説明

画像形成システム、画像形成装置及び画像形成装置におけるデータ処理方法

【課題】 プログラム登録された設定内容に変更や追加があった場合でも、設定情報のプログラム登録を再度行う必要がなく、しかも画像形成装置の設定を使用の都度手入力で行う必要のない画像形成システム等を提供する。
【解決手段】 画像形成装置1と携帯端末2とを備えたシステムである。前記画像形成装置1は、ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換する変換手段110と、変換された画像データを画像として出力する出力手段104bを備えている。前記携帯端末2は、前記出力された画像を撮影する撮影手段21と、撮影した画像データを保存する記憶手段23と、保存された画像データまたはこの画像データで示される設定情報を出力可能な出力手段27、29を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話等の携帯端末と画像形成装置とを備えた画像形成システム、及びこのシステムに用いられる画像形成装置、並びに画像形成装置におけるデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置でジョブを実行する場合、ユーザは各種の設定を行う必要があるが、デジタル複合機(MFP:Multi Function Peripherals)のように使用可能な機能が多くなるのに伴い、設定内容も複雑になってきている。
【0003】
従来、このようなジョブの設定を事前に登録しておく機能として、プログラム登録機能が搭載された画像形成装置が知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−338313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなプログラム登録機能により設定情報を保存していたとしても、実際にジョブを実行する際に、設定内容を変更したり追加することもあり、このような変更や追加を再度登録するのは面倒であった。
【0005】
しかも、出先や店舗等に設置された画像形成装置を利用する場合には、設定情報をプログラム登録しておくことは実際上困難であり、従って、この場合には画像形成装置の設定を使用の都度手入力により行わなければならず、操作性がよくなかった。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、プログラム登録された設定内容に変更や追加があった場合でも、設定情報のプログラム登録を再度行う必要がなく、しかも画像形成装置の設定を使用の都度手入力で行う必要のない画像形成システム、及びこのシステムに用いられる画像形成装置、並びに画像形成装置におけるデータ処理方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は以下の手段によって解決される。
(1)画像形成装置と携帯端末とを備え、前記画像形成装置は、ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換する変換手段と、変換された画像データを出力する出力手段と、を備え、前記携帯端末は、前記出力された画像データを撮影する撮影手段と、撮影した画像データを保存する記憶手段と、保存された画像データまたはこの画像データで示される設定情報を出力可能な出力手段と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。
(2)前記画像形成装置の出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データを用紙にプリントするプリント手段である前項1に記載の画像形成システム。
(3)前記携帯端末の出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データに含まれる設定情報を送信可能な送信手段である前項1に記載の画像形成システム。
(4)前記画像データには、ユーザの認証情報が含まれている前項1に記載の画像形成システム。
(5)前記画像データには、携帯端末で保存された画像データに含まれる設定情報を送信するためのアプリケーションソフトの格納先のアドレス情報が含まれている前項1に記載の画像形成システム。
(6)前記画像データは暗号化されている前項1に記載の画像形成システム。
(7)暗号化のための秘密鍵、公開鍵は携帯端末で作成され、携帯端末は、作成した公開鍵を含むデータを画像データに変換して出力する前項1に記載の画像形成システム。
(8)画像データはQRコードである前項1に記載の画像形成システム。
(9)ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換する変換手段と、変換された画像データを出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(10)前記出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データを用紙にプリントするプリント手段である前項9に記載の画像形成装置。
(11)前記画像データには、ユーザの認証情報が含まれている前項9に記載の画像形成装置。
(12)前記画像データには、携帯端末で保存された画像データに含まれる設定情報を送信するためのアプリケーションソフトの格納先のアドレス情報が含まれている前項9に記載の画像形成装置。
(13)前記画像データは暗号化されている前項9に記載の画像形成装置。
(14)画像データはQRコードである前項9に記載の画像形成装置。
(15)ジョブの実行に関する設定情報が含まれるとともに、携帯端末から出力された画像データを読み取る読み取り手段と、読み取られた画像データを解析して設定情報を抽出する解析手段と、抽出された設定情報でジョブを実行するジョブ実行手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(16)前記画像データにはユーザの認証情報が含まれており、この認証情報に基づいて、ユーザ認証を行うユーザ認証手段を備えている前項15に記載の画像形成装置。
(17)前記画像データは暗号化されている前項15に記載の画像形成装置。
(18)画像データはQRコードである前項15に記載の画像形成装置。
(19)ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換するステップと、変換された画像データを出力するステップと、前記出力された画像データを携帯端末により撮影するステップと、撮影した画像データを保存するステップと、保存された画像データまたはこの画像データで示される設定情報を出力するステップと、前記出力された画像データまたは設定情報を受領するステップと、受領した画像データを解析して抽出された設定情報、または前記受領した設定情報でジョブを実行するステップと、を含む画像形成装置におけるデータ処理方法。
【発明の効果】
【0008】
前項(1)に記載の発明によれば、画像形成装置は、ジョブの終了後、ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換し、変換された画像データを出力する。携帯端末は、出力された画像を撮影手段により撮影して保存し、保存された画像データまたはこの画像データで示される設定情報を出力可能となされている。
【0009】
このように、画像形成装置から出力された画像データを携帯端末で撮影することにより、ユーザがジョブの実行に際して画像形成装置で設定した設定情報を、携帯端末に受け渡すことができるから、この受け渡された設定情報を利用することにより、予めプログラム登録された設定内容に変更や追加があった時でも、新たなプログラム登録は不要であるし、画像形成装置の設定を使用の都度手入力で行う必要もなくなる。
【0010】
しかも、携帯端末を保有していれば、使用地域や使用場所に制限を受けることなく、携帯端末に保存された設定情報を利用することができる。
【0011】
前項(2)に記載の発明によれば、画像形成装置の出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データの画像を用紙にプリントするプリント手段であるから、携帯端末による画像データの撮影を容易に行うことができる。
【0012】
前項(3)に記載の発明によれば、携帯端末の出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データで示される設定情報を送信可能な送信手段であるから、携帯端末に保存した設定情報の利用が容易になる。
【0013】
前項(4)に記載の発明によれば、画像データには、ユーザの認証情報が含まれているから、この画像データを用いて画像形成装置で次回のジョブを実行させる場合には、ユーザによる認証情報の新たな入力は不要となる。
【0014】
前項(5)に記載の発明によれば、画像データには、携帯端末で保存された画像データに含まれる設定情報を送信するためのアプリケーションソフトの格納先のアドレス情報が含まれているから、画像を撮影した携帯端末は、このアドレスにアクセスしてアプリケーションソフトを入手でき、設定情報を画像形成装置などに送信することができる。
【0015】
前項(6)に記載の発明によれば、前記画像データは暗号化されているから、設定情報のセキュリティを確保することができる。
【0016】
前項(7)に記載の発明によれば、画像データを介して公開鍵の送受が可能となる。
【0017】
前項(8)に記載の発明によれば、QRコードを介して画像形成装置の設定情報を携帯端末に受け渡すことができる。
【0018】
前項(9)に記載の発明によれば、ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換する変換手段と、変換された画像データを画像として出力する出力手段とを備えているから、出力された画像データを携帯端末により撮影することにより、画像形成装置の設定情報を携帯端末に受け渡して保存させることができ、ひいてはこの設定情報を利用することができる。
【0019】
前項(10)に記載の発明によれば、携帯端末による画像の撮影を容易に行うことができる。
【0020】
前項(11)に記載の発明によれば、画像データを用いて画像形成装置で次回のジョブを実行させる場合には、ユーザによる認証情報の新たな入力は不要となる。
【0021】
前項(12)に記載の発明によれば、画像を撮影した携帯端末は、このアドレスにアクセスしてアプリケーションソフトを入手でき、設定情報を画像形成装置などに送信することができる。
【0022】
前項(13)に記載の発明によれば、設定情報のセキュリティを確保することができる。
【0023】
前項(14)に記載の発明によれば、QRコードを介して画像形成装置の設定情報を携帯端末に受け渡すことができる。
【0024】
前項(15)に記載の発明によれば、携帯端末から出力された画像データを読み取って、それに含まれる設定情報を抽出してジョブを実行することができる画像形成装置となし得る。
【0025】
前項(16)に記載の発明によれば、画像データに含まれる認証情報を利用して認証を行うことができる。
【0026】
前項(17)に記載の発明によれば、設定情報のセキュリティを確保することができる。
【0027】
前項(18)に記載の発明によれば、携帯端末からQRコードを読み取ってジョブを実行することができる画像形成装置となしうる。
【0028】
前項(19)に記載の発明によれば、出力された画像データを携帯端末により撮影することにより、画像形成装置の設定情報を、携帯端末に受け渡して保存させることができる。また、保存した設定情報を画像形成装置に受け渡して、画像形成装置にジョブを実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成図である。
【0031】
この画像形成システムは、画像形成装置1と携帯端末2とを備えている。
【0032】
前記画像形成装置1は、この実施形態ではプリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能を有するデジタル複合機であるMFP(Multi Function Peripherals)が用いられている。
【0033】
画像形成装置1の要部の機能的な構成を図2に示す。この画像形成装置1は、スキャナ部101、プリンタ部102、ファクシミリ部(FAX部という)103、操作パネル104、制御部105、記憶部106、ネットワークインターフェイス部(図面ではインターフェイスをI/Fと記す)107、赤外線通信部108、認証部109、データ変換部110、データ解析部111、QRコードリーダ112等を備えている。
【0034】
前記スキャナ部101は、原稿を読み取って画像データに変換するものである。
【0035】
前記プリンタ部102は、スキャナ部101で読み取った原稿の画像データ、外部装置から送信されてきたプリントデータ、記憶部106に保存されている画像データ等をプリントする。
【0036】
前記FAX部103は、スキャナ部101で読み取った画像データや、記憶部106に保存されている画像データをファクシミリ送信し、あるいは外部装置から送信されてきた画像データをファクシミリ受信するものである。
【0037】
前記操作パネル104は、テンキー、スタートキー等のキー入力部104aと、液晶等からなるタッチパネル式の表示部104bを備え、ユーザが各種の入力を行ったり、装置の状態や操作用画面等が表示されるものである。この実施形態では、後述するように、ジョブ実行に際してユーザが行った設定情報が画像データとしてのQRコードに変換され、この変換されたQRコードが表示部104bに表示されるものとなされている。
【0038】
制御部105は、画像形成装置1の全体を統括的に制御したり、各種の判断を行うものであり、CPUやROM、RAM等のメモリを備えている。このメモリには、CPUの動作用プログラムが書き込まれていると共に、ジョブ実行に際してユーザが行った設定情報が一時的に記憶される。
【0039】
記憶部106は、例えばハードディスクからなり、画像データやユーザ認証を行うための認証情報が記憶されている。
【0040】
ネットワークインターフェイス部107は、画像形成装置1と外部のパーソナルコンピュータ等との間でデータの送受信を行うためのものであり、赤外線通信部108は、携帯端末2との間で赤外線通信によるデータの送受信を行うためのものである。
【0041】
前記認証部109は、操作パネル104からユーザにより入力される認証情報、または携帯端末から受け取ったQRコードに含まれる認証情報を、予め記憶部106に記憶されている認証情報と照合することにより、ユーザ認証を行う。
【0042】
前記データ変換部110は、制御部105のメモリに記憶されているジョブ実行に際しての設定情報を、QRコードに変換するものである。この場合、ユーザにより認証情報が入力されている場合には、その情報も含めてQRコードに変換する。また、携帯端末2から公開鍵が付与されている場合には、公開鍵により暗号化した状態で変換する。
【0043】
データ解析部111は、携帯端末2から読み取ったQRコードを解析して、それに含まれるジョブの設定情報や認証情報等を抽出する。
【0044】
QRコードリーダ112は、携帯端末2に表示されたQRコードを読み取るものである。なお、QRコードの読み取りは、スキャナ部101で行っても良い。
【0045】
前記携帯端末2は、例えば携帯電話からなる。なお、携帯端末は携帯電話の他、PDA(Personal Digital Assistance)やノートパソコン等であっても良い。
【0046】
図3は、携帯端末2の要部の機能的な構成を示すブロック図である。
【0047】
携帯端末2は、撮影部21、操作部22、記憶部23,ネットワークインターフェイス部24、データ生成・変換部25、制御部26、表示部27、赤外線通信部28、データ解析部29等を備えている。
【0048】
前記撮影部21は、撮影カメラを備え、画像形成装置1の表示部104bに表示されたQRコードを撮影できるようになっている。
【0049】
操作部22は、ユーザが携帯端末2を操作するためのものであり、入力キー等を備えている。
【0050】
記憶部23は、画像形成装置1から読み取ったQRコードや、所定のアドレスからダウンロードしたアプリケーションソフトや、QRコードの解析結果等を記憶する。
【0051】
ネットワークインターフェイス部24は、ネットワークを介して外部機器と通信を行う。
【0052】
データ生成・変換部25は、携帯端末2で入力した画像形成装置1の設定情報や認証情報等を画像形成装置1に受け渡す際に、暗号化のための公開鍵、秘密鍵を作成するとともに、前記設定情報、認証情報、公開鍵等をまとめてQRコードに変換するものである。
【0053】
制御部26は、携帯端末2の全体を統括的に制御したり、各種の判断を行うものであり、CPUやROM、RAM等のメモリを備えている。
【0054】
表示部27は、画像形成装置1に表示され撮影部21により撮影されたQRコードや、データ生成・変換部25で変換されたQRコードや、その他のデータを表示する。
【0055】
データ解析部28は、画像形成装置1に表示され撮影部21により撮影されたQRコードを解析して、それに含まれる設定情報や認証情報等を抽出する。
【0056】
赤外線通信部29は、前記データ解析部28で抽出された設定情報や認証情報等を利用して、画像形成装置1にジョブを実行させる場合に、画像形成装置1との間で赤外線通信を行うことにより、画像形成装置1に設定情報や認証情報等を送信する。
【0057】
次に、図1に示したネットワーク画像形成システムの動作を、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
ユーザは画像形成装置1の使用に際し、ステップS11で、認証情報としてID及びパスワードを入力する。画像形成装置1では、前記入力された認証情報に基づいて認証が行われる。認証が成功すると画像形成装置1の使用が可能となり、ステップS12で、モード、解像度、部数、カラーかモノクロか等のジョブの設定を行い、ジョブを実行する。
【0059】
ジョブ実行後、画像形成装置1はステップS13で、前記設定情報をQRコードに変換する。この際、QRコードには、QRコードに含まれる設定情報を赤外線通信により送信するためのリモコンアプリケーションソフトの格納先URL(Uniform Resource Locator)を含めておく。
【0060】
ユーザが、操作パネル104の所定のスイッチを押すと、図4に示すように、操作パネル104の表示部104bにQRコード4が表示されたのち、ステップS14でログアウトする。
【0061】
一方、ユーザはステップS21で、携帯端末2の撮影部21のカメラを起動したのち、ステップS22で、前記表示部104bに表示されたQRコード4を撮影し、ステップS23で、撮影したQRコードを記憶部23に保存する。
【0062】
以降、前記ジョブを実行させた画像形成装置1あるいは異なる画像形成装置1でジョブを実行するときは、この保存したQRコードを利用する。
【0063】
この際、ステップS24で、携帯端末2内に、QRコードに含まれる設定情報を赤外線通信により送信するためのリモコンアプリケーションソフトがあるかどうかを判断し、あれば(ステップS24でYES)、ステップS27に進む。
【0064】
リモコンアプリケーションソフトがなければ(ステップS24でNO)、ステップS25で、QRコードから、アプリケーションソフトの格納先URLを抽出し、ステップS26で前記URLにアクセスして、リモコンアプリケーションソフトを取得したのち、ステップS27に進む。
【0065】
ステップS27では、前記アプリケーションソフトを実行することにより、QRコードに含まれていた設定情報を、赤外線通信部29を介して画像形成装置1に送信して、携帯端末2側の処理を終了するが、送信の前に、画像形成装置1では、ステップS15で、ユーザが画像形成装置1に認証情報を入力することにより、認証を行っておく必要がある。
【0066】
認証が成功すると、画像形成装置の使用が可能となり、ステップS16で、送信された設定情報を赤外線通信部108を介して受信したのち、ステップS17で、受信した設定情報に従ってジョブを実行し、処理を終了する。前記受信した設定情報は、前回実行したジョブの設定情報と同じであるから、前回と同一のジョブが実行される。
【0067】
このように、ジョブを実行した画像形成装置に表示されたQRコードを携帯端末2で撮影することにより、QRコードを介してジョブの設定情報を携帯端末2に受け渡すとともに、以後、ジョブを実行する場合には、携帯端末2から前記設定情報を画像形成装置1に受け渡して、この設定情報に基づいてジョブを実行することができる。このため、設定情報を一旦携帯端末に保存しておけば、次回からのジョブの実行に際しては、ユーザが操作パネル104を用いた設定入力を行う必要はなくなる。
【0068】
また、ジョブの実行に際して設定内容に変更や追加が生じても、ジョブの実行後に表示されるQRコードに、設定内容の変更や追加が反映されるから、これを携帯端末2で撮影し保存するだけで、次回以降のジョブの実行について設定内容の変更や追加を反映することができ、極めて便利である。
【0069】
図6は、図1に示した画像形成システムの他の実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【0070】
この実施形態では、画像形成装置1で変換されるQRコードの中に、設定情報のみならず認証情報も含まれた形態で、携帯端末2に受け渡され、次回以降のジョブの実行に際しては、携帯端末2から画像形成装置1へ設定情報と共に受け渡される認証情報を用いて、ユーザ認証を行うものである。
【0071】
ユーザは画像形成装置1の使用に際し、ステップS31で、認証情報としてID及びパスワードを入力すると、画像形成装置1では認証が行われる。認証が成功すると画像形成装置1の使用が可能となり、ステップS32で、モード、解像度、部数、カラーかモノクロか等のジョブの設定を行い、ジョブを実行する。
【0072】
ジョブ実行後、画像形成装置1はステップS33で、前記設定情報及びユーザが入力した認証情報をQRコードに変換する。この際、QRコードには、QRコードに含まれる設定情報を赤外線通信により送信するためのリモコンアプリケーションソフトの格納先URLを含めておく。
【0073】
ユーザが、操作パネル104の所定のスイッチを押すと、図4に示すように、操作パネル104の表示部104bにQRコード4が表示されたのち、ステップS34でログアウトする。
【0074】
一方、ユーザはステップS41で、携帯端末2の撮影部21のカメラを起動したのち、ステップS42で、前記表示部104bに表示されたQRコード4を撮影し、ステップS43で、撮影したQRコードを記憶部23に保存する。
【0075】
以降、前記ジョブを実行させた画像形成装置1あるいは異なる画像形成装置1でジョブを実行するときは、この保存したQRコードを利用する。
【0076】
この際、ステップS44で、携帯端末2内に、QRコードに含まれる設定情報を赤外線通信により送信するためのリモコンアプリケーションソフトがあるかどうかを判断し、あれば(ステップS44でYES)、ステップS47に進む。
【0077】
リモコンアプリケーションソフトがなければ(ステップS44でNO)、ステップS45で、QRコードから、アプリケーションソフトの格納先URLを抽出し、ステップS46で前記URLにアクセスして、リモコンアプリケーションソフトを取得したのち、ステップS47に進む。
【0078】
ステップS47では、前記アプリケーションソフトを実行することにより、QRコードに含まれていた設定情報及び認証情報を、赤外線通信部29を介して画像形成装置1に送信して、携帯端末2側の処理を終了する。
【0079】
画像形成装置1では、ステップS35で、送信された設定情報と認証情報を赤外線通信部108を介して受信したのち、ステップS36で、受信した認証情報を用いてユーザ認証を行う。
【0080】
認証が成功すると、ステップS37で、受信した設定情報に従ってジョブを実行し、処理を終了する。前記受信した設定情報は、前回実行したジョブの設定情報と同じであるから、前回と同一のジョブが実行される。
【0081】
このように、この実施形態では、ユーザが最初に入力した認証情報が、設定情報と共にQRコードに含まれ、次回からのジョブの実行の際に認証情報として利用されるから、ユーザはもはや操作パネルから認証情報を入力する必要はなくなる。
【0082】
図7は、図1に示した画像形成システムの他の実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【0083】
この実施形態では、認証情報及び設定情報を携帯端末2側で入力しておき、これらの情報と暗号化のための公開鍵をQRコードに変換して、画像形成装置1へ受け渡し、画像形成装置1側ではQRコードに含まれた前記認証情報によりユーザ認証を行うと共に、ジョブの実行後は公開鍵により設定情報を暗号化した状態で、QRコードにより携帯端末2へ受け渡すものとなされている。
【0084】
まず、携帯端末2は、ステップS61で、認証情報の設定、ジョブの設定、暗号鍵の作成などを行うためのアプリケーションソフトを起動する。このアプリケーションソフトが携帯端末2内に存在しないときは、所定のアドレス先から取得する。
【0085】
次に、ステップS62で、携帯端末2内で公開鍵及び秘密鍵を生成する。鍵の元は、電話番号、携帯端末のシリアル番号、時間等を用いれば良く、容易に推測できないものから生成する。
【0086】
次に、ステップS63で、操作部22を使用して、ID、パスワード等の認証情報や、設定情報を入力する。そして、ステップS64で、QRコードに変換し表示部27に表示する。
【0087】
携帯端末2に表示されたQRコードを、ステップS51で、画像形成装置1に読み取らせる。読み取りは、QRコードリーダ112で行っても良いし、スキャナ部101を利用しても良い。
【0088】
次に、ステップS52で、読み取ったQRコードに含まれる認証情報を利用してユーザ認証を行う。また、QRコードに含まれる設定情報を利用してジョブの設定を行うが、必要に応じてステップS53で設定値を変更したのち、ステップS54でジョブを実行する。
【0089】
次いで、ステップS55で、設定情報を公開鍵で暗号化したうえでQRコードに変換し、ステップS56で、変換したQRコードを操作パネル104の表示部104bに表示する。
【0090】
ユーザはステップS65で、携帯端末2の撮影部21のカメラを起動したのち、ステップS66で、前記表示部104bに表示されたQRコード4を撮影し、ステップS67で、QRコードを秘密鍵で複合化し、ステップS68で記憶部23に保存する。そして、保存したデータを、ステップS69で、携帯電話のブラウザを用いて指定の宛先に送信したり、携帯端末2の表示部27に、前記宛先のアドレス情報を示すQRコードを表示して別の画像形成装置1に読み取らせ、宛先から取得した保存データを印刷させる。
【0091】
このように、この実施形態では、予め認証情報を携帯端末2で作成したQRコードに含ませているから、最初のジョブの実行に際しても、画像形成装置1でのユーザによる認証情報の入力は不要となり、使い勝手がよい。
【0092】
しかも、画像形成装置1の設定情報は公開鍵により暗号化されたうえでQRコードに変換されるから、設定情報にデータの宛先やデータ保存先などの機密情報が含まれていても、これらの設定情報を他人に読み取られることがなく、高いセキュリティを確保しながら、設定情報の受け渡しが可能となる。
【0093】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0094】
例えば、図5及び図6の実施形態では、携帯端末2に保存した設定情報を、赤外線通信により画像形成装置1へ送信する場合を示したが、画像形成装置から受け取ったQRコードを、そのまま次回以降のジョブの実行に際して画像形成装置1に読み取らせるものとしても良い。
【0095】
また、画像形成装置1の表示部104bにQRコードを表示させ、携帯端末2によりこれを撮影する構成としたが、QRコードを画像形成装置1のプリンタ部102で用紙にプリントさせ、このプリントされたQRコードを携帯端末2で撮影する構成であっても良い。
【0096】
また、設定情報や認証情報をQRコードに変換するものとしたが、PDF417、Maxiコード、Datamatrixなど他の二次元コードに変換するものとしても良い。また、二次元コードではなく、画像として表示でき、読み取ることができるデータに変換すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成図である。
【図2】画像形成装置の要部の機能構成図である。
【図3】携帯端末の要部の機能構成図である。
【図4】画像形成装置の操作パネルにQRコードが表示された状態の平面図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の他の実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明のさらに他の実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
2 携帯端末
4 QRコード
101 スキャナ部
102 プリンタ部(出力手段)
104 操作パネル
104b 表示部(出力手段)
105 制御部
106 記憶部
107 ネットワークインターフェイス部
108 赤外線通信部
109 認証部
110 データ変換部
111 データ解析部
112 QRコードリーダ
21 撮影部
23 記憶部
25 データ生成・変換部
26 制御部
27 表示部(出力手段)
28 データ解析部
29 赤外線通信部(出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と携帯端末とを備え、
前記画像形成装置は、
ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換する変換手段と、
変換された画像データを出力する出力手段と、
を備え、
前記携帯端末は、前記出力された画像データを撮影する撮影手段と、
撮影した画像データを保存する記憶手段と、
保存された画像データまたはこの画像データで示される設定情報を出力可能な出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成装置の出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データを用紙にプリントするプリント手段である請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記携帯端末の出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データに含まれる設定情報を送信可能な送信手段である請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記画像データには、ユーザの認証情報が含まれている請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像データには、携帯端末で保存された画像データに含まれる設定情報を送信するためのアプリケーションソフトの格納先のアドレス情報が含まれている請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記画像データは暗号化されている請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
暗号化のための秘密鍵、公開鍵は携帯端末で作成され、携帯端末は、作成した公開鍵を含むデータを画像データに変換して出力する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
画像データはQRコードである請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項9】
ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換する変換手段と、
変換された画像データを出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記出力手段は、画像データを表示する表示手段または画像データを用紙にプリントするプリント手段である請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像データには、ユーザの認証情報が含まれている請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像データには、携帯端末で保存された画像データに含まれる設定情報を送信するためのアプリケーションソフトの格納先のアドレス情報が含まれている請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像データは暗号化されている請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項14】
画像データはQRコードである請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項15】
ジョブの実行に関する設定情報が含まれるとともに、携帯端末から出力された画像データを読み取る読み取り手段と、
読み取られた画像データを解析して設定情報を抽出する解析手段と、
抽出された設定情報でジョブを実行するジョブ実行手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
前記画像データにはユーザの認証情報が含まれており、
この認証情報に基づいて、ユーザ認証を行うユーザ認証手段を備えている請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記画像データは暗号化されている請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項18】
画像データはQRコードである請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項19】
ジョブの実行に関する設定情報を画像データに変換するステップと、
変換された画像データを出力するステップと、
前記出力された画像データを携帯端末により撮影するステップと、
撮影した画像データを保存するステップと、
保存された画像データまたはこの画像データで示される設定情報を出力するステップと、
前記出力された画像データまたは設定情報を受領するステップと、
受領した画像データを解析して抽出された設定情報、または前記受領した設定情報でジョブを実行するステップと、
を含む画像形成装置におけるデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−36404(P2007−36404A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213526(P2005−213526)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】