説明

画像処理装置、画像表示装置、画像処理プログラム及び画像処理方法

【課題】表示部に照度の高い外光が照射される場合でも、表示画像の視認性を向上させることを課題とする。
【解決手段】画像処理装置1は、照度検出部から得られる照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用する圧縮ゲインと、該入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出するゲイン導出部2を有する。さらに、画像処理装置1は、ゲイン導出部2によって導出された圧縮ゲイン及び拡大ゲインに基づき、入力画像が有する画素値を補正した表示用画像を生成する表示用画像生成部3を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像表示装置、画像処理プログラム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示画像の視認性を向上させることが求められている。かかる表示画像の視認性には、表示部に差し込む外光の明るさが影響する。ところが、表示部が必ずしも閲覧者の見やすい環境にあるとは限らない。
【0003】
例えば、日光が表示部を直射する場合には、表示部で反射した日光の反射光が表示画像の視認性を悪化させる。特に、日光の反射光の照度が表示部から閲覧者へ到達する光量よりも大きい場合には、画面から閲覧者に届く光は、表示画像そのものの濃淡よりも、日光の反射光が支配的となってしまう。よって、日光の表示部への直射は、表示装置が出力した表示画像を、閲覧者にとって白くぼやけて視認される表示画像へ変えてしまう。つまり、表示部に照度が高い光が照射されると、閲覧者が視認する画像は、表示部に出力されている表示画像のコントラストよりも低下した画像となる。以上のように、画像全体の濃淡差がなくなることで、視認性が悪化する。
【0004】
特許文献1には、表示部の周囲の照度に応じて階調補正および彩度補正を行う画像表示装置が開示されている。ここで、階調補正とは、入力画像で画素値が低い部分(以下、シャドー部と記載)ほど多くの階調を割り当て、入力画像で画素値が高い部分(以下、ハイライト部と記載)ほど少ない階調を割り当てる補正を指す。なお、画素値とは、各画素の輝度や明るさを示し、例えば「1〜256」の数値で表現される。また、彩度補正とは、類似する色の区別がつきやすいように、彩度を高くすることにより色の純度を高める補正である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−285063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術には、表示部に照度の高い外光が照射される場合に表示画像の視認性を向上させるにはおのずから限界がある。
【0007】
詳述すると、階調補正は、入力画像で画素値が低い部分ほど多くの階調を割り当てる反面で、入力画像で画素値が高い部分に割り当てることができる階調の幅が小さくなってしまう。言い換えれば、上記の従来技術は、ハイライト部の階調を犠牲にしてシャドー部に多くの階調を割り当てるに過ぎない。このように、ハイライト部へ割り当てる階調を犠牲にしたのでは、ハイライト部の含まれる画素における互いの階調の差が圧縮される。つまり、ハイライト部が白く飽和する。この結果、上記の従来技術では、原画像における微細な濃淡の違いが表示画像に再現されず、ハイライト部における視認性が悪化してしまう。
【0008】
また、彩度補正によっては、鮮やかさが変わるだけであって、明暗のコントラストにはなんら向上効果はない。よって、彩度補正は、上述のハイライト部の視認性の低下を十分に解消することはできない。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、表示部に照度の高い外光が照射される場合でも、表示画像の視認性を向上させることができる画像処理装置、画像表示装置、画像処理プログラム及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の開示する画像処理装置は、ゲイン導出部を有する。前記ゲイン導出部は、照度検出部から得られる照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用する圧縮ゲインと、該入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出する。前記画像処理装置は、表示用画像生成部を有する。前記表示用画像生成部は、前記ゲイン導出部によって導出された前記圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインに基づき、前記入力画像が有する画素値を補正した表示用画像を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本願の開示する画像処理装置の一つの態様によれば、表示部に照度の高い外光が照射される場合でも、表示画像の視認性を向上させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2A】図2Aは、入力画像の線分A−A´における低周波成分の画素値と高周波成分の画素値を示す図である。
【図2B】図2Bは、表示用画像の線分A−A´における低周波成分の画素値と高周波成分の画素値を示す図である。
【図3】図3は、実施例2に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、高周波成分抽出部の構成を示すブロック図である。
【図5A】図5Aは、高周波成分(小)における画素値の分布を示すヒストグラムである。
【図5B】図5Bは、高周波成分(大)における画素値の分布を示すヒストグラムである。
【図6A】図6Aは、入力画像の一例を示す図である。
【図6B】図6Bは、低周波成分を示す図である。
【図6C】図6Cは、拡大後の高周波成分の一例を示す図である。
【図6D】図6Dは、補正画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、実施例2に係る画像表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例3に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、照度検出部の検出領域の一例を示す図である。
【図10】図10は、複数の照度が入力される場合における合成比の算出要領を説明するための説明図である。
【図11】図11は、実施例3に係る画像表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、応用例を説明するための説明図である。
【図13】図13は、実施例4に係る画像処理プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する画像処理装置、画像表示装置、画像処理プログラム及び画像処理方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、画像処理装置1は、ゲイン導出部2と、表示用画像生成部3とを有する。
【0015】
ゲイン導出部2は、照度検出部から得られる照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用する圧縮ゲインと、入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出する。なお、低周波成分は、入力画像における輝度変化が、ある一定よりも小さい部分である。一方、高周波成分は、入力画像における輝度変化が、ある一定よりも大きい部分である。低周波成分と高周波成分との分離は、フィルタを用いるなどの従来技術によって行う。なお、上述のある一定とは、フィルタのサイズなどによって決まる。
【0016】
表示用画像生成部3は、ゲイン導出部2によって導出された低周波成分の圧縮ゲイン及び高周波成分の拡大ゲインに基づき、表示部に表示させる表示用画像を生成する。
【0017】
すなわち、表示用画像生成部3は、低周波成分のダイナミックレンジを圧縮するとともに高周波成分を拡大した上で低周波成分および高周波成分を合成することにより表示用画像を生成する。かかる低周波成分の圧縮により、表示用画像生成部3は、入力画像で画素値が低い部分(以下、シャドー部と記載)及び入力画像で画素値が高い部分(以下、ハイライト部と記載)の両方のダイナミックレンジを引き延ばす。さらに、高周波成分の拡大により、表示用画像生成部3は、シャドー部及びハイライト部の両方で入力画像における微細な濃淡の違いを際立たせる。ここで、低周波成分は、撮影した環境下における照明光などを反映するので、照明成分と呼ぶ。また、高周波成分は、撮影した環境によらない物体の濃淡情報そのものエッジを反映するので、反射率成分と呼ぶ。
【0018】
この表示用画像の生成要領を図2A及び図2Bを用いて説明する。図2Aは、入力画像の線分A−A´における低周波成分の画素値と高周波成分の画素値を示す図である。図2Bは、表示用画像の線分A−A´における低周波成分の画素値と高周波成分の画素値を示す図である。図2Aの右側に示す画像は、入力画像である。図2Bの右側に示す画像は、表示用画像である。また、図2A及び図2Bの左側に示すグラフの横軸は、各画像の線分A−A´における画素の位置を示す。さらに、図2A及び図2Bの左側に示すグラフの縦軸は、各画素の画素値を示す。
【0019】
図2A及び図2Bに示すように、表示用画像生成部3は、低周波成分の圧縮ゲインにしたがって、図2Aに示す入力画像における低周波成分のダイナミックレンジを図2Bに示す表示用画像における低周波成分のダイナミックレンジまで圧縮する。さらに、表示用画像生成部3は、高周波成分の拡大ゲインにしたがって、図2Aに示す入力画像における高周波成分を図2Bに示す高周波成分へ拡大する。
【0020】
すでに、上述の処理により、低周波成分に対応する照明成分のダイナミックレンジを圧縮するとともに、高周波成分に対応する反射成分を拡大する。よって、本実施の形態の技術は、ハイライト部およびシャドー部それぞれにおいてコントラストを改善し、外光の影響を緩和させることができる画像を生成することが出来る。しかし、高周波成分のダイナミックレンジの引き延ばし等の処理は、もとの画像を変えるため、特に、画面にあたる外光の照度が低い場合は、過剰なコントラストに見えるケースも発生し得る。
【0021】
そこで、ゲイン導出部2では、表示部に対して照射される外光の照度を用いて、低周波成分の圧縮ゲインと高周波成分の拡大ゲインを導出する。一例としては、ゲイン導出部2は、照度が高くなるほど圧縮ゲイン及び拡大ゲインを高くし、また、照度が低くなるほど圧縮ゲイン及び拡大ゲインを低くする。
【0022】
このため、表示用画像生成部3は、表示部周辺の照度が低い場合に、ダイナミックレンジの引き延ばし並びに原画像の濃淡の強調を抑制した制御を実現できる。また、表示用画像生成部3は、表示部周辺の照度が高い場合に、ダイナミックレンジの引き延ばし並びに原画像の濃淡の強調を強化した制御を実現できる。
【0023】
このように、本実施例に係る画像処理装置1では、表示部周辺の照度に追従してダイナミックレンジの引き延ばし並びに原画像の濃淡の強調を実行するので、シャドー部及びハイライト部の両方でコントラストを改善できる。したがって、本実施例に係る画像処理装置1によれば、表示部に照度の高い外光が照射される場合でも、表示画像の視認性を向上させることが可能になる。
【実施例2】
【0024】
続いて、実施例2に係る画像表示装置について説明する。図3は、実施例2に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像表示装置10は、表示部11と、入力画像受付部12と、照度検出部13と、表示制御部14と、画像処理部15とを有する。なお、画像表示装置10は、静止画を表示する場合、或いは動画を表示する場合のいずれにも好適に適用できる。また、上記の実施例1におけるゲイン導出部2は、例えば図3に示す合成比演算部17に対応する。また、上記の実施例1における表示用画像生成部3は、例えば図3に示す視認性補正部18に対応する。
【0025】
このうち、表示部11は、各種の情報、例えば図示しない記憶部や外部装置から供給される画像を表示する表示デバイスであり、例えば、モニタ、ディスプレイやタッチパネルなどである。
【0026】
入力画像受付部12は、入力画像を受け付ける処理部である。一例としては、入力画像受付部12は、所定の撮像装置から撮画像を受信することにより入力画像を受け付けることができる。また、入力画像受付部12は、ネットワークを介して接続される外部装置から画像をダウンロードすることにより入力画像を受け付けることもできる。また、入力画像受付部12は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)などの可搬記録媒体に記録された画像を読み出すことにより入力画像を受け付けることもできる。また、入力画像受付部12は、図示しない記憶部に記憶された画像を読み出すことにより入力画像を受け付けることもできる。このように、入力画像受付部12は、撮像装置、読取装置または通信インタフェースなどの手段を任意に選択して実現できる。
【0027】
照度検出部13は、照度を検出する処理部である。一例としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像装置をはじめ、フォトトランジスタやフォトダイオードなどを含んで構成される照度センサを用いることができる。
【0028】
この照度検出部13は、表示部11に入射する外光の照度を検出できる位置に配置されるのが好ましい。例えば、照度検出部13として撮像装置を用いる場合には、撮像装置の撮像範囲が表示部11の前面の所定の領域、例えば表示部11の画面が面する半径50cmの範囲に含まれるように配置するのがよい。このほか、撮像装置は、表示部11の画面が撮像装置の撮像範囲に含まれるように配置してもよい。また、照度検出部13として照度センサを用いる場合には、表示部11の前部に付設するのが好ましい。
【0029】
表示制御部14は、表示部11の表示制御を行う処理部である。例えば、表示制御部14は、後述する画像処理部15によって入力画像の視認性が補正された場合には、補正画像を表示させる。また、入力画像の補正が実行されなかった場合には、入力画像受付部12によって受け付けられた入力画像をそのまま表示させる。
【0030】
画像処理部15は、各種の画像処理を行う処理部であり、高周波成分抽出部16と、合成比演算部17と、視認性補正部18とを有する。
【0031】
このうち、高周波成分抽出部16は、入力画像から高周波成分を抽出する処理部である。かかる高周波成分の抽出要領を図4〜図6を用いて説明する。図4は、高周波成分抽出部の構成を示すブロック図である。図5Aは、高周波成分(小)における画素値の分布を示すヒストグラムである。図5Bは、高周波成分(大)における画素値の分布を示すヒストグラムである。図5A及び図5Bに示すグラフの横軸は画素値を示す。図5A及び図5Bに示すグラフの縦軸は画素数を示す。また、図5Bのグラフには、図5Aに示したヒストグラムと同様のものを点線で図示した。図6Aは、入力画像の一例を示す図である。図6Bは、低周波成分を示す図である。図6Cは、拡大後の高周波成分の一例を示す図である。図6Dは、補正画像の一例を示す図である。
【0032】
図4に示すように、高周波成分抽出部16は、ローパスフィルタ16aと、差分抽出部16bと、高周波成分拡大部16cとを有する。
【0033】
このうち、ローパスフィルタ(Low Pass Filter)16aは、所定のフィルタテーブルを用いて、入力画像Xの演算対象画素の画素値及びその周辺画素の画素値に対して畳み込み演算を行うことにより低周波成分Yの画素値を算出するフィルタ回路である。例えば、ローパスフィルタ16aは、図6Aに示す入力画像Xから図6Bに示す低周波成分Yを算出する。図6Bに示すように、入力画像Xにローパスフィルタ16aを適用して得られる低周波成分Yは、入力画像Xの画素値が平滑化されるので、被写体全体がぼやけた画像となる。ローパスフィルタには、エッジ保存型のローパスフィルタを用いればよい。エッジ保存型ローパスフィルタによって分離される成分は、照明成分と反射成分となる。なお、エッジ保存型のローパスフィルタは、バイラテラルフィルタなどを用いればよい。また、フィルタサイズは入力画像短辺の3分の1程度の行数または列数に相当するものを定義することが好ましい。なお、ローパスフィルタはエッジ保存型ローパスフィルタに限らず、一般的なローパスフィルタを用いても良い。
【0034】
差分抽出部16bは、入力画像Xおよび低周波成分Yの差分を抽出する処理部である。一例としては、差分抽出部16bは、入力画像Xおよび低周波成分Yの同一座標の画素を対象とし、入力画像Xの画素値から低周波成分Yの画素値を減算する処理を画素ごとに行うことにより高周波成分(小)の画素値を算出する。なお、以下では、差分抽出部16bによって抽出された高周波成分と、後段の高周波成分拡大部16cによって拡大された高周波成分とを区別する便宜上、前者を高周波成分(小)、後者を高周波成分(大)と記載することとする。
【0035】
高周波成分拡大部16cは、高周波成分(小)を拡大する処理部である。ここで、高周波成分(小)を拡大するのは、高周波成分(小)が入力画像Xと低周波成分Yの差分画像であり、後段の視認生補正部18における補正に高周波成分(小)を使用するには高周波成分(小)の画素値の振幅が小さすぎるからである。
【0036】
このため、高周波成分拡大部16cでは、高周波成分(小)における画素の最大値および最小値をもとに線形補間を行って高周波成分(小)の画素値のレンジを広げる。一例としては、高周波成分拡大部16cは、高周波成分(小)における画素の最小値を画素値「1」とし、画素の最大値を画素値「256」として高周波成分(小)の全画素に線形補間を行う。図5A及び図5Bの例で言えば、図5Aに示す高周波成分(小)の画素値に線形補間が行われることにより、高周波成分(小)の画素値のレンジがレンジR1からレンジR2に広げられることになる。
【0037】
このような高周波成分(小)の階調補正を行った上で、高周波成分拡大部16cは、レンジR2に対するレンジR1の割合、すなわちレンジR2をレンジR1で除した除算結果を拡大率αとして算出する。そして、高周波成分拡大部16cは、このようにして決定した拡大率αにしたがって高周波成分(小)を拡大する。これによって高周波成分(大)が得られる。図6Cに示す例では、低周波成分Yの除去並びに高周波成分(小)の拡大により、入力画像Xにおける微細な濃淡の違いが強調された高周波成分(大)が得られたことを示す。図6Cに示す高周波成分(大)は、理論上、最良視認性を有する画像となる。
【0038】
図3の説明に戻り、合成比演算部15は、照度検出部13から得られる照度を用いて、高周波成分(大)の合成比aを演算する処理部である。なお、ここでは、合成比演算部15は、低周波成分Yとの間の合成比ではなく、高周波成分(大)と入力画像Xとの間での合成比を算出するものとする。しかし、入力画像Xには、低周波成分Yが含まれており、低周波成分及び高周波成分の合成比を求める場合と実質的に同一である。なお、合成比aは、「0≦a≦1」であるものとする。
【0039】
これを説明すると、合成比演算部15は、入力画像および高周波成分を合成する時の高周波成分(大)の合成比が「a」であるから、入力画像Xの合成比は「1−a」となる。そして、図4に示すように、入力画像はX、低周波成分はY、高周波成分(小)はZ/α、高周波成分(大)はZであるので、入力画像及び高周波成分(大)の合成画像(以下、補正画像と記載)は「X(1−a)+aZ」となる。入力画像Xへ「X=Y+Z/α」を代入して、X、Yの項でくくると、「Y(1−a)+Z/α(αa+1−a)」となる。このため、合成比aを演算することは、低周波成分Yの圧縮ゲインとして(1−a)を演算していることと変わらず、また、高周波成分(小)Z/αの拡大ゲインとして(αa+1−a)を演算していることと同義である。したがって、合成比演算部15は、低周波成分Yの圧縮ゲインと、高周波成分(小)Z/αの拡大ゲインとを演算するのと同義であると言える。
【0040】
続いて、合成比演算部15による合成比αの演算要領を説明する。合成比演算部15は、照度検出部13によって検出された照度が高いほど合成比aが大きくなるように合成比aの演算を行う。一例としては、合成比演算部15は、500Luxの時の合成比aを0とし、10万Luxの時の合成比aを0.8と定義した線形関数を保持する。そして、合成比演算部15は、照度検出部13によって照度が検出された場合にその照度を線形関数に代入することにより合成比aを演算する。なお、合成比演算部15は、照度検出部13によって検出された照度が所定の閾値、例えば500Lux未満である場合には、外光が表示部11に及ぼす影響が微細なものであると見做し、合成比aの演算は実行しない。もちろん、合成の比率は所定の範囲で一律の傾きを有する線形関数にすることに限定されるわけではない。例えば、合成の比率は、10万Luxで0.8、2万Luxで0.2、500Luxの時に0とし、その間を線形としても良い。
【0041】
視認性補正部18は、入力画像Xの視認性を向上させるための補正を行う処理部である。すなわち、視認性補正部18は、合成比演算部15によって演算された合成比aを用いて、入力画像Xおよび高周波成分(大)Zを合成する。かかる合成について説明すると、視認性補正部18は、入力画像および高周波成分(大)の同一座標の画素を対象とし、入力画像の画素値に入力画像の合成比(1−a)を乗算するとともに高周波成分(大)の画素値に高周波成分(大)の合成比aを乗算する。そして、視認性補正部18は、入力画像の画素値及び合成比(1−a)の乗算値と、高周波成分(大)の画素値及び合成比aの乗算値とを足し合わせることにより、補正画像の画素値を算出する。このようにして、視認性補正部18は、入力画像Xおよび高周波成分(大)の全画素について演算を実行することにより補正画像を得ることができる。
【0042】
例えば、図6Dに示す例では、表示部11周辺の照度に追従してダイナミックレンジの引き延ばし並びに原画像の濃淡の強調が実行された補正画像を得ることができる。この図6Dに示す補正画像を図6Aに示した入力画像Xと対比すると、入力画像Xでは、図中の下部のシャドー部で黒くつぶれていた「車道」や「車」を補正画像でははっきりと視認できる。さらに、補正画像では、入力画像Xでは黒くつぶれていた図中の左側の「木」の節や木目をはっきりと視認できる。
【0043】
なお、画像処理部15の機能は、情報処理装置に搭載することで実現することもできる。かかる情報処理装置としては、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどの固定端末、さらには、カーナビゲーションシステム、携帯電話、PHS端末またはPDAなどの移動体端末が挙げられる。特に、画像処理部15の機能を移動体端末に搭載した場合には、所在位置の変化により表示部へ入射する外光の照度が著しく変化することが想定されるので、より一層の効果が期待できる。
【0044】
また、入力画像受付部12、表示制御部14、画像処理部15は、集積回路や電子回路により実現される。集積回路としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを適用できる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などを適用できる。
【0045】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る画像表示装置の処理の流れを説明する。図7は、実施例2に係る画像表示処理の手順を示すフローチャートである。この画像表示処理は、画像処理装置の電源がON状態である場合に、入力画像受付部12によって入力画像が受け付けられると起動する。
【0046】
図7に示すように、入力画像を受け付けると(ステップS101肯定)、合成比演算部15は、照度検出部13によって検出された照度が所定の閾値、例えば500Lux以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0047】
このとき、照度が所定の閾値未満であれば(ステップS102否定)、表示制御部14は、外光が表示部11に及ぼす影響が微細なものであり補正が不要であるので、入力画像をそのまま表示部11に表示させ(ステップS103)、処理を終了する。
【0048】
一方、照度が所定の閾値以上であれば(ステップS102肯定)、合成比演算部15は、照度検出部13から得られる照度を用いて、高周波成分(大)の合成比aを演算する(ステップS104)。
【0049】
そして、高周波成分抽出部16は、入力画像Xにローパスフィルタ16aを適用して低周波成分Yを算出する。そして、高周波成分抽出部16は、これら入力画像Xおよび低周波成分Yの差分を抽出することにより、高周波成分(小)を算出する(ステップS105)。
【0050】
続いて、高周波成分抽出部16は、高周波成分(小)の階調補正を行った上で、階調補正後の高周波成分(小)の画素値のレンジを階調補正前の高周波成分(小)の画素値のレンジで除算することにより拡大率αを算出する(ステップS106)。その後、高周波成分拡大部16cは、このようにして決定した拡大率αにしたがって高周波成分(小)を拡大する(ステップS107)。つまり、高周波成分拡大部16cは、高周波成分(大)を生成する。
【0051】
そして、視認性補正部18は、合成比演算部15によって演算された合成比aを用いて、入力画像Xと高周波成分(大)Zとを合成する(ステップS108)。続いて、表示制御部14は、視認性補正部18によって補正された補正画像を表示させ(ステップS109)、処理を終了する。
【0052】
なお、図7に示したフローチャートでは、照度が所定の閾値未満である場合(ステップS102否定)に、ステップS103で入力画像を表示させることとしたが、ステップS104に移行させてもかまわない。なぜなら、合成比演算部15は、照度が所定の閾値以下である場合には、合成比aをゼロと算出するので、結果として、入力画像が表示されることになるからである。
【0053】
また、図7に示したフローチャートでは、入力画像を受け付ける度に合成比演算部15が合成比aを演算する場合を示したが、必ずしも合成比aを毎回演算する必要はない。例えば、入力画像を受け付けた場合に所定回数のうち1回だけ合成比aを算出させることとし、それまでは前回に演算した合成比aを流用させることとしてもよい。また、前回に合成比aを算出してから所定期間が経過するまで前回に演算した合成比aを流用させることとしてもよい。
【0054】
[実施例2の効果]
上述してきたように、本実施例に係る画像表示装置10では、表示部11周辺の照度に追従してダイナミックレンジの引き延ばし並びに原画像の濃淡の強調を実行するので、シャドー部及びハイライト部の両方でコントラストを改善できる。したがって、本実施例に係る画像処理装置10によれば、表示部11に照度の高い外光が照射される場合でも、表示画像の視認性を向上させることが可能である。
【実施例3】
【0055】
さて、上記の実施例2では、画像表示装置10が1つの照度検出部13を有する例を説明したが、照度検出部は必ずしも1つである必要はない。そこで、実施例3では、画像表示装置30が複数の照度検出部31−1及び照度検出部31−2を有する場合について説明する。
【0056】
図8は、実施例3に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。図8に示すように、画像表示装置30は、図3に示した画像表示装置10と比較して、複数の照度検出部31−1及び31−2を有する点が異なる。さらに、図8に示すように、図3に示した画像表示装置10とは処理内容が一部異なる合成比演算部33及び視認性補正部34を画像処理部32に有する点が異なる。
【0057】
これら照度検出部31−1及び31−2の検出領域の一例を説明する。図9は、照度検出部の検出領域の一例を示す図である。図9に示す例では、表示部11の画面を正面視した場合における画面左側の領域が照度検出部31−1の検出領域であり、また、画面右側の領域が照度検出部31−2の検出領域であることを示す。なお、ここでは、2つの照度検出部31−1及び31−2を有する場合を例示したが、開示の装置は照度検出部の個数が1つまたは2つに限定されない。すなわち、任意の個数の照度検出部を設ける場合にも開示の装置を同様に適用できる。また、照度検出部31−1及び31−2の検出領域が重複しない例を説明したが、検出領域の一部が重複することとしてもかまわない。
【0058】
また、合成比演算部33は、照度検出部31−1及び31−2から得られる照度を用いて、高周波成分(大)の合成比aを演算する。ここで、図3に示した合成比演算部17との相違点を説明すると、図3に示した合成比演算部17は、全ての画素に対して同じ合成比aを用いる場合を説明したが、図8の合成比演算部33では、全ての画素に対して同じ合成比aは適用しない。
【0059】
これを説明すると、合成比演算部33は、照度検出部31−1及び照度検出部31−2の検出領域それぞれ個別に合成比を演算する。かかる検出領域別の合成比の演算は図3に示した合成比演算部17と同様であるので、説明を省略する。例えば、図9に示すように、合成比演算部33が照度検出部31−1の検出領域における合成比としてa1を算出し、照度検出部31−2の検出領域における合成比としてa2を算出した場合を想定する。
【0060】
図10は、複数の照度が入力される場合における合成比の算出要領を説明するための説明図である。図10に示すグラフの横軸は画素位置のX座標である。図10に示すグラフの縦軸は合成比を指す。図10の例では、表示部11を正面視した場合における画面の左端のX座標が0(最小値)であり、画面の右端であるX座標がM(最大値)である場合を想定する。図10の例では、合成比演算部33は、X座標が最小値0である場合の合成比をa1と定義し、X座標が最大値Mである場合の合成比をa2と定義する。そして、合成比演算部33は、これら2点から定まる線形関数に対して視認性補正の対象とする画素のX座標を入力することにより、そのX座標を持つ画素で視認性補正に使用する合成比a´を演算する。
【0061】
図8の説明に戻り、視認性補正部34は、合成比演算部15によって演算された合成比aを用いて、入力画像Xおよび高周波成分(大)Zを合成する。ここで、図3に示した視認性補正部18との相違点を説明すると、図3に示した視認性補正部18は、全ての画素に対して同じ合成比aを用いる場合を説明したが、視認性補正部34では、全ての画素に対して同じ合成比を用いずにX座標により変化する合成比a´を用いる。
【0062】
これを説明すると、視認性補正部34は、補正画像の画素値の算出対象とする画素のX座標を合成比演算部33に通知し、それに対する応答として合成比a´を取得する。このようにして合成比a´の応答が得られると、視認性補正部34は、入力画像の画素値に入力画像の合成比(1−a´)を乗算するとともに高周波成分(大)の画素値に高周波成分(大)の合成比a´を乗算する。そして、視認性補正部34は、入力画像の画素値及び合成比(1−a´)の乗算値と、高周波成分(大)の画素値及び合成比a´の乗算値とを足し合わせることにより、補正画像の画素値を算出する。このようにして、視認性補正部34は、入力画像Xおよび高周波成分(大)の全画素について演算を実行することにより補正画像を得る。
【0063】
次に、本実施例に係る画像処理装置の処理の流れを説明する。図11は、実施例3に係る画像表示処理の手順を示すフローチャートである。この画像表示処理は、画像処理装置の電源がON状態である場合に、入力画像受付部12によって入力画像が受け付けられると起動する。
【0064】
図11に示すように、入力画像を受け付けると(ステップS201肯定)、合成比演算部33は、照度検出部31−1によって検出された照度が所定の閾値、例えば500Lux以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0065】
このとき、照度検出部31−1によって検出された照度が所定の閾値未満であれば(ステップS202否定)、合成比演算部33は、照度検出部31−2によって検出された照度が所定の閾値以上であるか否かをさらに判定する(ステップS203)。
【0066】
そして、照度検出部31−2によって検出された照度も所定の閾値未満であれば(ステップS203否定)、表示制御部14は、入力画像をそのまま表示部11に表示させ(ステップS204)、処理を終了する。
【0067】
一方、照度検出部31−1又は31−2によって検出された照度のいずれかが所定の閾値以上であれば(ステップS202肯定又はS203肯定)、合成比演算部33は、検出領域別に合成比a1及び合成比a2を演算する(ステップS205)。
【0068】
そして、高周波成分抽出部16は、入力画像Xにローパスフィルタ16aを適用して低周波成分Yを算出し、これら入力画像Xおよび低周波成分Yの差分を抽出することにより、高周波成分(小)を算出する(ステップS206)。
【0069】
続いて、高周波成分抽出部16は、高周波成分(小)の階調補正を行った上で、階調補正後の高周波成分(小)の画素値のレンジを階調補正前の高周波成分(小)の画素値のレンジで除算することにより拡大率αを算出する(ステップS207)。その後、高周波成分拡大部16cは、このようにして決定した拡大率αにしたがって高周波成分(小)を拡大する(ステップS208)。
【0070】
そして、視認性補正部34は、補正画像の画素値の算出対象とする画素のX座標を合成比演算部33に通知することにより、そのX座標の合成比a´を合成比演算部33に演算させる(ステップS209)。
【0071】
その後、合成比演算部33から合成比a´の応答が得られると、視認性補正部34は、入力画像Xおよび高周波成分(大)Zの画素値を合成比a´で合成することにより補正画像の画素値を算出する(ステップS210)。
【0072】
そして、補正画像の画素値を全ての画素について処理が終了するまで(ステップS211否定)、上記のステップS209〜S211の処理を繰り返し行う。その後、補正画像の画素値を全ての画素について処理が終了すると(ステップS211肯定)、表示制御部14は、視認性補正部18によって補正された補正画像を表示させ(ステップS212)、処理を終了する。
【0073】
上述してきたように、本実施例に係る画像表示装置30においても、上記の実施例1及び2と同様に、表示部11に照度の高い外光が照射される場合でも、表示画像の視認性を向上させることが可能である。
【0074】
また、本実施例に係る画像表示装置30では、複数の照度検出部31−1及び31−2から得られる照度を用いて、高周波成分(大)Zの合成比a´を演算する。このため、本実施例に係る画像表示装置30によれば、照度検出部の検出領域別に合成比a´を演算できる。さらに、本実施例に係る画像表示装置30によれば、照度検出部の検出領域別の合成比a´を用いて、各検出領域間の合成比a´を線形補間できる。また、本実施例に係る画像表示装置30によれば、表示部11に照射される外光の照度にばらつきがある場合でも、そのばらつきに追従して入力画像X及び高周波成分(大)Zを合成することが可能である。
【実施例4】
【0075】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0076】
[応用例]
例えば、開示の装置は、入力画像Xに含まれる画素値の大きさに応じて、高周波成分(大)Zの合成比を導出することもできる。図12は、応用例を説明するための説明図である。図12に示すグラフの横軸は画素値である。図12に示すグラフの縦軸は合成比である。図12に示す例では、照度が2万Luxである場合に合成比の導出に使用する波形、照度が5万Luxである場合に合成比の導出に使用する波形、照度が10万Luxである場合に合成比の導出に使用する波形が与えられている。このような照度別の波形を予め記憶しておけば、合成比演算部は、照度検出部によって照度が検出された時点でいずれの波形を利用するかを特定できる。さらに、どの波形を利用するのかを決めれば、合成比演算部は、入力画像Xの画素値に対応する合成比を導出できる。
【0077】
このように、入力画像Xに含まれる画素値の大きさに応じて高周波成分(大)の合成比を導出することで、例えば画素値の最低値の近傍または最高値の近傍における合成比aをなだらかにするなど、視認性補正を行うにあたって柔軟な補正が可能になる。
【0078】
また、開示の装置は、画像を表示する表示部を有する画像表示装置と、画像表示装置に接続されるサーバ装置とを有する画像処理システムとすることもできる。すなわち、図3に示した画像処理部15、或いは図8に示した画像処理部32をサーバ装置とし、表示部及び照度検出部を有するクライアント端末に対して、画像データの視認性補正サービスを提供させる。一例としては、クライアント装置は、表示部の周辺に所在する照度検出部から得られた照度をサーバ装置へ通知する。一方、サーバ装置は、クライアント端末から通知された照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用される圧縮ゲインと、入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出する。そして、サーバ装置は、導出した低周波成分の圧縮ゲイン及び高周波成分の拡大ゲインに基づき、クライアント端末の表示部に表示させる表示用画像を生成し、生成した表示用画像をクライアント端末へ送信する。
【0079】
また、開示の装置では、高周波成分(大)Zの合成比の導出履歴を記憶する導出履歴記憶部をさらに設けることもできる。その上で、開示の装置は、合成比演算部17又は33によって今回に演算された合成比a、a1、a2及び/又はa´が導出履歴記憶部に導出履歴として記憶された合成比a、a1、a2及び/又はa´から所定範囲を超えて逸脱するか否かを判定する。そして、ゲイン導出部2は、所定範囲を超えて逸脱する場合に、合成比a、a1、a2及び/又はa´が所定範囲に収まるように合成比演算部17又は33に再演算させるようにしてもよい。これによって、前回の入力画像と今回の入力画像との間で合成比が急激にばらつくことがなくなる。このため、閲覧者が表示画像に違和感を覚えることを防止できる。
【0080】
また、上記の実施例1〜3では、入力画像に対する階調補正や彩度補正を行わずに視認性補正だけを行う場合を例示したが、階調補正及び/又は彩度補正を組み合わせて行うこともできる。
【0081】
[適用例]
なお、上記の実施例2及び3では、入力画像Xと高周波成分(大)Zを合成する視認性補正を例示したが、開示の装置はこれに限定されるものではない。すなわち、開示の装置は、低周波成分と高周波成分のゲインを変える技術全般に適用できる。例えば、人間の視覚特性をモデル化した「Center/Surround Retinex」と呼ばれる画質改善手法にも開示の装置を同様に適用できる。
【0082】
なお、上記の実施例2及び3では、合成比演算部17又は33が照度検出部から照度を受け取った場合に合成比a、合成比a´を算出することとしたが、照度と合成比を対応付けて記憶するテーブル等を画像表示装置10又は30に保持させることとしてもよい。
【0083】
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、画像処理部15または32を画像表示装置の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。また、高周波成分抽出部16、合成比演算部17又は視認性補正部18を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク接続されて協働することで、上記の画像処理装置または画像表示装置の機能を実現するようにしてもよい。
【0084】
[画像処理プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図13を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する画像処理プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。なお、図13は、実施例4に係る画像処理プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【0085】
図13に示すように、実施例4におけるコンピュータ100は、操作部110aと、マイク110bと、スピーカ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD(Hard Disk Drive)170と、RAM(Random Access Memory)180と有する。これら110〜180の各部はバス140を介して接続される。
【0086】
ROM160には、上記の実施例2で示した高周波成分抽出部16と、合成比演算部17と、視認性補正部18と同様の機能を発揮する制御プログラムが予め記憶される。つまり、ROM160には、図13に示すように、高周波成分抽出プログラム160aと、合成比演算プログラム160bと、視認性補正プログラム160cとが記憶される。なお、これらのプログラム160a〜160cについては、図3に示した画像処理部15の各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。
【0087】
そして、CPU150が、これらのプログラム160a〜160cをROM160から読み出して実行する。これによって、CPU150は、図13に示すように、各プログラム160a〜160cについては、高周波成分抽出プロセス150a、合成比演算プロセス150b及び視認性補正プロセス150cとして機能するようになる。なお、各プロセス150a〜150cは、図3に示した、高周波成分抽出部16と、合成比演算部17と、視認性補正部18とにそれぞれ対応する。
【0088】
そして、HDD170には、入力画像170aが設けられる。続いて、CPU150は、入力画像170aを読み出してRAM180に格納する。さらに、CPU150は、RAM180に格納された入力画像データ180aを用いて、高周波成分データ180bを生成する。さらに、CPU150は、入力画像データ180a及び高周波成分データ180bを用いて、補正画像を生成することにより、画像処理プログラムを実行する。
【符号の説明】
【0089】
1 画像処理装置
2 ゲイン導出部
3 表示用画像生成部
10 画像表示装置
11 表示部
12 入力画像受付部
13 照度検出部
14 表示制御部
15 画像処理部
16 高周波成分抽出部
16a ローパスフィルタ
16b 差分抽出部
16c 高周波成分拡大部
17 合成比演算部
18 視認性補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照度検出部から得られる照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用する圧縮ゲインと、該入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出するゲイン導出部と、
前記ゲイン導出部によって導出された前記圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインに基づき、前記入力画像が有する画素値を補正した表示用画像を生成する表示用画像生成部と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ゲイン導出部は、前記入力画像が有する前記画素値の大きさに応じて、前記圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインを導出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ゲイン導出部は、複数の照度検出部のそれぞれから得られる照度を用いて、該それぞれの照度に応じた前記圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインを複数導出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ゲイン導出部は、導出した圧縮ゲイン及び/又は拡大ゲインが、過去に導出した導出履歴圧縮ゲイン及び/又は導出履歴拡大ゲインの値から所定範囲に収まるか否かを判定するとともに、該所定範囲を逸脱する場合は、前記導出した圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインが該所定範囲に収まるように演算することを特徴とする請求項1、2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像を表示する表示部と、
前記表示部の周辺に配される照度検出部と、
前記照度検出部から得られる照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用する圧縮ゲインと、該入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出するゲイン導出部と、
前記ゲイン導出部によって導出された前記圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインに基づき、前記入力画像が有する画素値を補正した表示用画像を生成する表示用画像生成部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
コンピュータに、
照度検出部から得られる照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用する圧縮ゲインと、該入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出するゲイン導出手順と、
前記ゲイン導出手順によって導出された前記圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインに基づき、前記入力画像が有する画素値を補正した表示用画像を生成する表示用画像生成手順と
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
画像を表示する表示部を有する画像表示装置と、前記画像表示装置に接続されるサーバ装置とを有する画像処理システムによる画像処理方法であって、
前記画像表示装置が、
前記表示部の周辺に所在する照度検出部から得られた照度を前記サーバ装置へ通知する照度通知ステップを含み、
前記サーバ装置が、
前記照度通知ステップによって通知された照度を用いて、入力画像の低周波成分に適用する圧縮ゲインと、該入力画像の高周波成分に適用する拡大ゲインを導出するゲイン導出ステップと、
前記ゲイン導出ステップによって導出された前記圧縮ゲイン及び前記拡大ゲインに基づき、前記入力画像が有する画素値を補正した表示用画像を生成する表示用画像生成ステップと
前記表示用画像生成ステップによって生成された表示用画像を前記画像表示装置へ送信する表示用画像送信ステップと
を含んだことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図2A】
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【図2B】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2011−117997(P2011−117997A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272829(P2009−272829)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】