説明

画像形成装置及びその制御方法

【課題】感光体の経年劣化に起因して発生する、異なる画像形成速度間の画像濃度の差を低減する。
【解決手段】感光体は、複数の周速度のうち選択された周速度で回転する。帯電手段は、感光体を帯電させる。光源は、入力された画像データに応じて感光体の表面を露光するための光ビームを出力する。現像手段は、感光体に形成された潜像を現像剤による現像剤像へ顕像化する。転写手段は、現像剤像を転写材に転写する。定着手段は、転写材に転写された現像剤像を定着させる。さらに、画像形成装置は、感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータを計測する計測手段と、計測された物理的なパラメータと、選択された周速度との組み合わせに応じて決定された補正値を使用して光ビームの光量を補正する光量補正手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、一定速度で回転している感光ドラムに光ビームを繰り返し照射することで静電潜像を形成する。感光ドラムは、経年劣化や画像形成工程の繰返しにより感度が低下してゆく。そのため、経年の前後で同一の画像濃度が得られないという問題が発生する。
【0003】
この問題を解決するために、感光体に基準となるレーザ光を照射し、その表面電位を電位センサで測定し、測定された表面電位が所定の電位となるようにレーザの駆動電流を制御する発明が提案されている(特許文献1)。また、感光体上に基準濃度のトナーパターンを形成してこのパターンを読み取り、読み取り濃度が所定濃度となるようにレーザの駆動電流を制御する発明も提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献1、2に開示された発明では、電位センサや濃度読み取りセンサが必要となってしまう。これは、小型機では取り付けスペースの問題を生じさせ、低価格機ではコストアップの問題を生じさせる。
【0004】
感光体の経年劣化による画像濃度等の変化を自動的に補正するために、感光体の稼動量(プリント枚数)をカウントして記憶し、カウント値に応じて現像バイアス電圧や感光体の露光光量といった画像形成条件を補正する発明も提案されている(特許文献3)。この発明では専用のセンサを用いる必要が無いので、取り付けスペースやコストアップの問題に関して有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−161176号公報
【特許文献2】特開平11−305500号公報
【特許文献3】特開平6−332278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図16は、画像形成速度と必要露光エネルギーの関係を示した図である。横軸は、画像形成速度(転写材の搬送速度)を示している。縦軸は、ある画像濃度を達成するために必要となる露光エネルギーを示している。感光体は、一般に、露光速度と感度が線形な関係とならない特性(速度依存性)を持っている。図16において、Paは、搬送速度が100mm/sのときの必要露光エネルギーを示している。直線L1は、比較対象となる直線を示し、曲線L2は、実際の画像形成速度と必要露光エネルギーとの関係を示す曲線である。
【0007】
速度依存性が原因で、搬送速度が2倍(200mm/s)になったときの必要露光エネルギーは単純に2倍(2Pa)とはならない。すなわち、このときの必要露光エネルギーは、2Paに係数α(α>1)を乗算した値である2αPaとなる。
【0008】
ところで、従来から複数の搬送速度を切り替え可能な画像形成装置が存在する。搬送速度の切り替えは、転写材の種類(普通紙、厚紙、フィルム紙など)が変更されるときに実行される。このように、搬送速度の切り替えが可能な画像形成装置では、どの搬送速度で画像を形成しても画像の濃度が一定となることが望ましい。しかし、従来の技術では、感光体の劣化に伴う、感光体の速度依存性の変化まで考慮されていなかった。
【0009】
図17は、搬送速度の違いによる画像形成回数と画像濃度との関係を示した図である。横軸は画像形成回数を示している。縦軸は画像濃度を示している。また、図17には、搬送速度が100mm/sのケースと、200mm/sのケースとが示されている。図17が示すように、どちらの搬送速度であっても感光体の劣化に伴って画像濃度は徐々に低下してゆく。しかし、低下の程度は、搬送速度ごとに異なる。すなわち、使用開始当初ではどちらの搬送速度であっても画像濃度に差はないが、画像形成回数が増加するにつれて徐々に両者間の差が開いてゆく。
【0010】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。例えば、本発明は、感光体の経年劣化に起因して発生する、異なる画像形成速度間の画像濃度の差を低減することを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、例えば、感光体と、帯電手段と、光源と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを備えた画像形成装置に適用される。感光体は、複数の周速度のうち選択された周速度で回転する。帯電手段は、感光体を帯電させる。光源は、入力された画像データに応じて感光体の表面を露光するための光ビームを出力する。現像手段は、感光体に形成された潜像を現像剤による現像剤像へ顕像化する。転写手段は、現像剤像を転写材に転写する。定着手段は、転写材に転写された現像剤像を定着させる。さらに、画像形成装置は、感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータを計測する計測手段と、計測された物理的なパラメータと選択された周速度との組み合わせに応じて決定された補正値を使用して光ビームの光量を補正する光量補正手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、感光体の経年劣化に起因して発生する、異なる画像形成速度間の画像濃度の差が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】レーザ素子を用いたレーザ制御部を示すブロック図である。
【図2】画像形成ユニットを示す模式的な断面図である。
【図3】光学ユニット21の制御回路を示す図である。
【図4】画像形成装置の制御方法を示したフローチャートである。
【図5】画像形成回数と感光ドラム31の感度との関係を示す図である。
【図6】各プロセス速度における画像形成回数に応じた光量補正データを示す図である。
【図7】光量及びPWM値の設定処理(S402)において実行される光量補正処理を示したフローチャートである。
【図8】積算露光量と濃度低下の関係の一例を示す図である。
【図9】積算露光量に対する光量の補正値のデータを示した図である。
【図10】積算露光量のカウント処理を示したフローチャートである。
【図11】濃度補正を示したフローチャートである。
【図12】電流検知回路を説明するための図である。
【図13】光量の追加補正処理を示したフローチャートである。
【図14】追加補正処理を示したフローチャートである。
【図15】追加補正処理を示したフローチャートである。
【図16】画像形成速度と必要露光エネルギーの関係を示した図である。
【図17】搬送速度の違いによる画像形成回数と画像濃度との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、レーザ素子を用いたレーザ制御部を示すブロック図である。レーザ制御部10は、光量設定部11と、PWM信号発生部12と、LD駆動部13とを備えている。PWMは、パルス幅変調の略語である。LDは、レーザダイオードの略語である。レーザダイオードに代えて、LEDや他の発光素子が採用S手手もよい。光量設定部11は、制御信号に従ってレーザ素子の光量(駆動電流)を設定するための光量設定データをLD駆動部13に出力する回路である。例えば、光量設定部11は、制御信号の一部である、画像形成モード信号に応じて光量設定データを選択する。画像形成モードは、複数存在し、それぞれ画像形成速度が異なっている。PWM信号発生部12は、入力された画像データから、レーザ素子を駆動するためのPWM信号を発生する回路である。LD駆動部13は、設定された光量と、PWM信号とに基づいてレーザ素子を駆動する回路である。なお、PWM信号発生部12には、PWM信号を発生させるためのビデオクロック(VCLK)も入力される。LD駆動部13には、主走査方向(水平方向)における光ビームの書き出しの基準となるBD信号も入力される。BDは、ビームディテクト(検出)の略称である。例えば、LD駆動部13は、光量設定部11によって設定された光量でPWM値に応じて時間だけLDを点灯させる。あるいは、LD駆動部13は、LD強制点灯信号BDが入力されている間、光量設定部11によって設定された光量でLDを点灯させる。
【0016】
本実施形態では、感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータ(例:画像形成回数や露光量の積算値)を計測し、計測された物理的なパラメータと選択された周速度との組み合わせに応じて決定された補正値を使用して光ビームの光量が補正される。補正後の光量は、目標光量として制御信号を通じて光量設定部11に設定される。なお、周速度は、感光ドラム表面の移動速度であり、転写材の搬送速度や画像形成速度、プロセス速度と同一のパラメータである。
【0017】
図2は、画像形成ユニットを示す模式的な断面図である。画像形成ユニット20は、画像形成装置、複写機、複合機において画像を形成するユニットである。ここでは、画像形成装置の一例として複写機について説明する。
【0018】
光学ユニット21は、画像読み取りユニットによって読み取った画像データや、コンピュータ等から入力された画像データに応じて光ビーム29を出力することで、感光ドラム31の表面に潜像を形成する。光学ユニット21は、LDユニットと、ポリゴンモータ22と、ポリゴンミラー23と、fθレンズ24と、バレル・トロイダル・レンズ(BTL)25と、ミラー26とを備える。
【0019】
光源であるLDユニットから出射される光ビーム29は、ポリゴンモータ22によって高速に回転されるポリゴンミラー23によって偏向される。偏向された光ビーム29は、fθレンズ24及びバレル・トロイダル・レンズ25を通して副走査方向のピント合わせ(集光と副走査方向の位置補正)が施される。さらに、光ビーム29は、ミラー26で反射し、感光ドラム31の上を走査する。
【0020】
感光ドラム31は、駆動モータによって一定の周速度となるように駆動される像担持体である。周速度は、選択された画像形成モードに応じて変更される。感光ドラム31は、複数の周速度のうち選択された周速度で回転する感光体の一例である。感光ドラム31の表面は、定電圧源に接続された帯電器32によって一様に帯電され、光学ユニット21から照射される光ビーム29によって露光されて潜像が形成される。帯電器32は、感光体を帯電させる帯電手段の一例である。
【0021】
現像ユニット34は、現像剤(例:トナー)を収納する容器を備え、トナーによって潜像を現像剤像へと顕像化するユニットである。トナー容器は、トナーを容器ごと交換可能な交換式であってもよいし、トナーのみを補給する補給式であってもよい。現像ユニット34は、感光体に形成された潜像を現像剤による現像剤像へ顕像化する現像手段の一例である。
【0022】
転写器35は、給紙部38または手差しトレイ40から給紙および搬送されてきた転写材28に現像剤像を転写するユニットである。転写器35は、現像剤像を転写材に転写する転写手段の一例である。転写材28は、記録材、記録媒体、用紙、シート、転写紙と呼ばれることもある。また、転写材28の素材も、紙、繊維、フィルム又は樹脂などであってもよい。転写材28の紙厚も様々である。様々な転写材に対しても画像品質を安定させるためには、転写材の特性に応じて画像形成速度を調整する必要がある。未定着の現像剤像は、搬送路において転写器35よりも下流に配置された定着器によって加熱及び加圧される。定着器は、転写材に転写された現像剤像を定着させる定着手段の一例である。
【0023】
クリーニングユニット36は、転写されずに感光ドラム31の表面に残ったトナーを除去するユニットである。除電器37は、感光ドラム31上の電荷を取り除くユニットである。除電処理は、帯電器32で一様な帯電を行うためには有効な処理である。
【0024】
図3は、光学ユニット21の制御回路を示す図である。なお、すでに説明した箇所には同一の参照符号を付与することで、説明を簡潔にする。光学ユニット21の制御回路は、レーザ制御部10、ポリゴンモータ駆動制御部14、同期検出用点灯制御部15、書込クロック発生部16、位相同期クロック発生部17、LDユニット27、ミラー42、レンズ43、同期検知センサ44を備えている。
【0025】
同期検知センサ44は、主走査方向において光学ユニット21の画像書き出し側の端部に配置されている。fθレンズ24を通過してきた光ビーム29は、ミラー42によって反射され、レンズ43によって集光されて同期検知センサ44に入射する。光ビーム29が入射すると、同期検知センサ44は、同期検知信号DETPを出力する。同期検知信号DETPは、位相同期クロック発生部17及び同期検出用点灯制御部15に入力される。位相同期クロック発生部17は、書込クロック発生部16で生成されたクロックWCLKと同期検知信号DETPとから、DETPに同期したビデオクロックVCLKを生成してレーザ制御部10及び同期検出用点灯制御部15に送出する。同期検出用点灯制御部15は、最初に同期検出信号DETPを検出するまで、LDユニット27を点灯させるためのLD強制点灯信号BDをONにしてレーザ制御部10に送出する。これにより、LDユニット27は強制点灯させられる。一方、同期検知信号DETPが検出されると、同期検出用点灯制御部15は、フレア光が発生しない程度でかつ確実に同期検知信号DETPが検出できるタイミングで、LD強制点灯信号BDをレーザ制御部10に送出する。
【0026】
レーザ制御部10は、LD強制点灯信号BD及びビデオクロックVCLKに同期して画像読取ユニット54又はフレームメモリから送られてくる画像データから生成されたパルス信号の幅に応じてLDユニット27を点灯制御する。LDユニット27から出射した光ビーム29は、前述のように感光ドラム31上を走査する。LDユニット27は、入力された画像データに応じて感光体の表面を露光するための光ビームを出力する光源の一例である。
【0027】
ポリゴンモータ駆動制御部14は、プリンタ制御部18からの制御信号によってポリゴンモータ22を規定の回転数で回転制御する。プリンタ制御部18は、CPU50、書換え可能な不揮発性記憶手段としてのROM51、画像データ等を一時的に保持するために使用されるRAM52を備えている。画像コントローラ53は、外部コンピュータから入力された画像データを展開し、プリンタ制御部18へ送出する。画像コントローラ53は、画像読取ユニット54から入力された画像データについても適宜の画像処理を施してからプリンタ制御部18へ送出する。
【0028】
例えば、CPU50は、感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータを計測する計測手段として機能する。また、CPU50は、計測された物理的なパラメータと、選択された周速度との組み合わせに応じて決定された補正値を使用して光ビームの光量を補正する光量補正手段として機能する。感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータは、例えば、画像形成回数、LDユニット27による露光量の積算値(積算露光量)などである。もちろん、感光体の劣化の進み具合を概ね表すようなパラメータであれば、上述の物理的なパラメータとして使用できる。なお、周速度は、画像形成速度、搬送速度、プロセス速度と同一ないし類似の概念である。
【0029】
図4は、画像形成装置の制御方法を示したフローチャートである。CPU50は、不図示の操作部やコンピュータ等から画像形成開始の指示があると、本フローチャートに係る処理を実行する。
【0030】
ステップS401で、CPU50は、操作部やコンピュータ等を通じてユーザにより選択された画像形成モードを画像形成ユニット20に対して設定する。ここで、画像形成モードとは、例えば、普通紙モード、厚紙モード、OHP(オーバヘッドプロジェクター用の)シートモード等が考えられる。厚紙やOHPシートにおいては、普通紙に画像形成する場合と比較して定着に多くの熱量を必要とする。これは、OHPシートの定着動作が、普通紙の定着動作よりも長い時間を必要となることを意味する。そのため、厚紙モードのプロセス速度やOHPシートモードのプロセス速度は、普通紙モードのプロセス速度よりも遅い。プロセス速度が遅くなれば、感光ドラム31の周速度も低下する。すなわち、画像形成モードの選択は、周速度を選択することと同義である。なお、本実施形態で、説明の簡潔化のために、普通紙モードと厚紙モードといった2つの画像形成モードからいずれか1つを選択できるものとする。
【0031】
ステップS402で、CPU50は、画像形成モードに対応する光量の値を光量設定部11に設定するとともに、PWM値(発光時間)をPWM信号発生部12に設定する。これにより、LDの光量と発光時間とが切り換えられる。この切り換えは、常にLDの光量と発光時間との両方が実行される必要はなく、どちらかの一方のみ切り換えでよい。
【0032】
とりわけ、本実施形態では、CPU50は、感光ドラム31の使用回数に連動した物理的なパラメータを計測し、計測された物理的なパラメータと、選択された周速度との組み合わせに応じて決定された補正値を使用して光ビームの光量を補正する。この補正後の光量が光量設定部11に設定される。
【0033】
ステップS403で、CPU50は、設定した画像形成モード、光量、PWM値にしたがって画像形成ユニット20に画像形成を実行させる。
【0034】
次に、ステップS402における光量とPWM値の設定方法の詳細について説明する。ここでは、説明の便宜上、普通紙モードのプロセス速度を200mm/secとし、厚紙モードのプロセス速度を100mm/secとする。上述したように、プロセス速度は、感光ドラム31の表面(周面)における副走査方向の回転速度(周速度)を意味する。書込み画像の解像度は主走査方向が1200dpi(ドット・パー・インチ)であり、副走査方向が600dpiである。
【0035】
画像データが2値の場合の普通紙モードの光量をP(mW)、PWM値をT(ns:ナノ秒)とすると、1ドット当たりの露光エネルギーはP×T(pJ)となる。厚紙モードの場合には、主走査方向の解像度は変えずに、プロセス速度が普通紙モードの半分になる。よって、厚紙モードの副走査方向の解像度を普通紙モードの解像度の2倍(1200dpi)とする。このように、普通紙モードか厚紙モードへと切り換えられると、プロセス速度が半分になる。そのため、1ドット当たりの露光エネルギーをP×T/2(pJ)に変更すればよい。これにより、画像濃度が一定に維持される。
【0036】
しかし、プロセス速度が変化すると、実際には、潜像形成やトナー像の形成へも変化の影響が及ぶ。先に図16を用いて説明したように、速度依存性によって、プロセス速度と必要露光エネルギーの関係が線形(直線L1)とはならない。よって、普通紙モードと厚紙モードに適した光量、もしくはPWM値を設定する必要がある。
【0037】
発明者による実験の結果、プロセス速度が上がると、プロセス速度の上昇率よりも高い上昇率で必要露光エネルギーが増加する。ここでは、露光エネルギーの増加量を算出するための係数をαとする。普通紙モードの露光エネルギーP×Tに対して、厚紙モードの露光エネルギーは(P×T/2)/αとなる。よって、係数αに相当するPWM値もしくは光量Pを設定すればよい。
【0038】
図5は、画像形成回数と感光ドラム31の感度との関係を示す図である。図5が示すように画像形成回数が増加するにつれて、感光ドラム31の感度は徐々に低下してゆく。これを経年劣化と呼ぶ。感度が低下すると、形成された画像の濃度も低下する。
【0039】
先に図17を用いて説明したように、速度依存性もプロセス速度によって差が生じる。すなわち、プロセス速度が100mm/secのときと、プロセス速度が200mm/secのときとでは、画像濃度の低下の度合いが異なる。よって、感光ドラム31の初期状態では各プロセス速度について適切に露光エネルギーが設定されていたとしても、画像形成回数が増えるにしたがって、両者の画像濃度には差が生じる。すなわち、図17が示すように、普通紙モードの画像濃度と厚紙モードの画像濃度との差が、画像形成回数が増加するにつれて、乖離してゆく。
【0040】
この濃度差を補正するための方法を説明する。予め感光ドラム31の耐久試験を行い、各プロセス速度における画像形成回数と濃度低下の関係を測定する。各プロセス速度における画像形成回数と濃度低下の関係を表す測定データから、各プロセス速度における画像形成回数に応じた光量補正データを作成する。
【0041】
図6は、各プロセス速度における画像形成回数に応じた光量補正データを示す図である。横軸は画像形成回数を示している。縦軸は、補正値を示している。図6と図17とを比較するとわかるように、補正値は、画像濃度低下量の逆特性となっている。画像形成回数に応じた補正値のデータは、各プロセス速度ごとに、プリンタ制御部18のROM51に格納される。ここでは、プロセス速度が100mm/sのときに使用されるテーブルと、プロセス速度が200mm/sのときに使用されるテーブルとがROM51に格納されることになる。
【0042】
図7は、光量及びPWM値の設定処理(S402)において実行される光量補正処理を示したフローチャートである。ステップS711で、CPU50は、画像形成回数をカウントする。このように、CPU50は、物理的なパラメータとして、画像の形成回数を取得する画像形成回数取得手段として機能する。なお、画像形成回数は、感光ドラム31を交換したときにゼロにリセットされる積算値である。なお、CPU50は、ROM51に画像形成回数を格納する。
【0043】
ステップS712で、CPU50は、選択された画像形成モードに対応するプロセス速度が200mm/sか否かを判定する。選択されたプロセス速度が200mm/sであれば、ステップS713に進む。プロセス速度が200mm/sでなければ(すなわちプロセス速度が100mm/sであれば)、ステップS714に進む。
【0044】
ステップS713で、CPU50は、選択されたプロセス速度(200mm/s)に対応したテーブルから、現在の画像形成回数に対応した光量の補正値を決定する。同様に、ステップS714で、CPU50は、選択されたプロセス速度(100mm/s)に対応したテーブルから、現在の画像形成回数に対応した光量の補正値を決定する。決定された補正値は、レーザ制御部10の光量設定部11に設定される。光量設定部11は、設定された補正値にしたがって目標光量を増加する。これにより、光量が補正され、画像濃度が一定に維持される。
【0045】
以上説明したように第1の実施形態によれば、感光体の経年劣化に起因して発生する、異なる画像形成速度間の画像濃度の差が低減される。すなわち、プロセス速度と画像形成回数とに応じて光量の補正値を決定することで、感光体が劣化しても、プロセス速度の違いによる画像濃度の差が生じにくくなる。
【0046】
本実施形態では、画像の形成回数を感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータとして採用している。画像の形成回数のカウンタは一般に画像形成装置に搭載されていることが多い。よって、本願発明を低コストで実現することも可能である。
【0047】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータとして画像形成回数(プリントジョブの実行回数)を採用した。第2の実施形態では、物理的なパラメータの他の例として、積算露光量について説明する。
【0048】
積算露光量を採用する理由を最初に説明する。感光ドラム31の感度は、LDユニット27から照射される光により劣化する。すなわち、露光量の積算値は、感光体の使用回数に連動しており、感度の低下レベルにも連動していることになる。そこで、CPU50は、感光ドラム31の露光量を積算してゆき、その露光量の積算値から感光ドラム31の劣化を推定し、光量の補正値を決定する。なお、第1の実施形態と共通する部分については、説明を簡潔にする。
【0049】
本実施形態における濃度差補正方法について説明する。各プロセス速度について、感光ドラム31の耐久試験を行う。これにより、積算露光量と濃度低下の関係を測定する。
【0050】
図8は、積算露光量と濃度低下の関係の一例を示す図である。横軸は積算露光量を示し、縦軸は画像濃度を示している。図17と同様に、積算露光量が増えてゆくにつれて画像濃度は徐々に低下してゆく。さらに、プロセス速度の違いによって、低下の度合いも異なる。図8によれば、100mm/sよりも200mm/sのほうが画像濃度が低下している。次に、図8に示した測定データから、補正値のデータを作成する。
【0051】
図9は、積算露光量に対する光量の補正値のデータを示した図である。この補正値のデータは、各プロセス速度ごとにテーブル化される。完成した補正値のテーブルは、プリンタ制御部18のROM51に格納される。図9が示すように、補正値のデータは濃度の低下を補償するような値となっている。
【0052】
積算露光量のカウントについて説明する。積算露光量のカウントは、画像形成を1回実行するごとに行う。積算露光量のカウントは、図4に示したステップS403において実行される。なお、第2の実施形態において、CPU50は、光ビームの露光量を積算して積算露光量を取得する積算露光量取得手段として機能する。
【0053】
図10は、積算露光量のカウント処理を示したフローチャートである。ステップS1001で、CPU50は、画像コントローラ53が出力する画像データをモニタし、感光ドラム31への光ビームの照射をもたらすドットか否かを判定する。このように、CPU50は、画像形成の対象となる画像データを解析し、露光されるドットの数を計数する計数手段として機能する。
【0054】
ここでは、ドットの濃度に応じて4つあるいずれかの処理へ分岐する。注目ドットの濃度が0%以上24%以下であれば、ステップS1002に進む。ステップS1002で、CPU50は、注目ドットについての露光量を+0.75に設定する。注目ドットの濃度が25%以上49%以下であれば、ステップS1003に進む。ステップS1003で、CPU50は、注目ドットについての露光量を+1.0に設定する。注目ドットの濃度が50%以上74%以下であれば、ステップS1004に進む。ステップS1004で、CPU50は、注目ドットについての露光量を+1.25に設定する。注目ドットの濃度が75%以上100%以下であれば、ステップS1005に進む。ステップS1005で、CPU50は、注目ドットについての露光量を+1.5に設定する。
【0055】
ステップS1006で、CPU50は、前回のドットまでの積算露光量に対して、今回のドット(注目ドット)についての露光量を加算する。
【0056】
なお、上記のカウント方法は、BAE(BACK AREA EXPOSURE)方式の場合のカウント方法である。BAE方式では、1回の画像形成で形成可能な全ドット数に対し実際に打ったドットの割合が0〜24%、25〜49%、50〜74%、75〜100%の場合、それぞれ0.75、1.0、1.25、1.5としてカウントを行う。一方、IAE(IMAGE AREA EXPOSURE)方式では、ドットが打たれる位置が露光される。よって、ドットを打つ量が積算されてゆく。
【0057】
図11は、濃度補正を示したフローチャートである。この濃度補正は、図4に示したステップS402において実行される。ステップS1101で、CPU50は、積算露光量をROM51から読み出す。
【0058】
ステップS1102で、CPU50は、選択された画像形成モードに対応するプロセス速度が200mm/sか否かを判定する。選択されたプロセス速度が200mm/sであれば、ステップS1103に進む。プロセス速度が200mm/sでなければ(すなわちプロセス速度が100mm/sであれば)、ステップS1104に進む。
【0059】
ステップS1103で、CPU50は、選択されたプロセス速度(200mm/s)に対応したテーブルから、現在の積算露光量に対応した光量の補正値を決定する。同様に、ステップS1104で、CPU50は、選択されたプロセス速度(100mm/s)に対応したテーブルから、現在の積算露光量に対応した光量の補正値を決定する。決定された補正値は、レーザ制御部10の光量設定部11に設定される。光量設定部11は、設定された補正値にしたがって目標光量を増加する。これにより、光量が補正され、画像濃度が一定に維持される。
【0060】
以上説明したように第2の実施形態によれば、感光体の経年劣化に起因して発生する、異なる画像形成速度間の画像濃度の差が低減される。すなわち、プロセス速度と積算露光量とに応じて光量の補正値を決定することで、感光体が劣化しても、プロセス速度の違いによる画像濃度の差が生じにくくなる。
【0061】
本実施形態では、積算露光量を感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータとして採用している。積算露光量の算出はCPU50で実行できるため、新たなハードウエアを追加する必要がない。とりわけ、積算露光量は画像データを解析することで取得できるため、追加のハードウエアは必要ないであろう。
【0062】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1または第2の実施形態における画像形成装置に光量補正の確度を上げる機能を追加したものである。よって、すでに説明した部分については説明の重複を避けるために、簡潔にする。
【0063】
感光ドラム31を帯電させる帯電器32には不図示の高圧電源が接続されている。感光ドラム31は所定の一定の電圧に保持される必要性があるので、この高圧電源は定電圧源となっている。
【0064】
ところで、定電圧源を駆動するための電流値は、感光ドラム31の表面抵抗値によって決定される。一般的に、感光ドラム31は経年劣化により表面の感光層が劣化するため、表面抵抗値が低下する。すると、定電圧源の駆動電流は増加する。すなわち、駆動電流の電流値は感光ドラム31の劣化の程度を示していることになる。よって、この電流値の変化を検知すれば、感光ドラム31の劣化を検知できる。
【0065】
そこで、第3の実施形態では、帯電器32に接続された定電圧源の駆動電流の電流値を監視し、電流値が感光ドラム31の劣化を示すと補正値を増加させることで、光量の補正精度を向上させる。なお、この追加の補正処理は、第1の実施形態と第2の実施形態のいずれにも適用できる。
【0066】
図12は、電流検知回路を説明するための図である。電流検知回路1201は、帯電器32に接続された定電圧源1202の駆動電流の電流値を検知し、A/D変換し、電流値をCPU50に出力する。定電圧源1202は、帯電手段に接続された定電圧源として機能する。電流検知回路1201は、定電圧源の駆動電流の値を検知する電流検知手段として機能する。
【0067】
図13は、光量の追加補正処理を示したフローチャートである。ステップS1301で、CPU50は、電流検知回路1201を使用して駆動電流の電流値を検知する。
【0068】
ステップS1302で、CPU50は、検知した電流値と、ROM51に予め格納されている駆動電流の初期値とを比較する。この初期値は画像形成装置の初期状態において取得された電流値に設定することが望ましい。検知された電流値と初期値との差が1%未満であれば、ステップS1303に進む。ステップS1303で、CPU50は、測定誤差を考慮して、追加補正をスキップする。一方、差が1%以上であれば、ステップS1304に進む。ステップS1304で、CPU50は、画像形成回数または積算露光量に基づいて決定された補正値に対して追加補正を実行する。例えば、次式に基づいて追加補正が実行される。
【0069】
(追加補正された補正値)=(追加補正前の補正値)×[1+(検知された電流値−初期値)/初期値]・・・式1
このように、CPU50は。検知された駆動電流の値に応じて、補正値を修正する修正手段として機能する。CPU50は、追加補正された補正値を、レーザ制御部10の光量設定部11に設定する。光量設定部11は、設定された補正値にしたがって目標光量を増加する。これにより、光量が補正され、画像濃度が一定に維持される。
【0070】
第3の実施形態によれば、帯電器の駆動電流を監視することで、画像形成回数や積算露光量に基づいて想定された補正値を追加的に補正することができる。すなわち、感光ドラム31が想定よりも早く劣化しているときに、補正値を増加させることで、画像濃度の差を低減することができる。これにより、補正の精度を向上させることができる。
【0071】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、第1の実施形態における画像形成装置に光量補正の確度を上げる機能を追加したものである。よって、すでに説明した部分については説明の重複を避けるために、簡潔にする。とりわけ、本実施形態では、トナーカートリッジの交換時またはトナーの補給時の画像形成回数に応じて、補正値の修正を実行する。
【0072】
一般に、トナーは、不図示の脱着可能なトナーカートリッジまたはトナー貯蔵タンクから現像ユニット34に供給される。トナーの残量は不図示のトナー残量センサが検知する。トナーの残量が所定量以下になったことをトナー残量センサが検知すると、CPU50は、トナーカートリッジの交換またはトナーボトルによるトナー補給を促す通知を不図示のディスプレイ等に表示する。
【0073】
通常、1つのトナーカートリッジやトナーボトルは、5000枚から10000枚の画像を形成できるだけのトナーを収容している。感光ドラム31の劣化に伴い感度が低下すると、感光ドラム31へのトナーの付着量が減少する。すなわち、トナーの消費が抑制され、トナーカートリッジの交換サイクルもしくはトナー補給サイクルが延びる。
【0074】
そこで、本実施形態では、トナーカートリッジの交換時またはトナー補給時における画像形成回数が所定数より多ければ、CPU50は、感光ドラム31の劣化が想定範囲を超えていると判断する。すなわち、CPU50は、想定範囲を超えて感光ドラム31が劣化してくると、光量の補正値を修正する。これにより、光量補正の精度が向上する。
【0075】
図14は、追加補正処理を示したフローチャートである。CPU50は、トナーカートリッジの交換またはトナーボトルによるトナー補給を要求する状態になると、本フローチャートに係る処理を実行する。また、CPU50は、カートリッジの交換回数(トナーボトルによる補給回数)をカウントし、交換回数をROM51に格納する。なお、CPU50は、現像手段において使用される現像剤を収納するカートリッジが交換されたとき、または、現像剤を補給したときに計測された物理的なパラメータに応じて、補正値を修正する修正手段として機能する。
【0076】
ステップS1401で、CPU50は、カートリッジの交換回数をROM51から読み出して1つインクリメントし、交換回数が1回目か否かを判定する。1回目であれば、ステップS1402に進む。ステップS1402で、CPU50は、現在の画像形成回数をROM51に記憶する。このときは、追加の補正(すなわち、補正値の修正処理)は実行されない。ROM51に記憶された画像形成回数が初期値となる。
【0077】
一方、カートリッジの交換回数が2回目以降であれば、ステップS1403に進む。ステップS1403で、CPU50は、今回の画像形成回数と、ROM51に記憶されている初期値とを比較する。両者の差が±1%未満であれば、ステップS1405に進む。ステップS1405で、CPU50は、追加の補正処理をスキップする。感光ドラム31の劣化は想定の範囲内であり、光量補正が良好に行われていると考えられるからである。
【0078】
一方、差が±1%以上であれば、感光ドラム31の劣化が想定外に進んでいると考えられるため、ステップS1404に進む。ステップS1404で、CPU50は、画像形成回数に応じてテーブルから決定された補正値を追加で補正する。追加補正は、例えば、次式にしたがって実行される。
【0079】
(追加補正された補正値) = (追加補正される前の補正値)×[1+(今回の画像形成回数−初期値)/初期値]・・・式2
CPU50は、追加補正された補正値を、レーザ制御部10の光量設定部11に設定する。光量設定部11は、設定された補正値にしたがって目標光量を増加する。これにより、光量が補正され、画像濃度が一定に維持される。
【0080】
第4の実施形態によれば、トナーカットリッジ等の交換時における画像形成回数を監視することで、画像形成回数に基づいて想定された補正値を追加的に補正することができる。すなわち、感光ドラム31が想定よりも早く劣化しているときに、補正値を増加させることで、画像濃度の差を低減することができる。これにより、補正の精度を向上させることができる。
【0081】
なお、ROM51に記憶される初期値を前回の画像形成回数としてもよい。すなわち、今回の画像形成回数と前回の画像形成回数との差が乖離してくるのは、感光体の劣化が想定範囲を超えて進んだ場合だからである。
【0082】
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、第2の実施形態における画像形成装置に光量補正の確度を上げる機能を追加したものである。よって、すでに説明した部分については説明の重複を避けるために、簡潔にする。とりわけ、本実施形態では、トナーカートリッジの交換時またはトナーの補給時の画像形成回数に応じて、補正値の修正を実行する。基本的な技術思想は、第4の実施形態と同様であるが、トナーカートリッジの交換時における積算露光量を使用する点で異なるに過ぎない。
【0083】
図15は、追加補正処理を示したフローチャートである。CPU50は、トナーカートリッジの交換またはトナーボトルによるトナー補給を要求する状態になると、本フローチャートに係る処理を実行する。また、CPU50は、カートリッジの交換回数(トナーボトルによる補給回数)をカウントし、交換回数をROM51に格納する。なお、CPU50は、現像手段において使用される現像剤を収納するカートリッジが交換されたとき、または、現像剤を補給したときに計測された物理的なパラメータに応じて、補正値を修正する修正手段として機能する。
【0084】
ステップS1501で、CPU50は、カートリッジの交換回数が1回目か否かを判定する。1回目であれば、ステップS1502に進む。ステップS1502で、CPU50は、現在の積算露光量をROM51に記憶する。このときは、追加の補正は実行されない。ROM51に記憶された積算露光量が初期値となる。
【0085】
一方、カートリッジの交換回数が2回目以降であれば、ステップS1503に進む。ステップS1503で、CPU50は、今回の積算露光量と、ROM51に記憶されている初期値とを比較する。両者の差が±1%未満であれば、ステップS1505に進む。ステップS1505で、CPU50は、追加の補正処理をスキップする。感光ドラム31の劣化は想定の範囲内であり、光量補正が良好に行われていると考えられるからである。
【0086】
一方、差が±1%以上であれば、感光ドラム31の劣化が想定外に進んでいると考えられるため、ステップS1504に進む。ステップS1504で、CPU50は、現在の積算露光量に応じてテーブルから決定された補正値を追加で補正する。追加補正は、例えば、次式にしたがって実行される。
【0087】
(追加補正された補正値) = (追加補正される前の補正値)×[1+(今回の積算露光量−初期値)/初期値]・・・式2
CPU50は、追加補正された補正値を、レーザ制御部10の光量設定部11に設定する。光量設定部11は、設定された補正値にしたがって目標光量を増加する。これにより、光量が補正され、画像濃度が一定に維持される。
【0088】
第5の実施形態によれば、トナーカットリッジ等の交換時における積算露光量を監視することで、積算露光量に基づいて想定された補正値を追加的に補正することができる。すなわち、感光ドラム31が想定よりも早く劣化しているときに、補正値を増加させることで、画像濃度の差を低減することができる。これにより、補正の精度を向上させることができる。
【0089】
なお、ROM51に記憶される初期値を前回の積算露光量としてもよい。すなわち、今回の積算露光量と前回の積算露光量との差が乖離してくるのは、感光体の劣化が想定範囲を超えて進んだ場合だからである。
【0090】
[他の実施形態]
以上説明してきた全ての実施形態において、感光ドラム31を新品と交換する際には、CPU50は、画像形成回数及び積算露光量をリセットしてもよい。これは、新品の感光ドラム31に対する誤った光量補正を防ぐためである。この場合、CPU50は、感光体の交換に際して、計測された物理的パラメータの値をリセットするリセット手段として機能する。
【0091】
なお、第1の実施形態と第5の実施形態とを組み合わせても良い。すなわち、CPU50は、通常の補正値を画像形成枚数に応じて決定し、追加の補正量については積算露光量に基づいて決定する。同様に、第2の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせても良い。すなわち、CPU50は、通常の補正値を積算露光量に応じて決定し、追加の補正量については画像形成枚数に基づいて決定する。これらにおいても補正値を好適に修正することができる。
【符号の説明】
【0092】
10:レーザ制御部
11:光量設定部
12:PWM信号発生部
13:LD駆動部
14:ポリゴンモータ駆動制御部
15:同期検出用点灯制御部
16:書込みクロック発生部
17:位相同期クロック発生部
18:プリンタ制御部
20:画像形成ユニット
21:光学ユニット
22:ポリゴンモータ
23:ポリゴンミラー
24:fθレンズ
25:バレル・トロイダル・レンズ
26:ミラー
27:LDユニット
28:記録紙
29:光ビーム
31:感光体ドラム
32:帯電器
34:現像ユニット
35:転写器
36:クリーニングユニット
37:除電器
38:用紙カセット
40:手差しユニット
42:ミラー
43:レンズ
44:同期検知センサ
50:CPU
51:ROM
52:RAM
53:画像コントローラ
54:画像読み取りユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周速度のうち選択された周速度で回転する感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電手段と、
入力された画像データに応じて前記感光体の表面を露光するための光ビームを出力する光源と、
前記感光体に形成された潜像を現像剤による現像剤像へ顕像化する現像手段と、
前記現像剤像を転写材に転写する転写手段と、
前記転写材に転写された前記現像剤像を定着させる定着手段と、
前記感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータを計測する計測手段と、
前記計測された物理的なパラメータと、前記選択された周速度との組み合わせに応じて決定された補正値を使用して前記光ビームの光量を補正する光量補正手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記計測手段は、
前記物理的なパラメータとして、画像の形成回数を取得する画像形成回数取得手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記計測手段は、
前記物理的なパラメータとして、前記光ビームの露光量を積算して積算露光量を取得する積算露光量取得手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記積算露光量取得手段は、
画像形成の対象となる画像データを解析し、露光されるドットの数を計数する計数手段であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電手段に接続された定電圧源と、
前記定電圧源の駆動電流の値を検知する電流検知手段と、
前記検知された駆動電流の値に応じて、前記補正値を修正する修正手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像手段において使用される前記現像剤を収納するカートリッジが交換されたとき、または、前記現像剤を補給したときに計測された前記物理的なパラメータに応じて、前記補正値を修正する修正手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体の交換に際して、前記計測された物理的パラメータの値をリセットするリセット手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の周速度のうち選択された周速度で回転する感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電手段と、
画像データに応じて前記感光体の表面を露光する光ビームを出力する光源と、
前記感光体に形成された潜像を現像剤による現像剤像へ顕像化する現像手段と、
前記現像剤像を転写材に転写する転写手段と、
前記転写材に転写された前記現像剤像を定着させる定着手段と
を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記感光体の使用回数に連動した物理的なパラメータを計測するステップと、
前記計測された物理的なパラメータと、前記選択された周速度との組み合わせに応じて決定された補正値を使用して前記光ビームの光量を補正するステップと
を備えることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−181841(P2010−181841A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27787(P2009−27787)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】