説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】画像と文字とが混在するコンテンツの画像データに対する画像処理を良好に行って画質向上を図る。
【解決手段】入力画像データに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報を得る。各ブロックの帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域、例えば、画像領域、文字領域、画像と文字の混在領域に分離する。分離された画面領域毎に処理強度を求める。入力画像データに対して、分離された画面領域毎に、求められた処理強度で所定の画像処理、例えばシャープネス処理などを行う。画像領域と文字領域とで同一の処理強度で画像処理が行われることによる画質の低下を回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置および画像処理方法に関する。特に、本技術は、文字が含まれる可能性がある画像データの処理を行う画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、テレビ受信機において、画像の鮮鋭度を高めるために画像データに対してシャープネス処理を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−278326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、上述のシャープネス処理に関して、フレーム単位で均一な処理が行われていた。画像と文字とが混在するコンテンツの画像データの場合に均一な処理を行うと、画像の鮮鋭度は高まるが、文字の品位が低下する。このような問題は、その他の同様の画像処理、例えば、画像と文字とが混在するコンテンツの画像データにブロックノイズを除去するためにノイズリダクション処理を行う場合にも生じる。このノイズリダクション処理は、ブロックノイズを除去するために画像をぼかす処理であり、文字の品位が低下する。
【0005】
本技術の目的は、画像と文字とが混在するコンテンツの画像データに対する画像処理を良好に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の概念は、
入力画像データに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報を得る帯域情報取得部と、
上記帯域情報取得部で得られた上記各ブロックの帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域に分離する領域分離部と、
上記領域分離部で分離された画面領域毎に処理強度を求める処理強度演算部と、
上記入力画像データに対して、上記領域分離部で分離された画面領域毎に、上記処理強度演算部で求められた処理強度で所定の画像処理を行う画像処理部とを備える
画像処理装置にある。
【0007】
本技術において、帯域情報取得部により、入力画像データに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報が得られる。例えば、帯域情報取得部は、入力画像データに対してバンドパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のバンドバス成分をブロック毎に積算することにより各ブロックの第1の帯域情報(バンドパス成分情報)を得、入力画像データに対してハイパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のハイパス成分をブロック毎に積算することにより各ブロックの第2の帯域情報(ハイパス成分情報)を得る、ようにされる。
【0008】
領域分離部により、帯域情報取得部で得られた各ブロックの帯域情報に基づいて、画面が複数種類の領域に分離される。複数種類の領域は、例えば、低品位の画像領域と、高品位の画像領域と、文字領域と、画像および文字の混在領域である。例えば、領域分離部は、各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが複数種類の領域のいずれに属するかを判断し、さらに、この判断結果に基づいて、複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出して、画面を複数種類の領域に分離する、ようにされる。
【0009】
処理強度演算部により、領域分離部で分離された画面領域毎に処理強度が求められる。例えば、画面領域の種類毎に固定の処理強度が求められる。この場合、例えば、低品位の画像領域の処理強度は高くされ、その他の画像領域の処理強度は低くされる。
【0010】
画像処理部により、入力画像データに対して、領域分離部で分離された画面領域毎に、処理強度演算部で求められた処理強度で所定の画像処理が行われる。所定の画像処理は、例えば画像の鮮鋭度を高めるためのシャープネス処理、MPEGのブロックノイズを除去するためのノイズリダクション処理などである。
【0011】
このように本技術においては、ブロック毎の帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域に分離し、分離された画面領域毎に処理強度を求めて画像処理を行うものである。そのため、画像と文字とが混在するコンテンツの画像データに対する画像処理を良好に行うことができる。
【0012】
また、本技術においては、各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが複数種類の領域のいずれに属するかを判断し、その判断結果に基づいて、複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出して、画面を複数種類の領域に分離するものである。そのため、例えば、画像領域に属すると判断されたブロックに囲まれた文字領域に属すると判断されたブロック、つまり孤立点を、矩形領域を抽出する際に排除でき、ブロック間のつなぎ目が目立つことを防止できる。
【0013】
なお、本技術において、例えば、処理強度演算部は、低品位の画像領域および高品位の画像領域に関しては、ブロック毎に、上述の第1の帯域情報および第2の帯域情報の混合比率に対応した処理強度を求める、ようにされてもよい。これにより、画像領域に関しては、ブロック毎に、画像品位に応じた適切な処理強度を求めることででき、画像領域における画像処理を良好に行うことができる。
【0014】
また、本技術において、例えば、入力画像データに基づいて、各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかを判断する動き/静止判断部をさらに備え、領域分離部は、各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが複数種類の領域のいずれに属するかの判断結果と共に動き/静止判断部の判断結果に基づいて、複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出する、ようにされてもよい。
【0015】
画像領域は動きがあることが多く、文字領域は動きがないことが多い。各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかの判断結果をさらに用いることで、例えば、画像領域に属すると判断されたブロックに囲まれた文字領域に属すると判断されたブロック、つまり孤立点に関し、画像領域に属するものとの判断変更をより適切に行うことが可能となる。また、各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかの判断結果をさらに用いることで、画像領域と、画像および文字の混在領域との矩形境界の決定をより適切に行うことが可能となる。つまり、各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかの判断結果をさらに用いることで、矩形抽出の精度を高めることが可能となる。
【0016】
また、本技術において、例えば、動き/静止判断部は、帯域情報取得部で取得されるブロック毎の帯域情報のフレーム差分に基づいて、各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかを判断する、ようにされてもよい。これにより、判断処理のための演算負荷を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、画像と文字とが混在するコンテンツの画像データに対する画像処理を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本技術の実施の形態としてのテレビ受信機の構成例を示すブロック図である。
【図2】テレビ受信機を構成する画像処理ブロック内の処理強度発生部の構成例を示すブロック図である。
【図3】画面の分割例を説明するための図である。
【図4】第1の帯域情報(バンドパス成分情報)、第2の帯域情報(ハイパス成分情報)による領域判断を説明するための図である。
【図5】低品位の画像領域と、高品位の画像領域と、文字領域と、画像および文字の混在領域のいずれに属するかを判断した第1のブロック判断結果と、動き領域、静止領域のいずれに属するかを判断した第2のブロック判断結果の一例を示す図である。
【図6】画像領域の各ブロックの処理強度に関して、第1の帯域情報(バンドパス成分情報)および第2の帯域情報(ハイパス成分情報)の混合比率に対応した処理強度とすることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明を以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0020】
<1.実施の形態>
[テレビ受信機の構成例]
図1は、実施の形態としてのテレビ受信機10の構成例を示している。このテレビ受信機10は、制御部101と、ユーザ操作部102を有している。また、テレビ受信機10は、チューナ111と、外部入力インタフェース112と、デコードブロック113と、画像処理ブロック114と、表示パネル115を有している。
【0021】
制御部101は、マイクロコンピュータ(マイコン)により構成されている。この制御部101は、テレビ受信機10の各部の動作を制御する。ユーザ操作部102は、ユーザインタフェースを構成し、制御部101に接続されている。ユーザ操作部102は、テレビ受信機10の図示しない筐体に配置されたキー、釦、ダイアル、あるいはリモートコントローラ等で構成される。
【0022】
チューナ111は、BS放送、地上波デジタル放送等を受信する。このチューナ111には、図示しないアンテナで捕らえられた放送信号が入力される。このチューナ111は、放送信号から、ユーザの選局操作に基づいた所定番組のビデオデータストリームを取得する。外部入力インタフェース112は、セットトップボックス、ディスクレコーダなどの外部機器、あるいはインターネットなどのネットワークから、ビデオデータストリームを入力するインタフェースである。
【0023】
デコードブロック113は、チューナ111で取得されたた、あるいは外部入力インタフェース112により入力されたビデオデータストリームに対して、選択的に、MPEG2、MPEG4−AVCなどのデコード処理を施して、画像データを生成する。画像処理ブロック114は、デコードブロック113で生成された画像データに対して、画像処理を行う。この画像処理は、例えば、IP変換処理、MPEGのブロックノイズを除去するためのノイズリダクション処理、フレーム数を増加するハイフレームレート処理、画像の鮮鋭度を上げるためのシャープネス処理などである。表示パネル115は、画像処理ブロック114で処理された後の画像データによる画像を表示する。この表示パネル115は、例えば液晶表示パネルにより構成されている。
【0024】
図1に示すテレビ受信機10の動作を説明する。チューナ111では、ユーザの選局操作に基づいた所定番組のビデオデータストリームが取得され、このビデオデータストリームはデコードブロック113に供給される。また、セットトップボックス、ディスクレコーダなどの外部機器、あるいはインターネットなどのネットワークから外部入力インタフェース112に入力されたビデオデータストリームは、デコードブロック113に供給される。
【0025】
デコードブロック113では、チューナ111で取得された画像データ、あるいは外部入力インタフェース112に入力されたビデオデータストリームに対して、選択的に、デコード処理が行われて、画像データが生成される。この画像データは、画像処理ブロック114に入力画像データVinとして供給される。画像処理ブロック114では、詳細説明は省略するが、画像データに対して、IP変換処理、シャープネス処理などの種々の画像処理が施される。処理後の画像データは、表示パネル115に供給される。そして、表示パネル115には、この画像データによる画像が表示される。
【0026】
[シャープネス処理]
次に、画像処理ブロック114における、画像の鮮鋭度を高めるためのシャープネス処理について説明する。画像処理ブロック114は、シャープネス処理に関連してシャープネス処理部121と、処理強度発生部122を有している。処理強度発生部122は、入力画像Vinに基づいて、画面を複数種類の領域に分離し、各画面領域に対応した処理強度PFを発生する。シャープネス処理部121は、入力画像データVinに対して、分離された画面領域毎に、処理強度発生部122で発生された処理強度PFで、シャープネス処理を施す。この実施の形態で、複数種類の領域は、低品位の画像領域、高品位の画像領域、文字領域、画像と文字の混在領域である。
【0027】
処理強度発生部122について説明する。図2は、処理強度発生部122の構成例を示している。処理強度発生部122は、帯域情報取得部210と、領域分離部220と、処理強度演算部230を有している。帯域情報取得部210は、入力画像データVinに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報を得る。この場合、図3に示すように、例えば、横が1920ピクセル、縦が1080ピクセルのフルHDの画面においては、この画面が240×180個のブロック(縦8ピクセル×横6ピクセル)に分割される。
【0028】
帯域情報取得部210は、BPF(Band Pass filter)演算部211、BPF積算部212、HPF(High Pass filter)演算部213およびHPF積算部214を有している。BPF演算部211は、入力画像データVinに対してバンドパスフィルタ演算を行って画素毎のバンドパス成分を抽出する。BPF積算部212は、BPF演算部211で抽出されたバンドパス成分をブロック毎に積算して、各ブロックの第1の帯域情報(バンドパス成分情報)BI1を得る。
【0029】
また、HPF演算部213は、入力画像データVinに対してハイパスフィルタ演算を行って画素毎のハイパス成分を抽出する。HPF積算部214は、HPF演算部213で抽出されたハイパス成分をブロック毎に積算して、各ブロックの第2の帯域情報(ハイパス成分情報)BI2を得る。
【0030】
領域分離部220は、帯域情報取得部210で得られた各ブロックの帯域情報(第1、第2の帯域情報BI1,BI2)に基づいて画面を複数種類の領域に分離する。この実施の形態においては、複数種類の領域は、上述したように、低品位の画像領域と、高品位の画像領域と、文字領域と、画像および文字の混在領域とされる。領域分離部220は、フレーム差分演算部221,222、領域判断部223および矩形領域抽出部224を有している。
【0031】
フレーム差分演算部221は、帯域情報取得部210で取得された第1の帯域情報(バンドパス成分情報)BI1に基づいて、ブロック毎にフレーム差分FD1を求める。フレーム差分演算部222は、帯域情報取得部210で取得された第2の帯域情報(ハイパス成分情報)BI2に基づいて、ブロック毎にフレーム差分FD2を求める。
【0032】
なお、フレーム差分演算部221,222は、第1、第2の帯域情報BI1,BI2を利用してフレーム差分FD1,FD2を求めている。このようにして求められたフレーム差分FD1,FD2を動き領域、静止領域の判断に使用する代わりに、入力画像データVinに基づいて、ブロック毎に、フレーム差分絶対値和を求めて利用する構成とすることも考えられる。
【0033】
領域判断部223は、帯域情報取得部210で取得された第1の帯域情報BI1および第2の帯域情報BI2に基づいて、それぞれのブロックが、低品位の画像領域、高品位の画像領域、文字領域、画像と文字の混在領域のいずれに属するかを判断する。領域判断部223は、この判断結果を第1のブロック判断結果BJR1として出力する。領域判断部223は、図4に示すように、第1の帯域情報(BPF積算結果)BI1が予め設定された閾値に対して小であるか大であるか、および第2の帯域情報(HPF積算結果)BI2が予め設定された閾値に対して小であるか大であるかにより、判別を行う。
【0034】
すなわち、領域判断部223は、第1の帯域情報BI1および第2の帯域情報BI2のいずれも小さいとき、該当ブロックは低品位の画像領域に属すると判断する。また、領域判断部223は、第1の帯域情報BI1が大きく、第2の帯域情報BI2が小さいとき、該当ブロックは高品位の画像領域に属すると判断する。また、領域判断部223は、第1の帯域情報BI1が小さく、第2の帯域情報BI2が大きいとき、該当ブロックは文字領域に属すると判断する。さらに、第1の帯域情報BI1および第2の帯域情報BI2のいずれも大きいとき、該当ブロックは高品位の画像および文字の混在領域に属すると判断する。
【0035】
また、領域判断部223は、フレーム差分演算部221,222で求められたフレーム差分FD1,FD2に基づいて、それぞれのブロックが、動き領域に属するか、静止領域に属するかを判断する(図4参照)。領域判断部223は、この判断結果を第2のブロック判断結果BJR2として出力する。領域判断部223は、例えば、フレーム差分FD1,FD2のいずれも予め設定された閾値より小さいブロックは静止領域に属すると判断し、その他のブロックは動き領域に属すると判断する。
【0036】
矩形領域抽出部224は、領域判断部223から出力される第1、第2のブロック判断結果BJR1,BJR2に基づいて、複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出し、画面を複数種類の領域に分離する。そして、矩形領域抽出部224は、分離された画面領域の情報DAIを出力する。この実施の形態において、複数の種類は、上述したように、低品位の画像領域、高品位の画像領域、文字領域、画像と文字の混在領域の4種類の領域である。
【0037】
矩形領域抽出部224は、基本的には、第1のブロック判断結果BJR1に基づいて、矩形領域を抽出する。図5(b)は、第1のブロック判断結果BJR1の一例を示している。この例においては、図面を簡単にするため、低品位の画像領域および高品位の画像領域と判断されたブロックの双方を「1」で表している。また、この例においては、文字領域と判断されたブロックを「0」で表し、画像および文字の混在領域と判断されたブロックを「2」で表している。矩形領域抽出部224は、それぞれの領域と判断されたブロックを含むように、それぞれの領域の矩形抽出を行う。
【0038】
矩形領域抽出部224は、第2のブロック判断結果BJR2に基づいて、矩形領域抽出の精度を高める。図5(a)は、図5(b)に示す第1のブロック判断結果BJR1の一例に対応した、第2のブロック判断結果BJR2の一例を示している。この例においては、静止領域と判断されたブロックを「0」で表し、動き領域と判断されたブロックを「1」で表している。
【0039】
例えば、矩形領域抽出部224は、画像領域のブロックに囲まれた文字領域のブロック(孤立点)に関し、それが周囲ブロックと同様に動き領域と判断されているときには、画像領域に属するものとの判断変更を行うことで、孤立点を除去する。また、例えば、矩形領域抽出部224は、画像領域と、画像および文字の混在領域との矩形境界決定を行う際、画像および文字の混在領域のブロックであっても、動き領域と判断されているときには、当該ブロックを画像領域に属するものとの判断変更を行う。
【0040】
処理強度演算部230は、領域分離部220、従って矩形領域抽出部224から出力される分離された画面領域の情報DAIに基づいて、分離された画面領域毎に、処理強度PFを求める。この場合、例えば、文字領域と、画像および文字の混在領域に含まれる各ブロックの処理強度は共通に、例えば、画像領域に含まれる各ブロックの処理強度と比べて低くされる。
【0041】
この場合、画像領域に含まれる各ブロックの処理強度は共通に、低品位の画像領域の処理強度は高くされ、高品位の画像領域の処理強度は低くされてもよい。この実施の形態においては、画像領域の各ブロックの処理強度に関しては、例えば、図6に示すような特性で、第1の帯域情報(バンドパス成分情報)BI1および第2の帯域情報(ハイパス成分情報)BI2の混合比率に対応した処理強度とされる。なお、この場合、文字領域のブロック(孤立点)が画像領域に変更されたブロックに関しては、例えば、周囲のブロックの混合比率の平均が用いられる。
【0042】
この場合の混合比率は、以下の(1)式で表される。この(1)式において、αはブレンド率を示し、0〜1の間の値をとる。なお、(1)式において、閾値1、閾値2は、任意に設定することができる。
混合比率=BI1×α+BI2×(1−α) ・・・(1)
【0043】
図2に示す処理強度発生部122の動作を簡単に説明する。入力画像データVinは、帯域情報取得部210のBPF演算部211およびHPF演算部213に供給される。BPF演算部211では、入力画像データVinに対してバンドパスフィルタ演算が行われて画素毎のバンドパス成分が抽出される。この画素毎のバンドパス成分はBPF積算部212に供給される。BPF積算部212では、バンドパス成分がブロック毎に積算されて、各ブロックの第1の帯域情報(バンドパス成分情報)BI1が得られる。
【0044】
また、HPF演算部213では、入力画像データVinに対してハイパスフィルタ演算が行われて画素毎のハイパス成分が抽出される。この画素毎のハイパス成分はHPF積算部214に供給される。HPF積算部214では、ハイパス成分がブロック毎に積算されて、各ブロックの第2の帯域情報(ハイパス成分情報)BI2が得られる。
【0045】
帯域情報取得部210のBPF積算部212で得られた第1の帯域情報(バンドパス成分情報)BI1は、領域分離部220の領域判断部223およびフレーム差分演算部221に供給される。また、帯域情報取得部210のHPF積算部214で得られた第2の帯域情報(ハイパス成分情報)BI2は、領域分離部220の領域判断部223およびフレーム差分演算部222に供給される。
【0046】
フレーム差分演算部221では、第1の帯域情報(バンドパス成分情報)BI1に基づいて、ブロック毎にフレーム差分FD1が求められる。また、フレーム差分演算部222では、第2の帯域情報(ハイパス成分情報)BI2に基づいて、ブロック毎にフレーム差分FD2が求められる。フレーム差分FD1,FD2は、領域判断部223に供給される。
【0047】
領域判断部223では、第1の帯域情報BI1および第2の帯域情報BI2に基づいて、それぞれのブロックが、低品位の画像領域、高品位の画像領域、文字領域、画像と文字の混在領域のいずれに属するかが判断される。領域判断部223からは、この判断結果が第1のブロック判断結果BJR1として出力される。また、領域判断部223では、フレーム差分FD1,FD2に基づいて、それぞれのブロックが、動き領域に属するか、静止領域に属するかが判断される。この領域判断部223からは、この判断結果が第2のブロック判断結果BJR2として出力される。
【0048】
領域判断部223から出力される第1、第2のブロック判断結果BJR1,BJR2は、矩形領域抽出部224に供給される。矩形領域抽出部224では、第1、第2のブロック判断結果BJR1,BJR2に基づいて、複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域が抽出され、画面が複数種類の領域に分離される。矩形領域抽出部224からは、この分離された画面領域の情報DAIが出力される。
【0049】
矩形領域抽出部224から出力される分離された画面領域の情報DAIは、処理強度演算部230に供給される。この処理強度演算部230では、情報DAIに基づいて、分離された画面領域毎に、処理強度PFが求められる。この処理強度PFは、シャープネス処理部121(図1参照)に供給される。シャープネス処理部121では、入力画像データに対して、領域分離部220で分離された画面領域毎に、処理強度演算部230で求められた処理強度PFで、シャープネス処理が行われる。
【0050】
例えば、シャープネス処理部121では、文字領域と、画像および文字の混在領域に含まれる各ブロックのシャープネス処理の強度は共通とされ、画像領域に含まれる各ブロックのシャープネス処理の強度と比べて低くされる。また、例えば、シャープネス処理部121では、画像領域の各ブロックの処理強度に関しては、第1の帯域情報(バンドパス成分情報)BI1および第2の帯域情報(ハイパス成分情報)BI2の混合比率に対応した処理強度とされる。この場合、低品位の画像領域では処理強度は高くされ、高品位の画像領域では処理強度は低くされる。
【0051】
上述したように、図1に示すテレビ受信機10において、画像処理ブロック114のシャープネス処理では、ブロック毎の帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域に分離し、分離された画面領域毎に処理強度を求めてシャープネス処理を行うものである。そのため、画像と文字とが混在するコンテンツの画像データに対する画像処理を良好に行うことができる。
【0052】
また、図1に示すテレビ受信機10において、画像処理ブロック114のシャープネス処理では、各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが複数種類の領域のいずれに属するかを判断するものである。そして、その判断結果に基づいて、複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出して、画面を複数種類の領域に分離するものである。そのため、例えば、画像領域に属すると判断されたブロックに囲まれた文字領域に属すると判断されたブロック、つまり孤立点を、矩形領域を抽出する際に排除でき、ブロック間のつなぎ目が目立つことを防止できる。
【0053】
また、図1に示すテレビ受信機10において、画像処理ブロック114のシャープネス処理では、ブロック毎に、第1の帯域情報(バンドパス成分情報)および第2の帯域情報(ハイパス成分情報)の混合比率に対応した処理強度を求めるものである。そのため、画像領域に関しては、ブロック毎に、画像品位に応じた適切な処理強度を求めることででき、画像領域におけるシャープネス処理を良好に行うことができる。
【0054】
また、図1に示すテレビ受信機10において、画像処理ブロック114のシャープネス処理では、各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかが判断される。そして、各ブロックの複数種類の領域のいずれに属するかの判断結果の他に、さらに各ブロックの動き/静止の判断結果が用いられて、複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出するものである。そのため、矩形抽出の精度を高めることができる。
【0055】
また、図1に示すテレビ受信機10において、画像処理ブロック114のシャープネス処理では、帯域情報取得部210で取得されるブロック毎の帯域情報のフレーム差分に基づいて、各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかを判断するものである。そのため、判断処理のための演算負荷を抑えることが可能となる。
【0056】
<2.変形例>
なお、上述実施の形態においては、入力画像データに基づいてブロック毎の処理強度を求めてシャープネス処理を行う例を示した。本技術が適用される画像処理はシャープネス処理に限定されるものではなく、その他の同様の処理、つまり画像領域と文字領域とで異なる処理強度で処理を行うべき画像処理に適用できる。例えば、シャープネス処理の他に、MPEGのブロックノイズを除去するためのノイズリダクション処理などが考えられる。
【0057】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)入力画像データに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報を得る帯域情報取得部と、
上記帯域情報取得部で得られた上記各ブロックの帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域に分離する領域分離部と、
上記領域分離部で分離された画面領域毎に処理強度を求める処理強度演算部と、
上記入力画像データに対して、上記領域分離部で分離された画面領域毎に、上記処理強度演算部で求められた処理強度で所定の画像処理を行う画像処理部とを備える
画像処理装置。
(2)上記帯域情報取得部は、
上記入力画像データに対してバンドパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のバンドパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第1の帯域情報を得、
上記入力画像データに対してハイパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のハイパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第2の帯域情報を得る
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)上記領域分離部は、
上記各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが上記複数種類の領域のいずれに属するかを判断し、さらに、該判断結果に基づいて、上記複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出して、画面を上記複数種類の領域に分離する
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)上記複数種類の領域は、低品位の画像領域と、高品位の画像領域と、文字領域と、画像および文字の混在領域である
前記(1)から(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)上記帯域情報取得部は、
上記入力画像データに対してバンドパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のバンドパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第1の帯域情報を得、
上記入力画像データに対してハイパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のハイパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第2の帯域情報を得、
上記処理強度演算部は、
上記低品位の画像領域および上記高品位の画像領域に関しては、ブロック毎に、上記第1の帯域情報および上記第2の帯域情報の混合比率に対応した処理強度を求める
前記(4)に記載の画像処理装置。
(6)上記入力画像データに基づいて、上記各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかを判断する動き/静止判断部をさらに備え、
上記領域分離部は、上記各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが上記複数種類の領域のいずれに属するかの判断結果と共に上記動き/静止判断部の判断結果に基づいて、上記複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出する
前記(3)に記載の画像処理装置。
(7)上記動き/静止判断部は、
上記帯域情報取得部で取得されるブロック毎の帯域情報のフレーム差分に基づいて、上記各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかを判断する
前記(6)に記載の画像処理装置。
(8)上記所定の画像処理は、シャープネス処理である
前記(2)から(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9)入力画像データに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報を得る帯域情報取得ステップと、
上記帯域情報取得ステップで得られた上記各ブロックの帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域に分離する領域分離ステップと、
上記領域分離ステップで分離された画面領域毎に処理強度を求める処理強度演算ステップと、
上記入力画像データに対して、上記領域分離ステップで分離された画面領域毎に、上記処理強度演算ステップで求められた処理強度で所定の画像処理を行う画像処理ステップとを備える
画像処理方法。
【符号の説明】
【0058】
10・・・テレビ受信機
101・・・制御部
102・・・ユーザ操作部
111・・・チューナ
112・・・外部入力インタフェース
113・・・デコーダブロック
114・・・画像処理ブロック
115・・・表示パネル
121・・・シャープネス処理部
122・・・処理強度発生部
210・・・帯域情報取得部
211・・・BPF演算部
212・・・BPF積算部
213・・・HPF演算部
214・・・HPF積算部
220・・・領域分離部
221,222・・・フレーム差分演算部
223・・・領域判断部
224・・・矩形領域抽出部
230・・・処理強度演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報を得る帯域情報取得部と、
上記帯域情報取得部で得られた上記各ブロックの帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域に分離する領域分離部と、
上記領域分離部で分離された画面領域毎に処理強度を求める処理強度演算部と、
上記入力画像データに対して、上記領域分離部で分離された画面領域毎に、上記処理強度演算部で求められた処理強度で所定の画像処理を行う画像処理部とを備える
画像処理装置。
【請求項2】
上記帯域情報取得部は、
上記入力画像データに対してバンドパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のバンドパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第1の帯域情報を得、
上記入力画像データに対してハイパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のハイパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第2の帯域情報を得る
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記領域分離部は、
上記各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが上記複数種類の領域のいずれに属するかを判断し、さらに、該判断結果に基づいて、上記複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出して、画面を上記複数種類の領域に分離する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記複数種類の領域は、低品位の画像領域と、高品位の画像領域と、文字領域と、画像および文字の混在領域である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記帯域情報取得部は、
上記入力画像データに対してバンドパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のバンドパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第1の帯域情報を得、
上記入力画像データに対してハイパスフィルタ演算を行って得られた画素毎のハイパス成分をブロック毎に積算することにより上記各ブロックの第2の帯域情報を得、
上記処理強度演算部は、
上記低品位の画像領域および上記高品位の画像領域に関しては、ブロック毎に、上記第1の帯域情報および上記第2の帯域情報の混合比率に対応した処理強度を求める
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記入力画像データに基づいて、上記各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかを判断する動き/静止判断部をさらに備え、
上記領域分離部は、上記各ブロックの帯域情報に基づいてそれぞれのブロックが上記複数種類の領域のいずれに属するかの判断結果と共に上記動き/静止判断部の判断結果に基づいて、上記複数の種類の領域のそれぞれとして複数のブロックが含まれる矩形領域を抽出する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記動き/静止判断部は、
上記帯域情報取得部で取得されるブロック毎の帯域情報のフレーム差分に基づいて、上記各ブロックが動き領域に含まれるか静止領域に含まれるかを判断する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
上記所定の画像処理は、シャープネス処理である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
入力画像データに基づいて、画面が複数個のブロックに分割されて得られる各ブロックの帯域情報を得る帯域情報取得ステップと、
上記帯域情報取得ステップで得られた上記各ブロックの帯域情報に基づいて画面を複数種類の領域に分離する領域分離ステップと、
上記領域分離ステップで分離された画面領域毎に処理強度を求める処理強度演算ステップと、
上記入力画像データに対して、上記領域分離ステップで分離された画面領域毎に、上記処理強度演算ステップで求められた処理強度で所定の画像処理を行う画像処理ステップとを備える
画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29904(P2013−29904A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163914(P2011−163914)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】