説明

画像形成装置及びベルトユニット

【課題】 従来と異なる新規な手法にて、無端ベルトの斜行を規制する。
【解決手段】 駆動ローラ15の軸方向端部側に軸方向の力を作用させながら駆動ローラ15に回転力を付与するヘリカル歯車を設けるとともに、駆動ローラ15にガイドリブ14Aの側面14Bと対向規制面15Gを設ける。これにより、ヘリカル歯車が駆動ローラ15に作用させる軸方向の力と同一の向きに転写ベルト14が斜行して規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとが接触すると、ガイドリブ14Aの側面14Bは、軸方向に変位しない規制面15Gに接触して位置決めされた状態となるので、転写ベルト14の斜行が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置用のベルトユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
帯状の無端ベルト、並びに無端ベルトが架け渡された駆動ローラ及び従動ローラ等からなるベルトユニットを備える画像形成装置において、無端ベルトが斜行してしまうと、画像品質の悪化を招く。
【0003】
なお、無端ベルトの斜行とは、駆動ローラ等と共に無端ベルトが回転する際に、無端ベルトが軸方向(幅方向)に移動することをいう。
そして、例えば、特許文献1に記載の発明では、無端ベルトのうち幅方向端部の内周面に、無端ベルトの内方側に向けて突出するガイドリブを設けることにより、無端ベルトの斜行を規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−189792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来と異なる新規な手法にて、無端ベルトの斜行を規制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、シートに画像を形成する画像形成装置であって、帯状の無端ベルト(14)と、無端ベルト(14)が架け渡された駆動ローラ(15)及び従動ローラ(16)と、駆動ローラ(15)の軸方向端部側に設けられて駆動ローラ(15)と一体的に回転するとともに、駆動ローラ(15)に軸方向の力を作用させながら駆動ローラ(15)に回転力を付与する駆動用ヘリカル歯車(15A)と、無端ベルト(14)の回転方向に沿うように無端ベルト(14)の内周面に設けられ、無端ベルト(14)の内方側に突出したガイドリブ(14A)と、駆動ローラ(15)及び従動ローラ(16)のうち少なくとも一方に設けられ、ガイドリブ(14A)の側面(14B)と対向するとともに、軸方向と交差する方向に拡がる規制面(15G)が形成された規制部(15H)とを備え、駆動用ヘリカル歯車(15A)が駆動ローラ(15)に作用させる軸方向の力と同一の向きに無端ベルト(14)が斜行したときに、規制面(15G)とガイドリブ(14A)の側面(14B)とが接触することにより、無端ベルト(14)の斜行が規制されることを特徴とする。
【0007】
これにより、本発明では、駆動用ヘリカル歯車(15A)が回転して無端ベルト(14)が回転しているときには、駆動ローラ(15)に軸方向の力が作用するので、駆動ローラ(15)が軸方向に押圧され、駆動ローラ(15)の軸方向のガタツキが小さくなり、駆動ローラ(15)が軸方向に変位することに起因する無端ベルト(14)の斜行が抑制される。
【0008】
ここで、ガイドリブ(14A)を備えることにより、駆動用ヘリカル歯車(15A)が駆動ローラ(15)に作用させる軸方向の力と同一の向きに無端ベルト(14)が斜行して規制面(15G)とガイドリブ(14A)の側面(14B)とが接触したとき、無端ベルト(14)の斜行が規制される。
【0009】
以上のように、本発明では、従来と異なる新規な手法にて、無端ベルトの斜行を規制することができる。
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置1の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るベルトユニット13の斜視図である。
【図3】(a)は本発明の第1実施形態に係るベルトユニット13をベルトクリーナ21側(下側)から見た図であり、(b)は図3(a)のA−A断面図である。
【図4】(a)は駆動ローラ15のベルトクリーナ21側(下側)から見た図であり、(b)は図4(a)の斜視図である。
【図5】図3(b)のA部拡大図である。
【図6】(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1との比較対象例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るベルトユニット13をベルトクリーナ21側(下側)から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.画像形成装置の概略構造
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等のシート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されている。
【0012】
本実施形態に係る画像形成部5はダイレクトタンデム方式の画像形成手段であり、この画像形成部5は、複数(本実施形態では4個)のプロセスユニット7、転写ローラ8、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0013】
なお、本実施形態では、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスユニット7K、イエロー用のプロセスユニット7Y、マゼンタ用のプロセスユニット7M、及びシアン用のプロセスユニット7Cが用紙の搬送方向に沿って直列に配設されている。
【0014】
また、各プロセスユニット7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A、及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されている。そして、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像が形成された後、電荷を帯びた現像剤が感光ドラム7Aに供給されると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0015】
また、用紙を搬送する転写ベルト14を挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ8が設けられており、各感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像は、転写ベルト14により搬送される用紙に転写されて用紙上で直接的に重ね合わせられた後、定着器11にて加熱されて用紙に定着する。
【0016】
2.ベルトユニット
ベルトユニット13は、図2に示すように、転写ベルト14、駆動ローラ15、従動ローラ16、並びに駆動ローラ15及び従動ローラ16をその軸方向両端側で保持するフレーム17等から構成されており、このベルトユニット13は、装置本体(画像形成装置1)に対して着脱可能に組み付けられている。
【0017】
転写ベルト14は、樹脂材料(本実施形態では、熱可塑性エラストマー)からなる帯状に形成された無端状のベルトであって、駆動ローラ15と従動ローラ16との間に架け渡されている(図1参照)。
【0018】
そして、転写ベルト14の内周面の幅方向一端側には、図3に示すように、転写ベルト14の回転方向に沿うように転写ベルト14の内方側に突出したガイドリブ14Aが設けられている。なお、幅方向とは、駆動ローラ15等の軸方向と平行な方向であり、ガイドリブ14Aは、接着剤等にて転写ベルト14に一体化されている。
【0019】
また、駆動ローラ15は、フレーム17に対する位置を不動とした状態でフレーム17に回転可能に組み付けられているとともに、その軸方向一端側(本実施形態では、ガイドリブ14Aと同一側)には、図2に示すように、駆動ローラ15と一体的に回転する駆動用のヘリカル歯車15Aが設けられている。
【0020】
ヘリカル歯車15Aは、図4(a)に示すように、本体側駆動用ヘリカル歯車1Aから駆動力を得て駆動ローラ15に回転力を付与し、この本体側駆動用ヘリカル歯車1Aは、装置本体に設けられた電動モータ(図示せず。)から直接又は間接的に駆動力を得て回転する。そして、駆動ローラ15が回転して転写ベルト14が回転すると、従動ローラ16は転写ベルト14の回転と共に従動回転する。
【0021】
また、ヘリカル歯車15Aは、その歯筋方向がヘリカル歯車15A及び駆動ローラ15の回転中心線L1に対して傾いているため、本体側駆動用ヘリカル歯車1Aとヘリカル歯車15Aと間には、軸方向と平行な成分を含む力Fdが発生する。
【0022】
そこで、本実施形態では、ヘリカル歯車15Aが駆動ローラ15に作用させる軸方向の力(以下、この力を第1スラスト力という。)の向きが、軸方向一端側(ヘリカル歯車15A側)から軸方向他端側に向かう向きとなるように歯筋方向が設定されている。
【0023】
このため、軸方向他端側にはスラスト軸受15Bが配設されており、このスラスト軸受15Bは、フレーム17と駆動ローラ15との間に配置されて駆動ローラ15の軸方向位置を位置決めしながら、駆動ローラ15に作用する第1スラスト力を受ける。
【0024】
なお、本実施形態に係るスラスト軸受15Bは駆動ローラ15の軸方向端側に摺接することにより、駆動ローラ15の回転を阻害することなく、駆動ローラ15の軸方向位置を位置決めている。因みに、本実施形態に係るスラスト軸受15Bは、POM等の摩擦係数が小さく、かつ、耐摩耗性に優れた材料に構成された平ワッシャ状のものである。
【0025】
また、駆動ローラ15は、図4(b)に示すように、転写ベルト14の内周面に接触する円筒状のローラ部15C、及びローラ部15Cの軸方向両端側を閉塞するとともに、ローラ部15Cを回転可能に支持するローラ軸15D等から構成されている。
【0026】
そして、軸方向一端側のローラ軸15Dには、ヘリカル歯車15Aの係合穴15Fに嵌り込むことにより、ヘリカル歯車15Aからの回転力及び第1スラスト力を受けて駆動ローラ15に伝達する係合突起15Eが設けられている。
【0027】
また、駆動ローラ15及び従動ローラ16のうち少なくとも一方(本実施形態では、駆動ローラ15)には、図5に示すように、ガイドリブ14Aの側面14Bと対向するとともに、軸方向と交差する方向に拡がる規制面15Gが形成された段付き状の規制部15Hが設けられている。
【0028】
なお、ガイドリブ14Aの側面14Bとは、断面形状が略矩形状に形成されたガイドリブ14Aの外周面のうち、回転中心線L1と平行な方向と交差する面をいう。因みに、本実施形態に係る規制部15Hは、ローラ部15Cの軸方向一端側を閉塞するとともにローラ軸15Dが圧入等により一体化されたものであって、その一部に段付き部を形成することにより規制面15Gを構成している。
【0029】
そして、本実施形態では、回転中心線L1側に近づくほど、ガイドリブ14Aの側面14Bから離間するように、規制面15Gを回転中心線L1に対して傾いた傾斜面とすることにより、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとの距離が、回転中心線L1に近づくほど大きくなるように構成している。
【0030】
また、従動ローラ16は駆動ローラ15と平行に配設されており、かつ、図1に示すように、従動ローラ16のローラ軸16Aは、その軸方向と直交する方向であって、転写ベルト14の張架面に発生する張力の方向と平行な方向に変位できるようにフレーム17に組み付けられている。なお、張架面とは、転写ベルト14のうち駆動ローラ15と従動ローラ16との間に形成される平面部14Cをいう。
【0031】
そして、従動ローラ16は、従動ローラ16と駆動ローラ15との軸間距離が増大する向きの弾性力をコイルバネ19から受けている。このため、本実施形態係る従動ローラ16は、張架面14C(転写ベルト14)に所定の張力を発生させるテンションローラとして機能する。
【0032】
また、従動ローラ16は、駆動ローラ15と同様にローラ部(図示せず。)及びローラ軸16A等を有して構成されており、従動ローラ16の軸方向端部のうちガイドリブ14Aに対応する部位は、ガイドリブ14Aとの干渉を回避すべく、規制部15Hと同様な段付き形状となっている。
【0033】
3.ベルトクリーナ
ベルトクリーナ21は、図1に示すように、転写ベルト14の表面に付着した現像剤等の付着物を除去するクリーニング手段であり、このベルトクリーナ21は、クリーニングローラ21A及びバックアップローラ21B等から構成されている。
【0034】
そして、クリーニングローラ21Aは、感光ドラム7Aと反対側の張架面14Cに接触して付着物を転写ベルト14から除去するものであり、バックアップローラ21Bは、張架面14Cを挟んでクリーニングローラ21Aと反対側に配設されて転写ベルト14をクリーニングローラ21A側に押圧するものである。
【0035】
また、本実施形態では、クリーニングローラ21Aとバックアップローラ21Bとの間には所定の電圧が印加され、かつ、クリーニングローラ21Aは、転写ベルト14の移動(走行)方向と逆向きに回転しながら転写ベルト14に接触する。
【0036】
このため、転写ベルト14に付着している付着物は、クリーニングローラ21Aにより擦り落とされながら静電吸引力により回収され、その後、クリーニングローラ21Aの表面に付着した付着物は、クリーニングシャフト21C等により付着物収容部21Dに搬送される。
【0037】
ところで、クリーニングローラ21Aと転写ベルト14との接触部には、転写ベルト14の移動を阻害する力(以下、阻害力という。)Fcが作用するが、本実施形態に係るクリーニングローラ21Aは、図3(a)に示すように、その軸(長手方向)が転写ベルト14の移動方向に対して傾斜した方向に延びているので、阻害力Fcは、軸方向(幅方向)の成分(以下、この成分を斜行力という。)を含む力となる。
【0038】
そこで、本実施形態では、ガイドリブ14Aの側面14Bが駆動ローラ15の規制面15Gに接触する向きの斜行力が発生するように、クリーニングローラ21Aを転写ベルト14の移動方向に対して傾けている。
【0039】
具体的には、第1スラスト力の向きと斜行力の向きとを一致させるべく、クリーニングローラ21Aの軸方向端部のうち、ヘリカル歯車15A側端部が反対側の端部に比べて駆動ローラ15側に位置するようにクリーニングローラ21Aを転写ベルト14の移動方向に対して傾けている。
【0040】
4.本実施形態に係る画像形成装置及びベルトユニットの特徴
本実施形態では、ヘリカル歯車15Aが回転して駆動ローラ15が回転しているときには、駆動ローラ15に第1スラスト力が作用するので、駆動ローラ15が軸方向他端側に押圧され、スラスト軸受15Bに駆動ローラ15が押し付けられて駆動ローラ15の軸方向のガタツキが小さくなる。このため、駆動ローラ15が軸方向に変位することに起因する転写ベルト14の斜行が抑制される。
【0041】
したがって、ヘリカル歯車15Aが駆動ローラ15に作用させる第1スラスト力と同一の向きに転写ベルト14が斜行して規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとが接触すると、ガイドリブ14Aの側面14Bは、軸方向に変位しない規制面15Gに接触して位置決めされた状態となるので、転写ベルト14の斜行が規制される。
【0042】
また、本実施形態では、駆動ローラ15は、ヘリカル歯車15Aから第1スラスト力を受けて軸方向についての位置決めがされ、かつ、ガイドリブ14Aの側面14Bを規制面15Gに接触させる斜行力が転写ベルト14に付与されるので、規制面15Gが設けられた駆動ローラ15に対して転写ベルト14を位置決めした状態で転写ベルト14回転させることができる。
【0043】
つまり、仮に、転写ベルト14にガイドリブ14Aの側面14Bを規制面15Gに接触させる斜行力が付与されていない場合には、ガイドリブ14Aの側面14Bが規制面15Gから離隔するように転写ベルト14が斜行するおそれがある。
【0044】
しかし、本実施形態では、転写ベルト14には、ガイドリブ14Aの側面14Bを規制面15Gに接触させる向きの斜行力が付与されているので、ガイドリブ14Aの側面14Bが規制面15Gから離隔することを抑制することができる。したがって、ガイドリブ14A及び規制面15Gを軸方向一端側のみに設けた構成としても確実に転写ベルト14の斜行を規制することができる。
【0045】
さらに、阻害力Fc及び力Fdが共に同一の向きの軸方向成分を含むように構成したので、それぞれの力の大小関係が変化した場合であっても、阻害力Fcと力Fdとの合力の軸方向成分は、常に同一の向きとなる。したがって、転写ベルト14及び駆動ローラ15を常に安定した状態に維持することができるので、転写ベルト14の斜行を安定化することができる。
【0046】
また、本実施形態では、転写ベルト14に付着した付着物を除去するベルトクリーナ21(クリーニングローラ21A)により転写ベルト14に斜行力を付与しているので、別途、ガイドリブ14Aの側面14Bを規制面15Gに接触させる向きの斜行力が付与するための斜行力付与手段を設ける必要がない。したがって、本実施形態では、画像形成装置1(ベルトユニット13)の部品点数の増加を抑制しながら、転写ベルト14の斜行を効果的に規制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとの距離は、回転中心線L1に近づくほど大きくなっているので、転写ベルト14が駆動ローラ15等から離間するように捲れ上がることを抑制することができる。
【0048】
すなわち、仮に、図6(a)に示すように、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとの距離は、回転中心線L1に近づくほど小さくなっている場合には、転写ベルト14に発生する張力により、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとが近づくように転写ベルト14が変形しようとするので、転写ベルト14が駆動ローラ15等から離間するように捲れ上がってしまう。
【0049】
また、仮に、図6(b)に示すように、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとの距離が一定となるように、規制面15Gが回転中心線L1に直交している場合には、ガイドリブ14Aが比較的に新しいときには、転写ベルト14が駆動ローラ15等から離間するように捲れ上がることを抑制することができるものの、ガイドリブ14Aの側面14Bが摩耗してくると、実質的に、図6(a)に示す状態と同じ状態となってしまうので、転写ベルト14が駆動ローラ15等から離間するように捲れ上がってしまう。
【0050】
これに対して、本実施形態では、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとの距離が回転中心線L1に近づくほど大きくなっているので、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとが近づくように転写ベルト14が変形すると、転写ベルト14は、回転中心線L1に近づくように変形する(図5参照)。したがって、転写ベルト14が駆動ローラ15等から離間するように捲れ上がることを抑制することができる。
【0051】
また、仮にガイドリブ14Aの側面14Bが摩耗した場合であっても、画像形成装置1の寿命に対して、規制面15Gとガイドリブ14Aの側面14Bとの距離が回転中心線L1に近づくほど小さくなる程度まで摩耗が進行することは殆どないと考えられるので、転写ベルト14が駆動ローラ15等から離間するように捲れ上がることを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、駆動ローラ15には、ヘリカル歯車15Aが駆動ローラ15に作用させる第1スラスト力を受けて、駆動ローラ15の軸方向位置を位置決めするスラスト軸受15Bが設けられているので、駆動ローラ15の軸方向位置が確実に位置決めされ、転写ベルト14の斜行を確実に抑制できる。
【0053】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、ヘリカル歯車15Aが特許請求の範囲に記載された駆動用ヘリカル歯車に相当し、ベルトクリーナ21(クリーニングローラ21A)が特許請求の範囲に記載された斜行力付与手段に相当し、転写ベルト14が特許請求の範囲に記載された無端ベルトに相当し、スラスト軸受15Bが特許請求の範囲に記載された位置決め手段に相当し、係合突起15Eが特許請求の範囲に記載された入力部に相当する。
【0054】
(第2実施形態)
1.本実施形態に係る画像形成装置及びベルトユニットの特徴的構成
本実施形態は、図7に示すように、クリーニングローラ21Aの軸方向端部にクリーニングローラ21Aに回転力を付与するヘリカル歯車21Eを設けるとともに、このヘリカル歯車21Eがクリーニングローラ21Aに作用させる軸方向の力が、ヘリカル歯車15Aが駆動ローラ15に作用させる1スラスト力の力と逆向きの成分の力(以下、第2スラスト力という。)を含むように構成したものである。
【0055】
なお、本実施形態では、ヘリカル歯車21Eの回転中心線が駆動ローラ15等の回転中心線L1に対して傾いているので、ベルトクリーナ21専用の電動モータ(図示せず。)を設けるとともに、この電動モータの回転中心線とヘリカル歯車21Eの回転中心線とが平行となるように当該電動モータを装置本体に配置している。
【0056】
2.本実施形態に係る画像形成装置及びベルトユニットの特徴
クリーニングローラ21Aは転写ベルト14を斜行させる力を転写ベルト14に作用させるので、その反作用として、クリーニングローラ21Aは、ヘリカル歯車15Aが駆動ローラ15に作用させる第1スラスト力と同一の向きのスラスト力を受ける。
【0057】
しかし、本実施形態では、ヘリカル歯車21Eがクリーニングローラ21Aに作用させる第2スラスト力は、ヘリカル歯車15Aが駆動ローラ15に作用させる第1スラスト力と逆向きの成分を含む力であるので、ヘリカル歯車21Eによりクリーニングローラ21Aに作用する反作用(スラスト力)を相殺又は緩和することができる。
【0058】
したがって、クリーニングローラ21Aを安定的に回転させることができるので、転写ベルト14を斜行させる力を安定的に転写ベルト14に作用させることができ、転写ベルト14の斜行を効果的に規制することができる。
【0059】
3.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、ヘリカル歯車21Eが特許請求の範囲に記載されたクリーニング用ヘリカル歯車に相当する。
【0060】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、規制面15G(規制部15H)が駆動ローラ15のみに設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動ローラ15及び従動ローラ16双方に規制面15Gを設ける、又は従動ローラ16のみに設けた構成としてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、規制面15Gが軸方向端部側のうちヘリカル歯車15Aと同一側に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものはなく、ヘリカル歯車15Aと反対側に規制面15Gを設けてもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では、ベルトクリーナ21(クリーニングローラ21A)により斜行力付与手段を構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、回転することなく転写ベルト14と擦れ合うブレード状のクリーニング手段や感光ドラム7Aを転写ベルト14の移動方向に対して傾けて配置する等して斜行力付与手段を構成してもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、クリーニングローラ21Aの軸方向を転写ベルト14の移動方向に対して傾けることにより転写ベルト14に斜行力を付与したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、(1)クリーニングローラ21Aを円錐テーパ状とすることにより転写ベルト14に斜行力を付与する構成、又は(2)円筒状のクリーニングローラ21A若しくはブレード状のクリーニング手段において、転写ベルト14との接触面圧を軸方向一端側と他端側との相違させることにより転写ベルト14に斜行力を付与する構成としてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、転写ベルト14上を搬送される用紙に直接的に現像剤像を転写するダイレクト方式の画像形成装置であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、転写ベルト14に現像剤像を転写した後、その転写ベルト14に転写された現像剤像を用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置やインクジェット方式の画像形成装置にも適用することができる。
【0065】
また、規制面15G及びガイドリブ14Aの側面14Bの形状は、図5に示す形状に限定されるものではなく、図6(a)又は図6(b)に示す形状としてもよい。
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
1…画像形成装置、1A…本体側駆動用ヘリカル歯車、5…画像形成部、
7…プロセスユニット、7A…感光ドラム、8…転写ローラ、9…露光器、
11…定着器、13…ベルトユニット、14…転写ベルト、14A…ガイドリブ、
14B…側面、14C…張架面、14C…平面部、15…駆動ローラ、
15A…ヘリカル歯車、15B…スラスト軸受、15C…ローラ部、
15D…ローラ軸、15E…係合突起、15F…係合穴、15G…規制面、
15H…規制部、16…従動ローラ、16A…ローラ軸、17…フレーム、
19…コイルバネ、21…ベルトクリーナ、21A…クリーニングローラ、
21B…バックアップローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置であって、
帯状の無端ベルトと、
前記無端ベルトが架け渡された駆動ローラ及び従動ローラと、
前記駆動ローラの軸方向端部側に設けられて前記駆動ローラと一体的に回転するとともに、前記駆動ローラに軸方向の力を作用させながら前記駆動ローラに回転力を付与する駆動用ヘリカル歯車と、
前記無端ベルトの回転方向に沿うように前記無端ベルトの内周面に設けられ、前記無端ベルトの内方側に突出したガイドリブと、
前記駆動ローラ及び前記従動ローラのうち少なくとも一方に設けられ、前記ガイドリブの側面と対向するとともに、前記軸方向と交差する方向に拡がる規制面が形成された規制部とを備え、
前記駆動用ヘリカル歯車が前記駆動ローラに作用させる軸方向の力と同一の向きに前記無端ベルトが斜行したときに、前記規制面と前記ガイドリブの側面とが接触することにより、前記無端ベルトの斜行が規制されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイドリブの側面が前記規制面に接触するように前記無端ベルトを斜行させる力を前記無端ベルトに作用させる斜行力付与手段を備えており、
さらに、前記ガイドリブ及び前記規制面は、前記軸方向一端側のみに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記斜行力付与手段は、前記無端ベルトに付着した付着物を除去するベルトクリーナにより構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルトクリーナと前記無端ベルトとの接触部位は、前記無端ベルトの移動方向に対して傾斜した方向に延びていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルトクリーナは、
回転しながら前記無端ベルトと接触するクリーニングローラ、及び
前記クリーニングローラの軸方向端部側に設けられて前記クリーニングローラと一体的に回転するとともに、前記クリーニングローラに軸方向の力を作用させながら前記クリーニングローラに回転力を付与するクリーニング用ヘリカル歯車を有しており、
さらに、前記クリーニング用ヘリカル歯車が前記クリーニングローラに作用させる軸方向の力は、前記駆動用ヘリカル歯車が前記駆動ローラに作用させる軸方向の力と逆向きの成分を含む力であることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記規制面と前記ガイドリブの側面との距離は、前記規制面が設けられたローラの回転中心線に近づくほど大きくなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記規制面は、前記回転中心線側に近づくほど、前記ガイドリブの側面から離間するように、前記回転中心線に対して傾いた傾斜面にて構成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記駆動ローラには、前記駆動用ヘリカル歯車からの回転力及び軸方向の力を受ける入力部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記規制部は、少なくとも前記駆動ローラに設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記駆動ローラには、前記駆動用ヘリカル歯車が前記駆動ローラに作用させる軸方向の力を受けて、当該ローラの軸方向位置を位置決めする位置決め手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成装置に用いられるベルトユニットであって、
帯状の無端ベルトと、
前記無端ベルトが架け渡された駆動ローラ及び従動ローラと、
前記駆動ローラの軸方向端部側に設けられて前記駆動ローラと一体的に回転するとともに、前記駆動ローラに軸方向の力を作用させながら前記駆動ローラに回転力を付与する駆動用ヘリカル歯車と、
前記無端ベルトの回転方向に沿うように前記無端ベルトの内周面に設けられ、前記無端ベルトの内方側に突出したガイドリブと、
前記駆動ローラ及び前記従動ローラのうち少なくとも一方に設けられ、前記ガイドリブの側面と対向するとともに、前記軸方向と交差する方向に拡がる規制面が形成された規制部とを備え、
前記駆動用ヘリカル歯車が前記駆動ローラに作用させる軸方向の力と同一の向きに前記無端ベルトが斜行したときに、前記規制面と前記ガイドリブの側面とが接触することにより、前記無端ベルトの斜行が規制されることを特徴とするベルトユニット。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−247634(P2012−247634A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119363(P2011−119363)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】