説明

画像処理装置

【課題】画像処理に要求されるメモリリソースを低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行する。
【解決手段】カラープリンタ20は、印刷ヘッドの主走査方向に並ぶ画像データに対する画像処理に対して、画像処理用のメモリリソース量の全てを割り当て、並んでいる画像データに対してそれぞれメモリリソース量を確保し、画像処理が終了した際に順次、メモリリソースを開放する。CPU150は、画像データに対する画像処理用のメモリリソースをRAM151の記憶領域上に確保し、画像データに対する画像処理が終了したところで確保したメモリリソースを開放する。CPUは、1つの印刷ジョブに含まれる各画像データに対してこの処理を繰り返し実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置、画像処理出力装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルスチルカメラ(DSC)、ディジタルビデオカメラ(DVC)、スキャナ等によって生成されたディジタル画像データの画質は、画像処理を施すことによって任意に調整することができる。画像処理に際しては、例えば、ガンマ補正処理、明度、コントラスト、シャープネス等の画質調整処理が任意にまたは自動的に実行される。
【0003】
また、ディジタル画像データは、例えば、1枚の印刷用紙に対して複数の画像データを割り付けたり、複数の画像データを割り付ける際のレイアウトを自由に編集することができるという特徴を有している。
【0004】
しかしながら、各画像データに対して適切な画像処理を実行するためには、例えば、ガンマ補正処理に用いられるガンマ補正テーブル、画質調整処理に用いられるLUTを生成し、保持する領域をRAMを始めとする記憶装置の記憶領域に画像データ毎に確保しなければならない。1枚の印刷用紙に対して複数の画像データを割り付ける際には、複数の画像データに対するガンマ補正テーブル等を全て保持しなければならず、1枚の印刷用紙に対して割り付けられる画像データが増加するに従って、必要なメモリリソースが増大するという問題があった。
【0005】
特に、利用可能なメモリリソースが制限されている、パーソナルコンピュータレスにて画像処理および印刷処理を実行するスタンドアローン型プリンタにおいては、大きな問題であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行する画像処理装置を提供する。本発明の第1の態様に係る画像処理装置は、前記画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する第1の記憶手段と、画像データが印刷される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する画像データ取得手段と、前記取得された画像データに関連付けられている前記画像処理制御情報を取得する情報取得手段と、前記取得された画像データに対して画像処理を実行するための作業領域を前記記憶領域に確保する作業領域確保手段と、前記確保された作業領域を利用して、前記取得した画像処理制御情報に基づいて前記取得された画像データに対して画像処理を実行する画像処理手段と、前記画像データに対する画像処理の終了時に前記確保した作業領域を開放する作業領域解放手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置によれば、画像データに関連付けられている画像処理制御情報を取得し、画像データに対して画像処理を実行するための作業領域を記憶領域に確保し、確保された作業領域を利用して、取得した画像処理制御情報に基づいて画像データに対して画像処理を実行し、画像データに対する画像処理の終了時に確保した作業領域を開放するので、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行することができる。なお、画像データと画像処理制御情報とは同一のファイルに格納されていても良く、あるいは、関連づけを保持しつつ別個のファイルに保存されていても良い。
【0009】
本発明の第1の態様に係る画像処理装置はさらに、前記画像処理に用いられる既定の画像処理制御情報を格納する第2の記憶手段を備え、
前記画像処理手段は、画像処理の対象となる画像データに対する前記作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記画像処理制御情報に代えて前記既定の画像処理制御情報に基づいて画像処理を実行しても良い。かかる構成を備える場合には、画像データに対する作業領域を確保できない場合であっても、既定の画像処理制御情報に基づいて画像処理を行うことができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行する画像処理装置を提供する。本発明の第2の態様に係る画像処理装置は、前記画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する第1の記憶手段と、画像データが出力される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する画像データ取得手段と、前記取得された画像データに関連付けられている前記画像処理制御情報を取得する情報取得手段と、前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行するためのガンマ補正作業領域を前記記憶領域に確保するガンマ補正作業領域確保手段と、前記取得した画像処理制御情報に基づいて前記ガンマ補正作業領域にガンマ補正テーブルを生成し、その生成したガンマ補正テーブルを用いて前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行するガンマ補正処理手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置によれば、1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得し、取得した画像データに対してガンマ補正処理を実行するためのガンマ補正作業領域を記憶領域に確保し、取得した画像処理制御情報に基づいてガンマ補正作業領域にガンマ補正テーブルを生成して、取得した画像データに対してガンマ補正処理を実行し、画像データに対するガンマ補正処理の終了時に確保したガンマ補正作業領域を開放するので、ガンマ補正処理に必要な作業領域を有効に利用することができる。したがって、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行することができる。なお、画像データに対するガンマ補正処理の終了時に確保したガンマ補正作業領域を開放するガンマ補正作業領域解放手段を備えても良い。
【0012】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置において、前記ガンマ補正作業領域確保手段は、1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データにそれぞれ関連付けられている各画像処理制御情報に基づいて異なるガンマ数を取得し、異なるガンマ数を反映して各画像ファイルに対する前記ガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定して、その決定した容量に基づいて前記ガンマ補正作業領域を確保しても良い。かかる場合には、異なるガンマ数を反映してガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定するので、メモリリソースを効率よく利用することができると共に、画像データの階調再現性を維持することができる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置において、前記ガンマ補正作業領域確保手段は、出力を実行する出力機構の移動方向である主走査方向に含まれる画像データ数を検出し、検出した画像データ数を反映して各画像データに対する前記ガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定して、その決定した容量に基づいて前記ガンマ補正作業領域を確保しても良い。かかる場合には、出力機構の主走査方向に含まれる画像データ数を反映してガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定し、ガンマ補正テーブルの解像度を変更するので、メモリリソースを効率よく利用することができると共に、画像データ数に応じた画像データの階調再現性を実現することができる。
【0014】
なお、本発明の第2の態様に係る画像処理装置において、前記出力機構は、印刷を実行する印刷ヘッドまたは表示を実行する電子銃であっても良い。
【0015】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置において、前記ガンマ補正処理手段は、前記確保されたガンマ補正領域に応じて生成する前記ガンマ補正テーブルの階調数を変更しても良い。かかる場合には、確保されたガンマ補正領域の容量に応じてガンマ補正テーブルの階調数を適切に変更することができるので、画像データの実効解像度の減少に伴う階調再現性の低下を防止することができる。
【0016】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置はさらに、
前記取得された画像データに対して色空間変換処理を実行するための色空間変換作業領域を前記記憶領域に確保する色空間変換作業領域確保手段と、
前記取得した画像処理制御情報に基づいて色空間変換マトリクスを決定し、前記決定した色空間変換マトリクスを前記画像データに適用して得られる演算結果を前記色空間変換作業領域に展開し、前記取得された画像データに対して色空間変換処理を実行する色空間変換処理手段と、
前記画像データに対する色空間変換処理の終了時に前記確保した色空間変換作業領域を開放する色空間変換作業領域解放手段とを備えても良い。かかる構成を備える場合には、画像データの色空間変換処理を実行することができる。
【0017】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置はさらに、
前記取得された画像データに対して画質調整処理を実行するための画質調整作業領域を前記記憶領域に確保する画質調整作業領域確保手段と、
前記取得した画像処理制御情報に基づいて画質調整テーブルを前記画質調整作業領域に生成し、その生成した画質調整テーブルを用いて前記取得された画像データに対して画質調整処理を実行する画質調整処理手段と、
前記画像データに対する画質調整処理の終了時に前記確保した画質調整作業領域を開放する画質調整作業領域解放手段とを備えても良い。かかる構成を備える場合には、画像データに対して画質調整処理を実行することができる。
【0018】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置はさらに、
既定のガンマ補正テーブルを格納する第2の記憶手段を備え、
前記ガンマ補正処理手段は、前記ガンマ補正作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記既定のガンマ補正テーブルを用いて画像処理を実行しても良い。かかる構成を備える場合には、ガンマ補正テーブルを作成する作業領域を確保できない場合であっても、既定のガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正処理を行うことができる。
【0019】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置はさらに、
既定の色空間変換マトリクスを格納する第2の記憶手段を備え、
前記色空間変換処理手段は、前記色空間変換作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記既定の色空間変換マトリクスを用いて画像処理を実行しても良い。かかる構成を備える場合には、色空間変換マトリクスを実行する作業領域を確保できない場合であっても、既定の色空間変換マトリクスを用いて色空間変換処理を行うことができる。
【0020】
本発明の第2の態様に係る画像処理装置はさらに、
既定の画質調整テーブルを格納する第2の記憶手段を備え、
前記画質調整処理手段は、前記画質調整作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記既定の画質調整テーブルを用いて画像処理を実行しても良い。かかる構成を備える場合には、画質調整テーブルを作成する作業領域を確保できない場合であっても、既定の画質調整テーブルを用いて画質調整処理を行うことができる。
【0021】
本発明の第3の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行する画像処理装置を提供する。本発明の第3の態様に係る画像処理装置は、前記画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する記憶手段と、画像出力を実行する出力機構の移動方向である主走査方向に含まれる最大画像データ数を検出する画像データ数検出手段と、前記検出された画像データ数に基づいて前記記憶領域を分割する記憶領域分割手段と、前記主走査方向に従って各画像データに関連付けられている前記各画像処理制御情報を取得する取得手段と、前記分割された記憶領域を利用して、前記取得した画像処理制御情報に基づいて対応する前記画像データに対して画像処理を実行する画像処理手段と、前記画像データに対する画像処理の終了時に前記利用した記憶領域を開放する記憶領域解放手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の第3の態様に係る画像処理装置によれば、出力機構の主走査方向に含まれる最大画像データ数に基づいて記憶領域を分割し、分割した記憶領域を利用して、取得した画像処理制御情報に基づいて対応する画像データに対して画像処理を実行し、画像データに対する画像処理の終了時に利用した記憶領域を開放するので、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行することができる。
【0023】
本発明の第4の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行する画像処理装置を提供する。本発明の第4の態様に係る画像処理装置は、1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理に必要な作業領域容量よりも少ない容量の記憶領域を有する記憶手段と、前記記憶領域上における、1つの画像データに対する画像処理に必要な作業領域の確保および開放を制御して、1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理を実行する画像処理手段と、前記画像処理が施された画像データを送出する画像データ送出手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明の第4の態様に係る画像処理装置によれば、1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理に必要な作業領域容量よりも少ない容量の記憶領域上において、1つの画像データに対する画像処理に必要な作業領域を確保および開放を制御して、1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理を実行するので、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行することができる。
【0025】
本発明の第5の態様は、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報を用いて、複数の前記画像データを含む出力ジョブに対応して画像データに対する画像処理を実行するための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体を提供する。本発明の第5の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体における画像処理プログラムは、前記画像処理を実行するための作業領域を記憶手段における所定容量の記憶領域に確保し、前記画像処理制御情報を用いた前記画像データに対する画像処理を画像データ単位にて実行する機能と、前記画像処理が施された画像データを送出する機能と、前記画像データに対する画像処理の終了時に、画像データ単位にて前記確保した作業領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させることを特徴とする。
【0026】
本発明の第5の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体によれば、複数の画像データを含む出力ジョブに対応して、画像処理を実行するための作業領域を記憶手段における所定容量の記憶領域に確保し、取得した画像処理制御情報に基づいて画像データに対する画像処理を画像データ単位にて実行し、画像データに対する画像処理の終了時に、画像データ単位にて確保した作業領域を開放するので、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行することができる。
【0027】
本発明の第6の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行するための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体を提供する。本発明の第6の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体における画像処理プログラムは、画像データが出力される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する機能と、前記取得された画像データに関連付けられている前記画像処理制御情報を取得する機能と、前記取得された画像データに対して画像処理を実行するための作業領域を第1の記憶手段の記憶領域に確保する機能と、前記確保された作業領域を利用して、前記取得した画像処理制御情報に基づいて前記取得された画像データに対して画像処理を実行する機能と、前記画像データに対する画像処理の終了時に前記確保した作業領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させることを特徴とする。
【0028】
本発明の第6の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体によれば、本発明の第1の態様に係る画像処理装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第6の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体は、本発明の第1の態様に係る画像処理装置と同様にして、種々の態様にて実現され得る。
【0029】
本発明の第7の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行するための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体を提供する。本発明の第7の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体における画像処理プログラムは、画像データが出力される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する機能と、前記取得された画像データに関連付けられている前記画像処理制御情報を取得する機能と、前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行するためのガンマ補正作業領域を第1の記憶手段の記憶領域に確保する機能と、前記取得した画像処理制御情報に基づいて前記ガンマ補正作業領域にガンマ補正テーブルを生成し、その生成したガンマ補正テーブルを用いて前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行する機能と、前記画像データに対するガンマ補正処理の終了時に前記確保したガンマ補正作業領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させることを特徴とする。
【0030】
本発明の第7の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体によれば、本発明の第2の態様に係る画像処理装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第7の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体は、本発明の第7の態様に係る画像処理装置と同様にして、種々の態様にて実現され得る。
【0031】
本発明の第8の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行する画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体を提供する。本発明の第8の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体における画像処理プログラムは、画像出力を実行する出力機構の移動方向である主走査方向に含まれる最大画像データ数を検出する機能、前記検出された画像データ数に基づいて記憶手段の前記記憶領域を分割する機能と、前記主走査方向に従って前記各画像データに関連付けられている前記各画像処理制御情報を取得する機能と、前記分割された記憶領域を利用して、前記取得した画像処理制御情報を用いて前記画像データに対して画像処理を実行する機能と、前記画像データに対する画像処理の終了時に前記利用した記憶領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させることを特徴とする。
【0032】
本発明の第8の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体によれば、本発明の第3の態様に係る画像処理装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第8の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体は、本発明の第3の態様に係る画像処理装置と同様にして、種々の態様にて実現され得る。
【0033】
本発明の第9の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行する画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体を提供する。本発明の第9の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体における画像処理プログラムは、1つの画像データに対する画像処理に必要な作業領域を、記憶手段における1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理に必要な作業領域容量よりも少ない容量の記憶領域上において確保および開放を制御して、1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理を実行する機能と、前記画像処理が施された画像データを送出する機能とをコンピュータによって実現させることを特徴とする。
【0034】
本発明の第9の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体によれば、本発明の第4の態様に係る画像処理装置と同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第9の態様に係るコンピュータ読み取り可能媒体は、本発明の第4の態様に係る画像処理装置と同様にして、種々の態様にて実現され得る。
【0035】
本発明の第10の態様は、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報を用いて、複数の前記画像データを含む印刷出力ブに対応して画像を出力する出力装置を提供する。本発明の第10の態様に係る印刷装置は、前記画像データに対する画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する記憶手段と、前記画像処理を実行するための作業領域を前記記憶領域に確保し、前記画像データに関連付けられている画像処理制御情報を用いて前記画像データに対する画像処理を画像データ単位にて実行する画像処理手段と、前記画像データに対する画像処理の終了時に、画像データ単位にて前記確保した作業領域を開放する作業領域解放手段と、前記画像処理が施された画像データを出力する画像データ出力手段とを備えることを特徴とする。
【0036】
本発明の第10の態様に係る出力装置によれば、複数の画像データを含む出力ジョブに対応して、画像処理を実行するための作業領域を記憶手段における所定容量の記憶領域に確保し、画像データに関連付けられている画像処理制御情報に基づいて画像データに対する画像処理を画像データ単位にて実行し、画像データに対する画像処理の終了時に、画像データ単位にて確保した作業領域を開放して、画像データを印刷するので、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行して、画像データを印刷することができる。
【0037】
本発明の第11の態様は、画像データと、画像データの画像処理時に用いられると共に画像データに関連付けられている画像処理制御情報とを用いて画像処理を実行する画像処理装置を提供する。本発明の第11の態様に係る画像処理装置は、1つの出力ジョブに含まれる画像データ数を検出する検出手段と、前記検出された画像データ数に基づいて記憶手段の前記記憶領域を分割する分割手段と、前記各画像データに関連付けられている前記各画像処理制御情報を取得する取得手段と、前記分割された記憶領域を利用して、前記取得した画像処理制御情報を用いて前記画像データに対して画像処理を実行する画像処理手段とを備えることを特徴とする。
【0038】
本発明の第11の態様に係る画像処理装置によれば、1つの出力ジョブに含まれる画像データ数に基づいて記憶手段の記憶領域を分割し、分割された記憶領域を利用して1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理をそれぞれ実行するので、画像処理に要求されるメモリリソース量を低減すると共に、画像データ毎に適切な画像処理を実行することができる。
【0039】
なお、本発明の第11の態様は、画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体としても実現され得る。
【0040】
また、上記各プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体は、プログラムとしても実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明に係る画像処理装置について以下の順序にて図面を参照しつつ、いくつかの実施例に基づいて説明する。
A.画像処理システムの構成:
B.画像ファイル構造:
C.画像処理装置における画像処理:
D.その他の実施例:
【0042】
A.画像処理システムの構成:
本実施例に係る画像処理装置を適用可能な画像処理システムの構成について図1〜図4を参照して説明する。図1は本実施例に係る画像処理装置を適用可能な画像処理システムの一例を示す説明図である。図2は本実施例に係る画像処理装置が出力する画像ファイル(画像データ)を生成可能なディジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。図3は、本実施例における画像処理装置、印刷装置としてのスタンドアローン型のカラープリンタの外観を示す説明図である。図4は本実施例に適用され得るカラープリンタの内部構成を示す概略図である。図5はカラープリンタ20の制御回路の内部構成を示すブロック図である。
【0043】
画像処理システム10は、画像ファイルを生成する入力装置としてのディジタルスチルカメラ12、ディジタルスチルカメラ12にて生成された画像ファイルに基づいて画像処理を実行し、印刷用画像データを出力する画像処理装置として機能し得るパーソナルコンピュータPC、画像処理装置および印刷装置として機能するカラープリンタ20を備えている。本実施例では、画像処理装置として、パーソナルコンピュータPCではなく、スタンドアローン型のプリンタを用いている。なお、パーソナルコンピュータPCが画像処理装置として機能する場合には、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等のモニタ14、プロジェクタ等が出力装置として用いられ得る。
【0044】
パーソナルコンピュータPCは、一般的に用いられているタイプのコンピュータであり、本発明に係る画像処理プログラムを実行するCPU150、CPU150における演算結果、画像データ等を一時的に格納するRAM151、画像処理プログラムを格納するハードディスクドライブ(HDD)152を備えている。パーソナルコンピュータPCは、メモリカードMCを装着するためのカードスロット153、ディジタルスチルカメラ12等からの接続ケーブルを接続するための入出力端子154を備えている。
【0045】
ディジタルスチルカメラ12は、図2に示すように、光の情報をディジタルデバイス(CCDや光電子倍増管)に結像させることにより画像を取得するカメラであり、図2に示すように光情報を収集するためのCCD等を備える光学回路121、光学回路121を制御して画像を取得するための画像取得回路122、取得したディジタル画像を加工処理するための画像処理回路123、メモリを備えると共に各回路を制御する制御回路124を備えている。ディジタルスチルカメラ12は、取得した画像をディジタルデータとして記憶装置としてのメモリカードMCに保存する。ディジタルスチルカメラ12における画像データの保存形式としては、JPEG形式が一般的であるが、この他にもTIFF形式、GIF形式、BMP形式、RAWデータ形式等の保存形式が用いられ得る。
【0046】
ディジタルスチルカメラ12はまた、明度、コントラスト、露出補正量(露出補正値)、ホワイトバランス等の個別の画像処理制御パラメータ、および撮影条件に応じて予め複数の画像処理制御パラメータの値が設定されている撮影モードを設定するための選択・決定ボタン126、撮影画像をプレビューしたり、選択・決定ボタン126を用いて撮影モード等を設定するための液晶ディスプレイ127を備えている。
【0047】
本画像処理システム10に用いられるディジタルスチルカメラ12は、画像データGDに加えて画像データの画像処理制御情報GCを画像ファイルGFとしてメモリカードMCに格納する。すなわち、画像処理制御情報GCは、撮影時に画像データGDと共に自動的に画像ファイルGFを構成する情報としてメモリカードMCに自動的に格納される。
【0048】
ディジタルスチルカメラ12において生成された画像ファイルGFは、例えば、ケーブルCV、コンピュータPCを介して、あるいは、ケーブルCVを介してカラープリンタ20に送出される。あるいは、ディジタルスチルカメラ12にて画像ファイルGFが格納されたメモリカードMCが、メモリカード・スロットに装着されたコンピュータPCを介して、あるいは、メモリカードMCをプリンタ20に対して直接、接続することによって画像ファイルがカラープリンタ20に送出される。なお、以下の説明では、メモリカードMCがカラープリンタ20に対して直接、接続される場合に基づいて説明する。
【0049】
図3を参照して本実施例に係るカラープリンタ20の構成について説明する。カラープリンタ20は、画像処理および印刷処理に際してパーソナルコンピュータPCを必要としないスタンドアローン型のカラープリンタであり、印刷用紙、印刷解像度、印刷レイアウト、自動画質調整の設定を行うための操作パネル21、メモリカードMCを装着し、記録されている画像ファイルGFの読み出し・書き込みするためのインターフェース機能を有するメモリカードスロット22を備えている。また、印刷操作について音声ガイダンスを行うためのスピーカ23が備えられている。
【0050】
図4を参照して本実施例に係る画像処理装置および画像出力装置として機能する、カラープリンタ20の内部構成について説明する。カラープリンタ20は、カラー画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色インクを印刷媒体上に噴射してドットパターンを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。あるいは、カラートナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する電子写真方式のプリンタである。色インクには、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。なお、以下の説明では、インクジェット式のプリンタを例にとって説明する。
【0051】
カラープリンタ20は、図示するように、キャリッジ30に搭載された印字ヘッドIH1〜IH4を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、このキャリッジ30をキャリッジモータ31によってプラテン32の軸方向に往復動させる機構と、紙送りモータ33によって印刷用のカット紙40を搬送する機構と、制御回路50とから構成されている。キャリッジ30をプラテン32の軸方向に往復動させる機構は、プラテン32の軸と並行に架設されたキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ31との間に無端の駆動ベルト35を張設するプーリ36等から構成されている。
【0052】
制御回路50は、プリンタの操作パネル21と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ33やキャリッジモータ31、印字ヘッドIH1〜IH4の動きを適切に制御する。キャリッジ30にはインクカートリッジINC1とインクカートリッジINC2とが装着される。インクカートリッジINC1には黒(K)インクが収容され、インクカートリッジINC2には他のインク、すなわち、シアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y)の3色インクが収納されている。ライトシアン(LC),ライトマゼンタ(LM),ダークイエロ(DY)のインクも収納可能であることは既述の通りである。
【0053】
次に図5を参照してカラープリンタ20の制御回路50の内部構成について説明する。図示するように、制御回路50の内部には、CPU51,PROM52,RAM53,周辺機器入出力部(PIO)54,タイマ55,駆動バッファ56等が設けられている。PIO54には、パーソナルコンピュータPC、操作パネル21、メモリカードスロット22、スピーカ23、キャリッジモータ31、紙送りモータ33、およびエンコーダ37が接続されている。駆動バッファ56は、印字ヘッドIH1ないしIH4にドット形成のオン・オフ信号を供給するバッファとして使用される。これらは互いにバス57で接続され、相互にデータにやり取りが可能となっている。また、制御回路50には、所定周波数で駆動波形を出力する発振器58、および発振器58からの出力をインク吐出用ヘッドIH1ないしIH4に所定のタイミングで分配する分配出力器59も設けられている。制御回路50は、紙送りモータ33やキャリッジモータ31の動きと同期を採りながら、所定のタイミングでドットデータを駆動バッファ56に出力する。
【0054】
B.画像ファイル構造:
図6を参照して本実施例にて用いられ得る画像ファイルの概略構成について説明する。図6は本実施例にて用いられ得る画像ファイルの内部構成の一例を概念的に示す説明図である。本実施例に係る画像ファイルGFは、例えば、ディジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)に従ったファイル構造を有することができる。Exifファイルの仕様は、電子情報技術産業協会(JEITA)によって定められている。
【0055】
Exifファイルとしての画像ファイルGFは、JPEG形式の画像データを格納するJPEG画像データ格納領域111と、格納されているJPEG画像データに関する各種情報を格納する付属情報格納領域112とを備えている。付属情報格納領域112には、撮影日時、露出、シャッター速度、ホワイトバランス、露出補正量、ターゲット色空間等といったJPEG画像を出力する際に参照される画像処理制御情報GCが格納されている。また、付属情報格納領域112には、画像処理制御情報GCに加えてJPEG画像データ格納領域111に格納されているJPEG画像のサムネイル画像データがTIFF形式にて格納されている。なお、当業者にとって周知であるように、Exif形式のファイルでは、各データを特定するためにタグが用いられており、各データはタグ名によって呼ばれることがある。なお、本実施例中におけるファイルの構造、データの構造、格納領域といった用語は、ファイルまたはデータ等が記憶装置内に格納された状態におけるファイルまたはデータのイメージを意味するものである。
【0056】
画像処理制御情報GCは、ディジタルスチルカメラ12等の画像データ生成装置において画像データが生成されたとき(撮影されたとき)の画質に関連する情報であり、撮影に伴い自動的に、あるいは、ユーザにより任意に設定され得る露出時間、ISO感度、絞り、シャッタースピード、焦点距離に関するパラメータ、およびユーザによって任意に設定される露出補正量、ホワイトバランス、撮影モード、ターゲット色空間等の画像処理制御パラメータを含み得る。
【0057】
本実施例に係る上記画像ファイルGFは、ディジタルスチルカメラ12の他、ディジタルビデオカメラ、スキャナ等の入力装置(画像ファイル生成装置)によっても生成され得る。
【0058】
C.画像処理装置における画像処理:
図7および図8を参照して本実施例に係る画像処理装置として機能するカラープリンタ20における画像処理の概要について説明する。図7は画像データのレイアウトと、メモリリソースの確保、開放のタイミングを示す説明図である。図8はRAM上におけるメモリリソースの確保、開放の処理の流れを概念的に示す説明図である。
【0059】
本実施例に係るカラープリンタ20は、画像処理制御情報GCに基づいて画像データGDに対する、ガンマ補正処理、広域色空間変換処理、逆ガンマ補正処理、自動画質調整処理といった画像処理を実行することができると共に、1枚の印刷用紙に対して複数の画像ファイルGF(画像データGD)を割り付けた印刷を行うことができる。したがって、図7に示すように、1枚の印刷用紙に6つの画像データが割り付けられている場合には、6つの画像データGDに対してそれぞれ画像処理制御情報GCに基づく画像処理を実行することになり、画像処理に際して必要なメモリリソース量が増大する。特に、本実施例に係るカラープリンタ20のようにスタンドアローン型のプリンタの場合には、搭載メモリ量に制限があり、画像処理に当たって利用することができるメモリリソース量は制限されている。一方で、1つの画像データGDに対する画像処理に必要なメモリリソース量は多くなく、画像処理の対象となる画像ファイルの数によっては搭載されているメモリリソース量にて十分に対応することができる。
【0060】
そこで、本実施例に係るカラープリンタ20では、印刷ヘッドIHの移動方向(印刷用紙に対する印刷方向)である主走査方向に並ぶ画像データGDに対する画像処理に対して、画像処理用のメモリリソース量の全てを割り当て、並んでいる画像データGDに対してそれぞれメモリリソース量を確保し、画像処理が終了した際に順次、メモリリソースを開放する。例えば、図7および図8に示すように、CPU51は、画像データ1に対する画像処理用のメモリリソース(作業領域、記憶領域)をRAM151の記憶領域上に確保し(S1)、画像データ2に対する画像処理用の作業領域をRAM53の記憶領域上に確保する(S2)。CPU51は、さらに、主走査方向にならぶ最後の画像データ3に対する画像処理用の作業領域をRAM53の記憶領域上に確保し(S3)、画像データ1に対する画像処理が終了したところでS1にて確保したメモリリソースを開放する(S4)。
【0061】
CPU51は、画像データ1に対するメモリリソースを開放したところで、メモリリソースの再配置を行い、画像データ2に対する画像処理が終了したところでS2にて確保したメモリリソースを開放する(S5)。CPU51は、画像データ2に対するメモリリソースを開放すると、メモリリソースの再配置を行い、画像データ3に対する画像処理が終了したところでS3にて確保したメモリリソースを開放する(S6)。CPU51は、以下、図8に示すように、S1〜S6と同様の手順にて同一の印刷ジョブ(出力ジョブ)に含まれる画像データ4〜6に対するメモリリソースの確保、開放処理、メモリリソースの再配置を実行して(S7〜S11)、最後にRAM53の記憶領域上のメモリリソースの全てが開放される(S12)。
【0062】
図8から理解されるように、本実施例に係るカラープリンタ20における画像処理では、主走査方向に並ぶ3個の画像データGDに対応するメモリリソース量を利用して、1つの印刷ジョブ(出力ジョブ)に含まれる6個の画像データGDに対する画像処理を実行することができる。したがって、複数の画像データを1枚の印刷用紙に出力する場合であっても、最大、主走査方向に並ぶ画像データGDの数に対応するメモリリソース量だけで、1つの印刷ジョブに含まれる全ての画像データGDに対して画像処理制御情報GCに基づく個別の画像処理を実行することができる。また、メモリリソース量が制限されている場合であっても有効に活用することができる。
【0063】
図9〜図17を参照して本実施例に係る画像処理装置として機能するカラープリンタ20における画像処理について説明する。図9は本実施例に係るカラープリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図10は本実施例に係るカラープリンタ20におけるガンマ補正テーブル設定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図11は本実施例に係るカラープリンタ20におけるガンマ補正テーブル用メモリリソース割当処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図12は画像データ数によってガンマ補正テーブル用メモリリソースの割当量が変化する様子を示す説明図である。図13は本実施例に係るカラープリンタ20におけるマトリクス設定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図14は本実施例に係るカラープリンタ20における自動画質調整LUT設定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図15は本実施例に係るカラープリンタ20における画像処理制御情報GCに基づく画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図16は本実施例に係るカラープリンタ20における通常画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図17は本実施例に係るカラープリンタ20におけるメモリリソース開放処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0064】
ディジタルスチルカメラ12にて生成された画像ファイルGFは、ケーブルを介して、あるいは、メモリカードMCを介してカラープリンタ20に対して提供される。ユーザの操作によって、電源がオンされ、PROM52に格納されている画像データ処理アプリケーション(プログラム)が起動されると、CPU51は、設定された印刷条件から画像ファイルGF(画像データGD)のレイアウト情報を取得する。CPU51は、画像ファイルカウンタGNを0にリセットすると共に、取得したレイアウト情報に基づいて、1枚の印刷用紙に含まれる画像ファイルGF数GNrefを設定する(ステップS100)。
【0065】
カラープリンタ20は、メモリカードMCのカードスロット22への差込、あるいは、図示しない入出力端子154に対するケーブルを介したディジタルスチルカメラ12の接続を検知することによって起動しても良い。
【0066】
CPU51は、例えば、メモリカードMCから1つめの画像ファイルGFを読み出し(ステップS110)、読み出した画像ファイルGFをRAM53に一時的に格納して、画像ファイルGFの付属情報格納領域112において画像処理制御タグを検索する(ステップS120)。CPU51は、画像処理制御タグを検索・発見できた場合には(ステップS130:Yes)、画像データ生成時に書き込まれた画像処理制御情報GCを取得して解析する(ステップS140)。CPU51は、解析した画像処理制御情報GCに基づいて後に詳述するガンマ補正テーブル、色空間変換マトリクス、自動画質調整用LUTの設定を行う(ステップS150)。CPU51は、設定したガンマ補正テーブル、色空間変換マトリクス、自動画質調整用LUTを用いて画像処理制御情報GCに基づく画像処理を実行し(ステップS160)する。
【0067】
CPU51は、画像処理制御タグを検索・発見できなかった場合には(ステップS130:No)、画像データ生成時における画像処理制御情報GCを反映させた画像処理を実行することができないので、PROM52に格納されているデフォルトのガンマ補正テーブル、色空間変換マトリクス、自動画質調整用LUTを通常画像処理に用いるガンマ補正テーブル、色空間変換マトリクス、自動画質調整用LUT設定する。CPU51は、デフォルト値に基づいて設定したガンマ補正テーブル、色空間変換マトリクス、自動画質調整用LUTを用いて通常の画像処理(ステップS180)を実行する。
【0068】
最後に、CPU51は、GN<GNrefであるか否かを判定する(ステップS190)。CPU51は、GN<GNrefである、すなわち、1つの印刷ジョブに含まれる全ての画像ファイルGFに対する画像処理が終了していないと判定した場合には(ステップS190:Yes)、ステップS110に移行して次の画像ファイルGFを読み出し、画像処理(ステップS120〜S180)を実行する。CPU51はGN=GNrefである、すなわち、1つの印刷ジョブに含まれる全ての画像ファイルGFに対する画像処理が終了したと判定した場合には(ステップS190:No)、本処理ルーチンを終了する。
【0069】
図10を参照して、ステップS150において実行される処理の1つであるガンマ補正テーブルの設定処理について説明する。CPU51は、読み出した画像処理制御情報GCにカメラ側のガンマ値の指定がなされているか否かを判定する(ステップS200)。CPU51は、カメラ側のガンマ値の設定がなされていると判定した場合には(ステップS200:Yes)、後述するガンマ補正テーブルの領域をRAM53の記憶領域上に確保する処理を実行する(ステップS210)。CPU51は、ガンマ補正テーブルの領域が確保できたと判定した場合には(ステップS220:Yes)、画像処理制御情報GCによって指定されたガンマ値を用いて以下の演算式によってガンマ補正テーブルを生成する。
【0070】
【数1】

【0071】
CPU51は、生成したガンマ補正テーブルが格納されているメモリアドレスまたはオフセット位置を示すポインタを設定する(ステップS240)。一方、CPU51は、画像処理制御情報GCにおいてガンマ値が設定されていないと判定した場合(ステップS200:No)、ガンマ補正テーブルの領域を確保できないと判定した場合(ステップS220:No)には、PROM52に格納されているデフォルトのガンマ補正テーブルを示すポインタを設定する(ステップS250)。続いて、CPU51は、色空間変換マトリクスの設定処理を実行する。
【0072】
図11および図12を参照して、ガンマ補正テーブル用メモリリソース割り当て処理について説明する。カラープリンタ20において実行される画像処理の内、画像データの階調数に応じてガンマ補正テーブルを作成するガンマ補正処理は、マトリクス演算処理、自動画質調整LUTと比較して多くのメモリリソースを必要とする画像処理であると共に、画像データGDの階調性に影響を与える画像処理である。例えば、ガンマ補正処理では、数十KB〜数MB程度のメモリリソースが必要であるのに対して、マトリクス演算では数バイト、自動画質調整LUTは数KBのメモリリソースで足りる。したがって、各画像ファイルGFに対するメモリリソースの割り当ては、ガンマ補正テーブルに対するメモリリソースの割り当てであるとも言える。
【0073】
一般的に、画像データは各成分について8ビット(256)の階調数を有しているが、内部演算では、より高階調にて高精度演算を実行した方が階調性の良い印刷結果を得ることができるので、例えば、16ビット(65536)階調等の高階調で演算が実行される。一方、複数の画像データGDが1回の印刷ジョブに含まれる場合には、既述のように、各画像ファイルGF(画像データGD)の画像処理に対して割り当てられるメモリリソース量が制限される。メモリリソース量の観点からは、横に4つの画像ファイルGFが並んでいる場合、16ビット階調のガンマ補正テーブルを用いる場合には、65536(バイト)×4=262(KB)のメモリリソース量が必要となるが、14ビット階調では16384(バイト)×4=65(KB)のメモリリソース量で済む。
【0074】
したがって、例えば、画像ファイルGFの画像処理に利用できるメモリリソース量が150(KB)の場合には、マトリクス演算および自動画質調整LUTに割り当てるメモリリソース量を考慮すると、ガンマ補正テーブルに利用できるメモリリソース量は100KB程度となり、14ビット階調のガンマ補正テーブルを利用してガンマ補正処理を実行する必要がある。一方、1回の印刷ジョブに画像ファイルGFが1つしか含まれない場合には、16ビット階調であっても、必要なメモリリソース量は65(KB)であるため、16ビット階調のガンマ補正テーブルを利用してガンマ補正処理を実行することができる。このように、1回の印刷ジョブに含まれる画像ファイルGFの数に応じて、ガンマ補正テーブルの階調数を変更することによって、限られたメモリリソース量の中で階調性の良い印刷結果をることができる。
【0075】
以下、図11および図12を参照して、ガンマ補正テーブル用メモリリソース割り当て処理の具体的な流れについて説明する。CPU51は、プリンタドライバから印刷条件を取得する(ステップS2100)。具体的には、レイアウト情報を取得する。CPU51は、取得したレイアウト情報に基づいて、1枚の印刷用紙の主走査方向にどれだけの画像ファイルGFが並んでいるかを判定し、横画像数HNを設定する(ステップS2110)。
【0076】
CPU51は、HN≧4であるか否かを判定し(ステップS2120)、HN<4であると判定した場合には(ステップS2120:No)、HN≧2であるか否かを判定する(ステップS2130)。CPU51は、HN<2であると判定した場合には(ステップS2130:No)、図12に示すようにガンマ補正処理時の階調数として16ビット階調を設定し、ガンマ補正テーブルを作成する領域WAγに66KBを割り当てる。すなわち、ガンマ補正処理のために確保される領域は、ガンマ補正テーブルを生成するための領域であり、割り当てられた領域の容量に応じて、ガンマ補正テーブルの階調数(解像度)が変更される。
【0077】
一方、ステップS2120にて、CPU51は、HN≧4であると判定した場合には(ステップS2120:Yes)、図12に示すようにガンマ補正処理時の階調数として14ビット階調を設定し、ガンマ補正テーブルを作成する領域WAγに16KBを割り当てる。また、ステップS2130にて、CPU51は、HN≧2であると判定した場合には(ステップS2130:Yes)、図12に示すようにガンマ補正処理時の階調数として15ビット階調を設定し、ガンマ補正テーブルを作成する領域WAγに33KBを割り当てる。
【0078】
CPU51は、設定した階調数にてガンマ補正テーブルを生成し(ステップS2150)図10に示す処理ルーチンにリターンする。このメモリリソース割り当て処理によれば、1枚の印刷用紙に割り付けられる画像ファイルGFの数が少なく、実効解像度が小さく、高い階調性が要求される場合には、細かい階調再現性を実現し、1枚の印刷用紙に割り付けられる画像ファイルGFの数が多く、実効解像度が大きく、高い階調性が要求されない場合には、階調性が低下する。したがって、ガンマ補正テーブルに割り当てるメモリリソース量をダイナミックに変更して、メモリリソースを有効に活用することができると共に、画像サイズに応じてガンマ補正テーブルの階調数を変更して、画質に対する要求を満足させることができる。
【0079】
図13を参照して、ステップS150において実行される処理の1つである色空間変換マトリクスの設定処理について説明する。CPU51は、読み出した画像処理制御情報GCに色空間の指定がなされているか否かを判定する(ステップS300)。CPU51は、色空間の指定がなされていると判定した場合には(ステップS300:Yes)、画像データGDの色彩値に対してマトリクス演算を実行した結果を展開するためのマトリクス演算領域をRAM53の記憶領域上に確保する処理を実行する(ステップS310)。CPU51は、マトリクス演算領域が確保できたと判定した場合には(ステップS320:Yes)、画像処理制御情報GCによって指定された色空間に基づいて色空間変換マトリクスを設定する。例えば、色空間として、NTSC色空間が指定されている場合には、以下の色空間変換マトリクスが用いられる。
【0080】
【数2】

【0081】
マトリックス演算N-1MはRGB色空間をXYZ色空間に変換するためのマトリクスMを用いるマトリクス演算Mと、wRGB色空間をXYZ色空間に変換するためのマトリクスNを用いるマトリクス演算Nの逆マトリクス演算N-1との合成マトリクスである。マトリクスMは、sRGB色空間の表色域内には含まれないが、データとしては有効な画像データ(色彩値)を維持して、RGB色空間に基づく画像データを、XYZ色空間に基づく画像データに変換するためのマトリクスである。マトリクスMのマトリクス値は画像処理制御情報GCによって指定された色空間にしたがって決定される。マトリクスNの逆マトリクスNは、マトリクス演算MによってXYZ色空間に基づく画像データに変換された画像データをsRGB色空間よりも広い定義領域を有するwRGB色空間に変換(RGB色空間に戻す)ためのマトリクスである。XYZ色空間は、機器の出力特性に依存しない機器独立色空間の1つであり、RGB色空間とwRGB色空間との間における色彩値の対応付けを行うために用いられる。
【0082】
マトリックス演算N-1Mの実行後に得られる画像データGDの色空間はsRGB色空間よりも広い定義領域を有するwRGB色空間である。従来は、プリンタまたはコンピュータにおける画像処理に際して用いられる色空間はsRGBに固定されており、ディジタルスチルカメラ12の有する色空間を有効に活用することができなかった。これに対して、本実施例では、画像ファイルGFに色空間情報が含まれている場合には、色空間情報に対応してマトリックス演算Mに用いられるマトリックス(N-1M)を変更するので、ディジタルスチルカメラ12の有する色空間を有効に活用して、正しい色再現を実現することができる。
【0083】
CPU51は、設定したマトリクス演算領域のメモリアドレスまたはオフセット位置を示すポインタを設定する(ステップS340)。一方、CPU51は、画像処理制御情報GCにおいて色空間が指定されていないと判定した場合(ステップS300:No)、マトリクス演算領域を確保できないと判定した場合(ステップS320:No)には、PROM52に格納されているデフォルトのマトリクス演算テーブルを示すポインタを設定する(ステップS250)。続いて、CPU51は、画質調整用LUTの設定処理を実行する。
【0084】
図14を参照して、ステップS150において実行される処理の1つである自動画質調整LUTの設定処理について説明する。CPU51は、読み出した画像処理制御情報GCに画質調整パラメータの指定がなされているか否かを判定する(ステップS400)。CPU51は、画質調整パラメータの指定がなされていると判定した場合には(ステップS400:Yes)、指定された画質調整パラメータに基づいて自動画質調整用のLUTを生成するための自動画質調整LUTの領域をRAM53の記憶領域上に確保する処理を実行する(ステップS410)。CPU51は、自動画質調整LUTの領域が確保できたと判定した場合には(ステップS420:Yes)、画像処理制御情報GCによって指定された画質調整パラメータに基づいて自動画質調整LUTを生成する。
【0085】
本実施例における画質自動調整処理では、画像ファイルGFに含まれている画像データGDを解析して画質を示す特性パラメータ値を取得し、画像ファイルGFに含まれている画像処理制御情報GC、取得した特性パラメータ値を反映して画像データを補正する画質の自動調整が実行される。画質自動調整処理では、補正の目標となるべき基準パラメータを予め定めておき、基準パラメータと画像データGDの特性パラメータとの差分を解消、または、低減するように画像補正量が決定される。このとき、画像処理制御情報GCは、基準パラメータの値を変更するために用いられても良く、あるいは、基準パラメータと画像データGDの特性パラメータとの差分の低減の程度、画像補正量の適用のレベルを変更するために用いられても良い。
【0086】
画像データの補正は、例えば、明度、コントラスト、カラーバランス等については、画像補正量を入力レベルとし、一般的にトーンカーブと呼ばれる、RGB信号の入力レベルと出力レベルとを関連付ける特性線を用いて各画素(ピクセル)単位で実行される。また、例えば、彩度、シャープネス、ノイズ低減等については、トーンカーブ処理ではなくピクセル演算処理(フィルタ処理)がピクセル単位で実行される。
【0087】
CPU51は、生成した自動画質調整LUTが格納されていメモリアドレスまたはオフセット位置を示すポインタを設定する(ステップS440)。一方、CPU51は、画像処理制御情報GCにおいて画質調整パラメータが指定されていないと判定した場合(ステップS400:No)、自動画質調整LUT領域を確保できないと判定した場合(ステップS420:No)には、PROM52に格納されているデフォルトの自動画質調整LUTを示すポインタを設定する(ステップS450)。続いて、CPU51は、図9に示す処理ルーチンにリターンする。
【0088】
カラープリンタ20において実行される画像処理制御情報に基づく画像処理について図15を参照して詳細に説明する。カラープリンタ20のCPU51は、読み出した画像ファイルGFから画像データGDを取りだす(ステップS500)。このとき取り出された画像データGDは、オリジナルではなく、コピーであり、画像処理が完了するまでは、コピーの画像データGDに対して種々の画像処理が施される。
【0089】
ディジタルスチルカメラ12は、既述のように画像データをJPEG形式のファイルとして保存しており、JPEGファイルでは、圧縮率を高くするためにYCbCr色空間を用いて画像データを保存している。
【0090】
CPU51は、YCrCb色空間に基づく画像データをRGB色空間に基づく画像データに変換するために3×3マトリックス演算Sを実行する(ステップS510)。マトリックス演算Sは以下に示す演算式である。
【0091】
【数3】

【0092】
CPU51は、こうして得られたRGB色空間に基づく画像データに対して、ガンマ補正処理を実行する(ステップS520)。ガンマ補正処理を実行する際には、CPU51は、先に設定されたガンマ補正ポインタを指定し、RAM53に格納されているガンマ補正テーブルを用いて画像データGDに対してガンマ補正処理を実行する。
【0093】
CPU51は、ガンマ補正が実行された画像データGDに対して、原色空間とwRGB色空間とを対応付けるため、既述のマトリックスN-1Mを用いてマトリックス演算N-1Mを実行する(ステップS530)。CPU51は、マトリクス演算N-1Mを実行する際には、先に設定されたRAM53上のマトリクス演算ポインタを指定し、画像データGDに対する演算結果を指定した領域に書き込んでいく。
【0094】
CPU51は、マトリクス演算N-1Mにより得られた画像データに対して逆ガンマ補正を実行する(ステップS540)。ガンマ補正を実行する際には、CPU51はPROM52に格納されているプリンタ側のデフォルトの逆ガンマ補正テーブルを用いて画像データGDに対する逆ガンマ補正処理を実行する。なお、逆ガンマ補正テーブルの作成に用いられる演算式は以下の通りである。
【0095】
【数4】

【0096】
CPU51は、逆ガンマ補正が施された画像データGDに対して画像画質の自動調整処理を実行する(ステップS550)。自動画質調整処理を実行する際には、CPU51は、先に設定された自動画質調整ポインタを指定し、RAM53に格納されている自動画質調整LUTを用いて画像データGDに対して自動画質調整処理を実行する。
【0097】
CPU51は、画質自動調整処理を終了すると、処理済みの画像データをプリンタドライバへ出力し(ステップS560)、メモリリソース開放処理を実行して(ステップS570)、図9に示す処理ルーチンにリターンする。
【0098】
図16を参照して、図15の処理ルーチンにおけるステップ570にて実行されるメモリリソース開放処理を説明する。CPU51は、RAM53上にガンマ補正テーブルが生成されているか否かを判定する(ステップS5700)。CPU51は、RAM53上にガンマ補正テーブルが生成されていると判定した場合には(ステップS5700:Yes)、処理済みの画像データGDに対して割り当てられているメモリリソースのうち、ガンマ補正テーブル領域を解放する(ステップS5710)。CPU51は、RAM53上にガンマ補正テーブルが生成されていないと判定した場合には(ステップS5700:No)、ステップS5720に対象処理を移行する。
【0099】
CPU51は、RAM53上にマトリクス演算領域が割り当てられているか否かを判定する(ステップS5720)。CPU51は、RAM53上にマトリクス演算領域が割り当てられていると判定した場合には(ステップS5720:Yes)、処理済みの画像データGDに対して割り当てられているメモリリソースのうち、マトリクス演算領域を解放する(ステップS5730)。CPU51は、RAM53上にマトリクス演算領域が割り当てられていないと判定した場合には(ステップS5720:No)、ステップS5740に処理を移行する。
【0100】
CPU51は、RAM53上に自動画質調整LUTが生成されているか否かを判定する(ステップS5740)。CPU51は、RAM53上に自動画質調整LUTが生成されていると判定した場合には(ステップS5740:Yes)、処理済みの画像データGDに対して割り当てられているメモリリソースのうち、自動画質調整LUT領域を解放して(ステップS5750)、図15に示す処理ルーチンにリターンする。CPU51は、RAM53上に自動画質調整LUTが生成されていないと判定した場合には(ステップS5740:No)、図15に示す処理ルーチンにリターンする。
【0101】
次に、カラープリンタ20において実行される通常画像処理について図17を参照して詳細に説明する。なお、各ステップにおいて実行される処理のうち、図15を参照して説明した画像処理制御情報GCに基づく画像処理における処理と同様の処理については、簡単に説明するにとどめる。カラープリンタ20のCPU51は、読み出した画像ファイルGFから画像データGDを取りだす(ステップS600)。CPU51は、YCrCb色空間に基づく画像データをRGB色空間に基づく画像データに変換するために3×3マトリックス演算Sを実行する(ステップS610)。マトリックス演算Sは既述の演算式である。CPU51は、マトリクス演算Sにより得られた画像データをsRGB色空間にクリッピングして負値および256以上(8ビット階調の場合)の値を丸める。
【0102】
CPU51はに対して、デフォルトのガンマ補正テーブルを用いてガンマ補正処理を実行し(ステップS620)、デフォルトの色空間変換マトリクステーブルを用いて画像データGDの色空間の変換処理を実行する(ステップS630)。CPU51は、色空間変換処理が実行された画像データGDに対して、逆ガンマ補正処理を実行し(ステップS640)、画像画質の自動調整処理を実行し(ステップS650)、画像処理を実行した画像データGDをプリンタドライバへ出力し(ステップS660)、図9に示す処理ルーチンにリターンする。各処理において、CPU51は、先に設定されたポインタを指定して各テーブル、LUTを取得する。
【0103】
図18を参照して、画像データGDの出力処理、すなわち、プリンタドライバ(印刷制御プログラム)によって実行される印刷制御処理について説明する。CPU51は、印刷ジョブに含まれる画像データを取得し(ステップS700)、印刷のためのwRGB−CMYK色変換処理を実行する(ステップS710)。なお、色変換処理に先立って、画像データGDの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、線形補間を行って隣接画像データ間に新たなデータを生成し、逆に印刷解像度よりも高い場合は、一定の割合でデータを間引くことによって、画像データの解像度を印刷解像度に変換する解像度変換処理が実行されても良い。
【0104】
ここまでのコピー画像データGDに対する画像処理の結果をオリジナル画像データGDに反映させる場合には、画像データの上書きを選択することにより実現される。CPU51は、PROM52内に格納されている、wRGB色空間をCMYK色空間に関連づける変換用ルックアップテーブル(LUT)を参照し、画像データの色空間をwRGB色空間からCMYK色空間へ変更する。すなわち、R・G・Bの階調値からなる画像データをカラープリンタ20で使用する、例えば、C・M・Y・K・LC・LMの各6色の階調値のデータに変換する。
【0105】
CPU51は、ハーフトーン処理を実行し(ステップS720)、印刷処理を実行して(ステップS730)、本処理ルーチンを終了する。ハーフトーン処理では、色変換済みの画像データを受け取って、階調数変換処理を行う。本実施例においては、色変換後の画像データは各色毎に256階調幅を持つデータとして表現されている。これに対し、本実施例のカラープリンタ20では、「ドットを形成する」,「ドットを形成しない」のいずれかの状態しか採り得ず、本実施例のカラープリンタ20は局所的には2階調しか表現し得ない。そこで、256階調を有する画像データを、カラープリンタ20が表現可能な2階調で表現された画像データに変換する。この2階調化(2値化)処理の代表的な方法として、誤差拡散法と呼ばれる方法と組織的ディザ法と呼ばれる方法とがある。CPU51は、ドットの形成有無を表す形式に変換された画像データを、カラープリンタ20に転送すべき順序に並べ替えてるインターレス処理をも実行する。
【0106】
以上、説明したように本実施例におけるカラープリンタ20によれば、複数画像印刷の場合には、印刷の主走査方向に配置される最大の画像ファイル数で各画像ファイルGFの画像処理に利用するメモリリソース量を決定し、決定されたメモリリソース量にて画像処理を実行し、画像処理終了後にはメモリリソースを開放する。したがって、画像処理に必要なメモリリソース量を低減することができると共に、印刷解像度に対して十分な画質を実現することができる。
【0107】
特に、一連の画像処理を限られたメモリリソースの中で実行しなければならない、スタンドアローン型のプリンタ、携帯用機器においては、限られたメモリリソースが制限されている場合であっても、利用可能なメモリリソース量を有効に活用して画像処理を実行することができる。
【0108】
本実施例では、画像処理の中で、最もメモリリソースを必要とするガンマ補正テーブルを作成するに当たり、1枚の印刷用紙における印刷方向(主走査方向)に並ぶ画像ファイルの数が多い場合には、ガンマ補正テーブルの階調数を低減させて階調数を可変させている。したがって、印刷画像解像度が高い場合には高い階調性を有する画像を出力することができるとともに、階調性が要求されない低い印刷画像解像度の場合には、限られたメモリリソースで複数の画像データGDに対する画像処理を実現することができる。
【0109】
F.その他の実施例:
上記実施例では、画像処理および印刷処理を共に実行するスタンドアローン型のカラープリンタ20を出力装置として用いて画像データGDの画像処理を実行したが、本発明を画像処理アプリケーションとして実現し、パーソナルコンピュータPC、表示制御回路を備えるスタンドアローン型の表示装置、あるいは、携帯端末上において画像処理を実行してもよい。かかる場合であっても、メモリリソースを有効に活用して複数の画像ファイルに対する画像処理を実行することができるという、本発明の利益を享受することができる。特に、メモリリソースが限られている携帯端末においては、本発明は有用である。
【0110】
スタンドアローン型の表示装置において実行される場合には、出力ジョブは表示制御回路にて画像処理されるべき表示ジョブとなる。画像データは、例えば、ネットワークシステム、フラッシュメモリ等の記憶媒体を介して表示装置に供給される。表示装置は、上記実施例において説明したガンマテーブルの生成処理、色変換処理(マトリクス演算処理、LUT処理)の実行を伴う画像処理を実行する。この結果、画像処理に際して要求されるメモリリソースを低減することができる。あるいは、備えられているメモリリソースを有効に利用して画像処理を実行することができる。例えば、表示装置がノンインターレース(プログレッシブ)方式のCRT表示装置の場合には、電子銃の主走査列単位での画像出力が可能となるので、上記実施例において説明したプリンタと同等の画像処理を実行することができる。
【0111】
また、上記実施例において例示した画像処理のために割り当てられるメモリリソース量は説明の都合上用いられた例示に過ぎず、実施に当たっては、個々の製品の特性、使用に応じて適宜変更され得るのはもちろんである。
【0112】
さらに、複数画像データを1枚の印刷用紙に印刷する場合であっても、いわゆる、インデックス印刷、マトリクス印刷と呼ばれる印刷モードでは、全画像ファイルに対して、同一の画像処理を実行してもよい。かかる場合には、通常、どのような画像ファイルが含まれているかを示すために用いられ、画像の画質に対する要求は低いからである。
【0113】
上記実施例では、画像ファイル単位にてメモリリソースの割り当てを行ったが、ガンマ補正テーブル用のメモリリソースについては、マトリクス演算等に用いるメモリリソースとは独立して確保しても良い。かかる場合には、1回の印刷ジョブに含まれる画像ファイルの中から、異なるガンマ値を取得し、異なるガンマ値の数に応じてガンマ補正テーブル用のメモリリソースを割り当てることができる。すなわち、同一のガンマ値を有する画像ファイルGFに対しては、同一のガンマ補正テーブルを利用することができ、メモリリソースの低減を図ることができる。
【0114】
さらに、上記実施例では、メモリリソースの開放処理を前提にしてメモリリソース量の最低量を維持して画像処理を実行しているが、例えば、1つの出力ジョブに含まれる画像データ数を検出し、メモリリソース量の最低量を維持することなく検出された画像データ数に応じて予めメモリリソースを割当て、割り当てられたメモリリソースの範囲内で画像処理を実行しても良い。出力画像の解像度に対する要求が低い場合等には有用である。かかる場合には、メモリリソースの開放処理を実行する必要がなくなる。
【0115】
以上、実施例に基づき本発明に係る画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像出力装置を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0116】
各数式におけるマトリックスS、N-1Mの値は例示に過ぎず、ターゲットとする色空間、あるいは、カラープリンタ20において利用可能な色空間等によって適宜変更され得ることはいうまでもない。
【0117】
上記実施例では、画像ファイル生成装置としてディジタルスチルカメラ12を用いて説明したが、この他にもスキャナ、ディジタルビデオカメラ等が用いられ得る。スキャナを用いる場合には、画像ファイルGFの取り込みデータ情報の指定はコンピュータPC上で実行されても良く、あるいは、スキャナ上に情報設定用に予め設定情報が割り当てられているプリセットボタン、任意設定のための表示画面および設定用ボタンを供えておき、スキャナ単独で実行可能にしてもよい。
【0118】
上記実施例では、画像ファイルGFの具体例としてExif形式のファイルを例にとって説明したが、本発明に係る画像ファイルの形式はこれに限られない。すなわち、画像データ生成装置において生成された画像データと、画像データの生成時条件(情報)を記述する画像処理制御情報GCとが含まれている画像ファイルであれば良い。このようなファイルであれば、画像ファイル生成装置において生成された画像データの画質を、適切に自動調整して出力装置から出力することができる。
【0119】
上記実施例では、画像データGDと画像処理制御情報GCとが同一の画像ファイルGFに含まれる場合を例にとって説明したが、画像データGDと画像処理制御情報GCとは、必ずしも同一のファイル内に格納される必要はない。すなわち、画像データGDと画像処理制御情報GCとが関連付けられていれば良く、例えば、画像データGDと画像処理制御情報GCとを関連付ける関連付けデータを生成し、1または複数の画像データと画像処理制御情報GCとをそれぞれ独立したファイルに格納し、画像データGDを処理する際に関連付けられた画像処理制御情報GCを参照しても良い。かかる場合には、画像データと画像処理制御情報GCとが別ファイルに格納されているものの、画像処理制御情報GCを利用する画像処理の時点では、画像データおよび画像処理制御情報GCとが一体不可分の関係にあり、実質的に同一のファイルに格納されている場合と同様に機能するからである。すなわち、少なくとも画像処理の時点において、画像データと画像処理制御情報GCとが関連付けられて用いられる態様は、本実施例における画像ファイルGFに含まれる。さらに、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM等の光ディスクメディアに格納されている動画像ファイルも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本実施例に係る画像処理装置を適用可能な画像処理システムの一例を示す説明図である。
【図2】本実施例に係る画像処理装置が処理する画像ファイル(画像データ)を生成可能なディジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例における画像処理装置、印刷装置としてのスタンドアローン型のカラープリンタの外観を示す説明図である。
【図4】本実施例に係るカラープリンタの内部構成を示す概略図である。
【図5】本実施例に係るカラープリンタ20の制御回路の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本実施例において用いられ得るExifファイル形式にて格納されている画像ファイルGFの概略的な内部構造を示す説明図である。
【図7】画像データのレイアウトと、メモリリソースの確保、開放のタイミングを示す説明図である。
【図8】RAM上におけるメモリリソースの確保、開放の処理の流れを概念的に示す説明図である。
【図9】本実施例に係るカラープリンタ20における画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】本実施例に係るカラープリンタ20におけるガンマ補正テーブル設定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本実施例に係るカラープリンタ20におけるガンマ補正テーブル用メモリリソース割当処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】画像データ数によってガンマ補正テーブル用メモリリソースの割当量が変化する様子を示す説明図である。
【図13】本実施例に係るカラープリンタ20におけるマトリクス設定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】本実施例に係るカラープリンタ20における自動画質調整LUT設定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図15】本実施例に係るカラープリンタ20における画像処理制御情報GCに基づく画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図16】本実施例に係るカラープリンタ20における通常画像処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図17】本実施例に係るカラープリンタ20におけるメモリリソース開放処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図18】本実施例に係るカラープリンタ20における画像データ出力処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理装置であって、
前記画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する第1の記憶手段と、
画像データが出力される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記取得された画像データに対して画像処理を実行するための作業領域を前記記憶領域に確保する作業領域確保手段と、
前記確保された作業領域を利用して、前記取得された画像データ毎に画像処理を実行する画像処理手段と、
前記画像データに対する画像処理の終了時に前記確保した作業領域を開放する作業領域解放手段とを備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置はさらに、
前記画像処理に用いられる既定の画像処理制御情報を格納する第2の記憶手段を備え、
前記画像処理手段は、画像処理の対象となる画像データに対する前記作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記既定の画像処理制御情報に基づいて各前記画像データに対して画像処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理装置であって、
前記画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する第1の記憶手段と、
画像データが出力される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行するためのガンマ補正作業領域を前記記憶領域に確保するガンマ補正作業領域確保手段と、
前記取得された画像データに対して、前記ガンマ補正作業領域にガンマ補正テーブルを生成し、その生成したガンマ補正テーブルを用いて前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行するガンマ補正処理手段とを備える画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記ガンマ補正作業領域確保手段は、1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データに基づいて異なるガンマ数を取得し、異なるガンマ数を反映して各画像データに対する前記ガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定して、その決定した容量に基づいて前記ガンマ補正作業領域を確保することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記ガンマ補正作業領域確保手段は、出力を実行する出力機構の移動方向である主走査方向に含まれる画像データ数を検出し、検出した画像データ数を反映して各画像データに対する前記ガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定して、その決定した容量に基づいて前記ガンマ補正作業領域を確保することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置において、
前記出力機構は、印刷を実行する印刷ヘッドまたは表示を実行する電子銃である画像処理装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記ガンマ補正処理手段は、前記確保されたガンマ補正領域に応じて生成する前記ガンマ補正テーブルの階調数を変更する画像処理装置。
【請求項8】
請求項3に記載の画像処理装置はさらに、
前記取得された画像データに対して色空間変換処理を実行するための色空間変換作業領域を前記記憶領域に確保する色空間変換作業領域確保手段と、
前記取得した画像データ毎に色空間変換マトリクスを決定し、前記決定した色空間変換マトリクスを前記画像データに適用して得られる演算結果を前記色空間変換作業領域に展開し、前記取得された画像データに対して色空間変換処理を実行する色空間変換処理手段と、
前記画像データに対する色空間変換処理の終了時に前記確保した色空間変換作業領域を開放する色空間変換作業領域解放手段とを備える画像処理装置。
【請求項9】
請求項3または8に記載の画像処理装置はさらに、
前記取得された画像データに対して画質調整処理を実行するための画質調整作業領域を前記記憶領域に確保する画質調整作業領域確保手段と、
前記取得した画像データ毎に画質調整テーブルを前記画質調整作業領域に生成し、その生成した画質調整テーブルを用いて前記取得された画像データに対して画質調整処理を実行する画質調整処理手段と、
前記画像データに対する画質調整処理の終了時に前記確保した画質調整作業領域を開放する画質調整作業領域解放手段とを備える画像処理装置。
【請求項10】
請求項3に記載の画像処理装置はさらに、
既定のガンマ補正テーブルを格納する第2の記憶手段を備え、
前記ガンマ補正処理手段は、前記ガンマ補正作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記既定のガンマ補正テーブルを用いて画像処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項8に記載の画像処理装置はさらに、
既定の色空間変換マトリクスを格納する第2の記憶手段を備え、
前記色空間変換処理手段は、前記画像データ毎の色空間変換作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記既定の色空間変換マトリクスを用いて画像処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項9に記載の画像処理装置はさらに、
既定の画質調整テーブルを格納する第2の記憶手段を備え、
前記画質調整処理手段は、前記画像データ毎の画質調整作業領域が前記記憶領域に確保できない場合には、前記既定の画質調整テーブルを用いて画像処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理装置であって、
1つの出力ジョブに含まれる画像データ数を検出する検出手段と、
前記検出された画像データ数に基づいて記憶手段の前記記憶領域を分割する分割手段と、
前記分割された記憶領域を利用して、各前記画像データ毎に画像処理を実行する画像処理手段とを備える画像処理装置。
【請求項14】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理装置であって、
前記画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する記憶手段と、
画像出力を実行する出力機構の移動方向である主走査方向に含まれる最大画像データ数を検出する画像データ数検出手段と、
前記検出された画像データ数に基づいて前記記憶領域を分割する記憶領域分割手段と、
前記分割された記憶領域を利用して、各前記画像データ毎に画像処理を実行する画像処理手段と、
前記画像データに対する画像処理の終了時に前記利用した記憶領域を開放する記憶領域解放手段とを備える画像処理装置。
【請求項15】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理装置であって、
1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理に必要な作業領域容量よりも少ない容量の記憶領域を有する記憶手段と、
前記記憶領域上における、1つの画像データに対する画像処理に必要な作業領域の確保および開放を制御して、1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理を実行する画像処理手段と、
前記画像処理が施された画像データを送出する画像データ送出手段とを備える画像処理装置。
【請求項16】
複数の前記画像データを含む出力ジョブに対応して画像データに対する画像処理を実行するための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記画像処理プログラムは、
前記画像処理を実行するための作業領域を記憶手段における所定容量の記憶領域に確保し、前記画像データに対する画像処理を画像データ単位にて実行する機能と、
前記画像処理が施された画像データを送出する機能と、
前記画像データに対する画像処理の終了時に、画像データ単位にて前記確保した作業領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項17】
画像データに対して画像処理を実行するための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記画像処理プログラムは、
画像データが出力される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する機能と、
前記取得された画像データに対して画像処理を実行するための作業領域を第1の記憶手段の記憶領域に確保する機能と、
前記確保された作業領域を利用して、前記取得された画像データに対して画像処理を実行する機能と、
前記画像データに対する画像処理の終了時に前記確保した作業領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項18】
画像データに対して画像処理を実行するための画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記画像処理プログラムは、
画像データが出力される際の出力順序に従って1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データから1つの画像データを取得する機能と、
前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行するためのガンマ補正作業領域を第1の記憶手段の記憶領域に確保する機能と、
前記取得した画像データ毎に前記ガンマ補正作業領域にガンマ補正テーブルを生成し、その生成したガンマ補正テーブルを用いて前記取得された画像データに対してガンマ補正処理を実行する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能媒体において、
前記ガンマ補正作業領域の確保は、1つの出力ジョブに含まれる複数の画像データに基づいて異なるガンマ数を取得し、異なるガンマ数を反映して各画像データに対する前記ガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定して、その決定した容量に基づいて前記ガンマ補正作業領域を確保することによって実現されることを特徴とするコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項20】
請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能媒体において、
前記ガンマ補正作業領域の確保は、画像出力を実行する出力機構の移動方向である主走査方向に含まれる画像データ数を検出し、検出した画像データ数を反映して各画像データに対する前記ガンマ補正作業領域として割り当てる容量を決定して、その決定した容量に基づいて前記ガンマ補正作業領域を確保することにより実現されることを特徴とするコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項21】
請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能媒体において、前記画像処理プログラムはさらに、
前記取得された画像データに対して色空間変換処理を実行するための色空間変換作業領域を前記記憶領域に確保する機能と、
前記取得した画像データ毎に色空間変換マトリクスを決定し、前記決定した色空間変換マトリクスを前記画像データに適用して得られる演算結果を前記色空間変換作業領域に展開し、前記取得された画像データに対して色空間変換処理を実行する機能と、
前記画像データに対する色空間変換処理の終了時に前記確保した色空間変換作業領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項22】
請求項18または21に記載のコンピュータ読み取り可能媒体において前記画像処理プログラムはさらに、
前記取得された画像データに対して画質調整処理を実行するための画質調整作業領域を前記記憶領域に確保する機能と、
前記取得した画像データ毎に画質調整テーブルを前記画質調整作業領域に生成し、その生成した画質調整テーブルを用いて前記取得された画像データに対して画質調整処理を実行する機能と、
前記画像データに対する画質調整処理の終了時に前記確保した画質調整作業領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項23】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記画像処理プログラムは、
画像出力を実行する出力機構の移動方向である主走査方向に含まれる最大画像データ数を検出する機能と、
前記検出された画像データ数に基づいて記憶手段の前記記憶領域を分割する機能と、
前記分割された記憶領域を利用して、前記取得した画像データ毎に画像処理を実行する機能と、
前記画像データに対する画像処理の終了時に前記利用した記憶領域を開放する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項24】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記画像処理プログラムは、
1つの出力ジョブに含まれる画像データ数を検出する機能と、
前記検出された画像データ数に基づいて記憶手段の前記記憶領域を分割する機能と、
前記分割された記憶領域を利用して、前記取得した画像データ毎に画像処理を実行する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項25】
画像データに対して画像処理を実行する画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記画像処理プログラムは、
1つの画像データに対する画像処理に必要な作業領域を、記憶手段における1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理に必要な作業領域容量よりも少ない容量の記憶領域上において確保および開放を制御して、1つの出力ジョブに含まれる全ての画像データに対する画像処理を実行する機能と、
前記画像処理が施された画像データを送出する機能とをコンピュータによって実現させるコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項26】
複数の画像データを含む出力ジョブに対応して画像を出力する出力装置であって、
前記画像データに対する画像処理に用いられる所定容量の記憶領域を有する記憶手段と、
前記画像処理を実行するための作業領域を前記記憶領域に確保し、前記画像データに対する画像処理を画像データ単位にて実行する画像処理手段と、
前記画像データに対する画像処理の終了時に、画像データ単位にて前記確保した作業領域を開放する作業領域解放手段と、
前記画像処理が施された画像データを出力する画像データ出力手段とを備える出力装置。
【請求項27】
請求項26に記載の出力装置において、
前記出力手段は、前記画像処理が施された画像データをラスタ単位にて出力することを特徴とする出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−134732(P2009−134732A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33(P2009−33)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2002−573425(P2002−573425)の分割
【原出願日】平成14年3月14日(2002.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】