説明

画像形成装置および画像形成ユニット

【課題】装置コストの高騰を抑えつつ除電装置の駆動による温度上昇を抑えることができ、温度上昇に起因した画像不良の発生を抑える。
【解決手段】トナー像を担持し、周回する感光体ドラム121上に所定の画像情報に応じたトナー像を形成させる現像装置122と、感光体ドラム121上のトナー像が所定の被転写体へ転写された後に光の照射で当該感光体ドラム121上の電荷を取り除く除電装置60と、この除電装置60を支持する板状フレーム71とが備えられてなるものである。そして、除電装置60と板状フレーム71との間には、本発明に係る冷却構造70の構成要素の1つである空気層を備えたエアギャップ73が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の表面に形成されたトナー像が被転写体に転写処理された後に、当該像担持体の表面に残留している電荷を取り除く除電措置を備えた画像形成装置に関するものであり、特に除電装置の駆動による温度上昇を抑えるように構成された画像形成装置およびこの画像形成装置に適用可能な画像形成ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、読み取ったり、外部のコンピュータ等から伝送されてきたりした画像情報に基づき感光体ドラム(像担持体)の周面に静電潜像を形成させ、この静電潜像に向けて現像装置からトナーを供給して同周面にトナー像を形成させ、このトナー像を用紙に転写処理するように構成された、複写機やプリンタ、さらにはファクシミリ装置として適用される画像形成装置が知られている。
【0003】
かかる画像形成装置においては、用紙や転写ベルト等の被転写体への転写処理後に感光体ドラムの周面に残留した電荷を除去する除電装置が設けられている。そして、除電装置による除電処理で電荷が存在しない状態になった像担持体の表面は、下流側の帯電装置へ向かい、ここで新たな静電潜像を形成させるための前提となる帯電処理が施される。
【0004】
ところで、除電装置は、通常、所定の回路が形成された基板と、この基板に付設されて回路から電力を得るLED(light emitting diode)等の発光部材とを備えて構成されている。従って、回路および発光部材に電力が供給されるとこれらが発熱し、周りの機器に温度上昇による悪影響を及ぼすことがある。具体的には、飛散したトナーが駆動機構などの温度上昇した周辺機器に付着して溶融し、その後固化して周辺機器の正常な駆動を阻害することがある。こうなると正常な画像形成処理を行うことができなくなり画像不良が生じる。
【0005】
かかる不都合を解消するべく、特許文献1に記載の画像形成装置においては、除電装置が含まれるように構成された循環気流ダクトと、この循環気流ダクトに内装されたファンと、このファンの駆動で循環気流ダクト内を循環流通する気流を熱交換で冷却するヒートパイプとを備えてなる冷却装置が記載されている。
【0006】
このような冷却装置を採用することにより、除電装置で発生した熱は、ファンの駆動で循環気流ダクト内を循環する気流との熱交換により取り除かれる。これにより昇温した気流は、ヒートパイプで冷却され、ダクト内を循環する。こうすることで除電装置が冷却されるため、除電装置の発熱による悪影響が解消される。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却装置にあっては、画像形成装置内に大掛かりな循環気流ダクトや、ファンさらにはヒートパイプ等を設けなければならず、装置コストが嵩むという不都合が生じる。
【0008】
そこで、かかる不都合を解消するべく、画像形成装置内に装置本体を横断するような長尺のフレームを架設し、このフレームの上部に所定個数の除電装置を並設することが行われる場合がある。こうすることにより除電装置で発生した熱は、放熱面積の大きいフレームに伝熱された後に放熱されるため、除電装置の昇温を効果的に抑え得ることが期待される。
【特許文献1】特開2000−293090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、単に長尺のフレームを設け、その上に除電装置を設けただけでは、期待した程の冷却効果を得ることができず、さらなる改良が臨まれる。
【0010】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであって、装置コストの高騰を抑えつつ除電装置で発生した熱を効果的に取り除くことが可能な冷却構造を備え、これによって除電装置の駆動による温度上昇を抑えることができ、温度上昇に起因した画像不良の発生を抑えることが可能な画像形成装置およびこの画像形成装置に適用可能な画像形成ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、トナー像を担持し、周回する像担持体上に所定の画像情報に応じたトナー像を形成させるトナー像形成手段と、前記像担持体上のトナー像が所定の被転写体へ転写された後に光の照射で当該像担持体上の電荷を取り除く除電装置と、前記除電装置を支持するフレームとが備えられ、前記除電装置と前記フレームとの間に隙間が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
かかる構成によれば、除電装置への通電により発生した熱は、当該除電装置を支持しているフレームと除電装置との間に形成された隙間内の空気層に伝熱され、当該空気層の対流によって取り除かれるため、除電装置が単にフレームに全面密着状態で支持され、伝熱のみによって冷却される場合に比較し、除電装置や周りの機器の温度上昇がより効果的に抑えられる。
【0013】
従って、除電装置の温度上昇に起因した周りの機器の温度上昇により、飛散して当該機器に付着した低融点のトナーの溶融固着で機器が正常に駆動しなくなり、適正な画像形成処理が確保し得なくなるような不都合の発生が有効に防止される。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記除電装置は、所定の放熱板を介して前記フレームに支持され、前記隙間は、前記フレームと前記放熱板との間に形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成によれば、除電装置で発生した熱は、当該除電装置を支持している放熱板に一旦伝熱され、引き続き当該伝熱板とフレームとの間に形成された隙間内外で生じる空気の対流で外部に排熱されるため、除電装置はより効果的に冷却される。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記放熱板は、前記フレームより外側にまで延設されていることを特徴とするものである。
【0017】
かかる構成によれば、放熱板は、フレームよりも外側に延設されることにより放熱面積が大きくなってその分放熱効果が向上するとともに、外部に延設されている部分の外気との接触によって冷却効果がさらに向上する。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明において、前記放熱板に冷風を供給する冷風供給手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
かかる構成によれば、放熱板に冷風が当たることによって当該放熱板の熱が強制的取り去られるため、除電装置は、冷風で冷やされた放熱板を介してより高効率で冷却処理される。
【0020】
請求項5記載の発明(画像形成ユニット)は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置に適用される画像形成ユニットであって、前記像担持体は、周面に画像形成領域を有する軸心回りに回転可能な感光体ドラムであり、少なくとも前記フレームと、前記感光体ドラムと、前記除電装置とでユニット化されていることを特徴とするものである。
【0021】
かかる構成によれば、画像形成ユニットは、請求項1〜4記載の画像形成装置が備える作用効果を有するものになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る画像形成装置および画像形成ユニットによれば、除電装置への通電により発生した熱は、隙間内の空気層に伝熱され、当該空気層の対流によって取り除かれるため、除電装置が単に伝熱のみによって冷却される場合に比較しより効果的に冷却処理を施すことができる。
【0023】
従って、除電装置の温度上昇に起因した周りの機器の温度上昇により、飛散して当該機器に付着した低融点のトナーの溶融固着で機器が正常に駆動しなくなり、適正な画像形成処理が確保し得なくなるような不都合の発生を有効に防止することができ、結果として信頼性の高い高画質の画像形成処理を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明に係る画像形成装置10の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、当該画像形成装置10の内部構造を説明するための正面断面視の説明図である。なお、図1および図2においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0025】
まず、図1に示す画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に画像形成部12と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とがそれぞれ形成されている。そして、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって前記排紙部15が形成され、これが当該画像形成装置10を胴内排紙型と称される所以である。
【0026】
前記装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部本体112と、この上部本体112と前記下部本体111との間に介設された連結体113とを備えている。前記連結体113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、下部本体111の左部から立設されている。前記上部本体112は、その左部がかかる連結体113の上端部に支持されている。
【0027】
そして、前記下部本体111には、画像形成部12、定着部13および用紙貯留部14が内装されているとともに、前記上部本体112には画像読取部16が装着されている。前記操作部17は、本実施形態においては、上部本体112の前縁部から前方に向かって突設されている。
【0028】
前記排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成されている。かかる排紙部15は、下部本体111の上面に形成された胴内排紙トレイ151を有し、画像形成部12からのトナー像が転写された用紙Pは、連結体113の下部からこの胴内排紙トレイ151へ向けて排出される。
【0029】
以下、画像形成部12について図2を基に説明する。前記画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙Pにトナー像を形成させるものであり、図2に示すように、上流側(右側)から下流側へ向けて順次配設されたマゼンタ用画像形成部12M、シアン用画像形成部12C、イエロー用画像形成部12Yおよびブラック用画像形成部12Kとを備えている。
【0030】
各画像形成部12M,12C,12Y,12Kには、感光体ドラム(像担持体)121および現像装置(トナー像形成手段)122がそれぞれ備えられている。各感光体ドラム121は、図2において反時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置122からトナーが供給される。各現像装置122には、装置本体11の前面側(図2の紙面の表側)に配設された図略のトナーカートリッジからトナーが補給される。
【0031】
各感光体ドラム121の直下位置には帯電装置123がそれぞれ設けられているとともに、各帯電装置123のさらに下方位置には露光装置124が設けられている。そして、各感光体ドラム121は、前記帯電装置123によって周面が一様に帯電され、画像読取部16で読み取られた画像データに基づく各色に対応したレーザー光が前記各露光装置124から帯電後の感光体ドラム121の周面に照射されることにより、各感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置122からトナーが供給されることにより、感光体ドラム121の周面にトナー像が形成される。
【0032】
前記感光体ドラム121の上方位置には、当該各感光体ドラム121に当接するように転写ベルト125が設けられている。この転写ベルト125は、図2の左方位置に設けられた駆動ローラ125aと、同右方位置に設けられた従動ローラ125bとの間に掛け回されている。
【0033】
かかる転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた転写ローラ125cによって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。
【0034】
従って、転写ベルト125が周回することによりその表面に対しマゼンタ用画像形成部12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の転写が行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にシアン用画像形成部12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にイエロー用画像形成部12Yの感光体ドラム121によるイエローのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後のブラック用画像形成部12Kの感光体ドラム121によるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。
【0035】
これらによって転写ベルト125の表面にカラー画像が形成される。この転写ベルト125の表面に形成されたカラー画像が用紙貯留部14から搬送されてきた用紙Pに転写されることになる。
【0036】
そして、各感光体ドラム121の左上であって転写ベルト125の直下位置には、転写処理後の感光体ドラム121の周面に存在する電荷を消去して電位を「±0」にするための除電装置60がそれぞれ設けられている。各感光体ドラム121の周面は、対応した各除電装置60を通過することにより、電位が「±0」になって帯電装置123による適正な帯電処理が施され得る状態になる。
【0037】
また、各除電装置60の直下位置であって各感光体ドラム121の図2における左方位置には当該感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去して清浄化するドラムクリーニング装置40がそれぞれ設けられている。ドラムクリーニング装置40によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電装置123へ向かうことになる。
【0038】
前記ドラムクリーニング装置40で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収される。
【0039】
かかる画像形成部12の左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路127が設けられている。この用紙搬送路127には、適所に搬送ローラ対127aが設けられ、用紙貯留部14からの用紙Pがこの搬送ローラ対127aの駆動で駆動ローラ125aに掛け回されている転写ベルト125へ向けて搬送される。
【0040】
かかる用紙搬送路127には、駆動ローラ125aと対向した位置に転写ベルト125の表面と当接した第2転写ローラ128が設けられ、用紙搬送路127を通して搬送されつつある用紙Pが転写ベルト125と第2転写ローラ128とに押圧挟持されることによって転写ベルト125上のトナー像が当該用紙Pに転写される。
【0041】
そして、転写ベルト125の右方には、当該転写ベルト125の表面に残留した残留トナーを除去する図略のベルトクリーニング装置125dが設けられ、用紙Pへの転写処理が完了した転写ベルト125は、表面の残留トナーがこのベルトクリーニング装置125dによって取り除かれ清浄化された状態で次の転写処理へ向けて周回される。
【0042】
前記定着部13は、画像形成部12で転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものであり、内部に加熱源であるハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた定着ローラ131と、左方でこの定着ローラ131と対向配置された加圧ローラ132とを備えている。そして、第2転写ローラ128を介して画像形成部12から導出された転写処理済の用紙Pは、これら定着ローラ131および加圧ローラ132間に押圧挟持されつつ定着ローラ131による加熱処理でトナー像が定着され、用紙P上に安定した状態のカラー画像が形成される。
【0043】
定着処理の完了したカラー印刷済みの用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路129を通り、排出ローラ対152を介して胴内排紙トレイ151へ向けて排出される。
【0044】
前記用紙貯留部14は、装置本体11における露光装置124の下方位置に挿脱自在に装着された給紙トレイ141を有している。給紙トレイ141には用紙束が貯留される。そして、給紙トレイ141に貯留された用紙束からピックアップローラ142の駆動で用紙Pが1枚ずつ繰り出され、用紙搬送路127を通って画像形成部12へ導入される。
【0045】
前記画像読取部16は、前記上部本体112の上面開口に装着された、原稿P1が原稿面を下にして載置されるコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161上に載置された原稿を押さえるための当該コンタクトガラス161に対し開閉自在とされた原稿押さえマット162と、コンタクトガラス161上に載置された原稿P1の原稿画像を読み取るための上部本体112に内装された光学系ユニット163とを備えている。
【0046】
前記光学系ユニット163は、コンタクトガラス161上に載置された原稿が原稿押さえマット162によって押さえられた状態で、下方からコンタクトガラス161を介して原稿画像を光源164の移動による走査で原稿面からの反射光によりCCD(charge coupled device)165により読み取るようになっている。CCD165により読み取られた原稿の画像情報は、ディジタル化処理が施された上で画像形成部12の露光装置124へ向けて出力される。
【0047】
前記操作部17は、画像形成処理に関する各種の項目(用紙サイズや処理部数等)を入力操作するためのものである。かかる操作部17には、図1に示すようにスタートキー171や数値情報を入力するためのテンキー172、さらには現に行われたテンキー172による入力情報やエラーメッセージ等を表示するLCD(Liquid crystal display)173等が設けられている。
【0048】
本実施形態においては、このように構成された画像形成装置10において、感光体ドラム121、帯電装置123、ドラムクリーニング装置40、除電装置60、後述する潤滑剤塗布装置50および除電装置60を冷却するための後述する冷却構造70等がユニット化されてなるドラムユニット20が形成されている。以下、かかるドラムユニット20について図3〜図5を基に説明する。
【0049】
前記各画像形成部12M,12C,12Y,12Kには、各色のトナーを対象として構成されたドラムユニット20がそれぞれ備えられている。これら4つのドラムユニット20は、採用されるトナーの種類が異なるだけで構造的にはそれぞれ全く同一に構成されている。
【0050】
図3は、ドラムユニット20の一実施形態を示す原理図としての一部切り欠き分解斜視図であり、図4は、その組み立て斜視図である。また、図5は、図4のV−V線断面図である。なお、図3〜図5においてXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0051】
これらの図に示すように、ドラムユニット20は、ハウジング30に感光体ドラム121、帯電装置123、ドラムクリーニング装置40、潤滑剤塗布装置50および除電装置60が装着されることによって形成されている。前記ハウジング30は、−Y方向から見た正面視で上下が逆転した逆L字状を呈する前後方向一対の側板31と、これら一対の側板31間の左面側に架設される架設板32と、一対の側板31間の上面を覆う天板33とを備えている。
【0052】
前記側板31は、上下方向に延びる縦向き板311と、この縦向き板311の略上半分の位置から左方へ向けて延設された横向き板312とからなっている。かかる各側板31の右上の適所には、感光体ドラム121のドラム軸121aを嵌挿するためのドラム軸嵌挿孔313が穿設されている。
【0053】
また、各側板31の各横向き板312の対向面には、互いに対向方向に向けて所定厚み寸法で膨設された肉厚部314が形成されている。これら各肉厚部314には、右縁面から左方に向かって切り込まれて形成された装着凹部315がそれぞれ設けられている。これらの装着凹部315は、後述の可動ブラケット53を左右方向に移動可能に嵌め込むためのものである。
【0054】
また、後方の側板31における前記肉厚部314の装着凹部315内の横向き板312には、左右方向に長尺の長孔316が穿設されている。この長孔316は、後述するローラ軸411を若干左右方向に移動可能に嵌挿するためのものである。
【0055】
また、一対の側板31における各縦向き板311の対向面には、その略下半分の位置に上下方向に延びた装着溝317がそれぞれ凹設されている。これらの装着溝317は、前記帯電装置123の後述する前後一対の凸条123dを嵌め込むためのものである。
【0056】
帯電装置123は、上面が開放された長さ寸法が一対の側板31の各縦向き板311間の内寸法より僅かに小さい直方体状のケーシング123aと、上部が若干突出するようにこのケーシング123aに内装された前後方向に延びる帯電ローラ123bとを備えている。帯電ローラ123bは、ケーシング123aの前後の側板間に架設されたローラ軸123c回りに回転自在に軸支されている。かかる帯電ローラ123bは、図略の電源装置からの電圧が印加され、これによって当該帯電ローラ123bの周面と当接している感光体ドラム121の周面に帯電処理を施すものである。
【0057】
また、ケーシング123aの前後の側板には、ハウジング30の各縦向き板311の対向面にそれぞれ凹設された前記各装着溝317に摺接状態で嵌り込む凸条123dがそれぞれ設けられている。従って、各凸条123dを対応した装着溝317に嵌め込むことにより、帯電装置123は、凸条123dが装着溝317に案内されつつ上下動することができる。
【0058】
そして、ハウジング30の底板321と帯電装置123のケーシング123aの底板との間には所定個数のコイルスプリング123eが圧縮状態で介設される。従って、帯電装置123が前後の側板31間に装着された状態で、コイルスプリング123eの付勢力により帯電ローラ123bの周面が感光体ドラム121の周面に圧接される。
【0059】
前記架設板32は、前記一対の側板31を互いに連結するとともに、一対の側板31間における左面側および下面側を閉止するためのものである。この架設板32は、−Y方向から見た正面視で側板31の左縁部および下縁部に沿うように階段状に形成されている。
【0060】
具体的には、側板31の縦向き板311の下縁部に対応した底板321と、底板321の左縁部から立設された縦向き板311における横向き板312より下の部分に対応する下部左方板322と、この下部左方板322の側板31における横向き板312の下縁部に沿って左方へ延設された中段底板323と、この中段底板323の左縁部から側板31における横向き板312の左側の斜めになった部分に沿う傾斜板324と、この傾斜板324の上縁部から上方へ向けて延設された上部左方板325とから架設板32が形成されている。
【0061】
前記上部左方板325の上部には、上縁から切り欠かれることによって形成した前後方向に長尺の切り欠き窓325aが形成されている。この切り欠き窓325aは、架設板32が側板31に装着された状態で後述の板状フレーム71の左縁部と同一高さレベルになるように上部左方板325の上縁部からの切り込み量が設定されている。
【0062】
かかる架設板32が一対の側板31間における左面側に図略のネジ止め等で固定されるとともに、天板33が一対の側板31における横向き板312の各肉厚部314における後述の一対の第3段314c間に架設されてネジ止め等で固定されることにより、図4に示すようなハウジング30が形成される。
【0063】
前記ドラムクリーニング装置40は、用紙Pへの転写処理後に感光体ドラム121の周面に残留した残留トナーや、帯電装置123による感光体ドラム121の周面への高電圧印加時に発生して同周面に付着した窒素酸化物等の付着物を取り除いて感光体ドラム121の周面に清浄化処理を施すためのものである。
【0064】
かかるドラムクリーニング装置40は、一対の側板31の各肉厚部314間に架設されるクリーニングローラ41と、このクリーニングローラ41の直下位置に設けられるブレード42と、このブレード42と前記架設板32の傾斜板324との間であって、中段底板323の直上位置に配設されるトナー搬送スクリュー43とを備えている。
【0065】
前記クリーニングローラ41は、周面が感光体ドラム121の周面と摺接した状態で感光体ドラム121より高速で順回転され、これによって感光体ドラム121の周面に付着している付着物を取り除くものである。かかるクリーニングローラ41は、ローラ軸411と、このローラ軸411に同心で一体回転可能に外嵌されたローラ本体412とを備えている。
【0066】
このようなクリーニングローラ41は、そのローラ軸411の前端が前方の装着凹部315に装着されている前方の可動ブラケット53に支持され、かつ、ローラ軸411の後端が後方の装着凹部315に装着されている後方の可動ブラケット53に貫通され、さらに前記長孔316に貫通された状態でハウジング30に装着されている。
【0067】
そして、クリーニングローラ41は、それぞれ前後の装着凹部315に嵌め込まれた前後一対の可動ブラケット53が後述のコイルスプリング54によって右方に向けて付勢されることにより、ローラ本体412の周面が感光体ドラム121の周面に押圧当接され、これによって感光体ドラム121の周面の付着物はより効果的に取り除かれる。感光体ドラム121の周面から取り除かれた付着物は、一対の側板31の横向き板312、中段底板323、傾斜板324およびブレード42によって囲繞された付着物回収空間34へ回収される。
【0068】
前記ブレード42は、ドラムクリーニング装置40によっても取り除くことができなかった感光体ドラム121の周面の付着物を掻き落とすためにクリーニングローラ41の直下位置に設けられている。かかるブレード42は、前後方向に長尺に長さ設定され(具体的には、前後の肉厚部314間の内寸法と同一に設定され)、基端縁部が架設板32の中段底板323における右端縁に固定された状態で先端縁部が、図5に示すように、感光体ドラム121の周面に到達するように右方に向かって先上がりに傾斜されている。
【0069】
従って、感光体ドラム121が、ドラム軸121a回りに図5における反時計方向に回転することにより、クリーニングローラ41では取り除き得なかった当該感光体ドラム121の周面に付着している残留トナーや窒素酸化物等の付着物がブレード42の先端(上端)によって掻き取られ、これによって感光体ドラム121の画像形成領域が清浄化される。感光体ドラム121の周面から掻き取られた付着物は、前記付着物回収空間34へ回収される。
【0070】
前記トナー搬送スクリュー43は、前記付着物回収空間34へ集められた残留トナー等の回収物を外部へ排出するためのものである。かかるトナー搬送スクリュー43は、一対の側板31の各肉厚部314間に貫通架設されたスクリュー軸431と、このスクリュー軸431に同心で一体回転可能に外嵌された、スクリュー軸431回りの回転で回収物を搬出する螺旋状のスクリューフィン432とを備えている。
【0071】
一方、後方の側板31の肉厚部314には、ローラ軸411の後端側を挿通するための挿通孔318が穿設されているとともに、前方の側板31の肉厚部314には、その外面側(前面側)に回収物を排出するための排出筒体35が設けられている。この排出筒体35には、トナー搬送スクリュー43の前端側が挿入されるとともに、下面の適所に排出口351が設けられている。
【0072】
このような排出筒体35には、シャッタ機構やスプリング等が組み合わされて形成された所定のシャッタ部材36が取り付けられている。そして、ドラムユニット20が装置本体11内に装着されることにより、前記シャッタ部材36が装置本体11内の所定の部材と干渉して動作することにより排出口351が開放される一方、前記シャッタ部材36が装置本体11から引き出されることによる装置本体11内の所定の部材との干渉解除で排出口351が閉止されるようになされている。
【0073】
そして、感光体ドラム121,クリーニングローラ41およびトナー搬送スクリュー43は、ドラム軸121a、ローラ軸411およびスクリュー軸431間のそれぞれに設けられた図略のギヤを介して互いに連動し得るように構成されている。
【0074】
従って、図略の駆動モータの駆動力が例えばドラム軸121aに伝達されて感光体ドラム121が図5における反時計方向へむけて回転すると、この回転は、周速が感光体ドラム121のそれより速くなるように設定されたクリーニングローラ41の時計方向へ向かう回転に伝達されるとともに、トナー搬送スクリュー43の所定方向へ向かう回転に伝達される。
【0075】
前記潤滑剤塗布装置50は、画像形成領域から外れた感光体ドラム121の両端周面に潤滑剤を塗布するためのものである。感光体ドラム121の両端周面に潤滑剤を塗布する理由は以下のとおりである。すなわち、感光体ドラム121の両端部の周面は、画像形成領域から外れており、従って、残留トナーが付着した状態にはなり難いことから、ドラムクリーニング装置40による周面のクリーニング処理が施されない。
【0076】
しかしながら、感光体ドラム121の両端部には、図4および図5に示すように、現像装置122の現像ローラ122aの周面と感光体ドラム121の周面との間に所定の隙間(ギャップ)を形成させるべく設けられたギャップコロ122bがそれぞれ当接されている。従って、他の部分で発生して感光体ドラム121の両端部に飛散してきた残留トナーや窒素酸化物等の異物が当該感光体ドラム121の両端部に付着堆積すると、感光体ドラム121の回転に応じギャップコロ122bがその付着して堆積した付着物に乗り上げたり、その後付着物から降り下がったりして現像装置122が揺動することになる。
【0077】
そして、現像装置122が揺動すると、厳密に寸法設定された感光体ドラム121の周面と現像ローラ122aの周面との間のギャップ寸法が変動する。ギャップ寸法が変動すると、現像ローラ122aの周面から感光体ドラム121の周面に向けてトナーを安定した状態で供給することができなくなり、結果として感光体ドラム121の周面に適正なトナー画像が形成されなくなる、いわゆる画像不良が生じる。
【0078】
そこで、このような画像不良を解消させるために、感光体ドラム121の両端部の周面に潤滑剤を塗布し、これによってこの部分の摩擦抵抗を低下させて極めて滑らかな状態にし、異物の付着を防止するようになされている。
【0079】
このような潤滑剤塗布装置50は、本実施形態においては、図3に示すように、潤滑剤52を保持した状態で感光体ドラム121の両端周面に当接されるサイドシール部材51と、右端面にこのサイドシール部材51が貼設されるとともに、前記ローラ軸411の軸受けとしても機能する可動ブラケット53と、この可動ブラケット53を感光体ドラム121へ向けて付勢するコイルスプリング54とを備えて構成されている。
【0080】
因みに、前記サイドシール部材51は、本実施形態においては、潤滑剤52を支持するための部材として採用されているが、当該サイドシール部材51の本来の用途は、トナーが感光体ドラム121の周面から漏洩するのを防止するためのものである。
【0081】
図6は、サイドシール部材51の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、図6(A)は、潤滑剤52がサイドシール部材51に装着される直前の状態、図6(B)は、潤滑剤52がサイドシール部材51に装着された状態をそれぞれ示している。なお、図6におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0082】
まず、図6(A)に示すように、サイドシール部材51は、複数枚のアクリル樹脂製のシートが積層されてなるアクリルパイルシール材が所定の金型によりプレス処理されつつ裁断されることによって形成されている。かかるサイドシール部材51は、その右縁面に感光体ドラム121の周面と面接触で摺接するための円弧縁面511が形成されているとともに、この円弧縁面511の中央部には、潤滑剤52を嵌め込むための装着孔512が穿設されている。
【0083】
前記潤滑剤52は、サイドシール部材51の装着孔512に嵌め込まれた状態で感光体ドラム121の両端の周面に摺擦して塗布されるものであり、常温で固体のものが採用されている。かかる潤滑剤52は、前記装着孔512の内面形状と同一の形状に設定され、これによって隙間ができない状態で装着孔512に嵌め込まれる。因みに図6に示す例では、装着孔512が直方体状に設定されているため、潤滑剤52もそれに合わせて直方体状に形状設定されている。
【0084】
かかる潤滑剤52としては、パルミチン酸、ステアリン酸あるいはオレイン酸等の脂肪酸の金属塩が好適に使用される。このような脂肪酸の金属塩は、家庭用の固形の洗顔石鹸のように常温で固形状を呈し、かつ、表面がヌルヌルしているため、摺擦によって感光体ドラム121の周面に塗布するには適した材料である。因みに本実施形態においては、潤滑剤52としてステアリン酸亜鉛が採用されているが、ステアリン酸亜鉛に限定されるものではなく、各種の脂肪酸の金属塩を使用することができる。
【0085】
そして、このような潤滑剤52が可動ブラケット53に貼着されているサイドシール部材51の装着孔512に嵌め込まれた状態で、感光体ドラム121の周面への塗布に供される。
【0086】
また、前記各可動ブラケット53は、それぞれ各側板31の肉厚部314に設けられた装着凹部315に摺接状態で左右方向に向けて移動可能に嵌め込まれる。かかる可動ブラケット53の左縁部と装着凹部315の左奥部との間には、コイルスプリング54が介設され、このコイルスプリング54が、その付勢力で可動ブラケット53を右方に向けて押圧する(図5参照)。
【0087】
従って、可動ブラケット53に支持されたローラ軸411を介してローラ本体412の周面が感光体ドラム121の周面における画像形成領域へ押圧当接されるとともに、可動ブラケット53を介してサイドシール部材51が感光体ドラム121の両端の各周面に押圧当接され、これによって各サイドシール部材51の装着孔512に保持されている潤滑剤52が感光体ドラム121の両端の周面に圧接される。これにより感光体ドラム121がドラム軸121a回りに回転すると、潤滑剤52が当該感光体ドラム121の端部の周面に塗布されることになる。
【0088】
前記除電装置60は、トナー画像が転写ベルト125へ転写された後の感光体ドラム121の周面に残留している電荷を消去して電位を「±0」にし、これによって新たに適正な帯電処理を施し得るようにするものであり、ハウジング30内におけるクリーニングローラ41の上方位置において一対の側板31間に架設された後述の放熱板72上で前後方向に向かって複数台が並設されている。
【0089】
かかる除電装置60は、電力供給用の所定の回路が形成された基板61と、この基板61上に積層され、当該基板61を介して供給された電力により発光するLED(light emitting diode)62とを備えている。各LED62は、感光体ドラム121の周面におけるそれぞれ分担された範囲に向けて光を照射するようになされており、かかる光照射を受けた回転している感光体ドラム121の周面は順次電荷が消去され、これによって帯電装置123による適正な帯電処理が施され得る状態になる。
【0090】
前記冷却構造70は、除電装置60によってハウジング30内が昇温するのを防止するべく、除電装置60に対し冷却処理を施すためのものである。以下、図7および図8を基に、必要に応じて他の図面も参照しながら、冷却構造70について詳細に説明する。
【0091】
図7および図8は、本発明に係る冷却構造70の一実施形態を示す斜視図であり、図7は、分解斜視図、図8は、一部切り欠き組み立て斜視図である。なお、図7および図8におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0092】
まず、図7に示すように、冷却構造70は、クリーニングローラ41の頂上位置において、一対の側板31の各肉厚部314間に架設された板状フレーム71と、この板状フレーム71に支持された状態で前記除電装置60が装着される放熱板72と、この放熱板72に向けて気流を供給する冷風ファン74とを備えて構成されている。放熱板72に向けて吹き付けられた気流は、前記上部左方板325の切り欠き窓325aを介して前記板状フレーム71と放熱板72との間の隙間(エアギャップ73)にも供給される。
【0093】
一方、一対の側板31の各肉厚部314におけるクリーニングローラ41の直ぐ上の位置には、階段状に形成された互いに対向する第1段314a、第2段314bおよび第3段314cがそれぞれ形成されている。そして、一対の第1段314a間には前記板状フレーム71が架設支持されて固定され、一対の第2段314b間には前記放熱板72が架設支持されて固定され、一対の第3段314c間には前記天板33が架設支持されて固定されている。
【0094】
前記板状フレーム71には、その上面における右半分の位置に左右方向に延びた複数本の第1リブ711が前後方向に向けて所定ピッチで並設されている。かかる各第1リブ711の上方への突設量は、第1段314aと第2段314bとの間の段差寸法から板状フレーム71の厚み寸法を差し引いた値に設定されている。従って、一対の第2段314b間に架設された放熱板72は、板状フレーム71の各第1リブ711の上縁面に密着し、これによって放熱板72の熱は、各第1リブ711を介して板状フレーム71へ伝熱される。
【0095】
また、板状フレーム71には、その左側位置に前方(−Y方向)から見て逆L字形状を呈する複数(本実施形態では第1リブ711と同数)の補強突起712が前後方向に向けて並設されている。かかる補強突起712の上面の高さ位置は第3段314cの高さ位置と同一に設定されている。従って、一対の第3段314c間に架設された天板33は、放熱板72を貫通したこれらの補強突起712にも支持されることになる。
【0096】
また、前記放熱板72には、その上面における右半分の位置に左右方向に延びた複数本の第2リブ721が前後方向に向けて所定ピッチで並設されている。かかる各第2リブ721の上方への突設量は、第2段314bと第3段314cとの間の段差寸法から放熱板72の厚み寸法を差し引いた値に設定されている。従って、一対の第3段314c間に架設された天板33は、放熱板72の各第2リブ721の上縁面に密着し、これによって放熱板72の熱は、各第2リブ721を介して天板33へ伝熱される。
【0097】
そして、前記除電装置60は、放熱板72上に置いて互いに隣設された第2リブ721間に取り付けられている。
【0098】
このような放熱板72には、その左方位置に前記補強突起712に対応し、かつ、補強突起712を貫通させる複数の切り欠き溝722が設けられているとともに、互いに隣設された切り欠き溝722間に放熱片723がそれぞれ形成されている。前記各切り欠き溝722は、溝幅寸法が補強突起712の前後寸法より僅かに大きめに設定され、これによって各切り欠き溝722を対応した補強突起712へ外嵌することができる。
【0099】
従って、まず図7に示すように、板状フレーム71を一対の第1段314a肉厚部314間に架設して固定した後、切り欠き溝722の奥まで補強突起712を外嵌した位置決め状態で除電装置60のマウントされた放熱板72を一対の第2段314b間に架設して固定し、最後に天板33を一対の第3段314c間に架設して固定することにより、図8に示すように、板状フレーム71、放熱板72および天板33が一対の側板31の各肉厚部314間に装着された状態になる。
【0100】
そして、放熱板72が一対の肉厚部314間に装着された状態では、放熱片723が、図5に示すように、架設板32の上部左方板325の切り欠き窓325aから外部に突出した状態になる。
【0101】
前記冷風ファン74は、装置本体11内の適所に配設され、装置本体11外から取り入れた空気を所定のダクト741を通して送風し、所定のノズルから放熱板72の放熱片723に向けて吹き付けるようになされている。冷風ファン74によって送風され、かつ、放熱片723に吹き付けられた空気の残部は、切り欠き窓325aを通ってエアギャップ73内にも入り込み、板状フレーム71や放熱板72とも熱交換する。これらの熱交換によって除電装置60が発する熱は、冷風ファン74からの送風によって効果的に取り去られるため、除電装置60の温度上昇が画像形成処理に悪影響を及ぼすという従来の不都合を確実に解消することができる。
【0102】
以上詳述したように、本発明に係る画像形成装置10は、トナー像を担持し、周回する感光体ドラム121上に所定の画像情報に応じたトナー像を形成させる現像装置122と、感光体ドラム121上のトナー像が所定の被転写体へ転写された後に光の照射で当該感光体ドラム121上の電荷を取り除く除電装置60と、この除電装置60を支持する板状フレーム71とが備えられてなるものである。そして、除電装置60と板状フレーム71との間には、本発明に係る冷却構造70の構成要素の1つである空気層を備えたエアギャップ(隙間)73が形成されている。
【0103】
かかる構成によれば、除電装置60への通電により発生した熱は、当該除電装置60を支持している板状フレーム71と除電装置60との間に形成されたエアギャップ73内の空気層に伝熱され、当該空気層の対流によって取り除かれるため、除電装置60が単に板状フレーム71に全面密着状態で支持され、伝熱のみによって冷却される場合に比較し、除電装置60や周りの機器の温度上昇をより効果的に抑えることができる。
【0104】
従って、除電装置60の温度上昇に起因した周りの機器の温度上昇により、飛散して当該機器に付着した低融点のトナーの溶融固着で機器が正常に駆動しなくなり、適正な画像形成処理が確保し得なくなるような不都合の発生を有効に防止することができ、結果として信頼性の高い高画質の画像形成処理を施すことができる。
【0105】
また、除電装置60は、放熱板72を介して板状フレーム71に支持され、エアギャップ73は、板状フレーム71と放熱板72との間に形成されているため、除電装置60で発生した熱は、当該除電装置60を支持している放熱板72に一旦伝熱され、引き続き当該伝熱板と板状フレーム71との間に形成されたエアギャップ73内外で生じる空気の対流で外部に排熱され、これによって除電装置60をより効果的に冷却することができる。
【0106】
また、放熱板72は、板状フレーム71より外側にまで延設され、この延設された部分に複数の放熱片723が形成されているため、放熱板72は、板状フレーム71よりも外側部分に形成された複数の放熱片723によって放熱面積が大きくされ、結果として冷却効果をさらに向上させることができる。
【0107】
さらに、放熱板72に冷風を供給する冷風ファン74が設けられているため、冷風ファン74からの冷風によって放熱板72の熱が強制的に取り去られるため、除電装置60に対しより高効率な冷却処理を施すことができる。
【0108】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0109】
(1)上記の実施形態においては、潤滑剤塗布装置50が適用される画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、複写機に限らずプリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【0110】
(2)上記の実施形態おいては、冷却構造70として冷風ファン74が採用されているが、状況によっては特に冷風ファン74を採用しなくても、エアギャップ73を設けたことで除電装置60に対する有効な冷却効果を確保することができる。
【0111】
(3)上記の実施形態においては、像担持体として感光体ドラム121を例に挙げて説明したが、これに限らず像担持体が無端ベルトであってもよい。
【0112】
(4)上記の実施形態においては、除電装置60における感光体ドラム121に光を照射する部材としてLED62が採用されているが、LED62に代えて通電により光を発する通常のランプを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係る画像形成装置10の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の内部構造の一実施形態を示す正面断面視の説明図である。
【図3】ドラムユニットの一実施形態を示す原理図としての一部切り欠き分解斜視図である。
【図4】図3のドラムユニットの組み立て斜視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】サイドシール部材の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、(A)は、潤滑剤がサイドシール部材に装着される直前の状態、(B)は、潤滑剤がサイドシール部材に装着された状態をそれぞれ示している。
【図7】本発明に係る冷却構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図8】図7に示す宇冷却構造の一部切り欠き組み立て斜視図である。
【符号の説明】
【0114】
10 画像形成装置 11 装置本体
111 下部本体 112 上部本体
113 連結体 12 画像形成部
12M マゼンタ用画像形成部 12C シアン用画像形成部
12Y イエロー用画像形成部 12K ブラック用画像形成部
121 感光体ドラム(像担持体)
121a ドラム軸 122 現像装置(トナー像形成手段)
122a 現像ローラ 122b ギャップコロ
123 帯電装置 123a ケーシング
123b 帯電ローラ 123c ローラ軸
123d 凸条 123e コイルスプリング
124 露光装置 125 転写ベルト
125a 駆動ローラ 125b 従動ローラ
125c 転写ローラ 125d ベルトクリーニング装置
127 用紙搬送路 127a 搬送ローラ対
128 転写ローラ 129 排紙搬送路
13 定着部 131 定着ローラ
132 加圧ローラ 14 用紙貯留部
141 給紙トレイ 142 ピックアップローラ
15 排紙部 151 胴内排紙トレイ
152 排出ローラ対 16 画像読取部
161 コンタクトガラス 162 原稿押さえマット
163 光学系ユニット 164 光源
17 操作部 171 スタートキー
172 テンキー 20 ドラムユニット
30 ハウジング 31 側板
311 縦向き板 312 横向き板
313 ドラム軸嵌挿孔 314 肉厚部
315 装着凹部 316 長孔
317 装着溝 318 挿通孔
32 架設板 321 底板
322 下部左方板 323 中段底板
324 傾斜板 325 上部左方板
33 天板 34 付着物回収空間
35 排出筒体 351 排出口
36 シャッタ部材 40 ドラムクリーニング装置
41 クリーニングローラ 411 ローラ軸
412 ローラ本体 414 クリーニングローラ
42 ブレード 43 トナー搬送スクリュー
431 スクリュー軸 432 スクリューフィン
50 潤滑剤塗布装置 51 サイドシール部材
511 円弧縁面 512 装着孔
52 潤滑剤 53 可動ブラケット
54 コイルスプリング(付勢部材)
60 除電装置 61 基板
62 LED 70 冷却構造
71 板状フレーム 711 第1リブ
712 補強突起 72 放熱板
721 第2リブ7 722 切り欠き溝
723 放熱片 73 エアギャップ(隙間)
P 用紙 P1 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持し、周回する像担持体上に所定の画像情報に応じたトナー像を形成させるトナー像形成手段と、
前記像担持体上のトナー像が所定の被転写体へ転写された後に光の照射で当該像担持体上の電荷を取り除く除電装置と、
前記除電装置を支持するフレームとが備えられ、
前記除電装置と前記フレームとの間に隙間が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記除電装置は、所定の放熱板を介して前記フレームに支持され、前記隙間は、前記フレームと前記放熱板との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記放熱板は、前記フレームより外側にまで延設されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記放熱板に冷風を供給する冷風供給手段が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置に適用される画像形成ユニットであって、
前記像担持体は、周面に画像形成領域を有する軸心回りに回転可能な感光体ドラムであり、
少なくとも前記フレームと、前記感光体ドラムと、前記除電装置とでユニット化されていることを特徴とする画像形成ユニット。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−54700(P2010−54700A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218230(P2008−218230)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】