説明

画像形成装置及びこれに用いられる処理ユニット

【課題】 ユーザによる処理ユニットの製造物責任に係る表示情報及び/又は前記処理ユニットの前記画像形成装置への適用性に関する情報の確実かつ容易な確認を実現すると共に,安全性及び信頼性を向上させることが可能な画像形成装置及びこれに用いられる処理ユニットを提供する。
【解決手段】 トナーカートリッジ40が純正品又は推奨品であると判別された場合(ステップS30においてNo)は,ステップS40に移行し,画像形成プロセスが順次実行されるが,トナーカートリッジ40が未確認品であると判別された場合(ステップS30においてYes)は,ステップS50に移行して,ステップS10において読み取った表示情報M及び/又は前記ステップS30における比較結果が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与する交換自在の処理ユニットの製造物責任に係る表示情報を読み取り,該読み取った情報に応じて所定の処理を行う画像形成装置及びこれに用いられる前記処理ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ,複写機,ファクシミリ,或いはその複合機として構成される画像形成装置に装着して用いられ,交換やリサイクルなどが可能なトナーカートリッジやプロセスカートリッジなどの処理ユニットは,該画像形成装置のメーカー等や生産を委託された製造業者など(以下メーカー等と言う)から供給され,前記メーカー等による動作・性能確認がなされた純正品又は推奨品(前記メーカー等による許諾品)であることが望ましい。
【0003】
ところが,近年,前記処理ユニットとして,前記メーカー等以外から供給され,前記動作・性能確認がなされていない未確認品が流通しつつある。
そこで,前記未確認品の使用に起因するトラブルや故障を防止するために,純正品又は推奨品と未確認品とを判別するための情報を記憶したICメモリタグを備えるICメモリタグ付カートリッジ(本発明における処理ユニットに相当)が特許文献1に示されている。
このようなICメモリタグ付カートリッジを使用する画像形成装置では,前記情報を読み取り,該読み取った情報に基づいて前記ICメモリタグ付カートリッジが未確認品であるか否かを判別することができる。したがって,前記判別結果が未確認品である場合には,ユーザに対して前記ICメモリタグ付カートリッジの交換を警告することによって,未確認品の使用を回避することができる。
【特許文献1】特開2003−39783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方,ユーザによっては,そのまま未確認品を使用することを望むこともある。すなわち,低コストでの運用を重視し,トラブルや故障が生じる危険性があることを認識した上で安価な未確認品を使用することを望むこともあり得る。
【0005】
前記のように製品にトラブルや故障などが生じた際には,製造物責任(PL)法に基づいてメーカー等に製造物責任(大量生産・大量消費される工業製品を中心とした,人為的な操作や処理がなされ引き渡された動産が対象)が問われる。しかし,前記のように未確認品を使用した際には,前記メーカー等に前記製造物責任は生じず,その責任を問う争いが深刻になる可能性がある。
たとえばメーカー等は,前記画像形成装置への未確認品の使用については保障をしない旨の警告,または,トラブルや故障につながる危険な状態や安全な使用のために避けるべき使用方法の警告を,ユーザに対して表示することで前記争いの発生をできるだけ少なくするよう努力している。したがって,前記画像形成装置を使用するユーザは,メーカー等による保障を確保するために前記表示を十分に確認する必要がある。また,前記表示には,たとえば,前記製品の製造者名,製造日,純正品又は推奨品の種別なども含まれる。
このような製造物責任に係る表示情報は一般的に,前記製品本体,包装材,若しくは取扱説明書などに記載されることによってユーザに表示されるが,前記画像形成装置の使用に際して前記表示情報を確認することは,ユーザにとって非常に煩雑な作業であり,また,前記表示情報が記載された媒体を紛失した場合には確認することができない。
【0006】
また,一般的に画像形成装置は,前記処理ユニットの適切な交換時期を予め予測し,該予測結果を適時ユーザに表示する機能を有することも多く,ユーザは前記表示に応じて前記処理ユニットを交換することになる。ところが,上記のように未確認品を使用する際,未確認品が純正品又は推奨品に比べて低品質なものであれば,該未確認品自体や,該画像形成装置に装着されて使用されるその他の前記処理ユニットなどの消費や劣化が早まることが考えられる。
このとき,前記予測結果は,純正品又は推奨品を使用することを前提として適切な交換時期を予測したものであるため,前記未確認品を使用する際には,その実際の適切な交換時期は予測できない。すなわち,前記予測結果と実際の適切な交換時期とが相違するため,場合によっては前記適切な交換時期を超過し,正常な画像形成をなしえない等の不具合を生じる可能性がある。
【0007】
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,ユーザによる処理ユニットの製造物責任に係る表示情報及び/又は前記処理ユニットの前記画像形成装置への適用性に関する情報の確実かつ容易な確認を実現すると共に,安全性及び信頼性を向上させることが可能な画像形成装置及びこれに用いられる処理ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため,本発明は,製造物責任に係る表示情報を少なくとも記憶する記憶媒体を備え画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与する交換自在の処理ユニットの前記表示情報を読み取り,前記読み取った前記表示情報と,前記表示情報を判別するために予め記憶手段に記憶された比較情報とを比較し,前記表示情報及び/又は前記比較結果を表示する画像形成装置に関するものである。
したがって,本発明によれば,ユーザによる前記処理ユニットの製造物責任に係る表示情報及び/又は前記処理ユニットの前記画像形成装置への適用性に関する情報の確実かつ容易な確認を実現することができる。
【0009】
前記製造物責任に係る表示情報及び/又は前記比較情報としては,例えば,少なくとも前記処理ユニットに関する,製品名,製造番号,製造者名,原材料名,内容量,残量,使用期限,累積印刷回数,リサイクル数,製造者連絡先,メンテナンス連絡先,製造日のいずれか1又は複数の情報を含むものを採用することができる。
【0010】
前記処理ユニットとしては,例えば,画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与する交換自在のトナーカートリッジ或いはプロセスカートリッジなどが挙げられ,また,時間の経過,収納する消耗品の残量,或いは使用回数などに応じて交換が必要であるその他の処理ユニットを採用することができる。
【0011】
また,更に前記比較結果に応じた処理が行われることが望ましい。
例えば,前記処理ユニットが未確認品である場合には,自動的に前記画像形成装置の動作を禁止したり,印字濃度の変更など画像形成プロセスの設定を変更したりすることによって,未確認品が使用された場合における前記画像形成装置の安全性及び信頼性を確保することができる。
このとき,ユーザによって前記画像形成装置の使用方法・運用が異なるため,前記比較結果に応じて自動的に処理を実行するのではなく,ユーザによる処理の選択を可能とする方向も残しておくことが望まれる。
そこで,本発明は,前記比較結果に応じて行う処理を,ユーザによる選択に委ね,前記選択に基づいて処理を行うことについても可能としている。
例えば,ユーザに当該画像形成装置の動作を許可するか否かを選択させるものであっても良い。
この場合,ユーザは,前記処理ユニットが未確認品である場合に,これを使用したくなければ前記画像形成装置の動作の不許可を選択することで,前記画像形成装置の安全性及び信頼性を確保し,また,コスト面やその他の事情から前記未確認品を使用したければ,前記画像形成装置の動作の許可を選択することで,前記未確認品を使用して前記画像形成装置を動作させることもできる。
【0012】
更に,前記読み取られた前記表示情報を履歴情報として蓄積しておくことを提案する。
これによって,メーカー等によるメンテナンス時にサービスマンが,前記蓄積された情報を参照し,該情報に基づいた多様のアドバイスをユーザに行うことや,前記画像形成装置の設定の変更など,適切な処置を行うことも可能となる。
このとき,前記表示情報は,前記比較情報を記憶する記憶手段に蓄積することによって,前記記憶手段を兼用することができる。これにより,コスト及び設置スペースの増大を抑制した構成が可能となる。
【0013】
さらに本発明は,前記蓄積された前記表示情報に応じて所定の処理を行うものとすることもできる。
例えば,前記蓄積された表示情報が,前記画像形成装置に未確認品の前記処理ユニットが長期間或いは所定回数以上使用されていることを示す場合には,そのことをユーザに警告表示したり,画像形成プロセスの設定を変更するなど,前記蓄積された前記表示情報,即ち前記画像形成装置の使用状態に応じた処理を行うことができるため,前記画像形成装置の安全性及び信頼性が向上する。
【0014】
また,前記処理ユニット,及び/又は当該画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与するその他の処理ユニットの交換時期を予測する機能を備える画像形成装置においては,前記比較結果及び/又は前記蓄積された前記表示情報に応じて,前記予測される交換時期の予測結果が短縮されることが望ましい。
これによって,例えば,前記処理ユニットが未確認品である場合や,過去に未確認品が所定回数以上使用されている場合など,前記処理ユニットの消費や劣化などが純正品又は推奨品を使用したときに比べて早まることが考えられる場合においても,実際の適切な交換時期を超過して生じる前記画像形成装置の不具合(正常な画像形成をなし得ない等)を未然に防止することができる。
【0015】
更に,場合により,前記処理ユニットに収納された収納物の変更や,リサイクル回数の変更など,前記処理ユニットの交換時やリサイクル時などの状況に応じて,前記処理ユニットの前記表示情報を書き換える必要性を考慮し,前記表示情報は書き換えることができることが望ましい。このとき,前記書き換えは,前記画像形成装置においてなされても良いし,外部の書き換え手段によっても書き換え可能であることが望ましい。
また,前記比較情報を書き換えることができる構成を採用することができる。
これにより,たとえば新製品に対する対応,或いは純正品又は推奨品の追加,変更,削除に対する対応なども可能になり保守性に富むことになる。
【0016】
なお,本発明は,製造物責任に係る表示情報を少なくとも記憶する記憶媒体を備え,前記画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与する交換自在の処理ユニットの発明として捉えたものであって良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,ユーザによる前記処理ユニットの製造物責任に係る表示情報及び/又は前記処理ユニットの前記画像形成装置への適用性に関する情報の確実かつ容易な確認を実現すると共に,前記画像形成装置の安全性及び信頼性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は,本発明に係る画像形成装置Aの模式断面図,図2は,画像形成装置Aに装着されるトナーカートリッジ40(処理ユニット)の周辺の詳細図,図3は,表示情報Mの一例を示す図,図4は,比較情報Nの一例を示す図,図5は,画像形成装置Aにおける処理ユニット判別処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0019】
まず,図1の模式断面図を用いて,本発明の実施の形態に係る画像形成装置Aの概略構成,及び画像形成装置Aで実行される画像形成プロセスについて説明する。
前記画像形成装置Aは,外部から入力された画像データに応じて,用紙等の記録紙に対して多色又は単色の画像を形成するカラー複写機或いはカラープリンタなどの画像形成部である。もちろん,前記画像形成装置Aは,カラープリンタに限られるものではなく,例えば,単色のみの画像を形成するプリンタや複写機であっても構わない。なお,この実施形態では,前記画像形成装置Aを,カラー画像を色分解して得られる減法混色の3原色であるマゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y)にブラック(K)を加えた4色の各色成分(色相)に対応した画像データを用いて画像形成を行うカラープリンタとして説明する。
以下詳述するように,本実施形態は,画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与する交換自在の処理ユニットに関する製造物責任に係る表示情報の確実かつ容易な確認を実現することに成功した画像形成装置に関するものであり,さらに,前記画像形成装置は,前記処理ユニットの該画像形成装置への適用性の比較を自動的に行った結果に関する情報をユーザに対して表示することも可能としている。これに関しては後段において詳説する。
なお,本実施形態では,前記処理ユニットの一例として,トナーを収納するトナーカートリッジを例に挙げて説明するが,これに限らず画像形成プロセスに関与するプロセスカートリッジ等の処理ユニットにおいても実施可能である。
【0020】
前記画像形成装置Aは,図1に示すように,露光ユニット1,現像ユニット2(2a〜2d),感光体ドラム3(3a〜3d),クリーナユニット4(4a〜4d),帯電器5(5a〜5d),中間転写ローラ6(6a〜6d),中間転写ベルト7,中間転写ベルトユニット8,用紙搬送路R,S,給紙トレイ10,転写ローラ11,定着ユニット12,レジストローラ14,排紙トレイ15,ピックアップローラ16(16−1,16−2),手差し給紙トレイ20,搬送ローラ25(25−1〜25−8),画像形成装置Aにおける画像形成プロセスを実行するためのプログラムなどを記憶する記憶手段(不図示),及びCPU,RAM及びその他の周辺装置からなり前記画像形成プログラムを実行する制御手段(不図示)などを備えて大略構成されている。以下の画像形成プロセスの各工程は,前記画像形成プログラムが前記制御手段によって実行されることにより行われる。
前記現像ユニット2(2a〜2d),感光体ドラム3(3a〜3d),クリーナユニット4(4a〜4d),帯電器5(5a〜5d),及び中間転写ローラ6(6a〜6d)は,各色成分に応じてそれぞれ4個ずつ設けられており,また,ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの各色成分に対応したトナーを収納したトナーカートリッジ40(40a〜40d,処理ユニットに相当)が夫々装着され,4つの画像形成部Pa〜Pdを構成している。これらの画像形成部Pa〜Pd夫々は,中間転写ベルト7の搬送方向B(図示する矢印B)の最上流側から下流に向かって順次一列に配設されており,ブラック,シアン,マゼンタ,イエローのトナーの可視像を前記中間転写ベルト7に現像するものである。
【0021】
前記帯電器5は,感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり,図示された接触型の帯電ローラ型のほか,帯電ブラシを用いた接触方式の帯電器,又は,帯電チャージャを用いた非接触方式の帯電器などを用いることもできる。
前記露光ユニット1は,前記帯電された感光体ドラム3を,外部のコンピュータなどから伝達された画像データに応じて露光することにより,前記感光体ドラム3の表面に前記画像データに応じた静電潜像を形成するためのユニットである。ここでは前記露光ユニット1は,レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いているが,他にも発光素子をアレイ状に並べたELやLED書込みヘッドなどを用いても良い。
前記現像ユニット2(2a〜2d)のそれぞれは,前記トナーカートリッジ40(40a〜40d)夫々から供給されるブラック,シアン,マゼンタ及びイエローの各色相のトナーを収納しており,感光体ドラム3(3a〜3d)のそれぞれに形成された各色相の潜像をブラック,シアン,マゼンタ及びイエローの各色相のトナー像に顕像化する。前記クリーナユニット4は,前記現像,画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0022】
前記中間転写ベルトユニット8は,中間転写ベルト駆動ローラ71と,中間転写ベルト従動ローラ72と,中間転写ベルトテンション機構73とを備えている。前記感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルト7は,中間転写ベルト駆動ローラ71と中間転写ベルト従動ローラ72との間に張架されてループ上の移動経路を形成しており,その張りは中間転写ベルトテンション機構73によって一定に調整されている。前記中間転写ベルト駆動ローラ71は,モータなどのアクチュエータ(不図示)により回転駆動されることにより,中間転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動する。中間転写ベルト7の外周面は,感光体ドラム3d,感光体ドラム3c,感光体ドラム3b,及び感光体ドラム3aにこの順に対向する。この中間転写ベルト7を挟んで各感光体ドラム3a〜3dに対向する位置に,中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)が配設されている。前記中間転写ベルト7は,たとえば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
前記中間転写ローラ6は,感光体ドラム3上のトナー像を,該感光体ドラム3に接触するように設けられた中間転写ベルト7上に転写するための手段であり,高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。これによって,前記感光体ドラム3(3a〜3d)に形成された各色相のトナー像は中間転写ベルト7の外周面に順次重ねて転写され,該中間転写ベルト7の外周面に単色又はカラーのトナー像が形成される。このとき形成された前記トナー像は,前記画像形成装置Aに入力された前記画像データを形成している。
前記中間転写ローラ6は,たとえば直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)を素材とする軸の表面を導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により被覆して構成されており,前記弾性材により中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加する。また,中間転写電極部材としてローラ形状(図1参照)を使用しているが,それ以外にブラシ形状などを用いても良い。
【0023】
一方,前記給紙トレイ10は,画像形成に使用する前記シート(記憶用紙)を蓄積しておくためのトレイであり,画像形成装置Aの露光ユニット1の下側に設けられており,前記手差し給紙トレイ20は,ユーザが少数枚の印字を行う際などに前記給紙カセット10の開閉動作を行わずに前記シートを容易に供給するためのトレイであり,例えば図示するように露出して設けられる。
また,画像形成装置Aの上部に設けられた前記排紙トレイ15は,印刷(画像形成)済みの前記シートを載置するためのトレイであり,ここでは,片面印刷時に印刷面が下向きで排出されるフェイスダウントレイを採用している。
前記給紙トレイ10或いは手差し給紙トレイ20から供給される前記シートを,転写ローラ11や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15まで送るために設けられた前記用紙搬送路Sの近傍には,前記シートの搬送を促進・補助するための小型の搬送ローラ25(25−1〜25−6),ピックアップローラ16(16−1,16−2),レジストローラ14,転写ローラ11,定着ユニット12等が配設されている。
前記ピックアップローラ16−1は,給紙トレイ10の端部に設けられ,給紙トレイ10から,シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給するための呼び込みローラであり,ピックアップローラ16−2は,手差し給紙トレイ20の端部に設けられ,手差し給紙トレイ20から,シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給するための呼び込みローラである。前記ピックアップローラ16−1又は16−2によって搬送ローラ25に導かれたシートは,搬送ローラ25夫々によって前記レジストローラ14に導かれる。
前記レジストローラ14は,用紙搬送路S上を搬送されているシートを一時的に保持し,中間転写ベルト7上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ11に搬送するためのものである。
また,画像形成装置Aはシートに対する両面印刷が可能であり,両面印刷時には,前記搬送ローラ25−3まで搬送されたシートは,搬送ローラ25−3の逆回転により前記用紙搬送路Rに導かれ,前記用紙搬送路R上近傍に配設された搬送ローラ25−7,25−8によって再度前記用紙搬送路S上のレジストローラ14に導かれる。このとき,前記シートが,表裏面及び前後端を反転した状態で用紙搬送路Sに導かれることによって,前記シートの印刷がなされた面とは反対の面に対する印刷が可能となる。
【0024】
前記用紙搬送路R上を搬送されるシートに,前記中間転写ベルト7上のトナー像を転写するために設けられた転写ローラ11には,シートにトナー像を転写するための高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。前記転写ローラ11と中間転写ベルト駆動ローラ71とは,前記転写ベルト7を所定ニップで圧接している。ここで,前記ニップを定常的に得るために,前記転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし,他方は,弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ,または発泡性樹脂ローラ等々)とすることが好ましい。
そして,前記中間転写ベルト7上のトナー像は,シートが中間転写ベルト7と転写ローラ11との間を圧接されたまま通過することにより,シートに転写される。
前記感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー,若しくは転写ローラ11による前記シート上への転写が行われず中間転写ベルト7上に残存したトナーは,次工程でトナーの混色を発生させる原因となるため,中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収される。前記中間転写ベルトクリーニングユニット9は,例えば,中間転写ベルト従動ローラ72で支持された中間転写ベルト7に接触して前記除去・回収を行うクリーニング部材としてクリーニングブレードを備えている。
【0025】
前記シートが次に導かれる定着ユニット12は,転写ローラ11と中間転写ベルト7とによってシートに転写されたトナー像を溶融・混合・圧接し,シートに対して熱定着させるためのユニットであり,ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えている。前記ヒートローラ31は,図示しない温度検出器からの信号に基づいて前記制御手段によって所定の定着温度となるように制御されており,ヒートローラ31と加圧ローラ32とが,シートを挟んで回転することによって熱圧着し,シートに転写されたトナー像を溶融・混合・圧接し,シートに対して熱定着させる。そして,前記シートは排出トレイ15に排出され,当該画像形成プロセスが終了する。
以上,画像形成装置Aの概略構成,及び画像形成装置Aで実行される画像形成プロセスについて説明した。
【0026】
続いて,図2〜5を用いて上記画像形成装置Aに装着されて前記画像形成プロセスに関与する前記トナーカートリッジ40の詳細構成,及びこのトナーカートリッジ40を識別するために画像形成装置Aが更に備える構成要素について説明する。なお,図2については,図面の繁雑さを回避するために画像形成装置Aの図示を省略している。
まず,図2を用いて前記トナーカートリッジ40の詳細構成について説明する。
図2に示すように,前記トナーカートリッジ40は,該トナーカートリッジ40に隠蔽或いは露出して設けられ下記する製造物責任に係る表示を含む表示情報M(図3参照)を少なくとも記憶するICタグ41(41a,41b,41c,41d;記憶媒体に相当)と,回転自在に設けられたドッグクラッチ43(43a,43b,43c,43d)と,前記ドッグクラッチ43と連動して回転するように回転自在に設けられ該トナーカートリッジ40内のトナーを攪拌するための攪拌部材42(42a,42b,42c,42d)と,外部から該トナーカートリッジ40内のトナー残量を検出するための透明窓45(45a,45b,45c,45d)を有する凹部44(44a,44b,44c,44d)とを備えて構成されている。なお,上記透明窓45は,上記凹部44からトナーカートリッジ40内部へ突出した壁部の壁面を透明体で構成することで実現されている。
【0027】
一方,前記トナーカートリッジ40が装着される画像形成装置Aは,文字や画像,音声などの情報を表示するためのディスプレイ,スピーカー,又はタッチパネルなどの表示部(不図示),ユーザによる画像形成装置Aに関する各種の操作が行われる操作部(不図示),前記トナーカートリッジ40のICタグ41に記憶された表示情報Mを非接触で読み取るための読取部46(46a,46b,46c,46d),トナーカートリッジ40の装着時に前記ドッグクラッチ43と係合するドッグクラッチ係合部47(47a,47b,47c,47d),及び前記透明窓45から前記トナーカートリッジ40内部のトナー残量を検出する光学式センサなどの残量センサ48(48a,48b,48c,48d)を更に備えている。前記残量センサ48は,前記トナーカートリッジ40の凹部44に嵌挿する検出子49を有しており,前記トナーカートリッジ40が画像形成装置Aに装着されたときに,前記検出子49が前記凹部44から差し込まれて透明窓45に接するトナーを検出することで,前記トナー残量を検出する。また,前記読取部46は,トナーカートリッジ40が画像形成装置Aに装着されたときに前記ICタグ41の表示情報Mを読み取ることができる位置まで近接するように配設されている。
また,前記表示情報Mを判別するための比較対象となる下記する比較情報N(図4参照),及び前記判別を行うための処理ユニット判別プログラムが上記記憶手段に更に記憶されている(第1の記憶手段に相当)。
なお,本実施形態において,前記読取部46は読取手段の一例であり,電磁誘導を用いて非接触で前記ICタグ41に記憶された前記表示情報Mを読み取るものであるが,たとえば接触式あるいは非接触式の磁気カード方式など,その他前記表示情報Mを読み取ることができるものであればこれに限るものではない。但し,この場合,前記ICタグ41もこれに応じた記憶媒体であることが必要である。
【0028】
そして,前記トナーカートリッジ40は,ユーザによって前記画像形成装置Aに装着されて,収納するトナーを図示しないトナーカートリッジ40の開口部から前記現像ユニット2に対して供給可能な状態になる。このとき,前記ドッグクラッチ係合部47と,トナーカートリッジ40のドッグクラッチ43とは係合し,前記残量センサ48の検出子49は,トナーカートリッジ40の凹部44に嵌挿される。
前記ドッグクラッチ係合部47が,画像形成装置Aが備えるモータなどの駆動手段(不図示)によって必要に応じて回転駆動されると,これに対応して前記係合された前記トナーカートリッジ40のドッグクラッチ43が回転する。前記ドッグクラッチ43の回転に従って攪拌部材42が連動して回転し,トナーカートリッジ40内のトナーを攪拌することによって前記トナーの前記現像ユニット2への供給を促し,また前記トナーの固着などが防止される。
前記残量センサ48は,前記のように検出子49が,トナーカートリッジ40の凹部44に嵌挿されることによって前記凹部44が有する透明窓45から前記トナーカートリッジ40内のトナーの残量を検出することが可能となるが,この残量センサ48は前記トナーカートリッジ40の装着位置の位置決めとして利用しても良いし,装着確認用のセンサとしても利用可能である。
【0029】
ここで,前記トナーカートリッジ40側が有する情報と,前記画像形成装置A側が有する情報について説明する。
前記トナーカートリッジ40のICタグ41に記憶された前記表示情報Mは,図3に示すように,前記トナーカートリッジ40の製品名,製造番号,製造者名,原材料名,内容量,残量,使用期限,累積印刷回数,リサイクル数,製造者連絡先,メンテナンス連絡先,製造日の情報を含んでいる。また,これらの情報に限らず,他の情報を記憶させることによって更に有用に用いることももちろん可能である。
一方,前記表示情報Mを比較するために前記記憶手段に記憶された前記比較情報Nは,図4に示すように,前記トナーカートリッジ40の製品名,製造番号,製造者名,原材料名,内容量,残量,使用期限,累積印刷回数,リサイクル数,製造者連絡先,メンテナンス連絡先,製造日の情報を含んでいる。図4に,その一部の例として前記製品名,製造番号に関する比較情報を示しているが,同様に他の比較情報を有するものである。
本実施形態では,上記のような情報を含む概念をそれぞれ表示情報M,比較情報Nと呼ぶが,本発明における前記表示情報及び/又は前記比較情報は,たとえば少なくとも前記処理ユニットに関する,製品名,製造番号,製造者名,原材料名,内容量,残量,使用期限,累積印刷回数,リサイクル数,製造者連絡先,メンテナンス連絡先,製造日のいずれか1又は複数の情報を含むものである。
【0030】
次に,図5のフローチャートを用いて,前記処理ユニット判別プログラムが前記制御手段によって実行される処理ユニット判別処理手順の一例について説明する。前記処理ユニット判別プログラムは,前記トナーカートリッジ40の交換時に実行されても良いし,前記画像形成プロセスの開始ごとに実行されるものであっても良く,またこれに限られるものではない。ここでは,トナーカートリッジ40の交換時に実行される場合について説明する。以下の説明中に記載されるS10,S20,…は処理手順(ステップ)の番号を表している。
前記トナーカートリッジ40が画像形成装置Aの内部に装着されたことを不図示のセンサにより検出されると,前記制御手段によって前記処理ユニット判別プログラムが実行される。図5に示すように,まず,画像形成装置Aの読取部46によって,トナーカートリッジ40のICタグ41に記憶された前記表示情報Mが読み取られる(ステップS10,読取手段に相当)。
そして,前記読み取られた表示情報Mの一部又は全部は,前記表示部に表示される(ステップS20,表示手段に相当)。このときの表示内容は,初期設定で定められても良いし,画像形成装置Aの前記操作部などからユーザによる設定操作で定められても良い。このような表示によって,ユーザによる前記表示情報Mの容易な視聴が可能となる。
【0031】
しかし,前記表示情報Mに基づいて,トナーカートリッジ40の該画像形成装置Aへの適正を判別して安全に使用するためには,画像形成装置A又はトナーカートリッジ40の本体,その包装物,取扱説明書などに記載された製造物責任に係る表示情報を確認する必要があり,このような繁雑な作業がユーザの負担となる。
そこで,ステップS30においては,前記画像形成装置Aが備える前記記憶手段に記憶された前記比較情報Nと,前記読取部46によって読み取られた前記表示情報Mとが比較され,その同一性の照合により前記トナーカートリッジ40が純正品又は推奨品であるか,それとも未確認品であるかが自動的に判別される(比較手段に相当)。
前記比較の対象としては,表示情報Mと比較情報Nとの内容をすべて比較しても良いし,前記各情報の一部を比較するものであっても良い。
【0032】
前記ステップS30における比較の一例として,図3に示す表示情報Mのアドレス「0000H〜003FH」に記憶されている製品名,製造番号(図示する情報M1)に基づいて比較を行う場合について説明する。
まず,前記ICタグ41に記憶された表示情報Mの中から製品名,製造番号に関する情報M1が読取部46によって読み出される。ここで,前記情報M1の製品名,製造番号は,「Aユニット,A0001」であるとする。
次に,前記記憶手段に記憶された比較情報Nから,前記情報M1を比較するための情報が抽出される。ここでは,例えば,図4に示す比較情報Nのアドレス「0000H〜0002H」に前記比較するための情報が記憶されているとする。
そして,前記情報M1「Aユニット,A0001」と,比較情報Nのアドレス「0000H〜0002H」の情報とが比較される。ここでは,図4に示すように,前記比較情報Nのアドレス「0000H」の情報が,前記情報M1の「Aユニット,A0001」と一致するので,トナーカートリッジ40は純正品又は推奨品であると判別される。もちろん一致しない場合には,トナーカートリッジ40は,未確認品であると判断される。
【0033】
上記のような比較によって,前記トナーカートリッジ40が純正品又は推奨品であると判別された場合(ステップS30においてNo)は,ステップS40に移行し,前記画像形成プロセスが順次実行されるが,前記比較結果によって,トナーカートリッジ40が純正品又は推奨品でない,即ち未確認品であると判別された場合(ステップS30においてYes)は,ステップS50に移行して,前記表示情報M及び/又は前記比較結果が前記表示部に表示される(ステップS50,表示手段に相当)。
これによって,ユーザによるトナーカートリッジ40の製造物責任に係る表示情報及び/又はトナーカートリッジ40の画像形成装置Aへの適用性に関する情報の確実かつ容易な確認が実現される。
前記比較結果の表示は,例えば,「このトナーカートリッジは未確認品です。続けて使用される場合には動作・機器の保障はいたしません」や「機器に障害が生じる可能性があります」など,ユーザに対しての警告表示であることが考えられる。また,「この製品は…,…のトナーカートリッジが正常に使用できます」など,ユーザに対して,前記画像形成装置Aにおける純正品や推奨品の一覧などを表示するものであっても良い。
また,本実施形態では,前記トナーカートリッジ40が未確認品である場合に前記比較結果が表示されることとしているが,トナーカートリッジ40が純正品又は推奨品である場合においても,その結果が表示されることとしても良い。
なお,前記表示部への表示は,必ずしも前記画像形成装置Aが備える前記表示部に表示する必要はなく,前記各情報を表示することができれば,別途設けられた外部の表示手段に対して表示するものであっても良い。
【0034】
次に,前記ステップS50に続いて,ステップS60では,前記比較結果に応じて所定の処理が実行される(処理手段に相当)。
前記所定の処理は,前記比較結果に応じて予め定められた処理が自動的に実行されるものであっても良く,たとえば前記トナーカートリッジ40が未確認品であれば,前記画像形成プロセスにおけるトナーの使用量を増加させて,適切な印刷濃度を確保することや,確認品のトナーカートリッジ40の前記画像形成装置Aへの使用を禁止するために,前記画像形成装置Aにおける画像形成の動作を禁止して,前記画像形成装置Aの安全性及び信頼性を確保する等が一例として考えられる。
しかし,ユーザによっては,前記画像形成装置Aの運用に当たり,コストを低減するため等に前記のような未確認品を使用することを望むこともあるため,前記のように全てのユーザに対して絶対的に前記未確認品の使用を禁止することは必ずしも望ましくない。前記トナーの濃度に関しても同様である。
【0035】
そこで,本実施形態では,ユーザによる選択によって所定の処理を実行する手法(処理選択手段に相当)を採用し,ステップS60においては,前記のようなユーザによる選択を待ち受け,ユーザによる選択に応じて処理が行われる。ここで,ユーザによる選択を可能とするために,表示部に表示されたステップS50の警告画面中に,動作許可及び動作禁止を示すボタンを配置しておくことが考えられる。したがって,ユーザは,前記表示部による前記表示を確認し,その状況に応じて前記ボタンを押すことで前記処理を選択するができる。
ここでは,図2にその一例として,ユーザに前記トナーカートリッジ40が未確認品であった場合に,画像形成装置Aの動作を許可するか否かを選択させるものを示しているがもちろんこれに限られない。
ユーザによって前記未確認品であるトナーカートリッジ40をそのまま使用すること(動作許可ボタン)が選択されれば(ステップS60においてYes),前記ステップS40に移行し,前記未確認品を用いて前記画像形成プロセスが実行されて終了する。また,前記ユーザによって前記未確認品であるトナーカートリッジ40の使用を禁止すること(動作禁止ボタン)が選択されれば(ステップS60においてNo),前記画像形成装置Aの動作は禁止されて(ステップS70)終了する。
即ち,ユーザは,前記トナーカートリッジ40が未確認品である場合に,これを使用したくなければ前記画像形成装置Aの動作の不許可を選択することで,前記画像形成装置Aの安全性及び信頼性を確保し,また,コスト面やその他の事情から前記未確認品を使用したければ,前記画像形成装置Aの動作の許可を選択することで,前記未確認品を使用して前記画像形成装置Aを動作させることもできる。
【実施例1】
【0036】
前記実施形態で,前記表示情報Mと前記比較情報Nとの比較結果に応じて次に実行する処理が自動的に又はユーザによって選択される画像形成装置Aについて説明したが,そのとき更に,過去に使用した前記トナーカートリッジなどの処理ユニットの使用履歴に応じて選択されるものであれば,前記画像形成装置Aの過去の使用状況に応じてより効果的に画像形成装置Aの安全性及び信頼性を向上することができる。
そこで,本実施例1では,前記画像形成装置Aが過去に使用した前記トナーカートリッジなど処理ユニットの前記表示情報Mの履歴情報を前記記憶手段に蓄積することが提案される(第2の記憶手段に相当)。そのために,前記制御手段は,前記画像形成プロセス終了時,前記処理ユニットの装着時など,必要に応じて前記表示情報Mを履歴情報として前記記憶手段に蓄積する処理を実行する。
このとき前記記憶手段に記憶される前記蓄積情報は,容易に参照することができる状態で記憶されている。また,前記蓄積情報は,別途設けられた蓄積用記憶手段(第2の記憶手段に相当)に記憶されるものであっても構わない。
【0037】
これによって,例えば,前記蓄積情報が,前記画像形成装置Aに未確認品の処理ユニットが長期間或いは所定回数以上使用されていることを示す場合には,前記制御手段が,適宜そのことを前記表示部に表示することによってユーザに警告する等,前記蓄積情報に応じて所定の処理を行うことも可能となる。
また,メーカー等によるメンテナンス時にサービスマンが前記蓄積情報を参照し,これに応じてユーザに多様なアドバイスを行うことや,画像形成装置Aに対して画像形成に関する設定の変更などの適切な処置を行うことなども可能となる。
【実施例2】
【0038】
次に,前記実施例1に示した前記画像形成装置Aが,前記トナーカートリッジ40,及び/又は前記画像形成装置Aに装着されて前記画像形成プロセスに関与するその他の処理ユニットの交換時期を予測する機能(交換時期予測手段に相当)を更に備える構成を考える。
前記画像形成装置Aを使用するユーザは,前記トナーカートリッジ40の適切な交換時期を予測できないので,自動的に前記センサ46により検出された前記トナー残量や,一度の画像形成で消費されるトナー量などに基づいて適正な前記交換時期(期間,回数など)を予測する機能を備える画像形成装置が一般的である。
そして,前記予測結果は,前記表示部によって適時ユーザに対して表示される。ユーザは,前記表示される前記予測結果に従って,トナーが切れる前にトナーカートリッジ40を交換したり,前記トナーカートリッジ40の交換部品を用意しておくことにより突然のトナー切れなどに備えること等が可能となる。
ところが,通常,前記予測は,前記画像形成装置Aに純正品又は推奨品のトナーカートリッジ40が使用される場合を基準に行われるため,未確認品を使用する場合を想定していない。前記トナーカートリッジ40や前記その他の処理ユニットが未確認品である場合に,その収納物などの消費や劣化などが,純正品又は推奨品を使用した場合に比べて遅くなる場合には問題は生じないが,逆に早まってしまう場合には,実際の適切な交換時期を超過してしまう危険性が生じる。前記適切な交換時期を超過すれば正常な画像形成ができないだけに止まらず,他の構成要素に影響を与えるなどの不具合が生じる。
このような不具合を防止するために,前記比較結果及び/又は前記蓄積情報に応じて,トナーカートリッジ40やその他の処理ユニットの交換時期の予測結果を短縮する手法(処理手段に相当)を採用することが望ましい。
これにより,前記トナーカートリッジ40が未確認品である場合や,前記画像形成装置Aに過去に未確認品の処理ユニットなどが長期間或いは所定回数以上使用されている場合などには,前記予測結果が短縮された交換時期がユーザに対して表示されるため,前記のように適切な交換時期を超過してしまう危険性を低減させることができる。
【0039】
ここに,図6は,前記処理ユニット判別処理手順の別の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートを用いて,前記処理ユニット判別プログラムが前記制御手段によって実行される処理ユニット判別処理手順の別の一例について説明する。なお,図5と同じ処理については同様の符号を付し,その説明を省略する。
本実施例2に係る画像形成装置Aは,図6に示すように,前記実施形態に係る処理手順に加えて以下に説明するステップS100,110,120を有することによって,前記のように適切な交換時期を超過してしまう危険性を低減する。ここでは,前記トナーカートリッジ40の前記予測結果を短縮する例について説明するが,上述したように,前記トナーカートリッジ40が未確認品である場合に悪影響を与えるその他の処理ユニットの前記予測結果を短縮しても良い。
(ステップS100)
前記ICタグ41に記憶された前記表示情報Mが読み取られ(ステップS10),該表示情報Mが表示された(ステップS20)後に続くステップS100では,前記センサ46により検出されたトナー残量や,1度の画像形成で消費されるトナー量などに基づいて適正な交換時期(期間,回数など)が予測される。トナーの消費量は,例えば,上記感光体ドラム3上のトナーや画像が転写されたシート上のトナーの濃度を不図示の反射光量センサで検出する等の方法が採用可能である。
(ステップS110)
ステップS30において,装着されたトナーカートリッジ40が未確認品ではないと判断された場合に続くステップS110では,前記予測結果が前記表示部に表示される。このとき,前記表示は,適時表示されることが望ましく,たとえばトナー残量の変化などの状況の変化に応じて表示するような方法が考えられる。
(ステップS120)
ステップS30において,装着されたトナーカートリッジ40が未確認品であると判断された場合に続くステップS120では,前記予測結果が前記比較結果,前記蓄積情報などに応じて短縮される。そして,前記ステップS110に移行し,前記短縮された予測結果が前記表示部に表示される。
以上のように,前記トナーカートリッジ40が未確認品である場合や,前記蓄積情報が前記画像形成装置Aで未確認品の処理ユニットなどが長期間或いは所定回数以上使用されていることを示すものである場合などには,前記交換時期を純正品又は推奨品を使用した場合に比べて早めに設定することによって,前記未確認品を使用した場合にも該未確認品の適正な交換時期を超過する可能性を低減することができ,前記画像形成装置Aの安全性及び信頼性の確保が期待できる。
【実施例3】
【0040】
前記実施形態及び実施例に示した前記画像形成装置Aでは,前記表示情報Mと前記比較情報Nとの比較が行われるが,前記表示情報Mは,トナーカートリッジ40のリサイクル時や交換時,使用時などに,その収納物や,リサイクル回数,使用状況などに応じて書き換える必要があり,前記比較情報Nは,前記処理ユニットの新製品の開発による純正品又は推奨品の追加・変更・削除などに応じて書き換える必要がある。
従って,前記のように前記表示情報Mを書き換えるための表示情報書き換え手段,及び前記比較情報Nを書き換えるための比較情報書き換え手段を備えることが望ましい。
そこで,前記画像形成装置Aの前記記憶手段には,前記表示情報Mを書き換えるための表示情報書き換えプログラム及び前記比較情報Nを書き換えるための比較情報書き換えプログラムが更に記憶されている。そして,前記各プログラムが,前記制御手段によって実行されることによって,前記表示情報M及び前記比較情報Nの書き換えが可能となる。以下それぞれについて詳細に説明する。ここで言う書き換えは,上書きや新規情報の書込み,或いは情報の削除のことである。
【0041】
(表示情報書き換え手段)
まず,前記トナーカートリッジ40のICタグ41に記憶された前記表示情報Mを書き換えるためには,前記読取部46に代えて,前記ICタグ41の情報を読み取るだけではなく,たとえば電磁誘導により電力伝送するなどの方法により前記書き換え内容を前記トナーカートリッジ40のICタグ41に書き込む機能も有するリーダライタ部146を採用することが必要となる。このとき,前記リーダライタ部146に関しても前記読取部46と同様,たとえば接触式の磁気カード方式など,その他前記表示情報Mの読み取り及び書込みができるものであればこれに限るものではない。但し,この場合,前記ICタグ41もこれに応じた記憶媒体であることが必要である。
そして,前記表示情報書き換えプログラムが,前記制御手段によって実行されると,前記ICタグ41から前記表示情報Mが読み込まれ,該表示情報Mが,状況に応じて所定の事項について自動的に,或いは画像形成装置Aの前記操作部に対するユーザからの操作に応じて書き換えられて,前記書き換え内容が前記リーダライタ部146によって前記トナーカートリッジ40が備えるICタグ41に書き込まれる(表示情報書き換え手段に相当)。
また,前記書き換えは,前記画像形成装置Aにおいてのみ可能なわけではなく,外部に別途設けられた書き換え手段によっても書き換え可能であることが望ましい。ここで,前記書き換え手段は,前記トナーカートリッジ40が前記画像形成装置Aに装着された状態で前記画像形成装置Aに何らかの通信手段を用いてアクセスして前記書き換えを行うものであっても良いし,前記画像形成装置Aとは完全に独立して構成され,単独で前記書き換えを行うものであっても良い。
このとき,前記メーカー等以外の第三者も前記処理ユニットのリサイクル時や内容物の変更時などに応じて前記表示情報Mを書き換える必要があるため,前記表示情報Mの書式フォーマット(たとえば図3に示したように,どのアドレスに何に関する情報が記憶されているのか等のフォーマット)や書き換え方法(例えば書込み方法)など前記表示情報Mを書き換えるために必要な情報は,前記メーカー等によって例えばインターネット上のWebサイトや,取扱説明書などに一般的に開示されていることが望ましい。
【0042】
(比較情報書き換え手段)
前記比較情報書き換えプログラムが,前記制御手段によって実行されると,前記記憶手段から比較情報Nが抽出され,該比較情報Nが,状況に応じて所定の事項について自動的に,或いは画像形成装置Aの前記操作部に対するユーザからの操作に応じて書き換えられて,前記記憶手段に再度記憶される(比較情報書き換え手段に相当)。
これによって,たとえば前記画像形成装置Aにおける前記トナーカートリッジ40の新製品に対する対応,或いは純正品又は推奨品(メーカー等による承諾品)の追加・変更・削除に対する対応なども可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る画像形成装置Aの模式断面図。
【図2】画像形成装置Aに装着されるトナーカートリッジ40(処理ユニット)の周辺の詳細図。
【図3】表示情報Mの一例を示す図。
【図4】比較情報Nの一例を示す図。
【図5】画像形成装置Aにおける処理ユニット判別処理手順の一例を示すフローチャート。
【図6】画像形成装置Aにおける処理ユニット判別処理手順の別の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0044】
1…露光ユニット
2…現像ユニット
3…感光体ドラム
4…クリーナユニット
5…帯電器
8…中間転写ベルトユニット
10…給紙トレイ
12…定着ユニット
15…排紙トレイ
R,S…用紙搬送路
20…手差し給紙トレイ
40…トナーカートリッジ(処理ユニット)
41…ICタグ(記憶媒体)
42…攪拌部材
43…ドッグクラッチ
47…ドッグクラッチ係合部
44…凹部
45…透明窓
46…読取部
48…残量センサ
49…検出子
146…リーダライタ部
S10,S20,,,…処理手順

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造物責任に係る表示情報を少なくとも記憶する記憶媒体を備え画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与する交換自在の処理ユニットの前記表示情報を読み取る読取手段と,
前記表示情報を判別するための比較情報を少なくとも記憶する第1の記憶手段と,
前記読取手段により読み取られた前記表示情報と前記第1の記憶手段に記憶された前記比較情報とを比較する比較手段と,
前記読取手段により読み取られた前記表示情報及び/又は前記比較手段による比較結果を表示する表示手段と,
を備えてなる画像形成装置。
【請求項2】
前記表示情報及び/又は前記比較情報は,少なくとも前記処理ユニットに関する,製品名,製造番号,製造者名,原材料名,内容量,残量,使用期限,累積印刷回数,リサイクル数,製造者連絡先,メンテナンス連絡先,製造日のいずれか1又は複数の情報である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記処理ユニットが,トナーカートリッジ或いはプロセスカートリッジからなる請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記比較手段の比較結果に応じて所定の処理を行う処理手段を更に備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記処理手段が,前記比較手段による比較結果に応じてユーザに処理を選択させる処理選択手段を含んでなるものである請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記処理選択手段が,当該画像形成装置の動作を許可するか否かを選択させるものである請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記読取手段により読み取られた前記表示情報を蓄積する第2の記憶手段を更に備えてなる請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の記憶手段と前記第2の記憶手段とが,同一の記憶手段からなるものである請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記処理手段が,前記第2の記憶手段に蓄積された前記表示情報に応じて,所定の処理を行うものである請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記処理ユニット,及び/又は当該画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与するその他の処理ユニットの交換時期を予測する予測手段を更に備え,
前記処理手段が,前記比較手段による比較結果及び/又は前記第2の記憶手段に蓄積された前記表示情報に応じて,前記予測手段により予測される交換時期の予測結果を短縮するものである請求項4〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記表示情報を書き換える表示情報書き換え手段を更に備えてなる請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記比較情報を書き換える比較情報書き換え手段を更に備えてなる請求項1〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
製造物責任に係る表示情報を少なくとも記憶する記憶媒体を備え,画像形成装置に装着されて画像形成プロセスに関与する交換自在の処理ユニット。
【請求項14】
前記表示情報は,少なくとも前記処理ユニットに関する,製品名,製造番号,製造者名,原材料名,内容量,残量,使用期限,累積印刷回数,リサイクル数,製造者連絡先,メンテナンス連絡先,製造日のいずれか1又は複数の情報である請求項13に記載の処理ユニット。
【請求項15】
トナーカートリッジ或いはプロセスカートリッジからなる請求項13又は14に記載の処理ユニット。
【請求項16】
前記表示情報が書き換え可能なものである請求項13〜15のいずれかに記載の処理ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−3536(P2006−3536A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178496(P2004−178496)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】