説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、記憶媒体及びプログラム

【課題】 ユーザにかかる負担を抑え、装置に着脱可能な記憶媒体から読み出される画像データに対して不適切にスクリーン処理を実行することにより画質が劣化することを防止する。
【解決手段】 画像処理装置であって、画像処理装置に装着された記憶媒体から画像データを取得する取得手段と、画像データに対して所定のスクリーン処理を実行する制御手段と、記憶媒体が所定の種類の記憶媒体であるか否かを判定する判定手段とを有し、制御手段は、判定手段によって記憶媒体が所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、画像データに対して所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、記憶媒体及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、USBフラッシュメモリ、メモリカード等の記憶媒体に記憶された画像データを読み込んで、読み込んだ画像データの印刷を行う画像処理装置がある。このような画像処理装置において、ユーザは、印刷したい画像データを予め記憶媒体に記憶させておき、当該記憶媒体を画像処理装置に接続することによって、画像データを画像処理装置に印刷させることができる。
【0003】
例えば、上述のような記憶媒体には、デジタルカメラで撮影した画像データや、スキャナによってスキャンされた画像データなどを記憶しておくことができる。そして、ユーザは、記憶媒体に記憶された画像データを、情報処理装置(PC)を介さずとも、画像処理装置によって手軽に印刷することができる。
【0004】
一方、従来、画像データに対して行うハーフトーン処理の方法として、スクリーン処理と誤差拡散処理がある。
【0005】
例えば、デジタルカメラで撮影した画像データを、電子写真方式で印刷する場合には、スクリーン処理を施せば、印刷物の画質が安定する。一方、スキャナによってスキャンされた画像データの場合には網点画像が含まれている可能性があり、網点画像にスクリーン処理を施すとモアレが発生する可能性がある。従って、スキャナによってスキャンされた画像には誤差拡散処理を施す方が望ましい。なお、下記特許文献1には、画像データにスクリーン処理を施して印刷する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−136825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、記憶媒体から読み取った画像データがスキャナで読み取られた画像であるのか否かを画像データに画像処理を施して判定するには、装置に専用の回路などのハードウェアを搭載する必要があり、コストアップとなってしまう。また、画像処理装置が備えるファームウェアによって判定する方法も考えられるが、その場合は処理に時間がかかり、画像処理装置の生産性が低下してしまう課題がある。
【0008】
また、ユーザが画像データについて、スキャナで読み取られた画像か否かを指定する方法も考えられるが、その場合、ユーザに操作のための負担がかかってしまう。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明は、ユーザにかかる負担を抑え、装置に着脱可能な記憶媒体から読み出される画像データに対して不適切にスクリーン処理を実行することによって画質が劣化することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の画像処理装置は以下に示す構成を備える。
【0011】
画像処理装置であって、画像処理装置に装着された記憶媒体から画像データを取得する取得手段と、画像データに対して所定のスクリーン処理を実行する制御手段と、記憶媒体が所定の種類の記憶媒体であるか否かを判定する判定手段とを有し、制御手段は、判定手段によって記憶媒体が所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、画像データに対して所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザにかかる負担を抑え、装置に着脱可能な記憶媒体から読み出される画像データに対して不適切なスクリーン処理を実行することによって画質が劣化することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1に示した制御装置100の構成を説明するブロック図である。
【図3】図2に示したプリント画像処理部118の構成を説明するブロック図である。
【図4】図2に示したパネル140の構成を説明するブロック図である。
【図5】本実施形態を示す画像処理装置におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態を示す画像処理装置におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に示す画像処理装置で処理可能な定型用紙サイズとアスペクト比との対応を示す図である。
【図8】図7に示す定型用紙サイズのアスペクト比の値を抽出した用紙サイズテーブルの一例を示す図である。
【図9】本実施形態を示す画像処理装置におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態を示す画像処理装置におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る画像処理装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
<システム構成の説明>
図1は、本実施形態を示す画像処理装置10の構成を説明するブロック図である。
【0016】
図1において、リーダ部(画像入力装置)200は、原稿の画像を光学的に読み取り、画像データに変換する。リーダ部200は、原稿を読み取るための機能を持つスキャナユニットと、原稿用紙を搬送するための機能を持つ原稿搬送ユニットとで構成される。
【0017】
プリンタ部(画像出力装置)300は、複数種類の記録紙をセット可能な給紙ユニット360と、画像データを記録紙に転写、定着させる機能を持つマーキングユニット310を有する。また、プリンタ部300は、印刷された記録紙をソート、ステイプルして機外へ出力する機能を持つ排紙ユニット370を有する。プリンタ部300は、給紙ユニット360から給紙した記録紙を搬送し、マーキングユニット310によって、搬送された記録紙に画像データを印刷して、排紙ユニット370によって装置外に排紙する。
【0018】
制御装置100は、リーダ部200、プリンタ部300と電気的に接続され、さらに不図示のネットワークを介して、ホストコンピュータと接続されている。なお、接続形態は、有線であっても無線であってもよい。
【0019】
制御装置100は、リーダ部200を制御して、原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成された画像データをプリンタ部300によって記録紙に出力するコピー機能を提供する。
【0020】
また、リーダ部200から読み取った画像データを、コードデータに変換し、不図示のネットワークを介してホストコンピュータなどの外部装置へ送信するネットワークスキャナ機能を提供する。さらに、画像処理装置10に着脱可能な記憶媒体から読み出した画像データや、外部装置からネットワークを介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部300に出力するプリンタ機能を提供する。
【0021】
電源部400は、交流商用電源(AC電源)を入力とする電源回路で、制御装置100、リーダ部200、プリンタ部300に供給する電圧(直流電圧)402を作成する。また、制御装置100からの供給信号401に応じて、直流電圧の値を変化させる。
【0022】
なお、本実施形態では、上述したような複数の機能を有する画像処理装置10を例に説明するが、それらの機能の全てを有する必要はなく、例えば、画像処理装置10は、プリンタ機能のみを有する装置であっても良い。
【0023】
<制御装置の説明>
図2は、図1に示した制御装置100の構成を説明するブロック図である。なお、図1と同一のものには同じ符号を付してある。
【0024】
メインコントローラ110は、主にCPU111、メモリ制御部112,バス制御部113,スキャンI/F114,プリンタI/F115,パネルI/F116,スキャン画像処理部117を備える。さらに、メインコントローラ110は、プリント画像処理部118,圧縮・伸張部119,圧縮・伸張部119,変倍・回転部120,シリアルI/F部121を備える。
【0025】
CPU111とメモリ制御部112は、制御装置100全体の動作を制御するものであり、CPU111はメモリ131に格納されたプログラムに基づいて動作する。例えば、ホストコンピュータ15から受信したPDL(ページ記述言語)データを解釈し、ラスタイメージデータに展開する動作も、このプログラムに記述されている。CPU111は、当該プログラムを実行することによって、コードデータの解釈及びラスタイメージデータの展開を実行する。
【0026】
メモリ制御部112は各I/Fから入出力されるデータ転送を制御するものであり、バスの調停やDMAデータ転送の制御を行う。
【0027】
バス制御部113は、CPU111によるBootROM132,ROM133,モデム134へのアクセスを制御する。
スキャンI/F114はスキャナから入力される画像データ受信し、メモリ131やスキャン画像処理部117に画像データを転送する。
【0028】
スキャン画像処理部117はスキャンI/F114から受け取った画像データに対して所定の画像処理を施す機能を有する。
【0029】
ここで、画像処理としては、ラインピッチ補正,オフセット補正,非線形補正,色空間マッチング,MTF(Modulation Transfer Function)補正,空間フィルタ,無彩色判定等が挙げられる。
【0030】
プリンタI/F115では、プリンタ部300から送られてくるビデオ制御信号をもとに制御信号を作成し、制御信号に合わせてメモリ131から読み出された画像データをプリンタ部300に出力する。
【0031】
プリント画像処理部118は、メモリ131からラスタイメージデータを取得し、メモリ131に色空間圧縮,下地除去,log変換,非線形色空間変換,乱数加算,ガンマ変換,ハーフトーン処理などの画像処理を施したデータを出力する機能を有する。ここで、ハーフトーン処理の種類としては、誤差拡散処理,スクリーン処理等が挙げられる。このように、本実施形態では、プリント画像処理部118は、種類の異なるハーフトーン処理として、誤差拡散処理,スクリーン処理のいずれかを選択的に実行可能に構成されている。スクリーン処理とは、重み付けマトリクスを用いて多値の画像データを2値化する場合に、マトリクスに含まれる各閾値を、2値化後の画像データが所定の角度のスクリーンを生成するように配置し、これに従って2値化する処理である。誤差拡散処理とは重み付けマトリクスに含まれる閾値を用いて多値の画像データを2値化する場合に生じる、画像データの濃度値と閾値との誤差を隣接する画素に順次振分け、画像データ全体の濃度を保存するように2値化する処理である。
【0032】
圧縮・伸張部119は、メモリ131に蓄積されたラスタイメージデータをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の方式で圧縮する。また、圧縮・伸張部119は、圧縮され蓄積されたコードデータをラスタイメージデータに伸長する。圧縮・伸張された画像データはメモリ131に格納される。
【0033】
変倍・回転部120は、メモリ131に蓄積されたラスタイメージデータを拡大・縮小処理や、90,180,270°回転処理を行う機能を有する。拡大・縮小処理や回転処理が行われたラスタイメージデータはメモリ131に格納される。BootROM132はCPU111の起動プログラムが格納される。
【0034】
ROM133は、CPU111によって実行される各種プログラムや、ユーザーモードや各種設定情報を保存するのに用いられ、フォントデータ等もROM133に格納される。パネルI/F116はパネル140との通信を行う。パネル140は液晶表示部と複数個のハードキーを有する。ここで、パネル140は、ハードキーを介してユーザにより入力された信号を前述したパネルI/F116を介してCPU111に伝える。また、パネル140の液晶表示部はCPU111によってパネルI/F116を介して送られてきたデータを表示する。例えば、液晶表示部は、画像処理装置10の状態や、画像処理装置10を操作するための操作キー等を表示する。
【0035】
シリアルI/F121は、ホストコンピュータからPDLデータを受信するためのI/Fや、パネル140と通信を行うためのI/Fに用いられる。例えば、シリアルI/F121は、ホストコンピュータ、画像処理装置10に着脱可能な記憶媒体や、各種デバイスとの通信を、コネクタ138を介して行う。
【0036】
モデム134とNCU135は公衆回線(PSTN)に接続され、FAXの通信制御を行う。
【0037】
リアルタイムクロックモジュール136は、画像処理装置10内で管理する日付と時刻を更新/保存するためのもので、バックアップ電池によってバックアップされている。
【0038】
Network Controller137はネットワーク(LAN)と接続される。ネットワークとしては一般的にイーサネット(登録商標)があげられ、ホストコンピュータからのPDLデータの受信や、ホストコンピュータへの画像データの送信等に用いられる。
【0039】
<プリント画像処理部の説明>
図3は、図2に示したプリント画像処理部118の構成を説明するブロック図である。
【0040】
図3において、メモリ制御部112を介してメモリ131から入力される画像データは、まずデータ入力部150に入力される。データ入力部150では、メモリ制御部112から入力されたデータのフォーマット変換を行い、線形補間部151へ画像データの転送を行う。線形補間部151では、画像の拡大・縮小処理を行う。色空間圧縮部152では、入力された画像データの色空間をプリンタプリンタ部300の色再現色内に圧縮し、彩度調整、色位相調整、下地調整、黒領域調整を行う。また、入力色空間がYUVの場合には色空間圧縮部152でRGB色空間に変換を行う。
【0041】
下地除去・白黒変換部153では、RGBの画像データに対して非線形演算を行い画像の下地を除去する。また、下地除去・白黒変換部153では、スキャン画像処理部117で無彩色と判定された場合に画像データをRGBからモノクロに変換する。
【0042】
LOG変換部154では、1次元のLook−Up Tableを用いて非線形変換を行い、イメージデータをRGB信号からCMY信号に変換する。
【0043】
CMYK変換部155では、3次元のLook−Up Tableを用いてCMY信号をCMYK信号に変換する。
【0044】
なお、メモリ制御部112から入力された画像データの色空間がCMYKの場合には、色空間圧縮部152からCMYK変換部155までは、入力されたデータをそのまま出力する。カラーバランス補正部156では、画像の明るさ調整を行う。
【0045】
γ補正部157では、入力されたCMYK信号を各々独立に1次元Look−Up Tableを用いて濃度調整する。多値スクリーン処理部158では、入力された多値の画像データに対してスクリーン処理を行い、4/2/1bit階調に変換する。誤差拡散処理部159では、入力された多値の画像データに対して誤差拡散処理を行い、4/2/1bit階調に変換する。
【0046】
ここで、入力画像に対してスクリーン処理を施す場合は、多値スクリーン処理部158で処理を行い、誤差拡散処理部159では入力された画像データをそのまま出力する。これに対して、誤差拡散処理を施す場合は、多値スクリーン処理部158は入力された画像データをそのまま出力し、誤差拡散処理部159で処理を行う。画像処理装置10では、これらを必要に応じて切替えて処理することができるようになっている。本実施形態においては、CPU111が後述するように、入力される画像データのアスペクト比を判別し、判別されたアスペクト比に応じて、画像データに対して実行するハーフトーン処理を決定する。具体的に、CPU111は、判別されたアスペクト比に応じて、誤差拡散処理部159による誤差拡散処理か、多値スクリーン処理部158によるスクリーン処理を、入力される画像データに対して行う。詳細については後述する。
【0047】
SST部160では、画像データのエッジ部をパターマッチングで検出して変換を行い、ジャギーを軽減して滑らかにする。トリミング部161では、画像データの枠消しやマスキング処理を行う。
【0048】
データ出力部162では、処理された画像データをメモリ制御部112に出力する。メモリ制御部112は、送られてきた画像データをメモリ131に格納する。その後、CPU111は、メモリ131に格納された画像データを、プリンタ部300に転送して印刷する。
【0049】
<操作部の説明>
図4は、図2に示したパネル140の構成を説明するブロック図である。なお、図2と同一のものには同じ符号を付してある。
【0050】
図4において、パネルI/F116は、パネル140内のパネル制御部171に接続される。パネル制御部171は、ハードキー部173からの入力の監視と液晶表示部172の制御を行い、ハードキー部173でキー入力が発生するとパネルI/F116を介してCPU111に通知する。また、CPU111は、パネルI/F116からの入力に基づいて液晶表示部172の表示を変更する。なお、液晶表示部172がタッチパネルを備えており、CPU111は、タッチパネルを介して、ユーザからの入力を受付けるようにしてもよい。
【0051】
図2に示したシリアルI/F121は、パネル140内の画像記憶メディア制御部174に接続される。画像記憶メディア制御部174では、画像記憶メディアの装着部を有する画像記憶メディアI/F175を介して、画像処理装置10に装着された画像記憶メディアとの通信を行う。ここで、着脱可能な画像記憶メディアの例としては、SD Card(商標)やコンパクトフラッシュ(登録商標)、USBフラッシュメモリ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。画像を記憶可能な記憶媒体であればよく、例えば、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVDなどであってもよい。この画像記憶メディアは、例えばデジタルカメラ等が撮像した画像データや、スキャナで読み取られた画像データ、コンピュータのアプリケーションで作成された画像データ等を記憶することができるように構成されている。なお、画像記憶メディアI/F175は、複数の装着部を有し、複数の画像記憶メディアを装着可能に構成されていてもよい。また、本実施形態では、パネル140が画像記憶メディアI/F175を有する例について説明するが、画像記憶メディアI/F175はパネル140が有するものに限られるものではない。例えば、メインコントローラ110が画像記憶メディアI/Fを有し、当該画像記憶メディアI/Fを介して画像記憶メディアを装着可能に構成されていてもよい。
【0052】
<画像データのプリント処理の説明>
図5は、本実施形態を示す画像処理装置10におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。本例は、画像記憶メディアに格納された画像データを印刷する処理例である。なお、S601〜S607は各ステップを示す。また、各ステップは、CPU111がROM133等に記憶される制御プログラムをメモリ131にロードして実行することで実現される。
【0053】
画像記憶メディアに格納された画像データを印刷する場合、ユーザは、パネル140を介して、印刷したい画像の選択と、印刷設定を行う。
【0054】
S601で、CPU111は、パネル140を介してユーザから画像の選択と印刷設定を受付ける。印刷設定には、部数、用紙サイズ、印刷レイアウト、ハーフトーン処理の設定等がある。ユーザは、ハーフトーン処理の設定として、「自動」、「スクリーン処理」、「誤差拡散処理」を設定できる。
【0055】
なお、印刷設定が画像データとともに記憶されている画像記憶メディアもある。その場合には、印刷の際にパネル140からの指示で、印刷設定を変更して印刷することができる。なお、画像記憶メディアに格納された画像データのファイルフォーマットは、JPEGや、TIFF等、種々のファイルフォーマットに対応可能に構成されており、特定のファイルフォーマットに限定されるものではない。
【0056】
S601で、画像の選択と印刷設定を受付けた後、CPU111は、パネル140を介して印刷開始指示を受付けると、S602に処理を進める。
【0057】
S602で、CPU111はシリアルI/F121を介して画像記憶メディアI/F175に装着された画像記憶メディアから画像データと、当該画像データのヘッダ情報を読み取る。ヘッダ情報には、画像データのデータサイズや主走査/副走査方向の長さ情報が含まれる。そして、CPU111は、画像記憶メディアから読み出した画像データと、ヘッダ情報をメモリ131に格納する。
【0058】
次に、S603で、CPU111は、S601の設定で、ハーフトーン処理の設定として、「自動」が選択されている場合に、画像データに対して実行するハーフトーン処理の種類を決定する。ハーフトーン処理の方法を決定する処理については、図7のフローチャートで詳述する。そして、CPU111は、決定したハーフトーンの種類を示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。なお、S601で、ハーフトーン処理の設定として、「自動」ではなく、「スクリーン処理」または「誤差拡散処理」が選択されている場合には、S603で、CPU111は、選択されたハーフトーン処理を行うよう決定する。また、ハーフトーン処理の実行対象の画像データが、ハーフトーン処理を実行する必要のない種別の白黒の画像データである場合には、CPU111は、スクリーン処理、及び誤差拡散処理のいずれも行わないよう決定する。
【0059】
次に、S604で、CPU111は、メモリ131に格納された画像データが圧縮されている場合に伸張処理を施し、メモリ131に蓄積する。そして、S605で、CPU111は、S601で設定された印刷設定及びS603で決定された種類のハーフトーン処理を行う。具体的に、CPU111は、S603で決定されてメモリ131に格納されたハーフトーン処理の種類を示す情報に従って、画像データにハーフトーン処理を行う。例えば、図3に示すプリント画像処理部118の多値スクリーン処理部158または誤差拡散処理部159のいずれかで画像データのハーフトーン処理を行い、ハーフトーン画像を作成し、メモリ131に格納する。そして、S606では、メモリ131に格納されたハーフトーン画像をプリンタ部300からの制御信号に同期させてプリンタI/F115を介して印刷する。なお、画像データが白黒の画像データである場合には、CPU111は、S605で、画像データに対してハーフトーン処理を行わずに印刷する。
【0060】
次に、S607で、CPU111は、S601で選択された全ての画像データの印刷が終了しているかどうかを判断する。ここで、全ての画像データの印刷が終了していないとCPU111が判断した場合は、S602に戻り、印刷が終了しているとCPU111が判断した場合は処理を終了する。
【0061】
<画像データの判別処理の説明>
次に、図6を用いて、S603におけるハーフトーン処理の種類を決定する方法について説明する。
【0062】
図6は、本実施形態を示す画像処理装置10におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、S701〜S706は各ステップを示す。また、各ステップは、CPU111がROM133等に記憶される制御プログラムをメモリ131にロードして実行することで実現される。
【0063】
ここで、本実施形態における画像データに対するハーフトーン処理について説明しておく。例えば、デジタルカメラなどで撮影された画像データに対しては、スクリーン処理を行うことによって画像が安定する。
【0064】
しかし、スキャナによって読み取られた原稿の画像データに対しては、誤差拡散処理を行うほうが好ましい。
【0065】
なぜならば、スキャナで読み取られた原稿の画像データには網点画像が含まれている可能性があり、そのような画像データに対してスクリーン処理を行うと、モアレが発生してしまうからである。
【0066】
そこで、本実施形態において、CPU111は、ハーフトーン処理をしようとする画像データが、スキャナで読み取られた可能性の高い画像データであることを後述する方法に従って判別する。そして、CPU111は、スキャナで読み取られた画像データであると判別できる場合には、スクリーン処理を行わず、誤差拡散処理を行うように制御する。それによって、ハーフトーン処理が施された画像データにモアレが発生することを防ぐことができる。
【0067】
スキャナで読み取られる原稿はA4サイズやA3サイズなど、規格で定められている定型サイズである可能性が高い。そこで、本実施形態では、CPU111は、画像記録メディアに記憶された画像データがスキャナで読み取られた画像である可能性が高いか否かを、画像データのアスペクト比と、定型サイズの用紙のアスペクト比との差に基づいて判断する。
【0068】
図7は、用紙サイズごとのアスペクト比を表したものである。例えば、A3サイズやA4サイズの用紙であれば、用紙のアスペクト比は、図7に示すように1.41であり、A5サイズであれば用紙のアスペクト比は1.42である。
【0069】
これらのアスペクト比を有する画像データは、スキャナによって定型サイズの原稿が読み取られて生成された画像データである可能性が高い。そこで、図7に示したアスペクト比の中から、いくつかの値を抽出した図8に示す用紙サイズテーブルを、ROM133、あるいは図示しないNVRAM等に記憶させておく。
【0070】
そして、CPU111は、入力された画像データのアスペクト比が、定型サイズの図8に示すアスペクト比に近いものであれば、入力された画像データに、スクリーン処理ではなく、誤差拡散処理を行うように決定する。
【0071】
では、図6を用いて、本実施例における画像データを画像処理方法について具体的に説明する。
【0072】
S701では、CPU111は、メモリ131に記憶された画像データのヘッダ情報に含まれる主走査/副走査方向の長さから、画像のアスペクト比(A)を算出する。
【0073】
ここで、CPU111は、アスペクト比(A)が1以上になるように、主走査/副走査方向の画像サイズのうち長手サイズ/短手サイズで算出する。
【0074】
次に、S702で、CPU111は、図8に示す用紙サイズテーブルから用紙のアスペクト比(B)を参照する。図8に示す用紙のアスペクト比(B)は、定型用紙のアスペクト比を表している。なお、S702で、用紙サイズテーブルを参照する場合、CPU111は、図8に示す参照テーブルの1番から順に参照する。
【0075】
そして、S703で、CPU111は、画像のアスペクト比(A)と用紙のアスペクト比(B)を比較し、それらの差が規定値以内(閾値内)であれば、S704に処理を進める。つまり、CPU111は、用紙のアスペクト比(B)と比較して、画像のアスペクト比(A)が所定の範囲内にあれば、スキャナで読み取られた画像データである可能性が高いので、S704に処理を進める。そして、S704で、CPU111は、画像データに対して誤差拡散処理を施すように設定する。CPU111は、誤差拡散処理を施すように設定したことを示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。
一方、S703で、差が規定値より大きいとCPU111が判別した場合は、S705に処理を進める。なお、上記規定値として、例えば0.01を用いることが望ましい。この規定値は、ユーザによって変更可能であってもよい。
【0076】
そして、S705では、図8に示す用紙サイズテーブルの全ての値を参照したかをCPU111が判別し、未参照の値があるとCPU111が判別した場合は、S702に戻り、次の値を参照する。
【0077】
一方、S705で、全ての値を参照したとCPU111が判別した場合は、S706に処理を進める。S706で、CPU111は、画像データに対してスクリーン処理を施すように決定する。CPU111は、スクリーン処理を施すように設定したことを示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。
【0078】
このように、CPU111は、S603で、画像のアスペクト比に基づいてハーフトーン処理の種類を決定する。その後、CPU111は、図5に示すS605で、決定された種類のハーフトーン処理を画像データに対して実行する。
【0079】
以上のような制御を行うことによって、ハーフトーン処理を行う画像データがスキャナで読み取られた画像データである可能性が高い場合には、スクリーン処理ではなく、誤差拡散処理を実行する。それによって、モアレの発生を抑制することができる。
【0080】
以上のような制御により、記憶媒体から読み取った画像データが、スキャナで読み取られた画像データか否かを、画像データに画像処理を加えることなく、判別することができ、そのような画像処理専用の回路が必要なくなる。またユーザは、印刷する画像データごとに、スキャナで読み取られた画像データか否かを設定する必要もなくなる。このように、本実施形態の画像処理装置によれば、装置のコストアップや、ユーザにかかる負担を抑えつつ、記憶媒体から読み出される画像データに適したハーフトーン処理を実行することができる。
【0081】
なお、本実施形態で、CPU111は、S703で、用紙のアスペクト比(B)と、画像のアスペクト比(A)を比較する例について説明したが、これに限るものではない。例えば、メモリ131に、定型サイズの用紙の縦の長さと横の長さを格納しておく。そして、CPU111は、S703で、定型サイズの用紙の縦の長さと横の長さと、メモリ131に記憶された画像データのヘッダ情報に含まれる、当該画像データに対応する画像の縦の長さ、横の長さとを比較してもよい。例えば、画像データの副走査方向の長さを当該画像データの縦の長さとし、当該画像データの主走査方向の長さを当該画像データの横の長さとする。その場合、CPU111は、メモリ131に記憶された画像データのヘッダ情報に含まれる主走査方向、副走査方向の長さのそれぞれが、定型サイズの用紙の縦の長さと横の長さと比較して所定の範囲内にあるか否かを判断する。CPU111は、メモリ131に記憶された画像データの縦の長さも横の長さも所定の範囲内にあると判断した場合に、S704で、誤差拡散処理のような、モアレの発生を抑制できるハーフトーン処理を画像データに対して実行する。一方、CPU111は、メモリ131に格納された、全ての定型サイズの用紙の縦の長さと横の長さと比較しても、S703の条件を満たすものがなかった場合に、S706に処理を進め、画像データに対してスクリーン処理を実行するように制御するとよい。なお、画像データに対応する画像の縦の長さ、横の長さと、当該画像データの主走査方向、副走査方向の長さの対応関係は逆でもよい。
【0082】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、CPU111は、画像記録メディアに記憶された画像データがスキャナで読み取られた画像である可能性が高いか否かを、画像データのアスペクト比と、定型サイズの用紙のアスペクト比との差に基づいて推定する方法を説明した。
【0083】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した方法以外の方法でも、画像データがスキャナで読み取られた画像データであるか否かを推定し、画像データにスクリーン処理を行うか否かを決定する方法について説明する。
【0084】
なお、ハードウェアの構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0085】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様、CPU111は、図5のフローチャートに示す処理を実行することによって、画像記憶メディアから読み出された画像データに対してハーフトーン処理を実行して印刷する。ただ、S603におけるCPU111の処理が第1の実施形態とは異なり、CPU111は、S603で、図6に示す処理ではなく、図9に示す処理を実行する。
【0086】
図9は、第2の実施形態におけるCPU111のデータ処理手順を表すフローチャートである。なお、図9に示すフローチャートの各ステップは、CPU111は、メモリ131に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0087】
S901で、CPU111は、画像記憶メディアから読み出された後、メモリ131に記憶された、ハーフトーン処理の実行対象である画像データにExifタグが存在するか否かを判定する。画像データにExifタグが存在する場合には、S902に処理を進め、存在しない場合には、S903に処理を進める。
【0088】
S902で、CPU111は、Exifタグを解析し、当該Exifタグに対応する画像データがデジタルカメラ等の撮影装置で撮影されたものか否かを判定する。例えば、当該画像データがデジタルカメラで撮影されたものであれば、Exifタグに、製造メーカやカメラの名前等、デジタルカメラ特有の情報が記録されるため、CPU111は、Exifタグの中にそれらの情報が存在するか否かに基づいて判定する。
【0089】
CPU111は、画像データに対応するExifタグに製造メーカやカメラの名前等、デジタルカメラ特有の情報の情報が含まれていると判定した場合には、当該画像データがデジタルカメラで撮影されたものである可能性が高い。そのため、CPU111は、S906で当該画像データに対してスクリーン処理を施すように設定する。そして、CPU111は、スクリーン処理を施すように設定したことを示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。一方、S902で、CPU111は、画像データに対応するExifタグにそれらの情報が含まれていない場合には、S903に処理を進める。
【0090】
S903で、CPU111は、ハーフトーン処理の実行対象である画像データに対応する画像のアスペクト比が、定型サイズの用紙のアスペクト比と比較して所定の範囲内にあるか否かを判定する。CPU111は、メモリ131に記憶された画像データのヘッダ情報に含まれる主走査/副走査方向の長さから、画像のアスペクト比を算出する。ここで、CPU111は、アスペクト比が1以上になるように、主走査/副走査方向の画像サイズのうち長手サイズ/短手サイズで算出する。CPU111は、画像データに対応する画像のアスペクト比と、図8の用紙サイズテーブルに記憶された定型用紙サイズのアスペクト比との差が規定値内にあると判定した場合に、S907に処理を進め、当該画像データに誤差拡散処理を施すように設定する。これは、画像データに対応する画像のアスペクト比と、図8の用紙サイズテーブルに記憶された定型用紙サイズのアスペクト比との差が規定値内にあると判定した場合、当該画像データがスキャナによって読み取られた画像データである可能性が高いためである。そして、CPU111は、誤差拡散処理を施すように設定したことを示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。
【0091】
一方、CPU111は、画像データに対応する画像のアスペクト比と、図8の用紙サイズテーブルに記憶された定型サイズの用紙のアスペクト比との差が規定値内にないと判定された場合にはS904に処理を進める。なお、上記規定値として、例えば0.01を用いることが望ましい。この規定値は、ユーザによって変更可能であってもよい。
【0092】
S904で、CPU111は、ハーフトーン処理の実行対象である画像データのファイル名を解析し、ファイル名がデジタルカメラの規格に準ずるものであるか否かを判定する。例えば、CPU111は、画像データのファイル名が以下のルールを満たすか否かを判定する。
・8文字(拡張子を除く)
・1〜4文字目は、半角英数大文字のみ使用した任意の文字列であり、2バイトコードや特殊コードを含まない。
・5〜8文字目は、“0001”〜“9999”のうちのいずれかの番号である。
【0093】
これらのルールはDCF(Design rule for Camera FileSystem)という、規格で定められたフォーマット(形式)に基づくものである。デジタルカメラで保存される画像データのファイル名は、デジタルカメラの制御部により、これらのルールに基づいて自動的に付けられる。従って、これらのルールを全て満たす形式のファイル名が付けられている場合には、デジタルカメラで撮影された画像データである可能性が高い。そのため、CPU111は、解析したファイル名がこれらのルールを満たす場合に、S906に処理を進め、当該画像データに対して所定のスクリーン処理を実行するように設定する。その場合、CPU111は、所定のスクリーン処理を実行するように設定したことを示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。一方、解析したファイル名がこれらのルールのうち、1つでも満たさないルールがある場合に、CPU111は、S905に処理を進める。
【0094】
S905で、CPU111は、ハーフトーン処理の実行対象である画像データが記憶された画像記憶メディアの種類を判定する。例えば、SDCard(登録商標)やコンパクトフラッシュ(登録商標)はデジタルカメラで使用され、デジタルカメラで撮影された画像データが格納されている可能性が高い。従って、CPU111は、画像データが記憶された画像記憶メディアの種類がSDCard(登録商標)やコンパクトフラッシュ(登録商標)である場合には、S906に処理を進める。例えば、CPU111は、画像データを読み出した画像記憶メディアの装着部が、SDCard(登録商標)やコンパクトフラッシュ(登録商標)等を装着するための装着部である場合には、S906に処理を進める。そして、S906で、CPU111は、画像データに対して所定のスクリーン処理を実行するように設定する。そして、CPU111は、所定のスクリーン処理を実行するように設定したことを示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。
【0095】
また、CPU111は、ハーフトーン処理の実行対象である画像データが記憶された画像記憶メディアの装着部が、USBフラッシュメモリを装着するための装着部である場合には、S907に処理を進める。S907で、CPU111は、画像データに対して誤差拡散処理を実行するように設定する。そして、CPU111は、誤差拡散処理を実行するように設定したことを示す情報を、画像データに関連付けてメモリ131に格納しておく。
【0096】
その後、CPU111は、図5に示すS604以降の処理を行うことによって、S906またはS907で設定したハーフトーン処理を画像データに対して実行し、ハーフトーン処理を実行した画像データを印刷する。
【0097】
以上のように、画像記憶メディアから読み出された画像データが、スキャナによって読み取られた画像データである可能性が高い場合に、CPU111は、当該画像データに対して所定のスクリーン処理を実行せず、誤差拡散処理を実行するように制御する。また、CPU111は、画像データがデジタルカメラで撮影された画像データである可能性が高い場合には、当該画像データに対して誤差拡散処理ではなく、所定のスクリーン処理を実行するように制御する。
【0098】
それによって、スキャナによって読み取られた画像データに対して所定のスクリーン処理を実行することによるモアレの発生を防ぐことができる。また、画像データがデジタルカメラで撮影された画像データである可能性が高いと判断できる場合には、当該画像データに対してスクリーン処理を実行するので、デジタルカメラで撮影された画像データを印刷した場合の画質を安定させることができる。
【0099】
また、本実施形態のような判定方法を用いることによって、画像データに画像処理を施して判定する方法と比較して、装置のコストアップを抑えることができる。また、CPU111が、画像データに対して実行するハーフトーン処理の種類を自動的に設定するので、ユーザが、実行するハーフトーン処理の種類を指定する必要がなくなり、ユーザの負担を軽減することができる。
【0100】
なお、図9のフローチャートに示したS903〜S905の処理を実行する順序は、本実施形態に記載された順序に限られるものではなく、別の順序で実行してもよい。また、S903〜S905に示す全ての判定処理を実行せずとも、いくつかの判定処理のみを実行するようにしてもよい。また、どの判定処理を実行するかをユーザがパネル140から指定できるようにしてもよい。
【0101】
<第3の実施形態>
上述した第1または第2の実施形態で、CPU111は、画像記憶メディアから読み出した画像データが、スキャナで読み取られた画像データである可能性が高いか否かを推定することによって、実行するハーフトーン処理の種類を決定していた。ただ、場合によっては、画像記憶メディアから読み出された画像データが、スキャナで読み取られた画像データであるにも関わらず、CPU111が、当該画像データに対してスクリーン処理を実行してしまうことが想定される。例えば、定型サイズの用紙のアスペクト比との差が規定値内にないアスペクト比を持つ原稿がスキャナによって読み取られ、当該読み取られた原稿の画像データが画像記憶メディアに格納されている場合が想定される。その場合、CPU111は、例えば第1の実施形態の図6に示す処理によって、画像記憶メディアから読み出された画像データのアスペクト比を判定するが、当該画像データに対応する画像のアスペクト比と定型サイズの用紙のアスペクト比との差は規定値内にない。そのため、CPU111は、スキャナによって読み取られた画像データに所定のスクリーン処理を実行することになり、画像データに網点画像が含まれていると、所定のスクリーン処理を実行して印刷した画像にモアレが発生してしまう可能性がある。
【0102】
そこで、本実施形態では、印刷した画像にモアレが発生しているか否かをユーザに確認し、モアレが発生していても、ユーザが容易に再印刷の指示を行うことができる画像処理装置10について説明する。
【0103】
なお、画像処理装置10の構成については、図1〜図4で説明した構成と同様であるので説明を省略する。
【0104】
まず、CPU111は、図5のフローチャートに示す処理を実行する。それによって、ハーフトーン処理が施された画像データを印刷する。なお、S603でCPU111が行うハーフトーン処理の種類を決定する処理は、図6及び図9に示す処理のいずれを実行してもよい。
【0105】
本実施形態において、CPU111は、図5のフローチャートに示す処理を実行し、画像データの印刷を行った後、図10のフローチャートに示す処理を実行する。図5のフローチャートに示す処理は、CPU111がメモリ131に記憶されたプログラムを実行することによって行われる。
【0106】
まず、S1001で、CPU111は、印刷された画像にモアレが発生しているか否かをユーザに問合せるメッセージを、パネル制御部171によって、パネル140の液晶表示部172に表示させる。また、印刷された画像にモアレが発生している場合に備えて、CPU111は、ユーザから、画像データの再印刷の指示を受付けるためのボタンも液晶表示部172に表示させる。そして、CPU111は、S1002に処理を進める。
【0107】
S1002で、CPU111は、ユーザから、例えば、液晶表示部172に表示したボタンによって、画像データの再印刷の指示を受付けたか否かを判定する。CPU111は、画像データの再印刷の指示を受付けたと判定した場合に、S1003に処理を進める。一方、再印刷の指示を受付けないまま、所定の期間が経過した場合や、再印刷を行わないように指示された場合には、CPU111は図10に示す処理を終了する。
【0108】
S1003で、CPU111は、画像データに対して誤差拡散処理を実行するように設定する。また、誤差拡散処理を実行するように設定したことを示す情報をメモリ131に格納しておく。
【0109】
S1004で、CPU111は、図5に示す処理によって印刷された画像データの数を検出し、検出された画像データの数が1つである場合には、S1006に処理を進める。なお、ここでいう画像データの数は、画像データや当該画像データに対応するヘッダ情報を含むファイル単位で数えるものとする。一方、検出された画像データの数が複数存在する場合には、CPU111は、S1005に処理を進め、再印刷する画像データをユーザによって選択させる。S1005で、CPU111は、ユーザによって画像データが選択された場合に、選択された画像データについて、フラグをたてることによって、どの画像データが選択されたかを記憶しておく。そして、S1006に処理を進める。
【0110】
S1006で、CPU111は、シリアルI/F121を介して画像記憶メディアI/F175に装着された画像記憶メディアから再印刷する画像データと、当該画像データのヘッダ情報を読み取る。ヘッダ情報には、画像データのデータサイズや主走査/副走査方向の長さ情報が含まれる。そして、CPU111は、画像記憶メディアから読み出した画像データと、ヘッダ情報をメモリ131に格納する。
【0111】
次に、S1007で、CPU111は、メモリ131に格納された画像データが圧縮されている場合に伸張処理を施し、メモリ131に蓄積する。そして、S1008で、CPU111は、S601で設定された印刷設定に従って印刷を行う。また、S1008で、CPU111は、画像データに対してS1003で決定された誤差拡散処理を実行して印刷を行う。例えば、CPU111は、誤差拡散処理部159によって画像データのハーフトーン処理を行い、ハーフトーン画像を作成し、メモリ131に格納する。
【0112】
そして、S1009で、CPU111は、メモリ131に格納されたハーフトーン画像をプリンタ部300からの制御信号に同期させてプリンタI/F115を介して印刷する。
【0113】
次に、S1010で、CPU111は、ユーザによって再印刷が指示された全ての画像データの再印刷が終了しているかどうかを判断する。複数の画像データに対して再印刷するように指示されている場合には、それら複数の画像データが全て再印刷されるまで、S1006〜S1009の処理を繰り返す。そして、再印刷を指示された全ての画像データの再印刷が終了しているとCPU111が判断した場合は図10に示す処理を終了する。
【0114】
以上に説明した制御によって、印刷した画像にモアレが発生しているか否かをユーザに確認し、モアレが発生していても、ユーザが容易に再印刷の指示を行うことができる。また、再印刷する際に、再印刷される画像データに対して、モアレの発生を防止できる誤差拡散処理を実行するように、CPU111が自動的に設定を行うため、ユーザは再印刷する画像データに対して誤差拡散処理を実行するように指定する必要がなくなる。
【0115】
<その他の実施形態>
上述した実施形態において、画像記憶メディアに記憶された画像データに対して、スクリーン処理を行うべきか、誤差拡散処理を行うべきか決定した場合、CPU111は次のように制御してもよい。CPU111は、当該画像データについて、スクリーン処理を行うべきか、誤差拡散処理を行うべきかを示す決定結果を、当該画像データに関連付けて画像記憶メディアに記憶する。これにより、一度、図6や図9に示す制御によってハーフトーンの種類を決定した画像データを再び画像記憶メディアから読み出して印刷する場合に、CPU111は当該画像データに関連付けて格納された決定結果に従ってハーフトーン処理の種類を決定する。それによって、一度、図6や図9に示す制御によって、実行すべきハーフトーン処理の種類が決定されている場合には、重複して図6や図9に示す処理を行わなくて済む。
【0116】
また、画像データが印刷されるシートに、当該画像データに対して実行したハーフトーン処理が、誤差拡散処理か、スクリーン処理かをユーザが識別できる情報を印刷してもよい。これにより、ユーザは、画像データに対してスクリーン処理が施されたために、モアレが発生したことを知ることができる。
【0117】
なお、上述の実施形態において、CPU111は、画像記憶メディアに記憶された画像データがスキャナによって読み取られた可能性が高い場合には、画像データに対して誤差拡散処理を施すように設定していた。ここで、CPU111は、誤差拡散処理に代えて、モアレの発生を抑制できるハーフトーン処理を画像データに対して実行するようにしてもよい。
【0118】
また、上述の実施形態においては、スクリーン処理や誤差拡散処理などのハーフトーン処理を、多値の画像データを2値化するものとして説明したが、3値化、4値化するものに適用しても良い。
【0119】
以下、図11に示すメモリマップを参照して本発明に係る画像処理装置で読み取り可能なデータ処理プログラムの構成について説明する。
【0120】
図11は、本発明に係る画像処理装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【0121】
なお、特に図示しないが、記憶媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバージョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0122】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記ディレクトリに管理されている。また、各種プログラムをコンピュータにインストールするためのプログラムや、インストールするプログラムが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0123】
本実施形態におけるフローチャートに示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0124】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0125】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0126】
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0127】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0128】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0129】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
【0130】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0131】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけではない。例えばそのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行う。そして、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0132】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込ませる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0133】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0134】
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
【符号の説明】
【0135】
100 制御装置
111 CPU
118 プリント画像処理部
138 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
前記画像処理装置に装着された記憶媒体から画像データを取得する取得手段と、
画像データに対して所定のスクリーン処理を実行する制御手段と、
前記記憶媒体が所定の種類の記憶媒体であるか否かを判定する判定手段とを有し、
前記制御手段は、前記判定手段によって前記記憶媒体が前記所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記取得手段によって取得された画像データに、当該画像データが撮影装置によって撮影された画像データであることを示す情報が関連付けられているか否かを判別する判別手段をさらに有し、
前記判別手段によって、前記取得手段によって取得された画像データに、当該画像データが撮影装置によって撮影された画像データであることを示す情報が関連付けられていないと判定され、且つ、前記判定手段によって前記記憶媒体が前記所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、前記制御手段は、前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記取得手段によって取得された画像データに対応するファイル名が、当該画像データの生成に応じて撮影装置によって自動的に付けられるファイル名であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって、前記取得手段によって取得された画像データに対応するファイル名が、当該画像データの生成に応じて撮影装置によって自動的に付けられるファイル名ではないと判定され、且つ、前記判定手段によって前記記憶媒体が前記所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、前記制御手段は、前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記所定のスクリーン処理及び誤差拡散処理を選択的に実行し、
前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しない場合に、前記画像データに対して前記誤差拡散処理を実行するよう制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データを印刷する印刷手段と、
前記取得手段によって取得された画像データを前記印刷手段によって印刷した場合に、前記印刷手段によって印刷された画像データの再印刷の指示を受付ける受付手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記受付手段によって前記再印刷の指示を受付けた場合に、前記再印刷の指示を受付けた画像データに対して誤差拡散処理を実行して印刷することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記所定の種類の記憶媒体は、USBフラッシュメモリを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置の制御方法であって、
前記画像処理装置に装着された記憶媒体から画像データを取得する取得工程と、
画像データに対して所定のスクリーン処理を実行する制御工程と、
前記記憶媒体が所定の種類の記憶媒体であるか否かを判定する判定工程とを有し、
前記制御工程では、前記判定工程で前記記憶媒体が前記所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記取得手段によって取得された画像データに、当該画像データが撮影装置によって撮影された画像データであることを示す情報が関連付けられているか否かを判別する判別工程をさらに有し、
前記判別工程で、前記取得工程で取得された画像データに、当該画像データが撮影装置によって撮影された画像データであることを示す情報が関連付けられていないと判定され、且つ、前記判定工程で前記記憶媒体が前記所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、前記制御工程では、前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記取得工程で取得された画像データに対応するファイル名が、当該画像データの生成に応じて撮影装置によって自動的に付けられるファイル名であるか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程で、前記取得工程で取得された画像データに対応するファイル名が、当該画像データの生成に応じて撮影装置によって自動的に付けられるファイル名ではないと判定され、且つ、前記判定工程で前記記憶媒体が前記所定の種類の記憶媒体であると判定された場合に、前記制御工程では、前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しないよう制御することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記制御工程では、前記所定のスクリーン処理及び誤差拡散処理を選択的に実行し、
前記画像データに対して前記所定のスクリーン処理を実行しない場合に、前記画像データに対して前記誤差拡散処理を実行するよう制御することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
画像データを印刷する印刷工程と、
前記取得工程で取得された画像データを前記印刷工程で印刷した場合に、前記印刷工程で印刷された画像データの再印刷の指示を受付ける受付工程とをさらに備え、
前記制御工程では、前記受付工程で前記再印刷の指示を受付けた場合に、前記再印刷の指示を受付けた画像データに対して誤差拡散処理を実行して印刷することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項12】
前記所定の種類の記憶媒体は、USBフラッシュメモリを含むことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれかに記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項7乃至12のいずれかに記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを記憶した、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−227941(P2012−227941A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140739(P2012−140739)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2008−162309(P2008−162309)の分割
【原出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】