説明

画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成処理プログラム

【課題】解像度を犠牲にすることなく、画像形成における安定性を向上させる。
【解決手段】画像信号メモリ11には、多値画像が展開される。ドットデータ生成部14は、画像信号メモリ11に展開された多値画像を、2値化用パターン(2値化ディザマトリクスパターン)12aに基づいて2値化する。画像形成部15は、この2値化結果に基づいて画像を形成する。ここで、2値化用パターン12aは、順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、順次点灯される第1番目から第n×n番目(但しnは任意の自然数)までの画素はn個×n個の正方形状に配列されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成技術に関し、特に、自然画像、グラフィック画像、色文字等の多値画像(Continuous Tone Image )を2値画像に変換する2値化ディザマトリクスパターンの技術、及び当該2値化ディザマトリクスパターンを用いて行う画像形成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の入力機器から取り込むあるいは作成する等して得られた、自然画像やグラフィック画像,色文字などの多値画像をプリンタ等の出力装置から出力する際には、この多値画像を色材(インクやトナー等;以下、ドットという場合もある)のON/OFFで表現するために、2値化処理を行う必要がある。
【0003】
この2値化手法のひとつとしてディザ法が知られている。ディザ法は、多値画像における特定のピクセル(対象ピクセル)の値と予め設定された閾値との大小を比較することによって画素の階調濃度を決定し、予め用意した2値化ディザマトリクスパターンを用い、この画素の階調濃度に応じて各対象ピクセルについてドットのON/OFFを決定する手法である。
【0004】
このような2値化ディザマトリクスパターンに関し、例えば特許文献1には、モアレ(Moire:複数の幾何学模様が相互干渉して生じる反復模様)などのアーティファクト(Artifact:人工的な模様)を軽減することのできる2値化ディザマトリクスパターンが開示されている。この2値化ディザマトリクスパターンは、そのほぼ図心位置に関して点対称の位置に複数の特定点を備え、これらの特定点に近い画素から順に、点灯画素に隣接する画素を優先的に点灯させることによって、それぞれ連続的な網点ドットを生成し、この2値化ディザマトリクスパターンを構成するほぼ半数の画素まで順番に点灯させた際に、この2値化ディザマトリクスパターンにおいて点灯画素と非点灯画素とが市松模様を形成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−167492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の2値化ディザマトリクスパターンにおいては、既に配置した点灯画素の重心位置がなるべく移動しないようにして、形成画像をなるべく歪ませないようにすることが最重視されていたため、例えば図11に示すように、順次点灯される複数の画素を、特定点xを中心とする同心円形状に配置するようにしていた。ところが、2値化ディザマトリクスパターンは、正方形である各画素をマトリクス状に並べて形成されるため、隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長Lは、その網点ドットの総面積に比べて長くなる傾向があった。
【0007】
ここで、この網点ドットの総面積に対する周囲長Lが長いと、記録後の網点ドットが紙面などの記録媒体からはがれ易くなり、形成画像の安定性が低下する。従来は、網点ドットの総面積を広くすることで網点ドットがはがれ難くしていたが、このことが、形成画像の解像度を高める上での障害となっていた。
【0008】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、解像度を犠牲にすることなく、画像形成における安定性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これより説明する画像形成方法のうちのひとつは、多値画像を記憶領域に展開する展開ステップと、該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成ステップとを備え、該2値化ディザマトリクスパターンは、順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第n×n番目(但しnは任意の自然数)までの画素はn個×n個の正方形状に配列されている、というものである。
【0010】
このようにすると、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長は、その網点ドットの総面積において最短になる。
【0011】
なお、この2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第n×n+1番目から第n×(n+1)番目までの画素は、該n個×n個の正方形状に配列された画素配列の4つの辺のうちで点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺に隣接する1列に並べられて配列されることによって、該第1番目から該第n×(n+1)番目までの画素がn個×(n+1)個の矩形形状に配列されているようにすることができる。
【0012】
このようにすると、このときまでに既に配置した点灯画素の重心位置の移動が少ない。
なお、この2値化ディザマトリクスパターンにおいて、該第n×n+1番目から該第n×(n+1)番目までの画素は、該辺に隣接する1列のうちで点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されており、該第1番目の画素からの距離が同一の場合には、該隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列されているようにすることができる。
【0013】
このようにすると、このときまでに既に配置した点灯画素の重心位置の移動が更に少ない。
【0014】
また、この2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第n×(n+1)+1番目から第(n+1)×(n+1)番目までの画素は、該n個×(n+1)個の矩形形状に配列された画素配列の2つの長辺のうちで点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺に隣接する1列に並べられて配列されることによって、該第1番目から該第(n+1)×(n+1)番目までの画素が(n+1)個×(n+1)個の正方形状に配列されているようにすることができる。
【0015】
このようにすると、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長は、その網点ドットの総面積において最短になる。
【0016】
なお、この2値化ディザマトリクスパターンにおいて、該第n×(n+1)+1番目から該第(n+1)×(n+1)番目までの画素は、該長辺に隣接する1列のうちで点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されており、該第1番目の画素からの距離が同一の場合には、該隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列されているようにすることができる。
【0017】
このようにすると、このときまでに既に配置した点灯画素の重心位置の移動が少ない。
また、これより説明する画像形成方法のうちの別のひとつは、多値画像を記憶領域に展開する展開ステップと、該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成ステップとを備え、該2値化ディザマトリクスパターンは、1つずつ順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第n×n−4番目(但しnは4以上の任意の自然数)までの画素は、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状に配列されている、というものである。
【0018】
このようにすると、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長は、その網点ドットの総面積において短くなると共に、形成画像のザラつき感が緩和される。
【0019】
なお、この2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第(n−1)×n−4番目までの画素は、(n−1)個×n個の矩形形状から4隅を除いた形状に配列されているようにすることができる。
【0020】
このようにすると、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長は、その網点ドットの総面積において短くなると共に、形成画像のザラつき感が緩和される。
【0021】
また、この2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第m番目(mは2以上の自然数)までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにすることができる。
【0022】
このようにすると、インクの付着面積が広くなるので、形成画像の安定性が向上する。
なお、前述した画像形成方法において、該記憶領域に展開された多値画像の階調特性を、予め用意されている所定の特性に変更に変更する階調特性変更ステップを更に備え、該画像形成ステップは、該階調特性変更ステップによる階調特性の変更後の多値画像を2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成するようにすることができる。
【0023】
このようにすることにより、トーンカーブ等の調節を容易に行うことができ、又、モアレやアーティファクトを軽減させることができる。
【0024】
また、これより説明する画像形成方法のうちの更なる別のひとつは、多値画像を記憶領域に展開する展開ステップと、該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成ステップとを備え、該2値化ディザマトリクスパターンは、複数の画素をマトリクス状に配列したパターンであって、複数の該画素を点灯順に管理する点灯画素領域パターンと複数の該画素を消灯順に管理する消灯画素領域パターンとして構成されており、画像形成ステップは、該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとを市松模様または市松模様に類似した模様に類似した模様に配列し、該市松模様の配列において隣接する一対の該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとにより、該多値画像を構成している各画素の画素値に対応する階調を表現して該画像を形成する、というものである。
【0025】
このようにして、ドットの消灯順についても管理をするようにすると、アーティファクトの発生が抑制される。
【0026】
なお、これより説明する画像形成装置は、前述した画像形成方法を実施するものである。また、これより説明する画像形成処理プログラムは、演算処理装置で実行させることによって、前述した画像形成方法を実施するものである。これらによれば、前述した画像形成方法と同様の作用・効果を奏する。
【発明の効果】
【0027】
以上の要件を有する方法及び装置によれば、解像度を犠牲にすることなく、画像形成における安定性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を実施する印刷システムの機能構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の印刷システムのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図3】階調特性変更部のルックアップテーブルにより表されている補正カーブの例を示す図である。
【図4】制御処理の処理内容をフローチャートで示した図である。
【図5】ドットデータの生成結果の一例を示す図である。
【図6】2値化ディザマトリクスパターンの第一の例を示した図である。
【図7】2値化ディザマトリクスパターンの第二の例を示した図である。
【図8】2値化ディザマトリクスパターンの第三の例を示した図である。
【図9】2値化ディザマトリクスパターンの第四の例を示した図である。
【図10】2値化ディザマトリクスパターンの第五の例を示した図である。
【図11】従来の2値化ディザマトリクスパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を実施する画像形成装置である、印刷システムの機能構成を模式的に示す図、図2はその印刷システムのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【0030】
本印刷システム1は、図2に示すように、パーソナルコンピュータ(Personal Computer :PC)2と印刷装置3とを備えて構成され、PC2によって作成若しくは取得した多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンを用いて2値化することによって、各ドットのON/OFFを制御し、この2値化結果に基づいて画像を形成(印刷)する。また、本印刷システム1は、多値画像を、紙やフィルム,印刷版等の記録媒体の表面に付着させる色材の微少なドット(網点)の大小によって表現するようになっており、単位面積当たりのドットの面積比によって画像の濃度を表現する。
【0031】
印刷装置3は、例えば、レーザビームプリンタ,LEDプリンタ,オフセット印刷機等の印刷装置の、印刷用紙等の記録媒体上に色材(トナーやインキ等)を形成(打点)することにより画像を形成(印刷)するものであって、記録媒体上に形成する色材(ドット)の面積によって多値画像(連続色調画像)の階調を再現するようになっている。
【0032】
印刷装置3は、CPU(Central Processing Unit :中央処理装置)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、及び画像形成部34を備えて構成されている。ROM32には、後述する、色演算部10、階調特性変更部13及びドットデータ生成部14を実現するためのアプリケーションプログラムが格納されており、CPU31がROM32から上記アプリケーションプログラムを実行することにより、図1の色演算部10、階調特性変更部13、ドットデータ生成部14としての機能(その詳細については後述)が実現され、本発明に係る画像形成方法が実施される。
【0033】
なお、本実施形態において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。又、オペレーションシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは少なくともCPU(Central Processing Unit :中央処理装置)等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを備えている。本実施形態においては、PC2及び印刷装置3が、コンピュータとしての機能をそれぞれ有している。
【0034】
また、色演算部10、階調特性変更部13、ドットデータ生成部14としての機能を実現するためのアプリケーションプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、DVD、DVD−R、DVD−R/W、磁気ディスク、光ディスク、及び光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータは、その記録媒体からアプリケーションプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し格納して用いる。なお、このようなプログラムを、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。ここで、色演算部10、階調特性変更部13、及びドットデータ生成部14としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態では印刷装置3のROM32やRAM33)に格納されたアプリケーションプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサ(本実施形態では印刷装置3のCPU31)によって実行される。このとき、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行するようにしてもよい。
【0035】
更に、本実施形態における記録媒体としては、上述したものの他に、ICカード、ROMカートリッジ、磁気テープ、パンチカード、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)、外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等のコンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0036】
本印刷システム1は、多値画像の画像信号に基づいて、紙やフィルム、印刷版等の記録媒体の表面にドットを生成するようになっており、図1に示すように、色演算部10,画像信号メモリ(記憶領域)11、パターンメモリ12、階調特性変更部13、ドットデータ生成部14、及び画像形成部15としての機能を備えて構成されている。
【0037】
色演算部10は、多値画像の画像信号に関する色演算を行うものであって、入力された画像信号(例えば、0〜255の画素値で表わされている)に対し、色修正、階調補正、墨版形成、下色除去、及び鮮鋭度強調等の種々の処理を行う。
【0038】
画像信号メモリ11は、色演算部10によって処理された画像信号を記憶するものであって、多値画像を展開する記憶領域として機能するものであり、印刷装置3のRAM33が使用される。
【0039】
パターンメモリ12は、後述するような、順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列した2値化ディザマトリクスパターン(以下、2値化用パターンという場合もある)12aを格納するものである。なお、実際は、RAM33やROM32、その他の記憶媒体(例えばPC2の記憶装置等)に、アプリケーションプログラムが格納されており、印刷装置3のCPU31がこのアプリケーションプログラムを実行することによりパターンメモリ12が実現され、これによりパターンメモリ12に2値化用パターン12aが格納されているものとみなすことができる。
【0040】
階調特性変更部13は、画像信号メモリ11の記憶領域に展開された多値画像の階調特性を、予め用意されているルックアップテーブルに基づいて補正するものである。このルックアップテーブルで示されている入力と出力との関係を示した補正カーブの例を図3に示す。
【0041】
図3において、横軸の「入力」は、画像信号における各画素の画素値であり、縦軸の「出力」は補正後の画素値を示している。
【0042】
ここで、画素値の取り得る範囲が0〜255である場合を想定すると、画素値「0」が「0%」に相当し、画素値「255」が「100%」に相当する。つまり、図3に示されている特性の例では、画像信号における各画素の画素値が「0」(入力「0%」)のときは、補正後の画素値も「0」(出力「0%」)となり、画像信号における各画素の画素値が「255」(入力「100%」)のときは、補正後の画素値も「255」(出力「100%」)となっている。一方、画像信号における各画素の画素値が「127」のとき(すなわち、入力「50%」のとき)は、出力は「102」(出力「40%」)となっている。
【0043】
階調特性変更部13は、このルックアップテーブルに基づいて画像信号の画素値を変換し、変換後の値をドットデータ生成部14に渡す。ここで、このルックアップテーブルの対応関係を変更することにより、多値画像の階調特性を任意に変更することができる。すなわち、このルックアップテーブルを変更することで、例えば、トーンカーブ等の調節を容易に行うことができ、又、モアレやアーティファクトを軽減させることができる。
【0044】
なお、本実施形態においては階調特性変更部13によって画像信号の画素値を変換しているが、例えば、階調特性変更部13による画素値の変換を行わないようにしてもよい。
【0045】
ドットデータ生成部(2値化処理部)14は、階調特性変更部13から入力される画像信号を、パターンメモリ12に記録されている2値化用パターン12aを用いて2値化して、画像形成部15によってドットを記録媒体上に定着させるためのデータ(ドットデータ)を生成するものである。
【0046】
具体的には、ドットデータ生成部14は、階調特性変更部13による変換後の値を予め設定された閾値と比較して、2値化用パターン12aにおいて点灯すべき画素数を求めた後、2値化用パターン12aに設定された点灯順序に従って、求めた画素数と一致するまで点灯させるようなドットデータを生成する。すなわち、ドットデータ生成部14は、2値化用パターン12aに設定された点灯順序に従って、点灯順序の開始画素から、求めた画素数と一致する点灯順番が設定された画素までを点灯順序に従って選択する(点灯させる)ことにより、色材を形成する画素を決定し、この情報に基づいてドットデータを生成する。
【0047】
画像形成部15は、図2の画像形成部34に相当するものであり、ドットデータ生成部14によって生成されたドットデータに従って記録媒体にドットを定着させて画像形成を行うものである。すなわち、画像信号メモリ11に展開された多値画像がドットデータ生成部14により2値化され、この2値化結果に基づいて画像形成部15が画像を形成する。例えば、静電印刷方式を採用している印刷装置3では、露光装置等がこの画像形成部15として機能する。なお、この場合には、ドットデータ生成部14により、露光用データがドットデータとして生成される。
【0048】
次に図4について説明する。図4は、印刷装置3のCPU31によって実行される制御処理の処理内容をフローチャートで示したものである。
【0049】
CPU31は、前述したアプリケーションプログラムを、印刷装置3のROM32やRAM33)から読み出して実行することで、この制御処理を行えるようになる。なお、CPU31は、所定の印刷開始指示をPC2から受け取ることでこの制御処理を開始する。
【0050】
CPU31は、この制御処理を開始すると、まず、S101において、後述する2値化用パターン12aを、RAM33における所定の記憶領域に格納する処理を行う。この処理により、RAM33をパターンメモリ12として機能させることができるようになる。
【0051】
次に、CPU31は、S102において、PC2から送られてくる多値画像の画像信号を取り込む処理を行う。
【0052】
次に、CPU31は、S103において、色演算処理を実行し、S102の処理によって取り込んだ画像信号に対し、色修正、階調補正、墨版形成、下色除去、鮮鋭度強調等の種々の処理を施す。CPU31は、このS103の処理を実行することで、色演算部10として機能する。
【0053】
次に、CPU31は、S104において、画像信号展開処理を実行し、S103の色演算処理後の画像信号(多値画像)を、画像信号メモリ11として機能するRAM33の所定の記憶領域に展開する処理を行う。
【0054】
次に、CPU31は、S105において、S104の画像信号展開処理により画像信号メモリ11に展開しておいた画像信号に対し、階調特性変更処理(画像信号で示されている各画素値の変更処理)を必要に応じて行う。CPU31は、このS105の処理を実行することで、階調特性変更部13として機能する。
【0055】
次に、CPU31は、S106において、画像信号2値化処理を実行し、画像信号メモリ11上の画像信号を、パターンメモリ12に格納されている2値化用パターン12aを用いて2値化してドットデータを生成する。CPU31は、このS106の処理を実行することで、ドットデータ生成部14として機能する。
【0056】
次に、CPU31は、S107において、画像形成処理を実行して画像形成部15の制御を行い、S106の画像信号2値化処理により生成されたドットデータに従って記録媒体にインクを定着させることで画像形成を行わせる。
【0057】
次に、CPU31は、S108において、画像形成を済ませたものに続く次の画像信号がPC2から送られてきているか否かを判定する処理を行う。ここで、次の画像信号が送られてきていると判定したとき(判定結果がYesのとき)には、S102へと処理を戻して上述した処理を繰り返す。一方、ここで、次の画像信号が送られてきていないと判定したとき(判定結果がNoのとき)には、この図4の制御処理を終了する。
【0058】
以上の制御処理をCPU31が行うことにより、PC2から送られてくる画像信号に基づいた画像の形成が印刷装置3において行われる。
【0059】
次に、ドットデータ生成部14が画像信号メモリ11上の画像信号を2値化するために用いられる2値化用パターン12aについて説明する。
【0060】
なお、以下の説明では、ドット(色材)を定着させることを「黒色ドットを点灯する」と表現し、ドット(色材)を定着させないようにすることを「黒色ドットを消灯する」若しくは「白色ドットを点灯する」と表現することとする。従って、実際のドット(色材)の色は黒色に限定されるものではなく、また、ドットを定着させる記録媒体の色も白色に限定されるものではない。
【0061】
次に図5について説明する。図5は、ドットデータ生成部14によるドットデータの生成結果の一例を示しており、階調特性変更部13による補正後の画素値が、画素値の取り得る範囲のちょうど中間の値であった場合(例えば、画素値の取り得る範囲が0〜255であれば、画素値の「ちょうど中間」の値は「128」)における生成結果を示している。
【0062】
この場合には、記録媒体において、黒色ドットを点灯させる面積と白色ドットを点灯する(すなわち黒色ドットを消灯する)面積とが等しくなるようにドットデータを生成することで、画素値が「ちょうど中間」の値であるときの階調を表現する。また、このときにおけるドットデータの生成パターンは、図5に示すように、黒色ドットを順次点灯させる画素領域(黒色ドット点灯画素領域B)と黒色ドットを順次消灯させる画素領域(黒色ドット消灯画素領域W、これはすなわち白色ドットを順次点灯させる画素領域)とにより市松模様が形成されるようにして、黒色ドットが点灯している画素領域と黒色ドットが消灯している(白色ドットが点灯している)画素領域との配置の偏りを無くし、アーティファクトの発生を抑制している。
【0063】
なお、この図5の例では、黒色ドット点灯画素領域Bと黒色ドット消灯画素領域Wとにより完全な市松模様が形成されているが、形成する市松模様は完全なものでなくても、市松模様に類似した模様であってもよい。なお、ここで、「市松模様に類似した模様」とは、市松模様から、p画素分の点灯画素を消灯画素に変えると共に、同一画素数(すなわちp画素)分の消灯画素を点灯画素に変えた模様のことをいい、本願においては、特に、pの値が8以下のものを「市松模様に類似した模様」と称することとする。なお、このpの値を8とする場合には、正方形状の完全な市松模様における四隅近傍の点灯画素及び消灯画素の2画素ずつを入れ替えた模様が好適である。
【0064】
ここで、本実施形態においては、階調特性変更部13による補正後の画素値が、上述した「ちょうど中間」の値以下の場合には、図5における黒色ドット点灯画素領域B内で、2値化用パターン12aに設定された点灯順序に従い、前述したようにして求めた画素数と一致するまで黒色ドットを順次点灯させる。一方、階調特性変更部13による補正後の画素値が、上述した「ちょうど中間」の値よりも大きい場合には、黒色ドット点灯画素領域Bに隣接する黒色ドット消灯画素領域W内で、2値化用パターン12aに設定された消灯順序に従い、前述したようにして求めた画素数と一致するまで黒色ドットを順次消灯する(より正確には、黒色ドットを全点灯させて当該領域Wが黒色ドットで埋め尽くされている状態から、前述したようにして求めた画素数と一致するまで黒色ドットを順次消灯する)。
【0065】
このように、本実施形態では、ドットの点灯順を管理する点灯画素領域と、ドットの消灯順を管理する消灯画素領域とを市松模様または市松模様に類似した模様に配列し、隣接する一対の点灯画素領域と消灯画素領域とによって多値画像を構成している各画素の画素値に対応する階調を表現することにより、画像の形成を行う。このようにして、ドットの点灯順だけでなく、ドットの消灯順についても管理をするようにすると、特に、多値画像を構成している各画素の画素値における「ちょうど中間」の値よりも大きい場合において、アーティファクトの発生が抑制される。
【0066】
以下、点灯画素領域及び消灯画素領域における2値化ディザマトリクスパターンについて、幾つかの例を挙げて説明する。
【0067】
まず図6について説明する。図6は、2値化ディザマトリクスパターンの第一の例を示している。
【0068】
図6において、(a)は、白色のドットの点灯順(全点灯させた黒色のドットからの消灯順)を示したものであり、(b)は、黒色のドットの点灯順を示したものである。
【0069】
なお、図6及び以降の各図により例示されている2値化ディザマトリクスパターンにおいて、マス目の位置が各ドットの位置を示しており、各マスに付されている番号が、その位置のドットの点灯順序を示している。なお、各図において、白色のドットの点灯順序は、付されている番号の昇順であり、黒色のドットの点灯順序は、付されている番号の降順である。
【0070】
図6に示した第一の例は、順次点灯される第1番目から第n×n番目(但しnは任意の自然数)までの画素が、n個×n個の正方形状に配列されている例を示している。
【0071】
図6の(a)において、例えば、順次点灯される第1番目から第9番目(すなわちn=3)までの点灯順である各画素に注目すると、これらの画素は3個×3個の正方形状に配列されている。また、例えば、順次点灯される第1番目から第16番目(すなわちn=4)までの点灯順である各画素に注目すると、これらの画素は4個×4個の正方形状に配列されている。
【0072】
また、図6の(b)においても同様であり、例えば、順次点灯される第1番目から第9番目(すなわちn=3)までの点灯順である各画素、すなわち、図6の(b)において「99」から「91」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目すると、これらの画素は3個×3個の正方形状に配列されている。更に、例えば、順次点灯される第1番目から第16番目(すなわちn=4)までの点灯順である各画素、すなわち、図6の(b)において「99」から「84」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目すると、これらの画素は4個×4個の正方形状に配列されている。
【0073】
このように、図6に示した第一の例は、順次点灯される第1番目から第n×n番目までの画素がn個×n個の正方形状に配列されたものである。このような2値化用パターン12aに基づいた2値化をドットデータ生成部14が行うと、各画素の形状が正方形であるので、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長は、その網点ドットの総面積において最短になる。従って、図11に示したようなパターンを採用していた従来技術よりも、形成画像の安定性は向上する。つまり、網点ドットの総面積を広くするような処置を施さなくても形成画像の安定性が向上するので、形成画像の解像度を低下させずに済む。
【0074】
ところで、図6に示した第一の例では、順次点灯される第n×n+1番目から第n×(n+1)番目までの画素が、n個×n個の正方形状に配列された画素配列の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺に隣接する1列に並べられて配列されることによって、この第1番目から該第n×(n+1)番目までの画素がn個×(n+1)個の矩形形状に配列されている。
【0075】
図6の(a)において、例えば、順次点灯される第10番目から第12番目までの画素(すなわちn=3)に注目する。これらの画素は、3個×3個の正方形状に配列された画素配列(すなわち、第1番目から第9番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺(図においては、「1」の番号が付されている画素から4つの辺までの距離は同一であるので、任意に選択された、左から「4」、「2」、「8」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。そして、この配列により、点灯順が第1番目から第12番目までの画素が3個×4個の矩形形状に配列されている。
【0076】
また、図6の(a)において、例えば、順次点灯される第17番目から第20番目までの画素(すなわちn=4)に注目する。これらの画素は、4個×4個の正方形状に配列された画素配列(すなわち、第1番目から第16番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺(図においては、「1」の番号が付されている画素に近い辺は2つあるので、この2辺から任意に選択された、左から「15」、「6」、「5」、「9」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。そして、この配列により、点灯順が第1番目から第20番目までの画素が4個×5個の矩形形状に配列されている。
【0077】
また、図6の(b)においても同様である。例えば、順次点灯される第17番目から第20番目までの画素(すなわちn=4)、すなわち、「83」から「80」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。これらの画素は、4個×4個の正方形状に配列された画素配列(すなわち、第1番目から第16番目までの点灯順である、「99」から「84」までのいずれかの番号が付されている各画素により構成される画素配列)の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺(図においては、点灯順が第1番目である「99」の番号が付されている画素に近い辺は2つあるので、この2辺から任意に選択された、上から「91」、「95」、「94」、「85」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。そして、この配列により、点灯順が第1番目から第20番目までの画素が4個×5個の矩形形状に配列されている。
【0078】
このように、図6に示した第一の例は、順次点灯される第1番目から第n×(n+1)番目(但しnは任意の自然数)までの画素がn個×(n+1)個の矩形形状に配列されたものである。このような2値化用パターン12aに基づいた2値化をドットデータ生成部14が行うと、各画素の形状が正方形であるので、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長も、その網点ドットの総面積において最短になる。従って、図11に示したようなパターンを採用していた従来技術よりも、形成画像の安定性は向上する。つまり、網点ドットの総面積を広くするような処置を施さなくても形成画像の安定性が向上するので、形成画像の解像度を低下させずに済む。
【0079】
また、ここで、順次点灯される第n×n+1番目から第n×(n+1)番目までの画素が、n個×n個の正方形状に配列された画素配列の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺に隣接する1列に並べられて配列されるようにしている。これは、既に配置した点灯画素の重心位置がなるべく移動しないように配慮したものである。
【0080】
更に、この図6に示した第一の例では、順次点灯される第n×n+1番目から第n×(n+1)番目までの画素が、前述したn個×n個の正方形状に配列された画素配列の1辺に隣接する1列のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されている。更に、その第1番目の画素からの距離が同一の場合には、その隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列されている。
【0081】
図6の(a)において、例えば、順次点灯される第10番目から第12番目までの画素(すなわちn=3)に注目する。これらの画素は、3個×3個の正方形状に配列された画素配列(すなわち第1番目から第9番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺(図においては、前述したようにして選択された、左から「4」、「2」、「8」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。ここで、「10」の画素は、「11」及び「12」の画素よりも「1」の画素に近い位置に配置されている。なお、「11」及び「12」の画素は、「1」の画素からの距離は同一であり、また、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離も同一であるので、これらの画素の位置は任意に選択されている。
【0082】
また、図6の(a)において、例えば、順次点灯される第17番目から第20番目までの画素(すなわちn=4)に注目する。これらの画素は、4個×4個の正方形状に配列された画素配列(すなわち、第1番目から第16番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺(図においては、前述したようにして選択された、左から「15」、「6」、「5」、「9」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。ここで、「17」の画素は、「18」、「19」、及び「20」の画素よりも「1」の画素に近い位置に配置されている。次に、「18」の画素は、「1」の画素からの距離が「19」の画素と同一であるが、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離が「19」の画素よりも近い位置に配置されている。次に、「17」の画素は、「20」の画素よりも「1」の画素に近い位置に配置されている。そして、最後の点灯順である「20」の画素は、上記の辺に隣接する1列のうち残された位置に配置されている。
【0083】
また、図6の(b)においても同様である。例えば、順次点灯される第17番目から第20番目までの画素(すなわちn=4)、すなわち、「83」から「80」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。これらの画素は、4個×4個の正方形状に配列された画素配列(すなわち、第1番目から第16番目までの点灯順である、「99」から「84」までのいずれかの番号が付されている各画素により構成される画素配列)の4つの辺のうち、点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺(図においては、前述したようにして選択された、上から「91」、「95」、「94」、「85」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。ここで、「83」の画素は、「82」、「81」、及び「80」の画素よりも「99」の画素に近い位置に配置されている。次に、「82」の画素は、「99」の画素からの距離が「81」の画素と同一であるが、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離が「81」の画素よりも近い位置に配置されている。次に、「81」の画素は、「80」の画素よりも「99」の画素に近い位置に配置されている。そして、最後の点灯順である「80」の画素は、上記の辺に隣接する1列のうち残された位置に配置されている。
【0084】
このように、図6に示した第一の例は、順次点灯される第n×n+1番目から第n×(n+1)番目までの画素が、前述したn個×n個の正方形状に配列された画素配列の1辺に隣接する1列のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されている。更に、その第1番目の画素からの距離が同一の場合には、その隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列されている。この配列順も、既に配置した点灯画素の重心位置がなるべく移動しないように配慮したものである。
【0085】
更に、この図6に示した第一の例では、順次点灯される第n×(n+1)+1番目から第(n+1)×(n+1)番目までの画素が、前述したn個×(n+1)個の矩形形状に配列された画素配列の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺に隣接する1列に並べられて配列されることによって、順次点灯される第1番目から該第(n+1)×(n+1)番目までの画素が(n+1)個×(n+1)個の正方形状に配列されている。
【0086】
図6の(a)において、例えば、順次点灯される第13番目から第16番目までの画素(すなわちn=3)に注目する。これらの画素は、3個×4個の矩形形状に配列された画素配列(すなわち第1番目から第12番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺(図においては、2つの長辺の「1」の番号が付されている画素からの距離は同一であるので、この2つの長辺から任意に選択された、上から「6」、「3」、「4」、「11」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。そして、この配列により、点灯順が第1番目から第16番目までの画素が4個×4個の正方形状に配列されている。
【0087】
また、図6の(a)において、例えば、順次点灯される第21番目から第25番目までの画素(すなわちn=4)に注目する。これらの画素は、4個×5個の矩形形状に配列された画素配列(すなわち第1番目から第20番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺(図においては、上から「19」、「9」、「7」、「8」、「12」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。そして、この配列により、点灯順が第1番目から第25番目までの画素が5個×5個の正方形状に配列されている。
【0088】
また、図6の(b)においても同様である。例えば、順次点灯される第21番目から第25番目までの画素(すなわちn=4)、すなわち、「79」から「75」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。これらの画素は、4個×5個の矩形形状に配列された画素配列(すなわち第1番目から第20番目までの点灯順である、「99」から「80」までのいずれかの番号が付されている各画素により構成される画素配列)の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺(図においては、点灯順が第1番目である「99」の番号が付されている画素に近い長辺である、左から「81」、「91」、「93」、「92」、「88」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。そして、この配列により、点灯順が第1番目から第25番目までの画素が5個×5個の正方形状に配列されている。
【0089】
このように、図6に示した第一の例は、順次点灯される第1番目から第(n+1)×(n+1)番目までの画素が(n+1)個×(n+1)個の正方形状に配列されたものである。従って、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長は、その網点ドットの総面積において最短になるので、形成画像の安定性は向上する。
【0090】
更に、この図6に示した第一の例では、順次点灯される第n×(n+1)+1番目から第(n+1)×(n+1)番目までの画素が、前述した長辺(n個×(n+1)個の矩形形状に配列された画素配列の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺)に隣接する1列のうちで点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されている。更に、その第1番目の画素からの距離が同一の場合には、その隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列されている。
【0091】
図6の(a)において、例えば、順次点灯される第13番目から第16番目までの画素(すなわちn=3)に注目する。これらの画素は、3個×4個の矩形形状に配列された画素配列(すなわち第1番目から第12番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺(図においては、前述したようにして選択された、上から「6」、「3」、「4」、「11」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。ここで、ここで、「13」の画素は、「14」、「15」、及び「16」の画素よりも「1」の画素に近い位置に配置されている。次に、「14」の画素は、「1」の画素からの距離が「15」の画素と同一であるが、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離が「15」の画素よりも近い位置に配置されている。次に、「15」の画素は、「16」の画素よりも「1」の画素に近い位置に配置されている。そして、最後の点灯順である「16」の画素は、上記の辺に隣接する1列のうち残された位置に配置されている。
【0092】
また、図6の(a)において、例えば、順次点灯される第21番目から第25番目までの画素(すなわちn=4)に注目する。これらの画素は、4個×5個の矩形形状に配列された画素配列(すなわち第1番目から第20番目までの点灯順である各画素により構成される画素配列)の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺(図においては、前述したようにして選択された、上から「19」、「9」、「7」、「8」、「12」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。ここで、「21」の画素は、「22」、「23」、「24」、及び「25」の画素よりも「1」の画素に近い位置に配置されている。次に、「22」及び「23」の画素は、「24」及び「25」の画素よりも「1」の画素に近い位置に配置されている。なお、「22」の画素と「23」の画素とは、「1」の画素からの距離は同一であり、また、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離も同一であるので、これらの画素の位置は任意に選択されている。また、「24」の画素と「25」の画素とについても、「1」の画素からの距離は同一であり、また、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離も同一であるので、これらの画素の位置は任意に選択されている。
【0093】
また、図6の(b)においても同様である。例えば、順次点灯される第21番目から第25番目までの画素(すなわちn=4)、すなわち、「79」から「75」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。これらの画素は、4個×5個の矩形形状に配列された画素配列(すなわち第1番目から第20番目までの点灯順である、「99」から「80」までのいずれかの番号が付されている各画素により構成される画素配列)の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺(図においては、前述したようにして選択された、左から「81」、「91」、「93」、「92」、「88」の番号が付されている画素列の辺)に隣接する1列に並べられて配列されている。ここで、「79」の画素は、「78」、「77」、「76」、及び「75」の画素よりも「99」の画素に近い位置に配置されている。次に、「78」及び「77」の画素は、「76」及び「75」の画素よりも「99」の画素に近い位置に配置されている。なお、「78」の画素と「77」の画素とは、「99」の画素からの距離は同一であり、また、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離も同一であるので、これらの画素の位置は任意に選択されている。また、「76」の画素と「75」の画素とについても、「99」の画素からの距離は同一であり、また、上記の辺の中間の位置に近い位置からの距離も同一であるので、これらの画素の位置は任意に選択されている。
【0094】
このように、図6に示した第一の例は、順次点灯される第n×(n+1)+1番目から該第(n+1)×(n+1)番目までの画素が、前述した長辺(n個×(n+1)個の矩形形状に配列された画素配列の2つの長辺のうちで、点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺)に隣接する1列のうちで点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されている。更に、その第1番目の画素からの距離が同一の場合には、その隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列されている。この配列順は、既に配置した点灯画素の重心位置がなるべく移動しないように配慮したものである。
【0095】
次に図7について説明する。図7は、2値化ディザマトリクスパターンの第二の例を示している。
【0096】
図7において、(a)は、白色のドットの点灯順(全点灯させた黒ドットからの消灯順)を示したものであり、(b)は、黒色のドットの点灯順を示したものである。
【0097】
図7に示した第二の例は、順次点灯される第1番目から第n×n−4番目(但し、第二の例においては、nは4以上の任意の自然数)までの画素が、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状に配列されている例を示している。
【0098】
図7の(a)において、例えば、順次点灯される第1番目から第21番目(すなわちn=5)までの点灯順である各画素に注目する。すると、これらの画素は、5個×5個の正方形状から4隅(すなわち「22」、「23」、「28」、「33」の各番号が付されているマス目位置)を除いた形状に配列されている。また、例えば、順次点灯される第1番目から第32番目(すなわちn=6)までの点灯順である各画素に注目する。すると、これらの画素は、6個×6個の正方形状から4隅(すなわち「33」、「34」、「40」の各番号が付されているマス目位置、及び、番号が付されていない右下隅のマス目位置)を除いた形状に配列されている。
【0099】
また、図7の(b)においても同様である。例えば、順次点灯される第1番目から第21番目(すなわちn=5)までの点灯順である各画素、すなわち、図7の(b)において「99」から「79」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。すると、これらの画素は、5個×5個の正方形状から4隅(すなわち「78」、「77」、「72」、「66」の各番号が付されている各マス目位置)を除いた形状に配列されている。また、例えば、順次点灯される第1番目から第32番目(すなわちn=6)までの点灯順である各画素、すなわち、図7の(b)において「99」から「68」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。すると、これらの画素は、6個×6個の正方形状から4隅(すなわち「67」、「66」、「61」の各番号が付されている各マス目位置、及び、番号が付されていない右上隅のマス目位置)を除いた形状に配列されている。
【0100】
このように、図7に示した第二の例は、順次点灯される第1番目から第n×n−4番目(但しnは4以上の任意の自然数)までの画素が、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状に配列されている。このような2値化用パターン12aに基づいた2値化をドットデータ生成部14が行うと、各画素の形状が正方形であるので、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長を、その網点ドットの総面積において短くすることができる。従って、図11に示したようなパターンを採用していた従来技術よりも、形成画像の安定性は向上する。つまり、網点ドットの総面積を広くするような処置を施さなくても形成画像の安定性が向上するので、形成画像の解像度を低下させずに済む。更に、この第二の例では、第一の例とは異なり、順次点灯される第1番目から第n×n番目までの画素の配列は、n個×n個の正方形状を形成しない。このようにすることにより、図6に例示した第一の例に係る2値化ディザマトリクスパターンを用いて画像信号を2値化した場合に得られる形成画像に表れることがある、ザラつき感が緩和される。
【0101】
ところで、図7に示した第二の例では、順次点灯される第1番目から第(n−1)×n−4番目までの画素が、(n−1)個×n個の矩形形状から4隅を除いた形状に配列されている。
【0102】
図7の(a)において、例えば、順次点灯される第1番目から第26番目(すなわちn=6)までの点灯順である各画素に注目する。すると、これらの画素は、5個×6個の矩形形状から4隅(すなわち「27」、「28」、「33」、「40」の各番号が付されている各マス目位置)を除いた形状に配列されている。また、例えば、順次点灯される第1番目から第38番目(すなわちn=7)までの点灯順である各画素に注目する。すると、これらの画素は、6個×7個の矩形形状から4隅(すなわち「39」及び「40」の各番号が付されている各マス目位置、並びに、番号が付されていない右上隅及び右下隅のマス目位置)を除いた形状に配列されている。
【0103】
また、図7の(b)においても同様である。例えば、順次点灯される第1番目から第26番目(すなわちn=6)までの点灯順である各画素、すなわち、図7の(b)において「99」から「74」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。すると、これらの画素は、5個×6個の矩形形状から4隅(すなわち「73」、「72」、「66」、「61」の各番号が付されている各マス目位置)を除いた形状に配列されている。また、例えば、順次点灯される第1番目から第38番目(すなわちn=7)までの点灯順である各画素、すなわち、図7の(b)において「99」から「62」までのいずれかの番号が付されている各画素に注目する。すると、これらの画素は、6個×7個の矩形形状から4隅(すなわち「61」及び「60」の各番号が付されている各マス目位置、並びに、番号が付されていない左上隅及び右上隅のマス目位置)を除いた形状に配列されている。
【0104】
このように、図7に示した第二の例は、順次点灯される第1番目から第(n−1)×n−4番目までの画素が、(n−1)個×n個の矩形形状から4隅を除いた形状に配列されている。このような2値化用パターン12aに基づいた2値化をドットデータ生成部14が行うと、各画素の形状が正方形であるので、このときに隣接する点灯画素により形成される網点ドットの周囲長を、その網点ドットの総面積において短くすることができる。従って、形成画像の安定性は向上する。つまり、網点ドットの総面積を広くするような処置を施さなくても形成画像の安定性が向上するので、形成画像の解像度を低下させずに済む。更に、この第二の例では、第一の例とは異なり、順次点灯される第1番目から第(n−1)×n番目までの画素の配列は、(n−1)個×n個の矩形形状を形成しない。このようにすることにより、図6に例示した第一の例に係る2値化ディザマトリクスパターンを用いて画像信号を2値化した場合に得られる形成画像に表れることがある、ザラつき感が緩和される。
【0105】
なお、2値化ディザマトリクスパターンである画素の配列において、矩形形状から4隅を除いた形状に配列することで、形成画像に表れることがあるザラつき感を緩和する効果は、前述した、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状と、(n−1)個×n個の矩形形状から4隅を除いた形状とのみから得られるものではなく、m個×n個の矩形形状(但し、mは任意の自然数)から4隅を除いた形状であれば、当該4隅を除かないm個×n個の矩形形状とする場合との比較において同様の効果が認められる。 次に図8、図9、及び図10について説明する。図8、図9、及び図10は、2値化ディザマトリクスパターンの第三の例、第四の例、及び第五の例をそれぞれ示している。
【0106】
なお、図8、図9、及び図10において、(a)は、白色のドットの点灯順(全点灯させた黒ドットからの消灯順)を示したものであり、(b)は、黒色のドットの点灯順を示したものである。
【0107】
図8に示した2値化ディザマトリクスパターンの第三の例は、図7に示した第二の例において、順次点灯される第1番目から第2番目までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしたものであって、これに伴い、これ以降の各画素の点灯順を1つずつ繰り上げたものである。
【0108】
また、図9に示した2値化ディザマトリクスパターンの第四の例は、図7に示した第二の例において、順次点灯される第1番目から第3番目までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしたものであって、これに伴い、これ以降の各画素の点灯順を1つずつ繰り上げたものである。
【0109】
更に、図10に示した2値化ディザマトリクスパターンの第五の例は、図7に示した第二の例において、順次点灯される第1番目から第4番目までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしたものであって、これに伴い、これ以降の各画素の点灯順を1つずつ繰り上げたものである。
【0110】
このように、図7に示した2値化ディザマトリクスパターンの第二の例において、順次点灯される第1番目から第m番目(mは2以上の自然数)までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしてもよい。このようにしておくことにより、点灯順が第1番目の画素のみを孤立させて配置する場合よりも、インクの付着面積が広くなるので、形成画像の安定性を向上させることができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【0112】
例えば、上述した実施形態においては、階調特性変更部13が、画像信号における各画素の画素値の変換を、ルックアップテーブルを用いて行い、ドットデータ生成部14が、その変換後の画素値を、2値化用パターン12aを用いて2値化するようにしていた。この代わりに、ルックアップテーブルで表される補正特性を2値化用パターン12aに予め反映させておくようにし、ドットデータ生成部14が、画像信号における各画素の画素値を、補正特性を反映させておいた2値化用パターン12aを用いて2値化するようにして、階調特性変更部13を削除するようにしてもよい。
【0113】
なお、上記した実施の形態から次のような構成の技術的思想も導かれる。
(付記1)
多値画像を記憶領域に展開する展開ステップと、
該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成ステップとを備え、
該2値化ディザマトリクスパターンは、順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
隣接した2値化ディザマトリクスパターンによって制限される該2値化ディザマトリクスパターンの領域内において、順次点灯される第1番目から第n×n番目(但しnは任意の自然数)までの画素はn個×n個の正方形状に配列され、
第n×n+1番目から第n×(n+1)番目までの画素は、該n個×n個の正方形状に配列された画素配列の4つの辺のうちで点灯順が第1番目の画素に最も近いいずれかの辺に隣接する1列に並べられて配列されることによって、該第1番目から該第n×(n+1)番目までの画素がn個×(n+1)個の矩形形状に配列され、
該第n×n+1番目から該第n×(n+1)番目までの画素は、該辺に隣接する1列のうちで点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されており、該第1番目の画素からの距離が同一の場合には、該隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列され、
第n×(n+1)+1番目から第(n+1)×(n+1)番目までの画素は、該n個×(n+1)個の矩形形状に配列された画素配列の2つの長辺のうちで点灯順が第1番目の画素に近い方の長辺に隣接する1列に並べられて配列されることによって、該第1番目から該第(n+1)×(n+1)番目までの画素が(n+1)個×(n+1)個の正方形状に配列され、
該第n×(n+1)+1番目から該第(n+1)×(n+1)番目までの画素は、該長辺に隣接する1列のうちで点灯順が第1番目の画素に近い位置から順に配列されており、該第1番目の画素からの距離が同一の場合には、該隣接する1列における中間の位置に近い位置から順に配列されている、
ことを特徴とする画像形成方法。
(付記2)
多値画像を記憶領域に展開する展開ステップと、
該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成ステップとを備え、
該2値化ディザマトリクスパターンは、1つずつ順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
隣接した2値化ディザマトリクスパターンによって制限される該2値化ディザマトリクスパターンの領域内において、順次点灯される第1番目から第n×n−4番目(但しnは4以上の任意の自然数)までの画素は、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状に配列され、
第n×n−3番目と第n×n−2番目の画素は、n個×n個の正方形状の隣接する4隅に配置され、
第n×n−1番目から第n×(n+1)−4番目までの画素は、n個×n個の正方形状の1辺の大きさになっている辺に第1番目の画素に近い位置から順に1列に並べられて配列されることによって、該第1番目から該第n×(n+1)−4番目までの画素がn個×(n+1)個の矩形形状から4隅を除いた形状に配列され、
第n×(n+1)−3番目と第n×(n+1)−2番目の画素はn個×(n+1)個の矩形形状の隣接する短辺の4隅に配置され、
第n×(n+1)−1番目から第(n+1)×(n+1)−4番目までの画素は、(n+1)個×(n+1)個の正方形状の1辺の大きさになっている辺に第1番目の画素に近い位置から順に1列に並べられて配列されることによって、該第1番目から該第(n+1)×(n+1)−4番目までの画素が(n+1)個×(n+1)個の矩形形状から4隅を除いた形状に配列されている、
ことを特徴とする画像形成方法。
(付記3)
該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第m番目(mは2以上の自然数)までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしたことを特徴とする付記2に記載の画像形成方法。
(付記4)
該記憶領域に展開された多値画像の階調特性を、予め用意されている所定の特性に変更する階調特性変更ステップを更に備え、
該画像形成ステップは、該階調特性変更ステップによる階調特性の変更後の多値画像を2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する、
ことを特徴とする付記1に記載の画像形成方法。
(付記5)
多値画像を記憶領域に展開する展開ステップと、
該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成ステップとを備え、
該2値化ディザマトリクスパターンは、複数の画素をマトリクス状に配列したパターンであって、複数の該画素を点灯順に管理する点灯画素領域パターンと複数の該画素を消灯順に管理する消灯画素領域パターンとして構成されており、
画像形成ステップは、該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとを市松模様または市松模様に類似した模様に配列し、該市松模様の配列において隣接する一対の該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとにより、該多値画像を構成している各画素の画素値に対応する階調を表現して該画像を形成する、
ことを特徴とする画像形成方法。
(付記6)
多値画像が展開される記憶手段と、
該記憶手段に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備え、
該2値化ディザマトリクスパターンは、順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第n×n番目(但しnは任意の自然数)までの画素はn個×n個の正方形状に配列されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
(付記7)
多値画像が展開される記憶手段と、
該記憶手段に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備え、
該2値化ディザマトリクスパターンは、1つずつ順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第n×n−4番目(但しnは4以上の任意の自然数)までの画素は、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状に配列されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
(付記8)
該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第m番目(mは2以上の自然数)までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしたことを特徴とする付記7に記載の画像形成装置。
(付記9)
多値画像を記憶領域に展開する展開処理と、
該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成処理とを演算処理装置に行わせ、
該2値化ディザマトリクスパターンは、順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第n×n番目(但しnは任意の自然数)までの画素はn個×n個の正方形状に配列されている、
ことを特徴とする画像形成処理プログラム。
(付記10)
多値画像を記憶領域に展開する展開処理と、
該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成処理とを演算処理装置に行わせ、
該2値化ディザマトリクスパターンは、1つずつ順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第n×n−4番目(但しnは4以上の任意の自然数)までの画素は、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状に配列されている、
ことを特徴とする画像形成処理プログラム。
(付記11)
該2値化ディザマトリクスパターンにおいて、順次点灯される第1番目から第m番目(mは2以上の自然数)までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしたことを特徴とする付記10に記載の画像形成処理プログラム。
(付記12)
多値画像の2値化に用いられる2値化ディザマトリクスパターンであって、
順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
順次点灯される第1番目から第n×n番目(但しnは任意の自然数)までの画素はn個×n個の正方形状に配列されている、
ことを特徴とする2値化ディザマトリクスパターン。
(付記13)
多値画像の2値化に用いられる2値化ディザマトリクスパターンであって、
1つずつ順次点灯される複数の画素をマトリクス状に配列したパターンとして構成されており、
順次点灯される第1番目から第n×n−4番目(但しnは4以上の任意の自然数)までの画素は、n個×n個の正方形状から4隅を除いた形状に配列されている、
ことを特徴とする2値化ディザマトリクスパターン。
(付記14)
順次点灯される第1番目から第m番目(mは2以上の自然数)までの画素を画素塊として第1番目の点灯順にまとめて点灯させるようにしたことを特徴とする付記13に記載の2値化ディザマトリクスパターン。
【符号の説明】
【0114】
1 印刷システム
2 パーソナルコンピュータ(PC)
3 印刷装置
10 色演算部
11 画像信号メモリ
12 パターンメモリ
12a 2値化ディザマトリクスパターン
13 階調特性変更部
14 ドットデータ生成部
15、34 画像形成部
31 CPU
32 ROM
33 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多値画像を記憶領域に展開する展開ステップと、
該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成ステップとを備え、
該2値化ディザマトリクスパターンは、複数の画素をマトリクス状に配列したパターンであって、複数の該画素を点灯順に管理する点灯画素領域パターンと複数の該画素を消灯順に管理する消灯画素領域パターンとして構成されており、
該画像形成ステップは、該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとを市松模様または市松模様に類似した模様に配列し、該市松模様の配列において隣接する一対の該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとにより、該多値画像を構成している各画素の画素値に対応する階調を表現して該画像を形成する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
多値画像が展開される記憶手段と、
該記憶手段に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備え、
該2値化ディザマトリクスパターンは、複数の画素をマトリクス状に配列したパターンであって、複数の該画素を点灯順に管理する点灯画素領域パターンと複数の該画素を消灯順に管理する消灯画素領域パターンとして構成されており、
該画像形成手段は、該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとを市松模様または市松模様に類似した模様に配列し、該市松模様の配列において隣接する一対の該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとにより、該多値画像を構成している各画素の画素値に対応する階調を表現して該画像を形成する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
多値画像を記憶領域に展開する展開処理と、
該記憶領域に展開された多値画像を、2値化ディザマトリクスパターンに基づいて2値化し、その2値化結果に基づいて画像を形成する画像形成処理とを演算処理装置に行わせ、
該2値化ディザマトリクスパターンは、複数の画素をマトリクス状に配列したパターンであって、複数の該画素を点灯順に管理する点灯画素領域パターンと複数の該画素を消灯順に管理する消灯画素領域パターンとして構成されており、
該画像形成処理は、該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとを市松模様または市松模様に類似した模様に配列し、該市松模様の配列において隣接する一対の該点灯画素領域パターンと該消灯画素領域パターンとにより、該多値画像を構成している各画素の画素値に対応する階調を表現して該画像を形成する、
ことを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−209959(P2012−209959A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130587(P2012−130587)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【分割の表示】特願2008−200545(P2008−200545)の分割
【原出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】