説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】入力画像の各画素の画素値を量子化する際に生じた誤差を、各画素の周辺画素に拡散させる誤差拡散処理の際に、画像形成時に生じる濃度むらも補正する画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】濃度むらが生じていない場合及び濃度むらが生じている場合の画素の濃度差と、この濃度差を補正するための補正情報とが予め対応付けられている。このような情報に基づいて、濃度むら補正情報算出部38は、画像中の各画素の位置に対応する補正情報を算出する。一方、拡散係数格納部36は、領域識別信号及び乱数値に基づいて1組の拡散係数を選択し、拡散係数算出部35は、選択された拡散係数を、濃度むら補正情報算出部38が算出した補正情報に基づいて補正する。階調再現処理部29は、拡散係数算出部35が補正した拡散係数に基づいて算出された拡散誤差を用いた誤差拡散処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像の各画素の画素値を量子化する際に生じた誤差を、各画素の周辺の、量子化されていない画素に拡散させる誤差拡散処理を行なう画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OA(Office Automation)機器のデジタル化の急速な進展、また、カラー画像出力の需要の増大により、電子写真方式のデジタルカラー複写機、インクジェット方式又は熱転写方式のカラープリンタ等の出力機器が広く一般に普及している。これらの出力機器は、例えば、デジタルカメラ又はイメージスキャナ等の入力機器から入力された画像、コンピュータで作成された画像を出力する際に用いられる。また、これらの出力機器では、出力する画像に対して、各単色の階調特性を所望の特性に補正する処理が行なわれる場合が多い。
【0003】
所望の特性への補正処理は、例えば、用紙に印字された階調パッチを測定器で測定して得られる情報に基づいて生成される階調補正特性(補正用データ)を用いて実現される。具体的には、例えば、1枚の用紙の所定位置のそれぞれに、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれの単色について、所定の低濃度から所定の高濃度を含む所定パターンが形成された階調パッチを印字する。そして、印字された階調パッチを測定器で測定して得られた情報と、印字前の階調パッチの情報とに基づいて、階調補正特性を生成し、生成された階調補正特性を用いて補正処理が行なわれる。
【0004】
なお、階調パッチを印字する際には、複写又はプリンタ出力の際に行なわれる擬似階調再現処理を行なった画像データを印字してもよい。また、印字された階調パッチを測定器で測定する代わりに、印字された階調パッチをスキャナ等によって読み取り、得られた読取信号と、印字前の階調パッチの情報とに基づいて、階調補正特性を生成してもよい。
【0005】
ところで、用紙の一面に亘って、同一の濃度信号値(又は、その濃度信号値に対して擬似階調再現処理を行なった後の信号値)に基づく画像を印字した場合であっても、印字した画像を測定して得られる濃度情報が、必ずしも同一の濃度情報ではないことがある。特に電子写真方式のデジタルカラー複写機、プリンタ等では、露光、現像、転写、定着等を行なう各部の特性が、2次元の印字領域において同一の特性を持たないので、印字位置によって印字濃度のばらつきが発生し易い。このような状況において、上述したような補正処理を行なった場合に、適切な階調補正特性を生成できない虞があり、また、不適切な階調補正特性を用いることによって適切な補正処理が行なわれない虞がある。
【0006】
そこで、各画素の印字位置によらず、各画素の階調特性を所望の特性に補正できる画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された画像処理装置は、複数枚の用紙の全面に、それぞれ異なる階調の画像を形成し、それぞれをスキャナで読み取り、各画素の位置毎の輝度データを取得する。そして、各用紙の全面から読み取った輝度データに基づいて、各画素の位置毎の補正用データが生成される。このような補正用データを用いることにより、印字領域内のいずれの位置の画素に対しても、所望の特性に補正できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−324608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された画像処理装置は、複数枚の用紙にそれぞれ階調パッチ(異なる階調の画像)を印字し、また印字した各用紙を読み取る必要があるので、処理時間が長くなるという問題がある。また、特許文献1に開示された画像処理装置は、印字領域内の所定位置毎に、所定の低濃度から所定の高濃度までの各濃度信号に対応した補正用データを保持する必要があるので、多くの記憶領域を必要とするという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、各画素の位置毎に各画素の階調特性を所望の特性に補正することが可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、画像データに含まれる注目画素の画素値に対して量子化処理を行なう量子化処理部を備え、該量子化処理部による量子化処理によって生じる量子化誤差を前記注目画素の周辺画素に拡散させる画像処理装置において、画像データに基づいて出力される画像に生じる濃度むらを補正する際に用いる補正情報を算出する補正情報算出部と、該補正情報算出部が算出した補正情報に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させる際に用いる拡散係数を算出する拡散係数算出部と、該拡散係数算出部が算出した拡散係数、及び前記量子化誤差に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させるための拡散誤差を算出する拡散誤差算出部と、該拡散誤差算出部が算出した拡散誤差を前記周辺画素に拡散させる拡散処理部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、出力画像に生じる濃度むらを補正する際に用いる補正情報に基づいて、各注目画素に対して行なった量子化処理によって生じた量子化誤差を各注目画素の周辺画素に拡散させる際に用いる拡散係数が算出される。また、算出された拡散係数に基づいて、量子化誤差を周辺画素に拡散させるための拡散誤差が算出される。このような拡散誤差を用いることにより、出力画像に生じる濃度むらを抑制した誤差拡散処理が可能となる。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、所定の拡散係数を予め記憶している拡散係数記憶部を備え、前記拡散係数算出部は、前記量子化誤差が0以上の値である場合に、前記拡散係数記憶部に記憶されている拡散係数に、前記補正情報算出部が算出した補正情報に基づく補正量を加算し、前記量子化誤差が0未満の値である場合に、前記拡散係数記憶部に記憶されている拡散係数から、前記補正情報算出部が算出した補正情報に基づく補正量を減算し、前記拡散係数を補正するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、量子化誤差が0以上の値である場合、予め用意された拡散係数に補正情報に基づく補正量が加算され、量子化誤差が0未満の値である場合、予め用意された拡散係数から補正情報に基づく補正量が減算されることにより、拡散係数が補正される。このように補正された拡散係数に基づいて、誤差拡散処理に用いる拡散誤差が算出される。このように、量子化誤差が0以上の値であるか否かに応じて異なる拡散係数を用いて算出された拡散誤差によって誤差拡散処理を行なうことにより、同一の拡散係数を用いる場合と比較して、出力画像の濃度を意図的に変更できる。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記拡散係数記憶部は、複数の拡散係数を予め記憶しており、画像データに対して、各注目画素を、少なくとも網点領域及び写真領域を含む複数の領域に分離する領域分離処理を行なう領域分離処理部と、該領域分離処理部による処理結果に基づいて、前記拡散係数記憶部に記憶されている拡散係数のいずれかを選択する拡散係数選択部とを備え、前記拡散係数算出部は、前記拡散係数選択部が選択した拡散係数を補正するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、複数の拡散係数が予め記憶されており、画像データに対して行なった領域分離処理の処理結果に基づいて、いずれかの拡散係数が選択され、選択された拡散係数が補正されて拡散誤差の算出に用いられる。領域分離処理の処理結果に応じて異なる拡散係数を用い、この拡散係数に基づいて算出された拡散誤差によって誤差拡散処理を行なうことにより、各領域に適した誤差拡散処理が可能となる。
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、画像データに基づく画像中の一部の画素に対する補正情報を予め記憶している補正情報記憶部を備え、前記補正情報算出部は、前記補正情報記憶部に補正情報が記憶されていない画素に対する補正情報を、前記補正情報記憶部に記憶されている補正情報に基づいて算出するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、画像中の一部の画素に対する補正情報が予め記憶されており、補正情報が記憶されていない画素に対する補正情報は、予め記憶されている補正情報に基づいて補間処理によって算出される。よって、画像中の全ての画素に対する補正情報を予め記憶させておく場合と比較して、メモリ使用量を削減できる。
【0018】
本発明に係る画像処理装置は、画像データに基づく画像における複数の所定位置の画素に対する前記補正情報を受け付ける補正情報受付部を備え、前記補正情報記憶部は、前記補正情報受付部が受け付けた補正情報を記憶していることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、画像における複数の所定位置の画素に対する補正情報を外部から受け付けて補正情報記憶部に記憶させる。よって、例えば、使用者が補正情報を入力した場合、使用者の意図に応じた、濃度むらの補正処理が可能となる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、上述したいずれかの画像処理装置と、該画像処理装置で処理された画像データに基づく画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、画像中の各画素の位置毎に各画素の階調特性が所望の特性に補正され、濃度むらが抑制された出力画像を得ることができる。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、画像を読み取って画像データを取得する画像読取部と、前記画像形成部が所定の画像データに基づいて形成した画像における複数の所定位置の画素を前記画像読取部が読み取って得られた画素値に基づいて、前記補正情報を生成する生成部とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、画像形成部が実際に画像形成した画像から取得したデータに基づいて、画像に生じる濃度むらを補正するための補正情報が生成される。よって、実際の画像形成の状況を反映させた補正情報を用いることができるので、より適切な濃度むら補正処理が可能となる。また、出力画像の濃度は、階調補正処理(γ補正処理)によっても変更可能であるが、この場合、全ての入力値又は所定の複数の入力値に対する変換テーブルが必要となり、多くのメモリ使用量を要する。一方、本発明では、出力画像に生じる濃度むらの値と、各値に対する補正情報との対応関係を格納しておくことによって、画像から取得したデータに基づいて、出力画像に生じる濃度むらを補正するための補正情報を演算によって得られる。従って、階調補正処理によって出力画像の濃度を変更する場合と比較して、メモリ使用量を削減できる。
【0023】
本発明に係る画像処理方法は、画像データに含まれる注目画素の画素値に対して量子化処理を行なう画像処理装置が、量子化処理によって生じる量子化誤差を前記注目画素の周辺画素に拡散させる画像処理方法において、前記画像処理装置が、画像データに基づいて出力される画像に生じる濃度むらを補正する際に用いる補正情報を算出するステップと、前記画像処理装置が、算出した補正情報に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させる際に用いる拡散係数を算出するステップと、前記画像処理装置が、算出した拡散係数、及び前記量子化誤差に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させるための拡散誤差を算出するステップと、前記画像処理装置が、算出した拡散誤差を前記周辺画素に拡散させるステップとを含むことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、各画素の画素値を量子化する際に生じた誤差を、各画素の周辺画素に拡散させる誤差拡散処理を行なう際に、出力画像に生じる濃度むらを抑制し、各画素の階調特性を所望の特性に補正することができる。
【0025】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、画像データに含まれる注目画素の画素値に対して量子化処理を行なわせ、量子化処理によって生じる量子化誤差を前記注目画素の周辺画素に拡散させるためのコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータに、画像データに基づいて出力される画像に生じる濃度むらを補正する際に用いる補正情報を算出させるステップと、前記コンピュータに、算出された補正情報に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させる際に用いる拡散係数を算出させるステップと、前記コンピュータに、算出された拡散係数、及び前記量子化誤差に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させるための拡散誤差を算出させるステップと、前記コンピュータに、算出された拡散誤差を前記周辺画素に拡散させるステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、上述したコンピュータプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、上述した画像処理装置をコンピュータ上で実現することが可能となる。
【0026】
本発明に係る記録媒体は、上述したコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする。
本発明によれば、記録媒体に記録してあるコンピュータプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、上述した画像処理装置をコンピュータ上で実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、画像データに対して誤差拡散処理を行なう際に、出力画像に生じる濃度むらを抑制して、各画素の階調特性を所望の特性に補正することができ、高画質の出力画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】階調再現処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】拡散係数の例を示す模式図である。
【図4】拡散係数の例を示す模式図である。
【図5】補正情報の格納パターンを示す模式図である。
【図6】補正情報の格納パターンを示す模式図である。
【図7】補正情報の格納パターンを示す模式図である。
【図8】補正情報の自動設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】補正後の拡散係数の例を示す模式図である。
【図10】補正後の拡散係数の例を示す模式図である。
【図11】階調再現処理部による誤差拡散処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】階調再現処理部による誤差拡散処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明に係る画像処理装置をコンピュータシステムに適用した場合の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体について、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0030】
図1は本発明に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置100(例えば、デジタルカラー複写機)は、カラー画像入力装置1(画像読取部)、カラー画像処理装置2(画像処理装置)、カラー画像出力装置3(画像形成部)、各種操作を行なうための操作パネル4などを備える。カラー画像入力装置1で原稿を読み取ることにより得られたRGB(R:赤、G:緑、B:青)のアナログ信号の画像データは、カラー画像処理装置2へ出力され、カラー画像処理装置2で所定の処理が行なわれ、CMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:黒)のデジタルカラー信号としてカラー画像出力装置3へ出力される。
【0031】
カラー画像入力装置1は、例えば、CCD(Charged Coupled Device)を備えたスキャナであり、原稿画像からの反射光像をRGBのアナログ信号として読み取り、読み取ったRGB信号をカラー画像処理装置2へ出力する。また、カラー画像出力装置3は、原稿画像の画像データを、例えば記録紙上に出力する電子写真方式やインクジェット方式などを用いた画像形成手段である。カラー画像出力装置3は、このような画像形成手段に限らず、ディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0032】
カラー画像処理装置2は、A/D(アナログ/デジタル)変換部20、シェーディング補正部21、原稿種別判別部22、入力階調補正部23、領域分離処理部24、色補正部25、黒生成下色除去部26、空間フィルタ処理部27、出力階調補正部28、階調再現処理部29等を備え、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などにより構成される。
【0033】
A/D変換部20は、カラー画像入力装置1から入力されたRGB信号を、例えば、10ビットのデジタル信号に変換し、変換後のRGB信号をシェーディング補正部21へ出力する。
【0034】
シェーディング補正部21は、入力されたRGB信号に対して、カラー画像入力装置1の照明系、結像系、撮像系などで生じた各種の歪みを取り除く補正処理を行なう。また、シェーディング補正部21は、カラーバランスの調整を行ない、調整後のRGB信号を原稿種別判別部22へ出力する。
【0035】
原稿種別判別部22は、シェーディング補正部21にて各種の歪みが取り除かれ、カラーバランスの調整がなされたRGB信号(RGBの反射率信号)を濃度信号に変換するとともに、RGB信号に基づいて、入力された原稿画像の種別を判別する。具体的には、原稿種別判別部22は、入力された原稿画像が、文字原稿、印刷写真原稿、印画紙写真(連続階調領域)原稿、又はそれらを組み合わせた文字/印刷写真原稿などのいずれであるかを判別する。原稿種別判別部22は、原稿種別の判別結果を示す原稿種別判別信号を入力階調補正部23、領域分離処理部24、色補正部25、黒生成下色除去部26、空間フィルタ処理部27、階調再現処理部29へ出力する。また、原稿種別判別部22は、シェーディング補正部21から入力されたRGB信号をそのまま後段の入力階調補正部23へ出力する。なお、原稿種別判別部22が行なう具体的な処理の内容については後述する。
【0036】
入力階調補正部23は、入力されたRGB信号に対して、下地濃度の除去、及びコントラストの調整等の画質調整処理を行なう。なお、本実施形態の入力階調補正部23は、原稿種別判別信号が示す原稿種別に応じた処理をRGB信号に対して行なう。入力階調補正部23は、処理後のRGB信号を領域分離処理部24へ出力する。
【0037】
領域分離処理部24は、入力されたRGB信号に基づいて、入力された画像中の各画素を、例えば、文字領域、網点領域、写真領域、その他領域などのいずれかに分離する。なお、本実施形態の領域分離処理部24は、原稿種別判別信号が示す原稿種別に応じた各種閾値に基づく領域分離処理を行なう。領域分離処理部24は、分離結果に基づき、各画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、色補正部25、黒生成下色除去部26、空間フィルタ処理部27、及び階調再現処理部29へ出力する。また、領域分離処理部24は、入力階調補正部23から入力されたRGB信号をそのまま後段の色補正部25へ出力する。なお、領域分離処理部24が行なう具体的な処理の内容については後述する。
【0038】
色補正部25は、入力されたRGB信号をCMYの色空間に変換し、カラー画像出力装置3の特性に合わせて色補正を行ない、補正後のCMY信号を黒生成下色除去部26へ出力する。具体的には、色補正部25は、色再現の忠実化のために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りをCMY信号から取り除く処理を行なう。なお、本実施形態の色補正部25は、原稿種別判別信号が示す原稿種別や、領域識別信号が示す領域に応じた処理を行なう。
【0039】
黒生成下色除去部26は、色補正部25から入力されたCMY信号に対して、CMY信号から黒色(K)信号を生成する黒生成処理と、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理とを行なう。この結果、CMY3色のデジタル信号は、CMYK4色のデジタル信号(以下、CMYK信号という)に変換される。黒生成下色除去部26は、CMY信号を変換したCMYK信号を空間フィルタ処理部27へ出力する。なお、黒生成下色除去部26は、原稿種別判別信号が示す原稿種別や、領域識別信号が示す領域に応じた処理を行なう。
【0040】
黒生成下色除去部26が行なう黒生成処理の一例として、スケルトンブラックによる黒生成を行なう方法が用いられる。この方法では、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y、出力されるデータをC´,M´,Y´,K´、UCR(Under Color Removal )率をα(0<α<1)とすると、黒生成下色除去処理により出力されるデータはそれぞれ、下記の式で表わされる。
K´=f(min(C,M,Y))
C´=C−αK´
M´=M−αK´
Y´=Y−αK´
【0041】
ここで、UCR率α(0<α<1)とは、CMYが重なっている部分をKに置き換えてCMYをどの程度削減するかを示すものである。上記の式では、CMYの各信号強度の内の最も小さい信号強度に応じてK信号が生成されることを示している。
【0042】
空間フィルタ処理部27は、黒生成下色除去部26から入力されたCMYK信号の画像データに対して、原稿種別判別信号が示す原稿種別又は領域識別信号が示す領域に応じたデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行なう。これにより、画像データの空間周波数特性が補正され、カラー画像出力装置3における出力画像のぼやけ又は粒状性劣化を防止する。例えば、領域分離処理部24にて文字領域に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部27は、特に黒文字又は色文字の再現性を高めるために、高周波成分の強調量が大きいフィルタを用いて鮮鋭強調処理を行なう。また、領域分離処理部24にて網点領域に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部27は、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理を施す。空間フィルタ処理部27は、処理後のCMYK信号を出力階調補正部28へ出力する。
【0043】
出力階調補正部28は、空間フィルタ処理部27から入力されたCMYK信号に対して、カラー画像出力装置3の特性値に基づく出力階調補正処理を行ない、出力階調補正処理後のCMYK信号を階調再現処理部29へ出力する。
【0044】
階調再現処理部29は、出力階調補正部28から入力されたCMYK信号の画像データに対して、原稿種別判別信号が示す原稿種別又は領域識別信号が示す領域に応じた中間調処理を行なう。例えば、領域分離処理部24にて文字領域に分離された領域に対して、階調再現処理部29は、特に黒文字又は色文字の再現性を高めるため、カラー画像出力装置3における高周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンによる二値化処理又は多値化処理を行なう。
【0045】
また、領域分離処理部24にて網点領域に分離された領域に対して、階調再現処理部29は、最終的に画像を画素に分離して、それぞれの階調を再現できるように階調再現処理(中間調生成)を行なう。さらに、領域分離処理部24にて写真領域(印画紙写真)に分離された領域に対して、階調再現処理部29は、カラー画像出力装置3における階調再現性を重視したスクリーンによる二値化処理又は多値化処理を行なう。
【0046】
なお、領域分離処理部24にて網点領域に分離された領域に対して、空間フィルタ処理部27がローパス・フィルタ処理を施すのは、原稿画像の網点による一定の周期的な特性を持った画像データと、ディザ処理のような周期的な処理との間で発生するモアレを抑制するためである。従って、階調再現処理部29が誤差拡散処理を行なう場合、即ち、階調再現処理部29がディザ処理のような周期的な処理を行なわない場合、空間フィルタ処理部27はローパス・フィルタ処理を行なう必要がない。なお、このとき、空間フィルタ処理部27は、鮮鋭強調処理を行なってもよい。
【0047】
カラー画像処理装置2は、階調再現処理部29で処理された画像データ(CMYK信号)を記憶部(図示せず)に一旦記憶し、画像形成をする所定のタイミングで記憶部に記憶した画像データを読み出し、読み出した画像データをカラー画像出力装置3へ出力する。
【0048】
操作パネル4は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示部と設定ボタンなどより構成され、操作パネル4より入力された情報に基づいてカラー画像入力装置1、カラー画像処理装置2、カラー画像出力装置3の動作が制御される。
画像形成装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を備えており、画像形成装置100が行なう各種処理は、CPU又はDSPによって制御される。
【0049】
以下に、領域分離処理部24による領域分離処理について説明する。領域分離処理部24が行なう領域分離処理としては、例えば、特開2002−232708号公報に開示された方法を用いることができる。
この処理は、注目画素を含むn×m画素からなるブロック(例えば、15×15画素)毎に、それぞれのブロックにおける最小濃度値(最小画素値)及び最大濃度値(最大画素値)の差分である最大濃度差と、隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度とを算出し、予め定められた複数の閾値と比較することにより、下地領域・印画紙(写真)領域と、文字領域・網点領域とに分離する処理である。なお、以下の条件により、注目画素が下地領域、写真領域、文字領域又は網点領域のいずれの領域に含まれる画素であるかを判定することができる。
【0050】
(1)下地領域の濃度分布は、通常、濃度変化が少ないので、最大濃度差及び総和濃度繁雑度はともに非常に小さい値となる。
(2)写真領域の濃度分布は、滑らかに濃度変化するので、最大濃度差及び総和濃度繁雑度はともに小さい値となるが、下地領域の場合よりは多少大きい値となる。
(3)網点領域の濃度分布は、最大濃度差は網点の種類によりさまざまであるが、網点の数だけ濃度変化が存在するので、最大濃度差に対する総和濃度繁雑度の割合が大きくなる。よって、総和濃度繁雑度が、最大濃度差と文字・網点判定用の閾値(上記複数の閾値の1つ)との積よりも大きい場合には、注目画素が網点領域に含まれる画素であると判別することが可能である。
(4)文字領域の濃度分布は、最大濃度差が大きくなり、それに伴い総和濃度繁雑度も大きくなるが、網点領域よりも濃度変化が少ないので、網点領域よりも総和濃度繁雑度は小さくなる。よって、総和濃度繁雑度が、最大濃度差と文字・網点判定用の閾値との積よりも小さい場合には、注目画素が文字領域に含まれる画素であると判別することが可能である。
【0051】
次に、領域分離処理部24による具体的な処理内容について説明する。
(1)領域分離処理部24は、注目画素を含むブロック毎に算出した最大濃度差と最大濃度差閾値との比較、及び、算出した総和濃度繁雑度と総和濃度繁雑度閾値との比較を行なう。そして、最大濃度差が最大濃度差閾値よりも小さく、且つ、総和濃度繁雑度が総和濃度繁雑度閾値よりも小さいと判断した場合は、領域分離処理部24は、注目画素は下地領域又は写真領域であると判定し、それ以外の場合は、注目画素は文字領域又は網点領域であると判定する。
【0052】
(2)注目画素が下地領域又は写真領域であると判定した場合、領域分離処理部24は、算出した最大濃度差と下地・写真判定用の閾値との比較を行ない、最大濃度差が下地・写真判定用の閾値よりも小さければ下地領域であると判定し、最大濃度差が下地・写真判定用の閾値以上であれば写真領域であると判定する。
【0053】
(3)注目画素が文字領域又は網点領域であると判定した場合、領域分離処理部24は、算出した総和濃度繁雑度と、最大濃度差に文字・網点判定用の閾値を掛けた値との比較を行ない、総和濃度繁雑度の方が小さければ文字領域であると判定し、総和濃度繁雑度の方が大きければ網点領域であると判定する。
【0054】
以下に、原稿種別判別部22による原稿種別判別処理について説明する。原稿種別判別部22が行なう原稿種別判別処理としては、例えば、特開2002−232708号公報に開示された方法を用いることができる。原稿種別判別部22は、上記(1)〜(3)に示した領域分離処理と同様の処理を行ない、各画素を下地領域、印画紙(写真)領域、文字領域、網点領域にそれぞれ分離する。そして、原稿種別判別部22は、領域毎に、各領域に分離した画素数をカウントし、各領域に対して予め定められている閾値と比較することにより、原稿全体の種別を判定する。
【0055】
例えば、原稿全体の画素数に対して、文字領域に分離された画素数の比率が、文字領域用の閾値以上であり、原稿全体の画素数に対して、網点領域に分離された画素数の比率が、網点領域用の閾値以上である場合、原稿種別判別部22は、この原稿は文字/網点原稿(文字/印刷写真原稿)であると判定する。
【0056】
また、例えば、原稿全体の画素数に対して、文字領域に分離された画素数の比率と、網点領域に分離された画素数の比率と、印画紙領域に分離された画素数の比率とが、この順番で低くなっている場合、原稿種別判別部22は、文字領域の比率が全画素数の30%以上であれば文字原稿であると判定し、網点領域の比率が全画素数の20%以上であれば網点原稿(印刷写真原稿)であると判定し、印画紙領域の比率が全画素数の10%以上であれば印画紙写真原稿であると判定する。
【0057】
本実施形態の原稿種別判別部22は、シェーディング補正部21から入力された画像データに基づいて、入力画像の原稿種別を判別する。しかし、例えば、プレスキャン時に原稿から読み取られた画像データ、又は本スキャン時にカラー画像入力装置1によって原稿から読み取られ、ハードディスク等の記憶部(図示せず)に格納された画像データを用いて、原稿種別の判別処理を行なってもよい。
【0058】
上述した例では、原稿種別判別部22による原稿種別判別処理と、領域分離処理部24による領域分離処理とが同様の方法を用いている。しかしながら、原稿種別判別処理では原稿種別が判別できればよいので、明らかに、文字領域、網点領域、印画紙領域に分離された画素のみを使用して処理を行なってもよいし、処理に用いる画素を選択(サンプリング)して処理を行なってもよい。なお、本実施形態の領域分離処理部24は、原稿種別判別部22による判別結果(原稿種別判別信号)に応じて異なる閾値を用いて処理を行なうので、原稿種別に応じたより適切な領域分離処理が可能となる。
【0059】
本実施形態のカラー画像処理装置2は、カラー画像入力装置1が原稿から読み取った画像データに対して、領域分離処理部24にて分離された領域毎に、各領域の種類に応じた画像処理を行なう。また、カラー画像処理装置2は、カラー画像入力装置1が原稿から読み取った画像データに対して、原稿種別判別部22にて判別された原稿種別毎に、各原稿種別に応じた画像処理を行なう。これにより、より高画質な複写原稿が得られる。
【0060】
特に、本実施形態のカラー画像処理装置2では、階調再現処理部29が、領域分離処理部24にて各領域に分離された各画素に対して、それぞれの領域に応じた誤差拡散処理を行なう。以下に、本実施形態の階調再現処理部29について説明する。
【0061】
階調再現処理部29は、出力階調補正部28から入力されたCMYK信号(以下、入力画像データという)に対して、色成分毎に誤差拡散法を用いた中間調生成処理を行なう。なお、入力画像データは、CMYKの4つの色成分から構成されており、各色成分毎に複数の画素値(濃度値)を有する。階調再現処理部29は、各色成分の画素値に対する誤差拡散処理を、共通の回路を用いて順番に行なってもよいし、それぞれ異なる回路を用いて並列的に行なってもよい。なお、各色成分の画素値に対する誤差拡散処理は、ほぼ同様の処理であるので、以下の説明では1つの色成分の画素値に対する処理についてのみ説明し、他の色成分の画素値に対する処理については、異なる点のみ説明する。
【0062】
図2は階調再現処理部29の構成を示すブロック図である。本実施形態の階調再現処理部29は、加算器30、量子化閾値格納部31、量子化処理部32、量子化誤差算出部33、拡散誤差算出部34、拡散係数算出部35、拡散係数格納部36、乱数発生器37、濃度むら補正情報算出部38、濃度むら補正情報格納部39、蓄積誤差格納部40等を備える。階調再現処理部29が備える各部の動作は、画像形成装置100が備えるCPU又はDSPによって制御される。
階調再現処理部29において、出力階調補正部28から出力された入力画像データは、加算器30へ入力され、領域分離処理部24から出力された領域識別信号は、拡散係数格納部36へ入力される。
【0063】
加算器30には、入力画像データのほかに、蓄積誤差格納部40に格納されている蓄積誤差が入力される。蓄積誤差格納部40は、例えばRAM(Random Access Memory)を有しており、色成分毎に、入力画像データに基づく画像に含まれる各画素の位置に対応付けて、蓄積誤差を格納している。加算器30は、入力画像データの各色成分において、処理対象の各画素(注目画素)の画素値に、この画素の位置に対応する蓄積誤差を加算する。加算器30は、加算後の画素値を、量子化処理部32及び量子化誤差算出部33へ出力する。
【0064】
量子化処理部32には、加算器30から出力された画素値のほかに、量子化閾値格納部31に格納されている量子化閾値が入力される。量子化閾値格納部31は、例えばROM(Read Only Memory)を有しており、所定の量子化閾値を予め格納している。量子化処理部32は、比較器を有しており、蓄積誤差が加算された画素値と、量子化閾値格納部31から読み出された量子化閾値とを比較して量子化を行ない、得られた量子化値を、出力画像データの画素値として出力する。また、量子化処理部32は、量子化によって得られた量子化値を量子化誤差算出部33へ出力する。
【0065】
量子化誤差算出部33には、量子化処理部32へ入力される画素値と、量子化処理部32から出力される量子化値とが入力される。量子化誤差算出部33は、減算器を有しており、量子化前の画素値から、量子化後の量子化値を減算して差分(量子化誤差)を算出し、得られた量子化誤差を拡散誤差算出部34及び拡散係数算出部35へ出力する。
【0066】
拡散誤差算出部34には、量子化誤差と、後述する拡散係数算出部35によって算出された拡散係数とが入力される。詳細については後述するが、拡散係数は、各注目画素の量子化処理によって生じた量子化誤差を、注目画素の周辺画素に拡散させる際に用いる係数である。拡散係数は、注目画素の周囲の、量子化処理がまだ行なわれていない所定数の周辺画素のそれぞれに対する拡散係数、即ち、複数の拡散係数を1セット(1組)として使用される。拡散誤差算出部34は、乗算器を有しており、量子化誤差を、拡散係数算出部35によって算出された1組の拡散係数に含まれる各拡散係数に乗じることにより、注目画素の周辺の未処理の各画素に量子化誤差を拡散させるための拡散誤差を算出する。また、詳細については後述するが、拡散係数算出部35は、拡散係数格納部(拡散係数記憶部)36に格納されている拡散係数と、濃度むら補正情報算出部38によって算出された補正情報とに基づいて、拡散誤差算出部34が拡散誤差を算出する際に用いる拡散係数を算出する。
【0067】
拡散係数格納部36は、例えばROMを有しており、図3及び図4のA〜Dに示すような拡散係数の組(セット)を複数組格納している。図3及び図4は拡散係数の例を示す模式図である。図3は、領域分離処理部24にて網点領域に分離された画素に対して用いられる拡散係数の組の例を示しており、図4のA〜Dは、領域分離処理部24にて写真領域に分離された画素に対して用いられる拡散係数の組の例を示している。なお、本実施形態の拡散係数格納部36は、網点領域に分離された画素に用いる拡散係数として、図3に示す拡散係数を1組格納し、写真領域に分離された画素に用いる拡散係数として、図4のA〜Dに示す拡散係数を4組格納していることとする。拡散係数格納部36に格納される拡散係数及び拡散係数の数は、これに限らない。
【0068】
図3及び図4のA〜Dのそれぞれにおいて、横方向を原稿画像の主走査方向、縦方向を副走査方向とし、それぞれの四角は各画素を示し、ハッチングを付した画素は、量子化処理部32による量子化処理対象の画素(注目画素)を示す。
【0069】
拡散係数格納部36には、領域分離処理部24から出力された領域識別信号と、乱数発生器37によって発生された乱数値とが入力される。乱数発生器37は、各注目画素毎に乱数値を発生させ、拡散係数格納部36へ出力する。拡散係数格納部(拡散係数選択部)36は、入力された領域識別信号(領域分離結果)及び乱数値に基づいて、予め記憶してある複数組の拡散係数のうちから1組の拡散係数を選択し、拡散係数算出部35へ出力する。
【0070】
具体的には、領域識別信号が網点領域を示す場合は、拡散係数格納部36は、乱数値を用いず、網点領域用の拡散係数、即ち、図3に示した拡散係数を読み出して拡散係数算出部35へ出力する。なお、この場合の拡散係数は、CMYKの各色成分に対して共通に使用される。
【0071】
領域識別信号が写真(印画紙)領域を示す場合、拡散係数格納部36は、乱数発生器37が発生させた乱数値に応じて、写真領域用の拡散係数、即ち、図4のA〜Dに示した拡散係数のうちの1組を選択して拡散係数算出部35へ出力する。例えば、乱数発生器37が2ビット(0〜3)の乱数を発生させる構成の場合に、拡散係数格納部36は、0が発生すれば図4のAで示した拡散係数の組を選択し、1が発生すれば図4のBで示した拡散係数の組を選択し、2が発生すれば図4のCで示した拡散係数の組を選択し、3が発生すれば図4のDで示した拡散係数の組を選択する。なお、色成分毎に各別に乱数発生器37を設け、色成分毎に異なる乱数発生器37によって乱数値を発生させてもよいし、1つの乱数発生器37によって色成分毎の乱数値を発生させてもよい。これにより、色成分毎に異なる拡散係数の組が選択される。
【0072】
本実施形態の拡散係数格納部36は、領域識別信号が文字領域を示す場合、網点領域用の拡散係数を拡散係数算出部35へ出力し、領域識別信号が下地領域を示す場合、写真領域用の拡散係数を拡散係数算出部35へ出力する。なお、写真領域用の拡散係数を拡散係数算出部35へ出力する場合、拡散係数格納部36は、乱数発生器37が発生させた乱数値に応じた拡散係数を選択する。
これにより、本実施形態の階調再現処理部29では、文字領域に分離された各画素に対しては、網点領域に分離された各画素と同様の誤差拡散処理が施され、下地領域に分離された各画素に対しては、写真領域に分離された各画素と同様の誤差拡散処理が施される。なお、文字領域用の拡散係数、及び下地領域用の拡散係数を別途に用意しておいてもよく、この場合、拡散係数格納部36は、領域識別信号が示す各領域に応じた拡散係数を選択して拡散係数算出部35へ出力する。
【0073】
写真領域に分離された各画素に対して行なう処理のように、拡散係数を注目画素毎にランダムに切り換えた場合、拡散係数を固定した場合と比較して、注目画素毎に、注目画素の周辺の各周辺画素に拡散される拡散誤差の割合が変動する。また、色成分毎に異なる乱数値に基づいて拡散係数を選択する場合には、各注目画素の色成分毎に、注目画素の周辺の各周辺画素に拡散される拡散誤差の割合が変動する。この場合、写真領域において、過剰なドットの重なりを抑制することができるので、画質の劣化を防止できる。
【0074】
一方、拡散係数を固定した場合、拡散係数を注目画素毎に切り換える場合と比較して、注目画素の周辺の各周辺画素に拡散される拡散誤差の割合は一定となる。この場合、画像中の網点と網点との間の画素値の低い部分にドットが出力されることが抑制され、また、網点を形成する画素値の高い部分にドットが出力されないことが抑制される。よって、網点領域の画質の劣化を防止できる。なお、本実施形態の階調再現処理部29は、中間調処理として、ディザ処理のような周期的な処理ではなく、周期性のない誤差拡散処理を行なうので、網点と周期的な処理とにより生じるようなモアレは発生しない。
【0075】
上述したように、本実施形態の拡散係数格納部36は、領域分離結果(領域識別信号)に基づいて1組の拡散係数を選択する構成であるが、領域分離結果の代わりに、原稿種別判別結果(原稿種別判別信号)に基づいて拡散係数を選択する構成としてもよい。具体的には、例えば、印画紙写真原稿又は文字/印画紙写真原稿と判別された場合、拡散係数格納部36は、図4のA〜Dに示した拡散係数の組のうちから、乱数発生器37が発生させた乱数値に応じた1組の拡散係数を選択してもよい。また、文字原稿、印刷写真原稿(網点原稿)又は文字/印刷写真原稿と判別された場合、拡散係数格納部36は、図3に示した拡散係数を選択してもよい。
【0076】
濃度むら補正情報格納部39は、例えば、RAMを有しており、128の画素値に基づいて出力される画素の濃度(画素値)において、濃度むらが生じていない場合及び濃度むらが生じている場合の濃度差と、ここでの濃度むらを補正するための補正情報とを対応付けて格納している。より具体的には、補正情報は、128の画素値に基づいて出力される画素の、濃度むら補正処理がなされていない状態での色と、濃度むら補正処理の目標とする色とにおいて、L表色系(CIE1976L信号、CIE:Commission Internationale de l'Eclairage:国際照明委員会、L:明度、a・b:色度)におけるL、a、bの差分ΔE(色差、濃度差)に相当し、目標とする色が、濃度むら補正処理がなされていない状態での色よりも濃い場合には正の値となり、目標とする色が薄い場合には負の値となる。
【0077】
濃度むら補正情報算出部(補正情報記憶部)38は、画像データに基づいて出力される画像中の各画素の位置と、各画素に対する補正情報とを対応付けて記憶している。本実施形態の濃度むら補正情報算出部38は、原稿中の各画素の位置に対応する補正情報を、操作パネル4を介した使用者からの入力によって設定(記憶)し、又は、カラー画像出力装置3によって出力された画像をカラー画像入力装置1によって読み取って得られた画像データと、濃度むら補正情報格納部39に格納されている情報とに基づく演算処理によって自動的に設定(記憶)する。なお、濃度むら補正情報算出部38による補正情報の設定処理については後述する。
【0078】
濃度むら補正情報算出部38は、使用者から受け付けた入力、又は所定の演算処理によって、図5〜図7のいずれかに示すような、原稿中の各画素の位置に対応する補正情報を取得し、記憶(設定)している。図5〜図7は補正情報の格納パターンを示す模式図である。図5〜図7には、カラー画像出力装置3により出力可能な最大サイズの用紙が示されており、用紙中の各画素の位置と、補正情報との対応パターンを示している。
【0079】
図5のパターンでは、それぞれの四角が、複数画素からなるブロックを示しており、用紙全体が複数のブロックに区切られ、濃度むら補正情報算出部38は、ブロック毎に、対応する補正情報を設定(記憶)している。この場合、各ブロック内の全ての画素に対しては同一の補正情報が用いられる。図5に示すようにブロック毎に補正情報が設定されている場合、濃度むら補正情報算出部38は、注目画素(処理対象の画素)の位置を示す位置情報に基づいて、注目画素を含むブロックに対応する補正情報を読み出して拡散係数算出部35へ出力する。
【0080】
図6のパターンでは、黒四角が画像中の1つの画素を示しており、濃度むら補正情報算出部38は、黒四角で示す位置の画素(画像中の一部の画素)に対応する補正情報のみを設定している。具体的には、主走査方向に所定位置で、且つ副走査方向に所定位置にある画素に対応する補正情報のみが設定されている。図6に示すように所定位置の画素に対する補正情報のみが設定されている場合、濃度むら補正情報算出部38は、注目画素が、黒四角で示す位置の画素であれば、注目画素に対応する補正情報を、予め設定(記憶)された補正情報から読み出して拡散係数算出部35へ出力する。また、濃度むら補正情報算出部38は、注目画素が、黒四角で示す位置の画素ではない場合、注目画素に対応する補正情報を、注目画素の近傍の、黒四角で示す4画素に対応する補正情報から補間処理によって算出して拡散係数算出部35へ出力する。ここではどのような補間処理を用いてもよい。また、注目画素を取り囲む位置に、黒四角で示す4画素がない場合、即ち、注目画素が、用紙の周縁部分の領域の画素である場合、この注目画素に対応する補正情報を外挿により算出すればよい。
【0081】
図7のパターンでは、それぞれの破線が主走査方向の所定位置を示しており、濃度むら補正情報算出部38は、破線上に位置する画素(画像中の一部の画素)に対応する補正情報のみを設定している。なお、この場合、主走査方向の位置が同一の画素に対しては同一の補正情報が用いられる。図7に示すように主走査方向に所定位置の画素に対する補正情報のみが設定されている場合、濃度むら補正情報算出部38は、注目画素が、破線上の画素であれば、注目画素に対応する補正情報を、予め設定(記憶)された補正情報から読み出して拡散係数算出部35へ出力する。また、濃度むら補正情報算出部38は、注目画素が、破線上の画素ではない場合、注目画素に対応する補正情報を、注目画素の主走査方向の近傍の2画素に対応する補正情報から補間処理によって算出して拡散係数算出部35へ出力する。なお、注目画素が、2本の破線に挟まれる位置にない場合、即ち、注目画素が、用紙の主走査方向の周縁部分の領域の画素である場合、この注目画素に対応する補正情報を外挿により算出すればよい。
【0082】
以下に、図7に示したパターンで補正情報が設定されている場合に、濃度むら補正情報算出部38が行なう補正情報の算出処理の具体例について説明する。図7において、主走査方向x0の位置の画素に対する補正情報(濃度調整値)として−2が設定され、主走査方向x1の位置の画素に対する補正情報として0が設定されている場合について説明する。なお、ここでは、補正情報を−10から+10までの整数値とする。
【0083】
注目画素が主走査方向x0の位置の画素である場合、濃度むら補正情報算出部38は、この注目画素に対応する補正情報として−2を拡散係数算出部35へ出力する。また、注目画素が、主走査方向x0の画素よりも主走査方向の値が小さい画素である場合(即ち、主走査方向x0よりも左側の画素である場合)、濃度むら補正情報算出部38は、主走査方向x0の画素に対する補正情報―2と、主走査方向x1の画素に対する補正情報0とに基づいて、外挿処理によって、−2よりも小さく、主走査方向x0から離れるほど絶対値が大きくなる補正情報を算出する。また、注目画素が、主走査方向x0とx1との間の画素である場合、濃度むら補正情報算出部38は、主走査方向x0の画素に対する補正情報―2と、主走査方向x1の画素に対する補正情報0とに基づいて、補間処理によって、−2よりも大きく0よりも小さい値となる補正情報を算出する。なお、このとき、補正情報の増加量が、主走査方向x0からの距離に比例するような補正情報が算出される。
なお、濃度むら補正情報算出部38は、主走査方向x1よりも右側の画素に対する補正情報についても同様に、補間処理又は外挿処理によって算出する。
【0084】
次に濃度むら補正情報算出部38による補正情報の設定処理について説明する。上述したように、本実施形態の濃度むら補正情報算出部38は、原稿中の各画素の位置に対応する補正情報を、使用者からの入力に基づいて設定するか、所定の演算処理によって自動的に設定する。
まず、使用者からの入力に基づく補正情報の設定処理について説明する。
【0085】
複写原稿に発生する濃度むらを適切に補正するための補正情報を設定したい場合、使用者は、操作パネル(補正情報受付部)4に対して所定の操作を行なうことにより、画像形成装置100を濃度むら補正モードに設定する。濃度むら補正モードの画像形成装置100において、使用者は、図5〜図7に示したパターンのいずれかを選択でき、選択したパターンで補正情報が設定される。
【0086】
濃度むら補正モードで動作中の画像形成装置100は、用紙の全面に、128の画素値に基づく画像をカラー画像出力装置3にて出力する。なお、画像形成装置100は、使用者が選択した図5〜図7のいずれかのパターンに応じた画像を出力する。具体的には、図5に示したパターンが選択されている場合、用紙の全面に画像が形成され、図6に示したパターンが選択されている場合、図6中に黒四角で示した位置及びその周辺の所定画素に基づく画像のみが形成され、図7に示したパターンが選択されている場合、図7中に破線で示した主走査方向の位置の画素に基づく画像のみが形成される。図6又は図7に示したパターンが選択された場合、設定すべき補正情報に対応する画素のみ画像出力すればよいので画像の一部のみを形成するようにしてあるが、図6又は図7に示したパターンが選択された場合であっても、用紙全面に画像を形成してもよい。
【0087】
使用者は、出力された形成画像(濃度むらが発生している画像)と、濃度むらが発生していない状態で128の画素値に基づいて出力された見本画像とを比較し、濃度むらが十分に補正されておらず、補正量(補正情報)を変更したい位置に対する補正情報を入力する。なお、使用者は、図5に示したパターンが選択されている場合、ブロック毎に補正情報を入力し、図6に示したパターンが選択されている場合、各位置の画素毎に補正情報を入力し、図7に示したパターンが選択されている場合、主走査方向の各位置毎に補正情報を入力する。また、使用者は、例えば、−10から+10までの整数値を補正情報として入力する。その際、使用者は、例えば、補正情報としての各整数値と、各整数値に応じて補正される濃度むらの補正度合との関係を示したデータを参照しながら入力する。なお、以下で説明するように、補正情報を自動設定する場合、補正情報は整数値だけでなく、小数も含めるようにしてもよい。
【0088】
濃度むら補正情報算出部38は、ブロック毎に、各位置の画素毎に、又は主走査方向の各位置毎に入力された補正情報を、各ブロック、各画素の位置、又は主走査方向の各位置に対応付けて記憶(設定)する。これにより、使用者の意図に応じた補正情報が設定できるので、使用者の意図に応じた濃度むらの補正処理が可能となる。
【0089】
次に、所定の演算処理による補正情報の自動設定処理について説明する。図8は補正情報の自動設定処理の手順を示すフローチャートである。所定の演算処理によって補正情報を自動的に設定する場合も、使用者は、操作パネル4に対して所定の操作を行なうことにより、画像形成装置100を濃度むら補正モードに設定する。また、使用者は、図5〜図7に示したパターンのいずれかを選択する。
【0090】
使用者が操作パネル4を介して濃度むら補正モードの設定を選択した場合、画像形成装置100は、自身の動作モードを濃度むら補正モードに切り替える(S1)。使用者が操作パネル4を介して補正情報の格納パターンを選択した場合、具体的には、図5〜図7に示したパターンのいずれかを選択した場合、画像形成装置100は、格納パターンの選択を受け付ける(S2)。
【0091】
次に、画像形成装置100は、全画素値が128の画像データ(サンプル画像データ)に対して、カラー画像処理装置2にて階調補正処理及び誤差拡散処理等を行ない、処理後の画像データに基づく画像(サンプル画像)をカラー画像出力装置3にて出力する(S3)。なお、階調補正処理は、形成画像を所定の階調特性に補正するための階調補正曲線(トーンカーブ)が設定された出力階調補正部28にて行なわれ、誤差拡散処理は、例えば、図4に示した拡散係数、即ち、領域分離結果が写真領域であった場合に用いる拡散係数を用いて階調再現処理部29にて行なわれる。画像形成装置100は、図示しない記憶部にサンプル画像データを予め記憶させておく。
【0092】
なお、画像形成装置100は、ステップS2で選択された図5〜図7のいずれかのパターンに応じた画像を出力すればよい。具体的には、画像形成装置100は、図5に示したパターンが選択されている場合、用紙の全面に画像を形成し、図6に示したパターンが選択されている場合、図6中に黒四角で示した位置及びその周辺の所定画素に基づく画像のみを形成し、図7に示したパターンが選択されている場合、図7中に破線で示した主走査方向の位置の画素に基づく画像のみを形成する。
【0093】
画像形成装置100は、このように出力されたサンプル画像をカラー画像入力装置1で読み取る(S4)。なお、この際、使用者は、出力された用紙をカラー画像入力装置1の所定の原稿載置台に載置し、所定の操作ボタン(例えば、スタートボタン)を操作する必要がある。
カラー画像入力装置1が読み取った画像データ(RGB信号)は、例えば、カラー画像処理装置2の階調再現処理部29へ入力され、階調再現処理部29の濃度むら補正情報算出部(生成部)38が、カラー画像入力装置1が読み取った画像データと、元のサンプル画像データとを比較し、ブロック毎、所定位置の画素毎、又は主走査方向の所定位置毎の補正情報を設定する(S5)。
【0094】
具体的には、ステップS2で図7に示したパターンが選択されている場合、濃度むら補正情報算出部38は、カラー画像入力装置1が読み取った画像データにおいて、図7中の同一の破線上の各画素と、各画素のそれぞれの主走査方向左側の5画素と、右側の5画素との画素値(R値、G値、B値のいずれか)の合計値を算出する。濃度むら補正情報算出部38は、例えば、出力色がシアンであった画素についてはR信号の合計値を算出し、出力色がマゼンタ又はブラックであった画素についてはG信号の合計値を算出し、出力色がイエローであった画素についてはB信号の合計値を算出する。
【0095】
濃度むら補正情報算出部38は、算出した合計値と、濃度むらが発生していない場合に得られる予定の合計値とを比較し、その差分(濃度差)を算出する。そして、濃度むら補正情報算出部38は、算出した濃度差に対応する補正情報を、濃度むら補正情報格納部39から読み出し、各画素の主走査方向の位置を示す位置情報に対応付けて、読み出した補正情報を設定(記憶)する。なお、濃度むら補正情報格納部39は、上述したように、各濃度差に応じた補正情報を予め格納している。
【0096】
また、ステップS2で図5に示したパターンが選択されている場合、濃度むら補正情報算出部38は、カラー画像入力装置1が読み取った画像データにおいて、図5中の各ブロックに含まれる画素の画素値(R値、G値、B値のいずれか)の合計値を算出する。濃度むら補正情報算出部38は、例えば、各ブロックの画素の出力色がシアンであった場合、各ブロックに含まれる画素のR信号の合計値を算出する。また、濃度むら補正情報算出部38は、各ブロックの画素の出力色がマゼンタ又はブラックであった場合、各ブロックに含まれる画素のG信号の合計値を算出する。また、濃度むら補正情報算出部38は、各ブロックの画素の出力色がイエローであった場合、各ブロックに含まれる画素のB信号の合計値を算出する。そして、濃度むら補正情報算出部38は、算出した合計値と、濃度むらが発生していない場合に得られる予定の合計値とを比較し、その差分(濃度差)に対応する補正情報を、濃度むら補正情報格納部39から読み出し、各ブロックの位置を示す位置情報に対応付けて設定する。
【0097】
また、ステップS2で図6に示したパターンが選択されている場合、濃度むら補正情報算出部38は、カラー画像入力装置1が読み取った画像データ中の、図6中の黒四角で示す位置の各画素及びその周辺画素の画素値の合計値と、濃度むらが発生していない場合に得られる予定の画素値の合計値とを比較する。そして、濃度むら補正情報算出部38は、その差分(濃度差)に対応する補正情報を、濃度むら補正情報格納部39から読み出し、各画素の位置を示す位置情報に対応付けて設定する。なお、濃度むら補正情報算出部38は、それぞれの画素の画素値だけでなく、その周辺の所定数の画素の画素値に基づいて補正情報を設定してもよい。
【0098】
濃度むら補正情報算出部38は、ステップS2で選択されたパターンに応じて、補正情報を設定すべき全ての画素に対する処理が終了したか否かを判断する(S6)。具体的には、ステップS2で図5に示したパターンが選択されている場合、濃度むら補正情報算出部38は、全てのブロックに対して上述した処理を行なったか否かを判断する。また、濃度むら補正情報算出部38は、ステップS2で図6に示したパターンが選択されている場合、所定位置の各画素に対して上述した処理を行なったか否かを判断し、ステップS2で図7に示したパターンが選択されている場合、主走査方向の各位置に対して上述した処理を行なったか否かを判断する。
【0099】
全ての画素に対する処理が終了していないと判断した場合(S6:NO)、濃度むら補正情報算出部38は、ステップS5に処理を戻し、未処理の画素に対する処理を繰り返す。濃度むら補正情報算出部38が、全ての画素に対する処理が終了したと判断した場合(S6:YES)、画像形成装置100は、補正情報の自動設定処理を終了する。
これにより、使用者が選択した格納パターンでの補正情報の設定が可能となる。また、実際に出力した画像に基づいて補正情報が設定されるので、実際の画像形成の状況を反映させた補正情報の設定が可能となり、より適切な濃度むらの補正処理が可能となる。
【0100】
次に、図2の説明に戻り、拡散係数算出部35、拡散誤差算出部34及び蓄積誤差格納部40について説明する。
拡散係数算出部35は、拡散係数格納部36に格納されている拡散係数を、濃度むら補正情報算出部38によって算出された補正情報に基づいて補正し、補正後の拡散係数を拡散誤差算出部34へ出力する。なお、濃度むら補正情報算出部38は、上述したように設定した各画素に対する補正情報のうちで、加算器30の処理対象である注目画素に対応する補正情報を拡散係数算出部35へ出力する。
【0101】
本実施形態の拡散係数算出部35は、まず、拡散係数を補正するための補正量(以下では、補正量aともいう)を、濃度むら補正情報算出部38によって算出された補正情報(以下では、補正情報yともいう)に基づいて算出する。例えば、拡散係数算出部35は、濃度むら補正情報算出部38によって算出された補正情報yに基づいて、拡散係数を補正する際の補正量a(a=5y/64)を算出する。
【0102】
そして、拡散係数算出部35は、量子化誤差算出部33によって算出された量子化誤差が0以上の値である場合(即ち、量子化誤差が0又は正の値である場合)、拡散係数格納部36から読み出された拡散係数の組において、この組に含まれる拡散係数のうちの所定の拡散係数(所定の画素に対応する拡散係数)に、算出した補正量aを加算し、拡散係数を補正する。また、拡散係数算出部35は、量子化誤差算出部33によって算出された量子化誤差が0未満の値である場合(即ち、量子化誤差が負の値である場合)、拡散係数格納部36から読み出された拡散係数の組において、この組に含まれる拡散係数のうちの所定の拡散係数(所定の画素に対応する拡散係数)から、算出した補正量aを減算し、拡散係数を補正する。
【0103】
図9及び図10は拡散係数算出部35による補正後の拡散係数の例を示す模式図である。図9に示した例は、図3に示した拡散係数の補正後の例であり、図9のAに示した例は、量子化誤差が0以上であった場合の例であり、図9のBに示した例は、量子化誤差が0未満であった場合の例である。また、図10のA,Bとしてそれぞれ縦に示した4つの例はそれぞれ、図4のA〜Dに示した4つの拡散係数の補正後の例であり、図10のAに示した4つの例は、量子化誤差が0以上であった場合の例であり、図10のBに示した4つの例は、量子化誤差が0未満であった場合の例である。
【0104】
図9及び図10に示した例では、濃度むら補正情報算出部38によって算出された補正情報yに基づく補正量aによって、注目画素の主走査方向右隣の画素に対する拡散係数のみが補正されている。しかし、この構成に限らず、注目画素の周辺の複数画素に対する拡散係数を補正してもよい。この場合、複写画像に生じる濃度むらを補正するための補正量を、複数の画素に分散させることができる。
【0105】
以下に、拡散係数算出部35が拡散係数を補正する際の具体的な処理について説明する。例えば、注目画素が文字領域又は網点領域に分離された画素である場合、図3に示す拡散係数の組が拡散係数格納部36から拡散係数算出部35へ入力される。また、濃度むら補正情報算出部38から入力された補正情報yが−2であった場合、拡散係数算出部35は、補正量a(−10/64)を算出する。そして、拡散係数算出部35は、量子化誤差が0以上の値であった場合、注目画素の右隣の画素に対する拡散係数(7/16)に補正量a(−10/64)を加算し、量子化誤差が0未満の値であった場合、注目画素の右隣の画素に対する拡散係数(7/16)から補正量a(−10/64)を減算する。これにより、図9のA又はBに示すような拡散係数の組が得られ、拡散係数算出部35は、算出した補正後の拡散係数の組を拡散誤差算出部34へ出力する。
【0106】
また、注目画素が写真領域に分離された画素である場合、乱数発生器37が発生した乱数値に応じて、図4のA〜Dのいずれかに示す拡散係数の組が拡散係数格納部36から拡散係数算出部35へ入力される。図4のAに示す拡散係数の組が入力され、濃度むら補正情報算出部38から入力された補正情報が−2であった場合、拡散係数算出部35は、補正量a(−10/64)を算出する。そして、拡散係数算出部35は、量子化誤差が0以上の値であった場合、注目画素の右隣の画素に対する拡散係数(15/64)に補正量a(−10/64)を加算し、量子化誤差が0未満の値であった場合、注目画素の右隣の画素に対する拡散係数(15/64)から補正量a(−10/64)を減算する。これにより、図10のA又はBの最上段に示すような拡散係数の組が得られ、拡散係数算出部35は、算出した補正後の拡散係数の組を拡散誤差算出部34へ出力する。
【0107】
上述した処理により、補正情報yが正の値であり、濃度を上げる必要がある注目画素に対しては、量子化誤差が0以上であれば、注目画素の右隣の画素に対する拡散誤差が増えるように、右隣の画素に対応する拡散係数に補正量a(5y/64)を加算する。一方、量子化誤差が0未満であれば、注目画素の右隣の画素に対する、負の値の拡散誤差の絶対値を減らすように、右隣の画素に対応する拡散係数から補正量a(5y/64)を減算、換言すれば、右隣の画素に対応する拡散係数に(−a)の補正量(−5y/64)を加算する。また、補正情報yが負の値であり、濃度を下げる必要がある注目画素に対しては、量子化誤差が0以上であれば、注目画素の右隣の画素に対する拡散誤差を減らすように、右隣の画素に対応する拡散係数に補正量a(5y/64)を加算する。一方、量子化誤差が0未満であれば、注目画素の右隣の画素に対する、負の値の拡散誤差の絶対値を増やすように、右隣の画素に対応する拡散係数から補正量a(5y/64)を減算、換言すれば、右隣の画素に対応する拡散係数に(−a)の補正量(−5y/64)を加算する。
【0108】
これにより、画素値128に基づいて出力される画素については、補正情報yに基づいて拡散係数が制御されるので適切な濃度に近付けられた出力画像を実現できる。また、128以外の画素値に基づいて出力される画素については、画素値が128から離れるほど濃度の補正程度は小さくなるが、適切な濃度に近付けられた出力画像を実現できる。
【0109】
拡散誤差算出部34は、上述した処理によって拡散係数算出部35が算出した1組の拡散係数に含まれる各拡散係数に、量子化誤差算出部33から入力された量子化誤差をそれぞれ乗じる。その結果、注目画素に対する量子化処理によって生じた量子化誤差を、注目画素の周辺の所定の各画素に拡散させるための拡散誤差が算出される。なお、量子化誤差が0である場合は、いずれの拡散係数を用いた場合であっても、拡散誤差は0となる。
【0110】
拡散誤差算出部34は、注目画素の周辺画素のそれぞれを示す位置情報に対応付けて、周辺画素毎に算出した拡散誤差を蓄積誤差格納部40へ出力する。蓄積誤差格納部40は、各画素の位置情報に基づいて、各画素に対して拡散誤差算出部34が算出した拡散誤差を蓄積する。具体的には、蓄積誤差格納部40は、画像中の注目画素が順次切り替えられることによって順次算出される、各注目画素の周辺画素に対する拡散誤差を、それぞれの画素毎に加算していく。そして、蓄積誤差格納部40は、加算器30が処理する画素(注目画素)に対して蓄積しておいた拡散誤差(蓄積誤差)を加算器30へ出力する。これにより、加算器30は、各画素について蓄積された拡散誤差を、入力画像データ中の各画素に加算することができる。なお、このように蓄積された蓄積誤差は、量子化処理によって発生した量子化誤差を拡散させるための成分だけでなく、形成画像に生じる濃度むらを補正するための成分も含んでいる。従って、本実施形態の階調再現処理部29による誤差拡散処理は、量子化誤差を注目画素の周辺画素に拡散させるだけでなく、形成画像に生じる濃度むらも補正できる。
【0111】
上述したように、階調再現処理部29において、拡散係数格納部36は、領域分離結果(領域識別信号)に基づいて、誤差拡散処理に用いる拡散係数を決定しており、これにより、階調再現処理部29は、領域分離結果に基づく誤差拡散処理を行なっていた。しかし、拡散係数格納部36は、領域分離結果の代わりに、原稿種別判別結果(原稿種別判別信号)に基づいて、誤差拡散処理に用いる拡散係数を決定してもよい。具体的には、例えば、原稿種別判別部22にて文字原稿、印刷写真原稿(網点原稿)又は文字/印刷写真原稿であると判別された場合、拡散係数格納部36は、図3に示した拡散係数の組を選択すればよい。また、原稿種別判別部22にて印画紙写真原稿又は文字/印画紙写真原稿であると判別された場合、拡散係数格納部36は、乱数発生器37が発生させた乱数値に応じて、図4のA〜Dのいずれかに示した拡散係数の組を選択すればよい。この場合、階調再現処理部29は、原稿種別判別結果に基づく誤差拡散処理を行なうことができる。
【0112】
次に、上述した各部を有する階調再現処理部29による誤差拡散処理についてフローチャートに基づいて説明する。図11及び図12は階調再現処理部29による誤差拡散処理の手順を示すフローチャートである。画像形成装置100を使用する使用者は、操作パネル4に対して所定操作を行なうことにより、形成画像に生じる濃度むらを補正する処理を画像形成装置100に行なわせるか否かを指示できる。画像形成装置100は、カラー画像入力装置1によって原稿から読み取った画像データに基づいて、カラー画像出力装置3によって複写画像を出力する際に、濃度むらの補正処理を行なうか否かを示すフラグaを有する。
【0113】
画像処理装置100は、階調再現処理部29による誤差拡散処理が行なわれる際に、フラグaを0に初期化する(S11)。そして、画像形成装置100は、使用者によって濃度むらの補正処理の実行が指示されたか否かを判断し(S12)、実行が指示されている場合(S12:YES)、フラグaを1にセットする(S13)。実行が指示されていない場合(S12:NO)、画像形成装置100は、ステップS13の処理をスキップする。
【0114】
誤差拡散処理を行なう階調再現処理部29において、加算器30は、入力画像データに対して、各注目画素の画素値に、各注目画素に対応して蓄積誤差格納部40に蓄積してある蓄積誤差を加算する(S14)。次に、量子化処理部32が、加算器30によって算出された画素値に対して、量子化閾値格納部31に格納してある量子化閾値に基づく量子化処理を行なう(S15)。また量子化誤差算出部33が、量子化処理部32による量子化処理によって生じた量子化誤差を算出する(S16)。
【0115】
一方、拡散係数格納部36は、領域分離処理部24から取得した領域識別信号、及び必要に応じて乱数発生器37が発生させた乱数値に応じて、1組の拡散係数を選択する(S17)。画像形成装置100(階調再現処理部29)は、フラグaの値が1であるか否かを判断する(S18)。フラグaの値が1である場合(S18:YES)、拡散係数算出部35は、ステップS16で算出された量子化誤差が0以上の値であるか否か、及び、注目画素の位置における補正情報yに基づく補正量aに基づいて、ステップS17で選択された拡散係数を補正する(S19)。
【0116】
次に、拡散誤差算出部34が、ステップS19で補正された拡散係数と、ステップS16で算出された量子化誤差とに基づいて、注目画素の周辺の各画素に量子化誤差を拡散させるための拡散誤差を算出する(S20)。なお、ステップS18でフラグaの値が1でない場合(S18:NO)、ステップS19の処理はスキップされ、拡散誤差算出部34は、ステップS17で選択された拡散係数と、ステップS16で算出された量子化誤差とに基づいて拡散誤差を算出する(S20)。次に、蓄積誤差格納部40が、入力画像データに基づく画像に含まれる各画素毎に、拡散誤差算出部34が算出した各画素における拡散誤差を加算し、蓄積誤差を算出する(S21)。
【0117】
階調再現処理部29は、入力画像データに含まれる全ての画素値に対して上述した処理を終了したか否かを判断し(S22)、未処理の画素値がある場合(S22:NO)、ステップS14に処理を戻し、ステップS14〜S22の処理を繰り返す。全ての画素値に対して上述した処理を終了した場合(S22:YES)、階調再現処理部29は、処理を終了する。
【0118】
上述したように、本発明においては、画像データに対して行なった量子化処理によって生じた量子化誤差を、各注目画素の周辺画素に拡散させる誤差拡散処理に用いる拡散誤差に、画像形成の際に生じる濃度むらを補正する補正成分(補正量)が含まれる。よって、このような拡散誤差を用いることにより、出力画像に生じる濃度むらを抑制した誤差拡散処理が可能となる。また、本発明においては、量子化誤差が0以上の値であるか0未満の値であるかに応じて拡散係数を補正する際の補正量を異ならせる。よって、このように、量子化誤差が0以上の値であるか否かに応じて異なる拡散係数を用いて算出された拡散誤差によって誤差拡散処理を行なうことにより、同一の拡散係数を用いる場合と比較して、出力画像の濃度を意図的に変更できる。
【0119】
また、出力画像の濃度を階調補正処理(γ補正処理)によって変更する場合、全ての入力値又は所定の複数の入力値に対する変換テーブルが必要となり、多くのメモリ使用量を要する。これに対して本実施形態では、濃度むら補正情報算出部38が各画素に対する補正情報を自動設定するために、濃度むらが生じた場合と生じていない場合との濃度差と、この濃度差を補正するための補正情報との対応関係を濃度むら補正情報格納部39が予め格納しておけばよいので、メモリ使用量を削減できる。更に、本実施形態では、形成画像に生じる濃度むらを補正するための補正情報として、画像中の一部の画素に対する補正情報のみを濃度むら補正情報算出部38が記憶しており、補正情報が記憶されていない画素に対する補正情報は、予め記憶されている補正情報に基づいて補間処理によって算出される。よって、画像中の全ての画素に対する補正情報を予め記憶させておく場合と比較して、メモリ使用量を更に削減できる。
【0120】
上述した実施形態では、補正情報の設定処理において、使用者が操作パネル4を介して入力する補正情報と、濃度むら補正情報算出部38が自動的に設定する補正情報とが同一のもの(−10から10までの整数値)として説明した。しかし、これらは同一のものでなくてもよい。例えば、使用者は補正情報(−10から10までの整数値)の代わりに、使用者が入力し易い情報、例えば、「濃度を濃く」又は「濃度を薄く」を指示し、濃度むら補正情報算出部38が、使用者の指示に従って補正情報を導き出して設定してもよい。この場合、使用者による補正情報の設定負担を軽減できると共に、適切な補正情報に基づく適切な誤差拡散処理も可能となる。
【0121】
上述の実施形態で説明した画像形成装置100は、デジタルカラー複写機に限らず、コピア機能、プリンタ機能、ファクシミリ送受信機能、scan to e-mail機能等を備えるデジタルカラー複合機に適用しても良い。デジタルカラー複合機はさらに、例えば、モデムやネットワークカードよりなる通信装置を備えることもできる。この場合、例えばファクシミリの送信を行なうときは、モデムにて、相手先との送信手続きを行ない送信可能な状態が確保されると、所定の形式で圧縮された画像データ(スキャナで読み込まれた画像データ)をメモリから読み出し、圧縮形式の変更など必要な処理を施して、相手先に通信回線を介して順次送信する。
【0122】
また、ファクシミリを受信する場合、通信手続きを行ないながら相手先から送信されてくる画像データを受信してカラー画像処理装置2へ出力し、カラー画像処理装置2は受信した画像データを、不図示の圧縮/伸張処理部にて伸張処理を施す。伸張された画像データは、必要に応じて、回転処理や解像度変換処理が行なわれ、出力階調補正、階調再現処理が施され、カラー画像出力装置3より出力される。
【0123】
また、画像形成装置100を、ネットワークカード、LANケーブル等を介して、ネットワークに接続されたコンピュータや他のデジタル複合機等との間でデータ通信を行なうように構成してもよい。また、カラー複合機だけでなく、モノクロの画像を扱う複合機においても本発明を適用することができる。
【0124】
上述の実施形態において、画像形成装置100に備えられる階調再現処理部29を含む各部は、ハードウェアロジックによって実現してもよいし、CPU又はMPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。即ち、画像形成装置100は、各機能を実現するための制御プログラムの命令を実行するCPU、この制御プログラムを格納したROM、各種の制御プログラムを展開するRAM、各種の制御プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)等を備えている。
【0125】
そして、本発明の目的は、各機能を実現するための制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した、コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体をコンピュータに供給し、コンピュータ(CPU又はMPU)が、記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。この場合には、本発明に係る画像処理(誤差拡散処理)を実現するコンピュータプログラムを記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0126】
図13は本発明に係る画像処理装置をコンピュータシステムに適用した場合の構成例を示す模式図である。図13に示すコンピュータシステム50では、パーソナルコンピュータ51に、画像入力装置55、画像表示装置52、キーボード53、マウス54、画像形成装置56等の周辺機器が接続されている。画像入力装置55としては、フラットベッドスキャナ、フィルムスキャナ、デジタルカメラ、携帯電話機等が用いられる。また、画像表示装置52としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等が用いられる。画像形成装置56としては、電子写真方式又はインクジェット方式のプリンタが用いられる。
【0127】
パーソナルコンピュータ51は、本発明に係る記録媒体57に記録されているコンピュータプログラムを読み取るための読取装置を備えている。従って、本発明に係る記録媒体57に記録されているコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータ51にインストールすることにより、上述の実施形態で説明した階調再現処理(誤差拡散処理)を含む各種機能をパーソナルコンピュータ51によって実現することができる。具体的には、パーソナルコンピュータ51は、CPU又はMPUを備えており、CPU又はMPUが、インストール(ロード)された所定のコンピュータプログラムを実行することにより、種々の処理を実行する。なお、パーソナルコンピュータ51は、ネットワークを介してサーバなどに接続するための通信手段として、ネットワークカードやモデム等を備えていてもよい。
【0128】
記録媒体57としては、パーソナルコンピュータ51に対して着脱可能な外部記憶装置であり、パーソナルコンピュータ51に設けられた読取装置に挿入することで、記録されているプログラムの読み取りが可能となるプログラムメディアであってもよい。また、記録されているプログラムがマイクロコンピュータで処理されるため、記録媒体57としては、例えばROMのようなプログラムメディアであってもよい。
【0129】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。この場合、ダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0130】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク並びにCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にコンピュータプログラムを担持する媒体を用いることができる。
【0131】
また、上述の画像形成装置100又はパーソナルコンピュータ51をインターネットを含む通信ネットワークと接続可能に構成した場合に、通信ネットワークを介して上記プログラムコードをダウンロードしてもよい。このように通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。
【0132】
また、通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0133】
また、画像形成装置100が備える各部は、ハードウェアロジックによって実現される構成又はソフトウェアによって実現される構成に限らない。例えば、画像形成装置100の各部の一部をハードウェアによって実現し、残りの各部とハードウェアの制御とをソフトウェアによって実現するようにしてもよい。
【0134】
以上、本発明の好適な実施形態について具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0135】
100 画像形成装置
1 カラー画像入力装置(画像読取部)
2 カラー画像処理装置(画像処理装置)
3 カラー画像出力装置(画像形成部)
4 操作パネル(補正情報受付部)
24 領域分離処理部
29 階調再現処理部
30 加算器
32 量子化処理部
34 拡散誤差算出部
35 拡散係数算出部
36 拡散係数格納部(拡散係数記憶部、拡散係数選択部)
38 濃度むら補正情報算出部(補正情報算出部、補正情報記憶部、生成部)
39 濃度むら補正情報格納部
57 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに含まれる注目画素の画素値に対して量子化処理を行なう量子化処理部を備え、該量子化処理部による量子化処理によって生じる量子化誤差を前記注目画素の周辺画素に拡散させる画像処理装置において、
画像データに基づいて出力される画像に生じる濃度むらを補正する際に用いる補正情報を算出する補正情報算出部と、
該補正情報算出部が算出した補正情報に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させる際に用いる拡散係数を算出する拡散係数算出部と、
該拡散係数算出部が算出した拡散係数、及び前記量子化誤差に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させるための拡散誤差を算出する拡散誤差算出部と、
該拡散誤差算出部が算出した拡散誤差を前記周辺画素に拡散させる拡散処理部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
所定の拡散係数を予め記憶している拡散係数記憶部を備え、
前記拡散係数算出部は、前記量子化誤差が0以上の値である場合に、前記拡散係数記憶部に記憶されている拡散係数に、前記補正情報算出部が算出した補正情報に基づく補正量を加算し、前記量子化誤差が0未満の値である場合に、前記拡散係数記憶部に記憶されている拡散係数から、前記補正情報算出部が算出した補正情報に基づく補正量を減算し、前記拡散係数を補正するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記拡散係数記憶部は、複数の拡散係数を予め記憶しており、
画像データに対して、各注目画素を、少なくとも網点領域及び写真領域を含む複数の領域に分離する領域分離処理を行なう領域分離処理部と、
該領域分離処理部による処理結果に基づいて、前記拡散係数記憶部に記憶されている拡散係数のいずれかを選択する拡散係数選択部とを備え、
前記拡散係数算出部は、前記拡散係数選択部が選択した拡散係数を補正するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
画像データに基づく画像中の一部の画素に対する補正情報を予め記憶している補正情報記憶部を備え、
前記補正情報算出部は、前記補正情報記憶部に補正情報が記憶されていない画素に対する補正情報を、前記補正情報記憶部に記憶されている補正情報に基づいて算出するようにしてあることを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつに記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データに基づく画像における複数の所定位置の画素に対する前記補正情報を受け付ける補正情報受付部を備え、
前記補正情報記憶部は、前記補正情報受付部が受け付けた補正情報を記憶していることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかひとつに記載の画像処理装置と、
該画像処理装置で処理された画像データに基づく画像を形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像を読み取って画像データを取得する画像読取部と、
前記画像形成部が所定の画像データに基づいて形成した画像における複数の所定位置の画素を前記画像読取部が読み取って得られた画素値に基づいて、前記補正情報を生成する生成部と
を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像データに含まれる注目画素の画素値に対して量子化処理を行なう画像処理装置が、量子化処理によって生じる量子化誤差を前記注目画素の周辺画素に拡散させる画像処理方法において、
前記画像処理装置が、画像データに基づいて出力される画像に生じる濃度むらを補正する際に用いる補正情報を算出するステップと、
前記画像処理装置が、算出した補正情報に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させる際に用いる拡散係数を算出するステップと、
前記画像処理装置が、算出した拡散係数、及び前記量子化誤差に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させるための拡散誤差を算出するステップと、
前記画像処理装置が、算出した拡散誤差を前記周辺画素に拡散させるステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、画像データに含まれる注目画素の画素値に対して量子化処理を行なわせ、量子化処理によって生じる量子化誤差を前記注目画素の周辺画素に拡散させるためのコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータに、画像データに基づいて出力される画像に生じる濃度むらを補正する際に用いる補正情報を算出させるステップと、
前記コンピュータに、算出された補正情報に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させる際に用いる拡散係数を算出させるステップと、
前記コンピュータに、算出された拡散係数、及び前記量子化誤差に基づいて、前記量子化誤差を前記周辺画素に拡散させるための拡散誤差を算出させるステップと、
前記コンピュータに、算出された拡散誤差を前記周辺画素に拡散させるステップと
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とするコンピュータでの読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−74309(P2013−74309A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209530(P2011−209530)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】