説明

生体認証装置

【課題】生体情報を用いた個人認証において、利便性を損なわずに識別処理(1:N認証)に対する認証精度を向上させる。
【解決手段】複数の登録者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を登録データとして保持する手段と、識別処理の実行に際し、利用者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を照合データとして取得する手段と、前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行ない、類似度を算出する手段と、算出された類似度に基づいて登録データを選択する手段と、選択された登録データが2つ以上存在する場合に、当該登録データの輪郭像と前記照合データの輪郭像から差異特徴を抽出する手段と、抽出された差異特徴に基づいて登録データの絞り込みを行い、認証結果を得る手段と、認証結果を出力する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を用いた個人認証(バイオメトリクス認証)のうち識別処理(1:N認証)における認証精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、施設への入退出等の際に人手を介さずに本人であることを確認する手段として、磁気カードや暗証番号(PIN:Personal Identification Number)が用いられている。しかし、これらの手段には、紛失(忘却)や盗用の問題がある。紛失(忘却)や盗用の心配がない本人確認手段として、指紋、顔、静脈等の個人の生体情報を用いる個人認証技術が盛んに研究されている。
【0003】
特許文献1には生体情報として手のひら等の静脈像(静脈パターン)を用いた認証技術が開示されている。このような静脈認証には以下の特徴がある。
・被撮影者の負担が小さい。
・身体の内部にある生体情報であるため偽造が困難である。
・表面の荒れに強く、ほとんどの人に適用できる。
・認証精度が比較的高い。
・近赤外光で撮影するので、外光変動に強い。
【0004】
一方、個人認証技術は、利用者がカードや番号(ID:Identification)等によって表される特定の人であるかどうかを判定する検証処理(1:1認証)と、登録された複数の人の中の特定の1人であると判定する識別処理(1:N認証)に分類される。本願では、後者の識別処理を対象とする。
【0005】
静脈像を対象に識別処理を行う静脈認証装置の基本的な動作は次のようになる。
【0006】
すなわち、静脈を撮影しやすい手のひら等の人体の部位に近赤外光を照射し、反射あるいは透過した光の強度分布を撮影して静脈像を検出する。このような手法により、あらかじめ各個人毎に静脈像を取得して登録(記憶)しておく。登録されている静脈像を登録静脈像と呼ぶこととする。なお、登録静脈像の取得は識別処理を行う装置とは別に設けた登録用の装置によって行うこともできる。
【0007】
認証時にも同様の手法により静脈像を検出する。認証時に取得された静脈像を照合静脈像と呼ぶこととする。
【0008】
そして、複数の登録静脈像と照合静脈像が一致するかどうかを比較判断して認証を行ない、認証結果を出力する。ただし、生体情報は同一人物であってもある程度は変動するので、静脈像の一致の判断においては、ある程度の変動を許容して比較する必要がある。
【特許文献1】米国特許第4699149号公報(英国特許第2156127号公報)
【特許文献2】特開2003−141542号公報
【特許文献3】特許第3356144号公報
【特許文献4】特開平9−91434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した識別処理(1:N認証)では、認証時にカードの提示や利用者を表す番号の入力作業が不要であるという利点があるが、多数の登録データとの照合処理を行なうため、類似した生体情報が登録されている場合には誤識別を起こしやすいという問題がある。
【0010】
識別処理において誤識別を減少させる従来技術として、以下の手法が知られている。
(1)本人判定閾値の厳格化
特許文献2には、類似した顔画像が登録されている場合に、本人判定閾値を上げる(厳しくする)手法が開示されている。この手法により誤識別を減らすことができるが、反面、真正な利用者が本人と認証されにくくなり利便性が低下する問題がある。
(2)認証処理に用いる特徴の増加
公知技術として、複数種類の特徴で認証を行なうマルチモーダルバイオメトリクス技術が広く知られている。例えば、顔と手のひらの撮影を同時に行ない、顔認証と静脈認証を組み合わせて識別処理を行なえば、顔だけでは区別できない2人を識別することが可能となる。ただし、生体情報は同一人物であってもある程度は変動するので、認証処理に用いる特徴を増やすと真正な利用者が本人と認証されにくくなり、利便性が低下するという問題がある。更に、特徴の種類によっては、撮影の手間が増大するという問題がある。
(3)追加情報(ID、パスワード、他の生体情報等)の要求
特許文献3には、認証不可の際にパスワード等を用いて代替認証を行なう方式が開示されている。誤識別を確実に減少させる利点があるが、認証操作が繁雑となり利便性が低下するという問題がある。
(4)類似生体情報の登録拒否
特許文献4には、登録時に既登録の他人の生体情報との類似度を算出し、類似度の高い生体情報が存在しない場合に限って登録処理を行う方式が開示されている。他人と類似した登録データがなくなり誤識別が減少する効果があるが、生体認証を利用できない利用者が現れ、利便性が低下するという問題がある。
【0011】
このように、誤識別を減少させる従来技術はいくつか存在するが、利用者の使い勝手を悪化させ、利便性が低下するという問題がある。
【0012】
上記の従来の問題点に鑑み、生体情報を用いた個人認証において、利便性を損なわずに識別処理(1:N認証)に対する認証精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この生体認証装置の一実施態様では、複数の登録者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を登録データとして保持する手段と、識別処理の実行に際し、利用者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を照合データとして取得する手段と、前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行ない、類似度を算出する手段と、算出された類似度に基づいて登録データを選択する手段と、選択された登録データが2つ以上存在する場合に、当該登録データの輪郭像と前記照合データの輪郭像から差異特徴を抽出する手段と、抽出された差異特徴に基づいて登録データの絞り込みを行い、認証結果を得る手段と、認証結果を出力する手段とを備える。
【発明の効果】
【0014】
開示の生体認証装置にあっては、与えられた生体情報との類似性が高い登録データが複数存在する場合、それらの登録データを識別できる差異特徴を抽出して絞り込みに利用することで、生体情報を用いた個人認証において、利便性を損なわずに識別処理に対する認証精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0016】
<概要>
本実施形態は、生体情報を用いた個人認証の識別処理(1:N認証)において、誤識別を低減させるものである。なお、生体情報として、手のひら輪郭と手のひら静脈を認証に用いる場合について説明を行なうが、他部位の輪郭と静脈像に対しても適用可能である。更に、静脈像以外の生体情報を対象とすることもできる。
【0017】
基本的な処理手順は以下の通りである。すなわち、与えられた照合静脈像と各登録静脈像の類似度を算出する。なお、類似度の算出においては、それぞれの輪郭像(照合輪郭像、登録輪郭像)および静脈像(照合静脈像、登録静脈像)を用いた位置合わせを行い、位置合わせの済んだ状態での最適な類似度を出力する。位置合わせの処理については後述する。
【0018】
与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が1つだけの場合には、認証結果として、その登録データのIDを返す。1つも存在しない場合には、認証結果として、未登録を返す。
【0019】
以下、与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が複数存在する場合を扱う。類似度の算出に伴い、各登録静脈像と照合静脈像の位置合わせ結果が得られる。
【0020】
静脈像の位置合わせ結果を利用して、輪郭像の位置合わせを行ない、輪郭形状から登録データを識別できる差異特徴を抽出する。差異特徴の抽出の詳細については後述する。
【0021】
そして、抽出された差異特徴によって登録静脈像の絞り込みを行ない、1つの登録データを選択し、認証結果として、その登録データのIDを返す。
【0022】
本手法には以下の特徴があり、利用者の利便性を損なわないという利点がある。
・本人判定閾値は不変であり、閾値の変動に起因する本人拒否は増加しない。
・輪郭像と静脈像は1度の撮影で得られるので、撮影の手間は増えない。
・利用者の追加操作は不要である。
・登録時の拒否は発生しない。
【0023】
<装置構成>
図1は一実施形態にかかる生体認証装置の構成例を示す図である。
【0024】
図1において、生体認証装置1は、照射部2と撮影部3と記憶部4と認証部5とを備えている。
【0025】
照射部2は、静脈像を撮影しやすい手のひら等の人体の部位Pに近赤外光を照射する機能を有している。
【0026】
撮影部3は、部位Pにより反射あるいは透過した光の強度分布を撮影して照合データを検出する機能を有している。照合データは照合静脈像と照合輪郭像とを含んでいる。
【0027】
記憶部4は、あらかじめ各個人毎の登録データを登録して記憶しておくものである。登録データは登録静脈像と登録輪郭像とを含んでいる。
【0028】
認証部5は、記憶部4に記憶された登録データ(登録静脈像、登録輪郭像)と撮影部3により検出された照合データ(照合静脈像、照合輪郭像)に基づいて認証処理を行い、認証結果を出力する機能を有している。認証処理の詳細については後述する。
【0029】
典型的には、記憶部4と認証部5はコンピュータ装置により実現され、認証部5はコンピュータプログラムにより実現されるが、記憶部4と認証部5は必ずしも同一のコンピュータ装置内に置く必要はない。例えば、記憶部4としてカード(ICカード等)を用いることができる。また、記憶部4と認証部5は、照射部2および撮影部3とは遠隔の、ネットワークで繋がれたホストコンピュータに置くこともできる。
【0030】
図2は記憶部4のデータ構造例を示す図であり、「ID」と「登録静脈像」と「登録輪郭像」の項目を有し、IDに登録静脈像と登録輪郭像とを対応付けて記憶している。IDは、利用者個人を特定する記号である。登録静脈像は、一定の規則に従って静脈像の各画素の値や各特徴点の位置等を数字の列に変換したものである。登録輪郭像は、一定の規則に従って輪郭像の各画素の値や各特徴点の位置等を数字の列に変換したものである。
【0031】
図3は認証部5の構成例を示す図である。図3において、認証部5は、照合部51と候補選択部52と特徴抽出部53と特徴比較部54と出力部55とを備えている。
【0032】
照合部51は、照合データと登録データを読み込み、輪郭像(照合輪郭像、登録輪郭像)および静脈像(照合静脈像、登録静脈像)を用いた位置合わせを行い、位置合わせの済んだ状態で照合静脈像と各登録静脈像の類似度を算出する機能を有している。
【0033】
候補選択部52は、与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が1つだけの場合には、その登録データのIDを出力部55に渡し、与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が複数存在する場合には、類似度が上位所定順位までの複数の登録静脈像のIDを次段の特徴抽出部53に渡す機能を有している。与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が1つもない場合、候補選択部52は未登録(該当者なし)を示す情報を出力部55に渡す。
【0034】
特徴抽出部53は、照合部51における位置合わせ結果を利用して、輪郭像の位置合わせを行ない、輪郭形状から登録データを識別できる差異特徴を抽出し、IDと対応付けて差異特徴を特徴比較部54に渡す機能を有している。
【0035】
特徴比較部54は、特徴抽出部53により抽出された差異特徴によって登録データの絞り込みを行ない、1つの登録データを選択し、その登録データのIDを出力部55に渡す機能を有している。
【0036】
出力部55は、認証結果として登録データのIDもしくは未登録の旨を出力する機能を有している。
【0037】
<動作>
図4は上記の実施形態の全体的な処理例を示すフローチャートである。
【0038】
図4において、生体認証装置1は、処理を開始すると(ステップS1)、静脈像を撮影しやすい手のひら等の人体の部位Pに照射部2から近赤外光を照射する(ステップS2)。
【0039】
撮影部3は、部位Pにより反射あるいは透過した光の強度分布を撮影して照合データを検出する(ステップS3)。照合データは照合静脈像と照合輪郭像とを含んでいる。
【0040】
撮影部3において撮影した画像から照合静脈像と照合輪郭像とを検出する手法の例を以下に示す。
【0041】
撮影された画像上で、背景は明るく、手のひら等はやや暗く、静脈は最も暗く表されるので、例えば、撮影した画像を以下のように3値化することで照合静脈像と照合輪郭像を検出することができる。
(1)撮影した画像の各画素の値が定められた第1閾値よりも大きい場合には、背景を表す値「0」とする。
(2)上記(1)に該当せず、各画素の値が定められた第2閾値(第1閾値よりも小さな値)よりも大きい場合には、手のひら等を表す値「2」とする。
(3)それ以外の場合には、静脈を表す値「1」とする。
(4)上記の(1)〜(3)による3値化後に、全画素を1つずつ走査して、注目画素が手のひら等を表す値「2」であり、その隣の画素が背景を表す値「0」の場合に、注目画素の値を輪郭を表す値「4」に変更する。
(5)静脈を表す値「1」の画素はそのままとし、他の画素の値を「0」とすることで、照合静脈像が得られる。
(6)上記の(4)の処理結果から、輪郭を表す値「4」以外の画素の値を「0」とし、輪郭を表す値「4」を値「1」に変更することで、照合輪郭像が得られる。
【0042】
図4に戻り、認証部5は、記憶部4に格納されている複数の登録データ(登録静脈像、登録輪郭像)と照合データ(照合静脈像、照合輪郭像)に基づいて認証処理を行い(ステップS4)、認証結果を出力し(ステップS5)、処理を終了する(ステップS6)。
【0043】
図5は認証部5の処理例を示すフローチャートである。
【0044】
図5において、認証部5は、処理を開始すると(ステップS11)、照合部51により撮影部3の検出した照合データ(照合静脈像、照合輪郭像)を取得し(ステップS12)、記憶部4から複数人の登録データ(ID、登録静脈像、登録輪郭像)を取得する(ステップS13)。繰り返し識別処理を行なう場合には、前回の識別処理における登録データを保持しておき、そのまま用いることができる。その場合、登録データの取得(ステップS13)は省略することができる。
【0045】
図6は照合部51の入力データの例を示す図であり、(a)は照合データ、(b)はID「0001」「0002」「0003」の3つの登録データの例を示している。(a)(b)ともに左側は静脈像を示し、右側は輪郭像を示している。静脈像と輪郭像は一緒に検出されるが、別々の2値画像に分離されて渡される。ここでは、静脈像、輪郭像とも2値画像としている。2値画像は、メモリ上では、行の右端画素の次に1段下の左端画素を配置して表現する。
【0046】
次いで、図5に戻り、照合部51は、照合データと複数の登録データにつき、それぞれの輪郭像および静脈像を用いた位置合わせを行い、位置合わせの済んだ状態で照合静脈像と各登録静脈像の一致の程度を表す類似度を算出する(ステップS14)。
【0047】
位置合わせは、手を置く位置や向きによって類似度の値が影響を受けるのを防止するために行う。静脈像のみを用いて位置合わせを行う場合、登録静脈像と照合静脈像の位置関係を変化(静脈像の平行移動、拡大/縮小、回転等)させながら類似度を繰り返し計算し、それらの類似度の最大値を用いる方法が考えられる。位置合わせの際には、一方の静脈像を基準として止めておき、もう一方の静脈像を移動させることが多いが、基準の取り方は本質的ではなく両静脈像を移動させて位置合わせを行なうことも可能である。しかし、この手法では処理が複雑となり、高速に処理を行えないという問題がある。
【0048】
一方、静脈像と比較して輪郭像の輪郭形状は単純であり、かつ他人間で共通しているため、容易に輪郭間の位置合わせを行なえる利点がある。例えば、特開2002−92616号公報には、指の輪郭の位置情報を元に、指静脈パターンの位置合わせを行なう手法が開示されている。輪郭は、静脈像を検出する過程で副次的に得られるので、新規の撮影は不要である。
【0049】
ただし、手のひら等の輪郭像は位置姿勢の影響を受けやすく、静脈像ほどは安定して検出されないことが多い。そこで、輪郭像で大まかに位置合わせした後に、静脈像間で位置合わせを微調整することが望ましい。多数の登録静脈像との位置合わせを微調整の範囲に留めることにより、照合処理が高速化される。
【0050】
図7は照合部51における輪郭像による位置合わせの手法例を示す図である。図7において、登録データの輪郭形状SHと照合データの輪郭形状SHが与えられた場合、両者をあらかじめ定めた標準的な輪郭形状に合致するように変換することで輪郭形状SH’と輪郭形状SH’を得る。輪郭形状の内部にある静脈像も同じ変換を施すことで位置合わせが行われる。
【0051】
与えられた2つの輪郭像につき、輪郭形状の上下左右端が一致するように静脈像を変換することで位置合わせする手法例をより詳しく示せば次のようになる。
(1)輪郭形状の上下左右端を記録する領域をそれぞれ用意する。
(2)輪郭形状を表す2つの輪郭像に対して、それぞれ全画素を1画素ずつ走査して、輪郭形状の上下左右端を記録する領域の内容を更新する。例えば、記録された上端よりも画像上部に輪郭形状が存在する場合には、上端を記録する領域の内容をその画素の垂直方向の座標値に置き換える。
(3)2つの輪郭形状に対して、一方の上下左右端位置を他方の上下左右端位置に写す座標変換規則を定める。例えば、水平方向、垂直方向別々に座標変換を行なうこととし、水平方向に関して左端を左端に右端を右端に写す1次式を用いる。垂直方向も同様に定める。
(4)静脈形状を表す静脈像に対して、全画素を1画素ずつ走査して、静脈形状を表す画素の座標値に前記の座標変換規則を適用して得られる座標値を求め、その座標値を静脈形状とする静脈像を生成する。
【0052】
照合部51における類似度の算出は、例えば次のような手順により行う。なお、静脈像は、例えば2値画像(静脈に対応しない画素では「0」、静脈に対応する画素では「1」)として表現されるものとしている。
(1)初期化注目画素を画像左上に設定する。一致した画素の個数を保持する変数(カウンタ)を0に初期化する。
(2)画素値の比較注目画素における、2枚の画像の画素の値を獲得して比較する。両者が一致していればカウンタの値を1つ増加させる。
(3)注目画素の移動注目画素を1つ右に移動する。右端の場合には、1つ下の左端に移動する。右下の場合には終了する。
(4)繰り返し再度、画素値の比較を行なう。
(5)類似度出力カウンタの値を類似度とする。
【0053】
図8は照合部51の出力データの例を示す図であり、登録データのID「0001」「0002」「0003」のそれぞれにつき、照合データとの類似度と、位置合わせ量が含まれている。類似度は、画素の値が一致した画素数を全画素数で割った値を用いている。位置合わせ量は、類似度が最大になる位置合わせ量であり、例えば、(1,0)は、登録静脈像を水平方向右側に1画素移動することを表している。
【0054】
なお、上記の説明においては輪郭像や静脈像として2値の画像をそのまま用いたが、記憶容量の削減や認証処理の更なる高速化のため、輪郭像や静脈像から特徴量を算出してそれらを記憶し、認証時には特徴量の比較によって類似度を算出する方法も考えられる。特徴量としては、例えば、折れ線表現の頂点や分岐点や端点等の特徴点の座標値が考えられる。本願は、輪郭像や静脈像の表現形態の詳細には関わらない。
【0055】
図5に戻り、候補選択部52は、与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が複数あるか否か判断し(ステップS15)、1つだけの場合(ステップS15のNO)には、その登録データのIDを出力部55に渡す。出力部55は認証結果としてそのIDを出力し(ステップS19)、処理を終了する(ステップS20)。
【0056】
与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が1つもない場合、候補選択部52は未登録を示す情報を出力部55に渡し、出力部55は認証結果として未登録の旨を出力し(ステップS19)、処理を終了する(ステップS20)。
【0057】
一方、与えられた閾値よりも類似度が高い登録静脈像が複数存在する場合(ステップS15のYES)、候補選択部52は類似度が上位所定順位までの複数の登録静脈像のIDを特定して次段の特徴抽出部53に渡す(ステップS16)。
【0058】
図9は候補選択部52の出力データの例を示す図である。この例では、図8の各登録データの類似度に対して判定閾値として「0.95」を用い、この判定閾値「0.95」を超えた登録データとしてID「0001」「0003」が選択され、総数が2であることを示している。この例では、類似登録像は複数(2個)存在するので、次段の特徴抽出部53による差異特徴の抽出処理が行なわれる。
【0059】
図5に戻り、特徴抽出部53は、照合部51における位置合わせ結果を利用して、輪郭像の位置合わせを行ない、輪郭形状から登録データを識別できる差異特徴を抽出し、IDと対応付けて差異特徴を特徴比較部54に渡す(ステップS17)。
【0060】
以下、特徴抽出部53における差異特徴の抽出の1手法を説明する。なお、輪郭像と静脈像は2値の画像で表現されており、照合処理による位置合わせは完了しているものとする。
(1)1つの輪郭形状を基準とする。基準とした輪郭形状を基準輪郭形状と呼び、この基準輪郭形状を含む画像を基準輪郭像と呼ぶ。基準輪郭形状は、例えば、あらかじめ定めた標準輪郭形状、あるいはもっとも類似度の高い登録静脈像に対応する輪郭形状、または照合静脈像に対応する輪郭形状から選択する。
(2)基準輪郭像の各画素に対して、その注目画素が輪郭形状を表す場合(輪郭像において注目画素の値が「1」である場合)に、以下の処理を行なう。
(3)注目画素を中心として画像を切り出すことで、部分輪郭像を作成する。
(4)他の特徴抽出対象の輪郭像(登録輪郭像または照合輪郭像のうち基準輪郭像となっていないもの)における対応する注目画素近傍の全画素に対して、その注目画素を中心として画像を切り出すことで部分輪郭像を作成する。
(5)作成された2つの部分輪郭像の位置合わせを行ない、その移動距離を算出する。
(6)部分輪郭像の注目画素毎に、移動距離の最大値(あるいは2乗平均)を算出する。
(7)移動距離の最大値(あるいは2乗平均)が最大となる画素の座標値を差異特徴とする。
【0061】
図10は特徴抽出部53における差異特徴の抽出の例を示す図である。この例では、破線で示す基準輪郭像に対し、実線で示す特徴抽出対象の輪郭像が、子指つけね付近で位置合わせの移動量が最大となり、子指つけねの座標値が差異特徴として抽出される。
【0062】
なお、輪郭形状の検出精度は一般にはあまり高くないため、検出誤差によって不適切な差異特徴が抽出されるおそれがある。この問題を解決する方法として、例えば、複数の差異特徴を抽出して、照合輪郭に対する差異特徴値との差の中央値が最小となる登録輪郭像を識別結果とする手法が考えられる。
【0063】
また、上述したのとは別の差異特徴の抽出手法として、位置合わせ後の輪郭像間の画素の値が一致しない画素を求めることもできる。
【0064】
図11は特徴抽出部53における処理データの例を示す図である。(a)はID「0001」の位置合わせ後の輪郭像の例を示しており、(b)はID「0003」の位置合わせ後の輪郭像の例を示している。ここで、(a)の輪郭像と(b)の輪郭像を画素単位で比較し、一致する画素を「0」、不一致の画素を「1」とすることで、(c)に示すような差異特徴の画像が得られる。この画像において「1」で示される不一致の画素が差異特徴となる。
【0065】
図5に戻り、特徴比較部54は、特徴抽出部53により抽出された差異特徴によって登録データの絞り込みを行ない、1つの登録データを選択し、その登録データのIDを出力部55に渡す(ステップS18)。すなわち、特徴比較部54は、照合データの差異特徴と各登録データの差異特徴とを比較し、同じ差異特徴を有するか否かで登録データの絞り込みを行なう。差異特徴が座標値で与えられる場合は双方の座標値を比較する。差異特徴が図11(c)に示すような不一致画素で与えられる場合は、不一致画素に対してのみ、各登録輪郭像と照合輪郭像の比較を行ない、画素の値が一致した割合を差異特徴の類似度として算出し、差異特徴の類似度が最も高い登録データを特定する。
【0066】
図12は特徴比較部54の出力データの例を示す図であり、差異特徴の類似度が最も高いID「0003」の登録データが最終的に選択された状態を示している。
【0067】
図5に戻り、出力部55は、特徴比較部54から登録データのIDを受け取った場合、そのIDを認証結果として出力し(ステップS19)、処理を終了する(ステップS20)。
【0068】
<他手法との比較>
図13はマルチモーダルバイオメトリクスとの比較例を示す図である。マルチモーダルバイオメトリクスとは、前述したように、輪郭認証と静脈認証を単純に組み合わせた方式である。
【0069】
図13において、登録データには利用者本人の登録データの他に類似した他人の登録データが存在すると、照合データと各登録データについて輪郭像間の類似度と静脈像間の類似度をそれぞれ比較するだけでは、類似した他人を識別することはできない。一方、上述した実施形態では、静脈像により位置合わせを行なった後に輪郭像から差異特徴を抽出して比較するため、両者を識別することが可能である。
【0070】
図14は輪郭像と静脈像を合わせる方式との比較例を示す図である。輪郭像と静脈像を合わせるとは、輪郭像と静脈像を合わせて仮想的な1つの静脈像と見なして静脈認証を適用することをいう。
【0071】
この方式では、前述した図13に示すような、登録データに利用者本人の登録データの他に類似した他人の登録データが存在する場合であっても2つの登録データを識別することは可能である。ただし、一般に、輪郭形状の検出精度は静脈像の検出精度よりも低いことが多いため、この比較方式では、図14に示すように、照合データの輪郭形状が変動した場合には本人と判定されなくなる。一方、上述した実施形態では、類似度が高い登録静脈像が複数存在する場合にのみ差異特徴を抽出するため、図14に示すような輪郭形状が変動した場合にも本人と判定することが可能である。
【0072】
図15は類似度が高い登録静脈像が複数存在する場合に、本実施形態により誤識別が減少する例を示す図である。
【0073】
照合静脈像との類似度が高い登録静脈像が2つあり、両者は静脈像だけでは識別できない。照合静脈像との位置合わせ結果を用いれば、2つの登録静脈像間の位置合わせも行なうことができる。静脈像の位置合わせ結果を利用して、2つの登録輪郭像の位置合わせも行なうことができる。
【0074】
この例では、位置合わせ後の2つの登録輪郭像を比較したところ、子指のつけねの高さが異なることが判明したとすると、子指のつけねの高さが差異特徴として抽出される。照合輪郭像における子指のつけねの高さと両登録輪郭像の子指のつけねの高さを比較して、高さが近いものが選択される。これにより、両登録データの識別が可能となる。また、輪郭像では子指つけね以外は比較対象とはならないので、輪郭像の変動に強い利点がある。
【0075】
次に、静脈像の照合処理による位置合わせで輪郭位置が安定化される点について補足する。静脈像の照合処理を行なう前に、輪郭像間の対応を取って位置合わせを行なうことは可能である。しかし、一般に、輪郭像の検出精度は静脈像の検出精度よりも低いことが多いため、輪郭像間の対応による位置合わせは低精度になることが多い。このため、図16に示すように本人の登録輪郭像と照合輪郭像で子指つけねの位置が近接するとは限らない。静脈像の照合処理で得られる位置合わせ結果を利用して輪郭像の位置合わせを行なうことで、輪郭位置が安定化され、正しく識別することが可能となる。
【0076】
<システム適用例1>
図17は入出管理に適用したシステムの構成例を示す図である。図17において、自動ドア100とホストコンピュータ300は通信路200により接続されている。
【0077】
自動ドア100には、照射部101と撮影部102と情報処理部103と表示部104と開閉部105と通信部106とが設けられている。照射部101と撮影部102は、図1の生体認証装置1における照射部2と撮影部3に相当する。情報処理部103は、撮影部102から取得した照合データ(照合輪郭像、照合静脈像)を通信部106に伝えるとともに、通信部106から取得した認証結果に基づいて表示部104および開閉部105の制御を行う。表示部104は、自動ドア100の前に立った利用者に対してランプやブザー等により認証結果の表示を行う。開閉部105はドアの開閉制御を行う。通信部106は通信路200を介したホストコンピュータ300との通信を行う。
【0078】
ホストコンピュータ300には、通信部301と情報処理部302と認証部303と記憶部304とが設けられている。認証部303と記憶部304は、図1の生体認証装置1における認証部5と記憶部4に相当する。ただし、記憶部304には登録データの他に、登録者の入出時刻を管理する領域が設けられている。通信部301は通信路200を介した自動ドア100との通信を行う。情報処理部302は通信部301から取得した照合データを認証部303に伝えるとともに、認証部303から取得した認証結果を通信部301に伝える。
【0079】
図18は入出管理の処理例を示すフローチャートである。
【0080】
図18において、入室を希望する利用者が自動ドア100内あるいは自動ドア100近くに設置された照射部101および撮影部102に手をかざすことで処理を開始すると(ステップS21)、照射部101は手に近赤外光を照射する(ステップS22)。撮影部102は手から反射もしくは透過する近赤外光を撮影し、輪郭像と静脈像を含む照合データを検出する(ステップS23)。情報処理部103は通信部106および通信路200を介してホストコンピュータ300に照合データを送信する(ステップS24)。
【0081】
ホストコンピュータ300では、通信部301および情報処理部302を介して認証部303が照合データを受信し、記憶部304に格納されている各登録データと自動ドア100の撮影部102から送られた照合データに基づいて認証処理を行なう(ステップS25)。認証部303は、認証処理の結果、登録者の1人と判定された場合には、記憶部304に登録者IDと対応付けて入室時刻を記録する(ステップS26)。また、認証部303は、情報処理部302および通信路200を介して自動ドア100に認証結果を送信する(ステップS27)。
【0082】
自動ドア100では、通信路200および通信部106を介して情報処理部103が認証結果を受信し、認証結果に応じた処理を行う(ステップS28)。すなわち、登録者の1人と判定された場合には、表示部104によって入室許可の認証結果を利用者に通知するとともに、開閉部105によってドアを開く。登録者ではないと判定された場合には、表示部104によって入室不許可の認証結果を利用者に通知する。その後、処理を終了する(ステップS29)。
【0083】
<システム適用例2>
図19は出退勤管理に適用したシステムの構成例を示す図である。図18において、共用端末400とホストコンピュータ600は通信路500により接続されている。
【0084】
共用端末400には、照射部401と撮影部402と情報処理部403と表示部404と通信部405と認証部406と記憶部407とが設けられている。照射部401と撮影部402と認証部406と記憶部407は、図1の生体認証装置1における照射部2と撮影部3と認証部5と記憶部4に相当する。情報処理部403は、撮影部402から取得した照合データ(照合輪郭像、照合静脈像)を認証部406に伝えるとともに、認証部406から取得した認証結果に基づいて表示部404を制御し、認証結果を通信部405に伝える。表示部404は、利用者に対してLCD(Liquid Crystal Display)等により認証結果の表示を行う。通信部405は、通信路500を介したホストコンピュータ600との通信を行う。
【0085】
ホストコンピュータ600には、通信部601と情報処理部602と記憶部603とが設けられている。通信部601は、通信路500を介して共用端末400との通信を行う。情報処理部602は、通信部601から取得した認証結果に基づいて出退勤の記録を記憶部603に対して行う。
【0086】
図20は出退勤管理の処理例を示すフローチャートである。
【0087】
図20において、出勤あるいは退勤する利用者が共用端末400に取り付けられた照射部401および撮影部402に手をかざすことで処理を開始すると(ステップS31)、照射部401は手に近赤外光を照射する(ステップS32)。撮影部402は手から反射もしくは透過する近赤外光を撮影し、輪郭像と静脈像を含む照合データを検出し(ステップS33)、情報処理部403を介して認証部406に照合データを渡す。
【0088】
認証部406は、記憶部407に格納されている各登録データと照合データに基づいて認証処理を行ない(ステップS34)、認証結果を情報処理部403に渡す。
【0089】
情報処理部403は、表示部404によって認証結果を利用者に表示し(ステップS35)、確認を求める(ステップS36)。利用者が表示内容を確認し、認証結果が間違っている場合には、利用者からの指示で再度認証のための処理が行なわれる。
【0090】
適切である場合には、利用者のIDと認証時刻を通信部405および通信路500を介してホストコンピュータ600に通知する(ステップS37)。
【0091】
ホストコンピュータ600では、通信路500および通信部601を介して情報処理部602が利用者のIDと認証時刻を受信し、記憶部603に対して利用者のIDと対応付けて出退勤時刻を記録する(ステップS38)。当日始めての場合には出勤、2度目の場合には退勤として扱う。なお、記憶部407における登録データのIDと従業員IDは同一番号であってもよいが、ホストコンピュータ側で両者の対応表を管理し、従業員IDに変換してもよい。その後、処理を終了する(ステップS39)。
【0092】
<総括>
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
(付記1)
複数の登録者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を登録データとして保持する手段と、
識別処理の実行に際し、利用者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を照合データとして取得する手段と、
前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行ない、類似度を算出する手段と、
算出された類似度に基づいて登録データを選択する手段と、
選択された登録データが2つ以上存在する場合に、当該登録データの輪郭像と前記照合データの輪郭像から差異特徴を抽出する手段と、
抽出された差異特徴に基づいて登録データの絞り込みを行い、認証結果を得る手段と、
認証結果を出力する手段と
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
(付記2)
付記1に記載の生体認証装置において、
前記身体部位として、手のひらを用いる
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記3)
付記1または2のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記生体画像として、静脈像を用いる
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記類似度を算出する手段として、先に前記照合データの輪郭像と前記登録データの輪郭像の位置合わせを行ない、次いで、前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記5)
付記1乃至4のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記登録データを選択する手段として、類似度が所定の閾値以上の登録データを選択する
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記登録データを選択する手段として、類似度が上位所定順位までの登録データを選択する
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記輪郭像から差異特徴を抽出する手段として、差異特徴の抽出前に各輪郭像間の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記8)
付記7に記載の生体認証装置において、
前記差異特徴の抽出前の各輪郭像間の位置合わせとして、前記類似度を算出する手段による位置合わせの結果に基づいて各輪郭像間の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記9)
付記1乃至8のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記輪郭像から差異特徴を抽出する手段として、基準となる輪郭像を定め、基準輪郭像の輪郭形状上の各点に対して各輪郭像の対応点を探索し、対応点の座標値の変化が最も大きい所定個数の輪郭点座標を差異特徴と定める
ことを特徴とする生体認証装置。
(付記10)
複数の登録者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を登録データとして保持する工程と、
識別処理の実行に際し、利用者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を照合データとして取得する工程と、
前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行ない、類似度を算出する工程と、
算出された類似度に基づいて登録データを選択する工程と、
選択された登録データが2つ以上存在する場合に、当該登録データの輪郭像と前記照合データの輪郭像から差異特徴を抽出する工程と、
抽出された差異特徴に基づいて登録データの絞り込みを行い、認証結果を得る工程と、
認証結果を出力する工程と
を備えたことを特徴とする生体認証方法。
(付記11)
付記10に記載の生体認証方法において、
前記身体部位として、手のひらを用いる
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記12)
付記10または11のいずれか一項に記載の生体認証方法において、
前記生体画像として、静脈像を用いる
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記13)
付記10乃至12のいずれか一項に記載の生体認証方法において、
前記類似度を算出する工程は、先に前記照合データの輪郭像と前記登録データの輪郭像の位置合わせを行ない、次いで、前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記14)
付記10乃至13のいずれか一項に記載の生体認証方法において、
前記登録データを選択する工程は、類似度が所定の閾値以上の登録データを選択する
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記15)
付記10乃至14のいずれか一項に記載の生体認証方法において、
前記登録データを選択する工程は、類似度が上位所定順位までの登録データを選択する
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記16)
付記10乃至15のいずれか一項に記載の生体認証方法において、
前記輪郭像から差異特徴を抽出する工程は、差異特徴の抽出前に各輪郭像間の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記17)
付記16に記載の生体認証方法において、
前記差異特徴の抽出前の各輪郭像間の位置合わせとして、前記類似度を算出する工程による位置合わせの結果に基づいて各輪郭像間の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証方法。
(付記18)
付記10乃至17のいずれか一項に記載の生体認証方法において、
前記輪郭像から差異特徴を抽出する工程は、基準となる輪郭像を定め、基準輪郭像の輪郭形状上の各点に対して各輪郭像の対応点を探索し、対応点の座標値の変化が最も大きい所定個数の輪郭点座標を差異特徴と定める
ことを特徴とする生体認証方法。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】一実施形態にかかる生体認証装置の構成例を示す図である。
【図2】記憶部のデータ構造例を示す図である。
【図3】認証部の構成例を示す図である。
【図4】実施形態の全体的な処理例を示すフローチャートである。
【図5】認証部の処理例を示すフローチャートである。
【図6】照合部の入力データの例を示す図である。
【図7】照合部における輪郭像による位置合わせの手法例を示す図である。
【図8】照合部の出力データの例を示す図である。
【図9】候補選択部の出力データの例を示す図である。
【図10】特徴抽出部における差異特徴の抽出の例を示す図である。
【図11】特徴抽出部における処理データの例を示す図である。
【図12】特徴比較部の出力データの例を示す図である。
【図13】マルチモーダルバイオメトリクスとの比較例を示す図である。
【図14】輪郭像と静脈像を合わせる方式との比較例を示す図である。
【図15】本実施形態により誤識別が減少する例を示す図である。
【図16】静脈像の照合処理による安定化の例を示す図である。
【図17】入出管理に適用したシステムの構成例を示す図である。
【図18】処理例を示すフローチャートである。
【図19】出退勤管理に適用したシステムの構成例を示す図である。
【図20】処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 生体認証装置
2 照射部
3 撮影部
4 記憶部
5 認証部
51 照合部
52 候補選択部
53 特徴抽出部
54 特徴比較部
55 出力部
P 部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の登録者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を登録データとして保持する手段と、
識別処理の実行に際し、利用者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を照合データとして取得する手段と、
前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行ない、類似度を算出する手段と、
算出された類似度に基づいて登録データを選択する手段と、
選択された登録データが2つ以上存在する場合に、当該登録データの輪郭像と前記照合データの輪郭像から差異特徴を抽出する手段と、
抽出された差異特徴に基づいて登録データの絞り込みを行い、認証結果を得る手段と、
認証結果を出力する手段と
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体認証装置において、
前記類似度を算出する手段として、先に前記照合データの輪郭像と前記登録データの輪郭像の位置合わせを行ない、次いで、前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記輪郭像から差異特徴を抽出する手段として、差異特徴の抽出前に各輪郭像間の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証装置。
【請求項4】
請求項3に記載の生体認証装置において、
前記差異特徴の抽出前の各輪郭像間の位置合わせとして、前記類似度を算出する手段による位置合わせの結果に基づいて各輪郭像間の位置合わせを行なう
ことを特徴とする生体認証装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の生体認証装置において、
前記輪郭像から差異特徴を抽出する手段として、基準となる輪郭像を定め、基準輪郭像の輪郭形状上の各点に対して各輪郭像の対応点を探索し、対応点の座標値の変化が最も大きい所定個数の輪郭点座標を差異特徴と定める
ことを特徴とする生体認証装置。
【請求項6】
複数の登録者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を登録データとして保持する工程と、
識別処理の実行に際し、利用者の所定の身体部位の輪郭像と当該輪郭像の輪郭形状の内部に存在する生体画像を照合データとして取得する工程と、
前記照合データの生体画像と前記登録データの生体画像の位置合わせを行ない、類似度を算出する工程と、
算出された類似度に基づいて登録データを選択する工程と、
選択された登録データが2つ以上存在する場合に、当該登録データの輪郭像と前記照合データの輪郭像から差異特徴を抽出する工程と、
抽出された差異特徴に基づいて登録データの絞り込みを行い、認証結果を得る工程と、
認証結果を出力する工程と
を備えたことを特徴とする生体認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−152706(P2010−152706A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330888(P2008−330888)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】