説明

画像処理システムおよび言語切替プログラム

【課題】使用者の利便性を向上させることのできる画像処理システムを提供する。
【解決手段】装置自身に関する情報を予め設定された第1の言語で表示する第1の情報表示手段(第1の操作パネル204)を備える第1の画像処理装置(プリンタ装置PR1)と、装置自身に関する情報を予め設定された第2の言語で表示する第2の情報表示手段(第2の操作パネル105)を備え、第1の画像処理装置と接続される第2の画像処理装置(スキャナ装置SC1)と、第1の言語および第2の言語に関する情報を取得する取得手段と、取得結果に基づいて第1の情報表示手段および第2の情報表示手段において用いられる言語を切り替える言語切替部211と、第1の表示手段および第2の表示手段における表示が切り替えられた言語を用いて行われるように制御する制御部205とを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムおよび言語切替プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、スキャナ装置にプリンタ装置を直接接続あるいはネットワーク接続し、スキャナ装置で読み取った画像をコピージョブとしてプリンタ装置に送信することで、パーソナルコンピュータを介さずにコピー機能など複合機と同様の機能を実現する画像処理システムが提案されている。
【0003】
このようなシステムにおいては、スキャナ装置に接続されるプリンタ装置の機種は一定ではなく、その機能については種々のものが接続され得る。
【0004】
また、一般的に、スキャナ装置とプリンタ装置の各装置にはパネル表示言語を設定する機能が設けられている。
【0005】
例えば、特開平11−308391号公報には、表示言語を統一するためには、各々の装置に対してユーザ(使用者)が設定もしくは装置間で情報を送受信し、自動的に整合させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−308391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ユーザの利便性を向上させることのできる画像処理システムおよび言語切替プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像処理システムは、装置自身に関する情報を予め設定された第1の言語で表示する第1の情報表示手段を備える第1の画像処理装置と、装置自身に関する情報を予め設定された第2の言語で表示する第2の情報表示手段を備え、通信手段を介して前記第1の画像処理装置と接続される第2の画像処理装置と、前記第1の言語および第2の言語に関する情報を取得する取得手段と、該取得手段による取得結果に基づいて、前記第1の情報表示手段および前記第2の情報表示手段において用いられる言語を切り替える切替手段と、前記第1の表示手段および前記第2の表示手段における表示が、前記切替手段で切り替えられた言語を用いて行われるように制御する制御手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明に係る画像処理システムは、請求項1に記載の発明について、前記第1の表示手段および前記第2の表示手段は、表示機能と共に各装置が有する機能を操作する操作機能を備える操作パネルで構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明に係る画像処理システムは、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記切替手段で切り替えられる言語は、前記第1の言語または前記第2の言語の何れかであることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明に係る画像処理システムは、請求項1または請求項2の何れかに記載の発明について、前記切替手段で切り替えられる言語は、予め設定された複数の言語の中から選択されることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明に係る画像処理システムは、請求項1から請求項4の何れかに記載の発明について、前記第1の画像処理装置はプリンタ装置で構成され、前記第2の画像処理装置はスキャナ装置で構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明に係る画像処理システムは、請求項5に記載の発明について、前記切替手段で切り替えられる言語は、前記スキャナ装置で読み取られる用紙のサイズに対応した言語圏に属する言語であることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明に係る画像処理システムは、請求項5に記載の発明について、前記スキャナ装置で読み取った原稿の文字データを認識する文字認識手段をさらに備え、前記切替手段で切り替えられる言語は、前記文字認識手段で認識された文字に対応する言語であることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明に係る画像処理システムは、請求項5に記載の発明について、前記切替手段で切り替えられる言語は、前記プリンタ装置に入力される印刷データに含まれる文字情報に対応する言語であることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明に係る画像処理システムは、請求項5に記載の発明について、前記プリンタ装置に入力された過去の印刷データに含まれる文字情報を解析する解析手段をさらに備え、前記切替手段で切り替えられる言語は、前記解析手段による解析結果に対応する言語であることを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明に係る画像処理システムは、請求項5に記載の発明について、前記プリンタ装置または前記スキャナ装置の設置場所の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、前記切替手段で切り替えられる言語は、前記位置情報取得手段で取得された位置情報に対応する言語圏に属する言語であることを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明に係る画像処理システムは、請求項10に記載の発明について、前記位置情報取得手段は、GPS(Global Positioning System)による情報、MACアドレス(Media Access Control address)または電話番号に基づいて位置情報を取得することを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明に係る画像処理システムは、請求項1から請求項11の何れかに記載の発明について、前記制御手段は、前記切替手段で切り替えられる言語が2種類以上である場合には、一定時間毎に各言語を切り替えて表示させるように制御することを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明に係る画像処理システムは、請求項1から請求項11の何れかに記載の発明について、前記制御手段は、前記切替手段で切り替えられる言語が2種類以上である場合には、各言語による表示を並記させるように制御することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明に係る画像処理システムは、請求項1から請求項13の何れかに記載の発明について、前記切替手段で切り替えられた言語を切り替え前の状態に復帰させる復帰手段をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明に係る言語切替プログラムは、第1の画像処理装置または第2の画像処理装置から通信手段を介して第1の言語または第2の言語に関する情報を含むデータを送受信する送受信処理過程と、該送受信処理過程で受信された前記データに基づいて、第1の情報表示手段および第2の情報表示手段において用いる言語を切り替える切替処理過程と、該切替処理過程で切り替えられた言語を用いて、前記第1の表示手段または前記第2の表示手段における表示を制御する制御処理過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0023】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第1の言語および第2の言語に関する情報の取得結果に基づいて、第1の情報表示手段および第2の情報表示手段において用いられる言語を切り替えているので、ユーザの使用言語や使用環境等に対応させることができ、利便性を向上させることができるという効果がある。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、操作パネルにおける表示言語を切り替えて利便性を向上させることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第1の言語または第2の言語の何れかに切り替えて利便性を向上させることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、予め設定された複数の言語の中から選択して切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、プリンタ装置とスキャナ装置を連携させたシステムにおいて言語を切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、切り替えられる言語はスキャナ装置で読み取られる用紙のサイズに対応した言語圏に属する言語であるので、的確な言語に切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、切り替えられる言語は文字認識手段で認識された文字に対応する言語であるので、的確な言語に切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0030】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、切り替えられる言語はプリンタ装置に入力される印刷データに含まれる文字情報に対応する言語であるので、より的確な言語に切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、切替手段で切り替えられる言語は解析手段による解析結果に対応する言語であるので、より的確な言語に切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0032】
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、切り替えられる言語は位置情報取得手段で取得された位置情報に対応する言語圏に属する言語であるので、より的確な言語に切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0033】
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、より的確な言語に切り替えて利便性を一層向上させることができる。
【0034】
請求項12に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、切り替えられる言語が2種類以上である場合には一定時間毎に各言語を切り替えて表示させるので、利便性を一層向上させることができる。
【0035】
請求項13に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、切り替えられる言語が2種類以上である場合には各言語による表示を並記させるので、利便性を一層向上させることができる。
【0036】
請求項14に記載の発明によれば、切り替えられた言語を切り替え前の状態に復帰させるので、利便性を一層向上させることができる。
【0037】
請求項15に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第1の言語および第2の言語に関する情報の取得結果に基づいて、第1の情報表示手段および第2の情報表示手段において用いられる言語を切り替えているので、ユーザの使用言語や使用環境等に対応させることができ、利便性を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0039】
図1から図13を参照して、本発明についての実施の形態に係る画像処理システムS1について説明する。
【0040】
図1および図2に示すように、画像処理システムS1は、装置自身に関する情報を表示する機能と共に操作する機能を備えたタッチパネル等で構成される第1の操作パネル204(第1の情報表示手段の一例)を少なくとも備えるプリンタ装置PR1(第1の画像処理装置の一例)と、装置自身に関する情報を表示する機能と共に操作する機能を備えたタッチパネル等で構成される第2の操作パネル105(第2の情報表示手段の一例)を少なくとも備え、LAN等のネットワークN(通信手段の一例)を介して第1のプリンタ装置PR1と接続されるスキャナ装置SC1(第2の画像処理装置の一例)と、プリンタ装置PR1に印刷データや画像データを送信するパーソナルコンピュータあるいはホストコンピュータ等で構成される情報処理装置PC1とを少なくとも備える。
【0041】
プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1について、本発明と直接関係しない構成については図示および説明を省略する。
【0042】
なお、本実施の形態では、プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1は、それぞれ1台がネットワークNに接続されるが、これに限らず、それぞれ2台以上を接続する場合であってもよい。
【0043】
また、プリンタ装置PR1の印刷方式は、特には限定されず、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、インクジェット方式のプリンタ等の何れであってもよい。
【0044】
また、スキャナ装置SC1の読み取り方式も特には限定されず、Charge Coupled Devices(CCD)方式、Contact Image Sensor(CIS)方式等の何れであってもよい。
【0045】
また、プリンタ装置PR1とスキャナ装置SC1は、ネットワークN経由の外に、ローカル線(USBインターフェイスを介したUSBケーブル等)Cでも接続されているが、本発明においては、少なくとも一方で接続されていれば足りる。
【0046】
また、特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、スキャナ装置SC1が備える第2の操作パネル105の方が、プリンタ装置PR1が備える第1の操作パネル204よりも表示領域の面積、画素密度、表示色数、解像度等において機能的、性能的に優れているものとする。
【0047】
また、特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、例えば、プリンタ装置PR1の第1の操作パネル204は初期設定において第1の言語としての「日本語」を用いて表示がなされ、スキャナ装置SC1の第2の操作パネル105において第2の言語としての「英語」を用いて表示がなされるものとする。
【0048】
プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1は、第1の言語および第2の言語に関する情報を取得する取得部210、110(取得手段の一例)をそれぞれ備えている。
【0049】
なお、上記の例では、プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1は、表示する機能と共に操作する機能を備えたタッチパネル等を備える場合について述べたが、これに限らず、プリンタ装置PR1またはスキャナ装置SC1の一方の表示手段が、LED等のセグメント表示あるいはLED等の点灯、点滅による表示のみである場合や、一部の操作をタッチパネル等で行い、その他は押しボタン型の操作キーで行う場合を含む。
【0050】
また、プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1は、取得部210、110による取得結果に基づいて、第1の操作パネル204および第2の操作パネル105において用いられる言語を切り替える言語切替部211、111(切替手段の一例)をそれぞれ備えている。
【0051】
また、言語切替部211、111で選択された第1の操作パネル204または第2の操作パネル105を用いて、第1の操作パネル204および第2の操作パネル105における表示が、切り替えられた言語を用いて行われるように制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御部205、105(制御手段の一例)をそれぞれ備えている。
【0052】
なお、スキャナ装置SC1の第2の操作パネル105は、高機能の表示を行うために、いわゆるGUI(Graphical User Interface)を備えている。
【0053】
ここで、GUIとは、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、大半の基礎的な操作をマウスなどのポインティングデバイスによって行なうことができるユーザインターフェイスのことをいう。なお、タッチパネルにおいては、マウス等を要さずに、所望の表示箇所を指やタッチペン(スタイラス)等で押圧することにより操作できるようになっている。
【0054】
そして、言語切替部211または111による言語切り替えにより、例えば、プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1の双方で使用される言語が「英語」に統一された場合には、プリンタ装置PR1の制御部205は、初期設定における使用言語である「日本語」を「英語」に切り替えて、第1の操作パネル204の表示を行うように制御する。なお、この場合には、スキャナ装置SC1側は、初期設定で使用言語が「英語」となっているので、制御部106は、引き続いて「英語」を使用して第2の操作パネル105の表示制御を行うこととなる。
【0055】
また、言語切替部211または111による言語切り替えのパターンは、種々想定される。詳しくは後述するが、例えば、用紙のサイズ、印刷データに含まれる言語情報、原稿に印刷された文字の種類等に応じて、第1の操作パネル204および第2の操作パネル105において用いられる言語を切り替えることができる。
【0056】
また、切り替え対象となる言語の種類は特には限定されない。即ち、プリンタ装置PR1やスキャナ装置SC1が備える言語データの格納部(ROM等)に格納されている言語の種類にもよるが、予め設定された複数の言語(世界で用いられている言語の全部または一部)に対応させることが可能である。具体的には、例えば、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語等に切り替え可能である。
【0057】
また、スキャナ装置SC1は、原稿を光学的に読み取って得た光学信号を電気信号に変換する画像読取部104で読み取った原稿の文字データを認識する画像解析部102(文字認識手段の一例)を備えている。
【0058】
また、プリンタ装置PR1は、情報処理装置PC1等からプリンタ装置PR1に入力された過去の印刷データに含まれる文字情報を解析するデータ解析部202(解析手段の一例)を備えている。
【0059】
さらに、プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1は、当該プリンタ装置PR1またはスキャナ装置SC1の設置場所の位置情報を取得する位置情報取得部212、112(位置情報取得手段の一例)をそれぞれ備えている。
【0060】
位置情報の取得方法は特には限定されないが、例えば、GPS(Global Positioning System)による情報、MACアドレス(Media Access Control address)または電話番号等に基づいて、取得するようにできる。
【0061】
なお、位置情報と使用言語との関係については、例えば、予め世界の国々における使用言語に関する情報を格納し、取得した位置情報が何れの国に属するかの対応関係を判定することにより、プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1が設置された位置における使用する言語を自動的に決定することができる。尤も、位置情報に基づく言語設定がユーザの希望に合致しない場合には、ユーザにより所望の言語に再切り替えすることも可能である。
【0062】
また、画像処理システムS1のユーザが複数人いる場合において、それぞれのユーザが使用したい言語が異なるような場合には、第1の操作パネル204および第2の操作パネル105における表示を複数の言語で順次切り替えて行うようにしてもよい。
【0063】
また、第1の操作パネル204および第2の操作パネル105における表示を各言語で並記させるようにしてもよい。
【0064】
また、プリンタ装置PR1およびスキャナ装置SC1は、言語切替部211、111で切り替えられた言語を切り替え前の状態に復帰させる復帰部213、113(復帰手段)をそれぞれ備えている。
【0065】
以上のような構成により、画像処理システムS1は、ユーザの使用言語や使用環境等に対応させることができ、利便性が向上される。
【0066】
なお、図1に示すように、スキャナ装置SC1は、上述の構成以外に、ケーブルCを介してデータや指示等の送受信を行うインターフェイス(I/F)部101、画像読取部から取得した画像をプリンタ装置PR1へ送信可能なデータ形式への変換を行う画像生成部103、スキャナ装置SC1の動作に必要な条件や、表示部における表示言語情報の設定などが記憶される設定情報記憶部107などを備えている。
【0067】
また、プリンタ装置PR1は、上述の構成以外に、ケーブルCを介してデータや指示等の送受信を行うインターフェイス(I/F)部201、データ解析部202が出力したデータに基づいて用紙上に画像を印刷する印刷部203、インターフェイス部201を介して受信するデータをジョブとして識別、管理するジョブ管理部206などを備えている。
【0068】
なお、前出のデータ解析部202は、インターフェイス部201から取得したデータを印刷部203にて印刷可能なデータ形式への変換処理も担っている。
【0069】
図3には、スキャナ装置SC1からプリンタ装置PR1へ送信するジョブデータの形式の例を示す。
【0070】
図3に示す例では、言語情報を格納する言語情報部Wと、読み取った画像データ部Gと、ジョブの区切れを識別可能とするためのジョブ識別子(ヘッダ/フッタ)H、Fから構成されている。
【0071】
なお、言語情報は、例えばPJL(Printer Job Language)の制御パラメータで設定することができる。
【0072】
図4には、ジョブ管理部206で管理されるジョブ情報の例を示す。
【0073】
図4に示す例では、各ジョブに対応した言語情報(日本語、英語)、文書名(メモ.txt等)および状態(処理中、待機中等)が登録され管理されている。
【0074】
このように処理中のジョブが管理され、完了すると本テーブルから削除される。
【0075】
次に、図5の通信シーケンス図を参照して、スキャナ装置SC1とプリンタ装置PR1間の動作例について説明する。
【0076】
なお、前提として、各装置の表示言語設定は、先にも述べたように、スキャナ装置SC1は「日本語」、プリンタ装置PR1は「英語」の状態であるものとする。
【0077】
スキャナ装置SC1は、ユーザによる第2の操作パネル105の指示に基づいて、コピージョブを実行する。
【0078】
第2の操作パネル105は、制御部106に対し、ジョブの開始を通知する。
【0079】
制御部106は、画像読取部104に対して、原稿の読取処理の開始を通知する。
【0080】
画像読取部104は、原稿を読み取り、画像データを取得する。
【0081】
画像生成部103は、取得した画像データをプリンタ装置PR1が解析可能なデータに変換し、さらに設定情報記憶部に保持される表示言語設定により決定される言語情報(本例では日本語)をジョブ識別子と合成し、言語情報をインターフェイス部101を経由してプリンタ装置PR1へ送信する。
【0082】
プリンタ装置PR1のインターフェイス部201は、データの受信を検知すると、制御部205へ受信した旨を通知する。
【0083】
制御部205は、インターフェイス部201、データ解析部202および第1の操作パネル204に対して、受信したデータに対する処理の開始を通知する。
【0084】
インターフェイス部201は、受信データをデータ解析部202へ渡し、データ解析部202は、まずジョブ識別子によりジョブの区切れを判定して新規ジョブであることを認識し、ジョブ管理部206へ新規登録する。
【0085】
次に、言語情報部Wを解析し、指定された言語情報をジョブ管理部206に登録する。
【0086】
ジョブ管理部206は、言語情報の登録結果を制御部205へ通知すると、制御部205は、第1の操作パネル204に表示言語を切り替えるよう指示し、表示言語が切り替えられる(図5の例では、英語→日本語へ切り替えられる)。
【0087】
次に、画像データ部Gを解析し、印刷部203にて印刷可能な形式に変換して印刷部203に渡す。
【0088】
印刷部203は、取得したデータを用紙に印刷する。
【0089】
データ解析部202は、ジョブ識別子(フッタ)Fを解析することによりジョブデータの終了を認識し、その結果、ジョブ管理部206へ受信ジョブの終了を通知する。
【0090】
ジョブ管理部206が登録されたジョブを破棄するタイミングは、先の受信ジョブの終了と印刷部203による最終頁の終了を検知したタイミングである。
【0091】
ジョブ管理部206は、ジョブ終了を検知すると制御部205へその旨通知する。
【0092】
制御部205はジョブの終了により表示言語を当初の表示言語へ切り替えるよう(日本語→英語へ切り替える)に第1の操作パネル204へ通知する。
【0093】
これにより、的確な言語に切り替えて利便性が一層向上される。
【0094】
次に、スキャナ装置SC1が付加する言語情報の決定手法の例について述べる。
【0095】
上述の例では、スキャナ装置SC1の表示言語設定を参照して言語を決定していたが、ここでは、それ以外の言語決定手法について説明する。
【0096】
まず、読み取った原稿のサイズにより言語情報を決定する手法について述べる。
【0097】
ユーザが原稿として使用する用紙サイズは、各言語圏において使用頻度に差異があることは既知の事実である。
【0098】
その特性を考慮して、スキャナ装置SC1が原稿サイズとして検知するサイズに対応付けて言語情報を特定する。
【0099】
図6には、検知サイズと言語情報の対応例を示す。
【0100】
これにより、例えば、検知サイズが「八開」や「十六開」である場合には中国語に自動的に切り換えるといった処理が可能となり、的確な言語に切り替えて利便性が一層向上される。
【0101】
なお、原稿サイズの検知方法は、自動的な検知であっても、手動による指定であってもよい。また、対応付けはユーザによってカスタマイズできるようにしてもよい。
【0102】
次に、原稿に記載されている文字の言語で決定する手法について述べる。
【0103】
この手法では、スキャナ装置SC1による原稿の読取時に、その記載内容をOCR(Optical Character Reader)により文字認識し、言語を特定し、その結果を言語情報として使用する。
【0104】
OCRとは、手書き文字や印字された文字を光学的に読み取り、予め記憶されたパターンとの照合により文字を特定し、文字データを入力する装置あるいはソフトウェアをいう。
【0105】
ここで、画像解析部102等の動作について説明する。
【0106】
スキャナ装置SC1は、ユーザによる第2の操作パネル105の指示に基づいて、コピージョブを実行する。
【0107】
第2の操作パネル105は制御部106に対し、ジョブの開始を通知する。
【0108】
制御部106は画像読取部104に対して、原稿の読取処理の開始を通知する。
【0109】
画像読取部104は原稿を読み取り、画像データを取得する。
【0110】
取得した画像から画像解析部102は、文字認識処理を実行し、言語種類を特定する。
【0111】
画像生成部103は、取得した画像データをプリンタ装置PR1が解析可能なデータに変換し、画像解析部102により特定した言語情報をジョブ識別子と合成し、インターフェイス部101を経由してスキャナ装置SC1へ送信する。
【0112】
これにより、的確な言語に切り替えて利便性が一層向上される。
【0113】
次に、プリンタ装置PR1が、スキャナ装置SC1から送信される言語情報を元に、表示言語を特定する手法について述べる。
【0114】
上述の例では、ジョブ毎に付加される言語情報によって、処理中の期間のみ表示言語を切り替える動作を示したが、それ以外のパターンについて説明する。
【0115】
受信したジョブ一覧からのジョブ選択による表示言語の切り替えであり、図7に示すように、プリンタ装置PR1に複数のジョブがキューイングされた状態を想定する。
【0116】
この例では、図8に示すように、プリンタ装置PR1側の第1の操作パネル204上でジョブ一覧メニューを表示させ、ジョブを選択したタイミングで表示言語を切替えている。
【0117】
即ち、プリンタ装置PR1にジャムが発生して異常画面A1が表示された状態でメニューキーB2(図9参照)を押すと、メニュートップ画面A2に移行する。
【0118】
メニュートップ画面A2で「ジョブリスト」を選択するとジョブ一覧の画面A3に移行する。
【0119】
次いで、例えば、「Plan.doc」が選択された場合(A4)には、日本語による表示から英語による表示に切り替える(A5)。
【0120】
これにより、A6に示すように、異常に関するメッセージが英語で表示される。
【0121】
このように、ジョブを選択したタイミングで表示言語を切替えることにより、的確な言語に切り替えて利便性が一層向上される。
【0122】
次に、図10と図11を参照して、受信済みジョブの言語情報を選択肢とし、所定のキー操作により言語を変更するパターンについて説明する。
【0123】
図10に示すように、プリンタ装置PR1に複数のジョブがキューイングされた状態を想定する。
【0124】
この場合には、図9に示すように、プリンタ装置PR1の第1の操作パネル204上に言語切替用の「言語キー」B3を設け、受信済みジョブの言語情報を選択肢として、「言語キー」を押下する度に順に表示を切替えるようにしている。
【0125】
図11に「言語キー」による言語切り替えの例を示す。
【0126】
この例では、当初のプリント中画面C1における言語は「日本語」であるが、言語キーB3を1回押すと「英語」に切り替えられ(C2)、2回押すと「フランス語(仏語)」に切り替えられ(C3)、3回押すと元の「日本語」に戻るようになっている。
【0127】
なお、切り替えられる言語の種類は、任意に変更可能である。また、言語キーB3を押す毎に切り替えられる言語の数も任意である。
【0128】
また、前述の例では、受信中ジョブの言語情報を選択対象としたが、他に、過去に受信したジョブの言語情報や、プリンタ装置PR1に元々設定されていた言語を対象に含めてもよい。
【0129】
また、言語切替方法は、上記以外の方法でも構わない。
【0130】
例えば、よりユーザビリティが向上するように、選択可能な言語を一覧表示して、ユーザに選択させることも考えられる。
【0131】
次に、図12と図13を参照して、受信済みジョブの言語情報を選択肢として、自動的に表示を切り替える例について説明する。
【0132】
図12に示すように、プリンタ装置PR1に複数のジョブがキューイングされた状態を想定する。
【0133】
図13に示すように、この例ではN(Nは任意の整数)秒経過毎に受信済みジョブの言語(日本語、英語、フランス語)を順次切り替えて表示している。
【0134】
なお、切り替えられる言語の種類は、任意に変更可能である。また、切り替えられる言語の数も任意である。
【0135】
また、前述の例では、受信中ジョブの言語情報を選択対象としたが、他に、過去に受信したジョブの言語情報や、プリンタ装置PR1に元々設定されていた言語を対象に含めてもよい。
【0136】
また、特定のキー操作によって表示中の言語で表示を確定させ、自動的な切り替え動作を停止させるようにしてもよい。
【0137】
これにより、的確な言語に切り替えて利便性が一層向上される。
【0138】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0139】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【0140】
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0141】
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0142】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【0143】
さらには、画像処理装置等を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明による画像処理システムおよび言語切替プログラムは、複写装置、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、複合機、ファクシミリ装置、スキャナ装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】実施の形態に係る画像処理システムS1の構成を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態に係る画像処理システムS1の機能構成を示す機能ブロックである。
【図3】ジョブデータの形式の例を示す説明図である。
【図4】ジョブ管理部で管理されるジョブ情報の例を示す表である。
【図5】画像処理システムS1における通信シーケンス図である。
【図6】検知サイズと言語情報の対応例を示す説明図である。
【図7】プリンタ装置PR1にキューイングされた複数のジョブを示す表である。
【図8】第1の操作パネル204における言語切り替えの表示例を示す説明図である。
【図9】第1の操作パネル204の構成例を示す説明図である。
【図10】プリンタ装置PR1にキューイングされた複数のジョブを示す表である。
【図11】第1の操作パネル204における言語切り替えの表示例を示す説明図である。
【図12】プリンタ装置PR1にキューイングされた複数のジョブを示す表である。
【図13】第1の操作パネル204における言語切り替えの表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0146】
S1 画像処理システム
SC1 スキャナ装置
PC1 情報処理装置
101 インターフェイス部
102 画像解析部
103 画像生成部
104 画像読取部
105 第2の操作パネル
106 制御部
107 設定情報記憶部
PR1 プリンタ装置
201 インターフェイス部
202 データ解析部
203 印刷部
204 第1の操作パネル
205 制御部
206 ジョブ管理部
210 取得部
211 言語切替部
212 位置情報取得部
213 復帰部
B1 セットキー
B2 メニューキー
B3 言語キー
B4 バックキー
C ケーブル
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置自身に関する情報を予め設定された第1の言語で表示する第1の情報表示手段を備える第1の画像処理装置と、
装置自身に関する情報を予め設定された第2の言語で表示する第2の情報表示手段を備え、通信手段を介して前記第1の画像処理装置と接続される第2の画像処理装置と、
前記第1の言語および第2の言語に関する情報を取得する取得手段と、
該取得手段による取得結果に基づいて、前記第1の情報表示手段および前記第2の情報表示手段において用いられる言語を切り替える切替手段と、
前記第1の表示手段および前記第2の表示手段における表示が、前記切替手段で切り替えられた言語を用いて行われるように制御する制御手段と、
を少なくとも備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記第1の表示手段および前記第2の表示手段は、表示機能と共に各装置が有する機能を操作する操作機能を備える操作パネルで構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記切替手段で切り替えられる言語は、前記第1の言語または前記第2の言語の何れかであることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記切替手段で切り替えられる言語は、予め設定された複数の言語の中から選択されることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記第1の画像処理装置はプリンタ装置で構成され、前記第2の画像処理装置はスキャナ装置で構成されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記切替手段で切り替えられる言語は、前記スキャナ装置で読み取られる用紙のサイズに対応した言語圏に属する言語であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記スキャナ装置で読み取った原稿の文字データを認識する文字認識手段をさらに備え、
前記切替手段で切り替えられる言語は、前記文字認識手段で認識された文字に対応する言語であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記切替手段で切り替えられる言語は、前記プリンタ装置に入力される印刷データに含まれる文字情報に対応する言語であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記プリンタ装置に入力された過去の印刷データに含まれる文字情報を解析する解析手段をさらに備え、
前記切替手段で切り替えられる言語は、前記解析手段による解析結果に対応する言語であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記プリンタ装置または前記スキャナ装置の設置場所の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記切替手段で切り替えられる言語は、前記位置情報取得手段で取得された位置情報に対応する言語圏に属する言語であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項11】
前記位置情報取得手段は、GPS(Global Positioning System)による情報、MACアドレス(Media Access Control address)または電話番号に基づいて位置情報を取得することを特徴とする請求項10に記載の画像処理システム。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記切替手段で切り替えられる言語が2種類以上である場合には、一定時間毎に各言語を切り替えて表示させるように制御することを特徴とする請求項1から請求項11の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項13】
前記制御手段は、
前記切替手段で切り替えられる言語が2種類以上である場合には、各言語による表示を並記させるように制御することを特徴とする請求項1から請求項11の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項14】
前記切替手段で切り替えられた言語を切り替え前の状態に復帰させる復帰手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項13の何れかに記載の画像処理システム。
【請求項15】
第1の画像処理装置または第2の画像処理装置から通信手段を介して第1の言語または第2の言語に関する情報を含むデータを送受信する送受信処理過程と、
該送受信処理過程で受信された前記データに基づいて、第1の情報表示手段および第2の情報表示手段において用いる言語を切り替える切替処理過程と、
該切替処理過程で切り替えられた言語を用いて、前記第1の表示手段または前記第2の表示手段における表示を制御する制御処理過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする言語切替プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−206682(P2010−206682A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51849(P2009−51849)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】