説明

画像位置検査装置、画像位置検査プログラム及び画像形成装置

【課題】ノズルから吐出される液滴などで形成される画素の位置を検査する。
【解決手段】主走査方向に沿う読取解像度Rsが、主走査方向に沿って所定の画素数分の間をあけて形成された画素の配列による検査画像の解像度Rpに対して、Rp・((m+1)/2)<Rs<Rp・((m+2)/2)(ただし、mは正の整数)となるよう受光素子を配列している。これにより、記録用紙に形成された検査画像を読み取って得られる主走査方向に沿うプロファイルから、受光素子に対する検査画像の画素の重心位置を取得し、受光素子の受光中心に対するラインの重心位置のずれである位相差に基づき、受光素子に対する検査画像の画素ごとの主走査方向に沿う位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像位置検査装置、画像位置検査プログラム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ノズルから吐出されるインク滴の理想的な着弾位置と実際の着弾位置のずれ量を表すノズル情報をノズル毎に作成し、ノズルから吐出するドット位置に対して当該ドットに対応するノズルと当該ノズルの近傍のノズルとが画像の濃度に影響を与える割合を、ノズル情報に基づいて演算し、ノズルに対応した画像データの補正情報を作成する提案がなされている。
【0003】
特許文献2では、所定のテストパターンを記録ヘッドの解像度より低い解像度で読み取り、愛知解像度で読み取った画像データ、及び理想的なテストパターンに基づく理想データを、記録ヘッドの解像度より高い解像度となるように補間処理すると共に、補間処理したそれぞれのデータを所定の閾値で二値化し、複数のノズルに対応するラインの間隔を比較することで、ノズルの異常を判定するように提案している。
【0004】
また、特許文献3では、各記録素子に対応したドット列による複数のラインを含んだ測定用のラインパターンを形成し、副走査方向の解像度を主走査方向の解像度に比べて低くして読み取ることにより測定用のラインパターンの画像情報を取得しより低くした画像データを取得し、主走査方向に並ぶ複数のラインブロックについて、副走査方向の画像信号を平均化することで主走査方向のプロファイルを作成し、作成したプロファイルから各ラインのエッジを特定することでラインを特定するように提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3870133号公報。
【特許文献2】特許第4684801号公報。
【特許文献3】特開2010−87757号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、画像位置検査装置、画像位置検査プログラム及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、記録媒体の搬送方向と交差する主走査方向に沿って受光素子が配列され、前記主走査方向に沿って等しい画素数分の間隔を開けて1画素ずつ前記記録媒体に形成された検査画像を読み取る読取手段と、前記画像読取手段により前記記録媒体に形成された前記検査画像を読み取って前記検査画像の主走査方向に沿うプロファイルを生成する生成手段と、前記プロファイルから前記受光素子に対する前記検査画像の前記画素の重心位置を取得し、前記受光素子の受光中心に対する前記検査画像の画素の重心位置のずれである位相差に基づき、前記検査画像の各画素の主走査方向の位置を特定すると特定手段と、を有し、前記主走査方向に沿う前記画像読取手段の読取解像度をRs、及び主走査方向に沿う前記検査画像の解像度をRpが、Rp・((m+1)/2)<Rs<Rp・((m+2)/2)(ただし、mは正の整数)を満たす。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記特定手段が、前記プロファイルの前記画素に対応する3点の前記受光素子の輝度情報から放物線近似により前記画素の重心位置を取得する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記受光素子に対する前記画素の前記位相差に応じて前記重心位置を補正する補正テーブルを有する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記プロファイルから前記補正テーブルを生成する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、画像位置検査装置に設けられるコンピュータを、記録媒体の搬送方向と交差する主走査方向に沿って読取解像度Rsで受光素子が配列され、前記記録媒体に前記主走査方向に沿って等しい画素数分の間隔を開けて1画素ずつ形成された検査画像であり、主走査方向に沿う検査画像の解像度Rp及び前記読取解像度Rsが、Rp・((m+1)/2)<Rs<Rp・((m+2)/2)(ただし、mは正の整数)となる前記検査画像を読み取る読取手段と、前記画像読取手段により読み取られた前記検査画像の画像データから前記検査画像の主走査方向のプロファイルを生成する生成手段と、前記プロファイルから前記受光素子に対する前記検査画像の前記画素の重心位置を取得し、前記受光素子の受光中心に対する前記画素の重心位置のずれである位相差に基づき、前記検査画像の各画素の主走査方向の位置を特定すると特定手段と、して機能させる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像位置検査装置と、液滴を吐出するノズルが前記主走査方向に沿って配列された吐出ヘッドを有し、画像情報に応じて前記吐出ヘッドの前記ノズルから吐出する液滴により前記画像情報に基づいた画像を前記記録媒体に形成する画像形成手段と、を含む。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6において前記画像位置検査装置が特定した前記ノズルから吐出される前記液滴により前記記録媒体に形成される前記画素の前記主走査方向の位置に基づき、前記画素位置の適否を判定する判定手段と、前記判定手段により不適と判定された前記画素に対応する前記ノズルを特定し、該特定したノズルに対応する前記画素を前記特定したノズルに隣接するノズルから吐出する液滴で補完するように前記画像情報を補正する補正手段と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、受光素子と検査画像との間に位相差を生じさせない場合と比較して、検査画像の位置の正確な特定が可能となるという効果が得られる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、検査画像の重心位置の特定が容易となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、検査画像の位置の特定が容易になる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、検査画像の読み取り時の環境変動に応じた補正テーブルを作成することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、受光素子と検査画像との間に位相差を生じさせることができるので、検査画像の位置の特定が容易となる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、受光素子と検査画像との間に位相差を生じさせない場合と比較して、不良ノズルの位置の特定を正確に行うことができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、不良ノズルが存在した場合でも、記録媒体に高品質の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】記録ヘッドの一例を示す概略図である。
【図3】制御部の構成図である。
【図4】(A)は処理中検査に用いる検査パターン画像を含む記録用紙の概略図、(B)は処理前検査に用いる検査パターン画像を含む記録用紙の概略図である。
【図5】検査画像とするパターン画像の概略図である。
【図6】CCDとラインとの相対位置を示す概略図である。
【図7】(A)は画像形成処理の概略を示す流れ図、(B)は検査処理の概略を示す流れ図である。
【図8】主走査方向に沿ったプロファイルの一例を示す線図である。
【図9】CCDの濃度分布と位相差に応じた輝度の変化の一例を示す線図である。
【図10】補正テーブルの概略を示す線図である。
【図11】位相差に起因する画素とするCCDの主走査方向の位置に対応する振幅の変化を示す線図である。
【図12】二次曲線近似に用いるノズルに対するラインの位置を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成が示されている。なお、画像形成装置10は、インクジェット方式で記録媒体に画像を形成(記録又は印字)するものであり、本発明に係る画像記録装置に対応しているが、本発明は、液滴を吐出する構成の画像記録装置、液滴吐出装置に適用することができる。
【0023】
画像形成装置10には、記録媒体である記録用紙Wを給紙搬送する給紙搬送部12が設けられている。また、画像形成装置10には、給紙搬送部12による記録用紙Wの搬送方向(図1に示す矢印F方向)に沿って順に、記録用紙Wの記録面(表面)に処理液を塗布する処理液塗布部14、記録用紙Wの記録面に画像を形成する画像形成部16、記録面に形成された画像を乾燥させるインク乾燥部18、乾燥した画像を記録用紙Wに定着させる画像定着部20、及び画像が定着した記録用紙W(画像が形成された記録用紙W)が排出される排出部22が設けられている。
【0024】
給紙搬送部12は、記録用紙Wを収容する収容部24を備えている。収容部24には、駆動手段とされるモータ26及び図示しない給紙装置が設けられ、給紙装置により収容部24に収容している記録用紙Wを取り出し、モータ26の駆動力により処理液塗布部14へ送り出す。
【0025】
処理液塗布部14は用紙渡胴28A及び処理液塗布胴30を備え、画像形成部16は用紙渡胴28B及び印字胴32を備えている。また、インク乾燥部18は用紙渡胴28C及び乾燥胴34を備え、インク定着部20は用紙渡胴28D及び定着胴36を備えている。それぞれの胴は、例えば、搬送給紙部12に設けているモータ26の駆動力が伝達されることより予め設定された周速度で図1の矢印方向へ回転駆動される。
【0026】
画像形成装置10では、用紙渡胴28Aから定着胴36が、記録用紙Wの搬送方向に沿って順に配列されている。それぞれの胴には、その外周部に保持部材38が設けられている。記録用紙Wは、搬送方向の上流側の端部が保持部材38に保持されてそれぞれの胴の外周面に巻き掛けられ、その後に、上流側の胴から下流側の胴へ順に受け渡されることにより搬送される。
【0027】
処理液塗布部14は、収容部24から送り出された記録用紙Wを、保持部材38により用紙渡胴28Aの周面に保持して受け取り、処理液塗布胴30へ受け渡す。処理液塗布胴30には、記録用紙Wが保持部材38により保持されて外周面に巻き掛けられる。
【0028】
処理液塗布部14は、外周面が処理液塗布胴30の外周面に接するように配置された処理液塗布ロール40を備えている。処理液塗布部14では、処理液塗布胴30の外周面に保持した記録用紙Wの表面(記録面)に、処理液塗布ロール34により処理液を塗布した後、画像形成部16へ送り出す。なお、記録用紙Wの表面に塗布される処理液は、インクと反応して色材(顔料)を凝縮させ、色材と溶媒との分離を促進する。
【0029】
画像形成部16は、処理液塗布部14から送り出された記録用紙Wを、用紙渡胴28Bにより受け取ると、印字胴32へ受け渡す。印字胴32には、記録用紙Wが保持部材38により保持されて外周面に巻き掛けられる。
【0030】
画像形成部16には、印字胴32の上方にヘッドユニット42が設けられている。ヘッドユニット42は、4個のインクジェット記録ヘッド(記録ヘッド44)を備えている。記録ヘッド44は、互いに異なる色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の何れかの色)のインク滴を液滴として吐出する記録ヘッド44Y、記録ヘッド44M、記録ヘッド44C、及び記録ヘッド44K(以下、総称するときは記録ヘッド44とする)。
【0031】
図2に示されるように、記録ヘッド44には、それぞれが液滴を吐出する多数のノズル46が2次元状に配列されて形成されている。記録ヘッド44では、各ノズル46の中心位置を、主走査方向(図2の矢印X方向)に沿った直線上に投影したときに間隔Dpとなるように配列されている。
【0032】
図1に示されるように、記録ヘッド44は、印字胴32の周方向に沿って順に配置されている。また、記録ヘッド44は、ノズル46の設けられた吐出面48が印字胴32へ向けられ、印字胴32の外周面に近接されている。また、記録ヘッド44は、主走査方向(図2の矢印X方向)が、記録用紙Wの搬送方向と交差する方向(印字胴32の軸方向、図1の紙面表裏方向)とされて取り付けられている。
【0033】
画像形成部16では、印字胴32の回転方向を副走査方向として、印字胴32に保持された記録用紙Wの記録面へ向け、記録ヘッド44のそれぞれからインク液を吐出する。これにより記録用紙Wには、処理液塗布部14で塗布された処理液による処理液層に重ねられてインク滴が付着されて画像(カラー画像)が形成される。画像が形成された記録用紙Wは、印字胴32からインク乾燥部18へ送り出される。
【0034】
インク乾燥部18は、画像形成部16から送り出された記録用紙Wを、用紙渡胴28Cにより受け取ると、乾燥胴34へ受け渡す。乾燥胴34には、記録用紙Wが保持部材38により保持されて外周面に巻き掛けられる。
【0035】
インク乾燥部18は、温風ヒータ50を備え、温風ヒータ50が乾燥胴36の外周面に対向されて取り付けられている。インク乾燥部18では、乾燥胴36の外周面に保持された記録用紙Wへ向け、温風ヒータ50から温風を吹出す。したがって、記録用紙Wは、表面に形成された画像(インク液)における余分な溶媒が除去されて画像が乾燥される。画像が乾燥された記録用紙Wは、乾燥胴46から画像定着部20へ送り出される。
【0036】
画像定着部20は、インク乾燥部20から送り出された記録用紙Wを、用紙渡胴28Dにより受け取ると、定着胴36へ受け渡す。定着胴36には、記録用紙Wが保持部材38により保持されて外周面に巻き掛けられる。
【0037】
画像定着部20は、ヒータを内蔵した定着ロール52を備え、定着ロール52が乾燥胴36の外周面に圧接されて取り付けられている。画像定着部20では、定着胴36の外周面に保持した記録用紙Wを、ヒータにより加熱された定着ロール52により加圧及び加熱する。したがって、記録用紙Wは、画像を形成する色材が融着されて画像が定着される。画像定着部20では、画像が定着された記録用紙Wを定着胴36から排出部22へ送り出す。
【0038】
一方、図3に示されるように、画像形成装置10は、装置の作動を制御する制御部60を備えている。制御部60は、マイクロコンピュータ(以下、コンピュータとする)62を内蔵している。コンピュータ62は、例えば、CPU62A、ROM62B、RAM62C、NVM(Non Volatile Memory)62D、FPGA(Field Programmable Gate Array)62E、及び通信I/F(Interface)部62Fを備え、これらがシステムバス64Gを介して互いに接続された一般的構成とされている。
【0039】
CPU62A、FPGA62Eは、ROM62Bから制御プログラムを読み出して実行することで、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御処理を行う。ROM62Bには、上述した制御プログラム及びCPU62A、FPGA62Eが実行するプログラムを含む各種プログラムが記憶されている。RAM62Cは、CPU62A及びFPGA62Eが各種プログラムを実行する際にワークエリア等として用いられる。NVM62Dは、画像形成装置10の電源が遮断されている期間も保持する必要のある各種情報を記憶する。通信I/F部62Fには、パーソナルコンピュータ等の端末装置64が接続され、端末装置64から記録用紙Wに形成する画像を表す画像情報などの各種情報を受信する。
【0040】
また、コンピュータ62には、UI(User Interface)パネル66が接続されている。このUIパネル66は、各種の情報を表示するための表示部、及び利用者が各種の情報や指示の入力に用いる入力部を含んでいる。制御部60では、このUIパネル66に画像形成装置10についての各種の表示し、画像形成装置10に対する情報・指示が入力される。
【0041】
ところで、画像形成装置10は、画像位置検査装置とされるノズル検査装置68を備えている。ノズル検査装置68は、記録ヘッド44から吐出する液滴により記録用紙Wに形成する画像を検査することで、記録ヘッド44に設けているノズル42に対して、インク滴の吐出方向を検査する。図1に示すように、ノズル検査装置68は、画像読取手段とする画像読取ユニット70を有している。画像読取ユニット70は、画像定着部20の定着胴36の外周面に対向して配置され、定着胴36の外周面に保持された記録用紙Wに形成されている画像の読み取りに用いられる。
【0042】
図3に示すように、画像読取ユニット70は、受光素子の一例としてCCD(Charge Coupled Device)が用いられたCCDセンサ72、及びCCDセンサ72を用いた画像の読み取りを制御する読取コントローラ74を備えている。画像読取ユニット70は読取コントローラ74が、システムバス62Gに接続され、コンピュータ62により作動が制御される。
【0043】
画像形成部16のヘッドユニット42には、記録ヘッド44(44Y、44M、44C、44K)の作動を制御する記録ヘッドコントローラ76が設けられている。この記録ヘッドコントローラ76はシステムバス62Gに接続されている。記録ヘッドコントローラ76は、コンピュータ62から転送される印字データに基づいて記録ヘッド44のノズル46ごとに設けている図示しない圧電素子等の駆動手段が駆動されることで、印字データに基づいてノズル46からインク滴を吐出する。
【0044】
コンピュータ62は、ROM62Bにノズル検査プログラムが記憶されている。したがって、コンピュータ62は、CPU62Aが、ROM62Bからノズル検査プログラムを読み出して実行することでノズル検査処理を行う。なお、ノズル検査プログラムは、CPU62Aに限らずFPGA62Eで実行されるものであっても良い。
【0045】
コンピュータ62は、端末装置64から入力される画像情報に基づいて記録媒体Wに画像を形成する画像形成処理を行う。このとき、コンピュータ62は、ノズル検査装置68の検査結果に基づき、記録用紙Wへ画像形成を行うときの画像情報に対して補正処理を行い、補正処理により生成した印字データを、記録ヘッドコントローラ76へ出力する。したがって、画像形成装置10では、ノズル検査装置68の検査結果に応じて補正した印字データに基づいた画像を記録用紙Wに形成する。
【0046】
以下に、本実施の形態の作用として、画像形成装置10が備えるノズル検査装置68によるノズル検査処理を説明する。
【0047】
図4(A)に示されるように、画像形成装置10では、記録用紙Wの周縁部を除いた領域(中央部の領域)を、画像情報に基づいた画像を形成する画像領域78としている。記録ヘッド44は、その長手方向に沿った長さが、記録用紙Wの搬送方向と交差する方向の全域に渡る長さとなっている。したがって、画像形成装置10では、記録ヘッド40の長手方向を主走査方向(矢印X方向)とし、記録用紙Wの搬送方向(印字胴32の回転方向)を副走査方向(矢印Y方向)として画像を形成する。
【0048】
ノズル検査装置68に設けているCCDセンサ72は、記録用紙Wの搬送方向と交差する方向(記録用紙Wの搬送幅方向)に沿って配置され、記録用紙Wの搬送幅方向に沿った長さが、記録用紙Wより長くなっている(図2参照)。したがって、CCDセンサ72は、記録用紙Wの搬送方向(定着胴36の回転方向)を副走査方向として画像を読み取る。なお、このようなCCDセンサ72は、例えば、主走査方向に沿って複数に分割したCCDセンサであっても良く、この場合、隣接するCCDセンサの間で、読取領域が重なる態様とすれば良い。
【0049】
画像形成装置10では、記録ヘッド44Y(イエロー)、記録ヘッド44M(マゼンタ)、記録ヘッド44C(シアン)、及び記録ヘッド44K(ブラック)のそれぞれから各色のインク液を吐出して、記録媒体Wにカラー画像を形成する。CCDセンサ72は、記録用紙WからR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色の濃度を読み取る。なお、記録ヘッド44Y、44M、44C、44Kのそれぞれにノズル46が設けられているが、ノズル検査装置68におけるノズル検査処理においては、異なる色の間での基本的な処理に相違が無いことから、以下では、色(インク滴の色)を特定せずに記録ヘッド44として説明する。
【0050】
画像形成装置10に設けているコンピュータ62は、ノズル検査用の検査画像として予め設定されているパターン(検査パターン)の画像がROM62B又はNVM62Dに記憶されている。コンピュータ62は、予め設定されたタイミングで、記録用紙Wに検査パターンを形成する。また、画像形成装置10(コンピュータ62)には、例えば、端末装置64等から入力された画像情報に基づいた画像形成処理に先立てノズル検査を行う画像形成処理前検査(以下、処理前検査とする)、及び画像情報に基づいた画像が形成された記録用紙Wを用いてノズル検査を行う画像処理中検査(以下、処理中検査とする)が設定されている。なお、ここでは、画像情報に基づいた画像形成処理に先立ってノズル検査を行うようにしているが、前の画像情報に基づいた画像形成処理が終了してから、次の画像情報に基づいた画像形成処理を開始するまでの間に行うなどの態様であっても良い。
【0051】
図4(A)には、処理中検査に用いる検査パターン画像80を示している。コンピュータ62は、非画像領域(画像領域78より記録用紙Wの周縁側)としている記録用紙Wの搬送方向の上流側(くわえ側)の端部に検査パターン画像80を形成する。また、図4(B)には、処理前検査に用いる検査パターン画像82を示している。この検査パターン画像82は、記録用紙Wの画像領域78に形成される。
【0052】
図5には、検査パターン画像80、82の基本構成となるパターン画像84を示している。パターン画像84は、検査画像とされ、主走査方向に沿ってノズル46のN個分を開けて選択したノズル46を用いて本発明における画素としているドット86を形成する。すなわち、N=9とした場合、主走査方向に沿って1番目と11番目のノズル46から液滴を吐出してドット86を形成し、2番目から10番目までの9個(N個)のノズル46からのインク滴の吐出を休止する。この吐出パターンを主走査方向に沿って繰り返す。これによりパターン画像84では、1主走査ラインについて、「1on N off」のドットパターンが形成される。
【0053】
また、記録ヘッド44の全てのノズル46からインク滴を吐出した場合の記録ヘッド44の主走査方向の解像度(印字解像度)RP(dpi)に対して、パターン画像84のドット86のラインピッチを主走査方向に沿った検査画像の解像度Rp(dpi)(以下、検査解像度とする)とした場合、パターン画像84の検査解像度Rpは、Rp=RP/(1+N)(dpi)となる。したがって、N=9の場合、1/10の解像度となり、印字解像度RPが1200(dpi)の場合、パターン画像84の検査解像度(ラインピッチ)Rpは、120(dpi)となる。
【0054】
また、パターン画像84では、一つのノズル46に対して、副走査方向(矢印Y方向)に沿って複数のドット86(例えば、51ドット)が連続され、パターン画像84では、連続したドット86によるライン88が形成される。これにより、インク滴を吐出したノズルの数に応じたライン88が主走査方向に沿った1段の梯子状に形成される。なお、以下では、「1onNoff」のパターンの一つで形成される主走査方向に沿ったライン88を「段」とする。
【0055】
さらに、パターン画像84では、次にインク滴を吐出するノズル46を主走査方向にずらし、2番目と12番目のノズル46から液滴を吐出し、3番目から11番目までのノズル46を休止させるパターンを主走査方向に沿って繰り返す。このパターンを、副走査方向に繰り返されることにより次の1段のライン88が梯子状に形成される。
【0056】
パターン画像84は、この「1onNoff」のパターンのライン88が、副走査方向に沿ってN+1回繰り返されて、N+1段の梯子状のライン88が形成されることで、記録ヘッド44の全てのノズル46から吐出されたインク液によるライン88が形成される。
【0057】
コンピュータ62は、画像情報に応じた画像を記録用紙Wに形成するときに検査パターン画像80を、記録用紙Wの非画像領域に形成する。このとき、コンピュータ62は、検査パターン画像80に用いるインク滴の色を記録用紙Wごとに色を換えることで、Y色の検査パターン画像80Y、M色の検査パターン画像80M、C色の検査パターン画像80C、及びK色のパターン画像80Kを記録用紙Wに順に形成する。また、検査パターン画像80における各ライン88の長さである副走査方向のドット86の数は、検査パターン画像80が記録用紙Wの非画像領域に収まるように、記録用紙W上の非画像領域の幅(副走査方向に沿った幅)が考慮されて予め設定されている(例えば、51ドット)。
【0058】
一方、図4(B)に示す検査パターン画像82は、Y、M、C、Kの各色について、パターン画像84の各段に対して、副走査方向に沿って連続するドット86の数を増やすことでライン88を長くしている(例えば144ドット)。また、検査パターン画像82では、画像領域78内に記録用紙Wの下地をそのままにした無画像領域92が設けられている。したがって、コンピュータ62は、処理前検査に用いる検査パターン画像82として、記録用紙Wの画像領域78内に、無画像領域92を形成すると共に、各ライン88(図5参照)のそれぞれを長くした検査パターン画像90Y、90M、90C、90Kを副走査方向に沿って順に形成する。
【0059】
一方、ノズル検査装置68では、CCDセンサ72の主走査方向に沿った読取解像度Rsと検査パターン画像80、90(パターン画像84)の検査解像度Rpとの間に予め設定された関係が成立するようにしている。
【0060】
図2に示されるように、記録ヘッド44は、主走査方向に隣接するノズル46の間隔(中心位置の投影間隔)が、主走査方向に沿った最高の印字解像度RPに応じた間隔Dとなっている。したがって、パターン画像84では、インク滴の吐出方向が適正といえるノズル46により間隔Dに応じた間隔(間隔Dの正の整数倍)でライン88が形成される。
【0061】
また、図6に示されるように、CCDセンサ72は、主走査方向(図6で紙面左右方向)に沿ってCCD94が配列され、主走査方向に沿って隣接するCCD94の中心(光軸、図6で一点鎖線で示す)が、主走査方向の読取解像度Rsに応じた間隔D0とされている。
【0062】
ここで、CCD94の対応しているライン88を形成するドット86が本発明の画素に対応する。また、CCDセンサ72のCCD94の中心に対するライン88の主走査方向に沿った相対位置のずれ、すなわち、CCD94の中心に対するライン88の主走査方向の位置のずれを、CCD94の中心(光軸)に対するライン88の位相差とする。
【0063】
ノズル検査装置68では、この位相差が主走査方向に沿うライン88ごとに変化するように読取解像度Rsと検査解像度Rpとを設定する。なお、ライン88の位置としては、対応するドット86の濃度値(輝度値)の重心、外形の中心などのライン88の主走査方向に沿った位置を特定しうる各種の態様とすることができる。
【0064】
この場合、一方の解像度の1/2の正の整数倍が他方の解像度と一致しないように読取解像度Rs及び検査解像度Rpを設定する必要がある。すなわち、一方の解像度が他方の解像度の正の整数倍であると、一方の解像度の周期でCCDセンサ72のCCD94に対して位相にずれが生じないライン88が現れる。また、一方の解像度が他方の解像度の正の整数倍に対して一方の解像度の1/2だけずれている場合(1.5倍、2.5倍・・・など)においても、その周期でCCD94に対する相対位置にずれの無いライン88が現れる。例えば一方の周期が他方の周期の3.5倍であると、一方の周期×3.5の周期で
CCD94に対して相対位置にずれの無いライン88が現れる。
【0065】
ここから、ノズル46を「1onNoff」のパターンで動作(インク滴を吐出)することにより検査解像度Rpを下げ、読取解像度Rsが検査解像度Rpより高くなるようにした場合、
Rp・((m+1)/2)<Rs<Rp((m+2)/2)
(ただし、mは正の整数)
となる。
【0066】
また、読取解像度Rsが、Rp×((m+1)/2)又はRp((m+2)/2)に近い値であれば、CCD94の中心に対するドット86の位相差を主走査方向に沿って徐々に変化させることができ、CCD94に対して相対位置にずれの無いライン88が現れる周期を極めて長くすることができる。
【0067】
言い換えると、
(Rp・(m+1)/2)+α<Rs<(Rp・(m+2)/2)
又は
(Rp・(m+2)/2)−α<Rs<Rp・(m+2)/2
とする。このときに、mは正の整数、ずれ量αは、0<α<Rp/2であり、ずれ量αを小さくすれば良い。
【0068】
ノズル検査装置68では、例えば、検査解像度Rpを120(dpi)、読取解像度Rsを検査解像度Rpの4倍に近似し、公差(−0.3%〜+3%)であっても、検査解像度Rpと一致していないとみなせる477(dpi)(Rs=477dpi)としている。
【0069】
上記構成を満たす読取解像度Rs及び検査解像度Rpは、記録ヘッド44の印字解像度RP又は検査パターン画像84の検査解像度Rpから上記構成を満たす読取解像度RsのCCDセンサ72を選択して用いてもよく、また、CCDセンサ72の読取解像度Rsに基づいて検査パターン画像84の検査解像度Rpを設定した態様などを適用することができる。なお、画像形成装置10に適用しているCCDセンサ94は、例えば、副走査方向の読取解像度が100dpiとなっている。
【0070】
図7(A)には、検査パターン画像80、82を用いたノズル検査処理の流れを示している。
【0071】
このフローチャートでは、例えば、端末装置64から画像情報が入力されると、画像形成装置10に設けたコンピュータ62により実行され、最初のステップ200で、処理前検査を開始するか否かを確認する。ここで、連続した記録用紙Wへの画像情報に基づいた画像形成処理を開始する前であれば、処理前検査を行うタイミングであると判断しステップ200で肯定判定してステップ202へ移行する。ステップ202では、処理前検査を行うために検査パターン画像82を記録用紙Wに形成する。次のステップ204では、検査パターン画像82を形成した記録用紙Wが画像定着部20に達し、定着胴36に巻き掛けられて保持されている状態でCCDセンサ72により検査パターン画像82を読み取り、検査パターン画像82に応じた画像データを取得する。この後に、ステップ206で検査処理を実行する。
【0072】
また、画像情報に基づいた画像を記録用紙Wに形成する場合、ステップ200で否定判定してステップ208へ移行する。このステップ208では、処理中検査に用いる検査パターン画像80を記録用紙W毎に形成する。これにより、画像形成装置10では、記録用紙Wのそれぞれに、画像情報に応じた画像と共に、C、M、Y、Kの各色の検査パターン画像80が順に形成される。
【0073】
次のステップ210では、検査パターン画像80が形成された記録用紙Wが画像定着部20に達して定着胴36に巻き掛けられて保持されると、この記録用紙Wに形成した検査パターン画像80をCCDセンサ72により読み込み、記録用紙Wに形成している検査パターン画像80に応じた画像データを取得する。この後、ステップ206に移行して検査処理を実行する。なお、検査処理が終了すると、ステップ212で、画像情報に基づいた記録用紙Wへの画像形成が終了したか否かを確認し、終了してなければ、ステップ212で否定判定して、ステップ208へ移行し、記録用紙Wに検査パターン画像80の形成及びCCDセンサ72による検査パターン画像80の読み取りを継続する。
【0074】
図7(B)には、図7(A)のステップ206に対応するノズル検査装置68におけるノズル検査処理の概略を示している。なお、検査パターン画像82を用いた処理前検査、及び検査パターン画像80を用いた処理中検査におけるノズル検査処理の基本的構成は、同じとしており、また、検査パターン画像80、82の基本構成は、パターン画像84であることから、ここでは、検査対象とする画像をパターン画像84とし、処理前検査及び処理中検査の区別をせずに説明する。
【0075】
このノズル検査処理では、まず、ステップ220において、画像データに基づきパターン画像84(検査パターン画像80又は検査パターン画像82)の色判定を行う。CCDセンサ72は、R、G、Bの各色のチャンネルについて画像データを読み取っており、これに基づき、パターン画像84に対応する領域からR、G、Bの各チャンネルの輝度データを取得し、各色のチャンネルについて、濃度の高い順に(輝度値の低い順に)所定数のデータ(例えば、20画素分のデータ)を抽出し、輝度値の平均値を求める。次に、各色の輝度値の平均値を予め設定している閾値と比較する。
【0076】
ここで、R、G、Bの全チャンネルについて輝度値の平均値が閾値より低ければ、パターン画像84が、K色であると判定し、以下のノズル検査にGチャンネルの画像データを使用するように設定する。
【0077】
これに対して、R、G、Bの何れか少なくとも一色の輝度値が閾値を超えていた場合、R、G、Bの各チャンネルの輝度値について、最小の輝度値からチャンネルを判定する。このとき、Rチャンネルの輝度値が最小であれば、パターン画像84がC色であると判断し、Rチャンネルの画像データを使用するように設定する。また、Gチャンネルの輝度値が最小であれば、パターン画像84がM色であると判定し、Gチャンネルの画像データを使用するように設定し、Bチャンネルの輝度値が最小であれば、パターン画像84がY色であると判定し、Bチャンネルの画像データを使用するように設定する。
【0078】
なお、画像データが検査パターン画像82から読み取ったものである場合、検査パターン画像82がC、M、Y、Kの各色のパターン画像84が順に形成されているので、ここでの色判定を省略することができる。また、検査パターン画像80を用いてノズル検査を行う場合、パターン画像84の色の順序が定まっているので、色判定を省略してもよく、また、パターン画像84の色確認を行う態様としても良い。
【0079】
次のステップ222では、パターン画像84の画像データとして取り込む副走査方向の領域を決定する。この領域決定は、色判定を行うことにより設定したチャンネルの画像データから副走査方向に沿った輝度分布を取得し、副走査方向に沿ったパターン画像84の範囲を特定することで行う。
【0080】
また、検査対象がC、M、Y、Kの各色のパターン画像90Y、90M、90C、90Kが形成された検査パターン画像82である場合、無画像領域92を含めて、各色の領域を決定する。
【0081】
次のステップ224では、決定した領域の画像データを抽出する。このとき、パターン画像84の副走査方向に沿う段毎に画像データを抽出する。また、CCDセンサ72が、複数の複数のCCDセンサを主走査方向に配置して構成されている場合には、CCDセンサごとに画像データを抽出する。
【0082】
また、検査対象が処理前検査を行う検パターン画像82である場合、無画像領域92、及びC、M、Y、Kの各色の検査パターン画像90に対応するそれぞれの領域の画像データを抽出する。このとき、検査パターン画像82に含まれる各検査パターン画像90については、副走査方向に沿う各段について画像データを抽出する。このとき、パターン画像84の各段を、例えば3分割することにより3つのブロックとして、各段について3つのブロックの画像データを抽出する。
【0083】
次のステップ226では、抽出した画像データに対してシェーディング補正を行う。検査パターン画像82の画像データに対してシェーディング補正を行う場合、無画像領域92の画像データを用いて、RGBの各チャンネルに対してシェーディング係数を作成する。この後、作成したシェーディング係数を用い、R、G、Bの各チャンネルの画像データに対してシェーディング補正を行う。
【0084】
また、記録用紙Wに画像情報に応じた画像と共に形成した検査パターン画像80の画像データに対してシェーディング補正を行う場合、前記した処理前検査によって無画像領域92の画像データに基づいて作成したR、G、Bの各チャンネルに対するシェーディング係数から、該当するチャンネルに対応するシェーディング係数を用いる。
【0085】
したがって、各段のブロック毎に、副走査方向の輝度値を平均化したプロファイルが得られる。次のステップ228では、パターン画像84の各段のライン88について、主走査方向の位置の同定を行う。
【0086】
図8には、プロファイルの一例が示されている。このプロファイルでは、読取解像度Rsを477dpi、検査解像度Rpを120dpiとし、1段分の主走査方向に沿った輝度値として得られているものである。仮に、120dpiの検査解像度Rpに対して、読取解像度Rsが480dpi(検査解像度Rpの4倍)であると、ライン88に対応する輝度値の下端は略直線状となる。これに対して、読取解像度Rsを検査解像度Rpの正の整数倍からずらしていることにより、ライン88ごとにCCD94に対する位相差が変化する。したがって、図8に示すプロファイルでは、CCD94により検出される輝度値が主走査方向に変化しており、横軸がCCD94の主走査方向に沿う位置を示すx座標p(i)としている。
【0087】
ここで、ライン88のx座標を同定する場合、まず、プロファイルからライン88に対応する輝度値の低い値(輝度値のピーク)の画素p(i)を順に探索する。なお、この画素p(i)は、CCD94を示し、主走査方向に沿うx座標は、該当CCD94のx座標となる。
【0088】
次に、画素p(i)について、主走査方向に隣接する画素p(i−1)、p(i+1)を読み出し、画素p(i−1)、p(i)、p(i+1)を用いて、放物線近似し、その頂点のx座標を以ってライン88のx座標とする。放物線近似による頂点のx座標は、画素p(i)と画素p(i+1)との輝度値の差f1、及び画素p(i)と画素p(i−1)との輝度値の差f2から(1)式で表すことができる。
【0089】
【数1】



例えば、図9に示される画素p(i−1)、p(i)、p(i+1)の配列100では、画素p(i−1)、p(i+1)の輝度値が等しいことから画素p(i)のx座標が、ライン88のx座標と判断される。また、配列102では、輝度値のピークの画素p(i)とこの画素p(i)に隣接する画素p(i+1)の輝度値が略等しい。ここから、ライン88のx座標は、配列102の画素p(i)から、+1/2画素(+0.5px)だけずれていることになる。
【0090】
また、配列104では、画素p(i−1)、p(i)、p(i+1)の配列が、配列100と配列102の間となっており、この場合、+1/4画素(+0.25px)だけずれていると考えられる。
【0091】
しかし、配列104について、(1)式にしたがいライン88のx座標を算出すると、画素p(i)からのずれ量は1/4画素にならない。
【0092】
これは、CCD94が、入力される光に対して輝度値とされる出力が非線形であることに起因する。
【0093】
ここから、ノズル検査装置68では、ROM62Bに補正テーブルのリファレンステーブルを記憶している。また、ノズル検査装置68では、リファレンステーブルを用いて補正テーブルを作成し、ノズル検査を行う毎に補正テーブルを更新するようにしている。更新された補正テーブルは、NVM62Dに記憶される。
【0094】
図10には、補正テーブルの一例を示している。この補正テーブルでは、横軸が放物線近似により得られるx座標のずれ量Xdiff(px:ピクセル)とされ、縦軸が実際のx座標のずれ量Xc(px)としている。この補正テーブルを用い、放物線近似により得られるずれ量Xdiffから実際のx座標のずれ量Xcを求めることができ、このずれ量Xcから、ライン88のx座標X0が得られる(X0=p(i)+Xc)。例えば、配列104において、放物線近似により得られるずれ量Xdiffが0.13(px)であった場合、補正テーブルから実際のx座標のずれ量Xcが0.25(px)として得られる。
【0095】
ノズル検査装置68では、検査解像度Rpに対して読取解像度Rsを約4倍としている。領域抽出により抽出されたデータを、系列0、系列1、系列2、系列3に順に振り分ける。系列0〜系列3に振り分けたデータを系列ごとにプロットすることにより図11の画素(CCD64の座標)に対する振幅の変化が得られる。系列0〜系列3の4つの系列は、それぞれが周期的に変化している。
【0096】
ここで、例えば、系列0について、谷から次の谷までの1周期を8分割したとき、最初の1/8は系列0、次の1/8は系列2の反転、次の1/8が系列3の反転に相当し、その次の1/8が系列1に対応する。これは、図8に示すCCDの輝度分布に相当する。
【0097】
ここから、1周期を10分割して仮補正テーブルを作成する。この仮補正テーブルは、パターン画像84の全段について系列ごとに補正テーブルが得られることになるので、平均を取って真値に近い仮補正テーブルを作成する。平均を取るときには、ソートして上下の20%をトリムするなどの態様とする。この仮補正テーブルは、実座標等分割となっているので、線形補間により放物線近似座標等分割テーブルに変換する。
【0098】
ノズル検査装置68では、記録用紙Wに画像を形成するときに、パターン画像80を形成し、補正テーブルの更新を行う。したがって、光沢紙、マット紙、普通紙などの紙種、インク種に応じた補正テーブルを持つことができる。なお、CCDセンサ72が、複数のCCDセンサに分割されたものである場合、CCDセンサ毎に持つ。
【0099】
このようにしてノズル検査装置68は、パターン画像84上のライン88の主走査方向の位置を同定する。
【0100】
図7(B)のフローチャートでは、ライン88の主走査方向の位置の同定を行うと、ステップ230へ移行し、主走査方向の位置を同定したライン88のそれぞれについて、対応するノズル46のノズル番号を割り当てる。
【0101】
この後、ステップ232へ移行してライン88ごとの曲がり量(ずれ量)の算出を行う。曲がり量の算出は、図12に示すように、横軸をノズル番号とし、縦軸をノズル46ごとのx座標としている。
【0102】
ここで、注目ノズル46(ノズル番号Nx)について、前後の複数のノズル46(例えば、前後12個のノズル46)を比較対象とし、比較対象としたノズル46についてx座標をプロットし、二次曲線によって近似する。連続するノズル46が形成するライン88は、パターン画像84で段ごとに分かれており、通常は直線となるが、撮像系の光学ひずみをキャンセルする目的で、二次曲線で近似する。なお、主走査方向の端部のノズル46については、主走査方向に連続する25個のノズル46を比較対象とすれば良い。
【0103】
近似した二次曲線を基準線106として、比較対象としているノズル46のうちで、基準線106に対して所定の閾値(図12で二点鎖線で示す)以上離れているノズル46があれば、該当ノズル46を比較対象から外して、新たな基準線106を近似する。なお、このときの閾値としては、例えば、基準線106に対するずれ量に換算して6μm(約0.1126px)以上離れていれば、比較対象から除外する(図12で破線に示す)。
【0104】
基準線106を作成すると、基準線106に対する注目ノズル46のx座標のずれ量を距離L(μm)に換算する。このノズル46のずれ量は、ノズル46ごとに換算するが、例えば、近似する二次曲線を求めるときにずれ量が大きく排除したノズル46があれば、該当ノズル46については除いても良い。
【0105】
このようにしてノズル46毎のずれ量(基準線106との距離L)を換算すると、図7(B)のフローチャートでは、ステップ234へ移行し、ノズル46毎のずれ量予め設定されたい閾値(判定パラメータ)と比較することによりノズル46ごとの良否判定が行われる。このとき、インク滴の吐出方向に曲がりが少なく、基準線106に対するライン88の距離(主走査方向に沿ったずれ量)が閾値以内であれば、該当ライン88を形成しているノズル46を良と判定する。
【0106】
ここで、コンピュータ62では、基準線106からの距離Lに基づいてノズル46の良否判定を行う閾値について、処理前検査の検査パターン画像84に対する閾値を、処理中検査の検査パターン画像80に対する閾値を小さくしている。なお、検査(ノズル46の良否判定)は、ノズル46ごとに複数のサンプルの曲がり量を求め平均して判定しても良い。
【0107】
画像形成装置10のコンピュータ62は、記録ヘッド44に所定以上の曲がりが生じているノズル46があると、該当ノズル46の使用を中止し、該当ノズル46により形成する画素(ドット)を周囲のノズル46から吐出するインク滴で補完するようにデータ処理(補完処理)を行う。
【0108】
このように、ノズル検査装置68では、読取解像度Rsと検査解像度Rpとの間が、Rp・((m+1)/2)<Rs<Rp・((m+2)/2)(ただし、mは正の整数)となるようにし、CCD94の中心に対してパターン画像84のライン88にずれが生じるようにしている。これにより、放物線近似によるライン88の主走査方向の位置の同定が容易となる。
【0109】
なお、放物線近似を用いたがライン88の重心位置を特定する態様としては、濃度重心を用いる態様、線形補間して濃度重心を求める態様、スプライン補間して濃度重心を求める態様などを適用できる。
【0110】
また、読取解像度Rsと検査解像度Rpとの間をRp・((m+1)/2)<Rs<Rp((m+2)/2)(ただし、mは正の整数)としているが、検査解像度Rpの正の整数倍に対して読取解像度Rsが、一致しているとみなされない範囲である程度近い方が良い。これにより、CCD94の中心にライン88の主走査方向に沿う重心が重なる(位相差がなくなる)のを抑え、位相差を少しずつ変化させることができるので、CCD94に対して位相差の生じた多数のデータが得られる。したがって、より的確にライン88の主走査方向の位置を同定でき、また、放物線近似によりライン88の主走査方向の位置を同定するのに用いる適正な補正テーブルが得られる。
【0111】
また、画像形成装置10では、記録用紙Wへの連続した画像形成処理に先立って検査パターン画像82を形成してノズル46の検査を行うので、記録用紙Wに高品質の画像を形成することができる。また、画像形成装置10では、画像を形成する記録用紙Wごとに検査パターン画像82を形成して、検査パターン画像82に対する検査を行うので、連続して記録用紙Wに画像を形成する場合でも、高品質の画像形成を維持することができる。
【0112】
さらに、CCDセンサ72(CCD94)の出力は、普通紙、光沢紙、マット紙などの記録用紙Wの紙質、インク液の種類によって変化するが、処理前検査及び処理中検査によって、R、G、Bの各チャンネルに対応する補正テーブルを更新するので、紙質やインク液の種類によらず高品質の画像を形成することができる。
【0113】
なお、ノズル検査装置68では、検査解像度Rpに基づいて、読取解像度Rsを設定するようにしているが、これに限らず、読取解像度Rsに対して上記関係の検査解像度Rpが得られるように、「1onNoff」するときのNを設定する態様であっても良い。
【0114】
また、画像形成装置10では、記録用紙W毎に形成する検査パターン画像80(パターン画像84)を、記録用紙Wの搬送方向(副走査方向)の先端部に形成するようにしたが、これに限らず、搬送方向の後端部に形成してもよく、また、パターン画像84を、副走査方向に2分割して、分割した一方を記録用紙Wの搬送方向の先端部に形成し、他方を搬送方向の後端部に形成するようにしても良い。
【0115】
さらに、一つの色のパターン画像84を副走査方向に沿って2分割以上に分割し、分割したそれぞれのパターン画像84を、複数枚の記録用紙Wに分割して形成することで検査パターン画像84として良い。これにより、1枚の記録用紙Wに形成する検査パターン画像80の搬送方向に沿った幅を狭くできるので、検査パターン画像80が、画像領域78を狭めてしまうのを抑えることができる。
【0116】
なお、以上の説明では、本発明のノズル検査プログラムをROM62Bに予め記憶されている態様で説明したが、本発明に係るノズル検査プログラムは、CD−ROM、DVD−ROM等の記憶媒体に記憶される態様で提供されることも可能であり、さらに、ネットワークを介して提供される態様であっても良い。
【0117】
また、画像形成装置10では、コンピュータ62が記録用紙Wに画像を形成しながら画像と共に形成した検査パターン画像80を読み取ることで、ノズル検査処理を実行し、処理結果に基づいて記録用紙Wへの新たな画像形成処理を行うようにしているが、これに限らず、コンピュータ62の上位に、画像形成装置10の動作管理、画像情報に対する画像処理を行って印字データを出力する画像処理装置(印刷管理装置)を設けた態様とすることもできる。この場合、コンピュータ62で記録用紙Wからの画像読み取りと読み取り結果に基づいたノズル検査を行い、検査結果を上位の印刷管理装置へ出力することで、印刷管理装置がノズル検査結果に基づいた印字データに対する補正処理などを行う構成となる。
【符号の説明】
【0118】
10 画像形成装置
42 ヘッドユニット
44 記録ヘッド
46 ノズル
60 制御部
62 コンピュータ
68 ノズル検査装置
70 画像読取ユニット
72 CCDセンサ
80、82、90 検査パターン画像
84 パターン画像
88 ライン
94 CCD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向と交差する主走査方向に沿って受光素子が配列され、前記主走査方向に沿って等しい画素数分の間隔を開けて1画素ずつ前記記録媒体に形成された検査画像を読み取る読取手段と、
前記画像読取手段により前記記録媒体に形成された前記検査画像を読み取って前記検査画像の主走査方向に沿うプロファイルを生成する生成手段と、
前記プロファイルから前記受光素子に対する前記検査画像の前記画素の重心位置を取得し、前記受光素子の受光中心に対する前記検査画像の画素の重心位置のずれである位相差に基づき、前記検査画像の各画素の主走査方向の位置を特定すると特定手段と、
を有し、前記主走査方向に沿う前記画像読取手段の読取解像度をRs、主走査方向に沿う前記検査画像の解像度をRpとすると、
Rp・((m+1)/2)<Rs<Rp・((m+2)/2)
(ただし、mは正の整数)
を満たす画像位置検査装置。
【請求項2】
前記特定手段が、前記プロファイルの前記画素に対応する3点の前記受光素子の輝度情報から放物線近似により前記画素の重心位置を取得する請求項2に記載の画像位置検査装置。
【請求項3】
前記受光素子に対する前記画素の前記位相差に応じて前記重心位置を補正する補正テーブルを有する請求項2に記載の画像位置検査装置。
【請求項4】
前記プロファイルから前記補正テーブルを生成する請求項3に記載の画像位置検査装置。
【請求項5】
画像位置検査装置に設けられるコンピュータを、
記録媒体の搬送方向と交差する主走査方向に沿って読取解像度Rsで受光素子が配列され、前記記録媒体に前記主走査方向に沿って等しい画素数分の間隔を開けて1画素ずつ形成された検査画像であり、主走査方向に沿う検査画像の解像度Rp及び前記読取解像度Rsが、
Rp・((m+1)/2)<Rs<Rp・((m+2)/2)
(ただし、mは正の整数)
となる前記検査画像を読み取る読取手段と、
前記画像読取手段により読み取られた前記検査画像の画像データから前記検査画像の主走査方向のプロファイルを生成する生成手段と、
前記プロファイルから前記受光素子に対する前記検査画像の前記画素の重心位置を取得し、前記受光素子の受光中心に対する前記画素の重心位置のずれである位相差に基づき、前記検査画像の各画素の主走査方向の位置を特定すると特定手段と、
して機能させるための画像位置検査プログラム。
【請求項6】
前記請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像位置検査装置と、
液滴を吐出するノズルが前記主走査方向に沿って配列された吐出ヘッドを有し、画像情報に応じて前記吐出ヘッドの前記ノズルから吐出する液滴により前記画像情報に基づいた画像を前記記録媒体に形成する画像形成手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項7】
前記画像位置検査装置が特定した前記ノズルから吐出される前記液滴により前記記録媒体に形成される前記画素の前記主走査方向の位置に基づき、前記画素位置の適否を判定する判定手段と、
前記判定手段により不適と判定された前記画素に対応する前記ノズルを特定し、該特定したノズルに対応する前記画素を前記特定したノズルに隣接するノズルから吐出する液滴で補完するように前記画像情報を補正する補正手段と、
を含む請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−69003(P2013−69003A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205399(P2011−205399)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】