画像形成装置、及びプログラム
【課題】複数の発光素子アレイユニットのオーバーラップ部をつなぎ目とした光書き込み装置において、簡単かつ安価な手段によりつなぎ目位置の調整を可能にする。
【解決手段】プリントヘッド2、3は、オーバーラップ部分21、31の発光素子をつなぎ目として分割露光を行う。プリントヘッド2、3に複数の異なるテストパターンデータを順次書き込み、感光体ドラム9上に複数の異なるテストパターン画像11を順次形成する。プリントヘッド2は各テストパターンデータにより所定数毎に交互に点灯及び消灯する。プリントヘッド3は各テストパターンデータにより所定数毎に交互に点灯及び消灯するとともに、点灯及び消灯位置がテストパターンデータ毎に1画素ずつずれる。濃度センサ10により、複数のテストパターン画像の濃度の推移を検出することで、オーバーラップ部分の画素数を判定し、その結果を基につなぎ目位置を調整する。
【解決手段】プリントヘッド2、3は、オーバーラップ部分21、31の発光素子をつなぎ目として分割露光を行う。プリントヘッド2、3に複数の異なるテストパターンデータを順次書き込み、感光体ドラム9上に複数の異なるテストパターン画像11を順次形成する。プリントヘッド2は各テストパターンデータにより所定数毎に交互に点灯及び消灯する。プリントヘッド3は各テストパターンデータにより所定数毎に交互に点灯及び消灯するとともに、点灯及び消灯位置がテストパターンデータ毎に1画素ずつずれる。濃度センサ10により、複数のテストパターン画像の濃度の推移を検出することで、オーバーラップ部分の画素数を判定し、その結果を基につなぎ目位置を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主走査方向を分割露光する複数の発光素子アレイユニットからなる光書き込み装置を有する画像形成装置、及びその発光素子アレイユニットのつなぎ目位置を調整するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を適用した広幅複写機や広幅プリンタなどの画像形成装置では、安価なA3又はA4サイズ幅の発光素子アレイユニット、例えば発光素子がLED(発光ダイオード)である複数個のLEDプリントヘッドを主走査方向に配置し、分割露光することで広幅サイズの書き込みに対応する光書き込み装置が使用されている。
【0003】
ここで、主走査方向に隣り合うLEDプリントヘッドの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の所定の発光素子をつなぎ目として、画像を主走査方向につなぎ合わせている。
【0004】
例えば第1のLEDプリントヘッドと第2のLEDプリントヘッドがこの順に主走査方向の開始端側から隣り合うように配置されており、かつオーバーラップ画素数が10の場合、例えば第1のLEDプリントヘッドにおける主走査方向開始端側より5番目のオーバーラップ画素及び第2のLEDプリントヘッドにおける主走査方向開始端側より6番目のオーバーラップ画素をつなぎ目としてつなぎ合わせる。
【0005】
このため、LEDプリントヘッドの組み付けの精度や物理的なバラツキにより、隣り合うLEDプリントヘッド間の位置関係がずれてしまうと、オーバーラップ画素数が増減して、つなぎ目位置が予定の位置(理論位置)からずれることで、主走査方向で画像が重なってしまったり、その逆に離れてしまったりする場合がある。
【0006】
この問題に対処した装置として、主走査方向に千鳥状に配置されたLEDプリントヘッドの発光出力をCCDカメラなどの受光素子により検出し、コンピュータで処理することにより、LEDプリントヘッドのつなぎ目位置のずれ量の検出を行い、隣り合うLEDプリントヘッドのうちの一方のLEDプリントヘッドのドット点灯位置をずれ量分移動することにより、つなぎ目位置の調整を可能にした発光素子アレイ位置検出装置がある(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、この発光素子アレイ位置検出装置では、光書き込み装置とは異なる外部装置(冶具)で調整を行うため、出荷された後に一部のLEDプリントヘッドの故障による交換や経時変化でつなぎ目にずれが生じてしまった場合には市場で調整を行わなければならない。そのため、調整が困難であり工数がかかるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、画像形成装置本体に簡単かつ安価な手段を搭載することで、出荷後の市場でも容易につなぎ目位置を調整できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、主走査方向に隣り合う二個の発光素子アレイユニットの少なくとも前記端部の発光素子に複数のテストパターンデータを順次書き込むことで感光体上に複数のテストパターンの潜像を順次形成するプリントヘッド制御手段と、現像装置を動作させて前記複数のテストパターンの潜像を現像することで前記感光体上に複数のテストパターン画像を順次形成するテストパターン画像形成手段と、濃度センサを動作させて前記複数のテストパターン画像の濃度を検出する濃度検出手段と、前記複数のテストパターン画像間の濃度の推移に基づいて、前記端部でオーバーラップしている発光素子の数を判定するオーバーラップ画素数判定手段と、前記オーバーラップ画素数判定手段の判定結果に基づいて、前記二個の発光素子アレイユニットのつなぎ目の画素を決定するつなぎ目画素決定手段とを有し、前記複数のテストパターンデータは、一方の発光素子アレイユニットの発光素子を所定数毎に交互に点灯及び消灯させるとともに、他方の発光素子アレイユニットの発光素子を前記所定数毎に交互に点灯及び消灯させ、かつ当該他方の発光素子アレイユニットの発光素子の点灯及び消灯位置をテストパターン毎に順次ずらすことを特徴とする画像形成装置である。
また、本発明のプログラムは、コンピュータを本発明の画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、画像形成装置本体に簡単かつ安価な手段を搭載することで、出荷後の市場でも容易につなぎ目位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の要部を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置が備える制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の画像形成装置において、主走査方向に隣り合う二個のプリントヘッドと、感光体ドラム上に形成されるテストパターンと、濃度センサとの関係を示す図である。
【図5】図5Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第1のテストパターン画像を示す図であり、図5Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図6】図6Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第2のテストパターン画像を示す図であり、図6Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図7】図7Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第3のテストパターン画像を示す図であり、図7Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図8】図8Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第11のテストパターン画像を示す図であり、図8Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図9】オーバーラップ画素数が100の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係を示す図である。
【図10】図10Aはオーバーラップ画素数が99の場合に感光体ドラム上に形成する第1のテストパターン画像を示す図であり、図10Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図11】図11Aはオーバーラップ画素数が99の場合に感光体ドラム上に形成する第2のテストパターン画像を示す図であり、図11Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図12】図12Aはオーバーラップ画素数が99の場合に感光体ドラム上に形成する第11のテストパターン画像を示す図であり、図12Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図13】オーバーラップ画素数が99の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係を示す図である。
【図14】表3のオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の濃度センサの出力変化のパターンの例を示す図である。
【図15】表3のオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係を示す図である。
【図16】本発明の実施形態の画像形成装置において、オーバーラップ画素数を判定し、つなぎ目位置の調整を行う手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置の要部を概略的に示す図である。
この画像形成装置Gは、図示のように、ドラム状に形成された感光体である感光体ドラム9と、感光体ドラム9を軸線回りに所定速度で回転させる回転駆動装置(図示せず)とを備えている。また、画像形成装置Gは、感光体ドラム9を囲んで、その回転方向(副走査方向:矢印参照)に順に配置された、帯電チャージャ1、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3、現像装置4、濃度検知手段である濃度センサ10、転写チャージャ5、分離チャージャ6、クリーニングユニット7、及び、除電ランプ8を備えている。
【0013】
分離チャージャ6は、転写紙を感光体ドラム9から分離させる。クリーニングユニット7は、感光体ドラム9の表面に残った転写残トナーを清掃する。除電ランプ8は、清掃後の感光体ドラム9上の残留電位を除電して一様に取り払う。濃度センサ10は、感光体ドラム9に形成された画像の濃度(トナー濃度)を測定(検知)するためのセンサ、例えば、反射型フォトセンサ等のセンサであり、後述するように、第1と第2のプリントヘッド2、3のオーバーラップ画素数を判定するために、感光体ドラム9上に形成したテストパターン画像の濃度を検出するときに使用される。
【0014】
ここで、第1と第2のプリントヘッド2、3は、それぞれ感光体ドラム9の幅方向(主走査方向)に沿って、かつ、感光体ドラム9の回転方向(副走査方向)に所定間隔を開けて配置されている。併せて、第1と第2のプリントヘッド2、3は、感光体ドラム9に設定された主走査方向の異なる範囲に配置されるとともに、一部の配置範囲がオーバーラップするように、配置範囲の境界側で、それぞれの端部を主走査方向に重複させて配置されている。これにより、第1と第2のプリントヘッド2、3は、感光体ドラム9の主走査方向に沿って、互いのつなぎ目(配置範囲の境界)をオーバーラップさせて、感光体ドラム9を幅方向に分割した範囲に配置される。また、第1と第2のプリントヘッド2、3は、それぞれの一部(端部)を主走査方向に重複させて、感光体ドラム9の主走査方向の全感光範囲に亘り配置される。
【0015】
この第1と第2のプリントヘッド2、3は、複数の発光素子を一次元状に配列させたアレイ状(列状)の発光素子からなり、ここでは、LEDを発光素子としたLEDプリントヘッドにより構成される。これら第1と第2のプリントヘッド2、3は、各発光素子が点灯したときに発生する光を感光体ドラム9に照射して、感光体ドラム9の表面に静電潜像を形成する。その際、画像形成装置Gは、第1と第2のプリントヘッド2、3により、感光体ドラム9の主走査方向を分割して露光し、それらを主走査方向につなぎ合わせて1つの静電潜像を形成した後、静電潜像を現像装置4のトナーにより現像する。
【0016】
図2は、この画像形成装置Gの概略構成を示すブロック図であり、図3は、画像形成装置Gが備える制御装置の内部構成を示すブロック図である。なお、図面ではプリントヘッドをLPHと表す。
【0017】
画像形成装置Gは、図2に示すように、原稿を読み取る手段である読取部100、読み取られた原稿の画像(画像情報)に画像処理を施す画像処理部200、及び、原稿を複写するときに画像を書き込む書込部500を有する。また、画像形成装置Gは、装置全体を制御する制御装置300、制御装置300にキー入力などを行う操作手段である操作部400を有し、制御装置300に上記した濃度センサ10が接続されている。
【0018】
制御装置300は、図3に示すように、各種の演算処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)301、CPU301により使用される各種設定情報、プログラム、データ等を格納するROM(Read Only Memory)302、及び、CPU301が直接アクセスするデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)303を有するコンピュータからなる。なお、本実施形態では、上記コンピュータでプログラムを実行させることにより本発明の各手段を実現する。
【0019】
書込部500(図2参照)は、画像処理部200から転送された画像データの信号をプリントヘッド制御回路501で1画素単位ビットに変換し、第1と第2のプリントヘッド2、3で光(ここでは、赤外光)に変換して出力する。その際、プリントヘッド制御回路501は、画像を感光体ドラム9の幅方向に対応する方向に分割して、分割された各画像のデータを、第1のプリントヘッド2と第2のプリントヘッド3に並行して転送する。また、第2のプリントヘッド3は、第1のプリントヘッド2よりも感光体ドラム9の回転方向の下流に配置されている。そのため、プリントヘッド制御回路501は、第2のプリントヘッド3に対し、遅延回路を通して、第1のプリントヘッド2と第2のプリントヘッド3の副走査線方向の間隔、及び、感光体ドラム9の周速により決定される遅延時間だけ遅延させてデータを転送する。これにより、感光体ドラム9上で、第2のプリントヘッド3が書き込む画像を、第1のプリントヘッド2が書き込んだ画像に1ラインに合成させる。
【0020】
ここで、画像形成装置Gでは、第1と第2のプリントヘッド2、3の組み付けの精度や物理的なバラツキに起因してそれらの主走査方向の位置がずれてしまうと、オーバーラップ画素数が予め定めた数から増減する結果、つなぎ目位置が予定の位置(理論位置)からずれることで、主走査方向で画像が重なってしまったり、その逆に離れてしまったりする場合がある。
【0021】
オーバーラップ画素数が判れば、つなぎ目位置を決定できる。そこで、本実施形態では、図4に示すように、第1と第2のプリントヘッド2、3の端部のオーバーラップ部分21、31をテストパターンデータにより駆動することで、感光体ドラム9上にオーバーラップ画素数検出用のテストパターン画像11を形成し、その濃度を濃度センサ10で検出することで、オーバーラップ画素数Nを判定し、その判定結果を用いて、第1と第2のプリントヘッド2、3のつなぎ目位置を決定する。なお、この図では、トナーの消費を抑えるため、オーバーラップした部分のみにテストパターン画像11を形成しているが、オーバーラップした部分よりも広い範囲、例えば第1と第2のプリントヘッド2、3の主走査方向全体にテストパターン画像11を形成することもできる。ただし、濃度センサ10の検出範囲はオーバーラップした部分のみとする。
【0022】
以下、オーバーラップ画素数Nの検出方法(アルゴリズム)について説明する。
まずオーバーラップ画素数を100とした場合の検出例を示す。理論上のオーバーラップ画素数を100とした場合でも、取り付け精度誤差などから±0.2mm程度のずれが生じるものとすると、ほぼ±5画素(600dpi換算)のずれが生じ、オーバーラップ領域はおよそ95〜105画素の間にあるものと推測できる。ここで、ずれのバラツキ範囲は上記の値以下であることを前提条件としている。また、本実施形態では第1と第2のプリントヘッド2、3のドットの位置は、本実施形態には記載しない公知のドット位置ずれ合わせ方法により合っていることを前提としている。
【0023】
図5〜図9は、オーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム9上に形成する異なるテストパターン画像と、そのテストパターン画像を濃度センサ10で検出した出力を示す図である。以下、順に説明する。
【0024】
まず図5Aは第1のテストパターン画像を示し、図5Bはそのテストパターン画像を濃度センサ10で検出した出力を示す。図5Aにおいて、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ部分21の100画素(オーバーラップ画素)には、右端から順に“n”乃至“n−99”の番号を付し、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ部分31の100画素(オーバーラップ画素)には、左端から順に“1”乃至“100”の番号を付した。そして、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ画素には、n番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち右端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。また、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ画素には、1番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち左端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。図において、黒が点灯しているドット、白が消灯しているドットを表す。これらが第1のテストパターンデータである。
【0025】
このとき、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3の双方により感光体ドラム9上に形成されるテストパターンの潜像を現像することで形成されるテストパターン画像(第1のテストパターン画像)11_1は黒ベタ画像となる。また、図5Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値はVmin値となる。この出力値VminをRAM303などに記憶しておく。なお、濃度センサ10が感光体ドラム9のトナーが付いていない部分を検出したときに反射光量が最大となるため、そのときに濃度センサ10の出力値(図5Bのドラム面濃度)は最大値をとる。
【0026】
次に、図6Aに示すように、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第2のテストパターンデータを書き込み、感光体ドラム9上に第2のテストパターン画像11_2を形成する。第2のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを1画素右方(主走査の終端方向)にシフトしたものである。第2のテストパターン画像11_2は、1ドット幅でトナーがのらない部分11_2aを有する画像となり、図6Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値はVa(Va>Vmin)となる。このときの濃度センサ出力値VaをRAM303などに記憶しておく。
【0027】
次に、図7Aに示すように、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第3のテストパターンデータを書き込み、感光体ドラム9上に第3のテストパターン画像11_3を形成する。第3のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを2画素右方にシフトしたものである。第3のテストパターン画像11_3は、2ドット幅でトナーがのらない部分11_3aを有する画像となり、図7Bに示すように、そのときの濃度センサの出力値はVb(Vb>Va)となる。
【0028】
以降、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第4乃至第11のテストパターンデータを順次書き込み、感光体ドラム9上に第4乃至第11のテストパターン画像を形成する。第4乃至第11のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを3画素乃至10画素右方にシフトしたものである。図8Aには第11のテストパターン画像11_11を示している。第11のテストパターン画像11_11は、10ドット幅でトナーがのらない部分11_11aを有する濃度の最も薄い画像となり、図8Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値は最高のVmaxとなる。第4乃至第11のテストパターン画像11_4乃至11_11を濃度センサ10で検出したときの出力値をRAM303などに記憶しておく。
【0029】
以上のように、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを順次変化させた場合の濃度センサ出力は下記表1のようになる。この表において、「Vmin<Va<Vb<Vc<Vd<Ve<Vf<Vg<Vh<Vi<Vmax」である。
【0030】
【表1】
【0031】
この表より、オーバーラップ画素数Nが100の場合には、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを右方へ順次1乃至10画素シフトさせたときの濃度センサ出力は、図9に示すように、Vmin→Vmaxへと右肩上がりに変化することがわかる。
【0032】
次に、オーバーラップ画素数Nを99とした場合に感光体ドラム9上に形成する異なるテストパターン画像と、そのテストパターン画像を濃度センサ10で検出した出力について説明する。
【0033】
図10Aにおいて、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ部分21の99画素(オーバーラップ画素)には、右端から順に“n”乃至“n−98”の番号を付し、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ部分31の99画素(オーバーラップ画素)には、左端から順に“1”乃至“99”の番号を付した。そして、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ部分21には、n番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち右端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。また、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ部分31には、1番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち左端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。図において、黒が点灯しているドット、白が消灯しているドットを表す。これらが第1のテストパターンデータである。
【0034】
このとき、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3の双方により感光体ドラム9上に形成されるテストパターンの潜像を現像することで形成されるテストパターン画像(第1のテストパターン画像)12_1は、1ドット幅でトナーがのらない部分12_1aを有する画像となり、図10Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値はVaとなる。このときの濃度センサ出力値VaをRAM303などに記憶しておく。
【0035】
次に、図11Aに示すように、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第2のテストパターンデータを書き込み、感光体ドラム9上に第2のテストパターン画像12_2を形成する。第2のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを1画素右方にシフトしたものである。第2のテストパターン画像12_2は、2ドット幅でトナーがのらない部分12_2aを有する画像となり、図11Bに示すように、そのときの濃度センサの出力値はVb(Vb>Va)となる。このときの濃度センサ出力値VbをRAM303などに記憶しておく。
【0036】
以降、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第3乃至第11のテストパターンデータを順次書き込み、感光体ドラム9上に第3乃至第11のテストパターン画像を形成する。第3乃至第11のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを2画素乃至10画素右方にシフトしたものである。図12Aには第11のテストパターン画像12_11を示している。第11のテストパターン画像12_11では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3により形成される画像が重なり合い、9ドット幅でトナーがのらない部分12_11aを有するものとなり、そのときの濃度センサの出力値はVi(Vi>Vb)となる。第3乃至第11のテストパターン画像11_3乃至11_11を濃度センサ10で検出したときの出力値をRAM303などに記憶しておく。
【0037】
以上のように、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを順次変化させた場合の濃度センサ出力は下記表2のようになる。この表において、「(Vmin)<Va<Vb<Vc<Vd<Ve<Vf<Vg<Vh<Vi<Vmax」である。
【0038】
【表2】
【0039】
この表より、オーバーラップ画素数Nが99の場合には、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを右方へ順次1乃至10画素シフトさせたときの濃度センサ出力は、図13に示すように、Va→Vmaxへと右肩上がりに変化した後にViに低下することがわかる。
【0040】
オーバーラップ画素数が90乃至98及び101乃至110についても同様に第1乃至第11のテストパターン画像を形成し、濃度センサ10により濃度を検出することで、下記表3に示すデータが得られる。
【0041】
【表3】
【0042】
表3より、濃度センサ10の出力変化はオーバーラップ画素数に応じて異なるため、濃度センサ10の出力がどのように変化しているかを確認することによってオーバーラップ画素数を判定することができる。即ち、例えばセンサ変化がVmin→Vmaxの場合にはオーバーラップ画素数が100であると判定する。
【0043】
ここで、オーバーラップ画素数が90以下と110以上については、濃度センサ10の出力変化が重複するため、10ドット幅のテストパターンデータの場合は、±9ドットまでのオーバーラップ領域変動量の検出が可能である。オーバーラップ画素数のバラツキが大きい場合または小さい場合には、このパターン幅を変更することにより、検出可能なオーバーラップ領域を変えることができる。
【0044】
表3の濃度センサ10の出力変化のパターンの一部を図14に示す。図の左側から順番にオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の出力変化のパターンを例示した。また、図15は、表3のオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係をグラフ化したものである。
【0045】
以上説明した手順でオーバーラップ画素数を判定し、その判定結果を用いてつなぎ目位置の調整を行う処理について、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS1では、感光体ドラム9を回転させ、濃度センサ10で感光体ドラム9の濃度を読み取り、Vsg調整(キャリブレーション)を実行する。
【0046】
ステップS2では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に出力するテストパターンデータのパターン番号nを初期化(n=1)する。
ステップS3では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第nのテストパターンデータを書き込む。ここではn=1であるから、第1のテストパターンデータ、即ち第1のプリントヘッド2にはオーバーラップ部分21の右側より10ドット幅10ドット間隔の点灯データを、第2のプリントヘッド3にはオーバーラップ部分31左側より10ドット幅10ドット間隔の点灯データを書き込む。これにより、感光体ドラム9上に第1のテストパターンの潜像が形成される。この潜像を現像装置4で現像することにより、感光体ドラム9上に第1のテストパターン画像が形成される。
【0047】
ステップS4では、濃度センサ10で第nのテストパターンの画像濃度を測定し、RAM303に蓄積しておく。
【0048】
ステップS5では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に所定のテストパターンデータ(ここでは、第1乃至第11のテストパターンデータ)を全て書き込んだか否かを判断する。
【0049】
判断の結果、書き込みが終了していなければ(ステップS5:No)、パターン番号nを1インクリメントし(ステップS8)、ステップS3に戻る。一方、第11のテストパターンデータまでの書き込みが終了していた場合は(ステップS5:Yes)、ステップS6に進む。
【0050】
ステップS6では、RAM303に蓄積しておいた各テストパターン画像の濃度データを読み出し、このデータをCPU301により比較処理して、データの変化推移を確認した結果から、オーバーラップ画素数を判定する。
【0051】
最後のステップS7では、ステップS6で判定したオーバーラップ画素数より、つなぎ目位置を決定する。即ち、例えばオーバーラップ画素数が100であった場合には、第1のプリントヘッド2のつなぎ目画素を「n−50」番の画素とし、第2のプリントヘッド3のつなぎ目画素を51番の画素と設定する。
【0052】
以上詳細に説明したように、本実施形態の画形成装置によれば、装置本体に簡単かつ安価な手段(濃度センサ10、図16に示す手順を実行するためのプログラム等)を搭載することで、出荷後の市場でも容易につなぎ目位置を調整することができる。
【0053】
なお、以上の実施形態では、濃度センサ10の主走査方向の検出範囲はオーバーラップ部分のみとしたが、オーバーラップ部分を濃度センサ10の検出範囲より広い(濃度センサ10の検出範囲がオーバーラップした部分より狭い)構成としてもよい。これにより、濃度センサ10の取り付け誤差の影響を受けずに、オーバーラップ部分のテストパターン画像の濃度を読み取ることができる。
【0054】
また、感光体ドラム9上に形成されるテストパターン画像はトナーによる現像で太るため、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3の光量を調整(抑制)することで、テストパターン画像の線幅を調整して、濃度センサ10の出力特性を向上させることが好適である。
【0055】
また、以上の実施形態は2個のプリントヘッドにより主走査方向を分割して露光する画像形成装置を対象としているが、3個以上のプリントヘッドにより主走査方向を分割して露光する画像形成装置に対しても、隣り合う2個のプリントヘッドに対して、図16に示す手順を順次又は同時に実行することで、それぞれのオーバーラップ部分のつなぎ目位置を調整することができる。
【0056】
また、以上の実施形態では、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを順次1画素ずつ右方にシフトさせているが、最初は複数画素ずつシフトさせ、おおよその位置が分かってから、1画素ずつシフトさせてもよい。これにより、例えばずれ量が大きいため、1画素ずつシフトさせると無駄なトナー量が多くなる場合に無駄なトナー量を低減することができる。
【符号の説明】
【0057】
2…第1のプリントヘッド、3…第2のプリントヘッド、4…現像装置、9…感光体ドラム、10…濃度センサ、300…制御装置、301…CPU、302…ROM、303…RAM。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2005−88371号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、主走査方向を分割露光する複数の発光素子アレイユニットからなる光書き込み装置を有する画像形成装置、及びその発光素子アレイユニットのつなぎ目位置を調整するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を適用した広幅複写機や広幅プリンタなどの画像形成装置では、安価なA3又はA4サイズ幅の発光素子アレイユニット、例えば発光素子がLED(発光ダイオード)である複数個のLEDプリントヘッドを主走査方向に配置し、分割露光することで広幅サイズの書き込みに対応する光書き込み装置が使用されている。
【0003】
ここで、主走査方向に隣り合うLEDプリントヘッドの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の所定の発光素子をつなぎ目として、画像を主走査方向につなぎ合わせている。
【0004】
例えば第1のLEDプリントヘッドと第2のLEDプリントヘッドがこの順に主走査方向の開始端側から隣り合うように配置されており、かつオーバーラップ画素数が10の場合、例えば第1のLEDプリントヘッドにおける主走査方向開始端側より5番目のオーバーラップ画素及び第2のLEDプリントヘッドにおける主走査方向開始端側より6番目のオーバーラップ画素をつなぎ目としてつなぎ合わせる。
【0005】
このため、LEDプリントヘッドの組み付けの精度や物理的なバラツキにより、隣り合うLEDプリントヘッド間の位置関係がずれてしまうと、オーバーラップ画素数が増減して、つなぎ目位置が予定の位置(理論位置)からずれることで、主走査方向で画像が重なってしまったり、その逆に離れてしまったりする場合がある。
【0006】
この問題に対処した装置として、主走査方向に千鳥状に配置されたLEDプリントヘッドの発光出力をCCDカメラなどの受光素子により検出し、コンピュータで処理することにより、LEDプリントヘッドのつなぎ目位置のずれ量の検出を行い、隣り合うLEDプリントヘッドのうちの一方のLEDプリントヘッドのドット点灯位置をずれ量分移動することにより、つなぎ目位置の調整を可能にした発光素子アレイ位置検出装置がある(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、この発光素子アレイ位置検出装置では、光書き込み装置とは異なる外部装置(冶具)で調整を行うため、出荷された後に一部のLEDプリントヘッドの故障による交換や経時変化でつなぎ目にずれが生じてしまった場合には市場で調整を行わなければならない。そのため、調整が困難であり工数がかかるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、画像形成装置本体に簡単かつ安価な手段を搭載することで、出荷後の市場でも容易につなぎ目位置を調整できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、主走査方向に隣り合う二個の発光素子アレイユニットの少なくとも前記端部の発光素子に複数のテストパターンデータを順次書き込むことで感光体上に複数のテストパターンの潜像を順次形成するプリントヘッド制御手段と、現像装置を動作させて前記複数のテストパターンの潜像を現像することで前記感光体上に複数のテストパターン画像を順次形成するテストパターン画像形成手段と、濃度センサを動作させて前記複数のテストパターン画像の濃度を検出する濃度検出手段と、前記複数のテストパターン画像間の濃度の推移に基づいて、前記端部でオーバーラップしている発光素子の数を判定するオーバーラップ画素数判定手段と、前記オーバーラップ画素数判定手段の判定結果に基づいて、前記二個の発光素子アレイユニットのつなぎ目の画素を決定するつなぎ目画素決定手段とを有し、前記複数のテストパターンデータは、一方の発光素子アレイユニットの発光素子を所定数毎に交互に点灯及び消灯させるとともに、他方の発光素子アレイユニットの発光素子を前記所定数毎に交互に点灯及び消灯させ、かつ当該他方の発光素子アレイユニットの発光素子の点灯及び消灯位置をテストパターン毎に順次ずらすことを特徴とする画像形成装置である。
また、本発明のプログラムは、コンピュータを本発明の画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、画像形成装置本体に簡単かつ安価な手段を搭載することで、出荷後の市場でも容易につなぎ目位置を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の要部を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置が備える制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の画像形成装置において、主走査方向に隣り合う二個のプリントヘッドと、感光体ドラム上に形成されるテストパターンと、濃度センサとの関係を示す図である。
【図5】図5Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第1のテストパターン画像を示す図であり、図5Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図6】図6Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第2のテストパターン画像を示す図であり、図6Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図7】図7Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第3のテストパターン画像を示す図であり、図7Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図8】図8Aはオーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム上に形成する第11のテストパターン画像を示す図であり、図8Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図9】オーバーラップ画素数が100の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係を示す図である。
【図10】図10Aはオーバーラップ画素数が99の場合に感光体ドラム上に形成する第1のテストパターン画像を示す図であり、図10Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図11】図11Aはオーバーラップ画素数が99の場合に感光体ドラム上に形成する第2のテストパターン画像を示す図であり、図11Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図12】図12Aはオーバーラップ画素数が99の場合に感光体ドラム上に形成する第11のテストパターン画像を示す図であり、図12Bはそのテストパターン画像を濃度センサで検出した出力を示す図である。
【図13】オーバーラップ画素数が99の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係を示す図である。
【図14】表3のオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の濃度センサの出力変化のパターンの例を示す図である。
【図15】表3のオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係を示す図である。
【図16】本発明の実施形態の画像形成装置において、オーバーラップ画素数を判定し、つなぎ目位置の調整を行う手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置の要部を概略的に示す図である。
この画像形成装置Gは、図示のように、ドラム状に形成された感光体である感光体ドラム9と、感光体ドラム9を軸線回りに所定速度で回転させる回転駆動装置(図示せず)とを備えている。また、画像形成装置Gは、感光体ドラム9を囲んで、その回転方向(副走査方向:矢印参照)に順に配置された、帯電チャージャ1、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3、現像装置4、濃度検知手段である濃度センサ10、転写チャージャ5、分離チャージャ6、クリーニングユニット7、及び、除電ランプ8を備えている。
【0013】
分離チャージャ6は、転写紙を感光体ドラム9から分離させる。クリーニングユニット7は、感光体ドラム9の表面に残った転写残トナーを清掃する。除電ランプ8は、清掃後の感光体ドラム9上の残留電位を除電して一様に取り払う。濃度センサ10は、感光体ドラム9に形成された画像の濃度(トナー濃度)を測定(検知)するためのセンサ、例えば、反射型フォトセンサ等のセンサであり、後述するように、第1と第2のプリントヘッド2、3のオーバーラップ画素数を判定するために、感光体ドラム9上に形成したテストパターン画像の濃度を検出するときに使用される。
【0014】
ここで、第1と第2のプリントヘッド2、3は、それぞれ感光体ドラム9の幅方向(主走査方向)に沿って、かつ、感光体ドラム9の回転方向(副走査方向)に所定間隔を開けて配置されている。併せて、第1と第2のプリントヘッド2、3は、感光体ドラム9に設定された主走査方向の異なる範囲に配置されるとともに、一部の配置範囲がオーバーラップするように、配置範囲の境界側で、それぞれの端部を主走査方向に重複させて配置されている。これにより、第1と第2のプリントヘッド2、3は、感光体ドラム9の主走査方向に沿って、互いのつなぎ目(配置範囲の境界)をオーバーラップさせて、感光体ドラム9を幅方向に分割した範囲に配置される。また、第1と第2のプリントヘッド2、3は、それぞれの一部(端部)を主走査方向に重複させて、感光体ドラム9の主走査方向の全感光範囲に亘り配置される。
【0015】
この第1と第2のプリントヘッド2、3は、複数の発光素子を一次元状に配列させたアレイ状(列状)の発光素子からなり、ここでは、LEDを発光素子としたLEDプリントヘッドにより構成される。これら第1と第2のプリントヘッド2、3は、各発光素子が点灯したときに発生する光を感光体ドラム9に照射して、感光体ドラム9の表面に静電潜像を形成する。その際、画像形成装置Gは、第1と第2のプリントヘッド2、3により、感光体ドラム9の主走査方向を分割して露光し、それらを主走査方向につなぎ合わせて1つの静電潜像を形成した後、静電潜像を現像装置4のトナーにより現像する。
【0016】
図2は、この画像形成装置Gの概略構成を示すブロック図であり、図3は、画像形成装置Gが備える制御装置の内部構成を示すブロック図である。なお、図面ではプリントヘッドをLPHと表す。
【0017】
画像形成装置Gは、図2に示すように、原稿を読み取る手段である読取部100、読み取られた原稿の画像(画像情報)に画像処理を施す画像処理部200、及び、原稿を複写するときに画像を書き込む書込部500を有する。また、画像形成装置Gは、装置全体を制御する制御装置300、制御装置300にキー入力などを行う操作手段である操作部400を有し、制御装置300に上記した濃度センサ10が接続されている。
【0018】
制御装置300は、図3に示すように、各種の演算処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)301、CPU301により使用される各種設定情報、プログラム、データ等を格納するROM(Read Only Memory)302、及び、CPU301が直接アクセスするデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)303を有するコンピュータからなる。なお、本実施形態では、上記コンピュータでプログラムを実行させることにより本発明の各手段を実現する。
【0019】
書込部500(図2参照)は、画像処理部200から転送された画像データの信号をプリントヘッド制御回路501で1画素単位ビットに変換し、第1と第2のプリントヘッド2、3で光(ここでは、赤外光)に変換して出力する。その際、プリントヘッド制御回路501は、画像を感光体ドラム9の幅方向に対応する方向に分割して、分割された各画像のデータを、第1のプリントヘッド2と第2のプリントヘッド3に並行して転送する。また、第2のプリントヘッド3は、第1のプリントヘッド2よりも感光体ドラム9の回転方向の下流に配置されている。そのため、プリントヘッド制御回路501は、第2のプリントヘッド3に対し、遅延回路を通して、第1のプリントヘッド2と第2のプリントヘッド3の副走査線方向の間隔、及び、感光体ドラム9の周速により決定される遅延時間だけ遅延させてデータを転送する。これにより、感光体ドラム9上で、第2のプリントヘッド3が書き込む画像を、第1のプリントヘッド2が書き込んだ画像に1ラインに合成させる。
【0020】
ここで、画像形成装置Gでは、第1と第2のプリントヘッド2、3の組み付けの精度や物理的なバラツキに起因してそれらの主走査方向の位置がずれてしまうと、オーバーラップ画素数が予め定めた数から増減する結果、つなぎ目位置が予定の位置(理論位置)からずれることで、主走査方向で画像が重なってしまったり、その逆に離れてしまったりする場合がある。
【0021】
オーバーラップ画素数が判れば、つなぎ目位置を決定できる。そこで、本実施形態では、図4に示すように、第1と第2のプリントヘッド2、3の端部のオーバーラップ部分21、31をテストパターンデータにより駆動することで、感光体ドラム9上にオーバーラップ画素数検出用のテストパターン画像11を形成し、その濃度を濃度センサ10で検出することで、オーバーラップ画素数Nを判定し、その判定結果を用いて、第1と第2のプリントヘッド2、3のつなぎ目位置を決定する。なお、この図では、トナーの消費を抑えるため、オーバーラップした部分のみにテストパターン画像11を形成しているが、オーバーラップした部分よりも広い範囲、例えば第1と第2のプリントヘッド2、3の主走査方向全体にテストパターン画像11を形成することもできる。ただし、濃度センサ10の検出範囲はオーバーラップした部分のみとする。
【0022】
以下、オーバーラップ画素数Nの検出方法(アルゴリズム)について説明する。
まずオーバーラップ画素数を100とした場合の検出例を示す。理論上のオーバーラップ画素数を100とした場合でも、取り付け精度誤差などから±0.2mm程度のずれが生じるものとすると、ほぼ±5画素(600dpi換算)のずれが生じ、オーバーラップ領域はおよそ95〜105画素の間にあるものと推測できる。ここで、ずれのバラツキ範囲は上記の値以下であることを前提条件としている。また、本実施形態では第1と第2のプリントヘッド2、3のドットの位置は、本実施形態には記載しない公知のドット位置ずれ合わせ方法により合っていることを前提としている。
【0023】
図5〜図9は、オーバーラップ画素数が100の場合に感光体ドラム9上に形成する異なるテストパターン画像と、そのテストパターン画像を濃度センサ10で検出した出力を示す図である。以下、順に説明する。
【0024】
まず図5Aは第1のテストパターン画像を示し、図5Bはそのテストパターン画像を濃度センサ10で検出した出力を示す。図5Aにおいて、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ部分21の100画素(オーバーラップ画素)には、右端から順に“n”乃至“n−99”の番号を付し、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ部分31の100画素(オーバーラップ画素)には、左端から順に“1”乃至“100”の番号を付した。そして、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ画素には、n番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち右端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。また、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ画素には、1番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち左端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。図において、黒が点灯しているドット、白が消灯しているドットを表す。これらが第1のテストパターンデータである。
【0025】
このとき、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3の双方により感光体ドラム9上に形成されるテストパターンの潜像を現像することで形成されるテストパターン画像(第1のテストパターン画像)11_1は黒ベタ画像となる。また、図5Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値はVmin値となる。この出力値VminをRAM303などに記憶しておく。なお、濃度センサ10が感光体ドラム9のトナーが付いていない部分を検出したときに反射光量が最大となるため、そのときに濃度センサ10の出力値(図5Bのドラム面濃度)は最大値をとる。
【0026】
次に、図6Aに示すように、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第2のテストパターンデータを書き込み、感光体ドラム9上に第2のテストパターン画像11_2を形成する。第2のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを1画素右方(主走査の終端方向)にシフトしたものである。第2のテストパターン画像11_2は、1ドット幅でトナーがのらない部分11_2aを有する画像となり、図6Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値はVa(Va>Vmin)となる。このときの濃度センサ出力値VaをRAM303などに記憶しておく。
【0027】
次に、図7Aに示すように、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第3のテストパターンデータを書き込み、感光体ドラム9上に第3のテストパターン画像11_3を形成する。第3のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを2画素右方にシフトしたものである。第3のテストパターン画像11_3は、2ドット幅でトナーがのらない部分11_3aを有する画像となり、図7Bに示すように、そのときの濃度センサの出力値はVb(Vb>Va)となる。
【0028】
以降、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第4乃至第11のテストパターンデータを順次書き込み、感光体ドラム9上に第4乃至第11のテストパターン画像を形成する。第4乃至第11のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを3画素乃至10画素右方にシフトしたものである。図8Aには第11のテストパターン画像11_11を示している。第11のテストパターン画像11_11は、10ドット幅でトナーがのらない部分11_11aを有する濃度の最も薄い画像となり、図8Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値は最高のVmaxとなる。第4乃至第11のテストパターン画像11_4乃至11_11を濃度センサ10で検出したときの出力値をRAM303などに記憶しておく。
【0029】
以上のように、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを順次変化させた場合の濃度センサ出力は下記表1のようになる。この表において、「Vmin<Va<Vb<Vc<Vd<Ve<Vf<Vg<Vh<Vi<Vmax」である。
【0030】
【表1】
【0031】
この表より、オーバーラップ画素数Nが100の場合には、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを右方へ順次1乃至10画素シフトさせたときの濃度センサ出力は、図9に示すように、Vmin→Vmaxへと右肩上がりに変化することがわかる。
【0032】
次に、オーバーラップ画素数Nを99とした場合に感光体ドラム9上に形成する異なるテストパターン画像と、そのテストパターン画像を濃度センサ10で検出した出力について説明する。
【0033】
図10Aにおいて、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ部分21の99画素(オーバーラップ画素)には、右端から順に“n”乃至“n−98”の番号を付し、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ部分31の99画素(オーバーラップ画素)には、左端から順に“1”乃至“99”の番号を付した。そして、第1のプリントヘッド2のオーバーラップ部分21には、n番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち右端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。また、第2のプリントヘッド3のオーバーラップ部分31には、1番の画素から10ドット毎にテストパターンデータを書き込む。即ち左端から交互に10ドット点灯、10ドット消灯を繰り返す。図において、黒が点灯しているドット、白が消灯しているドットを表す。これらが第1のテストパターンデータである。
【0034】
このとき、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3の双方により感光体ドラム9上に形成されるテストパターンの潜像を現像することで形成されるテストパターン画像(第1のテストパターン画像)12_1は、1ドット幅でトナーがのらない部分12_1aを有する画像となり、図10Bに示すように、そのときの濃度センサ10の出力値はVaとなる。このときの濃度センサ出力値VaをRAM303などに記憶しておく。
【0035】
次に、図11Aに示すように、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第2のテストパターンデータを書き込み、感光体ドラム9上に第2のテストパターン画像12_2を形成する。第2のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを1画素右方にシフトしたものである。第2のテストパターン画像12_2は、2ドット幅でトナーがのらない部分12_2aを有する画像となり、図11Bに示すように、そのときの濃度センサの出力値はVb(Vb>Va)となる。このときの濃度センサ出力値VbをRAM303などに記憶しておく。
【0036】
以降、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第3乃至第11のテストパターンデータを順次書き込み、感光体ドラム9上に第3乃至第11のテストパターン画像を形成する。第3乃至第11のテストパターンデータは、第1のテストパターンデータに対し、第1のプリントヘッド2に書き込むデータを同一とし、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを2画素乃至10画素右方にシフトしたものである。図12Aには第11のテストパターン画像12_11を示している。第11のテストパターン画像12_11では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3により形成される画像が重なり合い、9ドット幅でトナーがのらない部分12_11aを有するものとなり、そのときの濃度センサの出力値はVi(Vi>Vb)となる。第3乃至第11のテストパターン画像11_3乃至11_11を濃度センサ10で検出したときの出力値をRAM303などに記憶しておく。
【0037】
以上のように、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを順次変化させた場合の濃度センサ出力は下記表2のようになる。この表において、「(Vmin)<Va<Vb<Vc<Vd<Ve<Vf<Vg<Vh<Vi<Vmax」である。
【0038】
【表2】
【0039】
この表より、オーバーラップ画素数Nが99の場合には、第2のプリントヘッド3に書き込むテストパターンデータを右方へ順次1乃至10画素シフトさせたときの濃度センサ出力は、図13に示すように、Va→Vmaxへと右肩上がりに変化した後にViに低下することがわかる。
【0040】
オーバーラップ画素数が90乃至98及び101乃至110についても同様に第1乃至第11のテストパターン画像を形成し、濃度センサ10により濃度を検出することで、下記表3に示すデータが得られる。
【0041】
【表3】
【0042】
表3より、濃度センサ10の出力変化はオーバーラップ画素数に応じて異なるため、濃度センサ10の出力がどのように変化しているかを確認することによってオーバーラップ画素数を判定することができる。即ち、例えばセンサ変化がVmin→Vmaxの場合にはオーバーラップ画素数が100であると判定する。
【0043】
ここで、オーバーラップ画素数が90以下と110以上については、濃度センサ10の出力変化が重複するため、10ドット幅のテストパターンデータの場合は、±9ドットまでのオーバーラップ領域変動量の検出が可能である。オーバーラップ画素数のバラツキが大きい場合または小さい場合には、このパターン幅を変更することにより、検出可能なオーバーラップ領域を変えることができる。
【0044】
表3の濃度センサ10の出力変化のパターンの一部を図14に示す。図の左側から順番にオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の出力変化のパターンを例示した。また、図15は、表3のオーバーラップ画素数が95乃至105の場合の第1乃至第11のテストパターン画像と濃度センサで検出した出力との関係をグラフ化したものである。
【0045】
以上説明した手順でオーバーラップ画素数を判定し、その判定結果を用いてつなぎ目位置の調整を行う処理について、図16に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS1では、感光体ドラム9を回転させ、濃度センサ10で感光体ドラム9の濃度を読み取り、Vsg調整(キャリブレーション)を実行する。
【0046】
ステップS2では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に出力するテストパターンデータのパターン番号nを初期化(n=1)する。
ステップS3では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に第nのテストパターンデータを書き込む。ここではn=1であるから、第1のテストパターンデータ、即ち第1のプリントヘッド2にはオーバーラップ部分21の右側より10ドット幅10ドット間隔の点灯データを、第2のプリントヘッド3にはオーバーラップ部分31左側より10ドット幅10ドット間隔の点灯データを書き込む。これにより、感光体ドラム9上に第1のテストパターンの潜像が形成される。この潜像を現像装置4で現像することにより、感光体ドラム9上に第1のテストパターン画像が形成される。
【0047】
ステップS4では、濃度センサ10で第nのテストパターンの画像濃度を測定し、RAM303に蓄積しておく。
【0048】
ステップS5では、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3に所定のテストパターンデータ(ここでは、第1乃至第11のテストパターンデータ)を全て書き込んだか否かを判断する。
【0049】
判断の結果、書き込みが終了していなければ(ステップS5:No)、パターン番号nを1インクリメントし(ステップS8)、ステップS3に戻る。一方、第11のテストパターンデータまでの書き込みが終了していた場合は(ステップS5:Yes)、ステップS6に進む。
【0050】
ステップS6では、RAM303に蓄積しておいた各テストパターン画像の濃度データを読み出し、このデータをCPU301により比較処理して、データの変化推移を確認した結果から、オーバーラップ画素数を判定する。
【0051】
最後のステップS7では、ステップS6で判定したオーバーラップ画素数より、つなぎ目位置を決定する。即ち、例えばオーバーラップ画素数が100であった場合には、第1のプリントヘッド2のつなぎ目画素を「n−50」番の画素とし、第2のプリントヘッド3のつなぎ目画素を51番の画素と設定する。
【0052】
以上詳細に説明したように、本実施形態の画形成装置によれば、装置本体に簡単かつ安価な手段(濃度センサ10、図16に示す手順を実行するためのプログラム等)を搭載することで、出荷後の市場でも容易につなぎ目位置を調整することができる。
【0053】
なお、以上の実施形態では、濃度センサ10の主走査方向の検出範囲はオーバーラップ部分のみとしたが、オーバーラップ部分を濃度センサ10の検出範囲より広い(濃度センサ10の検出範囲がオーバーラップした部分より狭い)構成としてもよい。これにより、濃度センサ10の取り付け誤差の影響を受けずに、オーバーラップ部分のテストパターン画像の濃度を読み取ることができる。
【0054】
また、感光体ドラム9上に形成されるテストパターン画像はトナーによる現像で太るため、第1のプリントヘッド2、第2のプリントヘッド3の光量を調整(抑制)することで、テストパターン画像の線幅を調整して、濃度センサ10の出力特性を向上させることが好適である。
【0055】
また、以上の実施形態は2個のプリントヘッドにより主走査方向を分割して露光する画像形成装置を対象としているが、3個以上のプリントヘッドにより主走査方向を分割して露光する画像形成装置に対しても、隣り合う2個のプリントヘッドに対して、図16に示す手順を順次又は同時に実行することで、それぞれのオーバーラップ部分のつなぎ目位置を調整することができる。
【0056】
また、以上の実施形態では、第2のプリントヘッド3に書き込むデータを順次1画素ずつ右方にシフトさせているが、最初は複数画素ずつシフトさせ、おおよその位置が分かってから、1画素ずつシフトさせてもよい。これにより、例えばずれ量が大きいため、1画素ずつシフトさせると無駄なトナー量が多くなる場合に無駄なトナー量を低減することができる。
【符号の説明】
【0057】
2…第1のプリントヘッド、3…第2のプリントヘッド、4…現像装置、9…感光体ドラム、10…濃度センサ、300…制御装置、301…CPU、302…ROM、303…RAM。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2005−88371号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、
主走査方向に隣り合う二個の発光素子アレイユニットの少なくとも前記端部の発光素子に複数のテストパターンデータを順次書き込むことで感光体上に複数のテストパターンの潜像を順次形成するプリントヘッド制御手段と、
現像装置を動作させて前記複数のテストパターンの潜像を現像することで前記感光体上に複数のテストパターン画像を順次形成するテストパターン画像形成手段と、
濃度センサを動作させて前記複数のテストパターン画像の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記複数のテストパターン画像間の濃度の推移に基づいて、前記端部でオーバーラップしている発光素子の数を判定するオーバーラップ画素数判定手段と、
前記オーバーラップ画素数判定手段の判定結果に基づいて、前記二個の発光素子アレイユニットのつなぎ目の画素を決定するつなぎ目画素決定手段とを有し、
前記複数のテストパターンデータは、一方の発光素子アレイユニットの発光素子を所定数毎に交互に点灯及び消灯させるとともに、他方の発光素子アレイユニットの発光素子を前記所定数毎に交互に点灯及び消灯させ、かつ当該他方の発光素子アレイユニットの発光素子の点灯及び消灯位置をテストパターン毎に順次ずらすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記所定数を変更する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記発光素子の光量を調整する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記端部のオーバーラップ部分の主走査方向長が前記濃度センサの検出範囲の主走査方向長よりも長いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記プリントヘッド制御手段は、前記二個の発光素子アレイユニットの端部のみの発光素子に前記複数のテストパターンデータを書き込むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記テストパターン毎に順次1画素ずらすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の発光素子アレイユニットの副走査方向の位置を異ならせるとともに、端部を主走査方向にオーバーラップさせ、この端部の発光素子をつなぎ目とした光書き込み装置を有する画像形成装置において、
主走査方向に隣り合う二個の発光素子アレイユニットの少なくとも前記端部の発光素子に複数のテストパターンデータを順次書き込むことで感光体上に複数のテストパターンの潜像を順次形成するプリントヘッド制御手段と、
現像装置を動作させて前記複数のテストパターンの潜像を現像することで前記感光体上に複数のテストパターン画像を順次形成するテストパターン画像形成手段と、
濃度センサを動作させて前記複数のテストパターン画像の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記複数のテストパターン画像間の濃度の推移に基づいて、前記端部でオーバーラップしている発光素子の数を判定するオーバーラップ画素数判定手段と、
前記オーバーラップ画素数判定手段の判定結果に基づいて、前記二個の発光素子アレイユニットのつなぎ目の画素を決定するつなぎ目画素決定手段とを有し、
前記複数のテストパターンデータは、一方の発光素子アレイユニットの発光素子を所定数毎に交互に点灯及び消灯させるとともに、他方の発光素子アレイユニットの発光素子を前記所定数毎に交互に点灯及び消灯させ、かつ当該他方の発光素子アレイユニットの発光素子の点灯及び消灯位置をテストパターン毎に順次ずらすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記所定数を変更する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記発光素子の光量を調整する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記端部のオーバーラップ部分の主走査方向長が前記濃度センサの検出範囲の主走査方向長よりも長いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記プリントヘッド制御手段は、前記二個の発光素子アレイユニットの端部のみの発光素子に前記複数のテストパターンデータを書き込むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記テストパターン毎に順次1画素ずらすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−61695(P2012−61695A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207230(P2010−207230)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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