画像印刷制御装置、及び画像印刷制御方法、並びに印刷制御プログラム
【課題】オフィス文書や写真等と異なる布帛固有の画質に対するニーズに十分に対応できる画像印刷制御装置及び画像印刷制御方法並びに印刷制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像印刷制御装置100は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力し、この入力した操作者の指示信号に基づき、画像信号に係わるRGB色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換するとともに、RGB色空間のうち第1領域以外の第2領域に対して鮮色化目標色変換を行わない領域とし、この処理後の画像信号をプリンタ1への出力データに変換する。
【解決手段】画像印刷制御装置100は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力し、この入力した操作者の指示信号に基づき、画像信号に係わるRGB色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換するとともに、RGB色空間のうち第1領域以外の第2領域に対して鮮色化目標色変換を行わない領域とし、この処理後の画像信号をプリンタ1への出力データに変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタを用いた画像印刷を制御する画像印刷制御装置、及び画像印刷制御方法、並びに印刷制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のカラープリンタの高画質化、低価格化等により、アプリケーションによって作成、編集されたカラー文書を非常に手軽に印刷できるようになっている。
【0003】
ところが、カラー画像の印刷においては、操作者がデータ作成を行うCRT(ディスプレイ)の色再現範囲のほうがプリンタの色再現範囲よりも広く、プリンタでは一部の色が再現できないことから、色空間の圧縮処理(=カラーマッチング処理)が行われるのが通常である。また、CRTでは色空間はRGBデータによる加色混法により表現されるのに対し、プリンタではCMYKの減色混法で表現されることが多く、複数色の混ぜ合わせ処理において微妙な差異が生じる場合がある。
【0004】
これらの事情等の結果、操作者が意図したカラー画像と、カラープリンタで印刷した画像とに差異が生じ、操作者が十分満足できるカラー印刷画像を得るのは困難であった。
【0005】
そこで従来、上記を解決すべく、例えば特許文献1に記載のように、カラープリンタにおけるプリント品質特性を制御する手法が知られている。この従来技術では、色空間(カラー)マッチング処理として、画像編集アプリケーション上に、画像データの最も明るい色と最も暗い色とを合わせる「色味優先モード」、色再現範囲がはみ出した部分のみプリンタ再現範囲の外縁にマッピングする「色差最小モード」、色再現範囲をはみ出した部分についてなるべく彩度を落とさず色空間を圧縮する「あざやかさ優先モード」を設けており、そのモード選択に基づいてこれに対応する色処理条件が設定され、その条件に基づいて色処理が行われるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−292331号公報(段落番号0018〜0183、図1〜図22)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラープリンタの印刷対象となる被印刷媒体としては種々のものがあるが、通常のオフィス文書や写真等に加え、近年、Tシャツ等の布帛にカラー印刷するものが普及しつつある。このような布帛へのカラー画像の印刷の場合には、操作者は、上記オフィス文書や写真等の場合と異なり、画像データを忠実に再現するよりも「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」画質を布帛(Tシャツ)らしい画質として好む傾向がある。
【0008】
上記従来技術では、前述したようなCRTとプリンタの色再現範囲の差異に応じて画像データを忠実に再現するように補正することについては配慮されていたが、上記のような布帛固有の画質に対するニーズには対応できなかった。
【0009】
本発明の目的は、オフィス文書や写真等と異なる布帛固有の画質に対するニーズに十分に対応できる画像印刷制御装置及び画像印刷制御方法並びに印刷制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する入力手段と、この入力手段で入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域を前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする鮮色化処理手段とを有し、前記鮮色化処理手段で処理した後の画像信号をプリンタ出力データに変換することを特徴とする。
【0011】
本願第1発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、その指示信号が入力手段より入力される。そして鮮色化処理手段が、その指示に基づき、色空間のうち少なくとも1つの第1領域をそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換し、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とする。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記鮮色化処理手段は、前記第2領域のうち前記第1領域の周辺部分に対し、当該第1領域における前記鮮色化目標色変換に対応した遷移色に変換する遷移色化処理手段を備えることを特徴とする。
【0013】
遷移色化処理手段で第2領域のうち第1領域の周辺部分を遷移色に変換することにより、単一色に変換された第1領域から第2領域側に向かって、操作者から見て違和感がなく滑らかに接続することができる。
【0014】
第3発明は、上記第2発明において、前記遷移色化処理手段は、前記色空間の前記周辺部分の色座標値に対し補間処理を行うことにより、当該周辺部分を前記遷移色に変換することを特徴とする。
【0015】
遷移色化処理手段で第2領域のうち第1領域の周辺部分の色座標値を補間処理することにより、単一色に変換された第1領域から第2領域側に向かって、操作者から見て違和感がなく滑らかに接続することができる。
【0016】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記入力手段は、前記指示信号として、操作者の希望する鮮色化処理の程度に応じた複数のモードのいずれかを選択する選択指示信号を入力し、前記鮮色化処理手段は、前記選択指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする。
【0017】
これにより、操作者が入力手段で所望のモードを選択すると、その選択に応じ第1領域又は第2領域の位置、大きさ、数、鮮色化目標色、遷移色化処理の有無の少なくとも2つの組み合わせが決定された鮮色化目標色変換が自動的に鮮色化処理手段で行われる。したがって、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をそのままこの印刷制御プログラム(=プリンタドライバ)を介しプリンタへ送るだけで所望の画質を短時間の間に得ることができ、十分に使いこなすことが可能となる。
【0018】
第5発明は、上記第4発明において、前記入力手段は、鮮色化処理を行わない非処理モードを選択可能な前記選択指示信号を入力することを特徴とする。
【0019】
これにより、布帛に対する鮮色化目標色変換を行うモードと、そのような変換を行わない通常モードとを操作者が所望に選択可能となるので、操作者の使い勝手を向上することができる。
【0020】
第6発明は、上記第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記入力手段は、前記指示信号として、少なくとも、操作者の指定した前記第1領域の位置及び大きさ情報、前記鮮色化目標色情報に係わる指示信号を入力し、前記鮮色化処理手段は、前記入力手段により指定された前記第1領域の情報に基づいて第1領域を除く前記第2領域を決定する決定手段を有し、前記指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする。
【0021】
これにより、操作者が入力手段で直接第1領域及び第2領域の位置や大きさ、あるいは鮮色化目標色等を指示すると、鮮色化処理手段によって、その指示に応じた第1領域及び第2領域が色空間に設定されるとともに、第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0022】
第7発明は、上記第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記第1領域は、L*a*b*データで表した前記色空間の表層部に位置していることを特徴とする。
【0023】
L*a*b*データで表した色空間の表層部に第1領域や第2領域が設定されるとともに、第1領域が鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0024】
第8発明は、上記第1乃至第7発明のいずれかにおいて、前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるRGBデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする。
【0025】
これにより、操作者が入力手段で鮮色化目標色を指示すると、その指示に応じ鮮色化処理手段で画像信号のRGBデータが変換され、第1及び第2領域が設定されるとともに第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0026】
第9発明は、上記第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるL*a*b*データを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする。
【0027】
これにより、操作者が入力手段で鮮色化目標色を指示すると、その指示に応じ鮮色化処理手段で画像信号のL*a*b*データが変換され、第1及び第2領域が設定されるとともに第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0028】
第10発明は、上記第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるCMYKデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする。
【0029】
これにより、操作者が入力手段で鮮色化目標色を指示すると、その指示に応じ鮮色化処理手段で画像信号のCMYKデータが変換され、第1及び第2領域が設定されるとともに第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0030】
上記目的を達成するために、第11の発明は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを備えることを特徴とする。
【0031】
本願第11発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、その指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0032】
上記目的を達成するために、第12の発明は、画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号に基づき印刷を行う手順とを備えることを特徴とする。
【0033】
本願第12発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、その指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされ、このような処理後の画像信号に基づき画像印刷が行われる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0034】
上記目的を達成するために、第13の発明は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを、前記プリンタに接続された制御装置に実行させる。
【0035】
本願第13発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、プリンタに接続された制御装置においてその指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0036】
また、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をそのままこの印刷制御プログラム(=プリンタドライバ)を介しプリンタへ送るだけで、所望の画質を短時間の間に得ることができる。
【0037】
上記目的を達成するために、第14の発明は、画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号に基づいて印刷を行う手順とを、前記プリンタに実行させる。
【0038】
本願第14発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、プリンタにおいてその指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0039】
また、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をそのままプリンタに読み込ませるだけで、プリンタの印刷制御プログラムによって自動的に所望の画質を短時間の間に得ることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、色空間の第1の領域内の複数の色は変換後はすべてその差異がなくなって鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0042】
図1は、本実施形態による画像印刷制御装置の全体概略構成を表す図である。
【0043】
図1において、画像印刷制御装置100は、この例では、被印刷媒体としてTシャツTS(後述の図3参照)を印刷対象とするTシャツプリンタ1(後述の図2参照)のプリンタ出力データを作成しプリンタ1に出力して印刷制御を行うものであり、装置本体101と、この装置本体101に接続された操作手段としてのマウス102及びキーボード103と、イメージスキャナ104と、表示手段としての表示装置105とを有している。
【0044】
図2は、上記装置本体101の機能的構成を表すブロック図である。
【0045】
図2において、装置本体101は、演算手段としてのCPU101Aと、本発明の画像印刷制御方法の処理手順(後述の図10参照)を実行する駆動制御用のプログラム(いわゆるプリンタドライバ)を格納したROM101Bと、各種データや演算結果を一時的に記憶するRAM101Cと、これらCPU101A及びRAM101C等と装置本体101外部の上記マウス102、キーボード103、イメージスキャナ104、表示装置105、及び前述したTシャツプリンタ1との信号の入出力を制御する入出力インターフェース(I/O)101Dとから構成されている。なお、これらの中の一部について(例えば上記表示装置105)上記入出力インターフェース(I/O)101D以外を介さずCPU101A及びRAM101等と接続されていてもよいし、別途の信号変換手段等を介して接続してもよい。
【0046】
図3は、上記画像印刷制御装置100の制御対象である上記Tシャツプリンタ(インクジェット式記録装置)1の全体構造を表す斜視図であり、図4はその正面図であり、図5はその側面図である。なお、図4における紙面に向かって手前側方向(図5における左方向)がTシャツプリンタ1の前方向であり、図5における上方向(図5における上方向)がTシャツプリンタ1の上方向となる。
【0047】
これら図3、図4、及び図5において、このTシャツプリンタ1は、底部に位置する水平部2v及びこの水平部2vの正面視両端から垂直に立ち上がる垂直部2hからなるフレーム2と、フレーム2に設けられ、Tシャツプリンタ1の内部を覆い保護するケージング3(但し煩雑を避けるため2点鎖線で図示)と、上記フレーム2の左右の垂直部2hの上部同士を連結するように水平に架設されたガイドレール4と、このガイドレール4によってその長手方向に移動方向が案内される略直方体形状のキャリッジ5と、このキャリッジ5の底面に設けられた圧電式の4つのインクジェットヘッド6と、上記ガイドレール4の左端付近に設けられたキャリッジモータ7と、ガイドレール4の右端付近に設けられたプーリ8と、ガイドレール4よりも下方の位置にてキャリッジモータ7とプーリ8との間に架設されるとともにキャリッジ5の背面に固定され、キャリッジモータ7の駆動によってガイドレール4の長手方向(図1中左右方向)に往復動するキャリッジベルト9と、上記フレーム2の水平部2vの上に設けられたプラテン駆動機構10と、Tシャツプリンタ1の左右の側面に設けられ、各インクを収容したインクカートリッジ11を着脱可能に収容するためのカートリッジ収容部12と、ガイドレール4に沿ってその右端に移動した状態のキャリッジ5に対応する位置に設けられ、各インクジェットヘッド6のノズル面に対して密着・離脱が可能な吸引キャップ13を備えたパージユニット14と、上記ケーシング3の右側上部に設けられ、Tシャツプリンタ1の操作を行うための操作パネル40とを有する。
【0048】
インクジェットヘッド6は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックからなる4色のカラーインクのそれぞれに対応して設けられており、各インクを噴射するための、例えば128個のチャンネル(図示せず)をそれぞれ備えている。そして、各チャンネルには、各々個別に駆動される圧電アクチュエータ(図示せず)が設けられており、各チャンネルに対応してインクジェットヘッド6の底面に孔設された微細な噴射ノズル(図示せず)から下向きに、インクの液滴が噴射されるように制御される。
【0049】
各カートリッジ収容部12は、インクカートリッジ11をそれぞれ2つずつ装着できるようになっている。そして、各インクカートリッジ11と、各インクジェットヘッド6とはチューブ(図示せず)によってそれぞれ接続され、各チャンネルにインクが供給されるようになっている。
【0050】
パージユニット14は、吸引ポンプ(図示せず)を備えており、各吸引キャップ13がインクジェットヘッド6に密着しているときに、吸引キャップ13を介してインクの吸引を行うことが可能となっている。また、印刷が行われないときには吸引キャップ13でインクジェットヘッド6のノズル面が覆われ、インクの乾燥が防止されている。
【0051】
プラテン駆動機構10は、水平部2vの前方及び後方においてそれぞれ垂直方向に立上がり、各頂点にて略長方形を形成する基部35,35及び基部36,36と、基部35,35及び基部36,36の上部にそれぞれ設けられたプーリ28,28及びプーリ29,29と、プーリ28及びプーリ29を一対としてそれぞれ架設された無端ベルト27,27と、それら無端ベルト27,27の上方にそれぞれ設けられたプラテン用レール26,26と、無端ベルト27,27に固定部材24を介し固定された略長方形の板状のスライド基部23と、スライド基部23から立ち上がった支柱(支持部材)21を介し支持されるプラテン20とを備えている。
【0052】
プラテン20は、この例では、TシャツTSの身頃部分(前見頃又は後見頃)に印刷を行うためのものであり、インクジェットヘッドに対向する面がインクジェットヘッド6が往復運動する経路に平行な平面となるように、略長方形の板状の形状を備えている。そして、後方のプーリ29に設けられたプラテンモータ25がプーリ29を介し無端ベルト27を駆動することにより、固定部材24、スライド基部23、及び支柱21を介し、プラテン20がプラテン用レール26に沿ってTシャツプリンタ1の前後方向(図1の紙面に垂直方向)に往復動するようになっている。ここで、前述のように、インクジェットヘッド6はキャリッジ5に搭載されてキャリッジモータ7の駆動によりガイドレール4に沿ってTシャツプリンタ1の左右方向(図1中における左右方向)に往復移動する。この結果、印刷が行われる際には、これら前後方向に移動するプラテン20と左右方向に移動するインクジェットヘッド6により、TシャツTSに対してインクジェットヘッドを相対的に前後左右に自在に移動させ、所望の位置に所望の印刷を行えるようになっている。
【0053】
図6は、上記Tシャツプリンタ1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0054】
図6において、Tシャツプリンタ1は、その電気的制御に係る構成として、前述の操作パネル40のほかに、制御部80を備えている。
【0055】
制御部80は、Tシャツプリンタ1全体の制御を司るCPU81と、CPU81が実行する各種の制御プログラム等を記憶したROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、インクジェットヘッド6の各チャンネルに設けられた上記圧電アクチュエータを駆動させるためのヘッド駆動部84と、キャリッジモータ7やプラテンモータ25を駆動させるためのモータ駆動部85と、操作パネル40に設けられているディスプレイ41やランプ42の表示制御を行う表示制御部87と、操作パネルに設けられている種々のボタン43の入力を受け付ける入力検知部88と、操作パネルに設けられているスピーカー44の音声出力を制御する音声制御部89と、Tシャツプリンタ1の上位装置としての前述の本実施形態による画像印刷制御装置100の装置本体101に接続するための通信制御部90とを有しており、それぞれがバス86を介して接続されている。
【0056】
本実施形態の要部は、以上のような構成のTシャツプリンタ1で印刷対象のTシャツTSの表側に所定の画像(元画像)の印刷を行う際に、操作者の指示に応じて画像に係わる色空間のうち少なくとも1つの領域(第1領域)を各領域ごとにそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換し、かつ色空間のうち第1領域以外の領域(第2領域)に対して鮮色化目標色変換を行わない領域とする(=鮮色化処理)ことで、Tシャツ等の布帛への画像印刷時に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することである。以下、その内容を詳細に説明する。
【0057】
(1)本発明の原理及びその背景
(1−1)好ましい画質が得られない背景
被印刷媒体が布帛(例えばTシャツ等)の場合、操作者が求める画質はオフィスプリンタや写真プリンタとは異なり、画像データを忠実に再現することよりも、「鮮やかな」「元気の良い」「プラスチゾルインク等による特色を再現した」画質をTシャツらしい画質として好む傾向がある。
【0058】
しかしながら、デジタル印刷に精通していない通常の操作者が、元画像となる絵をスキャナやデジカメの電子データから取り込み、そのまま(あるいは「明るさ調整」「色合い調整」程度の簡単な画質調整操作を行い)プリンタドライバで印刷データを作り、プリンタで印刷しても上記のような本来得たい鮮やかな画質はなかなか得られない。
【0059】
(1−2)スキャナ読み込みによる不具合
上記のような画質の不具合が起こる一例として、まず、印刷物や鉛筆、水彩画などの手書きのスケッチをスキャナで読み込んだ場合に起こり得る例を説明する。
【0060】
例えば、イメージスキャナで紙の印刷物(パンフレット等)を読み込み、そのまま印刷データを作ってプリンタで印刷したとすると、スキャナの読み込み特性によって、紙において黒く見えていた文字が、プリンタ印刷後の印刷物には少しずつではあるが色みがつき、明度が上がる傾向となる。
【0061】
図7(a)は、上記プリンタ印刷後のパンフレットの一例を表す図であり、図7(b)及び図7(c)は、図7(a)中A部及びB部の拡大図である。
【0062】
これら図7(a)〜(c)において、「ColorSymphony」の大きい黒文字(図7(b)参照)も「効率…」の小さい黒文字(図7(c)参照)も、もともとは視覚的にはほぼ真っ黒であった部分である。印刷後は、図7(b)に示すように「ColorSymphony」は比較的黒いデータ(文字線の中心線付近RGB=0、輪郭付近R=9,G=11,B=15)になるが、「効率…」はより淡い(明るい)黒色になっている。全体にこれ以外の中間の色(薄いラベンダー色等)も同様に変化しているが、特に、一番暗い色である黒が元画のイメージどおり暗く(黒く)ないと、画像が引き締まって見える「鮮やかな」「元気の良い」画像にはならず、メリハリのないいわゆる眠い画像となる。
【0063】
また例えば、鉛筆や色鉛筆のスケッチは紙の色やスキャナの特性の影響を受けるため、上記のような印刷物よりも更に色が淡くなりやすい。図8は黒の鉛筆で書いた猫の後ろ姿のスケッチをそのままイメージスキャナで読み込み、そのまま印刷データを作ってプリンタで印刷した場合の例であり、そのままではTシャツとしては明らかに迫力不足の絵となる。
【0064】
(1−3)色空間の違いによる不具合
操作者が画像データを表示させて認識する(あるいは簡単な編集を行う)CRT(ディスプレイ)では、色空間はRGBデータによる加色混法により表現される。これに対し、プリンタは通常は、CMYKの減色混法で表現される。このような色空間の表現の差により、複数色の混ぜ合わせ処理において微妙な差異が生じる場合がある。また、上記の色空間の差に由来して、CRTの色再現範囲のほうがプリンタの色再現範囲よりも広く、プリンタでは一部の色が再現できないことから、カラープロファイル(LUT=lookup table)を利用して色空間の圧縮処理(=カラーマッチング処理)が行われるのが通常である。これらの事情等の結果、操作者が意図したカラー画像と、カラープリンタで印刷した画像とに差異が生じ得る。
【0065】
例えば、CMYKデータにおいて、黒色をCMY=0%、K=100%で作成する(図9(a)参照)。ところが、この色を一般的なプロファイルにて変換するとRGBデータでは例えばR=55
G=53 B=54となる(図9(b)参照)。通常RGBデータで黒色とはRGB=0(光がない状態;図9(c)参照)であるから、それに比べると、かなり明るく(黒というより赤っぽいチャコールグレー)なる。これは前述した事情を配慮したアプリケーションやプロファイル等の処理機能に起因するものである。この結果、プリンタの印刷で再現される色は、黒色がRGB値の通りの赤っぽいチャコールグレーとなって、画像全体にしまりのない眠い画像になる。
【0066】
(2)本発明の原理
上記に鑑み、本実施形態では、印刷データを作成する際に、所定の変換テーブルに従って元々のカラー入力値(RGB値)を、印刷後に鮮やかな色に改善されるように変換処理する。具体的には、通常のカラーマッチングが、異なる色域の間で最大限の色再現を実現できるように行うのと逆に、RGBカラー空間において、例えば、R=10 G=14 B=19とかR=27 G=19 B=26などの「中途半端な黒色」をすべて「RGB=0」の最大黒(単一の目標色)にする(=鮮色化処理)。
【0067】
(3)本実施形態の画像印刷制御の詳細
以下、上記本発明の原理に基づく、本実施形態の画像印刷制御装置100における画像印刷制御の具体的な態様をさらに詳細に説明する。一例として、本画像印刷制御装置100は、入力値としてRGB値を取るものとする。
【0068】
図10は、上記画像印刷制御装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートである。
【0069】
図10において、まずステップS10において、TシャツTSに印刷したい画像信号のRGB値を取り込む。この画像信号のデータは、別途ハードディスク(図示せず)等の記録媒体に保存されたものを操作者によるキーボード103またはマウス102等の操作入力に応じて取り込むようにしてもよいし、あるいはインターネット等の通信手段を介して取り込んでもよいし、上記スキャナ104を利用して読み込んでもよいし、さらにはデジタルカメラ等の外部機器の画像を利用してもよい。
【0070】
その後、ステップS20において、予め鮮色化処理のために用意された複数の処理態様のモード(後述)を操作者が選択できるように表示する。具体的には、そのような画面を表示させるための表示信号を生成して表示装置105へ出力し、表示装置105の表示画面に、それらモード選択画面を表示させる。
【0071】
図11は、このときの表示装置105の画面表示例を表す図である。図11において、この例では、モード選択画面110の左側には、鮮色化処理を行わない「monitor matching」モード選択ボタン110aと、通常の写真処理に対応し比較的緩やかな(鮮やか度が低い)鮮色化処理を行う「photograph」モード選択ボタン110bと、グラフィック作業に対応し中程度の鮮色化処理(鮮やか度が中程度)を行う「graphic」モード選択ボタン110cと、最も強烈な(鮮やか度が高い)鮮色化処理を行う「vivid」モード選択ボタン110dとが設けられている。なお、これら「monitor
matching」→「photograph」→「graphic」→「vivid」のように用途表示によるモード分けとせず、他の分け方、例えば、「original」→「soft」→「clear」→「vivid」→「strong」→「heavy」のような鮮色化処理の程度そのものを表す表現によるモード分けでもよい。また、数字を用いることで鮮色化処理の程度の強弱を示しても良い。
【0072】
またモード選択画面110の右下部には、「OK」ボタン110e及び「CANCEL」ボタン110fが設けられている。
【0073】
図10に戻り、上記S20が終了すると、ステップS30に移り、各モードに対応した鮮色化処理、すなわちRGB値の変換を行うために、変換にあたって参照すべく予め設定記憶されているテーブルを決定する。
【0074】
図12は、このステップS20の参照テーブル決定の詳細手順を表すフローチャートである。
【0075】
図12において、まず、ステップS31で、前述の図11に示した画面110において操作者により「monitor matching」モードが選択されたかどうか(「monitor matching」モード選択ボタン110a選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS32に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル1(後述の図13参照)に決定する。ステップS31の判定が満たされなければステップS33に移る。
【0076】
ステップS33では、上記同様、操作者が「photograph」モードを選択したかどうか(「photograph」モード選択ボタン110b選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS34に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル2(後述の図13参照)に決定する。ステップS33の判定が満たされなければステップS35に移る。
【0077】
ステップS35では、上記同様、操作者が「graphic」モードを選択したかどうか(「graphic」モード選択ボタン110c選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS36に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル3(後述の図14参照)に決定する。ステップS35の判定が満たされなければステップS37に移る。
【0078】
ステップS37では、上記同様、操作者が「vivid」モードを選択したかどうか(「vivid」モード選択ボタン110d選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS38に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル4(後述の図14参照)に決定する。ステップS37の判定が満たされなければステップS31に戻って上記同様の手順を繰り返す。
【0079】
上記ステップS32、ステップS34、ステップS36、ステップS38が終了したら、ステップS39に移り、操作者が一度決定したモード選択のキャンセル操作をしたかどうか(その後「CANCEL」ボタン110fを操作したかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS31に戻って上記同様の手順を繰り返す。判定が満たされなければこのルーチンを終了し、図10のステップS40へ移る。ステップS40では、上記ステップS31〜ステップS39において決定されたテーブル1〜4のいずれかを参照して、ステップS10で入力したRGB値の変換を行う。
【0080】
図13(a)、図13(b)、図14(a)、図14(b)は、上記「monitor
matching」「photograph」「graphic」「vivid」の各モードに応じてそれぞれ用意された、前述のRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値を表す図である。
【0081】
各テーブルにおいて、図示のように、0〜255までの256階調で表されるR値、G値、B値のすべての組み合わせ(2563通りの色座標値)について、2563通りの減算値がそれぞれ一対一に対応づけられて用意されており、元の画像信号のRGB値(改善前RGB入力値;ステップS10で読み込んだ値)から、当該減算値を減じることにより変換を行い、改善(変換)後のRGB値が算出されるようになっている。黒や白、赤、という鮮色化目標色は、RGB値の少なくともひとつが255かまたは0である値を含む、0から255までの整数値を取るものとし、上記第1領域内に存在する。
【0082】
図13(a)に示す「monitor matching」モードは、鮮色化処理を行わないモードであり、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせについて、RGB減算値はすべて(0,0,0)となり、ステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とするようになっている(言い換えれば無変換)。
【0083】
図13(b)に示す「photograph」モードは、前述したように、比較的緩やかな鮮色化処理を行うモードである。
【0084】
すなわち、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的小さい部分(R=0〜12、G=0〜14、B=0〜19;以下、RGB色座標値(0,0,0)〜(12,14,19)と表す;比較的黒に近い領域=第1領域)については、各入力RGB値と全く同一の減算値を減じることによって、変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、鮮色化目標色である最大黒への単色化を行う。
【0085】
そして、上記2563通りのRGB値の組み合わせのうち、上記第1領域以外の部分(RGB色座標値(13,14,19)〜(255,255,255))は、上記鮮色化処理を行わない第2領域とする。そのうち色空間にてRGB値が比較的大きく明るい領域(RGB色座標値(35,38,34)〜(255,255,255)についてはRGB減算値をすべて(0,0,0)としてステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域とする一方、上記第1領域に近い周辺部分(RGB色座標値(13,14,19)〜(35,37,34))は、上記第1領域に対応し、上記原データ領域と上記第1領域とを視覚的に滑らかに補間することで遷移色領域を形成している。
【0086】
図14(a)に示す「graphic」モードは、前述したように、中程度の鮮色化処理を行うモードである。上記同様、RGB値が比較的小さい第1領域(RGB色座標値(0,0,0)〜(55,52,54);但し上記「photograph」モードよりも明るくなる側に広い)については変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、RGB値が比較的大きく明るい原データ領域(RGB色座標値(70,72,71)〜(255,255,255);但し上記「photograph」モードよりも暗くなる側が狭い)については入力RGB値をそのまま変換後のRGB値とし、上記第1領域と原データ領域とを接続する周辺部分(RGB色座標値(56,53,54)〜(70,71,71))は、第1領域と第2領域の色空間を滑らかに補間することで遷移色領域を形成している。
【0087】
図14(b)に示す「vivid」モードは、前述したように、最も鮮烈な鮮色化処理を行うモードである。上記同様、RGB値が相対的に小さい第1領域(RGB色座標値(0,0,0)〜(71,72,71);さらに上記「graphic」モードよりも明るくなる側に広い)については変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、RGB値が相対的に大きく明るい原データ領域(RGB色座標値(89,89,91)〜(255,255,255);さらに上記「graphic」モードよりも暗くなる側が狭い)については入力RGB値をそのまま変換後のRGB値とし、上記第1領域と原データ領域とを接続する周辺部分(RGB色座標値(72,72,71)〜(89,88,91))は、第1領域と第2領域の色空間を滑らかに補間することで遷移色領域を形成している。
【0088】
なお、上記「photograph」「graphic」「vivid」の3モードのいずれにおいても、上記第1領域はRGB色座標値(0,0,0)を含む相対的に黒に近い領域であり、装置に依存しない国際標準機関CIEが規定するL*a*b*データで表した色空間では、その表層部に位置している。
【0089】
また、図13及び図14に示したように必ずしも2563通りのすべての色座標値について減算値を設ける必要はなく、改善される(実質的に変換される)第1領域及び遷移色領域についてのみテーブルを備え、減算値を設定するようにしてもよい。また、テーブルは外部より適宜のネットワーク等を介して適宜読み込むようにしてもよい。さらに、テーブルの形ではなく、何らかの変換式の形で設定し記憶保持しておいてもよい。さらに、色座標値と減算値を設けたテーブルとするのではなく、入力されたRGB色座標値と出力RGB色座標値とを設けてもよい。
【0090】
図15(a)及び図15(b)は、上記補間により形成される遷移色化処理の内容を概念的に説明した図であり、横軸に変換前の鮮色化目標値からの距離を、縦軸に変換後の鮮色化目標値からの距離をとって表したものである。
【0091】
図15(a)中に破線で示すように、鮮色化処理を行わない場合は、変換前のRGB入力値と変換後のRGB値が同一となり、図上、原点より右上がりの(傾き1の)直線として表すことができる。
【0092】
一方、鮮色化処理を行った場合は、前述したように、変換後のRGB値がすべて0とされる第1領域、変換前の鮮色化目標値からの距離をそのまま変換後の鮮色化目標値からの距離とする原データ領域とが存在し、これら第1領域と第2領域との間を直線的に滑らかにつなぐように、遷移色領域が設定される。
【0093】
そして、図15(b)に示すように、「photograph」モード、「graphic」モード、「vivid」モードの順に、第1領域が広くなる(図中右側に伸びる)とともに、原データ領域が狭くなる(図中左側から縮小される)ようになっており、これに対応して、両者を接続する遷移色領域の色域が変化している。なお遷移色領域における直線の傾きは、この例では、「photograph」モード、「graphic」モード、「vivid」モードの順に大きくなっているが、これに限られず、すべて同一でもよいし、2つのみが同一で他が異なる値等でもよく、視覚的にどのように接続するかに応じて予め適宜に設定しておけばよい。
【0094】
また遷移色化処理は、以上のような補間処理に限られるものでもなく、操作者の人間からみて違和感がなく滑らかに第1領域と原データ領域とを接続できるのであれば、他の手法でもよい。適宜の演算にて線形、非線形の補間や近傍RGB値による体積補間、平滑化処理等を行ってもよい。また演算処理にも限られず、別途実際に上記のような態様で印刷した印刷物のスキャン結果よりRGB値を直接代入する手法等でもよい。
【0095】
図10に戻り、ステップS30における以上のRGB値変換の際に参照するテーブルを決定する処理が終了したら、ステップS40に移る。
【0096】
ステップS40では、操作者から印刷実行指示(キーボード103またはマウス102等で入力された指示信号)が上記I/O101Dを介して取り込まれたかどうかを判定する。判定が満たされたら、ステップS50に移る。
【0097】
ステップS50では、上記ステップS30において決定されたテーブルに基づき、プリンタを実際に印刷制御するための印刷データの作成を行う。
【0098】
図16は、このステップS50の詳細手順を表すフローチャートである。
【0099】
図16において、まず、ステップS51において、前記ステップS30で決定されたRGB値変換用テーブルを持いて、RGB値を変換する。その後、ステップS52において、プリンタ1に対応するカラープロファイル(LUT)を参照してカラーマッチングを行う。すなわち、入力されたRGB値データをプリンタ側の色域にあわせたRGB値に変換するためである。このカラープロファイル(LUT)は、予めプリンタ1側(例えば制御部80内)又は装置本体101側に用意されている。
【0100】
その後、ステップS53において、上記ステップS51、ならびにステップS52において変換されたRGB値データをCMYK値データに変換する(墨生成)。
【0101】
図17は、この墨生成手順におけるRGB→CMYK変換処理を表すテーブルの一例を示している。図17において、前述したように、加色混法によるRGBデータを、減色混法によるCMYKデータとするために、RGB色空間における2563通りの座標値(=表中最上段の(0,0,0)から最下段の(255,255,255)まで)それぞれについて、CMYK色空間における同数の座標値(=表中最上段の(0,0,0,100)から最下段の(0,0,0,0)まで)に連続的に変換するように、テーブルが設定されている。ステップS62では、この変換テーブルを参照して、各RGBデータを対応するCMYKデータに変換する。なお、この墨生成のテーブルと、前記ステップS52で参照されたカラープロファイル(LUT)を一体化して、ステップS52とステップS53を一度に行ってもよい。
【0102】
図16に戻り、上記ステップS53が終了した後は、ステップS54に移り、ステップS53にて生成したCMYKデータについて、実際にプリンタ1の上記インクジェットヘッド6において対応する色を実現するために、疑似諧調化処理(2値化処理)を行う。すなわち、各CMYKデータが、インク液滴噴射用の多数(前述の例では128個)の上記噴射ノズルをそれぞれ開閉する圧電アクチュエータの駆動制御信号(最終的なプリンタ出力データ)へと変換される。なお、この処理自体は公知の手法で足りるので、詳細な説明を省略する。
【0103】
ステップS54が終了したら、このルーチンを終了し、図10のステップS60へ移る。
【0104】
図10に戻り、ステップS60では、上記ステップS50で作成した印刷データをI/O101Dを介しTシャツプリンタ1の通信制御部90へ転送し、このフローを終了する。
【0105】
Tシャツプリンタ1では、上記転送された印刷データを通信制御部90よりRAM83に格納する。そして、操作者が印刷対象のTシャツTSをプラテン20に表向きにしてセットした後、操作パネル40の適宜の手段(例えば印刷開始ボタン)を操作することにより、上記RAM83に格納された印刷データに基づき、CPU81がヘッド駆動部84及びモータ駆動部85を介してインクジェットヘッド6の圧電アクチュエータやキャリッジモータ7及びプラテンモータ25を駆動制御し、印刷を行う。
【0106】
以上において、画像印刷制御装置本体101のI/O101Dが、各請求項記載の、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する入力手段を構成する。
【0107】
また、図10に示したCPU101Aが実行するフローのステップS30、ステップS50、図16に示したステップS51が、入力手段で入力した操作者の指示信号に基づき、画像信号に係わる色空間のうち第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換するとともに、色空間のうち第1領域以外の領域に対して鮮色化目標色変換を行わない領域とする鮮色化処理手段に相当する。そのうち、ステップS51において図13(b)並びに図14(a)(b)に示すテーブル2〜4を参照し第1領域と原データ領域との間に遷移色領域を形作るように変換を行うことが、第2領域のうち第1領域の周辺部分に対し、第1領域における鮮色化目標色変換に対応した遷移色に変換する遷移色化処理手段に相当する。
【0108】
以上説明したように、本実施形態の画像印刷制御装置100においては、操作者が図11に示す画面110で鮮色化に関するモードを選択指示すると、その選択されたモードに基づいた変換テーブルが図13及び図14のテーブル1〜4の中から選択され、それに沿ってもとの画像に係るRGB値データの変換が行われる。この変換では、RGB色空間のうち比較的黒い第1領域をそれぞれ単一の最大黒(RGB値(0,0,0))に変換し、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とする。そしてこの変換後のRGB値に基づき印刷データが作成され、プリンタ1にて印刷が行われる。このように、RGB色空間の第1領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって中途半端な黒もすべて同一の最大黒となるので、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0109】
図7(a)中の文字部分である図18は、このような本実施形態の効果を説明するための説明図である。
【0110】
図7及び図18(a)は、上記した本実施形態の鮮色化処理を行わずそのままプリンタ1で印刷した印刷物の一例(比較例)を表す図であり、図18(b)は対応する画像について(例えば「vivid」モードで)鮮色化処理を行った後にプリンタ1で印刷した印刷物の一例を表す図である。
【0111】
図18(b)に示す絵柄は、図7及び図18(a)と比べて、黒い部分はより黒く、全体として画像が引き締まり、メリハリの利いたくっきり鮮やかな濃い色の印刷結果が得られていることがわかる。
【0112】
また、本実施形態の画像印刷制御装置100においては、前述したように、第 2領域のうち第1領域の周辺部分を遷移色領域に変換することにより、単一色に変換された第1領域と第2領域との境界付近で色がステップ状に急激に変わることによる疑似輪郭(色飛び)の発生を防止し、第1領域から原データ領域に向かって、人間の目で違和感がなく滑らかに接続することができる。
【0113】
さらに、操作者が上記のように所望のモードを選択するだけで、その選択に応じたRGB値の変換(鮮色化処理)が自動的に行われる。したがって、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をモード選択するだけで所望の画質を短時間の間に得ることができ、十分に使いこなすことが可能となる。
【0114】
さらに、図11に示す画面110において、鮮色化処理を行わない非処理モードに相当する「monitor
matching」モードを選択可能であることにより、鮮色化目標色変換を行うモードと、そのような変換を行わないモードとを操作者が所望に選択可能となるので、操作者の使い勝手を向上することができる。
【0115】
また、複数個の変換後(改善後)RGBデータから、1つの墨生成テーブル(RGB→CMYK)を参照するので、どのような鮮色化処理を行ってもそれ以降の処理を簡素化できる効果もある。
【0116】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0117】
(A)鮮色化目標色として他の色を設定する場合
上記実施形態では、鮮色化目標色としてRGB最大黒(0,0,0)を設定して第1の領域をすべてこれに単色化したが、これに限られず、他の色でもよい。例えば、黄色よりの弱いオレンジを赤みの強いオレンジに換えたり、くすんだ赤を鮮やかな赤にしたりすることにより、黒色と同様に濃くて鮮やかな発色を得ることができる。
【0118】
図19では、国際標準機関CIEが規定するL*a*b*データで表した色空間において、色相を固定した場合の色の変化の例を矢印で示したものである。例えば、BKに示すあいまいな黒のくっきりとした黒への変換は、前述の上記実施形態に相当する。それ以外にも、例えば、あいまいな赤をよりくっきりとした赤へ変換する変換RDや、灰ピンクの彩度を増しピンクへ変換する変換PK等が考えられ、いずれの場合も矢印で示すように色を変化させる(所定大きさの第1領域内の各色をすべて鮮色化目標色へ単色化する)ことで、画像全体がよりくっきりと鮮やかなものになる。
【0119】
図20は、上記赤への変換RDに対応する上記RGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例(この例では上記「photograph」モードにおけるテーブル2Rの例)を表す図であり、前述の図13(b)に対応するものである。
【0120】
図20において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的赤に近い領域(RGB色座標値(255,0,0)〜(248,15,15))を第1領域として変換後のRGB値をすべて(255,0,0)とし、鮮色化目標色である赤への単色化を行う。そして、上記2563通りのRGB値の組み合わせのうち、上記第1領域以外の部分は上記鮮色化処理を行わない第2領域とする。そのうち色空間にてRGB色座標値(239,15,15)〜(255,255,255)で表される領域についてはRGB減算値をすべて(0,0,0)としてステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域とする一方、上記第1領域に近い周辺部分(RGB色座標値(247,15,15)〜(240,15,15)ほか)は、補間処理によって上記原データ領域と上記第1領域とを視覚的に滑らかにつなぐようにした遷移色領域としている。
【0121】
図21(a)は、上記した本変形例の鮮色化処理を行わずそのままプリンタ1で印刷した印刷物の一例(比較例)を表す図であり、図21(b)は対応する画像について(上記「photograph」モードで)鮮色化処理を行った後にプリンタ1で印刷した印刷物の一例を表す図である。図21(b)に示す絵柄は、図21(a)と比べて、赤い部分はより赤く、全体として画像が引き締まり、メリハリの利いたくっきり鮮やかな濃い色の印刷結果が得られていることがわかる。
【0122】
一方、図22は、図19に示した上記ピンクへの変換PKに対応する上記RGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例(この例では上記「photograph」モードにおけるテーブルPの例)を表す図であり、前述の図13(b)に対応するものである。
【0123】
図22において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的ピンクに近い領域(RGB色座標値(255,206,206)〜(238,218,218))を第1領域として変換後のRGB値をすべて(255,206,206)とし、鮮色化目標色であるピンクへの単色化を行う。そして、上記2563通りのRGB値の組み合わせのうち、上記第1領域以外の部分は上記鮮色化処理を行わない第2領域とする。そのうち色空間にてRGB色座標値(229,218,218)〜(255,255,255)で表される領域についてはRGB減算値をすべて(0,0,0)としてステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域とする一方、上記第1領域に近い周辺部分(RGB色座標値(237,218,218)〜(230,218,218)ほか)は、補間処理によって上記原データ領域と上記第1領域とを視覚的に滑らかにつなぐようにした遷移色領域としている。
【0124】
この例においても、ピンクの部分の灰色傾向が薄れてよりくっきりとピンク色となり、全体として画像が引き締まりメリハリの利いた鮮やかな濃い色の印刷結果を得ることができる。
【0125】
(B)遷移色領域を設けない場合
前述のように、上記実施形態においては、第2領域のうち、最大黒RGB値(0,0,0)で単色化統一された第1領域の周辺部分を遷移色領域に変換し、これによって、第1領域と第2領域との境界付近で色がステップ状に急激に変わることによる疑似輪郭(色飛び)の発生を防止した。しかしながら、そのような疑似輪郭の発生を問題としなくてもよい場合(発生しても許容される場合)や、あるいは、第1領域が黒色の場合このような色飛びが発生しても人間の目では事実上それが見えないため、遷移色領域を必ずしも設ける必要はない。
【0126】
図23は、上記第1領域が黒色の場合における遷移色領域を設けない変形例の上記RGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例(この例では上記「photograph」モードにおけるテーブル2′の例)を表す図であり、前述の図13(b)に対応するものである。
【0127】
図23において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的小さく黒に近い第1領域(RGB色座標値(0,0,0)〜(12,14,19))については、各入力RGB値と全く同一の減算値を減じることによって、変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、鮮色化目標色である最大黒への単色化を行う。そして、上記第1領域以外の第2領域(RGB色座標値(13,14,19)〜(255,255,255)ほか)はRGB減算値をすべて(0,0,0)として、入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域としている。
【0128】
図24は、この変形例における処理の内容を概念的に説明した図であり、前述の図15に対応する図である。図24において、変換後の鮮色化目標値である第1領域の終端部(図中右端)と、第2領域の開始位置である原データ領域の始端部(図中左下端)との間は距離があり、不連続である。
【0129】
上記図23及び図24に示されるように、この場合、第1領域と第2領域との境界であるRGB色座標値(12,14,19)から変換されたRGB値(0,0,0)は、処理が不可欠な場合と比べ(例えば図13に示すようにRGB色座標値(35,37,32)から変換されたRGB値(0,0,0)の場合)、両者の間に大きな差が生じないため、色がステップ状に急激に変わることで疑似輪郭(色飛び)が発生する可能性が低い。更に、黒色の場合このような色飛びが発生しても人間の目では事実上それが見えないため、遷移色領域を必ずしも設ける必要はない。
【0130】
(C)テーブルを操作者が作成する場合
以上においては、操作者がモード選択を行い、その選択に応じて参照テーブルが決定されていたが、これに限らず、多少の簡単な編集操作ならできるという操作者の場合(あるいは本発明の上記実施形態による鮮色化変換処理に習熟してきた操作者の場合)には、RGB値の変換のためのテーブルを操作者自ら作成する(言い換えれば、第1領域の位置及び大きさ、鮮色化目標色等を指定する)ようしてもよい。
【0131】
図25は、そのような変形例における、装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図10に相当する図である。図10と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
【0132】
図25において、ステップS10において、TシャツTSに印刷したい画像信号のRGB値を取り込んだ後、ステップS30に代えて新たに設けたステップS30′に移り、操作者の入力による参照テーブル作成処理を行う。
【0133】
図26は、このステップS30′の詳細手順を表すフローチャートである。
【0134】
図26において、まずステップS31で、予め操作者による鮮色化処理用変換テーブル作成のために用意された操作者用テーブル作成画面(第1領域指定画面)を表示する。具体的には、そのような画面を表示させるための表示信号を生成して表示装置105へ出力し、表示装置105の表示画面に、それらモード選択画面を表示させる。
【0135】
図27は、このときの表示装置105の画面表示例を表す図である。図27において、この例では、テーブル作成画面120の左側には、単一化される第1の領域範囲をR値、G値、B値ごとにそれぞれ設定するためのR値範囲設定領域120a,120b、G値範囲設定領域120c,120d、B値範囲設定領域120e,120fと、それら単一化されるときの鮮色化目標色のRGB値を設定するための目標色R値設定領域120g、目標色G値設定領域120h、目標色B値設定領域120iとが設けられている。
【0136】
また画面120の右下部には、「OK」ボタン120j及び「CANCEL」ボタン120kが設けられている。
【0137】
図26に戻り、上記ステップS31が終了すると、ステップS36に移って、上記画面120において「CANCEL」120kが操作されたかどうかを判定し、操作されていなければ、ステップS32に移って、上記画面120においてテーブル作成(=第1領域範囲指定入力)が正しく終了したかどうかを判定する。もし、目標色R値設定領域120g、目標色G値設定領域120h、目標色B値設定領域120iがそれぞれR値範囲設定領域120a,120b、G値範囲設定領域120c,120d、B値範囲設定領域120e,120fの範囲内に正しく入っていなければ、ステップS35へ移る。ステップS35では、エラー表示と再入力を促す画面121(a)、(b)が表示される。
【0138】
図28は、上記画面121(a),(b)の一例を表す図である。図28の画面121(a)は、鮮色化目的色が上記第1領域にない場合である。図28の画面121(b)は、鮮色化目的色の値が正しくない。すなわち、RGB値の少なくともひとつが255かまたは0である値を含む、0から255までの整数値を取るものでなければならない。画面121(a)、(b)上の「OK」ボタン121jが操作されると、ステップS31に戻り、再度正しい値が入力された後、再度ステップS32で上記画面120においてテーブル作成(=第1領域範囲指定入力)が正しく終了したかどうかを判定する。画面120の各領域120a〜iによる設定が正しく終了し「OK」ボタン120jが操作されるとこの判定が満たされ、ステップS33に移る。
【0139】
ステップS33では、上記画面120による第1領域の範囲設定に基づき、対応する第2領域及び遷移色領域を自動的に設定し、テーブルを作成する。
【0140】
図29は、このステップS33の詳細手順を表すフローチャートである。
【0141】
図29において、まずステップS209において、RAM101Cに保存されている設定値から、テーブルを作成するために必要なR値を求める。図30はこのステップ209以下の詳細を表すフローチャートである。
【0142】
図30ではまず、ステップS201において、RAM101Cに保存されている、画面120のR値に係わる領域120a,120bの設定値のうち大きなほうの値をR、小さなほうの値をR′とし、鮮色化目的色のR値である目標色R値設定領域120gをRgoalとする。この場合、R=Rgoalであれば、より明るい色へ鮮色化することであり、R′=Rgoalであれば、より暗くて濃い色へ鮮色化することであり、R>Rgoal>R′であれば、中心の色へ鮮色化すること(例えば、薄い赤、暗い赤を真っ赤にする場合)である。また、それぞれ差し引いた差R−Rgoal、R′−Rgoalを、第1領域R値設定範囲RrangeとR′rangeとする。すなわち、第1領域R値設定範囲が正の値であればより暗い方向へ鮮色化し、負の値であればより明るい方向へ鮮色化することになる。その後、ステップS202に移る。
【0143】
ステップS202では、上記のR値から遷移色領域の範囲を決定する。すなわち、RからRgoalまでの距離をn倍に伸ばした遷移色領域のR値をRfix=R+Rrange*n、R´からRgoalまでの距離をn倍伸ばした遷移色領域のR値をR´fix=R´−R´range*nを得る。本説明ではn=1とする。ここで、RからRfixまでとR´からR´fixまでの範囲をあわせた部分が、第2領域の原データ領域を表す。その後、ステップS203に移る。
【0144】
ステップS203では、Rfixの値を補正する。すなわち、R値が取りうるのは0から255までであるから、Rfix>255であるとき、ステップS204へ移行し、Rfix=255とする。その後、ステップ205に移る。
【0145】
ステップS205では、R´fixの値を補正する。すなわち、R値が取りうるのは0から255までであるから、R´fix<0であるとき、ステップS206へ移行し、R´fix=0とする。その後ステップS207に移る。
【0146】
ステップS207では、R、R′、Rrange、R′range、Rfix、R´fixの各値を装置本体101のRAM101Cに格納する。こうしてR値について第1領域、遷移色領域の設定及び第2領域(原データ領域)の範囲設定が終了する。その後、図29のS209に戻る。
【0147】
その後、S219では、R値と同様に、G値のG、G′、Grange、G′range、Gfix、G´fixの各値を決定するステップS219に移り、個々の値を決定して装置本体101のRAM101Cに格納する(図示せず)。こうしてG値について第1領域、遷移色領域の設定及び第2領域(原データ領域)の範囲設定が終了する。その後、ステップS229に移る。
【0148】
その後、ステップS229では、R値、G値と同様に、B値のB、B′、Brange、B′range、Bfix、B´fixの各値を決定して装置本体101のRAM101Cに格納する(図示せず)。こうしてB値について第1領域、遷移色領域の設定及び第2領域(原データ領域)の範囲設定が終了する。その後、ステップS240に移る。
【0149】
ステップS240では、装置本体101のRAM101Cに格納されている各値から、第1領域に含まれるすべてのRGB値を決定する。第1領域のR値はR´からR、G値はG´からG、B値はB´からBであるから、このR値G値B値の組み合わせで第1領域に含まれるすべてのRGB値が決定する。この第1領域のすべてのRGB値の組み合わせを求める。
【0150】
次にステップS241では、装置本体101のRAM101Cに格納されている各値から、第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値を決定する。R値は最小値0からR´までとRから最大値255までの値であり、G値は最小値0からG´までとGから最大値255までの値であり、B値は最小値0からB´までとBから最大値255までの値であるから、このR値G値B値の組み合わせで第2領域うち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値が決定する。
【0151】
次に、ステップS242では、すべてのRGB値、すなわち2563通りのすべてのRGB値の組み合わせを決定する。その後、ステップS243に移る。
【0152】
次に、ステップS243では、上記ステップS242で求めたすべてのRGB値から、上記ステップS240で求めた第1領域に含まれるすべてのRGB値と上記ステップS241で求めた第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値を引くことで、第2領域のうちの遷移色領域を決定する。上記ステップS240、ステップS241ならびにステップS243で、2563通りのすべてのRGB値の組み合わせが第1領域と第2領域(遷移色領域+原データ領域)とに分けられることになる。その後、ステップS244に移る。
【0153】
次に、ステップS244では、ステップS240で求めた、第1領域に含まれるすべてのRGB値から、改善前RGB入力値RGBinputと、改善後RGB入力値RGBoutput、減算値RGBcalを決定する。すなわち、RGBinputは第1領域に含まれるすべてのRGB値であり、改善後RGB入力値RGBoutputはすべて(Rgoal,
Ggoal,Bgoal)で表される。減算値RGBcalは、RGBcal=RGBinput−RGBoutputにより求められる。その後、ステップS245に移る。
【0154】
次に、ステップS245では、ステップS241で求めた、第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値から、改善前RGB入力値RGBinputと、減算値RGBcalを決定する。すなわち、RGBinputは第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値であり、改善後RGB入力値はRGBinputに等しくなるので、減算値RGBcalは、すべて(0,0,0)である。その後、ステップS246に移る。
【0155】
次に、ステップS246では、ステップS243で求めた、第2領域のうちの遷移色領域に含まれるすべてのRGB値から、改善前RGB入力値RGBinputと減算値RGBcalを決定する。
【0156】
まず、第2領域のうちの遷移色領域に含まれるすべてのRGB値は改善前RGB入力値RGBinputである。このRGBinputのあるR値Rsmooth-inを取り出す。ここで取り出したRsmooth-inは、RからRfixまでの遷移色領域のあるR値である。ここから、改善後RGB入力値のあるR値Rsmooth-outを求める。
【0157】
まず、ステップS246では、あるRsmooth-inがRgoalとRの間、R´とRgoalの間にある場合のRsmooth-outを求める。これらの場合のRGB値は、少なくともひとつのRGB値が遷移色領域に存在するので、遷移色領域以外のRGB値は、すべて鮮色化目標値と等しくなるように定める。よって、この場合すべてのRsmooth-outをRgoalとする。その後、減算値RcalをRsmooth-inとRsmooth-outの差分より決定する。同様に、Gsmooth-out、Bsmooth-outを決定し、減算値Gcal、Bcalを決定し、その後、ステップS247に移る。
【0158】
ステップS247では、あるRsmooth-inがRとRfixの間にある場合のRsmooth-outを求める。ここでRgoal+1(目標値の次のR値)からRfixまでの距離は、Rrangeの2倍であるから、Rsmooth-out=R+Rrange*2/Rrange、これをRsmooth-out≦Rfixまで繰り返す。同様に、R´smooth-out=Rrange*2/Rrange−R´で、これをR´fix≦Rsmooth-outまで繰り返す。その後、減算値RcalをRsmooth-inとRsmooth-outの差分より決定する。同様に、Gsmooth-out、Bsmooth-outを決定し、減算値Gcal、Bcalを決定し、その後、ステップS248に移る。
【0159】
次にステップS248では、上記ステップS240からステップS247で求めたすべての改善前RGB入力値RGBinputと、対応するすべての減算値RGBcalから参照テーブルを作成し、そして、図26のステップS33へ戻る。
【0160】
ステップS33では、出来上がった参照テーブルを装置本体101のRAM101Cに格納すし、テーブル作成処理を完了する。
【0161】
例として、操作者により入力された画面120のR値範囲設定領域120a,120b、G値範囲設定領域120c,120d、B値範囲設定領域120e,120fと、それら単一化されるときの鮮色化目標色のRGB値を設定するための目標色R値設定領域120g、目標色G値設定領域120h、目標色B値設定領域120iが、それぞれ120a=R´=0、120b=R=30、120c=G´=0、120d=G=30、120e=B´=0、120f=B=30、120g=Rgoal=0、120h=Ggoal=0、120i=Bgoal=0であるとき、出来上がったテーブルの内容を図31に示す。
【0162】
図31は、このようにして操作者により作成した参照用変換テーブル(RGB入力値と減算値)と、変換後RGB値の一例を表す図である。図31において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、この例では、前述の図27の画面120から操作者によって入力されたものであり、RGB色座標値(0,0,0)〜(15,15,15)の範囲が第1領域に設定されている。また、RGB色座標値(16,0,0)〜(30,30,30)の範囲が第2領域の遷移色領域(31,0,0)〜(255,255,255)の範囲が、原データ領域である。
【0163】
そして、このような第1領域の操作者設定に応じた前述の図29に示した手順によって、第1領域に続きかつ第1領域の倍のRGB値幅をもつ遷移色領域(RGB色座標値(16,0,0)〜(30,30,30)の範囲)が自動設定されるとともに、この始端(=第1領域との境界)であるRGB色座標値(15,15,15)で減算値が(15,15,15)となり、それより徐々に減算値が減少して、その終端(=第2領域との境界)であるRGB色座標値(30,30,30)で減算値が(0,0,0)となるように、遷移色領域の各色座標値及びこれに対応する減算値が自動的に設定される。また、RGB色座標値(30,30,30)以遠の第2領域(31,0,0)〜(255,255,255)ではすべて減算値が(0,0,0)となるように自動設定される。
【0164】
以上のようにして、RGB値についての第1領域、及び第2領域(遷移色領域と原データ領域)の自動設定が終了し、ステップS34に移る。
【0165】
ステップS34において、上記のようにして設定され一時記憶された各データは、操作者作成のテーブルとして確定し、所定の箇所(例えば装置本体101のRAM101C)に格納され、読み出し可能に保持される。
【0166】
このようにしてステップS34が終了したら、図25のステップS40に移る。また、ステップS36にて上記画面120において「CANCEL」120kが操作されたかどうかを判定し、操作されていれば、図25のステップ40′に移る。
【0167】
ステップS40以降は、ステップS30′で作成されたテーブルを用いること以外は上記実施形態の図10と同一の手順であるので、説明を省略する。
【0168】
上記において、CPU101Aの実行する図29に示したステップS201〜ステップS241、ステップS242、ステップS243が、各請求項記載の、入力手段により指定された前記第1領域の情報に基づいて第1領域を除く前記第2領域を決定する決定手段を構成する。
【0169】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果に加え、操作者の所望に作成したテーブルを用いて変換を行い、さらにきめの細かい鮮色化処理が可能となる。
【0170】
なお、この変形例においては、操作者が図27の画面120の領域120a〜iへ指定入力することで、第1領域の位置、大きさ、鮮色化目標色を指示入力し、第2領域の位置や大きさ、遷移領域の有無及び位置並びに大きさを自動的に決定したが、これに限られない。すなわち、操作者は、第1領域の位置、大きさ、鮮色化目標色以外にも、上記第2領域や遷移領域に係わる指示入力をさらに加えて行い、指示入力されなかった残りを自動的に決定するようにしてもよい。このとき、第1領域や第2領域の数は必ずしも1つに限られないことから、結局、操作者の指示入力に基づき、最終的に、第1領域又は第2領域の位置、大きさ、数、鮮色化目標色、遷移色化処理の有無のうち少なくとも2つの組み合わせを決定するようにすれば足りる。
【0171】
また、図29において、すべての領域のすべてのRGB値を個々に扱う方法を示しているが、これに限らない。特に、遷移色領域の扱いにおいては、さまざまな計算式による補間の方法が知られている。例えば、鮮色化目標値Rgoal、Ggoal、Bgoalを原点とし、x軸にR値、y軸にG値、z軸にB値をとるとする。原点から遷移色領域外周にあるRfix、Gfix、Bfixまでを直線で結び、その直線を半径とした球の表面の1点から原点までの距離を調整することにより、滑らかな補間を行うことが可能である。また、球ではなく、立方体を利用した補間方法を採ることも可能である。また、RとRfix、GとGfix、BとBfixの中間値のRGB値を算出し、そのRGB値を中心として遷移色領域を平滑化処理することも可能である。
【0172】
(D)通常データを受け取った後にプリンタ側で鮮色化処理する場合
上記においては、装置本体101のROM101Bに記憶された本発明に係るプログラムによって上記鮮色化処理の手順を実行したが、これに限られない。すなわち、プリンタ1自体の制御部80のROM82に上記と同等の機能の本発明に係るプログラムを格納し、これによって同等の手順を実行してもよい。
【0173】
図32は、この変形例において、画像印刷制御装置100の装置本体101に備えられたCPU101Aが実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図10に相当する図である。図10と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
【0174】
図32において、まずステップS10′′において、画像印刷制御装置本体101側から送信されてきた画像データのRGB値、すなわちTシャツTSに印刷したい画像信号のRGB値を取り込んだ後を取り込み、ステップS20′′に移る。
【0175】
その後、ステップS20′′において、予め鮮色化処理のためにプリンタ1側に用意された前述の複数のモードを操作者が選択できるように表示する。具体的には、そのような画面を表示させるための表示信号を生成して表示手段としての表示制御部87を介し操作パネル40のディスプレイ40へ出力し、ディスプレイ40の表示画面に、それらモード選択画面を表示させる。このときのモード選択画面は図示を省略するが、例えば、先の図11に示した装置本体101の表示装置105の画面110と同様、「monitor matching」「photograph」「graphic」「vivid」の各モードが選択可能とされていればよい。
ステップS20′′が終了したら、ステップ30へ移る。
【0176】
ステップS30の処理は、CPU101Aが実行すること以外、上記実施形態の図10に相当する図である。ステップS30が終了したら、ステップ40′′に移る。
【0177】
ステップS40′′では、操作者から印刷開始指示(例えば操作パネル40の印刷開始ボタン等の操作信号)が上記入力検知部88を介し取り込まれたかどうかを判定する。
【0178】
鮮色化処理機能をプリンタ1側に持たせる本変形例によっても、上記実施形態と同様、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質の実現等の効果を得ることができる。
【0179】
(E)RGB値以外のデータ形式において鮮色化処理を行う場合
例えば上記実施形態や(A)〜(C)の変形例においては、外部より画像印刷制御装置100の本体101に入力されたRGB値データをRGBデータのままで鮮色化処理変換し、その変換したRGB値より墨生成(RGB→CMYK変換;図16におけるステップS53参照)、さらに2値化処理(ステップS54参照)してプリンタ1へと出力したが、これに限られず、本発明による前述の鮮色化処理は、上記RGBデータ→カラーマッチング→CMYKデータ→2値化データの流れのうち、どの段階で行ってもよい。したがって、RGBデータのうちは上記鮮色化処理を行わないままで、ステップS53でCMYKデータ化した後、CMYKデータどうしで対応づけた各テーブル(各モードに対応)を参照して鮮色化処理(変換)を行い、その変換後のCMYKデータから2値化データを作成してプリンタ1へ送るようにしてもよい。なお、墨生成のとき、RGBデータから直接CMYKデータを生成するのではなく、装置に依存しない国際標準機関CIEが規定するXYZ三刺激値やL*a*b*均等色空間によるL*a*b*データを介在させる場合には、そのデータ形式において同様のテーブルを用いて鮮色化処理(変換)を行ってもよい。
【0180】
また、画像印刷制御装置100あるいはプリンタ1が受ける値がCMYKデータであっても良い。この場合、本発明の説明にてRGB値であるところがすべてCMYKであり、各テーブルもすべて256の4乗の値を持ち、カラープロファイル(LUT)もCMYKであるが、墨生成が不要である。
【0181】
同様に、上記(D)の変形例においては、画像印刷制御装置100の本体101よりプリンタ1へ入力された2値化データを鮮色化処理変換したが、これに限られず、上記RGBデータ→カラーマッチング→CMYKデータ→2値化データの流れのうち、どの段階で行ってもよい。また、CMYKデータの状態でプリンタ1へ入力される場合には、制御部80のCPU81において、CMYKデータどうしで対応づけた各テーブル(各モードに対応)を参照して鮮色化処理(変換)を行い、その変換後または前のCMYKデータから2値化データを自ら作成して印刷を行うようにしてもよい。
【0182】
以上の場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0183】
(F)その他
以上においては、第1領域を所定の色空間における1箇所にのみ設けたが、これに限られず、2つ以上複数箇所に設けてもよい。例えば前述の図20に示した、黒色を鮮色化目標色とする黒変換BK、赤色を鮮色化目標色とする赤変換RD、ピンクを鮮色化目標色とするピンク変換PKのうち、少なくともいずれか2つを同時に行うようにしてもよい(この場合、鮮色化目標色も複数個となり、前述した減色機能はさらに進むこととなる)。
【0184】
また、上記実施形態においては、操作者がモードを選択すると、そのモードに応じて、第1領域、第2領域、遷移色領域の位置、大きさ、及び数、並びに鮮色化目標色が自動的に決定されたが、これに限られない。すなわち、これらがすべてモード選択とともに決定されるのではなく、第1領域又は第2領域の位置、大きさ、数、鮮色化目標色、遷移色化処理の有無の少なくとも2つの組み合わせが決定されるようにし、その他については、各モードの選択結果によらず共通であるか、あるいは別途の操作によって操作者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0185】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本発明の一実施形態による画像印刷制御装置の全体概略構成を表す図である。
【図2】図1に示した装置本体の機能的構成を表すブロック図である。
【図3】図1に示した画像印刷制御装置の制御対象であるTシャツプリンタの全体構造を表す斜視図である。
【図4】図3に示したTシャツプリンタの正面図である。
【図5】図3に示したTシャツプリンタの側面図である。
【図6】図3に示したTシャツプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
【図7】プリンタ印刷後のパンフレットの一例を表す図、図7(a)中A部及びB部の拡大図である。
【図8】黒の鉛筆で書いたスケッチをスキャナで読み込み、そのまま印刷データを作ってプリンタで印刷した場合を表す説明図である。
【図9】CMYKデータで表した黒色、これをプロファイル変換後のRGBデータで表した色、通常のRGBデータでの黒色をそれぞれ対比して表した図である。
【図10】装置本体のCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図11】表示装置の画面表示例を表す図である。
【図12】ステップS20の詳細手順を表すフローチャートである。
【図13】「monitor matching」「photograph」の各モードに応じてそれぞれ用意されたRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値を表す図である。
【図14】「graphic」「vivid」の各モードに応じてそれぞれ用意されたRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値を表す図である。
【図15】補間処理による遷移色化処理の内容を概念的に説明した図であ
【図16】ステップS50の詳細手順を表すフローチャートである。
【図17】ステップS40における上記入力プロファイルによる変換処理を表すテーブルの一例を示す図である。
【図18】本実施形態の鮮色化処理を行わず印刷した印刷物の比較例と、対応する画像について鮮色化処理後に印刷した印刷物の例とを対比して表す図である。
【図19】L*a*b*データで表した色空間において、色相を固定した場合の色の変化の例を矢印で示したものである。
【図20】鮮色化目標色として他の色を設定する変形例において、赤への変換に対応するRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例を表す図である。
【図21】鮮色化目標色として他の色を設定する変形例において、鮮色化処理を行わず印刷した印刷物の比較例と、鮮色化処理を行った後に印刷した印刷物の例を対比して表す図である。
【図22】鮮色化目標色として他の色を設定する変形例において、ピンクへの変換に対応するRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例を表す図である。
【図23】第1領域が黒色の場合における遷移色領域を設けない変形例のRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例を表す図である。
【図24】上記変形例における処理の内容を概念的に説明した図である。
【図25】テーブルを操作者が作成する変形例における装置本体のCPUによる制御手順を表すフローチャートである。
【図26】図25のステップS30′の詳細手順を表すフローチャートである。
【図27】表示装置の画面表示例を表す図である。
【図28】表示装置の画面で、入力エラーがある場合を表す図である。
【図29】図26のステップS33の詳細手順を表すフローチャートである。
【図30】図29のステップS209の詳細手順を表すフローチャートである。
【図31】操作者により作成した参照用変換テーブルの一例を表す図である。
【図32】通常データを受け取った後にプリンタ側で鮮色化処理する変形例においてCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0187】
1 Tシャツプリンタ
100 画像印刷制御装置
101 装置本体
101A CPU(鮮色化処理手段、遷移色化処理手段;決定手段)
101D I/O(入力手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタを用いた画像印刷を制御する画像印刷制御装置、及び画像印刷制御方法、並びに印刷制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のカラープリンタの高画質化、低価格化等により、アプリケーションによって作成、編集されたカラー文書を非常に手軽に印刷できるようになっている。
【0003】
ところが、カラー画像の印刷においては、操作者がデータ作成を行うCRT(ディスプレイ)の色再現範囲のほうがプリンタの色再現範囲よりも広く、プリンタでは一部の色が再現できないことから、色空間の圧縮処理(=カラーマッチング処理)が行われるのが通常である。また、CRTでは色空間はRGBデータによる加色混法により表現されるのに対し、プリンタではCMYKの減色混法で表現されることが多く、複数色の混ぜ合わせ処理において微妙な差異が生じる場合がある。
【0004】
これらの事情等の結果、操作者が意図したカラー画像と、カラープリンタで印刷した画像とに差異が生じ、操作者が十分満足できるカラー印刷画像を得るのは困難であった。
【0005】
そこで従来、上記を解決すべく、例えば特許文献1に記載のように、カラープリンタにおけるプリント品質特性を制御する手法が知られている。この従来技術では、色空間(カラー)マッチング処理として、画像編集アプリケーション上に、画像データの最も明るい色と最も暗い色とを合わせる「色味優先モード」、色再現範囲がはみ出した部分のみプリンタ再現範囲の外縁にマッピングする「色差最小モード」、色再現範囲をはみ出した部分についてなるべく彩度を落とさず色空間を圧縮する「あざやかさ優先モード」を設けており、そのモード選択に基づいてこれに対応する色処理条件が設定され、その条件に基づいて色処理が行われるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−292331号公報(段落番号0018〜0183、図1〜図22)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラープリンタの印刷対象となる被印刷媒体としては種々のものがあるが、通常のオフィス文書や写真等に加え、近年、Tシャツ等の布帛にカラー印刷するものが普及しつつある。このような布帛へのカラー画像の印刷の場合には、操作者は、上記オフィス文書や写真等の場合と異なり、画像データを忠実に再現するよりも「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」画質を布帛(Tシャツ)らしい画質として好む傾向がある。
【0008】
上記従来技術では、前述したようなCRTとプリンタの色再現範囲の差異に応じて画像データを忠実に再現するように補正することについては配慮されていたが、上記のような布帛固有の画質に対するニーズには対応できなかった。
【0009】
本発明の目的は、オフィス文書や写真等と異なる布帛固有の画質に対するニーズに十分に対応できる画像印刷制御装置及び画像印刷制御方法並びに印刷制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する入力手段と、この入力手段で入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域を前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする鮮色化処理手段とを有し、前記鮮色化処理手段で処理した後の画像信号をプリンタ出力データに変換することを特徴とする。
【0011】
本願第1発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、その指示信号が入力手段より入力される。そして鮮色化処理手段が、その指示に基づき、色空間のうち少なくとも1つの第1領域をそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換し、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とする。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記鮮色化処理手段は、前記第2領域のうち前記第1領域の周辺部分に対し、当該第1領域における前記鮮色化目標色変換に対応した遷移色に変換する遷移色化処理手段を備えることを特徴とする。
【0013】
遷移色化処理手段で第2領域のうち第1領域の周辺部分を遷移色に変換することにより、単一色に変換された第1領域から第2領域側に向かって、操作者から見て違和感がなく滑らかに接続することができる。
【0014】
第3発明は、上記第2発明において、前記遷移色化処理手段は、前記色空間の前記周辺部分の色座標値に対し補間処理を行うことにより、当該周辺部分を前記遷移色に変換することを特徴とする。
【0015】
遷移色化処理手段で第2領域のうち第1領域の周辺部分の色座標値を補間処理することにより、単一色に変換された第1領域から第2領域側に向かって、操作者から見て違和感がなく滑らかに接続することができる。
【0016】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記入力手段は、前記指示信号として、操作者の希望する鮮色化処理の程度に応じた複数のモードのいずれかを選択する選択指示信号を入力し、前記鮮色化処理手段は、前記選択指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする。
【0017】
これにより、操作者が入力手段で所望のモードを選択すると、その選択に応じ第1領域又は第2領域の位置、大きさ、数、鮮色化目標色、遷移色化処理の有無の少なくとも2つの組み合わせが決定された鮮色化目標色変換が自動的に鮮色化処理手段で行われる。したがって、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をそのままこの印刷制御プログラム(=プリンタドライバ)を介しプリンタへ送るだけで所望の画質を短時間の間に得ることができ、十分に使いこなすことが可能となる。
【0018】
第5発明は、上記第4発明において、前記入力手段は、鮮色化処理を行わない非処理モードを選択可能な前記選択指示信号を入力することを特徴とする。
【0019】
これにより、布帛に対する鮮色化目標色変換を行うモードと、そのような変換を行わない通常モードとを操作者が所望に選択可能となるので、操作者の使い勝手を向上することができる。
【0020】
第6発明は、上記第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記入力手段は、前記指示信号として、少なくとも、操作者の指定した前記第1領域の位置及び大きさ情報、前記鮮色化目標色情報に係わる指示信号を入力し、前記鮮色化処理手段は、前記入力手段により指定された前記第1領域の情報に基づいて第1領域を除く前記第2領域を決定する決定手段を有し、前記指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする。
【0021】
これにより、操作者が入力手段で直接第1領域及び第2領域の位置や大きさ、あるいは鮮色化目標色等を指示すると、鮮色化処理手段によって、その指示に応じた第1領域及び第2領域が色空間に設定されるとともに、第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0022】
第7発明は、上記第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記第1領域は、L*a*b*データで表した前記色空間の表層部に位置していることを特徴とする。
【0023】
L*a*b*データで表した色空間の表層部に第1領域や第2領域が設定されるとともに、第1領域が鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0024】
第8発明は、上記第1乃至第7発明のいずれかにおいて、前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるRGBデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする。
【0025】
これにより、操作者が入力手段で鮮色化目標色を指示すると、その指示に応じ鮮色化処理手段で画像信号のRGBデータが変換され、第1及び第2領域が設定されるとともに第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0026】
第9発明は、上記第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるL*a*b*データを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする。
【0027】
これにより、操作者が入力手段で鮮色化目標色を指示すると、その指示に応じ鮮色化処理手段で画像信号のL*a*b*データが変換され、第1及び第2領域が設定されるとともに第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0028】
第10発明は、上記第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるCMYKデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする。
【0029】
これにより、操作者が入力手段で鮮色化目標色を指示すると、その指示に応じ鮮色化処理手段で画像信号のCMYKデータが変換され、第1及び第2領域が設定されるとともに第1領域がその指定した鮮色化目標色に変換され、布帛に求められる固有の画質を実現することができる。
【0030】
上記目的を達成するために、第11の発明は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを備えることを特徴とする。
【0031】
本願第11発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、その指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0032】
上記目的を達成するために、第12の発明は、画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号に基づき印刷を行う手順とを備えることを特徴とする。
【0033】
本願第12発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、その指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされ、このような処理後の画像信号に基づき画像印刷が行われる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0034】
上記目的を達成するために、第13の発明は、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを、前記プリンタに接続された制御装置に実行させる。
【0035】
本願第13発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、プリンタに接続された制御装置においてその指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0036】
また、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をそのままこの印刷制御プログラム(=プリンタドライバ)を介しプリンタへ送るだけで、所望の画質を短時間の間に得ることができる。
【0037】
上記目的を達成するために、第14の発明は、画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、この処理後の画像信号に基づいて印刷を行う手順とを、前記プリンタに実行させる。
【0038】
本願第14発明においては、操作者が画像に対し鮮色化の目標とする鮮色化目標色を指示すると、プリンタにおいてその指示に基づき色空間のうち少なくとも1つの第1領域がそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換され、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とされる。これにより、色空間の所定の領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって、鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0039】
また、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をそのままプリンタに読み込ませるだけで、プリンタの印刷制御プログラムによって自動的に所望の画質を短時間の間に得ることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、色空間の第1の領域内の複数の色は変換後はすべてその差異がなくなって鮮色化目標とされた同一の単一色となる。この結果、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0042】
図1は、本実施形態による画像印刷制御装置の全体概略構成を表す図である。
【0043】
図1において、画像印刷制御装置100は、この例では、被印刷媒体としてTシャツTS(後述の図3参照)を印刷対象とするTシャツプリンタ1(後述の図2参照)のプリンタ出力データを作成しプリンタ1に出力して印刷制御を行うものであり、装置本体101と、この装置本体101に接続された操作手段としてのマウス102及びキーボード103と、イメージスキャナ104と、表示手段としての表示装置105とを有している。
【0044】
図2は、上記装置本体101の機能的構成を表すブロック図である。
【0045】
図2において、装置本体101は、演算手段としてのCPU101Aと、本発明の画像印刷制御方法の処理手順(後述の図10参照)を実行する駆動制御用のプログラム(いわゆるプリンタドライバ)を格納したROM101Bと、各種データや演算結果を一時的に記憶するRAM101Cと、これらCPU101A及びRAM101C等と装置本体101外部の上記マウス102、キーボード103、イメージスキャナ104、表示装置105、及び前述したTシャツプリンタ1との信号の入出力を制御する入出力インターフェース(I/O)101Dとから構成されている。なお、これらの中の一部について(例えば上記表示装置105)上記入出力インターフェース(I/O)101D以外を介さずCPU101A及びRAM101等と接続されていてもよいし、別途の信号変換手段等を介して接続してもよい。
【0046】
図3は、上記画像印刷制御装置100の制御対象である上記Tシャツプリンタ(インクジェット式記録装置)1の全体構造を表す斜視図であり、図4はその正面図であり、図5はその側面図である。なお、図4における紙面に向かって手前側方向(図5における左方向)がTシャツプリンタ1の前方向であり、図5における上方向(図5における上方向)がTシャツプリンタ1の上方向となる。
【0047】
これら図3、図4、及び図5において、このTシャツプリンタ1は、底部に位置する水平部2v及びこの水平部2vの正面視両端から垂直に立ち上がる垂直部2hからなるフレーム2と、フレーム2に設けられ、Tシャツプリンタ1の内部を覆い保護するケージング3(但し煩雑を避けるため2点鎖線で図示)と、上記フレーム2の左右の垂直部2hの上部同士を連結するように水平に架設されたガイドレール4と、このガイドレール4によってその長手方向に移動方向が案内される略直方体形状のキャリッジ5と、このキャリッジ5の底面に設けられた圧電式の4つのインクジェットヘッド6と、上記ガイドレール4の左端付近に設けられたキャリッジモータ7と、ガイドレール4の右端付近に設けられたプーリ8と、ガイドレール4よりも下方の位置にてキャリッジモータ7とプーリ8との間に架設されるとともにキャリッジ5の背面に固定され、キャリッジモータ7の駆動によってガイドレール4の長手方向(図1中左右方向)に往復動するキャリッジベルト9と、上記フレーム2の水平部2vの上に設けられたプラテン駆動機構10と、Tシャツプリンタ1の左右の側面に設けられ、各インクを収容したインクカートリッジ11を着脱可能に収容するためのカートリッジ収容部12と、ガイドレール4に沿ってその右端に移動した状態のキャリッジ5に対応する位置に設けられ、各インクジェットヘッド6のノズル面に対して密着・離脱が可能な吸引キャップ13を備えたパージユニット14と、上記ケーシング3の右側上部に設けられ、Tシャツプリンタ1の操作を行うための操作パネル40とを有する。
【0048】
インクジェットヘッド6は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックからなる4色のカラーインクのそれぞれに対応して設けられており、各インクを噴射するための、例えば128個のチャンネル(図示せず)をそれぞれ備えている。そして、各チャンネルには、各々個別に駆動される圧電アクチュエータ(図示せず)が設けられており、各チャンネルに対応してインクジェットヘッド6の底面に孔設された微細な噴射ノズル(図示せず)から下向きに、インクの液滴が噴射されるように制御される。
【0049】
各カートリッジ収容部12は、インクカートリッジ11をそれぞれ2つずつ装着できるようになっている。そして、各インクカートリッジ11と、各インクジェットヘッド6とはチューブ(図示せず)によってそれぞれ接続され、各チャンネルにインクが供給されるようになっている。
【0050】
パージユニット14は、吸引ポンプ(図示せず)を備えており、各吸引キャップ13がインクジェットヘッド6に密着しているときに、吸引キャップ13を介してインクの吸引を行うことが可能となっている。また、印刷が行われないときには吸引キャップ13でインクジェットヘッド6のノズル面が覆われ、インクの乾燥が防止されている。
【0051】
プラテン駆動機構10は、水平部2vの前方及び後方においてそれぞれ垂直方向に立上がり、各頂点にて略長方形を形成する基部35,35及び基部36,36と、基部35,35及び基部36,36の上部にそれぞれ設けられたプーリ28,28及びプーリ29,29と、プーリ28及びプーリ29を一対としてそれぞれ架設された無端ベルト27,27と、それら無端ベルト27,27の上方にそれぞれ設けられたプラテン用レール26,26と、無端ベルト27,27に固定部材24を介し固定された略長方形の板状のスライド基部23と、スライド基部23から立ち上がった支柱(支持部材)21を介し支持されるプラテン20とを備えている。
【0052】
プラテン20は、この例では、TシャツTSの身頃部分(前見頃又は後見頃)に印刷を行うためのものであり、インクジェットヘッドに対向する面がインクジェットヘッド6が往復運動する経路に平行な平面となるように、略長方形の板状の形状を備えている。そして、後方のプーリ29に設けられたプラテンモータ25がプーリ29を介し無端ベルト27を駆動することにより、固定部材24、スライド基部23、及び支柱21を介し、プラテン20がプラテン用レール26に沿ってTシャツプリンタ1の前後方向(図1の紙面に垂直方向)に往復動するようになっている。ここで、前述のように、インクジェットヘッド6はキャリッジ5に搭載されてキャリッジモータ7の駆動によりガイドレール4に沿ってTシャツプリンタ1の左右方向(図1中における左右方向)に往復移動する。この結果、印刷が行われる際には、これら前後方向に移動するプラテン20と左右方向に移動するインクジェットヘッド6により、TシャツTSに対してインクジェットヘッドを相対的に前後左右に自在に移動させ、所望の位置に所望の印刷を行えるようになっている。
【0053】
図6は、上記Tシャツプリンタ1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0054】
図6において、Tシャツプリンタ1は、その電気的制御に係る構成として、前述の操作パネル40のほかに、制御部80を備えている。
【0055】
制御部80は、Tシャツプリンタ1全体の制御を司るCPU81と、CPU81が実行する各種の制御プログラム等を記憶したROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、インクジェットヘッド6の各チャンネルに設けられた上記圧電アクチュエータを駆動させるためのヘッド駆動部84と、キャリッジモータ7やプラテンモータ25を駆動させるためのモータ駆動部85と、操作パネル40に設けられているディスプレイ41やランプ42の表示制御を行う表示制御部87と、操作パネルに設けられている種々のボタン43の入力を受け付ける入力検知部88と、操作パネルに設けられているスピーカー44の音声出力を制御する音声制御部89と、Tシャツプリンタ1の上位装置としての前述の本実施形態による画像印刷制御装置100の装置本体101に接続するための通信制御部90とを有しており、それぞれがバス86を介して接続されている。
【0056】
本実施形態の要部は、以上のような構成のTシャツプリンタ1で印刷対象のTシャツTSの表側に所定の画像(元画像)の印刷を行う際に、操作者の指示に応じて画像に係わる色空間のうち少なくとも1つの領域(第1領域)を各領域ごとにそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換し、かつ色空間のうち第1領域以外の領域(第2領域)に対して鮮色化目標色変換を行わない領域とする(=鮮色化処理)ことで、Tシャツ等の布帛への画像印刷時に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することである。以下、その内容を詳細に説明する。
【0057】
(1)本発明の原理及びその背景
(1−1)好ましい画質が得られない背景
被印刷媒体が布帛(例えばTシャツ等)の場合、操作者が求める画質はオフィスプリンタや写真プリンタとは異なり、画像データを忠実に再現することよりも、「鮮やかな」「元気の良い」「プラスチゾルインク等による特色を再現した」画質をTシャツらしい画質として好む傾向がある。
【0058】
しかしながら、デジタル印刷に精通していない通常の操作者が、元画像となる絵をスキャナやデジカメの電子データから取り込み、そのまま(あるいは「明るさ調整」「色合い調整」程度の簡単な画質調整操作を行い)プリンタドライバで印刷データを作り、プリンタで印刷しても上記のような本来得たい鮮やかな画質はなかなか得られない。
【0059】
(1−2)スキャナ読み込みによる不具合
上記のような画質の不具合が起こる一例として、まず、印刷物や鉛筆、水彩画などの手書きのスケッチをスキャナで読み込んだ場合に起こり得る例を説明する。
【0060】
例えば、イメージスキャナで紙の印刷物(パンフレット等)を読み込み、そのまま印刷データを作ってプリンタで印刷したとすると、スキャナの読み込み特性によって、紙において黒く見えていた文字が、プリンタ印刷後の印刷物には少しずつではあるが色みがつき、明度が上がる傾向となる。
【0061】
図7(a)は、上記プリンタ印刷後のパンフレットの一例を表す図であり、図7(b)及び図7(c)は、図7(a)中A部及びB部の拡大図である。
【0062】
これら図7(a)〜(c)において、「ColorSymphony」の大きい黒文字(図7(b)参照)も「効率…」の小さい黒文字(図7(c)参照)も、もともとは視覚的にはほぼ真っ黒であった部分である。印刷後は、図7(b)に示すように「ColorSymphony」は比較的黒いデータ(文字線の中心線付近RGB=0、輪郭付近R=9,G=11,B=15)になるが、「効率…」はより淡い(明るい)黒色になっている。全体にこれ以外の中間の色(薄いラベンダー色等)も同様に変化しているが、特に、一番暗い色である黒が元画のイメージどおり暗く(黒く)ないと、画像が引き締まって見える「鮮やかな」「元気の良い」画像にはならず、メリハリのないいわゆる眠い画像となる。
【0063】
また例えば、鉛筆や色鉛筆のスケッチは紙の色やスキャナの特性の影響を受けるため、上記のような印刷物よりも更に色が淡くなりやすい。図8は黒の鉛筆で書いた猫の後ろ姿のスケッチをそのままイメージスキャナで読み込み、そのまま印刷データを作ってプリンタで印刷した場合の例であり、そのままではTシャツとしては明らかに迫力不足の絵となる。
【0064】
(1−3)色空間の違いによる不具合
操作者が画像データを表示させて認識する(あるいは簡単な編集を行う)CRT(ディスプレイ)では、色空間はRGBデータによる加色混法により表現される。これに対し、プリンタは通常は、CMYKの減色混法で表現される。このような色空間の表現の差により、複数色の混ぜ合わせ処理において微妙な差異が生じる場合がある。また、上記の色空間の差に由来して、CRTの色再現範囲のほうがプリンタの色再現範囲よりも広く、プリンタでは一部の色が再現できないことから、カラープロファイル(LUT=lookup table)を利用して色空間の圧縮処理(=カラーマッチング処理)が行われるのが通常である。これらの事情等の結果、操作者が意図したカラー画像と、カラープリンタで印刷した画像とに差異が生じ得る。
【0065】
例えば、CMYKデータにおいて、黒色をCMY=0%、K=100%で作成する(図9(a)参照)。ところが、この色を一般的なプロファイルにて変換するとRGBデータでは例えばR=55
G=53 B=54となる(図9(b)参照)。通常RGBデータで黒色とはRGB=0(光がない状態;図9(c)参照)であるから、それに比べると、かなり明るく(黒というより赤っぽいチャコールグレー)なる。これは前述した事情を配慮したアプリケーションやプロファイル等の処理機能に起因するものである。この結果、プリンタの印刷で再現される色は、黒色がRGB値の通りの赤っぽいチャコールグレーとなって、画像全体にしまりのない眠い画像になる。
【0066】
(2)本発明の原理
上記に鑑み、本実施形態では、印刷データを作成する際に、所定の変換テーブルに従って元々のカラー入力値(RGB値)を、印刷後に鮮やかな色に改善されるように変換処理する。具体的には、通常のカラーマッチングが、異なる色域の間で最大限の色再現を実現できるように行うのと逆に、RGBカラー空間において、例えば、R=10 G=14 B=19とかR=27 G=19 B=26などの「中途半端な黒色」をすべて「RGB=0」の最大黒(単一の目標色)にする(=鮮色化処理)。
【0067】
(3)本実施形態の画像印刷制御の詳細
以下、上記本発明の原理に基づく、本実施形態の画像印刷制御装置100における画像印刷制御の具体的な態様をさらに詳細に説明する。一例として、本画像印刷制御装置100は、入力値としてRGB値を取るものとする。
【0068】
図10は、上記画像印刷制御装置100に備えられた装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートである。
【0069】
図10において、まずステップS10において、TシャツTSに印刷したい画像信号のRGB値を取り込む。この画像信号のデータは、別途ハードディスク(図示せず)等の記録媒体に保存されたものを操作者によるキーボード103またはマウス102等の操作入力に応じて取り込むようにしてもよいし、あるいはインターネット等の通信手段を介して取り込んでもよいし、上記スキャナ104を利用して読み込んでもよいし、さらにはデジタルカメラ等の外部機器の画像を利用してもよい。
【0070】
その後、ステップS20において、予め鮮色化処理のために用意された複数の処理態様のモード(後述)を操作者が選択できるように表示する。具体的には、そのような画面を表示させるための表示信号を生成して表示装置105へ出力し、表示装置105の表示画面に、それらモード選択画面を表示させる。
【0071】
図11は、このときの表示装置105の画面表示例を表す図である。図11において、この例では、モード選択画面110の左側には、鮮色化処理を行わない「monitor matching」モード選択ボタン110aと、通常の写真処理に対応し比較的緩やかな(鮮やか度が低い)鮮色化処理を行う「photograph」モード選択ボタン110bと、グラフィック作業に対応し中程度の鮮色化処理(鮮やか度が中程度)を行う「graphic」モード選択ボタン110cと、最も強烈な(鮮やか度が高い)鮮色化処理を行う「vivid」モード選択ボタン110dとが設けられている。なお、これら「monitor
matching」→「photograph」→「graphic」→「vivid」のように用途表示によるモード分けとせず、他の分け方、例えば、「original」→「soft」→「clear」→「vivid」→「strong」→「heavy」のような鮮色化処理の程度そのものを表す表現によるモード分けでもよい。また、数字を用いることで鮮色化処理の程度の強弱を示しても良い。
【0072】
またモード選択画面110の右下部には、「OK」ボタン110e及び「CANCEL」ボタン110fが設けられている。
【0073】
図10に戻り、上記S20が終了すると、ステップS30に移り、各モードに対応した鮮色化処理、すなわちRGB値の変換を行うために、変換にあたって参照すべく予め設定記憶されているテーブルを決定する。
【0074】
図12は、このステップS20の参照テーブル決定の詳細手順を表すフローチャートである。
【0075】
図12において、まず、ステップS31で、前述の図11に示した画面110において操作者により「monitor matching」モードが選択されたかどうか(「monitor matching」モード選択ボタン110a選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS32に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル1(後述の図13参照)に決定する。ステップS31の判定が満たされなければステップS33に移る。
【0076】
ステップS33では、上記同様、操作者が「photograph」モードを選択したかどうか(「photograph」モード選択ボタン110b選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS34に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル2(後述の図13参照)に決定する。ステップS33の判定が満たされなければステップS35に移る。
【0077】
ステップS35では、上記同様、操作者が「graphic」モードを選択したかどうか(「graphic」モード選択ボタン110c選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS36に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル3(後述の図14参照)に決定する。ステップS35の判定が満たされなければステップS37に移る。
【0078】
ステップS37では、上記同様、操作者が「vivid」モードを選択したかどうか(「vivid」モード選択ボタン110d選択後、「OK」ボタン110eが操作されたかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS38に移って、参照するRGB値変換用テーブルをテーブル4(後述の図14参照)に決定する。ステップS37の判定が満たされなければステップS31に戻って上記同様の手順を繰り返す。
【0079】
上記ステップS32、ステップS34、ステップS36、ステップS38が終了したら、ステップS39に移り、操作者が一度決定したモード選択のキャンセル操作をしたかどうか(その後「CANCEL」ボタン110fを操作したかどうか)が判定される。判定が満たされたらステップS31に戻って上記同様の手順を繰り返す。判定が満たされなければこのルーチンを終了し、図10のステップS40へ移る。ステップS40では、上記ステップS31〜ステップS39において決定されたテーブル1〜4のいずれかを参照して、ステップS10で入力したRGB値の変換を行う。
【0080】
図13(a)、図13(b)、図14(a)、図14(b)は、上記「monitor
matching」「photograph」「graphic」「vivid」の各モードに応じてそれぞれ用意された、前述のRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値を表す図である。
【0081】
各テーブルにおいて、図示のように、0〜255までの256階調で表されるR値、G値、B値のすべての組み合わせ(2563通りの色座標値)について、2563通りの減算値がそれぞれ一対一に対応づけられて用意されており、元の画像信号のRGB値(改善前RGB入力値;ステップS10で読み込んだ値)から、当該減算値を減じることにより変換を行い、改善(変換)後のRGB値が算出されるようになっている。黒や白、赤、という鮮色化目標色は、RGB値の少なくともひとつが255かまたは0である値を含む、0から255までの整数値を取るものとし、上記第1領域内に存在する。
【0082】
図13(a)に示す「monitor matching」モードは、鮮色化処理を行わないモードであり、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせについて、RGB減算値はすべて(0,0,0)となり、ステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とするようになっている(言い換えれば無変換)。
【0083】
図13(b)に示す「photograph」モードは、前述したように、比較的緩やかな鮮色化処理を行うモードである。
【0084】
すなわち、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的小さい部分(R=0〜12、G=0〜14、B=0〜19;以下、RGB色座標値(0,0,0)〜(12,14,19)と表す;比較的黒に近い領域=第1領域)については、各入力RGB値と全く同一の減算値を減じることによって、変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、鮮色化目標色である最大黒への単色化を行う。
【0085】
そして、上記2563通りのRGB値の組み合わせのうち、上記第1領域以外の部分(RGB色座標値(13,14,19)〜(255,255,255))は、上記鮮色化処理を行わない第2領域とする。そのうち色空間にてRGB値が比較的大きく明るい領域(RGB色座標値(35,38,34)〜(255,255,255)についてはRGB減算値をすべて(0,0,0)としてステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域とする一方、上記第1領域に近い周辺部分(RGB色座標値(13,14,19)〜(35,37,34))は、上記第1領域に対応し、上記原データ領域と上記第1領域とを視覚的に滑らかに補間することで遷移色領域を形成している。
【0086】
図14(a)に示す「graphic」モードは、前述したように、中程度の鮮色化処理を行うモードである。上記同様、RGB値が比較的小さい第1領域(RGB色座標値(0,0,0)〜(55,52,54);但し上記「photograph」モードよりも明るくなる側に広い)については変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、RGB値が比較的大きく明るい原データ領域(RGB色座標値(70,72,71)〜(255,255,255);但し上記「photograph」モードよりも暗くなる側が狭い)については入力RGB値をそのまま変換後のRGB値とし、上記第1領域と原データ領域とを接続する周辺部分(RGB色座標値(56,53,54)〜(70,71,71))は、第1領域と第2領域の色空間を滑らかに補間することで遷移色領域を形成している。
【0087】
図14(b)に示す「vivid」モードは、前述したように、最も鮮烈な鮮色化処理を行うモードである。上記同様、RGB値が相対的に小さい第1領域(RGB色座標値(0,0,0)〜(71,72,71);さらに上記「graphic」モードよりも明るくなる側に広い)については変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、RGB値が相対的に大きく明るい原データ領域(RGB色座標値(89,89,91)〜(255,255,255);さらに上記「graphic」モードよりも暗くなる側が狭い)については入力RGB値をそのまま変換後のRGB値とし、上記第1領域と原データ領域とを接続する周辺部分(RGB色座標値(72,72,71)〜(89,88,91))は、第1領域と第2領域の色空間を滑らかに補間することで遷移色領域を形成している。
【0088】
なお、上記「photograph」「graphic」「vivid」の3モードのいずれにおいても、上記第1領域はRGB色座標値(0,0,0)を含む相対的に黒に近い領域であり、装置に依存しない国際標準機関CIEが規定するL*a*b*データで表した色空間では、その表層部に位置している。
【0089】
また、図13及び図14に示したように必ずしも2563通りのすべての色座標値について減算値を設ける必要はなく、改善される(実質的に変換される)第1領域及び遷移色領域についてのみテーブルを備え、減算値を設定するようにしてもよい。また、テーブルは外部より適宜のネットワーク等を介して適宜読み込むようにしてもよい。さらに、テーブルの形ではなく、何らかの変換式の形で設定し記憶保持しておいてもよい。さらに、色座標値と減算値を設けたテーブルとするのではなく、入力されたRGB色座標値と出力RGB色座標値とを設けてもよい。
【0090】
図15(a)及び図15(b)は、上記補間により形成される遷移色化処理の内容を概念的に説明した図であり、横軸に変換前の鮮色化目標値からの距離を、縦軸に変換後の鮮色化目標値からの距離をとって表したものである。
【0091】
図15(a)中に破線で示すように、鮮色化処理を行わない場合は、変換前のRGB入力値と変換後のRGB値が同一となり、図上、原点より右上がりの(傾き1の)直線として表すことができる。
【0092】
一方、鮮色化処理を行った場合は、前述したように、変換後のRGB値がすべて0とされる第1領域、変換前の鮮色化目標値からの距離をそのまま変換後の鮮色化目標値からの距離とする原データ領域とが存在し、これら第1領域と第2領域との間を直線的に滑らかにつなぐように、遷移色領域が設定される。
【0093】
そして、図15(b)に示すように、「photograph」モード、「graphic」モード、「vivid」モードの順に、第1領域が広くなる(図中右側に伸びる)とともに、原データ領域が狭くなる(図中左側から縮小される)ようになっており、これに対応して、両者を接続する遷移色領域の色域が変化している。なお遷移色領域における直線の傾きは、この例では、「photograph」モード、「graphic」モード、「vivid」モードの順に大きくなっているが、これに限られず、すべて同一でもよいし、2つのみが同一で他が異なる値等でもよく、視覚的にどのように接続するかに応じて予め適宜に設定しておけばよい。
【0094】
また遷移色化処理は、以上のような補間処理に限られるものでもなく、操作者の人間からみて違和感がなく滑らかに第1領域と原データ領域とを接続できるのであれば、他の手法でもよい。適宜の演算にて線形、非線形の補間や近傍RGB値による体積補間、平滑化処理等を行ってもよい。また演算処理にも限られず、別途実際に上記のような態様で印刷した印刷物のスキャン結果よりRGB値を直接代入する手法等でもよい。
【0095】
図10に戻り、ステップS30における以上のRGB値変換の際に参照するテーブルを決定する処理が終了したら、ステップS40に移る。
【0096】
ステップS40では、操作者から印刷実行指示(キーボード103またはマウス102等で入力された指示信号)が上記I/O101Dを介して取り込まれたかどうかを判定する。判定が満たされたら、ステップS50に移る。
【0097】
ステップS50では、上記ステップS30において決定されたテーブルに基づき、プリンタを実際に印刷制御するための印刷データの作成を行う。
【0098】
図16は、このステップS50の詳細手順を表すフローチャートである。
【0099】
図16において、まず、ステップS51において、前記ステップS30で決定されたRGB値変換用テーブルを持いて、RGB値を変換する。その後、ステップS52において、プリンタ1に対応するカラープロファイル(LUT)を参照してカラーマッチングを行う。すなわち、入力されたRGB値データをプリンタ側の色域にあわせたRGB値に変換するためである。このカラープロファイル(LUT)は、予めプリンタ1側(例えば制御部80内)又は装置本体101側に用意されている。
【0100】
その後、ステップS53において、上記ステップS51、ならびにステップS52において変換されたRGB値データをCMYK値データに変換する(墨生成)。
【0101】
図17は、この墨生成手順におけるRGB→CMYK変換処理を表すテーブルの一例を示している。図17において、前述したように、加色混法によるRGBデータを、減色混法によるCMYKデータとするために、RGB色空間における2563通りの座標値(=表中最上段の(0,0,0)から最下段の(255,255,255)まで)それぞれについて、CMYK色空間における同数の座標値(=表中最上段の(0,0,0,100)から最下段の(0,0,0,0)まで)に連続的に変換するように、テーブルが設定されている。ステップS62では、この変換テーブルを参照して、各RGBデータを対応するCMYKデータに変換する。なお、この墨生成のテーブルと、前記ステップS52で参照されたカラープロファイル(LUT)を一体化して、ステップS52とステップS53を一度に行ってもよい。
【0102】
図16に戻り、上記ステップS53が終了した後は、ステップS54に移り、ステップS53にて生成したCMYKデータについて、実際にプリンタ1の上記インクジェットヘッド6において対応する色を実現するために、疑似諧調化処理(2値化処理)を行う。すなわち、各CMYKデータが、インク液滴噴射用の多数(前述の例では128個)の上記噴射ノズルをそれぞれ開閉する圧電アクチュエータの駆動制御信号(最終的なプリンタ出力データ)へと変換される。なお、この処理自体は公知の手法で足りるので、詳細な説明を省略する。
【0103】
ステップS54が終了したら、このルーチンを終了し、図10のステップS60へ移る。
【0104】
図10に戻り、ステップS60では、上記ステップS50で作成した印刷データをI/O101Dを介しTシャツプリンタ1の通信制御部90へ転送し、このフローを終了する。
【0105】
Tシャツプリンタ1では、上記転送された印刷データを通信制御部90よりRAM83に格納する。そして、操作者が印刷対象のTシャツTSをプラテン20に表向きにしてセットした後、操作パネル40の適宜の手段(例えば印刷開始ボタン)を操作することにより、上記RAM83に格納された印刷データに基づき、CPU81がヘッド駆動部84及びモータ駆動部85を介してインクジェットヘッド6の圧電アクチュエータやキャリッジモータ7及びプラテンモータ25を駆動制御し、印刷を行う。
【0106】
以上において、画像印刷制御装置本体101のI/O101Dが、各請求項記載の、画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する入力手段を構成する。
【0107】
また、図10に示したCPU101Aが実行するフローのステップS30、ステップS50、図16に示したステップS51が、入力手段で入力した操作者の指示信号に基づき、画像信号に係わる色空間のうち第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の鮮色化目標色に変換するとともに、色空間のうち第1領域以外の領域に対して鮮色化目標色変換を行わない領域とする鮮色化処理手段に相当する。そのうち、ステップS51において図13(b)並びに図14(a)(b)に示すテーブル2〜4を参照し第1領域と原データ領域との間に遷移色領域を形作るように変換を行うことが、第2領域のうち第1領域の周辺部分に対し、第1領域における鮮色化目標色変換に対応した遷移色に変換する遷移色化処理手段に相当する。
【0108】
以上説明したように、本実施形態の画像印刷制御装置100においては、操作者が図11に示す画面110で鮮色化に関するモードを選択指示すると、その選択されたモードに基づいた変換テーブルが図13及び図14のテーブル1〜4の中から選択され、それに沿ってもとの画像に係るRGB値データの変換が行われる。この変換では、RGB色空間のうち比較的黒い第1領域をそれぞれ単一の最大黒(RGB値(0,0,0))に変換し、残りの第2領域についてはその変換を行わない領域とする。そしてこの変換後のRGB値に基づき印刷データが作成され、プリンタ1にて印刷が行われる。このように、RGB色空間の第1領域内の複数の色はもともとは互いに異なる色であっても、変換後はすべてその差異がなくなって中途半端な黒もすべて同一の最大黒となるので、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質を実現することができる。
【0109】
図7(a)中の文字部分である図18は、このような本実施形態の効果を説明するための説明図である。
【0110】
図7及び図18(a)は、上記した本実施形態の鮮色化処理を行わずそのままプリンタ1で印刷した印刷物の一例(比較例)を表す図であり、図18(b)は対応する画像について(例えば「vivid」モードで)鮮色化処理を行った後にプリンタ1で印刷した印刷物の一例を表す図である。
【0111】
図18(b)に示す絵柄は、図7及び図18(a)と比べて、黒い部分はより黒く、全体として画像が引き締まり、メリハリの利いたくっきり鮮やかな濃い色の印刷結果が得られていることがわかる。
【0112】
また、本実施形態の画像印刷制御装置100においては、前述したように、第 2領域のうち第1領域の周辺部分を遷移色領域に変換することにより、単一色に変換された第1領域と第2領域との境界付近で色がステップ状に急激に変わることによる疑似輪郭(色飛び)の発生を防止し、第1領域から原データ領域に向かって、人間の目で違和感がなく滑らかに接続することができる。
【0113】
さらに、操作者が上記のように所望のモードを選択するだけで、その選択に応じたRGB値の変換(鮮色化処理)が自動的に行われる。したがって、自ら画像編集アプリケーションを用いて画像データをプリンタ用に微調整することのできない通常の操作者(デジタル印刷に慣れていない操作者)であっても、例えば紙の絵からスキャナで取り込んだ画像やデジカメの電子データによる画像をモード選択するだけで所望の画質を短時間の間に得ることができ、十分に使いこなすことが可能となる。
【0114】
さらに、図11に示す画面110において、鮮色化処理を行わない非処理モードに相当する「monitor
matching」モードを選択可能であることにより、鮮色化目標色変換を行うモードと、そのような変換を行わないモードとを操作者が所望に選択可能となるので、操作者の使い勝手を向上することができる。
【0115】
また、複数個の変換後(改善後)RGBデータから、1つの墨生成テーブル(RGB→CMYK)を参照するので、どのような鮮色化処理を行ってもそれ以降の処理を簡素化できる効果もある。
【0116】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0117】
(A)鮮色化目標色として他の色を設定する場合
上記実施形態では、鮮色化目標色としてRGB最大黒(0,0,0)を設定して第1の領域をすべてこれに単色化したが、これに限られず、他の色でもよい。例えば、黄色よりの弱いオレンジを赤みの強いオレンジに換えたり、くすんだ赤を鮮やかな赤にしたりすることにより、黒色と同様に濃くて鮮やかな発色を得ることができる。
【0118】
図19では、国際標準機関CIEが規定するL*a*b*データで表した色空間において、色相を固定した場合の色の変化の例を矢印で示したものである。例えば、BKに示すあいまいな黒のくっきりとした黒への変換は、前述の上記実施形態に相当する。それ以外にも、例えば、あいまいな赤をよりくっきりとした赤へ変換する変換RDや、灰ピンクの彩度を増しピンクへ変換する変換PK等が考えられ、いずれの場合も矢印で示すように色を変化させる(所定大きさの第1領域内の各色をすべて鮮色化目標色へ単色化する)ことで、画像全体がよりくっきりと鮮やかなものになる。
【0119】
図20は、上記赤への変換RDに対応する上記RGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例(この例では上記「photograph」モードにおけるテーブル2Rの例)を表す図であり、前述の図13(b)に対応するものである。
【0120】
図20において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的赤に近い領域(RGB色座標値(255,0,0)〜(248,15,15))を第1領域として変換後のRGB値をすべて(255,0,0)とし、鮮色化目標色である赤への単色化を行う。そして、上記2563通りのRGB値の組み合わせのうち、上記第1領域以外の部分は上記鮮色化処理を行わない第2領域とする。そのうち色空間にてRGB色座標値(239,15,15)〜(255,255,255)で表される領域についてはRGB減算値をすべて(0,0,0)としてステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域とする一方、上記第1領域に近い周辺部分(RGB色座標値(247,15,15)〜(240,15,15)ほか)は、補間処理によって上記原データ領域と上記第1領域とを視覚的に滑らかにつなぐようにした遷移色領域としている。
【0121】
図21(a)は、上記した本変形例の鮮色化処理を行わずそのままプリンタ1で印刷した印刷物の一例(比較例)を表す図であり、図21(b)は対応する画像について(上記「photograph」モードで)鮮色化処理を行った後にプリンタ1で印刷した印刷物の一例を表す図である。図21(b)に示す絵柄は、図21(a)と比べて、赤い部分はより赤く、全体として画像が引き締まり、メリハリの利いたくっきり鮮やかな濃い色の印刷結果が得られていることがわかる。
【0122】
一方、図22は、図19に示した上記ピンクへの変換PKに対応する上記RGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例(この例では上記「photograph」モードにおけるテーブルPの例)を表す図であり、前述の図13(b)に対応するものである。
【0123】
図22において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的ピンクに近い領域(RGB色座標値(255,206,206)〜(238,218,218))を第1領域として変換後のRGB値をすべて(255,206,206)とし、鮮色化目標色であるピンクへの単色化を行う。そして、上記2563通りのRGB値の組み合わせのうち、上記第1領域以外の部分は上記鮮色化処理を行わない第2領域とする。そのうち色空間にてRGB色座標値(229,218,218)〜(255,255,255)で表される領域についてはRGB減算値をすべて(0,0,0)としてステップS10で入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域とする一方、上記第1領域に近い周辺部分(RGB色座標値(237,218,218)〜(230,218,218)ほか)は、補間処理によって上記原データ領域と上記第1領域とを視覚的に滑らかにつなぐようにした遷移色領域としている。
【0124】
この例においても、ピンクの部分の灰色傾向が薄れてよりくっきりとピンク色となり、全体として画像が引き締まりメリハリの利いた鮮やかな濃い色の印刷結果を得ることができる。
【0125】
(B)遷移色領域を設けない場合
前述のように、上記実施形態においては、第2領域のうち、最大黒RGB値(0,0,0)で単色化統一された第1領域の周辺部分を遷移色領域に変換し、これによって、第1領域と第2領域との境界付近で色がステップ状に急激に変わることによる疑似輪郭(色飛び)の発生を防止した。しかしながら、そのような疑似輪郭の発生を問題としなくてもよい場合(発生しても許容される場合)や、あるいは、第1領域が黒色の場合このような色飛びが発生しても人間の目では事実上それが見えないため、遷移色領域を必ずしも設ける必要はない。
【0126】
図23は、上記第1領域が黒色の場合における遷移色領域を設けない変形例の上記RGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例(この例では上記「photograph」モードにおけるテーブル2′の例)を表す図であり、前述の図13(b)に対応するものである。
【0127】
図23において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、RGB値が比較的小さく黒に近い第1領域(RGB色座標値(0,0,0)〜(12,14,19))については、各入力RGB値と全く同一の減算値を減じることによって、変換後のRGB値をすべて(0,0,0)とし、鮮色化目標色である最大黒への単色化を行う。そして、上記第1領域以外の第2領域(RGB色座標値(13,14,19)〜(255,255,255)ほか)はRGB減算値をすべて(0,0,0)として、入力したRGB値をそのまま変換後のRGB値とする原データ領域としている。
【0128】
図24は、この変形例における処理の内容を概念的に説明した図であり、前述の図15に対応する図である。図24において、変換後の鮮色化目標値である第1領域の終端部(図中右端)と、第2領域の開始位置である原データ領域の始端部(図中左下端)との間は距離があり、不連続である。
【0129】
上記図23及び図24に示されるように、この場合、第1領域と第2領域との境界であるRGB色座標値(12,14,19)から変換されたRGB値(0,0,0)は、処理が不可欠な場合と比べ(例えば図13に示すようにRGB色座標値(35,37,32)から変換されたRGB値(0,0,0)の場合)、両者の間に大きな差が生じないため、色がステップ状に急激に変わることで疑似輪郭(色飛び)が発生する可能性が低い。更に、黒色の場合このような色飛びが発生しても人間の目では事実上それが見えないため、遷移色領域を必ずしも設ける必要はない。
【0130】
(C)テーブルを操作者が作成する場合
以上においては、操作者がモード選択を行い、その選択に応じて参照テーブルが決定されていたが、これに限らず、多少の簡単な編集操作ならできるという操作者の場合(あるいは本発明の上記実施形態による鮮色化変換処理に習熟してきた操作者の場合)には、RGB値の変換のためのテーブルを操作者自ら作成する(言い換えれば、第1領域の位置及び大きさ、鮮色化目標色等を指定する)ようしてもよい。
【0131】
図25は、そのような変形例における、装置本体101のCPU101Aが実行する、制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図10に相当する図である。図10と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
【0132】
図25において、ステップS10において、TシャツTSに印刷したい画像信号のRGB値を取り込んだ後、ステップS30に代えて新たに設けたステップS30′に移り、操作者の入力による参照テーブル作成処理を行う。
【0133】
図26は、このステップS30′の詳細手順を表すフローチャートである。
【0134】
図26において、まずステップS31で、予め操作者による鮮色化処理用変換テーブル作成のために用意された操作者用テーブル作成画面(第1領域指定画面)を表示する。具体的には、そのような画面を表示させるための表示信号を生成して表示装置105へ出力し、表示装置105の表示画面に、それらモード選択画面を表示させる。
【0135】
図27は、このときの表示装置105の画面表示例を表す図である。図27において、この例では、テーブル作成画面120の左側には、単一化される第1の領域範囲をR値、G値、B値ごとにそれぞれ設定するためのR値範囲設定領域120a,120b、G値範囲設定領域120c,120d、B値範囲設定領域120e,120fと、それら単一化されるときの鮮色化目標色のRGB値を設定するための目標色R値設定領域120g、目標色G値設定領域120h、目標色B値設定領域120iとが設けられている。
【0136】
また画面120の右下部には、「OK」ボタン120j及び「CANCEL」ボタン120kが設けられている。
【0137】
図26に戻り、上記ステップS31が終了すると、ステップS36に移って、上記画面120において「CANCEL」120kが操作されたかどうかを判定し、操作されていなければ、ステップS32に移って、上記画面120においてテーブル作成(=第1領域範囲指定入力)が正しく終了したかどうかを判定する。もし、目標色R値設定領域120g、目標色G値設定領域120h、目標色B値設定領域120iがそれぞれR値範囲設定領域120a,120b、G値範囲設定領域120c,120d、B値範囲設定領域120e,120fの範囲内に正しく入っていなければ、ステップS35へ移る。ステップS35では、エラー表示と再入力を促す画面121(a)、(b)が表示される。
【0138】
図28は、上記画面121(a),(b)の一例を表す図である。図28の画面121(a)は、鮮色化目的色が上記第1領域にない場合である。図28の画面121(b)は、鮮色化目的色の値が正しくない。すなわち、RGB値の少なくともひとつが255かまたは0である値を含む、0から255までの整数値を取るものでなければならない。画面121(a)、(b)上の「OK」ボタン121jが操作されると、ステップS31に戻り、再度正しい値が入力された後、再度ステップS32で上記画面120においてテーブル作成(=第1領域範囲指定入力)が正しく終了したかどうかを判定する。画面120の各領域120a〜iによる設定が正しく終了し「OK」ボタン120jが操作されるとこの判定が満たされ、ステップS33に移る。
【0139】
ステップS33では、上記画面120による第1領域の範囲設定に基づき、対応する第2領域及び遷移色領域を自動的に設定し、テーブルを作成する。
【0140】
図29は、このステップS33の詳細手順を表すフローチャートである。
【0141】
図29において、まずステップS209において、RAM101Cに保存されている設定値から、テーブルを作成するために必要なR値を求める。図30はこのステップ209以下の詳細を表すフローチャートである。
【0142】
図30ではまず、ステップS201において、RAM101Cに保存されている、画面120のR値に係わる領域120a,120bの設定値のうち大きなほうの値をR、小さなほうの値をR′とし、鮮色化目的色のR値である目標色R値設定領域120gをRgoalとする。この場合、R=Rgoalであれば、より明るい色へ鮮色化することであり、R′=Rgoalであれば、より暗くて濃い色へ鮮色化することであり、R>Rgoal>R′であれば、中心の色へ鮮色化すること(例えば、薄い赤、暗い赤を真っ赤にする場合)である。また、それぞれ差し引いた差R−Rgoal、R′−Rgoalを、第1領域R値設定範囲RrangeとR′rangeとする。すなわち、第1領域R値設定範囲が正の値であればより暗い方向へ鮮色化し、負の値であればより明るい方向へ鮮色化することになる。その後、ステップS202に移る。
【0143】
ステップS202では、上記のR値から遷移色領域の範囲を決定する。すなわち、RからRgoalまでの距離をn倍に伸ばした遷移色領域のR値をRfix=R+Rrange*n、R´からRgoalまでの距離をn倍伸ばした遷移色領域のR値をR´fix=R´−R´range*nを得る。本説明ではn=1とする。ここで、RからRfixまでとR´からR´fixまでの範囲をあわせた部分が、第2領域の原データ領域を表す。その後、ステップS203に移る。
【0144】
ステップS203では、Rfixの値を補正する。すなわち、R値が取りうるのは0から255までであるから、Rfix>255であるとき、ステップS204へ移行し、Rfix=255とする。その後、ステップ205に移る。
【0145】
ステップS205では、R´fixの値を補正する。すなわち、R値が取りうるのは0から255までであるから、R´fix<0であるとき、ステップS206へ移行し、R´fix=0とする。その後ステップS207に移る。
【0146】
ステップS207では、R、R′、Rrange、R′range、Rfix、R´fixの各値を装置本体101のRAM101Cに格納する。こうしてR値について第1領域、遷移色領域の設定及び第2領域(原データ領域)の範囲設定が終了する。その後、図29のS209に戻る。
【0147】
その後、S219では、R値と同様に、G値のG、G′、Grange、G′range、Gfix、G´fixの各値を決定するステップS219に移り、個々の値を決定して装置本体101のRAM101Cに格納する(図示せず)。こうしてG値について第1領域、遷移色領域の設定及び第2領域(原データ領域)の範囲設定が終了する。その後、ステップS229に移る。
【0148】
その後、ステップS229では、R値、G値と同様に、B値のB、B′、Brange、B′range、Bfix、B´fixの各値を決定して装置本体101のRAM101Cに格納する(図示せず)。こうしてB値について第1領域、遷移色領域の設定及び第2領域(原データ領域)の範囲設定が終了する。その後、ステップS240に移る。
【0149】
ステップS240では、装置本体101のRAM101Cに格納されている各値から、第1領域に含まれるすべてのRGB値を決定する。第1領域のR値はR´からR、G値はG´からG、B値はB´からBであるから、このR値G値B値の組み合わせで第1領域に含まれるすべてのRGB値が決定する。この第1領域のすべてのRGB値の組み合わせを求める。
【0150】
次にステップS241では、装置本体101のRAM101Cに格納されている各値から、第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値を決定する。R値は最小値0からR´までとRから最大値255までの値であり、G値は最小値0からG´までとGから最大値255までの値であり、B値は最小値0からB´までとBから最大値255までの値であるから、このR値G値B値の組み合わせで第2領域うち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値が決定する。
【0151】
次に、ステップS242では、すべてのRGB値、すなわち2563通りのすべてのRGB値の組み合わせを決定する。その後、ステップS243に移る。
【0152】
次に、ステップS243では、上記ステップS242で求めたすべてのRGB値から、上記ステップS240で求めた第1領域に含まれるすべてのRGB値と上記ステップS241で求めた第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値を引くことで、第2領域のうちの遷移色領域を決定する。上記ステップS240、ステップS241ならびにステップS243で、2563通りのすべてのRGB値の組み合わせが第1領域と第2領域(遷移色領域+原データ領域)とに分けられることになる。その後、ステップS244に移る。
【0153】
次に、ステップS244では、ステップS240で求めた、第1領域に含まれるすべてのRGB値から、改善前RGB入力値RGBinputと、改善後RGB入力値RGBoutput、減算値RGBcalを決定する。すなわち、RGBinputは第1領域に含まれるすべてのRGB値であり、改善後RGB入力値RGBoutputはすべて(Rgoal,
Ggoal,Bgoal)で表される。減算値RGBcalは、RGBcal=RGBinput−RGBoutputにより求められる。その後、ステップS245に移る。
【0154】
次に、ステップS245では、ステップS241で求めた、第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値から、改善前RGB入力値RGBinputと、減算値RGBcalを決定する。すなわち、RGBinputは第2領域のうち、原データ領域に含まれるすべてのRGB値であり、改善後RGB入力値はRGBinputに等しくなるので、減算値RGBcalは、すべて(0,0,0)である。その後、ステップS246に移る。
【0155】
次に、ステップS246では、ステップS243で求めた、第2領域のうちの遷移色領域に含まれるすべてのRGB値から、改善前RGB入力値RGBinputと減算値RGBcalを決定する。
【0156】
まず、第2領域のうちの遷移色領域に含まれるすべてのRGB値は改善前RGB入力値RGBinputである。このRGBinputのあるR値Rsmooth-inを取り出す。ここで取り出したRsmooth-inは、RからRfixまでの遷移色領域のあるR値である。ここから、改善後RGB入力値のあるR値Rsmooth-outを求める。
【0157】
まず、ステップS246では、あるRsmooth-inがRgoalとRの間、R´とRgoalの間にある場合のRsmooth-outを求める。これらの場合のRGB値は、少なくともひとつのRGB値が遷移色領域に存在するので、遷移色領域以外のRGB値は、すべて鮮色化目標値と等しくなるように定める。よって、この場合すべてのRsmooth-outをRgoalとする。その後、減算値RcalをRsmooth-inとRsmooth-outの差分より決定する。同様に、Gsmooth-out、Bsmooth-outを決定し、減算値Gcal、Bcalを決定し、その後、ステップS247に移る。
【0158】
ステップS247では、あるRsmooth-inがRとRfixの間にある場合のRsmooth-outを求める。ここでRgoal+1(目標値の次のR値)からRfixまでの距離は、Rrangeの2倍であるから、Rsmooth-out=R+Rrange*2/Rrange、これをRsmooth-out≦Rfixまで繰り返す。同様に、R´smooth-out=Rrange*2/Rrange−R´で、これをR´fix≦Rsmooth-outまで繰り返す。その後、減算値RcalをRsmooth-inとRsmooth-outの差分より決定する。同様に、Gsmooth-out、Bsmooth-outを決定し、減算値Gcal、Bcalを決定し、その後、ステップS248に移る。
【0159】
次にステップS248では、上記ステップS240からステップS247で求めたすべての改善前RGB入力値RGBinputと、対応するすべての減算値RGBcalから参照テーブルを作成し、そして、図26のステップS33へ戻る。
【0160】
ステップS33では、出来上がった参照テーブルを装置本体101のRAM101Cに格納すし、テーブル作成処理を完了する。
【0161】
例として、操作者により入力された画面120のR値範囲設定領域120a,120b、G値範囲設定領域120c,120d、B値範囲設定領域120e,120fと、それら単一化されるときの鮮色化目標色のRGB値を設定するための目標色R値設定領域120g、目標色G値設定領域120h、目標色B値設定領域120iが、それぞれ120a=R´=0、120b=R=30、120c=G´=0、120d=G=30、120e=B´=0、120f=B=30、120g=Rgoal=0、120h=Ggoal=0、120i=Bgoal=0であるとき、出来上がったテーブルの内容を図31に示す。
【0162】
図31は、このようにして操作者により作成した参照用変換テーブル(RGB入力値と減算値)と、変換後RGB値の一例を表す図である。図31において、上記2563通りのすべてのRGB値の組み合わせで表される色空間のうち、この例では、前述の図27の画面120から操作者によって入力されたものであり、RGB色座標値(0,0,0)〜(15,15,15)の範囲が第1領域に設定されている。また、RGB色座標値(16,0,0)〜(30,30,30)の範囲が第2領域の遷移色領域(31,0,0)〜(255,255,255)の範囲が、原データ領域である。
【0163】
そして、このような第1領域の操作者設定に応じた前述の図29に示した手順によって、第1領域に続きかつ第1領域の倍のRGB値幅をもつ遷移色領域(RGB色座標値(16,0,0)〜(30,30,30)の範囲)が自動設定されるとともに、この始端(=第1領域との境界)であるRGB色座標値(15,15,15)で減算値が(15,15,15)となり、それより徐々に減算値が減少して、その終端(=第2領域との境界)であるRGB色座標値(30,30,30)で減算値が(0,0,0)となるように、遷移色領域の各色座標値及びこれに対応する減算値が自動的に設定される。また、RGB色座標値(30,30,30)以遠の第2領域(31,0,0)〜(255,255,255)ではすべて減算値が(0,0,0)となるように自動設定される。
【0164】
以上のようにして、RGB値についての第1領域、及び第2領域(遷移色領域と原データ領域)の自動設定が終了し、ステップS34に移る。
【0165】
ステップS34において、上記のようにして設定され一時記憶された各データは、操作者作成のテーブルとして確定し、所定の箇所(例えば装置本体101のRAM101C)に格納され、読み出し可能に保持される。
【0166】
このようにしてステップS34が終了したら、図25のステップS40に移る。また、ステップS36にて上記画面120において「CANCEL」120kが操作されたかどうかを判定し、操作されていれば、図25のステップ40′に移る。
【0167】
ステップS40以降は、ステップS30′で作成されたテーブルを用いること以外は上記実施形態の図10と同一の手順であるので、説明を省略する。
【0168】
上記において、CPU101Aの実行する図29に示したステップS201〜ステップS241、ステップS242、ステップS243が、各請求項記載の、入力手段により指定された前記第1領域の情報に基づいて第1領域を除く前記第2領域を決定する決定手段を構成する。
【0169】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果に加え、操作者の所望に作成したテーブルを用いて変換を行い、さらにきめの細かい鮮色化処理が可能となる。
【0170】
なお、この変形例においては、操作者が図27の画面120の領域120a〜iへ指定入力することで、第1領域の位置、大きさ、鮮色化目標色を指示入力し、第2領域の位置や大きさ、遷移領域の有無及び位置並びに大きさを自動的に決定したが、これに限られない。すなわち、操作者は、第1領域の位置、大きさ、鮮色化目標色以外にも、上記第2領域や遷移領域に係わる指示入力をさらに加えて行い、指示入力されなかった残りを自動的に決定するようにしてもよい。このとき、第1領域や第2領域の数は必ずしも1つに限られないことから、結局、操作者の指示入力に基づき、最終的に、第1領域又は第2領域の位置、大きさ、数、鮮色化目標色、遷移色化処理の有無のうち少なくとも2つの組み合わせを決定するようにすれば足りる。
【0171】
また、図29において、すべての領域のすべてのRGB値を個々に扱う方法を示しているが、これに限らない。特に、遷移色領域の扱いにおいては、さまざまな計算式による補間の方法が知られている。例えば、鮮色化目標値Rgoal、Ggoal、Bgoalを原点とし、x軸にR値、y軸にG値、z軸にB値をとるとする。原点から遷移色領域外周にあるRfix、Gfix、Bfixまでを直線で結び、その直線を半径とした球の表面の1点から原点までの距離を調整することにより、滑らかな補間を行うことが可能である。また、球ではなく、立方体を利用した補間方法を採ることも可能である。また、RとRfix、GとGfix、BとBfixの中間値のRGB値を算出し、そのRGB値を中心として遷移色領域を平滑化処理することも可能である。
【0172】
(D)通常データを受け取った後にプリンタ側で鮮色化処理する場合
上記においては、装置本体101のROM101Bに記憶された本発明に係るプログラムによって上記鮮色化処理の手順を実行したが、これに限られない。すなわち、プリンタ1自体の制御部80のROM82に上記と同等の機能の本発明に係るプログラムを格納し、これによって同等の手順を実行してもよい。
【0173】
図32は、この変形例において、画像印刷制御装置100の装置本体101に備えられたCPU101Aが実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記実施形態の図10に相当する図である。図10と同等の手順には同一の符号を付し、適宜説明を簡略化又は省略する。
【0174】
図32において、まずステップS10′′において、画像印刷制御装置本体101側から送信されてきた画像データのRGB値、すなわちTシャツTSに印刷したい画像信号のRGB値を取り込んだ後を取り込み、ステップS20′′に移る。
【0175】
その後、ステップS20′′において、予め鮮色化処理のためにプリンタ1側に用意された前述の複数のモードを操作者が選択できるように表示する。具体的には、そのような画面を表示させるための表示信号を生成して表示手段としての表示制御部87を介し操作パネル40のディスプレイ40へ出力し、ディスプレイ40の表示画面に、それらモード選択画面を表示させる。このときのモード選択画面は図示を省略するが、例えば、先の図11に示した装置本体101の表示装置105の画面110と同様、「monitor matching」「photograph」「graphic」「vivid」の各モードが選択可能とされていればよい。
ステップS20′′が終了したら、ステップ30へ移る。
【0176】
ステップS30の処理は、CPU101Aが実行すること以外、上記実施形態の図10に相当する図である。ステップS30が終了したら、ステップ40′′に移る。
【0177】
ステップS40′′では、操作者から印刷開始指示(例えば操作パネル40の印刷開始ボタン等の操作信号)が上記入力検知部88を介し取り込まれたかどうかを判定する。
【0178】
鮮色化処理機能をプリンタ1側に持たせる本変形例によっても、上記実施形態と同様、布帛に求められる「元気良くメリハリの効いた」「クリアで鮮やかな」「にごりのない濃い」固有の画質の実現等の効果を得ることができる。
【0179】
(E)RGB値以外のデータ形式において鮮色化処理を行う場合
例えば上記実施形態や(A)〜(C)の変形例においては、外部より画像印刷制御装置100の本体101に入力されたRGB値データをRGBデータのままで鮮色化処理変換し、その変換したRGB値より墨生成(RGB→CMYK変換;図16におけるステップS53参照)、さらに2値化処理(ステップS54参照)してプリンタ1へと出力したが、これに限られず、本発明による前述の鮮色化処理は、上記RGBデータ→カラーマッチング→CMYKデータ→2値化データの流れのうち、どの段階で行ってもよい。したがって、RGBデータのうちは上記鮮色化処理を行わないままで、ステップS53でCMYKデータ化した後、CMYKデータどうしで対応づけた各テーブル(各モードに対応)を参照して鮮色化処理(変換)を行い、その変換後のCMYKデータから2値化データを作成してプリンタ1へ送るようにしてもよい。なお、墨生成のとき、RGBデータから直接CMYKデータを生成するのではなく、装置に依存しない国際標準機関CIEが規定するXYZ三刺激値やL*a*b*均等色空間によるL*a*b*データを介在させる場合には、そのデータ形式において同様のテーブルを用いて鮮色化処理(変換)を行ってもよい。
【0180】
また、画像印刷制御装置100あるいはプリンタ1が受ける値がCMYKデータであっても良い。この場合、本発明の説明にてRGB値であるところがすべてCMYKであり、各テーブルもすべて256の4乗の値を持ち、カラープロファイル(LUT)もCMYKであるが、墨生成が不要である。
【0181】
同様に、上記(D)の変形例においては、画像印刷制御装置100の本体101よりプリンタ1へ入力された2値化データを鮮色化処理変換したが、これに限られず、上記RGBデータ→カラーマッチング→CMYKデータ→2値化データの流れのうち、どの段階で行ってもよい。また、CMYKデータの状態でプリンタ1へ入力される場合には、制御部80のCPU81において、CMYKデータどうしで対応づけた各テーブル(各モードに対応)を参照して鮮色化処理(変換)を行い、その変換後または前のCMYKデータから2値化データを自ら作成して印刷を行うようにしてもよい。
【0182】
以上の場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0183】
(F)その他
以上においては、第1領域を所定の色空間における1箇所にのみ設けたが、これに限られず、2つ以上複数箇所に設けてもよい。例えば前述の図20に示した、黒色を鮮色化目標色とする黒変換BK、赤色を鮮色化目標色とする赤変換RD、ピンクを鮮色化目標色とするピンク変換PKのうち、少なくともいずれか2つを同時に行うようにしてもよい(この場合、鮮色化目標色も複数個となり、前述した減色機能はさらに進むこととなる)。
【0184】
また、上記実施形態においては、操作者がモードを選択すると、そのモードに応じて、第1領域、第2領域、遷移色領域の位置、大きさ、及び数、並びに鮮色化目標色が自動的に決定されたが、これに限られない。すなわち、これらがすべてモード選択とともに決定されるのではなく、第1領域又は第2領域の位置、大きさ、数、鮮色化目標色、遷移色化処理の有無の少なくとも2つの組み合わせが決定されるようにし、その他については、各モードの選択結果によらず共通であるか、あるいは別途の操作によって操作者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0185】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本発明の一実施形態による画像印刷制御装置の全体概略構成を表す図である。
【図2】図1に示した装置本体の機能的構成を表すブロック図である。
【図3】図1に示した画像印刷制御装置の制御対象であるTシャツプリンタの全体構造を表す斜視図である。
【図4】図3に示したTシャツプリンタの正面図である。
【図5】図3に示したTシャツプリンタの側面図である。
【図6】図3に示したTシャツプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
【図7】プリンタ印刷後のパンフレットの一例を表す図、図7(a)中A部及びB部の拡大図である。
【図8】黒の鉛筆で書いたスケッチをスキャナで読み込み、そのまま印刷データを作ってプリンタで印刷した場合を表す説明図である。
【図9】CMYKデータで表した黒色、これをプロファイル変換後のRGBデータで表した色、通常のRGBデータでの黒色をそれぞれ対比して表した図である。
【図10】装置本体のCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図11】表示装置の画面表示例を表す図である。
【図12】ステップS20の詳細手順を表すフローチャートである。
【図13】「monitor matching」「photograph」の各モードに応じてそれぞれ用意されたRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値を表す図である。
【図14】「graphic」「vivid」の各モードに応じてそれぞれ用意されたRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値を表す図である。
【図15】補間処理による遷移色化処理の内容を概念的に説明した図であ
【図16】ステップS50の詳細手順を表すフローチャートである。
【図17】ステップS40における上記入力プロファイルによる変換処理を表すテーブルの一例を示す図である。
【図18】本実施形態の鮮色化処理を行わず印刷した印刷物の比較例と、対応する画像について鮮色化処理後に印刷した印刷物の例とを対比して表す図である。
【図19】L*a*b*データで表した色空間において、色相を固定した場合の色の変化の例を矢印で示したものである。
【図20】鮮色化目標色として他の色を設定する変形例において、赤への変換に対応するRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例を表す図である。
【図21】鮮色化目標色として他の色を設定する変形例において、鮮色化処理を行わず印刷した印刷物の比較例と、鮮色化処理を行った後に印刷した印刷物の例を対比して表す図である。
【図22】鮮色化目標色として他の色を設定する変形例において、ピンクへの変換に対応するRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例を表す図である。
【図23】第1領域が黒色の場合における遷移色領域を設けない変形例のRGB値変換用テーブル(RGB入力値と減算値)と、前記テーブルが算出した変換後RGB値の一例を表す図である。
【図24】上記変形例における処理の内容を概念的に説明した図である。
【図25】テーブルを操作者が作成する変形例における装置本体のCPUによる制御手順を表すフローチャートである。
【図26】図25のステップS30′の詳細手順を表すフローチャートである。
【図27】表示装置の画面表示例を表す図である。
【図28】表示装置の画面で、入力エラーがある場合を表す図である。
【図29】図26のステップS33の詳細手順を表すフローチャートである。
【図30】図29のステップS209の詳細手順を表すフローチャートである。
【図31】操作者により作成した参照用変換テーブルの一例を表す図である。
【図32】通常データを受け取った後にプリンタ側で鮮色化処理する変形例においてCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0187】
1 Tシャツプリンタ
100 画像印刷制御装置
101 装置本体
101A CPU(鮮色化処理手段、遷移色化処理手段;決定手段)
101D I/O(入力手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する入力手段と、
この入力手段で入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域を前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする鮮色化処理手段とを有し、
前記鮮色化処理手段で処理した後の画像信号をプリンタ出力データに変換することを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記第2領域のうち前記第1領域の周辺部分に対し、当該第1領域における前記鮮色化目標色変換に対応した遷移色に変換する遷移色化処理手段を備えることを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像印刷制御装置において、
前記遷移色化処理手段は、前記色空間の前記周辺部分の色座標値に対し補間処理を行うことにより、当該周辺部分を前記遷移色に変換することを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の画像印刷制御装置において、
前記入力手段は、前記指示信号として、操作者の希望する鮮色化処理の程度に応じた複数のモードのいずれかを選択する選択指示信号を入力し、
前記鮮色化処理手段は、前記選択指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像印刷制御装置において、
前記入力手段は、鮮色化処理を行わない非処理モードを選択可能な前記選択指示信号を入力することを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記入力手段は、前記指示信号として、少なくとも、操作者の指定した前記第1領域の位置及び大きさ情報、前記鮮色化目標色情報に係わる指示信号を入力し、
前記鮮色化処理手段は、前記入力手段により指定された前記第1領域の情報に基づいて第1領域を除く前記第2領域を決定する決定手段を有し、
前記指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記第1領域は、L*a*b*データで表した前記色空間の表層部に位置していることを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるRGBデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるL*a*b*データを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるCMYKデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項11】
画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを備えることを特徴とする画像印刷制御方法。
【請求項12】
画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号に基づき印刷を行う手順とを備えることを特徴とする画像印刷制御方法。
【請求項13】
画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域を前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを、
前記プリンタに接続された制御装置に実行させるための印刷制御プログラム。
【請求項14】
画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号に基づいて印刷を行う手順とを、
前記プリンタに実行させるための印刷制御プログラム。
【請求項1】
画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する入力手段と、
この入力手段で入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域を前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする鮮色化処理手段とを有し、
前記鮮色化処理手段で処理した後の画像信号をプリンタ出力データに変換することを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記第2領域のうち前記第1領域の周辺部分に対し、当該第1領域における前記鮮色化目標色変換に対応した遷移色に変換する遷移色化処理手段を備えることを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像印刷制御装置において、
前記遷移色化処理手段は、前記色空間の前記周辺部分の色座標値に対し補間処理を行うことにより、当該周辺部分を前記遷移色に変換することを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の画像印刷制御装置において、
前記入力手段は、前記指示信号として、操作者の希望する鮮色化処理の程度に応じた複数のモードのいずれかを選択する選択指示信号を入力し、
前記鮮色化処理手段は、前記選択指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像印刷制御装置において、
前記入力手段は、鮮色化処理を行わない非処理モードを選択可能な前記選択指示信号を入力することを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記入力手段は、前記指示信号として、少なくとも、操作者の指定した前記第1領域の位置及び大きさ情報、前記鮮色化目標色情報に係わる指示信号を入力し、
前記鮮色化処理手段は、前記入力手段により指定された前記第1領域の情報に基づいて第1領域を除く前記第2領域を決定する決定手段を有し、
前記指示信号に基づき、前記第1及び第2領域のうちの少なくともいずれか一方の領域の位置、前記少なくともいずれか一方の領域の大きさ、前記少なくともいずれか一方の領域の数、前記鮮色化目標色、及び前記遷移色化処理手段による遷移色化処理の有無のうち、少なくとも2つの組み合わせを決定して処理を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記第1領域は、L*a*b*データで表した前記色空間の表層部に位置していることを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるRGBデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるL*a*b*データを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像印刷制御装置において、
前記鮮色化処理手段は、前記画像信号に係わるCMYKデータを変換することにより、前記色空間における前記第1及び第2領域の設定及び鮮色化目標色変換を行うことを特徴とする画像印刷制御装置。
【請求項11】
画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを備えることを特徴とする画像印刷制御方法。
【請求項12】
画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号に基づき印刷を行う手順とを備えることを特徴とする画像印刷制御方法。
【請求項13】
画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域を前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号をプリンタへの出力データに変換する手順とを、
前記プリンタに接続された制御装置に実行させるための印刷制御プログラム。
【請求項14】
画像信号及びこの画像信号に対する鮮色化目標色に係わる操作者の指示信号を入力する手順と、
この入力した前記操作者の前記指示信号に基づき、前記画像信号に係わる色空間のうち少なくとも1つの第1領域を各領域ごとにそれぞれ単一の前記鮮色化目標色に変換するとともに、前記色空間のうち前記第1領域以外の第2領域に対して前記鮮色化目標色変換を行わない領域とする手順と、
この処理後の画像信号に基づいて印刷を行う手順とを、
前記プリンタに実行させるための印刷制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2006−100942(P2006−100942A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281570(P2004−281570)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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