説明

画像処理装置

【課題】高負荷に耐え得る装置構成を用いることなく、画像解析により異常を検出し、異常時における高解像度の撮影画像データを記録、又は表示する。
【解決手段】受信した低解像度の撮影画像データと時刻情報とを記憶する低解像度画像記憶手段13aと、受信した高解像度の撮影画像データと時刻情報とを記憶する高解像度画像記憶手段13bと、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻前後の高解像度の撮影画像データが記憶されているか否かを判定する画像判定手段11cと、記憶されていると判定された場合、最後に記憶された低解像度の撮影画像データを用いて異常を検出する異常検出手段11dと、異常が検出された場合に最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻に最も近い時刻の高解像度の撮影画像を選択する画像選択手段11eと、選択された高解像度の撮影画像データを光ディスクドライブ14に記録させる出力制御手段11fとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラとネットワークを介して接続され、カメラにより撮影された撮影画像データを受信し、受信した撮影画像データの画像解析結果に基づいて、撮影画像データを記録、又は表示する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテル、商用ビル、又はコンビニエンスストア等には、犯罪防止を目的として、監視カメラと、この監視カメラが撮影した画像を解析する画像解析装置とを備えた監視カメラシステムが設置されることが多い。
【0003】
また、昨今のネットワークの普及により、ネットワークに接続することができるネットワークカメラが普及してきている。そこで、このようなネットワークカメラと、ネットワークカメラが撮影した撮影画像データを受信し、受信した撮影画像データの画像解析を行う画像解析装置とを備えた監視カメラシステムがある。
【0004】
ここで、ネットワークカメラは、撮影画像データを、例えば、720×480画素のフレーム画像を1秒間に30枚の伝送レートで画像解析装置へ送信する。そこで、画像解析装置は、このような膨大なデータ量の撮影画像データについての画像解析処理を行う必要があり、この負荷に耐え得るだけの処理能力が必要であった。そのため、これを実現するためには、高性能なCPU(Central Processing Unit)を搭載する等、装置全体として製造費用などのコストが増大するという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、カメラから入力された原画像から縮小画像を作成し、縮小画像を解析することで一次判定を行い、この一次判定で詳細に解析すべき領域を絞り込み、絞り込んだ領域について原画像を詳細に解析する画像センサ装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−127195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像センサ装置では、カメラから入力された原画像から縮小画像を作成するので、この縮小する処理自体が装置にとって高負荷となっていた。そのため、特許文献1に記載の画像センサ装置を実現するには、高性能なMPU(Micro Processing Unit)を搭載する等、装置全体として製造費用などのコストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高負荷に耐え得る装置構成を用いることなく、画像解析により異常を検出し、異常時における画像を記録、又は強調表示することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、本発明に係る画像処理装置の第1の特徴は、カメラとネットワークを介して接続され、カメラにより撮影された低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとを受信し、受信した低解像度の撮影画像データの画像解析結果に基づいて、受信した高解像度の撮影画像データを記録、又は表示する画像処理装置であって、カメラより受信した低解像度の撮影画像データと、この低解像度の撮影画像データを受信したときの時刻、又は低解像度の撮影画像データがカメラより送信されたときの時刻を示す時刻情報とを関連づけて、記憶する低解像度画像記憶手段と、カメラより受信した高解像度の撮影画像データと、この高解像度の撮影画像データを受信したときの時刻、又は高解像度の撮影画像データがカメラより送信されたときの時刻を示す時刻情報とを関連づけて、記憶する高解像度画像記憶手段と、低解像度画像記憶手段に最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻の前後所定時間内の時刻情報に対応する高解像度の撮影画像データが、高解像度画像記憶手段に記憶されているか否かを判定する画像判定手段と、画像判定手段により、高解像度画像記憶手段に記憶されていると判定された場合に、最後に記憶された低解像度の撮影画像データを用いて画像解析を行い、この画像解析結果に基づいて画像上の異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段により、画像上の異常が検出された場合に、高解像度画像記憶手段から、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに対応する時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に対応する高解像度の撮影画像データを選択する画像選択手段と、選択された高解像度の撮影画像データを記録部に記録させ、又は選択された高解像度の撮影画像データを表示部に強調表示させる出力制御手段とを備えたことにある。
【0009】
上記目的を解決するため、本発明に係る画像処理装置の第2の特徴は、異常検出手段は、画像判定手段により、高解像度画像記憶手段に記憶されていると判定された場合に、低解像度画像記憶手段に記憶された最も古い時刻情報に対応する低解像度の撮影画像データと、最後に記憶された低解像度の撮影画像データとの差分が所定の閾値以上である場合には、画像上の異常があると判定し、出力制御手段は、低解像度撮影画像記憶手段に、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに対応する時刻情報より所定時間より前の時刻情報に対応する低解像度の撮影画像データを削除させると共に、選択された高解像度の撮影画像データを記録部に記録させ、又は選択された高解像度の撮影画像データを表示部に強調表示させるをことにある。
【0010】
上記目的を解決するため、本発明に係る画像処理装置の第3の特徴は、異常検出手段は、画像判定手段により、高解像度画像記憶手段に記憶されていると判定された場合に、最後に記憶された低解像度の撮影画像データのうち、所定の色を示す画素数が所定の閾値以上である場合には、異常があると判定するをことにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像処理装置によれば、高負荷に耐え得る装置構成を用いることなく、画像解析により異常を検出し、異常時における高解像度の撮影画像データを記録、又は強調表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1では、ネットワークカメラを用いた監視カメラシステムに適用され、ネットワークカメラにより撮影された低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとを受信し、最新の低画像の撮影画像データと所定時間前の低画像の撮影画像データとの差が閾値以上か否かによって異常を検出し、異常が検出された時刻付近の高解像度の撮影画像データを光ディスクに記憶する画像処理装置を例に挙げて説明する。
【0014】
<監視カメラシステムの構成>
図1は、本発明の実施例1である画像処理装置を適用した監視カメラシステムの構成を示した構成図である。
【0015】
図1に示すように、監視カメラシステム100は、画像処理装置1と、ネットワークカメラC及びCと、サーバ3とを備え、各々はネットワーク2を介して接続されている。
【0016】
ネットワークカメラC及びCは、図示しないが、レンズ等による光学系と、CCD等の光電変換回路を有した撮像部と、撮像した画像を符号化する符号化部と、ネットワーク2に接続して通信するためのネットワークインタフェース部とを備えており、撮影した撮影画像データを符号化してネットワーク2へ送信する。また、ネットワークカメラC及びCは、解像度が異なる複数の撮影画像データを送信でき、例えば、VGA(Video Graphics Array:640×480画素)の画像とQQVGA(Quarter Quarter VGA:160×120画素)の撮影画像データとを送信できる。ここでは、VGAの画像を高解像度の撮影画像データ、QQVGAの画像を低解像度の撮影画像データとして説明する。なお、ネットワークカメラC及びCは、アナログカメラと、アナログカメラにより撮影されたアナログ撮影画像データをA/D(Analog/Digital)するA/D変換器と、A/D変換された撮影画像データを符号化する符号化部と、ネットワーク2に接続して通信するためのネットワークインタフェース部とを備えた構成としてもよい。
【0017】
サーバ3は、不図示ではあるが、ハードディスクや光ディスクドライブ等の記憶装置を備え、各種サービスを提供すると共に、画像処理装置1から受信した高解像度の撮影画像データを記憶装置に記憶する。
【0018】
画像処理装置1は、CPU11と、ネットワークインタフェース12と、メモリ13と、光ディスクドライブ14と、ハードディスク15と、表示部16とを備え、各々はバス20を介して同図のごとく接続されている。
【0019】
ネットワークインタフェース12は、ネットワークカードなどの通信装置であり、このネットワークインタフェース12を介してネットワーク2に接続することによって、ネットワークカメラC及びCが撮影した撮影画像データを受信することができる。
【0020】
メモリ13は、その機能ブロックとして、低解像度画像記憶手段13aと、高解像度画像記憶手段13bとを備える。
【0021】
低解像度画像記憶手段13aは、ネットワークカメラC及びCより受信した低解像度の撮影画像データと、この低解像度の撮影画像データを受信した時刻、又は低解像度の撮影画像データがネットワークカメラC及びCより送信された時刻を示す時刻情報とを関連づけて記憶する。
【0022】
高解像度画像記憶手段13bは、ネットワークカメラC及びCより受信した高解像度の撮影画像データと、この高解像度の撮影画像データを受信した時刻、又は高解像度の撮影画像データがネットワークカメラC及びCより送信された時刻を示す時刻情報とを関連づけて記憶する。
【0023】
光ディスクドライブ14は、CPU11の指示に従い、ネットワークカメラC及びCが撮影した高解像度の撮影画像データを光ディスクに記録する。
【0024】
ハードディスク15には、オペレーティングシステムなどのプログラムの他に、本発明の実施例1である画像処理装置1が実行する画像処理プログラム等も記録されている。また、ハードディスク15は、CPU11の指示に従い、ネットワークカメラC及びCが撮影した高解像度の撮影画像データを記録する。
【0025】
なお、光ディスクドライブ14に記録されるデータをハードディスク15に記録するようにし、光ディスクドライブ14を備えないようにしてもよい。
【0026】
表示部16は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等で構成され、CPU11の指示に従い、ネットワークカメラC及びCが撮影した撮影画像データを表示する。
【0027】
なお、表示部16は、画像処理装置1に内蔵されるものであってよいし、外部装置として画像処理装置1に接続されるものであってもよい。
【0028】
画像処理装置1のCPU11は、自装置の中枢的な制御を行い、画像処理プログラムを実行することによって、その機能上、受信画像判定手段11aと、記憶制御手段11bと、画像判定手段11cと、異常検出手段11dと、画像選択手段11eと、出力制御手段11fとを実装する。
【0029】
CPU11の受信画像判定手段11aは、ネットワークカメラC及びCから送信され、ネットワーク2を介してネットワークインタフェース12で受信した撮影画像データが高解像度の撮影画像データであるか、又は低解像度の撮影画像データであるかを判定する。
【0030】
CPU11の記憶制御手段11bは、CPU11の受信画像判定手段11aにより受信した撮影画像データが低解像度の撮影画像データであると判定された場合には、受信した低解像度の撮影画像データをメモリ13の低解像度画像記憶手段13aに記憶させる。一方、CPU11の受信画像判定手段11aにより受信した撮影画像データが高解像度の撮影画像データであると判定された場合には、受信した高解像度の撮影画像データをメモリ13の高解像度画像記憶手段13bに記憶させる。
【0031】
画像判定手段11cは、低解像度画像記憶手段13aに最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻前後の時刻情報に対応する高解像度の撮影画像データが、高解像度画像記憶手段13bに記憶されているか否かを判定する。
【0032】
異常検出手段11dは、画像判定手段11cにより、高解像度画像記憶手段13bに記憶されていると判定された場合に、低解像度画像記憶手段13aに記憶された最も古い時刻情報に対応する低解像度の撮影画像データと、最後に記憶された低解像度の撮影画像データとの差分が所定の閾値以上である場合には、異常として検出する。
【0033】
画像選択手段11eは、異常検出手段11dにより、異常が検出された場合に、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに対応する時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に対応する高解像度の撮影画像を選択する。
【0034】
出力制御手段11fは、低解像度画像記憶手段13aに、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに対応する時刻情報より所定時間以前の時刻情報に対応する低解像度の撮影画像データを削除させると共に、選択された高解像度の撮影画像を光ディスクドライブ14に記録させる。
【0035】
<監視カメラシステム100の作用>
次に、本発明の実施例1である画像処理装置1が適用された監視カメラシステム100の作用について図面を参照して説明する。
【0036】
図2は、本発明の実施例1である画像処理装置1が適用された監視カメラシステム100における撮影画像データの送受信を説明した図であり、同図(a)は、撮影画像データをマルチキャストパケットで送受信した場合を説明した図であり、同図(b)は、撮影画像データをユニキャストパケットで送受信した場合を説明した図である。
【0037】
図2(a)に示すように、ネットワークカメラC及びCは、複数の撮影画像データを送信することが可能である。図2(a)では、ネットワークカメラC及びCが、マルチキャストm1で高解像度の撮影画像データをネットワーク2へ送信している。一般に、マルチキャストパケットはネットワーク2に接続された全ての機器に到達するので、ネットワークカメラC及びCから送信された高解像度の撮影画像データは、画像処理装置1に到達すると共に、サーバ3にも到達する。
【0038】
同様に、ネットワークカメラC及びCは、マルチキャストm2で低解像度の撮影画像データをネットワーク2へ送信する。そして、ネットワークカメラC及びCから送信された低解像度の画像データは、画像処理装置1に到達すると共に、サーバ3にも到達する。
【0039】
また、図2(b)に示すように、ネットワークカメラC及びCは、複数のユニキャストパケットを送信することも可能である。図2(b)に示した例では、ネットワークカメラC及びCは、ユニキャストu1で高解像度の画像データをネットワーク2へ送信し、ユニキャストu2で低解像度の画像データをネットワーク2へ送信する。一般に、ユニキャストパケットはネットワーク2内の特定の機器に到達するので、図2(b)に示した例では、ネットワークカメラC及びCから送信された撮影画像データは指定された画像処理装置1のみに到達する。
【0040】
このように、ネットワークカメラC及びCは、マルチキャストパケット、又はユニキャストパケットのいずれを用いて撮影画像データを送信してもよい。
【0041】
また、ネットワークカメラC及びCは、マルチキャストパケット、又はユニキャストパケットのいずれを用いた場合においても、送信する撮影画像データに送信時の時刻情報を付加することもできる。具体的には、ネットワークカメラC及びCは、高解像度の撮影画像データに時刻情報を付加し、低解像度の撮影画像データにも同様に時刻情報を付加してネットワーク2へ送信することができる。時刻情報としては、例えば、RFC1889に記述されているRTP(Real-time Transport Protocol)のタイムスタンプを用いる。
【0042】
ここで、ネットワークカメラC及びCが、撮影画像データを送信するタイミングは、ネットワークカメラ毎に設定されており、例えば、t1時点に高解像度の撮影画像データを送信し、t2時点に低解像度の撮影画像データを送信する等のように、高解像度の撮影画像データと低解像度の撮影画像データと順に送信するようにしてもよいし、高解像度の撮影画像データと低解像度の撮影画像データと同時に送信するようにしてもよい。
【0043】
また、ネットワークカメラC及びCが送信した撮影画像データは、送信された順に画像処理装置1に到達するとは限らない。これは送信する撮影画像データの大きさや、ネットワーク2の負荷状態等に起因し、例えば、ネットワークカメラC及びCが、t1時点に高解像度の撮影画像データを送信し、その後のt2時点に低解像度の撮影画像データを送信した場合において、画像処理装置1は、t3時点に低解像度の撮影画像データを受信し、その後のt4時点に高解像度の撮影画像データを受信する場合もある。
【0044】
このようにして、画像処理装置1は、ネットワークカメラC及びCから送信された撮影画像データを、ネットワーク2を介して受信する。そして、撮影画像データを受信した画像処理装置1は、以下に詳述するように、画像一時記憶処理、及び画像記録処理を実行する。
【0045】
≪画像一時記憶処理≫
図3は、本発明の実施例1である画像処理装置1における画像一時記憶処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0046】
図3に示すように、画像処理装置1の受信画像判定手段11aは、ネットワークカメラC及びCから送信された撮影画像データを、ネットワーク2を介してネットワークインタフェース12で受信し取得する(ステップS101)。
【0047】
次に、受信画像判定手段11aは、受信した撮影画像データが高解像度の撮影画像データであるか、又は低解像度の撮影画像データであるかを判定する(ステップS102)。具体的には、高解像度の撮影画像データを受信する際のポート番号と、低解像度の撮影画像データを受信する際のポート番号とを異なるポート番号として割り当て、受信したパケットの宛先ポート番号によって、受信した撮影画像データが高解像度の撮影画像データであるか、又は低解像度の撮影画像データであるかを判定する。
【0048】
ステップS102において、受信画像判定手段11aが、受信した撮影画像データが低解像度の撮影画像データであると判定した場合には、受信した低解像度の撮影画像データに時刻情報が付加されているか否かを判定する(ステップS103)。
【0049】
ステップ103において、受信した低解像度の撮影画像データに時刻情報が付加されていると判定した場合には、受信画像判定手段11aは、受信した低解像度の撮影画像データとこの低解像度の撮影画像データに付加された時刻情報とを関連づけて、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aに記憶させる(ステップS105)。
【0050】
一方、ステップS103において、受信画像判定手段11aが、受信した低解像度の撮影画像データに時刻情報が付加されていないと判定した場合には、この低解像度の撮影画像データを受信した時刻を時刻情報として生成し(ステップS104)、この生成した時刻情報と受信した低解像度の撮影画像データとを関連づけて、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aに記憶させる(ステップS105)。
【0051】
また、ステップS102において、受信画像判定手段11aが、受信した撮影画像データが高解像度の撮影画像データであると判定した場合には、ステップS103の処理と同様に、受信した高解像度の撮影画像データに時刻情報が付加されているか否かを判定する(ステップS106)。
【0052】
ステップS106において、受信画像判定手段11aが、受信した高解像度の撮影画像データに時刻情報が付加されていると判定した場合には、受信した高解像度の撮影画像データとこの高解像度の撮影画像データに付加された時刻情報とを関連づけて、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bに記憶させる(ステップS108)。
【0053】
一方、ステップS106において、受信画像判定手段11aが、受信した高解像度の撮影画像データに時刻情報が付加されていないと判定した場合には、ステップS107の処理と同様に、この高解像度の撮影画像データを受信した時刻を時刻情報として生成し(ステップS107)、この生成した時刻情報と受信した高解像度の撮影画像データとを関連づけて、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bに記憶させる(ステップS108)。
【0054】
≪画像記録処理≫
図4は、本発明の実施例1である画像処理装置1における画像記録処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0055】
まず、CPU11の画像判定手段11cは、記憶制御手段11bにより新たに低解像度の撮影画像データが記憶されたか否かを判定する(ステップS201)。
【0056】
ステップS201において、新たに低解像度の撮影画像データが記憶されたと判定した場合、この新たに記憶された、即ち低解像度画像記憶手段13aに最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻前後の時刻情報に対応する高解像度の撮影画像データが記憶されているか否かを判定する(ステップS202)。
【0057】
具体的には、画像判定手段11cは、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aから、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに関連づけられた時刻情報を読み出す。そして、画像判定手段11cは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、高解像度の撮影画像データに関連付けられた時刻情報を読み出し、読み出した時刻情報の中に、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに関連付けられた時刻情報が示す時刻の前後の時刻に対応する時刻情報が存在するか否かを判定する。そして、この時刻情報が存在していれば、画像判定手段11cは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻前後の時刻情報に対応する高解像度の撮影画像データが記憶されていると判定する。
【0058】
ステップS202において、該当の高解像度の撮影画像データが記憶されていると判定された場合、異常検出手段11dは、画像解析により、最後に記憶された低解像度の撮影画像データと最も古い低解像度の撮影画像データとの差分を計算し、この結果により異常があるか否かを判定する(ステップS203,S204)。
【0059】
具体的には、異常検出手段11dは、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aから、最も古い時刻情報に関連づけられた低解像度の撮影画像データを読み出す。そして、異常検出手段11dは、読み出した低解像度の撮影画像データと最後に記憶された低解像度の撮影画像データとをそれぞれ所定の画像エリアに分割し、分割された画像エリア毎に両撮影画像データの差分を算出する。そして、異常検出手段11dは、算出した差分を累積加算し、この累積加算された差分合計値が予め定めた閾値を越えている場合には、異常として検出する。
【0060】
ここで、この閾値は、高すぎると両撮影画像データが常に類似すると判定され、異常を検出できなくなり、低すぎると両撮影画像データの差が例えばノイズのような微少な場合でも異常を検出してしまう。そのため、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0061】
次に、異常検出手段11dにより異常が検出された場合には、画像選択手段11eは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを選択する(ステップS205)。
【0062】
そして、出力制御手段11fは、光ディスクドライブ14を制御して、画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを光ディスクに記録させる(ステップS206)。
【0063】
なお、出力制御手段11fは、画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを光ディスクに記憶させる替わりに、選択された高解像度の撮影画像データをハードディスク15に記憶させるようにしてもよいし、ネットワークインタフェース12を介して、ネットワーク2に接続されたサーバ3が内蔵するハーディスクに記憶させるようにしてもよい。
【0064】
次に、出力制御手段11fは、ステップS205において選択された高解像度の撮影画像データをこれに関連づけられた時刻情報と共に、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから削除する(ステップS207)。
【0065】
さらに、出力制御手段11fは、ステップS205において選択された高解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻より古い時刻情報に関連づけられた高解像度の撮影画像データを時刻情報と共に、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから削除する(ステップS209)。
【0066】
次に、出力制御手段11fは、所定時間より前の時刻情報に関連づけられた低解像度の撮影画像データをこの時刻情報と共に、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aから削除する(ステップS210)。
【0067】
ここで、この所定時間は長すぎると、大容量のメモリ13を備える必要があり、装置のコストが高くなる。また所定時間が短すぎると、ネットワークカメラC及びCが撮影する被写体の動きが遅い場合、異常を検出できなくなる。そのため、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0068】
一方、ステップS204において、異常検出手段11dにより異常が検出されない場合は、ステップS205の処理と同様に、画像選択手段11eは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを選択し、処理をステップS209へ移行する(ステップS208)。
【0069】
なお、ステップS203,S204において、異常検出手段11dは、分割された画像エリア毎に両撮影画像データの差分を算出し、この差分を累積加算した差分合計値が予め定めた閾値を越えている場合には、異常として検出したが、さらに高解像度の撮影画像データを用いて画像解析を行い、その画像解析結果により異常を検出するようにしてもよい。
【0070】
具体的には、異常検出手段11dは、分割された低解像度の撮影画像データにおける画像エリアのうち、差分が高い画像エリアを抽出する。そして、異常検出手段11dは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを高解像度画像記憶手段13bから読み出すと共に、最も古い時刻情報に関連づけられた高解像度の撮影画像データを高解像度画像記憶手段13bから読み出す。そして、異常検出手段11dは、読み出されたこれらの高解像度の撮影画像データにおいて、抽出された差分が高い低解像度の画像エリアに対応する高解像度の画像エリアを抽出し、抽出した高解像度の画像エリアについて、さらに所定の第2の画像エリアに分割し、分割された第2の画像エリア毎に両高解像度の画像エリアの差分を算出する。そして、異常検出手段11dは、算出した差分を累積加算し、この累積加算された第2の差分値が予め定めた第2の閾値を越えている場合には、異常として検出するようにしてもよい。
【0071】
このように、本発明の実施例1である画像処理装置1によれば、低解像度の撮影画像データに基づいて、異常を検出したか否かを判定し、異常を検出した場合のみ高解像度の撮影画像データを光ディスクに記録するので、画像の縮小等の装置にとって高負荷が掛かる処理を伴うことなく、異常を検出した付近の高解像度の撮影画像データを記録することができる。
【0072】
図5は、本発明の実施例1である画像処理装置1において、低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとが送信された順に到達した場合の画像一時記憶処理及び画像記録処理のタイムチャートである。なお、図5中のT1〜T19は、時間軸上のある時点を示しており、時間の経過に沿って符号を昇順で示している。
【0073】
図5に示すように、画像処理装置1は、T11時点において、ネットワークカメラCからT1時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された低解像度の撮影画像データを受信する。そして、画像処理装置1は、この受信した低解像度の撮影画像データをメモリ13に記憶する。同様に、T12時点において、ネットワークカメラCからT2時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された高解像度の撮影画像データを受信してメモリ13に記憶し、T13時点において、ネットワークカメラCからT4時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された低解像度の撮影画像データを受信してメモリ13に記憶し、T14時点において、ネットワークカメラCからT5時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された高解像度の撮影画像データを受信してメモリ13に記憶している。ここで、T2時点〜T4時点までの時間の方が、T4時点〜T5時点までの時間より長いとする。
【0074】
そして、T13時点において、新たに低解像度の撮影画像データが記憶され、かつ、T14時点において、最後に記憶されたT4時点の低解像度の撮影画像データの前後の時刻情報であるT2時点及びT5時点の高解像度の撮影画像データが記憶されているので、T14時点において、異常検出手段11dは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに基づいて、画像解析を開始する。そして、T15時点において、異常検出手段11dは、解析の結果、異常を検出する。
【0075】
次に、異常が検出されたので、T16時点において、画像選択手段11eは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、T4時点に最も近い時刻であるT5時点の時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを選択し、出力制御手段11fは、光ディスクドライブ14を制御して、この選択されたT5時点の高解像度の撮影画像データを光ディスクに記録させる。
【0076】
そして、T17時点において、出力制御手段11fは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、選択されたT5時点の高解像度の撮影画像データをこれに関連づけられた時刻情報と共に削除する。
【0077】
次に、T18時点において、出力制御手段11fは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、選択されたT5時点の高解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻より古い時刻であるT2時点の高解像度の撮影画像データをこれに関連づけられた時刻情報と共に、削除する。
【0078】
さらに、T19時点において、出力制御手段11fは、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aから、所定時間より前の時刻であるT1時点の低解像度の撮影画像データをこの時刻情報と共に、削除する。
【0079】
図6は、本発明の実施例1である画像処理装置1において、低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとが送信された順と到達した順が一致しない場合の処理の画像一時記憶処理及び画像記録処理を示したタイムチャートである。なお、図6中のT1〜T30は、時間軸上のある時点を示しており、時間の経過に沿って符号を昇順で示している。
【0080】
図6に示すように、画像処理装置1は、T21時点において、ネットワークカメラCからT1時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された高解像度の撮影画像データを受信する。そして、画像処理装置1は、この受信した高解像度の撮影画像データと時刻情報とを関連づけてメモリ13に記憶する。同様に、T22時点において、ネットワークカメラCからT2時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された低解像度の撮影画像データを受信してメモリ13に記憶し、T23時点において、ネットワークカメラCからT3時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された高解像度の撮影画像データを受信してメモリ13に記憶する。そして、T24時点において、ネットワークカメラCからT24時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された高解像度の撮影画像データを受信してメモリ13に記憶する。そして、T25時点において、ネットワークカメラCからT5時点に送信されたことを示す時刻情報が付加された低解像度の撮影画像データを受信してメモリ13に記憶する。ネットワーク2では、データを送信した順序でデータが受信されるとは限らないので、ここではT5時点に送信された撮影画像データよりもT24時点で送信された撮影画像データのほうが先に受信されている。ここで、T5時点〜T24時点までの時間の方が、T3時点〜T5時点までの時間より長いとする。
【0081】
そして、T25時点において、新たに低解像度の撮影画像データが記憶され、かつ、最後に記憶されたT5時点の低解像度の撮影画像データの前後の時刻情報であるT3時点及びT24時点の高解像度の撮影画像データが記憶されているので、T25時点において、異常検出手段11dは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに基づいて、画像解析を開始する。そして、T26時点において、異常検出手段11dは、解析の結果、異常を検出する。
【0082】
次に、異常が検出されたので、T27時点において、画像選択手段11eは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、T5時点に最も近い時刻であるT3時点の時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを選択し、出力制御手段11fは、光ディスクドライブ14を制御して、この選択されたT3時点の高解像度の撮影画像データを光ディスクに記録させる。
【0083】
そして、T28時点において、出力制御手段11fは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、選択されたT3時点の高解像度の撮影画像データをこれに関連づけられた時刻情報と共に削除する。
【0084】
次に、T29時点において、出力制御手段11fは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、選択されたT3時点の高解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻より古い時刻であるT1時点の高解像度の撮影画像データをこれに関連づけられた時刻情報と共に、削除する。
【0085】
さらに、T30時点において、出力制御手段11fは、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aから、所定時間より前の時刻であるT2時点の低解像度の撮影画像データをこの時刻情報と共に、削除する。
【0086】
このように、本発明の実施例1である画像処理装置1によれば、低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとが送信された順と到達した順が一致しない場合においても、低解像度の撮影画像データに基づいて、異常を検出したか否かを判定することができる。そして、異常を検出した場合のみ高解像度の撮影画像データを光ディスクに記憶するので、画像の縮小等の装置にとって高負荷がかかる処理を伴うことなく、画像解析により異常を検出し、異常時における高解像度の撮影画像データを記録することができる。
【0087】
また、本発明の実施例1である画像処理装置1によれば、差分合計値に基づいて、異常を検出するので、ネットワークカメラC及びCによって、撮影された画像に変化があった場合に、変化があった高解像度の撮影画像データを記録することができる。
【実施例2】
【0088】
本発明の実施例2では、ネットワークカメラを用いた監視カメラシステムに適用され、ネットワークカメラにより撮影された低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとを受信し、低画像の撮影画像データについて特定色が閾値以上であるか否かを判定することによって、異常を検出し、異常が検出された時刻付近の高解像度の撮影画像データを表示部に強調表示する画像処理装置を例に挙げて説明する。
【0089】
<監視カメラシステムの構成>
図7は、本発明の実施例2である画像処理装置を適用した監視カメラシステムの構成を示した構成図である。
【0090】
図7に示すように、監視カメラシステム101は、画像処理装置10と、ネットワークカメラC及びCと、サーバ3と、表示装置4とを備え、各々はネットワーク2を介して接続されている。
【0091】
表示装置4は、液晶ディスプレイなどであり、画像処理装置10からの信号により、ネットワークカメラC及びCが撮影した撮影画像データなどを受信して表示する。また、画像処理装置1からの要求により、画像処理装置1のCPU11の画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを表示部16に強調表示する。
【0092】
なお、図7に示すネットワークカメラC及びCと、サーバ3とは、図1に示した本発明の実施例1である画像処理装置1を適用した監視カメラシステム100に備えられたものと同一構成を有するので、説明を省略する。
【0093】
画像処理装置1は、CPU11と、ネットワークインタフェース12と、メモリ13と、光ディスクドライブ14と、ハードディスク15と、表示部16とを備え、各々はバス20を介して同図のごとく接続されている。なお、ネットワークインタフェース12と、メモリ13と、光ディスクドライブ14と、ハードディスク15とは、図1に示した本発明の実施例1である画像処理装置1を適用した監視カメラシステム100に備えられたものと同一であるので、説明を省略する。
【0094】
画像処理装置1のCPU11は、自装置の中枢的な制御を行い、画像解析プログラムを実行することによって、その機能上、受信画像判定手段11aと、記憶制御手段11bと、画像判定手段11cと、異常検出手段11dと、画像選択手段11eと、出力制御手段11fとを実装する。
【0095】
異常検出手段11dは、画像判定手段11cにより、高解像度画像記憶手段13bに記憶されている判定された場合に、最後に記憶された低解像度の撮影画像データのうち、所定の色を示す画素数が所定の閾値以上である場合には、異常として検出する。
【0096】
出力制御手段11fは、画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを表示部16に強調表示させる。
【0097】
なお、受信画像判定手段11aと、記憶制御手段11bと、画像判定手段11cと、画像選択手段11eとは、図1に示した本発明の実施例1である画像処理装置1を適用した監視カメラシステム100に備えられたものと同一であるので、説明を省略する。
【0098】
表示部16は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等で構成され、CPU11の指示に従い、ネットワークカメラC及びCが撮影した撮影画像データを表示する。また、出力制御手段11fの指示により、画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを表示部16に強調表示する。
【0099】
<監視カメラシステム100の作用>
次に、本発明の実施例2である画像処理装置10が適用された監視カメラシステム101の作用について図面を参照して説明する。
【0100】
本発明の実施例2である画像処理装置10は、本発明の実施例1である画像処理装置1と同様に、ネットワークカメラC及びCから、マルチキャストパケット、又はユニキャストパケット等を用いて撮影画像データをネットワーク2を介して受信する。
【0101】
そして、撮影画像データを受信した画像処理装置10は、画像一時記憶処理、及び画像強調表示処理を行う。ここで、画像一時記憶処理については、本発明の実施例1である画像処理装置1における画像一時記憶処理と同一であるので、説明を省略する。
【0102】
≪画像強調表示処理≫
図8は、本発明の実施例2である画像処理装置10における画像強調表示処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0103】
まず、CPU11の画像判定手段11cは、記憶制御手段11bにより新たに低解像度の撮影画像データが記憶されたか否かを判定する(ステップS301)。
【0104】
ステップS301において、新たに低解像度の撮影画像データが記憶されたと判定した場合、この新たに記憶された、即ち低解像度画像記憶手段13aに最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻前後の時刻情報を有する高解像度の撮影画像データが記憶されているか否かを判定する(ステップS302)。
【0105】
具体的には、画像判定手段11cは、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aから、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに関連づけられた時刻情報を読み出す。そして、画像判定手段11cは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、高解像度の撮影画像データに関連付けられた時刻情報を読み出し、読み出した時刻情報の中に、最後に記憶された低解像度の撮影画像データに関連付けられた時刻情報が示す時刻の前後の時刻に対応する時刻情報が存在するか否かを判定する。そして、この時刻情報が存在していれば、画像判定手段11cは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻前後の時刻情報を有する高解像度の撮影画像データが記憶されていると判定する。
【0106】
ステップS302において、該当の高解像度の撮影画像データが記憶されていると判定された場合、異常検出手段11dは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの画像解析を行い、異常があるか否かを判定する(ステップS303)。具体的には、異常検出手段11dは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データのうち、例えば、肌色を示す画素数が所定の閾値以上である場合には、異常として検出する。
【0107】
ここで、この閾値は、高すぎると人間が撮影されているにもかかわらず、異常を検出できなくなり、低すぎると人間以外の小さな肌色を有する物体が撮影された場合にも異常を検出してしまう。そのため、予め提供者等が実測に基づいた適正な値を予め算出し、提供者や利用者等が予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0108】
次に、異常検出手段11dにより異常が検出された場合には、画像選択手段11eは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを選択する(ステップS305)。
【0109】
次に、出力制御手段11fは、画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを表示部16に強調して表示させる(ステップS306)。具体的には、出力制御手段11fは、表示部16に選択された高解像度の撮影画像データを表示させる共に、表示された高解像度の撮影画像データの表示エリアの周りに赤い枠を表示させたり、高解像度の撮影画像データの表示エリア上の一部に、赤いランプの絵を表示させる。
【0110】
なお、出力制御手段11fは、画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを表示部16に強調して表示させる替わりに、ネットワークインタフェース12を介して、ネットワーク2に接続された表示装置4に画像選択手段11eにより選択された高解像度の撮影画像データを表示部16に強調表示させるようにしてもよい。
【0111】
次に、出力制御手段11fは、ステップS305において選択された高解像度の撮影画像データをこれに関連づけられた時刻情報と共に、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから削除する(ステップS307)。
【0112】
さらに、出力制御手段11fは、ステップS305において選択された高解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻より古い時刻情報に関連づけられた高解像度の撮影画像データをこれに関連づけられた時刻情報と共に、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから削除する(ステップS309)。
【0113】
次に、出力制御手段11fは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データをこの時刻情報と共に、メモリ13の低解像度画像記憶手段13aから削除する(ステップS310)。
【0114】
一方、ステップS304において、異常検出手段11dにより異常が検出されない場合は、ステップS305の処理と同様に、画像選択手段11eは、メモリ13の高解像度画像記憶手段13bから、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを選択し、処理をステップS309へ移行する(ステップS308)。
【0115】
なお、ステップステップS303,S304において、異常検出手段11dは、肌色を示す画素数が所定の閾値以上である場合には、異常として検出したが、さらに高解像度の撮影画像データを用いて画像解析を行い、その画像解析結果により異常を検出するようにしてもよい。
【0116】
具体的には、異常検出手段11dは、最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に関連付けられた高解像度の撮影画像データを高解像度画像記憶手段13bから読み出す。そして、読み出された高解像度の撮影画像データから、低解像度の撮影画像データにおいて肌色を示す画素を含む画像エリアに対応する高解像度の画像エリアを抽出し、抽出した高解像度の画像エリアについて、人間の顔の色彩パターンと類似するか否かを判定し、この判定結果により、抽出した高解像度の画像エリアに人間の顔の画像が含まれると判定した場合には、異常として検出するようにしてもよい。
【0117】
このように、本発明の実施例2である画像処理装置10によれば、低解像度の撮影画像データに基づいて、画像解析を行い、その画像解析結果により異常を検出したか否かを判定し、異常を検出した場合のみ高解像度の撮影画像データを強調表示するので、画像の縮小等の装置にとって高負荷が掛かる処理を伴うことなく、画像解析により異常を検出し、異常時における高解像度の撮影画像データを強調表示することができる。
【0118】
また、本発明の実施例2である画像処理装置10によれば、肌色の画素数に基づいて、異常を検出するので、ネットワークカメラC及びCによって、人間が撮影された場合に、人間が撮影された高解像度の撮影画像データを強調表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施例1である画像処理装置1を適用した監視カメラシステム100の構成を示した構成図である。
【図2】本発明の実施例1である画像処理装置1が適用された監視カメラシステム100における撮影画像データの送受信を説明した図である。
【図3】本発明の実施例1である画像処理装置1における画像一時記憶処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施例1である画像処理装置1における画像記録処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1である画像処理装置1において、低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとが送信された順に到達した場合の画像一時記憶処理及び画像記録処理のタイムチャートである。
【図6】本発明の実施例1である画像処理装置1において、低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとが送信された順と到達した順が一致しない場合の処理の画像一時記憶処理及び画像記録処理を示したタイムチャートである。
【図7】本発明の実施例2である画像処理装置を適用した監視カメラシステム101の構成を示した構成図である。
【図8】本発明の実施例2である画像処理装置10における画像強調表示処理の処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
1,10…画像処理装置
2…ネットワーク
3…サーバ
4…表示装置
11…CPU
11a…受信画像判定手段
11b…記憶制御手段
11c…画像判定手段
11d…異常検出手段
11e…画像選択手段
11f…出力制御手段
13…メモリ
13a…低解像度画像記憶手段
13b…高解像度画像記憶手段
14…光ディスクドライブ(記録部)
15…ハードディスク(記録部)
16…表示部
20…バス
100,101…監視カメラシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラとネットワークを介して接続され、前記カメラにより撮影された低解像度の撮影画像データと高解像度の撮影画像データとを受信し、受信した低解像度の撮影画像データの画像解析結果に基づいて、前記受信した高解像度の撮影画像データを記録、又は表示する画像処理装置であって、
前記カメラより受信した低解像度の撮影画像データと、この低解像度の撮影画像データを受信したときの時刻、又は前記低解像度の撮影画像データが前記カメラより送信されたときの時刻を示す時刻情報とを関連づけて、記憶する低解像度画像記憶手段と、
前記カメラより受信した高解像度の撮影画像データと、この高解像度の撮影画像データを受信したときの時刻、又は前記高解像度の撮影画像データが前記カメラより送信されたときの時刻を示す時刻情報とを関連づけて、記憶する高解像度画像記憶手段と、
前記低解像度画像記憶手段に最後に記憶された低解像度の撮影画像データの時刻情報が示す時刻の前後所定時間内の時刻情報に対応する前記高解像度の撮影画像データが、前記高解像度画像記憶手段に記憶されているか否かを判定する画像判定手段と、
前記画像判定手段により、前記高解像度画像記憶手段に記憶されていると判定された場合に、前記最後に記憶された低解像度の撮影画像データを用いて画像解析を行い、この画像解析結果に基づいて画像上の異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段により、画像上の異常が検出された場合に、前記高解像度画像記憶手段から、前記最後に記憶された低解像度の撮影画像データに対応する時刻情報が示す時刻に最も近い時刻を示す時刻情報に対応する前記高解像度の撮影画像データを選択する画像選択手段と、
前記選択された高解像度の撮影画像データを記録部に記録させ、又は前記選択された高解像度の撮影画像データを表示部に強調表示させる出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記異常検出手段は、
前記画像判定手段により、前記高解像度画像記憶手段に記憶されていると判定された場合に、前記低解像度画像記憶手段に記憶された最も古い時刻情報に対応する前記低解像度の撮影画像データと、前記最後に記憶された低解像度の撮影画像データとの差分が所定の閾値以上である場合には、画像上の異常があると判定し、
前記出力制御手段は、
前記低解像度撮影画像記憶手段に、前記最後に記憶された低解像度の撮影画像データに対応する時刻情報より所定時間より前の時刻情報に対応する前記低解像度の撮影画像データを削除させると共に、前記選択された高解像度の撮影画像データを記録部に記録させ、又は前記選択された高解像度の撮影画像データを表示部に強調表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記異常検出手段は、
前記画像判定手段により、前記高解像度画像記憶手段に記憶されていると判定された場合に、前記最後に記憶された低解像度の撮影画像データのうち、所定の色を示す画素数が所定の閾値以上である場合には、異常があると判定する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−88666(P2009−88666A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252130(P2007−252130)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】