説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】転写材を把持するとともに転写材を吸引搬送しても、良好な画像形成を行う。
【解決手段】像を担持する中間転写ベルト8と、第1の方向に配設された転写材33を把持するグリッパ18を有するとともに、第1の方向に直交または略直交する第2の方向に回転して中間転写ベルト8に担持されたトナー像を転写材33に転写する二次転写ローラー14と、トナー像が転写された転写材33をガイドするガイド面43a1を備えるとと
もに、ガイド面43a1の第1の方向に配設されたエアー流通孔43cを介して転写材3
3を吸引する吸引部材43aを備える第2の気流発生装置43と、第2の気流発生装置43で搬送された転写材33を定着する定着部46とを有し、エアー流通孔43cは、グリッパ18に第1の方向で異なる位置に配設される画像形成装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写材把持部が設けられるとともに像担持体の像を転写材に転写する転写ローラーを有する電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤を用いた湿式画像形成装置では、紙等の転写材のトナー像側の転写面が中間転写媒体に圧接されるため、転写後に転写材は中間転写媒体に張り付き易い。そこで、従来、転写後の転写材の先端に空気を吹き付けて転写材を転写ローラーから剥離させる画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、乾式現像剤を用いた画像形成装置において、感光体に圧接される転写ドラムのグリッパで転写材の先端部をグリップした状態で、感光体のトナー像を転写材に転写する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。転写材の先端部をグリップした状態で転写を行うことで、転写後に転写材を感光体から剥離させることが容易となる。
更に、転写後の転写材をガイドで、複数の吸引孔を有する転写材搬送ベルトにガイドし、この転写材搬送ベルトで転写材を吸引しながら定着部に搬送する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。転写材搬送ベルトで転写材を定着部に吸引搬送することで、良好な転写材搬送性が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3128067号公報。
【特許文献2】特開平3−4241号公報。
【特許文献3】特開平6−135613号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述の特許文献1に記載の画像形成装置では、転写材の先端部に空気を単に吹き付けているだけであるため、転写材の剥離を確実に行うことは難しい。そこで、特許文献1に記載の液体現像剤を用いる画像形成装置に、特許文献2に記載のグリップによる転写材先端部の剥離技術を適用することが考えられる。また、特許文献1に記載の画像形成装置に、特許文献3に記載の転写材搬送技術を適用することが考えられる。その場合、特許文献3に記載の転写材のガイドに吸引孔を設けて、転写材を吸引しながら転写材搬送ベルトにガイドすることで、転写後の転写材を転写材搬送ベルトに安定してガイドすることが考えられる。
【0006】
しかし、グリップで転写材先端部を把持すると、図6に示すように転写材の把持された部分が波打ち状に変形するというグリップの把持跡が生じる。このため、転写後の転写材の波打ち状部分がガイドの吸引孔の縁や転写材搬送ベルトの吸引孔の縁にガイドに引っ掛かり、転写材詰まりが発生する可能性が考えられる。したがって、特許文献1に記載の画像形成装置に特許文献2に記載の転写材の剥離技術および特許文献3に記載の転写材の吸引搬送技術を適用して、良好な転写および良好な画像形成を行うことは難しい。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、転写材を把持するとともに転写材を吸引搬送しても、良好な画像形成を行うことのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法では、転写材を転写材把持部材で把持することにより、転写材を転写ローラーから確実に剥離することができる。特に液体現像剤を用いた画像形成装置では、転写材を転写ローラーからより効果的に剥離することができる。
【0009】
また、転写材把持部材の位置と吸引孔の位置とが、転写ローラーの回転方向である第2方向と直交または略直交する第1の方向に互いに外れている。したがって、転写材把持部材は吸引孔と第2の方向または略第2の方向で異なる位置となる。これにより、転写材把持部材の把持跡が転写材に存在しても、転写材搬送時に、転写材把持部材による転写材の把持跡が吸引孔に引っ掛かることを抑制することができる。その結果、転写材の搬送時、転写材を詰まらせることなく、スムーズに搬送することが可能となり、転写後の転写材の搬送性が向上する。これにより、転写部の転写をより確実に安定して良好に行うことができ、良好な画質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】(a)はこの例の画像形成装置の二次転写部の部分斜視図、(b)は(a)におけるIIB部の拡大図、(c)は(a)における部分右側面図である。
【図3】転写後の転写材の二次転写ローラーからの剥離を説明する図である。
【図4】図1に示す二次転写部から定着部までの構成を模式的に示す部分拡大図である。
【図5】図4における矢印V方向から見た図である。
【図6】転写材の把持跡を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の例の一部を模式的にかつ部分的に示す図である。
この例の画像形成装置1は、固形分トナーとキャリアー液とを含む液体現像剤を用いて画像形成を行う。図1に示すように、画像形成装置1は、水平またはほぼ水平にタンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の像担持体である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光体2Y,2M,2
C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの
感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
【0012】
各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、それぞれ、帯電部3Y,3M,3C,3Kが設けられている。また、各帯電部3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光部4Y,4M,4C,4K、現像部5Y,5M,5C,5K、一次転写部6Y,6M,6C,6K、および感光体クリーニング部7Y,7M,
7C,7Kが配設されている。
【0013】
また、画像形成装置1は、像担持体である無端状の中間転写ベルト8を備えている。この中間転写ベルト8は、各感光体2Y,2M,2C,2Kの上方に配置されている。そして
、中間転写ベルト8は各一次転写部6Y,6M,6C,6Kで各感光体2Y,2M,2C,2Kに圧接されている。
【0014】
図示しないが、中間転写ベルト8は、例えば樹脂等の可撓性の基材と、この基材の表面
に形成されたゴム等の弾性層と、この弾性層の表面に形成された表層とを有する3層構造の比較的柔らかい弾性ベルトに形成されている。もちろん、これに限定されることはない。中間転写ベルト8は図示しないモーターの駆動力が伝達される中間転写ベルト駆動ローラー9および中間転写ベルトテンションローラー11に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト8はテンションを付与された状態で、矢印方向に回転するようにされている。
なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体等の部材の配置順は、図1に示す例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0015】
各一次転写部6Y,6M,6C,6Kより中間転写ベルト8の回転方向に進んだ各一次転
写部6Y,6M,6C,6Kの近傍の中間転写ベルト8の位置には、それぞれ、中間転写ベ
ルトスクイーズ装置12Y,12M,12C,12Kが配設されている。更に、中間転写ベ
ルト8の中間転写ベルト駆動ローラー9側には転写装置である二次転写部13が設けられている。
【0016】
二次転写部13は、二次転写ローラー14および二次転写ローラークリーニング部15を備えている。二次転写ローラー14の回転軸14aの両端部が一対の二次転写ローラー支持フレーム16に回転自在に支持されている。二次転写ローラー支持フレーム16は図示しない装置本体に支持された回転軸16a(回動支点)を中心に回転揺動するとともに、図示しないスプリング等の付勢手段により、矢印方向に付勢されている。この付勢手段の押圧力で、二次転写ローラー14は中間転写ベルト8に圧接される。このとき、中間転写ベルト駆動ローラー9は二次転写ローラー14の押圧に対するバックアップローラーとして機能する。
【0017】
更に、二次転写ローラー14は凹部17を有している。図2(a)に示すように、この凹部17は、二次転写ローラー14の軸方向に延設されている。また、二次転写ローラー14は、基材14bの円弧部の外周面に巻かれたシート状の弾性部材14cを有している。この弾性部材14cにより二次転写ローラー14の円弧部の外周面に抵抗層が形成されている。そして、図1および図3に示すように中間転写ベルト8と二次転写ローラー14の弾性部材14cとの間に二次転写ニップ13aが形成される。
【0018】
更に、二次転写ローラー14は、中間転写ベルト8に転写されたトナー像を、転写紙等の転写材に転写させる転写バイアスが印加される。そして、二次転写ローラー14は、中間転写ベルト8の矢印方向の回転時に第2の方向である矢印方向に回転するとともに転写バイアスが印加されることにより、二次転写ニップ13aで中間転写ベルト8のトナー像を転写材に転写する。
【0019】
凹部17内には、本発明の転写材把持部材としてのグリッパ18およびグリッパ18が着座する転写材把持部材受け部材であるグリッパ支持部19が配設されている。図2(a)および(b)に示すように、グリッパ18は、二次転写ローラー14の軸方向(第1の方向)に沿って10個配設されている。もちろん、グリッパ18は10個に限定されることはなく、任意の個数設けることができる。各グリッパ18は金属の薄い帯状板から同じ大きさの2段折り曲げの同じクランク形状に形成される。
【0020】
各グリッパ18は回転軸20に、この回転軸20と一体に回転するように設けられている。この回転軸20の両端部は、二次転写ローラー14の凹部17に対向する位置に立設された支持板21,22に回転可能に支持されている。
【0021】
回転軸20の一端部には、第1のグリッパ制御カムフォロワー28が第1のアーム26を介して設けられている。また、回転軸20の他端部には、第2のグリッパ制御カムフォ
ロワー29が第2のアーム27を介して設けられている。そして、二次転写ローラー14が回転することで、第1グリッパ制御カムフォロワー28が第1および第3のグリッパ制御カム30,31により制御される。また、二次転写ローラー14が回転することで、第
2のグリッパ制御カムフォロワー29が第1のグリッパ制御カム30と同様の第2のグリッパ制御カム(不図示)と第3のグリッパ制御カム31と同様の第4のグリッパ制御カム32により制御される。これらの第1および第2のグリッパ制御カムフォロワー28,2
9の制御は同期して行われる。
【0022】
図2(a)に示すように、グリッパ支持部19は二次転写ローラー14の軸方向に沿って8個配設されている。なお、グリッパ支持部19は8個に限定されることはなく、グリッパ18に対応した個数設けることができる。また、8個のグリッパ支持部19のうち、二次転写ローラー14の両端部側に位置する2つのグリッパ支持部19aは、二次転写ローラー14の軸方向の長さが他のグリッパ支持部19より長く設定されている。これにより、二次転写ローラー14の軸方向の転写材33のサイズに対応するようにされている。
【0023】
図2(b)および(c)に示すように、グリッパ支持部19,19aには、それぞれ、
グリッパ18が当接するグリッパ当接部19bが設けられている。そして、グリッパ支持部19,19aのグリッパ当接部19bに、対応するグリッパ18が当接および離間する
ようにされている。これらのグリッパ支持部19,19aに対するグリッパ18の当接お
よび離間の制御は、前述の第1および第2のグリッパ制御カムフォロワー28,29の制
御によって行われる。
【0024】
すなわち、図2(c)に示すようにグリッパ18がゲートローラー40から転写材供給ガイド41を介して給送されてくる転写材33の先端部33aがグリッパ18の段部18cに当接すると、第1および第2のグリッパ制御カムフォロワー28,29の制御により
、グリッパ18はこの先端部33aをグリッパ支持部19,19aのグリッパ当接部19
bとの間に把持する(転写材把持工程)。この転写材33の把持は、凹部17が二次転写ニップ相当位置に到達する直前に行われる。そして、グリッパ18およびグリッパ支持部19,19aにより、転写材把持部が構成される。ところで、グリッパ18により転写材
33の先端部33aが把持された状態では、トナー像が転写される転写材33の転写面33dと反対側に先端部33aが折り曲げられるように把持される。
【0025】
グリッパ18が転写材33を把持した後、転写材33は後端部33cに向けて順次二次転写ローラー14の外周面に当接するようになる。更に、第1および第2のグリッパ制御カムフォロワー28,29の制御により、凹部17が二次転写ニップ相当位置を通過した
後に、グリッパ18がグリッパ支持部19から離間して転写材33の先端部33aを解放する。
【0026】
ここで、二次転写ニップ相当位置とは次の意味である。すなわち、凹部17が中間転写ベルト駆動ローラー9に対向する位置に来ると、二次転写ローラー14の凹部17(具体的には、凹部形成部分)は中間転写ベルト8に当接しない。このため、中間転写ベルト8と二次転写ローラー14との間には、二次転写ニップ13aが形成されない。そこで、二次転写ローラー14が中間転写ベルト8に圧接されて形成されるとともに、二次転写ローラー14および中間転写ベルト8の各回転方向の幅が最大となる二次転写ニップ13aの形成位置を、凹部17がこの二次転写ニップ13aの形成位置に対向したときに二次転写ニップ相当位置という。
【0027】
転写材33が把持されるときの二次転写ローラー14の回転は、ゲートローラー40から給送されてくる転写材33の移動方向と同じ向きのベクトル成分を有する。したがって、グリッパ18がグリッパ支持部19から離間している状態で、転写材33の先端部33
aが移動するグリッパ18を追いかけるようにしてグリッパ18とグリッパ支持部19との間に進入する。その後、グリッパ18がグリッパ支持部19に転写材33の先端部33aを押圧することにより、転写材33が把持される。
【0028】
図2(c)に二点鎖線で示すようにグリッパ18の先端の把持部がグリッパ支持部19との間に転写材33の先端部33aを把持した状態では、グリッパ18の全体が二次転写ローラー14の弾性部材14cの仮想外形線14fより内側に退避するように設けられている。また、グリッパ18が図2(c)に実線で示す解放位置にあるときは、グリッパ18の先端側の把持部が弾性部材14cの仮想外形線14fより外側に突出するようにされている。
【0029】
転写材33の先端部33aがグリッパ18で把持された状態で、中間転写ベルト8のトナー像が二次転写ニップ13aで転写材33に転写される(転写工程)。凹部17の二次転写ローラー回転方向の幅部分を除く二次転写ローラー14の周長は、この例の画像形成装置1に使用される転写材33の種類のうち、転写材移動方向の長さが最大である転写材33の転写材移動方向の長さより大きく設定されている。これにより、この最大長さを有する転写材33にも、中間転写ベルト8のトナー像が確実に転写されるようになる。
【0030】
各グリッパ18による転写材33の先端部33aの把持部が二次転写ニップ13aを通過すると、各グリッパ18がグリッパ支持部19から離れる方向に移動開始し、転写材33の先端部33aが解放開始される。
【0031】
更に、凹部17内には、転写材剥離部材としての突き出し爪34が配設されている。図2(a)および(b)に示すように、突き出し爪34は、二次転写ローラー14の軸方向に沿って9個配設されている。もちろん、突き出し爪34は9個に限定されることはなく、任意の個数設けることができる。各突き出し爪34は金属の薄い帯状平板から同じ形状で同じ大きさに形成されている。各突き出し爪34は、支持板21,22に形成された直
線状のガイド孔にガイドされて一体に直線運動する。一方、支持板21,22には回転軸
35が相対回転するように支持されている。そして、回転軸35の回転が、従来公知の運動変換機構(不図示)により各突き出し爪34の直線運動に変換される。
【0032】
各突き出し爪34は、直線運動により図2(c)に実線で示す退避位置と、同図に二点鎖線で示す突き出し位置との間で移動するようになっている。その場合、各突き出し爪34は退避位置にあるときは各突き出し爪34の全体が仮想外形線14fより内側つまり凹部17内に位置するとともに、突き出し位置にあるときはその先端が仮想外形線14fより外側、つまり凹部17から外に突出する。そして、突き出し爪34は、退避位置にあるときは転写材33の背面に当接しないとともに、突き出し位置にあるときは転写材33の背面に当接して転写材33を二次転写ローラー14の外周面から突き出す(つまり、転写材33の背面を二次転写ローラー14の外周面から剥離させる)。
【0033】
図2(a)および図3に示すように、支持板21を貫通した回転軸35の一端部には、第1の突き出し爪制御カムフォロワー38がアーム37を介して設けられている。また、支持板22を貫通した回転軸35の他端部には、アーム37と同様のアーム(不図示)を介して設けられた第1の突き出し爪制御カムフォロワー38と同様の第2の突き出し爪制御カムフォロワー(不図示)が設けられている。そして、二次転写ローラー14が回転することで、第1の突き出し爪制御カムフォロワー38が第1の突き出し爪制御カム39により制御される。また、二次転写ローラー14が回転することで、第2の突き出し爪制御カムフォロワー(不図示)が第2の突き出し爪制御カム(不図示)により制御される。これらの第1および第2の突き出し爪制御カムフォロワーの制御は同期して行われる。
【0034】
そして、図3に示すように二次転写ローラー14の回転で凹部17が二次転写ニップ相当位置を通過した後に、グリッパ18による転写材33の先端部33aの解放に相前後して、各突き出し爪34が突き出し位置に移動して、転写材33の背面を二次転写ローラー14の外周面から剥離させる。二次転写ローラー14の更なる回転で、各突き出し爪34が転写材33の背面から離間すると、各突き出し爪34が退避位置に移動する。各突き出し爪34は、次の画像形成動作時に前述と同様にグリッパ18による転写材33の先端部33aの解放に相前後して突き出し位置に移動するまでは、この退避位置に保持される。
【0035】
図2(a)に示すように、二次転写ローラー14の一端には、当接部材支持部23が二次転写ローラー14と一体回転するように設けられている。この当接部材支持部23には、第1の位置決め部材である第1の当接部材24が立設されている。同様に、二次転写ローラー14の他端にも当接部材支持部23と同じ当接部材支持部が設けられ、この当接部材支持部にも第1の位置決め部材である第1の当接部材25が立設されている。各第1の当接部材24,25は、二次転写ローラー14と一体回転する。これらの第1の当接部材
24,25は、二次転写ローラー14の円弧状外周面の円と同心円の円弧状の外周面24
a,25aを有している。
【0036】
一方、図示しないが中間転写ベルト駆動ローラー9の両端側の回転軸9aには、それぞれ、第2の位置決め部材である第2の当接部材が設けられている。 そして、第1の当接部材24,25が各第2の当接部材に対向しない位置にあるときは、二次転写ローラー1
4の弾性部材14cが中間転写ベルト8に当接し、二次転写ニップ13aが形成される。その場合、二次転写ローラー14の凹部17は二次転写ニップ相当位置にほとんど対向していない。
【0037】
また、第1の当接部材24,25が各第2の当接部材に対向する位置にあるときは、第
1の当接部材24,25の外周面24a,25aがそれぞれ対応する第2の当接部材に当接する。このとき、二次転写ローラー14の凹部17の一部または全部が前述の二次転写ニップ相当位置に対向する。このように第1の当接部材24,25と第2の当接部材とが当
接することで、凹部17が二次転写ニップ相当位置に対向しても、二次転写ローラー14は中間転写ベルト8および中間転写ベルト駆動ローラー9に対して大きく位置変化しなく、略一定に位置決めされる。
【0038】
二次転写ローラークリーニング部15は、クリーニングブレード等のクリーニング部材15aと液体現像剤回収容器15bとを有する。クリーニング部材15aは、二次転写ローラー14の弾性部材14cの外周面に当接してこの弾性部材14cに付着する液体現像剤を除去する。液体現像剤回収容器15bは、クリーニング部材15aで除去された液体現像剤を回収して貯留する。
【0039】
更に、図1および図4に示すように画像形成装置1は、第1の気流発生装置42、第2の気流発生装置43、転写材搬送部44、第3の気流発生装置45、および定着部46を備えている。第1の気流発生装置42は、図3に矢印で示すようにグリッパ18の把持から解放された転写材33の先端部33aに向かってエアーを吹き付ける。これにより、転写材33の先端部33aが中間転写ベルト8と一緒に連れ動くことが防止される。
【0040】
図3および図4に示すように、第2の気流発生装置43は、ガイド面43a1を有する
吸引部材43aとエアーを吸引する気流発生部43bとを有する。吸引部材43aは内部が空洞の箱状に形成されている。そして、図5に示すように、吸引部材43aのガイド面43a1の位置には、複数個(図示例では、9個)の長孔状の吸引孔であるエアー流通孔
43cが吸引部材43aの内外部を連通するように設けられている。これらのエアー流通孔43cは、第2の方向である転写材搬送方向に沿って延びる長孔に形成されている。し
たがって、第2の方向は、第1の方向と直交または略直交するとともに、前述のように二次転写ローラー14の回転方向である。また、各エアー流通孔43cは、各グリッパ18の位置の転写材搬送方向に対応する吸引部材43aにおける対応位置43a2から転写材
搬送方向と直交または略直交する方向に外れた位置に設けられている。すなわち、図5において、各グリッパ18が転写材搬送方向に沿って第2の気流発生装置43の方へ移動すると仮想したとき、各エアー流通孔43cと第1の方向で異なる位置となり、各グリッパ18と各エアー流通孔43cとは互いに干渉しない。
【0041】
二次転写ローラー14から剥離された転写材33は、その先端部33aが吸引部材43aのガイド面43a1に移動する。このとき、転写材33の先端部33aにおける各グリ
ッパ18の把持跡は、いずれも各エアー流通孔43cと第1の方向で異なる位置となり各エアー流通孔43cに干渉しない。したがって、転写材33の把持跡の先端がエアー流通孔43cに引っかかることが抑制され、転写材33はスムーズに吸引部材43aのガイド面43a1にガイドされて移動する。
【0042】
気流発生部43bにより、エアーが吸引部材43aの各エアー流通孔43cを通して図3に矢印で示す方向に吸引される。これにより、二次転写ローラー14から剥離された転写材33が、その背面(像転写面33dと反対側の面)を吸引部材43aにより吸引される。したがって、転写材33は吸引部材43aのガイド面43a1に沿ってガイドされな
がら搬送される。このとき、転写材33の中間部33bが第2の気流発生装置43のガイド面43aに当接するとともに、転写材33の後端部33cが二次転写ローラー14の弾性部材14cと中間転写ベルト8とに挟圧されている。したがって、転写材33はガイド面43a1に吸引されながら、中間転写ベルト8と二次転写ローラー14の回転力で転写
材搬送部44の方へ搬送される(転写材搬送工程)。第2の気流発生装置43は、本発明の転写材搬送ガイド部を構成している。
【0043】
転写材搬送部44は、図1および図4に示す矢印方向に回転する無端状の転写材搬送ベルト44aと吸引部材44bとを有する。図3および図5に示すように転写材搬送ベルト44aは多数の吸引孔であるエアー流通孔44a1を有する。これらのエアー流通孔44
1は、転写材搬送方向(第2の方向)およびこの転写材搬送方向と直交または略直交す
る方向(第1の方向)に整列されている。また、各エアー流通孔44a1は、吸引部材4
3aのエアー流通孔43cと同様に、グリッパ18の位置の転写材搬送方向に対応する転写材搬送ベルト44aにおける対応位置44a3から転写材搬送方向と直交または略直交
する方向に外れた位置に設けられている。すなわち、図5において、各グリッパ18が転写材搬送方向に沿って転写材搬送部44の方へ移動すると仮想したとき、各エアー流通孔44a1と第1の方向で異なる位置となり各エアー流通孔44a1に干渉しない。
【0044】
第2の気流発生装置43からガイドされてきた転写材33は、その先端部33aがこの転写材搬送部44の転写材搬送ベルト44aの転写材搬送面44a2に移動する。このと
き、転写材33の先端部33aにおける各グリッパ18の把持跡は、いずれも各エアー流通孔44a1と第1の方向で異なる位置となり各エアー流通孔44a1に干渉しない。したがって、転写材33の把持跡の先端がエアー流通孔44a1に引っかかることが抑制され
、転写材33はスムーズに転写材搬送ベルト44aに移動する。
【0045】
図1、図3および図4に示すように、吸引部材44bは矢印で示す方向に転写材搬送ベルト44aのエアー流通孔44a1を通してエアーを吸引する。そして、転写材33は吸
引部材44bのエアー吸引により転写材搬送ベルト44aを介して吸着されながら、転写材搬送ベルト44aで第3の気流発生装置45の方へ背面搬送される(転写材搬送工程)。 なお、図1には転写材搬送ベルト44aが3つの巻架ローラーに巻き掛けられるように示されているのに対して、図4には2つの巻架ローラー44cに巻き掛けられるように
示されている。これは、図面の記載の便宜上、図4には2つの巻架ローラー44cしか示されていないが、図4に記載されている転写材搬送ベルト44aは3つの巻架ローラーに巻き掛けられるものである。もちろん、図1に示す転写材搬送ベルト44aを2つの巻架ローラーに巻き掛けられるようにすることもできる。
【0046】
図1および図4に示すように、第3の気流発生装置45は、転写材33をガイドするガイド面45a1を有する吸引部材45aと気流発生部45bとを有する。図5に示すよう
に、吸引部材45aは内部が空洞の箱状に形成されている。そして、吸引部材45aのガイド面45a1の位置には、複数個(図示例では、9個)の長孔状の吸引孔であるエアー
流通孔45cが吸引部材45aの内外部を連通するように設けられている。これらのエアー流通孔45cは、前述のエアー流通孔43cと同様に転写材搬送方向に沿って延びる長孔に形成されている。また、各エアー流通孔45cは、各グリッパ18の位置の転写材搬送方向に対応する吸引部材45aにおける対応位置45a2から転写材搬送方向と直交ま
たは略直交する方向に外れた位置に設けられている。すなわち、図5において、各グリッパ18が転写材搬送方向に沿って第3の気流発生装置45の方へ移動すると仮想したとき、各エアー流通孔45cと第1の方向で異なる位置となり各エアー流通孔45cとに干渉しない。
【0047】
転写材搬送ベルト44aから搬送されてきた転写材33は、その先端部33aが吸引部材45aのガイド面45a1に移動する。このとき、転写材33の先端部33aにおける
各グリッパ18の把持跡は、いずれも各エアー流通孔45cと第1の方向で異なる位置となり各エアー流通孔45cに干渉しない。したがって、転写材33の把持跡の先端がエアー流通孔45cに引っかかることが抑制され、転写材33はスムーズに吸引部材45aのガイド面45a1にガイドされて移動する。
【0048】
そして、吸引部材45bは図1および図4に矢印で示す方向に吸引部材45aのエアー流通孔45cを通してエアーを吸引する。この吸引部材45aのエアー吸引により、転写材33はその背面を吸引部材45aのガイド面45a1に吸引ガイドされて転写材搬送ベ
ルト44aの搬送力で定着部46の方へガイドされる(転写材搬送工程)。第3の気流発生装置は、本発明の転写材搬送ガイド部を構成する。
【0049】
定着部46は、加熱ローラー46aとこの加熱ローラー46aに圧接される加圧ローラー46bとを有している。そして、転写材33のトナー像がこれらの加熱ローラー46aおよび加圧ローラー46bにより加熱加圧されて定着され(定着工程)。その後、転写材は図示しない排出トレイに排出される。
この例の画像形成装置1の他の構成および他の画像形成動作は、液体現像剤を用いた従来の画像形成装置と同様であるので、その説明は省略する。
【0050】
この例の画像形成装置1によれば、転写材33の先端部33aをグリッパ18で把持することにより、転写材33を二次転写ローラー14から確実に剥離することができる。特に画像形成装置1が液体現像剤を用いているので、転写材33を二次転写ローラー14からより効果的に剥離することができる。
【0051】
また、各グリッパ18の位置と各エアー流通孔43c,44a1,45cの位置とが転写
材搬送方向と直交または略直交する方向に互いに外れている。したがって、各グリッパ18は各エアー流通孔43c,44a1,45cと転写材搬送方向で異なる位置となり各エア
ー流通孔43c,44a1,45cに干渉しない。これにより、各グリッパ18の把持跡が
転写材33に存在しても、転写材搬送時に、各グリッパ18による転写材の把持跡が各エアー流通孔43c,44a1,45cに引っ掛かることを抑制することができる。その結果
、転写材33の搬送時、転写材33を詰まらせることなく、スムーズに搬送することが可
能となり、転写後の転写材33の搬送性が向上する。これにより、二次転写部13の二次転写をより確実に安定して良好に行うことができ、良好な画質の画像を得ることができる。
【0052】
この例の二次転写部13および画像形成装置1の具体例について説明する。
まず、転写材搬送方向と直交する方向の各グリッパ18の幅は6mmに設定する。また、第2の気流発生装置43の吸引部材43aにおける各エアー流通孔43cの転写材搬送方向と直交する方向の幅は10mmに設定する。各エアー流通孔43cの転写材搬送方向の長さは、吸引部材43aのガイド面43a1の同方向の長さに応じて適宜設定する。更
に、転写材搬送ベルト44aの各エアー流通孔44a1は直径φ10mmに設定する。第
3の気流発生装置45の吸引部材45aにおける各エアー流通孔45cの転写材搬送方向と直交する方向の幅は10mmに設定する。そして、各エアー流通孔43c,44a1,4
5cを、各グリッパ18の6mm幅の領域が転写材搬送方向に沿って移動すると仮想したときの位置から外れるように転写材搬送方向と直交または略直交する方向に配設する。つまり、各エアー流通孔43c,44a1,45cを、グリッパ18に転写材搬送方向で異な
る位置にして干渉しないように配設する。
【0053】
なお、本発明の画像形成装置および画像形成方法は、前述の実施の形態の各例に限定されることはない。例えば、前述の各例では、像担持体として中間転写ベルト8を用いているが、中間転写ドラムを用いることもできるし、像担持体として感光体とすることもできる。像担持体に感光体を用いる場合は、感光体のトナー像が転写材に直接転写されることは言うまでもない。また、前述の各例の画像形成装置では、タンデム型の画像形成装置としているが、他の形式の画像形成装置でもよいし、単色の画像形成装置でもよい。要は、本発明は特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…感光体、5Y,5M,5C,5K…現像部、6Y,6M,6C,6K…一次転写部、8…中間転写ベルト、9…ベルト駆動ローラー、13…
二次転写部(転写装置)、14…二次転写ローラー、16…二次転写ローラー支持フレーム、17…凹部、18…グリッパ、19,19a…グリッパ支持部、24,25…第1の当接部材、33…転写材、33a…先端部、34…突き出し爪、40…ゲートローラー、41…転写材供給ガイド、42…第1の気流発生装置、43…第2の気流発生装置(転写材搬送ガイド部)、43a…吸引部材、43a1…ガイド面、43c…エアー流通孔、44
…転写材搬送部、44a…転写材搬送ベルト、44a1…エアー流通孔、44b…吸引部
材、45…第3の気流発生装置、45a…ガイド部、45a1…ガイド面、45a…吸着
部材、45c…エアー流通孔、46…定着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を担持する像担持体と、
第1の方向に配設された転写材を把持する転写材把持部材を有するとともに、前記第1の方向に直交または略直交する第2の方向に回転して前記像担持体に担持された前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、
前記像が転写された前記転写材をガイドするガイド面を備えるとともに、前記ガイド面の前記第1の方向に配設された吸引孔を介して前記転写材を吸引する吸引部材を備える転写材搬送ガイド部と、
前記転写材搬送ガイド部でガイドされた前記転写材を定着する定着部と、
を有し、
前記吸引孔は、前記転写材把持部材と前記第1の方向で異なる位置に配設されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写材把持部材は、前記第1の方向に複数配設されるとともに、前記吸引孔は、前記第1の方向に複数配設される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
像を担持する像担持体と、
転写材を把持する第1の転写材把持部材および前記第1の転写材把持部材と第1の方向に離間して配設されて前記転写材を把持する第2の転写材把持部材を有するとともに、前記第1の方向に直交または略直交する第2の方向に回転して前記像担持体に担持された前記像を前記転写材に転写する転写ローラーと、
転写後の前記転写材をガイドするガイド面を備えるとともに、前記ガイド面に配設された第1の吸引孔および前記ガイド面に前記第1の吸引孔と前記第1の方向に離間して配設された第2の吸引孔を介して前記転写材を吸引する吸引部材を備える転写材搬送ガイド部と、
前記転写材搬送ガイド部でガイドされた前記転写材を定着する定着部と、
を有し、
前記第1の吸引孔は、前記第1の転写材把持部材および前記第2の転写材把持部材と前記第1の方向で異なる位置に配設されるとともに、前記第2の吸引孔は、前記第1の転写材把持部材および前記第2の転写材把持部材と前記第21方向で異なる位置に配設されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の吸引孔は、前記第1の転写材把持部材の前記第2の方向の前記吸引部材における対応位置および前記第2の転写材把持部材の前記第2の方向の前記吸引部材における対応位置から前記第1の方向または略第1の方向に外れた位置に配設され、
前記第2の吸引孔は、前記第1の転写材把持部材の前記第2の方向の前記吸引部材における対応位置および前記第2の転写材把持部材の前記第2の方向の前記吸引部材における対応位置から前記第1の方向または略第1の方向に外れた位置に配設される請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
転写ローラーの第1の方向に配設される転写材把持部材で転写材を把持する転写材把持工程と、
前記第1の方向に直交または略直交する第2の方向に前記転写ローラーを回転して像担持体に担持された像を転写材に転写する転写工程と、
前記転写材把持部材と前記第1の方向で異なる位置に配設された吸引孔で、前記像が転写された前記転写材を吸引してガイドする転写材搬送工程と、
前記転写材搬送工程で搬送された前記転写材を定着する定着工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−250215(P2010−250215A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101868(P2009−101868)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】