説明

画像形成装置、画像形成装置の画質調整方法及びプログラム

【課題】定期的に画像形成装置が実行する、画像調整処理において、装置周辺環境を考慮した画像調整処理を実行することにより、静音の画像形成装置を提供すること。
【解決手段】通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有する画像形成装置において、画像形成装置の設置されている環境を検知する環境検知センサ160と、画像形成装置が画質調整時期になった場合に、前記環境検知センサ160の出力値に基づき、自動的に画質調整を行うときの印刷モードを切り替える制御をする制御部110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有する画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式の画像形成装置では、帯電状態にある感光体表面に、画像情報に基づく信号光を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を記録媒体に転写して定着させることによって、画像が形成される。
【0003】
そして、トナー像の記録媒体への定着には、たとえば、定着ローラと、定着ローラに圧接する加圧ローラと、を含む定着装置が用いられ、定着ローラと加圧ローラとの圧接部に記録媒体が導入され、記録媒体を加熱加圧することによりトナー像が記録媒体に定着される。
【0004】
印刷画質の高画質化に対するユーザ要求が高く、通常は何らかの画質調整(一般にプロセスコントロール、プロコンとも呼ばれる)を行い、常に一定レベルの印刷画質が得られるようにしている。
【0005】
また、画像形成装置本体は、記録媒体である印刷用紙を、繊維の粗いものやコート紙のように表面の良いものまでに対応できるようになっており、その結果装置本体としては、記録媒体の種類に応じて、プロセス速度条件や定着条件などを変更、具体的には、厚紙モード時には、定着熱量が不足することから、印刷速度を普通モードよりも遅くしている。
【0006】
特許文献1には、画像形成動作の終了時から一定時間経過してから、プロセスコントロール動作を行うように制御する画像形成装置が記載されている。
【特許文献1】特開2006−220959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画質調整は、常にきれいな印刷画像を得るために優れた技術であるが、急に装置がその調整動作に入ったりすると、その騒音などにより周囲にいるユーザを驚かすことになる。コピー動作などユーザが装置の近くで操作を行っている場合にはあまり気にならないが、人気のいない状態で突然感光体や現像装置などが回転するときに発生する音は耳障りとなる。従い、たとえ装置がオフィスの隅などに設置されていたとしても、静かなオフィス環境おいては迷惑な音を発生させていることになる。
【0008】
特許文献1では、単にプロセスコントロールを定期的に行うようにするものであるが、静寂なオフィスにおける騒音発生までは考慮されていないため、その問題は解決されていない。
【0009】
上述した課題に鑑み、本発明が目的とするところは、定期的に画像形成装置が実行する、画像調整処理において、装置周辺環境を考慮した画像調整処理を実行することにより、静音の画像形成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有する画像形成装置であって、前記画像形成装置の設置されている環境を検知する環境検知センサ部と、前記画像形成装置が画質調整時期になった場合に、前記環境検知センサ部の出力値に基づき、自動的に画質調整を行うときの印刷モードを切り替える制御をする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成では、画像形成装置における印刷速度を環境検知センサ部の出力値に基づいて切り替えるため、周辺環境を考慮した調整動作を実施でき、不快感をユーザに与えることがない。
【0012】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記環境検知センサ部の出力値が第1閾値より小さい場合は、画質調整を行う場合の印刷モードを厚紙モードに切り替えることを特徴とする。
【0013】
この構成では、第1閾値から判定される環境として、例えば比較的騒音の小さな画質調整動作が可能なため、不快感をユーザに与えることがなく、オフィス環境にマッチした画質調整が可能となり、オフィスの静寂さを維持することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記環境検知センサ部の出力値が第1閾値以下である第2閾値より小さい場合は、画質調整を行う場合の印刷モードを普通モードに切り替えることを特徴とする。
【0015】
この構成では、第2閾値から判定される環境として、例えばオフィスに殆ど人がいない夜間などに相当し、静音調整に気を使う必要がないため、画質調整動作を短時間に終了できるため、現像剤の回転に伴う劣化を抑えることができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置において、前記制御部は、画質調整速度を切り替える際に使用する前記環境検知センサの閾値を変更できることを特徴とする。
【0017】
この構成では、画像形成装置の使用状況やオフィスの環境等に応じて、不快と感じる条件が異なるため、現場に即した対応が可能となる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置において、前記環境検知センサは、騒音計もしくは照度計であることを特徴とする。
【0019】
この構成では、簡単な測定器を備えるだけで、音による不快感をユーザに与えることがない。
【0020】
また、本発明の画像形成装置の画質調整方法は、通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有し、画像形成装置の設置されている環境を検知する環境検知センサ部を備える画像形成装置の画質調整方法であって、前記画像形成装置が画質調整時期になった場合に、前記環境検知センサ部の出力値に基づき、自動的に画質調整を行うときの印刷モードを切り替える制御をすることを特徴する。
【0021】
また、本発明のプログラムは、通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有し、画像形成装置の設置されている環境を検知する環境検知センサ部を備える画像形成装置の画質調整を機能させるプログラムであって、前記画像形成装置が画質調整時期になった場合に、前記環境検知センサ部の出力値に基づき、自動的に画質調整を行うときの印刷モードを切り替える制御をする制御ステップを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明における画像形成装置は、一般的なオフィス環境において急に画質調整動作に入ることに伴い発生する騒音を低く抑えることにより、ユーザを驚かすことなく、またその不快感を与えることもなく、比較的静寂なオフィス環境を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
〔実施の形態〕
図1は、本発明を適用した画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、外部より入力される画像データをハードコピーとして出力処理するためのプリンタであり、このプリンタの上部に原稿の画像を読み取るための装置、つまりスキャナ(画像読取装置)を備えることでコピー機能を備える複写機にもなる。
【0025】
画像形成装置100は、最終的にトナーによる画像が形成される記録媒体である用紙をストックし供給する給紙部1、用紙にトナー像を転写して形成する現像装置11等を備える画像形成部2および用紙に転写されたトナー像を溶融・融着・定着させる定着装置3から構成されている。
【0026】
給紙部1には、画像形成装置100の下部に配置された給紙トレイ4、給紙トレイ4に充填された多数の用紙を順次給紙するための給紙ローラ5、給紙される用紙の下部のものを規制し1枚給紙を可能にする分離部材6等が設けられている。この給紙部1にて給紙される用紙は、画像形成部2の転写位置へとガイド等を介して送り込まれる。転写位置へと送り込まれる途中には、用紙の給送を検知するために用紙環境検知センサ7が設けられている。
【0027】
用紙環境検知センサ7は、用紙先端を検知した時点で、その検出信号が、画像形成部2における画像形成動作を開始させる信号として処理される。これは、画像形成部2にて形成されるトナー像の開始先端と用紙先端とを一致させるための制御処理であり、そのタイミングに合わせて給紙ローラ5等の駆動制御が実行される。
【0028】
画像形成部2には、トナー像を形成し、担持するための像担持体であるドラム形状の感光体8が設けられている。感光体8は、一般的に導電性の円筒ドラム表面に光導電層を被覆して構成されている。感光体8は、ドラム形状だけではなく、エンドレスベルト形状に形成される場合もある。
【0029】
また、画像形成部2には、帯電器9、露光装置10、現像装置11、転写装置12およびクリーニング装置13等が、感光体8の回転方向上流側からこの順序で配置されている。帯電器9は、感光体8の表面を均一に帯電させる。露光装置10は、画像データに応じた光像のビームを照射する。現像装置11は、光像の照射により形成された静電潜像を可視像としてトナーにて現像する。転写装置12は、中間転写ローラ41、中間転写ベルト42、転写ローラ43、中間転写ベルト駆動ローラ44およびベルトクリーニング装置45を備える。転写装置12は、形成されたトナー像を用紙側へと転写する。クリーニング装置13は、転写後に感光体8表面に残留するトナーをクリーニングする。
【0030】
転写ローラ43と中間転写ベルト駆動ローラ44とが圧接される部位が転写位置であり、給紙部1から給紙される用紙がタイミング制御されて送り込まれる。
【0031】
露光装置10は、画像形成装置100に他の外部装置から入力される画像データに応じて半導体レーザを点灯駆動制御することで、レーザビーム20を感光体8の露光位置にて照射する。そのために、露光装置10は、画像データに応じて半導体レーザを点灯駆動制御する発光ユニット14、走査ミラー15および反射ミラー17,18を備えている。
【0032】
走査ミラー15は、ミラーモータにより高速かつ定速に回転する。発光ユニット14から照射されたレーザビーム20は、画像データに応じた光像として、感光体8表面を選択的に露光する。これにより、帯電器9にて均一に帯電された感光体8表面には、照射されたレーザビームに応じた静電潜像が形成される。
【0033】
形成された感光体8表面の静電潜像は、現像装置11内のトナーにて可視像として現像されトナー像(現像剤像)となる。このトナー像は、給紙部1から給紙される用紙が転写位置へと搬送されてくることで、転写ローラ43の作用により用紙に転写される。用紙は、上述したように、用紙環境検知センサ7にて検知され、それに応じて感光体8に形成されるトナー像の開始先端と用紙先端とが一致するようにタイミング制御され、中間転写ベルト駆動ローラ44と転写ローラ43とが圧接する転写位置へと搬送される。
【0034】
感光体8表面のトナー像は、中間転写ローラ41から転写バイアスが加えられ、中間転写ベルト42に中間転写する。中間転写されたトナー像は、中間転写ベルト駆動ローラ44と転写ローラ43とが圧接する転写位置へと搬送される。
【0035】
転写後の中間転写ベルト42には、一部のトナーが残留する。この残留トナーは、ベルトクリーニング装置45にて除去される。これにより中間転写ベルト42は、次の中間転写に備えることができる。
【0036】
中間転写後、感光体8表面には、一部のトナーが残留する。この残留トナーは、クリーニング装置13にて除去される。これにより感光体8は、次の像形成に備えることができる。
【0037】
一方、転写後の用紙は、感光体8から剥離され、搬送方向下流側に配置されている定着装置3へと送り込まれる。用紙上の転写されたトナー像は、定着装置3を通過し搬送されることで、トナーが溶解し、用紙表面に定着される。
【0038】
定着装置3を通過する用紙は、次に排出経路に沿って配置されている排出ローラ21,22を介して画像形成装置の機外に排出される。その位置には、排紙トレイ23が設けられており、画像形成面が下になった状態で用紙が排出される。なお、P1,P2,P3は、用紙の経路を示すものであって、給紙部1、転写位置、定着装置3、排出ローラ21,22を経由するようになっている。
【0039】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における定着装置3の一つの構成を詳細に説明するための図である。
【0040】
定着装置3は、加熱源であるハロゲンランプからなるヒータランプ33を内部に有した定着ローラ(定着部)31及び定着ローラ31に所定の加圧力でもって加圧されてなる加圧ローラ32とから構成されている。
【0041】
定着ローラ31は、アルミニウムや炭素鋼からなる金属製の円筒形状の芯材31aに、トナーに対して離型性のよい材質からなる被覆層31bを設ける構成である。定着ローラ31表面は、サーミスタ等の温度環境検知センサ34にて温度検知され、温度制御回路(温度制御手段)152によりトナーを定着できる温度になるようにヒータランプ33を通電制御されるようになっている。
【0042】
このような構成の定着装置3において、定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部Wnに、未定着のトナー像Qを担持した記録媒体である用紙Pを通過させることにより、トナー像Qを用紙P上に溶融させ加圧も含めて定着するようにしている。
【0043】
そこで、上述した構成の定着装置3においては、画像形成装置100の主電源を投入すると、ヒータランプ33への通電が開始され、トナーを定着できる定着可能な予め設定された定着温度になるように立ち上げ制御が行われる。定着可能温度に達するまでの立ち上げ時間としては、常温常湿状態にて画像形成装置100が設置されていれば、ある程度決まった時間範囲内に立ち上がるようになっている。
【0044】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における印刷速度と騒音との関係を示したものである。
【0045】
本発明の画像形成装置100では、印刷速度は225mm/sと125mm/sの2種類を用いている。印刷速度の225mm/sは、通常モードの場合で、普通紙を印刷する際に用いられる。一方、普通紙より厚い厚紙を印刷する際の厚紙モードでは125mm/sが用いられる。厚紙を印刷する場合は、用紙上にトナーを定着させるための熱量が不足しやすいため、通常モードよりも低速の印刷速度としている。
【0046】
これからわかるように通常モードに比べ、厚紙モードでは装置の騒音が5dBも小さいことがわかる。
【0047】
本テストでは、騒音計には、デジタル騒音計OS−556(株式会社テストー製)を使用し、画像形成装置の周囲1mで設置面からの高さ1mの地点で測定した。
【0048】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御機構を示すブロック図である。制御部110に、バスを介してROM120と、RAM130と、画質調整部140(画質調整手段)と、入出力回路150と、環境検知センサ160とが接続されている。
【0049】
制御部110は、画像形成装置100全体の画像形成動作を制御する機能部である。制御部110は、ROM120に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現する。すなわち、制御部110は、ROM120に記憶されたプログラムを順次読み出すことで、シーケンシャルに画像形成動作のための制御を実行していく。
【0050】
このROM120に合わせて、制御に必要なデータ、また画像形成のための条件等を逐次記憶するデータはRAM130に格納されている。RAM130の役割は、本実施形態において画質調整動作を行うためのタイマを構成する記憶エリア、環境検知センサからの入力を記憶するワーキングエリア、さらに画像形成条件、出力枚数等を記憶するエリア等を備え、画像形成動作の進行状態を記憶することが可能となる。
【0051】
制御部110は、画像形成装置100内に設けられた騒音計や照度計からの信号を受け付け、その内容を必要に応じてRAM130の必要な領域に記憶させ、これらに基づいて制御部110は画像調整動作を実行する。温度制御回路152は、定着温度の指示を制御部110より受けることで、ヒータランプ33への通電を開始し、定着ローラ31の温度を定着可能温度へと立ち上げ処理を行う。つまり、ウォームアップ処理が実行される。
【0052】
そして、定着ローラ31の表面温度は温度環境検知センサ34を介して制御部110に入力されると、その状況を入出力回路150を介して温度制御回路152へと通知される。この場合、温度環境検知センサ34からの温度検知信号を温度制御回路39へと入力するようにし、温度制御回路152にて直接温度制御する構成としてもよい。そのため、温度制御回路152は、スレーブCPUを備え、制御部110をマスターCPUとして、制御することもできる。
【0053】
また、RAM130は、閾値テーブル132を記憶している。閾値テーブル132は、環境検知センサ160の出力値と比較するための閾値を記憶しているテーブルである。本実施形態では、図5に示すように騒音レベルが2つ記憶されている。この、第1閾値(例えば、「53(db)」)と、第2閾値(例えば、「48(dB)」)を利用することにより、制御部110は、画像形成装置100の環境を判定することとなる。
【0054】
温度制御回路152は、ヒータランプ33の通電制御を行い、定着ローラ31表面を、温度環境検知センサ34の温度検知状態に応じて定着可能な設定温度にて維持するように制御される。
【0055】
温度制御回路152に対して、印刷速度に対応する感光体8や定着装置3の定着ローラ31の回転駆動制御を行うためにモータ制御回路(駆動部材制御手段)154が設けられている。モータ制御回路154は、画質調整動作に応じて、必要時に制御部110からの指示により、感光体8などの回転駆動(回転速度)の切り替えを行う。
【0056】
モータ制御回路154は、制御部110からの制御指令、例えば駆動開始指令を受けて、画像形成プロセス要因を回転させるように制御する。このときの回転速度は、周囲環境の音や照度に関係させた速度に設定される。すなわち、環境検知センサの出力値が所定値(閾値)より大きい場合は、厚紙を搬送するときの遅い速度で画質調整が実施される。
【0057】
画質調整部140は、印刷画像の画質を調整する部位であり、画像形成装置100の電源立ち上げ時や、ウォームアップ時または所定枚数を印刷した場合に、画質調整動作が実行される。
【0058】
環境検知センサ160は、例えば、画像形成装置100の背面付近に配置されている。ここで、ユーザの装置の使用状況に応じて、環境検知センサ160の閾値を変更することにより、オフィスなどの実使用状況にマッチした画質調整を行うことができる。
【0059】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置100の画質調整動作についてのフローチャートである。
【0060】
まず、装置本体メモリーから画質調整動作信号を受信すると(ステップS10)、周囲環境を検出し、環境検知センサ160の検出値が第1閾値より小さいかどうか、具体的には、騒音レベルがどのレベルにあるかの判定する(ステップS12)。そのとき、騒音レベルが、閾値テーブル132に記憶されている第1閾値以上であれば、周囲に多数の人が働いており、大きな音を立てても支障がないと考えられるため、画質調整速度を通常モードに設定する(ステップS12;No→ステップS14)。
【0061】
環境検知センサ160の検出値が第1閾値より小さいと判定された場合は(ステップS12;Yes)、次に環境検知センサの検出値が第2閾値よりさらに小さいかどうかを判定する(ステップS16)。そこで、第2閾値より大きい場合、オフィスが適度に静かな環境にあると考えられるため、あまり大きな音をたてることは控え、厚紙モードの速度に設定する(ステップS16;No→ステップS18)。他方、第2閾値より小さい場合(ステップS16;Yes)、オフィスが極端に静かな状態又は無人であると考えられるため、通常モードの速度に設定する(ステップS20)。
【0062】
その後画質調整動作を実行し(ステップS22)、画像形成装置100を停止させて終了する(ステップS24)。
【0063】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。例えば環境検知センサ160が騒音を検知する代わりに照度計を用いて同様の制御を行うこともできる。
【0064】
また、上述した実施形態において、閾値テーブル132には、閾値が2つ記憶されていることとして説明したが、複数の項目(例えば実施形態において説明した騒音レベルの他に照度計を用いた照度や温度計を用いた温度等)を利用することとしても良いし、第3閾値、第4閾値等により更に細かい制御を行うこととしても良い。
【0065】
また、上述した実施形態において、閾値テーブル132に記憶されている第1閾値及び第2閾値は、予め記憶されているものとして説明したが、利用者やサービスマン等が変更できることとしても良いことは勿論である。閾値を変更することにより、画像形成装置の使用状況やオフィスの環境等に応じて、不快と感じる条件が異なるため、現場に即した閾値を設定するといった対応が可能となる。
【0066】
さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態における画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態における画像形成装置における定着装置の構成の一つを示す図である。
【図3】本実施形態における画像形成装置における印刷速度と騒音との関係を示す図である。
【図4】本実施形態における画像形成装置の制御機構を示すブロック図である。
【図5】本実施形態における閾値テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【図6】本実施形態における画像形成装置の制御動作についてのフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
100 画像形成装置
1 給紙部
2 画像形成部
3 定着装置
4 給紙トレイ
5 給紙ローラ
6 分離部材
7 用紙環境検知センサ
8 感光体
9 帯電器
10 露光装置
11 現像装置
12 転写装置
13 クリーニング装置
14 発光ユニット
15 走査ミラー
17,18 反射ミラー
20 レーザビーム
21,22 排出ローラ
23 排紙トレイ
31 定着ローラ
31a 芯材
31b 被覆層
32 加圧ローラ
33 ヒータランプ
34 温度環境検知センサ
41 中間ローラ
42 中間転写ベルト
43 転写ローラ
44 中間転写ベルト工駆動ローラ
45 ベルトクリーニング装置
110 制御部
120 ROM
130 RAM
132 閾値テーブル
140 画質調整部
150 入出力回路
152 温度制御回路
154 モータ制御回路
160 環境検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有する画像形成装置において、
前記画像形成装置の設置されている環境を検知する環境検知センサ部と、
前記画像形成装置が画質調整時期になった場合に、前記環境検知センサ部の出力値に基づき、自動的に画質調整を行うときの印刷モードを切り替える制御をする制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記環境検知センサ部の出力値が第1閾値より小さい場合は、画質調整を行う場合の印刷モードを厚紙モードに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記環境検知センサ部の出力値が第1閾値以下である第2閾値より小さい場合は、画質調整を行う場合の印刷モードを普通モードに切り替えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、画質調整速度を切り替える際に使用する前記環境検知センサの閾値を変更できることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記環境検知センサは、騒音計もしくは照度計であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有し、画像形成装置の設置されている環境を検知する環境検知センサ部を備える画像形成装置の画質調整方法において、
前記画像形成装置が画質調整時期になった場合に、前記環境検知センサ部の出力値に基づき、自動的に画質調整を行うときの印刷モードを切り替える制御をすることを特徴する画像形成装置の画質調整方法。
【請求項7】
通常の厚みの記録媒体を印刷するときに使用する通常モードと、厚い記録媒体の記録媒体を印刷するときに使用する通常モードより印刷速度の遅い厚紙モードとの複数の印刷モードを有し、画像形成装置の設置されている環境を検知する環境検知センサ部を備える画像形成装置の画質調整を機能させるプログラムにおいて、
前記画像形成装置が画質調整時期になった場合に、前記環境検知センサ部の出力値に基づき、自動的に画質調整を行うときの印刷モードを切り替える制御をする制御ステップを実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−20083(P2010−20083A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180298(P2008−180298)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】