dの構成を示すブロック図、図15はその認証装置3Dによる認証手順を説明するためのフローチャートである。なお、図14において既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0159】
図14に示す認証装置3Dでは、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合失敗時)に、認証対象者が、生体(ここでは指)により情報入力部20Aの指紋入力面/画像入力面から意図的に入力した情報を使用して、救済認証を実現している。
このとき、情報入力部20Aから入力される情報は、バイオメトリクス照合を行なうためのものではなく、入力状態による個人識別判定を行なうために入力するための生体外情報であり、入力状態が抽出・判別可能な情報であれば特に種別を定めないが、ここでは、例えば、情報入力部20の画像入力面での指の、基準方向に対する入力角度とする。
【0160】
認証装置3Dを採用するに当たり、個人認証システム1の登録装置2においては、前述した通り、登録者は、情報入力部10の画像入力面に対し、予め決めた独自の入力角度で指を接触配置する。そして、その状態で採取された画像データから、抽出部14により、基準方向に対する入力角度を生体外特徴データとして抽出し、その入力角度を二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6Dに登録しておく。なお、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Dへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りである。
【0161】
さて、認証装置3Dは、図14に示すように、前述した情報入力部20A,生体特徴データ抽出部21Aおよび生体特徴データ照合部22Aのほか、照合判定部23D,二次照合移行判定部24D,角度データ抽出部25D,角度データ照合部26Dおよび最終本人判定部27Dをそなえて構成されている。
ここで、照合判定部(本人判定部)23Dは、図4に示した照合判定部23と同様の機能を果たすもので、照合部22Aからの一次照合結果を受けるとその一次照合での一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定するほか、後述する角度データ照合部26Dからの二次照合結果に基づいて入力角度(角度データ)の一致判定を行なうものである。
【0162】
二次照合移行判定部24Dは、図4に示した二次照合移行判定部24に対応するもので、照合判定部23Dにより一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0163】
角度データ抽出部(第4抽出部)25Dは、図4に示した二次照合用特徴データ抽出部25に対応するもので、ここでは、認証対象者(利用者)が、情報入力部20Aの画像入力面に対し予め決めた独自の入力角度で接触配置した指の画像データから、認証対象データとして、基準方向に対する入力角度を認識して抽出するものである。
角度データ照合部(二次照合部)26Dは、図4に示した二次照合部26に対応するもので、角度データ抽出部25Dにより抽出された角度データと、認証対象者についてデータ格納部6Dに予め登録されている角度データ(二次照合用登録データ)とを比較・照合するものである。
【0164】
最終本人判定部(本人判定部)27Dは、図4に示した最終本人判定部27に対応するもので、前述した照合判定部23Dと協動して、生体特徴データ照合部22Aや角度データ照合部26Dによる照合結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23Dにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合や、認証対象者から得られた角度データと二次照合用登録データとが一致したと判定された場合、認証対象者が本人であると判定・認証するものである。
【0165】
次に、上述のごとく構成された認証装置3Dによる認証手順を、図15に示すフローチャート(ステップS21〜S24およびS61〜S65)に従って説明する。
ステップS21〜S24は、図7に示す認証手順で行なった一次照合処理(ステップS21〜S23)および二次照合への移行判定処理(ステップS24)と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、認証装置3Dでは、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29を省略したので、図7のステップS25に対応する二次照合への移行判定処理は省略している。
【0166】
なお、照合判定部23Dにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS23のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27Dによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS64)、処理を終了する。
また、二次照合移行判定部24Dにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS24のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20Aから二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
【0167】
これに応じた認証対象者は、情報入力部20Aの画像入力面に対し、予め決めた独自の入力角度で指を接触配置し、認証装置3Dでは、角度データ抽出部25Dにより、上述のごとく指を接触配置した状態で採取された画像データから、基準方向に対する入力角度を認証対象データ(生体外特徴データ)として抽出する(ステップS61)。
そして、角度データ照合部26Dにおいて、角度データ抽出部25Dにより抽出された角度データと、認証対象者についてデータ格納部6Dに予め登録されている角度データとを比較・照合し(ステップS62)、照合判定部23Dにより角度データが一致したか否かを判定する(ステップS63)。
【0168】
照合判定部23Dにより、角度データが一致していると判定された場合(ステップS63のYESルート)、最終本人判定部27Dによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS64)、処理を終了する。
これに対し、照合判定部23Dにより、角度データが不一致であると判定された場合(ステップS63のNOルート)、最終本人判定部27Dにおいて「認証せず」と判断し(ステップS65)、処理を終了する。また、二次照合移行判定部24Dにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS24のNOルート)も、最終本人判定部27Dにおいて「認証せず」と判断し(ステップS65)、処理を終了する。
【0169】
認証装置3Dでは、上述した通り、救済認証処理へ移行する場合、一次照合用生体情報入力で使用したものと同一の情報入力部20Aから、意図的に押捺角度(入力角度)を変更した指紋情報を複数回もしくは単数回入力する。そして、入力された情報(指紋の画像データ)から角度データが抽出され、予め登録されている角度データと比較照合され、一致すれば本人であると認証し、一連の認証処理を終了する。
【0170】
このような認証装置3D、および、認証装置3Dをそなえた個人認証システム1によれば、二次照合時には、情報入力部10や20Aを用いて利用者により意図的に押捺角度(入力角度)を変更・入力し、指紋の画像データから抽出された角度データを二次照合用登録データとして用いることで、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができる。
【0171】
つまり、情報入力部10や20Aを、一次照合用の生体特徴データを入力するためのデバイス、および、生体外特徴データ(意図的に変更される角度データ)を入力するためのデバイスとして兼用することができる。
従って、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができ、新たな装置を何ら付加することなく、一次照合および二次照合(救済照合)の両方を実行することができる。
【0172】
なお、上述した例では、指の入力角度により二次照合を行なう場合について説明したが、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合時)に、認証対象者が意図的に入力した、情報入力部20Aの画像入力面での指角度を用いて救済認証を行なっているが、指角度に代えて、情報入力部20Aの画像入力面での指の接触位置を二次照合用のデータとして用い、救済認証(二次照合)を行なってもよい。
【0173】
この場合も、入力角度の場合と同様、登録者は、画像入力面内における指の接触位置について独自のものを予め決めておく。そして、登録時には、登録装置2において、登録者が情報入力部10の画像入力面内における独自の位置に指を接触させた状態で、その指の画像データが情報入力部10によって採取され、その画像データから抽出部14によって接触位置が抽出され二次照合用登録データとしてデータ格納部6Aに登録される。
【0174】
一方、認証装置3Dでの二次照合時には、認証対象者が情報入力部20Dの画像入力画面内において独自の位置で指を接触させた状態で、その指の画像データが情報入力部20Aによって採取され、その画像データから、指の接触位置が第4抽出部(データ抽出部25D)によって認証対象データとして抽出される。
このようにして、指の接触位置を二次照合用のデータとして用いた場合も、上述した指の入力角度を二次照合用のデータとして用いた場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0175】
図16および図17は、本実施形態における認証装置の具体的な構成の第5例を説明するためのもので、図16はその認証装置3Eの構成を示すブロック図、図17はその認証装置3Eによる認証手順を説明するためのフローチャートである。なお、図16において既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0176】
図16に示す認証装置3Eでは、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合失敗時)に、認証対象者が、情報入力部20Aの指紋入力面/画像入力面から意図的に入力した接触軌跡情報(生体外情報)を使用して、救済認証を実現している。
接触軌跡情報については特に種別を定めないが、ここでは、接触軌跡情報を、例えば、フェルトペンなどで画像入力面に記入されたサインとし、その筆跡鑑定により救済認証(二次照合)を行なうものとして説明する。
【0177】
認証装置3Eを採用するに当たり、個人認証システム1の登録装置2においては、前述した通り、登録者は、情報入力部10の画像入力面に対し、予め決めた独自のパターン(サイン)を、指やペン状器具(フェルトペン等)を接触させながら描いて記入する。そして、その際に採取された画像データから、抽出部14により、接触軌跡情報を生体外特徴データとして抽出し、その接触軌跡情報を二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6Eに登録しておく。なお、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Eへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りである。
【0178】
さて、認証装置3Eは、図16に示すように、前述した情報入力部20A,生体特徴データ抽出部21Aおよび生体特徴データ照合部22Aのほか、照合判定部23E,二次照合移行判定部24E,筆跡データ抽出部25E,筆跡鑑定部26Eおよび最終本人判定部27Eをそなえて構成されている。
ここで、照合判定部(本人判定部)23Eは、図4に示した照合判定部23と同様の機能を果たすもので、照合部22Aからの一次照合結果を受けるとその一次照合での一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定するほか、後述する筆跡鑑定部26Eからの鑑定結果(二次照合結果)に基づいて接触軌跡情報(筆跡データ)の一致判定を行なうものである。
【0179】
二次照合移行判定部24Eは、図4に示した二次照合移行判定部24に対応するもので、照合判定部23Eにより一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0180】
筆跡データ抽出部(第4抽出部)25Eは、図4に示した二次照合用特徴データ抽出部25に対応するもので、ここでは、認証対象者(利用者)が、情報入力部20Aの画像入力面に対し予め決めた独自のパターン(サイン)を記入した際に得られた画像データから、認証対象データとして接触軌跡情報(筆跡データ)を認識して抽出するものである。
筆跡鑑定部(二次照合部)26Eは、図4に示した二次照合部26に対応するもので、筆跡データ抽出部25Eにより抽出された接触軌跡情報(筆跡データ)と、認証対象者についてデータ格納部6Eに予め登録されている接触軌跡情報(二次照合用登録データ)とを比較・照合し、筆跡の鑑定を行なうものである。
【0181】
最終本人判定部(本人判定部)27Eは、図4に示した最終本人判定部27に対応するもので、前述した照合判定部23Eと協動して、生体特徴データ照合部22Aや筆跡鑑定部26Eによる照合・鑑定結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23Eにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合や、認証対象者の記入したパターン(サイン)と二次照合用登録データとが一致したと判定された場合、認証対象者が本人であると判定・認証するものである。
【0182】
次に、上述のごとく構成された認証装置3Eによる認証手順を、図17に示すフローチャート(ステップS21〜S24およびS71〜S75)に従って説明する。
ステップS21〜S24は、図7に示す認証手順で行なった一次照合処理(ステップS21〜S23)および二次照合への移行判定処理(ステップS24)と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、認証装置3Eでは、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29を省略したので、図7のステップS25に対応する二次照合への移行判定処理は省略している。
【0183】
なお、照合判定部23Eにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS23のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27Eによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS74)、処理を終了する。
また、二次照合移行判定部24Eにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS24のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20Aから二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
【0184】
これに応じた認証対象者は、情報入力部20Aの画像入力面に対し、予め決めた独自のパターン(サイン)を指やペン状器具(フェルトペン等)を接触させながら描いて記入し、認証装置3Eでは、筆跡データ抽出部25Eにより、前記パターンの記入に際して得られた画像データから、接触軌跡情報(筆跡データ)を認証対象データ(生体外特徴データ)として抽出する(ステップS71)。
【0185】
そして、筆跡鑑定部26Eにおいて、筆跡データ抽出部25Eにより抽出された筆跡データと、認証対象者についてデータ格納部6Eに予め登録されている筆跡データとを比較・照合し(ステップS72)、照合判定部23Eにより筆跡データが一致したか否かを判定する(ステップS73)。
照合判定部23Eにより、筆跡データが一致していると判定された場合(ステップS73のYESルート)、最終本人判定部27Eによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS74)、処理を終了する。
【0186】
これに対し、照合判定部23Eにより、角度データが不一致であると判定された場合(ステップS73のNOルート)、最終本人判定部27Eにおいて「認証せず」と判断し(ステップS75)、処理を終了する。また、二次照合移行判定部24Eにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS24のNOルート)も、最終本人判定部27Eにおいて「認証せず」と判断し(ステップS75)、処理を終了する。
【0187】
認証装置3Eでは、上述した通り、救済認証処理へ移行する場合、一次照合用生体情報入力で使用したものと同一の情報入力部20Aから、意図的にサインを記入・入力する。そして、そのサイン記入時に得られた画像データから筆跡データが抽出され、予め登録されている筆跡データと比較照合され、一致すれば本人であると認証し、一連の認証処理を終了する。このとき、サイン認証には、単なる筆跡の一致比較手法を用いてもよいが、筆圧比較等を行なう一般的な筆跡鑑定技術を採用することでセキュリティをさらに向上させることができる。
【0188】
このような認証装置3E、および、認証装置3Eをそなえた個人認証システム1によれば、二次照合時には、情報入力部10や20Aを用いて利用者により意図的にサイン等のパターンを入力し、筆跡データ(接触軌跡情報)を二次照合用登録データとして用いることで、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができる。
【0189】
つまり、情報入力部10や20Aを、一次照合用の生体特徴データを入力するためのデバイス、および、生体外特徴データとしてのサインを入力するためのデバイスとして兼用することができる。
従って、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができ、サインを入力するための新たな装置を付加することなく、一次照合および二次照合(救済照合)の両方を実行することができる。
【0190】
図18および図19は、本実施形態における認証装置の具体的な構成の第6例を説明するためのもので、図18はその認証装置3Fの構成を示すブロック図、図19はその認証装置3Fによる認証手順を説明するためのフローチャートである。なお、図18において既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0191】
図18に示す認証装置3Fでは、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合失敗時)に、認証対象者が、情報入力部20Aの指紋入力面/画像入力面から意図的に入力した接触パターン情報(生体外情報)を使用して、救済認証を実現している。画像入力面に対する接触パターンについては特に種別を定めないが、ここでは、印鑑の押捺像を接触パターン情報として入力し、押捺によって得られる像を照合・判定して救済認証(二次照合)を行なうものとして説明する。
【0192】
認証装置3Fを採用するに当たり、個人認証システム1の登録装置2においては、前述した通り、登録者は、情報入力部10の画像入力面に対し登録者所有の印鑑を接触させ、その印鑑の押捺像を独自の接触パターンとして画像入力面上に形成する。そして、その状態で採取された画像データから、抽出部14により、接触パターンを生体外特徴データとして抽出し、その接触パターンを二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6Fに登録しておく。なお、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Fへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りである。
【0193】
さて、認証装置3Fは、図18に示すように、前述した情報入力部20A,生体特徴データ抽出部21Aおよび生体特徴データ照合部22Aのほか、照合判定部23F,二次照合移行判定部24F,印鑑データ抽出部25F,印鑑データ照合部26Fおよび最終本人判定部27Fをそなえて構成されている。
ここで、照合判定部(本人判定部)23Fは、図4に示した照合判定部23と同様の機能を果たすもので、照合部22Aからの一次照合結果を受けるとその一次照合での一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定するほか、後述する印鑑データ照合部26Fからの二次照合結果に基づいて接触パターン(印鑑データ)の一致判定を行なうものである。
【0194】
二次照合移行判定部24Fは、図4に示した二次照合移行判定部24に対応するもので、照合判定部23Fにより一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0195】
印鑑データ抽出部(第4抽出部)25Fは、図4に示した二次照合用特徴データ抽出部25に対応するもので、ここでは、認証対象者(利用者)が情報入力部20Aの画像入力面上において認証対象者所有の印鑑により独自の接触パターンを形成した際に得られた画像データから、認証対象データとして接触パターン(印鑑の押捺像,印鑑データ)を認識して抽出するものである。
【0196】
印鑑データ照合部(二次照合部)26Fは、図4に示した二次照合部26に対応するもので、印鑑データ抽出部25Fにより抽出された接触パターン(印鑑データ)と、認証対象者についてデータ格納部6Fに予め登録されている接触パターン(二次照合用登録データ)とを比較・照合するものである。
最終本人判定部(本人判定部)27Fは、図4に示した最終本人判定部27に対応するもので、前述した照合判定部23Fと協動して、生体特徴データ照合部22Aや印鑑データ照合部26Fによる照合結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23Fにより一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合や、認証対象者が入力した接触パターン(印鑑データ)と二次照合用登録データとが一致したと判定された場合、認証対象者が本人であると判定・認証するものである。
【0197】
次に、上述のごとく構成された認証装置3Fによる認証手順を、図19に示すフローチャート(ステップS21〜S24およびS81〜S85)に従って説明する。
ステップS21〜S24は、図7に示す認証手順で行なった一次照合処理(ステップS21〜S23)および二次照合への移行判定処理(ステップS24)と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、認証装置3Fでは、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29を省略したので、図7のステップS25に対応する二次照合への移行判定処理は省略している。
【0198】
なお、照合判定部23Fにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS23のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27Fによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS84)、処理を終了する。
また、二次照合移行判定部24Fにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS24のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20Aから二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
【0199】
これに応じた認証対象者は、情報入力部20Aの画像入力面上において、認証対象者所有の印鑑により独自の接触パターン(押捺像)を形成し、認証装置3Fでは、印鑑データ抽出部25Fにより、その接触パターンの形成に伴って得られた画像データから、接触パターン(印鑑データ)を認証対象データ(生体外特徴データ)として抽出する(ステップS81)。
【0200】
そして、印鑑データ照合部26Fにおいて、印鑑データ抽出部25Fにより抽出された印鑑データと、認証対象者についてデータ格納部6Fに予め登録されている印鑑データとを比較・照合し(ステップS82)、照合判定部23Fにより印鑑データが一致したか否かを判定する(ステップS83)。
照合判定部23Fにより、印鑑データが一致していると判定された場合(ステップS83のYESルート)、最終本人判定部27Fによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS84)、処理を終了する。
【0201】
これに対し、照合判定部23Fにより、印鑑データが不一致であると判定された場合(ステップS83のNOルート)、最終本人判定部27Fにおいて「認証せず」と判断し(ステップS85)、処理を終了する。また、二次照合移行判定部24Fにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS24のNOルート)も、最終本人判定部27Fにおいて「認証せず」と判断し(ステップS85)、処理を終了する。
【0202】
認証装置3Fでは、上述した通り、救済認証処理へ移行する場合、一次照合用生体情報入力で使用したものと同一の情報入力部20Aから、意図的に印鑑の押捺像を入力する。その際、印鑑の押捺像は情報入力部20Aにより画像データとして採取され、その画像データから印鑑データが抽出され、予め登録されている印鑑データと比較照合され、一致すれば本人であると認証し、一連の認証処理を終了する。
【0203】
このような認証装置3F、および、認証装置3Fをそなえた個人認証システム1によれば、二次照合時には、情報入力部10や20Aから利用者により印鑑等を用いて独自の接触パターンを入力し、その接触パターン(印鑑データ)を二次照合用登録データとして用いることで、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができる。
【0204】
つまり、情報入力部10や20Aを、一次照合用の生体特徴データを入力するためのデバイス、および、生体外特徴データとしての印鑑データを入力するためのデバイスとして兼用することができる。
従って、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができ、印鑑データを入力するための新たな装置を付加することなく、一次照合および二次照合(救済照合)の両方を実行することができる。
【0205】
なお、上述した例では、情報入力部10や20Aの画像入力面上において接触パターンを形成するために通常の印鑑を用いているが、例えば図20〜図24に示すような電子印鑑(パターン情報入力媒体)30,30Aを用いることもできる。
電子印鑑30,30Aは、利用者(登録者,認証対象者)によって所有・携帯され、登録時や二次照合時に情報入力部10や20Aに装着されるもので、この電子印鑑30,30Aを用いて二次照合用登録データをデータ格納部6Fに登録した場合には、当然、実際に二次照合を行なう際には同じ電子印鑑30,30Aを使用することになる。
【0206】
ここで、電子印鑑30は、情報入力部10,20Aが光学式指紋ユニットである場合に対応したもので、その構成・動作については図20〜図22を参照しながら後述する。また、電子印鑑30Aは、登録用生体情報入力部や認証用生体情報入力部が静電容量式指紋ユニット20A′である場合に対応したもので、その構成・動作については図23および図24を参照しながら後述する。
【0207】
図20は電子印鑑30の構成を示す縦断面図であり、図21(A),図21(B),図22(A)および図22(B)はいずれも電子印鑑30の動作を説明するためのもので、図21(A)および図22(A)は電子印鑑30の動作状態を示す縦断面図、図21(B)および図22(B)は指紋入力面20b上の接触パターンの例を示す平面図である。
図20に示すように、電子印鑑30の本体31の上面には、利用者によって把持される把持部31aが突出形成されるとともに、電子印鑑30の本体31の下面側には、指紋入力面20bと同形状(ここでは矩形)の枠部31bが突出形成されている。この枠部31bは、図21(A)や図22(A)に示すごとく電子印鑑30を情報入力部20A(10)に装着した状態で、枠部31bの内周形と指紋入力面20bの外形とが整合するように形成されている。
【0208】
そして、枠部31bの内側においては、複数本(ここでは4×4の16本)のピン32が、それぞれ、本体31に対して出入可能にそなえられている。これらのピン32は、それぞれ、本体31に内蔵された駆動機構(図示省略)によって摺動駆動されることによって、本体31に対して出入駆動されるようになっている。
また、各ピン32の先端面にはゴム膜(接触部)33が取り付けられており、図21(A)や図22(A)に示すごとく電子印鑑30を情報入力部20A(10)に装着した状態で各ピン32を突出駆動すると、ゴム膜33が、情報入力部20A(10)の指紋入力面20bに当接・接触し、所有者固有の接触パターンを形成するようになっている。
【0209】
このような電子印鑑30を用いることにより、前述した印鑑や指紋に代えて、二次照合用データを情報入力部20A(10)の指紋入力面20bから入力することができる。つまり、指紋の代わりにピン32が突出駆動され、その先端のゴム膜33が指紋入力面20bに接すると、接した部分のパターンが画像データとして登録装置2や認証装置3Fに取り込まれる。
【0210】
従って、16本のピン32のうち、どの位置のピン32を指紋入力面20bに接触させるかによって、図21(B)あるいは図22(B)に示すように、利用者毎に独自の接触パターン(印鑑データ)を設定することができる。
また、電子印鑑30の未使用時(即ち指紋入力面20bに装着していない時)には、ピン32は全て本体31の内部に格納されており、使用時(即ち指紋入力面20bへの装着時)にのみ、接触パターンに応じた所定のピン32が本体31から突出駆動される。
【0211】
このとき、複数のピン32の指紋入力面20bに対する接触パターンを時系列的に変化させ、その時系列的に変化する接触パターンを、二次照合用データ(印鑑データ)として使用することも可能である。
なお、図21(B)や図22(B)に示す例では、ピン32先端のゴム膜33によって指紋入力面20b上に形成される接触パターンの形状が、円形である場合について図示しているが、この形状に限定されるものではなく、他の形状の接触パターンを形成してもよい。また、ゴム膜33をピン32先端に取り付けているのは、指紋入力面20bとの接触を良好にするためであり、ピン32自体が指紋入力面20bと良好な接触を得られる材料で作られていれば、ゴム膜33を取り付ける必要はない。
【0212】
一方、図23は電子印鑑30Aの構成を示す縦断面図であり、図24(A),図24(B)はいずれも電子印鑑30Aの動作を説明するためのもので、図24(A)はその電子印鑑30Aの動作状態を示す縦断面図、図24(B)は指紋入力面20b上の接触パターンの例を示す平面図である。
図23に示すように、静電容量式指紋ユニット(情報入力部)20A′において、指紋入力面20bの外周には、グラウンドに接続された導電性メタルリング20cが配置されている。
【0213】
また、電子印鑑30Aの導電体製本体34の上面には、利用者によって把持される把持部34aが突出形成されるとともに、電子印鑑30Aの導電体製本体34の下面側には、指紋入力面20bと同形状(ここでは矩形)の枠部34bが突出形成されている。この枠部34bは、図24(A)に示すごとく電子印鑑30Aを情報入力部20A′に装着した状態で、枠部34bの内周形と指紋入力面20bの外形とが整合するとともに、枠部34bの下面と導電性メタルリング20cとが当接するように形成されている。
【0214】
そして、枠部34bの内側においては、複数本(ここでは3×4の12本)の導電性ピン35が、それぞれ、導電体製本体34に対して出入可能にそなえられている。各導電性ピン35と導電体製本体34との間には絶縁体37が介設されるほか、各導電性ピン35と導電体製本体34とは、スイッチ38のオン/オフ動作によって、電気的に接続されたり絶縁されたり切り換えられるようになっている。各スイッチ38のオン/オフ動作は、図示しない制御回路等によって制御される。また、これらの導電性ピン35は、導電体製本体34に内蔵された駆動機構(図示省略)によって一体的に摺動駆動されることによって、導電体製本体34に対して一斉に出入駆動されるようになっている。
【0215】
また、各導電性ピン35の先端面には導電性高分子膜(接触部)36が取り付けられており、図24(A)に示すごとく電子印鑑30Aを情報入力部20A′に装着した状態で導電性ピン35を突出駆動し、導電性高分子膜36を情報入力部20A′の指紋入力面20bに当接・接触させた状態で、スイッチ38をオン動作させて導電体製本体34と導電性ピン35とを電気的に接続すると、図24(B)に示すごとく、その導電性ピン35(導電性高分子膜36)の接触パターンが指紋入力面20b上に形成される。
【0216】
このような電子印鑑30Aを用いることにより、前述した印鑑や指紋に代えて、二次照合用データを情報入力部20A′(10)の指紋入力面20bから入力することができる。このとき、12本の導電性ピン35のうち、どの位置の導電性ピン35を、スイッチ38により導電体製本体34に電気的に接続するかによって、図24(B)に示すように、利用者毎に独自の接触パターン(印鑑データ)が設定され、その接触パターンが画像データとして登録装置2や認証装置3Fに取り込まれる。
【0217】
また、電子印鑑30Aの未使用時(即ち指紋入力面20bに装着していない時)には、導電性ピン35は全て導電体製本体34の内部に格納されており、使用時(即ち指紋入力面20bへの装着時)にのみ、導電性ピン35が導電体製本体34から突出駆動される。
このとき、複数のスイッチ38のオン/オフ動作を時系列的に切換制御することにより、指紋入力面20bに対する接触パターンを時系列的に変化させ、その時系列的に変化する接触パターンを、二次照合用データ(印鑑データ)として使用することも可能である。
【0218】
なお、図24(B)に示す例では、導電性ピン35先端の導電性高分子膜36によって指紋入力面20b上に形成される接触パターンの形状が、円形である場合について図示しているが、この形状に限定されるものではなく、他の形状の接触パターンを形成してもよい。
また、指紋入力面20bに導電性ピン35を直接接触させず、導電性ピン35と指紋入力面20bとの間に導電性高分子膜36を介在させているのは、静電容量方式指紋ユニット20A′の静電破壊を回避するため、且つ、指紋入力面20bに対して柔軟に接触させるためである。導電性ピン35自体が導電性高分子膜36と同様の特性を有している場合には、導電性高分子膜36を取り付ける必要はない。
【0219】
さらに、静電容量方式指紋ユニット20A′に対応した電子印鑑30Aは、光学式指紋ユニット20Aに対しても、前述した電子印鑑30と同様に、使用することが可能である。
また、上述した電子印鑑30や30Aを用いる場合、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Fへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りであり、認証装置3Fによる認証手順は、図19を参照しながら前述した通りである。
【0220】
上述のような電子印鑑30や30Aを用いることにより、接触パターンを容易に変更することができるほか、利用者(所有者)固有の接触パターンを、常に一定の状態で確実に情報入力部10,20A,20A′の指紋入力面20bに形成することができる。つまり、電子印鑑30,30Aは情報入力部10,20A,20A′と連携して一般的な印鑑と同様の機能を果たすことになる。
【0221】
従って、その所有者固有の接触パターンを二次照合用登録データとして予め登録しておけば、二次照合に際して、認証対象者は、一般的な印鑑を用紙上に押印する要領で電子印鑑30,30Aを指紋入力面20bに対して装着すれば、二次照合用のデータを個人認証システム1に入力することができ、この個人認証システム1側では既存の構成装置のみを用いて、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現することができる。
【0222】
図25および図26は、本実施形態における認証装置の具体的な構成の第7例を説明するためのもので、図25はその認証装置3Gの構成を示すブロック図、図26はその認証装置3Gによる認証手順を説明するためのフローチャートである。なお、図25において既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0223】
ここでは、情報入力部10や20Aの画像入力面での複数の異なる接触パターンもしくは複数の異なる接触点の位置のそれぞれに対応した文字データを予め設定しておき、情報入力部10や20Aにより画像データとして検知された接触パターンもしくは接触点の位置に対応する文字データを生体外特徴データとする。
例えば、情報入力部10や20Aの画像入力面上において、利用者(登録者,認証対象者)は、暗証番号やパスワード等と等価な、独自の文字データもしくは文字データ列に対応した接触パターンを形成するか、その文字データもしくは文字データ列に対応した位置に接触点を形成する。
【0224】
以下では、その文字データもしくは文字データ列に対応した位置に接触点を形成して、利用者固有の文字データ列を入力すべく、図27および図28に示すような簡易型キーボード(キーボード部)40を用いる場合について説明する。
図27および図28は、本実施形態で用いられる簡易型キーボード40の一例の構成および動作を説明するためのもので、図27(A)はその簡易型キーボード40を示す縦断面図、図27(B)はその簡易型キーボード40を示す平面図、図28(A)はその簡易型キーボード40の動作状態を示す縦断面図、図28(B)はその簡易型キーボード40によって形成される指紋入力面20b上の入力パターンの一例を示す平面図である。
【0225】
簡易型キーボード40は、情報入力部10,20Aが光学式指紋ユニットである場合に対応したもので、情報入力部10,20Aに対して着脱自在に設置されるものである。そして、図27(A)および図27(B)に示すように、簡易型キーボード40の本体41の下面側には、指紋入力面20bと同形状(ここでは矩形)の枠部41aが突出形成されている。この枠部41aは、図28(A)に示すごとく簡易型キーボード40を情報入力部20A(10)に装着した状態で、枠部41aの内周形と指紋入力面20bの外形とが整合するように形成されている。
【0226】
本体41には、複数本(ここでは3×3の9本)のキー42が、枠部41aの内側において貫通した状態で、上下摺動可能にそなえられている。各キー42は、図示しないバネ等により上方向に付勢されており、利用者が、前記バネの付勢力に対抗して各キー42の上面(キートップ42a)を下方向へ押圧すると、各キー42は下方向へ移動するようになっている。
【0227】
また、各キー42の先端面(下面)にはゴム膜43が取り付けられており、図28(A)に示すごとく簡易型キーボード40を情報入力部20A(10)に装着した状態で各キー42を下方向へ向けて押圧すると、ゴム膜43が、情報入力部20A(10)の指紋入力面20bに当接・接触するようになっている。
そして、9本のキー42のキートップ42aには、例えば“1”〜“9”の数字がそれぞれ記入されており、このとき、登録装置2の抽出部14や認証装置3Gのキーボード情報抽出部25Gには、各キー42により指紋入力面20b上に形成される接触点の位置と“1”〜“9”の数字との対応関係が、変換テーブル等として予め保持されている。
【0228】
これにより、図28(A)および図28(B)に示すごとく、例えば“5”を記入されたキー42を押下し、その先端面のゴム膜43を指紋入力面20bに接触させた状態で、その接触点(接触パターン)が情報入力部20A(10)により画像データとして読み取られる。そして、登録装置2の抽出部14や認証装置3Gのキーボード情報抽出部25Gは、画像データから接触点の位置を抽出し、前記変換テーブル等によりその位置に対応する数字“5”が入力されたものと認識・特定することができるようになっている。
【0229】
このような簡易型キーボード40,抽出部14やキーボード情報抽出部25Gを用いることにより、暗証番号やパスワード等と等価な、独自の文字データもしくは文字データ列を、二次照合用データとして情報入力部20A(10)の指紋入力面20bから入力することができる。つまり、指紋の代わりに簡易型キーボード40のキー42を押下操作することで、情報入力部20A(10)をキーボードと同様に機能させることが可能になり、利用者独自の文字データが登録装置2や認証装置3Gに取り込まれる。
【0230】
なお、図28(B)に示す例では、キー42先端のゴム膜43によって指紋入力面20b上に形成される接触パターンの形状が、円形である場合について図示しているが、この形状に限定されるものではなく、他の形状の接触パターンを形成してもよい。また、ゴム膜43をキー42先端に取り付けているのは、指紋入力面20bとの接触を良好にするためであり、キー42自体が指紋入力面20bと良好な接触を得られる材料で作られていれば、ゴム膜43を取り付ける必要はない。
【0231】
さらに、ゴム膜43自体を文字パターン形状とすることで、接触点の位置ではなく接触している文字パターン(接触パターン)の形状を、抽出部14やキーボード情報抽出部25Gによって判別して、入力された文字データを直接的に読み取るように構成してもよい。
また、簡易型キーボード40においてキー配列と各キー42の文字対応とについては必ずしも一律にする必要はなく、ユーザー毎に異なる設定とすることもできるほか、簡易型キーボード40からデータを入力する際には、1つのキー42だけを押下するのではなく、複数のキー42を組み合わせて同時に押した際の接触パターンを用いてデータ入力を行なうようにすることも可能である。
【0232】
図25に示す認証装置3Gでは、個人認証システム1での指紋による個人認証失敗時(一次照合失敗時)に、認証対象者が、情報入力部20Aの指紋入力面20bから、前述した簡易型キーボード40を用いて意図的に入力した文字データ列(生体外情報)を使用して、救済認証を実現している。
認証装置3Gを採用するに当たり、個人認証システム1の登録装置2においては、前述した通り、登録者は、情報入力部10の画像入力面から、簡易型キーボード40を用い、暗証番号やパスワード等と等価な独自の文字データ列を入力する。キー操作に伴って画像入力面上に形成される接触点(接触パターン)が情報入力部10により画像データとして読み取られ、抽出部14により、その画像データから接触点の位置が得られ、その位置が、対応する文字データに変換される。このようにして得られた文字データ列(キーボードパターンデータ,キーボード情報)を、二次照合用登録データとして二次照合用データ格納部6Gに登録しておく。なお、登録装置2による一次照合用データ格納部5Aや二次照合用データ格納部6Gへのデータ登録手順は、図3を参照しながら前述した通りである。
【0233】
さて、認証装置3Gは、図25に示すように、前述した情報入力部20A,生体特徴データ抽出部21Aおよび生体特徴データ照合部22Aのほか、照合判定部23G,二次照合移行判定部24G,キーボード情報抽出部25G,データ照合部26Gおよび最終本人判定部27Gをそなえて構成されている。
ここで、照合判定部(本人判定部)23Gは、図4に示した照合判定部23と同様の機能を果たすもので、照合部22Aからの一次照合結果を受けるとその一次照合での一致率が一次照合合格しきい値n以上であるか否かを判定するほか、後述するデータ照合部26Gからの二次照合結果に基づいて接触パターン(印鑑データ)の一致判定を行なうものである。
【0234】
二次照合移行判定部24Gは、図4に示した二次照合移行判定部24に対応するもので、照合判定部23Gにより一次照合の一致率が一次照合合格しきい値nよりも小さいと判定された場合、その一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s(s<n)以上であるか否かを判定し、その判定結果に基づき、二次照合の必要性、つまり二次照合へ移行するか否かを判定するものである。
【0235】
キーボード情報抽出部(第4抽出部)25Gは、図4に示した二次照合用特徴データ抽出部25に対応するもので、ここでは、認証対象者(利用者)が情報入力部20Aの画像入力面から簡易型キーボード40を用いて入力した接触パターンの画像データから、前記変換テーブル等を用い、その接触パターン(接触点の位置)を文字データ(キーボード情報)に変換するものである。
【0236】
データ照合部(二次照合部)26Gは、図4に示した二次照合部26に対応するもので、キーボード情報抽出部25Gにより抽出された文字データ(キーボードパターンデータ)と、認証対象者についてデータ格納部6Gに予め登録されているキーボードパターンデータ(二次照合用登録データ)とを比較・照合するものである。
最終本人判定部(本人判定部)27Gは、図4に示した最終本人判定部27に対応するもので、前述した照合判定部23Gと協動して、生体特徴データ照合部22Aやデータ照合部26Gによる照合結果に基づいて認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部として機能するもので、照合判定部23Gにより一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合や、認証対象者が入力したキーボードパターンデータと二次照合用登録データとが一致したと判定された場合、認証対象者が本人であると判定・認証するものである。
【0237】
次に、上述のごとく構成された認証装置3Gによる認証手順を、図26に示すフローチャート(ステップS21〜S24およびS91〜S95)に従って説明する。
ステップS21〜S24は、図7に示す認証手順で行なった一次照合処理(ステップS21〜S23)および二次照合への移行判定処理(ステップS24)と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、認証装置3Gでは、二次照合移行設定部28および個人情報設定部29を省略したので、図7のステップS25に対応する二次照合への移行判定処理は省略している。
【0238】
なお、照合判定部23Gにより、一次照合の一致率がしきい値n以上であると判定された場合(ステップS23のYESルート)、一次照合で、認証対象者を本人であると判断するのに充分な一致率が得られており、最終本人判定部27Gによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS94)、処理を終了する。
また、二次照合移行判定部24Gにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値s以上であると判定された場合(ステップS24のYESルート)、指示部20aが動作し、認証対象者に対して、情報入力部20Aから二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す。
【0239】
これに応じた認証対象者は、情報入力部20Aの画像入力面において、簡易型キーボード40を操作して独自の文字データに対応した位置に接触点を形成し、認証装置3Gでは、その接触点が情報入力部20Aによって画像データとして採取され、キーボード情報抽出部25Gにより、画像データ中の接触点の位置を文字データに変換することで、簡易型キーボード40により入力されたキーボードパターンデータが認証対象データ(生体外特徴データ)として抽出されるステップS91)。
【0240】
そして、データ照合部26Gにおいて、キーボード情報抽出部25Gにより抽出されたキーボードパターンデータと、認証対象者についてデータ格納部6Gに予め登録されているキーボードパターンデータとを比較・照合し(ステップS92)、照合判定部23Gによりキーボードパターンデータが一致したか否かを判定する(ステップS93)。
照合判定部23Gにより、キーボードパターンデータが一致していると判定された場合(ステップS93のYESルート)、最終本人判定部27Gによって認証対象者が本人であると判定・認証し(ステップS94)、処理を終了する。
【0241】
これに対し、照合判定部23Gにより、キーボードパターンデータが不一致であると判定された場合(ステップS93のNOルート)、最終本人判定部27Gにおいて「認証せず」と判断し(ステップS95)、処理を終了する。また、二次照合移行判定部24Gにより、一次照合の一致率が二次照合移行しきい値sよりも小さいと判定された場合(ステップS24のNOルート)も、最終本人判定部27Gにおいて「認証せず」と判断し(ステップS95)、処理を終了する。
【0242】
認証装置3Gでは、上述した通り、救済認証処理へ移行する場合、一次照合用生体情報入力で使用したものと同一の情報入力部20Aから、意図的に文字データや文字データ列を入力する。その際、文字データは簡易型キーボード40を用いることで情報入力部20Aにより画像データとして採取され、その画像データからキーボードパターンデータが抽出され、予め登録されているキーボードパターンデータと比較照合され、一致すれば本人であると認証し、一連の認証処理を終了する。
【0243】
このような認証装置3G、および、認証装置3Gをそなえた個人認証システム1によれば、二次照合時には、情報入力部10や20Aから簡易型キーボード40を用いて利用者により独自の文字パターンや文字パターン列を入力し、その文字パターン(キーボードパターンデータ)を二次照合用登録データとして用いることで、一次照合および二次照合のそれぞれに必要な、利用者にかかるデータを一つの情報入力部10や20Aから入力することができる。
【0244】
つまり、本実施形態では、情報入力部10,20Aに着脱自在に設置される簡易型キーボード40を用い、この簡易型キーボード40による入力を抽出部14や25Gにより文字データに変換することで、情報入力部10,20Aをキーボードやテンキーとして機能させることができ、キーボードやテンキーそのものをそなえることなく、利用者は、簡易型キーボード40を用いて情報入力部10,20Aから文字データや文字データ列を容易に入力することができる。ここで、抽出部14や25Gとしての機能は、ソフトウェアとして実現されるものであり、ハードウェアとして追加されるべきものは、画像入力面に装着される簡易型キーボード40のみである。
【0245】
従って、暗証番号やパスワード等と等価な文字データや文字データ列を予め登録しておけば、二次照合に際して、認証対象者は、暗証番号やパスワードをキーボードやテンキーから入力する要領で、画像入力面から二次照合用の文字データや文字データ列を個人認証システム1に入力することができ、この個人認証システム1側では既存の構成装置を用いて、複雑化や高コスト化を招くことなく個人認証の救済措置を実現することができる。
【0246】
次に、図29および図30を参照しながら、静電容量式指紋ユニット20A′である場合に対応した簡易型キーボード(キーボード部)40Aの構成・動作について説明する。
図29および図30は、本実施形態で用いられる簡易型キーボード40Aの構成を示すもので、図29(A)はその簡易型キーボード40Aを示す縦断面図、図29(B)はその簡易型キーボード40Aを示す平面図、図30(A)はその簡易型キーボード40Aの動作状態を示す縦断面図、図30(B)はその簡易型キーボード40Aによって形成される指紋入力面20b上の入力パターンの一例を示す平面図である。
【0247】
簡易型キーボード40Aは、情報入力部が静電容量式指紋ユニット20A′である場合に対応したもので、そのユニット(情報入力部)20A′に対して着脱自在に設置されるものである。そして、図29(A)および図30(A)に示すように、簡易型キーボード40Aの導電体製本体44の下面側には、指紋入力面20bと同形状(ここでは矩形)の枠部44aが突出形成されている。この枠部44aは、図30(A)に示すごとく簡易型キーボード40Aを情報入力部20A′に装着した状態で、枠部44aの内周形と指紋入力面20bの外形とが整合するとともに、枠部44aの下面と導電性メタルリング20cとが当接するように形成されている。
【0248】
導電体製本体44には、複数本(ここでは3×3の9本)の導電性キー45が、枠部44aの内側において貫通した状態で上下摺動可能にそなえられている。各導電性キー45と導電体製本体44との間には絶縁体37が介設されるほか、各導電性キー45は図示しないバネ等により上方向に付勢されており、利用者が、前記バネの付勢力に対抗して各導電性キー45の上面(キートップ45a)を下方向へ押圧すると、各導電性キー45は下方向へ移動するようになっている。
【0249】
導電体製本体44および各導電性キー45には、それぞれスイッチ片48aおよび48bが突設されている。各導電性キー45が前記バネの付勢力により上方向へ移動している場合、図29(A)に示すごとく、これらのスイッチ片48aと48bとは離隔した状態(オフ状態)で、導電体製本体44と各導電性キー45とは絶縁されている。これに対し、利用者の押下操作により各導電性キー45が下方向へ移動すると、図30(A)に示すごとく、これらのスイッチ片48aと48bとは接触した状態(オン状態)となり、導電体製本体44と各導電性キー45とは電気的に接続されることになる。
【0250】
また、各導電性キー45の先端面には導電性高分子膜46が取り付けられており、図30(A)に示すごとく簡易型キーボード40Aを情報入力部20A′に装着した状態で導電性キー45を押下し、導電性高分子膜46を情報入力部20A′の指紋入力面20bに当接・接触させると、スイッチ片48aと48bとが接触して導電体製本体44と導電性キー45とが電気的に接続され、図30(B)に示すごとく、その導電性キー45(導電性高分子膜46)の接触パターンが指紋入力面20b上に形成される。
【0251】
そして、この簡易型キーボード40Aにおいても、9本の導電性キー45のキートップ45aには、例えば“1”〜“9”の数字がそれぞれ記入され、この簡易型キーボード40Aも、前述した簡易型キーボード40と同様に機能する。
これにより、図30(A)および図30(B)に示すごとく、例えば“5”を記入された導電性キー45を押下し、その先端面の導電性高分子膜46を指紋入力面20bに接触させると、指紋入力面20b上に形成された接触点(接触パターン)が情報入力部20A(10)により画像データとして読み取られる。そして、登録装置2の抽出部14や認証装置3Gのキーボード情報抽出部25Gは、画像データから接触点の位置を抽出し、前記変換テーブル等によりその位置に対応する数字“5”が入力されたものと認識・特定することができるようになっている。
【0252】
このような簡易型キーボード40Aを用いることにより、情報入力部が静電容量式指紋ユニット20A′である場合にも、簡易型キーボード40を用いた場合と同様の作用効果を得ることができる。
なお、図30(B)に示す例では、導電性キー45先端の導電性高分子膜46によって指紋入力面20b上に形成される接触パターンの形状が、円形である場合について図示しているが、この形状に限定されるものではなく、他の形状の接触パターンを形成してもよい。
【0253】
また、電子印鑑30Aの場合と同様、指紋入力面20bに導電性キー45を直接接触させず、導電性キー45と指紋入力面20bとの間に導電性高分子膜46を介在させているのは、静電容量方式指紋ユニット20A′の静電破壊を回避するため、且つ、指紋入力面20bに対して柔軟に接触させるためである。導電性キー45自体が導電性高分子膜46と同様の特性を有している場合には、導電性高分子膜46を取り付ける必要はない。
【0254】
さらに、静電容量方式指紋ユニット20A′に対応した簡易型キーボード40Aは、光学式指紋ユニット20Aに対しても、前述した簡易型キーボード40と同様に、使用することが可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0255】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 登録者の生体情報を採取するための登録用生体情報入力部を有し、該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から、照合用データを得て登録する登録装置と、
認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について該登録装置により予め登録されている該照合用データを用いて照合・判定する認証装置とをそなえ、
該登録装置が、
該登録用生体情報入力部により採取された該登録者の生体情報から生体特徴データを抽出し該生体特徴データを一次照合用登録生体特徴データとして登録する第1抽出部と、
該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から、前記一次照合用登録生体特徴データとは異なるデータを抽出し該データを二次照合用登録データとして登録する第2抽出部とをそなえて構成されていることを特徴とする、生体情報を用いた個人認証システム。
【0256】
(付記2) 該登録装置が、該第1抽出部により抽出された該一次照合用登録生体特徴データの状態を判定する状態判定部をそなえ、
該状態判定部による判定結果に応じて該第2抽出部による抽出・登録が実行されることを特徴とする、付記1記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記3) 該認証装置が、
認証対象者の生体情報を採取するための認証用生体情報入力部と、
該認証用生体情報入力部により採取された該認証対象者の生体情報から、認証対象生体特徴データを抽出する第3抽出部と、
該第3抽出部により抽出された該認証対象生体特徴データと該認証対象者について該登録装置により予め登録されている該一次照合用登録生体特徴データとを照合する一次照合部と、
該一次照合部による照合結果に基づいて二次照合の必要性を判定する二次照合移行判定部と、
該二次照合移行判定部により該二次照合を行なう必要がある判定された場合、これに応じ該認証用生体情報入力部を用いて入力された情報から、該二次照合用登録データに対応する認証対象データを抽出する第4抽出部と、
該第4抽出部により抽出された該認証対象データと該認証対象者について該登録装置により予め登録されている該二次照合用登録データとを照合する二次照合部と、
該一次照合部または該二次照合部による照合結果に基づいて該認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記1または付記2に記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0257】
(付記4) 該認証装置が、
該二次照合移行判定部により該二次照合を行なう必要があると判定された場合、該認証対象者に対し、該認証用生体情報入力部を用いて、該二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す指示部をそなえたことを特徴とする、付記3記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0258】
(付記5) 該認証装置が、
該二次照合部による照合を行なうか否かを任意に設定する二次照合移行設定部をそなえたことを特徴とする、付記3または付記4に記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記6) 該認証装置が、
登録者毎に、該二次照合部による照合を行なうか否かについての情報を個人情報として予め設定する個人情報設定部をそなえたことを特徴とする、付記3または付記4に記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0259】
(付記7) 該二次照合用登録データが、一次照合時の生体情報と同一種別であるが、該一次照合時に生体情報を採取する部位とは異なる部位について採取された生体情報から抽出された生体特徴データであることを特徴とする、付記1〜付記6のいずれか1項に記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記8) 該生体情報が指紋画像データであり、該二次照合用登録データが、該一次照合用登録生体特徴データを得た指とは異なる1本以上の指の指紋画像データから抽出された生体特徴データであることを特徴とする、付記7記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0260】
(付記9) 該二次照合用登録データが、一次照合時の生体情報と同一種別であり、同一部位もしくは異なる部位について採取された生体情報から抽出された、該一次照合時の生体特徴データとは異なる種別の生体特徴データであることを特徴とする、付記1〜付記6のいずれか1項に記載の生体情報を用いた
個人認証システム。
【0261】
(付記10) 該生体情報が指紋画像データであり、該二次照合用登録データが、該一次照合用登録生体特徴データを得た指と同一の指もしくは異なる1本以上の指の指紋画像データから抽出された、該一次照合時の生体特徴データとは異なる種別の生体特徴データであることを特徴とする、付記9記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記11) 該二次照合用登録データが、該登録用生体情報入力部を用いて該登録者により意図的に入力された生体外特徴データであることを特徴とする、付記3〜付記6のいずれか1項に記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0262】
(付記12) 該生体外特徴データが、該登録者により決められたパターンを有する時系列データであることを特徴とする、付記11記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記13) 該生体情報が所定の生体部位の画像データであり、該生体外特徴データが、該登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、該登録用生体情報入力部の画像入力面内における該所定の生体部位の入力角度であることを特徴とする、付記11記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0263】
(付記14) 該生体情報が所定の生体部位の画像データであり、該生体外特徴データが、該登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、該登録用生体情報入力部の画像入力面内における該所定の生体部位の接触位置であることを特徴とする、付記11記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記15) 該生体情報が所定の生体部位の画像データであり、該生体外特徴データが、該登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、該登録用生体情報入力部の画像入力面に対する接触軌跡情報であることを特徴とする、付記11記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0264】
(付記16) 該生体情報が所定の生体部位の画像データであり、該生体外特徴データが、該登録用生体情報入力部により画像データとして検知される、該登録用生体情報入力部の画像入力面での接触パターンであることを特徴とする、付記11記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記17) 該接触パターンが、該登録者によって所有・携帯されうるパターン情報入力媒体により形成されるものであり、 該パターン情報入力媒体が、該登録用生体情報入力部の画像入力面に接触して該接触パターンを形成する接触部を有していることを特徴とする、付記16記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0265】
(付記18) 該パターン情報入力媒体が、該接触パターンとして、時系列的に変化するパターンを該接触部により形成することを特徴とする、付記17記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記19) 該生体情報が所定の生体部位の画像データであり、
該登録用生体情報入力部の画像入力面での複数の異なる接触パターンもしくは複数の異なる接触点の位置のそれぞれに対応した文字データが予め設定されるとともに、
該生体外特徴データが、該登録用生体情報入力部により画像データとして検知された該接触パターンもしくは該接触点の位置に対応する文字データであることを特徴とする、付記11記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0266】
(付記20) 該生体外特徴データが、時系列的に連続入力される文字データ列であることを特徴とする、付記19記載の生体情報を用いた個人認証システム。
(付記21) 該登録装置および該認識装置において、
該生体情報入力部に着脱自在に設置され、キー操作に応じて該生体情報入力部の画像入力面に接触することにより該接触パターンもしくは該接触点を形成しうるキーボード部と、
該キーボード部のキー操作に応じて形成された該接触パターンもしくは該接触点の位置を、対応する文字データに変換して出力するキーボード情報抽出部とがそなえられていることを特徴とする、付記19又は付記20に記載の生体情報を用いた個人認証システム。
【0267】
(付記22) 登録用生体情報入力部により登録者の生体情報を採取し、その生体情報から抽出された生体特徴データを一次照合用生体登録特徴データとして登録するとともに、該登録用生体情報入力部を用い前記一次照合用登録生体特徴データとは異なる二次照合用登録データを入力して登録する登録ステップと、
認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について予め登録されている該一次照合用登録生体特徴データまたは該二次照合用登録データを用いて照合・判定する認証ステップとを含むことを特徴とする、生体情報を用いた個人認証方法。
【0268】
(付記23) 該認証ステップにおいて、
認証用生体情報入力部により該認証対象者の生体情報を採取し、その生体情報から抽出された認証対象生体特徴データと該認証対象者について予め登録されている該一次照合用登録生体特徴データとを照合し、その照合結果に基づいて二次照合の必要性を判定し、該二次照合を行なう必要がある場合、該認証対象者に、該認証用生体情報入力部を用いて、該二次照合用登録データに対応する認証対象データを入力させ、その認証対象データと該認証対象者について予め登録されている該二次照合用登録データとを照合し、その照合結果に基づいて該認証対象者が本人であるか否かを判定することを特徴とする、付記22記載の生体情報を用いた個人認証方法。
【0269】
(付記24) 生体情報を用いて個人の認証を行なうシステムにおいて、登録者の生体情報を採取するための登録用生体情報入力部を有し、該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から、照合用データを得て登録する登録装置であって、
該登録用生体情報入力部により採取された該登録者の生体情報から生体特徴データを抽出し該生体特徴データを一次照合用登録生体特徴データとして登録する第1抽出部と、
該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から、前記一次照合用登録生体特徴データとは異なるデータを抽出し該データを二次照合用登録データとして登録する第2抽出部とをそなえて構成されていることを特徴とする、生体情報を用いた個人認証システム用登録装置。
【0270】
(付記25) 該第1抽出部により抽出された該一次照合用登録生体特徴データの状態を判定する状態判定部をそなえ、
該状態判定部による判定結果に応じて該第2抽出部による抽出・登録が実行されることを特徴とする、付記24記載の生体情報を用いた個人認証システム用登録装置。
(付記26) 生体情報を用いて個人の認証を行なうシステムにおいて、認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について予め登録されている照合用データを用いて照合・判定する認証装置であって、
認証対象者の生体情報を採取するための認証用生体情報入力部と、
該認証用生体情報入力部により採取された該認証対象者の生体情報から、認証対象生体特徴データを抽出する第3抽出部と、
該第3抽出部により抽出された該認証対象生体特徴データと該認証対象者について予め登録されている一次照合用登録生体特徴データとを照合する一次照合部と、
該一次照合部による照合結果に基づいて二次照合の必要性を判定する二次照合移行判定部と、
該二次照合移行判定部により該二次照合を行なう必要がある判定された場合、これに応じ該認証用生体情報入力部を用いて入力された情報から、該認証対象について予め登録されている二次照合用登録データに対応する認証対象データを抽出する第4抽出部と、
該第4抽出部により抽出された該認証対象データと該二次照合用登録データとを照合する二次照合部と、
該一次照合部または該二次照合部による照合結果に基づいて該認証対象者が本人であるか否かを判定する本人判定部とをそなえて構成されていることを特徴とする、生体情報を用いた個人認証システム用認証装置。
【0271】
(付記27) 該二次照合移行判定部により該二次照合を行なう必要があると判定された場合、該認証対象者に対し、該認証用生体情報入力部を用いて、該二次照合用データに対応する認証対象データを入力するように促す指示部をそなえたことを特徴とする、付記26記載の生体情報を用いた個人認証システム用認証装置。
(付記28) 生体情報を用いて個人の認証を行なうべく該生体情報を画像データとして採取するための生体情報入力部をそなえたシステムにおいて、該生体情報入力部に装着され、該生体情報の代わりに該生体情報入力部によって検知されるべき所有者固有の接触パターンを、該生体情報入力部の画像入力面に接触して形成する接触部を有し、該所有者によって携帯されるように構成されていることを特徴とする、生体情報を用いた個人認証システム用パターン情報入力媒体。
【0272】
(付記29) 該接触パターンとして、該接触部が時系列的に変化するパターンを形成するように構成されていることを特徴とする、付記28記載の生体情報を用いた個人認証システム用パターン情報入力媒体。
【符号の説明】
【0273】
1 生体情報を用いた個人認証システム
2 生体情報を用いた個人認証システム用登録装置
3,3A〜3G 生体情報を用いた個人認証システム用認証装置
4 通信ネットワーク
5,5A 一次照合用データ格納部(データベース)
6,6A〜6G 二次照合用データ格納部(データベース)
10 情報入力部(登録用生体情報入力部)
10a 指示部
11 一次照合用生体特徴データ抽出部(第1抽出部)
12 一次照合部(状態判定部)
13 一次照合判定部(状態判定部)
14 二次照合用特徴データ抽出部(第2抽出部)
20 情報入力部(認証用生体情報入力部)
20A 情報入力部(認証用生体情報入力部,光学式指紋ユニット)
20A′ 情報入力部(認証用生体情報入力部,静電容量式指紋ユニット)
20a 指示部
20b 指紋入力面(画像入力面)
20c 導電性メタルリング
21 一次照合用生体特徴データ抽出部(第3抽出部)
21A 生体特徴データ抽出部(第3抽出部,第4抽出部)
22 一次照合部
22A 生体特徴データ照合部(一次照合部,二次照合部)
23,23A〜23G 照合判定部(本人判定部)
24,24A〜24G 二次照合移行判定部
25 二次照合用特徴データ抽出部(第4抽出部)
25B 紋様データ抽出部(第4抽出部)
25C 信号データ抽出部(第4抽出部)
25D 角度データ抽出部(第4抽出部)
25E 筆跡データ抽出部(第4抽出部)
25F 印鑑データ抽出部(第4抽出部)
25G キーボード情報抽出部(第4抽出部)
26 二次照合部
26B 紋様データ照合部(二次照合部)
26C 信号データ照合部(二次照合部)
26D 角度データ照合部(二次照合部)
26E 筆跡鑑定照合部(二次照合部)
26F 印鑑データ照合部(二次照合部)
26G データ照合部(二次照合部)
27,27A〜27G 最終本人判定部
28 二次照合移行設定部
29 個人情報設定部
30,30A 電子印鑑(パターン情報入力媒体)
31 本体
31a 把持部
31b 枠部
32 ピン
33 ゴム膜(接触部)
34 導電体製本体
34a 把持部
34b 枠部
35 導電性ピン
36 導電性高分子膜(接触部)
37 絶縁体
38 スイッチ
40,40A 簡易型キーボード(キーボード部)
41 本体
41a 枠部
42 キー
42a キートップ
43 ゴム膜
44 導電体製本体
44a 枠部
45 導電性キー
45a キートップ
46 導電性高分子膜
47 絶縁体
48a,48b スイッチ片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録者の生体情報を採取するための登録用生体情報入力部を有し、該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から、照合用データを得て登録する登録装置と、
認証対象者が本人であるか否かを、その認証対象者について該登録装置により予め登録されている該照合用データを用いて照合・判定する認証装置とをそなえ、
該登録装置が、
該登録用生体情報入力部により採取された該登録者の生体情報から生体特徴データを抽出し該生体特徴データを一次照合用登録生体特徴データとして登録する第1抽出部と、
該登録用生体情報入力部を用いて入力された情報から、前記一次照合用登録生体特徴データとは異なるデータを抽出し該データを二次照合用登録データとして登録する第2抽出部とをそなえて構成されていることを特徴とする、生体情報を用いた個人認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−163767(P2009−163767A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97518(P2009−97518)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【分割の表示】特願2000−127960(P2000−127960)の分割
【原出願日】平成12年4月27日(2000.4.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】