説明

画像形成装置、および印刷方法

【課題】画像形成装置において、ユーザから要求された時間内で印刷処理を行えるようにする。
【解決手段】複数の画質で画像データを印刷できる画像形成装置に、複数の画質の各々に、その画質で1枚の画像データを印刷するために必要な必要印刷時間を対応付けた印刷時間情報を記憶する手段と、ユーザから、印刷対象の画像データの指定、および指定した画像データを印刷するための所要時間の入力を受け付け、印刷時間情報を参照し、その印刷時間情報の複数の画質の中から、受け付けた所要時間内で指定された画像データの印刷が可能な最善の画質を選択する手段と、その選択した画質で、指定された画像データを印刷するための印刷データを生成して、その生成した印刷データを印刷媒体に印刷する手段と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラで撮影した写真を、プリンタを利用して印刷することが行われている。また、ユーザが簡単に写真の印刷を行えるようにするため、ホストコンピュータなしで可搬性の記録媒体(メモリカード)やデジタルカメラから画像データを取得して印刷するダイレクト印刷機能を備えるプリンタも知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−6012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリンタで写真等のデータを印刷する場合、印刷処理にある程度の時間がかかる。すなわち、高画質(写真画質)で印刷しようとすれば、低画質(通常のドキュメントを印刷する画質)で印刷する場合に比べて印刷処理に長時間を費やしてしまう。そして、ユーザの都合により、印刷処理のための時間が限られてしまうことがある。例えば、5分後に、印刷した写真を持って外出したい場合、ユーザが印刷処理を待つことができる時間は5分に限られてしまう。また、例えば、各種のイベント、パーティ等にプリンタを持ち込み、その場で、デジタルカメラで撮影した写真をプリンタで印刷して参加者に配るような場合も、同様に、印刷処理のための時間が限られてしまうことがある。各種のイベント、パーティ等は、一般的に終了時刻等が決っているため、その場で印刷を行っても時間内に印刷が完了しないこともあるからである。したがって、プリンタが、ユーザから要求された時間内で印刷処理を完了させることができれば便利である。
【0005】
しかしながら、現状では、ユーザから要求された時間内で印刷処理を完了させる機能を持つプリンタは存在しない。なお、上記特許文献1は、ダイレクト印刷機能により、ユーザの印刷操作を簡略化にする技術であり、ユーザの都合に合わせた時間で印刷することを考慮したものではない。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、プリンタ等の画像形成装置において、ユーザから要求された時間内で印刷処理を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、外部からの画像データを受け付け、複数の画質で該画像データを印刷できる画像形成装置に適用される。
【0008】
そして、前記画像形成装置は、前記画質毎に、当該画質で1枚の画像データを印刷するために必要な必要印刷時間を対応付けた印刷時間情報を記憶する手段と、ユーザから、印刷対象の画像データの指定、および前記指定した画像データを印刷するための所要時間の入力を受け付け、前記印刷時間情報を参照し、前記印刷時間情報の複数の画質の中から、該所要時間内で前記指定された画像データの印刷が可能な最善の画質を選択する手段と、前記選択した画質で、前記指定された画像データを印刷するための印刷データを生成する印刷制御手段と、前記生成した印刷データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、を有する。
【0009】
また、前記画像形成装置であって、前記指定した画像データを印刷するための所要時間とは、前記指定した画像データを全て印刷するための時間であって、前記選択する手段は、前記指定された画像データの枚数および前記所要時間を用いて、1枚当たりの印刷時間を求め、該1枚当たりの印刷時間より小さい値の前記必要印刷時間に対応付けられている画質の中から、一番高い画質を選択することとしてもよい。
【0010】
また、前記画像形成装置であって、前記指定した画像データを印刷するための所要時間とは、前記指定した画像データの1枚当たりの印刷時間であって、前記選択する手段は、前記1枚当たりの印刷時間より小さい値の前記必要印刷時間に対応付けられている画質の中から、一番高い画質を選択することとしてもよい。
【0011】
また、前記画像形成装置であって、前記選択する手段は、前記印刷時間情報の中に、前記1枚当たりの印刷時間以下の値の必要印刷時間が無い場合、ユーザに、前記受け付けた所要時間で印刷できない旨を告知することとしてもよい。
【0012】
また、前記画像形成装置であって、前記印刷手段は、インクを吐出する印刷ヘッドと、該印刷ヘッドを搭載するキャリッジを駆動するキャリッジ駆動機構と、印刷媒体の給排紙を行なう給排紙機構とを備え、前記印刷データは、前記印刷手段を制御するためのデータであって、前記印刷ヘッドの動作、前記給排紙機構の駆動、および前記キャリッジの駆動を制御するためのデータが含まれていることとしてもよい。
【0013】
また、本発明の第2の態様は、外部からの画像データを受け付け、複数の画質で該画像データを印刷できる画像形成装置が行う印刷方法に適用される。ここで、前記画像形成装置は、前記画質毎に、当該画質で1枚の画像データを印刷するために必要な必要印刷時間を対応付けた印刷時間情報を記憶している。
【0014】
そして、前記画像形成装置は、ユーザから、印刷対象の画像データの指定、および前記指定した画像データを印刷するための所要時間の入力を受け付け、前記印刷時間情報を参照し、前記印刷時間情報の複数の画質の中から、該所要時間内で前記指定された画像データの印刷が可能な最善の画質を選択するステップと、前記選択した画質で、前記指定された画像データを印刷するための印刷データを生成するステップと、前記生成した印刷データを印刷媒体に印刷するステップと、を実行する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
先ず、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置の概略構成を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、ホストコンピュータなしで可搬性の記録媒体(メモリカード)45と直接接続して印刷する機能(ダイレクト印刷機能)を備えたダイレクトプリンタである。ただし、画像形成装置は、ホストコンピュータと接続し、ホストコンピュータのプリンタドライバから制御命令を受けて印刷を実行する機能も備えている。また、デジタルカメラがホストとなって、印刷を実行する機能も備えている。
【0018】
また、本実施形態の画像形成装置は、「写真画質解像度」、「写真+ドキュメント画質解像度」、および「ドキュメント画質解像度」の3種類の画質(解像度)で印刷ができるように構成されている。なお、上記の3種類の解像度のうち、「写真画質解像度」が1番高い解像度で、「写真+ドキュメント画質解像度」が2番目に高い解像度で、「ドキュメント画質解像度」が1番低い解像度であるものとする。本実施形態の画像形成装置は、ユーザから印刷のための所要時間(印刷時間)の入力を受け付ける。画像形成装置は、3種類の解像度の中から、受け付けた所要時間内で印刷できる最善の解像度(一番高い解像度)を選択し、選択した解像度で印刷を行う。
【0019】
具体的には、画像形成装置は、装置全体の動作を制御して印刷のための様々な処理を行うコントローラ10と、操作パネル20と、印刷を実行するプリンタエンジン30と、メモリカード読書装置40とを備えている。
【0020】
コントローラ10は、主制御装置であるCPU101と、プログラム等が記録されたROM102と、メインメモリとしてデータ等を一時的に格納するRAM103と、電源がOFFされても記憶内容を保持する不揮発性メモリ104と、操作パネル20等との入出力を制御するインタフェース105と、各装置間の通信経路となるシステムバス106とを有する。なお、インタフェース105には、各処理を専用に行うように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いることができる。なお、不揮発性メモリ104には、CPU101がプログラムの実行に必要な各種データが記憶されている。
【0021】
操作パネル20は、液晶ディスプレイ、操作ボタン等から構成され、ユーザから、印刷対象の画像データの選択を受け付けたり、印刷の実行要求を受け付けたりする。また、本実施形態の操作パネル20は、ユーザから、印刷時間の入力を受け付ける。
【0022】
プリンタエンジン30は、コントローラ10からの印刷データを用いて、印刷メディアに印刷処理を行う。なお、本実施形態では、プリンタエンジン30の具体的な構成について特に限定しない。以下の説明では、プリンタエンジン30は、インクを吐出する印刷ヘッド、および印刷ヘッドを搭載するキャリッジを駆動するキャリッジ駆動機構等からなる印刷機構と、印刷用紙等の印刷メディア(印刷媒体)の給排紙を行なう給排紙機構とを備えるものとする。
【0023】
メモリカード読書装置40は、メモリカード45を挿入するためのカードスロット(図示しない)を備えている。メモリカード読書装置40は、カードスロットに挿入されたメモリカード45に記録された画像データを読み出し、コントローラ10に送る。また、コントローラ10の命令に従って、メモリカード45に記録されている画像データを削除したり、書き換える処理を行う。
【0024】
次に、コントローラ10の特徴的な機能構成について図2のブロック図を参照して説明する。
【0025】
図2は、本実施形態のコントローラ10の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図示するように、コントローラ10は、ユーザインタフェース部110、画像データ読み書き部120、記憶部130、および印刷制御部140を有する。
【0027】
なお、各機能部は、ソフトウェアあるいはハードウェア的に実現することができる。例えば、上述したROM102に、ユーザインタフェース部110、画像データ読み書き部120、および印刷制御部140の機能を実現するための各プログラムを格納しておく。そして、ユーザインタフェース部110、画像データ読み書き部120、および印刷制御部140の機能は、CPU101が、ROM102に格納された各プログラムを実行することにより実現される。また、記憶部130は、ROM102およびRAM103の所定の領域に形成される。
【0028】
ユーザインタフェース部110は、操作パネル20を介して入力されたユーザからの要求を解析し、その要求に応じた処理がなされるように、各機能部に命令する処理を行う。また、ユーザインタフェース部110は、ユーザの操作を容易にするために、操作パネル20のディスプレイに様々な情報を表示する処理を行う。例えば、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20を介して、メモリカード45に記憶されている画像データの印刷要求を受け付ける。ユーザインタフェース部110は、印刷要求を受け付ける際、ディスプレイに各種の設定画面(図5参照)を表示し、印刷方法の指定等の各種設定を受け付ける。
【0029】
また、本実施形態では、ユーザインタフェース部110は、解像度を指定した印刷要求、および印刷する所要時間(印刷時間)を指定した印刷要求のうちのいずれかを択一的に受け付ける。ユーザインタフェース部110は、ユーザからの解像度を指定した印刷要求を受け付けると、その指定された解像度で印刷処理を行うように印刷制御部140を制御する。ユーザインタフェース部110は、ユーザからの印刷のための所要時間を指定した印刷要求を受け付けると、受け付けた所要時間内で印刷できる最善の解像度(一番高い解像度)を選択し、選択した解像度で印刷を行うように印刷制御部140を制御する。
【0030】
画像データ読み書き部120は、メモリカード読書装置40を介して、メモリカード45に記憶されている画像データを読み出す。具体的には、画像データ読み書き部120は、ユーザインタフェース部110からメモリカード45に記憶されている画像データの読み出し要求を受付け、その受け付けた画像データをメモリカード45から読み出す。
【0031】
記憶部130は、印刷対象の画像データの解像度を求めるための印刷時間テーブル1300を記憶している。ここで、印刷時間テーブル1300を図3に示す。
【0032】
図3は、本実施形態の印刷データテーブルのデータ構造を模擬的に示した図である。
【0033】
図示するように、印刷データテーブル1300は、印刷する画質(解像度)に、その解像度で印刷するために必要な時間(必要印刷時間)を対応付けたデータである。具体的には、印刷データテーブル1300は、解像度を示すデータを登録するためのフィールド1301と、フィールド1301に登録された解像度で1枚の画像データを印刷するために必要な時間を示すデータを登録するためのフィールドと、を備えて1つのレコードが構成される。
【0034】
フィールド1301に「写真画質解像度」が登録されているレコードでは、対応するフィールド1302に「120(秒)以上」が登録されている。これは、「写真画質解像度」で1枚の画像データを印刷するためには、少なくとも「120(秒)」の時間が必要であることを示している。フィールド1301に「写真+ドキュメント画質解像度」が登録されているレコードでは、対応するフィールド1302に「60(秒)以上」が登録されている。これは、「写真+ドキュメント画質解像度」で1枚の画像データを印刷するためには、少なくとも「60(秒)」の時間が必要であることを示している。また、フィールド1301に「ドキュメント画質解像度」が登録されているレコードでは、対応するフィールド1302に「30(秒)以上」が登録されている。これは、「ドキュメント画質解像度」で1枚の画像データを印刷するためには、少なくとも「30(秒)」の時間が必要であることを示している。なお、図3に示す数値は、あくまでも例示である。
【0035】
図2に戻り、説明を続ける。印刷制御部140は、画像データ読み書き部120が読み出した画像データを取得する。印刷制御部140は、取得した画像データを印刷処理のための印刷データに変換する。印刷制御部140は、画像データから変換した印刷データをプリンタエンジン30に出力し、プリンタエンジンに印刷処理を実行させる。
【0036】
続いて、本実施形態の画像形成装置が行う、印刷処理について図4および図5を用いて説明する。
【0037】
図4は、本実施形態の画像形成装置が行う印刷処理のフローチャートである。図5は、本実施形態の画像形成装置が印刷要求を受け付ける際、ディスプレイに表示する設定画面例の遷移図である。なお、以下は、メモリカード読書装置40のカードスロットに、複数枚の画像データを記憶したメモリカード45が挿入されている状態で行われる処理を例にしている。
【0038】
先ず、ユーザインタフェース部110は、印刷対象の画像データの選択を受け付ける(S1)。具体的には、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20のディスプレイに、印刷対象の画像データの選択を受け付ける設定画面500(図5参照)を表示し、ユーザからの画像データの選択を受け付ける。
【0039】
設定画面500では、「全て印刷(ここでは、メモリカード45に記憶している画像データを全て印刷)」、および「選んで印刷(ここでは、メモリカード45に記憶している画像データを選んで印刷)」のいずれかを選択するように促している。ユーザは、操作パネル20に設けられた操作ボタン等を用いて、設定画面500上で、「全て印刷」および「選んで印刷」のうちのいずれかを選択して入力する。
【0040】
ユーザインタフェース部110は、「全て印刷」が入力された場合、メモリカード45に記憶している全ての画像データを印刷対処の画像データとして受け付ける。一方、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20を介し、「選んで印刷」の入力を受け付けると、ディスプレイに設定画面510(図5参照)を表示する。ここで、設定画面510について説明する。
【0041】
設定画面510は、ユーザから、印刷する画像データの選択を受け付けるための画面であり、図示する例では、中央に選択する対象の画像データを表示するための領域511が設けられている。具体的には、ユーザインタフェース部110は、メモリカード読み書き部120を介し、メモリカード45に記憶されている画像データ(或いは、画像データのサムネイル)を順次読み出し、画面510の領域511に読み出した画像データを表示する。そして、ユーザは、画面510の領域511にある画像データを見ながら、操作ボタン等を操作し、印刷対象の画像を選択していく。ユーザインタフェース部110は、ユーザが選択した画像データを印刷対象の画像データとして受け付ける。
【0042】
つぎに、ユーザインタフェース部110は、印刷方法の設定を受け付け(S2)、その受け付けた印刷方法が「印刷時間」の選択の場合にS3に進み、受け付けた印刷方法が「印刷時間」の選択でなければ、S11の処理に進む。具体的には、S2では、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20のディスプレイに、印刷方法の選択を受け付ける設定画面520(図5参照)を表示し、ユーザからの印刷方法の選択を受け付ける。ここで、設定画面520について説明する。
【0043】
設定画面520は、ユーザから印刷方法の選択を受け付けるための画面である。印刷方法として、解像度を指定した印刷方法(「解像度を選択」)と、印刷時間を指定した印刷方法(「印刷時間を選択」)とが選択できるように構成されている。ユーザは、設定画面520を見ながら、操作パネル20に設けられた操作ボタン等を用いて、「解像度を選択」および「印刷時間を選択」のうちのいずれかを選択して入力する。そして、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20を介し、「解像度を選択」の入力を受け付けると、S11に進む。一方、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20を介し、「印刷時間を選択」の入力を受け付けると、S3に進む。
【0044】
S3では、ユーザインタフェース部110は、印刷時間の入力を受付ける。具体的には、ユーザインタフェース部110は、ユーザからの選択により、「画像データの1枚当たりの印刷時間(1枚の印刷時間)」および「印刷対象の画像データの全ての印刷時間(全ての印刷時間)」のうちのいずれかの印刷時間の入力を受け付ける。ユーザインタフェース部110は、「全ての印刷時間」が入力された場合、S4に進む。一方、ユーザインタフェース部110は、「1枚の印刷時間」が入力された場合、S4を行わずにS5に進む。
【0045】
具体的には、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20のディスプレイに、「1枚の印刷時間」、および「全ての印刷時間」のいずれかを選択させるための設定画面540(図5参照)を表示する。ユーザインタフェース部110は、「1枚の印刷時間」、および「全ての印刷時間」のいずれかを選択を受け付けると、ディスプレイに設定画面550(図5参照)を表示する。
【0046】
設定画面550は、ユーザから印刷時間の入力を受け付けるための画面である。ユーザは、操作パネル20に設けられた操作ボタン等を用いて、印刷時間の入力を行う。すなわち、ユーザは、画面540において、「1枚の印刷時間」を選択した場合、画面550上で、印刷対象の画像データの1枚当たりの印刷時間を入力する。ユーザは、画面540において、「全ての印刷時間」を選択した場合、画面550上で、印刷対象の画像データの全ての印刷時間を入力する。
【0047】
S4では、ユーザインタフェース部110は、1枚当たりの印刷時間を算出する。具体的には、ユーザインタフェース部110は、S3で受け付けた印刷対象の画像データの全ての印刷時間と、S1で受け付けた印刷対象の画像データの印刷枚数とを用いて、1枚当たりの印刷時間を算出する(「印刷時間」を「印刷枚数」で除算する)。
【0048】
なお、以下では、説明の便宜上、S3でユーザが入力した1枚当たりの印刷時間、および、S4で算出した1枚当たりの印刷時間の両者を「ユーザ入力印刷時間」という。
【0049】
つぎに、ユーザインタフェース部110は、印刷対象の画像データが「写真画質解像度」で印刷可能か否かの判定を行い(S5)、「写真画質解像度」で印刷可能であればS8に進み、「写真画質解像度」で印刷できなければS6に進む。
【0050】
具体的には、ユーザインタフェース部110は、記憶部130に記憶されている印刷時間テーブル1300にアクセスし、「ユーザ入力印刷時間」と、印刷時間テーブル1300の「写真画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」とを比較する。
【0051】
ユーザインタフェース部110は、比較の結果、「ユーザ入力印刷時間」が、印刷時間テーブル1300の「写真画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」以上の場合、「写真画質解像度」で印刷可能と判定する。図3に示す例では、ユーザが「1枚当たりの印刷時間」として「120秒」以上のデータを入力した場合、および、ユーザが入力した「全ての印刷時間」から求めた「1枚当たりの印刷時間」が「120秒」以上の場合、「写真画質解像度」で印刷可能と判定される。
【0052】
一方、ユーザインタフェース部110は、「ユーザ入力印刷時間」が、印刷時間テーブル1300の「写真画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」未満の場合に、「写真画質解像度」で印刷できないと判定する。図3に示す例では、ユーザが「1枚当たりの印刷時間」として「120秒」未満のデータを入力した場合、および、ユーザが入力した「全ての印刷時間」から求めた「1枚当たりの印刷時間」が「120秒」未満の場合、「写真画質解像度」では印刷できないと判定される。
【0053】
つぎに、S5で「写真画質解像度」で印刷できないと判定された場合に進むS6の処理を説明する。
【0054】
S6では、ユーザインタフェース部110は、印刷対象の画像データが「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷可能か否かの判定を行う。ユーザインタフェース部110は、「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷可能と判定した場合にS9に進み、「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷できないと判定した場合にS7に進む。
【0055】
具体的には、ユーザインタフェース部110は、印刷時間テーブル1300にアクセスし、「ユーザ入力印刷時間」と、印刷時間テーブル1300の「写真+ドキュメント画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」とを比較する。
【0056】
ユーザインタフェース部110は、比較の結果、「ユーザ入力印刷時間」が、印刷時間テーブル1300の「写真+ドキュメント画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」以上の場合に、「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷可能と判定する。図3に示す例では、ユーザが「1枚当たりの印刷時間」として「60秒以上120秒未満」のデータを入力した場合、および、ユーザが入力した「全ての印刷時間」から求めた「1枚当たりの印刷時間」が「60秒以上120秒未満」のデータの場合、「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷可能と判定される。
【0057】
一方、ユーザインタフェース部110は、「ユーザ入力印刷時間」が、印刷時間テーブル1300の「写真+ドキュメント画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」未満の場合に、「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷できないと判定する。図3に示す例では、ユーザが「1枚当たりの印刷時間」として「60秒」未満のデータを入力した場合、および、ユーザが入力した「全ての印刷時間」から求めた「1枚当たりの印刷時間」が「60秒」未満の場合、「写真+ドキュメント画質解像度」では印刷できないと判定される。
【0058】
つぎに、S6で「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷できないと判定された場合に進むS7の処理を説明する。
【0059】
S7では、ユーザインタフェース部110は、印刷対象の画像データが「ドキュメント画質解像度」で印刷可能か否かの判定を行う。ユーザインタフェース部110は、「ドキュメント画質解像度」で印刷可能と判定した場合にS10に進み、「ドキュメント画質解像度」で印刷できないと判定した場合にS13に進む。
【0060】
具体的には、ユーザインタフェース部110は、「ユーザ入力印刷時間」と、印刷時間テーブル1300の「ドキュメント画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」とを比較する。
【0061】
ユーザインタフェース部110は、比較の結果、「ユーザ入力印刷時間」が、印刷時間テーブル1300の「ドキュメント画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」以上の場合に、「ドキュメント画質解像度」で印刷可能と判定する。図3に示す例では、ユーザが「1枚当たりの印刷時間」として「30秒以上60秒未満」のデータを入力した場合、および、ユーザが入力した「全ての印刷時間」から求めた「1枚当たりの印刷時間」が「30秒以上60秒未満」のデータの場合、「ドキュメント画質解像度」で印刷可能と判定される。
【0062】
一方、ユーザインタフェース部110は、「ユーザ入力印刷時間」が、印刷時間テーブル1300の「ドキュメント画質解像度」に対応付けられている「1枚当たりの印刷時間」未満の場合に、「ドキュメント画質解像度」で印刷できないと判定する。図3に示す例では、ユーザが「1枚当たりの印刷時間」として「30秒」未満のデータを入力した場合、および、ユーザが入力した「全ての印刷時間」から求めた「1枚当たりの印刷時間」が「30秒」未満の場合、「ドキュメント画質解像度」では印刷できないと判定される。
【0063】
つぎに、S7で「ドキュメント画質解像度」で印刷できないと判定された場合に進むS13の処理を説明する。
【0064】
S13では、ユーザから指定された印刷時間では、印刷対象の画像データを印刷することができないことをユーザに提示し、S1の処理に戻る。具体的には、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20のディスプレイに、ユーザから指定された印刷時間では印刷対象の画像データを印刷することができない旨を表示して、S1の処理に戻る。
【0065】
つぎに、S5で「写真画質解像度」で印刷できると判定された場合に進むS8の処理を説明する。
【0066】
S8では、画像形成装置が、S1で受付けた画像データを「写真画質解像度」で印刷する処理を行う。具体的には、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20のディスプレイに、印刷開始を確認する画面560(図5参照)を表示する。ユーザインタフェース部110は、ユーザが入力する「印刷を開始」の要求を受け付けると、印刷対象の画像データを指定するデータと、印刷する画質(写真画質解像度)とを含む印刷要求データを生成して、印刷制御部140に出力する。
【0067】
そして、印刷要求データを受け付けた印刷制御部140は、印刷対象の画像データをメモリカード45から読み出し、写真画質解像度で印刷処理を行う。具体的には、印刷制御部140は、画像データ読み書き部120を介して、印刷要求データで指定されている画像データをメモリカード45から読み出す。つぎに、印刷制御部140は、読み出した画像データを、写真画質解像度で印刷するための印刷データに変換する。すなわち、印刷制御部140は、プリンタエンジン30が写真解像度で印刷できるように、必要なドット径や紙送り分解能等を判断し、プリンタエンジン30の印刷機構、キャリッジ駆動機構、および給排紙機構の動作を制御する制御データが含まれる印刷データを生成する。制御データには、例えば、印字ヘッドの動作に必要な駆動電圧波形等が含まれる。印刷制御部140は、生成した印刷データをプリンタエンジン30に出力する。そして、プリンタエンジン30が印刷データを用いて、写真画質解像度で印刷メディアに印刷処理を行う。
【0068】
つぎに、S6で「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷できると判定された場合に進むS9の処理を説明する。
【0069】
S9では、画像形成装置が、S1で受付けた画像データを「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷する処理を行う。具体的には、S9では、S8と同様の手順にしたがい、ユーザインタフェース部110は、ユーザが入力する「印刷を開始」の要求を受け付けると、印刷対象の画像データを指定するデータと、印刷する画質(写真+ドキュメント画質解像度)とを含む印刷要求データを生成し、印刷制御部140に出力する。そして、印刷制御部140は、S8と同様の手順にしたがい、印刷要求データで指定されている画像データをメモリカード45から読み出し、その画像データを、「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷するための印刷データに変換し、プリンタエンジン30に出力する。そして、プリンタエンジン30が印刷データを用いて、「写真+ドキュメント画質解像度」で印刷メディアに印刷処理を行う。
【0070】
つぎに、S7で「ドキュメント画質解像度」で印刷できると判定された場合に進むS10の処理を説明する。
【0071】
S10では、画像形成装置が、S1で受付けた画像データを「ドキュメント画質解像度」で印刷する処理を行う。具体的には、S10では、S8と同様の手順にしたがい、ユーザインタフェース部110は、ユーザが入力する「印刷を開始」の要求を受け付けると、印刷対象の画像データを指定するデータと、印刷する画質(ドキュメント画質解像度)とを含む印刷要求データを生成し、印刷制御部140に出力する。そして、印刷制御部140は、S8と同様の手順にしたがい、印刷要求データで指定されている画像データをメモリカード45から読み出し、その画像データを、「ドキュメント画質解像度」で印刷するための印刷データに変換し、プリンタエンジン30に出力する。そして、プリンタエンジン30が印刷データを用いて、「ドキュメント画質解像度」で印刷メディアに印刷処理を行う。
【0072】
つぎに、S2において、受け付けた印刷方法として「解像度」が選択された場合に進むS11を説明する。
【0073】
S11では、ユーザインタフェース部110は、解像度の指定を受付ける。具体的には、ユーザインタフェース部110は、操作パネル20のディスプレイに、「写真画質解像度」、「写真+ドキュメント画質解像度」、および「ドキュメント画質解像度」の中のいずれかを選択させるための設定画面530(図5参照)を表示する。そして、ユーザから、「写真画質解像度」、「写真+ドキュメント画質解像度」、および「ドキュメント画質解像度」のうちのいずれかの選択を受け付けると、S12の処理に進む。
【0074】
S12では、画像形成装置が、S1で受付けた画像データを、S11で受付けた解像度で印刷する処理を行う。具体的には、画像形成装置は、S11で「写真画質解像度」の設定を受付けた場合、S8と同様の処理を行い、S11で「写真+ドキュメント画質解像度」の設定を受付けた場合、S9と同様の処理を行い、S11で「ドキュメント画質解像度」の設定を受付けた場合、S10と同様の処理を行う。
【0075】
このように、本実施形態によれば、ユーザから印刷のための所要時間(印刷時間)の入力を受け付けると、3種類の解像度の中から、受け付けた所要時間内で印刷できる最善の解像度(一番高い解像度)を選択し、選択した解像度で印刷を行うようにしている。そのため、本実施形態によれば、ユーザの都合がつく時間内(ユーザが印刷のために待てる時間内)において、印刷処理を実行させることができるようになる。すなわち、ユーザは、画像形成装置に、自分の都合がつく時間を設定しておけば、その時間内で、印刷対象の画像データを最善の解像度で印刷させることができるようになる。
【0076】
したがって、本実施形態の画像形成装置を、各種のイベント、異業種交流会等の会合、パーティ等に持ち込み、デジタルカメラで撮影した画像データをその場で印刷して、参加者に配布する場合等に特に便利である。例えば、会場の終了時刻が決められている場合、その終了時刻までの時間を「印刷対象の画像データを全て印刷するための印刷時間」として設定すればよい。このようにすることで、限られた時間内において、所望する画像データを最善の解像度で印刷させることができる。最近は、小型の写真印刷専用のプリンタも開発されているため、本実施形態の機能を搭載することにより、上記のようなプリンタの利用方法が普及することも考えられる。
【0077】
また、本実施形態によれば、会議や授業などにおいて、追加資料が必要になった場合等においても、限られた時間内において、印刷対象の画像データを最善の解像度で印刷させることができるようになり便利である。
【0078】
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、ダイレクト印刷機能により、ホストコンピュータなしで印刷処理する場合を例にしたが、特にこれに限定するものではない。ホストコンピュータのプリンタドライバ側で、本実施形態の処理を行うようにしてもよい。この場合、ホストコンピュータのメモリに、印刷時間テーブル1300を記憶させておく。また、プリンタドライバの機能に、上述したユーザインタフェース部110、画像データ読み書き部120、印刷制御部140の機能を含めるようにする。そして、ホストコンピュータのCPUがプリンタドライバを実行することにより、ホストコンピュータ上でユーザインタフェース部110、画像データ読み書き部120、印刷制御部140の機能が実現される。なお、図5に例示した設定画面は、ホストコンピュータに接続されているディスプレイ(液晶ディスプレイ等)に表示される。
【0080】
また、上記実施形態では、3種類の解像度で印刷処理を行う場合を説明したが、これは、例示に過ぎない。複数の解像度で印刷処理が行えればよい。
【0081】
上記実施形態では、画像形成装置がプリンタである場合を例にしたが、特にこれに限定するものではない。例えば、画像形成装置は、プリンタの機能に加えて、スキャナ機能やコピー機能等を有する複合機であってもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、画像形成装置がインクジェット方式のプリンタである場合を例にしたが、レーザプリンタであってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態のコントローラの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の印刷データテーブルのデータ構造を模擬的に示した図である。
【図4】本実施形態の画像形成装置が行う印刷処理のフローチャートである。
【図5】本実施形態の画像形成装置の設定画面例の遷移図である。
【符号の説明】
【0084】
10…コントローラ、20…操作パネル、30…プリンタエンジン、40…メモリカード読書装置、45…メモリカード、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…不揮発性メモリ、105…IF、106…システムバス、110…ユーザインタフェース部、120…画像データ読み書き部、130…記憶部、140…印刷処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの画像データを受け付け、複数の画質で該画像データを印刷できる画像形成装置であって、
前記画質毎に、当該画質で1枚の画像データを印刷するために必要な必要印刷時間を対応付けた印刷時間情報を記憶する手段と、
ユーザから、印刷対象の画像データの指定、および前記指定した画像データを印刷するための所要時間の入力を受け付け、前記印刷時間情報を参照し、前記印刷時間情報の複数の画質の中から、該所要時間内で前記指定された画像データの印刷が可能な最善の画質を選択する手段と、
前記選択した画質で、前記指定された画像データを印刷するための印刷データを生成する印刷制御手段と、
前記生成した印刷データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、を有すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記指定した画像データを印刷するための所要時間とは、前記指定した画像データを全て印刷するための時間であって、
前記選択する手段は、
前記指定された画像データの枚数および前記所要時間を用いて、1枚当たりの印刷時間を求め、該1枚当たりの印刷時間より小さい値の前記必要印刷時間に対応付けられている画質の中から、一番高い画質を選択すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記指定した画像データを印刷するための所要時間とは、前記指定した画像データの1枚当たりの印刷時間であって、
前記選択する手段は、前記1枚当たりの印刷時間より小さい値の前記必要印刷時間に対応付けられている画質の中から、一番高い画質を選択すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像形成装置であって、
前記選択する手段は、前記印刷時間情報の中に、前記1枚当たりの印刷時間以下の値の必要印刷時間が無い場合、ユーザに、前記受け付けた所要時間で印刷できない旨を告知すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記印刷手段は、インクを吐出する印刷ヘッドと、該印刷ヘッドを搭載するキャリッジを駆動するキャリッジ駆動機構と、印刷媒体の給排紙を行なう給排紙機構とを備え、
前記印刷データは、前記印刷手段を制御するためのデータであって、前記印刷ヘッドの動作、前記給排紙機構の駆動、および前記キャリッジの駆動を制御するためのデータが含まれていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
外部からの画像データを受け付け、複数の画質で該画像データを印刷できる画像形成装置が行う印刷方法であって、
前記画質毎に、当該画質で1枚の画像データを印刷するために必要な必要印刷時間を対応付けた印刷時間情報を記憶していて、
ユーザから、印刷対象の画像データの指定、および前記指定した画像データを印刷するための所要時間の入力を受け付け、前記印刷時間情報を参照し、前記印刷時間情報の複数の画質の中から、該所要時間内で前記指定された画像データの印刷が可能な最善の画質を選択するステップと、
前記選択した画質で、前記指定された画像データを印刷するための印刷データを生成するステップと、
前記生成した印刷データを印刷媒体に印刷するステップと、を実行すること
を特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−253528(P2007−253528A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82860(P2006−82860)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】