説明

画像処理装置、印刷装置、画像処理方法、色彩修正テーブル設定方法、および印刷方法

【課題】カラー画像データをより好ましい印象の色彩が得られるデータに修正する。
【解決手段】修正を加えようとする色彩(修正対象色彩)と修正量とを設定すると、修正対象色彩を含んで設定された修正領域に対して、色彩の修正が行われる。このときの修正量は、修正対象色彩から修正領域の外縁に近づくにつれて修正量が小さくなるように設定されている。次いで、こうして設定された修正量に従って、カラー画像データが修正される。こうすれば、修正を加えようとする色彩を含んで設定された修正領域の範囲内で色彩が修正されるので、修正の影響が思わぬところに現れることが無く、専門的な知識や十分な経験を持たない場合でも、好みの色彩が得られるように簡単にカラー画像データを修正することが可能となる。修正対象色彩あるいは修正量は、予め内部に記憶しておくことも、外部から設定することも可能です。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像データに基づいてカラー画像を出力する際に、好ましい色彩が得られるようにカラー画像データを修正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を表示あるいは印刷する技術の進歩により、今日ではカラー画像データさえ入手することができれば、専門的な知識や技術などを有さない場合でも、モニタ上にカラー画像を表示したり、プリンタからカラー画像を出力することが可能となっている。
【0003】
また、モニタとプリンタとでは色彩の表現方式が大きく異なるために、表現可能な色彩の範囲も異なっているが、いわゆるカラーマネージメント技術が進歩したことにより、モニタ上に表示した場合でも、プリンタで印刷した場合でも、ほとんど同じような色彩の見え方をするカラー画像を出力することが可能となっている。
【0004】
もっとも、このようにして表示あるいは印刷されたカラー画像の色彩が、全ての人にとって好ましいと感じられる色彩であるとは限らない。そこで、色彩を調整するためのトーンカーブを複数種類用意しておき、その中から1つのトーンカーブを選択することで、各人がそれぞれに好ましいと感じる色彩でカラー画像を出力可能とする技術が提案されている(特許文献1、特許文献2)。ここでトーンカーブとは、入力側の階調値に対して出力側の階調値を対応付けた一次元の数表である。
【0005】
【特許文献1】特開2001−298631号公報
【特許文献2】特開2002−262304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、色彩を適切に修正することは、必ずしも容易ではないという問題があった。例えば、トーンカーブを用いて、好みの色彩が得られるように色彩を修正するためには、カラーマネージメントに関する多くの知識と経験とが必要である。このように、好ましい色彩のカラー画像が得られるように修正することは、必ずしも容易なことではないという問題があった。
【0007】
この発明は従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、カラー画像の色彩を容易に修正可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の画像処理装置は次の構成を採用した。すなわち、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加える画像処理装置であって、
少なくとも前記カラー画像データを修正する時点では、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持している修正内容保持手段と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する修正領域生成手段と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する修正特性生成手段と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する画像データ修正手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、上記の画像処理装置に対応する本発明の画像処理方法は、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加える画像処理方法であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく第1の工程と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する第2の工程と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する第3の工程と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する第4の工程と
を備えることを要旨とする。
【0010】
かかる本発明の画像処理装置および画像処理方法においては、少なくともカラー画像データの修正を開始するまでには保持されている修正対象色彩と修正量とに基づいて、修正対象色彩を含んだ修正領域が生成され、この修正領域に対して、色彩の修正が行われる。ここで、修正対象色彩あるいは修正量は、予め記憶されているものを読み出して保持することとしてもよいし、あるいは、カラー画像データの修正開始に先立って、外部から設定されたものを保持することとしてもよい。また、色彩を修正するための修正量は、修正対象色彩から修正領域の外縁に近づくにつれて修正量が小さくなるように生成される。次いで、こうして生成された修正量に従って、カラー画像データが修正される。
【0011】
このようにしてカラー画像データを修正すれば、修正を加えようとする色彩を含んで設定された修正領域の範囲内で、しかも修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるように、色彩が修正される。このため、修正の影響が思わぬところに現れることが無いので、容易にカラー画像データを修正することが可能となる。
【0012】
こうした本発明の画像処理装置においては、修正を加えようとする修正対象色彩を、操作者が設定可能としても良い。
【0013】
上述したように、色彩の修正は、修正領域の範囲内で、しかも修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるように行われるので、修正の影響が思わぬところに現れることが無く、専門的な知識や十分な経験を持たない場合でも適切に修正することができる。このため、修正対象色彩を操作者が設定することで、好みの色彩が得られるように簡単にカラー画像データを修正することが可能となる。
【0014】
また、修正対象色彩の設定は次のようにしても良い。先ず、修正対象色彩の候補となる色彩を複数記憶しておく。そして、これら修正対象候補色彩の中から選択することによって、修正対象色彩を設定することとしてもよい。
【0015】
予め設定されている複数の色彩の中から選択するのであれば、専門的な知識や経験を持たない者でも、修正を加えようとする色彩(修正対象色彩)を容易に選択することが可能となる。また、このようにして設定した修正対象色彩は、特定のカラー画像を想定して設定されたものではないので、どのようなカラー画像に対しても適切な修正対象色彩として使用することが可能である。従って、このようにして修正対象色彩を設定しておくことで、常に、より好ましい色彩のカラー画像を印刷することが可能となる。
【0016】
あるいは、次のようにして修正対象色彩を設定することとしてもよい。先ず、受け取ったカラー画像データを用いてカラー画像を出力し、そのカラー画像の中から、修正を加えようとする色彩で表示された一部領域を指定する。そして、指定した領域を代表する色彩(例えば、領域内の平均的な色彩、あるいは領域内で最も広い面積を占める色彩など)を、カラー画像データから取得した後、こうして得られた色彩(指定領域色彩)を、修正対象色彩として設定するようにしてもよい。
【0017】
こうすれば、出力しようとするカラー画像の中から、修正を加えようとする色彩を直接的に指定することができるので、出力対象とするカラー画像に合わせて、適切な修正対象色彩を簡単に設定することが可能となる。
【0018】
また、上述した本発明の画像処理装置においては、修正を加えて得ようとする修正目標色彩の候補となる色彩(修正目標候補色彩)を複数記憶しておき、修正対象色彩に対する修正目標色彩を選択することによって、修正対象色彩を設定することとしても良い。
【0019】
このように、複数設定されている色彩の中から修正目標色彩を選択することとすれば、専門的な知識や経験を有さない場合でも、直感的な操作により簡単に修正量を設定することが可能となる。また、修正目標色彩の候補となる色彩を、修正対象色彩毎に設定しておき、その色彩に対して設定されている候補の色彩の中からのみ、修正目標色彩を選択可能としておけば、適切な修正の範囲から選択することができるので、専門的な知識や経験を必要とすることなく、より好ましい色彩でカラー画像を出力することが可能となる。
【0020】
また、本発明の画像処理装置においては、修正対象色彩についての修正量を、操作者が設定可能としても良い。
【0021】
上述したように本発明の画像処理装置においては、修正領域の範囲内で、しかも修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるように色彩が修正されるので、修正の影響が思わぬところに現れることが無い。このため、操作者が修正量を設定した場合でも、好みの色彩が得られるように、適切にカラー画像データを修正することが可能となる。
【0022】
また、修正対象色彩についての修正量を設定するに際しては、色相成分または彩度成分の少なくとも何れかについての修正量を設定するようにしてもよい。
【0023】
こうすれば、例えば彩度を保ったまま色相だけを修正したり、色相を保ったまま彩度だけを修正するといったことも、容易に実現することが可能となるので好ましい。
【0024】
また、上述した本発明の画像処理装置においては、修正対象色彩についての修正量を、色相成分、彩度成分、明度成分についての修正量に変換したのち、修正領域内の色彩に対して、色相成分、彩度成分、明度成分についての修正を行って、カラー画像データを修正することとしても良い。
【0025】
カラー画像データの修正を、カラー画像データに対して直接行うのではなく、色相成分、彩度成分、明度成分に変換した後、これら各成分について修正することによってカラー画像データを修正することとすれば、例えば、彩度を修正した結果として明度も変わってしまったり、色相を修正した結果として彩度も変わってしまうなど、思わぬ効果が発生してしまうことがなく、適切な色彩でカラー画像を出力することが可能となる。
【0026】
また、上述した各種の画像処理装置においては、修正領域を変更可能としても良い。
【0027】
修正内容(修正対象色彩および修正量)は、修正領域の色彩に対して反映されるので、修正内容が反映される範囲の大きさや、範囲の形状などを変更可能としておけば、修正内容を、より好ましい色彩の範囲に反映させることができる。このため、カラー画像をより一層、好ましい色彩で出力することが可能となる。
【0028】
また、好ましいカラー画像を印刷しようとした場合、印刷しようとするカラー画像データに対して、上述した手法を用いて修正を加えた後にカラー画像を印刷する必要がある点に着目すれば、本願発明は、カラー画像データを修正してから画像を印刷する印刷装置あるいは印刷方法として把握することも可能である。すなわち、本発明の印刷装置は、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加えた後、カラー画像を印刷する印刷装置であって、
少なくとも前記カラー画像データを修正する時点では、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持している修正内容保持手段と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する修正領域生成手段と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する修正特性生成手段と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する画像データ修正手段と、
前記修正されたカラー画像データに基づいてカラー画像を形成する画像形成手段と
を備えることを要旨とする。
【0029】
また、上述した印刷装置に対応する本発明の印刷方法は、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加えた後、カラー画像を印刷する印刷方法であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく工程(ア)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する工程(イ)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する工程(ウ)と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する工程(エ)と、
前記修正されたカラー画像データに基づいてカラー画像を形成する工程(オ)と
を備えることを要旨とする。
【0030】
かかる本発明の印刷装置および印刷方法においても、少なくともカラー画像データの修正を開始するまでには保持されている修正対象色彩および修正量に基づいて、修正領域に対して修正が行われ、修正結果が反映されたカラー画像を印刷することができる。このように、修正領域に限定して修正内容を反映させることができるので、専門的な知識や十分な経験を持たない場合でも、簡単に好みの色彩のカラー画像を印刷することが可能となる。
【0031】
また、カラー画像データに対して、修正内容に基づいて直接修正するのではなく、カラー画像データと修正後のカラー画像データを対応付けたテーブルを予め生成しておき、このテーブルを参照して、カラー画像データを修正することも可能である。このような観点からは、上述した本発明の画像処理方法は、以下のような色彩修正テーブルを設定する方法として把握することも可能である。すなわち、本発明の色彩修正テーブル設定方法は、
カラー画像の色彩を所望の色彩に修正するために参照され、修正前のカラー画像データと修正後のカラー画像データとを対応付けた色彩修正テーブルの設定方法であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく工程(A)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する工程(B)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する工程(C)と、
前記生成された修正特性に従って前記カラー画像データを修正する工程(D)と、
前記修正後のカラー画像データを、該修正前のカラー画像データに対応付けて記憶する工程(E)と
を備えることを要旨とする。
【0032】
かかる本発明の色彩修正テーブル設定方法においても、修正内容に基づいて、修正領域内で色彩に加える修正量が求められ、カラー画像データが修正される。そして、修正後のカラー画像データと修正前のカラー画像データとを対応付けて記憶することによって色彩修正テーブルが設定される。このようにして設定された色彩修正テーブルを参照してカラー画像データを修正すれば、修正領域にのみ修正内容が反映されるような状態で色彩を修正することができるので、専門的な知識や経験を十分に有さない場合でも、好ましい色彩が得られるようにカラー画像データを修正することが可能となる。
【0033】
更に本発明は、上述した画像処理方法、色彩修正テーブル設定方法、あるいは印刷方法を実現するためのプログラムをコンピュータに読み込ませ、所定の機能を実行させることにより、コンピュータを用いて実現することも可能である。従って、本発明は次のようなプログラム、あるいは該プログラムを記録した記録媒体としての態様も含んでいる。すなわち、上述した画像処理方法に対応する本発明のプログラムは、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加える方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく第1の機能と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する第2の機能と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する第3の機能と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する第4の機能と
をコンピュータにより実現することを要旨とする。
【0034】
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加える
プログラムを、コンピュータで読取可能に記録した記録媒体であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく第1の機能と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する第2の機能と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する第3の機能と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する第4の機能と
をコンピュータにより実現するプログラムを記録していることを要旨とする。
【0035】
また、上述した色彩修正テーブル設定方法に対応する本発明のプログラムは、
カラー画像の色彩を所望の色彩に修正するために参照され、修正前のカラー画像データと修正後のカラー画像データとを対応付けた色彩修正テーブルを設定する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく機能(A)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する機能(B)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する機能(C)と、
前記生成された修正特性に従って前記カラー画像データを修正する機能(D)と、
前記修正後のカラー画像データを、該修正前のカラー画像データに対応付けて記憶する機能(E)と
をコンピュータにより実現することを要旨とする。
【0036】
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
カラー画像の色彩を所望の色彩に修正するために参照され、修正前のカラー画像データと修正後のカラー画像データとを対応付けた色彩修正テーブルを設定するプログラムを、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく機能(A)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する機能(B)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する機能(C)と、
前記生成された修正特性に従って前記カラー画像データを修正する機能(D)と、
前記修正後のカラー画像データを、該修正前のカラー画像データに対応付けて記憶する機能(E)と
をコンピュータにより実現するプログラムを記録していることを要旨とする。
【0037】
更に、上述した印刷方法に対応する本発明のプログラムは、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加えた後、カラー画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく機能(ア)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する機能(イ)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する機能(ウ)と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する機能(エ)と、
前記修正されたカラー画像データに基づいてカラー画像を形成する機能(オ)と
をコンピュータにより実現することを要旨とする。
【0038】
また、上記のプログラムに対応する本発明の記録媒体は、
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加えた後、カラー画像を印刷するプログラムを、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく機能(ア)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する機能(イ)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する機能(ウ)と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する機能(エ)と、
前記修正されたカラー画像データに基づいてカラー画像を形成する機能(オ)と
をコンピュータにより実現するプログラムを記録し得射ることを要旨とする。
【0039】
これらのプログラムをコンピュータに読み込んで、上記の各種機能を実現させれば、専門的な知識や経験を十分に持たない場合でも、カラー画像をより好ましい印象の色彩に修正した状態で、出力することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.実施例の概要:
B.装置構成:
B−1.全体構成:
B−2.内部構成:
B−2−1.スキャナ部の内部構成:
B−2−2.プリンタ部の内部構成:
C.画像印刷処理:
D.第1実施例の色彩修正テーブル設定処理:
E.第2実施例の色彩修正テーブル設定処理:
F.変形例:
(1)第1の変形例:
(2)第2の変形例:
【0041】
A.実施例の概要 :
実施例の詳細な説明に入る前に、図1を参照しながら、実施例の概要について説明しておく。図1は、本実施例の画像処理装置が組み込まれた印刷装置10の概要を示した説明図である。図示した印刷装置10には、インク滴を吐出する印字ヘッド12が設けられており、印字ヘッド12を印刷媒体P上で往復動させながら、インク滴を吐出してインクドットを形成することによって画像を印刷するいわゆるインクジェットプリンタである。こうした印刷装置には、シアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロ(Y)色などの複数色のインクが搭載されており、カラー画像データに応じて適切な分量のインクを吐出することにより、カラー画像データの表現する色彩が正確に再現されたカラー画像を印刷することが可能となっている。
【0042】
ここで、カラー画像の出力に際して、色彩を簡便に修正できれば便利である。そこで、本実施例の印刷装置10には、「修正内容保持モジュール」、「修正領域設定モジュール」、「修正特性生成モジュール」、「画像データ修正モジュール」、「画像印刷モジュール」などのモジュールが搭載されている。尚、「モジュール」とは、印刷装置10が画像を印刷するために内部で行っている一連の処理を、機能に着目して分類したものである。従って「モジュール」は、プログラムの一部として実現することもできるし、あるいは、特定の機能を有する論理回路を用いて実現したり、更には、これらを組合せることによって実現することが可能である。
【0043】
このような本実施例の印刷装置10では、少なくともカラー画像データの修正が開始されるまでには、修正を加える色彩(修正対象色彩)と、その色彩に加える修正量とが、「修正内容保持モジュール」に対して予め保持される。例えば、真っ赤な色よりも、少しオレンジがかった色の方が好みのユーザーを想定するのであれば、修正対象色彩として「赤色」が保持され、修正量としては、黄色成分を所望量だけ強調する旨が保持される。もちろん、修正対象色彩としては、複数の色彩を保持しておくことも可能である。また、これらの修正内容(すなわち、修正対象色彩、修正量)は、予め内部に記憶されているものを読み出してきて保持することも可能であるし、あるいは外部から修正内容を設定するようにしても良い。
【0044】
「修正領域生成モジュール」は、「修正内容保持モジュール」に保持されている修正内容(修正対象色彩および修正量)を取得して、修正内容を反映させる修正領域を生成する。修正領域は、色空間内で修正対象色彩の座標点を含むように生成される。また、複数の修正対象色彩が記憶されている場合には、それぞれの色彩について修正領域が生成される。尚、修正領域の大きさ(すなわち、色空間内で修正内容を反映させる範囲)は、変更可能としても良い。
【0045】
次いで「修正特性生成モジュール」は、こうして生成された修正領域内での、色彩の修正特性を生成する。修正特性を生成するに際しては、修正対象色彩の座標点から修正領域の外縁に近付くほど、修正量が小さくなるような特性を設定する。
【0046】
このようにして修正特性が設定された状態で、カラー画像データを印刷装置10に入力すると、「画像データ修正モジュール」は、修正特性に従ってカラー画像データを修正した後、「画像印刷モジュール」に供給する。「画像印刷モジュール」では、修正されたカラー画像データに対して、所定の処理を施すことにより、インクの吐出量を決定した後、印字ヘッド12を駆動してインク滴を吐出する。その結果、印刷媒体上にカラー画像が印刷されることになる。
【0047】
このようにして色彩を修正してカラー画像を印刷してやれば、修正内容が修正領域内、若しくはその近傍に限定され、画像全体に及ぶことがない。このため、十分な専門知識や経験を持たない場合でも、カラー画像の色調を各人の好みに合わせて容易に修正して、より好ましいカラー画像を得ることが可能となる。以下では、このような印刷装置10について、実施例に基づいて詳しく説明する。
【0048】
B.装置構成 :
B−1.全体構成 :
図2は、本実施例の印刷装置10の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例の印刷装置10は、スキャナ部100と、プリンタ部200と、スキャナ部100およびプリンタ部200の動作を設定するための操作パネル300などから構成されている。スキャナ部100は、印刷された画像を読み込んで画像データを生成するスキャナ機能を有しており、プリンタ部200は、画像データを受け取って印刷媒体上に画像を印刷するプリンタ機能を有している。また、スキャナ部100で読み取った画像(原稿画像)をプリンタ部200から出力すれば、コピー機能を実現することも可能である。すなわち、本実施例の印刷装置10は、単独でスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能を実現可能な、いわゆるスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)となっている。
【0049】
図3は、原稿画像を読み込むために、印刷装置10の上部に設けられた原稿台カバー102を開いた様子を示す説明図である。図示されているように、原稿台カバー102を上に開くと、透明な原稿台ガラス104が設けられており、その内部には、スキャナ機能を実現するための後述する各種機構が搭載されている。原稿画像を読み込む際には、図示されているように原稿台カバー102を開いて原稿台ガラス104の上に原稿画像を置き、原稿台カバー102を閉じてから操作パネル300上のボタンを操作する。こうすれば、原稿画像を直ちに画像データに変換することが可能である。
【0050】
また、スキャナ部100は全体が一体のケース内に収納された構成となっており、スキャナ部100とプリンタ部200とは、印刷装置10の背面側でヒンジ機構204(図4参照)によって結合されている。このため、スキャナ部100の手前側を持ち上げることにより、ヒンジの部分でスキャナ部100のみを回転させることが可能となっている。
【0051】
図4は、スキャナ部100の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。図示するように、本実施例の印刷装置10では、スキャナ部100の手前側を持ち上げることで、プリンタ部200の上面を露出させることが可能である。プリンタ部200の内部には、プリンタ機能を実現するための後述する各種機構や、スキャナ部100を含めて印刷装置10全体の動作を制御するための後述する制御回路260、更には、スキャナ部100やプリンタ部200などに電力を供給するための電源回路(図示は省略)なども設けられている。また、図4に示されているように、プリンタ部200の上面には、開口部202が設けられており、インクカートリッジなどの消耗品の交換や、紙詰まりの処理、その他の軽微な修理などを簡便に行うことが可能となっている。
【0052】
B−2.内部構成 :
図5は、本実施例の印刷装置10の内部構成を概念的に示した説明図である。前述したように、印刷装置10にはスキャナ部100とプリンタ部200とが設けられており、スキャナ部100の内部にはスキャナ機能を実現するための各種構成が搭載され、プリンタ部200の内部にはプリンタ機能を実現するための各種構成が搭載されている。以下では、初めにスキャナ部100の内部構成について説明し、次いでプリンタ部200の内部構成について説明する。
【0053】
B−2−1.スキャナ部の内部構成 :
スキャナ部100は、原稿画像をセットする透明な原稿台ガラス104と、セットされた原稿画像を押さえておくための原稿台カバー102と、セットされた原稿画像を読み込む読取キャリッジ110と、読取キャリッジ110を読取方向(主走査方向)に移動させる駆動ベルト120と、駆動ベルト120に動力を供給する駆動モータ122と、読取キャリッジ110の動きをガイドするガイド軸106などから構成されている。また、駆動モータ122や読取キャリッジ110の動作は、後述する制御回路260によって制御されている。
【0054】
制御回路260の制御の下で駆動モータ122を回転させると、駆動ベルト120を介してその動きが読取キャリッジ110に伝達され、その結果、読取キャリッジ110は、ガイド軸106に導かれながら駆動モータ122の回転角度に応じて読取方向(主走査方向)に移動するようになっている。また、駆動ベルト120は、アイドラプーリ124によって絶えず適度に張った状態に調整されており、このため、駆動モータ122を逆回転させれば、回転角度に応じた距離だけ読取キャリッジ110を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0055】
読取キャリッジ110の内部には、光源112や、レンズ114、ミラー116、CCDセンサ118などが搭載されている。光源112からの光は原稿台ガラス104に照射され、原稿台ガラス104の上にセットされた原稿画像で反射する。この反射光は、ミラー116によってレンズ114に導かれ、レンズ114によって集光されてCCDセンサ118で検出される。CCDセンサ118は、光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードが、読取キャリッジ110の移動方向(主走査方向)と直交する方向に列状に配置されたリニアセンサによって構成されている。このため、読取キャリッジ110を主走査方向に移動させながら、光源112の光を原稿画像に照射し、CCD118によって反射光強度を検出することで、原稿画像に対応する電気信号を得ることができる。
【0056】
また、光源112は、RGBの3色の発光ダイオードによって構成されており、所定の周期でR色、G色、B色の光を順次、照射することが可能となっており、これに応じてCCD118では、R色、G色、B色の反射光が順次、検出されるようになっている。一般に、画像の赤色の部分はR色の光を反射するが、G色やB色の光はほとんど反射しないから、R色の反射光は画像のR成分を表している。同様に、G色の反射光は画像のG成分を表しており、B色の反射光は画像のB成分を表している。従って、RGB3色の光を所定の周期で切り替えながら原稿画像に照射し、これに同期してCCD118で反射光強度を検出すれば、原稿画像のR成分、G成分、B成分を検出することができ、カラー画像を読み込むことが可能となっている。尚、光源112が照射する光の色を切り替えている間も読取キャリッジ110は移動しているから、RGBの各成分を検出する画像の位置は、厳密には、読取キャリッジ110の移動量に相当する分だけ異なっているが、このずれは、各成分を読み込んだ後に、画像処理によって補正することが可能である。
【0057】
B−2−2.プリンタ部の内部構成 :
次に、プリンタ部200の内部構成について説明する。プリンタ部200には、印刷装置10の全体の動作を制御する制御回路260と、印刷媒体上に画像を印刷するための印刷キャリッジ240と、印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構と、印刷媒体の紙送りを行うための機構などが搭載されている。
【0058】
印刷キャリッジ240は、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク、Mインク、Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243と、底面側に設けられた印字ヘッド241などから構成されており、印字ヘッド241には、インク滴を吐出するインク吐出ヘッドがインク毎に設けられている。印刷キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給される。
【0059】
印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構は、印刷キャリッジ240を駆動するためのキャリッジベルト231と、キャリッジベルト231に動力を供給するキャリッジモータ230と、キャリッジベルト231に絶えず適度な張力を付与しておくための張力プーリ232と、印刷キャリッジ240の動きをガイドするキャリッジガイド233と、印刷キャリッジ240の原点位置を検出する原点位置センサ234などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下でキャリッジモータ230を回転させると、回転角度に応じた距離だけ印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させることが可能である。また、キャリッジモータ230を逆回転させれば、印刷キャリッジ240を逆方向に移動させることも可能となっている。
【0060】
印刷媒体の紙送りを行うための機構は、印刷媒体を裏面側から支えるプラテン236と、プラテン236を回転させて紙送りを行う紙送りモータ235などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下で紙送りモータ235を回転させることで、回転角度に応じた距離だけ印刷媒体を副走査方向に紙送りすることが可能となっている。
【0061】
制御回路260は、CPUを中心として、ROMや、RAM、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器、更には、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェースPIFなどから構成されている。制御回路260は、印刷装置10全体の動作を制御しており、スキャナ部100に搭載された光源112や、駆動モータ122、CCD118とデータをやり取りしながら、これらの動作を制御している。
【0062】
また、制御回路260は、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動して印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながら、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に駆動信号を供給してインク滴を吐出させる制御も行っている。インク吐出ヘッド244ないし247に供給する駆動信号は、コンピュータ30や、デジタルカメラ20、外部記憶装置32などから画像データを読み込んで、後述する画像処理を行うことによって生成する。もちろん、スキャナ部100で読み込んだ画像データに画像処理を施すことにより、駆動信号を生成することも可能である。こうして制御回路260の制御の下で、印刷キャリッジ240を主走査および副走査させながら、インク吐出ヘッド244ないし247からインク滴を吐出して印刷媒体上に各色のインクドットを形成することによって、カラー画像を印刷することが可能となっている。もちろん、制御回路260内で画像処理を行うのではなく、画像処理が施されたデータをコンピュータ30から受け取って、このデータに従って印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながらインク吐出ヘッド244ないし247を駆動することも可能である。
【0063】
また、制御回路260は、操作パネル300ともデータをやり取り可能に接続されており、操作パネル300上に設けられた各種のボタンを操作することにより、スキャナ機能や、プリンタ機能の詳細な動作モードを設定することが可能となっている。更には、コンピュータ30から、周辺機器インターフェースPIFを介して詳細な動作モードを設定することも可能である。
【0064】
図6は、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に、インク滴を吐出する複数のノズルNzが形成されている様子を示した説明図である。図示するように、各色のインク吐出ヘッドの底面には、各色のインク滴を吐出する4組のノズル列が形成されており、1のノズル列には、48個のノズルNzがノズルピッチkの間隔を空けて千鳥状に配列されている。制御回路260からは、これらノズルNzのそれぞれに駆動信号が供給され、各ノズルNzは駆動信号に従って、それぞれのインクによるインク滴を吐出するようになっている。
【0065】
以上に説明したように、印刷装置10のプリンタ部200は、インクを吐出するノズルに駆動信号を供給し、駆動信号に従ってインク滴を吐出して印刷媒体上にインクドットを形成することによって画像を印刷している。また、インク吐出ノズルを駆動するための制御データは、画像の印刷に先立って、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成している。以下では、画像データに画像処理を施して制御データを生成し、得られた制御データに基づいてインクドットを形成することにより画像を印刷する処理(画像印刷処理)について説明する。
【0066】
C.画像印刷処理 :
図7は、本実施例の印刷装置10で画像を印刷するために行われている画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、印刷装置10に搭載された制御回路260が、内蔵したCPUやRAM、ROMなどの機能を用いて実行する処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0067】
制御回路260は、画像印刷処理を開始すると先ず初めに、印刷しようとする画像データの読み込みを行う(ステップS100)。ここでは、画像データはR,G,B各色の階調値によって表現されたRGB画像データであるものとする。
【0068】
色彩修正テーブルを設定するか否かを判断する(ステップS102)。ここで、色彩修正テーブルとは、カラー画像がより好ましい色彩で印刷されるように、カラー画像データを修正するために用いられるテーブルである。後述するように色彩修正テーブルには、RGB画像データと、修正後のRGB画像データとが対応付けて記憶されており、色彩修正テーブルを参照してRGB画像データを変換しておけば、カラー画像をより好ましい色彩で印刷することが可能となる。また、本実施例の印刷装置10では、画像の印刷に先立って、好みの色彩となるように修正するか否か、あるいは修正の際に用いる色彩修正テーブルを設定するか否かなどについて、操作パネル300から指定可能となっている。
【0069】
図8は、画像の印刷に先立って、色彩修正テーブルを設定するか否かを、操作パネル300の画面上から指定している様子を例示した説明図である。図示されているように、操作パネル300の画面上からは、色彩の修正を行うか否か、および色彩修正テーブルを設定するか否かについて、対応するラジオボタンを選択することによって指定することが可能となっている。そして、色彩の修正は行うが、色彩修正テーブルは設定しない旨が選択されていた場合は、印刷装置10内に予め記憶されている既存の色彩修正テーブルを参照することによって、後述する色彩の修正処理を行う。ここで、既存の色彩修正テーブルとしては、先にユーザーが設定した色彩修正テーブルであっても良いし、あるいは印刷装置10に予め標準として組み込まれて供給された色彩修正テーブルであっても良い。
【0070】
一方、色彩修正テーブルを設定する旨が選択されていた場合には、色彩修正テーブルを設定すると判断されて(図7のステップS102:yes)、色彩修正テーブルを設定する処理を開始する(ステップS104)。色彩修正テーブル設定処理の詳細については後述する。一方、色彩修正テーブルを設定しないと判断した場合は(ステップS102:no)、色彩修正テーブル設定処理はスキップして、直ちに色彩修正処理を開始する(ステップS106)。尚、画像の印刷に先立って、色彩の修正も不要である旨が設定されていた場合には、色彩修正処理もスキップすればよい。
【0071】
図9は、色彩修正処理で参照される色彩修正テーブルを概念的に示した説明図である。互いに直交する3軸にR軸、G軸、B軸を取ってRGB色空間を設定し、RGB画像データをRGB色空間内の座標点として表すものとする。今、RGB画像データが1バイトデータであるとすれば、全てのRGB画像データは、一辺の長さが255の立方体内の座標点に対応付けることができる。また、逆に言えば、一辺の長さ255の立方体内のあらゆる座標点は、何れかのRGB画像データに対応付けることができる。すなわち、この立方体を格子状に細分して得られる各格子点はRGB画像データを表していると考えることができ、このようなRGB画像データが表す色彩に対して、その色彩を好ましい色彩に修正して得られたRGB画像データも想定することができる。色彩修正テーブルとは、このようにRGB色空間内に設けた格子点に、修正後のRGB画像データを設定した一種の数表と考えることができる。そして、このような色彩修正テーブルを参照すれば、RGB画像データを、より好ましい色彩が得られるようなRGB画像データに変換することが可能である。例えば、入力されたRGB画像データの座標点が格子点に一致している場合は、その格子点に設定されているRGB画像データを読み出すだけで、直ちに修正後のRGB画像データを得ることができる。また、入力されたRGB画像データの座標値が格子点に一致していない場合は、その周辺の格子点に設定されているRGB画像データから補間演算を行うことで、修正後のRGB画像データを求めることが可能である。
【0072】
図7に示した画像印刷処理中の色彩修正処理(ステップS106)では、色彩修正テーブルを設定する旨が指定されていた場合には(ステップS102:yes)、そのテーブルを参照することにより、また、色彩修正テーブルを設定しない旨が指定されていた場合には(ステップS102:no)、制御回路260内のRAMに記憶されている色彩修正テーブルを参照することにより、RGB画像データを変換する処理を行う。
【0073】
次いで、画像印刷処理では、RGB画像データの解像度を、プリンタ部200が印刷するための解像度(印刷解像度)に変換する処理を行う(ステップS108)。RGB画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、隣接する画素の間に補間演算を行って新たな画像データを設定することで、より高い解像度に変換する。逆に、RGB画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合は、隣接する画素の間から一定の割合で画像データを間引くことによって、より低い解像度に変換する。解像度変換処理では、読み込んだ画像データに対して適切な割合で画像データを生成あるいは間引くことによって、読み込んだ解像度を印刷解像度に変換する処理を行う。
【0074】
こうしてRGB画像データの解像度を印刷解像度に変換したら、色変換処理を行う(ステップS110)。ここで色変換処理とは、R,G,Bの各色で表現された画像データを、C,M,Y,K各色の階調値によって表現された画像データに変換する処理である。色変換処理は、色変換テーブル(LUT)と呼ばれる3次元の数表を参照することによって行う。
【0075】
図10は、色変換処理のために参照される色変換テーブル(LUT)を概念的に示した説明図である。図9を用いて前述した色彩修正テーブルでは、RGB色空間内の格子点にRGB画像データが設定されていた。これに対して、色変換テーブルでは、格子点のRGB画像データに対応するCMYK各色の階調データ(以下では、CMYK画像データと呼ぶものとする)が設定されている。このような色変換テーブルを参照すれば、RGB画像データをCMYK画像データに迅速に変換することができる。すなわち、RGB画像データを受け取ると、その画像データに対応する座標点が色変換テーブルの格子点に一致しているか否かを判断し、座標点が格子点に一致している場合は、その格子点に設定されているCMYK画像データを求めればよい。また、RGB画像データの座標点が格子点に一致していない場合は、その周辺の格子点に設定されているCMYK画像データから補間演算を行ってCMYK画像データを求めればよい。
【0076】
制御回路260は、以上のようにして色変換処理を終了すると、ハーフトーン処理を開始する(ステップS112)。ハーフトーン処理とは、次のような処理である。色変換処理によって得られたCMYK画像データは、C,M,Y,Kの各色について階調値0〜階調値255の範囲で表現された画像データである。これに対してプリンタ部200は、ドットを形成することによって画像を印刷するから、256階調によって表現されたCMYK画像データを、ドットの形成有無によって表現された画像データ(ドットデータ)に変換する処理が必要となる。ハーフトーン処理とは、このようにCMYK各色の画像データをドットデータに変換する処理である。
【0077】
ハーフトーン処理を行う手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法を適用することができる。誤差拡散法は、ある画素についてドットの形成有無を判断したことでその画素に発生する階調表現の誤差を、周辺の画素に拡散するとともに、周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、各画素についてのドット形成の有無を判断していく手法である。また、ディザ法は、ディザマトリックスにランダムに設定されている閾値とCMYK各色の画像データとを画素毎に比較して、画像データの方が大きい画素にはドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい画素についてはドットを形成しないと判断することで、各画素についてのドットデータを得る手法である。ハーフトーン手法としては、誤差拡散法またはディザ法の何れの手法を用いることも可能であるが、本実施例の印刷装置10では、ディザ法を用いてハーフトーン処理を行うものとする。
【0078】
図11は、ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。図示したマトリックスには、縦横それぞれ64画素、合計4096個の画素に、階調値0〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が0〜255の範囲から選択されているのは、本実施例では色変換後のCMYK画像データが1バイトデータであり、階調値が0〜255の値を取り得ることに対応するものである。尚、ディザマトリックスの大きさは、図11に例示したように縦横64画素分に限られるものではなく、縦と横の画素数が異なるものも含めて、種々の大きさに設定することが可能である。
【0079】
図12は、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。尚、かかる判断は、CMYKの各色について行われるが、以下では説明が煩雑となることを避けるために、CMYK各色の画像データを区別することなく、単に画像データと称するものとする。
【0080】
ドット形成有無の判断に際しては、先ず、判断の対象として着目している画素(着目画素)についての画像データの階調値と、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値とを比較する。図中に示した細い破線の矢印は、着目画素の画像データを、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値と比較していることを模式的に表したものである。そして、ディザマトリックスの閾値よりも着目画素の画像データの方が大きい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断する。逆に、ディザマトリックスの閾値の方が大きい場合には、その画素にはドットを形成しないものと判断する。図12に示した例では、画像の左上隅にある画素の画像データは「97」であり、ディザマトリックス上でこの画素に対応する位置に記憶されている閾値は「1」である。従って、左上隅の画素については、画像データの方がディザマトリックスの閾値よりも大きいから、この画素にはドットを形成すると判断する。図12中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。
【0081】
一方、この画素の右隣の画素については、画像データは「97」、ディザマトリックスの閾値は「177」であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないものと判断する。このように、画像データとディザマトリックスに設定された閾値とを比較することにより、ドットの形成有無を画素毎に決定することができる。ハーフトーン処理(図7のステップS112)では、C,M,Y,Kの各色の画像データに対して上述したディザ法を適用することにより、画素毎にドット形成の有無を判断してドットデータを生成する処理を行う。
【0082】
図7に示すように、画像印刷処理では、ハーフトーン処理を行ってCMYK各色についてのドットデータを生成したら、今度は、インターレース処理を開始する(ステップS114)。インターレース処理とは、印字ヘッド241がドットを形成する順序でドットデータを並び替えて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給する処理である。すなわち、図6に示したように、インク吐出ヘッド244ないし247に設けられたノズルNzは副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けて設けられているから、印刷キャリッジ240を主走査させながらインク滴を吐出すると、副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けてドットが形成されてしまう。そこで全画素にドットを形成するためには、印刷キャリッジ240と印刷媒体との相対位置を副走査方向に移動させて、ノズルピッチkだけ隔たったドット間の画素に新たなドットを形成することが必要となる。このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で上方にある画素から順番にドットを形成しているわけではない。更に、主走査方向に同じ列にある画素についても、一回の主走査でドットを形成するのではなく、画質上の要請から、複数回の主走査に分けてドットを形成することとして、各回の主走査では飛び飛びの位置の画素にドットを形成することも広く行われている。
【0083】
これらの理由から、実際にドットの形成を開始するに先立って、C,M,Y,Kの各色について得られたドットデータを、インク吐出ヘッド244ないし247がドットを形成する順番に並び替えておく処理が必要となる。このような処理が、インターレースと呼ばれる処理である。
【0084】
図7に示されているように、インターレース処理を終了すると、インターレース処理によって並べ替えられたドットデータに従って、実際に印刷媒体上にドットを形成する処理(ドット形成処理)を開始する(ステップS116)。すなわち、キャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させながら、順番を並び替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給する。その結果、インク吐出ヘッド244ないし247からは、ドットデータに従ってインク滴が吐出されて、各画素に適切にドットが形成される。
【0085】
そして、一回の主走査が終了したら、今度は、紙送りモータ235を駆動して印刷媒体を副走査方向に紙送りした後、再びキャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させつつ、順番を並べ替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給してドットを形成する。このような操作を繰り返し行うことにより、印刷媒体上には、C,M,Y,Kの各色のドットが画像データの階調値に応じて適切な分布で形成され、その結果としてカラー画像が印刷される。
【0086】
以上に説明した本実施例の画像印刷処理では、RGB画像データを受け取ると、色彩修正処理を行って色彩を修正してからカラー画像を印刷しているので、各人がより好ましいと感じる色彩でカラー画像を印刷することが可能である。もちろん、より好ましい色彩でカラー画像を印刷するためには、適切な色彩修正テーブルを設定する必要がある。本実施例の印刷装置10では、次のようにして色彩修正テーブルを設定することで、専門的な知識や経験を必要とすることなく、適切な色彩修正テーブルを設定することが可能となっている。
【0087】
D.第1実施例の色彩修正テーブル設定処理 :
図13は、第1実施例の色彩修正テーブル設定処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図7の画像印刷処理の中で制御回路260によって実行される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0088】
第1実施例の色彩修正テーブル設定処理では、先ず初めに、候補色の中から修正対象の色彩を1つ選択する(ステップS200)。ここで候補色とは、修正を加えようとする対象の色彩として予め設定されている複数の色彩である。第1実施例の色彩修正テーブル設定処理では、候補色として設定されている複数の色彩の中から、所望の色彩を選択し、選択した色彩について修正を加えることによって色彩修正テーブルを設定する。
【0089】
図14は、複数設定されている候補色の中から修正対象の色彩を選択する様子を示した説明図である。本実施例の色彩修正テーブル設定処理では、操作パネル300の画面上に表示された複数の候補色の中から選択することによって、修正対象色彩を選択する。図示した例では、「赤」、「緑」、「青」、「シアン」、「マゼンタ」、「イエロ」の6色の候補色が用意されており、それぞれの候補色には「修正」ボタンと、「確定」ボタンとが設けられている。これら「修正」ボタンまたは「確定」ボタンの何れかを選択することによって、修正対象色彩を選択する。例えば、画面に表示されている「赤」の色彩を修正したい場合は「修正」ボタンを選択し、逆に、修正不要であれば「確定」ボタンを選択する。今、ここでは「修正」ボタンが選択されたものとする。すると、操作パネル300の画面の表示は、修正対象色彩を選択するための画面から、選択した修正対象色彩についての修正目標色彩を選択するための画面に切り換わる。
【0090】
図15は、修正対象色彩について設定されている候補の色彩の中から、修正目標色彩を選択する様子を概念的に示した説明図である。画面の上部には、選択した修正対象色彩(ここでは「赤」)が表示されている。また、画面下部に破線で囲った矩形の内側には、修正の候補の色彩として、修正対象色彩に対して、彩度や色相、明度などが少しずつ異なる複数の色彩が予め設定されている。これら複数の色彩の中から所望の色彩を1つ選択し、「OK」ボタンを選択することによって、修正目標の色彩を設定することができる。図13のステップS202では、このようにして修正対象色彩に対する修正目標色彩を1つ選択する処理を行う。
【0091】
このように色彩修正テーブル設定処理では、何れの色彩に対して修正を加えるかは、ユーザーが指定することが可能となっている。また、修正対象色彩毎に、予め標準の修正目標色彩を設定しておくようにしてもよい。こうすれば、ユーザーは修正対象色彩のみを選択するだけで、その色彩に対する修正量については印刷装置10内に標準として予め設定されている修正量を用いて、色彩を修正することも可能である。更には、修正対象色彩は標準として設定しておき、修正量のみをユーザーが設定することも可能である。
【0092】
こうして選択した修正対象色彩および修正目標色彩に基づいて、修正量を取得する(ステップS204)。すなわち、第1実施例の色彩修正テーブル設定処理では、修正対象色彩も、修正目標色彩も、予め設定された色彩の中から選択されているから、それら色彩についてのRGB画像データを予め求めておくことができる。そして、修正対象色彩についてのRGB画像データと、修正目標色彩についてのRGB画像データとの差を算出すれば、成分毎に修正量を求めることができる。
【0093】
次いで、RGB色空間内に、修正対象色彩を包含するような修正領域を設定する(ステップS206)。図16は、修正対象色彩を包含するように設定された修正領域を概念的に示した説明図である。尚、修正領域はRGB色空間に設定される三次元の領域であるが、図示の都合上、図16では修正領域を二次元の領域として表している。また、修正領域の大きさは予め設定されているが、必要に応じて変更することも可能である。
【0094】
今、修正領域はRGB色空間に設定されているものとしているから、修正領域内には、色彩修正テーブルの格子点が複数含まれている。そこで、これら格子点について修正量を算出する(ステップS208)。修正量の算出は次のようにして行う。先ず、修正対象色彩の座標点では、先にステップS204で算出したRGB各成分の修正量を設定し、次いで、修正領域の境界では、各成分の修正量「0」を設定する。次いで、こうした条件の下で、修正領域内で修正量が滑らかに変化するように、各格子点での修正量を成分毎に補間演算して算出すればよい。
【0095】
次いで、こうして算出した修正量を用いて、色彩修正テーブルの各格子点のRGB画像データを修正する(ステップS210)。すなわち、RGB色空間に設けられた複数の格子点に、その格子点の座標値を設定した基準のテーブルを用意しておく。そして、基準のテーブルの各格子点に設定されているRGB画像データに、各成分について求めた修正量を反映させる。こうすることにより、ステップS200で選択した修正対象色彩(ここでは、「赤」)を好ましい色彩に修正可能な色彩修正テーブルを得ることができる。
【0096】
次いで、他の候補色についても修正するか否かを判断する(ステップS212)。図14に例示した修正対象色彩を選択するための画面で、「確定」ボタンが選択されていない候補色が残っていれば、それらの候補色については修正するものと判断し(ステップS212:no)、新たな修正対象色彩を選択して(ステップS200)、上述した続く一連の処理を行う。こうした処理を繰り返して、全ての候補色について「確定」ボタンが選択されたら、修正する候補色は存在しないと判断して(ステップS212:yes)、図13に示した第1実施例の色彩修正テーブル設定処理を終了する。
【0097】
以上に説明した第1実施例の色彩修正テーブル設定処理では、修正対象色彩についての修正が、その修正対象色彩を含んで設定される修正領域の範囲内でのみ反映される。このため、ある色彩について加えた修正が、他の色彩に思わぬ影響を与えることがないので、専門的な知識や経験を持たないユーザーでも、画像全体を破綻させることなく、好みの色彩に修正したカラー画像を印刷することが可能となる。
【0098】
尚、上述した第1実施例の色彩修正テーブル設定処理では、修正対象色彩のRGB画像データと、修正目標色彩のRGB画像データとの偏差から、直ちに修正量を算出するものとして説明した。こうすれば、各成分の修正量を迅速に求めることができるので、色彩修正テーブルを速やかに設定して、迅速に画像を印刷することが可能である。
【0099】
もっとも、これに限らず、修正対象色彩および修正目標色彩を、色相(H成分)、彩度(S成分)、明度(B成分)による表現形式のデータに変換して、これら各成分についての修正量を算出した後、得られた修正量から、RGB各成分の修正量を算出しても良い。このような方法を用いて修正量を算出すれば、例えば、彩度や明度を保ったままの状態で色相だけを修正したり、あるいは色相や明度を保ったまま彩度だけを修正するような場合でも、正確に修正することが可能となる。
【0100】
E.第2実施例の色彩修正テーブル設定処理 :
上述した第1実施例の色彩修正テーブル設定処理では、修正対象の色彩と、その色彩を修正しようとする目標の色彩(修正目標色彩)とを設定することによって、色彩の修正量を間接的に設定するものとした。しかし、修正対象の色彩に対する修正量をより直接的に設定することも可能である。以下では、このような第2実施例の色彩修正テーブル設定処理について説明する。
【0101】
図17は、第2実施例の色彩修正テーブル設定処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理も図13を用いて前述した第1実施例の色彩修正テーブル設定処理と同様に、図7の画像印刷処理の中で制御回路260によって実行される処理である。以下、フローチャートに従って説明する。
【0102】
第2実施例の色彩修正テーブル設定処理においても、先ず初めは第1実施例の色彩修正テーブル設定処理と同様に、候補色の中から修正対象の色彩を1つ選択する(ステップS300)。候補色としては、予め複数の色彩が設定されており、この中から、修正を加えようとする色彩を選択する。
【0103】
図18は、第2実施例の色彩修正テーブル設定処理において候補色を選択する様子を示した説明図である。図示されているように、第2実施例の印刷装置10においても、操作パネル300の画面上に複数の候補色が表示されており、それぞれの候補色には「修正」ボタンと「確定」ボタンとが設けられている。これら候補色の中で修正不要の色彩については「確定」ボタンを選択する。一方、修正しようとする色彩については「修正」ボタンを選択すると、その色彩が候補色として選択される。
【0104】
こうして複数の候補色の中から1つの色彩が修正対象色彩として選択されると、制御回路260の内部では、選択された修正対象色彩をHSB座標系の画像データに変換する処理が行われる(ステップS302)。すなわち、印刷装置10の内部では、カラー画像データは通常、R、G、Bの各色の輝度成分によるRGB画像データとして表現されているが、これをH成分(色相成分)、S成分(彩度成分)、B成分(明度成分)によって表現されたカラー画像データ(HSB画像データ)に変換するのである。RGB画像データからHSB画像データへの変換は、周知の変換式を用いて容易に実施することができる。
【0105】
次いで、HSB座標系に変換された修正対象色彩に対して、H成分、S成分、B成分の何れか、あるいは全てを修正することにより、好みの色彩を設定する(ステップS304)。図18に示したように、第2実施例の操作パネル300には、色相成分、彩度成分、明度成分を調整するためのスライドバーが設けられており、各スライドバーのツマミを左右に移動させることによって、色相成分、彩度成分、明度成分を、それぞれ独立して調整することが可能となっている。また、これらスライドバーのツマミを用いて調整した結果は、操作パネル300の上部に表示された修正対象色彩の表示に反映される。例えば、修正対象色彩として「赤」が選択されている場合は、スライドバーのツマミを移動させると、赤色の色相や、彩度、明度に反映されるようになっている。
【0106】
このようにして、修正対象色彩についての修正量を、操作パネル300上の表示を確認しながら、色相、彩度、明度の各成分について設定することにより、好みの色彩が得られたら、「確定」ボタンを選択して、修正量を確定する。すると、各スライドバーのツマミの位置から、修正対象色彩のHSB画像データの各成分が修正され、次いで、修正後のHSB画像データがRGB画像データに変換される(ステップS306)。RGB画像データからHSB画像データへの変換と同様に、HSB画像データからRGB画像データへの変換も、周知の変換式を用いて容易に実行することができる。
【0107】
以上のようにして、修正対象色彩のRGB画像データと、修正して得ようとする色彩(すなわち修正目標色彩)のRGB画像データとが得られたら、以降の処理は、前述した第1実施例の色彩修正テーブル設定処理と同様にして実行することができる。すなわち、図16に示したように、RGB色空間内に修正対象色彩を包含するような修正領域を設定する(ステップS308)。次いで、修正領域内の複数の格子点について、補間演算を行うことによって修正量を算出する(ステップS310)。すなわち、修正対象色彩の座標点では、修正目標色彩が得られるように、修正領域の境界では修正量が「0」となるように、各格子点での修正量を補間演算によって算出する。次いで、こうして算出した修正量を用いて、色彩修正テーブルの各格子点のRGB画像データを修正する(ステップS312)。その結果、ステップS200で選択した修正対象色彩については、好ましい色彩に修正することが可能な色彩修正テーブルを得ることができる。
【0108】
次いで、他の候補色についても修正するか否かを判断する(ステップS314)。図18に例示した修正対象色彩を選択するための画面で、「確定」ボタンが選択されていない候補色が残っていれば、それらの候補色については修正するものと判断し(ステップS314:no)、新たな修正対象色彩を選択して(ステップS300)、上述した続く一連の処理を行う。こうした処理を繰り返して、全ての候補色について「確定」ボタンが選択されたら、修正すべき候補色は全て修正したものと判断して(ステップS314:yes)、図17に示した第2実施例の色彩修正テーブル設定処理を終了する。
【0109】
以上に説明した第2実施例の色彩修正テーブル設定処理では、修正目標の色彩を、予め設定されている複数の候補の中から選択するのではなく、画像の印刷に先立って印刷者が好みの色彩を調製することができる。このため、印刷者が最も好みの色彩を修正目標色彩として設定することができるので、カラー画像を、より好ましい印象で印刷することが可能となる。
【0110】
また、印刷者が修正目標の色彩を調製するに際しては、色相成分、彩度成分、明度成分を別々に変更することが可能となっている。すなわち、色相を調製しようとして、彩度や明度も変わってしまったり、彩度を調製しようとして色相や明度も変わってしまうことがない。このため、専門的な知識や経験の乏しい印刷者であっても、好みの色彩を容易に調製することができ、延いては、より好ましい印象のカラー画像を印刷することが可能となる。
【0111】
F.変形例 :
上述した各種実施例の色彩修正テーブル設定処理には、幾つかの変形例が存在する。以下、これら変形例について簡単に説明する。
【0112】
(1)第1の変形例 :
上述した実施例の色彩修正テーブル設定では、修正を加えようとする色彩(修正対象色彩)は、予め設定されている複数の色彩の中から選択するものとして説明した。しかし、修正対象色彩は、印刷しようとするカラー画像に応じて異なる場合も起こり得る。従って、印刷しようとするカラー画像の中から修正対象色彩を選択することとしても良い。
【0113】
図19は、第1の変形例の色彩修正テーブル設定処理において、印刷しようとするカラー画像の中から修正対象色彩を設定している様子を示した説明図である。図示されているように、第1の変形例では、印刷しようとしているカラー画像を操作パネル300の画面上に表示して、あるいは印刷装置10とは別体に設けられたコンピュータ30の画面上に表示して、色彩を修正したいと思う画像の部分を画面上で指定する。もちろん、正確な色彩については実際にカラー画像を印刷して確認し、画面上では修正を加えたい箇所のみを指定することとしても良い。図中に破線の矩形で示した領域は、こうして指定された画像中の領域を表している。
【0114】
例えば、空の青さをもう少し鮮やかな色で印刷したいと思った場合は、図中の領域Aに示されているように、空の一部の領域を指定する。すると、指定された領域内で、色相、彩度、明度の平均値が算出されて、得られた色彩が修正対象色彩として設定される。また、例えば、ヨットの帆の部分の赤色をもう少し落ち着いた色で印刷したいと思った場合は、図中の領域Bに示されているように、該当する部分を指定してやれば、この部分の色相、彩度、明度の平均値が算出されて、修正対象色彩として設定される。このようにして設定された修正対象色彩に対して、前述した方法を用いて修正を加えることにより、より好ましい印象でカラー画像を印刷することが可能となる。
【0115】
こうした第1の変形例によれば、印刷しようとするカラー画像に基づいて、修正したいと思う色彩を直接、指定するので、適切な色彩を指定することが可能であり、より好ましい印象のカラー画像を印刷することが可能となる。
【0116】
(2)第2の変形例 :
上述した各種実施例では、修正対象色彩を指定するとその周辺の領域が、修正の及ぶ修正領域として設定されるものとして説明した。すなわち、修正領域を設定するに際しては、修正対象色彩は考慮されるものの、修正目標色彩については考慮されないものとして説明した。しかし、修正対象色彩に加える修正量が、修正領域に対して比較的大きくなる場合(あるいは、修正領域の大きさが修正量に対して比較的小さい場合)は、修正対象色彩と修正目標色彩とを包含するように、修正領域を設定するようにしても良い。
【0117】
図20は、第2の変形例の色彩修正テーブル設定処理において、修正対象色彩と修正目標色彩とを包含するように設定された修正領域を概念的に示した説明図である。このように、修正対象色彩と修正目標色彩とを包含するように修正領域を設定しておけば、色彩に対する修正量が大きい場合でも、あるいはごく狭い色の範囲の色彩を修正する場合(修正領域が小さい場合)でも、色彩が急に変化する部分が発生して、不自然な印象を与えるおそれが無い。その結果、好みの色彩に自然に修正された好印象のカラー画像を印刷することが可能となる。
【0118】
以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】画像処理装置が組み込まれた本実施例の印刷装置の概要を示した説明図である。
【図2】本実施例の印刷装置の外観形状を示す斜視図である。
【図3】原稿画像を読み込むために印刷装置の上部に設けられた原稿台カバーを開いた様子を示す説明図である。
【図4】スキャナ部の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。
【図5】本実施例の印刷装置の内部構成を概念的に示した説明図である。
【図6】各色のインク吐出ヘッドにインク滴を吐出する複数のノズルが形成されている様子を示した説明図である。
【図7】本実施例の印刷装置で画像を印刷するために行われている画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】画像の印刷に先立って、色彩修正テーブルを設定するか否かを操作パネル上の画面から指定している様子を例示した説明図である。
【図9】色彩修正処理で参照される色彩修正テーブルを概念的に示した説明図である。
【図10】色変換処理のために参照される色変換テーブルを概念的に示した説明図である。
【図11】ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。
【図12】ディザマトリックスを参照しながら画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。
【図13】第1実施例の色彩修正テーブル設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】複数設定されている候補色の中から修正対象の色彩を選択する様子を示した説明図である。
【図15】修正対象色彩について設定されている候補の色彩の中から修正目標色彩を選択する様子を概念的に示した説明図である。
【図16】修正対象色彩を包含するように設定された修正領域を概念的に示した説明図である。
【図17】第2実施例の色彩修正テーブル設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】第2実施例の色彩修正テーブル設定処理において候補色を選択する様子を示した説明図である。
【図19】第1の変形例の色彩修正テーブル設定処理において印刷しようとするカラー画像の中から修正対象色彩を設定している様子を示した説明図である。
【図20】第2の変形例の色彩修正テーブル設定処理において修正対象色彩と修正目標色彩とを包含するように設定された修正領域を概念的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0120】
10…印刷装置、 12…インク吐出ヘッド、 100…スキャナ部、
200…プリンタ部、 240…印刷キャリッジ、 241…印字ヘッド、
242…インクカートリッジ、 243…インクカートリッジ、
260…制御回路、 300…操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加える画像処理装置であって、
少なくとも前記カラー画像データを修正する時点では、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持している修正内容保持手段と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する修正領域生成手段と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する修正特性生成手段と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する画像データ修正手段と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記修正を加えようとする修正対象色彩を、前記修正内容保持手段に対して設定する修正対象色彩設定手段を備える画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記修正対象色彩の候補となる色彩たる修正対象候補色彩を複数記憶している修正対象候補色彩記憶手段を備え、
前記修正対象色彩設定手段は、前記記憶されている修正対象候補色彩の中から選択することによって、前記修正対象色彩を設定する手段である画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記受け取ったカラー画像データを用いてカラー画像を出力するカラー画像出力手段と、
前記出力されたカラー画像の中の一部領域を指定する領域指定手段と、
前記指定された領域を代表する色彩たる指定領域色彩を、前記カラー画像データに基づいて取得する指定領域色彩取得手段と
を備え、
前記修正対象色彩設定手段は、前記指定領域色彩を、前記修正対象色彩として設定する手段である画像処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4の何れかに記載の画像処理装置であって、
前記修正対象色彩に対して修正を加えて得ようとする修正目標色彩の候補となる色彩たる修正目標候補色彩を、複数記憶している修正目標候補色彩記憶手段を備え、
前記修正対象色彩設定手段は、前記修正対象色彩に対する前記修正目標色彩を、前記複数の修正目標候補色彩の中から選択することによって、該修正対象色彩を設定する手段である画像処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記修正対象色彩に加える修正量を、前記修正内容保持手段に対して設定する修正量設定手段を備える画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記修正量設定手段は、前記修正対象色彩に加える修正量の色相成分または彩度成分の少なくとも何れかを設定する手段である画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4、請求項6、請求項7の何れかに記載の画像処理装置であって、
前記修正対象色彩についての修正量を、色相成分、彩度成分、明度成分についての修正量に変換する修正量変換手段を備え、
前記修正特性生成手段は、前記色相成分、彩度成分、明度成分についての前記修正特性を生成する手段である画像処理装置。
【請求項9】
前記色空間内に設定された修正領域を変更可能な修正領域変更手段を備える請求項1ないし請求項4、請求項6、請求項7の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加えた後、カラー画像を印刷する印刷装置であって、
少なくとも前記カラー画像データを修正する時点では、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持している修正内容保持手段と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する修正領域生成手段と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する修正特性生成手段と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する画像データ修正手段と、
前記修正されたカラー画像データに基づいてカラー画像を形成する画像形成手段と
を備える印刷装置。
【請求項11】
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加える画像処理方法であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく第1の工程と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する第2の工程と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する第3の工程と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する第4の工程と
を備える画像処理方法。
【請求項12】
カラー画像の色彩を所望の色彩に修正するために参照され、修正前のカラー画像データと修正後のカラー画像データとを対応付けた色彩修正テーブルの設定方法であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく工程(A)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する工程(B)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する工程(C)と、
前記生成された修正特性に従って前記カラー画像データを修正する工程(D)と、
前記修正後のカラー画像データを、該修正前のカラー画像データに対応付けて記憶する工程(E)と
を備える色彩修正テーブルの設定方法。
【請求項13】
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加えた後、カラー画像を印刷する印刷方法であって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく工程(ア)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する工程(イ)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する工程(ウ)と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する工程(エ)と、
前記修正されたカラー画像データに基づいてカラー画像を形成する工程(オ)と
を備える印刷方法。
【請求項14】
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加える方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく第1の機能と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する第2の機能と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する第3の機能と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する第4の機能と
をコンピュータにより実現するためのプログラム。
【請求項15】
カラー画像の色彩を所望の色彩に修正するために参照され、修正前のカラー画像データと修正後のカラー画像データとを対応付けた色彩修正テーブルを設定する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく機能(A)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する機能(B)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する機能(C)と、
前記生成された修正特性に従って前記カラー画像データを修正する機能(D)と、
前記修正後のカラー画像データを、該修正前のカラー画像データに対応付けて記憶する機能(E)と
をコンピュータにより実現するためのプログラム。
【請求項16】
カラー画像データを受け取って、該カラー画像データの色彩に所定の修正を加えた後、カラー画像を印刷する方法を、コンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
少なくとも前記カラー画像データの修正を開始するまでには、前記修正を加える色彩たる修正対象色彩と、該修正対象色彩についての修正量とを保持しておく機能(ア)と、
所定の色空間内で前記修正対象色彩に対応する座標点を含んだ修正領域を生成する機能(イ)と、
前記修正領域の内部で色彩を修正するとともに、前記修正対象色彩の座標点から該修正領域の外縁に近付くにつれて修正量が小さくなるような修正特性を、前記修正内容に基づいて生成する機能(ウ)と、
前記生成された修正特性に従って、前記カラー画像データを修正する機能(エ)と、
前記修正されたカラー画像データに基づいてカラー画像を形成する機能(オ)と
をコンピュータにより実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−5469(P2008−5469A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113829(P2007−113829)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】