説明

画像形成装置及びその制御方法

【課題】記録材判別処理に割り当てられる処理時間が変化する場合であっても、記録材の搬送制御に必要な情報を確実に取得し、ジャム等の発生を抑制する画像形成装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、画像が形成される記録材を予め定められた停止位置まで搬送して停止させるとともに、画像が形成される画像形成タイミングに合わせて停止位置に停止している記録材を画像形成位置に搬送する。また、画像形成装置は、記録材の搬送が停止される前に、搬送中の記録材の種別を判別する第1判別処理と、記録材が停止位置に停止している間に、停止中の記録材の種別を判別する第2判別処理を行う。さらに、本画像形成装置は、これらの判別結果のうち、状況に応じて精度の高い情報を選択することで、ジャムの発生を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材の種別を判別可能な画像形成装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザープリンタ等の画像形成装置においては、記録材のサイズや種別(以下、紙種ともいう)に応じて画像処理条件(例えば、現像条件、転写条件、搬送条件、定着条件など)を設定している。記録材のサイズや種別は、例えば、画像形成装置本体に設けられた操作パネル等を介してユーザによって設定される。或いは、画像形成装置内部に設けられた記録材を判別するセンサを用いて判別される。
【0003】
特許文献1には、光学系センサを用いて光沢度の高いグロスフィルムと、光沢度の低い普通紙とを判別する技術が提案されている。具体的に、光学センサは、発光素子と、発光素子から発射された光が検出面により反射され、その反射光を受光する位置に設置された第1の受光センサと、第1の受光センサと異なる角度で設置された第2の受光センサとを備えた反射型光学センサとを備える。
【0004】
また、特許文献2には、記録材の表面画像をCCDセンサあるいはCMOSセンサによって撮像しその光の大小関係から記録材の粗度を検出する画像形成装置が提案されている。さらに、特許文献2には、記録材端部に出来る影の長さから記録材の厚みを検出する方法も提案されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、判別した記録材の種別を用いて画像形成を行う第1モードと、記録材の種別を判別するしないに関わらず記憶手段に記憶されている記録材の種別を用いて画像形成を行う第2モードとを有する画像形成装置が提案されている。特許文献3に記載の画像形成装置は、第1モード及び第2モードを選択的に切り替えることにより、スループットを低減させることなく良質な画像形成を行うことができる。
【特許文献1】特開平02−138805号公報
【特許文献2】特開2002−182518号公報
【特許文献3】特開2000−305438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術においては、以下に記載する問題がある。従来、記録材判別のための動作(以下、記録材判別処理と称す。)は、測定条件を一定にするため記録材を記録材判別手段の位置で一時停止させ、全ての記録材について同じ検出動作を行っていた。そのため、記録材判別のための十分な時間を確保することが出来れば、精度良く記録材を判別することが可能であった。
【0007】
しかし、同一の給紙口からの連続印字や予め指定された記録材の種別で画像形成を行う場合には、スループットを向上させるため記録材判別処理を行う前に予め現像剤像を形成しておき、それに同期させて記録材の搬送を行うことがある。このような場合であっても、想定外の記録材の対応や定着装置への巻き付き等の可能性があり、搬送不可能な記録材に対応するために記録材の種別を判別する必要がある。このような状況で記録材判別処理に要する時間を十分に確保した場合、形成された現像剤像を記録材に転写する転写タイミングに記録材の搬送が遅れ、位置ズレや画像不良を引き起こしてしまう。したがって、このような状況では、記録材判別処理に割り当てられる時間が十分に確保できない。その結果、記録材判別処理において、誤検知や判別自体ができない場合があり、ジャム等を引き起こす要因となっていた。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、記録材判別処理に割り当てられる処理時間が変化する場合であっても、記録材の搬送制御に必要な情報を確実に取得し、ジャム等の発生を抑制する画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、画像が形成される記録材を予め定められた停止位置まで搬送して停止させるとともに、画像が形成される画像形成タイミングに合わせて停止位置に停止している記録材を画像形成位置に搬送する搬送制御手段と、記録材の搬送が停止される前に、搬送中の記録材の種別を判別する第1記録材判別手段と、記録材が停止位置に停止している間に、停止中の記録材の種別を判別する第2記録材判別手段と、停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で第2記録材判別手段の判別が終了しているか否かを判定するために、記録材が停止状態であるか又は搬送状態であるかを監視する監視手段と、第1及び第2記録材判別手段によって判別された記録材の種別に関する種別情報のうち、監視手段からの情報に基づいて第2記録材判別手段からの種別情報を優先して選択する選択手段と、選択された種別情報から決まる画像形成条件に従って記録材に画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、例えば、画像形成装置の制御方法として実現できる。制御方法は、画像が形成される記録材を予め定められた停止位置まで搬送して停止させるとともに、画像が形成される画像形成タイミングに合わせて停止位置に停止している記録材を搬送制御手段によって画像形成位置に搬送させるステップと、記録材の搬送が停止される前に、第1記録材判別手段によって搬送中の記録材の種別を判別させるステップと、記録材が停止位置に停止している間に、第2記録材判別手段によって停止中の記録材の種別を判別させるステップと、停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で第2記録材判別手段の判別が終了しているか否かを監視手段によって監視させるステップと、監視手段の監視結果に応じて第1及び第2記録材判別手段によって判別された記録材の種別を表す種別情報のうち、第2記録材判別手段からの種別情報を選択手段によって優先して選択させるステップと、選択された種別情報から決まる画像形成条件に従って画像形成手段によって記録材に画像を形成させるステップとを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、例えば、記録材判別処理に割り当てられる処理時間が変化する場合であっても、記録材の搬送制御に必要な情報を確実に取得し、ジャム等の発生を抑制する画像形成装置及びその制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0013】
[第1の実施形態]
以下では、図1乃至図3を参照して、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。ここでは、画像形成装置の一例としてレーザビームプリンタを用いて説明する。
【0014】
レーザビームプリンタであるプリンタ100は、各画像形成ステーションにおいて画像信号に基づいて静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して可視画像を形成する。さらに、プリンタ100は、可視画像を中間転写体上に重畳転写してカラー画像を形成し、記記録材に二次転写する。さらに、プリンタ100は、定着装置によって可視画像を記録材へ定着させる。
【0015】
上述のような処理を実現するために、プリンタ100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに対応する画像形成ステーションを備える。画像形成ステーションは、感光ドラム5Y、5M、5C、5K、現像器8Y、8M、8C、8K、スキャナ10Y、10M、10C、10K及びトナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kを備える。さらに、プリンタ100は、各画像形成ステーションの対向に配置され、感光ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成された可視画像を中間転写体20に転写するための一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kを備える。
【0016】
ここで、イエローのトナーに対応する画像形成ステーションの画像形成処理について説明する。他のトナー色に対応する画像形成ステーションについての説明は、以下で記載する処理と同様であるため省略する。
【0017】
まず、画像形成ステーションは、感光ドラム5Yを一様に帯電させ、スキャナ10Yにより露光を開始することにより、静電潜像を感光ドラム5Y上に形成する。静電潜像が形成されると、現像器8Yは、現像剤(トナー)を帯電させて静電潜像へ付着させることにより、静電潜像を現像する。即ち、感光ドラム5Y上にイエローのトナーを用いた可視画像が形成される。この可視画像は、他の画像形成ステーションで形成された可視画像とともに、中間転写体20に重畳転写される。これにより、中間転写体20にカラー画像が形成される。その後、カラー画像は、二次転写ローラ7の位置で記録材に二次転写される。
【0018】
また、プリンタ100は、記録材2を載置する記録材カセット1や手差しトレイ3、メディアセンサ4、レジストローラ12、レジストセンサ14、二次転写ローラ7、及び定着装置9を備える。メディアセンサ4は、測定手段として機能し、記録材2の特性、例えば、表面性、光沢性及び透過性の少なくとも1つを測定する。このような記録材2の特性は、記録材2の種別、例えば、普通紙、厚紙、グロス紙などを判別するために用いられる。具体的なメディアセンサ4の構成については、第2の実施形態で後述する。本実施形態におけるメディアセンサ4は、記録材の種別が判別可能なセンサであればどのような構成であってもよい。
【0019】
レジストローラ12は、記録材2を搬送させるためのローラである。レジストセンサ14は、記録材2の先端を検出する記録材検出手段として機能する。また、レジストローラ12及びレジストセンサ14は、中間転写体20に形成された画像が二次転写ローラ7の位置(以下、転写位置と称す。)に到着する転写タイミング(画像形成タイミングともいう。)に合わせて、記録材2を転写位置に搬送させるために利用される。ここで、プリンタ100は、転写タイミングに合わせて記録材2を搬送するため、予め定められた停止位置に記録材2を一時停止させることによりタイミングを調整する。したがって、レジストセンサ14は、記録材2の搬送路において、当該記録材2の搬送方向に対して停止位置より上流側に配置される。
【0020】
二次転写ローラ7は、上述したように中間転写体20に形成されたカラー画像を記録材2に転写するためのローラである。定着装置9は、画像が転写された記録材2を加圧及び加熱することにより、記録材2に画像を定着させる。画像が定着された記録材2は、プリンタ100の機外へ排出される。
【0021】
次に、図2を参照して、本実施形態に係るプリンタ100の制御構成について説明する。ここでは、主に本発明に関する制御ブロックについて説明する。したがって、本発明に係るプリンタ100は、以下で説明する制御ブロックのみに限定されるわけでなく、他の制御ブロックを含んで構成されてもよい。図2は、第1の実施形態に係るプリンタ100の制御構成の一例を示す図である。
【0022】
200は、プリンタ100の画像形成を統括的に制御する制御部(CPU)を示す。制御部200は、画像形成部201、搬送制御部202、記録材判別部203、選択部204及び監視部205を含む。また、監視部205は、図2に示すように、搬送制御部202に含まれてもよい。
【0023】
画像形成部201は、画像形成手段として機能し、判別された記録材2の種別から決まる画像形成条件に従って記録材2に画像を形成する。画像形成部201は、主に、図1に示す画像形成ステーションや、定着装置9を制御する。なお、画像形成条件については、制御部200に含まれるROMに予め記憶されていることが望ましい。この場合、画像形成部201は、選択部204から通知される記録材の種別を表す種別情報を検索キーワードにし、予め記憶されている画像形成条件を取得する。また、取得した画像形成条件のうち、記録材の搬送速度に関する情報については、搬送制御部202に通知してもよい。
【0024】
搬送制御部202は、搬送制御手段として機能し、記録材2の搬送を制御する。具体的には、搬送制御部202は、搬送路に配置された各ローラを制御することにより記録材2の搬送を制御する。また、本発明に関する制御として、搬送制御部202は、記録材2を予め定められた停止位置まで搬送して停止させるとともに、画像が形成される画像形成タイミングに合わせて停止位置に停止している記録材2を画像形成位置に搬送する。ここで、停止位置とは、レジストセンサ14で記録材2の先端が検出されてから一定の距離進んだ位置となる。この停止位置で記録材2を停止させることにより、制御部200は、中間転写体20上に形成された画像が画像形成位置に到着する画像形成タイミングに合わせて、記録材2の搬送を調整する。また、制御部200は、記録材2が停止位置に停止している間に、記録材判別303によって記録材2の種別を判別させる。さらに、本実施形態によれば、記録材判別処理は、レジストセンサ14で記録材2の先端が検出されてから、記録材2が停止位置に到着するまでの間においても行われる。
【0025】
記録材判別部203は、第1記録材判別手段及び第2記録材判別手段として機能し、メディアセンサ4を用いて記録材2の種別を判別する。具体的に、記録材判別部203は、第1記録材判別手段として機能する場合、記録材2が停止位置に停止される前に、搬送中の記録材2について種別の判別を行う。以下では、この記録材判別処理を第1判別処理と称す。一方、記録材判別部203は、第2記録材判別手段として機能する場合、記録材2が停止位置に停止している間に、停止中の記録材2について種別の判別を行う。以下では、この記録材判別処理を第2判別処理と称す。第1及び第2判別処理は、例えば、記録材2の種別が普通紙、厚紙又はグロス紙の何れであるかを判別する。これらの判別結果では、第2判別処理の判別結果の方が第1判別処理の判別結果よりも精度が高くなる。
【0026】
監視部205は、監視手段として機能し、停止位置に停止している記録材2の搬送が再開された時点で第2判別処理の判別が終了しているか否かを監視する。具体的に、監視部205は、記録材2が停止状態であるか又は搬送状態であるかを監視する。例えば、監視部205は、記録材2を搬送するために設けられた搬送路上の各ローラの回転を監視することで、記録材2が停止状態であるか又は搬送状態であるかを監視する。また、監視部205は、停止位置に停止している記録材2の搬送が再開された時点で第2記録材判別手段の判別が終了しているか否かの情報を選択部204に通知する。また、監視部205は、記録材2の状態が遷移するごとに、記録材2が搬送状態であるか又は停止状態であるかを表す情報を選択部204に通知してもよい。この場合、選択部204において、監視部205からの記録材2の状態情報と、記録材判別部203からの判別結果が通知されるタイミングとに基づいて、記録材2の搬送が再開された時点で第2判別処理が終了しているか否かを判断する。
【0027】
選択部204は、選択手段として機能し、監視部205から通知された監視結果に応じて、第1及び第2判別処理の判別結果から記録材2の種別情報を選択する。ここで、選択部204は、精度の高い第2判別処理の判別結果を優先して選択する。具体的には、選択部204は、停止位置に停止している記録材2の搬送が再開された時点で第2判別処理が終了している場合には、当該判別結果による種別情報を選択する。一方、選択部204は、停止位置に停止している記録材2の搬送が再開された時点で第2判別処理が終了していない場合には、第1判別処理の判別結果による種別情報を選択する。したがって、選択部204は、第2判別処理に十分な時間が確保できない場合に第1判別処理の判別結果を選択することで、常に精度の高い判別結果を選択することができる。したがって、制御部200は、記録材2の搬送制御を行うために必要最低限の情報を得ることができ、ジャム等の発生を抑制しうる。
【0028】
記録材種別が選択されると、画像形成部201では、選択部204によって選択された記録材種別に従った画像形成条件で記録材2への画像形成が行われる。具体的に、画像形成部201は、第2判別処理の判別結果が選択された場合、記録材2が定着装置9において搬送可能な記録材であるか否かを判断する。搬送不可能であると判断した場合には以降の搬送を停止する。これにより、定着装置9への記録材2の巻き付きを抑制することができる。一方、搬送可能な記録材であると判断した場合には画像形成を継続し、必要に応じて転写条件や定着条件を変更する。
【0029】
また、画像形成部201は、第1判別処理の判別結果が選択された場合、記録材2が定着装置9において搬送可能な記録材であるか否かを判断する。搬送不可能であると判断した場合には以降の搬送を停止する。これにより、定着装置9への記録材2の巻き付きを抑制することができる。一方、搬送可能な記録材であると判断した場合には画像形成を継続する。しかし、搬送中の記録材2についての判別結果では精度が低いため、搬送可能な記録材であるか否かの判断に留め、転写条件や定着条件についての変更を行わない。
【0030】
<記録材の搬送制御>
以下では、記録材2の搬送制御について説明する。ここでは、説明を容易にするため、まず以下の条件を前提として定義する。
最上流の画像形成ステーション(図1では、ブラックの画像形成ステーションとなる。)による画像形成が開始されてから二次転写ローラ7へ画像の先端が到達するまでの時間を5secとする。記録材の搬送速度を200mm/secとする。記録材カセット1からレジストセンサ14までの搬送路の距離を400mmとする。レジストセンサ14から停止位置までの搬送距離を40mmとする。停止位置から二次転写ローラ7までの距離を60mmとする。第1判別処理又は第2判別処理に要する時間を120msecとする。さらに、停止位置で想定される停止時間を150msecとする。この場合の画像形成動作について以下に示す。
【0031】
上述の条件において、記録材2の搬送制御において必要となる時間は、給紙口からレジストセンサ14までで2sec、レジストセンサから停止位置までで0.2sec、停止位置から二次転写ローラ7までで0.3secとなる。また、停止位置での停止時間は0.15msecとなる。したがって、給紙口から二次転写ローラ7までで2.65secかかる。したがって、搬送制御部202は、中間転写体20に形成された画像が二次転写ローラ7に到達する2.65sec前に、即ち、最上流の画像形成ステーションによる画像形成の開始から2.35sec後に記録材2の搬送を開始する。
【0032】
したがって、第2判別処理は、停止位置での停止時間である150msecの間に実施される。また、第1判別処理は、レジストセンサ14から停止位置までの搬送時間である200msecの間に実施される。通常、搬送開始からレジストセンサ14に記録材2の先端が到達するまでの時間は2secである。しかしながら、記録材カセット1での停止位置のばらつきや、搬送中の異常などで2.03secより長くかかってしまった場合、停止位置での停止時間が120msec以下となってしまう。このような場合、選択部204は、停止位置での停止中に第2判別処理を終了できないため、上述したように第1判別処理の判別結果を選択する。
【0033】
<記録材判別処理>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成中の記録材判別処理について説明する。図3は、第1の実施形態に係る記録材判別処理の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、制御部200によって統括的に制御される。
【0034】
ステップS301において、搬送制御部202は、中間転写体20上に形成された画像が転写位置に到達する画像形成タイミングをあわせて記録材カセット1又は手差しトレイ3から記録材2の搬送を開始させる。具体的に、画像形成タイミングを合わせるために、搬送制御部202は、画像が二次転写ローラ7(転写位置)に到達するよりも早いタイミングで記録材2を給紙搬送する。
【0035】
次に、ステップS302において、搬送制御部202は、レジストセンサ14によって記録材2の先端が検出されたか否かを判定する。さらに、搬送制御部202は、レジストセンサ14によって記録材2の先端が検出されると、レジストローラ12によって一定の距離だけ記録材2を搬送させる。ここで、記録材2の先端がレジストセンサ14に到達した時点で、記録材2はメディアセンサ4にも到達している。
【0036】
レジストセンサ14で記録材2の先端が検出されると、ステップS303において、記録材判別部203は、第1判別処理を開始する。また、ステップS304において、搬送制御部202は、記録材2が停止位置に到達したか否かを判定し、到達したと判定すると記録材2の搬送を停止する。実際には、搬送制御部202は、レジストセンサ14で記録材2の先端が検出されてから、予め定められた時間が経過した後に、記録材2の搬送を停止することで実現してもよい。
【0037】
S304で記録材2が停止位置に到着したと判定されると、以下のステップS305及びS306の処理が並行して実行される。まず、ステップS305において、記録材判別部203は、第2判別処理を開始する。一方、ステップS306において、搬送制御部202は、停止位置に停止している記録材2の搬送を開始するタイミングを判定する。具体的に、搬送制御部202は、停止位置に記録材2が到達してから規定の停止時間が経過した後に搬送を再び開始する。この搬送タイミングは、記録材の先端がレジストセンサ14によって検出されたタイミングと、画像形成ステーションにおいて画像形成が開始されたタイミングとから算出されてもよい。
【0038】
S306で記録材2の再搬送を開始するタイミングであると判定されると、搬送制御部202は、記録材2の搬送を開始する。ここで、監視部205は、記録材2の状態が停止状態から搬送状態に変化したことを選択部204に通知する。また、監視部205は、記録材2が停止位置に停止していた時間を選択部204に通知してもよい。さらに、ステップS307において、選択部204は、監視部205から通知された情報(記録材2の状態が停止状態から搬送状態へ変化したタイミング)に基づいて、第2判別処理が終了しているか否かを判定する。具体的に、選択部204は、記録材2の停止時間が第2判別処理に必要とされる処理時間以上であったか否かを判定する。停止時間が処理時間以上であった場合、選択部204は、第2判別処理の判別結果を画像形成条件を決定するための情報として選択し、処理をS308に遷移させる。一方、停止時間が処理時間より短い場合、選択部204は、第1判別処理の判別結果を画像形成条件を決定するための情報として選択し、処理をS309に遷移させる。ここで、選択部204は、選択した記録材種別を画像形成部201及び搬送制御部202に通知する。
【0039】
ステップS308において、画像形成部201は、第2判別処理の判別結果から以降の搬送条件、転写条件、定着条件を設定し、画像形成処理を継続する。ここで、上述したように、記録材2の種別が定着装置9などで搬送不可能な種別である場合は画像形成処理を停止し、プリンタ100に設けられた操作パネル上にエラーを表示する。
【0040】
ステップS309において、画像形成部201は、第1判別処理の判別結果から以降の搬送条件を設定し、画像形成処理を継続する。ここで、S308の処理と同様に、記録材2の種別が定着装置9などで搬送不可能な種別である場合は画像形成処理を停止し、プリンタ100に設けられた操作パネル上にエラーを表示する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンタ100は、予め定められた停止位置に記録材2が到着する前に実施される第1判別処理と、記録材2が停止位置に停止している間に実施される第2判別処理を行う。さらに、プリンタ100は、第2判別処理が正常に終了している場合には第2判別処理によって判別された記録材種別を用いて画像形成条件を決定する。一方、プリンタ100は、第2判別処理が正常に終了していない場合には第1判別処理によって判別された記録材種別を用いて画像形成条件を決定する。これにより、プリンタ100は、レジストセンサ14への記録材2の到着が遅れた場合であっても、記録材2の搬送制御に最低限必要な情報を得ることができ、定着装置9への巻き付きやジャムの発生を抑制しうる。このように、本プリンタ100は、発生した場合にユーザへ煩雑な操作を要求するエラーの発生を低減させることができる。
【0042】
[第2の実施形態]
次に、図4乃至図7Bを参照して、第2の実施形態について説明する。本実施形態のプリンタ100は、第1判別処理及び第2判別処理において記録材2の表面性、光沢性及び透過性を個別に測定する。したがって、本実施形態に係る選択部204は、画像形成条件を決定するための情報として、第2判別処理において測定が終了している特性の測定結果と、第2判別処理で測定が終了していない特性に対応する第1判別処理の測手結果とを選択する。以下では、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明を記載する。また、第1の実施形態と同様の構成、構成要素及び処理については、同一の番号を付し説明を省略する。
【0043】
本実施形態に係る記録材判別部203は、搬送中の記録材2について、表面性、光沢性及び透過性の全ての特性について測定を実施する。さらに、記録材判別部203は、記録材2の停止後に再度全ての測定を表面性の測定、光沢性の測定そして透過性の測定の順に実施する。この測定の優先順位は記録材2の状態が測定結果に大きく影響する重要度の高い順に設定する。即ち、記録材2が動いている場合の影響が少ないと考えられる記録材の透過性の測定は最後に実施し、表面性の測定のような影響が大きいと考えられる測定を優先的に実施する。
【0044】
<メディアセンサの構成>
まず、図4を参照して、本実施形態に係るメディアセンサ4の構成について説明する。図4は、第2の実施形態に係るメディアセンサ4の一例を示す図である。メディアセンサ4は、図2に示すように、搬送路409の上側に配置された発光素子であるLED401及び受光素子であるフォトトランジスタ402、403を含む。また、メディアセンサ4は、搬送路409の下側に配置された発光素子であるLED407を含む。このため、搬送路409には、記録材の裏面側から光を照射するための窓408が設けられる。
【0045】
LED401を光源とする光は、スリット406aを介して搬送路409上の記録材2の表面に対し照射される。記録材2からの反射光は、スリット406b、406cを介し集光されてフォトトランジスタ402、403に受光される。これによって記録材2の光沢度を検出する。
【0046】
LED407を光源とする光は、光を集光させるために形成される集光ガイドを通って記録材2の裏面へ照射される。記録材2からの透過光は、スリット406b、406cを介してフォトトランジスタ402、403に受光される。これによって記録材2の透過度を検出する。
【0047】
本実施形態によれば、LED401は、照射する光が記録材2の表面に対して、図4に示すように所定の角度をもって斜めより照射されるように配置される。また、LED407は、照射する光が記録材2の裏面に対して、図4に示すようにフォトトランジスタ402の真下の位置から照射されるように配置される。
【0048】
このように、本実施形態によるプリンタ100は、メディアセンサ4を用いて、記録材の性質を表す1つ以上のパラメータ、例えば、表面性、光沢性及び透過性を測定する。プリンタ100は、これらの1つ以上のパラメータを用いて、記録材の種別、例えば、普通紙、厚紙及びグロス紙などを判別する。判別された記録材の種別は、記録材の搬送条件、転写条件や定着条件などの画像形成条件を決定するために利用される。また、ここでは、メディアセンサとしてLED及びフォトトランジスタを用いた構成について説明したが、CCDセンサ、CMOSセンサ等を用いた構成でもよい。
【0049】
次に、図5を参照して、本実施形態に係るプリンタ100の制御構成について説明する。図5は、第2の実施形態に係るプリンタ100の制御構成の一例を示す図である。ここでは、図2の制御構成と異なる部分についてのみ説明を記載する。即ち、記録材判別部203についてのみ説明を記載する。
【0050】
記録材判別部203は、表面性測定部501、光沢性測定部502及び透過性測定部503を備える。表面性測定部501及び光沢性測定部は、メディアセンサ4を用いて正反射光量及び乱反射光量を取得し、それぞれ記録材2の表面性、光沢性を測定する。透過性測定部503は、メディアセンサ4を用いて正透過光量を取得し、記録材2の透過性を測定する。
【0051】
また、記録材判別部203は、第1判別処理及び第2判別処理において測定された各特性の測定結果のうち、選択部204から通知される選択情報に基づいて利用する測定結果を選択して記録材2の種別を判別し、選択部204に通知する。ここで、選択情報とは、記録材2の種別を判別するために利用する特性の測定結果のうち、第1判別処理の測定結果を利用するか、又は、第2判別処理の測定結果を利用するかという情報が含まれる。また、記録材判別部203は、測定した記録材2の特性の測定結果を選択部204に通知してもよい。この場合、選択部204が通知された特性の測定結果から利用する測定結果を選択し、記録材2の種別を判別する機能を有する。
【0052】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る画像形成中の記録材判別処理について説明する。図6は、第2の実施形態に係る記録材判別処理の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、制御部200によって統括的に制御される。また、ここでは、図3に示す処理と異なる処理についてのみ説明を記載する。同様の処理については、同一のステップ番号を付し説明を省略する。
【0053】
ステップS601において、記録材判別部203は、第1判別処理として、各測定部(501〜503)を用いて搬送中の記録材2の表面性、光沢性及び透過性を測定する。また、ステップS602乃至ステップS604において、記録材判別部203は、第2判別処理として、各測定部(501〜503)を用いて停止中の記録材2の表面性、光沢性及び透過性を測定する。ここで、上述したように、記録材判別部203は、表面性、光沢性、透過性の順に測定を実施する。
【0054】
停止位置から記録材2の搬送が再開されると、ステップS605において、選択部204は、監視部205からの情報(搬送を開始したタイミング)に基づいて、表面性測定部501による表面性の測定が終了しているか否かを判定する。ここで、終了している場合、選択部204は処理をS606に遷移させる。一方、終了していない場合、選択部204は、処理をS607に遷移させる。
【0055】
ステップS606において、選択部204は、まず、第2判別処理において、光沢性の測定及び透過性の測定が終了しているか否かを判断する。ここで、選択部204は、測定が終了している特性については第2判別処理の測定結果を選択し、測定が終了していない特性については第1判別処理の測定結果を選択し、この選択情報を記録材判別部203に通知する。例えば、第2判別処理において表面性の測定のみが終了している場合、選択される測定結果は、第2判別処理による表面性の測定結果と、第1判別処理による光沢性及び透過性の測定結果となる。
【0056】
記録材判別部203は、選択された測定結果を用いて記録材2の種別を判断し、選択部204を介して画像形成部201及び搬送制御部202に測定された各特性の情報及び記録材種別を通知する。画像形成部201及び搬送制御部202は、通知された情報に基づいて、搬送条件、転写条件、定着条件を設定し、画像形成処理を継続する。ここで、上述したように、記録材2の種別が定着装置9などで搬送不可能な種別である場合は画像形成処理を停止し、プリンタ100に設けられた操作パネル上にエラーを表示する。
【0057】
一方、ステップS607において、選択部204は、まず、選択情報として、全ての特性について第1判別処理の測定結果を選択することを記録材判別部203に通知する。続いて、記録材判別部203は、第1判別処理の各特性の測定結果を選択部204を介して画像形成部201及び搬送制御部202に通知する。画像形成部201及び搬送制御部202は、通知された測定結果から搬送条件を設定し、画像形成処理を継続する。ここで、S606の処理と同様に、記録材2の種別が定着装置9などで搬送不可能な種別である場合は画像形成処理を停止し、プリンタ100に設けられた操作パネル上にエラーを表示する。
【0058】
次に、図7A及び図7Bを参照して、本実施形態に係る記録材判別処理の処理タイミングについて説明する。図7A及び図7Bは、第2の実施形態に係る記録材判別処理の処理タイミングを示すタイミングチャートである。図7Aは、記録材2の停止中に全ての特性についての測定が終了するパターンについて示す。図7Bは、記録材2の停止中に表面性の測定のみが終了するパターンを示す。図7A及び図7Bにおいて、711は、レジストセンサ14の出力タイミングを示す。712は、表面性の測定タイミングを示す。713は、光沢性の測定タイミングを示す。714は、透過性の測定タイミングを示す。715は、記録材2の搬送タイミングを示す。
【0059】
図7A及び図7Bにおいて、ステップS701は、レジストセンサ14に記録材2の先端が到達したタイミングを示す。ここで、レジストセンサ14から搬送制御部202に信号が出力される。レジストセンサ14からの出力を受信すると、ステップS702において、表面性測定部501は、表面性の測定を開始する。表面性の測定が終了すると、ステップS703において、光沢性測定部502は、光沢性の測定を開始する。光沢性の測定が終了すると、ステップS704において、透過性測定部503は、透過性の測定を開始する。なお、S702乃至S704の記録材判別処理は、第1判別処理となる。
【0060】
また、搬送タイミング715に示すように、記録材2が所定の停止位置に到達すると、搬送制御部202は、記録材2の搬送を停止する。ここで、監視部205は、記録材判別部203に記録材2が搬送状態から停止状態に切り替わったことを通知する。
【0061】
記録材2が停止状態に遷移すると、ステップS705乃至S707において、記録材判別部203は、第1判別処理と同様に、表面性、光沢性、透過性の順に測定を開始する。なお、S705乃至S707の記録材判別処理は、第2判別処理となる。
【0062】
その後、ステップS708において、搬送制御部202は、記録材2が停止位置に到着してから規定の停止時間が経過した後に記録材2搬送を開始する。搬送が再開されるタイミングについては、それぞれ点線716、717に示す。
【0063】
図7Aでは、記録材2の搬送が再開されるタイミングにおいて、S705乃至S707の処理が全て終了しているため、選択される測定結果は、S705乃至S707で測定された結果となる。一方、図7Bでは、記録材2の搬送が再開されるタイミングにおいて、S705の処理のみが終了しているため、選択される測定結果は、S705、S703、S704で測定された結果となる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンタ100は、第1判別処理及び第2判別処理において、表面性測定部501、光沢性測定部502及び透過性測定部503を用いて記録材2の特性である表面性、光沢性及び透過性を測定する。さらに、選択部204は、停止位置に停止している記録材2の搬送が再開された時点で、測定が終了している第2判別処理による測定結果を選択する。測定が終了していない特性については、第1判別処理の測定結果を選択する。また、画像形成部201は、第2判別処理における表面性の特性が終了している場合についてのみ、搬送条件に加えて、転写条件及び定着条件についても判断する。一方、画像形成部201は、第2判別処理における表面性の特性が終了していない場合、搬送条件のみを判断する。これにより、本実施形態に係るプリンタ100は、第1の実施形態と比較して、記録材判別処理を細分化し、かつ、記録材2の搬送に関する重要度の高い特性の順に測定を実施するため、さらに精度良くジャム等の発生を抑制しうる。
【0065】
[第3の実施形態]
次に、図8乃至図10Bを参照して、第3の実施形態について説明する。本実施形態に係るプリンタ100は、第2の実施形態と同様の構成を有するメディアセンサ4を用いて記録材判別処理を行う。しかし、本プリンタ100は、第1判別処理を実施する前に停止時間を算出し、算出した停止時間に基づいて第2判別処理で測定不可能な特性の測定について第1判別処理で実施する。
【0066】
例えば、算出された停止時間が何らかの要因で70msecであった場合を想定する。さらに、表面性の測定に50msec、光沢性の測定に30msec、透過性の測定に40msecかかるものとする。この場合、上述したように、搬送制御に関わる重要度の高い特性から測定を実施するものとすると、第2判別処理では、表面性の測定(50msec)から実施される。しかし、表面性の測定が終了したのちの停止時間の残りは20msecとなる。20msecでは、残りの光沢性及び透過性の測定が実施できない。したがって、本実施形態に係るプリンタ100では、光沢性及び透過性の測定を第1判別処理で行う。
【0067】
まず、図8を参照して、本実施形態に係るプリンタ100の制御構成について説明する。図8は、第3の実施形態に係るプリンタ100の制御構成の一例を示す図である。ここでは、図5の制御構成と異なる部分についてのみ説明を記載する。即ち、算出部801及び決定部802についてのみ説明を記載する。
【0068】
制御部200は、図5の制御ブロックに加えて、算出部801及び決定部802を備える。算出部801は、算出手段として機能し、レジストセンサ14によって記録材2の先端が検出された検出タイミングと、画像形成位置で記録材に画像を形成する画像形成タイミングとから停止位置に停止する記録材2の停止時間を算出する。具体的に、算出部801は、画像形成タイミングから検出タイミングを引いた時間からさらに、レジストセンサ14から画像形成位置への記録材2の搬送時間を引いた時間を停止時間として算出する。
【0069】
決定部802は、表面性、光沢性及び透過性の測定うち、算出された停止時間中に測定可能な測定を決定する。具体的に、決定部802は、制御部200に備えられるメモリに予め記憶されている各特性の測定時間と、重要度と、算出された停止時間とを用いて第2判別処理で測定可能な測定を決定する。さらに、決定部802は、記録材判別部203に決定した情報を通知する。記録材判別部203は、決定された測定については第2判別処理で実施し、それ以外の測定については第1判別処理で実施する。したがって、本実施形態によれば、選択部204は、第1判別処理及び第2判別処理で測定された測定結果の全てを有効な情報として選択する。
【0070】
次に、図9を参照して、本実施形態に係る画像形成中の記録材判別処理について説明する。図9は、第3の実施形態に係る記録材判別処理の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、制御部200によって統括的に制御される。また、ここでは、図3に示す処理と異なる処理についてのみ説明を記載する。同様の処理については、同一のステップ番号を付し説明を省略する。
【0071】
ステップS901において、算出部801は、レジストセンサ14の検出情報と、画像形成部201からの画像形成タイミングの情報を用いて、搬送されてきた記録材2が停止位置に停止可能な停止時間を算出する。さらに、算出部801は、算出した停止時間を決定部802に通知する。ステップS902において、決定部802は、停止時間中に全ての特性についての測定が実施可能か否かを判定する。実施可能である場合は、処理をS304に遷移させる。実施可能でない場合は、処理をS903に遷移させる。
【0072】
ステップS903において、決定部802は、第2判別処理で測定可能な測定を決定し、記録材判別部203に通知する。記録材判別部203は、決定された測定以外の特性に関する測定を第1判別処理として実施する。例えば、決定された測定が表面性の測定のみであった場合、記録材判別部203は、第1判別処理において、光沢性及び透過性の測定を実施する。
【0073】
その後、記録材2が停止位置に到達すると、ステップS904において、記録材判別部203は、決定された測定を実施する。例えば、表面性の測定のみを実施する。また、記録材2の搬送が再開されると、ステップS905において、選択部204は、第1及び第2の判別処理において測定された全ての測定結果を有効な情報として選択する。したがって、画像形成部201は、これら測定結果及び測定結果により判別された記録材種別を用いて、搬送条件、転写条件及び定着条件を設定し、画像形成処理を継続する。ここで、上述したように、記録材2の種別が定着装置9などで搬送不可能な種別である場合は画像形成処理を停止し、プリンタ100に設けられた操作パネル上にエラーを表示する。
【0074】
次に、図10A及び図10Bを参照して、本実施形態に係る記録材判別処理の処理タイミングについて説明する。図10A及び図10Bは、第3の実施形態に係る記録材判別処理の処理タイミングを示すタイミングチャートである。図10Aは、記録材2の停止中に全ての特性についての測定が実施可能なパターンについて示す。図10Bは、記録材2の停止中に表面性の測定のみが実施可能なパターンを示す。図10A及び図10Bにおいて、1011は、レジストセンサ14の出力タイミングを示す。1012は、表面性の測定タイミングを示す。1013は、光沢性の測定タイミングを示す。1014は、透過性の測定タイミングを示す。1015は、記録材2の搬送タイミングを示す。
【0075】
図10Aにおいて、ステップS1001は、レジストセンサ14に記録材2の先端が到達したタイミングを示す。ここで、レジストセンサ14から搬送制御部202に信号が出力される。ここで、停止時間が算出部801によって算出され、第2判別処理で実施可能な測定が決定部802によって決定される。図10Aでは、全ての測定が実施可能であると決定される。したがって、記録材2の搬送が停止されると、ステップS1002において、表面性測定部501は、表面性の測定を開始する。表面性の測定が終了すると、ステップS1003において、光沢性測定部502は、光沢性の測定を開始する。光沢性の測定が終了すると、ステップS1004において、透過性測定部503は、透過性の測定を開始する。即ち、図10Aの例では、第1判別処理は実施されず、全ての特性について第2判別処理で実施される。その後、ステップS1005において、搬送制御部202は、記録材2が停止位置に到着してから算出された停止時間が経過した後に記録材2搬送を開始する。
【0076】
一方、図10Bにおいて、ステップS1001の後に、決定部802によって表面性の測定のみが記録材2の停止中に実施可能であると決定される。したがって、ステップS1006及びS1007において、第1判別処理として光沢性及び透過性の測定が実施される。その後、記録材2が停止位置に到着すると、ステップS1002において、第2判別処理として表面性の測定が実施される。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンタ100は、停止時間を算出して、第2判別処理で実施可能な測定を決定する。したがって、本プリンタ100は、第1及びだ2実施形態と同様にジャム等の発生を抑制しつつ、無駄な測定を省略することが可能となる。これにより、第1及び第2の実施形態と比較して、メディアセンサ4の駆動寿命を延ばすことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るプリンタ100の制御構成の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る記録材判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係るメディアセンサ4の一例を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係るプリンタ100の制御構成の一例を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る記録材判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7A】、
【図7B】第2の実施形態に係る記録材判別処理の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】第3の実施形態に係るプリンタ100の制御構成の一例を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る記録材判別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10A】、
【図10B】第3の実施形態に係る記録材判別処理の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0079】
4:メディアセンサ
14:レジストセンサ
200:制御部
201:画像形成部
202:搬送制御部
203:記録材判別部
204:選択部
205:監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
画像が形成される記録材を予め定められた停止位置まで搬送して停止させるとともに、画像が形成される画像形成タイミングに合わせて前記停止位置に停止している記録材を画像形成位置に搬送する搬送制御手段と、
前記記録材の搬送が停止される前に、搬送中の該記録材の種別を判別する第1記録材判別手段と、
前記記録材が前記停止位置に停止している間に、停止中の該記録材の種別を判別する第2記録材判別手段と、
前記停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で前記第2記録材判別手段の判別が終了しているか否かを監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に応じて前記第1及び第2記録材判別手段によって判別された記録材の種別を表す種別情報のうち、該第2記録材判別手段からの種別情報を優先して選択する選択手段と、
前記選択された種別情報から決まる画像形成条件に従って記録材に画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記選択手段は、
前記停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で前記第2記録材判別手段による判別が終了している場合には、前記第2記録材判別手段によって判別された前記種別情報を選択し、
前記停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で前記第2記録材判別手段による判別が終了していない場合には、前記第1記録材判別手段によって判別された前記種別情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1及び第2記録材判別手段は、
記録材の表面性を測定する表面性測定手段と、
記録材の光沢性を測定する光沢性測定手段と、
記録材の透過性を測定する透過性測定手段とを備え、
前記選択手段は、
前記停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で前記第2記録材判別手段に備えられる各測定手段のうち測定が終了している測定手段の測定結果を前記種別情報として選択し、
前記第2記録材判別手段に備えられる各測定手段のうち測定が終了していない測定手段と対応する前記第1記録材判別手段に含まれる測定手段の測定結果を前記種別情報として選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2記録材判別手段は、表面性、光沢性及び透過性を含む特性のうち、ジャムの発生を抑制するための記録材の搬送速度を設定する際における重要度の高い特性の順に測定を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録材の搬送路において、該記録材の搬送方向に対して前記停止位置より上流側に配置され、記録材の先端を検出する記録材検出手段と、
前記記録材検出手段によって記録材の先端が検出された検出タイミングと、前記画像形成位置で記録材に画像を形成する画像形成タイミングとから前記停止位置に停止する記録材の停止時間を算出する算出手段と、
前記第2記録材判別手段に備えられた前記表面性測定手段、光沢性測定手段及び透過性測定手段のうち、前記算出された停止時間中に測定可能な測定手段を決定する決定手段とをさらに備え、
前記第2記録材判別手段は、前記決定された測定手段によって測定を行い、
前記第1記録材判別手段は、前記第2記録材判別手段で測定が行われない測定手段に対応する測定手段のみにより測定を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記決定手段は、表面性、光沢性及び透過性のうち、ジャムを発生させない記録材の搬送速度を設定するために必要となる重要度の高い特性の測定から前記第2記録材判別手段に行わせるように決定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記監視手段は、前記記録材が停止状態であるか又は搬送状態であるかを監視することで、前記停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で前記第2記録材判別手段の判別が終了しているか否かを監視することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の制御方法であって、
画像が形成される記録材を予め定められた停止位置まで搬送して停止させるとともに、画像が形成される画像形成タイミングに合わせて前記停止位置に停止している記録材を搬送制御手段によって画像形成位置に搬送させるステップと、
前記記録材の搬送が停止される前に、第1記録材判別手段によって搬送中の該記録材の種別を判別させるステップと、
前記記録材が前記停止位置に停止している間に、第2記録材判別手段によって停止中の該記録材の種別を判別させるステップと、
前記停止位置に停止している記録材の搬送が再開された時点で前記第2記録材判別手段の判別が終了しているか否かを監視手段によって監視させるステップと、
前記監視手段の監視結果に応じて前記第1及び第2記録材判別手段によって判別された記録材の種別を表す種別情報のうち、該第2記録材判別手段からの種別情報を選択手段によって優先して選択させるステップと、
前記選択された種別情報から決まる画像形成条件に従って画像形成手段によって記録材に画像を形成させるステップと
を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2009−53250(P2009−53250A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217243(P2007−217243)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】