説明

生体情報測定装置および生体情報測定方法

【課題】音響光学効果を利用した生体情報測定装置において、適切な解像度による測定を可能とする技術を提供する。
【解決手段】生体情報測定装置は、被検体に光を照射する光源1−7と被検体内の測定位置を通過した光を検出する光検出器1−20とを有し、超音波による音響光学効果を利用して測定位置の情報を取得する。この生体情報測定装置は、互いに異なる方向の超音波ビームを送信する複数のトランスデューサアレイ1−5、1−6と、複数の超音波ビームが測定位置においてそれぞれ集束し、且つ、互いに交わるようにトランスデューサアレイを制御する重畳領域制御部1−14と、測定位置とトランスデューサアレイとの間の距離に応じてトランスデューサアレイの開口径を変化させる開口制御部1−16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響光学効果を利用して生体内部の光学特性を測定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生体イメージングの技術領域において、光を用いて生体内部を画像化する試みがなされている。光を用いることにより、X線イメージングにおいて問題となる被曝を避けることができる。生体組織の分光情報を取得し、分光情報を基に生体構成成分の構成比率・濃度分析を行うことで機能イメージングが可能となる。
【0003】
光を用いた生体内部のイメージングでは、生体による吸収が比較的少ない近赤外領域の光を用いている。しかし、光は生体組織による散乱の影響を強く受ける。生体に侵入した光の大部分は数ミリメートル程度で直進性を失い、その後は散乱される。数センチメートルの厚さの生体では、光は非常に多くの散乱(多重散乱)を受けるため、検出された光の伝搬経路を特定することが難しい。このため、光によって生体内の局所的な分光特性を得ることは困難である。
【0004】
光の伝搬経路を特定し、検出光から生体内の局所的な分光情報を得るために、光と超音波の相互作用である音響光学効果を利用した手法が提案されている。この測定方法はAOT(Acousto-Optical Tomography:音響光学トモグラフィー)として知られている。光に比べて生体による吸収・散乱が小さい超音波を生体内部に集束させ、音響光学効果を利用して集束領域の光のみを超音波により変調することによって識別できるようにする。このように、超音波によって特定領域を識別できるようにすることを「タグ付けする」と呼ぶことにする。検出された光の中からタグ付けされた光(音響光信号)のみを抽出することで、超音波の集束領域を通過した光を特定することができる。なお、音響光は以後、変調光と言うこともある。タグ付けされた光を分析することで、生体内の局所領域の分光情報を取得することができる可能性がある。超音波の集束領域の位置と大きさを適切に設定することにより、所望の解像度を得ることができる。
【0005】
特許文献1では、音響光信号による測定を用いて酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度に関する情報を取得している。特許文献2では、パルス超音波により生じる音響光信号により、物体内の吸収体を検出している。
【特許文献1】米国特許第6738653号明細書
【特許文献2】米国特許第6815694号明細書
【非特許文献1】Sava Sakadzic and L.V.Wang, “Ultrasonic modulation of multiply scattered coherent light: An analytical model for anisotropically scattering media”, Phys. Rev. E66, 026603 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
音響光信号による測定の解像度は、音響光学効果が生じる超音波集束領域の大きさに依存する。超音波はトランスデューサにより発生し、超音波集束領域の大きさはトランスデューサの駆動周波数、開口径、トランスデューサ−集束点間距離に依存する。図5は、トランスデューサ開口径20[mm]、トランスデューサ−音圧最大値間距離26[mm]、駆動周波数1[MHz]、媒質音速1480[m/s]とし、図6のような座標系をとった場合の連続超音波による
音場(超音波ビーム)を計算したものである。図6において、トランスデューサの振動面はx−y平面上にあり、振動面の中心は原点Oに一致している。音圧最大点は座標(x、
y、z)=(0[mm]、0[mm]、26[mm])にある。トランスデューサの開口は円形で、その径は20[mm]である。図7は、図5の超音波ビームの半値領域を示したものである。半値領域とは、最大音圧の半値以上の音圧を持つ領域である。
【0007】
ここで半値領域を超音波集束領域と呼ぶと、超音波集束領域の超音波進行方向に垂直な方向の幅(横集束サイズ、若しくは超音波ビームの集束点における幅、と呼ぶ)に比べ、超音波進行方向に沿った長さ(縦集束サイズと呼ぶ)は大きいことがわかる。それゆえ、横集束サイズを基準にして音響光信号による測定の解像度を設定すると、超音波進行方向の解像度が所望の解像度よりも低下しまうという問題が生じる。
【0008】
また特許文献1のようにトランスデューサアレイによる電子スキャンを行う場合、測定点の深さ(トランスデューサと測定点の距離)に応じて超音波集束領域の大きさ(横集束サイズ及び縦集束サイズ)が異なる。具体的には、被検体の最深部においては、トランスデューサ−集束点間の距離に対してトランスデューサの開口径が相対的に小さくなるため、超音波集束領域の大きさが最も大きくなる。一方、トランスデューサ−集束点間の距離が小さい表面近傍では、超音波集束領域が小さくなる。このように超音波集束領域の大きさに違いがあると、被検体内を一定の解像度で測定することができず、測定点の深さに応じて測定の信頼性にばらつきが生じる可能性がある。また、被検体浅部では、検出対象の大きさに比べて超音波集束領域が小さくなりすぎ、不必要な(過剰な)測定が増えてしまう。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、音響光学効果を利用した生体情報測定装置において、適切な解像度による測定を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
【0011】
本発明は、被検体に光を照射する光源手段と前記被検体内の測定位置を通過した光を検出する光検出手段とを有し、超音波による音響光学効果を利用して前記測定位置の情報を取得する生体情報測定装置において、互いに異なる方向の超音波ビームを送信する複数の超音波発生手段と、前記複数の超音波発生手段から送信される複数の超音波ビームが前記測定位置においてそれぞれ集束し、且つ、互いに交わるように前記超音波発生手段を制御する集束制御手段と、前記測定位置と前記超音波発生手段との間の距離に応じて前記超音波発生手段の開口径を変化させる開口径制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、音響光学効果を利用した生体情報測定装置において、適切な解像度による測定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0014】
[第一の実施形態]
(装置構成)
図1は、本発明を適用できる第一の実施形態での生体情報測定装置の概略構成図である。この生体情報測定装置は、被検体1−1に光を照射する光源手段である光源1−7と、被検体内の測定位置を通過した光を検出する光検出手段である光検出器1−20とを備え、超音波による音響光学効果を利用して測定位置の情報を取得する装置である。測定位置の情報としては、当該測定位置における局所的な光学特性(光吸収散乱特性など)を得る
ことができる。生体情報測定装置は、互いに異なる方向の超音波ビームを送信する複数(この例では2つ)の超音波発生手段であるトランスデューサアレイ1−5,1−6と、その超音波発生手段を制御するためのトランスデューサアレイ制御部1−18とを備える。トランスデューサアレイ制御部1−18は、概略、集束制御手段である重畳領域制御部1−14、開口径制御手段である開口制御部1−16、位相制御手段である位相制御部1−17を有する。重畳領域制御部1−14は、複数の超音波ビームが測定位置においてそれぞれ集束し、且つ、互いに交わる(重なる)ように各トランスデューサアレイを制御する機能である。開口制御部1−16は、測定位置とトランスデューサアレイの間の距離に応じてトランスデューサアレイの開口径を変化させる機能であり、位相制御部1−17は、超音波ビームの位相が測定位置において同位相となるよう制御する機能である。ここで本発明において「開口」とは、トランスデューサアレイの振動面において、測定位置への超音波の送信に実効的に寄与するエリアをいう。そして、「開口径」とは、前記開口の半径または直径を意味する。
【0015】
被検体1−1は測定容器1−2に収められている。被検体1−1と測定容器1−2の間は、マッチング材1−3で均一に満たされる。マッチング材1−3には、光と超音波を効率的に伝達させるために、被検体1−1と導光手段1−4との光学的整合、被検体1−1と導光手段1−21との光学的整合、及び、被検体1−1とトランスデューサアレイ1−5、1−6との音響的整合をとることができる材料を用いることが望ましい。
【0016】
光源手段である光源1−7は、レーザ等を用いることができる。光源1−7からの射出光は、導光手段1−4により導光され被検体1−1に入射する。導光手段1−4には、光ファイバ等を用いることができる。
【0017】
超音波発生手段であるトランスデューサアレイ1−5と1−6は、それぞれトランスデューサ移動装置1−8と1−9に取り付けられており、測定容器1−2内を移動することができる。以下で用いられる「トランスデューサ」という表現は、トランスデューサアレイ1−5と1−6を示すものである。
【0018】
トランスデューサは、被検体1−1内の所望の位置に単一超音波集束領域1−10と1−11を形成することができる。単一超音波集束領域1−10はトランスデューサアレイ1−5により形成され、単一超音波集束領域1−11はトランスデューサアレイ1−6により形成される。単一とは、1つのトランスデューサアレイにより形成されるという意味である。ここでは、半値領域(最大音圧の半値以上の音圧を持つ領域)を超音波集束領域として扱う。単一超音波集束領域の形成は、遅延制御部1−12によりトランスデューサの各素子の遅延量を制御し、所望の位置に集束する合成波面を作ることで行う。また、位置制御部1−13によりトランスデューサ移動装置1−8と1−9を駆動することで、トランスデューサは測定容器1−2内を移動することができる。すなわち単一超音波集束領域1−10と1−11の移動は、トランスデューサの素子の遅延量制御による電子スキャンによっても可能であるし、トランスデューサの移動によっても可能である。
【0019】
集束制御手段である重畳領域制御部1−14は、遅延制御部1−12と位置制御部1−13を制御して単一超音波集束領域1−10と1−11を移動させ、それぞれの音圧最大点が一致するように重畳し、重畳領域1−19を形成する。
【0020】
距離算出手段である距離算出部1−15は、重畳領域1−19とトランスデューサアレイ1−5と1−6それぞれとの間の距離を算出する。この距離は、遅延制御部1−12が設定している単一超音波集束領域1−10と1−11の位置情報から算出することができる。
【0021】
開口径制御手段である開口制御部1−16は、トランスデューサの駆動素子数を変化させることによりトランスデューサの開口径を変化させることができる。トランスデューサの開口径を大きくする場合はトランスデューサアレイ素子を駆動する円領域の半径を大きくし、開口径を小さくする場合はトランスデューサアレイ素子を駆動する円領域の半径を小さくする。これにより、単一超音波集束領域1−10と1−11の横集束サイズ、すなわち超音波進行方向と直交する方向の超音波集束領域の幅を変化させることができる。
【0022】
位相制御手段である位相制御部1−17は、重畳領域1−19内の少なくとも一部において、トランスデューサアレイ1−5と1−6が発生する超音波を同位相にすることができる。これにより重畳領域1−19内の少なくとも一部では、2つの超音波音圧が加算される。
【0023】
トランスデューサアレイ制御部1−18は、重畳領域制御部1−14と遅延制御部1−12と位置制御部1−13と距離算出部1−15と開口制御部1−16と位相制御部1−17とからなる。トランスデューサアレイ制御部1−18は、例えば電気回路により構成することもできるし、マイクロプロセッサに実装されたプログラムにより構成することもできる。
【0024】
単一超音波集束領域1−10と1−11が重畳された領域、すなわち重畳領域1−19においては、他の領域に比べて音圧が大きいので媒質屈折率変動と光散乱体変動が大きい。それゆえ、重畳領域1−19を通過した光は大きな位相変調を受ける。この位相変調により、光検出手段である光検出器1−20において超音波周波数に等しい光変調信号が観測される。
【0025】
光検出器1−20は、導光手段1−21を通して、前記の変調された変調光と、変調を受けていない非変調光を検出する。光検出器1−20には、フォトマルチプライヤ、CCD、CMOSなどの光電変換素子を適用可能である。
【0026】
信号解析部1−22は、光検出器1−20からの信号を解析し、非変調光の光強度I(非変調成分)と、変調光の光強度I(変調成分)から、I/Iを算出する。この比を変調度Mと呼ぶ。
【0027】
非特許文献1によると、光検出器1−20において検出される光の自己相関関数G(τ)は、式(4)で表される。
【数1】

【0028】
式(4)で表される自己相関関数を、式(5)のようにフーリエ変換することで得られる0次成分と1次成分の比が、前述した変調度Mとなる。
【数2】

【0029】
測定値IとIから変調度Mを算出し、式(4)、(5)の関係を用いて解析することで、測定点における生体の光吸収散乱特性を取得することができる。
【0030】
重畳領域1−19は超音波集束領域、すなわち測定点に対応しているので、重畳領域1−19を被検体1−1内部で走査し各測定点における光信号を解析することで、被検体1−1の光吸収散乱特性分布を得ることができる。
【0031】
表示装置1−23は、被検体1内部の光吸収散乱特性分布を測定点の位置と対応させて表示する。インターフェイス1−24は、ユーザが測定位置や測定対象領域を指定し、またユーザに被検体の光吸収散乱特性に関する情報を提示する。
【0032】
(測定処理)
第一の実施形態における測定のフローを図2に示す。以下では、図2の各ステップについて説明する。
【0033】
ステップ101:
被検体1−1内部において、測定されていない測定中心点1−25を決定する。測定中心点は、図3に示すように、その点においてトランスデューサアレイ1−5とトランスデューサアレイ1−6の幾何学的中心軸1−26が互いに直交するように決定されることが望ましい。幾何学的中心軸とは、トランスデューサアレイ配列面の中心から配列面と直交する方向に伸びる直線軸である。
【0034】
ステップ102:
トランスデューサアレイ1−5とトランスデューサアレイ1−6の幾何学的中心軸が、ステップ101で決定した測定中心点1−25において互いに直交するように、トランスデューサアレイ1−5と1−6を配置する。
【0035】
ステップ103:
測定点1−27を決定する。測定点には、図4に示すように、トランスデューサアレイ1−5と1−6が発生する超音波ビームの進行方向軸1−28が互いにできる限り直交するような点を選ぶことが望ましい。測定点の位置は、トランスデューサアレイの電子スキャンにより変えることができる。ステップ102で決定した測定中心点1−25に対し、測定点1−27は電子スキャンを用いて複数の位置にとることができる。
【0036】
ステップ104:
重畳領域制御部1−14により、単一超音波集束領域1−10と1−11の音圧最大点を測定点(測定位置)1−27に設定し、測定点1−27に重畳領域1−19を形成する
ように設定する。
【0037】
ステップ105:
距離算出部1−15により、測定点1−27とトランスデューサの間の距離を算出する。
【0038】
ステップ106:
測定点1−27においてトランスデューサアレイ1−5による超音波の位相とトランスデューサアレイ1−6による超音波の位相を一致させる。ステップ105で算出した距離を基に、位相制御部1−17で位相を調節することにより位相を一致させる。
【0039】
ステップ107:
測定点1−27において、単一超音波集束領域1−10と1−11の横集束サイズが測定の解像度に対応するように、トランスデューサアレイ1−5と1−6の開口径を調節する。開口径設定は、ステップ105で算出した距離と測定解像度を基に、トランスデューサアレイの駆動素子数を開口制御部1−16により制御することで行う。
【0040】
ステップ108:
被検体1−1に光を照射する。
【0041】
ステップ109:
被検体1−1に超音波を照射する。
【0042】
ステップ110:
光検出器1−20により光信号を検出し、検出した値を測定点1−27の座標と対応させて保存する。
【0043】
ステップ111:
被検体1−1への光と超音波の照射を止める。
【0044】
ステップ112:
ステップ103で示した測定点の条件を満たし、かつ測定されていない測定点がある場合、電子スキャンによる測定を用いてステップ103からステップ111を繰り返す。そうでない場合、ステップ113へ進む。
【0045】
ステップ113:
被検体1−1内の測定対象領域の全ての測定点の測定が完了していない場合、ステップ101からステップ112を繰り返す。測定対象領域の全ての測定が完了した場合、ステップ114へ進む。
【0046】
ステップ114:
ステップ110で保存した全ての測定点ごとの光信号を信号解析部1−18において解析し、被検体1−1の光吸収散乱特性分布を算出する。
ステップ115:
ステップ114で取得した被検体1−1内部の光吸収散乱特性分布を、測定点と対応付けて表示装置1−23により表示する。
【0047】
(本実施形態の利点)
以上により、被検体1−1内部の測定の解像度を改善することができることを説明する。
【0048】
図8は、トランスデューサアレイ1−5と1−6を、共に開口径20[mm]、アレイ−音圧最大値間距離26[mm]、周波数1[MHz]、媒質音速1480[m/s]とし、図9のような座標系をと
った場合の音場を計算したものである。図9の配置では2つの音場(超音波ビーム)の超音波進行方向軸は直交しており、音圧最大点で互いの音場が重畳される。
【0049】
図10は、図9の音場の半値領域を示したものである。図10によると、トランスデューサアレイを単独で用いる場合である図7と比べて超音波集束領域(ここでは半値領域で評価)がより小さくなっている。このように、2つのトランスデューサアレイの音場を最大音圧点で重畳することにより、超音波集束領域の大きさ(特に縦集束サイズ)を縮小することができる。よって、単一のトランスデューサを用いた従来構成に比べて、音響光信号の測定解像度を改善することができる。
【0050】
また、超音波として連続超音波を用いた場合、安定した定常状態での音響光信号の測定が可能となる。特許文献2で用いられているパルス超音波は、パルス長を極めて短くすることにより超音波進行方向の測定解像度を向上させている。しかし、この方法では、トランスデューサの立ち上がりと立ち下がりの応答特性が影響するため、安定した測定が難しい。また、光と超音波の相互作用時間が短いため、検出される光信号のSN比が悪化することも考えられる。第一の実施形態において連続超音波を用いた場合、前記パルス超音波による音響光信号測定の問題点を回避しながら所望の測定解像度を得ることができる。
【0051】
超音波としてパルス超音波を用いても良い。前記パルス超音波による測定のSN比に関する問題点を改善する方法として、パルス長を比較的長くして光と超音波の相互作用時間を長くする方法が考えられる。この時、パルス長が長くなる分、音響光信号の測定解像度が悪化する。そこで、トランスデューサアレイ1−5および1−6から発生させるパルス超音波を、被検体内の測定したい位置で重畳するように同期させて発生させれば、2つの音場の重畳による解像度改善の効果を得ることができる。
【0052】
さらに本実施形態では、ステップ107において、開口制御部1−16が、トランスデューサと測定点1−27との間の距離に応じてトランスデューサの開口径を変化させる。このとき、開口制御部1−16は、トランスデューサと測定点の間の距離が短いほど開口径が小さくなるように、それぞれのトランスデューサの開口径を制御する。より好ましくは、トランスデューサと測定点の間の距離によらず測定点における横集束サイズ(超音波ビームの幅)が一定となるように、各トランスデューサの開口径を制御するとよい。図11は距離が短い場合、すなわち被検体浅部での開口径制御の例を示し、図12は距離が長い場合、すなわち被検体深部での開口系制御の例を示す。図11のようにトランスデューサ1−5と測定点の距離が短い場合、駆動素子数を減らして開口径を小さくすることで、図12の場合と同等の横集束サイズが得られることがわかる。このような開口径制御により、被検体内の全ての測定点について重畳領域1−19の大きさを一定に保つことができる。よって、被検体内の測定対象領域全体の光吸収散乱特性分布を所望の解像度で均一に取得することができる。また、被検体浅部の測定を被検体深部と同じ解像度で行うことにより、被検体浅部における不必要な(過剰な)測定を無くし、測定点数を減らすことができるので、測定時間の短縮を図ることができる。
【0053】
また本実施形態では、ステップ101とステップ102とステップ103において、幾何学的中心軸1−26や超音波進行方向軸1−28をできる限り直交させている。これは、一方の超音波ビームの縦集束サイズを、他方の超音波ビームの横集束サイズで改善する効果を最も得やすいからである。しかし、超音波の重畳による測定解像度の改善が見込めるのであれば、前記幾何学的中心軸や、前記超音波進行方向軸を直交させることは、必ずしも必要ではない。
【0054】
測定のステップ102で設定したトランスデューサアレイ1−5と1−6の位置のままで、トランスデューサの電子スキャンにより測定点1−27を変えてステップ103からステップ111を繰り返す。電子スキャンのみでは被検体1−1内を測定しきれなくなった場合、トランスデューサを移動し、新たな移動先で再び電子スキャンによる測定を行う。このようにしてトランスデューサアレイの移動を減らすことができ、測定時間をより短く改善することができる。トランスデューサアレイが被検体に対して小径であるために電子スキャンのみでは被検体の全領域を測定することが難しく、トランスデューサアレイの移動が伴う場合に有効である。また、超音波進行方向軸1−28を互いにある角度、例えばできるだけ直角に交差させる等の条件がある場合に有効である。電子スキャンだけでは被検体内の全領域で前記条件を満たすことが難しい場合でも、トランスデューサアレイの移動を組み合わせることで前記条件を満足することが容易となる。
【0055】
ステップ112とステップ113において、測定対象領域を、光吸収散乱特性を得たい特定の領域のみに限定してもよい。
【0056】
本実施形態においてはトランスデューサアレイが2つの場合について説明したが、トランスデューサアレイを3つ以上用いてもよい。重畳する超音波ビームを増やすことで、重畳領域の音圧のみを音場全体に対してより高めることができる。これにより、解像度の基準として用いた半値を、より厳しい条件、例えば自然対数の逆数(1/e、e:自然対数)等に設定することが可能となる。
【0057】
[第二の実施形態]
図13は、本発明を適用できる第二の実施形態での測定装置の概略構成図である。第二の実施形態は、音響光信号の測定解像度をより細かく設定し、所望の解像度をより均一に得る場合等に有効である。
【0058】
図13において、装置の構成要素2−1から2−26のうち、開口制御部2−16と超音波絞り2−25と2−26以外の構成要素は、第一の実施形態における同名の構成要素と実質的に同じものであるため、詳しい説明を省略する。
【0059】
超音波絞り2−25と2−26は、トランスデューサアレイの振動面に設けられた絞りであり、超音波を遮断するような材質、例えば吸音材からなる。超音波絞り2−25、2−26は超音波を通過させる開口を有しており、その開口径は、連続的に、もしくは少なくともトランスデューサアレイの素子間隔より細かく離散的に変化させることができる。開口制御部2−16は、前記超音波絞り2−25と2−26を調整することによって、その開口径を所望の変化させることができる。かかる構成により、トランスデューサの開口径の設定値をより詳細に設定することができる。
【0060】
(測定処理)
第二の実施形態における測定のフローを図14に示す。以下では、図14の各ステップについて説明する。
【0061】
ステップ201〜206:
第一の実施形態におけるステップ101〜106と同じなので省略する。
【0062】
ステップ207:
測定点1−27(図4参照)において、単一超音波集束領域2−10と2−11の横集束サイズが測定の解像度に対応するように、トランスデューサアレイ2−5と2−6の開口径を設定する。開口径設定は、ステップ205で算出した、測定点1−27とトランス
デューサ間の距離を基に、開口制御部2−16により超音波絞り2−25と2−26の開口径を変化させることにより行う。
【0063】
ステップ208〜215:
第一の実施形態におけるステップ108〜115と同じなので省略する。
【0064】
(本実施形態の利点)
第二の実施形態によれば音響光信号の測定解像度をより細かく設定し、所望の解像度をより均一に得られることを説明する。
【0065】
図15は、トランスデューサアレイの駆動素子数の違いと開口径の変化を示した図である。素子自体の大きさがあるため、第一の実施形態のようなトランスデューサアレイの駆動素子数制御のみでは開口径D1とD2の中間の開口径を設定することが困難である。図16は、図15のトランスデューサアレイに超音波絞りを組み合わせた図である。図16に示したように、D1とD2の間で超音波絞りの開口径を設定できるので、第一の実施形態よりも細かくトランスデューサの開口径を制御できることがわかる。すなわち、本実施形態によれば超音波の重畳領域2−19の大きさをより細かく設定できるため、被検体1内において所望の解像度をより均一に得ることができる。
【0066】
超音波として、連続超音波もしくはパルス超音波を用いることができる。それぞれの場合の効果は、第一の実施形態と同様である。
【0067】
ステップ201とステップ202とステップ203において、第一の実施形態同様、トランスデューサの幾何学的中心軸は直交することが望ましいが、必ずしも直交させる必要はない。超音波進行方向軸も必ずしも直交する必要はない。
【0068】
第一の実施形態同様、重畳領域2−19を被検体2−1内で走査する際、トランスデューサの電子スキャンとトランスデューサの移動を組み合わせることができる。
【0069】
ステップ212とステップ213において、測定対象領域を、光吸収散乱特性を得たい特定の領域のみに限定してもよい。
【0070】
本実施形態においては集束型トランスデューサが2つの場合について説明したが、3つ以上用いてもよい。重畳する超音波ビームを増やすことで、重畳領域の音圧のみを音場全体に対してより高めることができる。これにより、解像度の基準として用いた半値を、より厳しい条件、例えば自然対数の逆数(1/e、e:自然対数)等に設定することが可能となる。
【0071】
[第三の実施形態]
図17は、本発明を適用できる第三の実施形態での測定装置の概略構成図である。第三の実施形態では、複数の超音波発生手段として複数の集束型トランスデューサを用いる。集束型トランスデューサとしては、例えば図18に示す球面トランスデューサや、図19に示すように、平面トランスデューサの全面に音響レンズを配置したトランスデューサを用いることができる。このような集束型トランスデューサを用いることにより、トランスデューサアレイを用いる場合と比較してより安価に装置を構成することができる。またトランスデューサアレイの駆動回路やアレイ素子への配線本数を省くことができ、より簡便に装置を構成することができる。
【0072】
図17において、装置の構成要素3−1から3−25のうち、集束型トランスデューサ3−5と3−6以外の構成要素は、第二の実施形態における同名の構成要素と同じである
ため、詳しい説明を省略する。
【0073】
超音波発生手段である集束型トランスデューサ3−5と3−6は、それぞれトランスデューサ移動装置3−8と3−9に取り付けられており、測定容器3−2内を移動することができる。以下で用いられる「トランスデューサ」という表現は、集束型トランスデューサ3−5と3−6を示すものである。
【0074】
トランスデューサは、振動面全面が同位相で振動する。またトランスデューサは、測定装置が想定する測定最深部において、測定装置が想定する最小の解像度に対応する横集束サイズを達成できる。すなわちトランスデューサは、前記測定最深部において、所望の最小横集束サイズを実現する開口径と曲率を持つ。
【0075】
トランスデューサは、被検体3−1内の単一超音波集束領域3−10と3−11を形成することができる。単一超音波集束領域3−10は集束型トランスデューサ3−5により形成され、単一超音波集束領域3−11は集束トランスデューサ3−6により形成される。単一とは、1つのトランスデューサアレイにより形成されるという意味である。ここでは、半値領域(最大音圧の半値以上の音圧を持つ領域)を超音波集束領域として扱う。単一超音波集束領域は、トランスデューサ移動装置3−8と3−9によるトランスデューサの移動により、被検体3−1内の所望の位置に形成することができる。
【0076】
トランスデューサは、単一超音波集束領域3−10と3−11の横集束サイズ、すなわち超音波進行方向と直交する方向の超音波集束領域の幅を測定解像度に対応させることができる。横集束サイズの調節は、超音波絞り3−24と3−25を用いて第二の実施形態と同様の方法により行う。また、トランスデューサは、所望の位置での超音波の位相を調節することができる。
【0077】
集束制御手段である重畳領域制御部3−13は、位置制御部3−12を制御して単一超音波集束領域3−10と3−11を移動させ、それぞれの音圧最大点が一致するように重畳し、重畳領域3−18を形成する。
【0078】
(測定処理)
第三の実施形態における測定のフローを図20に示す。以下では、図20の各ステップについて説明する。
【0079】
ステップ301:
測定に用いる集束型トランスデューサの幾何学的曲率半径と直径などの形状を基に、集束型トランスデューサと音圧最大点の間の距離を算出する。
【0080】
ステップ302:
被検体3−1内部において、測定されていない測定点を決定する。
【0081】
ステップ303:
重畳領域制御部3−13によりトランスデューサ移動装置3−8と3−9を移動させ、単一超音波集束領域3−10と3−11の音圧最大点の位置を測定点1−27に設定し、測定点1−27に重畳領域3−17を形成するように設定する。この時、集束型トランスデューサ3−5と集束型トランスデューサ3−6により生じる超音波の進行方向軸が互いに直交するようなトランスデューサの配置が好ましい。
【0082】
ステップ304:
測定点1−27において、集束型トランスデューサ3−5による超音波と集束型トラン
スデューサ3−6による超音波の位相が一致するように、位相制御部3−16で位相を設定する。位相は、集束型トランスデューサの形状から決定される音圧最大点とトランスデューサの間の距離に基づき設定される。
【0083】
ステップ305:
測定点1−27において、単一超音波集束領域3−10と3−11の横集束サイズが測定の解像度に対応するように、集束型トランスデューサ3−5と3−6の開口径を設定する。開口径の設定は、開口制御部3−15により超音波絞り3−24と3−25の開口径を変化させることで行う。開口径の大きさは、集束型トランスデューサの形状から決定される音圧最大点とトランスデューサの間の距離と、測定解像度に基づき設定される。
【0084】
ステップ306:
被検体3−1に光を照射する。
【0085】
ステップ307:
被検体3−1に超音波を照射する。
【0086】
ステップ308
光検出器3−19により光信号を検出し、検出した値を測定点の座標と対応させて保存する。
【0087】
ステップ309:
被検体3−1への光と超音波の照射を止める。
【0088】
ステップ310:
被検体3−1内部の測定対象領域の全ての測定点の測定が完了していない場合、ステップ302からステップ309を繰り返す。測定対象領域の全ての測定が完了した場合、ステップ311へ進む。
【0089】
ステップ311:
ステップ308で保存した測定点ごとの光信号を信号解析部3−21において解析し、被検体3−1の光吸収散乱特性分布を算出する。
【0090】
ステップ312:
ステップ311で取得した被検体3−1の光吸収散乱特性分布を、測定点と対応付けて表示装置3−22により表示する。
【0091】
(本実施形態の利点)
以上により、第一及び第二の実施形態と同様、被検体3−1内部の音響光信号測定を所望の解像度で行うことができる。
【0092】
また、超音波絞り3−24と3−25により、重畳領域3−18の大きさを前記測定最深部における最小の大きさ以上の範囲で調節することができ、前記最小の大きさに対応する測定解像度以上の範囲で被検体3−1内を測定することができる。特許文献1においては、開口制御手段を持たないために前記最小の大きさに対応する解像度以外では測定が難しい。被検体3−1内から比較的大きな異物を検出したい場合などに必要以上の解像度で測定しなければならず、測定点が増えて測定時間が長くなる可能性がある。第三の実施形態ではこの問題を回避するこができ、測定時間をより短く改善することができる。
【0093】
超音波として、連続超音波もしくはパルス超音波を用いることができる。それぞれの場
合の効果は、第一の実施形態と同様である。
【0094】
ステップ303において、第一の実施形態同様、集束型トランスデューサの超音波進行方向軸は直交することが望ましいが、必ずしも直交させる必要はない。
【0095】
ステップ310において、光吸収散乱特性を得たい特定の領域のみに測定領域を限定してもよい。
【0096】
本実施形態においては集束型トランスデューサが2つの場合について説明したが、3つ以上用いてもよい。重畳する超音波ビームを増やすことで、重畳領域の音圧のみを音場全体に対してより高めることができる。これにより、解像度の基準として用いた半値を、より厳しい条件、例えば自然対数の逆数(1/e、e:自然対数)等に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第一の実施形態における生体情報測定装置の概略構成図
【図2】第一の実施形態における測定のフロー
【図3】トランスデューサアレイの幾何学的な配置の概略図
【図4】トランスデューサアレイによる超音波の電子スキャンと測定点の関係概略図
【図5】単一のトランスデューサにより形成される音場(超音波ビーム)
【図6】図5の音場計算に用いた座標系
【図7】図5の音場の半値領域
【図8】2つのトランスデューサの超音波ビームを集束点で重畳したときに形成される音場
【図9】図8の音場計算に用いた座標系
【図10】図8の音場の半値領域
【図11】被検体浅部に超音波重畳領域を形成させる際のトランスデューサアレイ開口径の設定例
【図12】被検体深部に超音波重畳領域を形成させる際のトランスデューサアレイ開口径の設定例
【図13】第二の実施形態における生体情報測定装置の概略構成図
【図14】第二の実施形態における測定のフロー
【図15】トランスデューサアレイの駆動素子数の変化と開口径変化の関係
【図16】超音波絞りによるトランスデューサの開口径設定
【図17】第三の実施形態における生体情報測定装置の概略構成図
【図18】球面トランスデューサの概略図
【図19】平面トランスデューサと音響レンズの概略図
【図20】第三の実施形態における測定のフロー
【符号の説明】
【0098】
1−1、2−1、3−1 被検体
1−7、2−7、3−7 光源(光源手段)
1−20、2−20、3−19 光検出器(光検出手段)
1−5、1−6、2−5、2−6 トランスデューサアレイ(超音波発生手段)
3−5、3−6 集束型トランスデューサ
1−14、2−14、3−14 重畳領域制御部(集束制御手段)
1−16、2−16、3−15 開口制御部(開口径制御手段)
1−17、2−17、3−16 位相制御部(位相制御手段)
2−25、2−26、3−24、3−25 超音波絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に光を照射する光源手段と前記被検体内の測定位置を通過した光を検出する光検出手段とを有し、超音波による音響光学効果を利用して前記測定位置の情報を取得する生体情報測定装置において、
互いに異なる方向の超音波ビームを送信する複数の超音波発生手段と、
前記複数の超音波発生手段から送信される複数の超音波ビームが前記測定位置においてそれぞれ集束し、且つ、互いに交わるように前記超音波発生手段を制御する集束制御手段と、
前記測定位置と前記超音波発生手段との間の距離に応じて前記超音波発生手段の開口径を変化させる開口径制御手段と、
を備えることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
前記開口径制御手段は、前記測定位置と前記超音波発生手段との間の距離が短いほど開口径が小さくなるように、前記超音波発生手段の開口径を変化させることを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記開口径制御手段は、前記測定位置と前記超音波発生手段との間の距離によらず前記測定位置における超音波ビームの幅が一定となるように、前記超音波発生手段の開口径を変化させることを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記複数の超音波ビームの位相が前記測定位置において同位相となるように前記超音波発生手段を制御する位相制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記超音波発生手段は、トランスデューサアレイであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記開口径制御手段は、前記トランスデューサアレイの駆動素子数を変えることにより前記開口径を変化させることを特徴とする請求項5に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記超音波発生手段は、集束型のトランスデューサであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記開口径制御手段は、前記超音波発生手段の開口に設けられた、超音波を遮断する材質からなる絞りを有しており、前記絞りを調整することにより前記開口径を変化させることを特徴とする請求項1〜5及び7のうちいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
被検体に光を照射する光源手段と前記被検体内の測定位置を通過した光を検出する光検出手段と互いに異なる方向の超音波ビームを送信する複数の超音波発生手段とを有し、超音波による音響光学効果を利用して前記測定位置の情報を取得する生体情報測定装置における、生体情報測定方法であって、
前記複数の超音波発生手段から送信される複数の超音波ビームが前記測定位置においてそれぞれ集束し、且つ、互いに交わるように前記超音波発生手段を制御する工程と、
前記測定位置と前記超音波発生手段との間の距離に応じて前記超音波発生手段の開口径を変化させる工程と、
を含むことを特徴とする生体情報測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−115398(P2010−115398A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291878(P2008−291878)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】