説明

生体情報計測装置

【課題】容易な装着を実現し、体型を問わず誰でも装着可能な生体情報計測装置を提供すること。
【解決手段】手首に装着する生体情報計測装置10において、被験者の指と指の間の水かき部を狭持する屈曲形状に形成され、一方の狭持部に光源152を、他方の狭持部に受光部153が設けられたセンサヘッド151と、センサヘッド151と生体情報処理装置100とを接続するケーブル111と、センサヘッド151を手首方向に引っ張るケーブル巻取部109と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指の間の脈波等に基づいて利用者の生体情報を計測する生体情報計測装置に関し、特にその構造と、計測された生体情報に基づいて通信を行う条件を設定する技術とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被験者の指や耳たぶに光を照射し、その反射光あるいは透過光を検出することによって脈波を計測することができる。計測された脈波を用いることで脈拍数の算出が可能となる。脈拍数を算出する装置は、脈拍モニタ等としてスポーツ時の心肺負荷のチェックなどに用いられる。
【0003】
また、赤外光と赤色光の2波長の光を被験者の指や耳たぶに照射し、その反射光あるいは透過光を検出することによって動脈血の血中酸素飽和濃度を計測することができる。このような装置は、パルスオキシメータとして医療現場などで主に呼吸状態管理に利用されている。
【0004】
脈波データは、心拍数または血中酸素飽和濃度の計測のみならず、例えば、被験者の体動を示す体動データと組み合わせることによって被験者の睡眠状態を判定するなど、他の目的に利用することもできる。また、パルスオキシメータで血中酸素飽和濃度を睡眠中に連続的に計測することによって、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングを行なうこともできる。
【0005】
このような使用目的の観点から、脈波や血中酸素飽和濃度等の生体情報を計測する装置(生体情報計測装置)は、被験者に長時間装着されている必要がある。
【0006】
しかし、上述した生体情報計測装置は、光源と受光部を含むセンサヘッドを、サポータで指に巻き付けるか、クリップで指に挟むような構造であり、特定用途に用いられることを想定している。そのため、従来の生体情報計測装置は、長時間装着されることを前提としておらず、長時間装着するとかなりの痛みを伴う。医療現場においては長時間装着用のセンサも用いられているが、このタイプは、絆創膏などでセンサヘッドを固定する必要があるため装着が非常に煩雑である。
【0007】
そこで、長時間装着することを目的とした脈波あるいは血中酸素飽和濃度を算出する指輪タイプ(例えば、特許文献1、2)および新生児のベルトタイプ(例えば、特許文献3)の装置が提案されている。これらの装置は、指輪の形状の内側に光源と受光部が内蔵され、反射光あるいは透過光を計測し、結果を無線で外部に送信するか、あるいは指輪形状の装置のディスプレイに表示している。
【0008】
また、脈波の計測によって被験者の心拍の揺らぎを解析し、その結果から自律神経状態を判定する技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。特に、この技術を利用して、自律神経状態及び睡眠時における睡眠状態をリアルタイムに計測し、家電製品など外部機器を制御することが提案されている。
【0009】
しかしながら、生体情報計測装置において、自律神経状態や睡眠状態がその計測の度に送信されるとなると、消費電力が高くなり電池が激しく消耗してしまう。利用者による快適な使用のためには所定の電池で長時間使用できる必要があり、また、利用者の生体情報を取得しているならば、取得した生体情報に基づいて省電力化を図るのが好ましい。
【0010】
そこで、取得した利用者の生体情報または環境情報に基づいて装置の省電力化を図る技術が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この技術は、例えばノートブック型コンピュータなどの情報処理装置の省電力化を図るために、利用者の生体情報または環境情報から、その利用者が情報処理装置を利用しているか否かを判断し、利用していないと判断した場合に限り情報処理装置への電力の供給を制御するものである。
【0011】
【特許文献1】特開2001−70264号公報
【特許文献2】特開2001−224088号公報
【特許文献3】特開2001−224561号公報
【特許文献4】特開平7−143972号公報
【特許文献5】特開2001−100870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1及び2で開示された指輪タイプの装置の場合、外部からの光を遮断すること、指の同じ部位を介して光源から発せられた光を受光部が受光すること、および装置を指に固定することなどの要求によって、指輪と指のサイズを一致させる必要がある。また、装着する際にあらかじめ被験者の指のサイズを計測し、計測した指のサイズと一致した装置を用意する必要がある。これらの理由によって、上記した指輪タイプの装置は、装着から計測までの作業が容易に行えないという問題がある。
【0013】
また、特許文献3で開示されたベルトタイプの装置の場合、ベルトにより緩やかに装着することとしているが、これは新生児の動きによる皮膚の損傷の防止および新生児の成長により皮膚の一箇所に大きな圧縮力が係るのを防ぐことを目的としているものであり、新生児の下肢のサイズを問わない装着を可能としたものではない。そのため、新生児の下肢のサイズに合わせたベルトタイプの装置を用意し、それを成長を考慮したうえで装着する必要があり、装着から計測までの作業が容易に行えないという問題がある。
【0014】
また、特許文献4に開示された技術は、利用者が情報処理装置を使用していない場合にその電力の供給を制御して省電力化を目指したものであり、常に稼動してリアルタイムに利用者の生体情報を算出する必要がある生体情報計測装置に用いることはできない。また、特許文献5に開示された技術は、機器内部の電力を制御して省電力化を計るものであり、生体情報を通信する場合における省電力化を目指したものではない。
【0015】
さらに、生体情報に基づいて家電製品などの外部機器を制御するのであれば、生体情報は常に送信される必要はない。利用者が睡眠中の場合は、生体情報が変化したときにのみそれを送信すれば、機器の制御を十分に行えると考えられる。一方、利用者が覚醒している場合、利用者が動いているときの生体情報にはノイズが多く含まれていることから、利用者が動いていないときの生体情報のみの送信であっても、機器の制御を十分行えると考えられる。
【0016】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体情報の安定した計測を可能としつつ、装着から生体情報を計測するまでの作業を容易にした生体情報計測装置を提供することを目的としたものである。
【0017】
また、本発明は、計測された生体情報の送信を必要最小限にとどめて、送信のための消費電力を抑えることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本態様における発明は、利用者の脈波に基づいて自律神経活動の状態を示す指標を算出する指標算出手段と、前記利用者の体動を示す体動情報を計測する体動計測手段と、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者が覚醒しているか睡眠中かを判定する睡眠判定手段と、前記睡眠判定手段により覚醒していると判定された場合、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者の動作の有無を判定する体動判定手段と、前記体動判定手段により利用者が動作をしていないと判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標を、ネットワークを介して外部装置に送信する第1の送信手段と、前記睡眠判定手段により睡眠中と判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標から睡眠中における睡眠深さを示す睡眠状態情報を特定する睡眠状態特定手段と、前記睡眠状態特定手段により特定された前記睡眠状態情報が、以前に前記睡眠状態特定手段により特定された前記睡眠状態情報と比較して、前記睡眠状態情報が変化したか否か判定する状態変化判定手段と、前記状態変化判定手段により前記睡眠状態情報が変化したと判定された場合、前記睡眠状態情報を、ネットワークを介して外部装置に送信する第2の送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本態様における発明は、利用者の脈波に基づいて自律神経活動の状態を示す指標を算出する指標算出手段と、前記利用者の体動を示す体動情報を計測する体動計測手段と、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、利用者が覚醒しているか睡眠中かを判定する睡眠判定手段と、前記睡眠判定手段により覚醒していると判定された場合、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者の動作の有無を判定する体動判定手段と、前記体動判定手段により利用者が動作をしていないと判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標を、ネットワークを介して外部装置に送信する第1の送信手段と、前記睡眠判定手段により睡眠中と判定された場合、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者の睡眠中の体動の有無を判定する睡眠体動判定手段と、前記睡眠体動判定手段により睡眠中に体動があったと判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標から睡眠中における睡眠深さを示す睡眠状態情報を特定する睡眠状態特定手段と、前記睡眠状態特定手段により特定された前記睡眠状態情報を、ネットワークを介して外部装置に送信する第2の送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる生体情報計測装置は、利用者が覚醒しているときでは、利用者が動作していないと判定した場合に自律神経活動情報を送信し、また、利用者が睡眠中のときは、睡眠状態情報が変化したと判定した場合に睡眠状態情報を送信するので、自律神経活動情報または睡眠状態情報の送信する回数が抑えられ、省電力化を図ることができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明にかかる生体情報計測装置は、利用者が覚醒しているときでは、利用者が動作していないと判定した場合に自律神経活動情報を送信し、また、利用者が睡眠中のときは、利用者の体動があったと判定した場合に睡眠状態情報を送信するので、自律神経活動情報または睡眠状態情報の送信する回数が抑えられ、省電力化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる生体情報計測装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置10の構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、生体情報計測装置10は、生体情報処理装置100と、ケーブル111を介して接続されたセンサヘッド151とを有する。また、生体情報処理装置100は、入力部101と、表示部102と、記憶部103と、データ通信部104と、電源供給部105と、制御部106と、光源制御部107と、脈波計測部108と、ケーブル巻取部109と、血中酸素飽和濃度演算部110とを有する。
【0024】
この生体情報計測装置10を被験者が装着することで、被験者の生体情報の計測が可能となる。図2は、第1の実施の形態における生体情報計測装置10の被験者による装着例を示した図である。図2では、センサヘッド151を指と指の間に、生体情報処理装置100を手首に装着している。なお、図2ではセンサヘッド151を人差し指と中指の間に装着しているが、これに制限するものではなく、どの指の間に装着してもよい。
【0025】
図1に戻り、入力部101は、被験者による電源のオン・オフ、後述する表示部102の表示の切り替え、あるいは生体情報の計測に必要な条件の設定に用いられる。
【0026】
記憶部103は、脈波などの計測データ、血中酸素濃度データなどの算出処理後のデータ、あるいは血中酸素飽和濃度の算出に必要な校正用パラメータなどを記憶する。記憶部103は、例えば、フラッシュメモリである。
【0027】
電源供給部105は、生体情報処理装置100に電力を供給する。この電源供給部105を備えることで、生体情報計測装置10を携帯した状態で、脈波の計測から脈拍数および血中酸素飽和濃度の算出が可能となる。また、電源供給部105を生体情報処理装置100側に備えることで、従来の指輪タイプと比べて電源供給部105のサイズを大きくでき、長時間の使用が可能となる。
【0028】
光源制御部107は、赤外光あるいは赤色光がパルス状に出射されるように光源152の駆動間隔を制御する。
【0029】
脈波計測部108は、後述するセンサヘッド151からの出力電流を電流電圧変換器により電圧に変換し、増幅器でその電圧を増幅して、ハイパスフィルタ(カットオフ周波数:0.1Hz)とローパスフィルタ(カットオフ周波数:100Hz)を通過させた後、10ビットA/D変換器でデジタル量に変換することで、脈波データを取得する。取得した脈波データは制御部106に出力される。なお、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタのカットオフ周波数は、上述した値に制限するものではない。
【0030】
制御部106は、生体情報処理装置100に内蔵された各部およびデータの入出力を制御する。さらに、制御部106は、光源152を構成する赤外LEDあるいは赤色LEDの駆動タイミングに合わせて受光部153のフォトダイオードから信号を取得することにより、赤外LEDによる透過光と赤色LEDによる透過光とを選択的に検出することができる。また、制御部106は、それぞれのLEDの無発光時における受光部153の信号を取得することで、外光の影響を打ち消すための校正データを算出することができる。
【0031】
血中酸素飽和濃度演算部110は、脈波計測部108から得られた、赤外LEDまたは赤色LEDの拍動成分の比を求め、記憶部103に記憶されていた校正用パラメータを用いて血中酸素飽和濃度を算出する。なお、血中酸素飽和濃度の算出する方法はどんな方法を用いてもよいこととする。
【0032】
センサヘッド151は、被験者の指と指の間に装着され、センサヘッド151に備えられた光源152と受光部153により、被験者の脈波データを取得する。光源152は、赤外LED(例えば波長940nm)と赤色LED(例えば波長660nm)の発光ダイオードからなる。第1の実施の形態においては手の甲側に光源152が配置され、手のひら側に受光部153が配置されることとするが、これに制限するものではなく、手のひら側に光源152が配置され、手の甲側に受光部153が配置されてもよい。
【0033】
図3−1〜図3−3は、センサヘッド151の形状を示した図である。図3−1は、センサヘッド151の側面図を示し、図3−2は、その上面図を示し、図3−3は、その正面図を示す。センサヘッド151本体はエポキシなどの固い樹脂で形成され、その樹脂の内部に、検知部を構成する光源152および受光部153を有する。この樹脂部分は、センサヘッド151を指と指との間に支持する支持部材として機能し、被験者の指と指の間の水かき部に沿うように屈曲した狭持部を有する。この狭持部による手の甲側と手のひら側との間の狭持力によりセンサヘッド151が固定される。さらにセンサヘッド151を形成する樹脂は、指の間に抵抗なく挟めるように、図3−3に示すように、樹脂の両側が内方に凹状に形成された湾曲形状とするのが好ましく、また、図3−2に示すように、屈曲箇所から手首へと向かう方向において手の甲側の樹脂の形状が幅広となっていることが好ましい。これにより、センサヘッド151を非常に安定に装着することができ、被験者はセンサヘッド151を装着しているにもかかわらず快適に指を動かすことが可能となる。
【0034】
図4は、被験者の手にセンサヘッド151が装着された状態を示した図である。また、図5は、図4のX−X’で示した点線におけるセンサヘッド151および被験者の手の断面図である。図5に示すように、光源152から発せられた光は、被験者の手の水かきを通過した透過光として受光部153において受信される。この透過光を検知することで、脈波および血中酸素飽和濃度などの生体情報の測定が可能となる。
【0035】
次に、第1の実施の形態での光源152あるいは受光部153のセンサヘッド151への内蔵方法について説明する。図6は、センサヘッド151の断面図であり、特に光源152が配置された部分を示している。センサヘッド151の支持部材と光源152との間に弾力性のあるスペーサ601が設けられており、光源152に接続されたケーブル111はケーブル通し穴602を通ってセンサヘッド151の外部へと導かれている。このスペーサ601によって、光源152はセンサヘッド151の支持部材表面から少し突き出される。この突き出しによって、センサヘッド151を装着した際の光源152と被験者の水かき部との密着性が向上する。すなわち、光源152から受光部153までの距離が常に一定となり、安定した生体情報の計測が可能となる。さらに、光源152の周囲を囲むようにクッション603が設けられており、これにより光源152を外光から遮蔽することが可能となる。また、光源152の基板はセンサヘッド151内に埋め込まれるので、光源152はセンサヘッド151に安定した状態で固定される。
【0036】
また、図6に示した光源152の構成に替えて、例えば図7に示すようにセンサヘッド151の支持部材内において光源152を包み込んだクッション701が設けられてもよい。この場合、光源152からのケーブル111はクッション701を介し、ケーブル通し穴702を通ってセンサヘッド151の外部に導かれる。この構成においても図6と同様に、光源152はセンサヘッド151から突き出され、これにより、被験者の水かき部との密着性が向上し、かつクッション701により外光を遮光することができる。また、光源152を包み込んだクッション701はセンサヘッド151内に接着によって固定することができるため、センサヘッド151内への光源152の装着が容易になる。なお、図6および図7においては、光源152についてのみ説明したが、受光部153も同様の構成によってセンサヘッド151内に設けることができる。
【0037】
センサヘッド151の支持部材は、エポキシなどの硬い樹脂以外の他の樹脂によって形成されてもよい。図8は、センサヘッド151の支持部材をシリコーンゴムにより形成した場合のセンサヘッド801の一例を示したものである。図8に示すように、シリコーンゴムの支持部材では、指の間の水かき部との密着性を高めるために、矢印で指し示した挟持部の間隔を狭くしておき、これによって生ずる狭持力によりセンサヘッド801を水かき部に固定する。挟持部以外の部分は、図3−1〜図3−3に示したセンサヘッド151と同様の形状であってよい。また、シリコーンゴムは、エポキシなどの硬い樹脂と比べて弾力性が高いため、センサヘッド801においては、上述したクッション603もしくはスペーサ601は不要となり、被験者がセンサヘッド801を装着したときの装着感も向上する。
【0038】
図1に戻り、ケーブル111は、光源152への信号及び受光部153からの信号を生体情報処理装置100に送受信するための信号線を内部に含んでいる。また、ケーブル111はケーブル巻取部109により所定の張力で引っ張られる。
【0039】
図9は、ケーブル111が生体情報処理装置100に内蔵されたケーブル巻取部109により引っ張られる概念を示した図である。図9では、説明を容易にするため、センサヘッド151の形状は簡略化されている。図9に示すように、センサヘッド151を被験者の指と指の間に引っかけ、ケーブル巻取部109によりケーブル111を所定の張力で引くことで、被験者の手の動きに関わらず、センサヘッド151を指と指の間に固定することが可能となる。なお、所定の張力は、実測により適切な値として定めることができる。
【0040】
図1に戻り、ケーブル巻取部109は、ケーブル111を所定の張力で引っ張るために用いられる。また、ケーブル巻取部109は、被験者が生体情報計測装置10を装着しない時、ケーブル111を生体情報処理装置100内部にしまい込むために用いられる。
【0041】
次に、ケーブル巻取部109によるケーブルの巻き取りについて説明する。図10は、生体情報処理装置100に内蔵されたケーブル巻取部109を点線で示した図である。図10に示すように、ケーブル111は横巻きで巻き取ることができる。このケーブル巻取部109による巻き取り力が、上述したケーブル111を引っ張るための所定の張力となる。
【0042】
ケーブル巻取部109は、生体情報処理装置100の内部でケーブル111を巻き取るために回転可能な機構を有する。特に、ケーブル111内の信号線からの信号が生体情報処理装置100に入力されるように、その回転可能な機構としてスリップリングを用いる。図11は、生体情報処理装置100に内蔵されたスリップリングを示した図である。図11に示すように、ケーブル111内の4本の信号線がそれぞれ4つの接点1101に接続されている。なお、4本の信号線とは、2本の信号入出力用ラインと、1本の電源ラインと、1本のグラウンドラインである。また、生体情報処理装置100は、4つの接点1101のそれぞれに対応付けられた4つのリング状の金属板1102を備えている。それぞれの接点1101は、ケーブル111の巻き取り状態とは関係なく、常に金属板1102に接触している。これにより生体情報処理装置100は、金属板1102を介し、ケーブル111内の信号線からの信号を取得することが可能となる。
【0043】
ケーブル巻取部109は、生体情報処理装置100との着脱が可能な構造であってもよい。具体的には、センサヘッド151、ケーブル111及びケーブル巻取部109を一体に形成したカートリッジを、取り替え可能に生体情報処理装置100に装着することが考えられる。なお、ケーブル巻取部109は、スリップリングを用いなくとも、回転によるねじれをケーブルで吸収するような構造でも構わない。
【0044】
ケーブル巻取部109は、横巻きによる巻き取りに限らず、縦巻きによってケーブル111を巻き取ってもよい。図12は、縦巻きのケーブル巻取部1201を備えた生体情報処理装置1200を示す図である。図12においては、ケーブル巻取部1201は点線で示されている。
【0045】
図1に戻り、表示部102は、脈拍数、あるいは血中酸素飽和濃度の算出結果を表示する。具体的にはLCD(Liquid Crystal Display)などが考えられる。また、表示部102は、センサヘッド151と隔てられた生体情報処理装置100に備えられているので、従来の指輪型の装置と比べて、十分に大きな表示エリアを確保することができる。
【0046】
図13、図14および図15は、生体情報計測装置10により計測された情報を表示部102に表示した例を示した図である。表示の切り替えは、入力部101からの被験者の入力により行われる。図13は、血中酸素飽和濃度(SpO2)及び脈拍数の表示例を示した図である。図14は、血中酸素飽和濃度低下頻度(ODI:Oxygen Desaturation Index)の表示例を示した図である。図15は、血中酸素飽和濃度の平均に対して例えば4%以上の低下があった場合、この低下をカウントし、表示部102に一時間毎にこの低下の頻度を表示した場合の例を示した図である。このように、第1の実施の形態における生体情報計測装置10を使用することで、睡眠時に装置の装着による不快感を伴わずに、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングが可能となる。
【0047】
図1に戻り、データ通信部104は、生体情報の計測結果を管理するパソコンやPDA端末と、Bluetooth(登録商標)や赤外線などを用いた無線通信または通信ケーブルを介した有線通信によってデータ通信を行う。このデータ通信部104によって外部機器に計測結果を送信することで、外部機器での計測結果の保存、および第三者による計測結果の閲覧等が可能となる。
【0048】
第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置10によれば、センサヘッド151と生体情報処理装置100とが別体で形成されているので、センサヘッド151の安定な装着によって、痛みを伴わずかつ日常生活に支障がない生態情報の計測を行え、かつ生体情報処理装置100により長時間の生体情報の計測が行える。
【0049】
また、生体情報処理装置100を手首に装着し、センサヘッド151を指と指の間に装着するだけで装着が完了するため、被験者の体型を問わない装着が可能となり、容易な装着方法を提供することができる。また、指と指の間の形状に併せて形成されたセンサヘッド151を装着し、装着されたセンサヘッド151をケーブル巻取部109が所定の張力で引っ張るので、光源152及び受光部153が安定性の高い状態で固定され、被験者の動き、姿勢による影響も少なく安定した脈波の計測が可能となる。これにより脈波あるいは血中酸素飽和濃度などの生体情報の計測精度が向上する。
【0050】
なお、第1の実施の形態においては、センサヘッド151と生体情報処理装置100を結ぶ信号線をケーブル111内部に含めたが、ケーブル111と信号線を別の線とし、それぞれの線によってセンサヘッドと生体情報計測装置を接続してもよい。加えて、ケーブル111に含まれていた信号線からの信号の取得を、スリップリングを介した取得に制限するものではなく、信号線から信号を取得できればどのような方法を用いてもよい。
【0051】
(変形例)
なお、本発明は、上述した第1の実施の形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。なお、各変形例におけるセンサヘッドを横から見た図は、センサヘッドを人差し指と中指の間に装着し、図4で示したX―X’と同様の位置による断面図である。
【0052】
(変形例1)
上述した第1の実施の形態では、センサヘッド151の支持部材を樹脂により形成した。しかし、センサヘッド151は、樹脂によって形成可能な形状に限らず、被験者の指と指の間の水かき部を狭持する屈曲形状で形成され、一方の狭持部に光源を、他方の狭持部に受光部が設けられた形状であればよい。
【0053】
図16−1は、変形例1におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図16−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例1は、センサヘッドが、光源1601と、受光部1602と、くさび状の支持部1603とにより構成された例である。支持部1603は、指と指の間で狭持できる程度の弾力性を備えた材料、例えばプラスチックを用いて形成することができる。検知部を構成する光源1601と受光部1602とは、支持部1603の両端に備えられる。この支持部1603はセンサヘッドの支持部材に相当する。光源1601は、ケーブル111を介して生体情報処理装置100に接続される。また、受光部1602は、支持部1603内部とケーブル111を介して生体情報処理装置100に接続される。この変形例1によりセンサヘッドをより安価に生成することが可能となる。なお、図16−1では、光源1601は手の甲側に配置され、受光部1602は手のひら側に配置されているが、その逆でもよい。これは変形例1に限らず、後述する変形例9まで同様とする。
【0054】
(変形例2)
図17−1は、変形例2におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図17−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例2は、変形例1で示したセンサヘッドの光源1601および受光部1602の各々にクッション1702、1701を装着した例である。図17−1に示すように、光源1601内のLEDの周囲にクッション1702が設けられ、受光部1602内のフォトダイオードの周囲にクッション1701が設けられる。クッション1701、1702として、スポンジ状の材料を使用することができる。スポンジ状の材料以外にも、例えばゲル状のパッチを使用してもよい。但し、ゲル状のパッチは取り替え可能な形状にする必要がある。変形例2においては、クッション材を装着することで、被験者の皮膚表面への密着性が向上し、外光の遮断が可能となる。
【0055】
(変形例3)
図18−1は、変形例3におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図18−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例3では、変形例1で示した態様と同様の支持部1603を用いるが、光源1801および受光部1802は、支持部1603に近いほど幅が狭く、支持部1603から遠くなるほど幅が広い。変形例3では、図18−2に示すような形状の光源1801および受光部1802を備えることで、装着時の指の間の違和感が低減されるとともに、手首方向と垂直方向の回転を抑え、安定した計測が可能となる。
【0056】
(変形例4)
図19−1は、変形例4におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図19−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例4では、変形例3で示した手の甲側の光源1801の代わりに、ケーブル111方向にさらに長く、かつその途中で屈曲した平面形状である光源1901を用いた例である。図19−1に示すように、手の甲にある光源1901の、支持部1603側の部分と手首側の部分では、手の甲に沿うように途中で屈曲しており、光源1901の手首側の部分が手のひら側の受光部1802と平行程度の角度になるように調節されている。この変形例4により、さらに、手の動きの影響を受けにくく安定した生体情報の計測が可能となる。
【0057】
(変形例5)
図20−1は、変形例5におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図20−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例5は、図16−1に示した支持部1603の代わりに支持部2001を用いた例であり、支持部2001は、支持部1603と比較して、手の甲側の光源1601との結合点からその屈曲先端までの長さが、手のひら側の受光部1602との結合点からその屈曲先端までの長さよりも長い。図20−1に示すように、光源1601が水かき部よりさらに手首に近い位置に配置されるため、被験者は光源1601に阻害されず指を閉じることができる。これにより光源1601の配置における安定性が高まり、かつ被験者の装着感が向上する。ただし、変形例5では、光源1601から発せられる光が透過する部分の肉厚は、水かき部の厚みよりも大きいため、上述した第1の実施の形態および変形例1〜4よりも、光源1601から発せられる光の強度を受光部1602で受光可能な程度に強くする必要がある。
【0058】
(変形例6)
図21−1は、変形例6におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図21−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例6は、光源1601もしくは受光部1602と支持部2101との間に回転部材2102、2103を設けた例である。回転部材2102、2103は、例えば図21−2に示すように、支持部2101の先端に連結された回転軸2104からなり、これにより、支持部2101は光源1601あるいは受光部1602に対して揺動可能に連結される。これら回転部材2102、2103によって、光源1601及び受光部1602は、被験者の動きにかかわらず、被験者の水かき部表面に常に密着した状態となる。これは、外光の影響を受けにくくなるとともに、検知における被験者の動きの影響が低減され、安定した生体情報の計測が可能となることを意味する。なお、回転部材2102、2103は、図21−2において、一方向にのみ回転する回転軸2104を含んだ機構として示されているが、光源1601及び受光部1602が複数の方向に回転することができる部材を用いてもよい。例えば、回転部材2102、2103として球状のジョイントを用いると、縦横2軸の自由度が得られ、センサヘッドの装着性および生体情報の計測の安定性をより向上させることができる。
【0059】
(変形例7)
図22−1は、変形例7におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図22−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例7は、金属板を曲げることで形成した板バネ2201をセンサヘッドの支持部材として用い、この屈曲した板バネ2201の内面に光源1601および受光部1602を設けた例である。図22−1に示すように、受光部1602から光源1601を介してケーブル111内へ導かれる信号線は板バネ2201の内面側に設けられる。この変形例7により、被験者の指の間の水かき部は所定の圧力で押され、センサヘッドがずれにくくなる。また、光源1601及び受光部1602と水かき部との密着性が向上するので、外光が遮断され、光源1601から受光部1602までの距離が一定となる。これにより安定した生体情報の計測が可能となる。
【0060】
(変形例8)
図23−1は、変形例8におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図23−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例8は、金属板を貼り合わせたピンセット機構による板バネ2301をセンサヘッドの支持部材として用い、この板バネ2301の内面側に光源1601および受光部1602を設けた例である。この変形例8は、変形例7と同様に、被験者の指の間の水かき部が所定の圧力で押されるので、センサヘッドがずれにくくなり、外光が遮断され、光源1601から受光部1602までの距離が一定となり、安定した生体情報の計測が可能となる。
【0061】
(変形例9)
図24−1は、変形例9におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図24−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例9は、直径1mm程度のピアノ線あるいはステンレスなどにより形成されたクリップバネ2401でセンサヘッドの支持部材を形成し、このクリップバネ2401の内面側に光源1601および受光部1602を設けた例である。この変形例9は、変形例7と同様に、被験者の指の間の水かき部が所定の圧力で押されるので、センサヘッドがずれにくくなり、外光が遮断され、光源1601から受光部1602までの距離が一定となり、安定した生体情報の計測が可能となる。
【0062】
(変形例10)
上述した第1の実施の形態および変形例1〜9では、センサヘッド151の狭持部の一方に光源を備え、他方に受光部を備える、いわゆる透過型の検知部が設けられた例であったが、それに替えて、光源と受光部がともにセンサヘッドの狭持部の片側に設けられた、いわゆる反射型の検知部が設けられてもよい。図25は、変形例10として、反射型の検知部を設けたセンサヘッド161を示す図であり、特に、図3−1に対応する側面図を示す。図25に示すように、変形例10では、センサヘッド161の支持部材となる樹脂内の手のひら側に、光源166と受光部163とが隣接して配置される。光源166から発せられた光は、水かき部の内部において反射され、受光部163に入射する。これにより、センサヘッド161は、脈波データをケーブル111を介して生体情報処理装置100へと送信することができる。なお、図25では、光源166と受光部163は、センサヘッド161の支持部材の長手方向(屈曲部から手首方向に向かう方向)に沿って並べられているが、この並置方向に限らず、その長手方向に対して垂直に並べられてもよい。また、光源166と受光部163とは、センサヘッド161の支持部材となる樹脂内の手の甲側に設けられてもよい。
【0063】
(変形例11)
図26−1は、変形例11におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図26−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。変形例11は、変形例1に示した構造において、透過型の検知部に替えて、上述した反射型の検知部を設けた例である。図26−1および図26−2に示すように、光源部1601と受光部1602はともに支持部1603の手のひら側に配置される。特に、これら図では、光源部1601と受光部1602は、支持部1603の屈曲部先端から手首方向に向かって並べられている。しかしながら、光源部1601と受光部1602は、この並置方向に限らず、支持部1603の長手方向に対して垂直に並べられてもよい。また、光源部1601と受光部1602とは、支持部1603の手の甲側に設けられてもよい。また、この変形例11と同様に、他の変形例2〜9において反射型の検知部を採用することもでき、この場合にも上述した各変形例による効果を享受することができる。
【0064】
(変形例12)
図27−1は、変形例12におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図であり、図27−2は、同センサヘッドを上から見た形状を示す図である。上述した第1の実施の形態および変形例においては、ケーブル巻取部109は生体情報処理装置100内に内蔵されていたが、変形例12ではケーブル巻取部109に相当するケーブル巻取部2502がセンサヘッド内に内蔵される。具体的には、図27−1に示すように、ケーブル巻取部2502は、光源2501内に内蔵される。なお、図27−1および図27−2では、変形例1に示した構造のセンサヘッド内にケーブル巻取部を備える構成を示しているが、本変形例12は、変形例2〜11に対しても同様に適用することができる。これにより、生体情報処理装置100内においてケーブル巻取部109を備える必要がなく、生体情報処理装置100にセンサヘッドとの接続を果たすコネクタが備えられれば、血中酸素飽和濃度などの生体情報の計測が可能となる。
【0065】
(変形例13)
上述した第1の実施の形態および変形例においては、センサヘッドの手の甲側からの一本のケーブル111により生体情報処理装置100と接続されていたが、これに制限するものではない。例えば指と指の間に装着したセンサヘッドを手のひら側からケーブルを伸ばして生体情報処理装置100に接続されてもよい。また、センサヘッドから生体情報処理装置100への接続を一本のケーブルに制限するものではなく、複数のケーブルによりセンサヘッドから生体情報処理装置100に接続することとしてもよい。
【0066】
図28は、第1の実施の形態において示した生体情報処理装置100に相当する生体情報処理装置2600内に、2つのケーブル巻取部2601、2603を備えた例を示す図である。生体情報処理装置2600からは、ケーブル巻取部2601、2603にそれぞれ接続されたケーブル2602、2604が外側に導き出されている。
【0067】
図29−1および図29−2は、上述した生体情報処理装置2600を被験者が装着した状態を示す図である。図29−1は手の甲側を示し、図29−2は手のひら側を示す。これらの図に示すように、手の甲側および手のひら側の両方から所定の張力でセンサヘッド2701を引くことで、よりセンサヘッド2701の装着の安定化を図ることが可能となる。なお装着方法は図29−1および図29−2に示した方法に限らず、どの指の間に装着してもよく、またセンサヘッド2701を固定できれば、ケーブル2602、2604はどの部位の表面を介してもよい。
【0068】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置は、生体情報処理装置内にケーブル巻取部を備えていたが、第2の実施の形態にかかる生体情報計測装置では、センサヘッドと生体情報処理装置とを電気的に接続するケーブルを、伸縮性を有する素材と信号線とで形成し、これにより、ケーブル巻取部を不要としている。
【0069】
図30は、第2の実施の形態にかかる生体情報計測装置の機能ブロック構成を示す図である。図30において、図1と共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図30に示す生体情報処理装置200には、ケーブル巻取部は備えられず、センサヘッド151は、生体情報処理装置200の光源制御部107と脈波計測部108とに直接接続されている。
【0070】
ケーブル120は、その長手方向において伸縮自在であり、内部に信号線を含んでいる。図31は、ケーブル120の一例を示す図である。図31では、電話の受話器のケーブルのような螺旋構造のチューブ113内に信号線112が封入されている。この例では特に、チューブ113は、引っ張り力を確保するために通常の受話器ケーブルより硬度の高い素材で形成されていることが好ましい。
【0071】
図32は、ケーブル120の他の例を示す図である。図32では、信号線112は、伸縮性のあるゴム素材114内に螺旋状に埋設されている。これら2つの例に示すような構造よって、伸縮性のあるケーブル120を提供することができる。
【0072】
このように、第2の実施の形態にかかる生体情報計測装置では、ケーブル112を巻き取るための機構が不要となるので、第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置と比べて、より簡単な構成で同じ機能を実現することができる。
【0073】
(第3の実施の形態)
図33は、本発明の第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置300の構成、および生体情報計測装置300から送信されたデータを受信する通信装置351そしてPC(Personal Computer)352を介して制御される照明353およびエアコン354を示すブロック図である。図33に示すとおり、第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置300は、加速度センサ301と、脈波センサ302と、メモリ303と、バッテリ304と、通信部305と、制御部310とから構成される。なお、生体情報計測装置300は、利用者の生活環境を妨げないよう携帯できる方が好ましく、例えば加速度センサ301および脈波センサ302を含んで一体となった指輪形状等が考えられるが、形状または携帯できるか否かについて制限を設けるものではない。
【0074】
脈波センサ302は、反射型の脈波センサであり赤色ダイオードとフォトダイオードからなり、血流量を赤色ダイオードによる発光の反射からフォトダイオードにおいて電気信号に変換するものであり、利用者の指先など脈波が計測できる部位に装着する必要がある。ただし、第3の実施の形態は、装着する部位を指先に制限するものではない。
【0075】
加速度センサ301は、利用者に装着させて体動を計測するための手段であり、例えば3軸加速度センサである。なお、加速度センサ301は、利用者に対し装着する部位を選ぶことで、得られる情報の種類や精度が変化するので、生体情報計測装置300とは分離して設けられてもよい。
【0076】
バッテリ304は、生体情報計測装置300に電力を供給するためのものである。バッテリ304から電力が供給されるため、生体情報計測装置300は自律神経指標の算出、及び自律神経指標または睡眠状態データの送信が可能となる。なお、バッテリ304は、生体情報計測装置300に内蔵できればよく、形状等について制限するものではない。
【0077】
制御部310は、脈波センサ302または加速度センサ301から取得したデータに基づいて、利用者の自律神経指標の算出、覚醒時もしくは睡眠時であるかの判定、さらに睡眠時ならば睡眠深さを示す睡眠状態データの特定を行うものである。この制御部310は、睡眠覚醒判定部311と、無体動判定部312と、指標算出部313と、状態特定部314と、状態変化判定部315とから構成されている。ここで、睡眠深さとは、レム睡眠、ノンレム睡眠という睡眠の質と、ノンレム睡眠の中の深さの程度の両方を含んでいる。
【0078】
睡眠覚醒判定部311は、睡眠を判定する手段であり、加速度センサ301から取得した加速度により、利用者が連続して体動したか否かを検知し、覚醒しているか睡眠中か判定する。第3の実施の形態においては、加速度センサ301から得られるデータに基づいて加速度を算出する。体動の判定値Mgは、例えば、以下に示す式(1)によって算出される。ここで、前回記録された加速度を(Xpre, Ypre, Zpre)と、今回計測された加速度を(Xcur, Ycur, Zcur)とする。
【0079】
【数1】

すなわち、体動の判定値Mgは、前回記録された加速度(Xpre, Ypre, Zpre)から、今回計測された加速度(Xcur, Ycur, Zcur)において、それぞれの軸別に差を求め、それぞれの2乗和の平方により算出される。この算出された判定値Mgが1Gを超えたか否かにより体動の有無を判定し、さらに1Gを超えた回数が5秒以内に3回を超えた場合に、覚醒していると判定し、3回未満の場合には睡眠中と判定する。また、この5秒以内に3回というのが第1の条件である。5秒以内に1Gが3回を超えることが連続して5分以上続いて計測された場合、その後5秒以内に3回未満であっても一定の期間に限り利用者は覚醒していると判定する。なお、この一定期間は実測により最適な値を定めるものとする。
【0080】
無体動判定部312は、睡眠覚醒判定部311において利用者が覚醒していると判断された場合において、さらに加速度センサ301から取得した加速度により、覚醒時の利用者が体動したか否かを判定する。具体的には、上述した睡眠覚醒判定部311で、体動が5秒以内に3回未満であっても利用者が覚醒していると判定される一定の期間内において、20秒間、加速度センサ301から体動がない場合に利用者は動作していないものと判定し、その旨を通信部305に出力し、通信部305から、このとき指標算出部313によって算出された自律神経指標を送信する。
【0081】
指標算出部313は、自律神経活動情報を生成する手段であり、具体的には、脈波センサ302で計測された脈波及びメモリ303に蓄積された脈波に基づいて、一定期間毎に自律神経指標を算出し、算出された自律神経指標をメモリ303に蓄積する。具体的な算出方法としては、メモリ303に蓄積されていた脈波データから得られる心拍変動の周波数分析を行い、その結果得られたパワースペクトル中の約0.3Hz前後の成分のパワー値の全体のパワー値に占める割合をHFとし、パワースペクトル中の約0.1Hz前後の成分のパワー値を約0.3Hz前後の成分のパワー値で割った値をLFとして算出する。HFは自律神経系の副交感神経の活動状態を反映した値であり、LFは自律神経系の交感神経の活動状態を反映した値であり、このHFおよびLFを自律神経指標とする。なお、自律神経指標は上述したHFおよびLFの値に制限するものではなく、睡眠状態データについて判定できる値であり、また家電製品などを制御するために必要な自律神経状態を表す値であればよい。なお、自律神経指標の算出を行う一定期間は、実測により最適な期間を定めるものとする。
【0082】
状態特定部314は、メモリ303に蓄積されていた自律神経指標に基づいて、利用者の睡眠状態を示す睡眠状態データを特定し、メモリ303に蓄積する。第3の実施の形態においては、状態特定部314は、HFが第1の所定値より大きいか否かにより、Non−REM睡眠かREM睡眠かを特定し、Non−REM睡眠と特定した場合にはさらに、第2の所定値より大きいか否かにより、深い睡眠状態か浅い睡眠状態かを特定する。また、LFの値についても同様に睡眠状態データを特定するための所定値を設けて、HFおよびLFの値により判定を加えることで、精度の高い睡眠状態データの特定が可能となる。さらに、上述した所定値は個人によって異なるため実測により最適な値を設定する必要がある。なお、睡眠状態データの特定の特定方法は、上述した方法に制限するものではなく、指標算出部313から算出された自律神経指標に基づいて睡眠状態データを特定できる方法であればよい。さらに、第3の実施の形態においては、睡眠状態データをREM、浅い睡眠状態、深い睡眠状態の3つに分けたが、この分け方に限らず、REMとNon−REMのみ、もしくはさらに多くの睡眠状態に分けてもよい。
【0083】
状態変化判定部315は、本発明の状態変化判定手段に相当し、状態特定部314から入力された睡眠状態データと前回特定されメモリ303に蓄積されていた睡眠状態データとに基づいて睡眠状態データが変化したか否か判定する。変化したと判定された場合は、その旨を通信部305に送信し、睡眠状態データを通信部305から送信する。
【0084】
通信部305は、算出された自律神経指標または特定された睡眠状態データを送信する。メモリ303は、脈波、自律神経指標、睡眠状態データを蓄積する。具体的には、脈波は自律神経指標を算出するために、自律神経指標は睡眠状態データの特定または通信部105より送信されるために、睡眠状態データは計測された睡眠状態データと比較して睡眠状態データが変化したか否か判定するために必要となる。なお、メモリ103に蓄積する情報は、脈波、自律神経指標、睡眠状態データに制限するものではなく、自律神経指標を算出するため、もしくは送信するために必要な情報であればよい。
【0085】
第3の実施の形態における生体情報計測装置300の構成は上述したとおりであり、次に、生体情報計測装置300から送信された情報を受信する通信装置351と、情報を取得し家電製品の等の制御を行う外部装置であるPC352と、そしてPCにより制御される照明353と、エアコン354とについて説明する。
【0086】
通信装置351は、生体情報計測装置300の通信部305から送信された自律神経指標または睡眠状態データを受信し、受信した自律神経指標または睡眠状態データをPC352に出力する。生体情報計測装置300の通信部305との通信方式は、利用者の生活環境において利用可能な通信方式であればよく、例えば無線を用いた通信方式などが考えられる。
【0087】
PC352は、通信装置351から入力された自律神経指標または睡眠状態データに基づいて、利用者に適した環境にするために照明353またはエアコン354を制御する。例えば、PC352が、入力された自律神経指標であるHFおよびLFに基づいて、利用者が興奮状態と判断した場合、リラックスさせるために照明353を暖かみのある色に変更する。あるいは明るさを和らげる等の制御を行うことが考えられる。他には睡眠状態データから深い睡眠状態と判断した場合、エアコン354の温度を調節するなどの制御を行うことが考えられる。送信される生体情報により照明353およびエアコン354を制御するので、利用者に快適な生活環境を提供することが可能となる。また、睡眠状態データが変化したとき、もしくは覚醒時に無体動の時に限り情報が送信されるため、PC352における処理の軽減が可能となる。なおPC352により制御される家電製品を照明353またはエアコン354に限るものではない。
【0088】
照明353およびエアコン354は、利用者に快適な環境を提供するために、PC352により制御される。このため、照明353およびエアコン354は、PC352と通信可能である必要があるが、通信方式について特に制限はないものとする。
【0089】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る生体情報計測装置300の処理を説明する。図34は第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置300の処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、生体情報計測装置300の処理を以下の手順に制限するものではない。
【0090】
まず、脈波センサ302は、脈波を計測する(ステップS201)。計測された脈波はメモリ303に蓄積される(ステップS202)。この計測あるいは蓄積された脈波に基づいて指標算出部313は、自律神経指標を算出する(ステップS203)。ここで、自律神経指標とは、自律神経系の副交感神経の活動状態を反映した活動値HFと、自律神経系の交感神経の活動状態を反映した活動値LFとによって表わされる。算出された自律神経指標はメモリ303に蓄積される(ステップS204)。
【0091】
加速度センサ301は、加速度を計測することにより利用者の体動を計測する(ステップS205)。そして睡眠覚醒判定部311は、加速度センサ301により検出された体動に基づいて利用者が覚醒しているか睡眠中かを判定する(ステップS206)。具体的には加速度センサ301により計測された加速度において1Gを超える加速度が5秒以内に3回以上検出された場合は覚醒していると判定し、5秒以内に3回未満の場合は睡眠中と判定する。また、加速度センサ301において5秒以内に1Gが3回を超えることが連続して5分以上続いて計測された場合、その後5秒以内に3回未満であっても一定の期間に限り利用者は覚醒していると判定する。
【0092】
図35は、加速度センサ301により検出された加速度による、覚醒しているときと睡眠中における体動の頻度を示した図である。図35に示したように5秒で1G以上を3回以上超えるようなら睡眠覚醒判定部311は、覚醒時と判定し、5秒以上で1G以上を3回未満の場合は睡眠中と判定している。
【0093】
図34に戻り、睡眠覚醒判定部311により睡眠中と判定された場合(ステップS206:Yes)、状態特定部314は、メモリ303に蓄積されていた自律神経指標を取得し、睡眠状態データを特定する(ステップS207)。詳しくは自律神経指標とされるHFおよびLFに基づいて睡眠状態データを特定する。睡眠状態データはREM睡眠、浅い睡眠状態、深い睡眠状態の3つに分けられる。そして、今回特定された睡眠状態データは、状態変化判定部315により、メモリ303に蓄積されていた前回特定された睡眠状態データと比較し、睡眠状態データが変化したか否か判定される(ステップS208)。睡眠状態データの変化とは、具体的には前回の睡眠状態データが浅い睡眠状態ならば、今回特定された睡眠状態データが、深い睡眠状態もしくはREM睡眠の場合に睡眠状態が変化したと判定されたことをいう。そして、状態変化判定部315により睡眠状態データが変化した判定された場合(ステップS208:Yes)、通信部305が、今回特定された睡眠状態データを送信する(ステップS209)。また状態変化判定部315により睡眠状態データが変化しなかったと判定された場合(ステップS208:No)、特に処理を行わない。その後、特定された睡眠状態データをメモリ303に蓄積する(ステップS210)。なお、蓄積された睡眠状態データは、次回利用者の睡眠状態データに変化があったか否かに用いられる。
【0094】
図36は、利用者の睡眠状態の変化による、睡眠状態データのデータ送信時を示した図である。WAKEは利用者が覚醒している状態を示し、上述したとおり加速度センサ301において5秒で1G以上を3回以上超える場合などが該当する。REM、浅い睡眠状態、深い睡眠状態は、状態変化判定部315により判定された睡眠状態データである。そして睡眠状態が変化した直後となる、矢印の元で表された時間において、睡眠状態データが通信部305により送信される。また、送信される睡眠状態データは、矢印で指し示した変化後の睡眠状態である。
【0095】
図34に戻り、睡眠覚醒判定部311により覚醒していると判定された場合(ステップS206:No)、無体動判定部312は、利用者が動いているか否か判定する(ステップS211)。具体的には加速度センサ301により得られた加速度が1Gを超える値が20秒計測されなかった場合に利用者は動いていないと判定する。また、この1Gを超える加速度が20秒計測されなかった場合が第2の条件である。無体動判定部312により利用者は動いていないと判定された場合(ステップS211:Yes)、通信部305によりメモリ303に蓄積されていた自律神経指標を送信する(ステップS212)。無体動判定部312により利用者が動いていると判定された場合(ステップS211:No)、特に処理は行わない。また、自律神経指標の計算を所定時間範囲で無体動と判定された場合、その時間範囲での自律神経指標を提示してもよい。
【0096】
第3の実施の形態により、睡眠中においては睡眠状態データを送信し、覚醒しているときにおいては自律神経指標を送信する。つまり睡眠時と覚醒時では異なるパラメータを送信するので、利用者の状態に適した家電製品等の制御が可能となる。なお、ステップS201からステップS204における脈波の計測から自律神経指標の蓄積までの処理手順と、ステップS205からステップS212までの加速度計測から睡眠状態データまたは自律神経指標の送信および睡眠状態データの蓄積までの処理手順は並列して行われる処理であり、脈波計測や加速度計測などのタイミングを制限するものではない。
【0097】
また、状態変化判定部315により利用者の睡眠状態データの変化を判定し、前回の睡眠状態データと異なる場合に限り、通信部305により睡眠状態データの送信を行うことで、通信回数が抑えられ、省電力化を図ることができる。さらに無体動判定部312により利用者が動作していないものと判定した場合に限りデータ通信を行うため、通信回数が抑えられ、省電力化を図ることができる。また、無体動判定部312により無体動時の脈波に基づいて自律神経指標を算出し、算出された自律神経指標を送信するため、ノイズなど影響が少なく信頼性の高いデータの送信が可能となる。
【0098】
なお、第3の実施の形態において記載されたパラメータの値は一例として示したものであり、これらの値に制限されることはない。具体的には、睡眠覚醒判定部311における、加速度センサ301で計測された値が1Gを超えたか否かで判断するもの制限せず、睡眠か覚醒か判定するための回数も5秒間に3回のみに制限するものでもない。無体動判定部312において覚醒していると判断するための時間を5分に、また動作をしていないと判定するための時間を20秒間に制限するものではない。
【0099】
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置では、睡眠時において睡眠状態データに変化があった場合に、睡眠状態データを送信したが、この第4の実施の形態にかかる生体情報計測装置では、睡眠時において加速度センサ301により利用者の体動が計測された場合に、睡眠状態データを送信するものである。
【0100】
図37は、本発明の第4の実施の形態にかかる生体情報計測装置400の構成を示すブロック図である。図37に示すとおり、第4の実施の形態にかかる生体情報計測装置400は、加速度センサ301と、脈波センサ302と、メモリ401と、バッテリ304と、通信部305と、制御部410とから構成され、第3の実施の形態の制御部310は、それとは処理の異なる制御部410に変更され、メモリ303は、蓄積している情報の異なるメモリ401に変更されている。以下の説明では、上述した第3の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0101】
制御部410は、睡眠覚醒判定部311、無体動判定部312、指標算出部313、状態特定部314、睡眠体動判定部411とから構成され、上述した第3の実施の形態における生体情報計測装置300から状態変化判定部315を削除し、その代わりに睡眠体動判定部411が追加されている。
【0102】
睡眠体動判定部411は、睡眠覚醒判定部311で睡眠中と判定された場合において、利用者の睡眠時において体動の有無を判定する。これは睡眠状態に変化が生じる時に体動が起こることが知られているため、体動があったと判定した場合に睡眠状態が変化したものとみなし、睡眠状態データを通信部305により送信する。
【0103】
メモリ401は、脈波、神経活動指標を蓄積し、第1の実施の形態にかかるメモリ303では蓄積していた睡眠状態データを蓄積しないこととした。これは第4の実施の形態においては睡眠状態データの変化を判定しないからである。当然メモリ401に蓄積する情報は、脈波、自律神経指標に制限するものではなく、自律神経指標を算出するため、もしくは送信するために必要な情報であればよい。
【0104】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る生体情報計測装置400の処理を説明する。図38は第4の実施の形態に係る生体情報計測装置400の処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、生体情報計測装置400の処理を以下の手順に制限するものではない。
【0105】
まず第3の実施の形態の図34のステップS201からステップS204と同様に脈波から自律神経指標を算出し、自律神経指標をメモリ401に蓄積する。
【0106】
そして第3の実施の形態の図34のステップS205からステップS206と同様に加速度を計測し、計測された加速度に基づいて利用者が覚醒しているか睡眠中かを判定する。そして睡眠覚醒判定部311において睡眠中と判定された場合(ステップS206:Yes)、睡眠体動判定部411は、睡眠中において体動があるか否かを判定する(ステップS301)。睡眠体動判定部411における体動の有無の判定では、例えば加速度センサ301が1Gを超えた値が10秒間に2回あった場合に体動があったと判定する。この10秒間に2回が第3の条件に相当する。ただし、睡眠中の体動の有無は、利用者の違いによる個人差があるため2回に制限するものではなく、利用者各人にとって最適な値を実測により設定する必要がある。
【0107】
睡眠体動判定部411により体動ありと判定された場合(ステップS301:Yes)、状態特定部314により睡眠状態データを特定する(ステップS302)。睡眠状態データの特定する方法は第1の実施の形態のステップS207と同様とする。状態特定部314により特定された睡眠状態データは通信部305により送信される(ステップS303)。
【0108】
また、睡眠覚醒判定部311において覚醒していると判定された場合(ステップS206:No)は、第3の実施の形態の図34のステップS211からステップS212と同様に、利用者が体動していない場合に限り、自律神経指標を送信する。
【0109】
図39は、利用者の体動の測定による、睡眠状態データのデータ送信時を示した図である。上述した睡眠体動判定部411により体動があったと判定された場合、その時の睡眠状態データを通信部305により送信される。また、図39における矢印先で示された睡眠状態を睡眠状態データとして、矢印の元で表された時間に、通信部305により送信される。
【0110】
第4の実施の形態においては、睡眠時に体動があった場合に限り睡眠状態データを送信することで、通信回数が抑えられ、消費電力を押さえることが可能となる。
【0111】
また、第4の実施の形態においては第3の実施の形態と同様に、無体動判定部312により利用者が動作していないものと判定した場合に限りデータ通信を行うため、通信回数が抑えられ、省電力化が図られ、かつ、無体動判定部312により無体動時の脈波に基づいて自律神経指標を算出し、算出された自律神経指標を送信するため、ノイズなど影響が少なく信頼性の高いデータの送信が可能となる。なお、第4の実施の形態においても第3の実施の形態と同様に、記載されたパラメータの値は一例として示したものであり、これらの値に制限されない。
【0112】
なお、第4の実施の形態においては、睡眠中において体動があったと判定された場合に、その時の睡眠状態データを通信部305により送信されることとしたが、判定を睡眠中の体動があったか否かのみに制限するものではなく、例えば第3の実施の形態で示した睡眠中の睡眠状態データの変化があったか否かの判定と組み合わせて、データ通信するか否かを決定してもよい。
【0113】
なお、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその趣旨を逸脱しない範囲で構成要件を変形して具体化できる。また、上記実施形態・変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態・変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる変形例の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0114】
例えば、第3および第4の実施の形態において説明した脈波センサ302や加速度センサ301を、第1の実施の形態において説明したセンサヘッド151とケーブル111とケーブル巻取部109とからなる構成に置換することができる。同様に、第3および第4の実施の形態において説明した脈波センサ302や加速度センサ301を、第2の実施の形態において説明したセンサヘッド151とケーブル120とからなる構成に置換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上のように、本発明にかかる生体情報計測装置は、脈波および血中酸素飽和濃度などの生体情報の測定や生活環境の制御に有用であり、特に、日常生活や睡眠時における長時間計測や快適な生活環境の提供に適している。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の機能ブロック構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置における被験者の装着例を示す図である。
【図3−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置のセンサヘッドの側面図である。
【図3−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置のセンサヘッドの上面図である。
【図3−3】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置のセンサヘッドの正面図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置のセンサヘッドを被験者の手に装着した状態を示す図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置のセンサヘッドおよびセンサヘッドを装着した被験者の手の断面図である。
【図6】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置のセンサヘッドの光源周囲の断面図である。
【図7】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の他の例のセンサヘッドの光源周囲の断面図である。
【図8】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の他の例のセンサヘッドの形状を示した図である。
【図9】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置のケーブルが生体情報計測装置に内蔵されたケーブル巻取部により引っ張られる概念を示した図である。
【図10】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置に内蔵された横巻きによるケーブル巻取部を点線で示した図である。
【図11】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置に内蔵されたスリップリングを示した図である。
【図12】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置に内蔵された縦巻きによるケーブル巻取部を点線で示した図である。
【図13】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の表示部上の血中酸素飽和濃度(SpO2)及び脈拍数の表示例を示した図である。
【図14】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の表示部上の血中酸素飽和濃度低下頻度(ODI:Oxygen Desaturation Index)の表示例を示した図である。
【図15】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の表示部上に、血中酸素飽和濃度の平均に対して4%以上の低下があった頻度を一時間毎に表示した場合の例を示した図である。
【図16−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例1におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図16−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例1におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図17−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例2におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図17−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例2におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図18−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例3におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図18−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例3におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図19−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例4におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図19−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例4におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図20−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例5におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図20−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例5におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図21−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例6におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図21−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例6におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図22−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例7におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図22−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例7におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図23−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例8におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図23−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例8におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図24−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例9におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図24−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例9におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図25】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例10におけるセンサヘッドを示す図である。
【図26−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例11におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図26−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例11におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図27−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例12におけるセンサヘッドを横から見た形状を示す図である。
【図27−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例12におけるセンサヘッドを上から見た形状を示す図である。
【図28】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例13において内蔵された2つのケーブル巻取部を点線で示した図である。
【図29−1】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例13の手の甲側の状態を示す図である。
【図29−2】第1の実施の形態にかかる生体情報計測装置の変形例13の手のひら側の状態を示す図である。
【図30】第2の実施の形態にかかる生体情報計測装置の機能ブロック構成を示す図である。
【図31】第2の実施の形態にかかる生体情報計測装置のケーブルの一例を示す図である。
【図32】第2の実施の形態にかかる生体情報計測装置のケーブルの他の例を示す図である。
【図33】第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置の機能ブロック構成および生体情報計測装置から送信されたデータを受信する通信装置そしてPCを介して制御される照明およびエアコンを示す図である。
【図34】第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置の処理手順の一例を示す図である。
【図35】第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置の加速度センサにより検出された加速度による生体情報計測装置の利用者が覚醒しているときと睡眠中における体動の頻度を示す図である。
【図36】第3の実施の形態にかかる生体情報計測装置の睡眠状態の変化に基づく睡眠状態データのデータ送信時を示す図である。
【図37】第4の実施の形態にかかる生体情報計測装置の機能ブロック構成および生体情報計測装置から送信されたデータを受信する通信装置そしてPCを介して制御される照明およびエアコンを示す図である。
【図38】第4の実施の形態にかかる生体情報計測装置の処理手順の一例を示した図である。
【図39】第4の実施の形態にかかる生体情報計測装置の睡眠中の体動の計測に基づく睡眠状態データのデータ送信時を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
10,300,400 生体情報計測装置
100,1200,2600 生体情報処理装置
101 入力部
102 表示部
103 記憶部
104 データ通信部
105 電源供給部
106 制御部
107 光源制御部
108 脈波計測部
109,1201,2502,2601,2603 ケーブル巻取部
110 血中酸素飽和濃度演算部
111,120,2602、2604 ケーブル
112 信号線
151,801,2701 センサヘッド
152,1601,1801,1901,2501 光源
153,1602,1802 受光部
300、400 生体情報計測装置
301 加速度センサ
302 脈波センサ
303、401 メモリ
304 バッテリ
305 通信部
310、410 制御部
311 睡眠覚醒判定部
312 無体動判定部
313 指標算出部
314 状態特定部
315 状態変化判定部
351 通信装置
352 PC
353 照明
354 エアコン
411 睡眠体動判定部
601 スペーサ
602,702 ケーブル通し穴
603,701,1701,1702 クッション
1101 接点
1102 金属板
1603,2001,2101 支持部
2102,2103 回転軸
2201,2301 板バネ
2401 クリップバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の脈波に基づいて自律神経活動の状態を示す指標を算出する指標算出手段と、
前記利用者の体動を示す体動情報を計測する体動計測手段と、
前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者が覚醒しているか睡眠中かを判定する睡眠判定手段と、
前記睡眠判定手段により覚醒していると判定された場合、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者の動作の有無を判定する体動判定手段と、
前記体動判定手段により前記利用者が動作をしていないと判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標を、ネットワークを介して外部装置に送信する第1の送信手段と、
前記睡眠判定手段により睡眠中と判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標から睡眠中における睡眠深さを示す睡眠状態情報を特定する睡眠状態特定手段と、
前記睡眠状態特定手段により特定された前記睡眠状態情報が、以前に前記睡眠状態特定手段により特定された前記睡眠状態情報と比較して、変化したか否か判定する状態変化判定手段と、
前記状態変化判定手段により前記睡眠状態情報が変化したと判定された場合、前記睡眠状態情報を、ネットワークを介して外部装置に送信する第2の送信手段と、
を備えたことを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項2】
利用者の脈波に基づいて自律神経活動の状態を示す指標を算出する指標算出手段と、
前記利用者の体動を示す体動情報を計測する体動計測手段と、
前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者が覚醒しているか睡眠中かを判定する睡眠判定手段と、
前記睡眠判定手段により覚醒していると判定された場合、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者の動作の有無を判定する体動判定手段と、
前記体動判定手段により前記利用者が動作をしていないと判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標を、ネットワークを介して外部装置に送信する第1の送信手段と、
前記睡眠判定手段により睡眠中と判定された場合、前記体動計測手段により計測された前記体動情報に基づいて、前記利用者の睡眠中の体動の有無を判定する睡眠体動判定手段と、
前記睡眠体動判定手段により睡眠中に体動があったと判定された場合、前記指標算出手段により算出された前記指標から睡眠中における睡眠深さを示す睡眠状態情報を特定する睡眠状態特定手段と、
前記睡眠状態特定手段により特定された前記睡眠状態情報を、ネットワークを介して外部装置に送信する第2の送信手段と、
を備えたことを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項3】
前記睡眠判定手段は、前記体動計測手段により計測された前記体動情報が、あらかじめ定められた第1の条件を満たす場合に覚醒していると判定し、前記第1の条件を満たさない場合に睡眠中と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報計測装置。
【請求項4】
前記体動判定手段は、前記体動計測手段により計測された前記体動情報が、あらかじめ定められた第2の条件を満たす場合に利用者が動作していると判定し、前記第2の条件を満たさない場合に利用者が動作していないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報計測装置。
【請求項5】
前記睡眠体動判定手段は、前記体動計測手段により計測された前記体動情報が、あらかじめ定められた第3の条件を満たす場合に睡眠中に体動したと判定し、前記第3の条件を満たさない場合に体動なしと判定することを特徴とする請求項2に記載の生体情報計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【図24−1】
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【図24−2】
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【図25】
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【図26−1】
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【図26−2】
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【図27−1】
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【図27−2】
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【図28】
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【図29−1】
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【図29−2】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2009−11850(P2009−11850A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236434(P2008−236434)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2005−1850(P2005−1850)の分割
【原出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】