説明

用紙処理装置及び画像形成装置

【課題】より小型化と低コスト化を図ることができる用紙処理装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬入されてきた用紙又は用紙束に対して所定の処理を実行する用紙処理装置において、用紙又は用紙束に対してスティプル処理を施すスティプルトレイ401上の紙有無検知と、スティプルトレイ401から用紙又は用紙束を放出するための放出爪430のホームポジション検知を一組の用紙検知センサ500によって行うようにした。その際、用紙検知センサ500は放出爪430が取り付けられ、放出爪430を駆動するタイミングベルト431を検出可能な位置から外れた位置であって、かつ、放出爪430から突設された爪を検知可能な位置に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙放出を行う機能を有する用紙処理装置、及びこのような用紙処理装置を備えた複写機、印刷機、プリンタ、ファクシミリ、さらにこれらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の普及に伴い、用紙の整合、仕分け、折りなどの各種処理機能を備えた用紙処理装置も普及している。このような用紙処理装置として例えば特許文献1あるいは2に記載された発明が知られている。いずれの用紙処理装置においてもスティプルトレイ上に排紙され、あるいは積載された用紙を検知する用紙検知センサと、用紙又は用紙束を排紙トレイ側に排紙するための放出爪のホームポジションを検出ホームポジションセンサとを備えている。すなわち、スティプルトレイ上の用紙検知のためのセンサと、放出爪のホームポジション検知のためのセンサとを備えている。
【特許文献1】特開2004−210419号公報
【特許文献2】特開2004−345834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように前記特許文献1及び2に記載の形式の用紙処理装置では、装置が比較的大ききこと、レイアウト上検出位置が離れていることなどの理由で、用紙検知とホームポジション検知のために2組のセンサが必要であった。
【0004】
一方、このような用紙処理装置の普及に伴って、用紙処理装置の小型化及び低コスト化の要求も大きくなっている。
【0005】
そこで、本発明が解決すべき課題は、より小型化と低コスト化を図ることができる用紙処理装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第1の手段は、搬入されてきた用紙又は用紙束に対して所定の処理を実行する用紙処理装置において、用紙又は用紙束に対して所定の処理を施す用紙処理トレイ上の紙有無検知と、前記用紙処理トレイから用紙又は用紙束を放出するための用紙放出用部材のホームポジション検知を行う一組の検出手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段において、前記用紙放出用部材が取り付けられ、当該用紙放出用部材を駆動する駆動部材を備え、前記検出手段が、前記駆動部材を検出可能な位置から外れた位置であって、かつ、前記用紙放出用部材の一部を検知可能な位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第2の手段において、前記駆動部材が前記用紙放出部材を支持し、用紙搬送方向に平行に移動するベルトであることを特徴とする。
【0009】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、電源投入時において、前記検出手段が前記用紙又は前記用紙放出用部材を検出した場合、前記用紙放出部材を前記検出手段の検出位置から一定量ずらす制御手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第5の手段は、第4の手段において、前記制御手段が、動作可能な待機状態で前記検出手段が前記用紙又は前記用紙放出用部材を検出したとき、前記用紙放出部材を用紙排出方向とは逆側にずらすことを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第4の手段において、前記制御手段が、動作可能な待機状態で前記検出手段が前記用紙又は前記用紙放出用部材を検出したとき、すでに1回以上前記用紙放出部材を移動させている場合には、前回の動作方向とは逆方向にずらすことを特徴とする。
【0012】
第7の手段は、第1ないし第6の手段において、前記検出手段は前記用紙処理トレイの背後側に設けられた光反射式のセンサからなることを特徴とする。
【0013】
第8の手段は、第1ないし第6の手段において、前記検出手段は前記用紙処理トレイを挟んで設けられた光透過式のセンサからなることを特徴とする。
【0014】
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段に係る用紙処理装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0015】
なお、後述の実施形態では、用紙処理トレイはスティプルトレイ401に、用紙放出用部材は放出爪430に、駆動部材(ベルト)はタイミングベルト431に、用紙放出用部材の一部は爪432に、検出手段は用紙検知センサ500に、制御手段はCPU620に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1組の検出手段だけで用紙処理トレイ上の用紙の有無と用紙放出用部材のホームポジション位置を検出することが可能となる。これにより小型化と低コスト化をより促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態に係る用紙処理装置として用紙後処理装置を画像形成装置の一部とともに示す概略構成図である。この用紙後処理装置1は画像形成装置PRの排紙口PEに搬入口205が接続されて使用される。
【0019】
図1において、用紙後処理装置1は、スティプラ200、搬送路204、スティプルトレイ401、叩きコロ214、及び排紙トレイ301を備えている。搬送路204は、搬送ガイド板201、開閉ガイド板202、及び排紙ガイド板203からなり、前記搬送路204の最上流には搬入口205が設けられている。この搬入口205は搬送ガイド板201と開閉ガイド板202の用紙搬送方向最上流側の端部に対応する。前記搬入口205の開口端の用紙搬送方向下流側近傍には用紙の位置を検知する入口センサ206が設けられ、さらにその下流近傍に搬送ローラ対207が設けられている。搬送路204の最下流側には排紙ローラ対208が設けられ、排紙ローラ対208の上流近傍に排紙センサ209が設けられている。
【0020】
図2は前記搬送ローラ対207及び排紙ローラ対208の駆動機構を示す斜視図である。同図において、搬送ローラ対207及び排紙ローラ対208の駆動側ローラ207a,208aは、プーリ210及びタイミングベルト211を介してステッピングモータ212に連結されており、ステッピングモータ212の回転駆動力により各ローラ対207,208が回転する。
【0021】
図3は排紙ローラ対208と叩きコロ214の構成を示す斜視図である。同図(a)は叩きコロ214配設側から、同図(b)は同図aの背面側から見た図である。これらの図に示すように、前記排紙ローラ対208の駆動側ローラ208aの同軸上に、揺動アーム213が揺動可能に設けられている。この揺動アーム213にはさらに弾性摩擦部材スポンジからなる叩きコロ214が設けられている。叩きコロ214は揺動アーム213の自由端側から用紙排出方向下流側に延びるアームの先端部に取り付けられている。
【0022】
この叩きコロはタイミングベルト215、プーリ216、軸217、プーリ218、タイミングベルト219を介して、前記駆動側排紙ローラ208a軸上に固定されたプーリ220に連結されており、前記駆動側排紙ローラ208aの回転により叩きコロ214が同一方向に回転する構成になっている。プーリ216は軸217の揺動アーム213のほぼ中央部に位置する端部に、プーリ218は軸217の揺動アーム213の端部側に位置する端部にそれぞれ固設され、一体に回転する。また、前記揺動アーム213は自身の重みもしくはスプリング(図示せず)によって、常時スティプルトレイ401方向に荷重を受けた状態にあり、逆方向に荷重を負荷されたレバー221によってストッパ部222に突き当てられた位置にて保持されている。前記レバー221の往復回動により揺動アーム213がスティプルトレイ401方向に回動して前記叩きコロ214がスティプルトレイ401に当接し、さらに回動して再びストッパ部222に突き当てられて停止する。
【0023】
図4及び図5はレバー221の駆動機構を示す斜視図である。図4に示した例はDC/SOLを使用した例であり、図5はステッピングモータを使用した例である。すなわち図4に示す例では、前記レバー221は、前記レバーに連結されたDC/SOL223によって揺動駆動される。また、図5に示す例では、ステッピングモータ224の回転駆動により、タイミングベルト225を介して連結されたカム226を回転させ、前記レバー221aのリンク部227に挿入されているカム突起部226aの回転により駆動される。
【0024】
図6は駆動側ローラ208a近傍の構成を示す斜視図である。同図に示すように、排紙ローラ対208の駆動側ローラ208a軸にはギア228が嵌合されており、また前記排紙ローラ対208の駆動側ローラ軸にはホルダ229が回転可能に設けられている。このホルダ229には弾性摩擦部材スポンジからなる戻しコロ230が設けられており、中間ギア231を介して前記ギア228に連結されている。これにより前記戻しコロ230は前記駆動側排紙ローラ208aの回転が伝達される。また前記ホルダ229は自身の重みと前記戻しコロ230の重みによって、常時スティプルトレイ401方向に荷重が負荷されており、戻しコロ230の外周がスティプルトレイ401に常時接触した状態で、前記戻しコロ230は回転する。
【0025】
図7は用紙整合部の構成を示す斜視図である。同図において、前記スティプルトレイ401の用紙搬送方向と直交する方向の両端部には一対のジョガーフェンス402,403が設けられている。前記ジョガーフェンス402,403はスティプルトレイ401に固定されたガイド軸404,405に挿入されている。さらにジョガーフェンス402,403は図示しなしタイミングベルトを介してステッピングモータ(ジョガーモータ)406,407に連結されており、前記ステッピングモータ406,407も正逆回転駆動により直線往復移動する。また、前記スティプルトレイ401には前記ジョガーフェンス402,403の待機位置を検出するホームセンサ408,409が設けられている。また前記スティプルトレイ401には基準フェンス410,411が設けられている。
【0026】
スティプルトレイ401の中央部には、用紙搬送方向に平行に移動するタイミングベルト431が設けられている。このタイミングベルト431は後述の図20に示すプーリ440,441間に張設され、放出爪430はこのタイミングベルト431の外周面から外側に向かって立設され、タイミングベルト431と一体に回転する。駆動側のプーリ440はモータ(ステッピングモータ)442の駆動軸に連結されたプーリ443との間に掛け渡されたタイミングベルト444によって駆動される。その駆動力は駆動側のプーリ440からタイミングベルト431に伝達され、放出爪430が駆動されることになる(図1参照)。
【0027】
用紙搬入から整合までの各部は以下のように動作する。
図8は各部の動作タイミングを示すタイミングチャートで、図8Aはソートモード時の、図8Bはスティプルモード時の動作タイミングをそれぞれ示す。両者のタイミングはジョガーフェンス402,403を駆動するジョガーモータ406,407の動作タイミングが異なるだけで、他の各部の動作タイミングを同一である。図8において、画像形成装置PRから排出された用紙は、用紙の搬送方向長さが小サイズの場合(B5Y/A4Y)、用紙後処理装置1の搬入口205に進入し、前記入口センサ206が用紙先端を検出してから一定量(20mm)搬送後、前記ステッピングモータ212が加速し、用紙を受入れ線速138mm/sから500mm/sに加速して搬送する。また用紙の搬送方向長さが大サイズ(上記以外のサイズ)の場合は、用紙後端が画像形成装置排紙センサ(図示せず)を通過してから一定量搬送後、加速して搬送する。
【0028】
前記搬送路204内を加速搬送された用紙は、用紙後端が前記入口センサ206を通過してから一定量搬送後(用紙後端が前記排紙ローラ対208の上流30mmに達した位置)、前記ステッピングモータ212の減速により用紙を減速搬送し、小サイズの場合200mm/sに、大サイズの場合300mm/sに減速する。そして、用紙は前記線速で前記排紙ローラ対208からスティプルトレイ401上に排出される。
【0029】
用紙後端が前記入口センサ206を通過して一定量搬送し、前記排紙ローラ対208を抜けた後(用紙後端が前記排紙ローラ対208を通過して約5mm搬送後)、前記DC/SOL223もしくはステッピングモータ224の駆動により前記レバー221が回動開始し、前記揺動アーム213がスティプルトレイ401方向に回動して前記叩きコロ214がスティプルトレイ401上に排出された用紙後端付近に当接する。当接した前記叩きコロ214は、自身の回転により用紙後端を基準フェンス410,411に当接させるべく搬送する。また、前記叩きコロ214により後端が基準フェンス410,411に当接した用紙は、前記戻しコロ230の回転によってさらに基準フェンス方向410,411方向に搬送され、姿勢を保持する。
【0030】
図9はソート(シフト)モード時のジョガーフェンス402,403の用紙整合動作を示す動作説明図、図10はスティプルモード時のジョガーフェンス402,403の用紙整合動作を示す動作説明図である。
【0031】
画像形成装置による用紙排紙信号を受けると同時に、前記ジョガーフェンス402,403は搬入される用紙の幅方向サイズにより受入れ位置に移動する(図9(a)、図10(a))。このときのジョガーフェンス402,403の移動は、シフトモードの場合は用紙幅+15mm、スティプルモード時の場合は用紙幅+7mmの位置まで移動し、停止して受入れ位置とする。
【0032】
シフトモード時の場合、用紙後端が排紙ローラ対208を通過し(図9(b))、前記叩きコロ214及び戻しコロ230によって基準フェンス410,411に当接した後(図9(c))、寄せ側ジョガーフェンス402が30mm基準側ジョガーフェンス403方向に移動し、用紙側端を基準側ジョガーフェンス403に当接させて整合する。次いで、再び30mm後退して受入れ位置にて停止して次用紙の排出を待ち、順次排出用紙に対して同様の動作を繰り返し、用紙束を前記基準側ジョガーフェンス403に整合する(図9(d))。また、所定枚数の用紙を整合し、後述する放出爪430の動作により用紙束を排紙トレイ301に放出した(図9(e))後、次部用紙は上記ジョガーフェンス402,403の寄せ側と基準側が入れ替わり動作を行うことにより、直前部の用紙束と逆方向に寄せ動作を行う(図9(f),(g),(h),(i))。これを所定の部数繰り返すことにより、用紙束は排紙トレイ301上にシフトされた状態で積載される。また、上記ジョガーフェンス402,403の動作タイミングは全て、前記入口センサ206の用紙後端通過検出からの時間管理により制御されている。
【0033】
スティプルモード時の場合、用紙後端が前記排紙ローラ対208を通過し(図10(b))、前記叩きコロ214が回動開始すると同時に、ジョガーフェンス402,403が5mm前進して用紙幅+2mmの位置にて停止する(図10(c))。さらに用紙後端が前記基準フェンス410,411に当接すると同時に2.5mm前進し、用紙を中央に整合し(図10(d))、再び受入れ位置に後退して停止し次用紙の排出を待ち(図10(e))、順次排出用紙に対して上記動作を繰り返し、用紙束を中央に整合する。
【0034】
所定枚数の整合動作が終了すると(図10(f))、綴じ装置450によって用紙束の後端付近所定位置に綴じ処理が施され(図10(g))、放出爪430によって排紙トレイ301上に放出される(図10(h))。これを所定の部数繰り返すことにより、用紙束は排紙トレイ301上にスティプルされた状態で積載される(図10(i),(j))。また、上記ジョガーフェンス402,403の動作タイミングは全て、前記入口センサ206の用紙後端通過検出からの時間管理により制御されている。
【0035】
図11は排紙トレイ部の構成を示す外部側から見た斜視図、図12は排紙トレイ部の構成を示す内部側から見た斜視図、図13は排紙トレイ部に設けられた押さえ部材の斜視図である。図11及び図12において、排紙トレイ301は装置の後側及び前側に設けられた支持部材302,303に固定されている。支持部材302,303には上下方向に配置されたタイミングベルト304,305が取り付けられ、これらのタイミングベルト304,305が掛け渡されたプーリ307,307aのうち駆動側プーリ307には駆動軸306が連結されている。さらに前記駆動軸306にはギア308が軸着されており、前記ギア308にはDCモータ309の駆動ギアが連結され、前記DCモータの回転により排紙トレイ301の昇降動作が行われる。
【0036】
前記排紙トレイ301の用紙後処理装置1本体側の端部にはエンドフェンス310が略垂直に設けられている。前記エンドフェンス310にはレバー313が嵌合した軸312が回動可能に取り付けられている。前記軸312両端付近には一対の用紙押さえ部材311が軸着されている(図13)。また、前記用紙押さえ部材311には、先端部を前記エンドフェンス310方向に加圧するスプリングが設けられている(不図示)。さらに、前記軸312の一端付近にはDC/SOL315が固定されており、このDC/SOL315の動作により前記軸312が一定角度揺動し、これにより前記レバー313が回動して前記用紙押さえ部材311を回動させる。また前記エンドフェンス310には用紙高さ検知センサ314が設けられている。
【0037】
前記用紙押さえ部材311は通常、前記加圧スプリングによって先端押圧部311aが前記エンドフェンス310の用紙整合面より突出した位置に停止しており、前記DC/SOL315の吸引動作により、前記先端押圧部311aがエンドフェンス310用紙整合面より完全に退避する位置まで回動する。前記排紙トレイ301の積載用紙高さ検出は、排紙トレイ301の上昇により積載された用紙上面が、エンドフェンス301より突出した前記用紙押さえ部材311の先端押圧部311aを押し上げることにより、前記用紙押圧部材311の一部に設けられた検出部を前記用紙高さ検知センサ314が検出することにより行われる。
【0038】
図14及び図15は用紙排出時の排紙トレイ部の動作を示す動作説明図である。これらの図から分かるように、排紙トレイ部では、以下のような用紙排出動作が行われる。
【0039】
前記排紙ローラ対208によって用紙整合部に用紙が排出される際の前記排紙トレイ301の待機位置は、排紙トレイ301が前記用紙押さえ部材311の先端押圧部311aを押し上げて前記用紙高さ検知センサ314が検出した位置、もしくはその位置より所定の高さ上昇させた位置であり、この位置にて用紙束の整合動作及び綴じ動作を行う。
【0040】
前記ジョガーフェンス402,403によって整合され、ソート処理及びスティプル処理された用紙束は、放出爪430が前進することによって排紙トレイ301に放出される(図14(a),(b),(c)、図15(a),(b),(c))。前記放出爪301が前進し、停止すると同時に、前記DC/SOL315が吸引し、前記用紙押さえ部材311がエンドフェンス310より完全に退避する位置まで回動する(図14(a),(b))。また、前記放出爪301が停止すると同時に、前記DCモータ309が駆動開始し、排紙トレイ301を所定の距離下降させ、用紙束を排紙トレイ301上に落下積載させる(図14(c),(d))。さらに前記排紙トレイ301の所定量下降後停止と同時に、前記DC/SOL315がOFFし、用紙押さえ部材311が再びエンドフェンス310から突出し(図14(e))、直後に再び排紙トレイ301が再上昇して、排紙トレイ301上に積載された用紙束上面が前記用紙押さえ部材311を押し上げ、前記用紙高さ検知センサ314が検出する位置にて停止し、もしくは検出してから所定の高さ上昇後停止し(図14(f),(g))、用紙束後端付近を前記用紙押さえ部材311の先端押圧部311aにて押さえ、次部の用紙排出に備える(図14(h))。
【0041】
または、前記放出爪301が前進し、停止すると同時に、前記DCモータ309が駆動開始し、排紙トレイ301を所定の距離下降させて(図15(c))、用紙束を排紙トレイ301上に落下積載させる。その際、前記排紙トレイ301の所定量下降後停止と同時に、前記DC/SOL315が吸引動作を行い、前記用紙押さえ部材311をエンドフェンス310より完全に退避する位置まで回動させる(図15(d))。直後前記DC/SOL315がOFFし、用紙押さえ部材311を再びエンドフェンス310から突出させる(図15(e),(f))。次いで、再び排紙トレイ301が上昇して、排紙トレイ301上に積載された用紙束上面によって前記用紙押さえ部材311を押し上げ(図15(g))、前記用紙高さ検知センサ314が検出する位置で停止し。もしくは検出してから所定の高さ上昇後停止し、用紙束後端付近を前記用紙押さえ部材311の先端押圧部311aにて押さえ、次部の用紙排出に備える(図15(h))。
このようにして排紙トレイ301上に用紙束が積載される。
【0042】
図16は用紙検知センサ500の取り付け位置を示す斜視図で、図7に示したスティプルトレイ401の中央部に対応する。この用紙検知センサ500はスティプルトレイ401上に用紙が積載されているかどうかを検出するセンサである。図の例は反射型フォトセンサであるが、フィラーと透過型センサとを組み合わせて構成することもできる。図16では、反射型フォトセンサはスティプルトレイ401の表面から後退した位置に設置され、スティプルトレイ401上への用紙排紙、あるいは用紙積載の障害にならないようになっている。透過型センサを使用した場合には、スティプルトレイ401の表面から後退した位置に一方が、当該位置に対向し、用紙もしくは用紙束が十分通過するに足る間隔を保持した位置に他方がそれぞれ設置される。
【0043】
図17は、スティプルトレイ401上に用紙501が積載された状態を示す。この場合、用紙501が用紙検知センサ500の上にきているため、用紙検知センサ500によって用紙が検知され、用紙ありと判断することができる。
【0044】
図18は本実施形態における用紙検知センサ500と放出爪430との関係の概略を示す平面図である。本実施形態では、放出爪430の基部には、図7に示す放出爪430に対して用紙放出時に進行下流側にある用紙検出センサ500によって検出可能な位置まで爪(突起、フィラー)432が突設されている。これにより、用紙放出方向(矢印F方向)に移動したときに、用紙検知センサ500によって確実に爪432を検知することができる。図19は図18を正面側から見た図である。同図から分かるように放出爪430の爪432が用紙検出センサ500の真上を通過し、その際に用紙検知センサ500によって検知可能なことが理解される。このように構成することにより、従来放出爪430のホームポジション検出として使用していたホームポジションセンサ503を不要とすることができる。これにより、図20に示すように1個の用紙検知センサ500で用紙検知と放出爪430のホームポジションを検出することが可能となる。
【0045】
図20に示すように1個の用紙検知センサ500で用紙検知と放出爪430のホームポジション検知を行うように構成した場合、図21に示すように、例えば電源投入時に放出爪430が用紙検出センサ500と重なってしまう場合がある。この場合、用紙検出センサ500は用紙ありの状態となるが、この状態では用紙があって用紙ありとなったのか、放出爪430があるため用紙ありの状態となったのかの判断は不可能である。そこで本実施形態では、図22に示すように電源投入時に放出爪430を一定量動かすようにした。これにより、仮に放出爪430が用紙検出センサ500上にあれば、電源投入時に用紙検知センサ500から離れるので、用紙の有無を検出することができる。すなわち、もし用紙がスティプルトレイ401に積載されていた場合、放出爪430を動作させても用紙検知センサ500は用紙ありを検出したままとなることから、このような状態であると、用紙ありと判断することができる。このときの動作手順を図24のフローチャートに示す。また、図23は、このような動作を実行する本実施形態に係る画像形成装置のシステム構成における電気的(制御)構成を示すブロック図である。
【0046】
図23に示すように画像形成装置PRと用紙後処理装置1にはそれぞれCPU610,620が搭載され、両CPU610,620間で必要な通信(TxD、RxD、ZESM)が行われる。その際、画像形成装置PR側から用紙後処理装置1側に駆動電量(24V)や制御電力(5V)の供給が行われ、両者は同電位に設置されている(GND)。用紙後処理装置1には、クロック発生器621、ソレノイド602駆動用のドライバ622、ステッピングモータ603駆動用のモータドライバ623、直流モータ604制御用のドライバ624が設けられ、各センサ601からの検知出力に応じてCPU620が各ドライバ622,623,624に駆動信号を出力し、用紙後処理装置1の各部を制御している。なお、CPU620は図示しないROMに格納されたプログラムコードに従って、用紙後処理装置1の各部を制御し、図24及び図29に示すような動作を実行させる。
【0047】
そこで、図24のフローチャートでは、用紙検知センサ500がONである場合には(ステップS101ーYES)、放出爪430を一定量に移動させ(ステップS102)、用紙検知センサ500のON/OFFをチェックする。このチェックで、用紙検知センサ500がONであれば(ステップS103−YES)、用紙はスティプルトレイ401上にありと判断し、OFFであれば(ステップS103−NO)、用紙なしと判断する(ステップS105)。また、ステップS101で用紙検知センサがONでなければ、スティプルトレイ401上に用紙はなく、また、放出爪430も用紙検知センサ500位置にないことが分かる。これにより、図24のフローチャートを抜ける。
【0048】
このように用紙検知センサ500がONのときに図21の状態か用紙ありの状態か不明のため、図22のように動作させるが、この動作は電源投入時のみならず、待機モードでも必要に応じて行うことが可能である。しかし、実際に放出爪430を動作させる場合、図26に示すように放出爪430を前方(用紙搬送方向)に動作させてしまうと、実際に用紙があった場合に用紙を押し出し、あるいは、用紙端部を破損する虞がある。そこで、このような場合を考慮して、図25に示すようにステップS102の放出爪430の動作時に、放出爪430を用紙搬送方向とは逆方向に移動させるようにすることもできる。このように用紙搬送方向とは逆方向に移動させると、移動する方向には用紙は存在しないので、前述の用紙の押し出し、あるいは用紙破損の発生を未然に防止することが可能となる。
【0049】
ところで、図25に示すように放出爪430を後退させると、放出爪430が用紙を押し出すこと、あるいは用紙破損を回避することができるが、この動作を図27の状態から複数回行うと、図28に示すように、放出爪430が用紙排出側まで戻ってきて用紙を持ち上げてしまうという不具合を起す場合がある。このような不具合の発生を防止するため、本実施形態では、図29のフローチャートに示すような動作手順で放出爪430を動作させるようにしている。すなわち、奇数回目は搬送方向と逆、偶数回目は搬送方向というように、放出爪430の位置が累積してずれていかないようにしている。
【0050】
具体的には、図29に示すように、用紙検知センサ500がONである場合には(ステップS201)、放出爪430の移動回数をチェックし(ステップS202)、移動回数が奇数回数目であれば(ステップS202−YES)、用紙搬送方向とは逆の方向に放出爪430を移動させて(ステップS203)用紙検知センサ500のON/OFFをチェックし(ステップS205)、偶数回目であれば(ステップS202−NO)、用紙搬送方向に放出爪を移動させて(ステップS204)、用紙検知センサ500のON/OFFをチェックする(ステップS204)。このチェックで用紙検知センサ500がONであれば(ステップS205−YES)、スティプルトレイ401上に用紙があると判断し(ステップS206)、OFFであれば(ステップS205−NO)、スティプルトレイ401上に用紙はないと判断する(ステップS207)。
【0051】
なお、このフローチャートでは、放出爪430の移動が奇数回であれば反用紙搬送方向、偶数回であれば用紙搬送方向としているが、反用紙搬送方向を2回行ったら用紙搬送方向を2回というように変更することも可能である。いずれにしても、放出爪430が逆方向に戻りすぎて用紙を持ち上げるようなことがない範囲で反用紙搬送方向と用紙搬送方向の移動を繰り返せばよい。
【0052】
このように本実施形態によれば、1組の用紙検知センサ500によってスティプルトレイ401上の用紙の有無と、放出爪430のホームポジションを検出することができるので、従来に比べてより小型化を図ることが可能となり、部品点数も減ることから、より低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙処理装置として用紙後処理装置を画像形成装置の一部とともに示す概略構成図である。
【図2】搬送ローラ対及び排紙ローラ対の駆動機構を示す斜視図である。
【図3】排紙ローラ対と叩きコロの構成を示す斜視図である。
【図4】DC/SOLを使用してレバーを駆動する駆動機構を示す斜視図である。
【図5】ステッピングモータを使用してレバーを駆動する駆動機構を示す斜視図である。
【図6】駆動側ローラ近傍の構成を示す斜視図である。
【図7】用紙整合部の構成を示す斜視図である。
【図8A】ソートモード時における各部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8B】スティプルモード時における各部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】ソート(シフト)モード時のジョガーフェンスの用紙整合動作を示す動作説明図である。
【図10】スティプルモード時のジョガーフェンス402,403の用紙整合動作を示す動作説明図である。
【図11】排紙トレイ部の構成を示す外部側から見た斜視図である。
【図12】排紙トレイ部の構成を示す内部側から見た斜視図である。
【図13】排紙トレイ部に設けられた押さえ部材の斜視図である。
【図14】用紙排出時の排紙トレイ部の動作例を示す動作説明図である。
【図15】用紙排出時の排紙トレイ部の他の動作例を示す動作説明図である。
【図16】用紙検知センサの取り付け位置を示す斜視図である。
【図17】スティプルトレイ上に用紙が積載された状態を示す斜視図である。
【図18】用紙検知センサと放出爪との関係の概略を示す平面図である。
【図19】図18を正面側から見た図である。
【図20】本発明による1組のセンサで用紙と放出爪とを検出する構成を示す図である。
【図21】図20の構成の場合に不都合が生じる場合がある例を示す図である。
【図22】図21のような不都合が生じた場合に、この不都合を解消する例を示す図である。
【図23】本実施形態に係る用紙後処理装置と画像形成装置との制御構成を示すブロック図である。
【図24】用紙有無の検知動作の動作手順を示すフローチャートである。
【図25】図21及び図26に示したような不都合が生じた場合に、この不都合を解消する他の例を示す図である。
【図26】図21に示した例とは異なる不都合が生じる場合がある例を示す図である。
【図27】図21、図26に示した例とはさらに異なる不都合が生じる場合を説明するための図である。
【図28】図21、図26に示した例とはさらに異なる不都合が生じた場合の例を示す図である。
【図29】図28に示すような不都合を解消するための動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 用紙後処理装置
401 スティプルトレイ
430 放出爪
431 タイミングベルト
432 爪
500 用紙検知センサ
620 CPU
PR 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されてきた用紙又は用紙束に対して所定の処理を実行する用紙処理装置において、
用紙又は用紙束に対して所定の処理を施す用紙処理トレイ上の紙有無検知と、前記用紙処理トレイから用紙又は用紙束を放出するための用紙放出用部材のホームポジション検知を行う一組の検出手段を備えていることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の用紙処理装置において、
前記用紙放出用部材が取り付けられ、当該用紙放出用部材を駆動する駆動部材を備え、
前記検出手段が、前記駆動部材を検出可能な位置から外れた位置であって、かつ、前記用紙放出用部材の一部を検知可能な位置に設けられていることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の用紙処理装置において、
前記駆動部材が前記用紙放出部材を支持し、用紙搬送方向に平行に移動するベルトであることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙処理装置において、
電源投入時において、前記検出手段が前記用紙又は前記用紙放出用部材を検出した場合、前記用紙放出部材を前記検出手段の検出位置から一定量ずらす制御手段を備えていることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の用紙処理装置において、
前記制御手段は、動作可能な待機状態で前記検出手段が前記用紙又は前記用紙放出用部材を検出したとき、前記用紙放出部材を用紙排出方向とは逆側にずらすことを特徴とする用紙処理装置。
【請求項6】
請求項4記載の用紙処理装置において、
前記制御手段は、動作可能な待機状態で前記検出手段が前記用紙又は前記用紙放出用部材を検出したとき、すでに1回以上前記用紙放出部材を移動させている場合には、前回の動作方向とは逆方向にずらすことを特徴とする用紙処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の用紙処理装置において、
前記検出手段は前記用紙処理トレイの背後側に設けられた光反射式のセンサからなることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の用紙処理装置において、
前記検出手段は前記用紙処理トレイを挟んで設けられた光透過式のセンサからなることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の用紙処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−1409(P2009−1409A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166395(P2007−166395)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】