説明

画像処理装置、画像処理方法、ならびに、プログラム

【課題】複数の画像同士の相違をユーザに見分けやすくさせる。
【解決手段】画像記憶部201は同じ大きさの第1画像データ251と第2画像データ252を記憶する。領域記憶部204はユーザによって指示された第1画像データ251内の表示領域の位置と透過領域の位置・形状を記憶する。合成部205は第1画像データ251内と第2画像データ252内にそれぞれ表示領域と透過領域とを設定する。合成部205は(1)第1画像データ251のうち表示領域に含まれ且つ透過領域に含まれない部分と(2)第2画像データ252のうち表示領域に含まれ且つ透過領域に含まれる部分とを抽出して合成し表示画像を生成する。表示部206は生成された表示画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像同士の相違をユーザに見分けやすくさせるために好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの絵を比較して楽しむゲームが広く知られている。例えば、プレイヤーは部分的に異なる2つの絵が印刷された紙を見て、それらの絵を見比べて違うところを探す。特許文献1には、2つの絵を画面に表示して間違い探しをさせるゲーム装置が開示されている。これによれば、このゲーム装置は問題画像と比較画像の2つをディスプレイに同時に表示するので、プレイヤーは並べて表示されたこれらの画像の全体を見比べて間違いを探すことになる。また、クイズ番組等で用いられているような他の従来の手法には、問題画像と比較画像を交互に何秒かずつ表示して間違いを探させるものもある。
【特許文献1】特開2005−211287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述したような従来の手法では、プレイヤーは2つの画像の全体を眺めて比較しなければならず効率的ではない。例えば、自分が画像全体のうちのどの部分を見比べるべきか、どの部分をいま見比べようとしているのか、問題画像中のある部分が比較画像中のどの部分に対応するのか、などを覚えて絶えず気にしながら比較しなければならならず、プレイヤーの負担が大きかった。また、2つの画像を見比べて相違を見る作業は間違い探しゲームに限らない。例えば、異なる時間に同じ場所を同じ角度で撮影した2つの写真を見比べて変化を探したり、ある元絵を参考にして似通った画像を作成したりする場合には、2つの画像を並べて表示しただけでは、どこが同じでどこが違うのかを認識して作業することは容易ではなかった。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するものであり、複数の画像同士の相違をユーザに見分けやすくさせるために好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0006】
本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、画像記憶部、透過領域入力受付部、合成部、表示部を備える。
画像記憶部は、第1画像データと、当該第1画像データと異なる画像データであって大きさが同じ第2画像データとを記憶する。
透過領域入力受付部は、当該第1画像データに含まれる所定の大きさの表示領域に含まれる透過領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける。
合成部は、当該表示領域の位置と指定された透過領域の位置とに基づいて、当該第2画像データ内の表示領域と透過領域を求める。さらに、当該第1画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれない領域の画像データと、当該第2画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれる領域の画像データと、を抽出して合成し、表示画像を生成する。
表示部は、生成された表示画像を表示する。
この結果、画像処理装置は、ユーザが選択した画像データ中の任意の場所に他の画像データを合成して表示させる。例えば、この画像処理装置は、互いに似た異なる複数の画像のうちユーザが着目したい場所の画像を入れ替えたり、ユーザが着目したい場所において拡大縮小率・色合い・解像度等を変えてこれらの画像を合成したりする。これらの画像に相違点があると、表示される画像中の着目している場所の画像部分が合成前後で変化する。ユーザは画像全体のうち着目したい場所を自由に変えられる。これにより、ユーザは、複数の画像同士の任意の場所における相違点を見つけることが容易になる。ユーザは、あたかも複数の画像の好きな部分だけを重ねて透かして見るかのように画像同士を見比べることができる。ユーザは、注目したい部分の絵だけを入れ替えて画像処理装置に表示させることができるので、違いを見つけやすくなる。
【0007】
画像処理装置は、当該第1画像データに含まれる所定の大きさの表示領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける表示領域入力受付部を更に備えてもよい。
これにより、画像処理装置は、画像データ全体のうちユーザによって指定された部分を表示させる。ユーザは、画像データ全体のうち画像処理装置に表示させたい部分を自由に変えることができる。
【0008】
画像処理装置は、当該第1画像データ内の当該表示領域の位置と当該透過領域の位置と、当該第2画像データ内の当該表示領域の位置と当該透過領域の位置と、のそれぞれを記憶する領域記憶部を更に備え、
合成部は、前記領域記憶部に記憶された各位置に基づいて、前記第2画像データから抽出された画像データを、当該第1画像データの当該透過領域の位置に合成してもよい。
これにより、画像処理装置は、比較対象の画像部分の位置の対応関係を崩さないように画像を合成して表示させることができる。
【0009】
透過領域入力受付部は、当該透過領域の形状を指定する入力をさらに受け付け、
合成部は、前記指定された形状であって前記指定された位置に対応する部分を当該第2画像データから抽出してもよい。
この結果、画像処理装置は、ユーザにより画像データ中の任意の位置と形状で指定される部分に他の画像データを合成して表示させる。これにより、ユーザは、複数の画像同士の、指定した位置と形状で表される部分の相違点を見つけることが容易になる。ユーザは着目したい場所と形を自由に変えて画像同士を比較できる。
【0010】
画像記憶部は、第3画像データをさらに記憶し、
画像処理装置は、当該第3画像データに画像フィルタをかけて画像を調整し、前記調整されたデータを当該第2画像データとして前記画像記憶部に記憶させる調整部をさらに備えてもよい。
この結果、画像処理装置により表示される画像には、ユーザが着目している場所とそうでない場所との間に不連続な部分が生じるので、ユーザは見比べている画像同士の境界がどこかを見失うことなく、容易に相違点を見つけることができる。
【0011】
調整部は、所定の拡縮率で拡大又は縮小するフィルタを用いて当該第3画像データの大きさを調整してもよい。
この結果、画像処理装置は、元の画像と、これを自由に拡大又は縮小した画像とを合成して表示させる。これにより、ユーザは、複数の画像同士で見比べたい部分を拡大又は縮小して表示させることによって、相違点を見つけることが更に容易になる。例えば、画像を拡大して表示させれば細部の違いを見分けやすくなり、画像を縮小して表示させれば広い範囲を同時に見渡して違いを見分けやすくなる。
【0012】
当該第3画像データを縮小する場合、調整部は、縮小されてできる画像データの周縁部分を展延して当該第2画像データと同じ大きさに調整してもよい。
これにより、画像処理装置は、縮小してできる画像の大きさが元の画像と同じ大きさになるように、周縁部分の画像を生成して大きさを調整するので、画像同士で対応させるべき画像部分がなくなってしまうことはない。
【0013】
当該第3画像データを拡大する場合、調整部は、拡大されてできる画像データの周縁部分を除去して当該第2画像データと同じ大きさに調整してもよい。
これにより、画像処理装置は、拡大してできる画像の大きさが元の画像と同じ大きさになるように、周縁部分の画像をカットして大きさを調整するので、比較に必要のない画像部分を記憶する必要はなく、メモリを節約できる。
【0014】
調整部は、当該透過領域の面積に対して予め対応付けられた拡縮率で当該第3画像データを拡大又は縮小させてもよい。
これにより、画像処理装置は、比較すべき画像部分の広さに応じて拡大又は縮小の程度を調節することができる。例えば、ユーザにとって画像を比較しやすい大きさに調節できるようになる。
【0015】
例えば、調整部は、所定の拡縮率で拡大又は縮小するフィルタと、画像に所定の色変換をするフィルタと、画像から所定の色を抽出するフィルタと、画像のエッジを調整するフィルタと、画像の解像度を変更するフィルタと、のうち少なくともいずれか1つを用いて当該第3画像データを調整してもよい。画像処理装置は、これらの任意の組み合わせによるフィルタを用いて画像を調整して合成することができる。
【0016】
画像処理装置は、移動入力受付部と更新部をさらに備えてもよい。
移動入力受付部は、当該第1画像データ内の当該表示領域の位置を移動させる方向と量を指定する入力をユーザから受け付ける。
更新部は、移動入力受付部が当該指示入力を受け付けた場合、領域記憶部に記憶された当該表示領域と当該透過領域の位置を、当該方向に、当該量に基づいて計算した量だけ移動させて更新する。
これにより、画像処理装置は、比較する画像のそれぞれを異なる移動量でスクロールさせることができる。ユーザは、比較対象の画像同士の見分けがしやすくなる。例えば、ユーザが選択した比較対象の画像部分を小さく移動させ、そうでない部分を大きく移動させることにより、遠近感をもたせながら複数の画像を表示させることができる。
【0017】
画像処理装置は、選択入力受付部と移動部をさらに備えてもよい。
選択入力受付部は、当該第2画像データ内に配置されるアイテム画像データを選択し、選択されたアイテム画像データの位置を移動させる指示入力をユーザから受け付ける。
移動部は、選択されたアイテム画像データが表示されるアイテム領域の全体が当該透過領域に含まれる場合、選択入力受付部が受け付けた指示入力が示す位置に当該アイテム画像データを移動させる。
これにより、画像処理装置は、ユーザが選択した比較対象の画像部分の中に、例えばゲーム中に登場するアイテムなど、オブジェクト画像の全体が含まれていれば、ユーザの指示に従ってそのオブジェクトの位置を自由に変えることができる。ユーザは、画像の所望の部分を比較しながらオブジェクト画像の位置を自由に動かして画像を作ることができる。
【0018】
本発明のその他の観点に係る画像処理方法は、画像記憶部、透過領域入力受付部、合成部、表示部を有する画像処理装置にて実行される画像処理方法であって、表示領域入力受付ステップ、透過領域入力受付ステップ、合成ステップ、表示ステップを備える。
画像記憶部には、第1画像データと、当該第1画像データと異なる画像データであって大きさが同じ第2画像データとが記憶される。
透過領域入力受付ステップは、透過領域入力受付部が、当該第1画像データに含まれる所定の大きさの表示領域に含まれる透過領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける。
合成ステップは、合成部が、当該表示領域の位置と指定された透過領域の位置とに基づいて、当該第2画像データ内の表示領域と透過領域を求め、当該第1画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれない領域の画像データと、当該第2画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれる領域の画像データと、を抽出して合成し、表示画像を生成する。
表示ステップは、表示部が、生成された表示画像を表示する。
この結果、この画像処理方法を用いた画像処理装置は、ユーザが選択した画像データ中の任意の場所に他の画像データを合成して表示させる。これにより、ユーザは、複数の画像同士の任意の場所における相違点を見つけることが容易になる。ユーザは、あたかも複数の画像の好きな部分だけを重ねて透かして見るかのように画像同士を見比べることができる。ユーザは、注目したい部分の絵だけを入れ替えて画像処理装置に表示させることができるので、違いを見つけやすくなる。
【0019】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを、画像記憶部、透過領域入力受付部、合成部、表示部として機能させる。
画像記憶部は、第1画像データと、当該第1画像データと異なる画像データであって大きさが同じ第2画像データとを記憶する。
透過領域入力受付部は、当該第1画像データに含まれる所定の大きさの表示領域に含まれる透過領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける。
合成部は、当該表示領域の位置と指定された透過領域の位置とに基づいて、当該第2画像データ内の表示領域と透過領域を求め、当該第1画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれない領域の画像データと、当該第2画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれる領域の画像データと、を抽出して合成し、表示画像を生成する。
表示部は、生成された表示画像を表示する。
この結果、プログラムは、コンピュータを、ユーザが選択した画像データ中の任意の場所に他の画像データを合成して表示させる装置として機能させる。これにより、ユーザは、複数の画像同士の任意の場所における相違点を見つけることが容易になる。ユーザは、あたかも複数の画像の好きな部分だけを重ねて透かして見るかのように画像同士を見比べることができる。ユーザは、注目したい部分の絵だけを入れ替えてコンピュータに表示させることができるので、違いを見つけやすくなる。
【0020】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の画像同士の相違をユーザに見分けやすくさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置が実現される典型的な携帯型ゲーム機(ゲーム装置)の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0023】
携帯型ゲーム機1は、処理制御部10と、コネクタ11と、カートリッジ12と、無線通信部13と、通信コントローラ14と、サウンドアンプ15と、スピーカ16と、操作キー17と、第1の表示部18と、第2の表示部19と、タッチパネル20と、を備える。
【0024】
処理制御部10は、CPU(Central Processing Unit)コア10aと、画像処理部10bと、VRAM(Video Random Access Memory)10cと、WRAM(Work RAM)10dと、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ10eと、タッチパネルコントローラ10fと、を備える。
【0025】
CPUコア10aは、携帯型ゲーム機1全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。具体的には、カートリッジ12がコネクタ11に装着された状態で、カートリッジ12内のROM(Read Only Memory)12aに記憶されたプログラムやデータを読み出して、所定の処理を実行する。
【0026】
画像処理部10bは、カートリッジ12内のROM 12aから読み出されたデータや、CPUコア10aにて処理されたデータを加工処理した後、これをVRAM 10cに格納する。
【0027】
VRAM 10cは、表示用の情報を記憶するメモリであり、画像処理部10b等により加工された画像情報を記憶する。
WRAM 10dは、CPUコア10aがプログラムに従った各種処理を実行する際に必要となるワークデータ等を記憶する。
【0028】
LCDコントローラ10eは、第1の表示部18および、第2の表示部19を制御し、所定の表示用画像を表示させる。たとえば、LCDコントローラ10eは、VRAM 10cに記憶された画像情報を、所定の同期タイミングで表示信号に変換し、第1の表示部18に出力する。また、LCDコントローラ10eは、第2の表示部19に所定の指示アイコン等を表示する。
【0029】
タッチパネルコントローラ10fは、タッチペンやユーザの指によるタッチパネル20への接触(タッチ)を検出する。たとえば、第2の表示部19に所定の指示アイコン等が表示されている状態で、タッチパネル20上の接触およびその位置等を検出する。
【0030】
コネクタ11は、カートリッジ12と脱着自在に接続可能な端子であり、カートリッジ12が接続された際に、カートリッジ12との間で所定のデータを送受信する。
【0031】
カートリッジ12は、ROM 12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、を備える。
ROM 12aには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ等が記録される。
RAM 12bには、ゲームの進行状況等を示す種々のデータが記憶される。
【0032】
無線通信部13は、他の携帯型ゲーム装置1の無線通信部13との間で、無線通信を行うユニットであり、図示せぬアンテナ(内蔵アンテナ等)を介して所定のデータを送受信する。
なお、無線通信部13は、所定のアクセスポイントとの間で、無線LAN通信を行うこともできる。また、無線通信部13には、固有のMAC(Media Access Control)アドレスが採番されている。
【0033】
通信コントローラ14は、無線通信部13を制御し、所定のプロトコルに沿って、処理制御部10と他の携帯型ゲーム装置1の処理制御部10との間で行われる通信の仲立ちをする。
【0034】
サウンドアンプ15は、処理制御部10にて生成された音声信号を増幅し、スピーカ16に供給する。
スピーカ16は、例えば、ステレオスピーカ等からなり、サウンドアンプ15にて増幅された音声信号に従って、所定の楽曲音や効果音等を出力する。
【0035】
操作キー17は、ゲーム装置1に適宜配置された複数のキースイッチ等からなり、ユーザの操作に従って、所定の指示入力を受け付ける。
【0036】
第1の表示部18および、第2の表示部19は、LCD等からなり、LCDコントローラ10eに制御され、ゲーム画像等を適宜表示する。
なお、第2の表示部19は、タッチパネル20の接触によりユーザから操作指示を入力させるための指示アイコン等を表示する。
【0037】
タッチパネル20は、第2の表示部19の前面に重畳して配置され、タッチペンやユーザの指の接触による入力を受け付ける。
タッチパネル20は、たとえば、感圧式のタッチセンサパネル等からなり、ユーザの指等の圧力を検出し、接触状態および、接触状態から非接触状態への移行等を検出する。なお、タッチパネル20は、他に静電容量の変化等から、ユーザの指等の接触を検出してもよい。
【0038】
次に、本実施形態の画像処理装置200の各部が協働して行う処理について説明する。図2は、画像処理装置200の機能的な構成を示す図である。画像処理装置200は、画像記憶部201、表示領域入力受付部202、透過領域入力受付部203、領域記憶部204、合成部205、表示部206を備える。
【0039】
画像記憶部201は、複数の画像データを記憶する。本実施形態では、画像記憶部201は、少なくとも2つのデジタル画像データ(第1画像データ251と第2画像データ252)を記憶する。これらの画像データはカートリッジ12内のROM12aに予め記憶される。処理制御部10は適宜カートリッジ12からこれらの画像データを読み出してVRAM 10c等に記憶させる。処理制御部10とコネクタ11とカートリッジ12が協働して動作することにより、画像記憶部201として機能する。
【0040】
例えば、画像記憶部201は、図3(a)と(b)に示すような第1画像データ251と第2画像データ252を記憶する。第1画像データ251と第2画像データ252は同じ大きさ、すなわち、縦の長さLvが共に同じであり、横の長さLhも共に同じである。本実施形態では、第1画像データ251と第2画像データ252に見た目に異なる箇所(相違点)がある。この例では、第1画像データ251のテーブルの上にリンゴとコップが無いという相違点がある。相違点は部分的なものでも全体的なものでもよい。
【0041】
表示領域入力受付部202は、第1画像データ251に含まれる所定の大きさの表示領域261の位置を指定する入力をユーザから受け付け、表示領域261の位置を示す表示領域情報265を領域記憶部204に記憶させる。ユーザは、例えば操作キー17を押下して、あるいはタッチペンを使ってタッチパネル20を押下して、表示領域261の位置を指定することができる。処理制御部10と制御キー17とタッチパネル20が協働して動作することにより、表示領域入力受付部202として機能する。
【0042】
例えば、表示領域261は、図4(a)に示すような矩形であり、第1画像データ251のうち表示領域261に含まれる部分が第2の表示部19のLCDに表示される。典型的には、表示領域261の縦の長さと横の長さは固定値であり、第1画像データ251内における表示領域261の位置は可変である。ユーザは操作キー17やタッチパネル20を使って表示領域261の位置を変えて第1画像データ251を表示させることができる。例えば、第1画像データ251に所定の座標系(X−Y座標系等)を定め、表示領域261の位置は、矩形の各頂点の座標を指定することによって決められる。本実施形態では表示領域261を矩形としたが、任意の形状としてもよい。
【0043】
なお、第1画像データ251のすべてが表示領域261に含まれるようにしてもよい。すなわち、第1画像データ251の全領域を表示領域261にして、第1画像データ251の全部がLCDに表示されるように構成してもよい。この場合、画像処理装置200は表示領域入力受付部202の構成を省略することができる。
【0044】
透過領域入力受付部203は、表示領域261に含まれる透過領域271の位置と形状を指定する入力をユーザから受け付け、透過領域271の位置と形状を示す透過領域情報275を領域記憶部204に記憶させる。ユーザは、例えば操作キー17を押下して、あるいはタッチペンを使ってタッチパネル20を押下して、透過領域271の位置と形状を指定することができる。処理制御部10と制御キー17とタッチパネル20が協働して動作することにより、透過領域入力受付部203として機能する。
【0045】
例えば、透過領域271は、図4(a)に示すような曲線で囲まれた図形である。ユーザはタッチパネル20上にタッチペンを使って描くようにして透過領域271を指定できる。処理制御部10は、タッチパネル20に予め設定した座標系と表示領域261に予め設定した座標系との対応関係に基づいて、ユーザによってタッチパネル20に指定された点(あるいは線、図形)に対応する表示領域261内での点(あるいは線、図形)の座標値を計算して、透過領域271の位置を得る。ユーザはタッチパネル20上に任意の図形を描くことができ、描かれた点あるいは線によって閉じられた領域(囲まれた領域)が透過領域271となり得る。典型的には、ユーザによって一筆書きで描かれた線によって囲まれる領域が透過領域271となる。
【0046】
なお、透過領域271を所定の形状とし、透過領域入力受付部203は透過領域271の位置のみを指定する入力をユーザから受け付けるようにしてもよい。この場合、透過領域情報275にはユーザによって指定された透過領域271の位置を示す情報が記憶される。所定の形状は、典型的には円形、楕円形、正方形、長方形などであり、これらを組み合わせて使用してもよい。例えば、透過領域271の境界線となる所定の形状のフレーム(枠)オブジェクトを用意し、ユーザがこのフレームオブジェクトをタッチペン等を使って左右上下に動かす(ドラッグする)ように構成してもよい。
【0047】
領域記憶部204は、表示領域入力受付部202が受け付けた表示領域261の位置を示す表示領域情報265と、透過領域入力受付部203が受け付けた透過領域271の位置と形状を示す透過領域情報275とを記憶する。処理制御部10とカートリッジ12が協働して動作することにより、領域記憶部204として機能する。
【0048】
合成部205は、表示領域情報265が示す第1画像データ251内の表示領域261の位置と、透過領域情報275が示す第1画像データ251内の透過領域271の位置とに基づいて、第2画像データ252内の表示領域262と透過領域272をそれぞれ求める。
【0049】
具体的には、図4(b)に示すように、処理制御部10は第2画像データ252に第1画像データ251と同じ座標系を定義し、第1画像データ251内の表示領域261の位置と同じ位置に、第2画像データ252内の表示領域262を設定する。同様に、処理制御部10は第1画像データ251内の透過領域271の位置と同じ位置に、第2画像データ252内の透過領域272を設定する。透過領域271と透過領域272の形状は同じとする。
【0050】
さらに、合成部205は、
(1)第1画像データ251のうち、表示領域261に含まれ、且つ、透過領域271に含まれない領域の画像データ、
(2)第2画像データ252のうち、表示領域262に含まれ、且つ、透過領域272に含まれる領域の画像データ、
をそれぞれ抽出して合成し、表示画像を生成する。
【0051】
より詳細には、合成部205は、第1画像データ251内のある領域が表示領域261に含まれるか否か、及び、第2画像データ252内のある領域が透過領域272に含まれるか否かを、領域記憶部204に記憶された表示領域情報265と透過領域情報275とに基づいて判断し、第2画像データ252から抽出された画像データを、第1画像データ251の透過領域271の位置に合成する。
【0052】
これを概念的に示したものが図5(a)である。第1画像データ251の上述の(1)の領域の画像データが、本図の表示領域261内の網掛けに塗った部分である。第2画像データ252の上述の(2)の領域の画像データが、本図の表示領域262内の網掛けに塗った部分である。処理制御部10は、透過領域271に含まれる画像の代わりに、透過領域272に含まれる画像をはめ込むように合成する。分かりやすく言えば、図中の矢印Y1の方向に眺めたとき、透過領域271の部分にだけ第2画像データがあたかも“透けて見える”かのような画像を処理制御部10は生成する。
【0053】
図5(b)は、図4(a)と図4(b)で表される画像データをもとに、処理制御部10によって生成される表示画像280の一例である。表示画像280には、透過領域271の部分にリンゴが出現している。しかし、コップは透過領域271の中にないので表示画像280には含まれない。
【0054】
このように処理制御部10は、VRAM 10cに記憶された第1画像データ251と第2画像データ252を用いて表示画像280を合成する。処理制御部10が合成部205として機能する。
【0055】
表示部206は、合成部205によって生成された表示画像280を第2の表示部19(第1の表示部18でもよい)のLCDに表示する。これにより、ユーザは第1画像データ251と第2画像データ252から合成された画像を見ることができる。処理制御部10と第2の表示部19(又は第1の表示部18)が協働して動作することにより、表示部206として機能する。
【0056】
なお、図5(b)の表示画像280には透過領域271の境界部分が実線で示されているが、本例のように境界線を表示するようにしてもよいし、表示しないようにしてもよい。
【0057】
次に、本実施形態の画像処理装置200の各部が協働して行う画像生成処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
まず、合成部205は、第1画像データ251内の表示領域261と透過領域271、第2画像データ252内の表示領域262と透過領域272をそれぞれ設定する(ステップS601)。
【0059】
すなわち、図7(a)に示すように、合成部205は、表示領域入力受付部202がユーザから受け付けた表示領域261の位置を指定する入力に基づいて、第1画像データ251内の表示領域261の位置を設定し、この設定した位置と第2画像データ252内の同じ位置に表示領域262を設定する。
また、図7(b)に示すように、合成部205は、透過領域入力受付部203がユーザから受け付けた透過領域271の位置と形状を指定する入力に基づいて、第1画像データ251内の透過領域271の位置を設定し、この決定した位置と第2画像データ252内の同じ位置に表示領域272を設定する。
【0060】
次に、合成部205は、第1画像データ251のうち、表示領域261に含まれ、且つ、透過領域271に含まれない領域の画像データを抽出する。すなわち、合成部205は、第1画像データの表示領域261の中から、透過領域271以外の部分の画像データを抽出する(ステップS602)。
【0061】
また、合成部205は、第2画像データ252のうち、表示領域262に含まれ、且つ、透過領域272に含まれる領域の画像データを抽出する。すなわち、合成部205は、第2画像データの表示領域262の中から、透過領域272の部分の画像データを抽出する(ステップS603)。
【0062】
そして、合成部205は、ステップS602とステップS603で抽出した2つの画像データを合成して、表示画像280を生成する(ステップS604)。すなわち、図7(c)に示すように、合成部205は、第1画像データ251内の透過領域271のあるところに、第2画像データ252内の透過領域272に含まれる画像を配置して合成する。
【0063】
生成された表示画像280は、表示部206によりLCDに表示される。例えば、ユーザが、図7(a)のように表示された第1画像データ251の画面を見ながら、透過領域271を指定する図形をタッチパネル20上に自ら描くと、合成部205が上述の画像生成処理を実行して表示画像280を生成して、表示部206が表示画像280をLCDに表示する。ユーザは、表示領域261の位置を自由に変えることができ、また、透過領域271の位置と形状を自由に変えることができるため、画像処理装置200は、ユーザが所望する合成画像を生成して表示することができる。
【0064】
本例において、透過領域271を指定する前(すなわち合成前)の画像では、図7(a)のようにテーブルの上に花瓶だけが置いてある。一方、ユーザが透過領域271を指定すると、透過領域271の位置と形状によっては、指定された後(すなわち合成後)の画像には、図7(c)のようにテーブルの上にリンゴ(あるいはコップ)が出現することとなる。ユーザは、透過領域271の位置と形状を変えることによって、表示された画像のうち比較したい部分を自由に変えて比較できる。このように、2つの画像同士の相違がはっきりと認識できるようになる。比較したい画像がより複雑になればなるほど、この効果がより大きく発揮されることは想像に難くないであろう。
【0065】
本発明は、様々な場面で用いることができる。例えば、2つの絵の相違を探し当てる“間違い探し”のようなゲームに適用できる。2つの絵を並べて画面に表示して相違点を探させることは従来からよく行われているが、この方法では2つの絵を同時に表示するために広い画像領域を確保することが必要となる。しかし、本実施形態によれば、2つの絵を重ねるように表示するので、画像領域を余計に確保する必要はなく、画面レイアウトの構成を単純化できる。また、まるでハイライト表示するかのようにユーザが注目したい部分の絵だけを入れ替えるので、相違点をより見つけやすくなる。
【0066】
例えば、2つの画像のうち片方をある場所の現在の風景に、もう片方を同じ場所の過去の風景にし、現在と過去との違いを見るための手法に適用できる。画像には、絵のほか、街や景色を撮影した写真、航空写真などをデジタルデータ化したものを用いることもできる。
【0067】
例えば、現在起きた事件の謎を解き明かすような推理ゲームに用いることができる。第1画像データ251を現在の状況を示す現場写真の画像とする。プレイヤーが現場写真の任意の場所(透過領域271)を指定すると、画像処理装置200はその部分だけまるで“時空に穴を掘った”かのように演出しながら現場付近の過去の画像(第2画像データ252)と部分的に合成して表示する。プレイヤーは、単純に2枚の絵を見比べて相違を探すのではなく、どこに注目したいか、どこに注目すべきか、を考えながら相違を探さねばならず、推理力が試される。このように、プレイヤーに対してより考えさせるゲーム、頭を使わせるゲームを創出することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、2つの画像データを合成するものとしたが、2つに限らず3つ以上でもよいことは言うまでもない。すなわちこの場合、画像記憶部201は、第1画像データ251、第2画像データ252に加えてさらに第3画像データ、第4画像データ、第N画像データ(Nは2以上の整数)等を記憶する。透過領域入力受付部203は、2箇所以上の透過領域271を指定する入力を受け付ける。そして、合成部205は、これらN個の画像データを合成し表示画像280を生成すればよい。
【0069】
このように、本実施形態によれば、画像処理装置200は、複数の画像同士の相違をユーザに適度に分かりやすくさせることができ、また、この相違を明瞭に表現することができる。
【0070】
(実施形態2)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態は、例えば第1画像データ251と第2画像データ252の拡縮率を変えることによって、ユーザがこれらの画像の差異をさらに見つけやすくなり、画像処理装置200が画像の違いを明瞭に表現できるようにしたものである。
【0071】
画像記憶部201は、互いに拡縮率の異なる複数の画像データを記憶する。例えば、図8(a)が第1画像データ251で、図8(b)が第2画像データ252である。第2画像データ251全体の縦の長さLvと横の長さLhは第1画像データ251と同じであるが、第2画像データ252に映っている光景は第1画像データ251よりN倍に縮小されている。第2画像データ252に映る光景は第1画像データ251よりも広角に眺めたものとなり、図8(b)の第2画像データ252には図8(a)の第1画像データ251には写り切れていなかった周囲の光景も入っている。(この例ではコンセントや壁の穴なども映っている。)
【0072】
図9は、合成部205が、図8(a)に示す第1画像データ251と図8(b)に示す第2画像データ252を用いて合成した表示画像280の例である。このように、第1画像データ251と第2画像データ252は拡縮率が異なるので、表示画像280は遠近感のある画像となる。つまり、ユーザには第2画像データ252が第1画像データ251より遠くにあるように見える。このように、拡縮率を変えた画像データを用いることで画像の区別を付けやすくなる。
【0073】
なお、ここでは0<N<1(すなわち縮小)とした場合について説明したが、N>1(すなわち拡大)としてもよい。N=1とすれば上述の実施形態1と同様の構成となる。
【0074】
本実施形態によれば、ユーザが注目している領域(透過領域271)とそうでない領域との境界で、拡縮率の違いによって画像が不連続になるところが現れるため、2つの画像の区別が容易になる。すなわち、画像処理装置200はどこが第1画像データ251でどこが第2画像データ252なのかをはっきりさせて表示できるので、ユーザは2つの画像を見失うことなく容易に両画像の相違を見ることができる。
【0075】
(実施形態3)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。上記実施形態では、画像記憶部201には予め縮小又は拡大された画像データを予め記憶されることとしたが、本実施形態では、第1画像データ251と第2画像データ252の拡縮率が異なるように画像処理装置200がその都度画像データを調整する。以下詳述する。
【0076】
図10は、本実施形態の画像処理装置200の機能的な構成を示す図である。画像処理装置200は、調整部207を更に備える。なお、上述の実施形態で示した構成と重複する部分については説明を省略する。
【0077】
画像記憶部201は、実施形態1と同様に第1画像データ251と第2画像データ252とを記憶し、さらに第3画像データ253を記憶する。
【0078】
本実施形態では、第1画像データ251は、予めROM 12aに記憶されたデータを処理制御部10がVRAM 10cに読み出して記憶したものである。
第2画像データ252は、処理制御部10が後述する処理によって第3画像データ253に基づいて生成したデータであり、VRAM10 cに記憶される。これは上述の実施形態2において予め拡縮された第2画像データ252に相当するが、本実施形態では処理制御部10によって生成される。
第3画像データ253は、予めROM 12aに記憶されたデータを処理制御部10がVRAM 10cに読み出して記憶したものであり、上述の実施形態1において拡縮されていない第2画像データ252に相当する。言い換えれば、第3画像データ253は、第2画像データ252を生成するための元絵になる。
【0079】
調整部207は、第3画像データ253を所定の画像処理用フィルタを用いて画像処理し、生成したデータを第2画像データ252として画像記憶部201に記憶させる。例えば、調整部207は、第3画像データ253に所定の拡縮率で縮小又は拡大し大きさを調整するフィルタを施し、画像処理後のデータを第2画像データ252として画像記憶部201に記憶させる。処理制御部10が調整部207として機能する。
【0080】
ここで調整部207が行う画像処理についてより詳しく説明する。図11(a)は、元絵となる第3画像データ253であり、縦の長さはLv、横の長さはLhである。斜線で塗った部分が第3画像データ253全体の画像である。以下の説明では、調整部207は拡縮率をN倍(Nは予め決められた正の値)として拡大又は縮小して画像を調整するものとする。
【0081】
(A)縮小する場合:
図11(b)に示すように、調整部207は、第3画像データ253を縦にN倍、横にN倍、それぞれ縮小する。
【0082】
調整部207は、縮小して得た画像データの全体のサイズを、第2画像データ252と同じサイズに拡張する。本図の点線で示す矩形領域が拡張後の画像データであり、縦の長さはLv、横の長さはLhである。
【0083】
この拡張に際し、調整部207は、拡張された部分に例えば所定の色(白、黒など)や所定の模様パターンを割り当てて補填する(塗りつぶす)。
【0084】
そして、調整部207は、得られた画像データを第2画像データ252として画像記憶部201に記憶させる。このようにして得られた第2画像データ252の例を図12(a)に示す。本図の斜線部分が拡張(補填)された部分である。
【0085】
ここで、拡張に際して拡張部分にどのような画像を割り当てるかについては様々な手法が考えられるが、一例として、図13に示すように画像の周縁部分を展延する方法がある。調整部207は、第3画像データ253を縮小して得た画像データ1301の中心が、第2画像データ252の中心1302と一致するように、画像データ1301を配置する。
【0086】
次に、調整部207は、画像データ1301の上端ライン1303に割り当てられている画素値を取得し、矢印YA方向に第2画像データ252のサイズに達するまで、取得した画素値を繰り返し割り当てる。言い換えれば、金属板を叩いて延ばすかのように、画像データ1301の上部を拡張する。同様に、下端ラインを矢印YB方向に、左端ラインを矢印YC方向に、右端ラインを矢印YD方向に、それぞれ展延する。
【0087】
また、矢印YE方向には上端ラインの画素値と左端ラインの画素値の平均値を計算して割り当てて展延する。同様に、矢印YF方向には上端ラインと右端ラインの平均値を、矢印YG方向には下端ラインと右端ラインの平均値を、矢印YH方向には下端ラインと左端ラインの平均値を、それぞれ計算して割り当てて展延する。なお、これら斜め方向に展延する際の各画素値は必ずしも平均値でなくてもよく、上端・下端・左端・右端の各ラインの画素値に基づいて計算された値であればよい。
【0088】
このようにすれば、任意の画像データを縮小し、かつ、同じ大きさになるように調節できる。なお、展延するために用いる画像データ部分は、上端・下端・右端・左端の各1ラインずつとしてもよいし、複数ラインをまとめて1パターンとしこのパターンを繰り返すことによって展延するようにしてもよい。また、複数ラインの画素値の平均などの所定の演算を行って得た値を用いてもよい。
【0089】
(B)拡大する場合:
図11(c)に示すように、調整部207は、第3画像データ253を縦にN倍、横にN倍、それぞれ拡大する。
【0090】
調整部207は、拡大して得た画像データの全体のサイズを、第2画像データ252と同じサイズになるように除去する(カットする)。本図の点線で示す矩形領域がカット後の画像データ領域であり、縦の長さはLv、横の長さはLhである。
【0091】
そして、得られた画像データを第2画像データ252として画像記憶部201に記憶させる。このようにして得られた第2画像データ252の例を図12(b)に示す。本図の斜線部分がカットされた部分である。
【0092】
なお、合成部205は、上記(A)のように縮小するか、あるいは上記(B)のように拡大して生成した第2画像データ252を、画像記憶部201に記憶し、この生成した第2画像データ252を用いて、上述と同じ画像生成処理を行う。
【0093】
このように、本実施形態によれば、画像処理装置200は、任意に縮小又は拡大した画像を生成して表示用の画像を合成することができる。すなわち、予め縮小又は拡大した画像を用意しておく必要はない。そして、複数の画像同士の拡縮率が異なるように縮小又は拡大して、画像同士の相違をより明瞭に表現することができる。
【0094】
(実施形態4)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。上述の実施形態では拡縮率は予め決められた値であるが、本実施形態では、ユーザによって指定される透過領域271の大きさによって可変としている。以下詳述する。
【0095】
調整部207は、領域記憶部204に記憶された透過領域情報275に基づいて透過領域271の大きさを判別するためのパラメータを計算する。典型的にはこのパラメータは透過領域271の面積である。そして、このパラメータの大きさに予め対応付けられた拡縮率を用いて第3画像データ253を縮小又は拡大する。
【0096】
図14(a)は、パラメータとして透過領域271の面積を採用した場合の、面積値と拡縮率との関係の一例を示す図である。この例では、拡縮率は、面積値S≦S1では一定(Nmax)、S1<S<S2で単調減少、S2で極小(Nmin)、S2<S<S3で単調増加、S3≦Sで一定(Nmax)となる。第3画像データ253を縮小して第2画像データ252を生成する場合に用いるとよい。
【0097】
つまり、透過領域271が小さいときに拡縮率が小さくなり過ぎると、透過領域271内の画像(すなわち第2画像データ252の一部分)が小さすぎて見えにくくなってしまう恐れがあるため、ある面積値S1以下では拡縮率を変化させないようにしている。一方、透過領域271は表示領域261と同じ大きさまで大きくすることが可能であるが、透過領域271が表示領域261と同程度になったときに拡縮率が小さいと、展延させて生成する画像領域が相対的に広くなり本来の画像(第3画像データ253に映る光景)が少なくなってしまう恐れがあるため、ある面積値S3以上では拡縮率を変化させないようにしている。なお、広義には、S<S2で単調減少、S2で極小、S2<Sで単調増加、と言うこともできる。ここでは透過率の変化を直線的に表現しているが、任意の関数を用いて単調増加あるいは単調減少させてもよい。
【0098】
図14(b)は、面積値と拡縮率との関係の他の例を示す図である。この例では、拡縮率は、面積値S≦S4では一定(Nmin)、S4<S<S5で単調増加、S5で極大(Nmax)、S5<S<S6で単調減少、S6≦Sで一定(Nmin)となる。第3画像データ253を拡大して第2画像データ252を生成する場合に用いるとよい。
【0099】
つまり、透過領域271が小さいときに拡縮率が大きくなり過ぎると、透過領域271内の画像(すなわち第2画像データ252の一部分)が大きすぎて分かりづらかったり全体のうちどこを拡大したのか掴みづらかったりするため、ある面積値S4以下では拡縮率を変化させないようにしている。一方、透過領域271の大きさが表示領域261と同程度になったときに拡縮率が大きいと、第3画像データ253の一部分だけを拡大した画像が画面のほとんどを占めてしまうことになり画像全体同士を見比べることができなくなってしまう恐れがあるため、ある面積値S6以上では拡縮率を変化させないようにしている。なお、広義には、S<S5で単調増加、S5で極大、S5<Sで単調減少、と言うこともできる。ここでは透過率の変化を直線的に表現しているが、任意の関数を用いて単調増加あるいは単調減少させてもよい。
【0100】
このように、本実施形態によれば、上述の実施形態と組み合わせて用いることにより、ユーザにとっての画像の見えやすさを考慮しつつ、相違をより明瞭に表現することができる。ユーザが指定した透過領域271内の画像は適度に縮小又は拡大して表示されるので、画像が小さすぎたり大きすぎたりして分かりづらくなることはない。本実施形態に示した面積値と拡縮率との関係は例示に過ぎず、他の数式・方法により関連付けられていてもよい。また、数式ではなく、面積値と拡縮率とを対応付けたデータテーブルによって関連付けてもよい。この場合、スプライン補間法などにより各サンプル間を補間することが望ましい。
【0101】
(実施形態5)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。上述の各実施形態では表示画像280を静止して表示させているが、本実施形態では、ユーザが表示領域261を上下左右に移動させる(スクロールさせる)と、それに伴って透過領域271とそれ以外の領域の表示の仕方を変えることで画像の相違をより明確に表現させている。本実施形態は、上述の実施形態のいずれとも組み合わせて用いることが可能であるが、理解を容易にするため、以下の説明では画像データを縮小・拡大させない実施形態(つまり実施形態1相当との組み合わせ)とする。
【0102】
図15は、本実施形態の画像処理装置200の機能的な構成を示す図である。画像処理装置200は、移動入力受付部208と更新部209を更に備える。なお、上述の実施形態で示した構成と重複する部分については説明を省略する。
【0103】
移動入力受付部208は、第1画像データ251内の表示領域261の位置を移動させる方向と量を指定する指示入力をユーザから受け付ける。ユーザは、例えば操作キー17を押下して、あるいはタッチペンを使ってタッチパネル20を押下して、表示領域261に映る画像をスクロールさせることができる。処理制御部10と制御キー17とタッチパネル20が協働して動作することにより、移動入力受付部208として機能する。
【0104】
更新部209は、領域記憶部204に記憶された表示領域261,262と透過領域271,272の位置を、移動入力受付部208が受け付けた指示入力が示す方向と量だけ移動させて、表示領域情報265と透過領域情報275を更新する。処理制御部10が更新部209として機能する。
【0105】
図16(a)は、移動前の第1画像データ251内の表示領域261と透過領域271の位置関係を示す図である。図16(b)は、移動前の第2画像データ252内の表示領域262と透過領域272の位置関係を示す図である。移動前は、第1画像データ251に対する表示領域261の相対位置と、第2画像データ252に対する表示領域262の相対位置は同じである。同様に、第1画像データ251に対する透過領域271の相対位置と、第2画像データ252に対する透過領域272の相対位置は同じである。第1画像データ251に対する透過領域271の中心(形状が円形であれば円の中心)1601の相対位置と、第2画像データ252に対する透過領域272の中心(形状が円形であれば円の中心)1602の相対位置も同じである。
【0106】
例えば、移動入力受付部208が、表示領域261の位置を本図の右方向に距離L1だけ移動させる指示入力を受け付けたとする。このとき、更新部209は、図16(c)に示すように、第1画像データ251内の表示領域261を右方向に距離L1だけ移動させ、同じく透過領域271を右方向に距離L1だけ移動させる。一方、更新部209は、図16(d)に示すように、第2画像データ252内の表示領域262を右方向に距離L1だけ移動させ、透過領域272を右方向に距離L2だけ移動させる。本例ではL2<L1である。
【0107】
距離L1とL2との関係は、例えば次の[数1]で示される。
L2 = L1 × C ・・・[数1]
ただし、Cは正の定数である。L1とL2は比例関係にある。
【0108】
更新部209が表示領域261,262と透過領域271,272の位置を更新した後、合成部205は上述の実施形態と同じ画像生成処理を行う。表示部206は合成部205によって生成された表示画像280を表示する。
【0109】
すなわち、表示画像280は、表示領域261内の画像が右方向に距離L1だけスクロールするのに対して、透過領域271内の画像が右方向にL1より短い距離L2だけスクロールし、わざと“ずれ”を生じさせた画像となる。これによって、表示画像280は遠近感、立体感のある画像となる。
【0110】
ここではL2<L1としたが、これは第2画像データ252に第1画像データ251より縮小した画像を用いる場合に適している。例えば、拡縮率をNとすると、次の[数2]で示される数式に従ってL2を計算することが望ましい。
【0111】
L2 = L1 × N ・・・[数2]
【0112】
もし、[数2]を用い、且つ、上述の実施形態のように調整部207が透過領域271の面積に応じて拡縮率Nを変化させることとすれば、位置のずれの量だけでなく、大きさのずれの量も変化することになり、より遠近感、立体感のある画像となる。
【0113】
なお、逆にL1<L2としてもよいが、これは第2画像データ252に第1画像データ251より拡大した画像を用いる場合に適している。L2=L1とすれば、上述の実施形態1と同じ構成となる。
【0114】
また、右方向にスクロールさせる場合を例にとって説明したが、上下左右あるいは斜め方向にスクロールさせる場合も同様である。
【0115】
(実施形態6)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。上述の実施形態では調整部207が画像データを拡大又は縮小する画像処理を行っているが、本実施形態では他の画像処理を行って画像データを調整する点で異なっている。例えば、調整部207は、第3画像データ253にカラーフィルタを施して色補正して第2画像データ252を生成する。以下詳述する。
【0116】
調整部207は、画像記憶部201に記憶された第3画像データ253を読み出し、第3画像データ253の全領域又は一部領域に所定の画像フィルタを施して第2画像データ252を生成する。合成部205はこの画像フィルタで画像処理された第2画像データ252を用いて表示画像280を生成する。画像フィルタには様々な種類がある。例えば、色変換フィルタ、色分解フィルタ、エッジフィルタ、解像度フィルタなどがある。上述した拡縮処理も、画像を拡縮するための一種のフィルタ(拡縮フィルタ)を用いた画像処理である。
【0117】
色変換フィルタは、第3画像データ253の特定の色成分を変換して色の調子(トーン)を変える。例えば、調整部207が第3画像データ253をセピア色や白黒にして第2画像データ252を生成し、合成部205がこの第2画像データ252と第1画像データ251を合成すると、表示画像280のうち透過領域271の中はあたかも“昔撮った写真”のように見え、第1画像データ251と第2画像データ252との区別がはっきりする。調整部207は、どの色をどの色に変換するかを規定する対応関係を示す情報を予め記憶し、これに基づいて第3画像データ253に色変換を施す。対応関係は自由に変更できる。
【0118】
色分解フィルタは、第3画像データ253から、R(赤)・G(緑)・B(青)のいずれかの色成分(特定波長領域)のみを抽出する。あるいは、特定の明度・彩度・色相のいずれかの成分のみを抽出する。例えば、調整部207が第3画像データ253にRフィルタをかけ、合成部205がこの第2画像データ252と第1画像データ251を合成すると、表示画像280のうち透過領域271の中は赤色の成分のみを抽出した画像になる。例えば、第3画像データ253に明度を上げる(又は下げる)フィルタをかけると、表示画像280のうち透過領域271の中が明るく(又は暗く)なった画像になる。
【0119】
エッジフィルタは、第3画像データ253の画像の輪郭(エッジ)部分を強調してシャープさを向上させたり、逆に輪郭部分をぼかしてシャープさを低下させたりする。調整部207が第3画像データ253の画像中のある輪郭部分(例えばキャラクタの輪郭部分など)のシャープさを上げ、合成部205がこの第2画像データ252と第1画像データ251を合成すると、表示画像280のうち透過領域271の中はエッジが強調されてくっきりと引き締まった画像になる。また、逆にシャープさを下げると、表示画像280のうち透過領域271の中はエッジがぼんやりしてにじんだような画像になる。なお、エッジ強調処理は一般に知られているアンシャープマスキング法などの手法を用いて行うことができる。
【0120】
解像度フィルタは、第3画像データ253の解像度を上げてより微細な部分まで見えるようにしたり、解像度を下げたりする。調整部207が第3画像データ253に解像度を上げるフィルタをかけ、合成部205がこの第2画像データ252と第1画像データ251を合成すると、表示画像280のうち透過領域271の中は細部まではっきりと見えやすくなった画像になる。解像度を下げるフィルタをかけると、透過領域271の中だけモザイクがかって見える画像になる。
【0121】
例えば、所定段階数の解像度レベル(例えば高中低の3段階)を予め設けておく。通常時(透過領域271が指定されていないとき)には、合成部205は、最大ではない既定の解像度(例えば高中低の3段階のうち中レベル)の第1画像データ251を表示画像280とする。そして、指定時(透過領域271が指定されているとき)には、合成部205は、既定の解像度の第1画像データ251と、既定の解像度より高い解像度(例えば高中低のうち高レベル)の第2画像データ252とを用いて表示画像280を生成する。
【0122】
解像度を下げるフィルタを用いる場合、指定時には、合成部205は、既定の解像度の第1画像データ251と、既定の解像度より低い解像度(例えば高中低のうち低レベル)の第2画像データ252とを用いて表示画像280を生成する。解像度の大きさは3段階に限らず、任意のM段階(Mは2以上の整数)としてよく、解像度の選択方法も自由である。なお、解像度を下げる処理は一般に広く知られているモザイク処理を用いて行うことができる。
【0123】
これらの画像フィルタを用いた画像処理は第3画像データ253だけでなく第1画像データ251や第2画像データ252について行われてもよい。すなわち、調整部207は、第1画像データ251と第2画像データ252と第3画像データ253のうち少なくともどれか1つに、色変換フィルタ、色分解フィルタ、エッジフィルタ、解像度フィルタ、拡縮フィルタを施して画像処理し、画像処理された第1画像データ251及び/又は第2画像データ252及び/又は第3画像データ253を用いて表示画像280を生成してもよい。
【0124】
例えば、ユーザにより透過領域271が指定されると、調整部207は、第1画像データ251の表示領域261のうち透過領域271以外の部分の明度を下げて(暗くして)、第2画像データ252の表示領域262のうち透過領域272の明度を上げて(明るくして)、これらの画像データを合成して表示画像280を生成してもよい。これによって、表示画像280は、ユーザが注目している部分(透過領域271)にスポットライトが当たって明るくなったような画像となり、第1画像データ251と第2画像データ252の区別が容易になる。
【0125】
なお、調整部207は、これらの画像フィルタのうち少なくともいずれか1つを用いて画像データを調整すればよい。上記の画像フィルタを任意に2つ以上組み合わせて画像を調整してもよい。また、ここに例示したフィルタ以外の他の画像処理用のフィルタを用いて画像を調節してもよい。
【0126】
本実施形態によれば、画像処理装置により表示される画像には、ユーザが着目している場所とそうでない場所との間に不連続な部分が生じ、これらの場所の違いが画像フィルタにより明瞭になるので、ユーザは見比べている画像同士の境界がどこかを見失うことなく、容易に相違点を見つけることができるようになる。
【0127】
(実施形態7)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態は、上述の画像生成処理によって合成した表示画像280をユーザが自由に編集できるようにしたものである。本実施形態は、上述の実施形態のいずれとも組み合わせて用いることが可能であるが、理解を容易にするため、以下の説明では画像データを縮小・拡大させない実施形態(つまり実施形態1相当との組み合わせ)とする。
【0128】
図17は、本実施形態の画像処理装置200の機能的な構成を示す図である。画像処理装置200は、選択入力受付部210と移動部211を更に備える。なお、上述の実施形態で示した構成と重複する部分については説明を省略する。
【0129】
選択入力受付部210は、表示画像280内のアイテム画像データを選択し、その選択されたアイテム画像データの位置を移動させる指示入力をユーザから受け付ける。ユーザは、例えば操作キー17を押下して、あるいはタッチペンを使ってタッチパネル20を押下して、表示画像280内に配置された任意のアイテム画像データを選択し、移動させることができる。例えばアイテム画像データとは、第1画像データ251と第2画像データ252がそれぞれ図3(a)(b)で示されるとするならば、花、花瓶、テーブル、リンゴ、コップなどのオブジェクトの画像データである。移動させる対象となるオブジェクト(移動可能なオブジェクト)は任意である。処理制御部10と操作キー17とタッチパネル20が協働して動作することにより、移動入力受付部210として機能する。
【0130】
領域記憶部204は、移動可能なオブジェクトに対応するアイテム画像データの位置と、そのアイテム画像データの占める画像領域(アイテム領域)とを対応付ける情報(以下、「アイテム領域情報」と呼ぶ)285を更に記憶する。第1画像データ251と第2画像データ252の中に複数のアイテム画像データが配置される場合にはそれぞれについて位置と領域を格納するアイテム領域情報285が記憶される。
【0131】
移動部211は、ユーザによって選択されたアイテム画像データが表示されるアイテム領域の全体が透過領域271に含まれるか否かを判別し、全体が含まれると判別した場合、選択入力受付部210が受け付けた指示入力が示す位置にアイテム画像データを移動させる。すなわち、移動部211は、判別結果とユーザからの指示入力に従ってアイテム画像データの位置を更新したアイテム領域情報285を領域記憶部204に記憶させる。処理制御部10が移動部211として機能する。
【0132】
アイテム画像データを移動させて表示画像280を編集する処理について、図18(a)〜(d)に示す表示例と図19のフローチャートを用いて説明する。
【0133】
図18(a)は、移動前(編集前)の表示画像280である。ユーザは任意の場所に透過領域271を設定できる。また、表示領域261の位置を変えることもできる。透過領域入力受付部203はユーザの指示入力に従って透過領域情報275を更新し、表示領域入力受付部202はユーザの指示入力に従って表示領域情報265を更新する。
【0134】
図18(b)は、ユーザによって透過領域271が設定され、上述の画像生成処理によって合成された後の表示画像280である。この場合、透過領域271の中には、移動可能なオブジェクトとして、リンゴのオブジェクト1801と、花瓶のオブジェクト1802とが含まれている。リンゴのオブジェクト1801は透過領域271の中に全部が収まっているが、花瓶のオブジェクト1802はその一部分のみが含まれており全部は収まっていない。合成部205は、表示領域情報265と透過領域情報275とに基づいて、第1画像データ251と第2画像データ252から表示画像280を生成し、表示部206は生成された表示画像280を表示する。
【0135】
ユーザは、所定のポインタ画像1803(マウスポインタのようなもの)を動かしてアイテム画像データの位置を変更できる。図18(c)は、ユーザによってアイテム画像データの1つであるリンゴのオブジェクト1801の位置を移動させている様子を示す図である。
【0136】
まず、移動部211は、選択されたオブジェクトに対応するアイテム領域の全体が透過領域271の中に含まれているか否か判別する(ステップS1901)。
【0137】
全体が含まれていないと判別された場合(ステップS1901;NO)、移動部211はそのオブジェクトの移動を許可しない。例えば、図18(b)の花瓶のオブジェクト1802は透過領域271の中に全部が収まっていないため、もしユーザによって花瓶のオブジェクト1802が選択されても移動させない。
【0138】
全体が含まれていると判別された場合(ステップS1901;YES)、移動部211はそのオブジェクトの移動を許可しオブジェクトの位置を変更する(ステップS1902)。すなわち、移動部211は、選択入力受付部210が受け付けた指示入力が示す位置にアイテム画像データを移動させ、アイテム領域情報285を更新する。例えば、図18(b)のリンゴのオブジェクト1801は透過領域271の中に全部が収まっているため、もしユーザによってリンゴのオブジェクト1801を移動させる指示がなされると、指示に従って位置を変更する。
【0139】
そして、合成部205は、表示領域情報265と透過領域情報275とアイテム領域情報285とに基づいて、第1画像データ251と第2画像データ252から表示画像280を生成する(ステップS1903)。
【0140】
図18(d)は、合成部205によって生成された(編集後の)表示画像280の例である。図18(a)に示す編集前の表示画像280にはリンゴのオブジェクト1801が表示されないが、透過領域271の中に表示されたアイテム画像データ(リンゴのオブジェクト1801)を選択し移動させる(ドラッグする)ことで、編集後の表示画像280にはリンゴのオブジェクト1801が表示されることになる。
【0141】
分かりやすく言い換えれば、画像を2枚重ね、上側の画像に穴を空け、出てきた下側の画像の一部を取り出して上側にもってきて、空けた穴を閉じる、という一連の作業を行ったことになる。
【0142】
例えば、上側(第1画像データ251)をユーザが編集したい画像とし、下側(第2画像データ252)をサンプル画像とすれば、ユーザは、2つの画像のうち注目したい部分(透過領域271)だけを見比べながら、サンプル画像の任意の領域(アイテム領域)を切り出して貼り付けて、自由に画像を編集できる。つまり、下側に画像の素材集を置き、上側にキャンバスを置いて画像を作成することができ、余計な作業スペースを確保する必要はない。
【0143】
なお、アイテム領域の全体が透過領域271の中に含まれている場合にアイテム画像データの位置を変更できるようにしたが、全体が含まれているかいないかに関わらず、透過領域271の中に一部でも含まれていれば移動可能としてもよい。
【0144】
このように、本実施形態によれば、画像処理装置200は画像同士の相違を明瞭に表現することができ、ユーザは画像の相違が分かりやすくなる。しかもユーザは画像を容易に編集できるようになる。例えば、本実施形態は、サンプル画像を参考にユーザが新しい画像を作成するためのツールとして利用することができる。また、本発明を用いれば、画像編集ソフトウェアの画面レイアウトを簡略化でき、画面内により広い編集エリアを確保でき、ユーザの操作性が向上する。
【0145】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施例の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
【0146】
画像処理装置200を装置の全部又は一部として動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0147】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0148】
以上説明したように、本発明によれば、複数の画像同士の相違をユーザに見分けやすくさせるために好適な画像処理装置、画像処理方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明のゲーム装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す図である。
【図2】画像処理装置の機能的構成を説明するための図である。
【図3】(a)第1画像データの例である。(b)第2画像データの例である。
【図4】(a)第1画像データ内に設定された表示領域と透過領域を示す図である。(b)第2画像データ内に設定された表示領域と透過領域を示す図である。
【図5】(a)第1画像データと第2画像データを合成する処理を説明するための概念図である。(b)合成された表示画像の例である。
【図6】画像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】(a)合成前の第1画像データ内の表示領域と透過領域を示す図である。(b)合成前の第2画像データ内の表示領域と透過領域を示す図である。(c)合成後の表示画像を示す図である。
【図8】(a)実施形態2の第1画像データの例である。(b)実施形態2の第2画像データの例である。
【図9】実施形態2の合成後の表示領域と透過領域を示す図である。
【図10】実施形態3の画像処理装置の機能的構成を説明するための図である。
【図11】(a)縮小又は拡大する前の第3画像データを示す図である。(b)縮小後の第3画像データを示す図である。(c)拡大後の第3画像データを示す図である。
【図12】(a)第3画像データを縮小し周縁を展延してできた第2画像データの例である。(b)第3画像データを拡大し周縁を除去してできた第2画像データの例である。
【図13】画像を展延する処理を説明するための図である。
【図14】(a)(b)は共に、透過領域の面積と拡縮率との関係を示す図である。
【図15】実施形態5の画像処理装置の機能的構成を説明するための図である。
【図16】(a)移動前の第1画像データの表示領域と透過領域を示す図である。(b)移動前の第2画像データの表示領域と透過領域を示す図である。(c)移動後の第1画像データの表示領域と透過領域を示す図である。(d)移動後の第2画像データの表示領域と透過領域を示す図である。
【図17】実施形態7の画像処理装置の機能的構成を説明するための図である。
【図18】(a)編集前の表示画像を示す図である。(b)透過領域を設定したときの表示画像を示す図である。(c)アイテム画像を移動している様子を示す図である。(d)編集後の表示画像を示す図である。
【図19】編集処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0150】
1 携帯型ゲーム機
10 処理制御部
11 コネクタ
12 カートリッジ
13 無線通信部
14 通信コントローラ
15 サウンドアンプ
16 スピーカ
17 操作キー
18 第1の表示部
19 第2の表示部
20 タッチパネル
200 画像処理装置
201 画像記憶部
202 表示領域入力受付部
203 透過領域入力受付部
204 領域記憶部
205 合成部
206 表示部
207 調整部
208 移動入力受付部
209 更新部
210 選択入力受付部
211 移動部
251 第1画像データ
252 第2画像データ
253 第3画像データ
261,262 表示領域
265 表示領域情報
271,272 透過領域
275 透過領域情報
280 表示画像
285 アイテム領域情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像データと、当該第1画像データと異なる画像データであって大きさが同じ第2画像データとを記憶する画像記憶部と、
当該第1画像データ内の所定の大きさの表示領域に含まれる透過領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける透過領域入力受付部と、
当該表示領域の位置と前記指定された透過領域の位置とに基づいて、当該第2画像データ内の表示領域と透過領域を求め、当該第1画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれない領域の画像データと、当該第2画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれる領域の画像データと、を抽出して合成し、表示画像を生成する合成部と、
前記生成された表示画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
当該表示領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける表示領域入力受付部を更に備える、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、
当該第1画像データ内の当該表示領域の位置と当該透過領域の位置と、当該第2画像データ内の当該表示領域の位置と当該透過領域の位置と、のそれぞれを記憶する領域記憶部を更に備え、
前記合成部は、前記領域記憶部に記憶された各位置に基づいて、当該第2画像データから抽出した画像データを、当該第1画像データ内の当該透過領域の位置に合成する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記透過領域入力受付部は、当該透過領域の形状を指定する入力をさらに受け付け、
前記合成部は、前記指定された形状であって前記指定された位置に対応する部分を当該第2画像データから抽出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記画像記憶部は、第3画像データをさらに記憶し、
当該第3画像データに画像フィルタをかけて画像を調整し、前記調整されたデータを当該第2画像データとして前記画像記憶部に記憶させる調整部をさらに備える、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記調整部は、所定の拡縮率で拡大又は縮小するフィルタを用いて当該第3画像データの大きさを調整する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
当該第3画像データを縮小する場合、前記調整部は、前記縮小されてできる画像データの周縁部分を展延して当該第2画像データと同じ大きさに調整する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
当該第3画像データを拡大する場合、前記調整部は、前記拡大されてできる画像データの周縁部分を除去して当該第2画像データと同じ大きさに調整する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記調整部は、当該透過領域の面積に対して予め対応付けられた拡縮率で当該第3画像データを拡大又は縮小させる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記調整部は、所定の拡縮率で画像を拡大又は縮小するフィルタと、画像に所定の色変換をするフィルタと、画像から所定の色を抽出するフィルタと、画像のエッジを調整するフィルタと、画像の解像度を変更するフィルタと、のうち少なくともいずれか1つを用いて当該第3画像データを調整する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
当該第1画像データ内の当該表示領域の位置を移動させる方向と量を指定する入力をユーザから受け付ける移動入力受付部と、
前記移動入力受付部が当該指示入力を受け付けた場合、前記領域記憶部に記憶された当該表示領域と当該透過領域の位置を、当該方向に、当該量に基づいて計算した量だけ移動させて更新する更新部と、
を更に備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
当該第2画像データ内に配置されるアイテム画像データを選択し、前記選択されたアイテム画像データの位置を移動させる指示入力をユーザから受け付ける選択入力受付部と、
前記選択されたアイテム画像データが表示されるアイテム領域の全体が当該透過領域に含まれる場合、前記選択入力受付部が受け付けた指示入力が示す位置に当該アイテム画像データを移動させる移動部と、
を更に備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
画像記憶部、透過領域入力受付部、合成部、表示部を有する画像処理装置にて実行される画像処理方法であって、
前記画像記憶部には、第1画像データと、当該第1画像データと異なる画像データであって大きさが同じ第2画像データとが記憶され、
前記透過領域入力受付部が、当該第1画像データに含まれる所定の大きさの表示領域に含まれる透過領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける透過領域入力受付ステップと、
前記合成部が、当該表示領域の位置と前記指定された透過領域の位置とに基づいて、当該第2画像データ内の表示領域と透過領域を求め、当該第1画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれない領域の画像データと、当該第2画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれる領域の画像データと、を抽出して合成し、表示画像を生成する合成ステップと、
前記表示部が、前記生成された表示画像を表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、
第1画像データと、当該第1画像データと異なる画像データであって大きさが同じ第2画像データとを記憶する画像記憶部、
当該第1画像データに含まれる所定の大きさの表示領域に含まれる透過領域の位置を指定する入力をユーザから受け付ける透過領域入力受付部、
当該表示領域の位置と前記指定された透過領域の位置とに基づいて、当該第2画像データ内の表示領域と透過領域を求め、当該第1画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれない領域の画像データと、当該第2画像データのうち、当該表示領域に含まれ、且つ、当該透過領域に含まれる領域の画像データと、を抽出して合成し、表示画像を生成する合成部、
前記生成された表示画像を表示する表示部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−310269(P2008−310269A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160627(P2007−160627)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】